https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0953 人ノ起居動靜ニ關スル事ヲ牧載シテ、名ケテ動作篇トス、而シテ拜、揖、跪、蹲、平伏、膝行等ノ事ハ、禮式部敬禮篇ニ載セ、舞、踊ノ事ハ樂舞部ニ、水練ノ事ハ武技部ニ、各〻其篇ヲ設ケタレバ、宜シク參照スベシ、

名稱

〔類聚名義抄〕

〈八/力〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0953 擧動フルマヒ(○○○○)

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0953 周旋(フルマヒ) 擧動(同) 擧止(同) 行迹(同)

〔遊仙窟〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0953 自然能擧止(フルマフ)、〈行坐風流也、舉謂動也、止息也、住也、〉

〔倭訓栞〕

〈前編二十六/不〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0953 ふるまひ 遊仙窟に擧止、日本紀に進止をよめり、振舞の義也、よて文選にhttps://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01255.gif 翔をよみ、或は翔字をもよめり、訯字は韵書に考へ得ず、

〔貞丈雜記〕

〈十五/言語〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0953 一ふるまひと云は、振舞とも擧動とも書也、人の身のふりまはしを云也、然るに客人などに食物を食はするを、ふるまひと云はあやまり也、

〔日本書紀〕

〈十三/安康〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0953 四十二年〈○允恭〉十二月、大泊瀨皇子〈○雄略〉欲瑞齒別天皇〈○反正〉之女等、〈女名不諸記〉於是皇女等對曰、君王恒暴强也、〈○中略〉若威儀(フルマイ)言語如毫毛、不王意豈爲親乎、

〔日本書紀〕

〈二十二/推古〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0953 豐御食炊屋姫天皇、〈○推古、中略、〉姿色端麗、進止(ミフルマヒ)軌制、

〔源氏物語〕

〈二/帚木〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0953 もとのねざしいやしからぬが、やすらかに身をもてなし、ふるまひたる、いとかは らかなりや、

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 擧動(タチフルマヒ/○○)〈白文集〉 擧止(同)

〔倭訓栞〕

〈中編十三/多〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 たちふるまひ 長恨歌の擧止をよめり、たちいふるまひともいへり、起居擧動の意也、又立舞振舞といふも、體源抄にみゆ、

〔竹馬抄〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 一人の立振舞べきやうにて、品の程も心の底も見ゆるなれば、人めなき所にても、垣壁を目鵬心得て、うちとくまじきなり、〈○下略〉

〔枕草子〕

〈九〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 つぎの間に、ながすびつに、まなくゐたる人々、〈○中略〉御ふみとうつぎ、たちゐふるまふさ(○○○○○○○○)ま(○)など、つゝましげならず、物いひえわらふ、

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 行住坐臥(ギヤウヂウザグハ)〈要覽、經律中皆以行住坐臥四威儀、〉 起居動靜(キキヨドウジヤウ)

〔倭訓栞〕

〈中編二十五/美〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 みぶり(○○○) 容儀をいふ、身のふりなり、

〔俚言集覽〕

〈比〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 人のふり(○○○○)見て我ふりなほせ 論語、見賢思齊焉、見不賢而討自省也、

〔倭訓栞〕

〈中編十五/都〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 つまはづれ(○○○○○) 爪端の義、擧動に就ていへり、俗語なり、

〔類聚名義抄〕

〈一/走〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 起〈音豈 オコス(○○○)オク(○○)〉

〔倭訓栞〕

〈前編四十五/於〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 おく〈○中略〉 起をよめり

〔古事記〕

〈中/垂仁〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 故天皇不其之謀而、枕其后之御膝、爲御寢坐也、爾其后以紐小刀、爲其天皇之御頸、三度學而、不哀情、不頸而泣涙、落溢於御面、乃天皇驚起、問其后曰、〈○下略〉

〔日本靈異記〕

〈中〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 極窮女於尺迦丈六佛福分奇表以現得大福緣第廿八
聖武天皇世、奈羅京大安寺之西里有一女人、〈○中略〉罷家而寐、明日起見于門椅所錢四貫、〈○下略〉

〔伊勢物語〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0954 むかし男有けり、ならの京ははなれ、此京は人の家まださだまらざりけるときに、西の京に女ありけり、〈○中略〉それをかのまめ男、うち物か72らひて、かへりきていかゞ思ひけん、時は やよひのついたち、雨そぼぶるにやりける、
おきもせずねもせで夜を明しては春のものとてながめくらしつ

〔源氏物語〕

〈二/帚木〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0955 君はとけてもねちれ給はず、〈○中略〉やをらおきてたちぎゝ給へば、〈○下略〉

〔古今和歌集〕

〈十一/戀〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0955 題しらず よみ人しらず
つれもなき人をやねたく白露のおくとはなげきぬとは忍ばん

〔小大君集〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0955 正月一日のことなるべし
いかにねてをくるあしたにいふことぞ昨日をこぞとけふをことしと

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0955 夙興(ツトニヲキ/○○)夜寢(ヨハニイヌル)〈毛詩〉

〔俚言集覽〕

〈阿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0955 朝起は七の德あり 明心賓鑑、景行錄云、觀朝夕之早晏可以識人家之興替、 傳家寶、早起三光、遲起三慌、

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0955 寐起(ネヲキ/○○)

〔枕草子〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0955 七月ばかりいみじくあつければ、よろづの所あけながら夜もあかすに、月のころは、ねおきて見いだすもいとおかし、

〔玉勝間〕

〈八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0955 おひなる(○○○○)およる
女の詞に、人のねたるがおくることを、おひなるといふ、伊勢などにては、おひるなる(○○○○○)といふ、あづまにて寢(ヌ)ることをおよるといふ、御晝なる御夜なるといふこと也、

〔類聚名物考〕

〈人事十二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0955 ひるなる
起る事なり、今關東の俗にはひんなる(○○○○)といふなり、思ふに寢たるまは夜のさまなるが、おくれば晝となるの意なるべし、古事記には、此如の字をみな奈須とよめり、如晝の意もあらんか、

〔甲子夜話〕

〈十四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0955 林曰、承應ノ頃ノ官ノ日記ニ、大君御目覺ノ刻限ヲ記シタルニ、云云卯時御晝成ト アリ、此頃マデハ、通用ノ俗語ニ、古言ノ殘リタルコト多シト見ユ、中右記歟、目覺ルコトヲ、晝成ト記セシト覺ヘタリ、今婦女ノ辭ニオヒンナルト云ハ、此轉語ナリ、〈○中略〉
靜曰、邯鄲ノ能ニ、盧生ガ邯鄲ノ里ニテ、旅宿セシ處ニ、仙枕アリテ、粟ノ一炊ノ間ニ、五十年ノ榮華ノ夢ヲ見テ覺ントスルトキ、狂言ノ ガ出テ云フ言葉ニ、イカニオ旅人、粟ノオダイガイデキ候、トウ〳〵オ晝成レヤト云ナリ、是モ古代ノ言葉ヲ傳ヘタリ、

〔九條殿遺誡〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0956 先起稱屬星名號七遍、〈微音○中略〉次取鏡見面、次見曆知日吉凶、次取楊枝西洗手次誦佛名、及買念蕁常所尊重神社次記昨日事、事多日々中可之次服粥、次梳頭、〈三箇日一度可之、日々不梳、○下略〉

〔めのとのさうし〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0956 あした、さのみよるからおきて、人づかひのきびしきもあしく候、又あまりあさいねひさしきも、きたなきものにて候、よきほどに御ひるなりて、御てうづさるていに御さたあり、〈○下略〉

〔身のかたみ〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0956 十一、朝おき(○○○)の事、さのみいかなる大人も、いたづらにあさふしして、おきあがりて、かほのゆくへもしらず、ほれまどひたるありさまみにくし、〈○下略〉

〔宗五大草紙〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0956 人の召仕れ候仁心得らるべき事
一若き人可心得事、朝には早くおきて、鬢をかき髮をゆひて、親の前へ出べし、

〔早雲寺殿廿一箇條〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0956 一朝はいかにもはやく起べし、遲く起ぬれば、召仕ふ者まで由斷しつかはれず、公私の用かくなり、はたしては必主君にみかぎられ申べしと、ふかくつゝしむべし、
一ゆふべには五ツ以前に寢しづまるべし、〈○中略〉寅の刻に起、行水拜みし、身の形儀をとゝのへ、其日の用所妻子家來の者共に申付、扨六ッ以前に出仕申べし、古語には子にふし寅に起よと候得ども、それは人により候、すべて寅に起て得分有べし、辰巳の刻迄臥ては、主君の出仕奉公もならず、又自分の用所をもかく、何の謂かあらん、日果むなしかるべし、

〔男子女子前訓〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0957 口敎
一朝おひになり候はゞ、手水をおんつかひなされ候て、まつ神樣を御拜みなさるべし、

〔孝義錄〕

〈二十一/陸奧〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0957 忠義者半助
半助は、〈○中略〉日ごとに朝とく起て水をあび、垢離とりて後につとめけり、

〔石田先生事蹟〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0957 平生朝は未明に起きたまひて、手洗し、戸を開き家内掃除し、袴羽織を著し給ひ、手洗し、あらたに燈をけんじ、先づ天照皇太神宮を拜し奉り、竃の神を拜し、故郷の氏神を拜し、大聖文宣王を拜し、彌陀、釋迦佛を拜し、師を拜し、先祖父母等を拜し、それより食にむかひて、一々頂戴し、食し終りて口すゝぎ、しばらく休息し講釋をはじめ給へり、

〔類聚名義抄〕

〈五/十〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0957 卧〈五貨反 フス和具ワ〉

〔易林本節用集〕

〈不/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0957 臥(フス)

〔日本書紀〕

〈一/神代〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0957 一書曰、〈○中略〉時伊弉册尊爲軻遇突智、所焦而終矣、其且終之聞、臥生(フシナガラ)土神埴山姫、及水神罔象女

〔日本書紀〕

〈二/神代〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0957 其矢落下則中天稚彦之胸上、于時天稚彦新嘗休臥(ネフセル/○○)之時也、

〔古今和歌集〕

〈三/夏〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0957 寬平御時、きさいのみやの歌合のうた、 きのつらゆき
夏の夜のふすかとすれば郭公鳴一こゑにあくるしのゝめ

〔枕草子〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0957 にくきもの
ねぶたしとおもひてふしたるに、蚊のほそこゑに名のりて、かほのもとにとびありくはかぜさへ、みのほどにあるこそいとにくけれ、

〔太平記〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0957 長崎新左衞門尉意見事附阿新殿事
阿新、〈○中略〉或夜雨風烈シク吹テ、番スル郎等共モ、皆遠侍ニ臥タリケレバ、〈○下略〉

〔倭訓栞〕

〈中編三/宇〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0958 うへぶし(○○○○) 著聞集に見ゆ、禁中に臥をいふ也、
○按ズルニ、上宿ノ事ハ、政治部上編宿直篇ニ其條アリ、參看スベシ、

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0958 横陳(ソヒブシ/○○)〈遊仙窟〉 副臥(同)〈河海抄〉

〔源氏物語〕

〈四/夕顔〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0958 おくのかたは、くらうものむつかしと、女は思たれば、はしのすだれをあげてそひふし給へり、

〔源氏物語〕

〈二/帚木〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0958 君はとけてもねられ給はず、いたづらぶし(○○○○○○)とおぼさるゝに、御めさめて、

〔類聚名物考〕

〈人事十二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0958 臥法(○○)
寢臥に内外敎の異なる有り、儒敷にては東首(○○)にして北面なり、論語に見えたり、佛敎にては北首(○○)にして西面なり、是を頭北西面ともいへり、是より僧徒はつねにこれにならふべきよし物に見えたり、仰向に臥を修羅臥(○○○)といひ、うつ伏に寢を餓鬼臥(○○○)といひ、左を下にして臥を貪欲人臥(○○○○)といひて、出家は右を下にして、寢ぬべしと有り、是を右脇臥(○○○)といふ、蘇悉地經、または法花珠林等の書にも出たり、

〔元亨釋書〕

〈一/傳智〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0958 釋最澄、〈○中略〉夏六月〈○弘仁十三年〉四日、於中道院右脇(○○)而寂、年五十六、

〔禁秘御抄〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0958 一淸凉殿〈○中略〉
夜御殿
四方有妻戸、南大妻戸一間也、帳同淸凉殿、〈東枕(○○)〉疊御座敷也、

〔侍中群要〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0958 上宿事
御夜御殿之後、隨女官吿、〈長女御廁人也〉參宿鬼間、仰殿司、以殿上疊件所、以履置殿司庇、臥時北枕(○○)若東枕也、

〔徒然草〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0958 夜のおとゞは東御枕なり、おほかた東を枕として、陽氣をうくべき故に、孔子も東首し 給へり、寢殿のしつらひ、或は南枕(○○)常の事也、白河院は北首に御寢なりけり、北はいむ事也、又伊勢は南なり、大神宮の御方を御跡にせさせ給ふ事、いかゞと人申けり、但大神宮の遙拜はたつみに向はせ給ふ、南にはあらず、

〔太平記〕

〈二十六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0959 楠正行最期事
楠兄弟差違へ、北枕(○○)ニ臥ケレバ、〈○下略〉

〔文德實錄〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0959 仁壽二年二月丙辰、散位從四位上和氣朝臣仲世卒、仲世〈○中略〉天性至孝、年十九爲文章生、大同元年、爲大學大允、奉公忠謹、毎寢臥、首向宮闕

〔先哲叢談後編〕

〈三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0959 越雲夢
雲夢雖事故、未嘗東首而就一レ寢、蓋不城方也、其家適有修造之事、雖城方、依正室便房板障被隔等不全具備、不東首、家婢置床東首曰、今夜依修造、常寢不便、僅一宵耳、爲如此、雲夢曰、三十年不東首就一レ寢、爲吾不君恩之大也、遂不聽、

〔拾芥抄〕

〈下本/諸敎誡〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0959 源信僧郡四十一箇起請
重禁制條々〈○中略〉
一亥子寅此三時可寢、自餘不眠、〈○中略〉
巳上四十一箇條、可眼精矣、

〔新撰字鏡〕

〈目〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0959 眲〈莫卑反、眠也、目合也、禰夫留、又伊奴、〉

〔類聚名義抄〕

〈七/宀〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0959 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01263.gif 〈寐俗通 彌臂反 フスイヌ和ミ〉 寐〈正俗https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01262.gif

〔同〕

〈七/穴〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0959 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01256.gif 〈人委反 又音淤 イヌオホトノコモル〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01257.gif 〈正〉
https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01258.gif https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01259.gif 〈俗〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01260.gif 〈イヌ フスネタリ〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01261.gif 〈俗寐字〉

〔運歩色葉集〕

〈奴〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0959 寢(ヌル/○) 寐(ヌル)

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0959 寢(イヌル/○) 寐(同) 寐(ヌル) 寢(同) 寐(ネル/○) 寢(同)

〔干祿字書〕

〈上聲〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01258.gif 寢上俗、下正、

〔同〕

〈去聲〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01260.gif https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01262.gif 寐上俗、中通、下正、

〔釋名〕

〈三/釋姿容〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960 寐謐也、靜謐無聲也、
寢權假臥之名也、寢侵也、侵損事功也、

〔倭訓栞〕

〈前編二十二/禰〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960 ね(○)〈○中略〉 寢をよむはぬと通ず、宿も同じ、〈○中略〉
ねる 寢(イ)ぬをねるともいへり、寐も同じ、

〔日本靈異記〕

〈中〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960 極窮女於尺迦丈六佛福分奇表以現得大福緣第廿八〈○中略〉
https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01262.gif 〈ネテ〉 寝〈如上〉

〔日本靈異記〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960雷緣第一
天皇〈○雄略〉盤余宮之時、天皇與https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01264.gif 大安殿、〈○中略〉
寐〈禰氐〉

〔八雲御抄〕

〈三下/人事〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960 寐 たび かり ひとり あち うたゝ ひる まろ おびとかぬたびねといへり

〔倭訓栞〕

〈中編二十五/美〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960 みねます 古事記に、御寢坐をよめり、今御寢なるといへり、

〔古事記〕

〈中/垂仁〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960 故天皇不其之謀而、枕其后之御膝、爲(ミ)御寢(ネマ)坐也(シキ)、

〔古事記〕

〈下/履中〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960 本坐難波宮之時、坐大嘗而、爲豐明之時、於大御酒宇良宜而、大御寢也(オホミネマシキ)、

〔日本書紀〕

〈一/神代〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960 一書曰、〈○中略〉時伊弉册尊曰、吾夫君尊何來之晩也、吾已飡泉之竈矣、雖然吾當寝息(ネヤスマン)、請勿視之、

〔古事記〕

〈中/神武〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960 後其伊須氣余理比賣〈○神武后〉參入宮内之時、天皇御歌曰、阿斯波良能(アシハラノ)、志祁去岐袁夜邇(シケコキヲヤニ)、須(ス)賀多多美(ガタヽミ)、伊夜佐夜斯岐氐(イヤサヤシキテ)、和賀布多理泥斯(ワガフタリネシ)、

