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p.0377 知行ハ家祿ニシテ、采地ヲ領スルヲ謂フ、德川幕府ノ制、萬石以上ハ大名ト稱シ、采地ヲ領地ト云フ、萬石以下ハ土地ヲ領有シ、貢賦ヲ徴收スル事、大名ニ異ナラザレドモ、其采地ヲ知行ト云フ、其一石ノ地ノ貢賦ハ、一俵如即チご一斗五升ニシテ、是ヲ三ツ五一分ノ物成(モノナリ)ト云ヒテ、物成ノ通則トス、物成トハ貢賦ヲ云フナリ、高百石ト稱スル者ハ、其貢賦百俵、郎チ三十五石ナリ、然レドモ其中ニハ四ッ物成ナルモァリ、三ツ物成ナルモアリテ、各村必シモ一定セザリシナリ、其知行ヲ給スルニ、物成ノ高キ地ト、低キ地トヲ通計シテ、三ッ五分ノ通則ニ合スルアリ、之ヲ物成詰(モノナリヅメ)ト云フ、又知行高ニ不足アル時、之ヲ補フニ他村ノ地若干ヲ以テシ、其物成ノミヲ收ムルアリ、之ヲ越石(コシコク)ト云ヒ、物成ノ高キ地ヨリ低キ地ニ轉ズル時ニ、其不足ヲ補給スルヲ込高(コミダカ)ト云ヒ、物成ノ低キ地ヨリ高キ地ニ轉ズル時ニ、其剰餘セシ者ヲ延高(ノベダカ)ト云フ、而シテ物成ノ事ハ、政治部下編ノ田租篇ニ詳ナリ、宜シク參看スベシ、
一何方も知行惡敷持成候地頭ヘハ、一往も二往も理候而、其上惡敷持候人をバ、可レ申二上之一、幷明知 行之儀も、其觸口之役人請取、其摸寄代官可二申付一事、〈○中略〉
慶長十四年酉二月二日
一大御番頭、御小姓組番頭、御書院番頭、小十人組頭、御歩行頭、御旗奉行、御鑓奉行、御弓鐵炮頭、其外 諸役人、依レ召登城候、是在々所々、土民令二困窮一之旨逹二御聞一、石之面々、幷組中共、御知行被二下置一族ハ、 交替ニ考二遠近一在所へ相越、仕置等可二申付一之旨仰之越、伊豆守、〈○松平信綱〉豐後守、〈○阿部忠秋〉對馬守、〈○阿部重 次〉民部少輔、〈○朽米植綱〉傳レ之、
覺
一御留守居與力 大御番與力 御書院與力 江戸町與力
禁裏附與力 百人組與力 御先手與力同心 御留守居番與力
西丸御留守居同心 二丸御留守居同心 御賓藏番同心 御鐵炮玉藥同心
御鷹師同心
右地方知行取來候者共、少給ニ而は、百姓致二こんきふ一候沙汰有レ之付而、今度遂二吟味一候所、從二先規一わけ有レ之、地方拜領之筋目も有レ之候、依レ之前々之通、領知被二下置一候間、彌百姓こんきふ不レ仕、領知地方ニ可二申付一候由、右頭中〈江〉可二相逹一候、以上、
四月廿六日
一總而知行拜領之面々、御書出被レ下候義、只今迄ハ新規御加增被レ下候分計御書出被レ下候、然共知 行替被仰付一候衆申ニハ、前方御書出被レ下候儀有レ之、一樣ニ無レ之旨、自今以後ハ兩樣ニ御書付被レ下候筈ニ相極可レ申旨被二仰出一候事、
〈子〉四月
御勘定所へ御差出有レ之候、万石以下知行郷村帳之儀、隱居、家督、小普請入、頭替、名替等之節ハ、帳面相改、引替相違無レ之分ハ、其段屆書、一箇年ニ兩度ヅヽ御差出之處、相逹無レ之分ハ、向後兩度宛之不レ及二御屆一、知行高之内、入狂ひ有レ之候歟、又ハ隱居、家督、小普請入、頭替り、名替等之節計、是迄之通、帳面御改、御引替有レ之候樣存候、右ハ松平左近將〈○中老〉殿へ伺之上、及二御通達一候、但組中へも御達有レ之候樣致度候、以上、
周防守殿〈○老中松平康直〉 兩御目附〈江〉
