帝王部/諡號

p.0915 諡號ニ二種アリ、其一ヲ國風諡ト爲ス、文武天皇ノ朝ニ、持統太上天皇ニ諡シテ大倭根子天之廣野日女尊ト稱シ奉ル是ナリ、此外文武、聖武、光仁、桓武、平城、淳和ノ六天皇、並ニ國風諡アリ、孝謙天皇天平勝寳八載、聖武太上天皇崩ジ給フ、勅シテ曰ク、太上天皇出家佛ニ歸ス、更ニ諡ヲ奉ラズト、又孝謙天皇紀ノ首ニモ、寳字稱徳孝謙皇帝ノ生前尊號ヲ標シテ、出家佛ニ歸ス、更ニ諡ヲ奉ラズ、因テ寳字二年、百官上ル所ノ尊號ヲ取テ之レヲ稱ストアリ、國風諡ヲ奉上セザルヲ云フナリ、然レドモ聖武天皇ハ、寳字二年更ニ諡シテ天璽國押開豐櫻彦尊ト稱シ奉レリ、
其二ヲ漢風諡ト爲ス、其制大寳令ニ始テ見エタリ、公式令ニ天皇諡ノ目アリテ、義解ニ、諡ハ生時ノ行迹ヲ累テ死後ノ稱ト爲ス、即チ天地ヲ經緯スルヲ文ト爲シ、亂ヲ撥キ正ニ反スヲ武ト爲ス類ヲ云フトアリ、是全ク漢土ノ制ニ傚ヘル故ニ、今目シテ漢風諡ト云フ、〈漢風ノ二字ハ、天平寳字三年六月紀ニ見エタリ、〉神武天皇以下、漢字音ヲ以テ稱スル所ノモノ是ナリ、神武等ノ諡號ハ、淡海御船勅ヲ奉ジテ撰ブト云フ、或ハ淡海公〈藤原不比等〉ノ撰ブ所トモ云フ、諸説詳ニ本文ニ見エタリ、凡漢風諡號ヲ以テ稱スルモノ、神武、綏靖、安寧、懿徳、孝昭、孝安、孝靈、孝元、開化、崇神、垂仁、景行、成務、仲哀、應神、仁徳、履中、反正、允恭、安康、雄略、清寧、顯宗、仁賢、武烈、繼體、安閑、宣化、欽明、敏達、用明、崇 p.0916 峻、推古、舒明、皇極、齊明、〈皇極ノ重祚〉孝徳、天智、弘文、天武、持統、文武、元明、元正、聖武、淳仁、光仁、桓武、仁明、文徳、光孝、崇徳、安徳、顯徳、〈後鳥羽天皇ノ初號〉順徳、仲恭、光格、仁孝、孝明天皇ニシテ、而シテ舊史漢風諡奉上ノ事ヲ明記セルモノ、聖武、光仁、崇徳、安徳、顯徳、順徳ノ六天皇ニ過ザルナリ、按ズルニ、聖武ハ、淳仁天皇ノ天平寳字二年ニ上ル所ノ尊號ニシテ、勝寳感神聖武皇帝ノ略稱ナリ、〈天平寳字三年六月紀ニ、聖武皇帝ト見ユ、然レドモ延喜ノ諸陵式ニハ、猶正シク勝寳感神聖武天皇トアリ、〉其崇徳、順徳、及ビ後鳥羽天皇ノ初號顯徳ノ如キハ、當昔所謂院號〈即チ御在所號〉ノ慣例ニ准ジ、或ハ謂テ院號トモ云ヘリ、一條兼良ノ説ニ、此三天皇ハ遠島ニテ崩御アリシヲ以テ、院號ヲ撰デ贈ラレタリトアリ、蓋シ、尋常漢風諡ト一例ニ視ルベカラザルヲ云フナルベシ、又弘文、淳仁、仲恭三天皇ノ諡號ハ、明治三年、始テ追上セラレシ所ナリ、抑漢諡ノ制、順徳天皇以來永ク廢典トナリタリシニ、近世光格天皇崩御ノ時、更ニ復興セラレタリ、又漢諡ニ一帝二諡ノ例アリ、皇極天皇ノ再祚ニ齊明ト稱シ奉ル是ナリ、此後孝謙天皇ノ再祚ニ稱徳ノ稱アレドモ、是レ生前ノ一尊號ヲ前後ニ分稱セシモノニシテ、一帝二諡ノ例ニハアラザルナリ、
御在所號アリ、世ニ之レヲ院號ト云フ、清和天皇位ヲ遜レテ清和院ニ坐セシヲ以テ、清和天皇ト稱シ奉ル類是ナリ、又追號アリ、一條院天皇曾テ一條院ニ坐セシヲ以テ、崩後、一條院ト稱シ奉ル類是ナリ、凡御在所號ニハ皇居號ニ因レルモノアリ、一條院ノ如キ是ナリ、仙院號ニ因レルモノアリ、清和ノ如キ是ナリ、寺院號ニ因レルモノアリ、花山、圓融ノ如キ是ナリ、今其生前崩後ニ拘ハラズ、御在所號ヲ以テ稱シ奉ル所ノ天皇ヲ列擧スレバ、平城、嵯峨、淳和、清和、陽成、朱雀、冷泉、圓融、花山、一條、三條、白河、堀河、鳥羽、近衞、二條、六條、高倉、四條、龜山、伏見、光嚴、〈北朝〉光明、〈同上〉正親町、櫻町ノ如キ是ナリ、又別ニ仙院ヲ以テ一ノ稱號トスルモノアリ、奈良、〈平城〉西院、〈淳和〉亭子院、〈宇多〉ノ如キ是ナリ、此他嵯峨天皇ニ冷泉、宇多天皇ニ朱雀、六條、白河天皇ニ六條、鳥羽、 p.0917 後鳥羽天皇ニ水無瀬、仲恭天皇ニ九條廢帝、〈又後廢帝トモ云ヒ、一ニ半帝トモ稱シ奉ル、〉後深草天皇ニ常磐井、富小路、龜山天皇ニ禪林寺、萬里小路、後宇多天皇ニ大覺寺、伏見天皇ニ持明院、花園天皇ニ萩原、後村上天皇ニ住吉、後龜山天皇ニ小倉等ノ別號アレドモ、今皆闕略ニ從ヒ、一ニ著聞ナルモノノミヲ掲グ、
陵地號アリ、醍醐、村上二天皇ノ如キ是ナリ、世或ハ宇多天皇ヲ以テ陵地號トスレドモ、今斷ジテ之レヲ御在所號ト爲ス、又陵地號ヲ以テ一ノ稱號トスルモノアリ、高野、〈孝謙〉後田原、〈光仁、皇考施基親王ヲ田原天皇ト稱ス、〉柏原、〈桓武〉深草、〈仁明〉田邑、〈文徳〉水尾、〈清和〉小松、〈光孝〉後山科〈醍醐〉ノ如キ是ナリ、此他欽明天皇ニ檜隈、聖武天皇ニ佐保、醍醐天皇ニ小野ト稱シ奉ル如キ、世ニ著聞ナラザルモノハ、今皆闕略セリ、
前帝號〈院號追號ノ類〉ニ後字ヲ加ヘテ稱號トスルモノアリ、後一條、後朱雀、後冷泉、後三條、後白河、後鳥羽、後堀河、後嵯峨、後深草、後宇多、後伏見、後二條、後醍醐、後村上、後龜山、後光嚴、〈北朝〉後圓融、〈同上〉後小松、後花園、後土御門、後柏原、後奈良、後陽成、後水尾、後光明、後西院、後櫻町、後桃園天皇ノ如キ是ナリ、中ニ就キ、前帝ノ一稱號ニ、後字ヲ加ヘテ追號トスルモノ、後深草、〈深草ハ、仁明ノ一號〉、後小松、〈小松ハ、光孝ノ一號、〉後柏原、〈柏原ハ、桓武ノ一號、〉後奈良、〈奈良ハ、平城ノ一號、〉後水尾、〈水尾ハ、清和ノ一號、〉後西院〈西院ハ、淳和ノ一號、〉ノ六天皇アリ、
追號ノ遺詔ニ出ヅルモノアリ、白河、後深草、龜山、後宇多、後伏見、花園、後嵯峨、光嚴、〈北朝〉光明、〈同上〉崇光、〈同上〉後圓融、〈同上〉後小松、後水尾、是ナリ、中ニ就キ、花園、崇光〈北朝〉ノ二天皇ヲ除キ、他ノ十一天皇號ノ事ハ已ニ前ニ述ベタリ、
前代天皇ノ漢諡及ビ尊號ヲ、彼此一字ヅヽ併用シテ追號トスルモノアリ、稱光、〈稱徳、光仁、〉明正、〈元明、元正、〉靈元、〈孝靈、孝元、〉ノ如キ是ナリ、
追號ノ意義未ダ詳ナラザルモノアリ、土御門、東山、中御門、桃園ノ四天皇是ナリ、 p.0918 此他國名ヲ以テ一ノ稱號トスルモノアリ、淡路廢帝、〈淳仁〉讃岐院、〈崇徳〉隱岐院、〈後鳥羽〉土佐院、〈土御門〉阿波院、〈同上〉佐渡院、〈順徳〉ノ如キ是ナリ、
又當時ノ年號ヲ以テ稱スルアリ、仁和帝、〈光孝〉寛平法皇、〈宇多〉延喜帝、〈醍醐〉天暦帝、〈村上〉ノ如キ是ナリ、別ニ一種胎中天皇、〈應神〉聖帝、〈仁徳〉有徳天皇、〈雄略〉大惡天皇、〈同上〉至徳天皇、〈皇極〉太后天皇、〈持統〉太皇后天皇、〈同上〉法師天皇、〈聖武〉帥天子、〈安徳〉田村院、〈靈元〉ノ如キアレドモ、今ハ省キテ擧ゲズ、
古代ニ在テ一種ノ稱號ト云フベキモノアリ、垂仁天皇ヲ卷向玉城宮御宇天皇ト稱シ奉ル如キ、即チ元明天皇ノ遺詔ニ、某國某郡朝廷馭宇天皇ト稱スベシトアルモノ是ナリ、今纔ニ其例證一二ヲ收メテ、他ハ闕略ニ從フ、顧フニ是レ所謂御在所號ノ權輿ナランカ、
又太祖、中宗ハ廟號ナリ、大行天皇ハ未ダ諡ヲ奉ラザル間ノ稱ナリ、共ニ此ニ附載ス、
尊號ハ、其帝徳ヲ賛嘆褒美シテ稱スル所ニシテ、是亦國風漢風ノ二種アリ、其國風尊號ハ、神武天皇ヲ神日本磐余彦尊、又始馭天下之天皇ト稱シ、崇神天皇ヲ御肇國天皇ト稱シ奉ル如キ是ナリ、此他懿徳、孝安、孝靈、孝元天皇ノ御名ニ、大日本ト加稱シ、開化、清寧天皇ノ御名ニ、稚日本ト加稱シ、安閑天皇ヲ武小廣國排盾尊ト稱シ、推古天皇ヲ豐御食炊屋姫天皇ト稱シ奉ルガ如キ、凡ソ此類皆登極後ノ尊號ナルベシ、故ニ今之ヲ此ニ收ム、其漢風尊號ハ、孝謙天皇ヲ寳字稱徳孝謙皇帝ト稱シ奉レル是ナリ、世之レヲ分稱シテ、其前位ニ孝謙ト稱シ、其再祚ニ稱徳ト稱シ奉レリ、

國風諡

〔續日本紀〕

〈三文武〉

p.0918 大寳三年十二月癸酉、諸王諸臣奉レ誄二太上天皇一、〈◯持統〉諡曰二大倭根子天之廣野日女(オホヤマトネコアメノヒロノヒメノ)尊一、〈◯日本書紀ニハ、高天原廣野姫天皇ニ作ル、〉

〔續日本紀〕

〈三元明〉

p.0918 慶雲四年六月辛巳、天皇〈◯文武〉崩、　十一月丙午、誄人奉レ誄、諡曰二倭根子豐祖父(ヤマトネコトヨオホヂノ)天皇一、
◯按ズルニ、本書文武天皇紀ニハ、天之眞宗豐祖父(アメノマムネトヨオホヂノ)天皇ニ作ル、故ニ大日本史ニハ彼此併稱シ

p.0919 テ、倭根子天之眞宗豐祖父天皇ト云ヘリ、此後元明天皇ニ日本根子天津御代豐國成姫(ヤマトネコアマツミシロトヨクニナリヒメノ)天皇ト稱シ、元正天皇ニ、日本根子高瑞淨足姫(ヤマトネコタカミヅキヨタラシヒメノ)天皇ト稱シ奉ルガ如キ、並ニ史ニ明文ノ徴トスルニ足ルモノ無シトイヘドモ、大日本史ニ、諡號トスルモノ是ナルガ如シ、

〔續日本紀〕

〈二十一淳仁〉

p.0919 天平寳字二年八月戊申、勅曰、昔者先帝、〈◯聖武、中略、〉開闢已來、未レ聞二若レ斯盛徳一者也、〈◯中略〉敬依二舊典一、〈◯中略〉諡稱二天璽國押開豐櫻彦(アメシルシクニオシハルキトヨサクラヒコノ)尊一、

〔續日本紀〕

〈三十六光仁〉

p.0919 天應元年十二月丁未、太上天皇〈◯光仁〉崩、　癸丑、〈◯中略〉誄人奉レ誄、上二尊諡一曰二天宗高紹(アマツヒツギタカツガスノ)天皇一、〈◯皇年略代記ニハ、天宗ノ上ニ、日本根子ノ四字アリ、〉

〔日本後紀〕

〈十三桓武〉

p.0919 大同元年三月辛巳、天皇崩二於正寢一、　四月甲午朔、中納言正三位藤原雄友、〈◯中略〉奉レ誄曰、〈◯中略〉畏哉日本根子天皇〈乃〉天地〈乃〉共長〈久、〉日月〈乃〉共遠〈久、〉所レ白將レ去御諡〈止〉稱白〈久、〉日本根子皇統彌照(ヤマトネコアマツヒツギイヤテラスノ)尊〈止〉稱白〈久止〉恐〈牟〉恐〈母〉誄白、臣某、

〔類聚國史〕

〈三十五帝王〉

p.0919 天長元年七月甲寅、平城天皇崩、　丙辰奉レ誄曰、〈◯中略〉畏哉日本根子天皇〈乃〉天地〈乃〉共長〈久、〉日月〈乃〉共遠〈久、〉所レ白將レ去御諡〈止〉稱白〈久、〉日本根子天推國高彦(ヤマトネコアメオシクニタカヒコノ)尊〈止〉稱白〈久止〉恐〈牟〉恐〈母〉誄曰、臣某、

〔續日本後紀〕

〈九仁明〉

p.0919 承和七年五月癸未、後太上天皇〈◯淳和〉崩二于淳和院一、　甲申、〈◯中略〉畏哉日本根子天皇〈乃〉天地〈止〉共長〈久、〉月日〈止〉共遠〈久、〉所レ白將レ往御諡〈止〉稱白〈久、〉日本根子天高讓彌遠(ヤマトネコアメタカユヅルイヤトホシノ)尊〈止〉稱白〈久止〉恐〈美〉恐〈母〉誄白、
◯按ズルニ、凡國風諡ニシテ史ニ載セラレタルモノ、實ニ前掲七天皇ニ過ギズ、此後仁明天皇ヲ日本根子豐聰慧〈皇胤紹運録、一代要記等ニ見ユ、〉ト稱シ奉ルガ如キ、是亦元明元正二天皇ト同ジク國風諡ナルベシ、然レドモ本史ニ闕逸セルヲ以テ、今本項ニ掲ゲズ、

出家不上諡

〔續日本紀〕

〈十九孝謙〉

p.0919 天平勝寳八歳五月乙卯、是日太上天皇〈◯聖武〉崩二於寢殿一、　壬申、勅曰、太上天皇出家歸

p.0920 レ佛、更不レ奉レ諡、所司宜レ知レ之、

〔續日本紀〕

〈十八孝謙〉

p.0920 寳字稱徳孝謙皇帝〈出家歸レ佛、更不レ奉レ諡、因取二寳字二年、百官所レ上尊號一稱之、〉
◯按ズルニ、大鏡一ニ太政大臣といへど、出家しつるはいみなヽし(○○○○○)トアリ、いみなハ即チ諡號ノ義、文忠公〈藤原不比等〉ノ類是ナリ、

漢風諡法

〔令義解〕

〈七公式〉

p.0920 天皇諡〈謂、諡者累二生時之行迹一、爲二死後之稱號一、即經二緯天地一爲レ文、撥レ亂反レ正爲レ武之類也、〉

〔御中陰御佛凡人相違事〕

〈歴代殘闕日記所收〉

p.0920 一依二或人問一太閤所レ答條々〈文明三、四、十二、書寫了、〉
一諡號、追號、此かはりめは、諡をばおくりなとよみて、生時の行跡によりて沒後の號として、仁徳ましまし候へば仁徳天皇と申し、武徳おはしまし候へば桓武天皇と申候、くはしく合ひたる事は候はねども、本説此分にて候、是は徳によりて可レ申候、所名にはよらず候、追號と申すは多分御在所の號、又山陵の號などを用られ候、嵯峨、淳和、陽成などは、御在所の名を御追號に用られ、宇多、醍醐、村上などは、みさヽぎの號にて、光嚴、光明、崇光などは、御庵室の額にて、遺勅によりて被レ用候、これも御在所に准じ、すべておぼしめし候、崇徳、顯徳、〈後鳥羽初御號〉順徳等三代は、遠嶋の御事にて候程に、院號を撰られておくり申され候、近頃稱光院などは此例たるべく候かにて候、然としたる御在所は候はねども、院號に用られ候、安徳天皇などは諡號の准たるべく候、諡號は其人の徳によりたる號にて候程に、後の字を加へて用られたる事は今に其例なく候、又出家の後は諡號なきにて候、是によりて寛平法皇〈◯宇多〉より後は、天子の諡號たえたる事にて候、右兼良公〈◯一條〉言談云云、

