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茶事談

珠光三十歳のころ禅僧となり、京師紫野大徳寺真珠菴に住す、〈○中略〉其頃京師紫野大徳寺に台子あり、何の具とも知人なし、これは往昔宋朝より日本筑前の博多聖福禅寺〈○註略〉に贈り来る茶棚なり、〈今茶人の真台子はこれよりはじまる〉此棚のちに大岳山へ伝へ、年お歷て又京師大徳禅院に来る、珠光これお見て、是他具に非ずと雲て、茶事に取り用ひたり、其具は風炉鍑、〈○註略〉熟盂、分盈建、炭檛、建水、珠光これお茶会の本とし、丈方之室〈○註略〉に飾て、敬礼お備て諸人に飲しむ、