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煎茶仕用集

湯候
茶お嗜む人、湯候おしらずんばあるべからず、点茶家者流には、みだりに湯お老煉するおよしとす、是何の益ぞや、余〈○大枝流芳〉したしく試に、湯久しく煎ばおもくなりて、生気お失ふて毒となる、養生家に、久しぐ煮たる湯にて面お洗時は光沢おうしなふといへり、是にても其一つならざる事しるべし、況や何程ふるき釜にても、久しく煮ば鉄気出て悪し、老湯は害ありて益なき事察すべし、