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橘庵漫筆
二編三
本朝粽と称するものは、茅萱お以巻し故、ちまきの名あり、根元は和州箸中の郷より〓粽(あめちまき)と雲ものお初て制すといえり、今は其辺にも其形だに見し人もなし、却而京師烏丸の川端道喜の家伝とし彼家にあり、茅萱にて今の藁〓といえるものゝ形のごとし、跡先お括りたるものなり、故交止焼の壺の生花お〓茅巻といえるは、形の似たる故なり、笹ちまき、菰茅巻なども重言のやうなれど、例の本朝質実の名なれば、茅巻の名お以て咎べからず、改易く物の障りにならざるは、改むるもよき歟、