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貞丈雑記
七/酒盃
一今時盃に用るかわらけに、内ぐもりとて、土器の内お黒く三つ星の様に、やきたる土器あり、内くもりといふ名は、旧記に見及ばず、古はなき物なるべし、くもるといふ事は、祝儀などにはいむべき名也、又内くもりとは、うつくしくはだおみがきたる物也、これおはだよしといふ、古ははだおみがく事はなし、さればかわらけのひねりどめお、前へむけて酒のむ事、出陣にはいむ由旧記にあり、是みがゝぬ土器お用たる証拠也、みがきたるにはひねりどめなし、