帝王部/皇親上

p.1407 皇親トハ、皇兄弟姉妹及ビ皇子皇孫以下スベテ天皇ノ親族ヲ云フ、日本書紀ニ據ルニ、其始メ皇親ノ男子ハ皆某尊、又ハ其命ト書シ、女子ハ何レモ某姫又某媛ト記セリ、某皇子、某皇女ノ稱ハ始メテ垂仁紀景行紀ニ見エ、諸王ノ稱ハ推古紀ニ見エタリ、此ヨリ後ハ、天皇ノ御子ハ多クハ某皇子某皇女ト云ヒ、或ハ某王某女王トモ稱セリ、降リテ天武天皇ノ時ニ至リ、親王諸王ノ別アリ、文武天皇大寳元年ニ至リ、皇親ノ制度ヲ立テヽ、皇親ヲ親王ト諸王トニ別チ、皇兄弟姉妹及ビ皇子皇女〈一世〉ヲ親王トシ、皇孫〈二世〉皇曾孫〈三世〉皇玄孫〈四世〉マデヲ諸王トス、玄孫ノ子即チ五世王以下モ、王ト稱スルコトヲ得レドモ皇親ノ限ニアラズ、又諸王ハ親王ヲ娶リ若クハ諸臣ニ嫁スルコトヲ得レドモ、親王ハ諸臣ト婚スルコトヲ聽ルサヾル等ノ制アリ、古事記日本書紀ニハ、皇子ヲ稱スルニ某王ヲ以テシタレドモ、續日本紀以後ノ國史ニハ、皇孫以下諸王ニアラザレバ某王ト記サズ、從ヒテ之ヲ訓ズルニモ、親王ハミコ、諸王ハオホキミト差別セリ、
親王トハ、天皇ニ最親シキ王ト云フ義ニシテ、コレニ親王、内親王、入道親王、法親王等ノ別アリ、親王ノ稱ハモト隋唐ノ制ニ、皇帝ノ子ノ某國ノ王タル者ヲ親王ト云フニ依リシモノニテ、此稱早ク天武天皇ノ時ヨリ見エタレドモ、之ヲ名ノ下ニ連書スルハ、文武天皇四年ノ紀 p.1408 ニ刑部親王ト記セルヲ始トス、蓋シ此時ニ定メラレタルモノナラン、此ヨリ後ハ何レモ某親王又ハ某内親王ト書シテ、名ノ下ニ連稱スルコトヽナレリ、
親王ノ座次ハ、常ニ諸王諸臣ノ上ニアリテ、諸王諸臣ハ、朝堂ニ在テハ座ヲ避ケ、途上ニ於テハ歩ヲ讓ラザルベカラズ、其他親王罪ヲ犯セバ、先ヅ其罪ヲ議センコトヲ奏請シテ裁可ヲ請ヒ、其薨ズル時ハ、天皇爲メニ朝ヲ廢シ、賻物ヲ賜ヒ、使ヲ遣シテ葬事ヲ監セシメ給フ等、待遇極メテ優渥ナリ、其位階ハ品ト稱シテ、諸王諸臣ニ分チ、一品ヨリ四品ニ至ル、品ニ叙セラレザルヲ無品親王ト云フ、蔭子ハ初メ從四位下ニ叙セラルヽヲ例トス、官ハ大臣、太宰帥、八省卿等ニ任ジ、或ハ彈正尹、三國大守等ニモ任ゼラル、是レ親王ハ人臣ノ下ニ立タザル制ナルヲ以テ、長官タルヲ得レドモ、次官タル可ラザル故ナリ、俸祿ニハ品田アリ、食封アリ、時服及ビ季祿アリ、所屬ノ職員ニハ、文學、家令、家扶、家從、書吏、及ビ帳内等アリ、中古以降ハ勅別當、家司、職事、藏人、侍者、御監等ヲ置キ、特ニ内舍人、大舍人等ヲ賜フモアリ、而シテ此等ノ俸祿職員ハ、其品位ニヨリ、又ハ官職ニヨリテ多寡均シカラズ、又男女ニヨリテ其數ヲ異ニシ、大抵内親王ハ男親王ノ半ヲ減ジテ賜フヲ定例トス、後世ニ至リテハ、封戸ノ制多ク行レズ、年官年爵ヲ以テ俸祿ニ代フルニ至レリ、
内親王トハ、天皇ノ皇姉妹皇女等ノ稱ニシテ、天武天皇ノ紀ニ始テ見エタレドモ、之ヲ名ノ下ニ連書スルハ、文武天皇大寳元年ノ紀ニ、泉内親王、大伯内親王ナドアルヲ以テ濫觴トス、内親王ノ臣下ニ降嫁セルコトハ、古クハ醍醐天皇ノ皇女勤子内親王、及ビ韶子内親王ノ、藤原師輔源清蔭等ニ降嫁セル、近クハ後陽成天皇ノ皇女清子貞子ノ兩内親王ノ、鷹司信尚及ビ二條康道ニ降嫁セル類是ナリ、後世攝關ニハ其例甚ダ多カレドモ、其他ニハ只徳川氏ニ一二ノ例アルノミニテ、靈元天皇ノ皇女吉子内親王ノ七代將軍家繼ニ結納ノ儀アリ、仁孝 p.1409 天皇ノ皇女親子内親王ノ十四代將軍家茂ニ降嫁アリシニ過ギズ、女王婚嫁ノ例ニ至リテハ、攝關將軍諸侯門跡等極メテ多ク、攝關ニテハ有栖川宮職仁親王ノ女孝宮ノ近衞經熈ニ嫁シタル、將軍ニテハ伏見宮貞清親王ノ女顯子ノ徳川家綱ニ嫁シタル、諸侯ニテハ同親王ノ女安宮ノ徳川光貞〈紀伊〉ニ嫁シ、有栖川宮織仁親王ノ女富宮ノ徳川齊昭〈水戸〉ニ嫁シタル、門跡ニテハ有栖川宮幸仁親王ノ女淑宮ノ東本願寺光性ニ嫁シ、閑院宮直仁親王ノ女始宮ノ西本願寺光啓ニ嫁シタル如キ是ナリ、
入道親王ト法親王トハ、共ニ皇兄弟姉妹、皇子皇女、若クハ孫王ノ佛門ニ入レルモノニテ、親王ニシテ入道セルヲ入道親王ト稱シ、出家ノ後親王タルヲ法親王ト號ス、但シ孫王ノ法親王タルハ異例ニシテ普通ノコトニアラズ、抑出家入道セシモノ、親王ニハ平城天皇ノ皇子眞如アリ、親王タラザル皇子ニハ、光仁天皇ノ皇子開成、花山天皇ノ皇子深觀覺源ノ如キアリ、然レドモ此等ハ未ダ入道親王、又法親王ト稱セズ、入道親王ノ稱ハ、三條天皇ノ皇子惟信入道親王ニ始マリ、法親王ノ稱ハ、白河天皇ノ皇子覺行法親王ヲ始メトス、其他孫王ニシテ法親王タリシモノアリ、後鳥羽天皇ノ皇孫澄覺法親王、順徳天皇ノ皇曾孫承鎭法親王ノ類是レナリ、而シテ此等ノ皇子皇孫ハ何レモ一旦天皇ノ猶子トナリテ、然ル後法親王タルヲ例トス、中世以後皇親ノ制度漸ク衰ヘ、武家ノ權勢盛ナルニ及ビテハ、諸王ハモトヨリ、皇子皇女等多クハ落飾シテ僧尼トナリ寺門ニ入リ、皇子ノ住職シ給フベキ寺ヲ宮門跡ト唱ヘ、皇女ノ寺ヲ比丘尼御所ト稱シ、何レモ十數箇寺アリシナリ、
皇子皇女ハ、モト生レナガラニシテ親王タリシヲ、淳仁天皇以後、親王宣下ト云フコト始マレリ、蓋シ淳仁天皇ハ、皇孫ヲ以テ入テ大統ヲ繼ギタマヒシユヱ、自ラ斯ルコトノ起リシモノニテ、後ニハ皇子皇女モ、宣下ヲ待タザレバ親王タルコトヲ得給ハザルニ至レリ、即チ後 p.1410 白河天皇ノ皇子高倉宮以仁王、後西院天皇ノ皇女貞宮ノ如キ、及ビ後世總テ比丘尼御所ト稱スルモノヽ如キハ、共ニ親王宣下ヲ得ズシテ諸王タルモノナリ、而シテ孫王トイヘドモ宣下ヲ蒙レバ、或ハ親王タルコトヲ得ルナリ、孫王ニシテ親王宣下ノ初例トモ見ルベキハ、小一條院ノ御子敦貞敦元ノ二王、及ビ儇子嘉子ノ二女王トス、然レドモ、二王ハ三條天皇ノ皇子ニ准ジテ親王ト爲シ、二女王ハ天皇ノ養女トシテ内親王ノ宣下アリシナリ、此親王宣下ノ制ハ、維新ノ後、廢セラレテ古制ニ復スルコトヽナレリ、
中世以降、皇親漸ク蕃衍シ府庫ヲ費スコト多キヲ以テ、悉ク封戸ノ制ニ從フコト能ハズ、是ニ於テ姓ヲ賜ヒ人臣ニ列スルコト起リ、桓武天皇延暦六年、諸勝岡成ノ二皇子ニ廣根朝臣長岡朝臣ノ姓ヲ賜フ、是ヲ皇子賜姓ノ始メトス、次テ嵯峨天皇ハ、ソノ八皇子ニ悉ク源朝臣ノ姓ヲ賜ヘリ、爾後皇子ノ人臣ニ列スルモノ世々絶エズ、然レドモ種々ノ事情ニヨリ、賜姓ノ後再ビ親王宣下アリテ、皇親ニ列セシモノナシトセズ、醍醐天皇ノ皇子兼明親王ノ如キハコノ類ナリ、諸王ノ姓ヲ賜ヘルハ、聖武天皇天平八年ニ、敏達天皇ノ玄孫葛城王等ニ橘宿禰ノ姓ヲ賜ヒシ類ニテ、稱徳天皇天平勝寳四年ニハ、皇孫智努王等ニ文室眞人ノ姓ヲ賜ヒ、爾後漸クソノ數アリ、降リテ仁明天皇ノ朝ニ至リ、明日香親王ガ、其所生ノ男女ニ姓ヲ賜ハンコトヲ懇請シタマヒテヨリ、孫王賜姓ノコト益多シ、後ニハ王號ヲ稱スルモノ大ニ減ジ、獨リ神祇伯ヲ以テ世職トセル白河家ノミハ、永ク王號ヲ繼續シタリ、コノ賜姓ノ事ト、前ニ述ベタル皇子皇女出家ノ事トニヨリテ、皇族ノ數ハ極メテ少クナリ、且世襲親王トテハ、古クハ常盤井宮、木寺宮、近クハ伏見、桂、有栖川ノ三親王ニ過ギザリシヲ、後又閑院宮ヲ立テラレテヨリ、四親王家トナレリ、但シ世襲親王家ニ嗣ナクシテ、皇子ノ入テ其家ニ嗣トナリタマフ時ハ、多クハ宮號ヲ改メ新ニ其家ヲ興スヲ例トス、タトヘバ八條宮ノ常盤井ト改メ、再 p.1411 ビ京極ト改稱シ、更ニ改メテ桂宮ト稱セラレシガ如キ是ナリ、
世襲親王ハ、天皇ノ猶子タラザレバ親王タルヲ得ズ、而シテ世襲親王ノ子ノ宮門跡タルニハ、天皇ノ猶子アリ養子アリ、或ハ又初メ天皇ノ養子トナリ、更ニ將軍ノ猶子トナリテ、然ル後親王宣下アルモアリテ一様ナラズ、猶子ハ嵯峨天皇ノ皇子源定ヲ以テ、淳和天皇ノ猶子ト爲シ給ヒシニ始マリタレドモ、是ハ普通ノ猶子ニアラズ、次デ宇多天皇ノ皇子雅明ハ、醍醐天皇ノ猶子トナリ、花山天皇ノ昭登清仁ノ二皇子ハ、冷泉天皇ノ猶子トナリテ、共ニ親王宣下ヲ蒙レリ、蓋シコノ時ノ制タル、天皇御出家後ノ所生ノ皇子ハ、親王タルヲ得ザリシ故ニ、斯ルコトモアリシナリ、其他臣下ノ猶子トナリ給ヒシハ、後奈良天皇ノ皇女聖秀尼王ノ、足利義晴ノ猶子トナリ、陽光院ノ皇子智仁親王ノ、豐臣秀吉ノ猶子トナリ給ヒシ類ニシテ、臣下ノ養子トナリ給ヒシハ、後陽成天皇ノ二皇子信尋、昭良ノ、近衞家及ビ一條家ノ養子トナリテ、共ニ其家ヲ相續シ給ヒシ類是ナリ、
諸王ノ稱ハ、既ニ大寳以前ニ見エテ、天武天皇二年ノ紀ニ、諸王四位栗隈王トアリ、又其十二年ノ紀ニ、諸王五位伊勢王トモ見エタレドモ、女王ノ稱ハ文武天皇三年ノ紀ニ、坂合部女王トアルヲ始メトス、大寳ノ制、五世王ハモト皇親ノ限ニアラザリシヲ、慶雲三年ニ至リ親ヲ絶ツニ忍ビズトテ、特ニ皇親ノ列ニ入ルコトヽナレリ、然ルニ桓武天皇延暦十七年ニ至リ、奸濫ノ徒宗室ヲ汚ス懼レアリトテ、再ビ古制ニ復シテ皇親ノ以外ト定メ、其名籍計帳等諸王ニ關スル一切ノ事ハ、總テ正親司ニテ管理シタリ、
諸王ノ待遇ハ、親王ニ比シテ大ニ差降アリト雖、マタ諸臣ト同ジカラズ、其辭訟アル時ハ、特ニ座席ヲ賜ヒ、皇親以外トイヘドモ永世不課戸トシテ、特ニ課役ヲ蠲除スル如キ、優遇他ニ異ナルモノアリ、位階ハモト天武天皇ノ時ハ、親王ト等シカリシモ、大寳ノ制ニテ、諸臣ト同 p.1412 一トナリ、一位ヨリ五位ニ至リ、蔭子ハ初メ從五位下、若クハ正六位上ニ叙セラルヽヲ例トス、官ハ大臣、納言、神祇伯、或ハ大學頭等ニ任ゼラル、是レマタ諸臣ノ下ニ立タシメズシテ多クハ長官ニ任ゼラルヽ例ナリ、其位記官職アルモノニハ位田食封ヲ賜ヒ、一般ノ男王女王ニハ、共ニ春秋二季ニ時服料、及ビ季祿ヲ賜フ、後諸王漸ク蕃衍スルニ及ビテハ、時服ヲ賜フベキ諸王ノ數ヲ限定シ、其死闕ヲ待チテ、順次之ヲ補フコトニ定メラレタリ、
凡親王ニシテ大罪アレバ、先ツ屬籍ヲ削ル、伊豫親王ノ幽セラレタル、不破内親王ノ流ニ處セラレタル時ノ如キ是ナリ、諸王ニシテ大罪アレバ先ツ王名ヲ除ク、鹽燒王ノ獄ニ下サレタル、長野女王ノ配流セラレタル時ノ如キ是ナリ、但シ親王諸王共ニ、多クハ姓ヲ賜テ庶人トナシ、然ル後處罰セラルヽヲ例トス、

稱號

〔日本書紀〕

〈三神武〉

p.1412 諸皇子(ミコ)

〔類聚名義抄〕

〈六王〉

p.1412 親王〈ミコ〉

〔運歩色葉集〕

〈四志〉

p.1412 親王〈唐帝大王、竹園、宗固、天枝、帝葉、一品、二品、三品、四品、〉

〔下學集〕

〈上人倫〉

p.1412 親王(シンワウ)〈指二皇子、或帝之兄弟、叔父等一也、〉　竹園〈親王唐名也〉　天枝　帝葉〈共指二親王一〉

〔徒然草〕

〈上〉

p.1412 竹のそのふ(○○○○○)の末葉まで、人間のたねならぬぞやんごとなき、

〔史記〕

〈五十八梁世家〉

p.1412 於レ是孝王築二東苑一、方三百餘里、〈西京雜記云、梁孝王、苑中有二落猨、巖栖、龍岫、雁池、鶴洲、鳧島諸宮觀一相連、奇果佳樹、瑰禽異獸、靡レ不二畢備一、俗人言二梁孝王竹園一也、〉大治二宮室一、爲二複道一、自レ宮連二屬於平臺一三十餘里、〈按、今城東二十里、有二故臺趾一、不二甚高一、俗云二平臺一、又一名二修竹苑一、◯節略〉

〔邦輔親王御誕生記〕

p.1412 永正十年三月廿一日、〈◯中略〉抑從二禁裏一御大刀範久爲二御使一、若宮誕生珍重之由被二仰下一、　廿七日、前内府大刀一腰持參、竹園(○○)〈◯伏見宮貞敦親王〉御對面、　廿八日、典藥頭親就朝臣、〈大刀〉大藏卿、〈大刀、兩御所進レ之、〉四辻大納言、〈大刀〉頼孝〈大刀〉等持參、各竹園(○○)御對面、新典侍殿來臨、一荷兩種被レ進、三條内府同前大刀持參、於二産所一有二三獻一云云、以後竹園(○○)御對面、

