p.0359 佐渡國ハ、サドノクニト云フ、北陸道ニ屬シ、越後國新潟港ノ西方凡ソ十一里ノ海中ニ在リ、東西凡ソ七里、南北凡ソ十一里、周廻凡ソ五十三里餘、其地勢ハ、二條ノ山脈ヨリ成リ、兩者ノ
p.0360 間、一小平地ヲ開キ、之ヲ國中(クニナカ)ト稱ス、國中ノ左右ハ海水灣入シ、島状殆ド二箇ノ連結ヨリ成ルモノヽ如シ、而シテ土俗其前後ヲ分チテ、大佐渡、小佐渡ト稱ス、此國ハ、古ヘ國府ヲ雜太郡ニ置キ、羽茂(ハモチ)、雜太(サハタ)、賀茂(カモ)ノ三郡ヲ管シ、延喜ノ制、中國ニ列ス、明治維新ノ後、三郡ヲ合シテ一郡トシ、之ヲ佐渡郡ト稱シ、新潟縣ヲシテ之ヲ治セシム、
〔倭名類聚抄〕
〈五國郡〉
p.0360 佐渡
〔運歩色葉集〕
〈佐〉
p.0360 佐渡 佐州
〔饅頭屋本節用集〕
〈左天地〉
p.0360 佐渡(サド)〈渡州〉
〔日本風土記〕
〈一寄語島名〉
p.0360 佐渡〈沙度(サアドウ)〉
〔倭訓栞〕
〈前編十佐〉
p.0360 さど 佐渡の國は、狹門の義也といへり、
〔古事記傳〕
〈五〉
p.0360 佐度島、名義は狹門(サド)か、此島へ舟入るヽ水門(ミナト)のせばきにや、〈凡て海に、島門(シマド)、水門(ミナト)、迫門(セト)など云ること多し、〉なほ國形をよく尋て定むべし、
〔類聚名物考〕
〈地理一〉
p.0360 佐渡國 北陸道 この國は、北國の越後の後より、海をわたりて行國なれば、その海道の間せまくあれば迫門(セト)なるを、世と佐とは音の通へばいふなり、すべて海の狹く、兩傍にはさまれたる所を迫門と云ふ、 萬葉集にかく書るは、世末里止の意にて、門戸はみな止(ト)といふ、狹戸(サト)といふに同じ、
〔諸國名義考〕
〈下〉
p.0360 佐渡 名義は、〈◯中略〉中川顯允は、海中に放れたる國なれば、離所(サカド)の略(ハブ)かりならむといへり、
〔地勢提要〕
〈乾〉
p.0360 各國經緯度〈附里程〉 佐渡相川、〈濁川町〉極高三十八度二分、經度東二度三十五分、從二越後出雲崎一至二佐渡小木湊一、渡海直徑一十一里三十三町、前同〈◯從二東都一〉一百九里九町十九間、
〔日本經緯測實度〕
p.0361 北極出地 佐渡 小木湊 三七度四八分三〇秒 相川 三八度二〇分〇〇秒 松崎湊 三七度五四分三〇秒 夷川 三八度〇四分三〇秒〈◯中略〉 東西里差 山城 京 〇度〇〇分〇〇秒〈◯中略〉 佐渡 相川 東二度五五分二二秒
〔日本實測録〕
〈五〉
p.0361 佐渡國〈◯中略〉 沿海周廻五十三里一十町五十二間半
〔日本地誌提要〕
〈四十二佐渡〉
p.0361 疆域 越後新潟ノ西少北、海上壹拾壹里餘ニアリ、周回五拾三里壹拾町五拾貳間半、東西凡七里餘、南北凡壹拾壹里、
〔日本實測録〕
〈十島嶼〉
p.0361 佐渡國雜太郡 遠測 大島 加茂郡 遠測 鷗島 二ツ龜 沖瀬
〔易林本節用集〕
〈下〉
p.0361 佐渡、〈佐州〉中、管三郡、四方三日半、草木勝地、牛馬不レ知レ貴魚鼈五穀多、中上國也、
〔佐渡志〕
〈一形勝〉