始撰定漢風諡

〔釋日本紀〕

〈九述義〉

p.0920 私記曰、師説、神武等諡名者、淡海御船奉レ勅撰也、

〔親長卿別記〕

p.0920 文明三年二月十三日、抑今度舊院〈◯後花園〉御追號事、〈◯中略〉中院大納言〈◯源通秀〉
舊院御追號可レ被レ改哉事重預二下問一、彌迷二勅答一者也、凡諡法事、起二於周道一、遠及二日域一者歟、神武已來、至二

p.0921 文武一四十二代者、是淡海公所レ製事已幽合也、其後儀式、依二平日之徳行一諡號或以二後院御所一證二成追號一、有二山陵之由緒一、有二庵號之遺詔一、彼是非レ一者乎、

〔古事記傳〕

〈十八〉

p.0921 凡て御代御代の漢様の諡のこと、書紀私記に、師説、神武等諡名者、淡海御船奉レ勅撰也とあり、まことに然るべし、〈時は桓武の朝と或説に云るも然るべし、（中略）先續紀を考るに、持統より以來御代御代の天皇崩の時、みな古禮の諡を奉しことのみ見えて、漢様のはすべて見えず、然るに天平寳字二年八月に、寳字稱徳孝謙皇帝と云尊號を奉しことあり、是は當代の御事にて諡には非ざれども、漢様音讀の號の始にぞ有ける、さて同月に、豐櫻彦天皇に勝寳感神聖武皇帝と云尊號を奉らる、是ぞ諡號の漢様の始なる、されど此時も古の歴代天皇の漢諡のさだはなかりき、さて光仁天皇崩坐て、上二尊諡一曰二天宗高紹天皇一とあるは、音讀の漢諡の如聞ゆめれどもさにあらず、なほ古禮の諡なり、文武天皇の天眞宗云々、桓武天皇の皇統云云なども、皇朝様の諡ながら漢めきたるは、やうやくに漢意のまじれる故ぞかし、此天宗高紹天皇も、漢様のは別に光仁と申て、本紀の首にも、細字にて光仁天皇と注せり、續紀の例、凡て古體の諡を標て、其下に漢様のを注せれば、是も其例なること明けし、又此後仁明天皇までは、御代々々皆古禮の諡あれば、光仁天皇にのみ無るべきに非ず、孝謙天皇は出家し賜へるに因て諡を奉らず、かの寳字二年の尊號を用る由見ゆ、嵯峨天皇のは、有けるが傳らざるか、又元より無りしか物に見えず、此二御代の餘は、仁明まで皆有なり、如此て桓武天皇の御代に至て、かの御船眞人の在せし延暦四年七月までの間にぞ、神武より光仁までの漢様の諡は撰定めしめ賜ひけむ、其證は、延暦十六年に成れる續紀に、古の天皇たちのも往々見えたり、第一卷に天武天皇天智天皇などある類是なり、然るに如此く漢諡を以て記されたる處を考るに、皆撰者の文のみにして、昔の文を載たるには、皆某宮御宇天皇、或は某宮朝などとのみありて、漢諡は見えたることなし、これらを以て、撰ばれたる時を定むべし、然るに甘露寺親長卿記などに、文武天皇の御世に、淡海公藤原不比等に勅して定めしめ賜へる由あるは、委曲も考へざる浮たる説なり、そは淡海御船てふ人は、世に聞なれざる故に、ゆくりなく淡海公に思ひまがへて、桓武の御世をも文武と誤れるものなり、〉

〔比古婆衣〕

〈五〉

p.0921 古事記傳漢様御諡附考
延暦より前に、既に漢ざまの御諡を奉られし事は、淡海御船眞人の、天平勝寳三年十一月に撰める由序せる懷風藻に、文武天皇と題て御詩を載たり、序文に作者六十四人、具題二姓名一、並顯二爵里一、冠二篇首一と記したれば、此御諡は素より、然題記したりしなり、さて其天平勝寳三年は、孝謙天皇の御世にて、御船眞人は廿五の齡にて、いまだ姓を賜はらざりし時に當れり、故按に文武天皇は、天縱寛仁、慍不レ形レ色博渉二經史一と續日本紀に載られ、〈◯中略〉さるにあはせて次の御代元明天

p.0922 皇の御時、この天皇に特に始て、漢様の御諡を奉られたるにぞあるべき、〈◯中略〉猶其證とすべき事は、伊福部臣徳足比賣の墓誌に、〈安永三年、因幡國法美郡、府中と云處にて堀出せる也、〉藤原大宮御宇〈大行〉天皇〈大行の字、右の方へよせて小さく書たり、〉御世、慶雲四年歳次丁未春二月二十五日、從七位下被レ賜仕奉、和銅元年歳次戊申秋七月一日卒云々、故謹録レ錍、和銅三年十一月十三日己未と記せる、大行天皇は文武天皇の御事なるを、しか大行としも稱せるは、漢國にて王の死て諡せぬ間の稱なるを、其頃まねばせ給へるにて、〈◯中略〉其は此天皇慶雲四年六月辛巳〈十五日〉に崩給ひたるに、始て漢様の御諡を奉らるべき御定ありて、諒闇はてヽ後奉らるヽまでは、大行天皇と稱し奉るべく御おきてありけるによれるものなるべし、故徳足比賣の卒れる和銅元年七月は、元明天皇いまだ、諒闇にまし〳〵て、いまだ其御諡奉られざりつる間なりければ、當時の御稱をもてしか記せるものなるべし、萬葉集〈一の卷〉に、大行天皇幸二于難波宮一時歌、また大行天皇幸二于吉野宮一時歌と書る、既に岡部翁〈◯眞淵〉の考おかれつるごとく、文武天皇の御事なるを、これもかの御諡奉られざるほどに、記おけるまヽの文なるを、其まヽに書集めたるものなるべし、おもひ合すべし、

漢風諡

〔續日本紀〕

〈二十一淳仁〉

p.0922 天平寳字二年八月戊申、勅曰、子尊二其考一禮家所レ稱、策書二鴻名一古人所レ貴、昔者先帝〈◯聖武〉敬發二法誓一、奉レ造二盧舍那金銅大像一、若有下朕時不上レ得二造了一、願於二來世一改レ身猶作、既而鎔銅已成、塗金不レ足、天感二至心之信一、終出二勝寳之金一、我國家於レ是初有二奇珍一、開闢已來未レ聞二若レ斯盛徳一者也、加以賊臣懷レ惡潛結二逆徒一謀レ危二社稷一良日久矣、而畏二威武一欽二仰仁風一、不二敢競一レ鋒咸自馴服、可レ謂二聖武之徳比レ古有一レ餘也、其不レ奉二揚洪業一、何以示二於後世一、敬依二舊典一、追二上尊號一、策稱二勝寳感神聖武皇帝一、諡稱二天璽國押開豐櫻彦尊一、欲レ使下傳二休名於萬代一與二乾坤一而長施、揚二茂實於千秋一、共二日月一而久照上、普二告遐邇一知二朕意一焉、

〔延喜式〕

〈二十一諸陵〉

p.0922 佐保山南陵　平城宮御宇勝寳感神聖武天皇〈◯下略〉

〔東大寺要録〕

〈一〉

p.0922 天平十八年三月十六日、良辨僧正於二羂索院一、奉二爲大雄大聖天皇、〈◯聖武〉孝謙皇帝、仁

p.0923 聖皇后一、奏二聞公家一、諸寺聽衆相共集會、始行二法花會一、

〔東大寺要録〕

〈八〉

p.0923 東大寺櫻會縁起〈亦名二法花會一〉
敬白、〈◯中略〉以二去天平十八年丙戌三月一、奉二爲挂畏大雄大聖天皇、孝謙皇帝、仁聖大后一、莊二嚴堂閣一、羅二列幡蓋一、〈◯下略〉

〔皇年代略記〕

〈光仁〉

p.0923 天應元年十二月二十三日崩、諡曰二光仁一、

〔玉海〕

p.0923 安元三年〈◯治承元年〉七月廿九日丙寅、後聞、今日被レ行二贈官位、〈◯藤原頼長〉並院號〈◯崇徳〉等事一、〈◯中略〉宜下止二讃岐院號一爲中崇徳院(○○○)上、〈大外記清原頼業奉レ之〉余案レ之、崇徳院號如何、我朝太上天皇贈號未レ聞、若可レ改二讃岐院一者、只可レ稱二土御門土〈◯土恐衍字〉院一歟、崇徳字未二甘心一、通典文云々、永範撰申、上卿隆季卿云々、

〔玉海〕

p.0923 元暦二年〈◯文治元年〉七月三日甲申、先帝〈◯安徳〉御事、示二送頭辨之許一、其状曰、〈◯中略〉禮紙追申、
崇道天皇〈◯桓武廢太子早良〉已下之例、或爲二太子一或爲二親王一、仍贈二帝王之號一其理可レ然、不レ似二今度之儀一、院號條又不レ叶二物議一歟、仍只以二諡號一可レ爲レ詮歟、如レ此間事委可レ有歟、

〔玉海〕

p.0923 文治三年四月廿三日甲午、被レ下二先朝〈◯安徳〉諡號勅一、〈延暦例也〉

〔百練抄〕

〈十四四條〉

p.0923 延應元年五月廿九日戊戌、侍從中納言〈爲家〉參著、召二大外記師兼一仰云、以二隱岐院一、〈◯後鳥羽〉可レ奉レ號二顯徳院(○○○)一者、依二治承崇徳院例一、無二勅書一、只外記承存許也、件諡號字、式部大輔爲長卿勘申、
◯按ズルニ、後仁治三年ニ至リテ、顯徳院ヲ改メテ、更ニ後鳥羽院ト改稱セラレタリ、下文加二後字一襲二前號一ノ條、參看スベシ、

〔百練抄〕

〈十六後深草〉

p.0923 建長元年七月廿日己丑、被レ行二佐渡院追號事一、〈順徳院(○○○)〉

漢風諡中絶

〔神皇正統記〕

〈冷泉〉

p.0923 この御門より天皇の號を申さず、また宇多よりのち諡をたてまつらず、遺詔ありて國忌山陵をおかれざることは、君父のかしこき道なれど、尊號をとヾめらるヽことは、臣子の義にあらず、神武以來の御號も、みな後代のさだめなり、持統元明よりこのかた、遜位あるひは

p.0924 出家の君も諡をたてまつる、天皇とのみこそ申すめれ、中古の先賢の義なれども、こヽろを得ぬ事に侍るなり、
◯按ズルニ、諡ヲ奉ラザルコトハ、宇多天皇ニ起ルニアラズ、聖武、孝謙、稱徳等ノ御名モ、諡ニアラズシテ尊號ナリ、

〔續日本後紀〕

〈十二仁明〉

p.0924 承和九年七月丁未、太上天皇〈◯嵯峨〉崩二于嵯峨院一、春秋五十七、遺詔曰、〈◯中略〉無レ拘二俗事一、〈謂二諡誄（中略）等事一〉

〔李部王記〕

〈醍醐寺雜事記所引〉

p.0924 延長八年九月廿九日、丑時院〈◯醍醐〉御病大漸、〈◯中略〉左大臣〈◯藤原忠平〉進二御所一、〈◯中略〉還レ陣乃命、以レ不レ可レ上二諡號一、

漢風諡再興

〔實久卿記〕

p.0924 天保十一年十二月三日己未、巳終刻參二舊院一、〈◯中略〉自二内裏一以二按察前大納言一、御追號追可レ被レ進之旨、以二一紙一被二仰下一、續レ左、
　先例可レ被レ進二御追號一之處、依レ被レ爲レ有二叡慮一、追可レ被レ進候迄、奉レ稱二故院一候事、
右以二女房一令二沙汰一、　廿一日丁丑、深更新源大納言被レ來、今度太上皇大行可レ被レ奉二御諡一哉、久々廢絶、依レ之大臣以下參議以上現任公卿、以二一紙一被二尋下一之旨被二仰傳一了、續レ左、
太上皇如二中古以來一、雖レ可レ被レ奉二御追號一、御登壇以來、被レ興二復故典舊儀一、公事再興不レ少、御在位卅有餘年、古代〈茂〉稀ニ、加之被レ貴二質素一、不レ被レ好二修飾一、專御仁愛之聖慮、遂及二衆庶一、一同安懷之事、今上〈◯仁孝〉深御感悦、依レ之被レ奉二御諡號一、至二萬代一被レ竭二御孝道一度叡慮候、雖レ然小松帝〈◯光孝〉以後、壽永帝之外、不レ被レ奉二御諡號一、今度被レ奉二御諡號一、可レ有二如何一哉、被レ尋二所存一候事、
別紙之通、被レ尋御諡號之事、久々廢絶之儀候、於レ有二御所意一者、必不レ被レ殘二心中一、可レ有二言上一候事、
右勅答、明廿二日中可二言上一被レ示、予謹奉了、尤以二一封一可レ附二議奏卿一云々、　廿二日戊寅、今日以二一封一御諡號勅答獻レ之了、續レ左、〈以レ使付二議奏左兵衞督一了〉

p.0925 中鷹四ツ折、同紙包、
今度太上皇大行御諡號之事、〈臣〉等誠仰願所候、上皇御仁愛御洪徳無二于レ諭物一候者、不レ拘二久々廢絶之儀一、速被レ任二叡慮一、可レ被レ奉二御諡號一哉、宜レ在二聖斷一矣、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　實久〈上〉
十二年正月廿八日甲寅、巳終刻參二舊院一、午終刻參内、〈可二參朝一自二殿下一（鷹司政通）示給〉謁二殿下一之處、今度被レ奉二御諡號一之事、關東被二仰遣一之處、可レ爲二叡慮之通一被二申上一、川越侍從〈所司代〉書取寫、爲二心得一見給、續レ左、
故院御在位、古來稀成御年數ニ而、踐祚以後、多分被レ爲レ復二舊儀一、公事御再興〈茂〉不レ少、都而御仁愛深、衆庶一同奉レ蒙二恩澤一候儀共、全偏ニ舊典を慕被二思召一之段、於二主上一〈茂〉今更御厚感被二思召一候ニ付、如二舊儀一御諡號被レ爲レ進度被二思召一候、併近例者、御追號ニ而、御諡號之御沙汰者不レ被レ爲レ在御事ニ候得共、故院御高徳、被レ及二萬代一候様、御追孝之思召を被レ爲レ盡、被二思召一候御内慮之趣、關東〈江〉宜二申入一旨被二仰聞一、則相達及二言上一候處、御諡號之儀、數年中絶ニ者候得共、故院御高徳、被レ及二萬代一度との叡慮之趣も有レ之、且者兼々御質素之叡慮深ク、修飾之儀者不レ被レ爲レ好御儀等者、於二關東一〈茂〉被二聞召及一候御事〈茂〉被レ爲レ在候間、此度者格別之御譯柄を以、御諡號之儀御内慮之通たるべき旨可レ被二仰出一、右之趣御兩卿〈江〉御傳可レ申旨、年寄共より申越候事、
　　正月
故院御諡號之儀、御内慮之通可レ被二仰出一候得共、後年御追號之儀〈與〉不二相混一候様有レ之度候間、右之趣者御記録〈江茂〉御書載有レ之候様、關白殿并御兩卿被二御心得置一候様可レ及二御示談一旨、年寄共より申越候事、
　　正月
後正月廿七日壬午、今日尊誄諡策命使、泉涌寺〈江〉參向也、仍巳刻許予泉涌寺參向、〈衣袍乘輿〉東久世三位

p.0926 同參向、未刻許策命使左大將〈輔〉參向、〈騎馬、前驅六人、連騎右兵衞佐公恪朝臣、左中將爲知朝臣云々、不レ及レ見、〉次官左中將實愛朝臣、誄人右大辨、〈聰〉右少將通熈朝臣、侍從胤保〈各兼二諸陵奉幣使一、各騎馬、〉等參向、權中納言〈一會傳奏〉頭左中辨光政朝臣、〈同上奉行〉予、東久世三位、勸修寺侍從〈寺門執奏〉等、御陵北方假屋座爲レ詰候、先内豎内舍人等舁二黒漆案一立二山陵前一次置二御幣一、〈裹二夾纈絹一、如二荷前幣一、〉次置二雜給幣一、次左大將被レ著二陵前座一、次次官實愛朝臣著座、〈大將後方少南方〉次其方少退、誄人右大辨通熈朝臣、胤保等著座、次左大將以下兩段再拜、〈四拜也〉次大將被レ讀二宣命一、〈乍レ立〉了亦兩段再拜、〈四拜也〉次目二實愛朝臣一、實愛朝臣參進被レ渡二宣命一、實愛爲二内豎内舍人一、於二陵前一令レ燒二宣命御幣一、〈御幣者其實不レ燒〉此間誄人申二誄詞一、事了左大將以下退出、次代々御陵有二御幣一、自二明正帝一至二後桃園帝一九帝、使右大辨勤仕、〈依二雨儀一合拜也〉四條院、并自二後土御門帝一至二後水尾帝一六帝、使通熈朝臣勤仕、〈同上〉各此山御陵也、此外當寺内、後光嚴帝、後圓融帝、後小松帝、〈已上有二雲龍院一〉後花園帝〈有二悲田院一〉等、胤保勤仕、各事了使々退出、予此後退出、今日陣上卿右大臣、於二宜陽殿西廂一有二御拜一、摠而御幣舁立以下如二荷前一云々、委不レ及レ聞、宣命詔書誄詞等後聞、續レ左、
詔書
詔、諡者徳之表、行之迹、周家遺訓、我邦舊典也、仰以太上天皇、叡哲温恭、以御二萬民一清肅嚴默、以臨二四海一、不レ治而人自化、無レ爲而事寔成、履二唐堯之典一、星辰軌レ道行二虞舜之政一、風雨順レ時、上下平章、咸歌二望雲之慶一、華夷協和、倶承二就日之輝一、於レ是蔑下物不上レ得二其所一、靡下人弗上レ蒙二其恩一、蕩々仁化、溢二於八荒一、巍々徳光、格二於四表一、宜下上二大號一以旌中盛徳上、雖二禮文之久闕一、奈孝思之無レ己、爰上二尊號一、恭稱二光格天皇(○○○○)一、庶幾傳二大名於萬代一、與二乾坤一以長施、揚二茂實於千秋一、與二日月一而久照、普二告天下一俾レ知二朕意一、主者施行、
　　　天保十二年閏正月廿七日
宣命
天皇掛畏〈岐〉後月輪山陵〈爾〉恐〈美〉恐〈美毛〉奏賜〈倍止〉奏〈久〉、明〈久〉明〈久〉淨〈岐〉御意以〈氐〉大八洲國所知〈志與利、〉端

