地部/壹岐國

p.1235 壹岐國ハ、イキノクニト云ヒ、又ユキノクニトモ云フ、西海道ニ屬シ、肥前國ノ西北約七里餘 p.1236 ノ海中ニ在リ、東西凡ソ三里餘、南北凡ソ四里餘、周廻凡ソ三十五里餘、土地膏沃、全島殆ド耕地タリ、此國ハ、古ヘ國府ヲ石田郡ニ置キ、壹岐(イキ)、石田(イシダ)ノ二郡ヲ管シ、延喜ノ制、下國ニ列ス、明治維新ノ後、石田郡ヲ廢シテ壹岐一郡トシ、長崎縣ヲシテ之ヲ兼治セシム、

名稱

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.1236 壹岐島〈由岐〉

〔伊呂波字類抄〕

〈由國郡〉

p.1236 壹岐島〈ユキノシマ〉

〔饅頭屋本節用集〕

〈以天地〉

p.1236 壹岐(イキ)

〔易林本節用集〕

〈下〉

p.1236 壹岐、〈壹(イツ)州〉二郡、下、管、四方一日、此州與二對州一曰二二島一、西戎襲來侵故、勸二請宇佐一、備レ貢皆異珍也、

〔古事記傳〕

〈五〉

p.1236 伊伎島は、万葉十五〈二十五丁二十六丁〉に、由吉能之麻と見え、和名抄にも壹岐島由岐とあるに因て、由伎を古訓と思人あれど、書紀繼體卷の歌に以祇とよみ、此記にも伊字をかき、壹字も由の假字にあらねば、本は伊伎なること明けし、然れども懷風藻に、伊支連と云姓を目録には雪連とかき、又かの萬葉に由吉とあるなどを以て思に、必由伎とも通はし云べき故ある名義と見えたり、〈行も通はして伊伎とも云り、これも同じ例なり、〉故思に書紀天武卷に、齋忌此云二踰旣一とある齋忌は伊牟、伊波市、由麻波留、由々志、由豆、伊豆など、さま〴〵に云言にて、伊と由と通へり、かヽれば齋忌も、古は伊伎とも云べし、さて〈若くは息長帶比賣命の、辛國を征に幸行しをりなどにもや、〉此島にして神祭り坐とて、齋忌のことありけむ故の名にもやあらむ、〈齋忌古は大嘗に限るべからず〉又は辛國に渡るに、先此に舟とめて息む故に、息の島か〈されど國所名は、凡そ昔いさゝかの因縁を以てつけそめしが多かれば、後世の空考は、理こそさもあらめ、實には當れりやあらずや定めがたくなむ、さりとてはたひたぶるに不可知とて有べきにもあらねば、人も我も心のかぎり推量言はするなり、〉

〔古事記〕

〈上〉

p.1236 伊邪那岐命、〈◯中略〉妹伊邪那美命〈◯中略〉御合〈◯中略〉次生二伊伎島一、亦名謂二天比登都柱一、〈自レ比至レ都以レ音、訓レ天如レ天、〉

〔日本書紀〕

〈一神武〉

p.1237 伊弉諾尊、伊弉册尊、〈◯中略〉陰陽始遘合爲二夫婦一、〈◯中略〉迺生二大日本〈日本此云二耶麻騰一、下皆效レ此、〉豐秋津洲一、〈◯中略〉由レ是始起二大八洲國之號一焉、即對馬島、壹岐島、及處々小島、皆是潮沫凝成者矣、

位置

〔地勢提要〕

p.1237 各國經緯度〈附里程〉　壹岐勝本、〈東浦町〉極高三十三度五十一分、經度西六度二分、從二肥前呼子浦一〈渡レ海至二壹岐郷浦一直徑七里一十二町、自二同所一街道、〉一十里三十一間半、　三百三十里二十四町二十間半〈◯從二東都一〉

