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茶事談

珠光門人多き中に篠道甘〈或は志野、又篠屋、〉台子の式法お伝受す、道甘より十四屋宗悟に伝受し、宗悟より紹鴎に伝受し、紹鴎又宗易〈利休居士〉が茶事に器量あることお知て宗易に伝受す、宗易に至て太閤秀吉公の命により、茶会の極意は一子相伝となる、宗易嫡男眠翁紹安蹇病なる故に、少庵宗淳伝受す、宗淳より其子宗旦に譲る、〈或曰、宗旦は紹安の子にして、宗淳の養子〓雲、不知、〉宗旦故有て藤村庸軒に譲置、庸軒又宗旦の子江岑宗佐に譲帰す、江岑其子良休宗佐に譲り、良休又原叟宗左に譲り、〈原叟宗左は久田宗全子にて、良休の甥なる故に養子となる、〉原叟宗左故有て先々師三谷良朴宗鎮伝受す、〈時は正徳六年四月二十三日、不審庵にて伝受す、次席は青木如永、服部道円、両人なり、次席と雲は、次の間に居て茶事の法お見るのみ、〉宗鎮是お以て芸州侯に仕官す、実子頼母と雲、法体して宗鎮と号す、近年没す、台子伝受次席の人々の姓名記書一巻あり、