〔大鏡〕

〈七太政大臣道長〉

p.1413 第一の女君は、一條院の御時に、長保元年十一月一日、御年十二にて女御にまゐらせ給ふ、〈◯中略〉中宮と申し程に、うちつヾきてをとこみこ(○○○○○)二人うみ奉り給へりし、

〔榮花物語〕

〈一月宴〉

p.1413 基經のおとヾの御女の女御の御はらに、醍醐の宮達(○○)あまたおはしましける、

〔玉勝間〕

〈四〉

p.1413 宮と申す稱
天皇の御胤を宮と申すこと、いにしへは皇子皇女にかぎれり、皇子の御子よりしては、宮と申すことなかりき、然るを中ごろよりして、皇子の御子をも申し、近くは親王の御すぢをば、世々すべて宮と申す事となれり、

〔榮花物語〕

〈一月宴〉

p.1413 按察のみやす所、とてさぶらひ給をとこ三の宮(○○○○○○)、女三のみや(○○○○○)、うみたてまつり給つ、又この九條殿の女御、をとこ四五のみや(○○○○○○○○)うまれ給ぬ、又宣耀殿女御、男六八のみや(○○○○○○)うまれ給へり、〈◯中略〉麗景殿の女御、をとこ七の宮(○○○○○○)、女六の宮(○○○○)、生れ給にけり、式部卿の宮の女御、女四の宮(○○○○)ぞうみたてまつり給へりける、廣幡御息所、女五の宮(○○○○)うまれ給へり、按察の御息所、をとこ九の宮(○○○○○○)うまれ給などして、又九條殿の女御七九十の宮(○○○○○)などあまたさしつヾきうまれさせ給て、〈◯中略〉おほかたをとこ宮(○○○○)九人、女みや(○○○)十人ぞおはしける、

〔玉勝間〕

〈四〉

p.1413 女一宮女二宮など申唱へ
女一ノ宮女二ノ宮など申す女字、音によみならへれども、榮花物語などに、男一ノ宮男二ノ宮などある男は音によむべくもあらず、必をとこ一の宮などヽよむべければ、女もいにしへは、をんな一の宮、をんな二の宮などぞよみつらむ、ことわりをもて思ふにも、字音にはよむまじきつヾきなり、

〔源氏物語〕

〈二十若菜〉

p.1413 もてわづらはせたまふ姫宮(○○)の御うしろみに、これをやなど、ひとしれずおぼしよりけり、

〔榮花物語〕

〈九石蔭〉

p.1414 ちご宮(○○○)の、いみじうあわてさせ給ふほどのうつくしきにも、〈◯下略〉

〔紫式部日記〕

p.1414 いと宮(○○○)いだき奉らんと殿のたまふを、いとねたきことにし給ひて、あヽとさいなむ、
◯按ズルニ、いと宮トハ最モ季ナル宮ヲ云フナルベシ、

〔榮花物語〕

〈八初花〉

p.1414 中宮の若宮(○○)〈◯後一條〉今宮(○○)〈◯後朱雀〉さしつヾきて、月日の如くにて光りいで給へるに、〈◯下略〉

〔大鏡〕

〈五太政大臣兼家〉

p.1414 いまひとつの御はらのおほいぎみは、冷泉院の女御にて、三條院、彈正宮(○○○)、〈◯爲尊親王〉帥宮(○○)〈◯敦道親王〉の御母にて、三條院位につかせおはしましヽかば、贈皇后と申き、

〔源氏物語〕

〈五若紫〉

p.1414 兵部卿の宮(○○○○○)は、いとあてになまめい給へれど、にほひやかになどもあらぬを、〈◯下略〉

〔紫式部日記〕

p.1414 中務の宮(○○○○)〈◯具平親王〉わたりの御事を御心に入れて、そなたの心よせある人とおぼしてかたらはせ給ふ、
◯按ズルニ、彈正宮ハ彈正尹ニ任ゼラレ、帥宮ハ太宰帥ニ任ゼラレ、兵部卿の宮、中務の宮、マタ各其官ニ任ゼラレタルナリ、

〔伊勢物語〕

〈下〉

p.1414 昔心つきて色ごのみなる男、長岡といふ所に家つくりてをりけり、そこのとなりなりける宮ばら(○○○)に、こともなき女どもの、〈◯下略〉
◯按ズルニ、宮ばらトハ、其母ノ皇族ナルヲ云フ、

〔源氏物語〕

〈六末摘花〉

p.1414 左衞門のめのとヽて、大貳のあまのさしつぎにおぼいたるがむすめ、大輔の命婦とて、うちにさぶらふ、わかむどほり(○○○○○○)の兵部の大輔なるがむすめなりけり、

〔落窪物語〕

〈一〉

p.1414 わかんとほりばらの君(○○○○○○○○○○)とて、母もなき御むすめおはす、
◯按ズルニ、わかんとほりハ、河海抄ニ王家無等倫ノ字音ニテ王孫ヲ云フト云ヒ、閑田耕筆ニ王家統〈天子の御系といふことなり〉ト云ヒ、和訓栞ニ和漢通リノ義也ト云ヒ、黒川春村ノ北史國語考ニ稚子御統(ワコミドホリ)ノ義ナルベシト云ヒ、古來諸説一様ナラズト雖、其皇族ヲ云ヒシコト明ナリ、わかんとほ

p.1415 りばらトハ、其母ノ皇族ナルヲ云ヘルナリ、

皇子初見

〔日本書紀〕

〈六垂仁〉

p.1415 二十三年冬十月壬申、天皇立二於大殿前一譽津別皇子侍之、
◯按ズルニ、是レ皇子ヲ以テ、名ノ下ニ連ラネタル始メナリ、

親王初見

〔日本書紀〕

〈二十九天武〉

p.1415 八年十二月戊申、由二嘉禾一、親王諸王諸臣、及百官人等給レ祿各有レ差、

〔續日本紀〕

〈一文武〉

p.1415 四年六月、甲午、勅二淨大參刑部親王一、〈◯中略〉撰二定律令一、賜レ祿各有レ差、
◯按ズルニ、同紀是ヨリ先キ、正月丁巳、授二新田部皇子淨廣貳一ト見エ、四月癸未、淨廣肆明日香皇女薨ト載タリ、然ルニ本文ノ如ク、六月ニ至リテ、刑部親王ト名ノ下ニ連稱シタリ、蓋シ親王ノ稱ハ、此間ニ於テ制定セラレシモノナランカ、

〔帝王編年記〕

〈十文武〉

p.1415 大寳元年今年以二皇子一號二親王一、

〔神皇正統記〕

〈文武〉

p.1415 皇子を親王といふこと、此御時にはじまる、

親王制度

〔令義解〕

〈四繼嗣〉

p.1415 凡皇兄弟皇子皆爲二親王一、〈女帝子亦同、〉《謂據下嫁二四世以上一所上レ生、何者案二下條一、爲二五世王不一レ得レ娶二親王一故也、》以外並爲二諸王一、自二親王一五世雖レ得二王名一不レ在二皇親之限一、

〔六典〕

〈二吏部〉

p.1415 皇兄弟皇子皆封レ國、謂二之親王一、
◯按ズルニ、女帝ノ子ヲ親王ト爲ストハ、内親王ノ諸王ノ妻トナリテ御子ヲ生ミ給ヒ、夫王歿シテ後ニ即位シ給ヒシ時ノ事ニテ、其御子ハ親王タル事ヲ得ルヲ云フナリ、日本書紀齊明紀ニ、天豐財重日足姫天皇、〈◯齊明〉初適二於橘豐日天皇〈◯用明〉之孫高向王一、而生(○)二漢皇子(○○○)一、後適二於息長足日廣額天皇一、〈◯舒明〉而生二二男一女一、〈◯中略〉明年正月后即二天皇位一トアリ、漢皇子ハ即チ此例ナリ、

〔令義解〕

〈二戸〉

p.1415 凡戸主皆以二家長一爲レ之、戸内有二課口一者爲二課戸一、無二課口一者爲二不課戸一、〈不課謂二皇親一、〉《◯下略》

〔令義解〕

〈四繼嗣〉

p.1415 凡王娶二親王一臣娶二五世王一者聽、唯五世王不レ得レ娶二親王一、
◯按ズルニ、五世王ニシテ親王ヲ娶レバ、其子ハ二世王トナルガ故ニ此制アルナラン、

〔延喜式〕

〈十二中務〉

p.1416 凡諸王以上、娶二臣家女一爲レ妻者、不レ得レ准二夫品位一、其内親王及女王、亦不レ得レ准二夫品位一、但五世王者得レ准二夫位一、

〔令義解〕

〈一職員〉

p.1416 正親司
正一人、掌下皇親名籍〈謂二世以下四世以上名籍、案戸令皇親爲二不課一、故知於二京職一亦可レ有二皇親戸籍一也、〉事上、佑一人、大令史一人、少令史一人、使部十人、直丁一人、

〔延喜式〕

〈十一宮内〉

p.1416 凡親王諸王名籍者、皆於二正親司一案記、

〔類聚符宣抄〕

〈六〉

p.1416 　皇親籍三卷
　勘出帳一卷
　　竝延暦八年作
右外記曹司無レ有二件書一、而今四部之書在二正親司一、望請取二彼一部一以爲二官料一、
　　弘仁十二年十一月四日
右大臣宣、依レ請、　　　　　　　　　　　　　　　參議左大辨直世王〈奉〉

〔延喜式〕

〈三十一宮内〉

p.1416 凡其有品内親王、若有二請事一者申レ省、省受申レ官、即朝參及勅召者申二縫殿寮一、又内侍知レ之、

世襲親王

〔官職難儀〕

p.1416 さていま天子の皇子にてもなくて、二代三代の御末にて、親王宣下侍るは、一向道理に叶はぬ事也、されどもいづれも天子御猶子の號にて宣下也、しからざるはなきなり、

〔類例略要集〕

p.1416 親王家　御家督御相續之節ニ、御所之御養子ニ被レ成、仍而御代々稱二親王一、若無二其儀一稱二何宮、又ハ何王一なり、

〔皇胤紹運録〕

p.1416 龜山院恒明親王〈一品式部卿、常磐井宮、〉

p.1417 全仁親王〈三品中務卿、太宰帥、號二常磐井一、〉滿仁親王〈無品出家〉直明王〈◯後攺直仁〉全明親王〈無品彈正尹、後崇光院御猶子、〉恒直親王〈太宰帥、後柏原院御猶子、〉

〔皇胤紹運録〕

p.1417 後二條院邦良親王〈早世、木寺宮、文保二、三、九元服立太子、正中二、三、廿薨、〉康仁親王〈木寺、中務卿、春宮、廢二春宮并親王號一、〉邦恒王〈早世〉世平王〈早世〉邦康親王〈二品中務卿〉靜覺法親王〈二品御室、後花園院御猶子、〉

〔康富記〕

p.1417 康正元年十月廿八日、是日木寺宮(○○○)有二御元服一、今年正月有二親王宣下一、爲二仙洞法皇〈◯後小松〉御養子(○○○)一、令レ蒙二親王宣旨一給、〈後二條院御末孫也◯中略〉是日即御叙品任官事被二宣下一、非二陣儀一消息宣下也、是又文安三年三月式部卿親王宣下御例也、令レ叙二三品一給、又令レ任二中務卿一給、

〔近代帝王系圖〕

p.1417 伏見宮
崇光院

p.1418 榮仁親王〈號二有栖川一〉應永五年五月廿六日出家〈四十八歳〉
貞成親王〈號二伏見一、後小松院御猶子、〉應永卅二年四月十六日親王宣下　文安四年十一月廿七日尊號太上天皇〈七十七歳〉　號二後崇光院一
貞常親王〈號二伏見殿一、貞成親王二男、後花園院御弟、〉文安元年二月廿日親王宣下〈廿歳〉
邦高親王〈元邦康、後土御門院御猶子、〉文明六年四月廿六日親王宣下
貞敦親王〈後柏原院御猶子〉永正元年二月廿五日親王宣下〈十六歳〉
邦輔親王〈後奈良院御猶子〉享祿四年四月廿四日親王宣下
貞康親王

p.1419 永祿六年十二月廿一日親王宣下
邦房親王〈貞康親王男、實弟、元邦良、〉天正三年二月廿一日親王宣下
貞清親王〈後陽成院御猶子〉慶長十九年正月十九日叙二二品一
邦尚親王〈依二所勞一未二元服一〉承應二年十一月廿九日薨〈四十一歳〉
貞致親王〈邦道親王跡相續、後水尾院御猶子、〉萬治三年十月十七日親王宣下
邦道親王〈邦尚親王跡相續〉慶安二年十一月廿六日親王宣下
邦永親王〈靈元院御猶子〉天和三年三月十二日爲二御猶子一　元祿八年十二月十四日親王宣下
貞建親王〈東山院御猶子〉寳永六年五月廿一日親王宣下

p.1420 邦忠親王〈櫻町院御猶子〉寛保二年三月十九日爲二御猶子一　同三年十月廿五日親王宣下
貞行親王〈桃園院皇子〉寳暦十年六月十八日御相續　同十三年十月八日親王宣下
邦頼親王〈櫻町院御猶子、初勸修寺寛寳法親王、〉延享二年十二月一日御猶子、勸修寺相續、　同三年五月八日親王宣下　安永三年十二月廿五日還俗、伏見家相續、　同月廿六日親王宣下
貞敬親王〈後桃園院御猶子〉寛政九年閏七月十日御猶子　八月五日親王宣下
邦家親王〈光格天皇御猶子〉文化十四年正月十一日爲二御猶子一　二月十四日親王宣下
貞教親王〈仁孝天皇御猶子〉弘化四年五月三日爲二御猶子一〈十二歳〉　嘉永元年三月廿三日親王宣下〈◯節略〉
◯按ズルニ、當代ノ天皇ニ、未ダ皇后女御等ノ入内ナキ時、又ハ入内アリトモ未ダ皇子ノ御誕生ナキ間ハ、猶子養子ヲセサセ給ハザル例ニテ、伏見宮貞敬親王ハ、當時光格天皇ノ中宮ニ未ダ皇子オハセザリシ故ニ、先帝即チ後桃園天皇ノ猶子トナリ、貞教親王ハ、當時孝明天皇ノ女

p.1421 御未ダ入内ナカリシカバ、先帝即チ仁孝天皇ノ猶子トナラセ給ヒシナリ、

〔後深心關白記〕

p.1421 應安元年正月廿一日、今夜上皇〈◯崇光〉一宮立親王宣下云云、及二天明一之程、三條大納言來相謁語云、今夜宜下上卿云々、御名字榮仁、公卿亞相、權中納言、〈實綱〉平宰相等參入、依二別勅一各立二親族拜一云云、

〔貞常親王記〕

p.1421 康正二年十月日、從レ内御使源黄門來、故院被レ用異紋以下之事、其儘永世當家可レ用、且永世伏見殿御所(○○○○○○○)ト可レ稱叡慮之旨傳申、

〔近代帝王系圖〕

p.1421 京極宮
正親町院陽光院智仁親王〈號二八條一、關白秀吉公猶子、童名古佐麻呂、〉天正十九年正月十六日親王宣下〈十二歳〉
智忠親王〈元忠仁、號二八條一、〉寛永三年十二月四日親王宣下
穩仁親王〈後水尾院皇子〉寛永廿年四月廿九日生、號二幸宮一、爲二智忠親王養子一、明暦元年十月十四日親王宣下、

p.1422 長仁親王〈後西院皇子〉寛文七年十一月穩仁親王跡相續〈十二歳〉　同九年二月廿五日親王宣下
尚仁親王〈後西院皇子〉延寳三年八月十二日長仁親王跡相續　貞享元年十一月廿七日親王宣下〈十四歳〉
作宮〈始正宮、號二常磐井一、靈元院皇子〉元祿二年十月十五日尚仁親王跡相續、稱號改二常磐井一、
文仁親王〈號二京極一、靈元院皇子、〉貞享五年八月六日有栖川幸仁親王爲二養子一、後被レ召二返仙洞一、　元祿九年九月四日賜二常磐井宮遺跡一相續、號二京極宮一、　同十年五月十一日親王宣下
家仁親王〈東山院御猶子〉寳永五年十二月爲二御猶子一　同六年四月七日親王宣下
公仁親王〈櫻町院御猶子〉寛保二年三月十六日爲二御猶子一　延享二年二月一日親王宣下
盛仁親王〈光格天皇皇子　號レ桂〉文化七年九月十八日御相續、稱號依二思召一自今被レ稱二桂宮一、　十二月十八日御移徙　同八

p.1423 年三月十六日親王宣下
節仁親王〈仁孝天皇皇子〉天保六年七月廿三日御相續御治定　同七年三月四日依二御違例一移二于桂家一　同月五日親王宣下
淑子内親王〈仁孝天皇皇女◯節略〉
◯按ズルニ、淑子内親王ハ、天保十三年九月十五日親王宣下、文久二年十二月廿三日内親王ニテ相續セラレタリ、

