p.0956 牧ハ、マキト訓ズ、ウマキノ略ニテ、馬城ノ意ナリ、牧ノ字ハ元ト支那ニテ養牛ノ人ヲ言ヘルガ、轉ジテ其地ヲ謂ヒ、再轉シテ養馬ノ地ヲモ謂フ、我邦亦牛馬放養ノ地ヲ汎ク牧ト稱セリ、凡ソ牧ニハ公設アリ、私設アリ、其公設ノ牧ニハ牧監、別當、主當、牧長、牧帳、牧子等アリテ、飼養并ニ牧場ノ雜事ヲ掌ル、〈牧監別當ノ事ハ、尚ホ官位部左右馬寮篇ニアリ、〉其私設ノモノニ至リテハ詳ナラズ、而シテ公設ノ中ニ勅旨牧アリ、延喜左右馬寮式ニ、甲斐、武藏、信濃、上野ノ四國、通計三十二牧ヲ掲ゲタリ、其飼養スル所ノ馬ハ、毎年八月朝廷ニ致ス、之ヲ駒牽ト云フ、〈四月駒牽ノ事ハ武技部騎射篇ニ八月駒牽ノ事ハ官位部左右馬寮篇ニ在リ參看スベシ〉故ニ其飼養スル所ノ數モ亦多カリシガ、式例漸ク行ハレザルニ及ビテ、其所在ノ不明ナルモノアルニ至レリ、又官牧ノ諸國ニ散在セルモノハ、延喜兵部式ニ載セタレドモ、當時馬政宜シキヲ得ザリシカバ、著名ナルモノ甚ダ少シ、是ニ於テ、鎌倉幕府ニ至リテ、諸國ノ牧ヲ興行セシムルコトアリ、徳川幕府ニ至リテハ、小金原ノ牧場ヲ以テ公牧トセリ、又古昔ニ在リテハ、乳牛ヲ飼養スルニ牛牧アリシ事、延喜宮内式、典藥寮式ニ見エタリ、
〔倭名類聚抄〕
〈一林野〉
p.0956 牧 尚書云、萊夷爲レ牧、音目、孔安國云、萊夷地名可二以放一レ牧、〈無萬岐〉
〔箋注倭名類聚抄〕
〈一林野〉
p.0956 按、无万岐、蓋馬城之義、今俗急二呼万岐一、説文、牧養レ牛人也、是此字本義、故左傳
p.0957 云、馬有レ圉、牛有レ牧、圉者養レ馬人、可レ知二牧之養レ牛人一也、轉謂二養牛之地一爲レ牧、孟子求二牧與一レ芻矣、注、牧牧地、國語、國有二郊牧一、注、牧放牧之地、再轉養馬之地亦曰レ牧、故訓二馬城一也、
〔國語〕
〈二周語中〉
p.0957 定王使下單襄公聘中於宋上、〈◯註略〉遂假二道於陳一、以聘二於楚一、單子歸告レ王曰、〈◯中略〉周制有レ之、曰、〈◯中略〉國有二郊牧一、〈國外曰レ郊、牧放牧之地也、◯下略〉
〔類聚名義抄〕
〈四牛〉
p.0957 牧〈音目收今、ウシカフ、カフ、ムマカフ〉
〔伊呂波字類抄〕
〈末地儀〉
p.0957 牧〈マキ有レ馬所〉
〔運歩色葉集〕
〈滿〉
p.0957 牧〈馬〉
〔易林本節用集〕
〈末〉
p.0957 牧(マキ)〈馬〉
〔書言字考節用集〕
〈一乾坤〉
p.0957 牧(マキ)〈放二養牛馬一之地◯中略〉 馬城(同)
〔和漢三才圖會〕
〈五十六山〉
p.0957 牧(マキ)〈音木〉 和名無萬岐 郊外而守二養六畜一處曰レ牧
〔東雅〕
〈二地輿〉
p.0957 牧マキ マキとはマは馬也、キは置也、馬を放置の義也、倭名抄には牧の字ムマキと讀り、
〔倭訓栞〕
〈前編二十九末〉
p.0957 まき 牧をよむは、うまきの略也、馬城の義、或は馬飼也、かひノ反きなりともいふ、牧の長を別當牧監といふ、延喜式伝、信濃甲斐上野三國は、任二牧監一、武藏國任二別當一、庭訓往來に牧士とも見えたり、
〔甲斐叢記〕
〈二〉
p.0957 牧名 牧の字和名抄に無馬岐(むまき)と訓めり、新井氏はマキのマは馬なり、キとは置なり、馬を放ち置の義なりといへり、或説に梅をムメといひ、馬をムマといへる類は正しき古言にはあらず、和名抄の頃旣に訛りたるものなりといへり、〈欽◯大森〉按に牧はウマキの略なり、馬城(まき)或は馬飼(うまかひ)なり、ウマのウを
p.0958 省き、カヒの約キなり、原野に馬を放飼(ぱなちかふ)といふ義なるべし、楊子方言に牧は飤(し)也とあり、注に謂レ放二飤牛馬一也、飤畜養也とあるを併せ見べし、又或説に馬城をトリコメとも訓めりと云ふ、茅岳(かやがたけ)の麓入會場にこの地名ありて馬城と作(か)けり、小笠原御牧の接近なれば必ず牧なるべし、
〔令義解〕
〈八厩牧〉
p.0958 凡牧地、恒以二正月以後一、〈謂二月以前、故律云レ非レ時、謂二三月一日以後一也、〉從二一面一以レ次漸燒、至二草生一使レ遍、其郷土異レ宜、〈謂假令北地遲暖、南土早陽之類也、〉及不レ須レ燒處、〈謂山林及竹町之數〉不レ用二此令一、
〔續日本紀〕
〈一文武〉
p.0958 四年三月丙寅、令下諸國定二牧地一放中牛馬上、
〔類聚三代格〕
〈十六〉
p.0958 太政官符 寺并王臣百姓山野藪澤濱島盡收二入公一事 右被二右大臣宣一偁、〈◯中略〉墾田之地者未開之間、所レ有草木亦令二共採一、但元來相傳加レ功成レ林、非二民要地一者、量二主貴賤一、五町以下作レ差許レ之、墓地牧地不(○○○)レ在(○)二制限(○○)一、但牧无馬者亦從收還(○○○○○○○○)、〈◯中略〉 延暦十七年十二月八日 太政官符 合四箇條事 一氏々祖墓及百姓栽レ樹爲レ林等事 右件〈◯中略〉又去延暦十七年十二月八日格偁、元來相傳加レ功成レ林、非二民要地一者、量二主貴賤一、五町已下作レ差許レ之、墓地牧地不レ在二制限一、但牧无レ馬者亦從二收還一、若以(○)レ島爲(○○)レ牧(○)者、除レ草之外、勿レ妨二民業一、〈◯中略〉 大同元年八月廿五日
〔續日本後紀〕
〈十仁明〉
p.0958 承和八年十二月丁卯、攝津國地三百町爲二後院牧一、
〔三代實録〕
〈九清和〉
p.0958 貞觀六年六月廿三日戊寅、勅改下定信濃國牧貢二御馬一期上、
〔享祿本類聚三代格〕
〈十八〉
p.0958 太政官符
p.0959 應レ令三牧監等撿二挍牧格一事 右得二信濃國解一偁、撿二案内一、被二太政官去貞觀七年六月廿八日符一偁、諸牧格停レ請二料稻一、以二牧内浪人徭一、隨二破損一令二修造一者、而牧長等不レ加二勤守一、或爲レ火燒損、或竟以盜取、因レ玆常有二造格之弊一、曾無二圉牧之益一、今所在勅旨牧御馬二千二百七十四疋、放二散格外一、不レ留二湟中一、非三唯踐二害民業一、兼亦頻致二亡失一、國司須二依レ格撿挍不一レ令二損失一、而國務繁多、不レ遑二巡糺一、牧監所レ職、專事二撫飼一、所攝長帳牧子飼丁等、毎レ牧數多、有レ堪二守禦一、望請拵造之後、預二件等人一、一向爲レ勤令レ加二撿挍一、若朽損之外、燒亡盜失者、拘以二解由一、盡令二造備一、謹請二官裁一者、右大臣宣、依レ請立爲二恒例一、上野甲斐武藏等國亦宜レ准レ此、 貞觀十八年正月廿六日
〔類聚三代格〕
〈十二〉
p.0959 太政官符 應レ禁三制河内攝津國兩國諸牧牧子等妨二往還船一事 右公私牧野(○○○○)多在二河内國交野、茨田、讃良、澀河、若江、攝津國島上、島下、西成等郡河畔之地一、諸國漕二運雜物一之徒、就二彼縁邊一、牽二引船舫一、如聞、牧子之輩、無レ知二章程一、寄二事禁制一、好致二掠奪一、因レ之往來船客、河上受レ寃、羇旅行人、途中懷レ悲、若不二懲肅一、何誡二將來一、權大納言正三位兼行右近衞大將民部卿中宮大夫菅原朝臣道眞宣、奉レ勅、宜下下二知國宰一近レ河之地、五丈之内、莫上レ令二妨制一、慣レ常不レ悛、以二強盜一論、國司寛縱不レ糺、量以科處者、兩國承知、牓二示縁レ河之地一、普令二諸人見知一、 昌泰元年十一月十一日
〔延喜式〕
〈二十六主税〉
p.0959 凡諸國牧馬不レ堪二貢進一者、申レ官賣却、混二雜皮直一、毎年出擧、用二其息利一、以充二貢馬經レ國之間、及牧秣馬料一、但信濃國者、便用二牧田地子一、其皮直送二左右馬寮一、
〔延喜式〕
〈四十八左右馬寮〉
p.0959 凡諸國所レ貢繫飼馬牛者、二寮均分撿領、訖移二兵部省一、〈◯中略〉並放二飼近都牧一、 凡年中諸祭祓馬者、〈◯中略〉並覆奏、以下放二近都牧一繫飼馬上充、自餘所レ用、臨時聽二處分一、
p.0960 凡春日社春冬祭神馬四疋、〈事訖放二本牧一◯中略〉 凡大原野春冬祭神馬四疋〈事訖放二本牧一◯下略〉
〔享祿本類聚三代格〕
〈十八〉
p.0960 太政官符 應レ禁三斷乘二用公私牧(○○○)父馬一事 右被二右大臣宣一偁、奉レ勅、凡牧馬遊牝任レ意、良駒可レ育、今聞、主當人等竟縶二父馬一、私事二乘用一、因レ此課欠多レ數、蕃息減少、其良馬者、國家之資、機急之要、宜自レ今以後、重仰二國司一、不レ論二公私一、嚴加二禁斷一、若慣レ恒尚犯、科二違勅罪一、郡司百姓、見知不レ告、亦與同レ罪、 弘仁二年五月廿二日
〔令義解〕
〈八厩牧〉
p.0960 凡牧馬長(○○○)、帳(○)者、取下庶人清幹堪二撿挍一者上爲之、其外六位〈謂初位以上、即内位不レ合也、〉及勳位〈謂七等以下〉亦聽二通取一、 凡牧毎レ牧置二長一人(○○○)、帳一人(○○○)一〈謂雖二馬牛不一レ盈レ群、而猶置二長帳一也、〉毎レ群牧子(○○)二人一、〈謂若不レ盈レ群者、即准量而置也、〉其牧馬牛、皆以レ百爲レ群、〈謂凡駒犢至二二歳一挍印、即挍印之年亦爲二別群一、其未レ別間、猶從二本群一、◯中略〉 凡牧馬牛、毎レ乘二駒二疋、犢三頭一、各賞二牧子(○○)稻廿束一、〈謂依レ律、牧馬牛、准レ所レ除外死失、及課不レ充者、二牧子笞廿、三加二一等一、此律即不レ稱レ皆、即知合レ爲二首從一也、凡賞罰之道、理當二均一一、准レ律科レ罪、即有二首從一、據レ令分レ賞、何無二輕重一、即以二廿束一爲二十九分一、十分給レ首、九分給レ從、若首從難レ知者、二人各受二十束一、其長帳分法亦准二此例一也、〉其牧長帳(○○○)、各通二計所レ管群一賞レ之、〈謂假令管二二群一之乘二四疋一、及管二三群一之乘二六疋一、各賞二稻廿束一之類、即管二一群一之乘二二疋一、若管二二群一之一群乘二一疋一、一群乘二三疋一、亦依二賞例一、其有二死闕一者、全賞二見在人一也、◯中略〉 凡在レ牧失二官馬牛一者、並給二百日一訪覓、限滿不レ獲、各准二失處當時估價一、十分論、七分徴二牧子(○○)一、三分徴二長帳(○○)一、〈謂皆據二首從法一徴レ之、若首從難レ定者、即須二均徴一也、〉如有闕〈謂未レ失之前有レ闕者、若已失之後去レ任者、不レ在二此限一也、〉及身死、唯徴二見在人分一、〈◯中略〉 凡在レ牧駒犢、至二二歳一者、毎年九月、國司共二牧長(○○)一對、以二官字印一、印二左髀上一、〈謂股外爲レ髀〉犢、印二右髀上一、並印訖、具録二毛色齒歳、爲二簿兩通一、一通留レ國爲レ案、一通附二朝集使一、申二太政官一、〈◯中略〉 凡須レ挍二印牧馬一者、先盡二牧子(○○)一、不レ足、國司量二須多少一、取二隨近者一充、〈謂以二雜徭一駈使◯中略〉
p.0961 凡驛、各置二長一人一、取二驛戸内家口富幹レ事者一爲之、一置以後、悉令二長仕一、〈謂牧長帳(○○○)亦准レ此也〉
〔唐六典〕
〈十七太僕寺〉
p.0961 諸牧監掌二群牧孳課之事一、〈◯中略〉凡馬牛之群以二百二十、駞騾驢之群以三七十羊之群以二六百二十一、群有二牧長牧尉一、 補レ長以二六品已下子白丁雜色人等一爲レ之、補レ尉以二散官八品已下子一爲レ之、品子八考、白丁十考、隨二文武一簡試與レ資也、〈◯中略〉 凡監牧孳生、過レ分則賞、 謂馬賸駒一則賞二絹一匹一、駞騾之賸倍二於馬一、驢牛之賸三、白羊之賸七羖羊之賸十、皆與レ馬同、其賞物二分入レ長、一分入二牧子一、牧子謂二長上專當者一、〈◯中略〉 凡官畜在レ牧而亡失者、給レ程以訪、過レ日不レ獲估而徴レ之、 謂給レ訪限二百日一不レ獲、準二失處當時估價一徴納、牧子及長各知二其半一、若戸奴無レ財者準レ銅依二加杖例一、如有レ闕及身死、唯徴二見在人分一、其在レ厩、失者、主帥準二牧長一、飼丁準二牧子一、其非レ理死損準二本畜一徴納也、 凡在レ牧之馬皆印 印右膊〈通鑑注二右膊一作二左膊一、〉以二小官字一右髀以二年辰一、尾側以二監名一、皆依二左右廂一、若形容端正、擬送二尚乘一不レ用監名一、二歳始春則量二其力一、又以二飛字印一印二其左髀膊一、〈通鑑注作二右膊一無二髀字一、〉細馬次馬以二龍形印一印二其項左一、送二尚乘一者、尾側依二左右一、閑印以二三花一、其餘雜馬送二尚乘一者、以二風字印一印二左膊一、以二飛字印一印二左髀一、〈通鑑注左髀作二右髀一〉騾牛驢則官名誌二其左膊一、監名誌二其右一、髀駞羊則官名誌二其頰一、羊仍割レ耳、若經レ印之後簡二入別所一者、各以二新入處一監名印二其左頰一、官馬賜レ人者、以二賜字印一、配二諸軍一及充二傳送驛者一、以一出字印一並印二左右頰一也、
〔延喜式〕
〈四十八左右馬寮〉
p.0961 凡官牧馬帳、甲斐國、信濃上野附二牧監(○○)一、武藏國附二別當(○○)一進レ寮、寮勘二損益一移二主計寮一、
〔類聚三代格〕
〈十五〉
p.0961 太政官符
p.0962 應レ賜二信濃國監牧(○○)公廨田一事 右被二大納言從三位神王宣一奉勅、監牧之司雖レ非二正職一、而離レ家赴レ任有レ同二國司一、宜下以二埴原牧田六町一爲中公廨田上、自レ今以後永爲二恒例一、但以二當土人一任者不レ在二賜限一、〈◯中略〉 延暦十六年六月七日
〔享祿本類聚三代格〕
〈十八〉
