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茶湯古事談

一風炉は古より南都西の京よりやき出せし也、紹鴎が比は、西の京の総四郎とて上手あり、利休が時にも、其子お又総四郎といふて、これも上手なり、秀吉公より天下一号の御朱印お被下しに、利休筆者にて、代本銭一貫文と有しが、中頃焼失して今はなし、されど今に子孫は相続して総四郎と雲、又利休時代に、西の京に善五郎と雲上手有、其子も又善五郎と雲て、さのみ総四郎におとらぬ上手也、此末今の京へ登り四条に住となん、