〔近代帝王系圖〕

p.1423 有栖川宮
後陽成院好仁親王〈號二高松一〉慶長十七年十二月廿六日親王宣下、二品彈正尹、
良仁親王〈號二花町一、又號二桃園一、後水尾院皇子、〉正保四年九月十五日爲二親王一　十一月廿七日相續改二高松一稱二花町一、即移二彼亭一、　承應三年十一月廿八日踐祚、號二後西院一、
幸仁親王〈號二有栖川一〉

p.1424 寛文七年七月六日相續　同九年八月廿九日親王宣下　同十二年六月八日改二花町一稱二有栖川一、
正仁親王〈東山院御猶子〉寶永四年爲二御猶子一　同五年九月廿九日親王宣下
職仁親王〈靈元院皇子〉享保元年十月十一日正仁親王跡相續　同六年十二月三日移二于新第一　同十一年十一月廿八日親王宣下
音仁親王〈櫻町院御猶子〉寛保二年三月十六日爲二御猶子一　同三年九月四日親王宣下
織仁親王〈桃園院御猶子〉寶暦十二年十二月七日爲二御猶子一　同十三年十月十六日親王宣下
韶仁親王〈光格天皇御猶子〉文化四年十二月十三日爲二御猶子一〈廿四歳〉　同五年二月廿一日名字勘進、　三月四日親王宣下
幟仁親王〈光格天皇御猶子〉

p.1425 文政五年十一月十五日爲二御猶子一〈十一歳〉　同六年九月廿三日親王宣下〈十二歳〉
熾仁親王〈仁孝天皇御猶子〉嘉永元年十月十八日爲二御猶子一〈十四歳〉　同二年二月十六日親王宣下〈十五歳◯節略〉

〔近代帝王系圖〕

p.1425 閑院宮
東山院直仁親王寳永七年八月十二日爲二親王家一　享保三年正月十二日稱二閑院一　同月二十三日親王宣下
典仁親王〈櫻町院御猶子〉寛保三年九月四日親王宣下
美仁親王〈桃園院御猶子〉寶暦十三年十月十六日親王宣下孝仁親王〈光格天皇御猶子〉文化五年三月四日親王宣下

p.1426 愛仁親王〈光格天皇御猶子〉
　　　文政十一年八月廿三日親王宣下〈◯節略〉

〔議奏日次案〕

p.1426 寶永七年八月十一日甲辰、東山院若宮、〈秀宮〉親王家可レ有二御取立一之由被二仰出一之、　享保三年正月十二日辛酉、以二秀宮一可レ被レ稱二閑院一之由、〈内々法皇（靈元）思召被二尋進一云云〉令二櫛司前大納言一被レ仰二於宮方一、　廿三日壬申、辰刻親王〈直仁〉宣下陣儀也、上卿藤大納言、〈永福〉辨兼榮、勅別當源大納言、〈惟通〉奉行職事重孝朝臣、爲二御祝儀一御大刀御馬代〈黄金十兩〉鯛〈二尾〉昆布〈一箱〉御樽〈一荷〉被レ遣レ之、御使園中納言、　二月十一日庚寅、直仁親王今日元服、被レ任二彈正尹一參入、〈自二長橋車寄方一被レ參〉於二常御所一被レ拜二龍顏一、申次右大將〈公全〉賜二二獻一、〈女中之沙汰〉爲二御祝儀一御大刀一腰、御馬〈代黄金二十兩〉一匹、紗綾十卷、〈紅白〉昆布一箱、鯣一箱、生鯛一折、御樽一荷等被レ遣之、御使兼親、

〔光臺一覽〕

〈二〉

p.1426 親王家と申は、伏見、京極、有栖川、閑院の宮也、已前は三軒にて有しが、中御門院の御父帝東山院、宮方多くいましける中に、新大典侍の御腹とて、櫛笥前故内大臣隆賀公之御女之腹に御兩宮、中御門院は御せうと、今の閑院直仁親王は秀宮とて御弟也、外に女院の御本腹に、一ノ宮貴(タカ)の宮様とて、姫宮一方居坐かりける、寶永六己丑年極月十七日東山院崩御の砌も、貴の宮様と秀の宮様とは、御部屋住にて御座被レ成けるを從二關東一被レ及二聞食一、御諸司代松平紀伊守信庸〈江〉御書到來せり、其寫し傳奏衆へ參り拜見覺エ居申候、御文言には、
一秀宮之御事、東山院御病中、被レ遊二御苦勞一候段被レ爲二聞召一候に付、今般親王家一家新規に被レ成二御取立一、家領千石被レ遣レ之候、是者格別之思召依レ有レ之、後々之例には難二相成一思召候御事
右之趣、兩傳奏衆迄其方差越、急度可二申達一旨御諚之御事候、恐々謹言、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御老中連名印如レ前
　　　月日　　　　　　　　　　　　　　　土屋相模守〈名乘書判〉
　　　松平紀伊守殿

p.1427 如レ斯趣にて、秀宮様には下立賣御門之内下ル處ヘ、東山院之御舊殿を被レ用、從二江戸一造作被二成進一、千石に而親王家一軒、新規之御取立被レ進、今之閑院様是也、是も中御門院御幼年之砌は、隨分御懦弱に見へ給ひける故、其事關東へも洩聞へ、若もの事缺にと思召入有レ之而、俗親王にて被二差置一也、夫故格別の思召入依レ有レ之被二仰出一けると、去御秘談承りし所也、然共末代俗親王四軒の列に立給ふ事、結搆成御事也、關東の御書出しなかりせば、何地かの門跡方の御附弟となり給ひ、沙門の物うき御境界たるべきに、文昭院様〈◯徳川家宣〉天下をしろし召れし時、禁庭御裁判之始なりし故、國王へ對し、仙洞様へ之御手前、何角にかく被二仰出一ける物ならんと、無沙法に乍レ恐奉二感歎一御事ぞかし、〈◯節略〉

〔折たく柴の記〕

〈中〉

p.1427 廿七日〈◯寶永六年正月〉に參し時に、また封事を奉る、〈◯中略〉此封事御覽の後仰下されし事ふたヽび三たびのヽち、申す所そのことわりあり、〈◯中略〉やがて今の法皇〈◯東山〉の皇子秀の宮とか申す御事、親王宣下あるべき由を申させ給ひたりけり、
◯按ズルニ、伏見、有栖川、桂、閑院ノ四家ヲ世襲ノ親王家ト爲シ、之ヲ四親王家ト稱ス、

〔實麗卿記〕

p.1427 文久三年二月一日、從二正親町一回文來、續レ左、〈廿九日附〉　　　　　　　　青蓮院宮
　方今國事扶助精勤ニ付、非常以二格別思召一、還俗御内意被二仰出一候旨、加勢長谷三位被二申渡一候、〈◯下略〉

〔議奏言渡〕

p.1427 文久三年二月十七日、青蓮院宮、自今被レ稱二中川宮一候旨、阿野殿御奉被二仰出一候旨申達、　八月廿七日、頭左中辨、彈正尹宮、任官消息宣下相濟旨言上、〈御名字朝彦之旨被レ屆〉以レ兒申上、彈正尹宮、今日元服任官宣下目出思召候、御大刀一腰、御馬一匹、〈代黄金十兩〉綿十把、二種一荷等賜之旨、目録以二越後一被レ出、愛宕侍從申渡、尹宮參上、被レ伺二天氣一、今日元服任官宣下、名字宸翰拜領、以二御使一御品々拜領御禮被二申上一、賜二祝酒一、後時於二御前一御掛緒拜領御禮等、各以二表使一申入候、　十二月九日、尹宮御參、今日隨身兵仗勅授帶劒宣下御禮被二申上一、以二表使一申入、先レ是消息宣下相濟候旨頭辨言上、以二藤丸一申上、　元治元年十

p.1428 月十日中川宮自今被レ改二稱賀陽宮一候旨被二仰出一、三條殿御奉申達、〈◯節略〉
◯按ズルニ、賀陽宮ハ、明治維新後ニ久邇宮ト改稱アリ、

〔議奏言渡〕

p.1428 元治元年正月九日、濟範勅免之旨、殿下〈◯鷹司輔熈〉傳宣、御本役御承、
〈元勸修寺〉濟範、多年謹愼、且今度一橋中納言已下、段々建言之次第モ有レ之、誠難レ被二默止一之間、以二格別之思召一御咎被二勅免一、伏見家〈江〉復系還俗被二仰出一候事、
勅免御世話卿代、廣橋殿御申渡、復系還俗等武傳被二申渡一候、明十日右御請、廣橋殿武傳申上、以二女房一申上候、　十七日、元勸修寺濟範、自今被レ稱二山階宮一候旨關白殿傳宣、六條殿御奉、　廿七日、山階宮親王消息宣下相濟旨、頭左中辨言上、以二藤丸一申上候、山階宮當今御猶子、御願之通被二仰出一候旨、以二大御乳人一御申出、　廿八日、山階宮御參被レ伺二天氣一、今日元服任官常陸太守宣下、且昨日御猶子親王宣下、御冠拜領、勅使賜物等御禮被二申上一、賜二祝酒一、後時於二常御殿一御對面、賜二二獻一、〈女房沙汰〉訖令レ退給、〈◯節略〉

〔禁裏御所領〕

p.1428 元和三年禁裏御所領并公家衆御知行附〈◯中略〉
一千石　有栖川中務卿職仁親王　　　一千石　閑院彈正尹直仁親王
一三千六石六斗八升　八條宮式部卿親王　　　一千壹石七斗三升三合伏見院刑部卿親王

〔議奏言渡〕

p.1428 元治元年五月六日、〈◯中略〉武傳被レ附、
中川宮御家領　井伊掃部頭領分上知、近江國神崎郡位田村、市田村、河曲村、梁瀬村之内、右四箇村ニ而千五百石被二相渡一候、尤地所割方、并郷村引渡等之儀者、追而可二相達一旨年寄共申聞候、此段右家〈江〉御達被レ成候様にと存候事、
　　五月
山階宮御方〈江〉　御家料千石被レ進レ之候
右之通被二申出一候間、御三卿〈江〉御達可レ申旨年寄共申聞候、右宮〈江〉被レ成二御達一候様にと存候以上、

p.1429 　　五月六日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松平越中守
　　　　武傳三卿宛
以上以二越後一申入、披露濟被二返書一候、

親王宣下式

〔新儀式〕

〈五臨時下〉

p.1429 皇子給二親王號一事
皇子可レ給二親王號一、大臣奉レ勅宣二下所司一、此日外戚氏公卿、於二仁壽殿東庭一、令レ奏二慶賀之由一、舞踏退出、

〔江家次第〕

〈十七〉

p.1429 當代親王宣旨事
藏人頭奉レ仰、仰二上臈博士一令レ勘二申御名字一、兼日示二氣色一、當日仰レ之、
博士進二勘文一〈江家不レ注二年月日一〉
　三以下〈並注二本文并音訓一、有二裹紙懸紙一、用二檀紙一、〉
勘申御名字事
　某書某反—也
　同上某反—也
右勘申如レ件
　年月日官姓名
頭以二文刺一奏レ之
於レ定被レ用二嘉名一
藏人頭書二下　宣旨一〈無二裹紙懸紙一〉
　少レ員時或有二口宣例一、然而猶以レ書爲レ吉歟、長暦小野大臣偁、無二先例一不レ下、範國宣旨書二於大辨一、
治暦四年、院一人被レ下二親王宣旨一〈内親王別紙〉猶書レ之、男女親王可レ爲二別紙一由内府〈◯源師房〉被レ申、承暦實政爲レ頭、以二博士勘文一下レ之、不レ可レ然云云、往年注二御年一、近代不レ然、可レ爲二今上親王一、〈近代不レ注二今上字一〉

p.1430 年月日書部
寛弘康和、以二口宣一仰二下之於頭左中辨一、大臣以下著二仗座一、〈道方依二大辨不參一也〉藏人頭下二宣旨於大臣一、〈多用二大臣一〉大臣用二大辨一下レ之、〈可レ結、泰憲不レ結、不レ可レ然、治暦、〉大辨出二腋床子一下レ史、〈用二大夫史一〉後日成二官符一、〈右状必載二今上親王字一〉次公卿歴二階下一參二於弓場殿一、依二執柄告一可レ參歟、〈以二藏人一被レ召〉承暦内大臣〈◯藤原信長〉不レ列而退出、頗不レ叶二時務一、
列立〈西面北上、雖二源氏一近代必列、〉康和大臣以下不二列立一、〈但外家公卿二人、殿上人二人列立、尤可レ恠之、〉
次執柄加二列上一、〈自二殿上一出〉
以二藏人頭一被レ奏〈其詞、某人人候不云云、〉
人數多時、右〈乃〉大〈イ〉萬不千君等候〈不止〉可レ申歟、〈皆申爲レ良、〉返來〈持レ笏〉頗向二御所方一顧曰、聞食〈ツ〉、不レ受レ拜之前退、〈但下レ自二殿上一、於二宇津保柱邊一可レ取レ笏歟、〉公卿拜舞了、陣此間被レ仰二勅別當〈納言〉於大臣一、大臣又如レ始仰下之、或於二弓場殿一被レ仰二下之一、
別當一人留二弓場殿一拜
次公卿相引參二入本宮一
勅別當仰二下家司職事一〈付二藏人等一〉
家司〈四位三人以上〉
　寛弘廿人、承暦康和三人、
職事、〈四位五位三人以上〉
　承暦康和三人
侍者二人、藏人二人、
　予依レ擇二申故敦文親王名一辭退畢
今宮〈正家朝臣擇申〉　未レ得二解由一

p.1431 　宗仁　尊明　後又慶仁
今上〈實綱朝臣擇申〉
　善仁　守成
院〈明衡朝臣撰申、後三條院東宮、〉
　貞仁　有成　博時
　貞尊不レ宜由公卿等申之〈能長資綱等〉
　陽成院　華山院　三條院云云〈並貞字〉
　故院仰曰、還可レ爲レ例、明衡曰、帝王三人被レ用二貞字一、可レ謂レ無二耻辱一、
後三條院　後冷泉院〈義忠朝臣擇申〉
　親仁　尊仁　能成
後朱雀院　後一條院〈匡房朝臣擇申〉
　敦成　敦良　敦人
三條院
一一條院〈齊光卿擇申〉
一華山院〈同上、或説輔正云々、〉
一圓融院〈維時擇申〉
一冷泉院〈在衡卿擇申〉
　　維時擇二申故慶頼親王名一、仍在衡卿擇申由見二九條記一、
一村上
一朱雀院〈等可レ尋之〉

p.1432 　寛平
　權大納言藤原朝臣公實
右中辨源朝臣重資傳宣、右大臣宣、奉レ勅件人宜レ爲二今上親王別當一也、
　　康和五年二月九日　　　　　　　　　　　　　　　　左大史紀盛言〈奉〉
奉字〈可レ忌由見二延木記一、臣下無レ擇、〉
臨字〈可レ忌由見二天暦記一、渉二哀臨義一、〉
太政官符、中務、式部、民部、大藏、宮内省、
　　無品崇尊親王、歳二、
右今上親王所レ定如レ件、省宜承知、依レ例行レ之、　符到奉行、
　已上召仰、
參議左大辨從四位上兼行讃岐權守紀朝臣
　　延喜四年二月十日　　　　　　　　　　　左大史正六位上御船宿禰有方
　　去年十一月四日丙寅誕生〈于レ今七十箇日〉
太政官符中務省〈式部、民部、大藏、宮内等同、〉
　　無品宗仁親王
右今上親王所レ定如レ件省宜承知、依レ例行レ之、符到奉行、
修理左宮城使正四位上行左中辨兼越前權守源朝臣重資
　　康和五年六月九日　　　　　　　　　　　正六位上行左大史紀朝臣盛言

〔續日本紀〕

〈二十二淳仁〉

p.1432 天平寶字三年六月庚戌、帝御二内安殿一、喚二諸司主典已上一詔曰、〈◯中略〉兄弟姉妹悉稱(○○○○○○)二親王(○○)一〈止〉宣、天皇御命衆聞食宣、〈◯中略〉從三位船王、池田王並授二三品一、〈◯中略〉從四位下室王、飛鳥田王並四品、

p.1433 ◯按ズルニ、是即チ親王宣下ノ始ナルベシ、

〔續日本紀〕

〈三十一光仁〉

p.1433 寶龜元年十月己丑朔、即二天皇位於大極殿一、　十一月甲子、詔曰、〈◯中略〉兄弟姉妹諸王子等(○○○○○○○○)、悉作(○○)二親王(○○)一〈氐〉冠位上給治給、〈◯中略〉天皇御命衆聞食宣、授二從四位下諱〈◯桓武〉四品一、

〔勘仲記〕

p.1433 永仁元年十二月十日辛卯、入レ夜著二束帶一〈用二毛車一〉參内、立親王定也、職事定房奉行、〈◯中略〉親王定上卿權大納言遲參之間、所レ被二相待一也、小時參入之間、諸卿著二仗座一、權大納言、中御門中納言、衣笠中納言、下官、堀川宰相等也、小時移二著端座一令レ敷レ軾、次職事定房下二御名字一〈憙子、（龜山皇女）高檀紙一枚書之、〉爲二親王一〈ヨ、〉職事退、次上卿召レ辨、右少仲親參進、被レ下二御名字一、辨結申退、次職事仰二勅別當一、以二權中納言藤原朝臣一爲二憙子内親王別當一、召レ辨仰レ之、次上卿起座、進二弓場一有二親族拜一、申次定房、舞踏如レ例、一揖之後退出、中御門中納言一人立留、奏二勅別當慶申一、次同前中御門黄門一人可レ參二本所一、〈禪林寺殿云々〉