p.0962 太政官符 應レ徴二課欠駒價稻毎レ疋二百束一事 右撿二案内一、〈◯中略〉信濃國牧主當(○○○)伊那郡大領外從五位下勳六等金刺舍人八麿解偁、〈◯中略〉 弘仁三年十二月八日 太政官符 定二諸國貢上御馬騎士等數一事 右得二美濃國解一偁、〈◯中略〉須下信濃上野兩國各牧監一人、甲斐武藏兩國各主當一人、馬醫(○○)毎レ國一人、但騎士(○○)者率二馬六疋一以宛中一人上、 天長三年二月十一日
〔享祿本類聚三代格〕
〈十八〉
p.0962 太政官符 應レ令三牧監塡二償欠失牧馬一事 右得二撿甲斐武藏信濃上野等國御牧使右馬助源悦解状一偁、牧失二官馬牛一者、可レ徴二牧子長帳(○○○○)一之文已明也、於二國司及牧監一其法未レ立、唯勘二諸牧帳一、國司牧監相共署印、然則御馬欠失、何當レ不レ知、今撿實之日、若无實馬數多者、依レ令只徴二牧子長帳一哉、將依二勘署帳一責一國司牧監一哉、若可二共責一者、牧子長帳已有二率分一、國司牧監未レ見二其數一、使下准二何法一將辨上行レ之者、中納言兼右近衞大將從三位藤原朝臣時平宣、奉レ勅、凡於レ致欠失一、國司牧監共有二其罪一、然而國司雜務繁多、不レ遑二專一一、須下責二其怠一不上レ可レ徴レ物、但牧監專二行牧事一、無レ所二兼
p.0963 濟一、亦須下勘二其怠一准二牧子一徴上レ之、 寛平五年三月十六日
〔西宮記〕
〈八月〉
p.0963 延喜五八十四、於二仁壽殿一覽二秩父御馬一、歸御以二黄褂一領一給二牧司(○○)利春一、 同十八年八月廿日、召二武藏御牧司(○○○)道行一、賜二衾一條一、
〔吾妻鏡〕
〈十九〉
p.0963 承元五年〈◯建暦元年〉五月十九日庚午、小笠原御牧牧士(○○)、與二奉行人三浦平六兵衞尉義村代官一有二喧嘩事一、今日被レ經二沙汰一、對二如レ此地下職人一、稱二奉行一恣令二張行一之間、動及二喧嘩一、偏忘二公平一之所レ致也、早可レ改二義村奉行一之由被二仰出一、被レ付二佐原太郞兵衞尉一云云、
〔成田參詣記〕
〈三〉
p.0963 下野牧〈◯中略〉 【牧士】(もくし)と稱する士凡四十餘名各地に散在す、その長を綿貫といひ、小金驛に住せり、〈先祖は千葉氏の庶族なりしと云〉毎年春秋二度に官命ありて、二歳以上の駒を捕しむ、
〔類聚符宣抄〕
〈八〉
p.0963 撿牧使(○○○)事 太政官符 信濃上野兩國司 左馬權少允正六位上安倍朝臣以重 右馬大屬從七位上石城村主保兼 右中納言從三位兼行民部卿藤原朝臣文範宣、奉レ勅、爲レ令レ撿二挍彼國諸牧御馬并牧内雜事一、差二件等人一發遣者、諸國承知、一事以上、聽二使撿挍一、符到奉行、 正五位下守右中弁藤原朝臣永保 從五位下行左大史大春日朝臣良辰 天延三年二月一日 太政官符 甲斐武藏兩國司 左馬權少允正六位上安倍朝臣以重 右馬大屬從七位上石城村主保兼 右中納言從三位兼行民部卿藤原朝臣文範宣、奉レ勅、爲レ令レ撿二挍彼國諸牧御馬并牧内雜事一、差二件等人一發遣者、諸國承知、一事已上、聽二使撿挍一、符到奉行、
p.0964 正五位下守右中弁藤原朝臣永保 從五位下行左大史大春日朝臣良辰
〔拾芥抄〕
〈中末本朝國郡〉
p.0964 牧名 柏前 眞衣野 穗坂〈巳上甲斐〉 石川 田比 立野 小野 秩父〈巳上〉 山鹿 鹽原 岡ノ屋 平井手 笠原 高位(タカヰ) 宮處 垣原 大野 大屋 猪鹿 萩倉 新沼 長倉 鹽野 望月(モチツキ)〈巳上信濃〉 利處 有馬 沼尾 群志 久野(クノ) 市代 大監 鹽ノ山 新屋〈巳上上野〉
〔八雲御抄〕
〈五名所〉
p.0964 牧 みつのみまき〈山、後拾、 相模 まこも〉 きりはらの〈播〉 もちづきの〈同〉 をふちの〈陸〉 くろこまの〈甲〉 たちのヽ〈同〉 おのヽ〈同〉 ほさかの〈同〉 とりかひ〈山〉 おがさはらの〈甲〉 いゑしまのみまき〈播 是累代牧也〉
〔藻鹽草〕
〈三地儀〉
p.0964 牧 をのヽみまき〈ひたち、露草のうつればこまのつまぞありける、〉おふちのみ牧〈奥州、おふちのこまも野かふにはあれこそまされなつくものかは、〉いゑしまのみ牧〈これ累代の牧也、八雲御説、〉くろこまの牧〈八雲御説〉ほさかの牧〈八雲御説〉おくの牧 もちづきの牧〈しなの、八雲御説、〉みづのみ牧〈山城、五月雨、まこも、〉あらのヽ牧〈奥州、こまなれ行ものを、〉すヾのみ牧 たちのヽ牧 きりはらの牧 珠洲み牧〈のと、こまふる野、〉鳥養御牧〈つの國、おきつなみたかせのふねをさしすへてとろかひにてもくらしつるかな、〉へみのみ牧 小がさ原みづのみ牧〈おがさはらみづのみまきにあるヽむまもとればぞなづくこの我袖とれ、顯昭云、これはたヽみね十體中に、古歌躰の歌也、おがさ原は、かひの國也、みづのみまきは、山しろ、よどのわたり也、かくのごとくよみつヾくべからず、しかれば證歌にば、をがさ原へ、水のみまきと侍り、へみは、かひの國のまきの名也、のうゐん歌枕云、へみのみまきとは、へみににたるいろある麻のおふるがゆへに云也と云り、しかるを、ほり河の院百首、前武衞顯仲が春雨の歌にも、をがさはらみづのみまきとよめり、付レ此ひが事か、又奥義抄にも此定にひけり、もつとももつていこん也と云々、〉
〔類聚名物考〕
〈地理二十一〉
p.0964 みづのみまき(○○○○○○) 美豆御牧 山城國 美豆は山城國乙訓郡なるよし、勝地一覽に見ゆ、然るに美豆御牧等を淀野によみ合せたり、その淀は東久世郡なるよしなれば、此所いぶかし、尋て知るべし、
〔山城名勝志〕
〈十八久世郡〉
p.0965 美豆里〈淀大橋東北有二御牧八村一、是美豆野ノ里ナルベシ、◯下略〉
〔堀河院御時百首和歌〕
p.0965 春駒 なつくともいかヾとるべき草若みみづのみまきにあるヽ春駒
〔兼盛集〕
p.0965 みづのみまき まごもかるみづの御牧の駒のあしのはやくたのしき世をもみる哉
〔重之集〕
〈下〉
p.0965 むすめに男もたるといふころ 世にふれば心の外にあくがれて君が立名をよそにこそきけ 返し 人なれぬみづのみまきの駒なれやたつなもさらにあらじとぞ思ふ
〔内裏名所百首〕
p.0965 美豆御牧 かりてほす美豆の御牧の夏草はしげりにけりな駒もすさめず
〔夫木和歌抄〕
〈二十二牧〉
p.0965 洞院攝政家百首五月雨 隆祐朝臣 さみだれにからぬしげみのすゑはのみみづのみまきにのこるうき草
〔高祖遺書〕
〈五〉
p.0965 秋元御書 日本國ノ中ニハ七道アリ、七道ノ内東海道十五箇國、其内ニ甲州飯野御牧(○○○○○○)三箇郷之内、波木井ト申、此郷之内戌亥ノ方ニ入テ、二十餘里ノ深山アリ、
〔甲斐國志〕
〈五十一古蹟〉
p.0965 巨摩郡西河内領 南部ノ御牧、〈◯註略〉日蓮ノ書ニ南部御牧、波木井ノ郷、又【飯】(オフ)【野御牧】、三箇郷之内、波木井トモ見エテ、波木井村ノ南貳拾村ハ凡テ南部ノ御牧ナリ、飯野ハ其内ニ在リ、是ヲ三箇郷ニ分テルナラン、
〔甲斐國志〕
〈二國法〉
p.0965 牧馬
p.0966 南部御牧(○○○○)、飯野御牧(○○○○)ハ、弘安中日蓮法師ノ書中ニ見ユ、飯野ハ南部内ナリ、今作二大野一、共ニ河内領ニ在リ、
〔甲斐叢記〕
〈二〉
p.0966 牧名 南部〈巨摩郡河内領〉 飯野は今大野と作(か)きて、大野、相又、波木井の三村は地勢も自ら異なれば、馬城(とりこめ)の名をも別に立て、飯野の御牧と稱しなるべし、
〔甲斐國志〕
〈二國法〉
p.0966 牧馬 【八田】(ハツタ)【御牧】ハ天福元年西郡北鷹尾神社舊記ニ見ユ、今上八田村存セリ、亦續日本後紀載スル馬相野空閑地トハ、今ノ有野村ニ相當ベシト云、
〔甲斐國志〕
〈四十九古蹟〉
p.0966 巨摩郡西郡筋 一八田ノ御牧(ミマキ) 高尾村御崎文殊社ニ掛鏡一面アリ、圓徑八寸六分、内ニ三體王子ノ像ヲ鐫レリ、銘ニ甲斐國八田御牧北鷹尾、天福元年〈大才癸巳〉十二月十五日、大勸進蓮幸房弁妻トアリ、加賀美、小笠原邊ヨリ北ヲ、里人ハ多ク八田ノ庄ト云傳ヘリ、今上(ウヘ)八田村存セリ、此所ニテハ西山ノ別名ヲ八田山トモ云ナリ、〈◯中略〉續日本後紀、承和二年四月丙子、甲斐國巨摩郡馬相野空閑地五百町賜二一品式部卿葛原親王一トアリ、馬相野ノ地今不レ詳、按ニ鳳凰山、駒ケ岳ハ靈駒ヲ産スルニ名アリ、御勅使川ノ北ニ方駒場村相對シ、其續キニ有野村アリ、有野ハ即相野ノ訛轉ナラン、相ノ言ハ合ナリ、草馬ノ相會集スル義ナルベシ、因有二八田御牧ノ名一、斯ル曠原遼野ニ非ズンバ、空閑五百町ノ地、何ノ處ニカ索ムベケンヤ、承和ノ後百餘年ニシテ倭名鈔成リ、而テ此處ノ郷名ヲ載セザレバ、馬相野ハ唯原野ノ名ナランノミ、馬アヒ野ト訓ジテ可ナルベシ、
〔甲斐國志〕
〈三十九古蹟〉
p.0966 山梨郡栗原筋 一牧ノ庄 夢窗國師傳記ニ、元徳二年云々、出二鎌倉一往二甲州牧莊一創二慧林寺一居レ焉云々、法光寺ノ鐘ノ銘ニ、甲
p.0967 斐國牧莊云々、重修理貞治五年丙午十一月廿七日トアリ、拔隊法語ニ、牧莊寶珠寺ト見ユ、此寺ハ萬力筋中牧(○○)ノ窪平村ニ在リ、廣ク唱ヘシ庄名ニテ、中牧、武(タケ)河等モ之ニ屬セリ、
〔甲斐國志〕
〈三十八古蹟〉
p.0967 山梨郡萬力筋 一中牧(アカマキ) 牧ノ庄ハ窪八幡以北加美ノ郷一體ニ稱レ之、笛吹川ノ東ハ今西保、徳和等ノ山ニ入會ノ村々、慧林寺、河浦入リトモニ皆此庄ニ隷スト見ユ、蓋安田遠州ノ所領ナルベシ、中世笛吹ノ東、琴川ノ北、岩手ノ南及ビ西保等ヲ除キ、中央ヲ中牧ト稱セリ、杣口、千野宮、城古寺、窪平倉科是ナリ、鹽山ノ拔隊語録ニ、牧ノ庄寶珠寺トアリ、同ク東養軒ノ所藏、天正ノ御朱印ニ、中牧ニ作レリ、此寺ハ窪平村ニ在リ、永祿ノ番帳ニ、中牧ノ禰宣トアルハ、千野ノ宮村中牧大明神ノ神主ヲ云ヘルナリ、又此村ニ庄司屋敷、小手屋敷ト云處モアリ、古事傳ハラズ、
〔甲斐國志〕
〈四十古蹟〉
p.0967 八代郡大石和筋 一黒駒牧(○○○) 八雲御抄ハ、くろこま、甲斐トアリ、日本紀ニ雄略帝十三年、木工猪名部眞根有レ罪、仍付二物部一刑二于野一、〈中略〉以二赦使一乘二甲斐黒駒一詣二刑所一、止而赦レ之、解二徽纆一、復作レ歌曰、農播拖麻能(ヌバタマノ)、柯彼能矩盧古磨(カヒノクロコマ)、矩羅枳制播(クラキセバ)、伊能致志難磨志(イノチシナマシ)、柯彼能倶盧古磨(カヒノクロコマ)、トアリテ、甲斐ノ黒駒ノ名由テ來ルコト久シ、地名ノ起ル所以是ナリ、續日本紀ニ聖武帝天平三年十二月、甲斐國獻二神馬一、黒身白髮尾、〈中略〉其獲レ馬人進二位三階一、免二甲斐國今年庸及出レ馬郡庸調一、其國司史生以上、並獲レ瑞人、賜レ物有レ差云々、是モ此牧ノ産ニヤ、聖徳太子甲斐驪駒ノ事ハ、佛家ノ書ニ多ク見ユ、後ノ史録ニハ穗坂、柏前、眞衣野三牧アリ、黒駒ノ牧ノ事ハ所レ見ナシト雖モ、今ニ藤木(トウノキ)宿ノ枝村ニ駒木戸ト云處アリ、即黒駒ノ關アル所ナリ、黒駒山ノ西ヘ續キタル小石和筋ノ諸村ノ古ヘノ牧場ナランカ、大野寺ノ御朱印山ノ内ニモ牧馬ノ事ヲ云傳ヘタリ、〈◯下略〉
〔類聚名物考〕
〈地理二十一〉
p.0967 小野御牧(○○○○) をのヽみまき 常陸
〔新千載和歌集〕
〈十八雜〉
p.0968 左近大將に侍りける頃、常陸のをのヽ御牧より、草奉るを見てよみ侍りける、 大納言朝光 常陸なるをのヽ御牧の露草のうへしは駒のおくにぞ有ける
〔日本後紀〕
〈二十一嵯峨〉
p.0968 弘仁二年十月丙寅、上野國利根郡長野牧(○○○)賜二三品葛原親王一、
〔山槐記〕
p.0968 元暦元年九月十四日、大嘗會官符等請印有レ政、 十五日、悠紀史國通依二辨命一持二來日時四通古地一、〈◯中略〉 近江國 注進 風土記事〈◯中略〉 岡見牧(○○○)〈◯中略〉 右注進如レ件 元暦元年九月 日
〔愛媛面影〕
〈三風速郡〉
p.0968 忽那島 北條の沖中に在り、俗に中島(○○)と云、〈◯中略〉此島古昔牛馬牧(○○○)なりしを、村民の訴によりて、其事を止られたり、
〔筑前國續風土記〕
〈十三〉
p.0968 遠賀郡 此郡所々に馬牧(○○)多くして、村井(○○)、熊村(○○)、波津浦(○○○)杯に牧ありし其地あり、猶この外にも多かりしとかや、故に中頃より、此郡を御牧郡と稱せり、
〔夫木和歌抄〕
〈二十二牧〉
p.0968 千五百番歌合戀歌〈あらのヽまき、國未レ勘之、〉 皇太后宮大夫俊成卿 みちのくのあらのヽまき(○○○○○○)のこまだにもとればとられてなれゆく物を
〔夫木和歌抄〕
〈二十二牧〉
p.0968 家集人のもとへいひやりけるのとのくにすヽのみまき(○○○○○○) 祐擧
p.0969 なづけたるすヽのみまきのこまなれやかひしふるのをわすれざりける 返し よみ人しらず あはれにもこまかへりける心哉いかなるすヽのみまきなるらん
〔西宮記〕
〈八月〉
