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槐記
享保十一年五月九日、参候、かな風炉の青みありて見事なる物也、これは昔勢多の橋再造の刻、はらひ物になりし欄干のぎぼうし也、中井定覚に雲付て、取りて久しく庭に捨置しが、不図思ひよりて風炉にしたりと仰らる、金色から形から、兎角言舌に及びがたきもの也、総て此公〈○近衛家熙〉の御物数寄、凡慮の及ぶ処にあらず、