p.0927 拱〈天〉天下〈乎〉治賜〈古止〉三十九年、無レ事〈久〉無レ故〈久〉上下倍和睦〈久、〉公民〈茂〉愈富足〈牟止〉畏食〈氐奈毛〉宮殿〈乎毛〉古〈乃〉法〈乃〉隨〈爾〉營〈多萬比、〉廢〈多留〉祭禮〈乎毛〉興〈志〉賜〈布、〉又諸〈乃〉事〈乎毛〉古〈爾〉復〈志〉賜〈古止〉多〈介禮婆、〉百官〈毛〉皆慶仰〈岐、〉公民〈毛〉厚慈〈乎〉蒙戴〈氐〉仕奉〈奴、〉讓國賜〈志與利〉國家愈平〈爾、〉臣庶愈忠心〈乎〉懷〈天〉仕奉〈天、〉此食國〈乃〉猶〈毛〉能治〈奴留〉事〈波、〉偏〈爾〉恤賜〈比〉矜賜〈布加〉故〈奈利止〉仰〈岐〉畏〈美〉賜〈比氐、〉天地〈止〉共〈爾〉長〈久〉孝道〈乎〉盡〈志〉仕奉〈牟止〉念行〈世志爾、〉近來御藥〈乃〉事有〈氐〉驚〈岐〉聞食〈氐、〉朝〈止奈久〉夕〈止奈久〉神祇〈爾〉祈〈利〉奉〈利〉賜〈志加、〉少〈久〉愈賜〈比氐〉古來〈爾毛〉稀〈奈留〉聖算〈乎〉重賜〈比志乎、〉一〈多比波〉以〈氐〉喜〈備〉一〈多比波〉以〈氐〉懼〈知〉給〈爾岐、〉早〈毛〉朝覲〈乃〉禮〈乎〉行給〈者牟止〉思〈保之都々〉大坐坐間〈爾、〉不慮〈毛〉此孝子〈乎〉捨給〈比氐〉姑射〈乃〉霞〈爾〉登〈利〉賜〈布止〉聞食〈氐、〉驚〈岐〉惜〈彌〉痛〈彌〉酸〈彌〉賜〈比氐〉大御泣哭〈之〉大坐〈勢利、〉曾毛曾毛御名〈乃〉事〈者〉久〈倶〉絶〈奴禮止、〉孝〈波〉父〈乎〉嚴〈爾須留與利〉大〈奈留波〉莫〈止奈毛、〉又大行〈阿禮波〉大名〈乎〉受〈止奈毛〉聞食〈須、〉御諡〈乎〉不レ奉〈婆〉山〈與利〉高〈久〉仰奉〈留〉恩徳〈乎〉伊何爾〈可須倍岐止〉所念〈志、〉又大臣〈毛〉進奏〈須〉隨〈爾、〉故是以〈氐〉吉日良辰〈乎〉擇定〈氐、〉御諡〈乎〉光格天皇〈止〉稱白〈志〉奉〈利、〉恆〈爾之毛〉無〈岐〉御幣〈乎〉令二捧持一〈氐〉奉出〈利、〉正二位行權大納言兼左近衞大將春宮大夫藤原朝臣輔熈、正四位下行右近衞權中將藤原朝臣實愛等〈乎〉差使〈氐、〉誄人〈乎〉率〈志免〉恐〈美〉恐〈母〉誄奏〈志牟、〉又此山〈爾〉御坐〈須〉掛畏〈岐〉代々〈乃〉御陵〈爾毛、〉正三位行右大辨兼勘解由長官菅原朝臣聰長、正四位下行右近衞權少將源朝臣通熈、正五位下行侍從兼春宮權大進藤原朝臣胤保等〈乎志天〉御幣〈乎〉令二捧持一〈氐〉奉出賜〈布、〉今〈與利〉後天下〈乃〉政〈波〉大臣〈乃〉正〈岐〉直〈岐〉心以相穴〈奈比〉相扶奉〈麻爾麻爾〉治賜〈比、〉長秋宮〈爾波◯光格后欣子内親王〉愈孝心〈乎〉盡〈天〉怠〈良須〉仕奉〈利、〉皇女〈者◯蓁子内親王〉一人〈乃〉令妹〈奈禮者〉猶〈毛〉愛〈美〉給〈者牟止〉所念行〈須、〉天之日嗣〈止〉定賜〈比〉儲賜〈倍留〉皇太子〈者◯孝明〉日〈爾〉月〈爾〉無事〈久〉成長〈勢〉賜〈波牟古止乎、〉夜守日守〈爾〉護幸〈倍〉賜〈倍止、〉此状〈乎〉平〈久〉安〈久〉聞食〈止〉恐〈美〉恐〈美毛〉奏賜〈倍止〉奏、
　　　天保十二年閏正月二十七日
大臣誄

p.0928 畏哉讓レ國〈而〉御坐〈志〉天皇〈乎〉恐〈美〉恐〈母〉誄白、臣某、畏哉日本根子天皇〈者〉久〈倶〉帝位〈爾〉御坐〈氐、〉常〈爾〉資治〈乃〉道〈乎〉求給〈布古止〉伊夜益〈須〉益〈爾〉深〈計禮婆、〉故〈乎〉温〈氐〉新〈乎〉知〈女志、〉廢〈多留乎毛〉興〈志〉絶〈多留乎毛〉繼〈岐、〉孝〈乎〉本〈止志氐〉政〈乎〉爲〈志、〉儉〈乎〉專〈爾志氐〉物〈乎〉愛〈美〉給〈布加〉故〈爾、〉仁恩〈乃〉光天下〈爾〉被〈利〉至〈奴、〉是〈遠〉仰〈岐〉彼〈遠〉仰〈爾、〉代代〈爾〉絶〈奴留〉尊〈岐〉御名〈乎〉奉、天地〈乃〉共長、日月〈乃〉共遠〈久〉稱白〈佐牟止〉奏〈麻爾麻爾、〉御諡〈乎〉奉給〈布、〉臣等〈毛〉共〈爾〉稱白〈佐久止〉恐〈美〉恐〈母〉誄白、臣某、
卿誄
畏哉讓レ國〈而〉御坐〈志〉天皇〈乎〉恐〈美〉恐〈母〉誄白、臣某、畏哉日本根子天皇〈者、〉聰明仁愛〈爾〉御坐〈志氐、〉然〈毛〉謙讓〈乃〉心深〈久〉下〈遠〉憐〈美太萬布〉情厚〈志、〉萬〈乃〉政〈岐◯岐恐波誤〉百世〈乃〉則〈止〉誰〈加〉不レ奉レ仰、嗚呼哀哉、姑射雲暗〈志氐、〉龍駕何〈乃〉日〈加〉還給〈牟止〉恐〈美〉恐〈母〉誄白、臣某、
侍臣誄
畏哉讓レ國〈而〉御坐〈志〉天皇〈乎〉恐〈美〉恐〈母〉誄白、臣某、畏哉日本根子天皇〈者、〉仁愛〈乃〉御心深〈計禮婆、〉仕奉〈留〉人々〈毛、〉厚恩〈乎〉酬〈比〉奉〈牟止〉恐〈美〉恐〈母〉誄白、臣某、

〔輔世卿記〕

p.0928 天保十二年後正月廿七日戊午、御諡號宣下當日也、各丑半刻早參、兩局出納以下諸司如二交名一、散状交名等如レ左、御裾關白、〈◯藤原政通〉御劒言成朝臣、御挿鞋光政、御笏資宗、御手水陪膳愛長朝臣、益供恭光源常徳、
　陣儀
先上卿著二仗座一
次參議同候二横敷一　辨以下政官在二床子座一〈如レ例〉
次奉行職事來仰二仰詞一〈尊誄諡、并臨時奉幣宣命之事、詔書之事、〉
次上卿移二著端座一　令三官人敷二膝突一

p.0929 次上卿以二官人一召二大内記一、大内記來二膝突一仰二仰詞一、〈如二職事一〉
次内記來二膝突一奉レ草、〈詔書不レ入レ日、宣命等納二一筥一、〉上卿披見、〈内記退〉
次上卿以二官人一召二職事一、職事來二膝突一、被レ仰二内覽奏聞一、職事參二朝餉一奏レ之、〈先レ之於二鬼間一令二内覽一給〉若就二臺盤所簾下一、附二掌侍一奏レ之、御覽訖返給、職事歸二來膝突一仰二清書事一、〈職事退〉
次上卿以二官人一召二内記一、内記來二膝突一、被レ仰二清書事一、〈内記退〉
次内記持二參清書一、〈兩文書二黄紙一〉上卿披見一如二草文一、〈但上卿披見了、乍レ筥押出、内記取レ之在二小庭一、〉
次上卿起座經二御後一〈宜陽殿設二御座一、依二便宜一用二雨儀禮一、〉就二弓場一、〈内記相從〉職事出逢、被レ仰二内覽奏聞之事一、〈内記所レ持之清書、乍レ筥授レ之、〉
次職事奏聞〈先内覽〉一如二草文一、御書訖返給、職事歸出、仰二御覽訖事一、〈上卿取レ筥奉レ仰、令レ持二内記一、乍レ立取レ文、披二見御畫日之有無一、〉
次上卿歸二著仗座一、〈經二本路一内記置レ筥退〉
次上卿令三官人召二大外記一、大外記來二膝突一、〈爲二少外記一者候二小庭一、〉問二中務候否一、外記申二候由一、上卿仰二可レ召之由一、外記退、
次中務輔來二膝突一、上卿賜二詔書一、被レ仰二施行之事一、〈輔退〉若有二詔事一者、職事來仰レ之、〈上卿召レ辨仰レ之〉
次上卿令三官人召二大外記一、大外記來二膝突一、問二使々參否一、申二皆參之由一、〈外記退〉
次上卿召二官人一令レ撤二膝突一、
次上卿起座率二公卿并辨外記史等一、經二宜陽春興兩殿西廂一、出レ自二長樂門一、著二外辨座一、〈同門外面西掖、設二公卿座一、東上南面〈大臣兩面端半帖、納言緑端半帖、〉參議對座、〈黄絹端長疊〉上卿座前敷二膝突一、同東掖設二辨使等座一、〈黄布端帖〉東西并前曳レ㡢、外記史等在二便所一、〉召二使長官一賜二宣命一、又令二召使召一レ辨、辨來二膝突一、問二幣物具否一、辨申二具之由一、訖退復座、
次内舍人内豎等舁レ案、〈置二幣物一〉立二長樂門前一、〈豫敷二葉薦一、幣物本有二承明門南壇上一、〈引二廻幕一其内置二漆櫃一〉内藏官人史生等守護、臨期開レ櫃取二出之一、又准二建永元年、賀茂一社奉幣、幣物遲々、使發遣例一、不レ置二幣物代一、〉雜給幣、内舍人等置二同薦上一、
次使長次官起座、入二長樂門一相共舁二幣物一、〈上臈左、下臈右、〉經二左掖門前一、到二春興殿西廂北砌上一、〈南北爲レ妻〉退立二左掖門内北掖一、〈北上西面、次官在レ後、但今度假著二圓座一、〈豫敷レ之〉〉

p.0930 今度諸陵幣被レ用レ代、仍使等不レ進二御前一、〈在二門外一〉又内舍人執二雜給幣一從レ之、樹レ案之間相去二許丈、暫立二於其後一、樹レ案畢後進置二薦上一、〈以上帶劒人者解而從レ事〉訖退出立二門外一、
欲二出御一之間、暫閉二長樂門一、〈近衞官人〈陣官〉閉レ之、了出二左掖門一、在二同門外一、又敷政、宣仁、和徳、左青璅等門、先レ之陣了可レ閉、兼仰二兩局一、六位藏人點撿、〉
御拜出御儀、〈中殿御裝束如レ例、〈但諒闇〉自二孫廂一至二渡廊長橋乾妻戸外一、敷二筵道一加二布單一、御殿御裝束、任二近例一不レ改二諒闇御裝束一、〈今度不レ設二壁代一唯御帳御座、併吉御裝束東妻戸外簀子敷二筵道一加二布單一〉東軒廊、宜陽殿、承明、長樂等門外布設任二指圖一、〉
先出二御朝餉御座一　關白殿令レ參二御前一給、傳奏奉行早參、職事等候二下戸邊一、議奏候二馬形障子邊一、武傳近習候二渡廊一、御服奉仕御劒將等候二同所一、
此間詔書宣命等有二御覽一、〈草清書御覽直奏、若附二内侍一、有二御畫之事一如二度度例一、御笏議奏授二職事一、職事持候、〈不レ撤レ袋、乍レ載レ蓋也、〉〉
次著二御帛御服一、〈不レ供二御幘一、本御冠著御、依二亮闇一期一也、〉奉仕人參仕如レ例、〈兩役參二臺盤所一候、御操出御袖等如レ例、〉
次移二御御手水間一〈關白殿令レ候二御裾一給〉　藏人頭候二陪膳一如レ例
次御手水訖還二御朝餉御座一　關白殿御裾、了石灰壇自二御屏風妻一、經二孫廂等一著二中殿圓座一給、兩役近習候二南廊一、〈御服奉仕在二此列一〉奉行職事早參、職事御劒將等候二中殿簀子一、此間傳奏率二六位藏人一兩輩一、徘二徊南殿宜陽殿等一、催二促諸事一、使長次官著二圓座一、内舍人置二雜給幣一、退閉二長樂門一之後、馳參附二議奏一、内々言上、〈先申二關白殿一〉
天皇出御、〈關白殿令レ候二御裾一給、藏人頭供二帛御草鞋一、近衞將取二御劒一、職事等陪從持二御笏一、傳奏奉レ從、兩役近習等供奉如レ例、〉經二孫廂南廊、長橋、南殿乾妻戸一、〈自二孫庇一至二乾妻戸外一、敷二筵道一加二布單一、〉御後中間、御帳東、出二東面妻戸一、〈簀子敷二筵道布單等一、除二階級一、〉降二東階一給、〈自二階下一至二軒廊一、宜陽殿砌敷二葉薦一、其上鋪二筵道布單一、以爲二幸路一、〉經二軒廊、〈五位職事二人、左右相分馳進、開二御屏風一候レ傍、〉宜陽殿砌等一、入二御御拜御座一、〈西廂南四ケ間敷二滿折薦一、其上敷二廣筵一、南第三間、斜向二山陵方一供二御半帖一、〈高麗小文、下加二小筵一〉〉加二紫綾褥一、引二廻大宋御屏風〈巽方聊開置之〉御座一、可レ設二輕幄一也、然而當時例幣御拜座、於二南殿廂一敷二折薦一、上供二御半帖一、引二廻大宋御屏風一爲二御座一、准二此例一無二輕幄沙汰一、又件御座、用下元旦拜二山陵一御座上、近代、四方拜雖二諒闇中一、供二吉御座一仍從レ之、　於二御屏風外一、職事供二御笏一、〈撤二御扇一令レ取二御笏一給〉御座定、關白殿帖二置御裾一、退著二同廂

p.0931 圓座一給、職事等閉二御屏風一、退在二軒廊一、御劒將尚在二御屏風外一、
次兩段再拜給　御拜訖御咳之後、以二藏人一告二使長官一、〈其儀藏人隨二便宜一進退、〈其實還二御中殿一之後告レ之〉〉
次御拜訖職事等參進、開二御屏風一、藏人頭供二御草鞋一、關白殿令レ執二御裾一給、於二御屏風外一、撤二御笏一取二御扇一給、
次御服人參進、刷二御袖一了退、
天皇還御、近衞將取二御劒一前行、以下准二出御之儀一、〈清凉記、荷前使執レ幣者退出、事畢還レ宮云々、今度先還御、次開二長樂門一、次舁二出案一、〈雜給同撤レ之〉使退出、〉
此間傳奏奉行、率二六位藏人一催二促諸事一、先於二高遣戸邊一含二列奉行一、〈修理職兼令レ廻二于此邊一〉可レ開二長樂門一之旨、内々傳二仰近衞官人一、〈陣官豫在二同門外一〉近衞官人即押開參入、直開二長樂門一、
次使長官起レ座前行、次官同起レ座、進而搢レ笏、内舍人内豎等入二長樂門一、進跪與二次官一相共舁レ案退、内舍人執二雜給幣一退、内舍人内豎等納二漆櫃一、〈件櫃自レ本在二承明門南壇上一、御前之儀訖、幣物舁出之後、與二内藏寮一相替、内舍人等守護、直丁擔夫等在二此邊一、案并下敷薦、内々自二内藏寮一、以二六位藏人一、附二傳奏奉行一、傳奏奉行納二長櫃一、密持二向泉涌寺一、〉
次長官以下各於二大臣宿所、或樂人部屋一餉、〈但使長官大臣宿所、使々次官以下各樂人部屋、〉　此間、御裝束撤却以下之事、與二奪五位職事一、且用意次第發向旨、先申二關白殿一、以二議奏一言上置、傳奏奉行、仰二列奉行一令レ整二行粧一、
次發遣〈於二待賢門一騎馬、在二指圖一、〈但六位、於二堺町門外一乘馬、〉〉
先太政官直丁〈持レ楉〉前行、〈左右〉内藏寮御幣、〈納二漆櫃一、擔夫二人〈以二駕輿丁一充レ之〉荷之、〉雜給幣、〈擔夫肩レ之〉内舍人二人、内豎一人、次使長官次官、次誄人、〈兼二諸陵使一〈前後雜色守護之〉〉自二中御門一、〈以二陽明門一擬レ之〉櫻町殿前〈遠〉南〈江、〉萬里小路教業〈遠〉東〈江、〉大和大路〈遠〉南〈江、〉伏見街道〈遠〉順路、東山〈江〉參向、〈但於二途中一一兩度休息、至二仙遊寺一待二案内一、〉
此間御幣發遣之後、傳奏奉行、自二宜秋門方一、〈豫長櫃二合、納二諸陵幣代一、毎レ陵白銀三枚宛廿一、以二檀紙一包レ之、居二白木臺雲脚一、外ニ附臺、并目六等納レ之掛二油單一、以二白張仕丁一令レ舁レ之、令レ廻二居于尋常車寄邊一、副使〈鳥飼〉守護〈六門、或三門番之内爲二警固一在二宜秋門外一路頭前行、兼以二武家傳奏一下知、且當朝仰二口向〉〉經二便路一馳二參泉山一、先向二方丈一、〈長櫃、便宜所令レ舁二合之一、〉寺門傳奏面會問二事具否一、
山陵儀

