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長闇堂記
一及第台子と雲は、唐の朝廷に、及第に試らるゝ学士の出入する門の額に似たるとて、此台子お及第と名付しなり、唐より渡りて、天王寺や宗及有しお、宗凡の世となかて、織部殿かり写し給ひて後世に流布せしなり、棚の内のかざりと雲も、天王寺やの外にはしらずとなり、其棚にての茶に一度逢候なり、江月和尚に有なり、書棚に似たる物なり、溜ぬりにして下げ違の戸袋あり、