剪花翁伝
前編四/八月開花
萩 糸はぎ、花赤色、形小く、枝垂る也、白はぎあり、宮城野、花の色赤し、形ち少し、矢筈、又めどはぎともいひ、又雀はぎともいふ、色白し、高さ四尺許にも及ぶ、開花八月上旬也、方地土撰ばず、肥大便寒中に入べし移分株冬より春彼岸迄よし、升水は灰汁にて煮るべし、又上酢にて煮れば愈よし、又方本口お沸湯に〓入、此湯さむれば沸湯と仕替〓入、如是に三度も沸湯に替て後、冷水にとくと漬、よく水上たる時用ふべし、又方薄き筵お覆ひ、此上より沸湯お澆ぎかけ、しばらくして、冷水に漬おきて後〓べし、