p.0932 先使長官以下、於二山門外一下馬、〈但於二六位總門外一下馬、警固雜色、止二同門前一歟、任二先例一使以下馬、各下馬繫之、〉　此間傳奏奉行、仰二列奉行一、先令レ設二漆櫃於唐門下一、〈内舍人内豎等守護、直丁擔夫等在二同邊一、〉寺僧出二逢于總門外一、長老并役者、自二山門邊一整レ列前行、
入二總門并山門一、〈於二同門外一止二僮僕一、但諸大夫侍隨身等、一兩輩宛相從、〉於二唐門外一、各先假立二于便所一、次解劒、次手水、〈寺門役レ之〉長老以下、入二同門一著二假座一、此間寺門、豫後月輪山陵前敷二葉薦一、其前設二鈍色縁半帖一、〈有二下敷薦一〉爲二長次官及誄人座一、〈在二指圖一〉次内舍人内豎、〈於二唐門下一解レ劔〉自二漆櫃一取二出案一、〈載二幣物雜給幣等一〉相共舁レ之參進、置二山陵前薦上一、畢退在二便所一、
次使長官入二唐門一參進著座、〈次官相從著座〉誄人同著座、
次使長次官誄人、相共兩段再拜、畢長官讀二宣命一、〈或燒二宣命一畢後、兩段再拜、〉訖誄人奉レ誄之間、長官授二宣命於次官一、次官起座、進跪受レ之復座、召二内豎一授レ之、内豎參進跪賜レ之、於二瑞籬内一燒レ之、〈内豎持二宣命一以二脂燭一燒レ之、内舍人扶持、兼仰二寺門一用二意脂燭一、若雨降者於二假建内一燒レ之、〉
次燒二幣物一、〈今度宣命許燒レ之、於二幣物一者、年久中絶之儀、令レ納二寺門一之由、傳奏奉行仰二寺門僧一、宣命寫添レ之、〉又長次官誄人共兩段再拜、　次長次官誄人等起座、〈内舍人内豎等相從〉出二唐門一經二本路一、〈内々於二寺中一休息〉
次諸陵使向二其陵一　今度幣物用レ代、准二寛治七年、荷前使幣物遲來例一、先兩段再拜、〈先レ是設二使座一如レ初〉申二宣命之趣一、又兩段再拜、了起レ座出二唐門一、〈◯中略〉
各傳奏奉行、寺門傳奏等、撿知無異之後、使々退出、於二寺中一休息、
次使長官以下歸洛〈警固雜色尚前行、至二長官里亭一、〉
傳奏奉行、於二便所一授二宣命誄等寫一、幣物賜二寺門一之事、〈請奏寫渡レ之〉幣代早可二備進一之事等、仰二長老役者等一、其品々令レ授レ之、〈寺門傳奏心得示含〉食事之後歸洛、參二關白殿一、申下萬端無異被二遂行一之由上、又以二書状一告二議奏一、是爲二早速一也、更明日奏聞賀二無異一、〈最雖レ無二山陵憚一、諸御廟有レ之仍如レ此、〉
使次官歸宅、沐浴了參内、申二無異于議奏一、〈略儀、但依二荷前准據例一、〉
使々翌日參内賀二無異一〈◯中略〉

〔囘天詩史〕

〈下〉

p.0933 太上天皇〈◯光格〉崩、公〈◯水戸齊昭〉聞レ之、又建二葬祭之議於幕府一、又寄レ書謀二於關白藤公一、〈◯鷹司〉藤公深感二公之忠誠一、蓋入二乙夜之覽一云、藤公以爲、葬祭之禮難二遽復一レ古、至二於諡號一、則不レ可レ不レ奉也、乃議二之於關東一、又使二公賛成一レ之、幕府不二敢違一、遂奉レ諡曰二光格天皇一、

〔實久卿記〕

p.0933 弘化三年二月十一日丁酉、自二去夜一祗候、大行天皇〈◯仁孝〉可レ被レ奉二尊諡號一勘文、現任一同可レ有二勅問一殿下〈◯鷹司政通〉被レ命、左大臣以下攝家人々、自二殿下一被レ傳旨同上、〈◯中略〉勘者儀同三司、勘解由小路前中納言、新宰相、式部大輔、式部權大輔等也、勘文續レ左、〈◯中略〉
　仁孝
諡法曰、慈惠愛レ親曰レ孝、禮記曰、仁人不レ過二乎物一、孝子不レ過二乎物一、是故仁人之事レ親也、如レ事レ天、事レ天如レ事レ親、是故孝子成二其身一、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　聰長〈上〉
十二日戊戌、御諡號勅答、今日付二相役一、一封獻上了、
大行天皇可レ被レ奉レ授二尊諡號一、以二勘文一被二尋下一謹奉候、　仁孝　孝明　右字儀引文等、別而珍重候哉、雖レ然以レ何被二採用一存心無レ之候、宜レ在二聖斷一候焉、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　實久〈上〉
三月一日丙辰、巳刻許參内、申沙汰如二日來一、殿下於二八景間一、三條大納言以下相役各御招、今日被レ奉二御諡號仁孝天皇一、且御廟號可レ奉レ稱二弘化一被二仰傳一、三條大納言於二御棺前一可レ奉レ告、折紙一紙被レ授レ之、其後中殿於二西庭一可二燒拂一被レ命、即三條大納言被レ奉レ告了、於二西庭一燒拂、〈予、新宰相等扶持了、〉其灰鴨河令レ流了、昏時退出、

〔言成卿記〕

p.0933 慶應三年正月六日、大行天皇〈◯孝明〉御諡號、現任一同〈江〉勅問之旨、明七日中可レ奉二返答一、右大將被レ示了、〈勘進寫三折略寫〉
　　御諡號事〈◯中略〉

p.0934 孝明　孝經曰、明王事レ父孝、故事レ天明、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　隆祐〈上◯中略〉
大行天皇御諡號勘文、現任一同被二爲レ見下一勅問之間、明後七日中、御所意否、可レ有二言上一之旨、加勢治部卿被二申渡一候、〈◯中略〉　二月十六日、今日大行天皇御諡號、辰刻使定陣儀云々、〈◯中略〉傳聞、上卿内府忠房公、參議源宰相中將〈通善〉著陣、奉行辨〈豐房朝臣〉被レ下二御諡號一使定、執筆參議通善奉仕云々、使鷹司大納言〈輔政〉著陣云々、御諡號孝明天皇、宣命令レ作二大内記一、先奉レ草大臣著二弓場一奏レ之云々、攝政〈◯二條齊敬〉於二鬼間一内覽云々、被レ仰二清書一同斷、

〔官務文書〕

p.0934 詔書寫
詔、諡者顯レ徳表レ行、聖經之遺訓、而王者之大猷也、恭惟孝明天皇、聰明叡智、而功烈光二于四海一、寛裕温柔、而仁風行二於千載一、睿聞川流、神襟蘭郁、父二老堯舜一、先徳韜レ光、憲二章文武一、君道方被、於レ是蔑二物不一レ得二其所一、靡二國弗一レ蒙二其恩一、嗚呼哀哉、晨轀解レ鳳、早銷二神躬于壤末一、曉蓋俄レ金、既散二靈魄於天潯一、追惟二盛徳一、爭有二大號一、爰奉二尊諡一、恭稱二孝明天皇一、仰願傳二大名於後昆一、與二磐石一長不レ朽、耀二餘威於萬邦一、與二日月一共無レ疆、普告二天下一、俾レ知二朕意一、主者施行、
　　慶應三年二月十六日

〔憲法類編〕

〈十四祭典〉

p.0934 大友帝外二帝奉諡御祭典ノ事
庚午〈◯明治三年〉七月廿二日御布告
　　大友帝　廢帝　九條廢帝
三帝御諡號被レ奉候ニ付、明廿三日八字、於二神祇官一御祭典被レ爲レ行候事、
庚午七月廿四日御布告
　　大友帝

p.0935 弘文天皇
　　廢帝
淳仁天皇
　　九條廢帝
仲恭天皇
右之通三帝御諡被レ爲レ奉候ニ付、此旨相達候事、

一帝二諡

〔神皇正統記〕

〈齊明〉

p.0935 齊明天皇は皇極の重祚なり、重祚といふ事は、本朝には是に始まれり、異朝には、〈◯中略〉唐の世となりて則天皇后世を亂られし時、我所生の子なりしかども、中宗をすてヽ盧陵王とす、同じ御子豫王を立られしも、又すてヽ自ら位に即きたまふ、後に中宗位にかへりて唐の祚たえず、豫王も又重祚あり、これを睿宗といふ、是ぞまさしき重祚なれども、二代にはたてず、中宗睿宗とぞつらねたる、我朝に皇極の重祚を齊明と號し、孝謙の重祚を稱徳と號す、異朝にかはれり、是天つ日嗣を重くする故か、先賢の義定めて由あるにや、

〔大日本史賛藪〕

〈一〉

p.0935 復位肇二於皇極一、後世上レ諡以分二前後一、蓋出二於一時之議一、而非二萬世之通制一也、

御在所爲號

〔後成恩寺關白諒闇記〕

p.0935 先皇追號事
於二諡號并新號一者及二議奏一、於二追號一者内々有二其沙汰一、
追號事、御在所嵯峨、淳和、清和、陽成、華山、一條、〈◯中略〉菴室號、光嚴、光明、崇光等、

〔帝王編年記〕

〈十三淳和〉

p.0935 太上皇平城〈稱二奈良天皇一、是平城之謂也、〉

〔愚管抄〕

〈一平城〉

p.0935 おりゐのみかどにて、〈◯中略〉ならにおはします、依て奈良のみかどヽ申なり、
◯按ズルニ、平城ノ號ハ、日本後紀ニ、大同四年四月、天皇遂傳レ位、避二病於數處一、五遷之後、宮二于平城一ト見エ、類聚國史ニ、天長元年七月甲寅、平城天皇崩、丙辰、奉レ誄曰、畏哉讓レ國、而平城宮〈爾〉御坐〈志〉天

p.0936 皇トアリ、以テ徴ト爲スベシ、

〔皇年代略記〕

〈嵯峨〉

p.0936 承和元年八月丁亥、遷二嵯峨院一、　九年七月十五日崩、〈五十八〉葬二嵯峨院北山地一、號二嵯峨帝一、

〔類聚三代格〕

〈一〉

p.0936 太政官符
　應レ充二正一位平野神社地一町一事〈◯中略〉
右得二彼社預從五位下卜部宿禰平麻呂解状一儞、〈◯中略〉嵯峨院去承和五年十月十五日、割二取八段一賜二時統宿禰諸兄一、〈◯中略〉
　　貞觀十四年十二月十五日

〔類聚國史〕

〈二十八帝王〉

p.0936 天長十年二月乙酉、皇帝〈◯淳和〉於二淳和院一讓二位于皇太子一、

〔續日本後紀〕

〈十三仁明〉

p.0936 承和十年二月壬戌、散位從四位下勳七等大野朝臣眞鷹卒、〈◯中略〉淳和天皇踐祚、天長之初、任二右近衞權少將一、

〔拾芥抄〕

〈中未宮城〉

p.0936 淳和院〈天長、卜二上皇（淳和）離宮一、今西院、〉

〔三代實録〕

〈三十八陽成〉

p.0936 元慶四年十二月四日癸未、太上天皇〈◯清和〉崩、自レ遜二皇位一、御二清和院一、

〔三代實録〕

〈三十陽成〉

p.0936 貞觀十八年十二月八日辛亥、上二清和天皇尊號一、爲二太上天皇一、

〔皇年代略記〕

〈清和〉

p.0936 元慶四年十二月四日崩、後日諡號二清和天皇一、

〔三代實録〕

〈四十四陽成〉

p.0936 元慶八年二月四日、天皇〈◯陽成〉出レ自二綾綺殿一、遷二幸二條院一、

〔河海抄〕

〈二〉

p.0936 陽成院を二條院と號云々、脱屣之後御二此院一、〈◯又見二今昔物語二十七一〉

〔皇年代略記〕

〈陽成〉

p.0936 天暦三年九月廿九日、崩二於冷泉院一、號二陽成院一、

〔日本紀略〕

〈二醍醐〉

p.0936 延長二年正月廿七日丙寅、御賀〈◯天皇四十賀〉之後、宇多仙院、被レ奉二御馬四十匹一、

〔日本紀略〕

〈二朱雀〉

p.0936 承平元年七月十九日甲辰、戌時宇多院太上法皇、崩二於仁和寺御室一、

〔帝王編年記〕

〈十四宇多〉

p.0937 承平元年辛卯七月十九日崩、〈◯中略〉號二宇多天皇一、又亭子院、

〔大日本史〕

〈三十一宇多〉

p.0937 稱二亭子院一、稱二宇多院一、皆因二其所一レ居爲レ號、崩後停レ諡、故又因二襲生時之號一、稱二某院一耳、

〔日本紀略〕

〈二朱雀〉

p.0937 天慶九年七月十日、太上皇〈◯朱雀〉出二禁中一、遷二朱雀院一、
◯按ズルニ、此號ハ拾芥抄ノ諸院部ニ、朱雀院累代後院トアリ、以テ徴ト爲スベシ、

〔榮花物語〕

〈一月の宴〉

p.0937 安和二年八月十三日なり、みかど〈◯冷泉〉おりさせたまひぬ、〈◯中略〉おりゐのみかどは、冷泉院にぞおはします、されば冷泉院と聞えさす、

〔日本紀略〕

〈十二三條〉

p.0937 寛弘八年十月廿四日癸亥、戌刻冷泉院太上天皇崩二于南院一、〈◯即冷泉院〉春秋六十二、

〔日本紀略〕

〈八花山〉

p.0937 寛和元年九月十九日庚寅、後太上法皇、〈◯圓融〉自二堀河院一遷二御圓融院一、

〔日本紀略〕

〈九一條〉

p.0937 正暦二年二月十二日癸丑、依二圓融寺法皇(○○○○○)不豫一、大二赦天下一、〈◯中略〉今日法皇崩、　十九日庚申、葬二太上法皇於圓融寺北原一、
◯按ズルニ、文ニ圓融寺法皇トアリ、其御在所號ナルコト知ルベシ、

〔拾遺抄注〕

〈雜上〉

p.0937 花山ハ山階ニアリ、元慶寺ト云御寺建ラレタリ、花山院ハ彼寺ニ御幸アリテ御出家アリ、仍稱二花山法皇一、後ニ京ニ御坐ノ御所ヲ花山院ト號スルナリ、

〔日本紀略〕

〈十一一條〉

p.0937 寛弘八年六月十三日乙卯、有二御讓位事一、　廿二日甲子、太上皇〈◯一條〉崩二一條院中殿一、

〔左經記〕

p.0937 長元九年五月一日、有下可レ奉二稱號一之議上、〈◯後一條ノ崩御ニ由ルナリ〉相府命云、尋二一條院御時例一無二宣旨一、只奉レ稱二一條院一云々、

〔日本紀略〕

〈十三後一條〉

p.0937 寛仁元年五月九日丙午、太上天皇〈◯三條〉崩二于三條殿一、

〔榮花物語〕

〈十二玉の村菊〉

p.0937 長和五年正月廿九日、御讓位、〈◯中略〉おりゐのみかどをも三條院と聞えさす、

〔續世繼〕

〈二釣せぬ浦々〉

p.0937 鳥羽殿は、此法皇の造らせたまへれば、さやうにや申さんと思へりしかども、白河にもかた〴〵御所ども侍りしかば、白河院とぞ定めまゐらせ侍りける、

p.0938 ◯按ズルニ、此號中右記ニハ、遺詔ニ依テ稱スル所ト云フ、猶追號依二遺詔一ノ條參看スベシ、

〔皇年代略記〕

〈堀河〉

p.0938 嘉承二年七月十九日癸卯、崩二於堀河院一、同廿四日戊申、追二號堀河院一、

〔中右記〕

p.0938 嘉承二年七月廿四日戊寅、於二攝政殿〈◯藤原忠實〉堀河殿御直廬一、聊有二僉議一云々、今日付二代々例一、可レ奉レ號二堀河院(○○○)一之由、以二右大辨時範朝臣一、被レ仰二下大外記師遠一了、

