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退閑雑記後編

茶せんつくるは、まづその長さに竹きり、穂になすべきところの皮おうすくけ、づり、ろくろにかけて竹のなかおけづり、至てうすく成たるとき、小刀にて八十たも六十にもわり、またそれおふたつにわるとき、小刀にて一つ〳〵内と外へきめて割にぞ、内なるは蘂の如く、そとなるは花の如くになるなり、それお糸にてあみてのち、穂のかたちにえりたる木おあてゝ、糸にてしかとくゝり、湯につけてのち水へいるれば、穂のかたち定り侍るなり、