p.0361 此國ノカタチ、山マタ山ツラナリテ、海ノ面ニ臥横タハレルガ、其中斷テ坦カナル所ニ、田多ク開ケ、湖潮湛エヌ、遠ク是ヲ望ムニ、其地勢二ツニ分レタルガ如シ、サテコソ土人ノ詞ニ、大佐渡小佐渡(○○○○○○)トモイヒ習ハシタルニヤ、大概山深カラズトイヘドモ、必險シク、川濶カラズトイヘドモ、必清ラカ也、國ノ周リニアル村里、多クハ山ニ背キ海ニ向ヒ、或ハ岸ソバダチ巖スルドニ、或ハ汀淺ク石出デ、潮ノ聲常ニ怒リ、大船ヲヨスベキ所殊ニ少シ、實ニ天下ノ絶險トヤイフベカラム、今ノ府治ハ善知鳥ノ郷相川里〈古加茂郡ノ地ニシテ、今ハ雜太郡ノ内トナリヌ、委シクハ建置ノ條ニ出セリ、〉ニアリテ、東ノ方銀山ニ倚リ、西ノ方大海ニ臨ミ、南北皆澗ヲ帶テ、七十餘街其中ニ開ケリ、
〔日本實測録〕
〈五〉
p.0361 佐渡國〈從二越後國三島郡出雲崎一、至二佐渡國羽茂郡小木湊一、渡海直徑、一十里三十三丁、〉 羽茂郡、小木湊、三十七度四十八分半、 五里六町一十九間半〈至二澤崎村一二里九丁一十五間半〉 龜脇村 三里一
p.0362 十五町四十間半 雜太郡新町濱、〈至二新町宿所一四丁二間〉三十七度五十七分半、〈從二宿所一至二新穂町一、二里一十五丁四十一間、從二新穂一至二加茂郡夷町一、二里二十四丁二十四間、又從二宿所一、至二順徳帝陵一、一十八町四十三間、〉 二里一十五町七間〈至二河原田町一一里四丁四十五間〉 澤根町、三十八度三十秒、〈至二濁川町一徑測一里一十九丁〉 二里一十二町四十三間 橘村、三十七度五十九分、 二里三町二十一間 相川濁川町、三十八度二分、 四里三十一町三十三間半〈至二姫津村一一里二十八丁三十三間半〉 北片邊村 二里三十五町五十一間〈至二千本村一一里一十一丁一十八間〉 加茂郡小田村 六里二十一町四十九間〈至二眞更川村一一里三十三丁四十九間、從二眞更川一至二鵜島村一、二十九丁三十七間、〉 鷲崎村 三里二十五町二十八間〈至二見立村一三十三丁四十三間〉 浦川村 三里二十六町一十九間〈至二白瀬村一二里五丁五十間〉 夷町、三十八度四分半、 四里九町五十二間 水津湊、三十八度四分、 一里二十五町五十九間 野浦村、三十八度一分半、 三里一十一町二十九間 羽茂郡松ケ崎湊、三十七度五十四分半、 二里三十二町四十四間 赤泊湊、三十七度五十一分半、 一里二十七町五十間 赤岩村、三十七度四十九分、 一里三十二町四十七間 小木湊 沿海周廻五十三里一十町五十二間半、
〔延喜式〕
〈二十八兵部〉
p.0362 諸國驛傳馬〈◯中略〉 佐渡國驛馬〈松崎、三川、雜太各疋、通充二傳馬一、〉
〔日本國郡沿革考〕
〈二北陸道〉
p.0362 佐渡 古佐渡島、〈日本紀〉天平十五年、併二越後國一、天平勝寶四年十一月復置、中國、管三郡、二百六十一村、 加茂〈百村 養老五年四月、分二雜太郡一置、延喜式等作二賀茂一、〉 雜太( /サハタ)〈百村 古府治〉 羽茂〈六十一村 養老五年四月分二雜太郡一置、〉 鹿臥(カフス)〈見二扶桑略記一、厥廢置、未レ詳レ在二何時一、〉
〔日本地誌提要〕
〈四十二佐渡〉
p.0362 沿革 古ヘ國府ヲ雜太郡ニ置、〈今ノ竹田村ノ澤田是ナリト云〉鎌府ノ初、播磨人本間能忠來テ國府ニ居リ、世々澀谷、藍原、土屋三氏ト各地頭トナル、承久ノ亂、北條義時、順徳天皇ヲ雜太郡〈和泉村〉ニ遷シ、仁治三年崩ズ、後本間氏守護ヲ領シ、徙テ河原田〈雜太郡〉ニ居リ、同族分レテ澤根、
p.0363 〈同郡〉羽茂、〈羽茂郡〉新穗〈加茂郡〉數邑ニ居ル、天正五年、上杉輝虎伐テ之ヲ降ス、義子景勝封ヲ襲グニ及テ、羽茂ノ本間高貞、約束ヲ受ケズ、十七年、景勝將ヲ遣テ之ヲ伐チ、高貞ヲ殺シ、河原田本ノ間高綱ヲ降シ、全州ヲ併ス、慶長ノ初、豐臣氏景勝ヲ會津ニ移封シ、吏ヲ遣テ州事ヲ管セシム、關原役後、徳川氏奉行ヲ置キ、河原田古城ニ治ス、後ニ相川ニ徙ス、王政革新、佐渡縣ヲ置、旣ニシテ改テ相川縣ト稱ス、