〔日本經緯度實測〕

p.1237 北極出地　壹岐　脇本浦　三三度五一分〇〇秒〈◯中略〉　東西里差　山城　京　〇度〇〇分〇〇秒〈◯中略〉　壹岐　脇本　西六度〇一分五五秒

疆域

〔日本實測録〕

〈八〉

p.1237 壹岐國、〈◯中略〉沿海、周廻三十五里一十五町五十九間半、

〔日本地誌提要〕

〈七十四壹岐〉

p.1237 疆域　肥前ノ西北ニアリ、周廻三拾五里壹拾五町五拾九間、東西三里壹拾貳町、南北四里六町肥前松浦郡呼子浦ヨリ石田郡郷野浦ニ至ル、海上直徑七里壹拾貳町、

島嶼

〔日本實測録〕

〈十一島嶼〉

p.1237 壹岐國石田郡　實測　乙島、〈從二西岬一至二東岬一〉三町一十三間　妻島、周廻二十町一十九間、　机島、周廻三町五十七間、　平島、周廻八町一十間、　春島周廻三十二町三十四間、　長島、周廻三十一町四十二間、黒瀬、周廻五町一十間半、　大島、周廻一里二十九町一十間、　前小島、周廻二町一十三間、　後小島、周廻四町四十三間、　嫦娥島、周廻四町四間、　鳥島、周廻四町二十七間半、　飛島岬、周廻五町四十三間半、　火島、周廻一町一十三間、　アセ島、〈沖〉周廻四町二十七間、　アセ島、〈地〉周廻七町七間、　赤島、周廻二町一十間、　黒島、周廻三町三十五間、　遠測　鯨瀬　黒瀬〈妻島〉　小島〈大印通寺浦〉　小島〈小同上〉　短瀬　ノブ瀬〈久喜浦〉　折柱岩　ノブ瀬〈神山村〉　釜蓋瀬　郷瀬　前瀬〈大〉　前瀬〈小〉　金白瀬　小机島　小平島　ニシソ根　大瀬　小島〈大渡良浦〉　高瀬　折柱　黒

p.1238 瀬〈黒崎村〉　壹岐郡　實測　手長島、周廻一十七町一十三間、　辰島、周廻三十五町二十間、　若(ニヤク)宮島、周廻三十三町七間、　〈從二前濱一至二遠見番所一三町五十九間〉　名烏(ナカラス)島、周廻二十八町三十四間、　赤島、周廻七町五十八間　青島、周廻一十三町一十六間、　元小島、周廻二町五十三間半、　遠測　タコ島　赤瀬、　蛇島　牛島　柱瀬　白瀬　黒瀬　上折柱　甑島　高瀬　根島　引島　巾著瀬　中瀬　カモメ瀬　鵜瀬　和布瀬　トシヤク瀬　ノフ瀬　シヤキヤウ瀬　コツ子瀬　筥島　サキ小島　竹ノ小島　イサ島　星島　釜白瀬　前島　沖ノ島　元島　白瀬　〈從二前島一至二白瀬一總稱名島〉

地勢

〔續日本後紀〕

〈四仁明〉

p.1238 承和二年三月己未、太宰府言、壹岐島遙居二海中一、地勢隘狹、人數寡少、難レ支二機急一、頃年新羅商人來窺不レ絶、非レ置二防人一、何備二非常一、請令下島徭人三百卅人、帶二兵仗一戍中十四處要害之埼上、許之、

〔海東諸國記〕

p.1238 一岐島　郷七、〈◯中略〉人居レ陸、里十三、海浦十四、東西半日程、南北一日程、志佐、佐志、呼子、鴨打、鹽津留、分治有二市三所一、水田旱田相半、土宜二五穀一、收税如二對馬一、

〔日本地誌提要〕

〈七十四壹岐〉

p.1238 形勢　肥前北角ノ餘脈ニシテ、四面海灣、皆港泊ノ便アリ、土性膏沃、果穀ニ宜シク、鱗介ニ富ム、風俗柔和、農暇漁業ヲ營ス、氣候極暑九拾貳度、極寒三拾五度、