〔百練抄〕

〈七後白河〉

p.0938 保元元年七月二日、禪定仙院、〈◯鳥羽〉崩二于鳥羽安樂壽院一、

〔帝王編年記〕

〈二十二後白河〉

p.0938 保元元年七月二日辛丑、崩二於鳥羽殿一、〈◯中略〉號二鳥羽院一、

〔百練抄〕

〈七近衞〉

p.0938 久壽二年七月廿三日、天皇崩二于近衞皇居一、

〔兵範記〕

p.0938 久壽二年七月廿七日壬申、有二院號定一云々、遂以二近衞院(○○○)一、可レ奉レ號之由議定了、

〔皇年代略記〕

〈二條〉

p.0938 永萬元年七月廿八日、崩二於二條皇居一、〈◯中略〉號(○)二二條院(○○○)一、

〔續世繼〕

〈三花園の匂ひ〉

p.0938 廿三におはしましヽ御年、御病重くて若宮に讓り申させ給て、いくばくもおはしまさヾりき、〈◯中略〉二條院とぞ申すなる、古き后の御名なれど、〈◯後冷泉后二條院章子〉男女かはらせたまへれば、まがはせたまふまじきなるべし、されど同じ御名は、古くも侍らぬにや、

〔一代要記〕

〈十六六條〉

p.0938 安元二年七月十七日崩、同日葬二栖霞寺堂一、同日號(○)二六條院(○○○)一、

〔一代要記〕

〈十六高倉〉

p.0938 上皇六條院〈安元二年七月十七日、崩二於六條(○○)乳母三位亭一、（中略）同日號二六條院一宣下、〉◯按ズルニ、本文ニ據レバ、崩所六條、故ニ六條院ト追號セシモノヽ如シ、然レドモ百練抄ニハ、日來御二院〈◯後白河〉御所一、而依二痢病一出二御邦綱卿東山亭一、於二件所一有二此事トアリ、

〔百練抄〕

〈九安徳〉

p.0938 養和元年正月十四日、太上天皇、〈◯高倉〉崩二于六波羅頼盛卿亭一、〈御年廿一、號二高倉院一、〉

〔高倉院昇遐記〕

p.0938 治承五の年、〈◯中略〉殿上にて先、後の御名の定めあるにつけても、高倉(○○)いかなる大路にて、憂名の御形見に殘り、〈◯下略〉
◯按ズルニ、山槐記ニ天皇遜位ノ後、治承四年三月四日、土御門亭ニ遷幸ノ事アリテ、注ニ土御

p.0939 門北、東洞院東、前大納言邦綱朝臣家、先ニ時々爲二皇居一之所也トアリ、又拾芥抄諸名所部ニ、高倉殿〈土御門南、高倉西、〉トアリ、其京程圖ヲ按ズルニ、〈此圖ニ據レバ、山槐記ニ土御門北トアル北ハ、南ノ誤ナルガ如シ、〉即チ前文土御門亭ト全ク同所ニシテ、此號ノ御在所號タル事ヲ證スルニ足ル、

〔後中記〕

p.0939 仁治三年正月十九日壬寅、參二閑院一、於二攝政〈◯藤原良實〉直廬一、可レ被レ定二舊主〈◯四條〉追號一、〈◯中略〉殿下仰、舊主追號事可二定申一者、拾遺相公、〈四條〉民部卿、〈後六條〉二條中納言、〈四條、五條、〉吉田中納言、〈後鳥羽〉予、〈四條〉前内府、〈後鳥羽〉殿下、〈四條、五條、〉重議定之時、可レ奉レ號二四條院(○○○)一之由、人々大略一同如レ此、追號先例多是用二御居所一、今度、三條西洞院、右幕下第、可レ爲二御葬家所一云々、謂二三條一者是四條也、號二東三條一是二條也、彼可レ准之由、拾遺相公所二計申一也、

〔入道左府記〕

p.0939 嘉元三年九月、〈◯日欠〉御號兼被二思食定一、〈龜山院(○○○)〉仍不レ及二追號定一云々、

〔増鏡〕

〈十一今日の日蔭〉

p.0939 萬里小路殿の法皇、又御惱みとて龜山殿へ遷らせたまふ、〈◯中略〉九月十五日〈◯嘉元三年〉の曙に、終にかくれさせたまひぬ、〈◯中略〉御骨も此院〈◯龜山〉に法華堂を立させたまへば、龜山院とぞ申すべかめる、

〔増鏡〕

〈十二浦千鳥〉

p.0939 持明院殿、〈◯中略〉伏見殿がちにのみぞおはしましヽ程に、そこはかと御惱月日經て、文保元年九月三日かくれさせ給にき、伏見院(○○○)と申き、

〔迎陽記〕

p.0939 貞治三年七月十日、自二殿中一被レ下二御書一、有レ召、不レ俟レ駕參仕、條々事有二沙汰一、舊院〈◯光嚴〉院號事有二勅問一、御申詞有二御談合一、余清書副二奉書一遣二嗣房許一、
院號事、近例於二舊院一有二其沙汰一歟、或御在所、或被レ尋二御素意一被レ定二其號一、今度儀不レ存二知子細一間、短慮無二左右一難二定申一、圓融土御門間可レ爲二何様一哉、但土御門者登極地、雖レ似レ有二其寄一、當時皇居、尤可レ有レ儀、且以レ訓不可レ稱之由有二其説一歟、旁不レ宜哉、圓融雖レ無二殊由緒一、聖代之徽號被二准用一之條存二先規一、抑光嚴院爲二幽閑地一、然者若可レ叶二御素意一哉、寺號傍例、醍醐寺圓融寺被レ用畢、不レ可レ有二巨難一哉、縡爲二重事一、猶可レ被レ決二群議一歟、延

p.0940 久夏六月廿六日、〈七七日御佛事日〉爲レ載二御願文一被レ定二御號一云々、遺詔已後、此等子細可レ被レ申二仙洞一〈◯崇光〉哉、此上宜レ在二時議一矣、

〔太平記〕

〈三十九〉

p.0940 光嚴法皇行脚附崩御事
光嚴院禪定法皇ハ、〈◯中略〉伏見ノ里ノ奧、光嚴院ト聞エシ幽閑ノ地ニゾ住セ給ヒケル、

〔皇年代略記〕

〈光嚴〉

p.0940 貞治三年七月七日、崩御、〈◯中略〉以二此間御庵號一被レ擬二追號一、奉レ號二光嚴院一、是依二遺勅一也、

〔太平記〕

〈三十三〉

p.0940 持明院三上皇自二吉野一還幸事
新院〈◯光明〉ハ、伏見ノ大光明寺ニゾ御坐有ケル、

〔太平記〕

〈三十九〉

p.0940 法皇御葬禮事
此時ノ新院、光明院殿、〈◯下略〉

〔皇年代略記〕

〈光明〉

p.0940 康暦二年六月二十四日、崩二於勝尾御草庵一、奉レ號二光明院一、〈日來奉レ號二光明院一、依二遺勅一不レ改二其號一、〉

〔皇年代略記〕

〈正親町〉

p.0940 文祿二年正月五日、崩二於仙洞一、〈七十五〉追號正親町院、

〔時慶卿記〕

p.0940 文祿二年二月六日、今夜遺詔、陣ノ儀被レ行云々、號二正親町院一、二條殿ヨリ定被レ申、院ノ北ノ御門、正親町ノ通ナル故ト、

〔皇胤紹運録〕

p.0940 櫻町院　延享四年五月二日、行二幸于櫻町殿一、同日讓位、

〔閑窓自語〕

p.0940 櫻町仙洞、此地ハ天正十四年、正親町院御讓位の後、仙洞に用ゐられし地にて、代々の洞裏たり、櫻町のみかど御脱屣あらんとて、此地に仙居を造られ、延享四年二月二十八日、此後櫻町殿と稱すべき由仰らる、

〔頼言卿記〕

p.0940 寛延三年四月廿九日辛未、舊院御追號、被レ稱二櫻町院(○○○)一之由被二申傳一了、

御在所爲一號

〔扶桑略記〕

〈拔萃平城〉

p.0940 平城天皇〈世謂二奈良天皇一〉

〔帝王編年記〕

〈十三淳和〉

p.0940 太上皇平城〈稱二奈良天皇一、是平城之謂也、〉

〔一代要記〕

〈二平城〉

p.0941 平城天皇〈俗號二奈良帝一〉

〔類聚國史〕

〈二十八帝王〉

p.0941 天長十年二月辛巳、皇帝〈◯淳和〉遷二御西院一、爲レ讓レ位也、

〔皇年代略記〕

〈淳和〉

p.0941 天長十年二月廿八日乙酉、禪位、〈四十八〉先レ是天皇遷二御西院一、　承和七年五月八日崩、〈五十五〉號二西院帝一、

〔伊勢物語〕

〈上〉

p.0941 むかし西院のみかど〈◯淳和〉と申すみかどおはしましけり

〔神皇正統記〕

〈淳和〉

p.0941 第五十三代淳和天皇、西院の帝とも申す、

〔一代要記〕

〈二淳和〉

p.0941 淳和天皇號二西院帝一、

〔拾芥抄〕

〈中未宮城〉

p.0941 淳和院〈天長卜二上皇（淳和）離宮一、今西院、〉

〔古今童蒙抄〕

p.0941 亭子院は、宇多のみかどの御所なり、

〔拾芥抄〕

〈中未諸名所〉

p.0941 亭子院、寛平法皇御所、

〔大鏡〕

〈一宇多〉

p.0941 次の帝亭子のみかど〈◯宇多〉と申き、

〔皇年代略記〕

〈宇多〉

p.0941 承平元年七月十九日崩、〈六十五、於二仁和寺一、〉號二亭子院一、

〔日本紀略〕

〈一醍醐〉

p.0941 醍醐天皇諱敦仁、亭子天皇(○○○○)第一之子也、

〔大和物語〕

〈上〉

p.0941 亭子院のみかど、今はおりゐ給ひなんとするころ、〈◯下略〉

〔後撰和歌集〕

〈十九離別〉

p.0941 亭子院のみかど〈◯宇多〉おりゐ賜ふける秋〈◯下略〉

〔大日本史〕

〈三十一宇多〉

p.0941 按帝脱屣後、居二朱雀院、及中六條院一、故初稱二六條院太上皇一、又稱二朱雀院太上皇一、既而請下辭二尊號一單稱中朱雀院上、醍醐帝從レ之、後又稱二亭子院一、稱二宇多院一、皆因二其所一レ居爲レ號、崩後停レ諡、故又因二襲生時之號一稱二某院一耳、

〔百練抄〕

〈十二仲恭〉

p.0941 承久三年七月八日、主上密々渡二御九條殿一、

〔百練抄〕

〈十四四條〉

p.0941 文暦元年五月二十日、廢帝〈◯仲恭〉崩御、〈◯中略〉御母儀東一條院也、承久亂逆之後、御二同所于

p.0942 女院一、〈九條殿〉

〔皇代記〕

p.0942 廢帝〈◯仲恭〉諱懷成、〈◯中略〉號二九條廢帝一、

〔帝王編年記〕

〈二十四四條〉

p.0942 文暦元年五月二十一日、承久先帝〈◯仲恭〉崩御、號二後廢帝一、

〔帝王編年記〕

〈二十四仲恭〉

p.0942 後廢帝、〈◯中略〉大嘗會不レ被レ行以前退下、世稱二半帝(○○)一、
◯按ズルニ、後廢帝トハ、是ヨリ先キ淡路廢帝〈淳仁〉アレバナルベシ、

陵地爲號

〔後成恩寺關白諒闇記〕

p.0942 先皇追號事
追號事、〈◯中略〉山陵號、宇多、醍醐、村上等、
◯按ズルニ、舊説多ク宇多ヲ以テ、陵地號トスレドモ非ナリ、大日本史ノ宇多天皇紀ニ、稱二亭子院一、稱二宇多院一、皆因二其所居一爲レ號トアルニ從フベシ、

〔日本紀略〕

〈一醍醐〉

p.0942 延長八年十月十日、奉レ葬二大行皇帝〈◯醍醐〉於山城國宇治郡山科陵一、醍醐寺北、笠取山西、小野寺下、

〔帝王編年記〕

〈十五醍醐〉

p.0942 延長八年九月廿九日、崩御、四十六、十月十日庚子、奉レ葬二山科山陵一、號二醍醐天皇一、

〔皇年代略記〕

〈村上〉

p.0942 康保四年五月廿五日崩、　六月四日葬二村上山陵一、〈山城葛野郡〉

〔帝王編年記〕

〈十六村上〉

p.0942 康保四年六月四日、葬二村上山陵一、號二村上天皇一、

陵地爲一號

〔續日本紀〕

〈二十一淳仁〉

p.0942 天平寳字二年八月庚子朔、高野(○○)天皇〈◯孝謙〉禪二位於皇太子一、
◯按ズルニ、村尾元融ノ續日本紀考證ニ、元融案、寳龜元年八月紀云、葬二高野天皇於大和國添下郡高野山陵一、又高野陵見二諸陵式一、蓋山陵所レ在、因以爲レ稱歟、不レ詳トアレド、萬葉集一ニ、長(ナガノ)皇子與二志貴(シキノ)皇子一於二佐紀(サキノ)宮一倶宴歌、秋去者(アキサラバ)今毛見如(イマモミルゴト)妻戀爾(ツマコヒニ)鹿將鳴山曾(シカナカムヤマゾ)高野原之宇倍(タカノハラノウヘ)トアレバ、陵號ナルコト疑フ可ラズ、

〔類聚國史〕

〈百八十佛道〉

p.0942 天長元年九月壬申、正五位下行河内守和氣朝臣眞綱、從五位下彈正少弼和氣朝

p.0943 臣仲世等言、〈◯中略〉後田原天皇(○○○○○)〈◯光仁〉寳龜十一年、數奏二此事一、
◯按ズルニ、後田原トハ、延喜諸陵式ニ、皇考施基親王陵〈寳龜元年、追尊シテ御二春日宮一天皇ト云フ、〉ヲ田原西陵ト云ヒ、此天皇陵ヲ田原東陵トアリテ、續日本紀光仁天皇紀ノ首ニハ、施基親王ヲ稱シテ、田原天皇ト云フコトモ見エタリ、是レ此天皇ヲ稱シテ、後田原ト云フ所以ナルベシ、

〔續日本後紀〕

〈一仁明〉

p.0943 天長十年三月二日壬辰、頒二遣中納言從三位行民部卿藤原朝臣愛發〈◯中略〉等一於二柏原長岡二山陵一、豫告下可二即位一之状上曰、〈◯中略〉掛畏〈伎〉柏原御門〈乃◯桓武〉天朝、〈◯下略〉

〔扶桑略記〕

〈拔萃桓武〉

p.0943 桓武天皇〈世謂二柏原天皇〉

〔簾中抄〕

〈上〉

p.0943 かしは原のみかどヽ申す、〈◯桓武〉これみさヾきの名なり、

〔皇年代略記〕

〈桓武〉

p.0943 延暦廿五年三月十七日崩、　四月七日、葬二山城國柏原陵一、號二柏原帝一、

〔類聚國史〕

〈百八十佛道〉

p.0943 天長元年九月壬申、正五位下行河内守和氣朝臣眞綱、從五位下彈正少弼和氣朝臣仲世等言、〈◯中略〉柏原先帝(○○○○)即以二前詔一、普告二天下一、

〔扶桑略記〕

〈二十二宇多〉

p.0943 寛平二年庚戌二月十三日己巳、〈◯中略〉太政大臣會語曰、白壁天皇〈◯光仁〉時、將レ立二皇太子一、〈◯中略〉爰藤原百川破二其書一、立二柏原親王一爲二皇太子一、大臣歎曰、我年耄、覩レ耻如レ此、柏原天皇(○○○○)〈◯桓武〉縁二百川之功一親臨、

〔皇年代略記〕

〈仁明〉

p.0943 嘉祥三年三月廿一日乙亥、崩二于清涼殿一、　同廿四日、葬二深草山陵一、號二深草帝一、

〔愚管抄〕

〈一仁明〉

p.0943 此みかどは、深草のみかどヽ常に人申すなり、みさヾきの名なり(○○○○○○○○)、〈◯又見二簾中抄一〉

〔神皇正統記〕

〈仁明〉

p.0943 第五十四代第三十世仁明天皇、深草の帝(○○○○)とも申す、

〔三代實録〕

〈二清和〉

p.0943 貞觀元年三月十九日乙亥、大僧都傳燈大法師位眞雅抗レ表曰、〈◯中略〉嘉祥寺者、先帝〈◯文徳〉奉二爲深草天皇(○○○○)一〈◯仁明〉所二建立一也、

〔古今和歌集〕

〈十六哀傷〉

p.0943 深草のみかど〈◯仁明〉の御國忌の日〈◯下略〉

〔皇年代略記〕

〈文徳〉

p.0944 天安二年八月廿七日乙卯、崩二於冷泉院一、　九月六日、葬二田邑山陵一、號二田邑帝一、

〔一代要記〕

〈二文徳〉

p.0944 文徳天皇、號(○)二田邑(○○)一、

〔三代實録〕

〈二清和〉

p.0944 貞觀元年三月十九日乙亥、大僧都傳燈大法師位眞雅抗レ表曰、〈◯中略〉田邑先皇(○○○○)、〈◯文徳〉無價之寳彌照、

〔三代實録〕

〈三十陽成〉

p.0944 貞觀十八年十二月二十九日壬申、遣二參議從三位行右衞門督大江朝臣音人、從四位下行右馬頭在原朝臣業平一、向二田邑山陵一、〈◯文徳〉告以二天皇受一レ讓、告文曰、〈◯中略〉掛畏〈岐〉田邑御門(タムラノミカド)〈乃〉矜賜〈波牟〉厚慈〈乎〉受戴〈天、◯下略〉

