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茶窻間話

むかし利休が比までは、古流の誰かれ残り居れり、中にも津田宗吸、今井宗久などは、肩おならべて宗匠たりし故、千家の系図に載らざる高名の茶人あまたありし、いつぞのほどにや、古流は徹々になりて、あれども無がごとくにて、千家のみさかんになりし、今の世に三斎、 古織 有楽 遠州 一尾 舟越 佐久間 多賀 金森 片桐 貞置 宗偏などの流々、各別のやうに一流お立れども、其根本皆々千家より出ざるはなし、千家は茶道の大宗匠といふべし、