道路

〔日本實測録〕

〈八〉

p.1238 壹岐國〈從二肥前國松浦郡呼子浦一至二壹岐國石田郡郷之浦一、渡海直徑七里一十二丁、〉　石田郡郷之浦本町　一里八町六間半　渡良(ワタラ)村船越〈至二麥屋一徑測五丁四十二間〉　二十九町三十七間　渡良浦〈舊呼二宮野浦一〉　三里二十五町四十六間　渡良村麥屋　一里二十四間　半城(ハンセイ)村〈舊呼二有安村一〉　松崎〈松崎廻四丁三間〉　七町四十三間　同大浦新田〈至二牛方一、徑測九丁一十八間〉　一里一十九町七間　長峯村森之浦〈至二黒崎村爾白神社七丁二十四間〉　一里三町二十間　黒崎村西濱〈歴二牧屋敷一至二徳目一徑測二丁四十二間〉　一里三十四町五十八間〈至二阿母岬一一十七丁五十一間、從レ岬至二唐船崎一一十丁、〉　同徳目　二十八町三十九間半　壹岐郡湯野本浦、三十三度四十九分、　二町二十一間　立石村湯浦新田〈至二布氣村龜石一十二丁五十一間〉　一里一十八町三十二間　本宮村〈至二手長姫神社一四丁六間〉　

p.1239 一十三町　同御手洗江口〈沿江至二八幡旅所一四丁九間、從二旅所一至二八幡社一六丁三間、又從二旅所一沿江至二可須村江口一、七町五十四間、〉　三町四十八間〈至二柄杓崎一三丁二十四間〉　可須村江口　二十六町四十二間〈至二弁天崎一二十四丁六間〉　勝本浦〈又呼二風本浦一〉聖母町　一十九町五十四間半　同田中町〈至二新庄村城辻一三十丁三十九間、從二城辻一至二佐市布津神社一七丁、又從二城辻一歴二箱崎村針尾一至二瀬戸浦一、一里一十六丁四十七間半、〉　一町五十一間　同本浦町、三十三度五十一分、　一里九町一十間〈至二田浦一一十五丁三十間〉　可須村見目浦　一十九町二十二間半〈至二小串一一十五丁二十八間半〉　同田浦北濱　二里二十七町五十一間〈至二魚釣岬一一里二十九丁二十一間〉　瀬戸浦鹽津濱　一十八町五十五間半〈至二瀬戸浦南町一一十二丁二十八間半〉　同西町　二十八町一十二間半〈至二阿彌陀崎一四丁六間、〉　箱崎村谷合川口〈至二箱崎村針尾一一十五丁〉　三十三町八間　蘆邊浦〈歴二川北村一至二湯岳村一、一里七丁一十九間半、從二湯岳一至二志原村一、一十五丁四十間半、從二志原一至二角上神社一九丁、〉　二里二町五十一間半〈至二シヤキヤウ岬一一里一十四丁七間半、從レ岬至二長者原崎一九丁二十四間半、〉　八幡浦長濱　二十九町二十四間　川北村〈至二街道一五丁三十八間半〉　二十五町七間半　石田郡筒城村夕部〈至二海神社一七丁五十八間〉　一里廿九町四十二間半〈至二子セ浦一一里一十二丁五十一間〉　同宮濱　九町二十七間　筒城村筒城濱〈矢臺崎廻三丁二十六間半〉　一里二町二十一間〈至二志自岐濱一三十一丁三間〉　石田村小浦　一十一町三十三間　印通寺(インドウジ)浦本町〈至二池田村一四丁三間、從二池田一至二湯岳村一一里六間、〉　一里二十七町三十六間半〈至二鹿山岬一四丁三十六間〉　初山村初瀬浦北濱　一里二十町一十一間半〈至二初瀬浦一一十五丁一十二間〉　同藻腐岬　一里二十二町四十四間　津甫村細崎〈細崎廻一丁三十間〉　三十町三十二間　郷之浦本町　　沿海、周廻三十五里一十五町五十九間半、　從二壹岐國郷之浦街道一至二勝本一　壹岐國石田郡郷之浦本町　一町五十四間　武生水(ムシヤウヅ)村大里〈至二志原村一一十九丁、從二志原一至二岳辻一一十丁三十九間、又從二志原一至二九郞畑一一十四丁一十八間、從二九郞畑一至二大國玉神社一六丁五十四間、又從二九郞畑一至二池田村一二十七丁五十三間、〉　一町三十六間　武生水村、三十三度四十四分半、　一十町一十八間　同大平〈歴二牛方一至黒崎村牧屋敷一、一里二十五丁三十三間、〉　四十八間　同鎭座山〈至二志原村一二十七丁二十七間〉　九町四十八間　物部村〈至二天手長男神社一二丁四十四間、又至二天手長姫神社一三丁八間、〉　五町九間　同柳田〈至二津神社一七丁一十五間〉　一十九町五十七間　壹岐郡住吉村〈舊呼二鯨伏村一〉　栗坂〈至二住吉神社一二丁二十四間〉　一十一町五十七間　立石村〈至二愛見神〉