萬石以下地方取之面々、巳ヨリ去寅迄十箇年、物成書付早々差出候樣可レ被レ致候、最支配向之分ハ其頭支配ニテ取集、一同御勘定奉行〈江〉可レ被レ逹候、
右之趣、向々〈江〉可レ被レ逹候事、
但上知ニ成、壹ケ年も御料所ニ而、御所替有レ之候以後、知行渡ニ相成候節ハ、石高外之新田改 出し等之分、拜領高ニ繕ひ相渡申候、
一知行所御用地ニ上リ、代地被二下置一候節ハ、上ケ地物成之通、物成詰を以相渡候、且又川路潰地等 ニ而、少分之代地は、免合無レ構相渡候、然れ、共各別取劣候ヘバ、物成詰ニも仕候事、
但壹万石以上之上知ニ而、小物成高外ニ渡候分は、小物成之高外ニハ相構不レ申候へ共、可レ成 程ハ大概ニも割合候事、
一得替之知行割物成ハ、厘附出來相渡候事、
但格別物成劣之節ハ、伺之上割合仕候事、
一新規御加增共ニ、分限高壹万石以上之面々ニハ、小物成ハ、高外ニいたし相渡、分限高壹万石以 下之分ハ小物成高ニ相渡候事、
但小物成高結候事、永壹貫文を高五石之積取候ヘバ、壹石貳斗五升ニ〆入、銀壹匁を高壹斗 ニ詰取候ヘバ五升ニ〆入、
一分限高壹万石以下之知行渡候節、高ニ結候小物成ハ、其土地より生じ、年々增減無レ之品々ハ高 に結び、年季請負等ニ而差出候運上類、其外年々增減有レ之品ハ、高ヘハ除有レ之斗入候事、
但見取場米永ハ高ニ不レ結、取人斗入、且又高掛夫米差米目米等之類ハ、高取共ニ相除候事、
一物成詰込高之儀、古來ハ新規御加增共ニ、最寄專一ニ相渡候ニ付、五割位迄ニも相渡候へ共、近 年ハ最寄少々飛散候而も、可レ成程ハ高減候樣ニ割合候事、
一林之儀、新木小木等有之林ハ、高百石ニ付、大概五反歩程迄ハ相渡候、尤割合出來方ニより、林無 之候而も相渡候、 但御用木ニ成候程之立木有レ之林ハ、相渡不レ申候事、
一江戸拾里四方内之村方ハ、寛政十二〈子〉年より知行割ニハ不レ仕候、且又魚獵場其外、諸運上小物 成格別多村方ハ相渡不レ申候事、
但得替知行割之儀、城附直渡ニ不レ致、割直し渡候時ハ、右之村方ハ相除候へども、城附近所ニ 而難二相除一候者歟、或ハ先領主へ同高ニ而增地殘地等無レ之時ハ、其儘相渡候事、
一知行割之節、關東米方永方割合之儀、大概高百石ニ付、米方拾六七石ゟ貳拾石位迄割合相渡候 分ハ、永方相渡候事、
一關東永方米ニ直し候儀、古來ゟ永壹貫文ハ米貳石五斗替之積仕候處、元祿三〈午〉年ゟ、永壹貫文 ハ米壹石貳斗五升替之積相改候、然ル所享保七寅年ゟ、永壹貫文ハ米壹石ニ可レ渡旨被二仰渡一候、 此儀*1只今ハ、永壹貫文ハ米壹石貳斗五升替之つもり罷成候、
右拾ケ條ハ、前々ゟ書面之通、割合來候事、
一知行割之儀、新規〈幷〉御加增共、只今迄舊知最寄を第一ニ仕、宜村のみ割合候、左候而ハ、御料所ニ 惡敷村計殘候義如何ニ候間、向後ハ見計、左之通割合可レ仕候事、
一新規〈幷〉御加增割合之儀、水旱損有レ之村方、〈幷〉在方御普請所有レ之村方も、向後ハ五ケ年拾ケ年之 樣子見合、其もの之分限高に應じ相渡、村柄不レ宜をも取合割合之樣可レ仕候事、
一新規〈幷〉御加增得替共ニ割合候儀、永方ハ壹貫文ニ付、米壹石貳斗五升替ニ而米ニ直し候處、享 保七寅年ゟ、永壹貫文壹石替ニ相成候ニ付、知行割之節、免合下リ候間、向後前方之通、永壹貫文 ニ壹石貳斗五升替ニ免積可レ仕候事、
右は享保二十卯年ゟ、書面之通相極候事、
