[p.0855]
東山流花の近道

活様草木とも長短によらず、豎なる物は前に活、横なる物はうしろより出る、左右とも花器の端へもたせつかふなり、横へ出る草木前へつかふ事は、水際十文字切れと雲て嫌ふなり、みじかき枝、花器の底へ届かざれば形出来ず、やどり木と雲て、外の枝の小口お割て、短きみきおはさみ活るなり、花の花器へ入れて、端と底とにて持せ、居り兼て廻るならば、其枝の面うらお見定め、馴染よく居る所にて活べし、滑口伝有、習て知べし、花よく居りて後に、花押へ花留とて、其花の軸か又外の枝など花器の中に張り、其花の形乱ざるよふにするなり、初学の人、花留お先へ入て、それお便りに花おもたせる人有、大きに非なるべし、花活仕廻、其儘置きても宜しけれど、物の響、風に乱ざるため、花おさへお入置なり、故にいさ、か花押へにて、おし付けひしぎ付したる事さらになし、〈○中略〉
一活口は、花器の口お十文字に割て、四け所の活口お定む、図お以て知るべし、〈○図略〉