〔輔世卿記〕

p.1433 天保六年九月十八日、今日巳刻、儲君〈◯孝明〉立親王宣下也、奉行頭右中辨正房朝臣、〈◯中略〉
　立親王宣下
　　公卿
右大臣〈◯九條尚忠〉　權大納言〈◯醍醐輝弘〉　新源大納言〈◯廣幡基豐〉　源中納言〈◯久我建通〉　右衞門督〈◯藤谷爲脩〉　宮内卿〈◯梅小路定肖〉　左兵衞督〈◯飛鳥井雅久〉
　　辨
光暉朝臣〈◯日野西右中辨〉
　　勅別當
新源大納言
　　家司
能通朝臣〈◯六角右中將〉　公前朝臣〈◯姉小路侍從〉　延房朝臣〈◯池尻右兵衞權佐〉　言成朝臣〈◯山科内藏頭〉　定徳〈◯梅小路讃岐權介〉

p.1434 　　職事
實豐〈◯風早越前權介〉　國典〈◯芝山宮内大輔〉
　　藏人
大江俊迪〈◯北小路差次藏人〉　大江俊常〈◯北小路藏人〉
　　侍者
小槻輔世〈◯壬生新藏人〉
　　御監
平清徳〈◯粟津左衞門少尉、以下地下官人略之、〉
　　立親王宣下次第
先諸卿著二仗座一
次上卿移二著端座一
次上卿令二官人敷一レ軾
次職事著レ軾下二御名字一
次上卿披見結申、職事仰下可レ爲二今上親王一之由上、
次上卿令二官人召一レ辨賜二御名字一、〈大辨候者召二大辨一給之〉仰下可レ爲二親王一可レ作二官符一之由上、辨退去、仰下史令レ成二官符一宣旨上、
次職事著レ軾、仰下以二某人一可レ爲二今上親王勅別當一之由上、
次上卿召レ辨仰二其人今上親王勅別當事一、〈某人在レ座者上卿示レ之、而後更召レ辨仰レ之、〉
次上卿令二官人撤一レ軾、
次諸卿起座
次親族拜、〈近代不レ論二親疏一各列立〉上卿以下進二弓塲一拜舞、〈以二頭藏人一爲二申次一〉終退出、勅別當殘留、更令三職事奏二別當慶一、拜舞

p.1435 退出、
次上卿引二率諸卿一參二本宮一、著二對代座一、〈奧端相分〉勅別當留二立中門外一、申レ慶再拜、〈以下可レ補二家司若職事一之人上爲二申次一〉訖加二著對代座一、〈端〉
次勅別當依レ召參二進寢殿簾下一、給二家司職事藏人侍者御監等夾名一〈書二折紙二通一、女房從二簾下一出レ之、〉復座、
次別當召二家司上臈一人一、賜二家司御監等折紙一、
次召二職事上臈一人一、賜二職事藏人侍者等折紙一、
次家司以下列二立中門外一申二慶賀一、申次離レ列申二事由一、加二立列一各二拜、
次上卿以下退出、諸卿退出、勅別當留レ座、
次職事覽二家司以下之令旨一、〈入レ筥〉置レ座職事退入、
次侍者持二參硯一、置レ座退入、
次勅別當加レ署
次侍者撤レ硯
次勅別當召二家司一、賜二家司御監等令旨一、取レ之退入、
次勅別當召二職事一、賜二職事藏人侍者等令旨一、〈乍レ入レ筥賜レ之〉取レ之退入、
次勅別當退出、

〔新儀式〕

〈五臨時下〉

p.1435 親王初謁見事
童親王初謁見、一同二正月朝覲之儀一、但不レ賜二酒肴一、或乳母給レ祿、

待遇

〔日本書紀〕

〈三十持統〉

p.1435 四年七月甲申、詔曰、凡朝堂座上、見二親王一者如レ常、大臣與レ王起二立堂前一、二王以上下レ座而跪、

〔令義解〕

〈六儀制〉

p.1435 凡在二廳座上一、見二親王及太政大臣一下レ座、左右大臣當司長官即動レ座、〈謂左右大臣見二親王及太政大臣一即動レ座、其太〉

p.1436 〈政大臣見二親王一、及親王見二太政大臣一並不レ動也、〉以外不レ動、

〔日本紀略〕

〈嵯峨〉

p.1436 弘仁十年六月庚戌、制諸司於二朝堂一見二親王太政大臣一、以二磬折一代二跪伏一、以二起立一代二動座一者、

〔延喜式〕

〈十八式部〉

p.1436 凡在二朝堂座一、見二親王及太政大臣一者、皆磬折而立、若見二左右大臣一、及左右大臣見二親王及太政大臣一者並起座、即就レ座及出レ門訖、乃以レ次就レ座、

〔延喜式〕

〈十八式部〉

p.1436 凡親王任二省卿臺尹一就二曹司廳一者、五位已上並立二床前一、六位已下磬折而立、就レ座訖乃以レ次就レ座、其雜公文令二録疏取一レ署、

〔延喜式〕

〈四十一彈正〉

p.1436 凡親王、太政大臣、左右大臣入二朝堂一者、諸司皆起座、〈親王、太政大臣者、磬折而立、〉座定乃以レ次復レ座、退出亦同、

〔延喜式〕

〈四十一彈正〉

p.1436 凡親王大臣、及一位二位、於二五位以上一答拜、於二六位以下一不レ須、

〔禁中方御條目十七箇條〕

p.1436 一、三公之下親王、其故者右大臣不比等、著二舍人親王之上一、殊舍人親王、仲野親王、贈太政大臣、穗積親王准二右大臣一、是皆一品親王以後、被レ贈二大臣一時者、先三公之下可レ爲二勿論一歟、親王之次前官之大臣、三公在レ官之内者、雖レ爲二親王之上一、辭表之後者、可レ爲二次座一、
◯按ズルニ、公卿補任ニ刑部親王、穗積親王、知太政官事タル間ハ、三公ノ下ニ列ス、サレドモ續日本紀ヲ見ルニ、親王ハ皆三公ノ上ニ列セリ、不比等ノ舍人親王ノ上ニ著クト云ヘルハ誤ナリ、補任ニ、養老四年右大臣藤原不比等、〈八月三日薨〉知太政官事舍人親王〈八月四日任〉ト見エタレバ、不比等ノ薨後ニ任ゼラレシモノナリ、二品仲野親王ハ宇多天皇ノ御外祖ナリ、一品太政大臣ヲ贈ラレシナリ、二品穗積親王ノ右大臣ニ准ゼラレシハ、季祿ヲ右大臣ニ准ジテ賜ヒシナリ、要スルニ、此條目ハ深ク典故ヲ考究セザルナリ、

〔令義解〕

〈六儀制〉

p.1436 凡在レ路相遇者、三位以下遇二親王一皆下レ馬、〈謂稱二親王一者、有品无品並同、若无品親王遇二有品親王一者不レ可二下馬一、何者上條致敬禮、止爲二諸王以下一、不レ及二親王一、此條亦有品无品无レ別故也、〉以外准二拜禮一、其不レ下者、皆斂レ馬側立、〈謂二位以上遇二親王一、三位遇二一位一之類、駐レ馬按二立於道側一也、◯下略〉

〔延喜式〕

〈四十一彈正〉

p.1437 凡三位已下於レ路遇二親王一者、下レ馬而立、但大臣歛レ馬側立、

〔政事要略〕

〈八十四〉

p.1437 彈例曰、凡相二遇親王一者、三位下レ馬而立、四位已下跪座、但大臣斂レ馬側立、又條曰、三位於二宮中一遇二親王一者跪座、但大臣不レ得二跪座一者、

〔西宮記〕

〈臨時八〉

p.1437 致敬禮
車禮〈雖レ不レ載レ式、（彈正式）以二世俗之所一レ爲記耳、〉親王大臣共相遇者、各留レ車前駈下、納言逢二親王大臣一抑レ車、大臣前駈下、

〔拾芥抄〕

〈中末儀式〉

p.1437 車禮〈雖レ不レ載レ式、（彈正式）以二世俗之説一注レ之而已、〉
親王大臣共相逢者、留レ車前駈下、納言逢二親王一者抑レ車、大臣前駈下、參議逢二親王大臣一者、參議放レ牛立レ榻、〈式不レ立〉納言以下逢二親王一者放レ牛可レ立レ榻、

〔弘安禮節〕

p.1437 路頭禮事
一遇二親王一禮　大臣共扣レ車、僮僕互下馬、大臣前駈以下列二居車傍一、親王前駈歩行過レ之、親王車過畢、大臣僮僕騎馬進行、若親王車自レ後來者、大臣車直對二親王車一立レ之、自餘同輩准レ之、

〔准后親王座次事〕

p.1437 飛鳥井雅康正筆ノ寫
　立レ車事
二品親王御車ハ、殿下ヨリ上ニ可レ立レ之、無品親王ノナラバ、殿下ヨリ下ニ立レ之、太政大臣ヨリハ上也、但於二陽明門一者、雖二二品親王御車一、殿下ノ御車ヨリ下ニ立、

〔途中行逢會釋〕

p.1437 文化十四丑年五月十八日大目付井上美濃守様〈江〉差出候處御附札濟
一御攝家方、親王方、御門跡方、御行逢之節ハ、乘輿ノ儘片寄扣罷在、見計致二通行一候哉、
但御旅中ニて、右之御方之御泊驛ハ、可二相成一丈ケ止宿不レ致心得ニ罷在候、然處跡より右之御方之御通行ニて、自然川留等有レ之、先之驛迄御越不レ被レ成、萬一同様御泊ニ相成候節ハ、御先方御差支不二相成一候之様本陣明ケ、同驛ニて脇本陣、或ハ寺院等〈江〉止宿仕罷在候儀ハ不レ苦候哉、

p.1438 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　龜井隱岐守家來
　　　五月十八日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　福原權左衞門
　御附札
　　書面之通御心得不レ苦候事
一右御同人様御用人西金大夫方を以演説
攝家親王方之御同宿之儀、書面之通御心得不レ苦候得共、於二彼方一同驛止宿ハ殊之外六ケ敷被レ申候由、美濃守及レ承候儀も有レ之候、心得之儀ハ、書面之通ニて宜候得共、右之義ハ御勘辨可レ有レ之義ト存候、此段御心得迄申候様被二申聞一候旨被レ申候、〈◯節略〉

〔途中行逢會釋〕

p.1438 享和元酉年二月四日、遠藤但馬守様より高家戸田土佐守様〈江〉御問合
堂上之衆、於二途中一行逢候節會釋之儀、別に禮節も無レ之事に候間、旅中にても當地之通相心得、攝家親王門跡方は、乘輿之儘片寄扣居見計通行可レ致旨、伊豆守殿御書取を以被二仰渡一候、依レ之爲二心得一書付差出、同年二月十六日伊豆守殿〈江〉伺置候處、同廿八日御差圖、馬上勤之嫡子、途中にて堂上衆行逢候節之心得も御書取を以、左之通御差圖有レ之、
　乘輿にても馬上にても、同様之儀と差別無レ之事、〈◯節略〉

〔五街道取締〕

p.1438 御朱印其外行逢候節之心得又は及二不敬一候もの之事
攝家親王門跡方行逢候節、乘輿之儘片寄罷在候は主人之義にて、陪臣之分は、乘輿御屆相濟行列之内に候共、駕籠之儘罷在候儀には有レ之間敷、下乘いたし可レ申事に候、尤下に時宜いたし候分には無レ之候得共、立居候筋には有レ之間敷候、〈◯節略〉

〔帝王編年記〕

〈十文武〉

p.1438 大寶元年、今年以二皇子一號二親王一、又被レ止三親王乘レ馬出二入宮門一、

〔新儀式〕

〈五臨時下〉

p.1438 親王公卿有二別勅一、聽下乘二輦車一出二入宮中一并帶上レ劒事

p.1439 親王、太政大臣、大臣若有二國之元老、朝之重臣一、別聽下乘二輦車一出中入宮中上、

〔文徳實録〕

〈五〉

p.1439 仁壽三年六月癸亥、一品太宰帥葛原親王薨、〈◯中略〉勅賜二輦車入一レ宮、禮儀異二諸親王一、

〔文徳實録〕

〈九〉

p.1439 天安元年四月丙戌、有レ勅許二無品惟喬親王帶劔一、于時皇子年十四、未レ加二元服一、

〔令義解〕

〈一後宮職員〉

p.1439 凡親王及子者、皆給二乳母一、〈謂若内親王嫁二諸王一所レ生子者、不レ在二給限一也、〉親王三人、子二人、所レ養子年十三以上、雖二乳母身死一、不レ得二更立替一、其考叙者、竝准二官人一、

〔令義解〕

〈四選叙〉

p.1439 凡蔭皇親者、親王子從四位下、諸王子從五位下、其五世王者、從五位下、子降二一階一、庶子又降二一階一、唯別勅處分不レ拘二此令一、

〔律疏〕

〈名例〉

p.1439 六議
一曰議親謂皇族及五等以上親〈◯下略〉
◯按ズルニ、皇親罪アレバ、先ズ其罪ヲ議センコトヲ奏請シ、裁可ヲ待チテ後决罰スルナリ、

〔令義解〕

〈九喪葬〉

p.1439 凡百官在レ職薨卒、當司分番會喪、親王及太政大臣散一位、治部大輔監二護喪事一、〈◯中略〉内親王女王、及内命婦亦准レ此、

〔令義解〕

〈九喪葬〉

p.1439 凡職事官薨卒賻物、〈◯中略〉親王及左右大臣准二一位一、〈◯中略〉其無位皇親准二從五位一三分給レ二、

〔令義解〕

〈九喪葬〉

p.1439 凡皇親及五位以上喪者、並臨時重給二送葬夫一、

〔令義解〕

〈九喪葬〉

p.1439 凡親王及三位以上、暑月薨者〈謂六月七月〉給レ氷、

〔延喜式〕

〈十一太政官〉

p.1439 凡親王及大臣薨、即任二裝束司及山作司一、〈或任二主行所及山作所一、輕重隨二品高下一、事見二薨葬記一、〉送葬之日、勅使二人、〈一人持二詔書一、一人持二位記一、若無二贈位一者、一人持二賻物一、數其使人位階隨二亡者高下一、〉就二弟子一弔贈、

〔百一録〕

p.1439 延寶三年六月廿五日、八條中務卿宮薨去、〈行年廿一〉新院〈◯後西院〉第一皇子、禁裏御柱立依二三日廢朝一延引、兼而今日可レ被レ行之處也、　七月十九日、吉良上野介上著、中務卿宮〈八條殿〉依二薨逝一爲二御悔一、

〔百一録〕

p.1439 元祿七年五月十八日、伏見殿一品式部卿貞致親王薨、遏二市中歌舞一三ケ日、

〔令義解〕

〈十獄〉

p.1440 凡决二大辟罪一皆於レ市、五位以上及皇親、犯非二惡逆以上一、聽レ自二盡於家一、〈謂今二罪人在レ家自死一也〉

〔日本書紀〕

〈三十持統〉

p.1440 朱鳥元年十月己巳、皇子大津謀反發覺、逮二捕皇子大津一、　庚午、賜二死皇子大津於譯語田舍一、

〔續日本紀〕

〈十聖武〉

p.1440 天平元年二月辛未、左京人從七位下漆部造君足、无位中臣宮處連東人等告レ密、稱下左大臣正二位長屋王私學二左道一欲上レ傾二國家一、　壬申、遣二一品舍人親王〈◯中略〉等一、就二長屋王宅一窮二問其罪一、　癸酉令三王自二盡其室一、　甲戌、勅曰、〈◯中略〉長屋王者、依レ犯伏レ誅、雖レ准二罪人一、莫レ醜二其葬一矣、

叙品

〔日本書紀〕

〈二十九天武〉

p.1440 十四年正月丁卯、更改二爵位之號一仍増二加階級一、明位二階、淨位四階、毎レ階有二大廣一、并十二階以前諸王已上之位、
◯按ズルニ、此時ノ制ハ、親王諸王同一ニシテ、諸王トイヘドモ尚諸臣ト異ナリキ、

〔續日本紀〕

〈二文武〉

p.1440 大寶元年三月甲午、始依二新令一改制二官位號一、親王明冠四階、諸王淨冠十四階、合十八階、〈◯中略〉始停レ賜レ冠、易以二位記一、
◯按ズルニ、此ニ至リテ、諸王諸臣ノ位階ハ同一トナリ、親王ノ位階ノミ特異トナレリ、

〔令義解〕

〈一官位〉

p.1440 親王
一品〈謂品、位也、親王稱レ品者、別二於諸王一、〉二品　三品　四品〈◯節略〉

〔令義解〕

〈七公式〉

p.1440 凡應レ叙、親王四品、

〔光臺一覽〕

〈二〉

p.1440 親王の位は、臣下の如く正從を不レ分、上下をいはず、位と稱へず、三品四品或ハ二品一品と稱へ、無位の親王は無品の親王と稱へ申事也、

〔續日本紀〕

〈四元明〉

p.1440 和銅元年正月乙巳、是日授二四品志貴親王三品一、

〔續日本紀〕

〈六元明〉

p.1440 靈龜元年正月癸巳、授二二品穗積親王一品一、

〔續日本紀〕

〈八元正〉

p.1440 養老二年正月庚子、詔授二二品舍人親王一品一、

〔續日本紀〕

〈九聖武〉

p.1441 神龜元年二月甲午、二品新田部親王授二一品一、

〔皇胤紹運録〕

p.1441 賀陽親王〈（桓武皇子）二品刑部卿、兵部卿、治部卿、貞觀十三、十、八、薨、〈七十八〉母夫人多治比眞宗、參木長野女、〉
大野親王〈（桓武皇子）四品治部卿、延暦廿二、十、薨、六歳、母同、〉
坂本親王〈（桓武皇子）四品治部卿、母川上貞好、〉
有明親王〈（醍醐皇子）三品兵部卿母女御和子、光孝女、〉