越前守殿〈○老中水野〉御渡
御料所之内薄地多、御收納免合調省、殊ニ近年品々之御用途差湊候折柄ニ候得共、厚御趣意を以、御勝手向ニ相響候儀をも不レ被レ爲レ厭、御貸附金御仕法替、〈幷〉十組問屋之内、運上冥加之類、若干免除被二仰出一、都〈而〉上を損、下を益候御仁政、上代ニ不レ耻美事と、一統難レ有奉レ存候、然處銘々領分ニ高免之土地も有レ之候ハ、畢竟神祖盛慮を以、封建之制度確乎と相定り、其上御代々之御恩澤ニ〈而〉加地等頂戴候得共、御治世後、間も無レ之時被二分封一、又ハ倉廩充實之節、被二恩賜一候儀ニ〈而〉、其後移封等ニより增減有レ之候而も、當時御料所より、私領之方高免之土地多く有レ之候ハ、不都合之儀と奉レ存候、假令如何樣之御由緒を以被レ下、又ハ家祖共武功等ニ〈而〉頂戴候領知ニ候とも、加削ハ當御代思召次第之處、右御由緒等を彼是申立候ハ、事態を不レ辨ニ相當リ、殊ニ銘々數代御鴻恩を蒙居、御勝手向之儀ハ、毫髪不レ顧、收納多分有レ之候を、一己之餘潤とのみ心得候筋ハ有間敷事ニ候、元來家族奴僕之扶助、可也出來、御軍役、高並相勤リ候得バ事足候儀ニ〈而〉、既ニ享保度ハ上米も被二抑付一候處、此節右樣之御沙汰無レ之を能事と心得、默々己之利を固執仕候ハ、人臣之分とハ難レ申、彼是恐懼無レ限候間.何とか願方も可レ有レ之哉と含居候處、幸此度江戸大坂最寄爲二御取編一上知(○○)被二仰付一候、右領分其餘飛地之領分にも、高免之場所も有レ之、御沙汰次第差上、代知之儀、如何樣ニも不レ苦候得共、三つ五分より宜敷場所ニ〈而〉ハ、折角上知相願候詮も無レ之候間、御定之通、三つ五分ニ不レ過土地被レ下候得バ、難レ有安心可レ仕候、偏ニ神祖封建之盛慮ハ不レ及レ申、御代々守成、又ハ更張之御經營故、銘々無量之御德澤ニ浴申候事、聊之代知等ニ〈而〉奉レ酬とニハ無レ之候得共、區々之誠悃、御許容被二成下一候ハヾ、難レ有仕合奉レ存候、右之通、越前守、大炊頭、備中守。相願候處、兼々諸臣迷惑之筋ハ、深く被レ爲レ厭候御趣意ニ候得共、此度江戸大坂御城最寄、上知被二仰付一候ハ、御損益ニ關係候儀ニハ無レ之、從來御規定之領知割、 追々紛亂候ニ付、全爲二御取締一無レ據被二仰出一、實ハ御不本意之儀ニ被二思召一候事故、右願之趣、下ニ〈而〉ハ廉潔之儀ニ候得共、被レ爲レ於レ上候〈而〉ハ、聚斂之御處置ニも相當、思召ニハ甚以不二相叶一候間、右之願ハ不レ被レ遊二御許容一旨ニ〈而〉、別段品々難レ有御沙汰之事共有レ之、誠以感泣銘肝之至ニ候、乍レ倂御許容無レ之ハ、人君之道を被レ爲レ盡候譯ニ候、臣下之身ニ取候〈而〉ハ、愈以抽二思誠一可レ申筈之處、難レ有御沙汰を蒙候迚、御時節がら、御料より膏腴之土地、居然領知罷在候ハ、如何にも不相當之筋と被レ存、何分安じ不申ニ付、猶又申談、高免之場所差上度ハ素願ニ候、打碎候ヘバ、此外ニも相含微意ハ、御損益を計、又ハ私之譽聞を求候儀ニハ無レ之、國家之御爲と存込候次第、委細再願書ニ建白いたし候通ニ有レ之、殊ニ兩大城傍近のみ御料所ニ被ニ仰出一候得共、諸大名其外飛地之分、纔平常之用向辨候迄之家來差置、甚手薄ニ有レ之、且民情も自然疎遠ニ〈而〉、萬端城附之如くニハ行屆不レ申候間、飛地之分、不レ殘城附領地並之免合ニ〈而〉、一纏ニ被二仰付一候得バ、御趣意にも相當、銘々持高丈之取締出來、安心之儀ニ候旨申上候處、件之旨趣、委敷被レ爲二聞召分一、折角之存込ニ〈而〉再願之上ハ、可レ被レ遊二御聞屆一旨被二仰出一、微忠之赤心相逹、誠以難レ有次第ニ候、若年寄衆、御側衆も同樣願之趣、入〈○此下恐脱字〉御許容ニ相成候、此度上知被二御付一候面々も、奕世之御鴻恩奉レ報度誠心ハ同樣之事と存候へ共、一己之勝手都合而已ニ抅率いたし、異存之輩も候ハヾ、被二申出一候樣無二急度一可レ被レ逹候、
