方技部/天文道

〈宿曜道併入〉 p.0237 天文道ハ、天文氣色ヲ候ヒ、日月星辰ノ躔度ヲ測リ、變異ヲ察シ、氣節ヲ知ルノ術ニシテ、推古天皇ノ十年、百濟ノ僧觀勒ガ、暦本地理遁甲等ノ書ト共ニ、天文ノ書ヲ貢獻セシヲ以テ、傳來ノ初トス、大寶令ニハ陰陽寮ノ内ニ天文博士、天文生等ヲ置キテ之ヲ掌ラシム、而シテ、徃時ニ在リテハ、特ニ天象ノ變ヲ察シ、吉凶ヲ判ズルヲ以テ重シト爲シタリ、故ニ天文密奏ノ事アリ、天文密奏トハ、天變アルトキ其由ヲ勘録シ、之ヲ密封シテ奏聞スルヲ謂フ、 往時ノ天文學ハ、皆隋唐ノ古法ニ依リシモノニテ、久シク因襲シテ改メザリシニ由リ、德川氏ノ中世ニ及ビテ、日月ノ蝕モ推測ノ法ト違フ事多カリキ、是ニ於テ改暦ノ議大ニ起リ、遂ニ斯學ノ進歩ヲ致セリ、當時、此學荒蕪シ、天文臺ノ設モ之レ無キニ由リ、江戸大坂等ノ地ニ測量所ヲ設ケ、尋デ天明以降天文臺ヲ新設シ、西洋ノ法ヲ參取シテ觀測推歩ノ詳密ヲ極ムルニ至リ、古來ノ面目一新シテ、觀測器ノ如キモ、亦往々我邦ニテ發明セシモノアリ、尚ホ暦ニ關スル事ハ暦道篇ヲ、日蝕月蝕彗星等ノ事ハ天部日月星各篇ヲ參看スベシ、 宿曜道ハ僧侶ノ專ラ學ブ所ノ天文道ニシテ、中世甚ダ盛ニ行ハレタリ、然レドモ亦吉凶ヲ判ズルヲ以テ主トス、

名稱

〔伊呂波字類抄〕

〈天疊字〉

p.0237 天文

〔漢書〕

〈二十六天文〉

p.0238 凡天文在二圖籍一、昭昭可レ知者、經星、常宿、中外官、凡百一十八名、積數七百八十三星、皆有二州國、官宮、物類之象一、其伏見早晩、邪正存亡、虚實闊陿、〈孟康曰、伏見早晩謂二五星一也、日月五星下道爲レ邪、存謂二列宿不一レ虧也、亡謂二恒星不一レ見、虚實若二天牢星、實則四多、虚則開出之屬一也、闊陿若二三台星相去遠近一也、〉及五星所レ行合散犯守、陵歴鬭食、〈孟康曰、合同レ舍也、散五星有レ變、則其精散爲二祆星一也、犯七寸以内光芒相及也、陵相冐過也、食星月相陵不レ見者則所レ蝕也、韋昭曰自レ下往觸レ之曰レ犯、居二其宿一曰レ守、經レ之爲レ歴、突掩爲レ陵、星相擊爲レ鬪也、〉彗孛飛流、日月薄食、〈張晏曰、彗所二以除レ舊布一レ新也、孛氣似レ彗、飛流謂二飛星流星一也、孟康曰、飛絶レ迹而去也、流光迹相連也、日月無レ光曰レ薄、京房易傳曰、日月赤黄爲レ薄、或曰、不レ交而食曰レ薄、韋昭曰、氣往迫之爲レ薄、虧毀曰レ食、〉暈適背穴、抱珥 蜺、〈孟康曰、皆日旁氣也、適日之將レ食先有レ黑之變也、背形如二背字一也、穴多作レ鐍、其形如二玉鐍一也、抱氣向レ日也、珥形點レ黑也、如淳曰、暈讀曰レ運、 或作レ虹、蜺讀曰レ齧、螮蝀謂二之 一、表云、雄爲レ 、雌爲レ蜺、凡氣在二日上一爲レ冠爲レ戴、在レ旁直對爲レ珥、在レ旁如二半環一向レ日爲レ抱、向レ外爲レ背、有レ氣刺レ日爲レ鐍、鐍抉傷也、〉迅雷風祅、怪雲變氣、此皆陰陽之精、其本在レ地而上發二于天一者也、政失二於此一則變見二於彼一、猶二景之象レ形、郷之應一レ聲、〈師古曰、鄕讀曰レ響、〉是以明君覩レ之而寤、飭レ身正レ事、思二其咎一謝、則禍除而福至、自然之符也、

〔晉書〕

〈十一天文〉

p.0238 天體 古言レ天者有二三家一、一曰蓋天(○○)、二曰宣夜(○○)、三曰渾天(○○)、漢靈帝時、蔡邕于二朔方一上書言、宣夜之學絶無二師法一、周髀術數具存二考驗一、天状多レ所二違失一、惟渾天近レ得二其情一、今史官候臺所レ用銅儀、則其法也、立二八尺員體一、而具二天地之形一、以正二黄道一、占二察發歛一、以行二日月一、以歩二五緯一、精微深妙、百代不易之道也、官有二其器一、而無二本書一、前志亦闕、蔡邕所レ謂周髀者、即蓋天之説也、其本庖犠氏立二周天歴度一、其所レ傳則周公受二於殷商一、周人志レ之、故曰二周髀一、髀股也、股者表也、其言天似二蓋笠一、地法二覆槃一、天地各中高外下、北極之下爲二天地之中一、其地最高、而滂沲四隤、三光隱映、以爲二晝夜一、天中高二於外衡一、冬至日之所レ在六萬里、北極下地高二於外衡下地一亦六萬里、外衡高二於北極下地一二萬里、天地隆高相從、日去レ地恒八萬里、日麗レ天而平轉、分二冬夏之間日前行道一爲二七衡六間一、毎衡周經里數、各依二算術一、用二句股重差一、推二晷影極游一以爲二遠近之數一、皆得二於表股一者也、故曰二周髀一、又周髀家云、天員如レ張レ蓋、地方如二棊局一、天旁轉如レ推レ磨而左行、日月右行隨二天左轉一、故日月實東行而天牽レ之以西沒、譬三之於蟻行二磨石之上一、磨左旋而蟻右去、磨疾而蟻遲、故不レ得レ不二隨レ磨以左廻一焉、天形南高而北下、日出高故見、日入下故不レ見、天之居如 レ倚レ蓋、故極在二人北一、是其證也、極在二天之中一、而今在二人北一、所四以知三天之形如二倚蓋一也、日朝出二陽中一、暮入二陰中一、陰氣暗冥、故沒不レ見也、夏時陽氣多陰氣少、陽氣光明與レ日同レ輝、故日出即見無二蔽レ之者一、故夏日長也、冬天陰氣多陽氣少、陰氣暗冥、掩二日之光一、雖レ出猶隱不レ見、故冬日短也、宣夜之書云、惟漢秘書郞郄萌記二先師相傳一云、天了無レ質、仰而瞻レ之、高遠無レ極、眼瞀精絶、故蒼々然也、譬下之旁望二遠道之黄山一、而皆靑、俯察二千仭之深谷一、而窈黑上、夫靑非二眞色一、而黑非レ有レ體也、日月衆星自然浮二生虚空之中一、其行其止皆須レ氣焉、是以七曜或逝或住、或順或逆、伏見無レ常、進退不レ同、由二乎無一レ所二根繫一、故各異也、故辰極常居二其所一、而北斗不下與二衆星一西沒上也、攝提塡星皆東行、日行一度、月行十三度遲疾任レ情、其無レ所二繫著一可レ知矣、若綴二附天體一不レ得レ爾也、成帝咸康中、會稽虞喜因二宣夜之説一作二安天論一、以爲下天高窮二於無窮一、地深測中於不測上、天確乎在レ上、有二常安之形一、地魄焉在レ下、有二居レ靜之體一、當二相覆冒一、方則倶方、員則倶員、無二方員不同之義一也、其光曜布列、各自運行、猶下江海之有二潮汐一、萬品之有中行藏上也、葛洪聞而譏レ之曰、苟辰宿不レ麗二於天一、天爲二無用一、便可レ言レ無、何必復云二有レ之而不一レ動乎、由レ此而談、稚川可レ謂二知言之選一也、虞喜族祖河間相聳、又立二穹天論一云、天形穹隆如二雞子幕一、其際周接二四海之表一、浮二于元氣之上一、譬如二覆レ奩以抑一レ水、而不レ沒者氣充二其中一故也、日繞二辰極一沒レ西而還レ東、不レ出二入地中一、天之有レ極猶二蓋之有一レ斗也、

〔三才圖會〕

〈一天文〉

p.0239 總敍 古之言レ天者凡八家、一曰渾天、即今所レ載張衡靈憲經是也、二曰宣夜、絶無二師學一、三曰蓋天、周髀所レ載、四曰軒天、姚信所レ説、五曰穹天、虞聳所レ擬、六曰安天、虞喜所レ述、七曰方天、王充所レ論、八曰四天、祅胡寓言、獨渾天一家最爲レ近レ理、故李淳風獨取二靈憲經一載レ之、

〔兩儀集説外記〕

p.0239 或問、天學ト云ハ何等ノ道理ヲ學ビ、如何ナル業ヲ務メ、何ノ用ト成ル事ゾヤ、 答曰、天ト云ニ二義アリ、命理ノ天ト形氣ノ天ト也、命理ノ天ハ聲色ニ非ズ、近ク人身ニ在ト云トモ、是ヲ窮知コト難シトス、僅モ差フ時ハ邪路ニ入去ル、形氣ノ天ハ蒼々トシテ人ノ頭上ニ 在リ、仰デ七曜衆星ノ易易運行スルヲ觀ル、是ヲ測リ是ヲ驗ムル時ハ、遠シト云ヘドモ近ク識安キ事アリ、夫此兩天ノ位ヲ論ズル時ハ、命理ハ上ニシテ形氣ハ下トス、然レドモ元相離ルヽ事ナク、先後高下無シ、須臾モ其形氣ヲ離ルヽトキハ、其命理モ亦掛搭スル所無シ、命理常住ナルガ故ニ、形氣モ亦常住也、此二ツノ天ヲ學ブハ、同ク是ヲ天學ト可レ言、人ハ天ノ靈也、其道ハ天ノ道也、其學天學ト不レ云事ヲ得ン乎、七曜衆星、高下左右、進退乾々トシテ止事ナキハ、是天ノ至道ナラン、伏羲氏、仰テ形氣ノ天ヲ觀察シ玉ヒ、始テ卦ヲ畫シテ命理至玅之天ヲ示シ、人道ヲ立玉ヒ、黄帝顓頊、天文ヲ明、始テ暦ヲ製シテ民用ヲ修メシメ玉ヒ、唐虞ノ始、昊天ニ順ヒ、暦象ヲ製シ、璿璣玉衡ヲ察カニシテ、七曜ノ運行ヲ測リ齊ヘ、氣節ヲ正シクシテ萬民ニ時ヲ授ケ玉ヘリ、是帝王ノ重事、治敎ノ始メ、人倫日用ノ要領、天學ノ原始ナリ、私ニ按ズルニ、天文ハ暦易ノ形體ニシテ、易ハ天文ノ理、暦ハ天文ノ用也、是則致知格物ノ主本、學者是ヲ忽ニスベケン哉、