〔小右記〕

p.1441 寛弘八年九月十日庚辰、故院〈◯一條〉宮達叙二四品一之御慶事、送二書状於母氏許一也、　十八日戊子、昨日戌刻故院宮達參内、於二射場一令レ奏二慶賀一訖、〈其道經二敷政門並南階下一云云〉即被レ聽二昇殿一、依レ召參二御前一、候二又廂一、以二菅圓座一爲レ座、蹔可レ令二退下一、中納言隆家、行成、參議經房等相二從親王一云云、候二御前一之間、左大臣〈◯藤原道長〉候二御帳邊一云云、資平所レ談、
◯按ズルニ、故院宮達トハ、後朱雀天皇ナルベシ、皇胤紹運録ヲ按ズルニ、後朱雀院〈諱敦良、母同二後一條一、〉寛弘六、十一、廿五降誕、同七、正、十六爲二親王一二、トアリ、御母ハ上東門院ナリ、此天皇ヲ除クノ外ハ皇子ナキナリ、

〔光臺一覽〕

〈二〉

p.1441 扨親王御昇進の次第は、親王宣下は有て、いまだ位に叙し給はぬを無品親王と申、夫より四品三品二品と上り給ひ、一品は至極の先途と心得べし、官は中務卿、式部卿、兵部卿、又は太宰帥、彈正尹等也、

〔有栖川系圖〕

p.1441 韶仁親王
弘化二年二月廿七日一品宣下、非二一世親王一者、其例邂逅雖レ不二容易一、被レ及二六旬有餘一、且病氣危篤之間、以二格別之叡慮一被二宣下一、不レ可レ爲二後例一、

任官

〔令義解〕

〈一官位〉

p.1441 親王
一品　太政大臣

p.1442 二品　左右大臣
三品
四品　大納言　太宰帥　八省卿

〔延喜式〕

〈十八式部〉

p.1442 凡諸王諸臣任二太政大臣一者、不レ得下以二親王一爲中左右大臣上、但得レ任二八省卿一、諸臣任二太政大臣一者、不レ得下以二諸王一爲中左右大臣上、親王任二左大臣一者、得下以二諸王一爲中右大臣上、但親王諸臣不レ得レ爲二左右一、

〔官職秘抄〕

〈上〉

p.1442 八省卿　中務　式部　兵部　以上必以二親王一任レ之　治部　民部〈◯中略〉以二親王一被レ任例〈賀陽親王〉

〔官職秘抄〕

〈下〉

p.1442 彈正臺　尹　爲二親王官一

〔類聚三代格〕

〈五〉

p.1442 太政官符
　應三親王任二國守一事
　　　上總國　常陸國　上野國
右撿二中納言從三位兼行左兵衞督清原眞人夏野奏状一偁、設二置八省一職寮相隷、百官守レ職庶務倶成、一事有レ闕萬事皆緩、今親王任二八省卿一、此人地望素高不レ得レ就レ職、無レ知二碎務一、仍官事自懈、政迹日蕪、非二是庸愚之所一レ致、因三地勢使二之然一也、凡官人遷代必署二解由一、至レ有二缺物一、不レ免レ償レ物、居レ此之費、見二其如一レ此、望請點二定數國一爲二親王國一、迭任二彼國一身留二京都一、意欲レ居二京官一者、一兩人將レ聽、若有二守闕一者不レ補二他人一、其料物者納二置別倉一、支二无品親王之要一、伏聽二天栽一者、正三位行中納言兼右近衞大將春宮大夫良峰朝臣安世宣、奉レ勅依レ奏、但件等國守官位卑下、宜下改定二正四位下官一、以爲二勅任一、號稱中太守(○○)上、限以二一代一不レ可二永例一、
　　天長三年九月六日

〔官職祕抄〕

〈下〉

p.1442 諸國　守〈◯中略〉上總、常陸、上野太守爲二親王一、介爲二受領一、仍歴二外記史一輩不レ任レ之、與二親王一不レ可二相竝一之由、二條關白被レ執レ之、然而其例多、又近代不レ及二此儀一歟、

p.1443 太宰府　帥　親王任レ之　權帥〈◯中略〉北山抄云、爲尊親王爲二太宰帥正一、惟仲帥之時、以二彼親王一任二他官一、此事無レ謂、可レ任二權帥一也、何以二正帥一任二他官一哉、

〔日本書紀〕

〈二十七天智〉

p.1443 十年正月癸卯、是日以二大友皇子一拜二太政大臣一、

〔日本書紀〕

〈三十持統〉

p.1443 四年七月庚辰、以二皇子高市一爲二太政大臣一、

〔續日本紀〕

〈三文武〉

p.1443 大寶三年正月壬午、詔二三品刑部親王一、知太政官事、　慶雲二年九月壬午、詔二二品穗積親王一、知太政官事、

〔公卿補任〕

〈文武〉

p.1443 慶雲三年、知太政官事二品穗積親王、〈二月辛巳、准二右大臣一、〉

〔續日本紀〕

〈八元正〉

p.1443 養老四年八月甲申、詔以二舍人親王一爲二知太政官事一、新田部親王爲二知五衞及授刀舍人事一、

〔増鏡〕

〈五内野の雪〉

p.1443 建長四年正月八日、院〈◯後嵯峨〉の御前にて御かうぶりし給ふ、〈◯中略〉御とし十一なるべし、中務の卿宗尊親王と申めり、おなじ二〈◯二、百練抄作レ四、〉月十九日、都を出給ふ、其日將軍の宣旨かうぶり給ふ、かヽるためしはいまだ侍らぬにや、上下めづらしくおもしろき事にいひさわぐべし、

〔勘仲記〕

p.1443 正應二年十月九日、親王〈◯後深草皇子久明〉今夜被レ宣二下征夷大將軍一事、　十日、今日將軍御二下向關東一、先未明入二御六波羅一、八葉長物見御車、
◯按ズルニ、此他宗尊親王ノ子惟康、久明親王ノ子守邦ノ二親王モ亦、征夷大將軍ニ任ゼラレタレド此ニ略ス、官位部征夷大將軍篇參看スベシ、

〔神皇正統記〕

〈後醍醐〉

p.1443 かくて親王〈◯後村上〉元服したまひ、直に三品に叙し、陸奧の太守に任じまします、このくにの太守ははじめたることなれど、たよりありとてぞ任じたまふ、

〔三代實録〕

〈四十二陽成〉

p.1443 元慶六年六月廿六日丁酉、是日以二一品行式部卿兼常陸太守諱〈◯光孝〉親王一爲二左相撲司別當一、以二三品行兵部卿本康親王一爲二右相撲司別當一、兩親王下二紫宸殿庭一奉レ勅拜舞而出、

〔伏見宮系譜〕

p.1444 朝彦、　文久二年九月三日、國事扶助被レ命、

〔議奏言渡〕

p.1444 慶應元年十月六日、尹宮以レ使兩役ヘ被レ附、
不肖〈臣〉朝彦、段々蒙レ仰、昨日迄御用者相務候處、豈計不レ被レ爲レ得レ止次第ニ相成、積年之叡慮不レ仕二貫徹一恐入候、是全〈臣等〉不レ盡二其職一之儀ト恨レ身外無レ之、實以不レ堪二恐懼一候、仍不忠罪被レ正、扶助被レ爲レ免候様伏相願候事、
　　　十月六日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　朝彦
　　　　　議奏傳奏衆中〈江〉
右經二内覽一、以二權少輔一申上被二召留一、諸大夫召設申渡候、　七日、被二召留一候御請、不二取敢一以レ使被二申上一、權少輔申上候、

〔議奏言渡〕

p.1444 慶應二年九月四日〈◯中略〉尹宮被レ附
先年來不肖〈朝彦、〉格別蒙二朝恩一畏入候、然處去月晦夜、不レ顧二恐諸藩召之儀一、押而言上、何共恐入候次第、是迄トテモ不行届、此後尚又不レ計御失體ヲ醸候儀候而者、實ニ恐懼之至、仍國事扶助、以二御憐愍一被レ免候様待二御沙汰一候事、
　　　九月四日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　朝彦
右於二御前一御評議之處、被レ止二御前一、

〔議奏言渡〕

p.1444 慶應二年九月廿七日、常陸宮〈◯山階宮晃親王、常陸太守、〉已下御咎被二仰出一、
常陸宮、　此度國事掛依二所勞一理乍二申上一他出、剩止宿、且從來不行跡、旁以蟄居被二仰出一候事、
國事掛被レ止候事〈◯中略〉
但常陸宮諸大夫召設、葉室殿御申渡、小時御請以二〈國分〉上總一被二申上一候、

〔嘉永明治年間録〕

〈十六〉

p.1444 慶應三年十二月十二日、勅シテ總裁議定參與ノ三職ヲ置ク、

p.1445 徳川内府〈◯慶喜〉征夷御委任候處、大政返上、將軍職辭退の兩條、斷然被二聞召一候、抑癸丑〈◯嘉永六年〉以來未曾有の國難、先帝〈◯孝明〉頻年被レ惱二宸襟一候御次第、衆議の所望に付、依レ之叡慮被レ决、王政復古、國威挽回、御基被レ爲レ立候間、自今攝關幕府等廢絶、即今先般の總裁職、議定、參與の三職を置れ、萬機可レ被レ爲レ行、諸事神武創業に基き、縉神武辨、堂上地下の別なく、至當の公議を盡し、天下御休戚を固く可レ被レ遊叡慮に付、各勉励、舊惰の汚習を洗ひ、盡忠報國の誠を以て可レ奉公一事、〈◯中略〉
　　三職人撰
　　　總裁　有栖川宮
　　　議定　仁和寺宮　山科宮〈◯中略〉
　　太政官始追々可レ被レ立候間、其旨可レ被二心得一候、

親王家令

〔令義解〕

〈一家令職員〉

p.1445 親王、〈内親王准レ此、但文學不レ在二此例一、〉
一品
文學一人、〈掌二執レ經講授一、餘文學准レ此、〉家令一人、〈掌レ總二知家事一、餘家令准レ此、〉扶一人、〈掌同二家令一、餘扶准レ此、〉大從一人、〈掌レ撿二校家事一、餘從准レ此、〉少從一人、〈掌同二大從一、〉大書吏一人、〈掌レ勘二署文案一、餘書吏准レ此、〉少書吏一人、〈掌同二大書吏一〉
二品
文學一人、家令一人、扶一人、從一人、大書吏一人、少書吏一人、
三品
文學一人、家令一人、扶一人、從一人、書吏一人、
四品
文學一人、家令一人、扶一人、從一人、書吏一人、

〔三代實録〕

〈九清和〉

p.1446 貞觀六年八月八日壬戌、右京人、二品秀良親王家令(○○)正六位上宇自加臣吉人賜二姓笠朝臣一、〈◯中略〉阿波國名東郡人、二品治部卿兼常陸太守賀陽親王家令(○○)正六位上安曇部粟麻呂改二部字一賜二宿禰一、

勅別當

〔西宮記〕

〈臨時一〉

p.1446 諸宣旨云云
當代親王勅別當、上卿奉レ勅賜レ辨、辨仰レ史令レ書二宣旨一、

〔類聚符宣抄〕

〈七〉

p.1446 從二位行權中納言兼中宮大夫右衞門督藤原朝臣齊信
左中辨源朝臣道方傳宣、左大臣宣、奉レ勅件人宜レ爲二〈今上〉敦成親王家別當一者、
　　寛弘五年十月十六日　　　　　　　　　　　　　　　左大史小槻宿禰奉親〈奉〉

〔貞信公記〕

p.1446 延長五年二月十二日甲午、東宮御修善於二山座主一所レ行也、十親王約内裏、彼親王別當(○○)淑有朝臣、依二院御消息一昇、親王及陪從四位以下六位以上、賜レ祿有レ差、

帳内舍人

〔令義解〕

〈五軍防〉

p.1446 凡給二帳内一、一品一百六十人、二品一百四十人、三品一百二十人、四品一百人、〈◯中略〉〈女減レ半、減數不レ等從レ多給、〉

〔續日本紀〕

〈八元正〉

p.1446 養老三年十月辛丑、詔曰、〈◯中略〉舍人新田部親王百世松桂、本枝合二於昭穆一、萬雉城石、維磐重二乎國家一、理須下吐二納清直一能輔二洪胤一、資二扶仁義一信翼中幼齡上、然則太平之治可レ期、隆泰之運應レ致、可レ不レ愼哉、今二親王宗室年長、在レ朕既重、實加二褒賞一、深須二旌異一、然崇レ徳之道、既有二舊貫一、貴レ親之理、豈無二於今一、其賜二一品舍人親王内舍人二人、大舍人四人、衞士三十人一益二封八百戸一、通レ前二千戸、二品新田部親王内舍人二人、大舍人四人、衞士二十人、益二封五百戸一、通レ前一千五百戸、其舍人以供一左右雜使一、衞士以充二行路防禦一、於戲欽哉、以副二朕意一焉、凡在二卿等一、並宜二聞知一、

親王品田

〔令義解〕

〈三田〉

p.1446 凡位田、一品八十町、二品六十町、三品五十町、四品三十町、

〔延喜式〕

〈二十二民部〉

p.1446 凡授二品田一者、親王内親王其數一同、

p.1447 ◯按ズルニ、親王品田ノコトハ、俸祿部位田ノ篇ニ詳ナリ、就テ看ルベシ、

親王食封

〔令義解〕

〈四祿〉

p.1447 凡食封者、一品八百戸、二品六百戸、三品四百戸、四品三百戸、〈内親王減半、〉

〔延喜式〕

〈二十二民部〉

p.1447 凡職封者、解官并身薨即還收、〈◯中略〉品位封者薨年之料、全納二喪家一、無品封亦准レ此、

〔日本書紀〕

〈二十九天武〉

p.1447 十一年三月辛酉、詔曰、親王以下至二于諸臣一被レ給食封皆止レ之、更返二於公一、

〔續日本紀〕

〈二文武〉

p.1447 大寶元年七月壬辰、勅、親王已下准二其官位一賜二食封一、

〔續日本紀〕

〈三文武〉

p.1447 慶雲元年正月丁酉、二品長親王、舍人親王、穗積親王、三品刑部親王、益二封各二百戸一、三品新田部親王、四品志紀親王各一百戸、

〔續日本紀〕

〈三文武〉

p.1447 慶雲二年十一月庚辰、有レ詔加二親王諸王臣食封一各有レ差、先レ是五位有二食封一、至レ是代以二位祿一也、

〔續日本紀〕

〈六元明〉

p.1447 和銅七年正月壬戌、二品長親王、舍人親王、新田部親王、三品志貴親王、益二封各二百戸一、〈◯中略〉封租全給、其食封田租全給二封主一、自レ此始矣、

〔續日本紀〕

〈九聖武〉

p.1447 神龜元年二月甲午、是日一品舍人親王益二封五百戸一、

〔類聚三代格〕

〈八〉

p.1447 太政官謹奏
　應レ賜二無品内親王食封一事
右奉レ勅件封戸、大同三年十月十九日論奏云、一品已下食封、并四位祿等並據レ令訖、但先經二恩賜一、更不二收返一、其加階進級之日、即便廻給各得二其所一、又大同三年六月廿九日式云、無品親王食封二百戸、男女並同、但叙品之後、一從二停止一者、今撿二奏意一、無品内親王叙二四品一之日、封邑一百五十戸、然則無品之日封二百、叙品之時還失二五十一、事之所レ在、良不二穩便一、宜二議定奏聞一者、謹依二勅旨一商量、件封戸、大同三年論奏、依レ令已訖、然則女者良宜二半減一、内親王准レ令半レ之、其先經二恩賜一、後據二論奏一、更不二收返一、謹録二事状一、伏聽二天裁一、謹以申聞、謹奏、勅依レ奏、

p.1448 　　大同四年六月廿三日

〔日本後紀〕

〈十二桓武〉

p.1448 延暦廿三年九月甲午、式部省言、案二公式令一、親王一品已下、職事初位已上、並可三自牒二諸司一、雖二是三位已上一、曾無下以二家司牒及解一向二官司一之文上、而案二去延暦廿一年九月廿三日格一云、親王内親王、並年滿二四歳一、始充二帳内一者、今親王内親王、或年未二成人一、或不レ便二文筆一、至經二官司一、若爲申牒、又同令牒式、三位已上去レ名、然則親王四品已上、去レ名明矣、而散事數人、同品及同官位姓之類、既不レ署レ名、何以辨知、仍問二法家一、答云、如レ此之類、可レ有二別式一者、未レ審レ所レ從者、勅、幼稚親王、既不レ便レ筆、三位已上亦無レ可レ署准二據令格一、還成二疑滯一、必須二自牃一、事有二不穩一、自レ今以後、宜親王四品已上、及職事三位已上、並聽下以二家司牃一申中牃諸司上、其牃首、並具注二其官品其親王家、及其官位姓名家牃一、以別二同異一、牃尾、家令已下兩人、署レ之、无品親王内親王者、並別當官人、署名申牃、牃式准二上定一、別當人、依二勅處分一、〈◯下略〉