天保十四年閏九月七日
上知復古之旨御觸書
大炊頭殿〈○老中土居利位〉御渡 御勘定奉行〈江〉
今度御取締之ため、江戸大坂最寄一圓、御料所ニ可レ被二成置一旨、被二仰出一候ニ付、上知被仰付一、〈幷〉飛地領地之儀ニ付〈而〉も、相觸候趣も有レ之候處、別段厚思召も被レ爲レ在候ニ付、右之儀ハ不レ被レ及二御沙汰一候、以前之領地知行之逋リ、可レ被二成置一旨被二仰出一候、 但上知ニ付、御金被レ下候向は、來辰年より十ケ年賦ニ上納可レ致候、
右之通可レ被二相觸一候
右之趣相觸候間、得二其意一、以前〈江〉復し候樣、早々取計可レ被二相觸一候、
嘉永六丑年十月廿九日
知行村替願出間敷旨御觸書
伊勢守殿〈○老中阿部〉御渡 大目付〈江〉
万石以上以下領分知行村替之儀、御用ニ付、公儀より被二仰付一候ハ格別、依レ願猥ニ引替可レ被レ下筋ニ無レ之處を、近來荒地損毛、其外勝手難澀之故を以、村替相願候面々不レ少候、古來より不レ宜場所領來候ハ勿論、是迄所替村替被二仰付一、收納減少候も、其時々子細有レ之事ニ候ヘバ、兼而より銘々覺悟も可レ有レ之處、多くハ等閑ニ打過、剰繁々用金をかけ、或衰微候郡村を以、引替之儀相願候ハ、如何之儀ニ有レ之、殊ニ御料所ハ、數多之國々ニ候得バ、荒廢之地、水早之患ハ、猶更多分之儀、其御手當御入用大造之事ニ候處、猶又向々之願ニまかせ、相應之土地を以、不レ宜郡村ニ引替候ハ、際限も無レ之、不二容易一事ニ候條、向後村替之願申立之議、差扣可レ被レ申候、尤万石以下、知行御藏前ニ引替之儀ハ、天明七年相逹候國々之外、决〈而〉難二相成一事候
右之通、先年相逹候處、近來村替之内願等被二申立一候向も有レ之候、右達之通、彌相心得、萬端御事多之折柄ニも候間、村替〈幷〉總而勝手ケ間敷諸内願、容易ニ被二申立一間敷候、
右之通、向々〈江〉可レ被二相觸一候、
德廟〈○德川吉宗〉以來御加增地は、關東にて出す御規定也、
一新知御加增被レ下候時ハ、知行割仕候儀、御役儀格式ヲ以而、物成屈付之高下、從前之例を以而、御 勘定所ニ而割合仕來り候、然共知行被レ下候儀ハ、御役儀之格ヲ以而、物成積之多少之差別ハ有二 御座一間敷候事ト奉レ存候、自今ハ物成之屆付ケ、三ツ五分宛ヲ定、被レ下候而可レ然奉レ存候、三ツ五分 積りヲ以而割渡候ヘバ、私領ニてハ少々取箇も相增候故、知行方ニ付、諸入用掛之分ハ引候ても、御藏米程ニ相當り申積候間、三ツ五分之屆付ニ被レ下可レ然被レ存候、但只今迄之知行割之仕形、 關東畑方永取之分ハ一反を米一石二斗五升代之積りニて、田方米取都合仕、屆付割合來候得共、自今一石替之積りニ割合可レ然奉レ存候、
右之通り存寄候儀ニ御座候間申上候、以上、
寅〈○享保七年〉四月
右之通り伺相濟候由、寅四月廿二日、駒木根肥後守殿〈○政秀、勘定奉行、〉被二仰渡一候.