p.0969 上野御馬 上卿著二左仗一、外記覽二解文一、〈先申二候由一入レ筥〉上卿令レ開、〈繫飼文留レ座、勅旨牧在(○○○○)二馬寮式(○○○)一、毎年駒率是也、官牧在(○○○)二兵部式(○○○)一、諸國進二繫飼一是也、〉
〔延喜式〕
〈四十八 左右馬寮〉
p.0969 御牧 甲斐國〈柏前牧(カシハサキノ) 眞衣牧(マキノヽ)穗坂牧(ホサカノ)〉 武藏國〈石川牧 由比牧 小川牧 立野牧〉 信濃國〈山鹿牧 鹽原牧 岡屋牧 平井牧 笠原牧 高位牧 宮處牧 埴原牧 大野牧 大室牧 猪鹿牧 萩倉牧 新治牧 長倉牧 鹽野牧 望月牧〉 上野國〈利刈牧 有馬牧 沼尾牧 久野牧 市代牧 大鹽牧 拜志牧 鹽山牧 新屋牧◯中略〉 凡年貢御馬者、甲斐國六十疋、〈眞衣、柏前兩牧卅疋、穗坂牧卅疋、〉武藏國五十疋、〈諸牧卅疋、立野牧廿疋、〉信濃國八十疋、〈諸牧六十疋、望月牧廿疋、〉上野國五十疋、
〔延喜式〕
〈四十八左右馬寮〉
p.0969 凡諸節及行幸應レ用二國飼御馬一者、斟二量須數一奏聞、乃下二官符一令レ進、唯牧放飼馬者、寮移二當國一、國即令二牧子牽送一、〈但攝津國鳥養牧、豐島牧、不レ移二當國一、寮直放繫、◯中略〉 攝津國鳥養牧、〈右寮〉豐島牧、〈右寮〉爲奈野牧、〈右寮〉近江國甲賀牧、〈左寮〉丹波國胡麻牧、〈左寮〉播磨國垂氷牧、〈左寮〉 右諸國所レ貢馬牛、各放二件牧一、隨レ事繫用、
〔西宮記〕
〈八月〉
p.0969 天暦三年十月廿三日、於二仁壽殿一覽二後院利山〈◯山恐刈誤〉萩原御馬一、近衞府分取、遣賜二當時親等一遣、賜二埀水(○○)〈◯水恐氷誤〉御牧(○○)一、
〔吾妻鏡〕
〈六〉
p.0969 文治二年三月十二日庚寅、〈◯中略〉又關東御知行國々内、乃貢未濟庄々、召二下家司等注文一被レ下レ之、可下加二催促一給上之由云云、今日到來、〈◯中略〉 左馬寮領
p.0970 笠原御牧(カサハラノミマキ) 宮所(ミヤドコロ) 平井弖(ヒライデ) 岡屋(ヲカノヤ) 平野 小野牧(ヲノヽマキ) 大鹽牧(シホノマキ) 鹽原(シホバラ) 南内 北内 大野牧 大室(ムロノ)牧 常盤(トキハノ)牧 高井野(タカイノヽ)牧 吉田(ヨシタノ)牧 笠原(カサハラ)牧〈南條〉 同北條 萩金井(ハギカナイ) 望月(モチヅキノ)牧 新張(ニイハリノ)牧 鹽河(シホカハノ)牧 菱野(ヒシノ) 長倉(ナガクラ) 鹽野(シホノ) 桂井(カツラヰ) 緒鹿(ヲシカ)牧 多々利(タヽリノ)牧 金倉井(カナクライ) ◯按ズルニ、左馬寮領ノ諸牧ハ即チ勅旨牧ナルガ、鎌倉幕府ノ頃ニ在リテハ、朝廷ノ馬政衰ヘテ振ハズ、殆ド有名無實トナリシコト、下文吾妻鏡建久五年及ビ承元四年ノ文ヲ見テ知ルベシ、
〔小野宮年中行事〕
p.0970 八月廿八日、牽二上野勅旨御馬一事、〈◯中略〉 太政官符 甲斐國司 應レ令下任二式數一合期牽中進諸牧年貢御馬陸拾匹上事 眞衣野柏前(○○○○○)兩牧參拾疋 穗坂御牧(○○○○)參拾疋 右諸牧年貢御馬、式數已存、入京之期、明在二格條一、違闕減數、可レ處二科責一之状、嚴制相重、而頃年或注二生益微少一、空減二例貢一、或稱二遞送緩怠一、違期逗留、適所二牽進一之實、專非二本牧良駒一、牧司縱有二奸遁之過一、國宰何無二撿察之勤一、懈緩之甚、責而有レ餘、左大臣宣、奉レ勅、宜下加二下知一全滿二式數一合期令上レ貢、猶致二怠慢一、必處二罰責一、又路次國、不二早遞送一、同以科處、但毎牧母馬、國司交替之日、新載二不與状一、具録言上、若有二減少一、加二立其數一備之、申二請功過一之時、隨二彼勤惰一、將レ定二褒貶一者、國宜承知、依レ宣行之、符到奉行、 左大辨道方 左大史奉親 寛弘九年四月十三日
〔甲斐國志〕
〈四十七古蹟〉
p.0970 北巨摩郡逸見筋 一柏崎(カシハザキノ)牧〈樫山村〉 淺川村ノ北瑞籬(ミツガキ)山トテ高サ數十丈ノ斷崕アリ、下ニ深澤川ノ急流ヲ帶ブ、其絶頂ヘ
p.0971 近キ處ニ、古時ノ佐久郡河上路アリ、舟窪ト云所ニ關門ノ迹存セリ、後ニ今ノ路ヲ開キ、淺川ニ番所ヲ移シ、險路較易キヲ得タリト云、村ノ東北船ガ川上ニ、柏前ノ牧ト云傳ル處アリ、野馬平、南牧ヨセ、北牧ヨセ、掛札ナド云地名存セリ、其北ハ信州川上ト一嶺ヲ隔タリ、小念(コ子ン)トテ念場原ニ相次タル廣平ノ原アリ、歴史ニ所レ載本州年貢御馬六十匹〈眞衣野、柏前、兩牧三十匹、穗坂三十匹、〉兩牧以二八月十七日一爲レ期牽進トアリ、〈牧ノ事ハ別ニ記セリ〉柏前ノ地後世詳ナラズ、山梨郡ノ柏尾ニ尾崎林ナド云地名存シ、岩崎山ニ相並ビ、黒駒山ヘモ續キ、牧馬ノ事ヲ傳フル言モ多ケレバ、是ゾ柏前ノ牧ナラン乎ト云舊説ハアレドモ、此處ハ炳然タル古迹ナリ、小笠原ノ牧ハ穗坂ノ牧ニ屬シ、元來巨麻ノ郷ナランニハ、和歌ニ小笠原ヘミノ御牧ト詠メルハ、一牧ノ名トハ聞エガタシ、六帖ニハ、逸見ノ御牧ト題ニモ置カレタリ、小笠原逸見ノ二所ヲ指ストキハ、逸見ノ牧ハ即柏前ニテ此處ヲ云ナラン、美豆ノ御牧ト引直サレタルハ、穗坂、小笠原、柏前ノ三所ヲ云ナルベシ、穗坂、小笠原ニテ貢馬三十匹、柏前、眞衣野ニテ三十匹、毎レ牧十五匹ニアタレリ、今柏山ト云モ柏ノ假名ニテ埼ト前トハ訓ヲ通ジ、皆文字ノ換ルノミ、本ト樫山ノ尾埼ト云義ナレバ、柏尾ハ自然ノ同地名ト聞エタリ、此處ハ穗坂ノ山ニ連亘シ、金峯ノ山脈絶ザル地ナリ、牧ノ駒ニ名アリシコト知ヌベシ、今モ馬兒ヲ畜シテ助産モノ少カラズ、
〔吾妻鏡〕
〈十四〉
p.0971 建久五年三月十三日甲戌、甲斐國武河御牧駒八疋參著、被レ經二御覽一、可レ被レ進二京都一云云、
〔甲斐國志〕
〈三十八古蹟〉
p.0971 山梨郡萬力筋 一武河(タケカハノ)牧 東鑑、建久五年三月十三日、甲斐國武河御牧駒八疋參著、被レ經二御覽一、可レ被レ進二京都一云々、牧平村ニテ、漆河、赤芝川合シテ竹川ト名ク、即西保河ナリ、竹川橋ト云ハ、本ト御普請所ナリ、石水寺ノ要害ヨリ切差(キリサス)ヲ歴テ、雁坂口ヘノ通路ナリ、金峯、御岳ノ方ヘモ路アリ、竹川監物ノ宅蹟〈竹川ノ事ハ士庶部ニ出セリ〉是ハ警固ヲ役セシ士ナリト云、東鑑ニ武河ト書タル故ニ、巨麻郡ノ武河(ムカハ)ニ混ジタリ、此處ハ高岳ヨリ流レ下ル河ナレバ、猛烈ノ義ニテ、タケト訓ズベシ、竹武二字トモニ假字ナリ、牧ノ莊ノ内一
p.0972 般ノ馬城(トリコメバ)ト見エタリ、
〔和漢三才圖會〕
〈六十九甲斐〉
p.0972 逸見御牧(ヘミノミマキ) 在二巨勢郡一、穗坂小笠原等皆有レ牧出レ駒、
〔甲斐國志〕
〈四十七古蹟〉
p.0972 北巨摩郡逸見筋 一小笠原長清館蹟〈小笠原村厚芝組〉 按ニ小笠原ノ牧ハ古歌ニ詠ズレドモ、延喜式、拾芥抄等、及歴代國史ニハ穗坂、眞衣野、柏前、三牧ノ外所レ見ナシ、東鑑、承元五年五月十九日、小笠原御牧牧士與二奉行人三浦平六兵衞尉義村代官一有二喧嘩事一、今日被レ經二沙汰一、〈◯中略〉早可レ改二義村奉行一之由被二仰出一、被レ仰二佐原太郞兵衞尉一云云トアリ、古ハ小笠原ノ北上手(ウヘデ)村〈小笠原ノ上方ト云義ナリ〉淺尾、神取、皆引續キタル原野ナリシ由、今茅ケ岳ノ麓入合場ニ馬城ノ遺形存セリ、茅ケ岳、金ガ岳、江草山等ニ所レ牧ハ、本ト穗坂同産ノ馬ナレバ、御取籠ノアリシ場所ニ因リテ其名ヲ稱シ、庄ノ名ニ取リテ穗坂ノ牧ト總稱セシナラン、〈◯註略〉美豆ノ牧トハ穗坂小笠原逸見三所ヲ指シテ云ナルベシ、逸見ノ牧ハ即柏前ノ牧ナランコトハ旣ニ其條ニ記セリ、又夫木集ノ註ニ、逸見ノ牧或ハ伊豆トアルハ、彼州ノ西浦戸田(ヘダ)ノ山ニ今モ散馬アリ、古ハ牧場ナリシト云リ、音近キ故ニ混ジ誤レルナラン、彼ハヘダ(○○)ナリ、ヘミ(○○)ニハ非ズ、
〔政事要略〕
〈二十三年中行事〉
p.0972 廿五日〈◯八月〉武藏勅旨牧并立野御馬事〈是日分二取御馬一、先取二由比石川小川等牧御馬一畢、更次取二立野馬一、〉 右官字五十〈後加レ十〉立野廿、元十五加レ五、 太政官符 武藏國司 應下立野牧爲(○○○○)二勅旨(○○)一并以二八月廿五日一定中入京期上事 右右大臣宣、奉レ勅、件牧宜下爲二勅旨一、即蔭孫藤原道行充二其別當一、毎年令中勞二飼十五疋御馬一、合期牽貢上者、國宜承知、依レ宣行之、符到奉行、 左中辨藤原朝臣 左少史酒井勝
p.0973 延喜九年十月一日
〔武藏志料〕
〈三〉
p.0973 馬牧 立野 都筑郡に有郷名也、和名抄に多知乃、 小野 多摩郡に有郷名也、和名抄に乎乃、今府中六所神社の所、小野といへり、小野神社也、即この所ならん、 秩父 秩父郡 立野牧 たちのヽまき 都筑郡
〔類聚名物考〕
〈地理二十一〉
p.0973 立野牧 たちのヽまき 武藏國 或書には都筑郡と云ふ、契沖の名所補翼抄にも、和名都筑郡立野〈多知乃〉と出せり、武藏地名考には、秩父郡の内なり、又都筑郡にも疑しき所あれば、闕疑のみと有れども、秩父はわろし、拾芥抄にも、武藏國馬牧五所出して、石川田比立野小野秩父と有るを思へば、秩父にあらず、都筑郡なる事明らけし、猶俊明が先にしるせる武藏志料、馬牧の條に委しく考へ有れば、此に略きぬ、
〔政事要略〕
〈二十三年中行事〉
p.0973 武藏小野御馬 太政官符 武藏國司 應下小野牧爲(○○○○)三勅旨(○○)一并以二八月廿日一定中入京期上事 右大納言正三位兼行右近衞大將陸奧出羽按察使藤原朝臣仲平宣、奉レ勅、件牧宜下爲二勅旨一、即散位小野諸興充二其別當一、毎年令中勞二飼四十疋御馬一、合期牽貢上者、國宜承知、依レ宣行之、符到奉行、 左少辨源朝臣 左大史内藏朝臣 承平元年十一月七日
〔擁書漫筆〕
〈四〉
p.0973 武藏國多摩郡府中宿の南のかた、分配河原につヾきたる所の小野宮村に、小野神
p.0974 社の趾といふが殘れり、〈◯中略〉いにしへの西宮記八月の部、駒牽の條、九條年中行事八月廿日の條、小野宮年中行事八月廿日の條、北山抄八月の部、中右記寛治八年八月廿日の條、政事要略廿三の卷、公事根源八月駒牽の條、拾芥抄中末卷牧名の部、禮儀類典百六十四の卷などに出たる小野牧もこのわたりにや、
〔政事要略〕
〈二十三年中行事〉
p.0974 十三日〈◯八月〉牽二武藏秩父御馬一事 太政官符 武藏國司 應下以二朱雀院秩父牧(○○○○○○)一、爲(○)二勅旨牧(○○○)一、以二八月十三日一定中入京期上事 秩父郡石田牧一處 兒玉郡阿久原牧一處 加二御馬疋一 右左大臣宣奉レ勅、件牧宜下爲二勅旨牧一、散位藤原朝臣惟條、充二其別當一、毎年令中勞二飼廿疋御馬一合期牽貢上者、國宜承知、依レ宣行之、符到奉行、 承平三年四月二日
〔西宮記〕
〈八月〉
p.0974 延喜十年十月、以二馬形繪幣等一給二秩父御牧一、
〔政事要略〕
〈二十三年中行事〉
p.0974 十五日〈◯八月〉牽二信濃勅旨御馬一事〈此中有二十五牧一、左官字諸牧六十、元八十、山鹿、〉 鹽原 岡屋 宮處 平井弖 埴原 大室 猪鹿 大野 萩乃倉 笠原 高位
〔本朝世紀〕
p.0974 天慶八年九月九日壬寅、今日信濃諸牧、〈大室、新治、宮處、長倉、猪鹿、山鹿、〉
〔木曾路名所圖會〕
〈四〉
p.0974 望月〈信濃〉 望月御牧〈望月の驛の上の山をいふ、今牧の原といふ、〉 むかしは御牧七郷とて、此近邊みな御牧ありしといふ、
〔望月舊地考〕
p.0974 信州佐久郡望月御牧七郷之内太玉郷滋野庄者、〈今の下ノ城〉高祖貞保親王より代々望月氏居住之地にて、古城跡有レ之、〈◯中略〉
p.0975 一望月御牧八景と古來より申傳候由、左源太申聞候、 牧ケ原暮雪 鞍懸石夜雨 月輪歸樵 玉の井秋月 布引山晩鐘 獅子ケ岩晴嵐 瓜生坂夕照 鹿曲川落雁
〔活所遺藁〕
〈類聚名物考所引〉
p.0975 東山道紀行廿四首中 望月御牧原 望月入レ歌舊、風流信可レ憐、村夫談二往事一、騋牝近二三千一、
〔政事要略〕
〈二十三年中行事〉
p.0975 廿八日〈◯八月〉上野勅旨御馬事〈殿上侍臣并小舍人隔年給レ之、延喜七八年例、頻年給レ之小舍人不レ拜、左小舍人牧官字、諸牧五十、〈櫪卅繫廿〉利刈、有馬島、治尾、拜志、久野、市代、大監、鹽山、新屋、封有〈春字〉小栗田、平澤已上十四牧、◯中略〉
〔西宮記〕
〈八月〉
p.0975 上野御馬 上卿著二左仗一、外記覽二解文一、〈先申二候由一入レ筥〉上卿令レ開、〈（中略）官牧在(○○○)二兵部式(○○○)一、諸國進二繫飼一是也、〉
〔延喜式〕
〈二十八兵部〉
p.0975 諸國馬牛牧 駿河國〈岡野馬牧、蘇彌奈馬牧、〉 相模〈高野馬牛牧〉 武藏國〈檜前馬牧、神埼牛牧、〉 安房國〈白濱馬牧、鈖師馬牧、〉 上總國〈大野馬牧、負野牛牧、〉 下總國〈高津馬牧、大結馬牧、本島馬牧、長洲馬牧、浮島馬牧、〉 常陸國〈信太馬牧〉 下野國〈朱門(スモ)馬牧〉 伯耆國〈古布馬牧〉 備前國〈長島馬牛牧〉 周防國〈竈合馬牧、垣島牛牧、〉 長門國〈宇養馬牧、角島牛牧、〉 伊豫國〈忽那島馬牛牧〉 土佐國〈沼山村馬牧〉 筑前國〈能臣島牛牧〉 肥前國〈鹿島馬牧庇羅馬牧、生屬馬牧、柏島牛牧、