p.1240 〈社二丁四十八間〉　五町一十一間半、　布氣村龜石〈至二國分村一一十八丁一十五間、從二國分一至二國分寺一、四丁二十四間、又從二國分一至二月讀神社一五丁三間、〉　五町九間　同水場〈至二水神社一三丁三十六間〉　一里一十八町四十五間　勝本浦聖母町　〈從二郷之浦一至二勝本浦一、〉街道、通計三里一十八町三十二間半、

宿驛

〔延喜式〕

〈二十八兵部〉

p.1240 諸國驛傳馬〈◯中略〉壹伎島驛馬〈優通各五疋〉

建置沿革

〔日本國郡沿革考〕

〈三西海道〉

p.1240 壹岐　古作二伊伎島一、〈古事記　懷風藻作二伊支一、通典作二一支一、〉下國、管二郡、五十村、　壹岐〈二十三村〉　石田(イシダ)〈二十七村古府治〉　伊佐〈見二于壹岐風土記一、廢置未レ詳、〉

〔日本地誌提要〕

〈七十四壹岐〉

p.1240 沿革　古ヘ國府ヲ石田郡ニ置、〈今ノ國分村、壹岐郡ニ屬ス、〉鎌府ノ時、少貳氏島事ヲ管シ肥前松浦黨志佐(シサ)、〈壹岐郡湯岳村戸城(トジヤウ)〉佐志、〈同郡中郷及可須村〉鹽津留(シホツル)、〈同郡國分村郡ノ城〉呼子(ヨブコ)、〈石田郡渡良(ワタラ)村〉鴨打(カモチ)、〈同郡物部村大屋城〉五氏ヲシテ共ニ島事ヲ掌ラシム、少貳氏衰ヘ志佐氏終ニ守護トナル、文明四年、肥前岸嶽(キシガ)ノ城主、波多泰(ヤスシ)來リ襲ヒ、悉ク五氏ヲ滅シ、全島ヲ併セ、龜尾城〈石田郡武生水村〉ヲ築キ、守護ト稱ス、天文中、泰ノ孫盛(サカン)卒シテ子ナシ、肥前ノ有馬義直ノ子親ヲ迎ヘテ嗣トナス、族人之ニ服セズ、盛ノ從子隆(タカ)ヲ奉ジテ主トナス、弘治元年、隆其下ニ弑セラレ、親終ニ守護トナル、旣ニシテ其臣日高喜(ヨシ)等其邑ニ據テ畔キ、永祿六年、欵ヲ松浦隆信ニ送リ、波多氏ヲ遂ヒ、全島終ニ松浦氏ニ屬ス、徳川氏ニ至テ、松浦氏ノ封故ノ如ク、王政革新、平戸縣ヨリ兼治シ、又改メテ長崎縣ヨリ兼治ス、

〔先代舊事本紀〕

〈十國造〉

p.1240 伊吉島造　磐余玉穗朝〈◯繼體〉伐二石井從者新羅海邊人一天津水凝後上毛布直造、

〔萬葉集〕

〈五雜歌〉

p.1240 梅花歌三十二首并序　天平二年正月十三日、萃二于帥老之宅一、申二宴會一也、于レ時初春令月、氣淑風和、梅披二鏡前之粉一、蘭薫珮後之

p.1241 香、〈◯中略〉宜下賦二園梅一聊成中短詠上、〈◯中略〉　波流奈例婆(ハルナレバ)、宇倍母佐枳多流(ウベモサキタル)、烏梅能波奈(ウメノハナ)、岐美乎於母布得(キミヲオモフト)、用伊母禰奈久爾(ヨイモネナクニ)、〈壹岐守板（板一本作レ榎）氏安麻呂〉

〔續日本紀〕

〈二十九稱徳〉

p.1241 神護景雲三年六月乙巳、外從五位下田部直息麻呂爲二壹伎島守一、

國府

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.1241 壹岐島〈◯中略〉石田〈伊之太、國府、〉

郡

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.1241 壹岐島、管二、〈◯註略〉壹岐　石田〈伊之太〉