職司

〔令義解〕

〈一職員〉

p.0240 陰陽寮 頭一人〈掌二天文、暦數、風雲氣色、〉〈謂天文者、日月五星廿八宿也、(中略)氣色者、風雲之氣色也、言以二五雲之色一、視二其吉凶一、候二十二風氣一知二其妖祥一、其天文博士職掌、唯言二氣色一不レ言二風雲一者、擧二氣色一則有二風雲一可レ知也、〉〈有レ異密封奏聞事一、〉

〔延喜式〕

〈十六陰陽〉

p.0240 凡天文博士、常守觀候、毎有二變異一、日記進レ寮、寮頭即共勘知、密封奏聞、其日記者、加二署封一送二中務省一令レ附二内記一、

〔三代實録〕

〈一淸和〉

p.0240 天安二年八月廿九日丁巳、陰陽寮奏言、〈○中略〉凡天文風雲氣色有レ異、陰陽頭及天文博士密封奏聞、修國史局召二陰陽寮一索二其案文一、記二載史書一、他皆効レ此、

天文博士

〔令義解〕

〈一職員〉

p.0240 陰陽寮 天文博士一人〈掌下候二天文氣色一、有レ異密封、及敎中天文生等上、〉

〔職原抄〕

〈上〉

p.0240 陰陽寮〈○中略〉 天文博士〈權、相當正七位下、唐名司天、又靈臺郞、〉天文道任レ之、近代五位以上任レ之、

〔類聚三代格〕

〈十五〉

p.0241 太政官符 應レ定二博士職田一事 合博士廿人、應レ給職田七十三町、〈内五十二町、外廿一町、○中略〉 天文博士職田(〇〇〇〇〇〇)四町 攝津國一町〈豐島郡〉 山背國二町〈綴喜郡〉 近江國一町〈野洲郡〉 右今改二置天文博士職田一〈○中略〉 延暦十年二月十八日

天文生

〔令義解〕

〈一職員〉

p.0241 陰陽寮 天文生十人〈掌レ習二候天文氣色一〉

〔令集解〕

〈三職員〉

p.0241 朱云、習與レ候二事也、先云、一事、此生不レ得レ考也、凡令通例有二師生一者、不レ得レ考、只免二徭役一耳、疏云、天文生得レ考否、

〔令義解〕

〈十雜〉

p.0241 凡〈○中略〉觀生(〇〇)不レ得レ讀二占書一、〈謂案二唐令一、有二天文生、觀生一、職掌各別、此令无二觀生一、而言二觀生一者、此天文生之別稱(〇〇〇〇〇〇)也、占書者、諸凡以二天文一占二吉凶一之書、凡觀生、唯得三仰觀二天文一、不レ得下以二圖書一占中其妖祥上也、〉其仰觀所レ見不レ得二漏泄一、若有二徴祥災異一、〈謂吉氣爲二徴祥一、妖氣爲二災異一也、〉陰陽寮奏、〈謂先經二中務一、後寮奏聞也、〉訖者、季別封送二中務省一入二國史一、所レ送者不レ得レ載二占言一〈謂假如熒惑犯レ心、其占云々之類也、〉

〔延喜式〕

〈十六陰陽〉

p.0241 學生卅人〈陰陽生十人、暦生十人天文生(〇〇〇)十人、〉其得業生、陰陽三人、暦二人、天文二人、並取二生内人一、 右得業生、選二性識聰慧一令レ專二精學一、其名申レ官給二衣食一、成業年限依レ令、未成業者不レ得三趁入二他色一、若未レ終レ業、其師遷二外官一者從レ之終レ業、

〔延喜式〕

〈十六陰陽〉

p.0242 凡觀二天文一生(〇〇〇〇)一人不レ立二年限一、其衣服食米、准二諸得業生一給之、

〔唐六典〕

〈十秘書省〉

p.0242 天文觀生五十人 隋氏置、掌二晝夜一、在二靈臺一伺二候天文氣色一、皇朝所レ置、從二天文生一轉補八考入レ流也、〈○中略〉 天文生六十人 隋氏置、皇朝因レ之、年深者轉二補天文觀生一、

〔唐律疏議〕

〈三名例〉

p.0242 諸工樂雜戸、及太常音聲人〈○疏議略〉犯レ流者、〈○中略〉若習レ業已成、能專二其事一、及習二天文一、并給使散使、各加二杖二百一、

〔續日本紀〕

〈二十一淳仁〉

p.0242 天平寶字二年八月庚子朔、其大學生〈○中略〉天文生〈○中略〉廿五已上授二位一階一、

〔朝野群載〕

〈十五天文道〉

p.0242 從五位上行主計權助兼權天文博士安藝介安倍朝臣親宗誠惶誠恐謹言、 請下殊蒙二天恩一因二准先例一以二天文得業生正六位上惟宗朝臣忠盛一拜中任件博士闕上状 自二得業生一依二擧状一被レ拜二任博士一例 惟宗是邦〈天延元年月任〉賀茂光國〈同二年六月任〉安倍章親〈寬仁三年十月任〉巨勢孝秀〈長久二年二月任〉安倍奉親〈同八年十月任〉安倍親宗〈康平三年十月任〉同國隨〈治暦元年十二月任〉 右親宗謹撿二案内一、天文博士有レ闕之時、得業生中、以下堪二其器一之輩上、被二抽任一者例也、爰件忠盛早補二得業生一、又學二天文道一、見二其繼レ日之勤一、尤足二司天之奏一、况乎忠盛執來之業已及二三代一、鑽仰之勤、偶過二四旬一、推薦之處、旁當二其任一、望請天恩因二准先例一、以二件忠盛一、被レ拜二任博士闕一、將レ俾レ竭二奉公之節一、親宗誠惶誠恐謹言、 嘉保二年正月廿二日 從五位上―――

〔譚海〕

〈十四〉

p.0242 江戸天文生(〇〇〇)は、京土御門殿に屬するなり、暦面は、關東にてとゝのへ、下段の文を土御門殿にて記さるゝなり、

天文方

〔明良帶録〕

〈世職〉

p.0242 天文方(〇〇〇)〈百俵五人扶持、測量御用相勤者ハ七人扶持、其外五人扶持、地誌御用相勤者ハ御金二十兩、 若支〉 吉田、澀川等は、天學測量、分野宿星の順環、日月交會盈縮の事を、渾象玉機を以て是を測るを業とし、世々子孫に傳へて世職とす、今は天學暦作等も精微となり、天文屋敷にて出役も多く、其理を談ず、蘭人の説等を以て、宿星の伏中を察し、淸朝より渡る處の、暦象大成抔を以て、其理を説き、仰觀俯察して測量す、是を以て天學は彌備れり、當時は吹上御庭、中觸の御茶屋前に、新天文臺を御修營有りて、奧向の衆掛りあり、東御輪見處御學文處出來たり、〈○中略〉 天文方改方(〇〇〇〇〇)〈御役料拾貳俵〉 同下役(〇〇〇)〈御褒美銀五枚〉 同出役(〇〇〇)〈三人扶持〉 何れも天文屋敷へ勤て、吉田澀川兩家の手附として、天文暦作の測量、分野を以て業とす、何れも在勤有レ之、

〔元治元年武鑑〕

p.0243 天文方 〈淺草鳥こへ〉山路金之丞 〈天文はら〉足立左内 〈九段坂上〉澀川孫太郞 〈父金之丞見習〉山路一郞

〔觸留〕

〈三十八〉

p.0243 申〈○萬延元年〉閏三月廿一日、紀伊守殿御渡、向方より寫差越、 町奉行〈江〉 覺 天文、暦、算、世界繪圖等板行相願候者は、天文方之内〈江、〉草稿差出、蘭書飜譯、蘭方醫書等之儀は、天文方山路彌左衞門方〈江〉草稿差出、任二差圖一候樣、弘化二巳年相觸候處、蕃書調所御取立相成候付而は、向後天文暦算は是迄之通、天文方〈江〉草稿差出、世界繪圖、蘭書飜譯、蘭方醫書等は、蕃書調所〈江〉草稿差出、任二差圖一、彫刻出來之上、一部宛改受候所〈江〉相納候樣、向々〈江〉可レ被二相觸一候事、 閏三月

傳習 名人

〔日本書紀〕

〈二十二推古〉

p.0243 十年十月、百濟僧觀勒來之、仍貢二暦本及天文地理書并遁甲方術之書一也、是時選二書生三四人一、以俾レ學二習於觀勒一矣、〈○中略〉大友村主高聰學二天文遁甲一、〈○中略〉皆學以成レ業、

〔日本書紀〕

〈二十八天武〉

p.0244 天渟中〈渟中、此云二農難一、〉原、瀛眞人天皇、天命開別天皇同母弟也、幼曰二大海人皇子一、生而有二岐凝之姿一、及レ壯雄拔神武、能二天文遁甲一、

〔類聚國史〕

〈七十七音樂〉

p.0244 天長五年二月癸丑、從三位藤原朝臣繼彦薨云々、性聰敏、有二識度一、尤精二星暦一、

〔文德實録〕

〈五〉

p.0244 仁壽三年五月壬寅、是日並藤卒、並藤〈○藤原朝臣〉參議從三位刑部卿大宰員外帥勲四等濱成之曾孫、中判事正六位上臣繼之孫、豐前介正六位上石雄之子也、並藤善二陰陽推歩之學一、明二曉天文風星一、〈○中略〉今日加二正五位下一、優二其才學少レ倫年齒衰落一也、時年六十二、

〔日本紀略〕

〈二朱雀〉

p.0244 承平元年二月七日乙未、仰二藤原時柄一令レ學二天文道一、

〔本朝世紀〕

p.0244 天慶八年七月十九日癸丑、今日又可三明經得業生十市部以忠習二天文一宣旨(〇〇〇〇〇)、辨官奉レ之、是主計頭兼助敎左京權亮良佐宿禰息子也、良佐宿禰、依二去延長八年七月十四日宣旨一、進二天文奏一者也、仍奉二申文一、薦二擧以忠一、今日大納言召二大外記三統宿禰公忠一問云、令レ習二天文一宣旨、外記奉歟、將辨官奉歟、公忠宿禰申云、藤原三仁、同義柄、同時柄等、可レ習二天文一宣旨、辨官所レ承也云々、仍今日以二件申文一給二辨官一、書二下宣旨一、此申文從二殿上一令三藏人頭左近中將藤原師尹朝臣給二大納言一、其宣旨云、左大辨藤原朝臣在衡傳宣、大納言藤原朝臣師輔宣、以二明經得業生十市部以忠一、宜レ令レ學二天文道一者、天慶八年七月十九日、大史高奉、