時服

〔延喜式〕

〈十二中務〉

p.1448 時服〈◯中略〉無品親王時服、〈内親王亦同〉絹五十匹、細布四十七端二丈一尺、〈各加二綿二百屯一〉

季祿

〔續日本紀〕

〈二文武〉

p.1448 大寶元年八月己酉、皇親年滿者、不レ論二官不一、皆入二賜レ祿之額一、

〔延喜式〕

〈十八式部〉

p.1448 凡親王知太政官事者、其季祿准二右大臣一、預レ議レ政者、一品二品准二大納言一、三品四品准二中納言一、

〔續日本紀〕

〈三文武〉

p.1448 慶雲三年二月辛巳、知太政官事二品穗積親王、季祿准二右大臣一給レ之、

〔古京遺文〕

p.1448 建多胡郡辨官符碑
辨官符、〈◯中略〉和銅四年三月九日甲寅宣、〈◯中略〉太政官二品穗積親王、左大臣正二位石上尊、〈◯麻呂〉右大臣正二位藤原尊、〈◯不比等〉
◯按ズルニ、親王ノ季祿ハ右大臣ニ准ズト雖、其官ハ左大臣ノ上ニアルナリ、

〔續日本紀〕

〈二十三淳仁〉

p.1448 天平寳字五年二月丙辰朔、勅、朕以二餘閑一、歴二覽前史一、皆降二親王之禮一、並在二三公之下一、是以別預二議政一者、月料馬料春秋季祿夏冬衣服等、其一品二品准二御史大夫一、三品四品准二中納言一給レ之、

〔日本後紀〕

〈十七平城〉

p.1449 大同三年五月乙巳、停二有品親王月料一、

〔續日本紀〕

〈三文武〉

p.1449 大寶三年九月辛卯、賜二四品志紀親王、近江國鐵穴一、

〔續日本紀〕

〈三文武〉

p.1449 慶雲二年四月庚申、賜二三品刑部親王越前國野一百町一、

〔類聚三代格〕

〈十二〉

p.1449 太政官符
　應レ禁三皇親之祿乞二賣賤價一事
右撿二案内一太政官去延暦十六年四月廿四日下二諸國一符偁、自今以後、公私擧錢、宜下限二一年一收中半倍利上、雖レ積二年紀一、不レ得二過責一者、今右大臣宣、奉レ勅如聞王親或募二多祿一、先受二少價一、或設二重質一、貸二乞賤物一、苟貪二目前一、不レ顧二後弊一、報價之日、既過二一倍一、因レ兹所司豪民競求二利潤一、好爲二與借一、班祿之日、濫訴繁多、自今以後賣二買祿物一、不レ得レ過二於半倍之利一、如有二違犯一、依レ法科處、
　　延暦十八年三月九日

〔類聚三代格〕

〈十二〉

p.1449 太政官符
一應下皇親准二主典一奪上レ祿事
右同前〈◯左京職〉解偁、被二太政官去弘仁十年十一月五日符一偁、當路不二掃清一、穿レ垣引レ水、壅レ水侵レ途等、諸司諸家并内外主典已上、移二式部兵部一、貶レ考奪レ祿、四位五位、録レ名奏聞、无品親王家、及所々院家、以二其別當官一、准二諸家司一、亦移レ省貶奪、其雜色番上已下、不レ論二蔭贖一决二笞五十一者、今案二符旨一、皇親此雜色之内須下不レ論二蔭贖一决笞上、謹案二律條一、皇親議論人也、蔭同二三位一、誠雖レ被二下符一、驗レ理不レ便、望請准二主典一移レ省奪レ祿者、其前符疏而不レ勞二皇親一、今如レ所レ請、當レ奏二請之一、但皇親蕃多、事惟輕碎、宜レ依レ請、
以前大納言正三位兼行右近衞大將良峯朝臣安世宣、奉レ勅宜二依レ件行一レ之、
　　天長五年十二月十六日〈◯又見二政事要略八十二一〉

年官年爵

〔拾芥抄〕

〈中未御給〉

p.1449 親王　諸國目一人、一分一人、〈或云、當代第一親王者、毎年賜レ祿、自餘親王者、又或式部卿者一分二人也、〉

〔除目抄〕

p.1450 一親王巡給事〈巡給、別巡給、別給、己上其號有二三種一、年給目一人、一分一人、外巡給二合事也、〉
一巡給〈巡給事又在二別抄一、〉
　　一代御後親王、不レ論二男女一預レ之、寛平御後親王有レ例、巡給別巡給云々、延喜六年五月宣、
　　一説假令
　　　白川院親王〈一年〉　堀川院親王〈一年〉　鳥羽院親王〈一年〉
　　　　今案、是其代親王一巡、悉被二申任一之心也、
　　一説假令
　　　白川院第一親王〈一年〉　次年同院第二親王　次年同院第三親王
　　　次年堀川院第一親王　次年同第二親王
　　　次年鳥羽院第一親王　次年同第二親王
　　　　今案、是其代ノ親王一人ヅヽ可レ被レ申之心歟、
　　一説
　　　一年白河院第一親王　堀河院第一親王　鳥羽院第一親王
　　　次年白河院第二親王　堀河院第二親王　鳥羽院第二親王
　　　次年白河院第三親王　堀河院第三親王　鳥羽院第三親王
　　　　今案、是其代ノ一二親王達ヲ分別シテ、一年ヅヽ可レ被レ申之心也、
古抄云、江帥卿示レ予〈師遠〉云、巡給ハ一代々々親王を可レ作二巡給之次第一也、假令後朱雀院親王一巡、次後冷泉院親王一巡、次後三條院親王一巡之類是也云云、而予〈師遠〉所案異レ之、只依二巡給宣旨之次第一可レ被二任也、假令巡給ノ人三人アラバ三年ニ一度、四人アラバ四年ニ一度可

p.1451 レ任也、但一代親王一巡ヅヽ悉被レ任之極秘説也云云、
　　別巡給
第一親王毎年二合依二別勅一也、今案別巡給是也云云、別巡給トハ、當帝后腹親王不レ論二男女一、可レ預二別巡給一之由被二宣下一ヌレバ、一人御坐ノ時ハ、毎年任レ之、二人之時ハ隔年任レ之、只可レ依二別巡給之人數一也云云、
　　別給
依レ勅定懸親王巡也、又非二后腹一當代親王給之號也、一人之時毎年任レ之、但末代無二沙汰一、寛元宗尊親王、〈非二后腹一當代親王也〉給可レ有レ之歟、不レ有レ之歟有二沙汰一、遂不レ被レ申レ之、非二后腹一當代親王給、某親王當年別給ト在レ之、子内親王例也、此義可レ然歟、依レ勅定懸親王巡云々、寛平九、六、廿六、宣旨云、尚侍藤原淑子別給、掾一人、一分一人、〈是年給一分之外也〉毎年任レ之、先人之説也云云、〈今案攝州師遠歟〉

〔三代實録〕

〈十清和〉

p.1451 貞觀七年正月廿五日丁未、太政大臣從一位臣藤原朝臣良房、〈◯中略〉等奏議言、伏見自二延暦一至二仁壽一六代親王、年料給分、主典史生等、毎レ代各一人、互稱二一代一、不レ用二通計一、是以或隔二一年一即給、或經二數年一稀給、或省二内親王一不レ關二給例一、執論各殊、披訴間出、天慈攸レ及、還似二不平一、謹按二此事一、格式不レ載、宣旨非レ切、從見二流例一、未レ詳二本源一、方今年中所レ出之給、始レ自二三宮一至二於諸司一、有レ勞應レ補者、居常苦二其不足一、而親王之數四十有餘、非レ隔二數年一、難レ可二周給一、伏請總計二親王一、不レ別二代々一、輪轉而給、鱗次弗レ愆、將レ使三先後無レ恨、男女共欣、永々相承、以爲二成式一、但先來有レ勅、所二別給一者不レ入二此限一、謹録二事状一、伏聽二天裁一、奏可、

〔本朝世紀〕

p.1451 天慶元年十月八日、太政大臣參二入職御曹司一、被レ定二行雜事一、大納言平伊望卿着二宜陽殿西廂座一、召二大外記三統公忠一仰云、四品行明親王、去延長五年八月官符偁、件親王今上親王所レ定如レ件者、而所司自二延長六年一、以二件親王一爲二寛平御後一、載二巡給簿一行來久、不レ可二追改一、宜下准二故雅明親王例一、從二彼延長六年一爲二寛平御後一、宛中其年官上者、即書二件宣旨一續納已了、

皇子賜姓

〔神皇正統記〕

〈村上〉

p.1452 源氏と云事は、嵯峨の御門世のついえを思しめして、皇子皇孫に姓を給ひて人臣となし給ふ、すなはち御子あまた源氏の姓を給はる、桓武の御子葛原親王の男高棟、平の姓を給はり、平城の御子阿保親王の男行平業平等有原の姓給る事も此後の事なれど、是はたま〳〵の義なり、弘仁以後、代々の御後はみな源の姓を給ひしなり、親王の宣旨を蒙る人は、才不才によらず、國々に封戸など立られて、世のついえなりしかば人臣につらね、官學して朝要にかなひ、器にしたがひ昇進すべき御おきてなるべし、姓を給る人は直に四位に叙す、〈皇子皇孫にとりての事也〉當君のは三位なるべしと云、〈かヽれども其例まれなり、嵯峨の御子、大納言定卿三位に叙せしかど、是も當代にはあらず、〉かくて代々のあいだ、姓を給ひし人百十餘人もや有けん、然れど他流の源氏大臣以上にいたりて、二代と相續する人の今まできこえぬこそいかなる故ならんとおぼつかなけれ、嵯峨の御子姓を給ひし人二十一人、此中大臣にのぼる人、常の左大臣、〈兼大將〉信の左大臣、融の左大臣、仁明の御子に姓を給る人十三人、大臣にのぼる人、多の右大臣、光の右大臣、〈兼大將〉文徳の御子に姓を給はる人十二人、大臣にのぼる人能有の右大臣、〈兼大將〉清和の御子に姓を給る人十四人、大臣にのぼる人十世の御末に、實朝の右大臣、〈兼大將、是は貞純の親王の苗裔なり、〉陽成の御子に姓を給る人三人、光孝の御子に姓を給る人十五人、宇多の御孫に姓を給りて大臣にのぼる人、雅信の左大臣、重信の左大臣、〈ともに敦實親王の男なり〉醍醐の御子に姓を給はる人二十人、大臣にのぼる人高明の左大臣、〈兼大將〉兼明の左大臣、〈後に親王とす、中務卿に任ず、前中書王これなり、〉此後は皇子の姓を給ふ事はたえにけり、皇孫にはあまたあり、任大臣を本と記すによりてことごとく不レ載、ちかくは後三條の御孫に有仁の左大臣、〈兼大將、輔仁の親王の男、白河院の御孫、猶子にて直に三位せし人也、〉二世の源氏にて大臣にのぼれり、かやうにたま〳〵大臣にいたりても、いづれか二代とあひつげる、ほとむど納言以上にて傳はれるだに稀なり、雅信の大臣の末ぞおのづから納言までものぼりて殘りたる、高明の大臣の後、四代大納言にて有しもはやく絶にき、いかにも故ある事かとおぼえ

p.1453 たり、皇胤の貴種より出ぬる人、蔭をたのみいと才などもなく、剩へ人にをごり慢する心もあるべきにや、人臣の禮にたがふ事ありぬべし、寛平の御記に其はし見え侍りしなり、後をもよくかヾみさせ給ひけるにこそ、

〔續日本紀〕

〈三十九桓武〉

p.1453 延暦六年二月庚申、勅、諸勝賜二姓廣根朝臣、岡成長岡朝臣一、
◯按ズルニ、諸勝ハ光仁天皇ノ皇子、岡成ハ桓武天皇ノ皇子ニシテ、皇子賜姓ノ始メナリ、

〔公卿補任〕

〈桓武〉

p.1453 延暦廿一年十二月己酉、賜二良峰朝臣姓于安世一、〈◯桓武皇子〉貫二右京一、

〔享祿本類聚三代格〕

〈十七〉

p.1453 詔、朕〈◯嵯峨〉當二揖讓一、纂踐二天位一、徳愧二睦邇一、化謝二覃遠一、徒歳序屢換、男女稍衆、未レ識二子道一、還爲二人父一、辱累二封邑一、空費二府庫一、朕傷レ于レ懷、思下除二親王之號一、賜二朝臣之姓一、編爲二同籍一、後從二事於公一、出身之初、一叙中六位上、唯前號二親王一、不レ可二更改一、同母後産、猶復一例、其餘如可レ關者、朕殊裁下、夫賢愚異レ智、顧育同レ恩、朕非下忍絶二廢體餘一分中折枝葉上、固以二天地惟長、皇王遞興一、豈競二康樂於一朝一、忘二彫弊於萬代一、普告二内外一、令レ知二此意一、
　　弘仁五年五月八日〈◯又見二河海抄一〉

〔新撰姓氏録〕

〈左京皇別〉

p.1453 源朝臣　源朝臣信年六、〈腹廣井氏〉弟源朝臣弘年四、〈腹上毛野氏〉弟源朝臣常年四、弟源朝臣明年二、〈已上二人腹飯高氏〉妹源朝臣貞姫年六、〈腹布勢氏〉妹源朝臣潔姫年六、妹源朝臣全姫年四、〈已上二人腹當麻氏〉妹源朝臣善姫年二、〈腹百濟氏〉信等八人是今上〈◯嵯峨〉親王也、而依二弘仁五年五月八日勅一、賜レ姓貫二於左京一條一坊一、即以レ信爲二戸主一、

〔三代實録〕

〈七清和〉

p.1453 貞觀五年正月三日丙寅、大納言正三位兼行右近衞大將源朝臣定薨、〈◯中略〉定者、嵯峨太上天皇之子也、〈◯中略〉弘仁五年特蒙二明詔一、諸皇子未レ爲二親王一者、皆賜二姓源朝臣一、定是源氏之第六郞也、其源之命レ氏始二於此一矣、太上天皇以レ定奉二淳和天皇一爲レ子、淳和天皇受、而愛レ之過二所生之子一、更賜二寵姫永原氏一令レ爲二之母一、故世稱三定有二二父二母一焉、原姫所謂亭子女御也、天長四年二月廿八日、淳和天皇奉二書

p.1454 於嵯峨太上天皇一、請三以レ定爲二親王一曰、〈◯中略〉皇家之胤、徒淪二胥庶一、眷言二猶子(○○)一、情深二矜愍一、謹撿二弘仁五年五月八日詔旨一、除二親王之號一、賜二朝臣之姓一、如可レ關者、朕殊裁下、特望齒二列親王一榮二曜貽孫一、方寸之思、伏聽二天裁一者、嵯峨太上天皇遂不レ聽焉、

〔三代實録〕

〈十二清和〉

p.1454 貞觀八年三月二日戊寅、勅、沙彌深寂賜二姓貞朝臣名登一、〈◯中略〉先レ是貞觀五年九月二十日、三品中務卿親王〈◯中略〉等奏言、深寂是仁明天皇更衣三國氏所レ生也、承和之初、賜二姓源朝臣一、預二時服月俸一、厥後依二母過失一、被レ削二屬籍一、仍出家入道、嘉祥之末、更垂二優矜一、〈◯中略〉今善縁不レ遂、再落二俗塵一、〈◯中略〉出家之時、既列二皇子一、還俗之日、何爲非レ兒、然則准二之人間一、宜レ復二本姓一、但伏聞嵯峨遺旨、母氏有レ過者、其子不レ得レ爲二源氏一、望請賜二姓名貞朝臣登一、叙二位階一、貫二京職一、至レ是詔許レ之、

賜姓後復親王

〔三代實録〕

〈五十光孝〉

p.1454 仁和三年八月廿五日丙寅、詔曰、朕之諸兒皆賜二朝臣之姓一、斯誠節二國用一、息二民勞一之計也、〈◯中略〉第七皇子定省、年二十一、便侍二朕躬一、未二曾出一レ閣、寛仁孝悌、朕所二鍾憐一、前被レ混二昆弟之鴈行一、遽編二一戸一、今欲レ傳二祖宗之駿命一、何澁二請任一、苟不レ爲レ身、誰嫌二反汗一、其削二臣姓一、以列二親王一、心星宜レ肖二帝子之名一、岱岳曷辭二天孫之號一、
◯按ズルニ、定省親王ハ其ノ明日立チテ皇太子トナリタマフ、宇多天皇是ナリ、