〔延喜式〕

〈二十二民部〉

p.1241 壹岐島、下、〈管　壹岐　石田(イシタ)　◯中略〉　右爲二遠國一

〔皇國郡名志〕

p.1241 壹岐國〈二郡〉　壹岐　〈勝本〉　〈△呼子松原　北ノ方〉　石田(イシタ)　〈●蘆邊　ハセ浦　●湯浦　●郷浦　●坪浦〉　●タキ　南方　◯按ズルニ、本書及ビ次下ノ郡名異同一覽ノ符號ハ、山城國篇郡條ニ引ク所ノ、二書ノ凡例ヲ參照スベシ、

〔郡名異同一覽〕

p.1241 壹岐

壹岐郡

〔續日本紀〕

〈三十二光仁〉

p.1242 寶龜三年十二月壬子、壹岐島壹岐郡人直玉主賣、年十五夫亡、自誓遂不二改嫁一者卅餘年、供二承夫墓一一如二平生一、賜二爵二級一、并免二田租一、以終二其身一、

石田郡

〔三代實録〕

〈七清和〉

p.1242 貞觀五年九月七日丙申、壹伎島石田郡人宮主外從五位下卜部是雄、神祇權少史正七位上卜部業孝等、賜二姓伊伎宿禰一、其先出レ自二雷大臣命一也、

郷

〔倭名類聚抄〕

〈九壹岐島〉

p.1242 壹岐郡　風早　可須　那賀　田河　鯨伏　潮安　伊宅　石田郡　石田　物部　篦原　沼津

〔萬葉集抄〕

〈二〉

p.1242 壹岐國風土記云、鯨伏郷(○○○)〈◯郷原脱、據二一本一補、〉在二郡西一、昔者鮨鰐追レ鯨、鯨〈◯鯨原脱、據二一本一補、〉走來隱伏、故云二鯨伏一、鰐並鯨並化爲レ石、杳〈◯杳一本作レ相〉去一里、俗云レ鯨〈◯鯨原脱、據二一本一補、〉爲二伊佐一、

村里/名邑

〔郡名一覽〕

p.1242 一壹岐國(皆私領)　〈壹州　四方一日〉　貳郡　高壹万八千七拾貳石八斗六合　三百九拾ケ村　●勝本〈三百七十一里平戸持〉　◯按ズルニ、本書ノ符號ハ、山城國郡條ニ引ク所ノ、本書ノ凡例ヲ參照スベシ、

〔郡國提要〕

p.1242 壹岐　二郡、五十村、　高三万二千七百四十二石九斗二升一合(皆私領)　壹岐郡二十三村　石田郡二十七村

〔地勢提要〕

〈坤〉

p.1242 郡邑島嶼奇名　壹岐　石田郡、武生水(ムシヤウツ)村、初瀬(ハセノ)浦、印通寺(イントウジ)浦、渡良(ワタラ)村、半城(ハンセイ)村、壹岐郡、若宮(ナガラス)島、岩鳥島、

藩封

〔慶應元年武鑑〕

p.1242 松浦肥前守詮(柳間　從五位上)　六万千七百石　居城肥前松浦郡平戸〈江戸ヨリ海陸三百十九里　當國平戸並壹岐國(○○○)、差出之高、松浦氏代々領レ之、〉

田數/高石

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.1243 壹岐島　管二〈田六百二十町〉

〔伊呂波字類抄〕

〈由國郡〉

p.1243 壹岐島〈管二郡、（中略）本田六百二十一町九段、〉

〔運歩色葉集〕

〈諸國之郡名〉

p.1243 壹岐〈二郡（中略）田數五百八十三町〉

〔海東諸國記〕

p.1243 一岐島　郷七、水田六百二十町六段、

〔日本鹿子〕

〈十五〉

p.1243 壹岐國、二郡、小下國、四方一日、〈◯中略〉知行高壹万五千九百八十二石、

〔官中秘策〕

〈五〉

p.1243 壹岐國　二郡〈◯中略〉　一石高壹万八千七拾貳石餘

〔吹塵録〕

〈五人口及國高〉

p.1243 天保度御國高調〈◯中略〉　壹岐國〈皆私領〉　一高三万貳千七百四拾貳石九斗貳升壹合

出擧稻

〔延喜式〕

〈二十六主税〉

p.1243 諸國出擧正税公廨雜稻〈◯中略〉　壹岐島正税一万五千束、公廨五万束、修理池溝料五千束、救急料二万束、

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.1243 壹岐島　管二〈正萬千五（千五恐五千誤）束、公五萬束、本穎九萬束、雜穎二萬五千束、〉