〔類聚符宣抄〕

〈九〉

p.0244 天文得業生事 太政官符〈式部省外 諸道得業生〉 應レ補二天文得業生從八位上安倍朝臣吉昌一事 讀書 三家薄讃壹部 晋書志壹卷 觀星貳拾捌宿 右得二中務省去八月十九日解一偁、陰陽寮解偁、正五位下行主計頭兼天文博士加茂朝臣保憲牒状偁、 件吉昌、情操聰敏、勤學匪レ懈、望請補二得業生竹野親當滿九年替一、令レ遂二其業一者、寮依二牒状一申送者、省依二解状一申送如レ件者、從二位行大納言兼皇太子 侍從源朝臣兼明宣依レ請者、省宜二承知依レ宣行一之、符到奉行、 左中弁 左小史 天祿元年十一月八日

〔江談抄〕

〈三雜事〉

p.0245 熒惑星 二備前守致忠一事 被レ命〈○大江匡房〉云、備後守致忠天暦御時爲二藏人一、召二天文博士保憲一、有二召仰事一、致忠爲二御使一往反之時、粗知二天文事一、後於二厠向一人指二陳天文之事一、忽有二 レ之者一、矢中レ柱、致忠驚云、尤理也、於レ厠談二天文一、故熒惑星 レ吾也、今年有二木星之助一、故中レ柱云々、

〔帝王編年記〕

〈十七一條〉

p.0245 永延元年、安倍晴明是時人也、掌二天文暦數事一、昔者一家兼二兩道一(〇〇〇〇〇〇〇)、而賀茂保憲以二暦道一傳二其子光榮一、以二天文道一傳二弟子晴明一、自レ此已後兩道相分、

〔官位訓〕

〈二〉

p.0245 天文暦道の事 天文暦道の事を不合の沙汰する人有、其はじめをしらずと見へたり、陰陽道昔は一家として兩道を兼たり、しかるに加茂保憲といふ名人、天文道を以て安倍晴明に授け、暦道を息子光榮に讓る、是より兩道にわかるゝなり、それ天文といふは、天地變災雲氣非常の怪みある時、其樣子を見て是は吉瑞、是は凶兆と明らむ役也、されば此見立は凡人の及ぶべきにあらず、又暦道は年々の暦を沙汰する、是は算數を以て致す所也、加茂保憲名譽の達人なれば、我子の光榮に天文をさづけたくは思ふらめど、器量及ばざるがゆへに、暦道ばかりをさづけ、弟子の晴明に大事の天文道をあたへられ侍るは、晴明が器量拔群すぐれたるがゆへなり、まことに保憲我子の愛にをぼれて、天文を光榮に讓らば、天下國家の爲ならず、家の瑕といひ、誂りを後代に殘 すべきに、正道のはからい、後世に恥ずとかや、去程に晴明は古今無頭の神人にて、其子孫泰親などいふも希代の博士にてありし也、此泰親は加茂の社に詣てける折ふし、雷落かゝりたれども何の障りもなし、平家物がたりにもしるしたるごとく、奇妙を顯はしたり、其外人の見る諸書に書のせたれば、爰にのぶるに及ず、しかるに元祖保憲が眼力は明哲なるものなり、暦道は光榮のながれにて、今にあれどもさだかに人しらず、安倍の家筋をば土御門と號して、今に天文道を掌り給ひて、風雲氣色を奏聞あるとかや、晴明より十七代の後有脩卿より、土御門と申す稱號をこり、從三位に叙し、はじめて昇殿ありて、今泰連朝臣にいたつて七代なり、二位にも成給ふ御家とかや、

〔小右記〕

p.0246 寬仁三年六月四日己丑、午時月星共見、月在レ已、星在二月坤一、相去七八尺所三光一時變異、希有恠也、若太白星歟、從二源大納言四條大納言許一有二消息一、源大納言乞二送舊奏案一附レ使送、只今無下上二天文一之(〇〇〇〇〇〇〇)人上、博士吉昌卒、權博士久部住二伊與國一云々、公家無レ被レ咎、司天臺只有二其號一(〇〇〇〇〇〇〇)、有二何益一乎、當時無二公事一、嗟乎嗟乎、

〔宇槐記抄〕

p.0246 久安四年九月廿九日、信西語曰、法皇〈○鳥羽〉能知二天文一、

〔平家物語〕

〈三〉

p.0246 法印もんだうの事 同じき〈○治承三年〉十一月七日の夜の戌のこくばかり、大地おびたゞしううごいて、やゝ久し、をんやうの頭あべの泰親(〇〇〇〇〇)、いそぎだいりへはせ參り、今度のぢしん、せんもんのさす所、其つゝしみかろからず候、當道三經の中に、こんぎ經の説を見候に、年をえては年を出ず、日をえては日を出ず、もつての外に火急に候とて、涙をはら〳〵とながしければ、てんそうの人も色を失ひ、君もゑいりよをおどろかさせおはします、わかき公卿殿上人は、けしからぬやすちかゞ泣やうかな、只今何事の有べきかとて、一度にどつとぞわらひあはれける、され共、此やすちかは、晴明五代のびやう ゑいをうけて、天文はえんげんをきはめ(〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇)、ずいてうたな心をさすがごとし、一事もたがはざりければ、さすのみことぞ申ける、いかづちのおちかゝりたりしか共、雷火のために、かり衣の袖はやけながら、其身はつゝがもなかりけり、上代にも、まつ代にも、有がたかりしやすちか也、同じき十四日、入道相國〈○平淸盛〉いかゞは思ひなられたりけん、すせんきの軍兵をたな引て、都へかへり入給ふよし聞えしかば、京中何と聞わけたる事はなけれども、上下さわぎあへり、

〔明德記〕

〈上〉

p.0247 抑十月〈○明德二年〉十五日午ノ刻ニ、大地振オビタヾシクシテ、路次往反ノ輩モ歩事ヲエズ、家内安坐ノ人々モ肝魂モ消計也、爰ニ陰陽頭土御門ノ三位有世(〇〇〇〇〇〇〇〇)、御所ヘ馳參テ申ケルコソ怖シケレ、今日ノ大地振ハ、金翅鳥動ニシテ、愼ミ以外也、天文道(〇〇〇)ノ差ス處ハ、世ニ逆臣出テ、國務ヲ望ニ依テ、七十五日ノ内ノ大兵亂タルベシ、但一日ノ内ノ落居ナルベシ、一旦ハ御難儀有ト云トモ、始終ハ御吉事トゾ勘ヘ申ケル、御所樣ヲ始進セテ、諸大名近習ノ人々マデモ、何事ニテカ有ラムズラム、落居ハ御吉事ナリトモ、難儀ノ合戰出來リナバ、誰身ノ大事ト成、何ナル不思儀カ有ランズラント、罪ヲ愼ミ、身ヲ顧テ、恠ミ思ハヌ人ハナカリケリ、

〔先民傳〕

〈上談天〉

p.0247 小林義信、字謙貞、父久兵、信幼有二淑質一、喜二讀書一、久兵使レ學二于郷之林先生一、〈稱二呼吉左一〉林精二通天文地理星宿暦法之學一、因レ係二國禁一無レ所レ容レ身、久兵竊養二之於家一、以爲二信師一、日夜孜々問難決疑、以究二其指一、頃之禁解、先生講二授于郷一、弟子稍多、寬永己卯、井上筑後守、監レ崎驅二天主敎之徒一、生名列二黨籍一、正保三年林生就レ刑、官按二黨籍一、信名在二第一一、連坐下レ獄、時年四十六、幸遇二恩赦一、〈○中略〉天和三年癸亥冬、暦謬二月食一、是歳春、信與二蘆莊書一曰、今玆十一月、暦記二月食一、以レ予推レ之非也、既而十一月壬午無レ食、果如二信言一、其年十二月二十四日卒、〈○中略〉 關莊三郞、從下長老之遊二阿媽港呂宋一者上、傳二西蕃天文學一、雖レ未二嘗讀一レ書、然於レ理無レ所レ不レ通、弟子相從肄レ業者、命レ之坐レ側使二讀書一、默而識レ之、讀未レ畢、直言二其是非一、卒未二嘗輕授受一、故游二其門一者僅二三人已、關既專精二天 文一、當二斯時一也、謙貞名顯二於時一、關因執レ贄見レ之、始以爲、謙貞不レ如レ己、初相見問二窺星尺一、謙貞曰、此須三自用二工夫一、何問レ人爲、相語及二閫奧一、於レ是始知二其學過一レ己也、遂趨承請レ業、恨二相從之晩一、

〔天文瓊統〕

〈一〉

p.0248 古、地形方而未レ知レ圓、慶長年中、蠻人往二來于玆一以後、正知下人在二地表裏一全體圓上、始聞者皆驚矣、

〔蘭學事始〕

〈上〉

p.0248 一和蘭は、醫術並びに諸々の技藝にも精しき事と、世にも漸く知り、人氣何となく化せられ來れり、此頃よりも、專ら官醫の志ある方々は、年々對話といふ事を願て、彼客屋へゆき、療術方藥の事を聞給ひ、又天文家(〇〇〇)の人も、同じく其家業の事を問ひ給へり、