野牧、早埼牛牧、〉 肥後國〈二重馬牧、波良馬牧、〉 日向國〈野波野馬牧、堤野馬牧、都濃野馬牧、野波野牛牧、長野牛牧、三原野牛牧、〉 右諸牧馬五六歳、牛四五歳、毎年進二左右馬寮一、各備二梳刷剉一、其西海道諸國送二太宰府一、但帳進レ省、
〔延喜式〕
〈二十六主税〉
p.0975 遠江國正税公廨各廿八万束、〈◯中略〉白羽ノ官牧馬直四千四百六十束、〈◯下略〉
〔遠江國風土記傳〕
〈十二〉
p.0975 城飼郡〈倭名鈔訓二岐加布一〉所三以號二城飼一者、牧飼之地也、故昔有二白羽牧官及駒場之舊名一、〈白羽駒場、今屬二蓁原一、◯下略〉
〔吾妻鏡〕
〈十九〉
p.0975 承元四年十月十三日戊辰、諸國御牧事、可レ令二興行一之由、可レ相二觸守護地頭等一之旨、今日被一
p.0976 仰出一、武州奉行也、行光書二下之一、
〔有徳院殿御實紀附録〕
〈十二〉
p.0976 牧馬の事もとり〴〵沙汰し玉ひければ、南部仙臺等の馬政大にとヽのひ、年毎に貢する良馬、むかしにくらぶれば十倍せり、其頃下總國小金(○○)および佐倉(○○)に牧をひらかれ、野飼の馬多くはなたれしが、いくほどなく子を産して、年々に名駒多く牽來りしを、御みづから台覽あり、近習の人々に仰せて、乘こヽろみさせ玉ひ、または騎射つかふまつる番士等に賜はる事もありし、近臣にては土岐大學頭朝澄、馬役には齊藤三右衞門盛安、代官は小宮山杢之進昌世この事奉り、つねにかしこに往來して馬役を沙汰せり、また甲斐國(○○○)にも牧場を開かれ、これをも引來れば、必らず御覽ありしなり、また蘭舶に托して、バルシャの馬をめしよせられ、かの地にも我國の馬をわたされしなり、
〔成田參詣記〕
〈三〉
p.0976 下野牧(しものまき) 二總馬牧の權輿は、天正度御開府よりのことなるべけれど、明制を頒たれしは慶長十九年以來なり、〈享保中野付組合村村定り、寛政四年改正あり、〉【上野】(かみの)、【中野】(なかの)、【下野】(しもの)を小金(○○)と稱へ、【内野】(うちの)、【高野】(かうや)、柳澤小間子(○○○○○)、【取香】(とつかう)、矢作(○○)、油田(○○)を佐倉と稱ふ、別に【印西牧】(いんさいまき)あり、都て十一牧あり、
〔享保集成絲綸録〕
〈二十四〉
p.0976 享保八卯年八月 小宮山杢之進 小金牧場(○○○○)之内、中野牧(○○○)より下野牧(○○○)迄野馬之儀、此度御預被レ成候間、諸事可レ及二差圖一候、牧士共之内、右牧附懸所々居候者共は、其方可レ致二支配一候、尤右牧ニ而捕候馬之内、二三疋ヅヽ陣屋之内ニ役人を差置飼付、乘入等も申付、御用次第、江戸江差越可レ被レ申候、 八月 享保十一午年正月 〈寄合〉松平織部
p.0977 東野牧(○○○)之内知行所上小原村ニ附候松林野、馬のために障候間、此度切すかし候様可レ被レ致候、尤御勘定奉行江委細可レ被二承合一候、 小普請組能勢出雲守支配 間宮三郞左衞門 右同文言 下小原村 〈寄合〉大久保藤次郞 柱木牧(○○○)之内知行所川谷村ニ附候雜木林野、馬之ため障候間、此度切すかし候様に可レ被レ致候、尤御勘定奉行江委細可レ被二承合一候、 正月
〔柳營秘鑑〕
〈八〉
p.0977 小金中野牧御鹿狩之一件同繪圖 一享保十一丙午年三月廿六日、將軍家下總國小金中野牧(○○○○○)御遊獵之節、御定書御用掛供奉之面々 并御場所繪圖左之通、〈◯下略〉
〔享保集成絲綸録〕
〈二十四〉
p.0977 享保十一午年十一月 小宮山杢之進 一綿貫夏右衞門御預、野馬立場土手普請、其方任二差圖一申付候節、人足早速差出、手支無レ之様可レ致候、 一夏右衞門御預之牧、落馬怪我馬百姓取放馬有レ之節、其村より近所之牧士江屆、埒明候而後、夏右衞門方江屆候由、父馬等をも被レ遣置事ニ候間、此以後は、右之節早速夏右衞門方江相屆候而、爲レ致二見分一取仕廻候様ニ可レ致候、若又夏右衞門方江屆候而も、早速不レ懸二見分一、手間取候儀も候はヾ、其段此方江可二申聞一候、 右之通可レ被二申渡一候
p.0978 十一月 享保十九寅年二月 當春ニ至リ峯岡牧(○○○)青鹿毛栗毛之駒并さび鴾毛年古之馬不二相見一候之間、正月より只今迄之内、二歳三歳ニ成候、右之通馬繫候者有レ之候はヾ、遂二吟味一、書付可レ被二差出一候、〈◯中略〉 二月 享保十九寅年二月 此度峯岡牧紛失馬之儀ニ付、村々江可二相建一高札文言寫遣レ之候、上總下總常陸三ケ國之御料村々江、各御代官所切ニ、切支丹之高札有レ之際江、早々可レ被二相建一候、尤當分之高札ニ而候間、何板ニ成共認、早速相建候様、手代村々江差遣、名主江申渡、建させ可レ被レ申候、右三ケ國私領江は、地頭より右高札相建候筈ニ候、右之段本多伊豫守申二渡之一、 享保十九寅年四月 峯岡牧士江可二申聞一趣 今度峯岡牧之駒、父馬共五疋不二相見一候、段々御吟味も有レ之處に、今不二相見一候、右牧駒之儀ハ、其方共常々入念心附可レ申義候處、ケ様ニ猥ニ失候儀、其方共不二心懸一故ニ候、其上右駒失候節、早速可二申出一處延引、旁不埒之至候、急度も可レ被二仰付一候得共、此度ハ御宥免之儀候間、向後隨分入念候様ニ可レ致候、 右申畢而 右不埒ニ付、當年分被レ下金半分ハ、被二下置一間敷候段、可二申聞一候、 但八人共ニ同様
〔徳川禁令考〕
〈十五勘定奉行〉
p.0978 延享三丙寅年七月〈闕日〉
p.0979 勘定奉行取扱向ノ儀ニ付勤方達書 覺〈◯中略〉 一佐倉小金牧〈◯中略〉 右之分、只今迄神尾若狹守一人ニて相勤候處、向後者御勝手方之もの不レ殘掛りニ可二相心得一事、
〔總常日記〕
p.0979 葛飾やこがねの牧の駒えらみ心にのりてみるもいさまし
〔小金野御狩記〕
p.0979 御狩場の原は享保のむかしは、中の御牧とて、馬飼給ふところなりしを、寛政の御時とかや、この御牧を二ツにわかちて、土手作らせ給ひて、常に乘めで給ふ南部の馬をこヽにわかち放ち飼しめ給ひたり、故にこヽを御園の御牧(○○○○○)と唱ふるよしなりけり、此度も中の御牧の馬は三百程も有しを、みな六芳野といふ處へ七里ばかり追やらせ給ひ、また此御牧のは五十程も有しを、皆牧士のものへ分ちあづけしめ給ひしになりけり、御立場のあたりは御園の御牧なり、五助木戸と云より東は中の御牧なり、此木門より南へ土手ありしを、此度三百五十間崩して、御園中野一つの牧とはせさせられしなり、土手は六十間二十間十間五間とたよりあしき處は、皆とりはらひたり、常は御園木門といふところばかりなるを、そこもひろげたり、六十間切崩したれば、こヽを六十間の御狩の入口とぞいふ、
〔和漢三才圖會〕
〈六十五陸奥〉
p.0979 【尾駁牧】(ヲフチノマキ) 奧牧(○○) 荒野牧(○○○) 花牧(○○) 共在二南部領一、駒ノ牧也、毎年出二數万匹駒一、於二仙臺及出羽ノ新庄尾花澤一立レ市賣レ之、但花牧今旅館多有二遊女等一、稍爲二繁花地一、
〔藝備國郡志〕
〈上安藝〉
p.0979 牧場 一號二【情】(ナサケ)【島】一一號二【雪島】一、屬二安南郡一、兩島之間、相去海面九里餘、其島有レ山有レ溪、山下平曠、自レ春至レ秋百草繁茂、群馬畜二養其間一、生育蕃息、毎歳出二良駒一、國人實有レ頼焉、
〔朝野群載〕
〈十七佛寺〉
p.0979 施入帳
p.0980 藻原庄〈◯上總〉壹處 地四至〈東限二清水野一、西限二巨堤葦原一、〉 〈南限二緑野一、北限二小竹河一、〉 東西壹仟貳拾丈 南北肆佰捌拾漆丈〈◯中略〉 右庄田等制圖券、公驗等書、奉レ入如レ件、就レ中藻原庄曾祖父故從四位上黒麻呂朝臣之牧(○○○○○○○○○○○○○○○○○○)也、墾闢爲二治田一也、〈◯中略〉件兩箇庄、先君有レ命、可レ施二入興福寺一云、〈◯中略〉 寛平二年歳次庚戌八月五日 蔭子 藤原朝臣敏樹
〔延喜式〕
〈三十一宮内〉
p.0980 凡典藥寮味原牛牧帳一通年終令レ進、其課欠乘并斃死及用遺等、省共勘知、
〔延喜式〕
〈三十七典藥〉
p.0980 凡味原牧爲二寮牛牧一、其生益牡牛、便充耕二作藥園一、并爲二父牛一、 凡味原牛牧死牛皮者、賣用二寮修理料一、但所二賣得一數、附二年終帳一申二送之一、 ◯按ズルニ、此外諸國ノ牛牧ノ事ハ、官牧ノ條ニ引ケル、延喜兵部式ノ文中ニ在ルヲ見テ知ルベシ、
〔享祿本類聚三代格〕
〈十八〉
p.0980 太政官符 應三復レ舊行二味原牧乳牛課法年限一事 右得二宮内省解一偁、典藥寮解偁、勘二件牧乳牛課法一、元來起レ自二四歳一停二十二歳一、行來年久、而前頭源朝臣道、偏稱二令條一、自二去元慶五年一勘二發十九歳之課一、申二載勘解由使報符一、下レ寮已畢、今案二事情一、乳牛院立飼牛總十四頭、就レ中母牛七頭、其息七頭、遞相輪轉、以宛二供御一、因レ玆蕃息之牛、不レ同二餘牧一、望請從二勘發年一被レ免二件課一、復レ舊將レ勘二四歳已上十二歳已下之課一、然則供御之儲自備、逃散之輩更歸、謹請二官裁一者、左大臣宣、奉レ勅依レ請、 元慶八年九月一日
〔有徳院殿御實紀附録〕
〈十二〉
p.0980 享保十四年の頃、向井將監貞員奉りて、伊豆國大島より、やつかひ四郞五郞同万五郞などいへる馬乘四人、その地に産せし馬四疋を進らせしに、彼四郞、五郞、万五郞な
p.0981 どいへるもの、頗る騎法に熟せしかば、土岐大學頭朝澄、松下伊賀守當恒、御旨をうけて、彼等を引つれ、小金の牧にいたり、駒をとらしめしに、馬にのりながら、むらがる駒のまん中に入、捕んとおもふ駒をよく見定めのりよせておのが馬よりかの駒の背に乘うつり、平首ねぢておしたふしとるありさま、目を驚かすはやわざなりしとぞ、後江戸に歸りしに、吹上の御庭にめして彼の者ども御覽ありしに、頂の上に永くおひたる毛を、女の髮のごとくむすび、身は鶉衣に股引をつけしさま、わが國の人とも見えず、されど言語は伊豆の國人にたがはざりしとなむ、
〔總常日記〕
p.0981 こヽは〈◯釜谷〉小金が原のうちにて、上野原の牧(○○○○○)といふ所也、其駒とりのさま大かたをいはんに、此野は上總下總にわたりて、横四十里におよぶとぞ、其野に十所ばかりもやわかちあらん、高さ一つゑあまりの土道(どて)をつきて、一ツかこみのうちを又三つにかこひわけて、かりそめの木戸をひらき、牧使三人〈正使一人副使二人〉綾藺笠をいたヾきて、狩そうぞくして馬にまたがり、おほくの野駒をのりまはしさそひたてヽ、木戸より入ておくのかこひにのりいれば、それにつれて野駒どもきそひいる、いくたびかかく追入て、牧使は土道のうへなるかりやに居て、駒の毛づけにやあらん、筆とりてしるしつけをり、さて五疋づヽ中のかこひへ入て、列卒ども大づなをめぐらし居て、駒を中にとりこめ、用にあたるべきをば、牧使それとさしをしふるを待て、かりこの中にをさだちたるもの一二人、駒のくびに引かくべきわなを、竹杖につけもちて、おひまはし打かくれば、一人はたヾちにいだきつきておしたふす、また一人やがて口繩はませて引たつ、四五人そひて引たて、かこひより十町ばかり西に、かりそめの厩めく處有につなぐなり、いとあらき駒は、かくひかれゆく道にて、藪に横入するも有とぞ、かこみの中にあるほども、くびづなかヽらじとて、土道を越て逃出んとするを、土道の上にかりこどもおほくむれゐて、しもとをもて追おろす也、かくて五疋がなかにえり殘されたるにも、用にあたるべきが年わかく、又は來んとしには用にあ
p.0982 たるべきなどは燒おしでして、のこるふえうの駒とともにつぎのかこひへはなちやるなり、燒印は國郡所々によりて印のかたちかはれり、〈◯中略〉五疋づヽかくすることあまた度にて事はてたり、其日はじめ追入たる駒の數六百餘にて、用にあたり引たて行しは、百七十あまりなるべし、かく此大野十所がほどをめぐりてとることなれば、數のあまたなる事おもひやりぬべし、いといさましくめづらしきみものなり、〈◯下略〉
〔秦嶺館文集〕
〈成田參詣記所引〉