〔源氏物語〕

〈二/帚木〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0960 まろうどはね給ぬるか、いかにちかゝらんとおもひつるを、されどけどをかりけ りといふ、ねたりけるこゑのしどけなき、いとよくにかよひたれば、いもうとときゝ給つ、

〔倭訓栞〕

〈前編二十一/奴〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0961 ぬ〈○中略〉 寢をぬといふは、ぬるの略也、〈○中略〉古今集に、ぬとはしのばんといひ、伊勢物語に、女うちなきてぬとてと見えたり、

〔萬葉集〕

〈一/雜歌〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0961 譽謝女王作歌
流經(ナガラフル)、妻吹風之(ツマフクカゼノ)、寒夜爾(サムキヨニ)、吾勢能君者(ワガセノキミハ)、獨香宿良武(ヒトリカヌラム)、

〔倭訓栞〕

〈前編二十一/奴〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0961 ぬる〈○中略〉 寢るをぬるといふは、ねるの轉也、

〔萬葉集〕

〈一/雜歌〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0961讃岐國安益郡時、軍王見山作歌、〈○中略〉
山越乃(ヤマゴシノ)、風乎時自見(カゼヲトキジミ)、寐夜不落(ヌルヨオチズ)、家在妹乎(ナルイモヲ)、懸而小竹櫃(カケテシヌビツ)、

〔倭訓栞〕

〈前編三/伊〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0961 いね(○○)〈○中略〉 日本紀、万葉集に、寐をよめり、口語にもいねのよきあしき、又正月詞に、寢るをいねつむ(○○○○)といふは、稻積の義也といへり、

〔萬葉集〕

〈四/相聞〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0961 笠女郎贈大伴宿禰、家持歌廿四首〈○中略〉
皆人乎(ミナヒトヲ)、宿與殿金者(ネヨトノカネハ)、打禮杼(ウツナレド)、君乎之念者(キミヲシオモヘバ)、寐不勝鴨(イネガテヌカモ)、

〔倭訓栞〕

〈中編二/伊〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0961 いぬる 寐をいとよみ、又ぬるとよめば、重ねいへる也

〔和字正濫抄〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0961 寢 い(○) 朝寢等

〔古事記〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0961 爾其沼河日賣未戸、自内歌曰、〈○中略〉麻多麻傳(マタマデ)、多麻傳佐斯麻岐(タマデサシマキ)、毛毛那賀爾(モヽナがニ)、伊波那佐牟(イハナサム)遠(ヲ)、〈○下略〉

〔古事記傳〕

〈十一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0961 伊波那佐牟遠(イハナサムヲ)は、寐者將(イハムナサ)宿にて、遠(ヲ)は毛能遠(モノヲ)と云意の辭なり、次なる須世理毘賣の御歌に、伊遠斯那世(イヲシナセ)ともあり、萬葉二〈四十二丁〉に、奧波(オキツナミ)、來依荒磯乎(キヨルアリソヲ)、色妙乃(シキタヘノ)、枕等卷而(マクラトマキテ)、奈世流君香聞(ナセルキミカモ)、〈世流は寐而有なり〉五〈八丁〉に、夜周伊斯奈佐農(ヤスイシナサヌ)〈安寐不宿なり、斯は助辭、〉十四〈二十一丁〉に、伊利伎氐奈佐禰(イリキテナナネ)〈入來而寐よなり〉十七〈三十二丁〉に、吾乎麻都等(ワヲマツト)、奈須良牟妹乎(ナスラムイモヲ)、〈奈須良牟は將寐なり〉十九〈十八丁〉に、安寢不令宿(ヤスイシナサズ)、君乎奈夜麻勢(キミヲナヤマセ)、また安宿(ヤスイシ) 勿令寢(ナスナ)、これらを合せて心得べし、寐(ヌ)てふ言は、那奴泥(ナヌネ)と活くなり、〈○註略〉又伊と云も、寐(ヌル)ことなるを、寐乎安宿(イヲヤスクヌル)、宿毛不寢(イモネヌ)など、重ねて云も常なり、

〔古事記〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0962 爾其后〈○須世理毘賣命〉取大御酒坏、立依指擧而歌曰、〈○中略〉阿夜加岐能(アヤカキノ)、布波夜賀斯多爾(フハヤガシタニ)、〈○中略〉麻多麻傳(マタマデ)、多麻傳佐斯麻岐(タマデサシマキ)、毛毛那賀邇(モモナガニ)、伊遠斯那世(イヲシナセ)、〈○下略〉

〔日本書紀〕

〈三/神武〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0962 戊午年六月、天皇道寐、忽然而寤之曰、予何長眠(ナカイ)若此乎、

〔萬葉集〕

〈一/雜歌〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0962 大行天皇幸于難波宮時歌
倭戀(ヤマトゴヒ)、寐之不所宿爾(イノネラレヌニ)、情無(コヽロナク)、此渚崎爾(コヽノスサキエ)、多津鳴倍思哉(タヅナクベシヤ)、

〔土佐日記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0962 廿日〈○承平五年正月、中略、〉夜はいもねず、はつかの夜の月いでにけり、

〔十訓抄〕

〈六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0962 藤原相如は粟田殿はかなく成給にけるを歎て、うちぬることもせられざりければ、夢ならで又もあふべき君ならばねられぬいをも歎かざらまし、とよみて程なく失にけり、

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0962 㦌(ネイル/○)熟睡也

〔名物六帖〕

〈人事四/體勢作用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0962 憨寢(ヨクネイル)〈同上(冷齊夜話)童僕憨寢再鼾〉 熟寐(ヨクネイル)〈柳宗元讀書詩、倦極更倒臥熟寐乃一蘇、〉 熟寢(ヨクネイル)〈通鑒宋順紀、伺帝熟寢、〉

〔日本書紀〕

〈十四/雄略〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0962 三年〈○安康〉八月、穴穗天皇〈○安康〉意將沐浴、幸子山宮、〈○中略〉旣而穴穗天皇枕皇后膝、晝醉眠臥、於是眉輪王伺其熟睡(トケテミネマセル)、而刺弑之、

〔枕草子〕

〈八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0962 うつくしきもの
おかしげなるちごのあからさまにいだきて、うつくしむほどに、かひつきてね入(○○)たるもらうたし、

〔早雲寺殿廿一箇條〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0962 一ゆふべには五ツ以前に寢しづまるべし、夜盜は必子丑の刻に忍び入者也、宵に無用の長雜談、子丑にねいり、家財をとられ損亡す、外聞しかるべからず、

〔日本書紀〕

〈十七/繼體〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0962 七年九月勾大兄皇子〈○安閑〉親聘春日皇女、〈○中略〉乃口唱曰、〈○中略〉矢自矩矢盧(シシクシロ)、宇魔伊禰(ウマイネ/○○○○) 矢度儞(シトニ)、〈○中略〉婆施稽矩謨(ハシケクモ)、伊麻娜以幡孺底(イマダイハズテ)、阿開儞啓梨倭蟻慕(アケニケリワギモ)、

〔萬葉集〕

〈十一/古今相聞往來歌正述心緖
人所寐(ヒトノヌル)、昧宿不寐(ウマイモネズテ)、早敷八四(ハシキヤシ)、公目尚(キミガメヲスラ)、欲嘆(ホシミナゲクカ)〉

〔狗猧集〕

〈六/冬〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0963 夜雪の心を
夜ふるをしらぬは雪やねいりばな(○○○○○)

〔倭訓栞〕

〈中編二/伊〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0963 いぎたなし(○○○○○) 寢ぎたなき也、ねごき(○○○)をいふ、

〔源氏物語〕

〈二/帚木〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0963 鳥もなきぬ、人々おき出て、いといぎたなかりけるよかな、御車ひきいでよなどいふなり、

〔攝津名所圖會〕

〈三/束生郡〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0963 難波村午頭天王綱引
毎歲正月十四日、産子の人は左右に分列して、大綱を爭ひ引て、其勝方其年福を得るといふ、さいつ頃、當國池田にも、此祭事ありて、十六七才ばかりなる角前髮の男、此綱引に出て、互に引爭ひ終りて、我宿に歸り、食もくはず、轉ながら寢て、起せども起ず、三日半續け寢(○○○○○○)にしたるといふ、

〔運歩色葉集〕

〈幾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0963 御寢(○○)

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0963 御寢成(ギヨシンナル/○○○)

〔類聚名物考〕

〈言語七〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0963 ごしんなる 爲御寢
音語なり、俗におしづまるといふことは同じくて、御鎭の意なり、

〔今昔物語〕

〈二十四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0963 藤原爲時作詩任越前守語第三十
今昔、藤原爲時ト云人有キ、〈○中略〉年ヲ隔テ直物被行ケル日、爲時博士ニハ非トモ、極テ文花有ル者ニテ、申文ヲ内侍ニ付テ奉リ上テケリ、〈○中略〉内侍此レヲ奉リ上ゲムト爲ルニ、天皇〈○一條〉ノ其ノ時ニ御寢ナリテ不御覽成ニケリ、

〔平家物語〕

〈六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0964 紅葉の事
あんげんの比ほひ、御かたたがひの行幸有しに、〈○中略〉いつも御ねざめがちにて、つや〳〵御しん(○○○)もならざりけり、

〔倭訓栞〕

〈中編三十/於〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0964 おしづまり(○○○○○) 日中行事に見ゆ、御寢をいふ也、

〔日中行事〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0964 御しづまりの程に、殿上の臺盤を校書殿のかべのもとに、よせかけさせて、たゝみよせて、をの〳〵ふしあへり、

〔源氏物語〕

〈二/帚木〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0964 ゑいすゝみて、みな人々すのこにふしつゝしづまりぬ、

〔倭訓栞〕

〈前編四十五/於〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0964 おほとのごもり(○○○○○○○) 伊勢物語、源氏に見ゆ、大殿隱の義、御寢をいふ也、韵會に、婦人稱寢曰宮、宮者隱蔽之言也といふに同じ、萬葉集に、大殿をつかへまつりて、殿ごもり、隱(コモリ)いませばと見ゆ、

〔類聚名物考〕

〈人事十二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0964 おほとのこもり 大殿籠
夜のおとゞにこもらせ給て、御寢なるをいふ、轉ては只寢まするをもいふ、

〔塵袋〕

〈六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0964 一御寢ヲヲトノゴモルト云フハ御殿ニ籠ル心歟如何
サモ申シツベキ事ナリ〈○下略〉

〔枕草子〕

〈十二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0964 うへ〈○一條〉のおまへのはしらによりかゝりて、すこしねむらせ給へるを、かれ見奉り給へ、今はあけぬるに、かくおほとのごもるべき事かはと申させ〈○藤原伊周〉給ふ

〔玉勝間〕

〈八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0964 おひなるおよる(○○○)〈○中略〉
あづまにて寢(ヌ)ることをおよるといふ、御晝なる御夜なるといふこと也、〈○下略〉

〔古今著聞集〕

〈五/和歌〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0964 永萬元年九月十四日、五更におよびて、頭亮の書札とて、かみやがみにたてぶみたる文を、頭中將家通朝臣のもとへもて來りけり、〈○中略〉もとのごとくかみやがみにたてぶみて、 使にかへしたびて、月をも御覽せで、御よるなれば(○○○○○○)此御ふみまいらするにおよばず、もし兼事ならば、あすもてまいれといはせてかへしければ、使しぶるけしきながらもて歸りけり、

〔類聚名義抄〕

〈七/穴〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01260.gif 〈ウタヽネ(○○○○)〉

〔伊呂波字類抄〕

〈宇/人事〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01265.gif 〈ウタヽネ假https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01264.gifhttps://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01266.gif 〈同假寐也〉

〔運歩色葉集〕

〈宇〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01267.gif (ウタタネ) 假https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01267.gif (同)〈浮海〉

〔易林本節用集〕

〈宇/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965 假寐(ウタヽネ)

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965 假寐(ウタヽネ)〈左傳註、坐眠曰假寐、毛萇云、不衣冠而寐也、〉

〔名物六帖〕

〈人事四/體勢作用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965 假臥(ウタヽネ)〈後邊韶傳、曾晝日假臥、〉

〔倭訓栞〕

〈前編四/宇〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965 うたゝね 轉寢の義、俗にころびね(○○○○)といふ意也、

〔古今和歌集〕

〈十二/戀〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965 題しらず 小野小町
うたゝね(○○○○)に戀しき人を見てしより夢てふ物はたのみ初てき

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965 假寐(カリネ/○○)

〔名物六帖〕

〈人事四/體勢作用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965 假寐(カリネ)〈左傳〉

〔源氏物語〕

〈三十九/夕霧〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965 いとめづらしき御ふみを、かた〴〵うれしうみ給に、この御とがめをなん、いかにきこしめしたることにか、
秋の野の草のしげみはわけしかどかりねの枕むすびやはせし

〔後撰和歌集〕

〈十二/戀〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965 人のもとにまかりて侍に、よびいれねば、すのこにふしあかして、つかはしける、
藤原成國
秋の田のかりそめふし(○○○○○○)もしてけるがいたづらいねをなにゝつまゝし

〔名物六帖〕

〈人事四/體勢作用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0965 假寢(マルネ/○○)〈小學假寢閣前、句讀、假寢不衣服而寢也、〉

〔萬葉集〕

〈九/雜歌〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0966 天平元年己巳冬十二月、歌一首〈幷〉短歌、
虚蟬乃(ウツセミノ)、世人有者(ヨノヒトナレバ)、大王之(オホキミノ)、御命恐彌(ミコトカシコミ)、礒城島能(シキシマノ)、日本國乃(ヤマトノクニノ)、石上(イソノノカミ)、振里爾(フリニシサトニ)、紐不解(ヒモトカズ)、丸寐(マロネ/○○)乎爲者(ヲスレバ)、吾衣有(ワガキタル)、服者(コロモハ)奈禮奴(ナレヌ)、毎見(ミルゴト)、戀者(ニコヒハ)雖益(マサレド)、〈○下略〉

〔萬葉集〕

〈十八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0966 庭中花作歌一首〈幷〉短歌〈○中略〉
之吉多倍乃(シキタヘノ)、手枕末可受(タマクラマカズ)、比毛等可須(ヒモトカズ)、末呂宿乎須禮波(マロネヲスレバ)、〈○下略〉

〔源氏物語〕

〈五十/東屋〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0966 かやうの朝ぼらけにみれば、ものいたゞきたるものゝ、をにのやうなるぞかしときゝ給も、かゝるよもぎのまろねに、ならひ給はぬこゝちに、おかしうも有けり、

〔今昔物語〕

〈二十五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0966 源賴信朝臣男賴義射殺馬盜人語第十二
賴義モ其ノ音ヲ聞テ、〈○中略〉未ダ裝束モ不解デ丸寢ニテ有ケレバ、起ケルマヽニ、〈○下略〉

〔孝義錄〕

〈四十四/筑前〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0966 孝行者儀三次
儀三次は穗波郡内住村の文七が三男なり、〈○中略〉去年の春の頃より、祖母の病重りて、起臥も心のまゝならざりしを、〈○中略〉夜ごとに帶をもとかず、そのかたはらに丸寢して、身のいたみを撫さすり、〈○下略〉

〔後撰和歌集〕

〈二/春〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0966 ねやのまへに竹のある所にやどり侍て 藤原伊衡朝臣
竹近く夜床ねはせじ鶯のなくこゑきけば朝い(○○)せられず

〔足薪翁記〕

〈一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0966 とりんぼう
とりん坊のみにあらず、總てぼうといふ俗語は、みな嘲りて添ふるなり、其種々、〈○中略〉
朝寢坊(○○○) 向の岡〈延寶八年不卜撰〉 朝寢坊鶉うらみん草枕 笑夢
晝寢坊(○○○) 富士石〈延寶七年調和撰〉 春の日を二日にしたり晝寢坊 見扣〈○中略〉
長寢坊(○○○) 同集〈○江戸廣小路、延寶六年印本、不卜撰、〉 朝顏のさこそ見るらめ長寢坊 不貫

〔曾禰好忠集〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0967 六月終
妹と我ねやのかさとにひるね(○○○)して日たかき夏のかげを過さむ

〔枕草子〕

〈十二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0967 見ぐるしきもの
夏ひるねしておきたる、いとよき人こそ今すこしおかしけれ、ゑせがたちはつやめきねはれて、ようせずばほうゆがみもしつべし、

〔徒然草〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0967 眞乘院に盛親僧都とてやんごとなき智者ありけり、〈○中略〉とき非時も、人にひとしく定てくはず、わがくひたき時、夜なかにも曉にも喰て、ねぶたければ、晝もかけこもりて、いかなる大事あれども、人のいふ事きゝいれず、目さめぬれば、いく夜もいねず(○○○○○○○)、心をすましてうそぶきありきなど、〈○下略〉

