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清風瑣言

湯候
湯は甘泉清流お択び、法お以て煮るべし、茶経に老湯三沸の法お立、其候、始は茶瓶茶壺いづれにても先微々の音お出す、蟹眼魚眼散布等の序次有、中間には、四辺泉の涌が如く、珠お連ぬるに似、終は騰波鼓浪、こゝにいたりて水の性消、是茶お煮べき節也、是お過れば湯の性却りて鈍く、茶韻不興、茶譜には、其音お聴て候ふべし、初振驟の三音過て、無声にいたり茶お享ると見えたり、蘇廙の十六湯品に、湯者茶之司命也、湯濫りなれば、上品の茶も凡種となれると雲り、