p.0982 始觀レ執レ駒記 余初來二江都一、則聞南北總多二曠野一、而牧馬蕃庶、夏月執レ駒奇觀也、心竊馳焉、施及レ視二佐倉學政一、増得レ詳二其説一、曰城東十里有二酒々井驛一、遵路北轉、東折而行數里、設二廾字門一、謂二之木戸一、踰則爲二内野一、一望可二方十里一、又東爲二高野一、方二十里、又南且西爲二柳澤一、方三十里、並處々突出、若二懸疣一然、謂二之入野一、并レ是而計、則不レ知二其幾許里一、以上本藩所レ管、置二典牧二員一、牧師數十人隷焉、曰小間子、曰取香、曰矢作、曰油田、地形皆縱長、並牧長綿貫司レ之、總稱レ之曰二七牧(○○)一、就レ中油田獨阻、餘皆接レ壤、東邐二東金臺一、西瀰二大和田一、殆乎二百里云、牧之四邊、率多二雜樹松林一、坰中延袤數里、築レ壘周レ之、處處中斷、謂二之烏貲(ウト)一、烏貲處也、其内又匝レ疊減レ半、半減之内又半レ之、謂二之溜袋(タメブクロ)一、又極小レ之、謂二之穀蔑(コメ)一、穀蔑者籠(コメ)也、形如二凹字一、折二右角一中斷下畫、於レ内副二二—一、左則連下而缺レ上、右則屬上而缺レ下、是爲二左右籠(コメ)一、各可レ容二千匹一、正面土階數級、踐以升レ壘、壘上作二假亭一、板隔レ之爲二三階一、前方數十歩、是捕場也、毎歳六七月之間課役于數郡一、蓋調二列卒一也、先レ期二日、令下傍近村民驅中野馬之匿二山林一者上、謂二之山拂一、翌日列卒數千、裹レ糧宿二圍四邊一逐二出于坰中一、謂二之内拂一、及レ期典牧駕長、黎明輕裝、與二牧師數十騎一、擧レ鞭縱横馳騁、驅二各處成レ群者一、裒二乎一處一、既而或左或右、距二數十歩一、並レ之而馳、又自レ後逐レ之、左右並馳者、蓋防二其旁逸一也、倏忽之際自二外壘一驅入二内壘一、分レ卒扞二衞斷處一、相繼皆如レ前、次第驅レ之、先聚二于左籠一、又驅趣二右籠一、此間典牧既下レ馬立二階左一、官使至則罄折迎レ之、官使一揖歴レ階、先升坐二亭右間一、典牧繼升、易レ服坐二中間一、駕長及醫師坐二左間一、書手二人侍二亭前左右一、牧師數十人、或持二竿頭繫レ索者一、或剪二小
p.0983 竹一杖レ之散二立場中一、分レ卒塞二場口一、又擇下民間有二膂力一者數人上、以充二捕夫一、謂二之駒倒一、於レ是牧師兩三人、横レ杖入二右籠一驅二五六馬一出、或牝或牡、奔二走場中一、持レ竿者圜視認二毛物一、乘レ勢飛レ索、絆レ頭釋レ竿、數卒拾レ索控レ之、而不レ克レ抳、一夫躍抱レ頭、一夫僂掎レ之、或攫レ尾捩、或衝レ脇刼、數夫戮レ方相挑與レ馬倒、牧師從而羈レ之、俾三役丁四人牽送二之酒々井一、強悍者在レ路猶騰驤不レ止、大困二牽丁一、其力可レ想驛中有二牧師班頭一、後園築二小壘一納レ馬、捕場事畢、典牧與二牧長一對二選駿一送二上官厩一、毎牧二匹、次者賜二之藩一毎レ牧九匹、餘咸賣二之於民一、年有二増減一、又或有二倒而不レ羈レ之、點印而放者一、凡孳生駒駄例、取二二歳以上一校二印之一、官厩下吏二人、代燒二鐵印一握二長柄一以點二髀上一、毎牧異レ章、其他咸開二場口一放出任二其所一レ之、〈◯中略〉初方二馬之出一レ籠、牧師一人向二亭上一、高聲呼二其色歳駒駄一、左右書手秉レ簿記レ之、然後應レ執者執レ之、應レ印者印レ之、應レ放者放レ之、觀者其初踞二内壘上一、以望二從外入一、後則先至二籠傍左右一攀二躋壘上一、或俯レ籠或臨場、其樂不レ可レ言也、〈◯中略〉少焉復逈傳二哄聲一、地響草靡、一騎鸇翔掠二場口一而入二左籠一謂二之端(ハシ)馬一、群馬從レ之、須臾充二盈籠中一、寸土靡レ餘、則徒鼔レ鬣掉レ尾、或張レ斷高嘶耳、弗レ能二翹レ足跳梁一也、〈◯中略〉 再觀二執レ駒一記 按二舊志一、古昔東國有二官牧一、信濃最大、歳貢二駒八十匹一、甲斐次レ之、歳六十匹、上野武藏又次レ之并五十匹、擇二四歳以上應レ堪レ用者一、八月上貢、若不レ中レ貢者則充二驛馬一、例以二八月望一勞二貢使于粟田口一、是曰二駒迎一、所レ謂望月駒是、玄惠庭訓擧二信濃駒一、國風賦二甲斐驪馬一、上野出レ駿載二稗史一、併可丁以見丙其盛二於古一而衰乙於今甲矣、又觀二或云一、武藏牧長獨稱二別當一、則所レ謂武藏野蓋亦坰牧也、乃今不レ聞三其有二孳生一焉、而總中不二惟前所レ擧七牧一、小金原又有二三牧(○○)一、曰二上野、印西、高田臺一、亦綿貫所レ司也、金作又二牧(○○)以二中下一分稱、房州又有二峯岡一、并官使監レ之、并(○)レ前爲(○○)二十三牧(○○○)一、於戯可レ謂二蕃昌一矣、不レ知武藏之牧何時廢、而總中之牧何時興焉、方二平氏之隆一、有二秩父某永井等別當一、則牧馬猶存可レ知已、總人或謂、源公名馬生食者出レ自二柳澤一、然据二盛衰記一、則生食磨墨并奧人本吉某之所レ獻、而南部之産也、東野之語豈足レ信乎、鎌倉以降記載、余〈◯菱川大觀〉少二槩見一、且野乘攸
p.0984 レ録大抵詳二於戰伐一、而略二于制度一、矧室町之時、幕府之令不レ行二關東一、則事實之欠レ詳、不二獨牧馬一件一矣、按二宋史一、咸平六年四月、令三河北轉運副使攝二群牧事一、其後遣三判官循二行諸監一、取二孳生駒二歳以上一點二印之一歳約八千餘匹、凡馬群號十七左右字至二退字一、毛物九十一種、叱撥至二驃駁一、嘉祐八年群牧司言、孳生監毎歳定二牝馬二千牡馬四百一、歳約孳生駒四百以爲二定數一、是其爲レ法、與二令所一レ載大同小異、周官曰、春祭二馬祖一執レ駒、此條令不レ見、義解亦不レ及レ之也、其候不レ可二得而攷一、雖レ然舊志載二八月貢レ駒事一、則執レ之當レ在二六七月一耳、而今總中之役亦興二於七月一、至二九十月一而畢、皆異二乎周典一矣、問二之土人一、曰馬陽物也、喜レ寒畏レ熱、如二冬春之際一強悍難レ制、至レ夏力衰、故本以二六月一始、至レ今遲二一月一者、蓋自二官使監臨一以來之例也、此言似レ有レ理焉、又按擬二駕用一者屬二牧師一、全生息者屬二牧人一、見二詩疏一、疏所レ謂牧人即令之牧子也、亦今不レ聞レ有二此職一、直任二其自然一、牧師時巡レ野撿二毛齒一而已、然孳生歳蕃息者、蓋以二水草之善一故也、則馬政所レ謂時二出入游靡之節一、以宣二其性情一、分二庌棧牝牡之別一、以一二其種一者、反不レ若下任二自然一之靡上レ勞歟、左氏凡馬日中而出、日中而入、正義云、春分百草始繁、則牧二於坰野一、秋分農功始藏、水寒草枯則還、概此周典之制也、此等之法不レ見二於令一、則蓋振古所レ不二率循一也、但南部仙臺里駒者、或有二略似一焉邪、宋王應鱗曰、古者牧養之馬、有レ養二之官一、有レ藏二之於民一、官民通牧者周也、牧二於民一而用二於官一者漢也、牧二於官一而給二於民一者唐也、國朝始則牧レ之在レ官、後則蓄二之民一、又其後則市二之戎狄一、余竊以謂、本朝古制槩二唐典一焉、依二南部之法一、則蓋類二於漢一矣、總中又雖二官牧一而不レ置二牧人一任二自然一、是其所三以異二乎歴代一也、寛政五年朝散大夫岩本君奉二特命一、以親信一領二群牧使一、始來臨二斯邦一、先レ是執レ駒之役、牧師預録二毛色膚第一呈二之典牧一、擇二其應レ捕者一牝牡并執、大夫建レ議革レ法、不レ許レ取二課馬一、爾後歳計二孳生一倍レ故云、余就二典牧一質二牧馬數一、曰今年本藩所レ管三牧、捕馬賣レ民者百五十五匹、而留レ坰者千七百三十二匹、綿貫所レ司四牧、捕賣八十九匹、留レ坰千四百五十五匹、其他六牧、坰廣狹、馬多寡、皆未レ詳レ之、若以レ所レ聞則並狹二於所レ管三牧一、而馬亦寡矣、由レ是推レ之、群牧總數不レ浮二五六千匹一耳、較二之漢唐盛時一曾不レ及二五十分之一一矣、雖レ然唐之初起、得二突厥馬二千匹一、又得二隋馬三千於赤岸一、徙二之隴右一、監牧之制始二於此一、可
p.0985 レ見二其始涓々焉一、而乃用二太僕少卿張萬歳一領二群牧一、自二貞觀一至二麟徳一四十年間、馬息七十萬六千、可レ見二其終洋々焉一、故昔人有レ言、汧渭之間、未二嘗無一レ牧、而非子獨能蕃二息於周一、汧隴之間、未二嘗無一レ牧、而張萬歳獨能蕃二息於唐一、此得レ人之效也、今總房群牧之地、比二秦汧渺渺一則不レ足、較二魯野區々一則有レ餘、大夫果有二非子萬歳之才一邪、倍蓰什佰之息、吾有レ望二於他日一焉、若夫克史張説之頌、余雖二無似一敢辭二其貴一哉、
〔奧羽觀蹟聞老志〕
〈三庸貢土産〉
p.0985 奧牧 夫牧之爲レ言養也、育也、飼也、畜也、周禮所レ謂校人掌二王馬之政一、又牧師孟春焚牧地一、以除レ陳生二新草一卜式所レ謂牧惡者輙去、毋レ令レ敗二群者一是也、然我邦俗郡馬自然産二于原野一之地謂二之牧一、尾駮荒野奧牧等、或安太多良安達糟部(アダタラアダチカスカベ)之地、皆古昔出レ馬焉、如今生馬之地絶無、唯相馬領原町驛西有二間曠之地一、稱二世峯(ヨノモリ)一、古來産レ馬、仍年々有二驅牧之設一、聞二之郷俗一、國守相馬侯隔年閲レ之、以擬二觀兵事一、其制夏五月中旬以二申日一卜二驅馳時一、皆是所二以閲レ武觀一レ兵之遺法也、前日黎明巨家高族、服二半臂一帶二兵器一、而進備二槍弓銃一、而歩兵盡レ隊行二前驅一、此時國守整レ行出二于原町驛一、家臣扈從各立二旗旄一、建二器械一、就レ營而宿、至二申刻一而國守出二於驛亭一、巡閲、定二原上之屯營一、然後還二旅館一、明日爽昧家臣戎衣、各停二馬群乎營中一而待二國守出駕一、早旦國守經行復閲二於營地一、於レ是放二並銃一、先レ是措二假屋于世峯一、設二帷幕于山椒一、構二國守憩息地一、仍國守率二諸卒一而入二於此一、然後脱二兜鍪一解二鎖手一、是乃欲二單身而捷行一也、豫立レ旗設レ表、自二山下一至二海濱一、各隔二一歩一列卒圍繞而衞レ之、自レ是諸土擊レ鉦鳴レ鼔、皆有二節制一、而入二于林藪一、分合進退、各驅二牧馬於曠野一、追レ隊隨レ行、漸次集二苙于妙見社前一、明日早旦、各朝服閲レ之、捕レ馬者六七十人揚二鯨波一而追レ之、其式各有レ差、是古例之大略也、唯牧馬之遺事、其存者此一擧而已、
〔續日本紀〕
〈七元正〉
p.0985 靈龜二年二月己酉、令三攝津國罷二大隅媛島二牧一、聽三佰姓佃二食之一、
〔日本後紀〕
〈八桓武〉
p.0985 延暦十八年七月庚午、停二大和國宇陁肥伊牧一、以下接二民居一損中田園上也、
〔日本後紀〕
〈十七平城〉
p.0985 大同三年七月甲甲、廢二攝津國河邊郡畝野牧一、爲三牧馬逸出損二害民稼一、
〔三代實録〕
〈十一清和〉
p.0986 貞觀七年十二月九日丙辰、停二廢讃岐國三野郡託磨牧一、 ◯
〔倭訓栞〕
〈中編八古〉
p.0986 こまひき 駒牽の義、八月信濃、甲斐、武藏、常陸、上野等の國より、禁中に牧の馬を貢獻するをいふ、是勅使の駒牽也、
〔倭訓栞〕
〈前編九古〉
p.0986 こまむかへ 駒迎也、八月の儀式に、諸國の牧より牽來る馬を逢坂まで迎に出るをいふ也、十五日より廿日迄なり、
〔本朝月令〕
〈四月〉
p.0986 廿八日駒牽事〈小月用二廿七日一〉 弘仁馬寮式云、四月廿七日御二覽駒一式、右當日早朝調二列櫪飼御馬一、車駕幸二於射殿一、登時官人率二御馬一自二便門一出、至二於馬出埒下頭一、御馬名奏二進於御監一、御監即執奏而後、頭助左右陣立二於御馬之前一、允一人執二馬簿一進立二殿前一、乃從レ埒西外御馬陣稍進、比レ至二御前一奏二馬名一、詞曰云々、貞觀馬寮式云、四月廿七日御二覽駒一式、前レ式當日早朝、調二列櫪飼御馬一、〈今案、櫪飼八十疋、國飼卅一疋、〉云々、頭助左右陣立〈今案左右寮頭〉云々、度盡退出、次右寮御馬、如レ前度畢、〈今案、左右寮助亦左右陣立云々、〉
〔九條年中行事〕
〈四月〉
p.0986 廿八日駒牽事〈小月廿七日◯又見二小野宮年中行事一〉
〔北山抄〕
〈一四月〉
p.0986 廿八日駒牽事〈見天歴御説康保三年四月廿七日御記 一本此日雅樂寮奏二蘇芳菲、駒形一、依三右近府奏二高麗犬一歟、節日并六日、或奏二狗犬一、〉
〔年中行事秘抄〕
〈四月〉
p.0986 廿八日駒引事〈小月廿七日近代不(○○○)レ行(○)、〉
〔公事根源〕
〈四月〉
p.0986 駒牽 廿八日 これは四月に侍る事なり、八月のも名はおなじけれど(○○○○○○○○○○○○)、心はかはれり(○○○○○○)、天皇武徳殿に幸す、王卿以下床子につく、左右の御監、御馬の奏をとる、馬頭庭にわたり御馬を引渡す、白馬の節會のごとし、近衞兵衞、野射手南にわたり、四府騎射の文を奏す、左右大將これを奏聞す、近衞少將以下、番長以上六人、あづま遊を奏す、右近衞、納蘇利、狗犬をそうす、雅樂寮、蘇芳菲、駒形を奏す、此駒牽は來月の
p.0987 騎射の馬射手人などを遣ふ、御覽ぜらるヽけしきなり、貞觀の比よりはじめらる、小月の時は廿七日なり、延長五年は五月三日に駒引ありとみえたり、
〔西宮記〕
〈八月〉