〔日本書紀〕
〈一神代〉
p.0363 伊弉諾尊、伊弉册尊、〈◯中略〉先以二淡路洲一爲レ胞、〈◯中略〉廼生二大日本〈日本此云二耶麻騰一下皆效レ此一〉豐秋津洲一、〈◯中略〉次雙三生隱岐洲與二佐度洲一、世人或有二雙生一者象レ此也、〈◯中略〉由レ是始起二大八洲國之號一焉、
〔古事記〕
〈上〉
p.0363 於レ是伊邪那岐命、先言二阿那邇夜志愛袁登賣袁一後妹伊邪那美命、言二阿那邇夜志愛袁登古袁一、如レ此言竟而、御合生子、〈◯中略〉次生二佐度島一、〈◯中略〉故因二此八島先所一レ生謂二大八島國一、
〔古事記傳〕
〈五〉
p.0363 此島のみ亦名のなきは、古より脱たるなるべし、〈口決、また元々集などに、建日別とあれど、是は舊事紀に、次熊襲國謂二建日別一、一云二佐渡島一とあるを取て云るひが言なれば、依るに足らず、舊事紀は、此記に佐度島に亦名の無を疑、又熊曾國と云は、後の九國に無き名なれば、此を佐度のことかとも思て、おしあてに、一云二佐渡島一と云るなれば、例の妄り言なるをや、又口決一本に、達日別ともあるは、後の寫しあやまりなり、〉
〔先代舊事本紀〕
〈十國造〉
p.0363 佐渡國造 志賀高穴穗朝、〈◯成務〉阿岐國造同祖久志伊麻命四世孫、大荒木直定二賜國造一、
〔續日本紀〕
〈十五聖武〉
p.0363 天平十五年二月辛巳、以二佐渡國一并二越後國一、
〔續日本紀〕
〈十八稱徳〉
p.0363 天平勝實四年九月丁卯、渤海使輔國大將軍慕施蒙等、著二于越後國佐渡島一、
〔續日本紀〕
〈十八稱徳〉
p.0363 天平勝寶四年十一月乙巳、復置二佐渡國一、守一人、目一人、
〔續日本紀〕
〈二十二淳仁〉
p.0363 天平寶字三年正月戊寅、外從五位下生江臣智無呂爲二佐渡守一、
〔類聚三代格〕
〈五〉
p.0363 太政官謹奏 佐渡國今置二掾一員一〈◯中略〉
p.0364 右件兩國僻二在邊遠一、官員乏少居レ上之人、若有二事故一者、則典代之掌レ印、求二之道理一、良不二穩便一、伏乞、更置二件員一、以備二職務一、謹録二事状一、伏聽二天裁一、謹以申聞、謹奏聞、 大同四年二月十九日
〔續日本後紀〕
〈三仁明〉
p.0364 承和元年十二月己巳、佐渡國言、國例、毎レ郡郡司一人、專二當貢賦一、冬中助備、夏日上道、而或遭二風波一留二連海上一、或供二相撲節一、不レ得二早歸一、此際無レ人二充用一、郡政擁滯、請正員外毎レ郡置二權任員一、支二配雜務一、許之、
〔三代實録〕
〈三十二光孝〉
p.0364 元慶元年十二月廿一日丁亥、能登佐渡兩國并始置二撿非違使各一人一帶レ劒把レ笏、
〔太平記〕
〈二〉
p.0364 長崎新左衞門尉意見事附阿新殿事 君〈◯後醍醐〉御謀叛ヲ申勸ケルハ、源中納言具行、右少辨俊基、日野中納言資朝也、各死罪ニ行ルベシト、評定一途ニ定テ、先去年ヨリ佐渡國ヘ流サレテヲハスル資朝卿ヲ斬奉ベシト、其國守護本間山城入道ニ被二下知一、
〔日本鹿子〕
〈十〉
p.0364 佐渡國 小木 江戸ヨリ〈海陸百八里二十四丁 内出雲崎ヨリ船路十八里〉 御代官 〈三千石〉鈴木三郞九郞
〔倭名類聚抄〕
〈五國郡〉
p.0364 佐渡國〈國府在二雜太郡一、行程上二十四日、下十七日、〉
〔佐渡志〕
〈三古蹟〉