〔泊洦筆話〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0967 一大伴俊明〈通稱山岡治左衞門柳螢侍臣〉後に剃髮して、明阿といはれき、〈○中略〉平生睡眠する事なく、つとめてねぶらじとにはあらねども、癇症にやたえてねぶたしといふ事を覺えずとかたられけり、夜は枕につきて、なほ筆紙をとりつゝ、書寫などせられければ、今にそのうつされたる事どもの、筆をひきつづけたるやうの筆くせありき、或時從者一人を具して、近きあたり旅行せられき、旅屋につきて、從者は道の疲にたへずして、枕をとるやおそきと、寐入りぬるを、明阿は例のねられねばよびおこして、淋しきに今しばしかたらひてなとて、ものがたりしでいねさせず、曉にいたりしかば、從者は大きにわびて、つとめていとまをこひて、獨り家にかへれりけるとそ、をかしき物語なりけり、

〔古史徵〕

〈一春〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0967 古史徵のぞへごと
吾が伊夫伎の屋の平田の大人、〈○篇胤、中略、〉往し文化八年の十月、おなじ學の徒どち相はかりて、柴崎直古が、江戸より歸るに、誘ひ奉りて、吾郷へ請まをして、此國わたりの御弟子ども、夜晝うごなは り侍(サモ)らへるに、古典どもを、つばらに解き聞かしめ給ひ、猶まどはしき道のおくかも、ほど〳〵にわきまへ諭し給rへりしほどに、早くも十二月になりぬ、こゝに大人ののたまふは、年の極の事業しげく、春の始のいとなみも爲べければ、汝尢ち然るかたに勤(イソ)しみてよ、余は筥根山の雪霜ふみ別むがわびしければ、冬とも知らぬ、この暖國に旅ゐして、春をむかふべし、其につけては、此ほど汝たちの請へる事によりて、おのれも早くより思ふ旨あり、何處にまれ靜なる家の、一間なる處をと言ふまにま、直古が奧の一間を見たてゝ、移ろはせ參らす、さて有合ふ古書ども參らせよとあるに、鄙びたる郷の、初學のともが、何をかは持はべらむ、有ふりたる書ども五部六部、とり集(ツド)へて奉るを受取らして、汝等は家の業事しげかるべし、とく營みて勿おこたりそ、春をむかへて、長閑にこそと言ひさして、やがて幽り給へるは、五日の日にてぞ有ける、かくて後は、夜の衾も近づけ給はず、文机に衝居より給ひてより、夜も日もすがら書をよみ、かつ筆とりておはす、朝夕の御饌參らす間も、あからめもせで書よみつゝ、文机の上にてきこしをしたまひき、然てのみおはすほど、十日まり三日四日の比とおぼゆ、かく夜ひるならべて物し給ひなば、御軀やいたはり給ふべき、今夜よりは、夜床に入たまへと、甚くしひ申しければ、然らばしばし睡(マド)ろまむ、覺(サム)るまで勿おどろかしそ、枕もてことて、頓て衾引かづき、高息引してうま寐し給ふほど、日一日夜二(○○○○○)夜おなじ御有さまなり、餘りに長寐し給ふ事の、また心もとなくなりて、そと覺(オトロ)かし參らせければ、勿さましそと言てし物をと云ひてやがて、文机に居よりて勤(イソシ)み給ふこと、前の如くになむおはしける、當年もはや大晦日といふになりぬ、元日といふ日のつとめて、直古がりゆきて、あるじと共におまへに出て、年の始の壽詞まをせば、大人はいと早く淸らに身づくろひし、御面しろくほゝゑみて、去年とやいはむ、今年とやいはむ、よべの丑の時の鐘打ころまでに、書をへたるこの書よ、汝らがねもごろに請へるに、うつなひ實(マメ)だちて、さし幽りたる其日より、年の内にかき竟させ給へと 神たちに宇氣比まをしたりし、かひ有げなりとて、さし出し給ふに、まづ打おどろきつゝ、もて退きて讀見るに、旣に請まをせる古書どもに、こゝら記せる神代の事蹟の、まことまがひを撰りわきて、其正説をまさごとゝ文成し給へる一部は、すなはちこの古史成文、しか撰りとり給へることわりを、徵し給へる一部は、すなはち二の卷より次々の徵なりけり、また靈眞柱(タヤノミハシラ)といふをさへに著はして、道のおくかを示し給ふ、〈○中略〉
文政二〈己卯〉年四月 駿河國府人新庄仁右衞門道雄

〔名物六帖〕

〈人事四/體勢作用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0969 失寐(ネソコナフ/○○)〈法苑珠林、侍人心驚通夜失寐、〉 失寢(ネソコナフ)〈南史到漑傳、漑特被武帝賞接、毎與對棊從夕達旦、或復失寢、加以低睡、帝詩嘲之曰、狀若家狗、又似風槌、當時以爲笑樂、〉 寢不寐〈左傳〉

〔關の秋風〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0969 此頃は、夜はごとにいねず、さま〴〵にねまほしく思ふほど、かねの音をかぞへ、鳥の聲をきゝ、筧の音もうるさくて、しばし目をとぢて見れども、夢みんやうもなしがくねまほしくおもふ程ねられねば、よしひとよはおきて明さばやと思ひきりても、兎角ねまほしき心のみわすられず、ほどちかきあたりに、いねし人も、今や夢など見るらんとおもへば、いとゞむねくるし、さらばよその事を思ひ出だしまぎれんと、心にもあらず、をかしき事、たのしき事など思ひみれど、いつかうちわすれて、夢をばいつか見んとのみ思ふなり、夜もやゝ更け行けば、いとゞさびしくて、こしかた行く末の事など思ひつゞけ、あるは心くるしき事など、かうがへて夢もみつかず、せん方なくてくすしにとひければ、只物をふかくかうがへて、心を勞し侍る事のなきやうにと諫む、されど短才重任、いかでかうがへ侍る事なくてありなん、〈○下略〉

〔倭訓栞〕

〈前編二十二/禰〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0969 ねおびれ(○○○○) 源氏に、わか君のねおびれてなきたまふと見えたり、夜啼客忤をいふ也、

〔倭訓栞〕

〈中編十八/禰〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0969 ねびれて(○○○○) 寐ほれたるをいふ也、又ねおびれの略成べし、

〔枕草子〕

〈六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0970 みつばかりなるちごの、ねをびれてうちしはぶきたるけはひもうつくし、

〔源氏物語〕

〈五/若紫〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0970 君はなに心もなくね給つるを、いだきおどろかし給におどろきて、宮の御むかへにおはしたると、ねをびれておぼしたり、

〔枕草子〕

〈三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0970 にげなきもの
老たる男のねまどひ(○○○○)たる

〔倭訓栞〕

〈前編二十二/禰〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0970 ねほれる(○○○○) 寢怳る也ねとぼける(○○○○○)意也、著聞集にねぼけてと見えたり、

〔古今著聞集〕

〈十六/興言利口〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0970 女も又ねぼけ(○○○)て、おとこの口ぞとは思ひよらで、〈○下略〉

〔今物語〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0970 嘉祥寺僧都海惠といひける人の、いまだ若くて病大事にて、かぎりなりける比、ねいりたる人、俄におきて、そこなるふみなど取入ぬぞと、きびしくいはれけれども、さる文なかりければ、うつゝならずおぼえて、前なる者どもあきれあやしみけるに、みづから立走て、あかりしやうじをあけて、たてぶみをとりて見ければ、ものども誠にふしぎにおぼえてみる程に、是をひろげて見て、しばし打あんじて返事書てさし置て、又頓てねいりにけり、起臥もたやすからずなりたる人の、いかなりけることにかと、あやしみける程に、しばしねいりて、汗おびたゞしく流れて、起上りてふしぎの夢を見たりつるとて、語られける、おほきなるさるの、あゐずりの水干きたるが、たてぶみたる文を持て來つるを、人の暹く取入つるに、自ら是を取て見つれば、歌一首あり、
たのめつゝこぬ年月をかさぬればくちせぬちぎりいかゞむすばん、とありつれば、御返事には、
心をばかけてぞたのむゆふだすき七のやしろの玉のいがきに、とかきて參らせつる也、是は山王よりの御うたを給りて侍る也と語られければ、まへなる人あさましくふしぎにおぼえて、是は只今うつゝに侍ること也、是こそ御ふみよ、又かゝせ給へる御返事よといひければ、正念に 住して、前なる文どもをひろげて見けるに、露たがふことなし、其後やまひをこたりにけり、いとふしぎなり、

〔古今著聞集〕

〈十六/興言利口〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0971 同御時、〈○順德天皇時〉小川瀧口定繼といふ御けしきよきぬし侍けり、四﨟座にて上﨟をこして久しく奉公してけり、名月の夜、主上南殿に出御ありて御遊ありけるに、かの定繼が下人、くろ戸のかたの御厩のほとりに、いねぶりして候けるが、にはかにはしりたちて、中將宣忠朝臣のあやのこうじの家へ、さかいきになりて、はしりむかひていふやう、たゞ今内裏へ急度まいらせ給へ、なを〳〵きと〳〵といひけり、中將さしもの急事何事にかとあやしう思〈○思原作候、據一本改、〉ひて、たが奉行ぞとたづねられければ、小川瀧口殿のうけ給はらせ給ふて候といひて、やがてはしり歸りける程に、中將あはてさはぎて、はせまいりてうかゞひければ、たゞ今なんでんにわたらせ給ふよし女房申せば、御後のかたにてをとなふに、たぞと御たづねあれば、宣忠朝臣めされ候へるほどに、まいりたるよし申ければ、大かたさる事なければ、ふしぎに覺し召て、くはしく御たづね有ければ、使のいひつるごとく、定繼が承りて、其下人にて候よし申ければ、定繼承て相たづぬるに、はやくかの下人ねほれて、かくめしたりけるなり、あまりにはしりけるほどに、二條あぶらのこうぢを南へ〈○へ原脱、據一本改、〉かりおりける時、築地の角にはしりあたりて、かほさきかきてありけり、其よしを申あげければ、比興の沙汰にてやみにけり、定繼の申けるは、これは勝事にて候、ねほれ〈○れほれ一本作ねぼけ〉候はんからに、さる事やはつかうまつるべき、まさかさまのくせごとをもぞ引いだし候とて、此下人をやがてつかはず成にけり、おかしき事也、

〔類聚名義抄〕

〈二/目〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0971 睡〈昔碎 ネフル(○○○)和スイ〉眠〈莫賢 ネフリ和メン〉

〔伊呂波字類抄〕

〈禰/人事〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0971 眠〈ネフリ、ネムル、瞑亦作冥、〉 睡〈同〉

〔運歩色葉集〕

〈禰〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0971 睡(ネムル)眠(同)

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0972 眠(ネムル)〈字彚、翁目也、〉 睡(同) 瞑(同)

〔同〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0972 睡眠(スィメン)

〔釋名〕

〈三/釋姿容〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0972 眠、泯也、無知混泯也、

〔倭訓栞〕

〈前編二十二/禰〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0972 ねぶる 睡眠をいふ、寢經るの義也、ねぶたしといふ詞も、源氏枕草紙に見えたり、ねむるに同じ、

〔類聚名物考〕

〈人事/十二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0972 ねぶりにおかさる(○○○○○○○○) 爲睡侵
目をさまして居らんとするに、睡の外より來りて、おのれが心ををかして、目をさまさせざるが如くなればいふ歟、又俗に茶を飮ばをかされて、寢られぬといふもこの意歟、敵に國ををかし襲はるゝを借ていふならん、

〔徒然草〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0972 或人法然上人に、念佛の時睡にをかされて、行をおこたり侍る事、いかゞしてこのさはりをやめ侍らんと申ければ、めのさめたらむほど念佛し給へと、こたへられたりける、いとたうとかりけり、

〔沙石集〕

〈七上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0972 眠正信房事
和州菩提山ノ本願僧正御房ニ、忠寬正信房ト云僧有ケリ、アマリニネブリケレバ、ネブリノ正信トゾ申ケル、御舍利講ノ法用散華スベカリケルガ、唄ヒクホドニ、例ノネブリケルヲ、唄ヲワリテソバナル僧、オドロカシケレバ、ネブルモノカラ、又物忩ナル僧ニテ、錫杖ヲ取テ手執錫杖ト誦シケルヲ、イカニヤトイハレテ、ヤラ唄カト思テトゾ云ケル、又或ル夜、九番鳥ノ鳴ケルヲ眠耳ニ、御所ニ忠寬々々ト召ズト聞ナシテ、事々シク御イラへ申テ御前へ參ル、イカニナニ事ゾト被仰レバ、召ノ候ツルト申ス、サル事ナシト仰アリケレバ、鳥ノ猶空ニ聲ノスルヲ指サシテ、アレニ召ノ候ツルトゾ申ケル、或ル時、御湯ノ後、汗ニヌレタル御小袖ヲ、フセゴニウチカケテ例ノ物忩ハヌレタル方ヲ上ニシテ、サカリナル火ニアブリテ、ネブリイタルホドニ、トクマイラセヨト仰ノ有 ケルニ、オドロキテ見レバ、白御小袖籠ノカタツキテ、香色ニコガシテケリ、アサマシト思テ、カヒマキテヌレタル方ヲ、上ニシテモチテ參ヌ、未ダヌレタルハイカニト仰ラルレバ、タヾタテマツリ候へ、シタハコガレテ候トゾ申ケル、尾籠也ト仰ラレテ、御小袖ハ給ハリテケリ、

〔類聚名物考〕

〈人事/十二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0973 よひまどひ(○○○○○) 宵迷
日の暮夜になれば、はやうねぶたがるを、今もさいふなり、

〔源氏物語〕

〈二十/槿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0973 ふることゞものそこはかとなきうちはじめ、きこえつくし給へど、御みゝもおどろかずねぶたきに、宮もあくびうちし給て、よひまどひをし侍れば、物もえ聞えやらずと、の給ふほどもなく、いびきとかきゝしらぬをとすれば、〈○下略〉

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0973 睡(井ネムル/○)〈説文、坐寢也、〉 坐寢(同)

〔倭訓栞〕

〈中編二十九/爲〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0973 ゐねふり 坐睡の義なり

〔古今著聞集〕

〈十八/飮食〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0973 醍醐大僧正實堅もちをやきてくひけるに、きはめたるねぶり人にて、もちを持ながらふら〳〵とねぶりけるに、まへに江次郎といふ格近者の有けるが、僧正のねぶりてうなづくを、われに此もちくえとけしき有ぞと心得て、はしりよりて手に持たるもちを取てくいてげり、僧正おどろきて後、こゝに持たりつるもちはと尋られければ、江次郎其もちははやくへと候つれば、たべ候ぬとこたへける、僧正比興の事なりとて、しよにんにかたりてわらひけるとぞ、

〔先哲叢談後編〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0973 元淡淵
淡淵若冠志學、好暗室、雖白晝戸、僅照容光、讀書、夜對燈檠毎至雞鳴、隱几坐睡、以爲平生、竟無寢、家人皆異之、

〔倭訓栞〕

〈中編二十六/牟〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0973 むまねふり(○○○○○) 馬上にて睡るをいふ、詩にも馬上續殘夢など見えたり、

〔平治物語〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0973 義朝靑墓落著事 義朝ノ一所ニ被落ケルハ、嫡子惡源太義平、次男中宮大夫朝長、三男右兵衞佐賴朝、〈○中略〉僅ニ八騎也、兵衞佐賴朝心ハ武シト雖モ、今年十三、物具シテ終日ノ軍ニ疲給ケレバ、馬睡ヲシ野路ノ邊ヨヲ打後レ給ヘリ、

〔古今著聞集〕

〈十六/興言利口〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0974 をなじ卿〈○藤原家成〉の大和國なる所領より、物を上けるさたの物夫よりはるかにさきだちて、のぼりける程に、はや馬ねぶりをして、たづなうちすてゝ馬にまかせて行程に、此馬大和國の家のかたへ行けり、つや〳〵としらずして、はるかに歸りにけり、さる程にさがりてのぼる夫に行あひてければ、夫これも何方へおはするぞといふ時、はじめてをどろきにけり、ねぼけてかくいふ夫を、逃てくだるぞと心へて、ぜひなくしかりて、やがて件の夫をからめたりける、夫のふ祥こそおかしく候つれ、

〔類聚名物考〕

〈人事/十二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0974 そらね(○○○) 虚寢 僞寢
熟睡を宇麻ねといふに對へて、虚寐は僞寐にて、いねもせでいねたるまねするをいふ、虚言をもそらごとゝいふそらに同じ、すべて曾良は不實の意にて、そらしらずなどもいへり、

