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茶話指月集

雲竜の釜はじめて出来候時、休〈○千利休〉気に入りて、いままで囲炉裏にすへたる釜おのけ、五徳置ながら自在に釣りて、茶湯たび〳〵出す也、又一とせの夏、太閤〈○豊臣秀吉〉の御前に雲竜の釜御しかけありて、宗易に茶お点(たて)よと仰らる、折しも御近習おほくて、十服ばかり点たるに、其湯始終さめざりけるとなん、