〔古今和歌集〕

〈十七雜〉

p.0944 田村のみかど〈◯文徳〉の御時に〈◯下略〉

〔皇年代略記〕

〈清和〉

p.0944 元慶四年十二月四日崩、號二水尾帝一、〈同七日、火二葬粟田山白河陵一、置二御骨水尾山一、仍號二水尾帝一、〉

〔大鏡〕

〈一清和〉

p.0944 次の帝清和天皇と申ける、〈◯中略〉みづのをのみかどヽ申す、

〔大和物語〕

〈下〉

p.0944 水尾のみかど〈◯清和〉の御時、左大辨のむすめ、べんの御息所とていますかりける、

〔皇年代略記〕

〈光孝〉

p.0944 仁和三年八月廿六日崩、　九月二日葬二小松山陵一號二小松帝一、

〔帝王編年記〕

〈十四光孝〉

p.0944 仁和三年九月二日、奉レ葬二于小松山陵一〈葛野郡仁和寺〉號二光孝天皇一、又小松帝、

〔扶桑略記〕

〈二十二光孝〉

p.0944 小松天皇(○○○○)〈五十九代諱時康〉

〔大鏡〕

〈一光孝〉

p.0944 次の帝光孝天皇と申き、〈◯中略〉小松のみかどヽ申す、

〔仁和寺御傳〕

〈序〉

p.0944 夫考二當寺之濫觴一、光孝天皇、相二當城州葛野郡小松郷大内山之麓一、擺二荊棘一、穿二衆木一、草二創一院一、仁和寺是也、〈以二里號一稱二小松帝一〉

〔滿濟准后日記〕

p.0944 永享五年十月廿四日、就二諒闇事一、尋二申一條前攝政一、〈◯藤原兼良〉昨日返報今日到來了、〈◯中略〉小松院(○○○)御號事、先例皆以下有二其寄一之號上所二用來一也、此御號當時無二由緒一之上、爲二光孝天皇御一號(○○○○○○○)一之間、〈◯下略〉

〔皇年代略記〕

〈醍醐〉

p.0945 延長八年十月十日、葬二後山科陵一、

〔大鏡〕

〈一醍醐〉

p.0945 次の帝、醍醐天皇と申き、〈◯中略〉みさヽき山しなにあり、後の山しなといふ、

〔日本紀略〕

〈三村上〉

p.0945 天暦元年九月二十九日、後山階太上天皇〈◯醍醐〉國忌也、
◯按ズルニ、後山階トハ、天智天皇ノ、山科陵ニ對シテ稱スル所ナルベシ、

〔一代要記〕

〈三醍醐〉

p.0945 醍醐天皇號二小野(○○)一、
◯按ズルニ、日本紀略ニ、延長八年十月十日、奉二葬大行皇帝於山城國宇治郡山科陵一、醍醐寺北、笠取山西、小野寺下トアリ、是亦陵地ニ依テ稱スル所ナルベシ、

加後字襲前號

〔菅別記〕

p.0945 明應九年十月十七日、凡儒中故實者、天皇之追號、後字用二音讀一、大臣稱號之時、後字用二訓讀一、是通法之故實也、後深草院一號者、後字用二訓讀一云々、其様御不孝之讀、不二聞好一之儀也、〈後深草院〉
◯按ズルニ、菅別記ニ、後字用二音讀一トアレド、古書往々後字ノ下ニノ(○)ヽ字ヲ添ヘタルモノアリ、特ニ後深草ノミニアラザルナリ、

〔類聚雜例〕

p.0945 長元九年五月一日戊寅、關白相府〈◯藤原頼通〉等、於二殿上一被レ定二御正日雜事一、〈◯中略〉又有下可レ奉二稱號一之儀上、相府命云、尋二一條院御時例一無二宣旨一、只奉レ稱二一條院一云々、仍准二彼例一、奉レ稱二後一條院(○○○○)一如何、彼此被レ申云、甚佳事也、
◯按ズルニ、此次後朱雀後冷泉ノ二帝、奉號ノ事所見ナシ、拾芥抄ニ、朱雀院、累代後院トアレドモ後朱雀同院ニ移御ノコト、是亦徴證ナシ、後冷泉ハ、是モ拾芥抄ニ、冷泉院、累代後院トアリテ、扶桑略記ニ、永承天喜ノ間、同院ニ遷幸ノ事アリ、是レ後冷泉ト號スル所以ナルベシ録シテ參考ニ供ス、

〔榮花物語〕

〈三十八松の下枝〉

p.0945 此院をば一院とぞ人々申しける、後三條院とも申すめり、

〔山槐記〕

p.0945 建久三年三月十四日丙戌、昨日於二舊院一、院司公卿被レ定二院號一、後白河院(○○○○)云々、

〔皇年代略記〕

〈後鳥羽〉

p.0946 仁治三年七月八日、以二顯徳院一可レ奉レ號二後鳥羽院(○○○○)一之由、重被レ成二宣旨一、其辭云、顯徳〈乃〉尊號諡〈乎者〉秘〈之天〉申〈佐須、〉世俗〈爾者〉常〈仁〉御在所〈乎〉以〈氐〉後鳥羽院〈止〉申〈佐牟者〉可レ宜云々、

〔増鏡〕

〈三藤衣〉

p.0946 初めはけんとく院と定め申されたりけれど、おはしましヽ世の御あらましなりけるとて、仁治の頃ぞ、後鳥羽とは、更に聞え直されけるとなん、
◯按ズルニ、文ニおはしましヽ世のあらましト云フ、あらましトハ豫定ト云ハンガ如シ、蓋シ遺詔ヲ奉ズルナラン、記シテ疑ヲ存ス、

〔平戸記〕

p.0946 仁治三年六月廿六日、今日殿下〈◯藤原良實〉御物語云、顯徳院諡號可レ被レ改、可レ奉レ號二後鳥羽一云々、此事前内府申行歟、案此事我朝無レ例歟、至二漢朝一者一兩度相存之由、大府卿申レ之、又御改名之儀、太不レ得二其心一、何故云々、不レ叶二冥慮一者又如何、

〔一代要記〕

〈十後堀河〉

p.0946 文暦元年八月六日崩、同十日、諡號定二後堀河一、

〔明月記〕

p.0946 天福二年八月十一日丁丑、世間不審、問二金吾一、返事云、〈◯中略〉御名後堀川院(○○○○)云々、甚悦思此御名年來代々無二申人一、而無二此事一、今如レ此、聖代之御名可レ然事歟、奉二爲公家一、尤可レ爲二吉例一歟、

〔増鏡〕

〈八飛鳥川〉

p.0946 十七日の朝より御氣色かはる、〈◯中略〉つひに其日の酉の時に、御年五十三にてかくれさせ給ぬ、後嵯峨院(○○○○)とぞ申める、ことしは文永九年なり、

〔皇年代略記〕

〈後宇多〉

p.0946 元亨四年〈◯正中元年〉六月廿八日、葬二蓮華峯寺傍山一、同日先追號、奉レ號二後宇多院(○○○○)一、〈依二遺勅一也〉

〔皇年代略記〕

〈後伏見〉

p.0946 延元元年四月六日、崩二於持明院殿一、〈四十九〉奉レ號二後伏見院(○○○○)一、〈依二遺勅一也〉

〔皇年代略記〕

〈後二條〉

p.0946 徳治三年八月廿五日、崩二二條高倉皇居一、同廿七日、追二號後二條院一、〈於二關白直盧一議定〉

〔増鏡〕

〈十二浦千鳥〉

p.0946 廿八日、〈◯徳治三年八月〉先帝も御わざのさたあり、院號ありて後二條院(○○○○)とぞ聞ゆる、

〔神皇正統記〕

〈後醍醐〉

p.0946 後の號をば、仰のまヽにて後醍醐の天皇(○○○○○○)と申す、

〔觀心寺記〕

p.0946 正平廿三年四月廿日、奉レ葬二河内國錦部郡檜尾山陵一、〈觀心寺後山〉廿八日、奉レ追二號後村上天皇一、

〔伯耆卷〕

p.0947 暦應元年〈◯延元四年〉八月八日、〈◯八日、當レ作二十六日一、〉帝〈◯後醍醐〉崩御し給ふ、第七皇子御位に即せ給ふ、後村上天皇と申奉るは是なり、

〔皇胤紹運録〕

p.0947 義良親王　於二南朝一稱レ君、號二後村上天皇一云々、

〔鳩嶺雜事記〕

p.0947 應安元年三月十一日、住吉御所崩御、〈御年四十一、奉レ號二後村上院(○○○○)一、〉

〔南方紀傳〕

p.0947 應永三十一年四月十二日、小倉殿崩御、〈南方法皇〉諡二後龜山院(○○○○)一、

〔後愚昧記〕

p.0947 應安七年二月二日、有二諡號定一、太閤、〈良基公〉近衞前關白、〈道嗣公〉前内府〈實繼公〉預二其儀一、後光嚴院(○○○○)治定云々、

〔皇年代略記〕

〈後圓融〉

p.0947 明徳四年癸酉、四月廿六日辛丑、未刻崩、〈◯中略〉同廿七日、奉レ葬二泉涌寺一、〈◯中略〉諡號後圓融院(○○○○)、〈自二去年一遺勅也云々〉

〔親長卿記〕

p.0947 文明三年正月二日、舊院御追號事、後文徳、後花園等、可二計申一之由、奉行藏人左少辨〈季光〉奉書到來、〈其仰詞在レ別〉注二一紙一申入了、〈其案在レ別〉　二月五日、日野大納言〈資綱〉相語云、今度御追號事、〈後文徳院〉自二一條太閤一〈（藤原兼良）御二坐南都一〉被レ申云、於二文徳一者、田邑御門諡號也、被レ加二後字於諡號一之條、無二先例一歟、無二勿體一之由被レ申、〈件御追號、新大納言、後文徳、後花園等、兩號勘進獻レ之、二條大閤、（藤原持通）前内大臣、〈晴光〉右大將、〈公敦〉中院大納言、〈通秀〉廣橋大納言異見、予之外悉後文徳云々、仍被二言説一、公武時宜人々申状、就二御不審一重可レ被二尋問一云々、〉仍重可レ申二所存一云々、〈◯中略〉　十九日、後聞、今日有二宣下事一、止二後文徳院號一、宜レ爲二後花園院一云云、〈仰詞如レ此〉上卿日野大納言、〈資綱、吉服、〉奉行藏人左少辨季光、〈素服〉上卿仰二外記一云々、

〔皇年代略記〕

〈後花園〉

p.0947 文明二年十二月廿七日、俄御惱頓崩二室町第一、〈◯中略〉始奉レ號二後文徳院一、後改爲二後花園院一、〈改二顯徳院一、奉レ爲二後鳥羽院一之例、〉

〔菅別記〕

p.0947 明應九年十月七日戊子、參二關白殿一〈◯藤原冬良〉今度之御次第共、御沙汰之時分也、〈◯中略〉予申云、於二追號一者非二儒中之撰一、諸卿内々定申也、又被レ仰云、傳奏頻可二計申一之由申請之間、二號被二注進一畢云々、此上不レ能二是非一、　後陽成院、　後土御門、〈◯中略〉　廿一日壬寅、今夜於二番所一、源相公羽林參會、被レ語云、御追

p.0948 號事、今日治定云々、被レ用二後土御門(○○○○)一畢、

〔後法興院關白記〕

p.0948 明應九年十月九日、右少辨尚顯來令二對面一、舊主追號事、後陽成院、後土御門院、兩號何可レ宜哉、被レ申二所存一、就二群議一欲レ被二一定一矣、仰詞此分注二折紙一、　十日、昨日之由詞、注二折紙一付二奉行辨許一如レ常、余申詞、
　舊主追號事、土御門號、遷座御事可レ有二其憚一候歟、後陽成院無二巨難一候哉、

〔皇年代略記〕

〈後陽成〉

p.0948 元和三年九月廿日壬午、奉レ葬二泉涌寺一、奉レ號二後陽成院(○○○○)一、

〔忠利宿禰記〕

p.0948 承應三年十月十五日辛未、今夜酉刻、先帝〈御追號後光明院云々〉御葬送、〈泉涌寺也〉

〔實久卿記〕

p.0948 文化十年閏十一月十一日、午刻參二舊院一、〈◯中略〉御追號奉レ稱二後櫻町院(○○○○)一、於二禁中一被レ定之由、被レ示二評定一了、

〔後桃園院崩御記〕

p.0948 安永八年十一月九日、寅刻ツヒニ崩御云々、後桃園院ト追號シ奉ル、

〔公卿補任〕

〈後桃園〉

p.0948 安永八年十一月九日、天皇崩、〈奉レ號二後桃園院一〉

加後字襲前帝一號

〔入道左府記〕

p.0948 嘉元二年七月十七日、今夜後深草院〈無二追號之定一、兼被二思食一御號之故也、〉御葬送也、

〔増鏡〕

〈十一今日の日蔭〉

p.0948 二條富小路にてかくれさせたまひぬ、〈◯中略〉又の日、夜に入て深草殿へいでわたし奉る、〈◯中略〉後深草院(○○○○)とぞ聞ゆめる、

〔滿濟准后日記〕

p.0948 永享五年十月廿四日、就二諒闇事一、尋二申一條前攝政一、〈◯兼良〉昨日返報今日到來了、〈◯中略〉小松院御號事、先例皆以下有二其寄一之號上所二用來一也、此御號當時無二由緒一之上、爲二光孝天皇御一號(○○○○○○○)一之間、雖レ難レ被レ用レ之、既爲二遺詔一之上者、摸二後深草御號一、被レ加二後(○)字一可レ被二宥用一乎、已上前攝政、御申詞、

〔二水記〕

p.0948 大永六年四月廿七日、御追號事、可レ爲二後柏原院(○○○○)一之由有二其沙汰一云々、今度依レ仰各被二撰申一訖、〈◯中略〉御追號後柏原院治定了、桓武天皇號二柏原帝一也、

〔菅別記〕

p.0948 大永六年四月廿七日庚辰、御追號、後柏原院(○○○○)治定、陽明准后〈◯近衞尚通〉被二撰定申一云々、

〔少外記康雄記〕

p.0949 弘治三年九月五日、當今崩御也、〈◯中略〉號二後奈良院一、

〔公卿補任〕

〈後奈良〉

p.0949 弘治三年、〈九月五日、帝崩、六十二歳、號二後奈良院(○○○○)一、〉

〔皇年代略記〕

〈後水尾〉

p.0949 延寳八年後八月八日、奉レ葬二泉涌寺一、奉レ號二後水尾院(○○○○)一、〈依二遺詔一也〉

〔基量卿記〕

p.0949 貞享二年二月廿九日、參内、今日御追號之儀治定、後西院(○○○)云々、淳和天皇從二御兄一受禪、且又御弟〈◯弟恐兄誤〉之子ヘ讓位、御在位十ケ年、新院九年也、年數略相同、讓位受禪之處等同前之間、今日如レ此御治定也、

〔季連宿禰記〕

p.0949 貞享二年三月五日乙丑、新院御追號事、後西院(ゴサイ井ン)治定云々、

追號出遺詔

〔中右記〕

p.0949 大治四年七月八日甲申、著二直衣一參二新院〈◯鳥羽〉殿上一、治部卿被レ參、以二右衞門督實行一被レ仰云、〈◯中略〉本院院號事、頗被二沙汰一、可レ號二白河院一之由、御存生之時、被二仰置一云々、仍其定也、〈◯傍書云、件文書、本院御存生之時被二書置一也、〉十三日己丑、奉レ號二白河院一之由、内々議定了、

〔皇年代略記〕

〈後嵯峨〉

p.0949 文永九年二月十七日、崩二於龜山殿別院藥草院一、〈號二後嵯峨院一、依二遺勅一也、〉

〔皇年代略記〕

〈後深草〉

p.0949 嘉元二年七月十六日崩、號二後深草院一、〈依二遺勅一也〉

〔皇年代略記〕

〈龜山〉

p.0949 嘉元三年九月十五日崩、〈於二龜山殿一〉號二龜山院一、〈依二遺勅一也〉

〔皇年代略記〕

〈後宇多〉

p.0949 元亨四年〈◯正中元年〉六月廿五日、崩二於大覺寺一、同廿八日、追號奉レ號二後宇多院一、〈依二遺勅一也、〉

〔皇年代略記〕

〈後伏見〉

p.0949 延元元年四月六日、崩二於持明院殿一、〈號二後伏見院一、依二遺勅一也、〉

〔皇年代略記〕

〈花園〉

p.0949 貞和四年十一月十一日、崩二於萩原仙洞一、〈五十三〉奉レ號二花園院(○○○)一、〈依二遺詔一也〉

〔神皇正統記〕

〈後醍醐〉

p.0949 後の號をば仰のまヽにて、後醍醐の天皇と申す、

〔太平記〕

〈二十一〉

p.0949 因二遺勅一被レ成二綸旨一事
群臣相議シテ、先帝ニ尊號ヲ獻ル、御在位ノ間、風教多クハ延喜〈◯醍醐〉ノ聖代ヲ追レシカバ、尤其寄セアリトテ、後醍醐天皇ト諡ヲ奉ル、