p.0364 古府 古ヘノ國府、雜太郡ニ置レシコト、源順朝臣ノ和名類聚抄ニ載ラレ、遊行八世渡船上人、文和年中渡海記ニモ、府中ニ移リシトキ、本間ガ一族渇仰シケルヨシヲ記シ、殊ニハ國分寺モ右ヘヨリ雜太郷ノ内ニアリテ、今モ國分寺村トテ一村アレバ、カタガタ雜太郡今地名、民間ニ澤田ト唱フルトコロ是ナリト見エタリ、檀風ノ古城ハ、今ノ竹田村ノ田間ニ古跡アレドモ、コヽモ澤田ノ中央ナリ、コノ城ヲ古ヘ檀風トイヒシ事ハ、資朝卿ノ歌ニ、秋タケシ檀ノ梢フクカゼニ澤田ノ里ハ紅
p.0365 葉シニケリ、コノ歌ヨリ出テ、世ニ行ル、謠曲ニモ、檀風トイフ一闋アリ、彼ノ卿ノ息阿新、仇ヲ報ヒシコトヲ演ベタリ、古府ヨリ西ノ方ニ、城戸街道トイフ處アリテ、今小川内ノ眞樂寺コレナリ、
〔倭名類聚抄〕
〈五國郡〉
p.0365 佐渡國〈◯註略〉管三〈◯註略〉羽茂 雜(サハ)太〈佐波太國府〉賀茂
〔延喜式〕
〈二十二民部〉
p.0365 佐渡國、中、〈管 羽茂(ウモ) 雜太(サハタ) 賀茂〉 右爲二遠國一
〔皇國郡名志〕
p.0365 佐渡國〈三郡〉 羽茂(ハモチ) 〈＜小木 △金山 ＜赤岩 ＜赤泊 ●城山 ●高崎 東ノ海邊ヨリ細長南ニ出崎〉 雜太(サハタ) 〈＜羽田 ＜相川 ＜石花 ●二見 ●澤崎 ＜カウヤ町 西南郡〉 加茂(カモ) 〈●矢柄 ●小田 ●鷲崎 ＜吉井 △金北山 ●大野 △順徳院陵 ●水津 ●湊 ＜夷 北海ニ向郡〉 ◯按ズルニ、本書及ビ次下ノ郡名異同一覽ノ符號ハ、山城國篇郡條ニ引ク所ノ、二書ノ凡例ヲ參照スベシ、
〔郡名異同一覽〕
p.0365 佐渡
〔佐渡志〕
〈一形勝〉
p.0366 雜太郡(○○○)、東ニ長谷小倉ノ山々續キテ、北ハ名ニシオフ北山ノ峯秀デタリ、其西ノ麓コソ相川ノ銀山ニハアリケレ、浦ハ西南ニ折レテ、南ニ入海ノ眺望アリ、西ハ大海ソノ限ヲ知ラズ、象緯家ガ言ニヨルニ、マサシク異邦ノ地ナルベシ、 加茂郡(○○○)、東ニ米山、國見山アリ、北ニ大山、巓山、金剛、檀特ノ諸山兢ヒタテリ、東ノハヅレ水津ノ岬ヨリ南ニ續ケル浦々ハ、越後國ト海ヲ隔テヽ相ノゾミ、北ノハヅレ鷲岬ノ彈野トイフ所ヨリハ、出羽ノ山々仄カニ見エテ、中ニモ聳ヘタルハ鳥海山ナリ、西ノ方、海ノ限リヲ知ラザルコトハ、雜太郡ニ同ジカルベシ、此郡ニ湖アリ、海ヲ隔ツルニ只一條ノ長洲ヲ以テ、其洲ノナカバニ橋アリテ、水ト潮ト相通ヘルサマ、殊ニメヅラカ也、 羽茂郡(○○○)、山必シモ高カラ子ド慶泰山、新倉山ノタグヒ、觀ツベキ所殊ニ多シ、加茂郡ニ續キタル方ハ、近ク越後ノ浦々ヲ望ムコト亦同ジサマナリ、三岬トイフアタリヨリ、遠ク越中能登ノ山々マデヲ望ム、此郡ニ小木ノ浦アリ、海門トザセルガ如ク、浪常ニ穩ナレバ、國々ノ船ドモ來リ湊ヒテ、有ヲ以テ無ニ易フ、此國ノ咽喉ナドヽモイフベキニヤ、但路程ノ長短、海巖ノ險峻ニイタリテハ、タトヒ筆力ヲツイヤストモ、容易ク其眞ヲ述ルコトアタハズ、
〔續日本紀〕
〈八元正〉
p.0366 養老五年四月丙申、分二佐渡國雜太郡(○○○)一、始置二賀母(○○)、羽茂(○○)二郡一、
〔三代實録〕
〈三十六光孝〉
p.0366 元慶三年十二月十五日庚子、太政官奏曰、〈◯中略〉佐渡國浪人高階眞人利風、鬪二殺雜大團權校尉道公宗雄一、及盜二取高階眞人有岑財物一、賀茂郡(○○○)人神人勳知雄、道古、今人爲二鬪殺之從一、〈◯下略〉
〔倭名類聚抄〕
〈七佐渡國〉
p.0366 羽茂郡 越太 大目〈於保女〉駄太 菅生〈須加布〉八桑〈也久波〉松前〈萬都佐木〉星越〈保之古之〉高家〈多加倍〉水湊〈美奈也◯湊、高山寺本作レ湊、〉