〔春海先生實記〕

p.0248 先生、諱都翁、字春海、號二土守靈社一、小名六藏、假名助左衞門、姓源、稱二澀川氏一、其先九郞滿安、〈後號二滿貞一、陸奥守義家十代之後胤也、〉領二河州澀川郡一、因以爲レ氏、事二將軍足利義滿一而爲二執事一、頗有二恩寵一、其孫隱岐守光重、領二播州安井郷一、因又稱二安井氏一、其子重顯還二舊領一、又稱二澀川氏一、是以安井澀川兩氏爲二家稱一、自レ此子孫世住二於河州一、以二澀川郡一爲二己有一、重顯弟曰二光永一、光永五世之孫曰二次吉一、名二算哲一、稱二安井氏一、是先生之父也、〈○中略〉先生〈○中略〉天文暦術之學欲三愈極二其微蘊一、曾懷、我國中古此道廢、而無二知者一、雖三偶有二漢土所レ來之天文律暦書一、亦觀而靡三詳考二察之一、則以二志所レ載星占等之斷卜一、爲二天文者家流之事一、而學乃以爲レ足、然不レ驗二于天一、不レ察二于理一、立レ數設レ術而不レ知下有二天道不齊之運一、隨レ歴レ年而不上レ能レ無二其差一也、我國始用二唐李淳風〈唐人〉所レ造之儀鳳暦一、行七十二年、〈自二持統帝六年壬辰一、至二廢帝天平寶字七年癸卯一、自二神武帝元年辛酉一、至二持統帝五年辛卯一、凡一千三百五十一年、其間所レ行暦書不レ傳、〉而與レ天不レ合、故用二唐僧一行所レ造之大衍暦一、行九十八年〈自二天平寶字八年甲辰一、至二淸和帝貞觀三年辛巳一、〉而亦漸差、於レ是領二行唐徐昻〈唐人〉所レ造之宣明暦一、既及二八百二十三年一、〈自二貞觀四年壬子一、至二靈元帝貞享元年甲子一、行八百二十三年、〉今猶然、是亦豈無レ差耶、後年應四必有三大齟二齬于天一焉、然作レ器制レ圖、日夜考二驗天象一、頻既二推歩之術一、玆有二岡野井玄貞者一、素以二醫業一達二台聽一、又精二天文暦術之學一、我朝元亨以來、〈舊例云、正朔奏二七曜御暦、中星暦一者、八十二年一度造進、故迄二後醍醐帝元亨年中一、驗二七政一紀二其 度一、而其術今亡矣、〉曾莫下考二七政〈日月五星謂二之七政一、又謂二七曜一、〉四餘、〈羅、 、計都、紫氣、月孛、謂二之四餘一、〉之人上、寬永二十年癸未、〈將軍家綱公〉朝鮮客螺山者來、玄貞相見討二問七 政四餘〈并二七政四餘一而爲二十一曜一〉之運行一而略得二其秘奧一、惟恨螺山在二東武一纔一旬而歸レ國、依玄貞起レ志勵レ氣自勤學二是術一有レ年、先生聞レ之、謁見請而爲レ師、隨而學レ之、又有二松田順承者一以レ委二天文一聞二于世一、先生亦訪レ之、日々論辨、以得二星學等之精理一、其頃陰陽頭安倍泰福〈○土御門〉亦達二天文一、先生往而講習、日就月將、深窮二其秘説一、〈先生師二事於泰福一、篤信勉學、泰福以下其志抽二於群一、其智越中於衆上、乃盡二家傳之秘訣秘籍一授レ之、〉此數員之達士、以二先生之材器超レ人而不一レ凡也、發レ微述レ蘊、相與強學、而爲二先生一各無レ不レ用二其力一矣、故天文學渉二獵和漢之書史一、而无レ不レ研二究其深理一、暦術學推二算諸家之立法一、而无レ不レ琢二知其術理一、殊至二元郭守敬之授時暦法一、則沈潜反復最深也、〈○中略〉先生夙志既遂、功成而莫三亦可二他關一、於レ斯告レ暇赴二於東武一、同〈○貞享元年十一月〉二十八日登二武城一、獻二所レ刊之頒暦一、上重感二稱其功一、冬十二月朔壬辰、有二台命一、移二棊所一、轉爲二司天官一、止二舊祿一賜二新祿百苞一、於戯功勞顯二然乎一時一、而名光遍二彌乎四海一、天感誠弗レ可レ不レ若レ是、先生拜稽受二其任一、益不レ怠二學業一也、〈○中略〉正德元年辛卯、先生年七十三、老懶而事不レ滿レ意、殊中風惱二右方片身一、言語亦不レ辨、依申二事状一乞二骸骨一、便命〈將軍家宣公〉許レ之、

〔千年能松〕

〈二〉

p.0249 算知ガ子算哲義、家業ノ碁ハ隨分致候ヘドモ、少キ時ヨリ、天文暦術ニ志有レ之候ニ付、家業ヲ忽緖ニ致候トテ、算知苦勞仕候ヨシ聞コシ召サレ、世上暦算ノ術疎ク、本朝久シク宣明暦御用ヒ候處、推歩ノ術オロソカナル事ニ候、幸ニ精ヲ入、稽古致サセ候ハヾ、世ノ爲ニモ可二相成一候、碁ノ上手ハ外ニモアルベク候間、其志ヲ折キ不レ申樣出精可レ爲レ致由、御意ナサレ候ニ付、算哲彌精ヲ出シ、其術ヲ研究シ、後ニハ稻葉美濃守殿ヘ、算哲事改暦吟味仰セ付ケラレ可レ然旨、御送言アリシトナリ、天和三年ノ暦ニ、霜月十六日、月蝕ノ由コレアルヲ、算哲兼テ無レ之由ヲ申候處、果シテ月蝕コレナク候、算哲義元郭守敬授時暦ニヨリテ、暦書ヲ作リ、公儀ヘ獻上仕、貞享改暦ノ一擧ニ相成候ハ、偏ニ中將樣〈○保科正之〉御言葉カヽリ候故ニ有レ之、後ニ算哲天文方ニ仰セ付ケラル、今ノ澀川家(〇〇〇〇〇)ニ候、依テ算哲義、見禰山ノ神庫ヘ、暦書ヲ奉納仕、今ニ有レ之候、

〔先哲叢談後編〕

〈二〉

p.0249 榊原篁洲〈○中略〉 篁洲資性敏捷、搏二綜衆技一、尤精二天官家言一、日月薄蝕、星辰躔度、推測無レ遺二毫髮一、澀河春海〈名都、字三哲、稱二助左衞門一、〉以二星暦學一聞、篁洲屢往二來之一、研二尋疑義一、反覆辨論、春海長二於篁洲一十七歳、常歎二服其技一、稱爲下我邦未二嘗有一之人物上焉、

〔續近世叢語〕

〈七術解〉

p.0250 川谷貞六、一日仰見二天象一、俄會二族人一曰、後日曉自レ公召レ余問二天學一、事畢余出レ城、必死二于某所一矣、請各來待二于此一、乃命レ酒爲レ訣、至レ期天未レ明、侯召二貞六一、貞六卯牌入見、未牌半刻罷、乘レ轎出レ城可二十町一即死、皆如二其言一、〈川谷貞六、仕二土佐侯一、精二研天文之學一、旁攻二我邦神道一云、〉

〔文會雜記〕

〈三下〉

p.0250 一戸部氏ノ門人細川半藏、名賴直、字方卿、號丘陵、戸部氏ト同行シテ予ガ弊舍ニ來ル、此人天學ニ精キ人ナリシカバ、天學ノ書ノ事ヲ筆談セシニ、西洋ノ暦數ハ、甚聖人ノ道ニ背キタル事也、併天經或問ノ附録、天學名目抄等ニ記セシ如ク、紅毛ノ道ハ不レ可レ取、暦數ハ可レ取トアル如ク、西洋ニ及タル所、四十二國中ニナキ事也、依テ西洋流ヲ學デハ、全國ノ算數ハ取ニタラズ、天經或問ハ、スベテ天學ノ大理ヲ解キシ書也シカバ、暦術ノ詮議ハアラヌ也、

〔大史公律暦天官三書管窺〕

〈序〉

p.0250 漢司馬遷修レ史、以二律暦天官一置二八書之首一、班固之志傚レ之、遂爲二歴代史家之法一、〈○中略〉後世學者漸失二古意一、舍レ實趨レ虚、講レ經者、略二於三千三百一、讀レ史者略二於八書十志一、〈○中略〉獨我敬所豬飼先生〈○名彦博〉不レ然、〈○中略〉尤研二覃禮樂制度一、以至二星暦之術一、無レ所レ不レ通、嘗慨下大史公律暦天官三書多二闕誤一、讀者不レ知二是正一、往々掩レ卷而過、使中其説益不明上、於レ是、親執二鉛槧一校二正之一、附以二其所見一、章句粲然始可レ讀也、〈○中略〉 弘化二年歳在乙巳五月望 津藩督學齋藤正謙撰

覘候

〔令義解〕

〈一職員〉

p.0250 陰陽寮〈○中略〉 天文博士一人〈掌下候二天文氣色一有レ異密封、及敎中天文生等上、天文生十人掌レ習二候天文氣色一〉

〔怪異辯斷〕

〈一凡例〉

p.0250 變異妖怪トモニ古來專ラ吉凶禍福ヲ占候ス、如レ此ノ變異ハ如レ此ノ吉如レ此ノ凶 ト、各合應ヲ決ス、自二戰國之時一、漢晉ノ世ニ至テ最モ甚シ、其書不レ可二勝計一、雖レ然後來ニ至テ其候驗無二合應一者多有レ之、故ニ宋朝ニ至テ歐陽脩唐書ヲ撰スルニ、其占候ノ事應ヲ削ツテ不レ記レ之、〈○中略〉上古ノ史官災異ヲ記セシ者ハ、人君ノ德ヲ修メ國家ヲ愼シメント也、然レドモ戰國以來陰陽家ノ等ラ數出テ、變異アル毎ニ專ラ事應ヲ説テ、吉凶禍福ヲ定ル事甚多シ、是故ニ怪異一ビ現ズル時ハ、則人君密ニ德ヲ愼ミ給ヒテ、其怪平靜ナラント欲スト云トモ、國人怪ミ惑ヒ、且懼レ惡ンデ、民心動亂スルトキハ、國土ノ神氣モ又動亂ス、是ヲ以天地ハ災禍ヲ與フルニ無レ心ト云トモ、人氣ノ倡フ處ニ從ツテ、竟ニ災禍ト成事アリ、是皆強テ吉凶禍福ヲ定ルノ弊也、況ヤ日本ハ、君ハ神裔也、人ハ神民也、國家ノ吉凶專異國ノ法ニ憑テ不レ可レ定レ之、愚蒙ヲ曉シ 亂ノ心莫ラシムル事アラバ、神忠ノ一端ナラン歟、

〔怪異辯斷〕

〈一天異〉

p.0251 古今天異ト號スル者甚多シ、其中有レ福有レ祥、蓋按ニ天氣人氣本二〈ツ〉ニ非ズ、上下ニ貫通ス、故ニ正和ノ人氣上ニ發揚シテ、景星慶雲ヲ現シ、亂世暴邪ノ人氣上ニ發揚シテ、妖星凶氣ヲ現ズト云リ、然ドモ今世ニ至テハ、其中妖祥ト不レ爲類ノ者多シ、廣大遙遠ナル蒼天、一邦ノ私スベキニ非ズ、何ゾ萬國一同ニ見ル處ノ天異ヲ、一國ニ與リ取テ禍祥ヲ論ジ、吉凶ヲ可レ定ノ理アランヤ、但分野ノ説雖レ有レ之、今代ニ至テハ難レ用事ナリ、若其一國ニ而已出現シテ、他ノ國ヨリ見ル事無ノ天變ナラバ、其國ノ妖祥トシテ吉凶ヲ定メ可レ愼事ハ、最モ其理有ン歟、