〔皇年代略記〕

〈光嚴〉

p.0950 貞治三年七月七日、崩御、〈◯中略〉以二此間御庵號一被レ擬二追號一、奉レ號二光嚴院一、是依二遺勅一也、

〔皇年代略記〕

〈光明〉

p.0950 康暦二年六月廿四日、崩二於勝尾御草庵一、奉レ號二光明院一、〈日來奉レ號二光明院一、依二遺勅一不レ改二其號一、〉

〔敦有卿記〕

p.0950 應永五年正月十三日、午刻法皇崩二于伏見仙洞一、〈御年六十五、追號崇光院(○○○)、御遺誡云々、〉

〔椿葉記〕

p.0950 應永四年の冬より御惱にて、同五年正月十三日崩御なりぬ、遺勅にて崇光院と申、

〔皇年代略記〕

〈後圓融〉

p.0950 明徳四年四月廿六日辛丑崩、〈◯中略〉諡號後圓融院、〈自二去年一遺勅也云々〉

〔看聞日記〕

p.0950 永享五年十月廿七日、御追號事、爲二遺勅一被レ定二置後小松院一、

〔椿葉記〕

〈跋〉

p.0950 抑仙洞、〈◯後小松〉此一兩年御不豫にまし〳〵つるが、同とし神な月廿日、〈◯永亨五年〉つひに崩御なりぬ、遺勅にて後小松院と申、

〔皇胤紹運録〕

〈後水尾〉

p.0950 延寶八年八月十九日崩、依二遺詔一、奉レ號二後水尾院一、

併用二帝諡爲號

〔後成恩寺關白諒闇抄〕

p.0950 正長元年七月廿一日、追號定、　廿二日、爲清朝臣勘進、於二前關白〈◯藤原滿教〉直廬一被レ定レ之、萬里小路大納言、勸修寺中納言、〈經成卿〉右大辨宰相〈親光朝臣〉等、相議奉レ號二稱光院(○○○)一云々、順徳院御號時、有二淳陽號一、〈取二淳和陽成之一字一置二上下一〉仍今度就二此儀一、一兩勘進之内加二稱光一、〈稱(○)徳光(○)仁一字置二上下一〉直依二院仰一進二勘文一云々、儒中猶存二先蹤一、勘申雖二勿論一、淳陽既不レ被二採用一、定有二子細一歟、今度難レ資二准的一歟、議奏之次第如何、理可レ然乎、但稱光無二殊難一歟云々、

〔季連宿禰記〕

p.0950 元祿九年十一月廿五日戊寅、今日故本院〈帝御姑、仙洞御姉、御院號明正院云云、風聞云、是勅號云々、不レ知二子細一、〉遺詔奏陣儀也、〈◯中略〉明正院之事、風聞云、勅號云々、後日伊豫局被レ示云、此御院號非二勅號一、於二仙洞一〈◯靈元〉被二議定一云々、明正ノ二字、元明(○)天皇元正(○)天皇字云々、

〔光榮公記〕

p.0950 享保十七年八月廿九日、舊院御追號、被レ稱二靈元院(○○○)一、〈◯中略〉密傳聞、此御院號、舊院思食寄、被二書付置一趣、宮達言上御定云々、以二元明元正兩字一、稱二明正院一間、以二孝靈(○)孝元(○)兩字一、被二思召寄一歟由有二人々説一、

〔宗建卿記〕

p.0950 享保十七年八月六日、法皇崩御、　九日、議奏輩召二御前一仰云、故院御追號、御在世之時思召

p.0951 有レ之哉、被レ尋二下本所一之處、兩號被レ染二宸筆一有レ之由、則寫レ之自二新大納言局一被レ入二叡覽一、靈元〈孝靈、孝元、〉中正〈履中、反正、〉件兩號之間可レ爲二何號一哉、靈元可レ然思召候、猶被二群議一可レ有二言上一之由、則申二關白右府等一之處、少時衆議之上、兩號之間可レ爲二端方一、叡慮之通奉り無二子細一候歟、殊近來明正院御例、〈元明元正取合、故院御定也、〉旁可レ然歟之由議奏輩奉レ之、參二御前一奏レ之、

國名爲一號

〔續日本紀〕

〈二十五淳仁〉

p.0951 天平寶字八年十月壬申、高野天皇〈◯孝謙〉遣二兵部卿和氣王、左兵衞督山村王〈◯中略〉等一、率二兵數百一圍二中宮院一、山村王宣レ詔曰、〈◯中略〉帝位〈乎方〉退賜〈天、〉親王〈乃〉位賜〈天、〉淡路國〈乃〉公〈止〉退賜〈止〉勅、〈◯下略〉

〔皇年代略記〕

〈淳仁〉

p.0951 天平神護元年九月薨、稱二淡路廢帝一、

〔玉海〕

p.0951 安元三年七月二十九日、巳刻右中辨親宗、爲二院〈◯後白河〉御使一來云々、此次親宗語事等、讃岐院(○○○)〈◯崇徳〉院號、并宇治左府贈官贈位等事、來月三日可レ被レ行二此事一、後聞、今日被レ行二院號等事一、宜下止二讃岐院號一爲中崇徳院上、

〔續世繼〕

〈二春の調〉

p.0951 讃岐におはしましヽかば、〈◯崇徳〉讃岐のみかどヽこそ聞えさせたまふらめ、

〔源平盛衰記〕

〈八〉

p.0951 讃岐院事
新院〈◯崇徳〉讃州配流ノ後ハ、讃岐院ト申ケル、

〔承久軍物語〕

〈六〉

p.0951 十三日、〈◯承久三年七月〉法皇〈◯後鳥羽〉隱岐國へ還幸あるべき由きこしめせば、〈◯中略〉八月五日と申には、隱岐國海部郡苅田郷と申所につかせたまへば、領主あやしき御所を造りまうけて移し奉る、

〔皇代記〕

p.0951 顯徳天皇〈◯後鳥羽〉又曰二隱岐院一、

〔百練抄〕

〈十四四條〉

p.0951 延應元年二月廿二日壬戌、隱岐法皇崩御、　五月廿九日戊戌、侍從中納言〈爲家〉參著、召二大外記師兼一仰云、以二隱岐院一〈◯後鳥羽〉可レ奉レ號二顯徳院一者、

〔増鏡〕

〈二新島守〉

p.0951 中院〈◯土御門〉は、始よりしろしめさぬ事なれば、〈◯承久ノ亂ヲ謂フ〉あづまにもとがめ申さねど、父

p.0952 の院〈◯後鳥羽〉遙に移らせたまひぬるに、のどかにて都にてあらん事いと恐れありとおぼされて、御心もて其年〈◯承久三年〉閏十月十日、土佐の國はたといふ所に渡らせたまひぬ、〈◯中略〉せめて近き程に〈◯に下恐脱二と字一〉あづまより奏したりければ、後には阿波國に移らせ給ひにき、〈◯中略〉おりさせたまひて〈◯後鳥羽〉後も、土佐院十二年、〈◯下略〉

〔皇代記〕

p.0952 土御門天皇、世云二阿波院一、

〔増鏡〕

〈三藤衣〉

p.0952 その年〈◯寛喜三年〉十月十一日、あはの院〈◯土御門〉かくれさせ賜ひぬ、

〔皇代記〕

p.0952 順徳天皇、世云二佐渡院一、

〔増鏡〕

〈二新嶋守〉

p.0952 新院も佐渡國に移らせ賜ふ、〈◯中略〉佐渡院〈◯順徳〉あけくれ御おこなひをのみし賜ふ、

所號不詳

〔紹運要略〕

p.0952 土御門院〈寛喜三年十月十二日、崩二阿波國一、仁治三年七月八日、可レ奉レ號二土御門院一之由、被レ奉二宸筆之御書於金原法華堂一、〉

〔陵墓一覽〕

〈宮内省撰定〉

p.0952 土御門院天皇陵〈山城國乙訓郡金ケ原村〉
◯按ズルニ、吾妻鏡承久三年六月八日、叡山御幸ノ條ニ、上皇、〈後鳥羽〉土御門院、新院〈順徳〉ト云ヒ、百練抄ニモ同時ニ、一院〈後鳥羽〉土御門院、新院〈順徳〉トアリテ、承久軍物語ニ、土佐國ニ遷幸あるべきに定められけり、鷹司萬里小路の御所より御出あり、げしやくの土御門の大納言定通〈◯外祖父藤原通親子〉卿參りて、なく〳〵御車をよすトアレバ、遜位ノ後ハ、常ニ土御門院〈母后承明門院在子御在所〉ニ御坐セシヲ以テ、當時土御門院トハ稱シ奉リケルニヤ、附シテ後考ニ供ス、

〔續史愚抄〕

〈東山〉

p.0952 寶永六年十二月廿八日、故院御追號爲二東山院一、〈自レ院被二定仰一者〉

〔章弘宿禰記〕

p.0952 寶永七年正月七日癸酉、今日辰半刻遺詔奏云々、故院御追號、東山院之由御治定云々、

〔中御門院御昇壇記〕

p.0952 寶永七年正月十日、新院御院號、奉レ稱二東山院一、
◯按ズルニ、此號ノ事、伊藤長胤ノ盍簪録ニ、奉レ葬二于東山泉涌寺一、奉レ號曰二東山院一ト見エ、雍州府志ニ、泉涌寺號二東山一トアレド、筆者不詳ノ諡陵記ト云フ書ニ、兼而此東山之不審、折々人に尋とい

p.0953 へども、誰も不二心付一といへり、餘り近き世の事故探り見べき日記も手廻らず、泉涌寺は、東山に有が故ならんなどヽ答ふる人もあれど、歴代追々御陵ましまし、今更をくれて此時東山を用ひられん事當らず、何も合點不レ行事也、或時書房本城小兵衞來云、泉涌寺方丈の額は、張即之の筆にして東山とありといへり、然れども是もさてさて不審難レ晴といへども、向後校正の一助にひかへおく也トアレバ信ト爲シ難シ、又鳩巣隨筆ニハ、院といふはもと宮中屋宇の名なり、〈◯中略〉東山に御座あるを以て東山院と稱するの類なりトアレド、是又明徴ナケレバ據リ難シ、

〔光榮公記〕

p.0953 元文二年四月廿四日、右府〈◯一條兼香〉云、御院號毎度攝家勘進也云々、内々中御門院御治定也、

〔續史愚抄〕

〈櫻町〉

p.0953 元文二年五月五日癸巳、故院御追號、爲二中御門院一、〈去月廿七日、内々治定云、〉
◯按ズルニ、飯田忠彦ノ野史ニ、天皇讓位ノ後、櫻町仙院ニ遷御ノ事アリ、拾芥抄ニ、櫻町、中御門北、萬里小路東南ト見ユ、今京ノ制ニハアラザレドモ據ナキニアラズ、録シテ參考ニ供ス、

〔頼言卿記〕

p.0953 寳暦十二年七月廿三日甲申、御追號、儒卿三人各勘進、以二一封一被レ出也、　廿六日丁亥、儒卿勘進御追號、　廿八日己丑、先帝御追號桃園院(○○○)、御牌名筆者妙法院宮云々、

〔續史愚抄〕

〈桃園〉

p.0953 寶暦十二年七月二十九日庚寅、此日以二先帝御追號一、爲二桃園院一、〈今度不レ被レ擇二御追號一、抑櫻町院宸筆依レ有二此號一、被二取用一云、〉

古代追號

〔續日本紀〕

〈八元正〉

p.0953 養老五年十月丁亥、太上天皇、〈◯元明〉召二入右大臣從二位長屋王、參議從三位藤原朝臣房前一、詔曰、〈◯中略〉朕崩之後、宣下〈◯中略〉諡號稱二某國某郡朝庭馭宇天皇一流中傳後世上、

〔東大寺要録〕

〈八〉

p.0953 奈保山太上天皇〈◯元明〉山陵牌文〈養老五年十一月七日崩〉
大倭國御谷〈◯御谷恐添上誤〉郡平城之宮馭宇八洲　太上天皇之陵是其所也
養老五年歳次辛酉、冬十二月癸酉撥〈◯撥恐朔誤〉十三日乙酉葬、

〔神皇正統記〕

〈神武〉

p.0954 此御代より代ごとに宮所を遷されしかば、其所を名づけて御名とす、〈◯御號トスト云フ意ナリ〉此天皇をば橿原の宮と申なり、
◯按ズルニ、代ゴトニ宮所ヲ遷スト云フコト誤ナリ、〈下文代ごとに都を改めト云フ、亦同ジ、〉事ハ本居宣長ノ古事記傳〈二十一〉ニ見ユ、

〔神皇正統記〕

〈元明〉

p.0954 三年庚戌に、始めて大倭の平城の宮に都を定めらる、古は代ごとに都を改め、則其みかどの御名によび奉りき、

〔古事記傳〕

〈十八〉

p.0954 すべて古の御代を、古は或は近江大津〈ノ〉宮〈ニ〉御宇(アメノシタシロシメシヽ)、天皇〈◯天智〉或は飛鳥〈ノ〉淨御原〈ノ〉朝〈◯天武〉などヽこそ申せるを、後世人はたヾ後の漢諡をのみ知て、返て本の眞の御稱をば更にしらず、古書に記せるを見ても、何れの御代の稱とも、え辨へぬ人のみ多し、甚しき者は漢諡を當昔の眞の御名と心得て、上代を疑ふ者もあるをや、古を尚む人はよく思ふべき事なりかし、

大行

〔日本書紀〕

〈三十持統〉

p.0954 三年五月甲戌、命二土師宿禰根麻呂一、詔二新羅吊使級飡金道那等一曰、〈◯中略〉遣二田中朝臣法麻呂等一、相二告大行天皇(○○○○)〈◯天武〉喪一、〈◯下略〉

〔史記〕

〈十一漢孝景〉

p.0954 中六年四月、大行爲二行人一、〈服曰、天子死未レ有レ諡、稱二大行一、晋灼曰、禮有二大行小行一、主レ諡官、故以レ此名レ之、如淳曰、不レ反之辭也、〉

〔文獻通考〕

〈百二十二國恤〉

p.0954 帝〈◯漢高祖〉初登遐、朝臣稱曰二大行皇帝一、
魏孫毓曰、大行之稱、起二於漢氏一、漢書曰、大行在二前殿一、又曰、大行無二遺詔一、諡法大行受二大名一、小行受二小名一、初崩未レ諡、而嗣帝已立、臣下所レ稱、辭宜レ有レ異、故謂二之大行一、言其有二大徳行一、必受二大名一、若レ稱レ諡也、

〔好古小録〕

〈上〉

p.0954 伊福吉部徳足比賣臣墓誌
藤原大宮御宇〈大行(○○)〉天皇(○○)〈◯文武〉御世、慶雲四年歳次丁未春二月二十五日、從七位下被レ賜仕奉矣、〈◯下略〉

〔東大寺獻物帳〕

p.0954 獻二盧舍那佛一
　御袈裟合玖領〈◯中略〉

p.0955 　　右件厨子、〈◯中略〉天皇、〈◯持統〉傳二賜藤原宮御宇大行天皇(○○○○)一、〈◯文武〉

〔萬葉集〕

〈一雜歌〉

p.0955 藤原宮御宇天皇〈◯文武〉代
大行天皇(○○○○)〈◯文武〉幸二于難波宮一時歌、〈◯下略〉

〔日本後紀〕

〈十三平城〉

p.0955 大同元年三月丙戌、上謂二公卿一曰、〈◯中略〉報曰、大行天皇(○○○○)、〈◯桓武〉聖徳弘茂、海内清平、〈◯下略〉

〔文徳實録〕

〈一〉

p.0955 嘉祥三年四月己酉、公卿上啓曰、〈◯中略〉大行聖帝(○○○○)、〈◯仁明〉明齊二日月一、道括二乾坤一、〈◯下略〉

〔三代實録〕

〈一清和〉

p.0955 天安二年九月三日辛酉、是日大行皇帝(○○○○)〈◯文徳〉晏駕之後、始盈二七日一、遣二使於近レ陵諸寺一、各修二功徳一、

〔日本紀略〕

〈一醍醐〉

p.0955 延長八年十月十日庚子、奉レ葬二大行皇帝(○○○○)〈◯醍醐〉於山城國宇治郡山科陵一、

〔日本紀略〕

〈四村上〉

p.0955 康保四年六月四日辛酉、奉レ葬二大行皇帝(○○○○)〈◯村上〉於村上山陵一、

〔百練抄〕

〈十五後嵯峨〉

p.0955 仁治三年正月廿日、踐祚、〈◯中略〉諸卿群二參大行皇帝(○○○○)〈◯四條〉御在所一、〈閑院〉率二三種寶物一、被レ參二新帝御所一、

〔弘化諒闇記〕

p.0955 弘化三丙午歳二月六日、先帝〈◯仁孝〉追而被レ奉二御諡號一迄、被レ稱二大行天皇(○○○○)一之旨被二仰出一、

〔嘉永明治年間録〕

〈十六〉

p.0955 慶應三年正月、周防守殿〈◯老中松平康直〉渡書付、先帝〈◯孝明〉御諡號迄、奉レ稱二大行天皇一候事、

太祖中宗

〔革命勘文〕

p.0955 一高野天皇〈◯稱徳〉改二天平寶字九年一爲二天平神護元年一之例
謹案二國史一、〈◯中略〉遠履二太祖(○○)神武之遺蹤一、近襲二中宗(○○)天智之基業一、當下創二此更始一、期二彼中興一、建二元號於鳳暦一、施中作解於雷散上、〈◯下略〉

〔神皇正統記〕

〈仲哀〉

p.0955 太祖(○○)神武より、第十二代景行までは、代のまヽに繼體したまふ、

〔神皇正統記〕

〈天智〉

p.0955 此天皇、中興の祖(○○○○)にまします、

〔菅家文草〕

〈七記〉

p.0955 崇福寺綵錦寳幢記

p.0956 勅近江崇福寺者、天智天皇之創建也、〈◯中略〉本願天皇、朕〈◯宇多〉之遠祖大廟(○○)也、予末小子何不二祗承一、〈◯中略〉寛平二年歳次庚戌十二月四日、散位正五位下菅原〈◯道眞〉奉レ勅記、
◯按ズルニ、江家次第抄國忌條ニハ、天智天皇ヲ太祖トシ、光仁天皇ヲ中祖トセシコトアリ、山陵篇荷前條ニ引載セリ、參看スベシ、