p.0987 駒牽事〈付大庭儀 雨儀〉 七日(○○)、牽(○)二甲斐國御馬(○○○○○)一事、 主當寮以二解文一進二外記一、外記申二上卿一、上卿以二藏人一奏聞、不二出御一者、於二大庭一分取如レ前、逗留延期之時、又可レ申二解文一、史申二見參辨一、辨申二上卿一奏聞、留二御所一、或被二延期逗留之旨一、 十三日(○○○)、牽(○)二秩父御馬(○○○○)一、 十五日(○○○)、信濃駒牽(○○○○)、 依二朱雀院御國忌一改爲(○○)二十六日(○○○)一、是大牽也、又日取延期逗留之時、主當寮進二解文一、自二辨官一申奏聞、王卿著二左衞門陣一、〈本府設レ饗、右府送レ酒、有レ政之時、若自二侍從所一著、或自二左仗一著、撤二陣南座一、敷二長筵疊茵圓座等一、爲二王卿等座一、西上對座、王南、卿北、納言已下對、大臣著二中柱西一、辨少納言在二南座一、西上北面以二北官人座一爲二侍從諸衞佐座一侍從西、權佐東、南上外記史在二侍從座末一、西上南面横切、侍從座後東籬下敷二召使座一、建春門外壇上敷二長筵二枚圓座一、置二圍碁枰二脚一爲二穩座一、近代不レ見、天徳諒闇陣饗不レ止、〉座定獻盃、〈本府佐及諸衞將佐、遞獻盃居二膝突一獻レ之、盃轉至二辨座一、參議下座轉レ盃、參議不參、有二納言一者、召二上辨一轉レ盞、納言不二下居一、〉三獻後召二侍從一、〈大辨仰二少納言若辨一、令二召使一召上、或少納言起座、立二籬東邊一、召二召使一傳仰二膳部一、〉主當寮進二御馬解文一〈外記入レ筥置二上卿前一、上卿令二外記開一レ之〉上卿就二御所一奏レ之、〈令レ持二外記一進二御所一以二藏人一奏、可レ御二南殿一者、大臣便著二佐仗一、候二出御一、无二出御一賜二解文一、歸出率二公卿一著二大庭一、〉 五六巡後移二穩座一、〈近代不著、西上對座、此間辨、少納言、列二立南庭一、座定著二侍從座一、本府羞二酒肴一、立二裹錢等一、召使分二盛錢一置二王卿傍一、有二碁興一、〉上卿仰二外記一令レ入二御馬一、〈式目不レ仰〉天皇御二南殿一、〈南殿簾内中央間立二大床子一、〉王卿引而參入、〈令三近衞官人告二王卿一、〉内侍出〈上卿取二副新馬解文一參上〉大臣大將已下、登レ自二東階一著座、出居等昇、〈入レ自二日華門一、无二大臣大將一先參上、昇レ自二本陣一、上官在二階下一、〉雙上卿簀子、〈内侍召、〉左近將監取レ版、〈置二殿巽壇上一〉率二御馬一、〈入レ自二日華門一、先例一御馬牧監牽、著二闕腋衣脛巾一、卷不レ著レ劔、次々御馬近衞取、不調御馬騎士牽レ之云々、〉三匝後上卿仰云、騎〈禮、一御馬到二御前一之間仰レ之、或一廻乘レ之、龓人共跪、拔レ鞭貫レ手乘、有二不調者一、寄二安福春興殿一令レ乘、〉乘廻七八廻、上卿仰云、下〈利、隨レ仰、所レ仰雨日不レ廻、不廻不レ騎、口取立二東西廊壇上一、取手等立二宜陽校書殿廂一、奉レ宣賜レ馬、人立二宜陽殿一拜レ之、〉整二立庭中一、〈西上北面、二列可二取立一、數令三參議仰二知取手、將或上將、仰二外記一仰二取手一、主當頭若助進出、入二立御馬一、若有二牽分一者、隨レ仰上卿仰二龓人一令二牽出一、〉上卿召取手名一、〈先召レ左、四位加二朝臣一、於二日華門外一、次召レ右、於二月華門外一、稱唯參進立二南階左右一、近衞北、馬寮南、相對立矣、〉取手稱唯參入、立定、上卿仰云、御馬取〈禮、同〉
p.0988 〈音稱唯、入二御馬中一三度相遇、先寮初取レ之、令レ牽二出御馬一、將立二御馬後一、奏二牧郞名等一、〉左右遞擇取、〈左右牽出、上卿依レ仰取手停取、或上卿進仰レ之、或令參議仰一云々、彼是只可レ依レ仰、〉上卿奉レ勅示二王卿一、〈王卿已下降レ殿、近衞將馬寮、共自二櫻樹東一進二出南庭一、一々取レ之、出居不レ下云々、〉王卿已下次第取二御馬一、〈插レ笏取レ綱、非參議跪可レ插、牽二出御前一、一拜牽二日華門一立二馬右一、〉上卿還昇〈不レ出二日華門一歸登、〉王卿歸昇、〈出レ自二日華門一、入自二敷政門一歸入、〉取二遺御馬一、〈逗留御馬取手、進出申二郞名一、〉左右近衞已下率二入御馬一、〈置レ鞍、入夜不レ馳、只有二拜舞一、〉先列立、〈北面〉共騎馳、〈自二日華門一、上二月華門一、馳歸度、〉王卿拜舞、〈列二立櫻樹西頭一西面北上、參議以上一列、非參議一列拜舞、降雨時、於二宜陽殿庇一拜、或不レ取二御馬一之前拜、出居不レ下歸御時就二射庭一令二奏聞一、拜昇、北面西上、〉上卿召二外記一下二解文一、〈取了、左右寮進立奏、不二出御一者、可レ奏二解文一、〉
〔九條年中行事〕
〈八月〉
p.0988 七日、牽二甲斐勅旨御馬一事、〈柏原、眞衣野、〉 十三日、牽二武藏秩父御馬一事、 十五日、牽二信濃勅旨御馬一事、 諸卿引著二左衞門陣座一、西上對座、若有レ務自二侍從所一著、若無自二左仗座一著、弁少納言在二南廂一、北面西上、左右近衞中少將在二北座一、南上西面、史外記在二其座末一、南上對座、官掌喚使等在二北座前庭一、西面南上、座定後本府佐候二膝突一勸盃、〈兩三巡後召、若藏人若近衞中少將同勸盃、〉二獻後、粉熟三獻後、上卿仰二少納言一可レ召二侍從一之由、少納言稱唯起座、於二架外屏北妻之間一、北面而立、微音召二喚使一、喚使起座、南趍立二少納言後一、少納言仰下可レ召二侍從一之由上、即復二本座一侍從著座、〈北座東上南面〉數巡之後、上卿令レ召二外記一、外記御馬解文持參、不レ開レ封奉之、上卿仰二可レ開レ封之由一、外記取之、以二腰刀一開之、又奉之、上卿披見、〈若非二式日一、自二此前一逗留之解文覽二於上卿、失二逗留之解文一、不レ覺レ時者尋問、相二副御馬解文一奏之、〉上卿見畢給二外記一、外記取之立二建春門乾邊壇下一南面、上卿起座、進二御所一付二藏人一奏聞、返給、著二左仗座一、諸卿引二著門陣座一、天皇御二出南殿一、内侍喚レ人、親王公卿參上、〈先出居參上、次王卿參上、〉座定後内侍召二上卿一、蒙レ召候二南簀子敷一、次左近將監取二版位一、牽二御馬一三廻之後、上卿仰云、乘〈禮〉又三廻上卿仰云下〈於利、〉立二定御馬一之間、主當寮助趍渡、齊立二御馬一、〈今所レ行者、先取寮令レ立、〉立了後、上卿召二左近將一、〈四位名朝臣、五位名、〉稱唯、又召二左馬寮頭若助一、〈同取了〉稱唯、又召二右府寮將頭助一亦如レ此、上卿未二昇殿一之、先尋二問取手官人等一、昇殿乃召之、上卿仰云、御馬取〈牽八十匹各取二十五匹一、牽六十匹各取二十匹一、牽五十匹各取二六匹一、〉于レ時上卿暫下レ殿、但上卿不二出行一、經二宜陽殿前一候二本座一、〈是爲二早參上一歟〉出居相揖下レ殿
p.0989 給之、昇殿所司亦取二遺馬一了、給レ馬者下レ殿、立二櫻樹下一拜舞、〈西面北上、參議以上一列、大夫達列在二其後一、若雨儀時、宜陽殿西庇拜舞、西面北上、〉但出居次將不レ拜、猶候二殿上一、天皇還二御本殿一、 若不レ御二出南殿一時者、上卿奏二解文一、返賜退出、到二止宣陽門外建春門内一、于レ時王卿起二左衞門陣座列一加二著大庭一、〈雨儀時著二中重一如レ常〉外記入二解文於筥一置二上卿前床子一、牽御馬并作法如二御前一、但所司不レ召レ名、又不レ擧二左右一、只召二近衞府馬寮一各稱唯、又召二近衞府馬寮一同稱唯、四人立定後、上卿仰云、御馬取事了、上卿進二御所一、付二近衞將若藏人一令レ奏二慶由一、〈謂御所、或弓場殿、或仁壽殿、〉若太政大臣執行時、如二御前召名一、 同日奏給諸司秋冬祿、及皇親時服目録文事、 十七日(○○○)、牽(○)二甲斐穗坂御馬(○○○○○○)一事、〈同牽二信乃御馬一日、王卿自二東階一參上、其裝束同二相撲一、〉 廿日(○○)、牽(○)二武藏小野御馬(○○○○○○)一事、 廿三日(○○○)、牽(○)二信濃望月御馬(○○○○○○)一事、 若諸牧御馬、於二南殿一可レ有レ覽、御出之後待、召二日上卿一、從二階下一渡レ西、可レ昇レ自二西階一、御座在二西第三間一、日上座、在二西茅三柱下簀子敷一、 廿五日(○○○)、牽(○)二武藏立野御馬(○○○○○○)一事、 廿八日(○○○)、牽(○)二上野勅旨御馬(○○○○○○)一事、
〔小野宮年中行事〕
〈八月〉
p.0989 七日、率二甲斐國勅旨御馬一事、 十三日、牽二武藏國秩父御馬一事、 十五日、牽二信濃國勅旨御馬一事、 天皇御二覽解文一之後、出二御南殿一、牽二御馬一周二庭中一三匝、若日暮或一匝、不レ及二三度一、左右遞取之、其數隨二御馬多少一取之、八十疋、左右各十五疋、六十疋、十疋、五十疋、六疋、卅疋、五疋、親王以下給了、左右又進取二殘馬一、或相加、先取二御馬一、置二鞍於前庭一、騎而馳之、從二月華門下一馳二日華門外一、延喜九年例也、今日若申二延
p.0990 期一、他日牽進、當日早旦、遣レ使召二親王等一、雨儀、御馬不レ周二庭中一、又不レ令レ騎、傍立二承明門東西南廊一、牽者在二壇上御馬南面一、 天慶七年九月十四日、信濃駒牽、右大臣參議在衡候二宜陽殿一、依季御讀經定一、仍可レ給二御馬一由被レ仰、大納言師輔追二十五日所一レ被レ仰、但以二右馬寮馬一給二右大臣一、依二御監一左者給二在衡一、皆是取手内御馬也、右見二故殿并九條等記一、〈◯中略〉 十七日、牽二甲斐國穗坂御馬一事、 廿日、牽二武藏國小野御馬一事、 廿三日、牽二信濃國望月御馬一事、 廿五日、牽二武藏國勅旨牧并立野御馬一事、 是日分二取御馬一、先取二由比、石川、小川等牧御馬一、畢更次取二立野御馬一、 廿八日、牽二上野勅旨御馬一事、 天皇御二南殿一、上卿經二階下一參上自二西階一、左右次將遞取二各五六許疋一、次上卿依レ仰示下殿上侍臣王卿以下小舍人并給二信乃馬一日不二參候一公卿、并近衞次將、馬寮頭助等、可レ取二御馬一之由上、仍殿上非殿上混雜、依二位階次第一取レ之、殿上侍臣、隔年給レ之、但延喜七八年例、頻年給レ之、又殿上人出レ自二殿西方一、非殿上者、自レ東出レ自二日華門一、事了還御之後、給レ馬之輩參二射庭殿一、令レ奏二事由一拜舞、非殿上者、在二此内一、小舍人不レ預、
〔北山抄〕
〈二 八月〉
p.0990 七日、牽二甲斐勅旨御馬一事、〈卅匹〉 外記申二候御馬解文之由一、仰令レ奉之、〈以二次人一移二南座一〉即令二外紀開一レ函、見畢返給、〈若有二攝政關白一、先奉二其第一、舊例、直奏差二藏人一遣之、〉外記取レ筥立二小庭一、上卿就二御所一令二藏人奏一之、〈件解文雖レ有レ難不二返却一、加レ詞奏聞、若違レ期牽進者、先問二延期逗留申否一、〉天皇御二仁壽殿一、〈或御二南殿一、其儀見二廿八日記一、諸牧同之、〉上卿依レ召參上、〈取二副解文於笏一參上、非二式日一、及於二中隔一分取時、可レ令レ入二御馬一之由令レ仰レ陣云々、〉次牽二御馬一、〈將監牽二第一御馬一、近衞代騎レ之、〉三匝後、第一御馬當二御前一之間、仰云、乘〈禮、〉騎又三匝、御馬行二向御前一之間、仰云下〈利、〉即列二立御馬一、〈南上西面〉主當寮頭、若助進出、
p.0991 令二直立一、次令三春宮亮取二一匹一、〈若无二坊官一、直令二牽出一、付二主馬署一、或以二近衞次將一遣之、上皇及攝政關白等牽分、差二次將一奉レ遣、〉次上卿召二左近次將名一、稱唯、後召二左馬頭助一人名一、〈預問參、上、或隨レ召參進云々、然而籠而召由、見二九條年中行事一、又天暦二年八月十三日、右大臣爲二上卿一、謙徳公、廉義公、爲二左右次將一、一度參入、見二殿上記一、又同九年八月十七日、左大臣、爲二上卿一兩公一度參入、見二私記一、以レ之可レ爲レ證也、〉稱唯、後召レ右同上、〈已上召二取手一〉左右相引參入、立二東階南北一、〈左南、右北、南北面、雨儀立二綾綺殿壇上一、左北上右南上、並西面、〉上卿宣云、御馬取〈禮、〉同音稱唯進分取之、隨二進取一進出、申二御馬印名一、若可二別貢一、取二年貢一後、更又覽之、仰二左右次將一令レ取、〈馬寮不二相具一、又不レ依二次第一、左先取之、或相分給之、〉畢退下、著二陣座一召二主當寮官人一給二解文一、〈近例給二外記一〉若不二出御一、上卿就二建禮門一令二分取一如レ上、但召二取手、次將等近衞司馬司一云々、次將等西面一列、〈雨儀於二承明門東廊壇上一取レ之、次將等、北面西上列立、牽二御馬一者跪二壇上一、〉 御物忌奏解文、及依二年次一先取例、〈天暦四年十一月四日、穗坂御馬解文、付二藏人尹風一、加奏留之、以レ詞奏聞、即返給之、御物忌儀如レ之、於二建禮門前一令二分取一、左右相二論可レ先之由一、今年左先、而去年不レ牽、左申不レ依二牽否一可レ依二年次一、右申、可レ依下取二件牧御馬一之次上云々、尋二年來例一、如レ此之時、只依二年次一、仰下左可二先取一之由上畢、〉 別貢先取例〈應和元年八月廿九日、冷泉院小笠原牧御馬、於二陣外一令二分取一、重信朝臣令レ申云、左右爭論、別貢可二先取一事、令レ仰、不レ別二年貢一、猶依二當年先可一レ取〉 無二一寮頭助一之時、左右共止例、〈天慶九年八月十七日、穗坂御馬、於二南殿一令二分取一、左右馬頭助不レ候、仍候二氣色一、先帝御記、一寮不レ候之時、又被レ止二一寮一、依二彼例一可レ行者、去年例又如レ之云々、康保二年八月七日、於二仁壽殿一覽二眞衣野御馬一、左衞門督藤原朝臣、召二左中將博雅朝臣一、左馬助滿仲、右少將清遠等令二分取一、右馬頭助不レ參、如レ此之時、令二左右次將取一レ之、而召二加佐馬助一失也、〉 依レ無二左右次將一、令二馬頭助分取一例、〈天暦八年九月廿七日、穗坂御馬、依二左右次將不參一、雖レ无二先例一、令二馬寮分取一、有下取二後院牧御馬一之例上、官牧无レ例云々、〉 重服次將取例〈天徳四年八月七日、眞衣野御馬、於二仁壽殿一令二分取一、左中將伊尹令レ申云、重服者不レ從二此役一、加以二私鞍具一、被二寮御馬一、於レ事无レ便被レ免二迎役一、轉供二分取一事仰依レ請、〉 觸穢次將取例〈天徳四年九月十三日、牽二上野御馬一、左中將重光依レ召參入、而申二觸穢由一、依レ例牽二著座一、於二陣外一令レ取如何云々、依レ請、〉 次將一人、與二馬頭助一一人取例、〈有二近例一云云、可レ注、〉 取二留路御馬一例〈康保二年九月廿九日、武藏勅旨御馬、於二仁壽殿一令二分取一、右申、留二參河國御馬毛付一、須レ取二見在馬一、而取二留路馬一、不レ可レ然、延光朝臣申二有レ例由一、未レ爲二穩便一云々、〉 藏人奏二解文、及參議行事例、〈延喜十二年八月廿四日、於二清凉殿前一、覽二信濃御馬廿疋一、參議定方候二御前一、左右分取如レ常、件解文、主當寮付二藏人頭恒佐一令レ奏、天慶八年月日、眞衣野御馬解文、藏人遠規給二參議在衡朝臣一、御二南殿一令レ取レ之、〉 近衞次將候二御前一令レ取例〈應和元年十二月四日、召二桐原駒廿疋一、於二南庭一覽之、延光朝臣、持二御劔一候二御前一、召二左中將重光朝臣一、右近權少將清遠令二分取一、後院牧御馬、多如レ此、又不〉