〔帝王編年記〕

〈十七圓融〉

p.1454 貞元二年四月廿四日、左大臣源朝臣兼明、停二大臣一爲二親王一叙二二品一、　十二月十日任二中務卿一、號二前中書王一是也、

〔榮花物語〕

〈二花山〉

p.1454 大殿〈◯藤原兼通〉おぼすやう、世の中もはかなきに、いかでこの右大臣〈◯藤原頼忠〉いますこしなしあげて、わがかはりのそくをもゆづらんと覺したちて、たヾいまの左大臣兼明のおとヾときこゆる、延喜のみかど、〈◯醍醐〉の御十六の宮におはします、それ御心ちなやましげなりときこしめして、もとのみこになしたてまつらせ給ひつ(○○○○○○○○○○○○○○○○○)、さて左大臣には、小野宮の頼忠のおとヾをなしたてまつり給ひつ、

〔本朝世紀〕

p.1455 寛和二年四月廿八日、四品盛明親王出家入道、醍醐天皇第十五皇子也、春秋五十九云々、〈◯中略〉件入道親王、初賜二朝臣姓一、後更爲二親王一也、

猶子養子

〔日本紀略〕

〈一醍醐〉

p.1455 延喜廿一年十二月十七日、以二第十皇子雅明一爲二親王一、實者法皇〈◯宇多〉御出家之後、所レ生皇子也、爲二今上御子一、

〔日本紀略〕

〈十一一條〉

p.1455 寛弘元年五月四日丁亥、以二冷泉院皇子昭登清仁一爲二親王一、實花山院御出家之後産生也、

〔榮花物語〕

〈八はつ花〉

p.1455 院〈◯花山〉このみやたちのしのびがたく、あはれにおぼえ給へば、中つかさがはらの一のみこ、〈◯昭登〉むすめのはらのみこ、〈◯清仁〉ふた宮を、との〈◯道長〉に申させ給て、これ冷泉院の御子のうちにいれさせ給へとある御消息度々あれば、〈◯中略〉内にまゐらせ給て、ことのよしそうせさせ給て、よきひして宣旨くださせ給ふ、おやばらの御子をば五の宮、むすめばらの御子をば六の宮とて、おの〳〵みななべてのみやたちのえ給ふほどの御封どもたまはらせ給ふ、

〔執次詰所本御系譜〕

p.1455 後伏見院光明院
後伏見院第二宮、爲二光嚴院猶子一、
後小松院後花園院
應永廿年六月十八日降誕、實者後崇光院皇子、爲二後小松院御猶子一、

〔近代帝王系圖〕

p.1456 後光明院靈元院
後水尾院皇子、爲二後光明院御猶子一、　承應三年五月廿五日降誕、號二高貴宮一、　明暦四年正月廿八日立親王叙二二品一、〈五歳◯節略〉
◯按ズルニ、當代ノ天皇ニ、未ダ皇后女御等ノ入内ナキ時、又ハ入内アリトモ未ダ皇子ノオハセザル間ハ、他ノ皇子ヲ猶子養子トセサセ給ハザル例ニテ、此時後西院天皇ニハ未ダ皇子オハセザリシユヱ、靈元天皇ヲ先帝即チ後光明天皇ノ御猶子トセサセ給ヒシナリ、

皇子爲人臣養子

〔執次詰所本御系譜〕

p.1456 後陽成院藤原信尋
爲二近衞三藐院關白准三后信尹公養子一、任二關白左大臣一、
藤原昭良
爲二一條自淨心院前關白左大臣内基公養子一、任二關白左大臣一、

〔執次詰所本御系圖〕

p.1456 陽光院智仁親王

p.1457 號二八條一、豐臣關白秀吉公猶子、童名古佐麻呂、

〔皇胤紹運録〕

p.1457 後陽成院良純法親王
慶長九年三月廿九日誕生、稱二八宮一、同十九年十二月十六日爲二親王一、元和元年六月爲二東照宮〈◯徳川家康〉御猶子一、

皇子皇女不爲親王

〔源平盛衰記〕

〈十三〉

p.1457 高倉宮廻宣附源氏汰事
一院〈◯後白河〉第二ノ御子以仁王ト申ハ、〈◯中略〉三條高倉ニ御坐ケレバ、高倉宮(○○○)トゾ申ケル、〈◯中略〉既ニ三十ニ成セ給ヌレドモ、親王ノ宣旨ヲダニモ不レ被レ下シテ、沈テゾ御坐ケル、御手跡モ嚴ク、御才覺モ優ニ御坐ケリ、御位ニ即セ給タラバ、末代ノ賢王トモ申ツベシナド人々申ケレドモ、女院〈◯後白河后建春門院徳子〉ニハ繼子ニテ渡ラセ給ケレバ被二打籠一ツヽ、〈◯中略〉等閑ニ年月ヲ過サセ給ケリ、

〔皇胤紹運録〕

p.1457 土御門院秀子春子知子信子是子

〔皇胤紹運録〕

p.1458 順徳院忠成王彦成王

〔季連宿禰記〕

p.1458 元祿十六年四月三日戊寅、傳聞入江殿〈御比丘尼、後西院皇女、〉入滅、〈去月廿七日歟、御閉眼之由風聞、當座被レ密歟〉今夜奏聞云云、廢朝無レ之、依レ無二親王宣下之儀一歟、洛中自二今夜一三ケ日止二音曲一云云、

廢親王

〔續日本紀〕

〈二十五淳仁〉

p.1458 天平寳字八年十月壬申、〈◯中略〉又詔曰、船親王〈波、◯中略〉又仲麻呂〈何〉家物計〈夫流爾、〉書中〈爾〉仲麻呂〈等〉通〈家流〉謀〈乃〉文有、是以親王〈乃〉名〈波〉下〈氐、〉諸王〈等〉成〈氐、〉隱岐國〈爾〉流賜〈布、〉又池田親王〈波、〉此夏馬多集〈天〉事謀〈止〉所聞〈支、◯中略〉是以親王〈乃〉名〈波〉下賜〈天、〉諸王〈等志氐、〉土佐國〈爾〉流賜〈布等〉詔大命〈乎〉聞食〈止〉宣、

〔日本紀略〕

〈平城〉

p.1458 大同二年十月辛巳、蔭子藤原宗成、勸二中務卿三品伊豫親王一潜謀二不軌一、　十一月乙酉、徙二親王并母夫人藤原吉子於川原寺一、幽二之一室一、不レ通二飮食一、　乙未、親王母子仰レ藥而死、時人哀レ之、

〔日本紀略〕

〈嵯峨〉

p.1458 弘仁十年三月己亥、詔、朕有レ所レ思、宜レ復二故皇子伊豫、夫人藤吉子等本位號一、

〔續日本後紀〕

〈八仁明〉

p.1458 承和六年九月癸未、中使就二故贈二品伊豫親王墓一詔曰、〈◯中略〉宜下贈二榮班一以賁中幽窀上、可レ贈二一品一、
◯按ズルニ、此伊豫親王ハ、京都上京ナル上御靈神社祭神八柱ノ内ニアリ、御靈會ヲ行フ事ハ、貞觀五年ヨリ興レリ、

〔徳川禁令考〕

〈一〉

p.1458 紫宸殿御條目
一親王宮御不行跡之節者、被レ任二先例一可レ令二遠流一事、
　　寛保二壬戌年〈◯月日欠〉

〔皇胤紹運録〕

p.1459 良純法親王
慶長十九年十二月十六日爲二親王一、元和元年六月爲二東照宮〈◯徳川家康〉御猶子一、同五年九月十七日入寺得度、〈十六〉寛永廿年十一月十一日遷二於甲州天目山一、〈四十〉萬治二年六月廿二日歸洛、住二泉涌寺中新善光寺一〈五十六◯中略〉明和五年八月當二百年忌一復二本位一、
◯按ズルニ、十三朝紀聞ニヨルニ、是歳詔罷二知恩院法親王良純一、放二之于天目山一、近二婦女一茹二葷醒一故トアリ、

皇女初見

〔日本書紀〕

〈七景行〉

p.1459 四年二月、喚二八坂入媛一爲レ妃、生二七男六女一、〈◯中略〉第六曰二渟尉斗皇女一、第七曰二渟名城皇女一、第八曰二五百城入姫皇女一、第九曰二麝依姫皇女一、第十二曰二高城入姫皇女一、第十三曰二弟姫皇女一、

内親王稱呼

〔運歩色葉集〕

〈二那〉

p.1459 内親王〈皇女、帝之姉妹伯母也、〉

〔日本書紀〕

〈三十持統〉

p.1459 五年正月癸酉朔、賜二親王、諸臣、内親王(ヒメミコ)、女王、内命婦等位一、

〔續日本紀〕

〈二文武〉

p.1459 大寳元年二月己未、遣二泉内親王一侍二於伊勢齋宮一、　十二月乙丑、大伯内親王薨、天武天皇之皇女也、
◯按ズルニ、是レ内親王ヲ以テ名ノ下ニ連稱スル始メナリ、

内親王宣下

〔續日本紀〕

〈二十二淳仁〉

p.1459 天平寳字三年六月庚戌、帝御二内安殿一喚二諸司主典已上一詔曰、〈◯中略〉兄弟姉妹悉稱二親王一〈止〉宣天皇御命衆聞食宣、

〔續日本紀〕

〈三十一光仁〉

p.1459 寳龜元年十月己丑朔、即二天皇位於大極殿一、　十一月甲子、詔曰、〈◯中略〉兄弟姉妹諸王子等悉作二親王一〈氐〉冠位上給治給、〈◯中略〉酒人内親王三品、從四位下衣縫女王、難波女王、坂合部女王、能登女王、美努摩女王、並四品、
◯按ズルニ、從四位下衣縫女王以下、並ニ四品ニ叙ストハ、即チ内親王ニ陞セシナリ、

〔類聚符宣抄〕

〈四〉

p.1460 太政官符、中務式部民部大藏宮内等省、
　昌子内親王歳壹
右太上天皇〈◯朱雀〉親王所レ定如レ件、省宜承知、依レ例行レ之、符到奉行、
右中辨　　　　　　　　　　　　　　　　左大史
　　天暦四年八月十日

〔榮花物語〕

〈一月宴〉

p.1460 朱雀院は御子たちおはしまさヾり、たヾ王女御〈◯子〉ときこえける御はらに、えもいはずうつくしきをんなみこ〈◯昌子〉一所ぞおはしましける、はヽにようごも御子みつにてうせ給にしかば、みかど〈◯朱雀〉われひとヽころ、こヽろぐるしき物にやしなひたてまつり給ける、いかできさきにすゑたてまつらんとおぼしけれど、れいなきことにてくちをしくてぞすぐさせ給ける、昌子内しんわうとぞきこえさせける、

〔本朝世紀〕

p.1460 治暦四年八月十四日、〈◯中略〉又内大臣於二仗座一被レ下二女親王四人宣旨一、〈聰子、俊子、佳子、富子、〉左少辨正家奉レ之、

〔台記〕

p.1460 久壽元年八月十八日己亥、饗儀了參内、〈◯中略〉更闌光頼朝臣來曰、只今新大納言參入、可レ用二壽字一之由所レ申也、余答曰、壽者衞宣公之子、遇レ殺者名也、〈見二桓十六年左傳一〉非レ無二其忌一如何、光頼退告二大納言一、大納言曰、夜及二深更一不レ能レ奏二鳥羽一、勘レ例統子内親王宣旨後改レ名、依二彼例一今夜用二壽字一、後日改レ名何事之有乎、余即著陣、光頼朝臣下二親王名一、余結申、光頼曰、可レ爲二内親王一、余稱唯卷レ之、召二左大辨一下レ之、大辨退下、次光頼來、仰下以二侍從藤原朝臣一〈成通〉爲二内親王別當一之由上、即仰二左大辨一、〈不二召立一〉又示二成通卿一、次成通公教重通公能等卿進二射場一奏レ慶、此間余參二鳥羽一〈北殿〉奏レ慶、土佐守季行朝臣、〈別當〉傳奏、是大將慶也、此間曉鐘頻報、次昇レ堂、家司職事申レ慶了、余退出、〈東三條〉大將饗三獻間、新大納言奏二院宣一、送二親王名字勘文一曰、依二閤下定申本一勘申、依二壽諱一不レ被レ用、依レ仰重擇申也、見二件勘文一、載二姝擇好三字一、申曰、禮儀中間不レ能レ勘二文書一、但姝擇無二殊

p.1461 難一歟、如レ此事、被レ問二太政大臣一、被レ用下被二定申一趣上可レ宣歟、　廿九日庚戌、頭光頼朝臣來曰、内親王改二壽子一爲二姝子一〈◯鳥羽皇女〉者、示下可二書下一之由上、即書二檀紙一授レ之、

〔兵範記〕

p.1461 仁安三年八月廿七日丙辰、〈◯中略〉
太政官符中務省
　惇子内親王
右内親王所レ定如レ件、省宜二承知依レ件行一レ之、符到奉行、
正四位下行權右中辨平朝臣　　　　　　左大史正六位上兼皇太后宮少屬中原朝臣
　　仁安三年八月廿七日

〔百練抄〕

〈十四四條〉

p.1461 貞永元年十一月廿四日庚午、當今〈◯四條〉同胞妹親王宣旨也、御名字暐子、〈◯一代要記 子ニ作ル〉式部大輔爲長卿擇申、

〔平戸記〕

p.1461 延應二年〈◯仁治元年〉四月廿一日、今夜兩姫宮被レ下二親王宣旨一、大府卿勘二申兩御名字一、〈注二載一紙一〉以二消息一付二頭辨一云々、白河姫宮〈後高倉院姫宮也、先年御出家了、〉御名〈能子〉持明院姫宮〈今上姉也◯四條異母姉〉御名〈子◯百練抄暉子ニ作ル〉之由被二定仰一、不レ被レ問二人々一、只今申二合入道殿一給云云、

〔百練抄〕

〈十四四條〉

p.1461 仁治元年四月廿一日乙卯、親王宣旨、暉子、内親王、〈後堀川院御女〉能子内親王、〈後高倉院御子〉

〔後深心院關白記〕

p.1461 貞治三年正月五日、裏書、傳聞叙位以前有二立親王宣下一、上卿藤中納言、今上〈◯後光嚴〉女一宮、御名治子、今夜即令レ預二別給一給云々、

〔實麗卿記〕

p.1461 文久元年四月十九日丁丑、内親王〈◯仁孝皇女親子〉宣下也、〈◯中略〉先内大臣〈齊〉入二敷政門一著陣、〈◯中略〉職事長順朝臣來下二御名字一、内府被二結申一、長順朝臣仰二仰詞一退入、〈◯中略〉次内府仰二官人一召レ辨、權右中辨博房著レ軾、内府賜二御名字一、博房結申、内府被レ仰二仰詞一、博房退仰レ史、次長順朝臣著レ軾、仰下以二權大納言藤原朝臣一可レ爲二勅別當一之由上退入、

〔言成卿記〕

p.1462 文久元年四月十九日、今日和宮御諱親子、内親王宣下陣儀、巳刻、上卿内大臣、〈齊敬〉中山大納言、〈忠能勅別當〉三條西中納言、〈季知〉右宰相中將、〈實麗〉家司敬直朝臣、〈中務大輔〉實梁〈侍從〉職事長季、〈小倉大夫〉教久〈錦織大夫〉云云、

〔新儀式〕

〈五臨時下〉

p.1462 内親王初謁事
内親王年七八歳、有二初謁事一、先定二吉日時一、〈用二夜時一〉當日晩景、垂二東廂御簾一、御帳中立二倚子一、撤二晝御座一、時剋皇上著二御御座一、親王進出當二御座一、於二東廂一肅拜退、更召給レ祿、〈白褂一重、延長五年、康子親王之時、件祿納二御匣一也、中宮職給二男女房饗一、〉又親王乳母給レ祿、〈各襖子一領〉或有下給二其什物等一之事上、

内親王叙品

〔儀式〕

〈八〉

p.1462 正月八日叙二内親王以下一儀
皇帝未レ御二紫宸殿一之前、掃部寮立二漆案於内廂一、〈當二御座一〉皇帝既御、内侍置二位記筥於大臣之座前一、〈掃部寮預立レ案〉即臨二東檻一喚二大臣一、大臣稱唯、升レ殿就レ座、大臣喚二内豎一二聲、内豎稱唯、入立二東庭一、大臣宣喚二中務省一、内豎稱唯出喚、輔以上〈若筥多丞隨レ之〉稱唯、入レ自二日花門一立二東庭一、大臣宣參來、輔唯、卿先升受二三位以上位筥一、置二於案上一退下、次輔昇進置二五位以上筥於同案一退下、次大臣退下、内侍率二可レ被レ叙者一列二南廂一、東面北上、異位重行、卿先昇叙之退、〈出二宣仁門一、輔亦同、〉次輔昇、叙レ之退下、其被レ叙者、隨レ叙北面東上立、肅拜訖引還、掃部寮昇却レ案、

〔延喜式〕

〈十二中務〉

p.1462 凡叙二内親王以下品位一者、卿叙二品及三位已上一、輔敍二五位已上一、其授二宮人位一畢下二知縫殿寮一、

〔續日本紀〕

〈三十六光仁〉

p.1462 寳龜十一年十一月丁亥、授二四品彌努摩内親王三品一、

〔日本後紀〕

〈十二桓武〉

p.1462 延暦廿三年正月辛巳、曲二宴某内親王〈◯高志〉之房一、授二親王三品一、〈淳和贈皇后也〉

〔扶桑略記〕

〈二十九後三條〉

p.1462 延久元年六月十九日甲寅、第一内親王聰子叙二一品一、〈◯中略〉俊子内親王敍二二品一、佳子篤子兩内親王各叙二三品一、

内親王待遇

〔令義解〕

〈一後宮職員〉

p.1462 凡内親王、女王、及内命婦、朝參行立次第者、各從二本位一、

〔續日本紀〕

〈六元明〉

p.1462 靈龜元年二月丁丑、勅、以二三品吉備内親王男女一皆入二皇孫之例一焉、

p.1463 ◯按ズルニ、吉備内親王ハ、文武天皇ノ皇妹ニシテ、長屋王ノ妃ナリ、其ノ男女王ハ、内親王ノ子ナルヲ以テ、夫王ノ世系ニ關セズ、特ニ皇孫ノ列ニ入レラレシナリ、