p.0367 雜太郡 岡 石田 與知 高家〈多介倍〉八多 竹田 小野 雜田〈佐波多〉 賀茂郡 升栗〈◯高山寺本注二惠久利一〉賀茂 動知〈◯動、高山寺本作レ勳、〉大野 佐爲
〔佐渡志〕
〈二官員〉
p.0367 可レ令三早本間左衞門四郞有綱、領二知佐渡國波多郷(○○○)内、本間十郞左衞門入道忍蓮女子跡、〈山城九郞左衞門入道舊妻〉次郞兵衞尉女子跡、〈號小田女子〉並孫太郞入道跡代官職一事、 右守二先例一可レ令二領掌一之状、如レ件、 元亨三年十二月十六日 左馬助平朝臣判〈◯中略〉 本間新兵衞尉貞忠申、佐渡國泉保新宮保金丸郷(○○○)、宇津尾保青木郷(○○○)事、守二貞和五年十一月十三日御下文一、可レ被レ沙二汰付貞忠代一之状、依レ仰執達如レ件、 觀應二年六月二十七日 筑後守判 本間刑部左衞門入道殿〈◯中略〉 讓二與領地一之事 補任 長木保參分壹 參宮保肆分壹 中興保捌分壹 金丸保半分 大浦郷(○○○) 雜太郷(○○○)拾貳分壹 宿禰宜浦 本間左衞門太郞有泰讓與所也、若於レ成二彼所妨一、子孫可レ爲二不孝之子一、早任二先例一、可レ令二有泰領知一、仍爲二後日一讓状如レ件、 應永十四年七月二日 左衞門詮忠判
〔本間文書〕
p.0367 注進 佐渡國石田長木二宮三ケ郷御年貢結解状事 一石田郷(○○○)〈◯中略〉 一長木郷(○○○)〈◯中略〉 一二宮保〈◯中略〉 右勘定注進如レ件
p.0368 康永參年四月日 一祐代貞泰〈◯下略〉
〔本間系圖〕
〈佐渡本〉
p.0368 佐渡國石田郷金丸半分、長宇禰半分、長池、關浦等事、任二當知行之旨一、本間太郞左衞門尉季直領掌、不レ可レ有二相違一状如レ件、 永享十年二月廿二日 判〈◯足利義教〉
〔郡名一覽〕
p.0368 一佐渡國(皆御料)〈佐州 四方三日半〉 三郡 高拾三萬三百七拾三石九斗壹升壹合 貳百六拾ヶ村 相川 〈江戸ヨリ海陸百八里廿四町 内越後柏崎ヨリ小木迄海上廿一里〉 ◯按ズルニ、本書ノ符號ハ、山城國篇村里條ニ引ク所ノ、本書ノ凡例ヲ參照スベシ、
〔郡國提要〕
p.0368 佐渡 三郡、二百六十一村、 高十三万二千五百六(御料) 五石四斗九升一合 加茂郡百村 雜太郡百村 羽茂郡六十一村
〔地勢提要〕
〈坤〉
p.0368 郡邑島嶼奇名 佐渡 羽茂郡、強清水(コハテミヅ)村、木流(コナガシ)村、背合(セナカワ)村、五十(イカ)里北狄(エビス)村、石花(セキケ)村、後尾(ウシコラ)村、入川(ニアカハ)村、小(コ)田村、五十(イカ)浦村、大河(ガ)村、多田(オホタ)村、
〔日本書紀〕
〈十九欽明〉
p.0368 五年十二月、越國言、於二佐渡島北御名部之碕岸一、有二肅愼人一、乘二一船舶一而淹留、春夏捕レ魚充レ食、彼島之人言非レ人也、亦言二鬼魅一不二敢近一之、島東禹武邑(○○○)人、採二拾椎子一爲二欲熟喫一、著二灰裏一炮二其皮甲一、化二成二人一飛二騰火上一、一尺餘許、經レ時相鬪、邑人深以爲レ異、取二置於庭一、亦如レ前飛相鬪不レ已、有レ人占云、是邑人必爲二魃鬼一所二迷惑一、不レ久如レ言被二其抄掠一、於レ是肅愼人移就二瀬河浦一、浦神嚴忌レ人不二敢近一、渇飮二其水一、死者且半、骨積二於巖岫一、俗呼二肅愼隈一也、
〔佐渡志〕
〈二官員〉
p.0368 讓渡佐渡國高家村(○○○)事