p.0992 〈レ召二馬寮一、〉 不レ視レ事間奏二解文一、及分二給馬寮一令レ飼例、〈應和四年五月二日、藏人輔成、令三典侍藤原朝臣、奏下陸奥國進二臨時交易御馬一解文上、右大將藤原朝臣一、令レ分二取左右馬寮、九日、藤原朝臣令レ申下御馬可二分取一事上、仰云、今日在レ不レ視レ事限内一、明日可レ令二分取一之、〉 大臣別給二御馬一、并奏レ慶例、〈應和二年八月廿八日、秩父御馬牽進、又主當寮、進二逗留解文一、於二仁壽殿一御覽云々、左右各取二一疋一之後、被レ仰二下下官可レ給之由一、下レ殿給之事如レ常、即參上、左右取畢、還二御本殿一、御馬解文給二外記一、逗留解文給レ弁、即參二射場一令レ奏下給二御馬一之慶上云々、〉 十三日、牽二武藏秩父御馬一事、〈廿疋云々〉 十五日、牽二信濃勅旨御馬一事、〈今十六日、六十匹、〉 尋常政畢、大臣以下、自二侍從所一著二左衞門陣饗座一、〈或自二左近陣座一移就之〉親王又著二此座一、〈若非二式日一蒙レ召參著、親王北面大臣南面、納言以下對座、舊例用二茵圓座等一、〉次弁、少納言、外記、史著座、〈公卿座南庇設、弁少納言座門北、侍從等座末北横設二外記史座一、東籬下敷二召使座一、〉近衞次將馬頭助、等著二門北座一、〈西面〉本府佐同在二此座西一、獻盃、〈次將又獻之、最末參議、自二初獻一轉二盃弁座一、〉三巡後、上卿仰二大弁一令レ召二侍從一、〈大弁仰二少納言一、若弁即以二召使一、召遣、或上卿直仰二少納言一、〉侍從等出局進著、〈對二次將座一、東面〉外記奉二御馬解文一、上卿參内、著二左仗座一披見畢、〈口傳如レ之、而近例或於二陣北一披見之、〉就二御所一奏覽、如レ常五六巡後、本府官人敷二穩座於門閫外一、〈長筵之上敷二圓座一、置二碁局二具一、〉王卿起座一々移著、〈西上對座〉此間弁少納言降二立南庭一、〈西面北上〉王卿座定、著二侍從座一、別儲二肴物一、更羞二王卿一、右衞門府奉二碁手錢一、〈盛レ机立二砌前一召使裹別置二高坏一、官人取二立王卿傍一、依二新制一令二停止一之、〉依レ例、或有二圍碁之興一、〈此間或府督勸盃〉上卿著二左近陣座一、待二候出御一、〈非二式日一者、此間仰二外記一令レ入二御馬一、〉天皇御二南殿一、王卿相引參入、〈上卿以二近衞官人一示之〉内侍召レ人、大臣〈不レ兼二大將一者次將參上〉參上、次王卿、次出居等參上、如二相撲儀一、上卿依レ召候二簀子敷座一、左將監取二版位一、次牽二御馬一騎覽如レ常、左右先取訖、〈牽二八十匹一者、各取二廿匹一、六十匹、十匹、五十匹六匹、減レ從レ此者准レ之可レ取之、〉上卿仰云、暫、〈或預、令三外記仰二其數一、九條記也、〉即示二王卿一共下レ殿、近衞次將馬頭助等、相引出レ自二櫻樹東頭一、列二立御馬之後一、〈出居次將不レ下、上卿參上之時、相代下レ殿、〉一々插笏、〈或跪搢レ之〉取二御馬綱一進二御前一一拜、牽二出日華門外一、王卿入レ自二敷政門一復二本座一、但上卿一人、自二日華門内一即參上、左右又進二取殘馬一、〈或置レ鞍牽二出庭前一、騎而馳之、從二日華門一通二月華門外一、〉訖、給二馬王卿以下一於二庭中一拜舞、〈西面北上、當二殿東第三間一、參議以上一列、大夫等在レ後、出居次將一人留二陪殿上一、若早還御、就二御所一奏之、〉退出、即還御、
p.0993 雨儀、御馬不レ周二庭中一、又不レ令レ騎、立二承明門東西廊一、〈牽者在二壇上一、御馬南面、〉近衞次將等、應レ召立二宜陽校書兩殿廂一、給レ馬者於二宜陽殿西廂一拜舞、若不二出御一、上卿示レ在二左衞門陣一、王卿以下相引、就二大庭一令レ取如レ常、即參二射場一令レ奏二賀由一、 天暦二年八月十五日、廢務、取二信濃諸牧御馬一、延喜十五年九月十一日(○○○○○)、有二此例一云々、〈今案、此事非二宜例一、〉 承平七年八月十五日、王卿著二左衞門陣一、右大臣依レ召參入、不レ留二此陣一、參入之間、弁少納言起座、立二小板敷下一、侍從以下外記史不レ起、不レ知二何是一云々、〈安和元年、左右大臣同就、右大臣中間起座、參二式御曹司一、外記史不レ起、後日召勘、令レ奉二過状一云々、〉延喜五年八月十八日左大臣依レ未二著座一不レ著二左衞門陣一勸二王卿一令レ著二彼所一、主上御二南殿一云々、〈近例未著座一人、皆就二此陣一、〉天慶七年九月十四日、右大臣、左大弁在衡、定季御讀經請僧之間、不レ預下取二御馬一之列上、仍上卿奏二事由一、給二左右取手御馬一、 應和元年、御二冷然院一之間、右衞門陣有レ便儲レ饗而稱レ無レ例不レ儲之、 康保二年八月十七日、馳二御馬一之後、給レ馬者拜舞、〈延喜十年八月十五日例、拜舞訖、馳二御馬一、今日拜、似二遲怠一、御記、〉 同日、奏下給二諸司秋冬祿、及皇親時服目録文一事上、 十七日、牽二武藏小野御馬一事、〈四十匹云々〉 廿三日、牽二信濃望月御馬一事、〈廿匹〉 廿五日、牽二武藏立野御馬一事、〈諸牧三十匹、立野二十疋、〉 先取二由比、石川、小川等牧御馬一畢、更取二立野馬一依二別牧一也、但不足三匹者、一度取レ之云々、 天暦五年十月二日、於二仁壽殿一令二分取一小川等御馬廿匹、立野五疋、依レ仰一度御覽、依二員少一也、 應和元年九月廿三日、於二南殿一覽二武藏諸牧御馬一、左右分取畢、牽二立立野御馬二匹一、騎覽如レ前、左右進取云々、
〔江家次第〕
〈八 八月〉
p.0993 信濃御馬〈本八月十五日也、而依二朱雀院御國忌一改二用十六日一、〉
p.0994 親王公卿從二左近陣座一移二著左衞門陣南屋饗一、〈若有レ政者公卿自二侍從所一可レ著二此座一、往年未レ著レ座之人、不レ著二此陣一、近例皆著云々、西上對座、上卿南面、納言以下對座、但大臣坐中柱以レ西、〈自石階昇〉辨少納言著二南座一、〈西上北面自東面昇〉〉 近衞次將、本府比府佐、馬頭助等著二北屋座一、〈西面南上依レ位著、〉外記著二同座北横切座一、〈西上南面〉召使著二侍從座東籬下座一、一獻〈本府佐執レ之、若五位者於二納言一執二繼酌一、四位於二大臣一亦取、參議下レ座轉二坏辨座一、無二參議一者、納言召二少納言一給レ坏、〈毎度如此〉〉二獻〈本府若比府執レ之〉居二粉熟一、〈本府尉以下役送〉箸下三獻、〈無二本府比府佐一者、近衞次將執レ之、〉居二飯汁物一箸下、上卿仰二大辨一令レ召二侍從一〈大辨仰二少納言若辨一、即令レ召、或上卿直仰二少納言若辨一、奉レ仰起レ座、立二南籬東邊一、召二召使一傳仰、〉侍從等出二局門一、副二牆下一北行、折而西行進、著二陣北屋座一、〈南上東面、與二將佐一相對〉外記進二御馬解文〈入レ筥〉於上卿一、上卿令三外記開二凾封一、外記開レ封置レ之、取二空函一退還、上卿見訖令レ持二外記一、〈上卿立レ座間、外記持レ筥立二門外石階前一、〈西向〉小野記著二左仗一見レ文云々、違レ期有二逗留一、解文不二更開レ函、起二左衞門陣一歟、〉進二御在所一、附二藏人一奏覽、奏聞之次奏二引分事一、〈是可レ被レ奉二一院春宮執柄一也〉件使自二殿上一被二定仰一、奉二御出有無仰一、後退二出於本所一、更不レ著二建春門座一、備忘日奉下可二分取一之仰上、向二大庭一令レ取レ之、若仰詞中無二依レ例二字一者、引分事可レ令二案内一歟、又信濃上野馬者、可レ給二上卿侍臣一事、〈可レ候二氣色一〉往年此間有二隱座事一、〈府督或獻盃、近例無二此事一、〉上卿令レ持二筥於外記一、引二王卿以下一經二春華門一著二大庭座一、去二春華門巽角一七八許丈、公卿西上南面、納言以上兀子、參議長床子一脚、其東二丈立二床子五脚一列、西第一近衞次將、馬頭助、依二位色一、其南辨少納言、近代辨少納言著二次將上一、仍不レ立二列立一、第三外記、第四史生官掌、第五召使、 四卷抄曰、辨少納言以下近衞馬司在二床子一、依二位色一著云々、羽林抄曰、辨少納言座在二其南一、至二于他日一不二必別設一、仍著二次將上一、但五位不レ加二四位上一云々、 近例、辨少納言依二位階一、但共爲二五位一者少納言先著、次辨著、爲二上臈一者著二少納言上一、次近衞次將著二其次一、不レ論二左右一依二位階一著、〈中將雖二下臈一可レ著二少將上一歟〉件次將雖二四位一著二辨少納言之下一、次馬寮著二其次一、不レ論二左右一依二位階一著、 外記置二解文筥於上卿前案一、引二御馬一、〈始二東方一、北行西折逆巡、左右番長以下引、但第一御馬御監引レ之、〈若不侍上卿令外記問其由〉〉三廻、訖第一御馬至二上卿前一上宣騎〈禮、〉舍人等共跪、拔レ鞭貫レ手騎レ之七八廻後上宣〈於利、〉共下並二立御馬於庭前一、〈去二上卿座南一三許丈、並北面西上二列、但〉
p.0995 〈龓人各立二馬左邊一、備忘日東宮引分多給二主馬署一、〉先引分〈令二龓人直引出一一院執柄使、次將春宮候二内裏一者、坊司來受レ之、或遣二將主馬署一、〉上宣近衞司、〈左次將起レ座稱唯猶立〉上宣馬司、〈左頭若助〉上宣近衞司、〈右次將〉上宣馬司、〈右頭若助〉任二召之次第一、一一進列二立上卿前一、北面西上、〈前例西面北上云々、雖二四五位一相交猶依二官次一、〉上宣取二御馬一〈禮、〉同音稱唯、〈退縿レ裾、左次將先經二下臈前一、且見二西度御馬一之後過レ半間、有二次將等西渡交代一、又行過〈欲取之度在御馬方而過〉各立二東西一、如レ此兩三度、然後令レ牽二所レ取御馬一、自二其跡一進出、〈故實〉〈賷扇御馬有所執者叩笏令驚行〉〉 向二上卿前一奏二牧名並郞名一、左右若論二先後一上卿依二外記日記一定、詞曰とを阿万りいてつ、或とをいてつ還入常立二本方一、〈左東右西〉次又進取如レ先、〈左右東西牽〉至二于後一了不二必度見一、上宣暫云々、 八十疋者、先各取二十五疋一、六十疋十疋、五十疋六疋、四十疋五疋、然只可レ隨二上卿仰一云々、 次將等退歸、次公卿以下一一給二御馬一、插レ笏取レ綱牽出、一拜畢退出、歸二著座一、〈往年自二東方一入二馬中一、相共廻顧、近例不レ然、〉近衞次將馬頭助等又同レ之、〈御前儀日非參議跪可レ引〉次左右各取二遺馬一訖、〈備忘日取了、其解文給主、不二寮官人一、〈近例多給外記〉〉外記取二解文筥一退還、若有二逗留解文一給レ辨、〈非二式日一之時歟〉此間、辨、少納言、近衞次將以下起レ座列立、王卿以下給レ馬者參内、 經二春華、宣陽、敷政、宣仁等門一、渡二階下一、列二立射場殿一〈北上西面、參議以上一列、非參議以下一例、〉 第一王卿令二殿上近衞次將一奏二候由一或付二藏人一令レ奏、奏者、帶劒把笏立二第一人前一、〈北面〉宣云、聞食、退去、王卿以下共拜舞了退出、 或説、馬頭助不レ可レ通二敷政門一、仍撿二先例一、被レ引二上卿一多出二入彼門一也、 伊勢奉幣日猶有、〈天暦二八十五日記、此例不レ宜、〉於二大庭一分取間、上
於二宜陽殿一行事、〈天慶七九十四九〉 但追給二御馬一、〈爲二左大將一者、給二右馬一、〉上卿爲二本府督一、未レ著レ陣間、於二宜陽殿一奏二解文一、參議等依二上卿命一著二陣饗一、〈天慶元九七九記〉可レ取二御馬一之數、先令レ示二兩寮月日一、 諒闇年有レ饗、及二六七巡一、〈天暦八年八十六、小一條仁和四年例、〉王卿在二左衞門陣一間、右大臣參入、不レ留二此陣一參内、辨少納言、起レ座立二板敷下一、侍從並外記史不レ起、不レ知二何是一、〈承平七八十五〉 左右大臣同就、右大臣中間起參内、外記史不レ起、後日召二勘之一、奉二過状一、〈安和元〉