〔續日本紀〕

〈一文武〉

p.1463 三年九月丙子、新田部皇女薨、勅二王臣百官人等一會レ葬、天智天皇之皇女也、

〔續日本紀〕

〈三十五光仁〉

p.1463 寳龜九年五月癸酉、三品坂合部内親王薨、遣二從四位下壹志濃王等一監二護喪事一、所レ須並官給レ之、天皇爲レ之廢朝三日、内親王天宗高紹天皇〈◯光仁〉異母姊也、

〔續日本紀〕

〈三十六光仁〉

p.1463 天應元年二月丙午、三品能登内親王薨、遣二右大辨正四位下大伴宿禰家持、刑部卿從四位下石川朝臣豐人等一監二護喪事一、所レ須官給、遣二參議左大辨正四位下大伴宿禰伯麻呂一就レ第宣レ詔曰、天皇大命〈良麻止〉能登内親王〈爾〉告〈與止〉詔大命〈乎〉宣、此月頃間身勞〈須止〉聞食〈氐、〉伊都之〈可〉病止〈氐〉參入〈岐、◯岐恐氐誤〉朕心〈毛〉慰〈米〉麻佐〈牟止、〉今日〈加〉有〈牟〉明日〈加〉有〈牟止〉所念食〈都々〉待〈比〉賜間〈爾、〉安加良米佐〈須〉如レ事〈久、〉於與豆禮〈加毛〉年〈毛〉高〈久〉成〈多流〉朕〈乎〉置〈氐〉罷〈麻之奴止〉聞食〈氐奈毛、〉驚賜〈比〉悔〈備◯此下恐脱二賜比二字一〉大坐〈須、〉如レ此在〈牟止〉知〈末世婆〉心置〈氐毛〉談〈比〉賜〈比〉相見〈氐末之〉物〈乎、〉悔〈加毛〉哀〈加毛〉云〈部◯部上恐脱二牟須二字一〉不レ知、然〈毛之〉在〈加毛、〉朕〈波〉汝〈乃〉志〈乎波〉蹔〈久乃〉間〈毛〉忘得〈末之自美奈毛〉悲〈備〉賜〈比〉之乃〈比〉賜〈比〉大御泣哭〈川川〉大坐〈麻須、〉然〈毛〉治賜〈牟止〉所念〈之〉位〈止奈毛、〉一品贈賜〈不、〉子等〈乎婆〉二世王〈爾〉上賜〈比〉治賜〈不、〉勞〈久奈〉思〈麻之曾、〉罷〈麻佐牟〉道〈波、〉平幸〈久〉都々〈牟〉事無〈久、〉宇志呂〈毛〉輕〈久〉安〈久〉通〈良世止〉告〈與止〉詔天皇大命〈乎〉宣、内親王天皇之女也、適二正五位下市原王一、生二五百井女王、五百枝王一、薨時四十九、
◯按ズルニ、五百井女王、五百枝王等ハ、内親王ノ子タルヲ以テ、夫王ノ世系ニ關セズ、二世王トセラレシナリ、

〔三代實録〕

〈四清和〉

p.1463 貞觀二年閏十月廿日丙寅、無品同子内親王薨、帝不レ視レ事三日、内親王者淳和太上天皇之皇女也、母池子丹墀氏、從五位上門成之女也、　廿五日辛未、是日任二同子内親王裝束山作等司一、從四位下行越中權守房世王爲二裝束司長官一、治部少輔從五位下安倍朝臣房上爲二次官一、判官二人、主典二人、散位從五位下廣山王爲二山作司長官一、從五位下藤原朝臣大野爲二次官一、判官二人、主典二人、喪

p.1464 家辭而不レ受、

〔三代實録〕

〈六清和〉

p.1464 貞觀四年二月廿五日甲子、无品有子内親王薨、淳和太后奏二請不一レ被レ任二葬儀司一、詞旨懇切、因而不レ任、輟レ朝三日、内親王者、淳和太上天皇之女也、母贈皇后〈諱高志〉桓武天皇之女、生二一男三女一焉、

〔類聚符宣抄〕

〈四〉

p.1464 被二右大臣宣一偁、紀内親王〈◯桓武皇女〉薨之由今日奏聞既訖、宜丁仰二辨官一始レ自二今日一、令丙神祇官獻乙御贖物甲者、
　　仁和二年六月廿九日　　　　　　　　　　　　　　　　大外記大藏善行〈奉〉
　即日仰二告當直左少史凡春宗一訖

〔類聚符宣抄〕

〈四〉

p.1464 中納言兼右近衞大將藤原朝臣師尹宣、奉レ勅一品康子内親王〈◯醍醐皇女〉今月六日薨、須三依レ例任二葬官一、而依二喪家辭申一停レ任二件官一者、
　　天暦十一年〈◯天徳元年〉六月十日　　　　　　　　　　　　　少外記國公眞〈奉〉

〔日本紀略〕

〈四村上〉

p.1464 天徳元年六月六日辛酉、一品康子内親王薨、〈醍醐第十四皇女〉給二賻物一、件薨胞衣不レ下之故也、於二右大臣〈◯藤原師輔〉坊城第一薨、　十日乙丑、御躰御卜如レ例行レ之、天皇不レ服二錫紵一以前有二御卜奏一、於二禁中一儀於二陣外一奏レ之、此間故康子内親王家別當掃部頭藤原在滋、於二待賢門一付二外記一申云、今日親王葬送也、葬官不レ可レ任之由有二遺誡一者歟、有二薨奏事一、今日以後三箇日、不レ可レ有二音樂一之由仰二内豎一畢、今夕件内親王、葬二西八條東河島邊一、

〔續世繼〕

〈六志賀の御禊〉

p.1464 女宮は一品宮とておはしましヽは、禧子の内親王〈◯鳥羽皇女〉とて、賀茂のいつきにたち給へりし、御なやみにてほどなくいで給ひにき、長承二年十月十一日御とし十二にてかくれさせ給にき、〈◯中略〉廿七日薨奏とてこのよし内裏に奏すれば、三日は廢朝とて御殿のみすもおろされ、なに事もこゑたてヽそうすることなど侍らざりけり、みかど〈◯崇徳〉は御いもうとにおはしませば御ぶくたてまつりなどしけり、もんもなき御かふり、なはえいなどきこえて、年中行

p.1465 事の障子のもとにてぞたてまつりける、みかどは日かずを月なみのかはりにせさせ給なれば、三日御ぶくとぞきこえける、

〔百一録〕

p.1465 延寳二年九月十二日、夜陰永井伊賀守、同大學上著、女一宮〈江◯靈元皇女〉爲二呉服料一、黄金百兩年々可レ有二進呈一之由申來、本院〈◯明正〉御所〈ヘ〉金千兩、是者當年耳、

〔百一録〕

p.1465 延寳九年八月廿三日、新院姫宮〈◯後西院皇女〉様ヘ御合力米貮百石

内親王家令

〔令義解〕

〈一家令職員〉

p.1465 親王、〈内親王准レ此、但文學不レ在二此例一、〉
◯按ズルニ、家令以下ノ職員ハ、上文親王家令ノ條ニ掲ケタリ、故ニ今又此ニ贅セズ、

〔類聚國史〕

〈百六十五祥瑞〉

p.1465 延暦十六年六月辛酉、三品朝原内親王獻二白雀一、御監及家司(○○○○○)等、賜レ物有レ差、

内親王品田

〔延喜式〕

〈二十二民部〉

p.1465 凡授二品田一者、親王内親王其數一同、

内親王食封

〔日本書紀〕

〈二十九天武〉

p.1465 五年八月丁酉、親王以下小錦以上大夫、及皇女姫王内命婦等、給二食封一各有レ差、

〔續日本紀〕

〈三文武〉

p.1465 慶雲元年正月壬寅、詔、御名部内親王、〈◯中略〉益二封各一百戸一、

〔續日本紀〕

〈六元明〉

p.1465 和銅七年正月己卯、益二二品氷高内親王〈◯刊本脱二内親二字一、據二本書下文及日本紀略一補、〉食封一千戸一、

〔續日本紀〕

〈六元明〉

p.1465 靈龜元年正月甲午、三品泉内親王、四品水主内親王、長谷部内親王、益二封各一百戸一、

〔日本紀略〕

〈十一一條〉

p.1465 寛弘四年正月戊午、勅、二品脩子内親王叙二一品一、年官年爵准二三宮一、本封外加二千戸一、

猶子

〔御湯殿の上の日記〕

p.1465 天文廿二年正月廿八日、ひめ宮〈◯後奈良皇女聖秀尼王〉の御方、ぶけ〈◯足利義晴〉の御ゆうじになし參らせらるヽとて、ぶけへ十かう十か、みだいへ五かう五か參らせらるヽ、これは廿五日の御事なり、けふどんげ院どのへさだめ參らせられて、御てらより五かう五か參る、ひめ宮の御かたならしまして、ほうくわうあんまゐられて、御さか月まゐる、めでたし、　十二月十一日、ひめ宮の御かた、どんげ院どのへ御入室にて、すけ殿、ながはし御まゐり、てんきよく、すが〳〵とくわん御なりて、めでたし、御てらより十かう十か參る、御じゆかいあり、

皇女降嫁臣下

〔日本紀略〕

〈二朱雀〉

p.1466 元慶元年十一月五日、四品勤子内親王薨、〈先帝（醍醐）第二皇女、中納言師輔室、〉

〔一代要記〕

〈四醍醐〉

p.1466 韶子内親王〈帝六女、延喜廿年二月十七日爲二親王一、始配二大納言源清蔭一、後配二河内守橘惟風一、〉

〔皇胤紹運録〕

p.1466 小一條院儇子内親王〈配二權中納言信家一、三條院爲レ子、〉

〔勘仲記〕

p.1466 弘安七年八月十四日己未、抑今夕内大臣殿〈◯藤原家基〉令レ迎二新院〈◯龜山〉皇女一、〈十六歳〉日來與二按察二品一御同宿云々、俄有二此儀一、頗希代之例也、上皇密々御二幸二品第一、御出立事有二叡覽一云云、御車自二内府一被レ進レ之、侍二人、殿上人一人云々、密々儀云々、忠仁公嘉例云々、頻髣髴歟、今度時宜定有二子細一歟、

〔執次詰所本御系譜〕

p.1466 後陽成院清子内親王
爲二鷹司關白信尚公北政所一　慶長六年十二月九日内親王宣下
貞子内親王
爲二二條太閤康道公北政所一〈◯節略〉

〔執次詰所本御系譜〕

p.1466 後水尾院昭子内親王

p.1467 爲二近衞關白左大臣尚嗣公北政所一　寛永十三年十一月廿三日嫁二于近衞殿一　同十四年十二月八日内親王宣下〈◯節略〉

〔百一録〕

p.1467 元祿十五年八月廿六日、近衞關白〈◯基熈〉御臺級宮〈◯常子〉御方薨御、六十四歳、號二無上法院一、後水尾院姫君、廢朝三箇日、市井同斷禁レ之、

〔百一録〕

p.1467 貞享三年七月廿三日、後西院姫宮賢宮〈◯益子〉爲二内親王一、上卿今出川大納言、八百宮御妹也、　廿五日、今夜九條大納言殿〈◯輔實〉御二簾入于賢宮御方一、中筋通故准后新廣儀門院舊御所云々、　廿七日、賢宮移二徒于九條殿新造之御殿一、從二二條一辻固勤レ之、前驅殿上人、扈從公卿三輩、綾小路、清閑寺相公、伏原三品、

〔執次詰所本御系譜〕

p.1467 靈元院吉子内親王
正徳四年八月廿二日生、號二八十宮一、　同五年八月廿七日爲二征夷大將軍家繼公〈◯徳川〉御臺所一　同六年二月十八日有二結納之儀一、東使阿部豐後守正喬、　同四月三十日家繼公薨去、依レ之在二住皇都一、　享保十一年十一月廿八日内親王宣下〈◯節略〉

〔基熈公記〕

p.1467 正徳五年五月廿三日戊午、前攝政被レ來、今度於二關東一執權中、兩傳奏へ申旨有レ之、大樹御嫁縁之事也、申二請院姫宮一度云云、子細難レ記レ之、只歎息而已、兩傳奏今日可レ奏レ院云云、委事前攝政可レ有二注記一、嗚呼々々、遣二書状東武一有二要用一故也、依二上件事一、自二前攝政一被レ遣二飛脚一了、

〔有章院殿御實紀〕

〈十三〉

p.1467 正徳五年九月廿九日、群臣總出仕あり、法皇〈◯靈元〉の姫宮御定婚あり、御入輿あるべきよし仰出さる、　十月三日、御定婚により、日光山御宮に代參使を立らる、　五日、阿部豐

p.1468 後守正喬、御入輿の事總督を仰付られ、來春納采の御使をも命ぜらる、　十六日、こたび御定婚ありし法皇の姫宮を、八十の宮御方と稱し奉るべき旨仰出さる、

〔有章院殿御實紀〕

〈十四〉

p.1468 正徳六年〈◯享保元年〉二月五日、阿部豐後守正喬、納采の御使として發足す、其御贈物は、八十宮の御方に紅白練絹百端、色絹百匹、緞子百卷、五種五荷、主上〈◯中御門〉へ守次の御大刀、金三十枚、三種二荷、法皇へ宗恆の御大刀、金五十枚、三種二荷、女院に銀二百枚、二種一荷、　閏二月廿一日、阿部豐後守正喬、京より歸り謁し、荼苧島大刀馬料の金を獻る、　廿二日、御納采を賀し、群臣出仕して宰臣に謁す、萬石以上の人々、宿老御側用人少老の宅にまかりて賀す、　廿三日、きのふの事により、萬石以下の人々諸老臣に詣賀す、致仕臥病、并に幼稚の輩使者を出し、在封の人々より使札を獻ず、

〔有章院殿御實紀〕

〈十五〉

p.1468 正徳六年〈◯享保元年〉三月七日、勅使徳大寺右大將公全卿、庭田前大納言重條卿、法皇使東園前中納言基雅卿、引見あり、〈◯中略〉御納采の御祝とて、大内より御大刀一振、馬料金三枚、三種二荷、院より御大刀一振、馬料の金五枚、三種二荷、女院より一枚、〈◯下略〉

〔執次詰所本御系譜〕

p.1468 今上〈◯仁孝〉皇女
弘化三〈午〉年閏五月十日降誕　同月十七日號二和宮一　嘉永四年七月十二日有栖川帥宮御縁組御治定

〔言成卿記〕

p.1468 文久元年四月十九日、今日和宮御諱、親子内親王宣下、

〔議奏言渡〕

p.1468 萬延元年八月廿六日、從二殿下一〈◯九條尚忠〉以二御世話卿一和宮〈江〉被二申上一相濟、御縁組御延引御理

p.1469 被二聞食一候旨、可レ申二渡于有栖川宮殿下一垂レ命、則被二申渡一候旨武傳被レ示、少選御受被レ示候、此由以二大御乳人一申入候、

〔實麗卿記〕

p.1469 萬延元年十月十八日、巳刻參内、如二日來一、今日若狹侍從、横瀬侍從等、參内有二御對面一、和宮御縁組之事、御許容被二仰出一、〈◯中略〉右大將以二一紙一被レ示續レ左、
和宮御縁組之事、自二關東一再三被二懇願一候に付、正徳年中八十宮御約定、〈并〉東福門院〈◯後水尾后徳川秀忠女〉御入内之御例も被レ爲レ在候儀、且深思食も被レ爲レ在候間、御許容被二仰出一候事、
酉下刻退出、直參二和宮一申談有二子細一、又爲二御使女房一〈越後大御乳人代云云〉御縁組御許容之事、被二仰進一、〈◯下略〉
◯按ズルニ、和宮ハモト有栖川家ニ婚儀治定アリシヲ、後改メテ徳川家茂ニ降嫁セラレシナリ、

廢内親王

〔續日本紀〕

〈二十九稱徳〉

p.1469 神護景雲三年五月壬辰、詔曰、不破内親王者、先朝有レ勅削(○)二親王名(○○○)一、而積惡不レ止、重爲二不敬一、論二其所犯一、罪合二八虐一、但縁レ有レ所レ思、特宥二其罪一、仍賜二厨眞人厨女姓名一、莫レ令レ在二京中一、

〔續日本紀〕

〈三十二光仁〉

p.1469 寶龜三年十二月戊午、復二厨眞人厨女屬籍一、

〔類聚國史〕

〈八十七刑法〉

p.1469 寶龜三年十月壬子、中務大輔從五位上兼少納言信濃守菅生王、坐レ姧二小家内親王一除名、内親王(○○○)削(○)二屬籍(○○)一、