p.0369 合一所 右所者、泰秀子なき間、舍弟六郞を養子として、吉良殿よりの御下知之状相副て、永代讓上せ不レ可レ有二他妨一者也、仍爲二後日一之状如レ件、 貞和二年五月十八日 源泰秀判〈◯中略〉 讓渡佐渡國長江村(○○○)一圓事 右當所者、有直拜領相傳のしょだいなり、しかるを子息本間山城彌二郞季有えゑいたいをかぎりて、ゆづりあたうる物者、またくたのさまたげ有べからず候、仍ゆづりわたす状如レ件、 貞治五年三月十日 有直判
〔佐渡志〕
〈二官員〉
p.0369 本間源八郞子共に讓渡竹井保(○○○)事、子共おさなく候はんほどは、後家尼御前もちて、公方の御公事等を沙汰し、子どもをもすごさるべく候、〈◯中略〉仍爲二後日一、讓之状如レ件、 興國元年七月七日 沙彌道昭判〈◯中略〉 ゆづりわたす所領の事 ゆづりわたすさどのくにかまやのほう(○○○○○○)三分二、ふなしろのほう(○○○○○○○)のうち、上村なかへのむら、子息本間の山城の彌二郞ニゆづりわたすところじちなり、たのさまたげあるべからず候、仍爲二後日一、ゆづり状如レ件、 貞治五年六月十八日 源有直判 任二此状一、領掌不レ可レ有二相違一之状如レ件、 貞治五年十二月廿八日〈◯中略〉 判 下 本間加賀次郞兵衞尉直泰、可レ令三早領二知佐渡國ニ宮浦保(○○○)寺田半分、新宮保(○○○)西方三分貳、久知郷
p.0370 三分二地頭職一事、 右任二亡父有泰應安二年六月十日讓状一、可二領掌一之状如レ件、 康暦二年六月二日〈◯中略〉 本間太郞左衞門尉泰直申、佐渡國梅津保(○○○)〈付浦川浦、澀谷平三跡、〉地頭職事、預二訴状一〈別具書〉如レ此子細、見レ状就二請文一其沙汰訖、所詮貞治以來、度々雖レ被レ仰、不レ出二帶證跡一云々、不日沙二汰付下地於泰直代一可レ被二執進請取一、更不レ可二緩怠一之状、依レ仰執達如レ件、 永徳元年十二月 左衞門佐判 畠山播磨入道殿
〔本間系圖〕
〈佐渡本〉
p.0370 佐渡國和泉保(○○○)四分一、〈號二總領方一言也〉同保内、田壹町屋敷一所事、任二當知行旨一、本間四郞左衞門尉末長、領掌不レ可レ有二相違一之状如レ件、 應永廿九年十二月十二日 判〈◯足利義持〉
〔倭名類聚抄〕
〈五國郡〉
p.0370 佐渡國〈◯註略〉管三〈田三千九百六十町四段〉
〔拾芥抄〕
〈中末本朝國郡〉
p.0370 佐渡〈中遠〉三郡〈（中略）田四千八百七十町〉
〔運歩色葉集〕
〈諸國之郡名〉
p.0370 佐渡 三郡、田數三千八百七十町、
〔海東諸國記〕
p.0370 佐渡州 郡三、水田三千九百二十八町三段、
〔佐渡志〕
〈一田土〉
p.0370 天正十七年己丑、上杉家コヽヲ併セ領セシヨリ、幾苅トイフヲモテ稱セシト見エテ、其年霜月、黒金尚信ガ波太郞熊野ノ祠官ニアタヘシ状ヲ初トシテ、〈熊野祠ノ條ニ出セリ〉悉クシカリ、百苅トイフハ、京升ニテ八斗四升ナリトイヘリ、〈古文書〉 慶長三年戊戌、上杉家所領ヲ奧ノ會津ニ移サレテ、此國豐臣家ニマヰラセシ後モ、租税ノコトヾモ舊キニ依シトゾ見ユ、〈◯中略〉