〔大鏡〕

〈八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0974 ついでなきことに侍れど、物の恠と人の申し事どもの、させる事なくてやみにしは、さきの一條院の御卽位の日、大極殿御裝束すとて、人々あつまりたるに、たかみくらのうちに、かみつきたるものゝ、かしらのちうちつきたるを見つけたりける、あさましくいかゞすべきと、行事おもひあつかひて、かばかりの事をかくすべきかはとて、大入道殿〈○藤原兼家〉にかゝる事なん候と、なにがしのぬしして申させけるを、いとねぶたげなる御けしきにもてなさせ給ひて、物もおほせられねば、もしきこしめさぬにやとて、又御けしきたまはれど、うちねぶらせ給ひて、なを御いらへなし、いとあやしく、さまで御とのごもり入たるとは見へさせ給はぬに、いかなればかくておはしますぞととひ、御前に候にうちおどろかせ給ふさまにて、御裝束ははてぬなりやとおほせ らるゝに、きかせ給はぬやうにてあらんと、おぼしめしけるにこそとこゝうえて、たちたまひける、げにかばかりのいはひの御事、またけうになりてとまらんも、いま〳〵しきに、やをらひきくしてあるべかりける事を、心もなく申ものかなと、いかにおぼしめし候らんと、後にそその殿もいみじく悔しがり給ひける、

〔古事談〕

〈二/臣節〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0975 俊賢卿蒙中關白〈○藤原道隆〉恩、五位而補藏人頭、越多人、思此恩而入道殿〈○藤原道長〉蒙内覽宣旨給日睡眠云々、傷帥殿〈○道隆子伊周〉事之故云々、ソラネブリウチシテイタフ、帥内大臣事故云々、

〔枕草子〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0975 にくきもの
家にても、みやづかひ所にても、あはでありなんとおもふ人のきたるに、そらねをしたるを、わがもとにあるものどものおこしよりきては、いぎたなしと思ひがほに、ひきゆるがしたるいとにくし、

〔源氏物語〕

〈八/花宴〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0975 きりつぼには、ひと〴〵おほくさぶらひて、おどろきたるもあれば、かゝるをさもたゆみなき御忍びありきかなと、つきじろひつゝ、そらねをぞしあへる、

〔古今著聞集〕

〈十六/興言利口〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0975 此比天王寺よりある中間法師、京へのぼりける道にて、山ぶし一人、又いもじする男一人行つれて上りける、〈○中略〉人しづまる程に、此山ぶしおきゐて、かみをもとゞりにとりけり、いもじ男はたゞよくねいりぬ、法師はそらね入して、此山ぶしがふるまひ見ゐたる程に、〈○下略〉

〔明良洪範〕

〈七〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0975 源藏ハニノ九へ行キテ、空眠リシテ半藏ノ來ルヲ待ケル、

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0975 貉睡(タヌキネフリ/○○)〈事見本草綱目

〔名物六帖〕

〈人事四/體勢作用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0975 假睡(タヌキネイリ)〈水滸僅、婆娠聽得是宋江回來、只做齁齁假睡著、〉 佯睡(タヌキネイリ)〈冷薺夜話、王文公居鍾山、與兪秀老、至報寧寺、有頃秀老至公佯睡、〉 陽眠(タヌキネイリ)〈宋書顏延之傳、何尚之在直、延之以醉詣焉、尚之望見便陽睡、〉

〔本朝食鑑〕

〈十一/獸〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0976 貍〈○中略〉
附錄、狢、〈狐貍類、源順曰、狢音鶴、漢語抄云、無之奈、似狐而善睡者也、必大按、(中略)山人曰、貍之斑色有善睡者、山俗釋無之奈、性如鈍不狸狐之慧、細察其睡者、則非眞睡、乃使耳而聾也、故雖熟睡、見人則駭走而竄矣、〉

〔枕草子〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0976 にくきもの
にはかにわづらふ人のあるに、げんざもとむるに、れいある所にはあらで、〈○中略〉かぢせさするに、此ごろものゝけにごうじにけるにや、ゐるまゝに、すなはちねぶりごゑ(○○○○○)になりたるいとにくし、

〔宇治拾遺物語〕

〈十一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0976 卅あまりばかりなる僧の、ほそやかなる目をも、人に見あはせず、ねぶりめ(○○○○)にて時々あみだ佛を申、

〔秦山集〕

〈雜著/甲乙錄三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0976 重遠〈○谷〉曰、土佐諸社之祭、十歲至十二三歲童女二人、潔齋七日、祭日朝白粉明衣飾之、神主附耳誦祓文、騎馬前行、名曰行事殿、蓋神之形代也、神輿游行之間、或一日或半日、行事殿睡眠不覺、左右捧持僅得鞍、祭日氏人游人雜還絡繹、鐘鼓歌舞、喧囂踊躍、而睡眠不知、祭畢歸社、神主復附耳誦祓文、然後居然醒覺、是爲常例、萬有一不睡則必有事故、因去其濁穢、神主再三祓除遣之、往々復常、
○按ズルニ、睡眠病ノ事ハ、方技部疾病篇雜病條ニ載セタリ、

〔運歩色葉集〕

〈滿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0976 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01268.gif (マトロム/○)

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0976 目睡(マドロム)〈太平記〉

〔遊仙窟〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0976 少時坐睡(イナガラ)、則夢(マドロンテ)見十娘

〔倭訓栞〕

〈前編二十九/末〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0976 まどろむ 遊仙窟に睡をよむ、少睡をいへり、目蕩ける義なるべし、

〔源氏物語〕

〈三十五/若菜〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0976 たゞいさゝかまどろむとしもなき夢に、このてならしゝねこの、いとらうたげにうちなきてきたるを、〈○下略〉

寢言

〔新撰字鏡〕

〈口〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 囈(○)〈魚世反、禰己止、〉

〔倭名類聚抄〕

〈三/病〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 㦣 孫愐云、㦣〈子例反〉寢言也、〈今案和名禰古止〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈二/病〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 按玉篇、㦣寐言也、孫氏蓋依之、認文、㦣、㝱言不慧也、〈○中略〉是條舊〈○天文本〉及山田本、昌平本、曲直瀨本、下總本皆無獨那波本有之、今錄存、按和名在條末、與本書通例乖、在齘齒下齭上、亦次第失序、是條恐後人所增、伊呂波字類抄不㦣字、類聚名義抄有㦣字錄和名、知二家所見本無是條也、

〔下學集〕

〈下/態藝〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 寐語(ネコト)

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01269.gif 語(ネゴト)〈事文類聚、睡中語也、〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01270.gif (同)〈字彚〉

〔名物六帖〕

〈人事四/體勢作用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 寐語(ネコト)〈王君玉雜纂、難理會醉漢寐語、〉 啽囈(ネコト)〈正字通、啽音菴、語含口也、囈寐語不句也、〉 囈語(ネコト)〈拾異記、呂蒙囈語通周易、〉

〔倭訓栞〕

〈前編二十二/禰〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 ねごと〈○中略〉 思ふ事を寐言といふ諺あり、異聞錄に、韓昭侯と棠溪公と事を謀るに、夜必ず獨寢る事を勤む、寐言して妻妾に漏む事を慮りてなりと見えたり、

〔榮花物語〕

〈五/浦々の別〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 このきたのかた○藤原伊周母はしづみいり給ひて、いとたのもしげなくなりまさらせ給ふ、たゞよとともの御事には、とあ○伊周にたいめむして、しなん〳〵とぞ、ねごとにもし給、

〔言志錄〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 昏睡發囈語、足心之不存

〔類聚名義抄〕

〈七/宀〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01271.gif 〈音悟サム〉

〔同〕

〈七/穴〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01272.gif 〈サム〉

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 覺(サムル)〈韵會、夢醒也、〉 寤(同/○)

〔釋名〕

〈三/釋姿容〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 覺吿也
寤忤也、能與物相接忤地、

〔日本書紀〕

〈六/垂仁〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0977 五年十月己卯朔、天皇幸來目、居於高宮、時天皇枕皇后膝而晝寢、〈○中略〉天皇則寤(サメテ)之、語皇后曰、〈○下略〉

〔萬葉集〕

〈十二/古今相聞往來歌〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978物陳
五更之(アカツキノ)、目不醉草跡(メザマシクサト/○○○○ )、此乎谷(コレヲダニ)、見乍(ミツヽ)座而(イマシテ)、吾止偲爲(ワレシシノバム)、

〔源氏物語〕

〈四/夕顏〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 曉ちかくなりにけるなるべし、となりの家々、あやしきしづのおの聲々めさまして、〈○下略〉

〔名物六帖〕

〈人事四/體勢作用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 醒睡(ヨサトヒ/○○)〈李義山雜纂、夜間常醒睡、〉

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 寐覺(ネザメ/○○)

〔倭訓栞〕

〈前編二十二/禰〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 ねざめ 寢覺と書り、いねて目のさむるなり、

〔萬葉集〕

〈十九〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 夜裏聞千鳥喧歌二首
夜具多知爾(ヨクタチニ)、寢覺而居者(ネザメテヲレバ)、河瀨尋(カハセトメ)、情毛之奴爾(コヽロモシヌニ)、鳴知等理賀毛(ナクチドリカモ)、

〔金葉和歌集〕

〈四/冬〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 關路千鳥といへる事をよめる 源兼昌
あはぢ島かよふ千鳥のなく聲にいくよねざめぬ須摩の關守

〔倭訓栞〕

〈前編四十五/於〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 おどろく(○○○○)〈○中略〉 夢を驚かすなどいふは、日本紀に寤をおどろかしとよめる意也、令驚の義也、おどろきを延て、おどろかしといふ一格の例あり、

〔古事記〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 其天詔琴拂樹而地鳴動、故其所寢大神〈○須佐能男命〉聞驚而引仆其室

〔萬葉集〕

〈四/相聞〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 更大伴宿禰家持贈坂上大孃歌十五首〈○中略〉
夢之相者(ユメノアヒハ)、苦有家里(クルシカリケリ)、覺而(オドロキテ/○ )、搔探友(カキサグレドモ)、手二毛不所觸者(テニモフレネバ)、

〔遊仙窟〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 少時坐睡、則夢見十娘、驚覺(サメテ)攪之、忽然空手、

〔伊呂波字類抄〕

〈爲/人事〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 居〈イタリ處也、當也、〉 坐 處 集 搶 座 踞〈已上同〉

〔釋名〕

〈三/釋姿容〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 坐挫也、骨節挫屈也、

〔和字正濫抄〕

〈三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0978 居 をる 万葉

〔塵袋〕

〈十〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0979 一坐ト云フハ一向イル心歟
ツネニハイルヲザスルトハ云フ、但坐字ヒザマヅクトヨメル事モアリ、禮義記、武坐致(ヒザマヅクニ)右憲左何也ト云ヘリ、坐ヲバツミトモヨム、緣坐ト云、ソノ心也、

〔伊呂波字類抄〕

〈爲/人事〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0979 坐作(○○)イスマヒ

〔倭訓栞〕

〈前編四十三/爲〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0979 ゐずまひ 枕草紙に見ゆ、居住也、まひ反み也、或は坐作をよめり、

〔枕草子〕

〈七〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0979 棊をやんごとなき人のうつとて、ひもうちとき、ないがしろなるけしきにひろひをくに、をとりたる人のゐずまゐも、かしこまりたるけしきに、ごばんよりはすこしとをくて、〈○下略〉

〔倭訓栞〕

〈前編十二/須〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0979 すわる(○○○) 居をいふ、すぐにをるの義なるべし、わとをと通ふ例多し、すうすゑとはたらけり、わる反、をる反、ともにう也、

〔物類稱呼〕

〈五/言語〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0979 居(すは)るといふ事を、日向及北陸道又下野邊にてねまる(○○○)といふ、畿内にていしか(○○○)るといふ、關東又は泉州境邊にてへたばる(○○○○)と云、伊豆にてきかる(○○○)と云、但馬にてへこたれる(○○○○○)と云、長崎にてをらす(○○○)と云、土州にていざる(○○○)と云、

〔倭訓栞〕

〈後編十四/那〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0979 なをる(○○○) 俗に正座をいふ、直く坐の義なるべし、ゐなをるともいへり、

〔名物六帖〕

〈人事四/體勢作用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0979 正坐(ロクニスハル/○○)〈壽世保元、後儒林傳、帝正坐自講、〉

〔伊呂波字類抄〕

〈太/疊字〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0979 端坐(○○)

〔遊仙窟〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0979 端坐(ウヅイ)剩心驚

〔日本靈異記〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0979 女人好風聲之行仙草以現身飛天緣第十三
大和國宇太郡漆部里有風流女、是卽彼部内漆部造麿之妾也、〈○中略〉毎於野採菜爲事、常住於家、淨家爲心、採調盛唱、子端坐含咲、馴言致食、常以是行、爲身心業、〈○中略〉
端坐〈シ支ミ乎奈與久曷○訓釋恐有誤〉

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0980 踞坐(カシコマル/○○)〈要覽、謂足實坐也、〉

〔名物六帖〕

〈人事四/體勢作用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0980 恭坐(カシコマル)〈神異經、恒恭坐而不相犯、〉

〔貞丈雜記〕

〈十五/言語〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0980 一かしこまると云はおそるゝ事也、貴人主人の威勢をおそるゝ心也、〈○中略〉今世ひざを折りて正しく座するを、かしこまるといふは、かしこまり坐すると云心也、貴人をうやまひおそれて座する也、正座の事をかしこまるとおもふは非なり、

〔雅言集覽〕

〈十八/加〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0980 かしこまり〈五種ノ義アリ、本ノ心ハ恐ルヽ心ヨリ轉ジタル也、一ツニハ恐ルヽ恐レ入、二ツニハ敬スル心、三ツニハ謝スルコトニ、四ツニハ懈怠アヤマリ無沙汰ノイヒワケノ心、五ツニハ勘當ノ心、三絛四條五絛ハ體ノ語ナリ、〉

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0980 跘跨(アグラ/○○)〈釋氏要覽〉 蹴跪(同) 寬坐(同)

〔名物六帖〕

〈人事四/體勢作用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0980 箕倨(アクラ)〈史張耳傳、高祖箕倨詈、索隱、崔誥云、屈膝坐、其形如箕、〉

〔宗五大草紙〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0980 人の相伴する事
一人の相伴の事、貴人の前にて、めし又何にても相伴あらば、物のすはるまでは、ひざを立(○○○○)て可有、膳すはり候はゞひざをくむ(○○○○○)べし、但座敷せばく候て、貴人とひざくみのやうならば、ひざを立てもくふべし、時宜によるべし、

〔今昔物語〕

〈二十八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0980 左京屬紀茂經鯛荒卷進大夫語第三十
今昔、左京ノ大夫 ノ ト云フ舊君達有ケリ、〈○中略〉俎ノ上ニ荒卷ヲヲキテ、事シモ大鯉ナドヲ作ラム樣ニ、左右ノ袖ヲ引疏テ片膝立(○○○)テ、今片膝ヲバ臥テ、極メテ月々シク居シテ、〈○下略〉

〔古事談〕

〈一/王道后宮〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0980 白川院夕御膳之時、侍從大納言成通卿候陪膳、御寢之間漸漏移、依更發脚氣、片膝ヲ立テ候ケリ、法皇被仰云、宇治ニイハレシバ、於人前搔膝(○○)シテ居事、以外白氣事也云々、御詞未了成通卿逐電云々、

〔禁秘御抄〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0980 一淸凉殿〈○中略〉 御手水間
一間〈○註略〉凡主上御座不レ可西之由、在江記御手水可北也、嘉保行幸院〈相撲〉御劒置御座東、是不西向芯也、向西トモ角ザマニ可著座也、

〔類聚名義抄〕

〈五/足〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0981 踞〈其几其矣反、ヒサマツク、〉 䠒https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01273.gif 〈俗ヒサマツク〉 跪〈渠鬼反、ヒサマツキ、音詭、又音危、〉 䠆〈䠆跪行、ヒサマツク、音長、〉 趾〈俗〉https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01274.gif 〈正〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01275.gif https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01276.gif 〈俗〉

〔伊呂波字類抄〕

〈比/人事〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0981 跪〈ヒザマツク胡跪〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01277.gif 蹲 踞 突 跽 䠆〈䠆跪〉 顙〈已上同ヒサマツク〉

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0981 跪(ヒザマヅク) 踞(同)

〔釋名〕

〈三/釋姿容〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0981 跪危也、兩膝隱地、體危隉也、
跽忌也、見敬忌、不敢自安也、

蹲踞

〔類聚名義抄〕

〈五/足〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0981 蹲〈音存、ウスクマリ、シリウタク、和ソン、〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01278.gif 〈俗〉 踞〈シリウタク、ウスクマル、音據、〉 蹲踞〈ウスクマリイル〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01279.gif 〈ウスクマル〉 跠〈ウスクマリイル〉

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0981 蹲踞(ツクバフ) 倨傲(同) 蹲踞(ネマル)箕踞(ウヅイ)〈指南、伸兩脚坐曰箕据、〉 蹲踞(ウヅクマル)

〔同〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0981 踞(シリウタケ)〈文選註、却倚也、〉 箕踞(同)

