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茶道筌蹄

棚物之部
紹鴎棚 古名紹鴎袋棚といふは、今の紹鴎棚の事也、紹鴎所持の棚は、やりがんなの木地、引違の襖、大様もへぎ地古金襴、小縁金地古金襴、南蛮さはり水指、 今鴻池栄三郎所持也、鴎の歌に、我名おば大黒庵といふなればふくろ棚にぞ秘事おこめけり、
袋棚 利休形、桑の志野棚お、桐にて写したる物也、
丸卓 桐は利休形、木地松木、溜は啐啄好み、
四方棚 角のあるは利休形、むかしは利休水指ともいひ、又半台子ともいふ、角の丸きは江岑好也、
旅箪笥 利休形、一説に小田原陣中にて好まれし故に旅箪笥といふ、
三木町棚 江岑、紀州三木町滞留中、若党の作なり、檜椴(もみ)杉の寄せ木也、つまみ竹、江岑伝来の棚は鴻池善右衛門所持、桐は原叟、つまみ桑、
高麗卓 宗全好、一閑真塗は好なし、高麗台子お半分に切たる物なり、花塗は海部屋にてこのむ、
桑の小卓 仙里床に用ゆる卓に好み、青磁はかまごしの香炉にふくべの細口の花入お取合す、
点茶棚に用ゆるは如心斎好也、
三重棚〈一閑、桐、桑、〉一閑張、宗全好、桐は原叟好、桑は如心好也、