p.0371 同ジキ六年辛丑、關東ノ御料ニ併セラレテ、萬制度モ立タレド、イマダ撿地ナドイフ事ニモ及バズ、只幾千幾百苅ヲ何石何斗ノ稱ニ改メタルマデニアリケム、其後元和三年丁巳、國中屋敷撿地アリ、近世マデモ此國ト隱岐トハ、田租ノミアリテ、圃ノ租税ハナカリシトイフ説アリ、〈田園類説〉此近世トイヘルハ、イツノ頃ヲサスニヤ詳ナラズ、元和七年辛酉ノ收納ヲ記セルニ、米貳萬千三百五十八石四斗三升八合ノウチ、千五百拾石一斗六升ハ永引ト云モノニテ、殘ル貳萬八百四十八石貳斗七升八合ヲ定納トス、此外銀納アリシトイヘドモ、イクバクニヤ記セシモノナシ、後慶安ノコロ新田年々ニ開ケ、元祿改元ニ及デ、收納ノ米貳萬四千三百貳拾九石五斗五合八勺ノ内、千貳百九拾七石貳升七合貳勺ハ永引、殘ル貳萬三千三拾貳石四斗七升八合六勺、此外ニ山役米トイフモノ八拾八石貳斗貳升七合、及ビ地子ト云モノ貳千六拾壹石四斗九升四合八勺ノ内百拾八石四斗七升壹合五勺ハ永引ニテ、殘ル千九百四拾三石二升三合三勺ヲバ銀ニカヘテ納ムトイヘリ、同キ六年癸酉、國司荻原重秀ウケタマハリテ一國撿地アリ、其事ニアヅカレルモノ甚多ク、内藤兵右衞門山田與次兵衞トイフモノコレヲ總ブ、翌七年甲戍、其功ヲ終ヘテ、田六千三百九拾三町四段五畝貳拾五歩、圃三千四百拾三丁七段貳拾九歩、總テ九千八百七町壹段六畝貳拾四歩、糧額拾三萬三百五拾五石九斗八合トナレリ、委シクハ官ノ簿籍ニ載セラレタレバ、コヽニ出サズ、是ヨリ後開墾シタルヲバ皆新田ト唱フルナリ、今國中ノ田圃ノ廣狹左ノ如シ、 雜太郞〈◯中略〉 以上百壹ケ村、田三千三拾壹町四段餘、圃千四百七拾九町六段餘、糧額六萬三千貳百六石三斗壹合、 加茂郡〈◯中略〉 以上百三ケ村、田貳千五百四町餘、圃千三百拾町壹段餘、糧額四萬七千四百六拾七石壹斗貳升、
p.0372 羽茂郡〈◯中略〉 以上六拾ヶ村、田八百七拾八町九段餘、圃千八拾九町九段餘、糧額貳萬千七百拾貳石七斗九升七合、 三郡貳百六拾四村、通計田六千四百拾四町四段餘、圃三千八百七拾九町八段餘、糧額拾三萬貳千三百八拾六石貳斗壹升八合、
〔佐渡志〕
〈二戸口〉
p.0372 總テ國ノ盛衰ヲハカリ知ルハ、目ノアタリ民ノ聚散ヲ見ルニシクハナシ、古ヘノトキ、戸口ノ籍ヲ重ゼラレシモ、〈令義解〉恐ラクハコレガタメニゾ有ベキ、此邦ノ戸口、天正ヨリ前ハイカニヤアリケム、イヒモツタヘズ、越後ノ上杉地頭ヲホロボシテノチ、戸數ワヅカニ一萬ニミタズ、國ノウチ荒野ノミ多カリシトイヘリ、關東ノ政トナリシ初メ、金銀山ノ盛ンナルニツキテ、國國ヨリ人多ク來リアツマリヌル、〈武徳編年集成〉ソレヨリ元和ノ頃マデ戸數ハ知レズ、口數ハ旣ニ二十萬ニ餘リキ、〈官庫文書〉寛永ノ末、正保ノ初メヨリシテ漸々減ジ、慶安明暦ニ至テ、益減ゼシヨシヲ語傳ヘタレド、簿籍皆燒失セタレバ、委シクハ知ガタシ、サレド今ヨリ考ルニ、啻ニ相川市中ニ人ノ多カリシノミナラズ、郷村ニモマタ家居多カリケルニヤ、農家ノ廢跡トテ官籍ニ載セラレシ所、今モ猶四百戸ニ餘レリ、コレヲ方言ニ伏セ棟ト唱ル也、寛保コノカタハ明ラカニ記セシ者アレバ、採テコヽニ出セリ、 寛保元年辛酉 戸壹萬九千百貳拾六 口九萬三千三百九拾四 〈男四万八千百五拾七 女四万五千貳百三十七◯中略〉 文化十二年乙亥 戸壹万九千五百拾六 口拾万六拾壹 〈男五万八百七拾五 女四万九千百八拾六〉
〔官中秘策〕
〈四〉
p.0372 佐渡國 三郡〈◯中略〉
p.0373 一石高拾三万三百七拾三石餘
〔吹塵録〕
〈五人口及國高〉
p.0373 天保度御國高調〈◯中略〉 佐渡國〈御料〉一高拾三万貳千五百六拾五石四斗九升壹合
〔延喜式〕
〈二十六主税〉
p.0373 諸國出擧正税公廨雜稻〈◯中略〉 佐渡國、正税三万八千束、公廨八万束、國分寺料一万束、同寺新造藥師佛燈分料五百束、文殊會料一千束、修理池溝料一万束、救急料三万束、俘囚料二千束、