〔倭訓栞〕

〈前編四/宇〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0981 うづゐ(○○○) 跠をいふ、うづくまり居也、論語に夷俟と見えたり、〈○中略〉
うづくまる 蹲踞をいふ、古事記にうづすまりとも、萬葉集にうすくまりとも見ゆ、うづみくまりにて、埋隱の義成べし、今いふつくばふ也、

〔倭訓栞〕

〈前編十六/都〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0981 つくばふ 蹲居の俗語也、突匍匐の義成べし、つくぼる(○○○○)といふも同じ、

〔日本靈異記〕

〈中〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0981 弧孃女憑敬觀音銅像奇表現報緣第卅四
牡飢言、我飢賜飯、妻言、今進、起竃燃火居于空https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01280.gif 、押頰而蹲、〈○中略〉
〈蹲ウスクマリ〉

〔古今著聞集〕

〈十六/興言利口〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0981 さて月ごろへて、女晝のつれ〴〵なりけるに、はぬいといふ物して、うずく まり居たりけるを見れば、〈○下略〉

膝行

〔運歩色葉集〕

〈伊〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982 膝行(イサリ)

〔和字正濫抄〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982 膝行 ゐざる 眞名未考、居ながら去なり、足のたゝぬかたはものを、ゐざりといふもこれなり、

〔倭訓栞〕

〈前編四十三/爲〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982 ゐざる 膝行をいふ、坐ながら行の義也、源氏にゐざり出など見えたり、拾遺集に、かたゐざりするみどり子ともよめり、

〔倭訓栞〕

〈中編二十九/爲〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982 ゐじる 居蹂躙の義なるべし、ゐじりよるなどいへり、

〔茶道早合點〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982 茶室
濳口(くゞりぐち) にじり上りともいふ、茶室へ入口なり、大〈サ〉まどのごとし、

〔兼盛集〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982
あふことのかたゐざり(○○○○○)するみどり子のたゝん月にもあはじとやする

〔玉海〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982 文治二年二月廿八日丙子、此日除目初日也、〈○中略〉頭左中辨光長雖參入、依膝脛等灸治、不膝行、因之以兼親傳覽、

〔吾妻鏡〕

〈十二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982 建久三年七月廿五日丙申、幕下〈御束帶〉豫出御西廊、義澄捧持除書膝行而進之、

匍匐

〔新撰字鏡〕

〈勹〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982 匍〈蒲胡反、平、匍匐也、波良波比由久(○○○○○○)、〉

〔類聚名義抄〕

〈七/勹〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982 匍〈蒲北反、匍匐、〉 匍匐〈ハラハフ(○○○○)、下音僕、伏也、〉

〔釋名〕

〈三/釋姿容〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982 匍匐小見時也、匍猶捕也、藉索可執取之言也、匐伏也、伏地行也、人雖長大、及其求事盡力之勤、猶亦稱之、詩曰、凡民有喪、匍匐救之、是也、

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982 跂(ハフ/○)〈文選註、凡生類之行皆曰跂、〉 這(同)〈人、草、〉

〔倭訓栞〕

〈前編二十四/波〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0982 はふ 匍匐をいふ、虫には蚑行と見え、蝨には緣と見えたり、草木にいふは延 也、万葉集に見ゆ、蔓延の義〈○下略〉

〔倭訓栞〕

〈中編二十/波〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0983 はらばひ 神代紀に匍匐をよめり、腹もてはふをいふ也、万葉集に、赤駒の腹ばふとみゆ、新攝字鏡には、はらばひゆくとよめり、或は勃窣をよめり、

〔古事記〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0983 故爾伊邪那岐命詔之、愛我那邇妹命乎、〈那邇二字以音下效此〉謂易子之一木乎、乃匍匐御枕方、匍匐御足方而哭時、〈○下略〉

〔古事記〕

〈中/景行〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0983是坐倭后〈○日本武尊妃〉等、及御子等諸下到而作御陵、卽匍匐廻其地之那豆岐田〈自那下三字以音〉而哭爲歌曰、那豆岐能(ナヅキノ)、多能伊那賀良邇(タノイナガラニ)、伊那賀良爾(イナガラニ)、波比母登富呂布(ハヒモトホロフ)、登許呂豆良(トコロヅラ)、

〔古事記〕

〈下/仁德〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0983 故是口子臣、白此御歌之時、大雨、爾不其雨、參伏前殿戸者、違出後戸、參伏後殿戸者、違出前戸、爾匍匐進赴、跪于庭中時、水潦至腰、

〔日本靈異記〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0983 嬰兒鷲所擒以後國得父緣第九
飛鳥川原板葺宮御宇天皇〈○皇極〉之代、癸卯年春三月頃、但馬國七美郡山里人家有嬰兒女、中庭匍匐、鷲擒騰空指東而翥、〈○中略〉
匍〈波良波不〉

〔枕草子〕

〈八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0983 うつくしきもの
みつばかりなるちごの、いそぎてはひくる道に、いとちいさきちりなどの有けるを、めさとに見つけて、いとおかしげなるをよびにとらへて、おとななどに見せたる、いとうつくし、〈○中略〉いみじうこえたる兒の二つばかりなるが、しろふうつくしきが、二あゐのうすものなど、きぬながくて、たすきあげたるが、はひ出くるもいとうつくし、

〔平家物語〕

〈六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0983 祗園女御の事
さしも御さいあいと聞えし、舐園女御を、たゞ盛にこそくだされけれ、此女御はらみ給へり、〈○中略〉 すなはち男をうめり、〈○中略〉ある時白川の院、熊野へ御かうなる、〈○中略〉その時たゞもり、やぶにいくらも有けるぬかごを、袖にもり入れ、御前へまいりかしこまつて、
いもが子ははふ程にこそなりにけれ、と申されたりければ、院やがて御こゝろえ有つて、
たゞもりとりてやしなひにせよ、とそ付させまし〳〵ける、

〔榮花物語〕

〈十三/木綿四手〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0984 一宮〈○敦貞〉おはしまして、おとゞ〈○藤原顯光〉やゝおきよ〳〵、むまにせんとおこしたてまつらせ給へば、我にもあらずおきあがり給て、たかばひ(○○○○)して、馬にのせたてまつり給て、ありかせ給へば、〈○下略〉

〔類聚名義抄〕

〈五/立〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0984 立〈口鷙反タチトコロ〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01281.gif 〈正〉

〔伊呂波字類抄〕

〈太/辭字〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0984 立〈タツ〉 起〈起坐〉

〔釋名〕

〈三/釋姿容〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0984 立林也、如林木森然各駐其所也、

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0984 立擧(タチアガル)

〔萬葉集〕

〈十一/古今相聞往來歌〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0984 正述心緖
立念(タチテオモ)、居毛曾念(ヒイテモゾオモ)、紅之(フクレナイノ)、赤裳(アカモ)下引(スソヒキ)、去之儀乎(イニシスガタヲ)、

〔源氏物語〕

〈九/葵〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0984 おとゞはえたちもあがり給はず、かゝるよはひのすゑにわかくさかりの子にをくれたてまつりて、もこよふことゝはぢなき給ふを、〈○下略〉

〔北條五代記〕

〈九〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0984 關東の亂波智略の事
氏直〈○北條〉亂波二百人扶持し給ふ中に、一の惡者有、かれが名を風摩と云、〈○中略〉夜討强盜して歸る時立すくり居すくりといふ事あり、明松をともし、約束の聲を出し、諸人同時にさつと立、颯と居る、是は敵まぎれ入たるを、えり出さんための謀なり、

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0984 翹(ツマダツル/○) 〈文選註、足立也、〉

〔倭訓栞〕

〈前編十五/都〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985 つまだつ 佇をよめり、爪立の義なり、

〔新撰字鏡〕

〈連字〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01282.gif 猶〈豫之貎、又不退而愼之貎、萬久、又足須留(○○○)、〉 蹢躅〈猶豫貎、躑也、踟蹰也、足須留、〉

〔類聚名義抄〕

〈五/足〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985 跪〈徒何反アシスリ〉 跎〈正〉 躘〈音龍、音蹱、アシスリ〉

〔萬葉集〕

〈九/雜歌〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985水江浦島子一首幷短歌〈○中略〉
玉篋(タマクシゲス)、小披爾(コシヒラクニ)、白雲之(シラクモノ)、自箱出而(ハコヨリイデヽ)、常世邊(トコヨヘニ)、棚引去者(タナビキヌレバ)、立走(タチハシリ)、叫袖振(サケビソデフリ)、反側(コヒマロビ)、足受利四管(アシズリシツヽ)、頓(タチマチニ)、情淸失奴(コヽロキエウセヌ)、〈○下略〉

〔伊勢物語〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985 むかし男有けり、女のえうまじかりけるを、年をへてよばひわたりけるを、からうじてぬすみ出て、いとくらきにきけり、〈○中略〉やう〳〵夜も明ゆくにみれば、ゐてこし女もなし、あしずりをしてなけどもかひなし、

〔今物語〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985 承久の頃、住吉へ然るべき人の參らせ玉ひけるに、折ふし神主經國京へ出たりけるが、人をはしらせて、住の江殿など掃除させよといひやりたりけるに、あまりのきらめきに、年比しるべき人々の、書をかれたるうたども、柱なげし妻戸にありけるを、皆けづり捨てけり、神主くだりて是を見て、こはいかにせんと、足ずりをして悲しめどもかひなかりけり、

徘徊

〔類聚名義抄〕

〈一/人〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985 傍偟〈タチモトホル〉 彷偟〈同下音皇タチモトホル〉 俳徊〈音棑回也トタヽスム〉 〈タチモトホルトヤスラフ〉

〔同〕

〈一/彳〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985 徘徊〈タヽスムタチモトホル〉 徊〈正タチモトホル〉

〔同〕

〈五/卜〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985 寸歩〈タヽスム〉

〔伊呂波字類抄〕

〈太/人事〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985 佃〈タチヤスラフ〉 俳 佯 俚 彳 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01283.gif 〈タチマヨフ〉 躑〈已上タチヤスラフ〉

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985 彳亍(タチアガル/タヽスム)〈赤勅二音、字彚、小歩也、韵會、彳左歩也、亍右歩也、左右歩倶擧而後爲行者也、〉 彷徨(タヽズム)〈舊事紀、又史記註、俳徊也、〉 徜徉(同)〈彷徉、相羊、並同、〉 儲與(同/タチヤスラフ)〈文選〉 停俟(同/同)〈又云停盻〉

〔倭訓栞〕

〈中編十三/多〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985 たゝずむ 神代紀に彷徨をよめり、立息の義、ちや反た也、文選に躊躇もよみ、徒徛或は彳亍をもよめり、

〔日本書紀〕

〈二/神代〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0985 一書曰、〈○中略〉於是彦火火出見尊不求、但有憂吟、乃行至海邊彷徨(タヽズム)嗟嘆、

〔古今和歌集〕

〈五/秋〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0986 うりんゐんの木のかげにたゝずみてよみける 僧正遍昭
わび人の分て立よるこのもとはたのむかげなく紅葉散けり

〔竹取物語〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0986 かのかくや姫をみまほしくて、物もくはず思ひつゝ、かの家に行てたゝずみありきけれども、かひあるべくもあらず、

〔倭訓栞〕

〈中編十三/多〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0986 たちもとほる(○○○○○○) 盤桓、躊躇、徘梱などをよめり、立旋ほるの義也、靈異記に躊躇をたちいざよふとよめり、

〔日本靈異記〕

〈下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0986寺物復將大般若願以現得善惡報緣第廿三
大伴連忍勝者、〈○中略〉歷五日乃甦、語親屬言、召使五人共副疾往、往道頭有甚峻坂、登於坂止而躊躇見〈○中略〉
躊躇〈多干意左(○○○○○○○)與比天〉

〔新撰字鏡〕

〈足〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0986 跨〈苦化反、去、踞也、股也、躡也、渡癈(癈恐衍)也、越也、万太乃佐々比(○○○○○○)、〉

〔同〕

〈連字〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0986 踏跨〈上市柯反、下共依反、齊足而踊之貌、阿不止己牟(○○○○○)、又乎止留、又越也、〉

〔類聚名義抄〕

〈五/足〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0986 跨〈昔化苦故二反マタカル(○○○○) ハタカル(○○○○)〉

〔和字正濫抄〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0986 跨 あつとこえ 此字常にはまたがるとよむを、書にかく點せるは、あつといひて溝などをまたがりこゆる意歟、句絶の所にては、あつとこゆといふべし、あつとこふとはよむべからず、

〔南留別志〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0986 一跨をあとこゆるといふ、足迹のまたがりこゆるといふ意なるべし、

〔倭訓栞〕

〈中編一/阿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0986 あとこえ 跨をよめり、日本紀にあとこひと見え、あふとこひとも見えたり、新撰字鏡に躇跨をあふとこむとよみ、齊足而踊之貌と注せり、常にはまたがるとよめり、又あつとこひともいふ、

〔倭訓栞〕

〈前編二十九/末〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0986 またがる 跨をよめり、股上るの義也、またぐ(○○○)ともいふ、かる反ぐ也、新撰字鏡 にまたのさゝひとよめり、股の小間といふ義なるべし、〈○中略〉跨は越也、足過也と注せる義にや、

〔倭訓栞〕

〈中編十九/波〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 はちかる(○○○○) 俗に跨をいふ、またがるの轉也、

〔新撰字鏡〕

〈足〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 蹊〈遐雞反、平、徑也、徂行也、往來也、阿留久(○○○)、〉

〔類聚名義抄〕

〈五/足〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 蹮〈アルク〉

〔同〕

〈五/卜〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 歩〈蒲故反 アユム(○○○) ユク アリク(○○○)和フ〉

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 歩(アユム) 歩行(アリク)

〔名物六帖〕

〈人事四/體勢作用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 歩行(カチアルキ)〈先進遣風、歸至里第、歩行未甞乘一レ輿〉 禹歩(オホマタアルキ)〈南史陳顯達傳、矢中左目而鏃不出、潘嫗善禁、先以釘釘柱禹歩作氣、釘卽出、乃禁目中鏃之、〉僂行(セカゝメテユク) 〈史記、田光僂行見荊卿、按僂行傴僂而行也、〉 郤行(アトシサリ)〈前高紀太公擁彗迎門郤行、師古曰、郤退而行也、〉 郤足(アトシサリ)〈説苑、一蹶之故郤足不行、〉

〔釋名〕

〈三/釋姿容〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 兩脚進曰行、行抗也、抗足而前也、
徐行曰歩、歩捕也、如伺捕務安詳也、

〔倭訓栞〕

〈前編二/阿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 ありく 日本紀に歩行、又遊行をよめり、有行の義成べし、新撰字鏡に蹊をあるくとよめり、往來也といへり、古事記の歌に、ありたゝし、ありかよはせと見えたるも、此義也といへり、薩州にては、さるくといふ、

〔倭訓栞〕

〈中編一/阿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 あゆむ 歩行をいふ、足緩の義成べし、源氏にあゆまひとも見えたり、まひ反み也、

〔皇都午睡〕

〈三編上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 上方で買(かう)て來るを江戸にては買(かつ)て來る、〈○中略〉行(ゆく)を歩む、

〔日本書紀〕

〈二/神代〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 是時其子事代主神遊行(アルキテ)、在於出雲國〈三穗三穗此云美保〉之碕、以釣魚樂、

〔日本書紀〕

〈十四/雄略〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 元年三月、是月立三妃、〈○中略〉次有春日和珥臣深目女童女君、生春日大娘皇女、〈更名高橋皇女〉童女君者、本是采女、天皇與一夜而娠、遂生女子、天皇疑不養、及女子行歩(アリキスルニ)、天キ皇御大殿、物部目大連侍焉、女子過庭、目大連顧謂群臣曰、麗哉女子、〈○中略〉徐歩(シメヤカニアリク)淸庭者、言誰女子、天皇曰、何故問珥、目大連對曰、臣觀女子行歩(アリク)、容儀能似天皇

〔今昔物語〕

〈二十八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0987 左京大夫付異名語第廿一 今昔、村上天皇ノ御代ニ、舊宮ノ御子ニテ、左京ノ大夫ト云人有ケリ、〈○中略〉歩ビハ背ヲ振リ、尻ヲ振テゾ歩ビケル、

〔源氏物語〕

〈二十九/行幸〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0988 たけだちそゞうかに物し給に、ふとさもあひて、いとしうとくにおもゝちあゆまひ(○○○○)など、大臣といはんにたらひ給へり、

〔源氏物語湖月抄〕

〈二十九/行幸〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0988 〈細〉歩(アユミ)ざま也、〈哢〉歩體也

〔類聚名義抄〕

〔五/卜〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0988 歩行(○○)〈カチヨリユク〉

〔倭訓栞〕

〈前編六/加〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0988 かち(○○) 日本紀に歩をよめり、又徒行をかちよりゆくとよめり、今もかちはだしなどいへり、

〔日本書紀〕

〈三/神武〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0988 戊午年四月甲辰、皇師勒兵、歩趣(カチヨリ)龍田