折紙とは、二つ折の金銀馬代の事也、〈○中略〉御加增被レ下候節、大小名に不レ限、三千石以上の加增なれば、御禮の時、金馬代なり、三千石以下は、銀馬代にて御禮申上る也、
是ハ知行渡しの節、高百石に付、米三斗五升入、百俵の當りニて、米三拾五石免ニて三ツ五分に當る、公儀より私領え渡る、村々免は高下あるに付、其村々の物成、本途幷に小物成米、永郷帳組の分を打込み、高百石、三ツ五分に當るやうに割合、三ツ五分より高免の村方あれば、又下免の村を差加へ、高には拘はらず、物成にて增減いたすゆゑ、物成詰と云、然し拜領高千石の物成、四百石有レ之、免四ツに當るとて、三ツ五分に當るやう、千石の高を減少いたし渡す儀はならざるに付、三ツ五分に當るべき村方を糺し、割合て相渡す、又千石の村、下免にて三ツ五分の物成に不足なれば、外村にて不足だけの米に當るやう、千石の上に高相增し、込高にしてわたす、是は新知のことなり或は村替等有レ之分は、三ツ五分に拘はらず、只今まで納め來る本途に、物成の石數を以て引替、雙方の村方、本途小物成を打込て、物成詰にて引替る、古來は万石以下計り物成詰にて、万石以上は物成に拘はらず、石高にて引替るよし、然る處何れの頃よりにや、近來万石以上も、村替加增地等物成詰に成たり、夫も國替所替等の節は、物成詰にならず、有高にて引替る故、國替には甚損益あ り、〈○中略〉偖又万石以下の御役人、知行所よろしからず、御役中御藏前取願有レ之引替るときは、是までの知行千石の物成、ニツ五分、三ツ位に當る共、御藏前にては百石百俵の積り千俵渡しに付、三ツ五分に當る、かやうの類は物成詰には無之なり、
右之書付短クつヾめて書上候樣ニ御尋
一越石之事
是は知行を割渡候時、其渡知高に不足有レ之ニ付、他村より足し高、小分割添遣候て渡、知行高都 合仕候も越石と申候、少分之足高故、百姓も、田畑地所も、割分け渡候義不二罷成一候ニ付、本村並之 年ニ取箇積を以、右足高之分を物成計引越遣候ニ付、越石と申候、越石ハ、物成之外ハ、夫役等、懸 り物之類も、地頭より割懸候義不二罷成一、諸事仕にくき事故、近年ハ越石ニハ不レ仕、割分ケ渡候程之足高仕候樣ニ知行割渡候、〈○中略〉
享保四亥年三月十四日
是は御料所には無事なり、私領村替等の節、假令バ高五百石四ツ取の村方、只今まで知行いたし居る處、此度上り代地外の村々ニて、高五百石渡る、此村ハ三ツ五分之村に付五分だけ、最初取來りたる村より物成不足ニ付、五分だけの高を、其村内にても、又は他村にても、五百石の上に增してわたすを込高といふ、勿論釐の高下計りにてハなく、雙方の村の小物成、高掛り、米永物成詰にて高に結び、多少を見て、物成不足だけを高にて渡すを込高といふ、
一延高之事
是も御料には無事なり、知行渡り之節、縱ば高壹萬石物成誥ニ無レ之高ニ而引替ニ相成リ、只今迄 之領知は三ツ五分取ニ而、物成米三千五百石納うたる處、此度渡りたる領地は四ツ取ニ而、物成米四千石有り、先知より米五百石相增とも、拜領高壹萬石之高を減る事は難レ成物成之增ニ不レ構、壹萬石相渡ニ付、增米五百石女之高千貳百五拾石なり、此高之分を延高と唱ふる、萬石以下は、物成詰ニ而村替等有レ之ニ付、知行割掛りニ而、村方割合先ヅは延高無之事、
