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茶道要錄
上/主法
茶盛之事
茶盛は其形に因て勝劣あり、肩衝お一番とし、文林二番、丸壺三番、尻豊四番、茄子五番、棗肩衝六番、鶴首七番、角木八番、矢頭九番、飯銅十番なり、
右の形の外は、縦古き物、又は唐物たりと雲共難用之、芋子の類強ちに不用、右の内たりと雲共、猶又恰合に因て善惡有べし、先第一に鈍遅お嫌ふ、新物の内にも用らるヽ道具有べし、心得肝要也、一蓋之事、面白玉堂と雲あり、是は肩衝に用、大茶盛に面白、小茶盛に玉堂お用、落込蓋と雲有、二三六七八九番の六つに用之、瓶子づくと雲は、四五番に用、勢の長大なるには栄螺蓋お用、同矮少なるに瓶子づくお用ゆ、飯銅には象牙の平蓋、中お銀の金物にて鉸具にする也、蓋の取やうに伝あり、棗肩衝に面白お用る事有、猶恰合に因て也、一棗之事、大中小、一服入、此四つあり、寸法の取やう有て本図お知、奈良茶桶と雲あり、町棗と雲有、正親町上皇へ檠げたるには、蓋の上に金粉お以て陰の菊と桐お蒔絵にす、右此分お袋に入る、袋に入分は、必ず蓋お茶盌に並べ置也、
一茶桶之事、面茶桶、雪吹、中継、大小極の挽溜、詰の碾溜、薬器二つ、此分お茶桶と雲て用ゆ、此内菊花の薬器と雲あり、是は取上る時押傾け、底へ指お入て執なり、桜花も如此、是外に茶桶多しと雲共不角、各薄茶お盛て小座敷へ用ゆ、猶袋なし、挽溜は勝手の具也、総じて茶桶の類は、蓋お人と盌との間に可置、各形寸式あり、如此しら其類多き事、茶碗の恰合に因て用ゆるが為也、盌の縁そりたらば、蓋に面有お可用、上下直なる椀に帥、上下に面あるお用べし、上下窄りたる盌には、上下直なる茶桶、上窄りなる盌には、上の豊らみたる薬器お用也、