貞治二年御鞠記
辰の時に〈○貞治二年玉月十一日〉為遠朝臣参りて御装束拵、御殿の東西〈讃定夙向御鞠懸〉五間に御簾おかけわたしてこれおたる、南の三四間の前の簀子お切さげて繧繝の帖一軸お供して御座とす、東の庭の南の砌に、南北へ小文畳一帖お敷て、前関白の座とす其末に東西へ同畳二帖おえきて、見証の公卿の座とす、東の庭の北の砌に立蔀にそへて、小文畳お南北へしきて関白の座とす、その末に東西へおなじき畳四五帖おえきて、鞠足の公卿の座とす、そのすえに円座十枚ばかりおしきて、おなじき殿上人の座とす、東の渡殿の下の西の砌に円座おしきて、賀茂の輩の座とす、小御所対のやに御簾おかけらる、便宜の女房など、かいはみ侍所にや、