國風尊號

〔日本書紀〕

〈二神代〉

p.0956 一書曰、狹野尊、〈◯神武〉亦號二神日本磐余彦尊一、所レ稱二狹野一者、是年少時之號也、後撥二平天下一、奄二有八洲一、故復加レ號、曰二神日本磐余彦尊(○○○○○○○)一、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

p.0956 辛酉年正月庚辰朔、天皇即二帝位於橿原宮一、〈◯中略〉古語稱之曰、於二畝傍之橿原(ウネビノカシハラ)一〈ニ〉也太二立宮柱(ミヤハシラフトシキタテ)於底磐(シタツイハ)之根(ネ)一〈ニ〉峻(チ)二峙搏風(ギタカシリ)於高天之原(タカマノハラ)一而(ニテ)始馭天下(ハツクニシラス)之天皇、曰二神日本磐余彦火火出見天皇一焉、

〔日本書紀〕

〈二十五孝徳〉

p.0956 大化三年四月壬午、詔曰、〈◯中略〉自二始治國(ハツクニシラシヽ)皇祖〈◯神武〉之時一、天下大同、都無二彼此一者也、

〔日本書紀〕

〈四安寧〉

p.0956 三年正月壬午、立二渟名底仲媛命一爲二皇后一、先レ是后生二二皇子一、〈◯中略〉第二曰二大日本彦耜友(オホヤマトヒコスキトモノ)天皇一、〈◯懿徳〉

〔日本書紀〕

〈四孝昭〉

p.0956 二十九年正月丙午、立二世襲足媛一爲二皇后一、后生二〈◯中略〉日本足彦國押人(ヤマトタラシヒコクニオシビト)天皇一、〈◯孝安〉

〔日本書紀〕

〈四孝安〉

p.0956 二十六年二月壬寅、立二姪押媛一爲二皇后一、后生二大日本根子彦太瓊(オホヤマトネコヒコフトニ)天皇一、〈◯孝靈〉

〔古事記傳〕

〈二十一〉

p.0956 根子は尊稱にて、景行天皇の御子にも、倭根子命と申すあり、凡人にも、記中に難波根子(ナニハネコ)、書紀神功卷に、山背根子(ヤマシロネコ)など云名見えたり、天皇は大倭國しろしめすを以て、倭根子とは申し奉るなり、〈◯中略〉すべて御代々々の天皇の御通號となりて、詔命などにも、みな倭根子天皇と申し奉ることなり、

〔日本書紀〕

〈四孝靈〉

p.0956 二年二月丙寅、立二細媛命一爲二皇后一、后生二大日本根子彦國牽(オホヤマトネコヒコクニクル)天皇一、〈◯孝元〉　三十六年正月己亥朔、立二彦國牽(ヒコクニクル)尊一、爲二皇太子一、

〔續日本後紀〕

〈十二仁明〉

p.0956 承和九年十二月癸酉、右京人參議從三位兼越中守勳六等朝野宿禰鹿取、男女

p.0957 總十九人、改二宿禰一賜二朝臣一、國牽(クニクル)天皇三世孫、武内宿禰第六男、葛木襲津彦之後、

〔日本書紀〕

〈四孝元〉

p.0957 七年二月丁卯、立二欝色謎命一爲二皇后一、后生二二男一女一、〈◯中略〉第二曰二稚日本根子彦大日日(ワカヤマトネコヒコオホヒヽ)天皇一、〈◯開化〉

〔古事記傳〕

〈二十二〉

p.0957 大御父天皇〈◯孝元〉の御名の、大倭根子に對へて、若倭根子とは稱へ奉れるなり、

〔日本書紀〕

〈五崇神〉

p.0957 十二年九月己丑、始校二人民一更科二調役一、此謂二男之弭調、女之手末調一也、是以天神地祇共和享、而風雨順レ時、百糓用成、家給人足、天下太平矣、故稱謂二御肇國(ハツクニシラス)天皇一也、

〔古事記〕

〈中崇神〉

p.0957 爾天下太平、人民富榮、於レ是初令レ貢二男弓端之調、女手末之調一、故稱二其御世一、謂二所知初國之御眞木天皇一(ハツクニシラシシミマキノスメラミコト)也、

〔古事記傳〕

〈二十三〉

p.0957 所知初國は、波都久邇斯羅志斯(ハツクニシラシシ)と訓り、此稱辭は、後の御世に至て申せし言なるべし、其御世と云、又大御名をも申せるなど、當御世に申せる物とは聞えざればなり〈◯中略〉さて此は師〈◯加茂眞淵〉の神武天皇を如此稱申して、〈◯事見二上文一〉更に又此にも如此申せる故は、是より先にはいまだ服はざりし遙の國々まで、初て皇化のゆきたらはして、天下悉く大平ぬる御世なればなりといはれしが如し、

〔日本書紀〕

〈十四雄略〉

p.0957 元年三月壬子、〈◯中略〉是月立二三妃一、元妃葛城圓(カヅラキノツブラ)大臣女曰二韓媛一、生三白髮武廣國押稚日本根子(シラゲタケヒロクニオシワカヤマトネコ)天皇、〈◯清寧〉與二稚足姫皇女一、

〔日本書紀〕

〈十五清寧〉

p.0957 白髮武廣國押稚日本根子天皇、大泊瀬幼武天皇〈◯雄略〉第三子也、〈◯中略〉天皇生而白髮

〔古事記〕

〈下雄略〉

p.0957 天皇、〈◯中略〉娶二都夫良意富美之女韓比賣一生御子白髮命、〈◯清寧〉

〔古事記〕

〈下清寧〉

p.0957 白髮大倭根子(シラカオホヤマトネコ)命、〈◯中略〉此天皇無二皇后一、亦無二御子一、故御名代定二白髮(シラカ)部一、

〔日本書紀〕

〈十七繼體〉

p.0957 元年三月癸酉、納二八妃一、元妃尾張連草香女曰二目子媛一、生二二子一、皆有二天下一、其一曰二勾大兄(マガリオホエ)皇子一、是爲二廣國排武金日(ヒロクニオシタケカナヒ)尊一、〈◯安閑〉　七年十二月戊子、詔曰、〈◯中略〉懿哉摩呂古(マロコ)示二朕心於八方一、盛哉勾大(マガリノオホ)

p.0958 兄(エ)光二吾風於萬國一、〈◯下略〉

〔皇年代略記〕

p.0958 安閑天皇〈諱勾大兄、又廣國押武金日、〉

〔古事記〕

〈下安閑〉

p.0958 廣國押建金日命坐二勾(マガリ)之金箸宮一治二天下一也、

〔日本書紀通證〕

〈二十二繼體〉

p.0958 摩呂古〈安閑別號〉

〔古事記傳〕

〈四十四〉

p.0958 勾は、大和國廣瀬郡なるべきか、〈◯中略〉此天皇〈◯安閑〉の御名、書紀に勾大兄皇子とあれば、本より此地に住居坐りしなり、

〔日本書紀〕

〈十七繼體〉

p.0958 元年三月癸酉、納二八妃一、元妃尾張連草香女曰二目子媛一、生二二子一、皆有二天下一、〈◯中略〉其二曰二檜隈高田(ヒノクマノタカタ)皇子一、是爲二武小廣國排盾(タケヲヒロクニオシタテ)尊一、〈◯宣化〉

〔皇年代略記〕

p.0958 宣化天皇〈諱高田、又武小廣國排楯、〉

〔古事記〕

〈下宣化〉

p.0958 建小廣國押楯命、坐二檜坰之廬入野(ヒノクマノイホリヌ)宮一治二天下一也、

〔古事記〕

〈下欽明〉

p.0958 天皇、娶二檜坰(ヒノクマノ)天皇〈◯宣化〉之御子石比賣命一、

〔日本書紀〕

〈十七繼體〉

p.0958 元年三月甲子、立二皇后手白香皇女一、脩二教于内一、遂生二一男一、是爲二天國排開廣庭(アメクニオシハルキヒロニハ)尊一、是嫡子而幼年、於二二兄〈◯安閑、宣化、〉治後一、有二其天下一、

〔古事記〕

〈下繼體〉

p.0958 天皇、〈◯中略〉娶二意富祁天皇〈◯仁賢〉之御子、手白髮命一〈是大后也〉生御子、天國押波流岐廣庭(アメクニオシハルキヒロニハ)命、〈波流岐三字以レ音〉

〔上宮聖徳法王帝説〕

p.0958 斯歸斯麻(シキシマノ)宮治二天下一天皇、〈◯欽明〉名阿米久爾意斯波留支比里爾波乃彌己等(アメクニオシハルキヒリニハノミコト)、

〔日本書紀〕

〈十九欽明〉

p.0958 二年三月、納二五妃一、〈◯中略〉次蘇我大臣稻目宿禰女、曰二堅鹽姫一、生二七男六女一、其一曰二大兄(オホエ)皇子一、是爲二橘豐日(タチバナノトヨヒ)尊一、〈◯用明〉

〔日本往生極樂記〕

p.0958 聖徳太子者、豐日天皇〈◯用明〉第二子也、

〔日本書紀〕

〈二十二推古〉

p.0958 豐御食炊屋姫(トヨミケカシキヤヒメ)天皇、天國排開廣庭天皇〈◯欽明〉中女也、〈◯中略〉幼曰二額田部(ヌカタベ)皇女一、

〔皇年代略記〕

p.0959 推古天皇〈諱額田部、又號二豐御食炊屋姫一、〉

〔日本書紀〕

〈二十二推古〉

p.0959 三十六年三月壬子、天皇病甚、不レ可レ諱、則召二田村(タムラ)皇子一、〈◯舒明〉

〔日本書紀〕

〈二十三舒明〉

p.0959 息長足日廣額(オキナノタラシヒヒロヌカ)天皇、渟中倉太珠敷天皇〈◯敏達〉孫、彦人大兄皇子之子也、母曰二糠手姫皇女一、

〔古事記〕

〈下敏達〉

p.0959 此天皇之御子等、并十七王之中、日子人太子、娶二庶妹田村王、亦名糠手比賣命一生御子、坐二岡本宮一治二天下一之天皇、〈◯舒明〉

〔書紀集解〕

〈二十三舒明〉

p.0959 按、息長近江地名、皇祖母所レ號、〈◯彦人大兄皇子母、息長眞手王女廣姫、〉足日美稱、廣額蓋表二天容一也、

〔大安寺伽藍縁起〕

p.0959 初飛鳥岡基御宇天皇〈◯舒明〉之、未レ登二極位一號、曰二田村皇子一、

〔皇年代略記〕

p.0959 舒明天皇〈諱田村、號二息長足日廣額天皇一、〉

〔日本書紀〕

〈二十三舒明〉

p.0959 二年正月戊寅、立二寶(タカラ)皇女一〈◯皇極〉爲二皇后一、

〔日本書紀〕

〈二十四皇極〉

p.0959 天豐財重日足姫(アメトヨタカライカシヒタラシヒメ)天皇、渟中倉太珠敷天皇〈◯敏達〉曾孫、押坂彦人大兄皇子孫、茅渟王女也、

〔書紀集解〕

〈二十四皇極〉

p.0959 財即寳、〈◯中略〉餘皆美號、

〔皇年代略記〕

p.0959 皇極天皇〈諱寳、又天豐財重日足姫天皇、〉

〔日本書紀〕

〈二十四皇極〉

p.0959 四年六月庚戌、讓二位於輕皇子一、〈◯孝徳〉

〔日本書紀〕

〈二十五孝徳〉

p.0959 天萬豐日(アメヨロヅトヨヒ)天皇、天豐財重日足姫天皇〈◯皇極〉同母弟也、

〔皇年代略記〕

p.0959 孝徳天皇〈諱輕、又號二天萬豐日天皇一、〉

〔日本書紀〕

〈二十三舒明〉

p.0959 十三年十月丁酉、天皇崩二于百濟宮一、〈◯中略〉是時東宮開別(ハルキワケ)皇子、〈◯天智〉年十六而誄之、

〔大安寺伽藍縁起〕

p.0959 天皇〈◯齊明〉行二幸筑紫朝倉宮一、將二崩賜一時、甚痛憂勅〈久、〉此寺授レ誰參來〈止、〉先帝〈◯舒明〉待問賜者、如何答申〈止〉憂賜、爾時近江宮御宇天皇〈◯天智〉奏〈久、〉開(ハルキ)〈伊〉髻墨刺、肩負レ鋸、腰刺レ斧、奉爲奏〈支、〉

〔日本書紀〕

〈二十七天智〉

p.0960 天命開別(アメミコトハルキワケ)天皇、息長足日廣額天皇〈◯舒明〉太子也、

〔日本書紀通證〕

〈二十七天智〉

p.0960 天命開別天皇〈盖誅二入鹿一、定二日位一命美稱、〉

〔書紀集解〕

〈二十七天智〉

p.0960 天命開別天皇〈按天智恭遜、待レ時而登二天位一、如レ有二命所一レ開、故以爲レ諡也、〉

〔皇年代略記〕

p.0960 天智天皇〈諱葛城、又號二天命開別天皇一、〉

〔日本書紀〕

〈二十三舒明〉

p.0960 二年正月戊寅、立二寳皇女一〈◯皇極〉爲二皇后一、后生二二男一女一、一曰二葛城(カツラギ)皇子一、〈近江大津宮御宇天皇〉

〔日本書紀〕

〈二十八天武〉

p.0960 天渟中原瀛眞人(アメヌナハラオキノマヒト)天皇、天命開別天皇〈◯天智〉同母弟也、幼曰二大海人(オホシアマ)皇子一、

〔皇年代略記〕

p.0960 天武天皇〈諱大海人、又名二天渟名原瀛眞人一、〉

漢風尊號

〔續日本紀〕

〈二十一淳仁〉

p.0960 天平寳字二年八月庚子朔、高野天皇禪二位於皇太子一、〈◯中略〉是日百官及僧綱、詣二朝堂一上表、上二上臺中臺尊號一、其百官表曰、臣仲麻呂等言、臣聞、星廻日薄、懸象著明之謂レ天、出レ震發レ乾、乘レ時首出之謂レ聖、天以レ不レ言爲レ徳、非レ言無三以暢二其神一、聖以レ無レ名體レ道、非レ名安可レ詮二其用一、冬穴夏巣之世、猶昧二典章一、雲官火紀之君、方崇二徽號一、寔乃發二揮功業一、闡二揚尊名一、名之爲レ義、其來尚矣、伏惟皇帝〈◯孝謙〉陛下、臨二馭天下一十有餘年、海内清平、朝廷無事、祥瑞頻至、寳字荐臻、乃聖乃神、允文允武、諒無二得而稱一焉、曁下乎國絶二皇嗣一、人懷中彼此上、降二天尊於人願一、鳴謙克光、損二乾徳於坤儀一、鴻基遂固、展二誠敬一而追レ遠、攀慕惟深、勤二温清一以承レ顏、因心懇至、故有下九服宅レ心、咸荷二望雲之慶一、萬方傾レ首、倶承中就日之輝上、〈◯中略〉臣等入參二帷扆一、出廁二周行一、鳴レ珮曳レ綸、綿二積年祀一、觀二斯盛徳一、戴二斯昌化一、臣子之義、何無二稱賛一、人欲而天必從、狂言而聖尚擇、謹據二典策一、敢上二尊號一、伏乞奉レ稱二上臺寳字稱徳孝謙皇帝(○○○○○○○○)一、奉レ稱二中臺天平應眞仁正皇太后一、上恊二天休一、傳二鴻名於萬歳一、下從二人望一揚二雅稱於千秋一、不レ勝二至懇踊躍之甚一、謹詣二朝堂一、奉表以聞、僧綱表曰、沙門菩提等言、菩提聞、乾坤高大、覆載以レ之顯レ功、日月貞明、照臨由レ其甄レ用、至下於混二群有一而饒益、撫二萬物一而曲成上、獨標二十號之尊一、式崇二四大之極一、故徽猷歴二前古一以不レ朽、妙迹流二後葉一、而恒新、然則表レ徳稱レ功、莫レ不レ由二於名號一、伏惟皇帝陛下、乃聖繼レ聖、括二六合一而承二其〈◯其疑衍〉基一、乃神襲レ神、環二四溟一而光宅、期二政道於刑措一、駈二懷生於仁宜一、追遠之孝尤重、

p.0961 錫類之徳彌厚、不下似二逸遊一爲上レ念、俯以謙卑在レ懷、瑞蠶藻文、薦二聖壽之遐社一、寳字結象、開二皇基之永昌一、〈◯中略〉陛下謙讓、推而不レ居、菩提等竊疑焉、菩提等逖察二前徽一、緬鏡二遐載一、隨レ時立レ制、權レ代適レ宜、王皇雖レ殊、其揆一也、菩提等不レ勝二丹欵之誠一、謹上二尊號一、陛下稱曰二寳字稱徳孝謙皇帝一、皇太后稱曰二天平應眞仁正皇太后一、伏願陛下皇太后、抑二謙光之小節一、從二梵侶之讜言一、庶使二蟠木之郷、燭龍之地、問レ號仰レ澤、聽聲傾一レ光、凡厥在レ生、誰不二幸甚一、沙門菩提等不レ任二下情一、謹奉レ表以聞、詔報曰、朕覽二卿等所一レ請、鴻業良峻、祗畏允深忝以二寡薄一、何當二休名一、而上天降レ祐、帳宇開レ平、原地薦レ祥、蠶文表レ徳、竊惟二此事一、天意難レ違、俯從二衆願一、敬膺二典禮一、號曰二寶字稱徳孝謙皇帝一、

〔續日本紀〕

〈十八孝謙〉

p.0961 寳字稱徳孝謙皇帝〈出家歸レ佛、更不レ奉レ諡、因取二寳字二年、百官所レ上尊號一稱レ之、〉
◯按ズルニ、扶桑略記稱徳天皇重祚ノ下ニ、四十九代高野天皇是也、前謂二孝謙天皇一トアリ、前トハ即前位ヲ謂フ、又愚管抄ニモ、重祚して位にかへりたまひにけり、〈◯中略〉孝謙を此度は稱徳天皇と申けりトアリ、孝謙稱徳ノ追號ハ、此尊號ヲ分稱スル所ナリ、