p.0996 御二里第一時、右衞門陣有レ便儲レ饗、而稱レ無レ例不レ儲レ之、〈應和元冷泉院〉御物忌時、御馬解文付二藏人一、藏人留レ之、更以レ詞奏聞、即返給之、〈備忘日、或先取二案内一進止、〉無二一寮頭助一時、左右共止、〈天慶九八十七〉後院御馬有下左右次將不レ參、令二馬頭助一令レ取之例上、官牧無レ例、〈天暦八九二十七〉 重服次將取例〈天徳四年八七〉 觸穢次將取例〈同九十三〉 不レ視レ事限奏二解文一、分二給馬寮一令レ飼、過レ限分取、〈應和四五二〉 依二御馬乘員少一府生等乘例〈天暦九年十二〉 雨儀、於二承明門東廊壇上一取レ之、次將等北面西上列立、牽者跪二壇上一、 御二里内一時、以二陣外一爲二大庭一無二饗膳事一而永保三年〈上卿俊明〉令レ立二陣中一、應徳元年〈上卿宗俊〉亦依二去年例一令レ立二陣中一、車宿廊北副レ柱引レ幕、其前北面立二兀子床子一、其西南上東西立二辨以下床子一、御馬以レ東爲レ上、向レ南而立レ之、 件等議、若依下雨儀准二於承明門廊一、於二陣外一取之例上歟、不レ可レ相二叶晴日儀一歟、 八月十五日、紫宸殿御二覽信濃國勅旨御馬一裝束、 當日早朝上二殿御格子一、〈掃部〉上二御帳東南西三面帷一、〈掃司〉母屋北邊立二御障子一、殿東第三四間中柱外面打二簾臺一懸二御簾一、母屋南面東西六間同懸レ之、其内副二東御簾一南北行、立二亘大宋御屏風一、〈西向〉不レ及二北障子一、七尺、〈爲二内侍路一〉御帳前三箇間立二同御屏風一、〈南向〉自二件御屏風西妻一南北行、又立二同御屏風一、其内敷二廣筵一、御帳東間敷二二色綾毯代一、四角置二帛裹鎭子一、 其上並立二平文大床子二脚一、〈東西妻〉其上敷二高麗縟一、其上敷二菅圓座一枚一、御座東間屏風下南北敷二兩面端帖一枚一爲二執柄座一、南廂東第一二三間、南邊去レ柱二許尺立二兀子床子一、〈北向大臣兩面、納言緑、三位參議獨床子、四位參議長床子、並黄絹端敷物、〉件兀子床子不レ及二西御簾一、五許尺東廂南第一間立二白木床子二脚一、〈西向有レ茵、南次將座、北侍從座、〉
〔江家次第〕
〈八 八月〉
p.0996 上野(○○)御馬御覽裝束
p.0997 七日、十三、十七、廿、廿三、廿八等、國國御馬亦同之、 當日早旦上二御格子一、〈掃部司〉 立二母屋御障子一、粧二飾御帳一、上二東南西帷一、南廂西第四間中央鋪二廣筵一、立二大床子二脚、〈近代第三間〉敷二色綾毯代一、四角置二鎭子一、其上立二大床子一、〈可レ用二塵蒔大床子一、然而近代用二平文一、〉其上敷二高麗縟一、其上敷二菅圓座一、副二北障子一立二廻大宋御御〈◯二御恐一衍〉屏風二帖一、其中敷二小筵一枚一、其上立二朱漆小倚子一、爲二御裝物所一、南簀子西第三間西邊鋪二小筵一枚一爲二上卿座一、〈南北妻〉近代第二間敷レ之、今日不レ敷二執柄座一、年年例如レ此、可レ尋二陸奧交易御馬御覽一、又用二此儀一、
〔年中行事秘抄〕
〈八月〉
p.0997 七日、御馬逗留解文(○○○○○○)事、〈甲斐勅旨牧◯中略〉 十三日、御馬逗留事、〈武藏秩父◯中略〉 十六日、信濃駒牽事、 古事記云、百濟國主照古王、以二牡馬壹匹、牡馬壹匹一、附二阿知吉師一、以貢上之、 日本紀云、今案保食神死矣、其神之頂化爲二牛馬一、爰難者云、倭國無二馬牛一事見二事傳一、故應神天皇世百濟進二牛馬一自レ此而、彼倭國有二牛馬一、若本自有二牛馬一者、古先君臣寧扶レ策徒歩乎、 本八月十五日也、而依二朱雀院御國忌一改二十六日一、諒闇年尚有レ饗云々、〈天暦〉 十七日、御馬逗留事、〈甲斐穗坂〉 廿日、武藏小野御馬逗留事、 廿三日、信濃望月御馬逗留事、 廿五日、武藏立野御馬逗留事、 廿八日、上野駒牽事、〈勅旨諸牧近代動逗留、五十匹、〉
〔西宮記〕
〈八月〉
p.0997 大庭儀(○○○)
p.0998 牽分使上卿不レ仰二外記一示二藏人一、一院攝政遣二次將一、春宮坊坊司、來取有レ遣二次將一云々、 王卿著二左衞門陣一、盃酒如レ常、召二侍從一、〈三獻、上卿仰二少納言若辨一、少納言立二出籬東一、仰二召使一、〉外記覽二解文一、〈令二外記開一之〉上卿奏二解文一、〈上卿起座、外記執レ筥、立二石階前一西面、上卿就二御所一付二藏人一奏進、返賜、著二大庭一奏聞之次、奏二牽分人賜由一、勅使自二殿上一被二召仰一、〉上卿歸著之後、相議著二大庭一、〈自二春花門一出辨少納言巳下、近衞馬寮在二床子一、依二位色一著、或取手床子巽方進レ南立二弁少納言床子一、〉置二解文筥一、〈外記置レ之〉牽二御馬一、〈始二東方一西巡〉三廻後、上卿仰令レ乘、〈一御馬、至二御前一之比、仰云騎禮、〉騎廻七八巡、上卿仰云、下〈利〉共下並立、〈去レ座三丈、北面西上、二列龓人立二馬左一、主當馬醫整立、〉上卿召二左右取手一、〈有二牽分一者、上卿仰二口付一、令二牽出一、次召詞云、近衞司馬司、左右近衞將、馬寮隨レ召唯、進二立參議座巽二丈一、坤上乾面、立定仰云、御馬取禮、同音稱唯、入二馬中一兩三度、相過之後、巡檢相二取御馬一、遞令二牽出一、將副二御馬一、出申二牧郞名一、八十疋、六十疋、五十二疋、〉上卿仰、停二王卿已下馬寮助以上一、依レ例賜二御馬一、〈一々
レ笏執レ綱、牽出一拜了、退出歸著、〉次取二取遺一、歸入奏二御馬賜由一、〈經二春花門一入、列二立射庭一、二列、一人、令二殿上近衞將奏聞一歸出帶二劒笏一退立、仰二聞食由一、王卿已下馬寮以上、拜舞退出、或立二左近陣北壁下一、申二慶賀一、〉
〔江家次第〕
〈八 八月〉
p.0998 里内駒牽儀(○○○○○)〈八月十六日信乃御馬〉 東宿廊、副二北柱一東西行引レ幔、〈東第一間不レ引、爲二陣座往反道一也、〉第二間砌立二兀子三脚許一、〈第一兀子前立二小床子一脚一〉獨床子二脚、長床子一脚、〈以上公卿料、北面東上、〉西北庭立二長床子三行一、 東第一、辨、少納言、近衞將、馬頭助等座、 先例、辨少納言與二近衞將一別床子也、近例著二同床子一、如何、 第二行、外記史等座、 第三行、史生官掌座、 南行東面、去レ砌四丈許、東西行曳レ幔、當二西北一開二幔門一、 上卿以下著レ陣、外記入二解文於筥一覽二上卿一、上卿覽畢、令レ持二外記一就二弓場殿一奏聞、攝政坐二里亭一者藏人持二參彼亭一之後、歸來下レ之、 上卿即著二兀子座一、外記以レ筥置二兀子前小床子一、兼又仰下可レ入二御馬一之由上、兼又令レ告二諸卿一、人人著座、畢曳二御馬一入レ自二西北幔門一、御馬六十疋二行調立、〈南北〉先令レ曳二曳分御馬一、〈院御料一疋、攝政料一疋、〉左次將率二左馬頭一、右次將率二
p.0999 右馬頭一、至二御馬二行中央一下襲尻〈如二綣了一著〉先三度行迎、先左次將令レ取二一疋一、出レ自二馬蹝一、向二上卿一申云、其郞其毛申畢退入、右又如レ此、十疋取訖、後上卿曰、〈志波之〉次上卿以下在レ座、公卿近衞次將馬頭助等之在レ座者次第進給レ馬、取二馬綱一一拜令二曳出一之、後復レ座、次又取二殘御馬一訖、上卿召二外記一令レ取レ筥、次賜レ馬、人人相率參二弓場殿一、付二近衞次將一令レ奏二慶賀一、公卿一列、四位五位一列、次將歸來、仰二聞食畢一、 〈裏書云、 上野九牧、延喜式二十八日云々、七日甲斐勅旨牧、十七日甲斐穗坂牧、二十三日信乃望月牧、廿五日武藏勅旨牧、立野牧、又十五日信乃勅旨牧、廿八日上野九牧、以上六ケ日見二延喜式一、此外承平官府、〈十三日〉武藏秩父牧、〈廿日〉同小野牧御馬貢レ之云々、〉
〔建武年中行事〕
〈八月〉
p.0999 十六日、信濃の駒ひき、甲斐の穗坂已下、あまたあれども、ちかごろはたえたり(○○○○○○○○○)、かひの御馬、そこの一兩年をぐしいでられたる、望月ばかりは今まで絶ず(○○○○○○○○○○○)、上卿陣のざに著て解文を奏す、宰相、弁、少納言、近衞づかさ、をの〳〵建禮門の前にて床子につきて、御馬たまはる、近衞づかさ、弁、位次官す、おなじからざるおり論あり、本儀は別の床子なれば、あながちあらそひあるべからず、さと内裏にて、一列に床子たてたるおりあらそふなり、院春宮など、引わけの使にて、近衞司御馬ぐしてまいる、祿あり、うち〳〵御覽などありて、御馬をえらばる、
〔年中行事歌合〕
p.0999 二十四番 右 信濃勅旨駒引〈八月十五日〉 宗久 引分てをかやに立しあら駒のみなれぬ袖におどろきやせん 右八月十五日、信濃勅旨牧の馬を奉る也、をかやの御牧も此中にて侍にや、六十疋の由見え侍き、大方昔はすべて月日なども定る事はなく(○○○○○○○○○○○○○○○○○○)て、國々の御馬百疋まいる事にて侍ば、何も何も取分注申がたし、
〔公事根源〕
〈八月〉
p.0999 駒牽 十六日駒牽の外は(○○○○○○○○)、近代みな逗留(○○○○○○)のよしなり、 けふは信濃の勅旨ノ牧の馬を奉る、六十疋なり、もとは十五日にて侍りしかども、朱雀院の御國忌にあたるによて、十六日になさる、天皇南殿に出御なりて御馬を御覽ず、上卿御馬の解文を奏す、
p.1000 事はてヽ公卿以下次第に御馬を給はる、馬のさしづなをとりて、御前にすヽみて一拜す、取のこしの御馬をば、引分の使とて、次將をもて、院、東宮など然るべき所々へまいる、十七日には、又甲斐の國の穗坂御馬をひかる、二十日には武藏國小野の御馬四十疋ひかる、其外秩父御馬二十疋、立野の御馬十五疋、毎年にたてまつる、二十三日には信濃望月の御馬二十疋、二十八日には上野御馬五十疋ひかる、さしたる事なし、
〔藝備國郡志〕
〈上安藝〉
p.1000 牧場〈◯中略〉 倭俗謂二牧養之地一直曰レ牧、上古京師八月十六日有二駒牽之儀式一、甲斐穗坂、武藏小野、同立野、信濃望月、皆是諸國牧二養御馬一之地、而仲秋牽レ之以獻二朝廷一矣、今悉失(○○○)二其法(○○)一、告朔之禮已絶、餼羊亦知二其名一者鮮矣、鳴呼哀哉、〈牧倭訓麻岐〉
〔三代實録〕
〈十一清和〉
p.1000 貞觀七年十二月十九日丙寅、是日制、信濃國勅使牧野馬、元八月廿九日貢レ之、今定二十五日一、冷然院諸牧、元八月廿五日貢レ之、今定二十一日一、 ◯按ズルニ、是レ勅旨牧ノ史册ニ見エタル始ナリ、
〔政事要略〕
〈二十三年中行事〉
p.1000 廿三日〈◯八月〉信乃國望月御馬事〈延喜五年五月九日、官符左牧字廿、元卅、〉 吏部記、延長八年九月一日、引二信乃勅旨御馬一、〈◯下略〉
〔本朝世紀〕
p.1000 天慶二年九月七日乙亥、今日、武藏國由比、小川、石河、立野等御牧御馬四十疋牽進、仍天皇〈◯朱雀〉御二南殿一、 四年八月廿五日壬子、此日武藏國石川、立野御牧駒牽也、而不二牽進一、 九月十二日己亥、此日信濃國勅旨諸牧御馬可二牽進一之由、以二先日一被レ定已了、而逗二留近江國一之間、御馬廿疋裝束爲二洪水一流失、因レ之今日不レ堪二牽進一之由、言二上於執當一、〈◯中略〉 十三日庚午、此日、去月十五日可二牽進一信濃國勅旨諸牧御馬六十疋牽進、 十一月十日丙寅、此日牽二進武藏國石河、由比、小川三箇御牧御馬廿疋、立野御牧十疋一也、是以二去八月十三日一可二牽進一而申二延期一、今日牽進也、〈◯中略〉先牽二廻石河由比小川御馬一、〈◯中略〉其後又立野御牧御馬令二牽廻乘廻一、
〔日本紀略〕
〈三村上〉
p.1001 天暦三年十二月五日甲戌、被レ定二撿諸損田使等、又諸牧御馬貢不事一、
〔西宮記〕
〈八月〉
p.1001 駒牽次 延光大納言記云、安和三年八月十六日云々、就二左仗一、外記望成申云、去十四日、牽二眞衣野、柏前御馬一、昨日牽二信濃大處御馬一、並無二上卿一、不レ奏二解文一、但左衞門陣饗、今日所二辨備一也、仰云、有二兩牧同日牽例一、但御二覽件大處御馬一之次、覽二他牧御馬一之例宜二勘申一者云々、就二左衞門陣一云々了御二出南殿一、余依レ召候二簾下一云々、近衞等先取二甲斐御馬一、入レ自二日華門一、庭中三巡云々、御馬取了、又牽二信濃御馬一、主殿秉レ燭、御馬不レ待二三廻一令レ騎、又下了並了、左右各取二三疋一了、仰令レ牽二出第四御馬一〈左大臣料〉云々、公卿下レ殿賜二御馬一、一拜牽出參上、馬助以上賜人、所司依レ例取二其遺一云々、了又就二左仗一、令三外記召二主當寮官人一、左馬助方儀入二敷政門一就二膝突一、則給二兩國解文一、但年來所レ行、件文賜二外記一、傳二賜主當寮一、而故殿待レ書二留文一云々、令二外記給一違誤也者、仍召レ之下給云々、
〔明月記〕
〈二〉
p.1001 建暦二年八月十六日、酉時許少將參内、〈細太刀具二隨身一〉爲二駒牽用意一也、秉燭以後、依レ番參院、深更名謁、退出之後、少將歸來、依二牽分一參二關白殿一云々、立二中門下一職事下逢、以二馬部一令レ引レ馬、職事御厩舍人早可二請取一由示之、自二馬部手一令二請取一、次持二來祿一、相互乍レ立受之、依二主人重服一不レ拜退出、祿給二馬部一近代之例也、又内々被レ撰之間給レ駒、先レ是引二送逢屋一云々、語云、取手公俊師季牽分家兼朝臣實俊爲家云々、又師季參二脩明門院一云々、此事未レ聞云々、有二先例一歟、不審至極、上卿忠信卿、宰相顯俊朝臣、辨範時、少納言家時云々、四位左中將先著、五位右少將來著之間、著座寄レ南、師季著レ北云々、見物人々驚奇咲壺云々、上卿召立之間、向レ西立、主上密々御覽、頭中將并爲家等近候、六位以上解レ頤云々、彼兄弟於二公事一凡不レ足レ言、足二驚奇一、拜舞之間、辨等忘二舞踏一立、擲レ笏云々、
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