〔紫芝園漫筆〕

〈八〉

p.0251 元文丁巳〈○二年〉正月初四日、大白貫レ月、初八日、畢大星亦貫レ月、星夕彗星見二于西方一、直二長庚之下一、連見二十餘日、都人爲レ之匈々、言レ天者却靜、余竊長大息、松崎子默曰、仲舒劉向大拘、余曰然、漢天子畏レ天、雖二日食地震時有之事一、莫レ不二恐懼修省一、況於二希有之變一乎、此猶有二古之遺風一也、仲舒劉向因唱二洪範五行之説一、必欲下以二人事一徴中災異上、誠所レ謂牽強傅會可レ笑者也、近世言レ天者、皆理學之徒、唯推歩是務、視レ天如二死物一、見レ變不二以爲一レ變、曾不レ知レ懼、愚謂、此二者皆失レ之矣、

覘天變

〔大鏡〕

〈一花山〉

p.0252 つぎのみかど花山院天皇と申き、〈○中略〉永觀二年甲申八月廿八日位につかせ給ふ、御歳十七、寬和二年丙戌六月廿三日の夜、あさましく候し事は、人にもしられさせ給はで、みそかに花山寺におはしまして、御出家入道せさせ給へりしとぞ、御とし十九、よをたもたせたまふ事二年、其後廿二年はおはしましき、あはれなる事はおりおはしましけるよは、ふぢつぼのうへの御つぼねの小どよりいでさせ給ひけるに、有明の月のいみじうあかゝりければ、見證にこそありけれ、如何あるべからんとおほせられけるを、さりとてとまらせ給ふべきやう侍らず、〈○中略〉さて、つちみかどよりひんがしさまにおはしますに、晴明がいへのまへをわたらせ給へば、みづからのうへにて、手をおびたゞしくはた〳〵とうつなり、みかどおりさせ給ふと見ゆる天變(〇〇)ありつるが、すでになりにけりと見ゆるかな、まいりて奏せん、車にさうぞくとらせよといふこゑきかせ給ひけんは、さりともあはれにはおぼしめしけんかし、かつ〳〵しき神一人、だいりにまいれと申ければ、めにはみえぬものゝ、とをしあけていづ、御うしろをや見まいらせけん、たゞいまこれよりすぎさせおはしますといらへけりとかや、其家は、つちみかどまちぐちなれば、御みちなりけり、

〔日本新國史〕

〈十二〉

p.0252 花山院御宇寬和元年乙酉八九月之間、辰星伏二客星之旁一、其客星之餘如二鬼火之移一、陰陽寮及神祇官等、以二所司一數度雖レ經二密奏一、敢無二勅謹之事一、同二年丙戌六月二十二日、天皇及二夜半一自二貞觀殿之掖門一密幸二於花山寺一、隨奉之臣唯藏人藤原通兼、法臣嚴久而已、帝壽纔十九歳、未曾有之御法樂也、其夜天文博士安倍晴明、同時雷不レ盡二其術一云々、

〔日本紀略〕

〈十一一條〉

p.0252 寬弘三年五月十日辛亥、右少辨藤原廣業、於二内裏一、爲二藏人式部丞藤原定佐一打二損面一了、十一日壬子、近日天文道依二變異頻一(〇〇〇)、奏二近臣内亂之由一、蓋其徴歟、

〔小右記〕

p.0252 長和四年十二月八日甲申、資平從レ内示送云、有二御惱氣一、〈○中略〉申時、歳星經レ天(〇〇〇〇)、十日上二二ケ變異 奏一云々、但歳星經レ天不レ聞之變云々、天文云、宋書志云、晉安帝隆安元年六月歳星經レ天、占曰、國受レ殃、其月有レ兵爲レ亂、晉書志云、晉惠帝永寧元年正月、歳星經レ天、占曰、歳星晝見更レ王、其年更レ王、

〔中右記〕

p.0253 永久二年九月十七日、晩頭參二一條殿一、〈○中略〉在二一條殿一之間、天文博士宗明密談云、去七月之比有二天變一(〇〇)、是天子自賊者、予問云、自賊何事哉、答曰、我君自行二亂政一、時變也者、此事莫レ言、近日禁中頗雲客近習之遊相亂云々、

〔平治物語〕

〈一〉

p.0253 信西出家由來并南都落事附最後事 信西、九日午刻ニ、白虹日ヲ貫ク(〇〇〇〇〇〇)ト云天變ヲ見テ、今夜御所ヘ夜討可レ入トハ知タリケルニヤ、此樣申入ントテ院御所ヘ參タレバ、折節御遊ニテ、子共皆御前ニ伺候シタリシカバ、其興ヲサマシ進ラセンモ無骨ナレバ、有女房ニ子細ヲ申置テ罷出ニケリ、宿所ニ歸リ、紀伊二位ニ懸ル事アリ、子共ニモシラセ給ヘ、信西ハ思旨有テ、奈良ノ方ヘ行也ト云ケレバ、尼公モ同道ニト歎カルレ共、ヤウヤウニコシラヘ留テ、侍四人相具シ、秘藏セラレタル月毛ノ馬ニ打乘テ、舍人成澤ヲ召具シ、南都ノ方ヘ被レ落ケルガ、宇治路ヘ懸リ、田原ガ奧大道寺ト云所領ニゾ行ニケル、石堂山ノ後、シガラキノ峯ヲ過、遙分入ニ又天變アリ、木星壽命亥ニアリ、太伯經典ニ、侵時ハ志臣君ニ代奉ルト云天變也、信西大ニ驚キ、本ヨリ天文淵源ヲ究タリケレバ、自是ヲ考ルニ、強者弱弱者強シト云文也、是君奢時ハ臣弱ク、臣奢時ハ君弱クナルト云ヘリ、今臣奢テ君弱クナラセ給フベシ、忠臣君ニ替ルト云ハ、恐ラクハ我ナルベシト思テ、明十日ノ朝、右衞門尉成景ト云侍ヲ召テ、都ノ方ニ何事カアル、見テ歸レトテ差使ス、成景馬ニ打乘テ、馳行程ニ、小幡峠ニテ、入道ノ舍人武澤ト云者、御所ニ火懸テ後、禪門奈良ヘト聞シカバ、此事申サントテ走リケルニ行逢、然々ノ由ヲ語リ、姉小路ノ御宿所モ燒拂ハレ候ヌ、是ハ右衞門督殿、左馬頭殿ノカタラヒ、入道殿ノ御一門ヲ滅シ給ハントノ謀トコソ承候ヘ、

〔安倍泰親朝臣記〕

p.0254 同日己巳〈○永萬二年四月二十六日〉曉寅時、歳星、熒惑、鎭星、三星合(〇〇〇)在二斗度一、 謹撿二天地瑞祥志一云、三星合、是謂二驚位絶行一、宋天文志、有二兵喪一、故曰二驚位一、改二立王一、故曰二絶行一、天官書曰、三星合、其地國内外有二兵與一レ喪、改二立公主一、 帝王秘録云、海中占曰、三星合、其國外内有二兵喪一、人民數起、改二立侯王一、漢書天文志云、孝成帝河平月上旬、歳星、熒惑、鎭星合、占曰、三星若合、是謂二驚位一、是謂二絶行一、外内有二兵與一レ喪、改二立王公一、其十一月夜郞王歆大逆不道、牂柯大守立捕殺レ歆、〈○中略〉 以前變異、勘録如レ件、去月以來、變異荐呈、占文所レ指、咎徴非レ一、就レ中彗星者、希代之變也、不レ可レ不レ愼、重撿二天文書一云、彗星者、仍二熒惑逆變一也、不レ救則下謀レ上、故脩二經術一、改レ惡爲レ善、則國安社稷寧矣、以レ之謂レ之、修レ德變レ凶爲レ吉歟、仍勒二占文一、謹以申聞、謹奏、 永萬二年四月十三日 從五位上行天文博士安倍朝臣業俊 從四位上行大舍人頭兼陰陽助安倍朝臣泰親 十三日丙戌、進二此奏一先參二殿下一〈○藤原基實〉獻レ之、次參レ院、〈御二今熊野御所一、〉下野守藤原光能取進レ之、 今年七月廿六日辰時計、攝政殿〈○藤原基實〉薨給、〈春秋二十四、癸亥御年、〉自二去十九日午時一令レ煩二赤痢病一御之上、御邪氣相加御云々、抑一昨日、自レ院遣二驗者少將僧都房覺一云々、而御物氣不レ渡、遂以仍房覺忽修行、 今日左大臣殿基房、令レ蒙二内覽并藤氏長者宣旨一給、是三星合徴歟、

〔安倍泰親朝臣記〕

p.0254 可レ有二火災變異等一〈仁安元年歳次丙戌〉 一十月廿二日壬辰昏戌時、歳星與二鎭星一相犯(〇〇〇〇〇〇〇)、 天文要録云、宗廟燒亡、 又云、火災起、宮殿飛流、期一年、 又云、社稷危亡、期一年、 一十一月十四日甲寅曉時、太白(〇〇)入二氐中一、 天文要録云、后宮所燒亡、 一同月十八日戊午夜亥時、月(〇)掩二食軒轅夫人星一、 天文要録云、火災起、 一同月廿七日丁卯曉寅時、太白(〇〇)乘二犯房第一星一、 天文要録云、火災多、 一同月廿八日戊辰曉寅時、月(〇)掩二食天江第一星一、 天文要録云、宮中有レ火、 一同日同時、太白(〇〇)犯二鍵閉星一、 天文要録云、致二火災一、 仁安元年十一月三十日、爲レ備二後鑒一注二置之一、 一今玆十二月朔日未時火起、自二北小路萬里小路一、至二于出雲地大原辻川原一、都十許町、片時爲二灰燼一、其中鴨權禰宜祐季、并川合社禰宜長平、故權禰宜宅〈號二中殿一〉出雲權守有保宅、美作阿闍梨行顯宅、故左京亮賀茂保家宅、并堂燒亡了、 凡今日大小之舍宅千餘宇燒失云々、 一同月十日亥刻、勘解由小路以南、萬里小路以東角、藏人勘解由次官藤經房宅、拂レ地燒亡、件宅、本是平宰相實親卿之宅云々、但火不二延蔓一滅了、 一同月廿二日子時、北小路以北町東燒亡、其中大外記中原師高宅、并堂塔燒失、傳聞、大炊寮御稻少少燒給云々、又右衞門大夫大江永重宅燒了、 一同日、天台有二火災一、堂五宇、房四宇燒亡云々、 五佛院 實相院 五大堂 丈六堂 定尋院 已上往古堂等云々 圓融房 極樂房 大養房 桂乘房 又金剛壽院大門燒亡云々 今年十月以後可レ有二火災一之由、天變頻示、而或洛中、或城外、火災間起、堂塔舍宅、多以燒失了、天之譴告咎徴、必然者歟、宮中火災、后宮燒亡之文、猶以有レ恐哉、爲二後鑒一聊記レ之、 同月廿三日、川尻小部嶋在家多燒亡云々、