〔萬葉集〕

〈十一/古今相聞往來歌〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0988物陳
山科(ヤマシナノ)、强田山(コハタノヤマニ)、馬雖在(ウマハアレド)、歩吾來(カチヨリワレク)、汝念不得(ナレヲオモヒカネ)、

〔源氏物語〕

〈四/夕顔〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0988 君にむまは奉りて、われはか、ちより、くゝりひきあげなどして出たつ、

〔枕草子〕

〈九〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0988 笛は
よこぶえいみじうおかし、〈○中略〉車にても、かちにても、馬にても、すべてふところにさしいれてもたるも、何とも見えず、さばかりおかしき物はなし、

〔信玄家法〕

〈下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0988 一宿其外歩行之時、付前後左右心、不油斷事、臣軌曰、事不愼者、取敗之道也、

〔陰德太平記〕

〈十三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0988 富田川合戰之事
城中ノ兵共、是コソ究竟ノ時ナ、レトテ、大西十兵衞、本田豐前守、立原備前守等打連テ、二千餘人皆歩行立(○○○)ニ成テ、彼河本ガ館へ切テカヽル、

〔倭訓栞〕

〈中編十三/多〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0988 たじ〳〵(○○○○) 俗に小兒歩を習をいへり、跢字なるべし、梵書に多し、跢は跢字去聲、 小兒行也と見えたり、又傍人たつと〳〵と云も、多趍の義なるにや、

〔類聚名義抄〕

〈一/走〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01284.gif 〈子厚反〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01285.gif 〈正〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01285.gif 走〈二或下通〉 走〈若通 ハシル(○○○) ユクオモムク 和ソウ〉 趠〈勑敎反ハシル〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01286.gif 〈俗造字ハシル〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01287.gif 〈音梟ハシル〉 趫〈正〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01288.gif 〈ハシル〉 趍〈遲音 今七踰反ワシル ハセテ〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01289.gif 〈正〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01290.gif 〈今〉 趨〈正 音クワシル〉 〈俗去字ハシル〉 趉〈渠勿反ハシル〉

〔同〕

〈一/走〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 䢌〈音跋ハシル〉 迻〈音犇ハシル〉

〔同〕

〈四/大〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 奔〈音犇ハシル〉

〔干祿字書〕

〈上聲〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 赱走https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01285.gif 〈上中通、下正、〉

〔運歩色葉集〕

〈葉〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 走(ハシル)

〔同〕

〈和〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 趨(ワシル)

〔釋名〕

〈三/釋姿容〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 疾行曰趨、趨赴也、赴至也、
疾趨曰走、走奏也、促有奏至也、
奔變也、有急變奔赴之也、

〔日本靈異記〕

〈中〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 佛銅像盜人所捕示靈表盜人緣第廿二〈○中略〉
趍〈走也〉

〔倭訓栞〕

〈前編二十四/波〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 はしる 走をいふ、しる反すなれば、はすに同じ、歌にも常にもさいへるを、書を讀にはわしるといひ習へり、新撰字鏡に迸をはしりかるとよめり、日光にて行事をわしるといへり、

〔倭訓栞〕

〈中編二十九/和〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 わしる(○○○) 走をよめり、はしるともいへり、靈異記に趍もよめり、

〔倭訓栞〕

〈中編四/加〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 かける 驅をいふは、かくるの俗語也、

〔皇都午睡〕

〈三編上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 上方で買(かう)て來るを江戸にては買(かつ)て來る、〈○中略〉走(はし)るを欠(かけ)る、

〔枕草子〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0989 此車のさまをだに、人にかたらせてこそやまめとて、一條殿のもとにとゞめて、侍從殿〈○藤原公信〉やおはします、郭公のこゑきゝていまなんかへり侍るといはせたる、つかひたゞ今まいる、あがきみ〳〵となんのたまへる、さぶらひにまひろげて、さしぬきたてまつりつといふに、ま つべきにもあらずとて、はしらせて、つちみかどざまへやらするに、いつのまにかさうぞくしつらん、おびは道のまゝにゆひて、しば〳〵とをひぐる、ともに侍ひ、ざうしき、ものはかではしるめる、とくやれといとゞいそがしくて、つちみかどにきつきぬるにぞ、あへぎまどひておはして、まづ此くるまのさまいみじくわらひ給ふ、

〔徒然草〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0990 つごもり〈○十二月〉の夜、いたうくらきに、松どもともして、夜半すぐるまで、人の門たゝきはしりありきて、何事にかあらんこと〴〵しくのゝしりて、足を空にまどふが、曉がたよりさすがに音なくなりぬるこそ、年の名殘も心ぼそけれ、

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0990 踕(アシバヤ/○)〈足疾曰踕〉

〔今昔物語〕

〈二十五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0990 藤原保昌朝臣値盜人袴垂語第七
今昔、世ニ袴垂ト云極キ盜人ノ大將軍有ケリ、心太ク、力强ク、足早(○○)手聞キ、思量賢ク世ニ並ビ无キ者ニナム有ケル、

〔平治物語〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0990 待賢門軍附信賴落事
爰ニ鎌田ガ下人八町次郎トテ、大カノ剛者、早走リ(○○○)ノ手キヽアリ、馬ニテコソ具スベケレドモ、中中徒立ヨカルベシ、高名セヨト云ケレバ、一年モ腹卷ニ小具足差堅メテ、眞前ニ進タリケルガ、敵ノ馬武者ノ遙先立テ落ケルヲ、八町ガ内ニテ押攻テ首ヲ取タリケレバ、夫ヨリシテ八町次郎トゾ云ケル、サレバ又此者三河守ノ聞ユル早馳ノ名馬ニ、兩鐙ヲ合セテ被懸ケルニ、少シモ不劣追付テ、甲ノ手返ニ熊手ヲ打カケン打カケント、續テ走ケレバ、賴盛モ甲ヲ打カタフケ打傾ケ、アヒシラハレケレバ、五六度ハ懸ハヅシケルガ、終ニ手返ニ打懸テエイヤト引バ、三河守旣ニ引落サレヌベウ被見ケルガ、帶タル太刀ヲ引拔テ、シトヽ切、熊手ノ柄ヲ手本二尺計置テ、ヅント切テ被落ケレバ、八町吹郎ノケ、ニ倒テコロビケリ、

〔承久記〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0991 院宣ノ御使ニハ、推松トテ、キハメテ足早キ者アリケル、是エラバレテゾ被卞ケル、平九郎判官私ノ使ヲ相添テ、承久三年五月十五日ノ、酉刻ニ郡ヲ出テ、劣ラジ負ケジト下ケル程ニ、同十九日ノ午刻ニ、鎌倉近ウ、片瀨ト云所ニ走付タリ、平九郎ノ判官ノ使ハ、案内者ニテ、先ニ鎌倉へ走入テ、駿河守ニ文ヲ付タレバ、披見シテ、返事申スベケレ共、道ノ程モ、ハヾカラ敷間、態ト申サヌナリトテ追出シヌ、

超/輕捷

〔類聚名義抄〕

〈一/走〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0991 超〈耻驕反コユ(○○)ヲドル 和テウ〉

〔易林本節用集〕

〈古/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0991 超(コユル)

〔釋名〕

〈三/釋姿容〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0991 超卓也、學脚有卑越也、

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0991 剽姚(ハヤハザ/○○)〈韵會、勁疾貌、出漢書、〉 勁捷(同)〈西京雜記、江都王勁捷、能超七尺屏風、淮南子註、勁利急疾也、〉 早態(同)

〔古事記〕

〈中/垂仁〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0991是天皇詔、雖其兄、猶不愛其后、故卽有后之心、是以選聚軍中力士輕捷(○○)而宣者、取其御子之時、乃掠取其母王、或髮或手、當隨取獲而掬以控出、

〔日本書紀〕

〈十二/履中〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0991 六年二月癸丑朔、喚鯽魚磯別王之女大姫郎姫、高鶴郎姫、納於后宮並爲嬪、於是二嬪恒歎之日、悲哉吾兄王何處去耶、天皇聞其歎、而問之曰、汝何歎息也、對曰、妾兄鷲住王、爲人强力輕捷、由是獨馳越八尋屋而遊行、旣經多日面言、故歎耳、

〔文德實錄〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0991 嘉祥三年十一月己卯、從四位下治部大輔興世朝臣書主卒、書主右京人也、〈○中略〉書主雖長儒門、身稍輕捷、超躍高岸、浮渡深水、猶同武藝之士

〔文德實錄〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0991 仁壽二年二月甲子、右兵衞佐兼信濃介從五位下紀朝臣最弟卒、〈○中略〉最弟武藝之士、膂力過人、登高渉深、輕捷少偶、追捕京畿盜賊姧宄、漸以絶盡、

〔三代實錄〕

〈一/淸和〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0991 天皇諱惟仁、〈○中略〉嘉祥三年歲在庚午三月二十五日癸卯、生天皇於太政大臣東京一條第、十一月二十五日戊戌、立爲皇太子、于時誕育九月也、先是有童謠云、大枝(オホエ)〈乎(ヲ)〉超(コエ)〈天(テ)〉、走超(ハシリコエ)〈天(テ)〉、走超〈天(テ)〉、 躍(ヲ)〈止利(ドリ)〉騰(ア)〈加利(ガリ)○騰原在躍字上、據一本改〉 超(コエ)〈天(テ)〉、我(ワレ)〈耶(ヤ)〉護(マ)〈毛留〉田(タ)〈仁耶〉搜(アサリ)〈阿佐理〉食(ハ)〈無(ム)〉志岐(シギ)〈耶(ヤ)〉、雄々(ヲヽ)〈伊(イ)〉志岐(シギ)〈耶(ヤ)〉、

〔三代實錄〕

〈五十/光孝〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0992 仁和三年八月七日戊申、散位從四位上文室朝臣卷雄卒、〈○中略〉卷雄身體輕捷、甚有意氣、嘗戲騰躍、脚踏車牛額、超越立於車後、及少將、白晝有狐、走東宮屋上、卷雄奔登、拔劒斬之、凡其驍勇過人、皆此之類也、

〔陸奧話記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0992 卽日〈○康平五年九月六日〉欲衣川關、〈○中略〉武貞〈○淸原〉攻闘道、賴貞〈○橘〉攻上津衣川道、武則〈○淸原〉攻關下道、自未時戌時、攻戰之間、官軍死者九人、被疵者八十餘人也、武則下馬廻見岸邊、召兵士久淸命曰、兩岸有曲木、枝條覆河面、汝輕㨗好飛超、傳渡彼岸、偸入賊營、方燒其壘、賊見其營火起合軍驚走、吾必破關矣、久淸云、死生隨命、則如猿猴之跳梁、著彼岸之曲木、牽繩纏葛、牽卅餘人兵士、同得越渡、卽偸到藤原業近柵、俄放火燒、

〔古今著聞集〕

〈九/武勇〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0992 同〈○源義家〉朝臣若さかりに、ある法師の妻を密會しけり、件の女の家、二條猪隈へん也けり、築地に棧敷をつくりかけて、棧敷のまへに堀ほりて、其はたに蕀などをうへたりけり、すこぶる武勇立る法師なりければ、用心などしける所也、法師のたがひたる隙をうかゞひて、夜ふけてかの堀のはたへ車をよせければ、女棧敷のしとみをあげて、すだれを持あげゝる、其時とび入けんはやわざの程、凡夫の所爲にあらず、此事たびかさなりにければ、法師聞つけて、妻をさいなみせためて問ければ、ありのまゝにいひてけり、さらばれいのやうに我なきよしをいひて、件の男を入よ〈○よ原作ま據一本改、〉といひければのがれがたなくて、いふまゝにことうけしぬ棧敷をあげて、れいのやうに入たらん所を、きらんと思て、此法師其道に圍碁盤のあつきを、楯のやうに立て、それにけつまづかせんとかまへて、太刀をぬきてまつ所に、案のごとく車をよせければ、女れいの定にしけるに、とびのをの方よりとび入ざまに、鳥のとぶがごとく也、ちいさき太刀をひきそばめて持たりけるをぬきて、とびざまに碁盤の角を五六寸計をかけて、とゞこほりなくきつて 入にけり、法師たゞ人にあらずと思ひて、いかにすべしともなく、おそろしく覺へければ、はふはふくづれおちてにげにけり、くはしく尋聞ば八幡太郎義家也けり、いよ〳〵おくする事限なかりけり、

〔今昔物語〕

〈二十八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0993 近衞御門倒人蝦蟆語第卌一
今昔 天皇ノ御代ニ、近衞ノ御門ニ人倒ス蝦蟆有ケリ、〈○中略〉而ル間一人ノ大學ノ衆有ケリ、〈○中略〉平ミ居ル蝦蟆ヲ踊り越ル(○○○○)程ニ、〈○下略〉

〔平治物語〕

〈三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0993 牛若奧州下事
牛若ハ、〈○中略〉晝ハ終日學文ヲ事トシ、夜ハ終夜武藝ヲ被稽古タリ、僧正ガ谷ニテ、天狗トヨナ〳〵兵法ヲ習ト云々、去バ早足飛越、人間ノ業トハ不覺、

〔平家物語〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0993 文覺ながされの事
剰文覺に、是程まで、からきめを、見せ給ひつれば、〈○中略〉黃泉の72びに出なん後は、こづめづのせめをば、まぬかれ給はじ物をと、をどりあがり〳〵ぞ申ける、

〔平家物語〕

〈十一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0993 のと殿さいごの事
新中納言とももりの卿、〈○中略〉判官〈○源義經〉を見しり給はねば、物のぐのよき武者をば、判官かとめをかけて飛でかゝる、〈○中略〉判官の舟にのりあたり、あはやとめをかけて飛でかゝる、判官かなはじとや思はれけん、長刀をば弓手のわきにかひはさみ、みかたの舟の二丈ばかりのきたりけるに、ゆらりととび乘給ひぬ、のと殿はやわざやおとられたりけん、つゞいてもとび給はず、

〔太平記〕

〈十四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0993 官軍引退箱根
舟田入道ト大將義貞朝臣トニ人、橋ヲ渡リ給ヒケルニ、如何ナル野心ノ者ガシタリケン、浮橋ヲ一間ハリヅナヲ切テゾ捨タリケル、〈○中略〉此馬ノ落入ケル時、橋二間計落テ、渡ルベキ樣モナカリ ケルヲ、舟田入道ト大將トニ人手ニ手ヲ取組テ、ユラリト飛渡リ給フ、

〔太平記〕

〈二十六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0994 四條繩手合戰事附上山討死事
居野七郎是ヲ見テ、敵ニ氣ヲ付ジト、秋山ガ臥タル上ヲ、ツト飛越テ、爰ヲアソバセト、射向ノ袖ヲ敲テ、小跳シテ進タリ、

〔陰德太平記〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0994 相合就勝謀反附生害之事
上總介就勝ハ、九郎義經ニモ不劣輕業兵法ノ達者ニテ、鎗ヲ提、爰ヲ最後ト振舞レタリ、鷺就勝逐北テ深入シ給所ニ、敵取テ返ツケレバ、門前ノ土橋ヘハ引事ヲ不得、面三間ノ隍ヲ、閃リト飛テ渡リ給フヲ、寄手ノ者其是ヲ見テ、アラ恐シノ行迹ヤ、葛城高天ノ岑ニ住ナル、大天狗ノ變化ニヤト、不覺舌ヲ卷、心ヲ寒シテ立タリケリ、

〔甲子夜話〕

〈十〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0994 予〈○松浦淸〉ガ下邸ノ邊、辨天小路ト云ニ、某ト云ル御家人アリ、此人三尺バカリノ棒ヲ持テバニ丈許ノ處モ、少シ足ガヽリ有レバ躍上ル、又高處ヨリ跳下ルモ、三丈計ハ自在ナリ、又七尺バカリノ高キ所ハ、足ヲ擧テ堤ルコト、自由ニスルトナリ、奇ナル事ナリ、

〔類聚名義抄〕

〈一/人〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0994 俯仰〈フシアフク 下奐掌反アフク(○○○) 和カウ〉

〔伊呂波字類抄〕

〈安/辭字〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0994 仰〈アフク擧也、偃也、〉

〔倭訓栞〕

〈前編二/阿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0994 あふぐ 仰をよめり、あふのく(○○○○)ともいふ、天に向くの義也、神代紀に擧目をよめるは義訓也、

〔日本書紀〕

〈二/神代〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0994 時彦火火出見尊就其樹下、徒倚彷徨、良久有一美人、排闥而出、遂以玉鋺來當汲水、因擧目(アウギテ)視之、乃驚而還入、〈○下略〉

〔日本書紀〕

〈二/神代〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0994 一云、豐玉姫之侍者、以主瓶水終不滿、俯視井中則倒映人笑之顏、因以仰觀有一麗神於杜樹、故還入白其王

