[p.0794]
煎茶仕用集

庵茶
茶経曰、有粗茶、散茶、末茶、餅茶者、乃研、乃熬、乃煬、乃舂、貯於瓶缶之中、以湯沃焉、謂之庵茶、
五雑俎曰、古、時之茶、曰煮、曰享、曰煎、須湯如蟹眼、茶味方中、今之茶、惟用沸湯投之、稍着火即色黄而味渋、不中飲矣、乃知古今之法、亦自不同也、
此二条とも、こゝに雲だし茶也、茶経すでにだし茶お雲ば、謝氏が論のごとく、古になしとは雲がたし、是茶お沸湯の中に入て、火お以て煮ず、香気の発するお待て飲、世俗に雲、隠元禅師始て日本に此法お伝ふと雲り、本邦の茶は、だし茶によろしからず、舶来のものおよしとす、武夷山の茶まれに渡来す、得がたし、其香蘭に似り、茶少し焙して後、洗て瓶に入れ沸湯お入る、また洗はずしてもよし、渡来の茶、風味和品と異にして、又賞すべし、