〔百練抄〕

〈八高倉〉

p.0255 承安二年六月十六日、或記云、今日申刻、兩日出現(〇〇〇〇)之由、有二閭巷説一、但司天之輩不レ見之由申之、

〔玉海〕

p.0256 承安三年十月十五日甲戌、時晴來、密々令レ見二天文奏案一、 一今月四日癸亥酉時、月(〇)犯二建星一、〈相去五寸所〉天子大臣女主等愼、又大將愼、又可レ有二大水一、 一歳星(〇〇)順行、去月下旬入レ自二太微右腋門一、今月十一日庚午曉寅時犯二右執法星一、〈相去八寸所〉兵革、大臣愼重、近期二一年一、中三年、遠五年、又人主御愼、

〔源平盛衰記〕

〈八〉

p.0256 歳星(〇〇)出現事 同〈○治承元年〉十二月二十四日、歳星東方ニ出デ、二十八日ニ光ヲ增、 尤旗トモ申、赤氣トモ云リ、何事ノ有ベキニカト、上下恐ヲナス、天文勘シテ申ク、五行ノ氣五星ト變ズル内ニ、歳星ハ是大亂大兵ノ瑞相也ト奏ス、何樣ニモオダシカルマジトゾ歎アヒケル、五行者、木火土金水、五星者、歳星、熒惑星、鎭星、太白星、辰星ナリ、

〔玉海〕

p.0256 治承二年十二月七日丙申、入レ夜主税助時泰來、申二天變之間事等一、 一去十一月十三日壬申、昏戌時、月(〇)掩二犯畢大星一、賢臣死、女后執レ政、宮室有レ火、大將死、天下有レ變、令二兵起一、一同十五日甲戌、昏戌時、月(〇)與二鎭星一同レ度、〈相去二尺七寸所〉兵起、女主惡之、臣強君弱、天子惡之、天下有レ畏、 一同十六日乙亥、酉時太白(〇〇)犯二哭星一、〈相去七寸所〉天子有二哭泣事一、恭帝元熙元年七月己卯、太白(〇〇)犯二哭星一、同二年七月、劉裕害二宋王一、是年六月、帝遜二位於宋一、 一同十八日丁丑、夜子時、月(〇)掩二犯軒轅右氐角星一、大臣貴女有レ憂、有二逆臣一、有二火災一、女主有レ憂、有二亂臣一、不レ出二二年一 一同廿一日庚辰、曉寅時、月(〇)犯二太微右執法星一、〈相去七寸所〉宮中亂、君政不レ行、大臣愼之、天下大亂、 一同廿九日戊子、曉寅時、熒惑(〇〇)入犯二亢星一、五穀以レ水傷敗、期九十日、天子有二祠廟之事一、亂臣在レ朝、忠臣不レ可二以進一、天下不レ平、多二疾疫一、 一從二去閏六月上旬一、塡星(〇〇)入二東井中留守一、去十一月中旬以後、逆行、今月三日壬辰昏戌時、犯二卿伴星一、〈相去一寸所〉天子有レ喪、蠻夷來侵、天下大驚走、冬有二大喪一、明年春有二大切事一、民多死、 四年十月廿日己亥、今日申刻、大藏大輔泰茂來、召レ前問二天變及新都作事之間事一、申云、此間天變少々所レ見也、就レ中去九日流星(〇〇)殊重云々、但不二見給一候、福原之司天(〇〇〇〇〇)等所レ見也云々、 五年〈○養和元年〉三月七日癸未、參二女院御方一、早旦天文博士廣元來、火星留二舍南斗一(〇〇〇〇〇〇)及二十餘日一、大將軍愼也云々、又云、道之秘事、在二太白經一レ天(〇〇〇〇)、只以二晝見一奉レ奏、專不レ可レ然事也、不レ當レ午而當レ午、以レ之爲レ經、其有下可二得心一之樣上也、不レ知二口傳一之知二泰親一、只以二晝見一稱レ之、尤訛レ之也云々、此外語二道之秘事等一不レ遑二具注一、 八月十日甲寅、酉刻大膳權大夫泰親朝臣來、示二天變事一、其中、辰星與二太白一相犯(〇〇〇〇〇〇〇)、先太白犯二辰星一、〈辰星者水星也〉次辰星犯二太白一、此變希代也、占文可レ恐、我朝有もやしけん、近不二覺悟一云々、披二見奏案一之處、占文之體、凡可レ謂二指掌一、實嚴重不可説事也、仍爲二後鑒一註二付之一、 謹奏 今月三日丁未曉寅時、太白與二辰星一同レ度相犯、〈相去二尺所〉同九日癸丑曉寅時、殊迫犯、〈相去九寸所〉 謹撿二天文要録一云、太白與二辰星一鬪、大臣爲レ變誅二天子一、又曰、太白與二辰星一合、天下爲二變謀一、有二外兵一、内大亂、又曰、太白與二辰星一鬪、不レ出二一年一、其國將軍失レ地、天子失レ位、又曰、太白與二辰星一鬪、必有二大戰一、四夷勝、主人負、武官之將軍死、不レ出二一年一、一云、其國軍破將死、又云、辰星與二太白一相近、將軍大戰流血、又曰、辰星犯二太白一急約戰、又曰、辰星與二太白一相鬪、其國大戰、客勝主人死、又曰、辰星守二太白一、其邦主人愼レ之、又曰、辰星與二太白一合、東方天兵大戰、天地瑞祥志曰、握鏡曰、太白與二辰星一倶出レ東、東方有レ兵、若欲レ戰、東方勝、西方敗、又曰、辰星守二太白一將死、 右變異謹申聞謹奏 養和元年八月九日 從四位下行大舍人頭兼天文博士安部盛俊 從四位下行掃部頭兼陰陽博士安部朝臣季弘 從四位下行大膳大夫安部朝臣泰親 以二異變之占文一、見二當時之天下一、滅亡只在二今兩三月之内一歟、天猶不レ弃二我朝一、尤有レ憑、然而君臣皆不レ思二社稷一、然者何因披二災難一哉、悲哉、 元暦元年八月六日壬戌、泰茂來問二天變事一、法皇御愼殊重、所レ謂白衣會必可有奎星與二歳星一相犯(〇〇〇〇〇〇〇)云々、又語占之間事、其才尤高可レ貴、 文治元年十月六日乙卯、早旦主税助安倍晴光參來申二天變事一、從二去月二十三日癸卯一塡星(〇〇)守二犯太微東蕃上相星一、又從二同二十八日戊申一歳星(〇〇)守二犯同右執法星一、〈相去各八寸所〉是大臣大將等愼也、就レ中塡星變(〇〇〇)大將愼尤重云々、 又文云、天下有二悅喜一、人主改レ政云々、 又云、有二立レ王事一云々、

〔愚管抄〕

〈六〉

p.0258 この春〈○元久三年〉三星合(〇〇〇)とて、大事なる天變の有ける、司天の輩、大におぢ申けるに、その間、慈圓僧正、五辻と云て、しばしありける御所にて、取つくろひたる藥師の御修法をはじめられたりける修中に、この變は有けり、太白木星火星となり、西の方に、宵々にすでに犯分に、三合の寄あひたりけるに、雨ふりて消にけり、又晴てみえけるに、みえてはやがて雨ふりてきえ〳〵、四五日してしばし晴ざりければ、めでたき事かなとて在ける程に、その雨はれて、なほ犯分のかぬ程にて、現じたりけるを、さて第二日に、又くもりて、朝より夜に入るまで、雨を惜みて有けり、いかばかり、僧正も祈念しけんに、夜に入て、雨しめ〴〵とめでたく降て、つとめて消ゑ候ぬと奏してけり、さて其雨はれて後は、犯分とほくさりて、この大事變つひに消にけり、さてほどなく、この殿〈○藤原良通〉の頓死せられにけるをば、晴光と云天文博士は、一定この三星合は、君の御大事にて候つるが、つひにからかひて、消候にしが、殿下にとりかへまいらせられにけるにとこそ、たしかに申けれ、このをりふしにさし合せ、怨靈も力をえけんとおぼゆるになん、その御修法は、ことに叡感有て、勸賞などおこなはれにけり、

〔吾妻鏡〕

〈十九〉

p.0258 承元五年〈○建暦元年〉十一月一日己酉、寅刻太白(〇〇)凌二犯房上將星一〈相去六寸許〉之由、司天等申レ之、

〔吾妻鏡〕

〈二十二〉

p.0259 建保三年十二月十六日庚子、終日風烈、連々天變(〇〇〇〇)等事、司天捧二勘文一、將軍家殊可レ有二御謹愼一之變也云々、大夫屬入道善信執申之、相州〈○北條〉大官令〈○大江廣元〉藤民部大夫等被レ興二善政一、可レ被レ廻二佳運長久術一之由申沙汰、

〔吾妻鏡脱漏〕

p.0259 元仁二年〈○嘉祿元年〉三月廿四日乙酉、日來太白經レ天(〇〇〇〇)爲二變異一之由、司天等依レ申之、今日被レ行二御祈一、民部大夫行盛爲二奉行一云云、 嘉祿二年正月廿五日辛巳、今曉歳星(〇〇)、鎭星(〇〇)、太白星犯レ舍(〇〇〇〇〇)云云、有二御愼文一之由、司天申之、及二勘文一云云、

〔吾妻鏡〕

〈三十一〉

p.0259 嘉禎三年四月廿二日癸卯、天晴、申刻日色赤如レ蝕(〇〇〇〇〇)、 廿三日甲辰、今日自二午刻二點一至二酉刻三點一如二日色蝕一、將軍家〈○藤原賴經〉大被二驚思食一、召二司天之輩一、出二御寢御所車御壺一直有二御尋一、泰貞、晴賢、廣經、晴貞、資俊等朝臣申云、雖レ非二普通一、雲靄引掩去時、傾二西山一日之色赤如レ此、強不レ可レ處二變異一、但旱 兆歟云云、宣賢申云、何年無レ春、何春無レ霞、若被レ映レ霞、霞者年々可レ有二此變一歟、則建久被レ定二薄蝕一之間、被レ載二仁王會呪願文一云云、同夜丑刻月光黄色也云云、 廿四日乙巳、昨日日光事、親職朝臣、令レ奉二薄蝕勘文一、非二天變一之由申輩多之、 五月十九日己巳、定員自二京都一歸參、去月廿二三四日間、日色事、洛中怪之、 廿三日、日色赤、依レ有二石淸水行幸一無二其沙汰一、翌日天文道〈季尚、良米、業經、〉天變之旨、令二奏聞一之由於二御前一申、 廿九日己卯、去月廿三日、日月共赤黄事、陰陽頭惟範朝臣、薄蝕之由、自二京都一申之、宣賢申状符合之、仍爲二主計頭師員朝臣奉行一、可レ勤二仕日曜祭一之由被レ仰、此外無二御祈一、將又季尚朝臣申云、被レ映レ霞日色赤黄定習也、且建久、資元、晴光等雖レ申二薄蝕之由一、季弘朝臣、更非レ變之旨申之、

