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茶話指月集

一宗易庭に牽牛花みごとに咲たるよし、太閤に申上る人有、されば御覧ぜんとて、朝の茶湯に渡御ありしに、朝がほ庭に一枝もなし、猶無興におぼしめす、扠小座敷へ御入あれば、色あざやかなる一輪床に生たり、太閤お初〈め〉、召れられし人々、目さむる心ちし給ひ、甚〈た〉御褒美にあづかる、是お世に利休があさがほの茶湯と申伝ふ、