但延高仕出シ方ハ、先知行之取米三千五百石を、當知行之免四ッニ而除ケバ、高八千七百五拾 石ニなる、壹萬石之内右高引之殘高千貳百五拾石と出る、此分込高なり、
分限高千石以下面々、取來知行下免ニ而、御藏米御引替願之儀、十ケ年平均取ケ、ニツ九分以下ニ付候分ハ引替被レ下、三ツに付候得バ引替不レ被レ下定法、可レ被二心得一候、
享保九年辰正月
万石以下布衣以上御役人知行、御藏米御引替御書付、
一万石以下、向後出羽、陸奧、信濃、越後、越前、五ケ國之内、知行所有レ之布衣以上之御役相勤候もの、勤 候内計、願次第御藏米ニ御引替可レ被レ下筈ニ被二仰坦一候、
但右五ケ國ニ而取來候知行、御藏米とハ引替被レ下候而も、其儘領知定免を以、年々御年貢上 納仕候筈ニ候、山林者、地頭取箇ニ成候間、左樣被二相心得一、定免之儀、其節之地頭へ申請可レ被二相 定一候、
〈子〉七月
〈左近將監殿○老中松平乘邑伊豫守殿○若年寄本多忠統〉御渡 御目付へ
御奉公相勤候者知行所下免ニて、御藏米ニ御引替之儀、向後御役又ハ御番相勤候内計、御藏米御引替被レ下候間、御役御番御免、病死等之節ハ、頭支配より其趣申聞、御勘定所へも可レ被二申達一候、尤只今迄引替相濟候分ハ不レ及二其儀一候、
万石以下布衣以上之御役人ハ、知行下免ニて十ケ年平均、ニツ九分以下ニ附候分、願候はヾ、勤候内御藏米ニ引替可レ被レ下候、
右之通、向後可二心得一旨、寄々可レ被レ逹候、
御勘定奉行〈江〉
大御番戸田近江守組與力
森新太郎
右知行所惡敷候ニ付、御藏米御引替被レ下候、尤勤候内、御引替被レ下候間、被レ得二其意一、知行所之儀可レ被レ談候、〈○中略〉
寛延三年五月
御勘定奉行〈江〉
御留守居若狹守養子
高力大學
右養父若狹守相勤候内、地方三千石御藏米御引替被レ下候處、若狹守病死ニ付、家督被レ下候付、如二最前一地方ニ成候間、可レ被レ得二其意一候、尤大學へ可レ被レ談候、
御勘定奉行〈江〉 萬石以下布衣以上御役人、其外御奉公相勤候ものハ、知行下免ニ付、相勤候内ハ、御藏米御引替之儀、享保十七子年、出羽、陸奧、信濃、越後、越前ニ知行有レ之分ハ御引替可レ被レ下旨、相二極之一候間、右五ケ國ニ知行有レ之分計、御引替被レ下候筈、寛延二巳年、相極候得共、向後千石以上ハ、布衣以上之分計、千石以下ハ布衣以上以下とも、右五ケ國之無二差別一、拾ケ年平均二ツ九分以下ニ付候分ハ、御藏米御引替被レ下候筈候間、可レ被レ得二其意一候、
御勘定奉行〈江〉
百人頭 岡田將監組與力
貳拾三人
御先手 奥田山城守組與力
拾 人
右知行所取扱、不案内ニ而難儀ニ付、願之通、一人前現米八拾石宛、御藏米ニ引替被レ下レ之旨得二其意一、向々可レ被レ談候、
御勘定奉行〈江〉
