[p.0983][p.0984]
禰津松鴎軒記
一さほ姫の鷹といふこと、山の神のたかと雲也、さほ姫吃は霞のことお雲也、〈○中略〉とかへりの鷹とは、春の鷹のかへるおとりたるお雲也、あとにかへる心也、其ゆえは諸烏ともに南に行、多おおく力て春かへる其利也、一野わたりの鷹十月也、是も南へ行お取たる鷹の事也、遠まはりの鷹のこと、集おかけべき前に、巣有所お尋て廻る也、それお取たるたかの事也、
一野ざれの鷹の事、日々野かずおふませたる鷹おいふ也、山野にて日おへて、こがれに取たるたかおも、野ざれと雲也、
一巣枯の鷹と雲事、巣おおそくおろしたる鷹お雲也、又たゞ一有たかお雲共有、〈○中略〉一雪すりのたかと雲事、雪野にてあまたよりあひて、雪にすれたるお雲也、叉山帰たかおも雲也、
○按ずるに、鷹の名称は、動物部鳥篇に詳なり、参看すべし、