〔吾妻鏡〕

〈三十二〉

p.0259 嘉禎四年〈○暦仁元年〉五月五日己卯、戌刻太白(〇〇)犯二軒轅大星一、希代變異也、見二于延喜天暦二代御記一云云、

〔吾妻鏡〕

〈三十三〉

p.0259 暦仁二年〈○延應元年〉三月五日乙亥、京都去月十一日巳刻、有二日暈變一(〇〇〇)、密奏之輩申状不同之間、兩度召二勘文一之上、菅大藏卿爲長、淸大外記賴尚等及二勘状一、其状等今日到來、於二御前一師員朝臣讀 申之、天文道忠尚、良元、季尚等朝臣申二重暈之由一、家氏申二交暈之旨一、晴繼申二白虹貫レ日之由一云云、大藏卿引二後漢書文一、假二郞顗之詞一、暈即虹也、大略白虹旨委細勘之、大外記者暈虹先例、本文勘進許也、 十五日乙酉、司天輩依レ召皆參、二月十一日天變事、被レ下二京都勘文一、各可レ申二存知旨一之由被二仰出一、維範、泰貞、晴賢等一同申二重暈之由一、師員朝臣申云、晴繼朝臣勘文、載二白虹一之旨尤甘心、本文分明也云云、 十月廿日丙辰、午刻陰陽師廣經參二御所一、今日巳刻、日有二兩珥一(〇〇〇〇)之由申之、作二進繪圖一、兵庫頭爲二申次一持二參御前一云云、 廿一日丁巳、昨日廣經注進變異事、被レ問二司天輩一、維範朝臣申云、暈虹若二日月蝕之時一、於レ令二出現一者、以二其次一可二勘申一也、以二珥斗一及二奏聞一事、於二京都一未二覺悟一之云云、

〔吾妻鏡〕

〈四十二〉

p.0260 建長四年十二月十六日丙寅、辰刻日南北西有レ珥(〇〇)、六尺去レ之皆在レ西、色靑赤白之由、司天等申之云云、

〔園太暦〕

p.0260 貞和五年閏六月五日、傳聞、此間有二三星合一(〇〇〇)云々、可レ尋、 天變密奏案文相尋、寮頭親宣朝臣續之、去六月廿六日丙戌曉寅時、太白歳星辰星三星相犯、〈太白與二歳星一相距二尺四寸所、太白與二辰星一相去一尺五寸所、歳星與二辰星一相去二尺七寸所、〉 二十八日、曉月、太白、歳星、辰星、四曜相合、在二井度一、 天文要録云、歳星與二太白一合飢、爲二疾内亂一、又云、太白與二歳星一合二于一舍一、其國失レ地、又云、太白與二歳星一相犯、其國有レ兵、又云、太白犯二歳星一天下盗賊多、又云、太白犯二歳星一有二女主病一、又云、辰星與二太白一合、天下兵大戰、又云、辰星與二太白一相犯其國有レ擾、又云、太白與二辰星一合、其國將軍失レ地、其天下失レ位、又云、太白與二辰星一鬪必有二大戰一、又云、辰星守二太白一、其邦主人愼レ之、又云、歳星與二辰星一〈○此下恐有二脱字一〉其國内亂、貴人死、又云、歳星犯二辰星一、其國君失レ位、又云、辰星與二歳星一合、逆臣不レ順二誅逐一、又云、辰星與二歳星一合、其國戰將軍愼、又云、太白與レ月相合宿、其國立太子、女主愼、又云太白犯レ月、天子有レ愼、又云、歳星與レ月同宿、其國君有レ愼、又云、月犯二歳星一、人民多死、王侯謀二其君一、又云、月犯二辰星一、其國有レ擾兵起、又云、月與二辰星一合、其國亡レ地、貴女死、又云、月犯二 辰星一、天下大戰、天地瑞祥志云、三星合、是謂二驚位絶行一、〈宋均曰、有二兵喪一故曰二驚位一、改二立王一故曰二絶行一、〉乙巳占云、三星已上聚合皆將レ改二革政令一、三星若合、是謂三驚位改二立侯王一、帝王秘録云、三星合、其國外内有二兵喪一、天官書云、三星合、其國内外有二兵與一レ喪、改二立公王一、 貞和五年閏六月六日 權陰陽博士安倍家淸 陰陽頭安倍朝臣親宣

〔太平記〕

〈二十七〉

p.0261 天下妖恠事附淸水寺炎上事 同〈○貞和五年〉六月三日、八幡ノ御殿、辰刻ヨリ酉時マデ鳴動ス、神鏑聲ヲ添テ、王城ヲ差テ鳴テ行、又六月十日ヨリ、太白、辰星、歳星ノ三星合テ打續キシカバ、不レ經二月日一大亂出來シテ、天子失レ位、大臣受レ災、子殺レ父、臣殺レ君、飢饉疫癘、兵革相續、餓莩滿レ巷ベシト、天文博士注説ス、又閏六月五日戌刻ニ、巽方ト乾方ヨリ電光輝キ出デ、兩方ノ光寄合テ、如レ戰シテ碎ケ散テハ寄合テ、風ノ猛火ヲ吹上ルガ如ク、餘光天地ニ滿テ光ル中ニ、異類異形ノ者見ヘテ、乾ノ光退キ行、巽ノ光進ミ行テ、互ノ光消失ス、此夭怪、如何樣天下穩ナラジト申合ニケリ、

〔親長卿記〕

p.0261 文明五年五月十九日、今度變異占文、 今月二日戌時、太白(〇〇)犯二輿鬼一、〈相去一寸所〉 天文要録云、太白留二輿鬼一、大臣有二病疾愼一、 又云、太白犯レ鬼、萬姓勞、兵革大動、 又云、五星入レ鬼、天下有レ喪、 又云、五星入レ鬼、女主愼、 同十日戌時、歳星(〇〇)犯二房鉤鈐星一、〈相去五寸所〉 部萠曰、木星去レ房四表五寸、留不レ行五十日、天子失レ勢、大臣内亂、逆臣見レ誅、期四十日、 錢樂曰、歳星居二舍房一經二七十日一不レ動、傷寒熱病多、水災卒死不レ出二二年一、 韓楊曰、五星犯二房鉤鈐一、王者有レ憂、后皇胎懷病期半同、 文明五年五月十一日 正三位賀茂朝臣在盛

〔親長卿記〕

p.0262 文明六年二月十一日晴、有二變異一、〈二星合(〇〇〇)云々〉在盛卿注進之、今月八日戌時、熒惑犯二輿鬼第二布帛星一、〈相去六寸許〉天文要録云、熒惑守二輿鬼一東北萬民多死、 又云、守二輿鬼一有二兵水交一、萬物五穀不レ登、大將軍愼、馬牛貴、其君有レ憂、期三年、 又云、大臣不忠有二兩心一、 又云、熒惑至二輿鬼一三日、大人病爲二十日一、諸國主爲レ病、乙巳占日、火犯二輿鬼一、后失レ勢、執レ法誅、 文明六年二月十一日 正三位賀茂朝臣在盛

望氣

〔羅山文集〕

〈六十二雜著〉

p.0262 望氣 夫望氣者、蓋保章氏之餘流歟、周禮春官保章氏、以レ星觀二妖祥一、以レ雲辯二吉凶一、以レ風命二乖別一、故星見二大辰一、則梓愼知二宋之將一レ火、歳紀二玄枵一、則裨竈知二楚子之將一レ死、梓愼望レ雲而知二宋鄭之多一レ喪、師曠歌レ風而知二楚師之無一レ功、且夫伯夙見二楚氛甚惡一、則楚人衷レ甲將レ襲レ晋、周太史聞下雲如二衆赤烏一夾レ日以飛上、則知三其當二楚王身一、曹劌望二氣之竭一而敗二齊軍一、李陵見二氣之衰一、而斬二軍中之女一、始皇雖レ厭二東南天子氣一、而不レ能レ制二沛公一、蘇伯阿望二見舂陵一、而唶二佳氣之鬱葱一、果光武出矣、此誠於二軍旅之事一望レ氣、亦不レ可レ廢也、及二李唐一、袁天綱、李淳風、僧一行之輩、世不レ乏レ人矣、本朝之仲滿趣レ唐留學、改二名朝衡一、世所レ謂安倍仲麻呂是也、昌泰之際、三善淸行及子淨藏、精二於天文術數諸道一、仲滿之裔晴明、亦鳴二于圓融華山之時一、其後世道 、此道遂衰、豈不レ悼哉、

〔武備志〕

〈一百六十一占〉

p.0262 占二雲氣一 茅子曰、周禮天官氏掌二雲氣之占一、秦漢間、望レ氣者之言益驗、故其説甚著、我參下次其功二于兵一者上、曰、氣之地、氣之候、氣之風雨、氣之災瑞、氣之天子、氣之猛將、氣之戰陣、氣之軍勝、氣之軍敗、氣之暴兵、氣之伏兵、氣之攻守、氣之陰謀、

〔天文義論〕

〈下〉

p.0262 問、雲氣ノ變、種々有レ之、是ヲ望ミ見テ、其吉凶ヲ定ムル事アリ、是ヲ望氣ノ學(〇〇〇〇)ト云、是ヲ學ブ人多シ、上古ヨリノ事ニヤ、中華ノ學者是ヲ主トスル者多シ、最モ軍者專ラ是ヲ敬、是又天學家ニモ主ルベキ義歟、 曰、望氣ノ學ハ、陰陽家、兵家ノ所レ學ニシテ、天學ノ專務ニハ非ズ、素問ニ、五天ノ氣ヲ論ジ、周禮ニ十煇ノ説アリ、是望氣家ノ由緖ナラン、夫レ雲氣望氣ハ地ヨリ生ズル處ニシテ、甚卑キ者也、天上ニ現ズルニハ非ズ、然レ共、地面以上皆是天也ト云ノ義ニ從テ、是ヲ天氣ト云ンモ亦可也、

