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槐記
享保十三年九月十四日、参候、宗和の説に、何にても形お利休々々と雲へども、利休の形の今用ひられぬものあり、強て用るは通屈なしと雲べし、今の世の湯盆の形など、古へ利休のときはさぞあらん今にては全く鷹のおとし盆の形に少しも違はず、それ故京大坂の道具屋に、美お尽したる恰好の湯盆は、多く鷹のおとし盆也、若し左にあらずとも、其嫌あれば、其の形はさくべきこと也、故に宗和の形は、どちらへどうこけても、おとし盆の形に似ぬやうに製せられしと也、猶なること也と仰〈○近衛家熙〉らる、