〔續日本紀〕

〈十六聖武〉

p.1243 天平十七年十一月庚辰、制、諸國公廨大國四十万束、上國三十万束、中國二十万束、〈◯中略〉下國十万束、就レ中〈◯中略〉志摩國壹岐島各一万束、

國産/貢獻

〔延喜式〕

〈二十四主計〉

p.1243 壹伎島〈海路行程三日〉　調、大豆廿三斛、小豆十一斛、小麥廿斛二斗、自餘輸二海石榴油薄鰒一、

〔毛吹草〕

〈三〉

p.1243 壹岐　綾布　宇爾　鰤(ブリ)

〔續日本紀〕

〈三十一光仁〉

p.1243 寶龜二年閏三月乙巳、壹伎島獻二白雉一、授二守外從五位下田部直息麻呂、外從五位上一、賜二絁十匹、綿廿屯、布卌端、稻一千束一、目從七位下笠朝臣猪養、從七位上、賞賜半レ之、除二當島田租三分之

p.1244 一一、

人口

〔官中秘策〕

〈五〉

p.1244 壹岐國　二郡〈◯中略〉　一人數貳万參千貳百人　内〈壹万貳千三百五人　男　壹万八百九拾五人　女〉

〔吹塵録〕

〈五人口及國高〉

p.1244 諸國人數調(文化元甲子年)〈◯中略〉一人數貳万五千三百六拾八人(皆私領)　壹岐國(高壹万八千七拾貳石餘)内〈壹万三千四百七拾八人　男　壹万千八百九拾人　女◯中略〉　諸國人數調(弘化三丙午年)〈◯中略〉　一人數貳万七千五人(皆私領)　壹岐國(高三万貳千七百四拾貳石餘)　内〈壹万四千貳百七拾七人　男　壹万貳千七百貳拾八人　女〉

風俗

〔人國記〕

p.1244 壹岐對馬國　壹岐對馬之兩國、遠島タレドモ、物之花奢成事ハ大隅薩摩ニハル〴〵可レ勝也、人之氣柔弱ナル所多フ而、自墮落事多シ、

名所

〔日本鹿子〕

〈十四〉

p.1244 同國〈◯壹岐〉中名所之部　風本(カザモト)　呼子の松原といふあり、此所より海上十り北也、北は海也、舟津也、是より對馬國へ渡る也、またおろふるなど云所あり、此所を天原と云ならはせり、そのゆへは、西行法師のうたに、　かさもとのしぐるればこそ天原おろふる雪に袖はぬるらめ　雪の島　越中にも同名あり　戀しくばなどかとはなん雪の島巖にさける撫子のはな　勝本　衣島　見目の浦

雜載

〔續日本紀〕

〈二十二淳仁〉

p.1244 天平寶字三年三月庚寅、太宰府言、府官所レ見、方有二不安者四一、據二警固式一、於二博多大津、

p.1245 及壹岐、對馬等要害之處一、可下置二船一百隻以上一以備中不虞上、而今無二船可一レ用、交闕二機要一、不安一也、

〔續日本紀〕

〈三十二光仁〉

p.1245 寶龜三年十二月己未、太宰府言、壹岐島掾從六位上上村主墨繩等、送二年粮於對馬島一、俄遭二逆風一、船破人沒、所レ載之穀、隨復漂失、謹撿二天平寶字四年格一、漂失之物、以二部領使公廨一塡備、而墨繩等欵云、漕送之期不レ違二常例一、但風波之災、非二力能制一、船破人沒、足レ爲二明證一、府量レ所レ申、實難二默止一、望請、自レ今以後、評二定虚實一徴免、許之、

〔三代實録〕

〈十七清和〉

p.1245 貞觀十二年正月十三日丙寅、是日勅、充二壹岐島胄并手纒各二百具一、彼島元有レ甲無レ胄、太宰府依二島解一請レ充、從之、