〔日本書紀〕

〈三/神武〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0995 戊午年、是時大伴氏之遠祖日臣命帥大來目督將元戎、蹈山啓行、乃尋烏所一レ向、仰視而追之、遂達于菟田下縣

〔今昔物語〕

〈二十八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0995 忠輔中納き口付蠱ハ名語第廿二
今昔、中納言藤原ノ忠輔ト云フ人有ケリ、此ノ人常ニ仰デ空ヲ見ル樣ニテノミ有ケレバ、世ノ人此レヲ仰ギ中納言トゾ付タリケル、

〔源氏物語〕

〈十三/明石〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0995 いとゞぼけられて、ひるは日ひとひいをのみねくらし、夜はすぐすかにおきゐて、ずゞの行へもしらずなりにけりとて、手ををしすりて、あふぎゐたり、

〔長門本平家物語〕

〈十六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0995 畠山少しもたゆまず渡りて行く、○宇治河、中略、ふりあふのいて(○○○○○○○)うしろをみれば、

〔倭訓栞〕

〈前編二十三/乃〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0995 のけざま(○○○○) 竹取物語に見ゆ、仰樣の義成べし、のけにたふるゝなどいへり、

〔類聚名物考〕

〈言語十七〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0995 のけざま 仰樣
あふのけざまともいふは、俗にのけにそるといふに同じ、

〔竹取物語〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0995 中納言〈○中略〉籠に入て釣られ登りて、うかゞひ給へるに、〈○中略〉我物にぎりたり、今はおろしてよ、おきな、しえたりとの給ひてあつまりて、とくおろさんとて綱を引すぐしてつなたゆるときに、やしまのかなへのうへに、のけざまにおち給へり、

〔大鏡〕

〈六/内大臣道隆〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0995 御賀茂詣日は、社頭にて三度の御かはらけ、空にてまいらするわざなるを、その〈○藤原道隆〉御時には禰宜神主も心えて、大かはらけをぞまいらせしに、三度はさらなる事にて、七八度などめして、上社にまいり給ふ道にては、やがてのけざまにしりのかたを御まくらにて、不覺におほとのごもりぬ、

〔類聚名義抄〕

〈一/人〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0995 俛〈音免 フスウツフス(○○○○○○)〉 俯俛〈フシアフク 上音府フス フシトコロ〉 伏〈音服 フスウツフス〉

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0995 伏(フス) 俯(同) 俛(同)

〔釋名〕

〈三/釋姿容〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0996 伏覆也、偃安也
僵正直畺然也、

〔倭訓栞〕

〈前編二十六/不〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0996 ふす 伏臥をよめり、神代紀に、俯順(フシテ)、俯視(フシテ)など見えたり、俯の音を用ゐたるにや、万葉に拜をよめり、義同じ、

〔日本靈異記〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0996 凶女不養所生母以現得惡死報緣第廿四
故京有一凶婦姓名未詳也、〈○中略〉時其母有稚子、携之還レ家俛視、道頭有遣裹飯、拾之慰餓、猶勞寢室、〈○中略〉
俛〈伏也〉

〔今昔物語〕

〈三十一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0996 打臥御子巫語第廿六
今昔、打臥ノ御子ト云フ巫世ニ有ケリ、〈○中略〉何ナレバ此ク打臥ノ御子トハ云フゾト思ヘバ、打臥(○○)ノミ物ヲ云ケレバ、打臥ノ御子トハ一広ケル也ケリ、

〔枕草子〕

〈九〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0996 とみにもたち給はねば、袖ををしあてゝ、うつぶし(○○○○)ゐたるも、からぎぬにしろいものうつりて、まだらにならんかし、

〔めのとのさうし〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0996 人のかほもち大事に候、けゝしく人はぢたるさまに、うつぶき(○○○○)たるもわうし、またさしあふのきて、かほふりあげたるもわろし、

〔倭訓栞〕

〈中編二十/波〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0996 はひぶし(○○○○) 物語に見えたり、這臥の義也、

〔枕草子〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0996 此下わらびはてつからつみつるなどいへば、いかで女官などのやうにつきなみてはあらんなどいへば、とりおろして、れいのはひぶしにならはせ給へるおまへたちなればとて、とりおろしまかなひさはぐほどに、〈○下略〉

〔續古事談〕

〈一/王道后宮〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0996 河内前司重通ト云者、童ニテ西宮ニアリケルニ、ミチアシカリケル所ニ、アユ ミノ板ヲ三四枚バカリシキワタシタリケルニ、朱雀院ノカタヨリ、シラヒゲナル翁ノ、モトドリハナチタル、スソヲトリテ、コノ板ヲワタラントシケルヲ、コノ重通ガオサナクテ、イタノ端ヲフミテウゴカシタリケレバ、此翁ヒレフシ(○○○○)ニケリ、〈○中略〉後ニキケバ、冷泉院ノオハシマシケル也、イトアヤシキコト也、

〔新撰字鏡〕

〈足〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0997 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01292.gif https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01293.gif 〈二居月反、蹶同、入、擲之也、僵也、臥也、走也、動也、起也、搖之貌、豆万豆支天太不留(○○○○○○○○)、〉

〔同〕

〈連字〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0997 蹴然〈敬也、蹴踰也、太(○○○○○○)知豆万豆久、〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01294.gif https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01295.gif 〈不安之貌踟蟵也、豆万豆久(○○○○)、〉https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01296.gif 峙〈留足也、猶豫之貌、太知豆万豆久、〉 踉蹡〈乎止留、又立豆万豆久、〉

〔類聚名義抄〕

〈五/足〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0997 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01282.gif 〈アトツマツク〉 躑〈音擲 又丁狄反ツマツク〉 跗跌〈音夫ツマツク〉 跌〈徒結反ツマツク〉 跲〈正 巨却反ツマツク〉 踕〈音捷ツマツク〉 踢〈他狄反ツマツク〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01298.gif 〈俗遏字 阿葛反ツマツク〉 蹄https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01299.gif 〈音徒タチツマツク〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01294.gif https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01295.gif 〈タチツマツク〉躓音〈致タマツク〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01300.gif 躓〈俗〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01301.gif 巨〈吉反ツマツク〉 蹴然〈タチツマツク〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01302.gif 路〈ツマツク〉

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0997 蹉跎(ツマヅク) 疐(同)〈毛詩〉 躓(同) 踒(同) 跌(同) 跉(同) 蹶(同)

〔同〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0997 蹉(ケツマヅク) 跲(同)

〔今昔物語〕

〈二十三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0997 陸奧前司橘則光切殺人語第十五
今昔、陸奧前司橘則光ト云人有ケリ、〈○中略〉俄ニ忿リ突居タレバ、走リ早マリタル者、我レニ蹴躓テ倒タルニ違テ立上テ、起シ不立頭ヲ打破テケリ、

〔沙石集〕

〈六下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0997 母之爲忠孝有人事
鎌倉ノ故相州禪門ノ中ニ、祗候ノ女房有ケハ、腹アシク、タテ〳〵シカリケルガ、或時成長ノ子息ノ同ジクツカフマツリケルヲ、イサ、カノ事ニヨリテ、腹ヲ立テ打タントシケルホドニ、物ニケツマヅキテ、イタクタフレテ、イヨ〳〵ハラヲスヘカネテ、〈○下略〉

〔類聚名義抄〕

〈一/人〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0997 仆〈音匐又赴 タフル(○○○) フス〉

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0997 踣(タフル) 倒(司)〈超、僵、仆、䟮、僨、並同、〉 殪仆(タフレフス)〈文選〉

〔釋名〕

〈三/釋姿容〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0997 仆踣也、頓踣而前也、

〔倭訓栞〕

〈前編十四/多〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0998 たふる 倒をよめり、仆も僵も同じ、靈異記に、顚沛を訓ず、又蹄をよめり、倭名抄に狂をよめるも、心の顚倒する義也、たふすは彼よりいふ詞なり、倒るゝ所に土つかむといふ諺は、今昔物語にみえたり、今俗こけた所で火打石ともいへり、

〔日本書紀〕

〈十四/雄略〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0998 十二年十月壬午、天皇命木工闘鷄御田、〈一本云、猪名部御田蓋誤也、〉始起樓閣、於是御田登樓疾走四方、有若飛行、時有伊勢采女、仰觀樓上、恠彼疾行、顚仆於庭、覆所擎饌

〔今昔物語〕

〈二十八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0998 信濃守藤原陳忠落入御坂語第卅八
今昔、信濃ノ守藤原ノ陳忠ト云フ人有ケリ、〈○中略〉守僻事ナ不云ソ、汝等ヨ寶ノ山ニ入テ手ヲ空クシテ返タラム心地ゾスル、受領ハ倒ル所ニ土ヲhttps://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m00330.gif メトコソ云ヘト云ヘバ、〈○下略〉

展轉

〔類聚名義抄〕

〈五/足〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0998 蹭〈又橧 七贈反 蹬フス フシマロフ(○○○○○)〉 蹬〈音鄧 蹭也 俗又登フシマロフ〉

〔伊呂波字類抄〕

〈末/辭字〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0998 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01303.gif 〈マロフ(○○○)〉 辷 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01304.gif 轉 樣 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01305.gif 〈已上同〉

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0998 宛轉(マロブ) 跎(同) 辷(同)〈本朝俗字、音義未詳、〉 轉輾(フシマロブ)〈毛詩註、臥不席之意、〉 踠轉(同) 蹉跎(同)〈廣雅、失足貌、出文選、〉 躅(コロブ)轉(同) 辷(同)

〔倭訓栞〕

〈前編九/古〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0998 ころび 神代紀に嘖讓をよめり、万葉集に、自臥をころぶすとよめる意、ぶす反び、展臥の謂也、〈○中略〉
ころぶ 展轉をいふ、ころばすは令轉の義、はす反ぶ也、辷は倭字也、應仁記に見えたり、

〔類聚名物考〕

〈言語七〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0998 ころぶ 自伏
今俗には轉躓をころぶといふには異なり、されどもその意は相同じ、ころぶとは自伏なり、ころはおのづからといへる古語にて、おのづからふすなり、萬葉卷二讃岐狹岑島視石中死人、人麿の長歌の中に、浪音乃(ナミノトノ)、茂濱邊乎(シゲキハマベヲ)、敷妙乃(シキタヘノ)、枕爾爲而(マクラニナシテ)、荒床(アラトコト)、自伏君之(コロブスキミガ)、家知者(イヘシラバ)云々とあり、これその證なり、同卷これより上に、木瓶殯宮の長歌〈人麿〉にも、玉藻之如久(ゴトク)、許呂臥者(コロフセバ)とあるも、うちふすさまをい ふなり、

〔和字正濫抄〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0999 展轉 こいまろび(○○○○○) 万葉、又反の字をも、こいとよめり、こやるといふも此言なり、

〔倭訓栞〕

〈前編九/古〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0999 こい(○○)〈○中略〉 万葉集に反をよめり、反轉の義な、りこやるといふも同じ、こいふし(○○○○) 万葉集に見ゆ、展臥の義也、
こいまろび 万葉集に展轉を訓じ、日本紀に反側をよめり、今いふこけまうぶ也、
こやる(○○○) こいと同じ、展轉の古語也、日本紀の歌に、こやせると見えたるを、万葉集に臥有と書、太子傳に、臥一字を用ゐたり、古事記に、つく弓のこやるといふも、弓をふするをいふとそ、

〔古事記〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0999是大穴牟遲神敎吿其菟、今急往此水門、以水洗汝身、卽取其水門之蒲黃敷散而、輾轉其上者、汝身如本膚必差、

〔古事記傳〕

〈十〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0999 輾轉者は許伊麻呂毘氐婆(コイマロビテバ)〈婆は濁音なり、氐婆は多良婆の意なり、〉と訓べし、万葉三〈五十八丁〉に展轉(コイマロビ)と見ゆ、〈十の五十四丁、十三の廿九丁にもあり、〉許伊(コイ)は臥伏(フス)を云て、又万葉に卽反側(コイフス)、臥有(コヤセル)なども多く見ゆ、假字は許伊(コイ)なり、此も万葉にあり、

〔古事記〕

〈下/允恭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0999 故追到之時、待懷而歌曰、〈○木梨之輕王、中略、〉都久由美能(ツクユミノ)、許夜流許夜理母(コヤルコヤリモ)、阿豆佐由美(アヅサユミ)、多氐理多氐理母(タテリタテリモ)、能知母登理美流(ノチモトリミル)、意母比豆麻阿波禮(オモヒヅマアハレ)、

〔古事記傳〕

〈三十九〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0999 許夜流許夜理母(コヤルコヤリモ)は、伏(コヤ)る伏(コス)りもなり伏(フヌ)を許夜流(コヤル)と云は古言なり、書紀推古卷、太子の御歌に、許夜勢屢諸能多比等阿波禮(コヤセルソノタビトァハレ)、万葉五〈五丁〉に、宇知那比枳(ウチナビキ)、許夜斯努禮(コヤシヌレ)、九〈三十五丁〉に、妹之臥勢流(イモガコヤセル)、十三〈三十三丁〉に、偃爲公者(コヤセルキミハ)〈此外集中に、臥有と書る皆コヤセルと訓べし、フシタルと訓るはわろし、〉などあり、古今集なる歌、よこほりふせる佐夜の中山、と云を、奧義抄に、よこほりくやる、とある本あるよし見えたり、久夜流(クヤル)、許夜流(コヤル)同じ、又万葉五〈二十八丁〉に、宇知許伊布志提(ウチコイフシテ)、十二〈十二丁〉に、反側(コイフス)、十七二十三丁に、等許爾許伊布之(コニコイフシ)、此外展轉(コイマロビ)、反側(コイマロビ)などある許伊(コイ)も、許夜理(コヤリ)と一言の活用なり、

〔日本書紀〕

〈二十二/推古〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 二十一年十二月庚午朔、皇太子〈○厩戸〉遊行於片岡、時飢者臥(フセリ)道垂、〈○中略〉則歌之曰、斯那提流(シナテル)、箇多烏箇夜摩爾伊比爾惠氐(カタヲカヤマニイヒニエテ)、許夜勢屢(コヤセル)、諸能多比等阿波禮(ソノタビトアハレ)〈○下略〉

〔萬葉集〕

〈三/挽歌〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 十六年〈○天平〉甲申春二月、安積皇子薨之時、内舍人大伴宿禰家持作歌六首、〈○中略〉
和豆香山(ワヅカヤマ)、御輿立之而(ミコシタテシテ)、久堅乃(ヒサカタノ)、天所知奴禮(アメシラシヌレ)、展轉(コヒマロビ)、泥土打雖泣(ヒツチナケドモ)、將爲須便毛奈思(セムスベモナシ)、

〔空穗物語〕

〈國讃下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 わがさいはいなく、はぢみるべきすぐせの有ければ、心ちのとし月こそあれ、かかる年月をみる事と、ふしまろびなき給、

〔源氏物語〕

〈五十二/蜻蛉〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 わかきもの共のことおほせられたるは、たのもしきことになんなどよろこぶをみるにも、ましておはせましかばとおもふに、ふしまろびてなかる、

〔榮花物語〕

〈五/浦々の別〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 中納言殿〈○藤原隆家〉は京いでたまひて、たむばざかひにて御馬にのらせ給ぬ、御車はかへしつかはすとて、とし比つかはせ給けるうしかひわらはに、此うしはわがかたみにみよとてたべは、わらはふしまろびてなくさま、まことにいみじ、

盥嗽

〔新撰字鏡〕

〈口〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 吷〈子葉市狹二反、志波不支、又口須々久(○○○○)、〉

〔類聚名義抄〕

〈九/皿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 盥〈管實二音 洪手面也テアラフ(○○○○) クチスヽク〉

〔同〕

〈五/水〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 漱、涑、〈所雷反、失豆反、 又速音 スヽク(○○○)クチスヽク 又速隻反〉

〔伊呂波字類抄〕

〈久/人事〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 嗽〈クチスヽク〉 漱〈已上同漱石是也〉

〔同〕

〈天/人事〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 盥〈テアラフ澡手也〉 澡〈澡浴水是也〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01306.gif
https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01307.gif 〈已上同〉

〔下學集〕

〈下/態藝鵜飼(ウカイ/○○)嗽也〉

〔運歩色葉集〕

〈宇〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 嗽口(ウガイ)

〔日本書紀〕

〈二十/敏達〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 十年潤二月、蝦夷數千冦於邊境、由是召其魁帥綾糟等、〈○中略〉於是綾糟等懼然恐懼、乃下泊瀨中流、面三諸岳、漱水而盟曰、〈○下略〉

〔續日本紀〕

〈七/元正〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1000 養老元年十一月癸丑、天皇臨軒詔曰、〈○中略〉覽當耆郡〈○美濃〉多度山美泉、自盥手面、皮膚 如〈○如恐加〉滑〈○中略〉又就而飮浴之者或白髮反黑、或頽髮更生、〈○下略〉

〔寬平御遺誡〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1001 朕〈○宇多〉聞、未旦求衣之勤、毎日整服、盥嗽拜神、