万石以下知行、御藏米引替之儀、千石以上ハ布衣以上、千石以下ハ布衣以上以下共、知行所國之無二差別一、十ケ年平均二ツ九分以下ニ附候分、勤之内御藏米御引替被レ下候筈、明和五子年相極候處、向後ハ、享保年中申渡候通、出羽、陸奥、信濃、越後、越前五ケ國ニ限、千石以上ハ布衣以上之分計、千石以上以下ハ布衣以上以下とも、勤候内、書面之通、下免之分、御藏米御引替可レ被レ下候、右五ケ國之外ハ、御引替不レ被レ下筈相極候間、可レ被レ得二其意候、
代知御藏米ニ引替之儀ニ付御觸書 越前守殿〈○老中水野忠邦〉御渡 御勘定奉行〈江〉
江戸大坂、今般上知相成候内向之ニハ、小身之輩も有レ之、代知爲二請取一可レ致二出役一家來ニも差支、又ハ是迄知行所賄ニ〈而〉融通いたし居候類ハ、當座不都合ニ可レ有レ之、或ハ代地手遠之場所〈江〉出候ハ、迷惑も可レ仕候ニ付、五百石以下代知之儀、當時御定之通、御藏前ニ引替可レ被レ下候、左候得バ、廻米難破船等之愁も無レ之、其外雜費相省、年中之世話迄も薄、自然家事之一助ニも可二相成一事ニ候、委細御勘定奉行可レ被レ談候、
右之通、今般上知被二仰付一候五百石以下之面々〈江〉、可レ被レ逹候、
右之趣相觸候間、可レ被レ得二其意一候、
今般上知相成候向之内、五百石以下之分ハ、代知御藏米ニ引替被レ下候、尤多人數之内ニハ、是迄賄方等知行〈江〉申付置候族、右之通被二仰出一候ニ付〈而〉ハ、當座迷惑ニ及び候類も可レ有レ之哉と、格別之思召を以、右引替相成候向〈江〉ハ、御金可レ被レ下と之御沙汰ニ候、依レ之高百石ニ付金拾兩〈太平年表ニハ拾七兩トアリ〉宛被レ下候、御金受取方之儀ハ、御勘定奉行可レ被レ談候、
右之通、今度上知被二仰付一候、五百石以下之面々〈江〉可レ被レ達候、
右之趣相觸候間、可レ被レ得二其意一候、
覺
小給之面々、知行所損毛ニつきて、返納米並上納金差延願之儀、知行高之内、何程損毛之旨、員數書付可レ被二差出一候、向後ハ相給之方よりも、右知行所損毛之段、書付取レ之、相給無レ之ハ、近邊御代官よりも書付取、相濟可レ被二差出一候、
十月十三日
今一軒ハ中坊陽之助也、中坊先祖ハ南郡興福寺坊中の衆徒なり、故に本國ハ大和なるに、今以知行同國吉野郡にあり、四千石の高なり
又其一ハ大島帶刀也、本國美濃にて、知行美濃にあり
今一軒ハ加藤平内、本國美濃ニ而、知行所同國ニアリ、甲斐庄喜右衞門、本國河内ニ而、領分同國に有レ之、遠山左京六千五百石餘、美濃に有レ之、是又本國ハ美濃なり、苗木城主遠山信濃守又然り、戸川一家、蒔田家、水谷主水、何れも本國にはあらざれども、知行所備中にあり、
池田家、淺野家、何れも播磨に領知有レ之、
秋月金次郎、高三千石、本國日向ニ而、知行所今以而日向に有レ之候、大名の秋月も、同國高鍋の城主也、
青木孫太郎、本國美濃ニ而、五千石の知行美濃に有レ之、妻木平四郎三千石、右同斷、
佐藤金之丞三千石、又同じ、
佐野欽六郎四千石、同龜五郎三千五百石なり、本國下野にて、兩家ともニ下野を領知せり、 松平彈正三千五百石、同作左衞門三千石、三河に知行あり、
