大鏡
二/左大臣時平
右大臣〈○菅原道真〉の御ためによからぬ事いできて、昌泰四年正月廿九日、太宰権帥になしたてまつりてながされ給ふ、〈○中略〉かのつくしにて、九月九日菊花お御らんじけるついでに、又京におはしましゝ時、九月のこよひ内裏にて菊のえんありしに、このおとゞつくらしめ給へりける詩お、みかど〈○醍醐〉かしこぐかんじたまひて、御衣たまはり給へりしお、つくしまでくだらしめ給へりければ、御らんずるにいとゞそのおりおぼしめしいでゝ、つくらせ給ひける、
去年今夜侍清凉 秋思詩篇独断腸 恩賜御衣今在此 捧持毎日拝余香
この詩いとかしこく、人々かんじ申されき、
去年今夜侍清凉 秋思詩篇独断腸 恩賜御衣今在此 捧持毎日拝余香
この詩いとかしこく、人々かんじ申されき、