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南方錄

蓋置
穂屋
天子四方拝の時、用玉ふ香炉といへり、さまによりて蓋置に用る時も、殊外賞玩の一つ物なり、草菴に用たる例なし、袋棚以上に用、手前の時、賞玩の置所等秘事口伝、
印 夜学
印の文字よむやうにして柄杓のえに付てよし、生類抔も同前也、能阿弥已来、臨済禅師の印お蓋置にて用れしなり、是名物也、手前時賞玩置所、穂屋同前と心得べし、印は草菴にも用ゆ、夜学はならさま〴〵あり、夜学の獅子、東山殿〈○足利義政〉御物名物なり、
火卓
爪お上にしても、又は下にしても用、火卓掛の炉、又は風炉に相応せず、釣釜によし、引切
竹の目客つきに向べからず、印の文字にて料簡すべし、総而置合せたる道具、其外取さばき等、替替我身に対する事なり、引切の大さ釜の蓋に応ずべし、高さも同前、