天部/雹

p.0245 雹ハ舊クアラレト云ヒ、後ニヒヤウト云フ、霰ノ夏月ニ降ルモノナリ、

名稱

〔新撰字鏡〕

〈雨〉

p.0245 雹 〈同波角反　霂也、志久禮、又阿良禮、〉

〔倭名類聚抄〕

〈一風雪〉

p.0245 雹　陸詞云、雹雨冰也、補角反、〈和名安良禮〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈一風雨〉

p.0246 按、日本紀、散字訓二安良久一、稷雪降即迸散、故名二阿良禮一、〈◯中略〉按、説文、雹雨氷也、陸氏蓋依レ此、又按、釋名、雹跑也、其所レ中物皆摧折、如三人所二蹴跑一也、陸佃埤雅、雹形似二半珠一、唐律釋文、春夏暴下下如二雞子一者上名曰レ雹、合二諸書一攷レ之、雹夏月所レ降、今俗呼二比也宇一者是也、〈◯中略〉阿良禮者以二冬月一降、不下與二雹之夏月降一同上、故萬葉集云、阿良禮布利板間吹風寒夜爾、又云、霜上爾安良禮多婆之里、又十二月雪阿良禮數降、見二源氏物語一、今時呼二阿良禮一者亦爾、釋名、霰、星也、水雪相搏、如レ星而散也、説文、霰、稷雪也、埤雅、閩俗謂二之米雪一、言二其霰粒如一レ米、是當三以レ霰充二阿良禮一也、◯按ズルニ、雹ヲ舊ク、ヒサメトモ、ヒフルトモ訓ゼシ説ハ、雨篇大雨條ニ在リ、參看スベシ、

〔類聚名義抄〕

〈七雨〉

p.0246 雹〈歩角反アラレ〉　 〈或〉雹 䨔 〈俗〉　䨐〈音洛、アラレ、〉

〔改正月令博物筌〕

〈十一月〉

p.0246 雹(あられ)〈凡雹は皆冬の陽をあやまり、夏の陰に伏するなり、〉

〔和漢三才圖會〕

〈三天象〉

p.0246 雹(ひやう)〈音薄〉　〈俗云比也宇、如レ用二氷字音一乎、〉　五雜組云、雹似二霰之大者一、但霰寒而雹不レ寒、霰難レ晴而雹易レ晴如二驟雨一、然雹下之地、禾 經レ年不レ生、雹多降二于夏日一、雹中有二砂土一、雹中虚以二其激結之驟一包二氣于中一也、〈◯中略〉　日本北地夏月雹降亦間有レ之、而大如二蓮芡子等一者爲レ常焉、畿内中和之地、雹希而十年一無レ見レ之、然元祿十五年、〈五月十六日申刻〉驟雨有レ雷、黒雲迅速雨レ雹、始二于攝陽一經二河州一終二和州國分一、自レ乾至レ巽斜也、其間六七里、横不レ過二一里一、其大者有レ稜、如二瓦片一如二鷄卵一、小者如二蓮芡一、中レ之人創レ頭、屋破レ瓦、而一時而晴、蓋此起二於不順之氣一也、若下北宋熙寧中河州雨レ雹、如二人頭一耳目口鼻皆具、無レ異二鐫刻一者上、非常之怪雹不レ堪レ論、

