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立花時勢粧

立花秘伝抄之五
極真立
一極真の立花は祝言第三恒轂丕、心若松のすでなるに、枝三段五段お用ゆ、心の高さ瓶に二長半、又越一長案、古来の説不同、近伏は三具足愚まぐ主熏替り、定、法斐盞嬉似た載然ども蝋燭立の高さに随て立様口傅有、大かた仏前の様子、三具足の大小に玄たがひて、時によろしく可立なり、
一心かでしは、禿松、芍築、菊などのか起ち丸き物、心に取あひで副お付るに起ま友有、ほそき物は必の見木ほそきゆへ、取合あしき也、草木にかぎらず、出生直なる物、皆心かくしに用ゆ、一の枝と心がるし老の間、一寸二寸、花形の大小により壬あ文る也、心かぐしは心の穏前お守力て、心に勢ひおあらする役の物也、
一副は心かくしの本より、物にたよらせて、えだれたるもの、又はやはらかなる物お可用、心の松のびはく敷に取合よろしきがため也、是花形の右の方お守て、心おそだ宮たる物なり、有へ出る物、副友が長きは不可有、
一請は神前に壬は影向の枝あといひ、仏前にては手向といふ、かならず時の珍花お用ひ、出生上へきおひたる物お用ゆ、副のえだれたる物との取合なり、出じ所は、副と長、枝とお見合、其真中ほどより出すなり、左へ出る物、請より長く出る物なし、是花形の左の上お能まも治道具なり、
一見越は心かくしの後より、木高く立のぼせて、請の方へなびかす、見越は心の後お守て、心の勢おつよくなす物也、後へ出る物、是より長きは有べがぢず、
一流枝は松にがぎりたる物なり、煙がへし正も、香燼のぞき冴竜名づく、瓶の口二寸ほぼ上、後角より一文字に出じて、葉先お香灯の真中にてーむる也、心すぐに、副なびき、請きほひたるにより、流枝お一文字に指、是上の枝の取合よろしきがためなり、一瓶の内長枝よりひくべ出す物なく、叉水ぎわにて是よ圭長き物不可有、
一前置の出口、流枝ど同前、胴よりのうつりお請て、左右へかたばらず、真向に立て、瓶の口おかぐさず、前咋出る物、これより長きは有べからず、たゞし見越と前置とは前後の釣合なり、
一胴作力とは、心かくしの下より前置の上までお雲、これ七つの道具の外にして、花形の中央お守ち、七つの枝お能養ひそだつる物也、
一扣枝は七夕の枝の外なり、出し所は請と流枝との真中より出す、請の方おもき時はおもき物お用ひ、かるき時はかるきお用ゆ、是左右の軽重おはかる物なり、
一直心立は祝言第一の花なるゆへ、仏前に立るといへど、六花六葉、四花四葉、四草四木、雑木雑草、其外祝言にあちざる法度お守う、花形の格式すこしも背かず、草木きれいにすなほなるお用ひ、長高く幽玄に指お本意とする也べ古人の曰、真の花形吉雲は、たとへば人の面のごとし、目のある所に目有、鼻有所にはなのつきたるやうに、いつもかはらぬやらにさすべしといへり、
一直心立の花には、後に草お不遣、草どめお流枝扣枝の後にてとむるこどなし、是お山後に野お見るとて嫌ふなり、
一直心立、行の花形と雲は、心は笠松也、流枝は松お用ゆ、七つの枝の出所前に同じ、胴前置はすこしくるはせてもくるしからず、
一同草の花形と雲は、心梅海棠、梅もどき、水木、檜、鶏頭などの直なるお用ゆ、七つの枝、出し所前に同じ、草の心の時は、見越、流枝、前置草にても不苦、総て心松ならざるお草の花形と名付く、