〔倭名類聚抄〕
〈五國郡〉
p.0373 佐渡國 管三〈（中略）正三萬八千束、公八萬束、本穎二十五萬千五百束、雜穎十三萬三千五百束、〉 ◯按ズルニ、延喜式ニ擧グル所ノ雜稻合セテ五萬三千五百束ナリ、此ニ雜穎十三萬三千五百束トアルニ合ハズ、蓋シ雜穎十三萬三千五百束トアルハ、公廨八萬束ヲ誤テ合算シタルニテ、本頴ノ二十五萬千五百束トアルハ、實ハ拾七萬千五百束ノ誤ナラン、
〔延喜式〕
〈二十四主計〉
p.0373 佐渡國〈行程、上卅四日、下十七日、〉海路卌九日 調庸並輸レ布 中男作物、布、鰒、
〔延喜式〕
〈三十七典藥〉
p.0373 諸國進年料雜藥〈◯中略〉 佐渡國四種 黄連十五斤十兩、藍漆廿五斤、細辛卌八斤、蜀椒三斗、
〔延喜式〕
〈三十九内膳〉
p.0373 年料〈◯中略〉 佐渡國〈穉海藻一擔十二籠〉
〔毛吹草〕
〈三〉
p.0373 佐渡 金銀 細辛 黄連 弦藻 小鰑 御松〈日蓮袈裟カケノ松ト云、數珠ニ用レ之、〉
〔三代實録〕
〈十七清和〉
p.0373 貞觀十二年二月廿九日辛亥、佐渡國獻二奇龜一一、其爲レ形也、鳥嘴赤甲黒質也、
〔鈴鹿家記〕
p.0373 永享二年八月朔日、上杉殿ヨリ佐渡炭十枚、綿ツムギ廿タン、本所參、私、時政炭三枚給ル、
〔官中秘策〕
〈四〉
p.0373 佐渡國 三郡〈◯中略〉
p.0374 一人數九万四百七拾六人 内〈四万六千八百六拾七人 男 四万三千六百九人 女〉
〔吹塵録〕
〈五人口及國高〉
p.0374 諸國人數調(文化元甲子年)〈◯中略〉 一人數九万貳千四百拾人(皆御料) 佐渡國(高拾三万三百七拾三石餘)内〈四万六千九百拾七人 男 四万五千四百九拾三人 女〉 諸國人數調(弘化三丙午年)〈◯中略〉 一人數拾万貳千貳百六拾五人(皆御料) 佐渡國(高拾三万貳千五百六拾五石餘) 内〈五万千貳百三拾壹人 男 五万千三拾四人 女〉
〔人國記〕
p.0374 佐渡國 佐渡國之風俗、越後ニ似テ、人ノ氣狹ク而、伸ヤカ成事不レ克而心愚也、意地強シトイヘドモ、善トシガタシ、
〔類聚三代格〕
〈五〉
p.0374 太政官符 應レ置二弩師一員一事 右得二佐渡國解一偁、此國本夷狄之地、人心強暴、動忘二禮義一、常好二殺傷一、望請、准二出雲隱岐等國一、置二弩師一員一、謹請二官裁一者、正三位行中納言兼民部卿藤原朝臣冬緒宣奉レ勅、依レ請、 元慶四年八月七日
〔日本鹿子〕
〈十〉
p.0374 佐渡國中名所之部 越(コシ)の湖(ミツウミ) 布勢海 うらみても何にかはせんあはでのみ越のみづうみ見るめなければ 雪の高濱 降積る雪の高濱はる〴〵と木かげも見えぬ越のうら風 葉持(ハモチ)の浦 屏風岩
〔延喜式〕
〈二十八兵部〉
p.0374 諸國健兒〈◯中略〉 佐渡國卅人〈◯中略〉
p.0375 諸國器仗〈◯中略〉 佐渡國〈甲一領、横刀四口、弓十張、征箭十具、胡簶十具、〉
〔儀式〕
〈十〉
p.0375 十二月大儺儀〈◯中略〉 事別〈天〉詔〈久〉、穢〈久〉惡〈伎〉疫鬼〈能〉、所々村々〈爾〉藏〈里〉隱〈布留乎波、〉千里之外、四方之堺、東方陸奧、西方遠値嘉、南方土左、北方佐渡(○○)〈與里〉乎知〈能〉所〈乎〉、奈牟多知疫鬼之住〈加登、〉定賜〈比〉行賜〈氐、◯下略〉
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