降雹

〔日本書紀〕

〈二十二推古〉

p.0246 三十六年四月辛卯、雹零、大如二桃子一、　壬辰、雹零、大如二李子一、

〔日本書紀〕

〈二十四皇極〉

p.0246 二年二月乙巳、雹傷二草木華葉一、　四月己亥、西風而雹、天寒人著二綿袍三領一、　甲辰、近江國言、雹下、其大徑一寸、

〔續日本紀〕

〈三十三光仁〉

p.0246 寶龜六年七月庚戌、雨レ雹、大者如二基石一、

〔續日本紀〕

〈三十四光仁〉

p.0246 寶龜八年四月丙戌、雨レ雹、

〔日本紀略〕

〈桓武〉

p.0247 延暦十九年四月辛卯、和泉國雨レ雹、大如二桃李一、

〔續日本後紀〕

〈十仁明〉

p.0247 承和八年七月癸未、震二于大極殿東樓南角柱一、雨レ雹、大如二碁子一、

〔文徳實録〕

〈一〉

p.0247 嘉祥三年五月癸卯、雨レ雹、大如二鴨卵一、

〔三代實録〕

〈二十三清和〉

p.0247 貞觀十五年五月三日丙寅、雷電雨レ雹、其大如二雞子一、或如二梅實一、　五日戊辰、神祇官陰陽寮言、雨雹之恠、賀茂松尾等神成レ祟、於レ是遣二使社頭一、奉二幣并走馬一、以謝二神怒一、其走馬賀茂御祖別雷兩社各十匹、松尾五匹、並裝二飾人馬一、足レ悦二神明一、告文曰、云云、從五位下行伊勢介良岑朝臣晨茂〈乎〉差使〈天〉奉レ出〈須、〉　九日壬申、遣二使於賀茂神社一奉幣、申二謝雨雹之咎徴一、告文曰、始レ自二今月二十日一〈天、〉一萬卷〈乃〉金剛般若經令レ奉レ讀〈无止須、〉仍參議正四位下行左大辨兼勘解由長官近江權守大江朝臣音人〈乎〉差使〈天〉云々、

〔三代實録〕

〈四十五光孝〉

p.0247 元慶八年四月五日乙未、自レ辰降レ雨、至レ申雷電雨レ雹、　九日己亥、申時雷電雨レ雹、摧二傷草木之葉一、占曰、凡雹者、冬之過陽、夏之伏陰也、過陽冬温、伏陰夏寒矣、

〔日本紀略〕

〈一醍醐〉

p.0247 延喜六年四月某日、雷雨、午刻風雨暴起雹降、其大如二梅實一、

〔日本紀略〕

〈十二三條〉

p.0247 長和二年三月廿九日庚申、今日未刻、雷鳴氷降、大如二梅李一、

〔扶桑略記〕

〈二十九後冷泉〉

p.0247 康平七年四月十九日、未刻天陰、暴風雷雨、氷雹交降、大如二梅李一、牛馬駭走、數刻不レ銷、　廿三日軒廊御卜、雨雹之異也、　八年〈◯治暦元年〉六月廿四日、大和國十市高市兩境、雨雹并氷降、徑寸餘、

〔大神宮諸雜事記〕

〈二〉

p.0247 治暦二年五月十三日丙申、氷降〈天〉雷電振動〈シ天、〉四方如二暗夜一〈シ天、〉午時〈ヨリ〉迄二于未時一、大柑子許〈ノ〉氷降〈天、〉牛馬犬人中走迷、田夫殖女衣服笠被二打破一、大小鳥飛落〈天〉被二打殺一之事等、有二宮司上奏一畢、

〔百練抄〕

〈四後冷泉〉

p.0247 治暦二年五月十三日、大神宮雹雨、大如二鷄卵一、〈◯又見二扶桑略記一〉

〔本朝世紀〕

p.0248 康治元年五月廿八日庚申、申刻雨雹、形如二梅實一、久安五年六月廿一日辛未、申刻雷、大雹交降、如二小梅子一、數刻不レ消在レ地、甚爲レ奇、

〔吾妻鏡〕

〈五十二〉

p.0248 文永二年正月廿日庚寅、雷雨、電光耀レ天、降レ雹動レ地也、　三年三月五日戊戌、天晴、陰、小雨降、午刻雷鳴自二南方一亘レ北、降レ雹大如レ李、其後晴天、酉刻又雷鳴數聲凡無レ時、占文之趣甚不快云云、春雹下、大兵起、五穀不レ熟、人民餓死云云、但戊巳雷鳴有レ吉文之由、有二宥申之輩一、

〔當代記〕

p.0248 慶長十四年三月朔日、駿河氷降、此日關東下總國笠井氷降テ、家十七八間破損、雷夥啼、右家之中一屋之人悉取テ、其日ニ關宿之杉ノ木ニ掛ケル、　廿五日、下野國宇都宮領那須領氷降テ、雁、鴨、青鷺、鶉、雲雀、已下諸鳥多死、一郷ニテ雁十二拾三所モアリ、他所ハ此氷一圓不レ降、

〔窻の須佐美〕

〈三〉

p.0248 寛延三年四月の末、晴天なりし申刻ばかりにや、東北に黒雲深く雪も少々ふりて、白雨つよく氷のふる事、雪のごとく二尺ばかりつもりけり、氷重さ大なるは廿八匁ありしとぞ、御城廻りより、東地屋根の瓦を碎き堀をくづし、腰板など砲子の玉の打たる如く、ふかき跡附しとぞ、烏燕雀など多く損じけるとぞ、本所邊猶強く家のくづれたるも多かりしとなり、芝青山の邊は、一旦夕だち立たるばかりなり、氷のふることはとき〴〵あれども、かヽる事は終に聞ず、是につきて四五日前、秩父山より初て、川越の城三吉野の里といふあたり、大なる氷降て をこと〴〵くに、打つぶしけるとぞ、