〔台記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1001 康治二年十二月八日庚寅、午剋始見周易、至九五爻而止之、依吉爻也、今日依入學吉始見也、置卷第一於書案、再拜後見之、盥嗽、著https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m00817.gif 直衣見之、後々又可此、此書殊可敬之故、在後々尤可拜也、女犯、魚食不憚、只盥嗽可見也、

〔源平盛衰記〕

〈四十三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1001 源平侍遠矢附成良返忠事
判官〈○源義經〉ハ軍負色ニ見エケレバ、鹽瀨ノ水ニ口ヲ嗽、目ヲ塞テ合掌、人幡大菩薩ヲ祈念シ奉、〈○下略〉

〔早雲寺殿廿一箇條〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1001 一手水(○○)をつかはぬさきに、厠より厩庭門外迄見めぐり、先掃除すべき所を、にあひの者にいひ付、手水をはやくつかふべし、水はありものなればとて、多くうがひし捨べからず、家のうちなればとて、たかく聲はらひする事、人にはゞからぬ體にて聞にくし、ひそかにつかふべし、天に躅地に蹐すといふ事あり、

〔石田先生事蹟〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1001 平生朝は未明に起きたまひて、手洗(○○)し、〈○中略〉それより食にむかひて一々頂戴し、食し終りて口すゝぎ(○○○○)、〈○中略〉
暮がたにも、又さうちし、手水(○○)し、〈○中略〉
衣服こしにも、足に手をふれ給ふ事あれば、卽ち立て手水したまへり、

沐浴

〔類聚名義抄〕

〈五/水〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1001 沐浴〈木欲二音 上力シラアラフ(○○○○○○)下アム(○○) カハアム(○○○○)〉

〔伊呂波字類抄〕

〈加/人事〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1001 沐〈カシラアラフ濯髮也〉 浴〈カハアム〉

〔同〕

〈由/人事〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1001 浴〈ユアム(○○○) 洗浴酒身也、澡也、〉

〔同〕

〈毛/疊字〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1001 沐浴

〔倭訓栞〕

〈前編三十五/由〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1001 ゆあみ 沐浴をいふ、湯洗の義也、日本紀に洗をあみとよめり、

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1001 浴(ユアフル) 沐浴(モクク/○○)〈沐濯髮也、浴洗身也、經音義、水酒身在首曰沐、在身曰浴、〉

〔九條殿遺誡〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1001日沐浴、〈五箇日一度〉沐浴吉凶、〈黃帝傳曰、凡毎月一日沐浴短命、八日沐浴命長、十一日目明、十八日逢盜賊、午日失愛敬、亥日見址、惡日不浴、其惡日、寅、〉 〈辰、午、戊、下食日等也、〉

〔拾芥抄〕

〈上本/諸頌〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1002 下食日沐浴誦
妙善王 金著王 追杖鬼 參尾王 波羅鬼〈○中略〉
浴間鐘撞時歌
コヨヒ鐘撞ザルサキニユアミヨトミヽツマナクニイヒテシモノヲ

〔日太書紀〕

〈五/崇神〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1002 六十年七月、兄謂弟曰、淵水淸冷、願欲共游沐(カハアミム)、弟從見言、各解佩刀淵邊於(カハアフル)水中

〔古事記〕

〈中/景行〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1002 倭建命、〈○中略〉卽入坐出雲國、欲其出雲肆而、到卽結友、故竊以赤檮、作詐刀、爲御佩、共沐肥河、〈○下略〉

〔日本書紀〕

〈十二/反正〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1002 瑞齒別天皇、〈○反正、中略、〉天皇初生于淡路宮、生而齒如一骨、容姿美麗、於是有井曰瑞井、則汲之洗太子(アムシマツル)、時多遲花落有于井中、因爲太子名也、多遲花者、今虎杖花也、

〔新撰姓氏錄〕

〈右京神別〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1002 丹比宿禰
火明命三世孫天忍男命之後也、〈○中略〉色鳴、大鷦鷯天皇〈○仁德〉御世、皇子瑞齒別尊、〈○反正〉誕生淡路宮之時、淡路瑞井水奉御湯、于時虎杖花飛入御湯瓫中、色鳴宿禰、稱天神壽詞、奉號曰多治比瑞齒別尊、乃定多治比部於詣國、爲皇子湯沐邑、卽以色鳴宰、

〔日本書紀〕

〈十四/雄略〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1002 三年〈○安康〉八月、穴穗夫皇〈○安康〉意將沐浴幸(ミユアミタマハンオホシテ)于山宮、遂登樓兮遊目、

〔續日本紀〕

〈十二/聖武〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1002 天平九年八月癸卯、命四畿内二https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m00023.gif 及七道諸國僧尼、淸淨沐浴、一月之内二三度、令最勝王經

〔日本靈異記〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1002 聾者歸敬方廣經典現報兩耳緣第八
先潔其身、香水澡浴、依方廣經、〈○中略〉
澡浴〈加波阿彌氐〉 女人好風聲之行仙草以現身飛天緣第十三大和國宇太郡漆部里有風流女、卽彼部内漆部造麿之妾也、〈○中略〉極窮无食无便无衣綴藤、日々沐浴潔身著綴、

〔土佐日記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1003 十三日〈○承平五年正月〉のあかつきにいさゝかに雨ふる、しばしありてやみぬ、男をんなこれかれゆあみなどせんとて、あたりのよろしき所にをりてゆく、〈○下略〉

〔保元物語〕

〈三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1003 爲朝生捕被流罪
八郎〈○源爲朝、中略、〉古キ湯屋ヲ借リテ、常ニヲリユヲゾシケル、

〔權記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1003 寬弘六年五月一日(別記也)乙卯、今日朝沐浴、或人云、五月不沐髮、又月一日忌浴云、仍見曆林五月一日沐髮良、此日沐令人明目長命富貴、又云五月一日日出沐浴、除過三百、令人无一レ病、五月一日沐浴、延年除禍、一云朔日沐浴、不三月、有大喜、依此等文沐浴也、

〔帝王編年記〕

〈十七/三條〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1003 長和二年七月六日、妍子女御〈道長公第二女〉有御産事、降誕皇女、〈陽明門院〉可御浴殿事、而七日不宜、陰陽師吉平務申、八日左大臣〈道長〉被仰云、世俗此日不浴如何、吉平申云、此事無所見、七月八日沐浴之由見于尚書曆、仍有御浴殿事

〔殿曆〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1003 天永三年四月八日、世俗云、今日不沐浴、但主上今日必有御沐浴、然世俗忌不得心尋、元永元年十月二日、早旦沐浴頭アラフ、召陰陽師光平泰長家榮、令日時

〔台記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1003 保延二年十{月七日辛未、今日予〈○藤原賴長〉春日詣也、子剋許沐浴、著衣冠

〔平治物語〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1003 義朝野間下向事附忠致心替事
長田莊司子息先生景宗ヲ近付テ、〈○中略〉御湯ヒカセ給ヘトテ、湯殿ヘスカシ入奉テ、〈○源義朝、中略、〉指弑シ可進、〈○中略〉ト計ヘバ、〈○下略〉

〔玉海〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1003 安元三年三月一日辛丑、依毎月幣沐浴、神事如恒、付幣於社司、依恒例事也、 八月六日癸酉、爲 風痹沐浴、

〔平家物語〕

〈十〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1004 せんじゆ
かのゝすけ〈○宗茂〉は情ある者にて、いたうきびしうもあたり奉らず、〈○平重衡〉やう〳〵にいたはりまいらせ、あまつさへ、ゆどのしつらひなんどして、御ゆひかせ奉る、

〔玉海〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1004 文治二年正月一日庚辰、抑年來當日浴、而舊年浴之後、身無不淨之時、當日不必浴之由、見故殿〈○藤原忠通〉御記、仍今日不浴之、

〔石田先生事蹟〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1004 禁裏へ拜見の事有りて、參り給ふには、必沐浴したまへり、〈○中略〉
貴人へ見え給ふ時は、かならず沐浴したまへり、〈○中略〉
伊勢參宮の人を迎ひに行給ふ時は、沐浴して出で給へり、神を拜する心にて迎へ給ふとなり、自參宮したまふ時は、旅宿にて毎夜沐浴しだまへり、
先生故郷へ行き給ふには、かならず宅にて沐浴し出で給ふ、道の程七里ばかりの所なるが、故郷の宅に著し給ふまでは、二便を便じ給はず、是は身を汚さじとなり、
○按ズルニ、沐浴ニ關スル事ハ、居處部浴室篇、及ビ器用部澡浴具篇ニ載セタレバ、宜シク參看スベシ、

〔運歩色葉集〕

〈幾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1004 行水(○○)

〔書言字考節用集〕

〈九/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1004 行水(ギヤウズイ)

〔太平記〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1004 長崎新左衞門尉意見事附阿新殿事
五月〈○元弘元年〉二十九日ノ暮程ニ、資朝卿〈○藤原〉ヲ籠ヨリ出シ奉テ、遙ニ御湯モ召レ候ハヌニ、御行水候ヘト申セバ、早斬ラルべキ時ニ成ケリト思給テ、〈○下略〉

〔百家埼行傳〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1004 行水政右衞門 寶曆明和のころ、武藏の國豐島郡代々木村といへる處に、行水政右衞門と云ふ者ありけり、農家にして身上大いに富めり、這政ゑもん壯年より暑寒とも、冷水にて行水する事をこのむ、夏の夕湯を以身をあらひ、汗を流し去事、世間みな同じ事なり、獨這政ゑもんは水をもつて、身を洗ふ事をす、夏にかきらず、冬極寒の時といへども、盤に汲せ行水しける、亦食事も熱きものを喰ず、皆悉く冷物を食す、飯汁野菜のたぐひも、一端は焚せて、しばらく寒しおき、冷たる時にいたりて喰しける、其外何にまれ熱きものを喰たる事なし、寒中風雪などの日、他へ行て歸れば、忽ち井の水を汲せて、背より五六度あみ、夫より躬をぬぐひて、家に入て座し、少時ありて、ヤレ〳〵大いに温まりしと云けるとなり、予〈○八島五岳〉が父這事を聞、わざ〳〵尋ねいたり、政ゑもんに出會して談話せしに、當時齡百六歲なれども、齒一枚もぬけず、髮も白髮わづかにまじり、いたりて色白く、元來躬達者にて、當日庭上に薪を破りて居りしとなり、奈何なれば、然やうに冷物のみ好玉ふぞと問に、政ゑもん答て云やう、都て人壽百歲とて、百までは生らるゝ物なるを、世間の人、みな色食の一つより命を縮て、はやく死るなり、今の世の人の如く、熱食のみする時は、忽ち氣の上る病おこりて、頭上熱く下冷わたりて、死骸にひとし、是則ち下より死支度する初なりとは知ずして、愈色食の二つに心をとられ、終にははやく冥府におもむく、いと歎しき事ならずや、我如く冷物のみ食する時は、下熱かに上冷て壽永し、亦熱き湯に入て沐浴するときは、總身血のめぐりあしくなるなり、我壯年より冷物のみ喰し、水にて沐浴するをもて、百餘年の今日まで、病といふ事を知ず、願くは世人我如くして長壽を保ち給へかし、然どもおのれが如く、具の冷物は迚も喰しがたかるべし、唯熱食をやめて、温きものを食すべし、湯もぬるきを浴給へと、敎けるとなり、這政ゑもん夫より後も猶無病にて、久く存命せりとそ聞し、

〔後拾遺和歌集〕

〈九/羈旅〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1005 はりまのあかしといふ所に、しほゆあみ(○○○○○)にまかりて月のあかゝりけるよ、中 宮のだいばん所に奉り侍ける、 中納言資綱〈○歌略〉

〔金葉和歌集〕

〈九/雜〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1006 しほゆあみに、にしのうみのかたへまかりたりけるに、〈○中略〉
平康貞女〈○歌略〉

〔吾妻鏡〕

〈十/八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1006 建永二年〈○承元元年〉正月十八日甲午、將軍家〈○源實朝〉二所御精進始、爲潮給御濱出也、

〔攝津名所圖會〕

〈一/住吉郡〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1006 住吉大神社〈○中略〉
潮湯(六月十四日)〈此日近世より諸人社頭に群參し、住吉浦の潮水に浴し、百病平愈を禱るに、靈驗炳然し、土人曰、これを御祓の神輿洗といふ、又諺に云、此日熊野本宮の温泉こゝに涌出るとぞ、〉

〔新撰字鏡〕

〈水〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1006 泝、https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01308.gif 、〈同、桑故反、去、逆流而上曰泝、回也、行宇加夫、又於與支(○○○)、〉

〔類聚名義抄〕

〈五/水〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1006 游〈音猷 オヨク〉 泳〈音詠 オヨク〉

〔伊呂波字類抄〕

〈於/辭字〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1006 泳〈オヨク潛行水中也〉 激 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01309.gif 淤 涾 渉 延 澗 汓 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01310.gif 〈浮行也、古文作仔、〉 涵 瀰〈已上同、亦作遊、〉

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1006 游者溺(ヲヨグモノハヲボル)〈淮南子、善游者溺、善騎者墮、各以其所一レ好反自爲禍、〉 泅(ヲヨグ)〈説文、浮行水上也、〉 游(同)〈廣韵、浮也、〉 泳(同)〈毛萇云、潛行爲泳、〉 汆(同)〈音游、支那俗字、代醉、言人在水上也、〉

〔倭訓栞〕

〈前編四十五/於〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1006 およぐ 游をいふ、泳字もよめり、新撰字鏡にはhttps://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01308.gif もよめり、押よぐる義にや、列子林注に、游は拍浮者也といへば、おふすと義かよふ成べし、俗におひがくともいへり、

〔類聚名義抄〕

〈五/水〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1006 溺〈https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01311.gif 音 シツム(○○○) タヽヨフ〉

〔伊呂波字類抄〕

〈於/辭字〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1006 溺〈オホル(○○○) ナホル ゝイ溺水溺名〉

〔書言字考節用集〕

〈八/言辭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1006 溺(ヲボル)〈溺水〉 https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01312.gif (同)〈音沒、支那俗字、代醉、言沒入水也、〉

〔古事記〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1006 故其猨田毘古神坐阿邪訶〈此三字以音、地名、〉時、爲漁而於比良夫貝、〈自比至夫以音〉其手見咋合而沈溺海鹽、故其沈居底之時名、謂底度久御魂、度久二字以音其海水之都夫多都時名、謂都夫多都御魂、〈自都下四字以音〉其阿和佐久時名、諧阿和佐久御魂、〈自阿至久以音〉

〔古事記傳〕

〈十六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1007 沈溺は淤煩禮(才ボレ)と訓べし、さて此神は、如此て是時に薨坐しにや、然には非ずや決めがたし、

〔日本書紀〕

〈二/神代〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1007 一云、〈○中略〉弟〈○彦火火出見尊〉時出潮滿瓊、卽兄〈○火酢芹命〉擧手溺困(ヲボレクルシム)、還出潮涸瓊則休而平復、

〔日本書紀〕

〈三/神武〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1007 戊午年六月、登天磐盾、仍引軍漸進、海中卒遇暴風、皇舟漂蕩、〈○中略〉三毛入野命亦恨之曰、我母及姨並是海神、何爲起波瀾以灌溺(オホヽスヤ)乎、則踏浪秀而往乎常世郷矣、

〔今昔物語〕

〈十九〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1007河邊僧値洪水子助母語第廿七
今昔ノ比、高鹽上リ、淀河ニ水增リテ、河邊ノ多ノ人ノ家流ケル時ニ、年五六歲許ニテ、色白ク形チ端正ニシテ、心ハへ嚴カリケル男子ヲ持チ、片時モ身ヲ不離レ愛スル法師アリ、而ル間其ノ水ニ此ノ法師ノ家押シ被流ニケリ、然レバ其ノ家ニ、年老タリケル母ノ有ケルヲモ不知ズ・此ノ愛スル子ヲモ知ズシテ、騷ギ迷ケルニ、子ハ前ニ流テ、母ハ一町許下ラ、浮ビ沈ミシテ流下ケルニ、此ノ法師色白キ見ノ流ケルヲ見テ、彼レハ我ガ子ナメリト思テ、騷ギ迷テ游ヲ搔テ流レ合テ見ルニ、我ガ子ニテ有レバ、喜ビ乍ラ片手ヲ以テ、子ヲ提テ、片手ヲ以テ游ヲ搔テ岸樣ニ來テ著ムト爲ル程ニ、亦母水ニ溺レテ流レ下ルヲ見テ、二人ヲ助可キ樣ハ无カリケレバ、法師ノ思ハク、命有ラバ子ヲバ亦モ儲ラム母ニハ只今別レナバ、亦可値キ樣无シト思テ、子ヲ打弃テ母ノ流ルヽ方ニ搔キ著テ、母ヲ助ケテ岸ニ上セツ、〈○下略〉


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Last-modified: 2022-06-29 (水) 20:06:25