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茶道筌蹄

水遣之部
水桶 利休形、杉に檜の割蓋、
水壺 和漢宜しき品お仮用ゆ掻器 水漉 二品とも杉曲〓〈○〓恐物誤〉
三つ入茶通箱 桐蓋のしやくり、二方にあるは利休形、四方にあるは元伯好也、
茶巾洗 利休形杉の曲、金は千家所持砂張写しなり、焼物染付等も用ゆ、
薬鑵 和漢とも形宜敷古き物お用ゆ、腰黒の薬鑵も利休形にあらず、是野薬鑵お仮用ひられし也、
片口 大中小利休形也、中は裏に用ゆ、大小は表に用ゆ、釜へ水お加ふるときは、小はふた置お用ひず、大は蓋置お用ゆ、〈○図略〉
夫口 好なし、元来水遣の具にて、釜仕懸の節に、釜へ水お入れ、水さしへ水お入るゝ器也、水指に用ゆるは如心斎より始る、むかしの切立歟、
釜居 利休形、両面杉
釜洗 椶はりがね巻
拭巾 麻布長〈さ〉一尺二寸横布巾、端ぬい、
雑巾 寸法同様、木綿なり、
手拭 晒木綿長〈さ〉一尺五寸、端ぬい乳上より三寸下〈げ〉、
右三品の寸法、了々斎より定る、何れも鯨ざし、〈○中略〉
箱炭斗 利休形は桑、元来勝手道具也、老人詫者は平生に持てもよろし、つかみ結、つぼ羽十五枚、〈左右なきおつぼ羽といふ〉いづれの勝手にても用ゆる為也、
板釜置 利休形、釜おあげるとき角違ひに用ゆ、
炭斗の内、羽根は釜に添ふ、釜置は打かへし、風呂の時は鉄張火箸、炉は桑柄、
茶はき箱 利休形、桐の二重廻〈り〉さん、茶の革紐、内に茶合と二重茶漏斗と、銀の茶杓とお入るゝ茶合は挽茶一人前九分の積りにて、三人前二匁七分入るゝ器也、茶漏斗、大は桜、小は柊、茶杓は銀にて桑柄、菊置上〈げ〉薬籠ぶた、革紐は宗全好なり、
茶篩 利休形、桜木地、
挽溜 むかしは唐物大海お用ひたれども、土の物にては茶入お損じやせんと、利休大茶桶一対に薄茶お貯ふ、其後元伯極詰の字お甲に朱書して濃茶お分つ、〈濃茶入甲に極の字あり、薄茶入甲に詰の字あり、今千家に有之、〉
挽溜茶桶箱 桐薬籠ぶた、元伯好、桐さん蓋は原叟好、桐木地真溜薬籠ぶたは織部好、〈○中略〉
火吹竹 利休形、さび竹節二〈つ〉、
台十能 利休形、鉄台柄桑、
炭切溜 檜十文字足
炭箸 杉の八角
炭割 鉄のなた、檜の柄、
掃込 白鳥は右の片羽、鴻はもろ羽、両様とも客の前にて用ゆ、但し白鳥は老人僧体の者、鴻は上下著用の者よろし、
座掃 鴻の片羽、勝手物なり、客の前にては不用、中立〈に〉用ゆ、
塵取 利休形、桐裏に竹のはしばみ入る、
懸灯台 利休形、楽の二枚土器、小の方お用ゆ、総じて灯火に添る楊枝は、坐の内はくろもじ、庭は杉と覚ゆべし、