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千家茶事不白斎聞書
壺之事
一真壺 西湖南京の近所也、西湖は日本の湖水如くして、みな浅き湖水、此所より出る、 るすん丁口物也、 丹波焼おも用 橋立の壺名物也、是は外より利休所望致し、其時休の茶道正根と雲者お使として取に遣す歌、正根お請取にこそ参らする渡し給へや橋立の壺、と詠取に遣し候由、楽阿弥之壺名物也、利休所持、少庵宗音お以所望す、利休遣す事難成、代口に替可申と雲、何程と承候得者、金五枚の由、此時少庵金子不調、漸四枚有之、是にて先渡し給へと雲、休遣し不申、一両年過候而金五枚調、利休より少庵〈江〉此時休より請取書あり、楽阿弥壺替として金五枚、〓に請取申候、取次宗音使かつしきと有り、其時右金子はかつしき〈江〉被遣候由、かつしきは宗旦の事也、