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煎茶仕用集

蔵茶
宋蔡襄茶錄曰、茶宜蒻葉、而畏香薬、喜温燥、而忍湿冷、故収蔵之家、以蒻葉封裏入焙中、両三日一次用火、常如人体温温、則御湿潤、若火多則茶焦不可食、
もろこし茶おおさめたくはふことかくのごとし、此土の法は古今これに異なり、たゞよろしき磁甕、或は錫の壺お用て、口およく覆て湿なき所におくによろし、蔡氏が法に必かゝはらざれ、
臭許次預茶疏曰、収蔵宜用磁甕大容一二十斤、四囲厚箬中則貯茶、須極燥極新、専供此事、久乃愈佳、不必歳易茶、須築実、仍用厚箬、塡緊甕口、再加以箬、以真皮紙包之、以苧麻緊札、圧以大新磚、勿令微風得入、可以接新、
許氏が説大ていよし、人に近き処に置は、時々かへりみるによし、又人に近ければ温にして湿少しといへり、陸氏よりこのかた、吾朝にも厚紙のふくろに茶お入るなり、茶疏には畏紙と雲、紙は水中においてなるにより、水気ありて湿おふくむといへり、猶なる事なり、
古郵羅廩茶解曰、凡貯茶之器、始終貯茶、不得移為佗用、 岩栖幽事曰、茶見日而味奪、墨見日而色灰、此二説もしらずんばあるべからず、因て合せ記す、