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花月草紙

遠州政一あその色紙釜てふものあり、山のふもとにかけひのけしきかいたるに、西行法師のとく〳〵とおつる岩まのこけしみづくみほすまでもなきすまひかな、といふおつけたるが、あるやんごとなきひと、かの茶の道とて、しひてかゝることまねぶこそ心得ね、そのほどおこそ思ふべかめれとて、上句はそのまゝ置きて、くみてよわたる人もこそあれ、とつてりなほしたりとか、