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備前老人物語
総じて茶の湯は世おのがれ、閑居隠者のなすわざなれば、不弁に麁相にしていさぎよきおもとゝす、元来ぶどふお本とす、さればにや上田主水茶湯の会にきやく来りて、くゞりの明お待居たるに、大づゝの鉄炮お玉なしにうちはなして客お請待せしと也、又多賀左近の雲州御在番に、茶の湯の時、はなはなくて甲おおかれしと也、皆其本おわすれぬ心なるべし、万事おもひおもひ心々なれば、是お是とし非お非とするにあらず、たゞ当然の理にしたがふべし、