〔怪異辯斷〕

〈二天異〉

p.0263 望氣ノ占候古書ニ出タル者、不レ可二枚擧一、皆吉凶瑞妖ノ差別有テ、取分兵家ニ專トスル處也、右ニ出ス處ノ周禮十煇ノ法ハ、雲氣ヲ窺ガヒ變態ヲ見テ、天氣ヲ占ヒ人事ヲ愼タルナラン、末代ノ望氣者ハ是ヲ本トシテ、種々ニ子細ヲ附會シタル也、變占吉凶ハ多ク言ハ數々中ルノ理也、凡占訣ノ法時ニ見聞スル物ヲ取テ、卦ヲ起シ吉凶ヲ定ム、是ヲ從應ノ占ト云テ、能中ル事アリ、假令バ一花一葉ノ開落ヲ見テモ、則取テ卦ヲ起シ吉凶ヲ辨ズ、是其人ノ爲ニ花葉ノ開落セシニハ非ズ、時ニ臨テ神機自然ニ發動スル處ノ物ヲ取テ占フ也、一家一人ノ占ニハ凡近ク少キナル物ヲ取テ占フ、國朝萬民、歳ノ豐凶ヲ占ニハ、凡天變ノ大ナルヲ以テ可レ占ノ理也、況ヤ軍戰ハ國家ノ大事、萬民ノ存亡ナレバ、時雲天變ノ形状ヲ採テ、吉凶ヲ占ハン事又不レ可レ疑、蓋按ニ雲氣ハ本地中濕熱ノ氣、蒸升シテ中部ノ空際ニ至リ、靆テ漫々トナリ、風氣ニ因テ或ハ散ジ、或ハ聚テ種々ノ形状ヲナシ、日光ニ照サレテハ、映ジテ種々ノ色ヲ現ズ、大體雲氣視ル處高遠ナルガ如シト云ドモ、地ヲ去事五十町ニ不レ可レ過、常ノ浮雲ハ又甚ダ近ク、一二町ヲ不レ過モノ多シ、霧霞ノ類モ皆地上濕熱薰蒸ノ氣也、雲煙霧霞何レモ風氣ニ微動シ、或ハ散亂シ、或聚會スル時ハ、種々奇怪ノ形象ニ見ユル事多シ、一炷ノ香煙風絶テ無時ハ、其煙唯一直線ヲ繰出スガ如ク、微風ニ因テ動搖スル時ハ、會聚散消スルノ状チ、或ハ如レ蛇如レ魚如レ浪如二木枝一、或ハ如レ葉如レ花如二輪環一如二佛像一ノ類ヒ、千變萬態終ニ不レ一、是何ノ吉凶ゾヤ、

〔諸道勘文〕

〈四十五〉

p.0263 彗星客氣論事〈天喜四年○中略〉 勘申東方所レ見客氣非二彗星一事〈○中略〉 乙巳占云、凡候二雲氣一之法(〇〇〇〇〇)、初出若レ雲非レ雲、若レ霧非レ霧、凡遊兵之氣无二根本一、或如二疋布一、或兩頭鋭見云々、如レ此之類不レ可二勝計一、今件氣色白、合二此等説一、若可レ謂二客氣一歟、彗孛雲各以レ體異、何爲彗星哉、 右件客氣、始レ自二去朔日庚戌曉一所レ見也、仍勒二古文一奏聞先了、而師任朝臣申二彗星天變一、惟星雲相違、重可二辨申一者、謹以勘申如レ件、 天喜四年八月二十六日 陰陽頭安部朝臣章親

〔甲陽軍鑑〕

〈二品第八〉

p.0264 判兵庫星占之事附長坂長閑無面目仕合之事〈○中略〉 此兵庫を、毘沙門堂のくり迄召よせられ、武藤三河守、下曾禰兩人を問者にて、右の客星吉凶を、兵庫に占せて見給ふに、謹占則書以言上す、抑此星と申は、天下怪異の客星也、雖レ然今時に當て、何の大名に惡事の可レ有レ之あらず、末代におひて、吾朝の古高家次第にめつして、終に悉くなく成給ひ、武道國中の武家の作法を取失ひ、きのふ下人かと見れば、今日は主となり、女が男の出立を仕り、新家のだちて、たとへば舞樂に至る迄、眞なることを不二見知一して、嘲成事を用る故、本侍迄一世の間に、二度三度づゝ作名字をなさるゝ世に成候べし、侍にかぎらず、佛法世法と有レ之時は、寺方も、久しき正法の宗旨は、次第に衰微して、新き宗旨などゝ云て繁昌すべし、百姓商人貧人迄も、如レ此と書て、右の武藤殿下曾禰殿へ渡レ之、然ば數ならぬ我等體も代々判を占來候へ共、此星の上は、判占も我等迄に仕り、子孫をばしらうとにいたさん、され共嫡子は廿に餘候間、是は時々卜致す共、孫には全く占とめさせ候、幸某に、大僧正信玄公大慈大悲の御惠をもつて、信濃國にて所領下され、年來畜候物を讓、跡をしらうとに仕立、甲府にあり付申べく候、嫡子も孫にかゝり、是も甲府に罷有とて、柳小路に屋敷を申請、子と孫とをば商人に仕付、おのれは知行をさし上、近江國に罷歸、五年めに死去と也、

〔武將感状記〕

〈五〉

p.0264 一信玄氣ヲ見ルノ法ヲ學デコレニ通ズ、然レドモ嘗テコレニ拘攣シタマハズ、一 日、信濃ノ帥トタヽカフ時、惡氣アリ、信玄スコシモ憂ナク、備ヲ固シ、列ヲ整テコレヲ待、敵ノ虚ヲウカガヒ討テ、勝利ヲ得タリ、歸テ馬場美濃ヲ召テ、氣ヲ見ルノ法ハ信ズベカラズ、今日カクト語ラレケルニ、美濃、其惡氣ハ敵ノ爲カ、味方ノ爲カ、辨ガタカルベク候ト申ス、信玄、師傳ノ趣ハ身方ノ爲ナリ、美濃、御方ノ爲ノ惡氣ト思召ニ由テ、合戰常ヨリモ戒愼ヲクワヘ玉フ、是ヲ以テ危カラズシテ全勝ヲ得サセラレタルニ候、軍旅ハ唯シマリアルヲ第一トスト、兼テ御意ナサレシハ、此ニテ候ゾト申ケル、信玄又信濃ニ發向ノ時、鳩一ツ庭前ノ樹上ニ來ル、衆見テ口々ニ私語テ喜ブ色アリ、信玄ソノコヘヲ問レケレバ、鳩此樹上ニ來ルトキ、合戰大勝ニアラザル事ナシ、御吉例ニ候ト應フ、信玄、鐵炮ヲ以テ、忽其鳩ヲ打落シテ、衆ノ惑ヲ解タマフ、鳩モシ來ラザル時ハ、衆疑沮スル心アリテ、戰ヒ危カラン事ヲ慮リタマフナリ、

〔大友興廢記〕

〈十四〉

p.0265 石宗討死之事 此石宗と聞へしは、軍配におゐては、諸家の傳を知て功者たる故に、去九月〈○天正六年〉に、本卦當卦、其外のかんがへをもつて、當年日州の方へ大事を催さるゝ事不相應なるよし申上らるゝにも、宗麟公御同心なし、又當陣におゐても、掛引の利をいはるゝに、鎭周用ひられず、彼是以て勝利なし、去程に、十一日の晩、味方の陣の東の手先より氣立て、敵城の内へなびき入、石宗、野心の氣とかんがへらるゝ、さてこそ其氣の下より筑後の星野蒲池を先として、二心出來たり、また十一日のあかつき卯の刻の終り辰の始、南に血河の氣と云雲氣立て、味方の上にたなびき來る、石宗見て、此氣味方にむかひきたるは、河にて亡べき雲氣とかんがへ、鎭周方へ、使者をもつて申さるゝは、昨日より、萬事の評定にこそ御同心なくとも、雲氣立申候、是はきらい所有儀にて候、せめて此氣の替り迄ひかへられ可レ然ぞんずる由申されければ、其返答に、此鎭周、元來下男の生れにて候へば、雲の上の軍は仕まじく候、雲はともあれかくもあれとて、無二思付一返事なり、其外、今度は、一ツとし て吉事の相はなく、惡事の告のみ也、とかく天道より味方の利を罰し給ふと見へたり、かくのごとくたがひの運の勝劣果報のさかんなること、末ごの時節にやあらん、先陣一軍の大將鎭周、我差圖をそむき、軍法を破る事、是不忠のいたりなり、殊に大守の御差圖の御目利むなしくなる事、不忠の上の逆心なり、諸軍の心得も鎭周に同意や否、かく物の喰違ひする事、皆是天運也、此度の軍に利をうしなひなば、我ながらへて詮なき事と思ひ入、秘傳の數卷を燒捨、平人に成かわり、討死す、

〔武家碎玉話脱漏〕

p.0266 一源君〈○家康〉秀賴卿を、二條城にて饗せらるべしと詢ありしに、母公淀殿危怖て、其時の軍配者白井龍伯は、占候に長じたる者ゆへ、龍伯吉凶を考しむ、龍伯七日潔齋して、香を燒て、其煙氣を見ること三度ながら大凶に當る、其趣を書て、片桐東市正に示す、市正、私宅に呼、故を問、龍伯、大凶なり、往ば必害にあはんと云、且元、煙氣は吾曾て知らざる所なり、然共秀賴往ずば兵起らん、往ば難なからじ、是を以見る時は、勘文を書かへて、吉也とせよといふ、龍伯きかず、しゐて、其咎は吾あづからむといへば、止事を得ずして、吉也と書かへて、不慮あらばいかゞせんと憂るを、市正笑て、秀賴公害に逢はせ給はゞ、吾も共に死せん、誰あつて罪を刻せんやと云、市正、龍伯が勘文を奉りければ、淀殿大に喜んで、秀賴卿を二條に往しめらる、無事に歸城ありければ、淀殿龍伯を賞して、白銀百枚を給ふ、其外これかれより金銀多く贈り、龍伯、市正の宅に行、今鄙生金銀を得たるは、貴公の故なりとて拜謝す、夫より氣を見る術を止て閑居せり、或人云、軍者の諸家日取法繁も集て見るに、一月の中、其中の吉を取れば、悉く吉日と成、凶をとれば、悉く凶と成、依レ之元來吉凶なしといへば、物を破るの誤を生ず、又是吉凶有といへば、事に惑ふ患深し、故に見る者をして獨さとらしむ、

〔續近世叢語〕

〈七術解〉

p.0266 小瀨甫菴、授二易江都一、會水道新成、水道者、引二玉川一北行二里餘、東注二伏渠一、所在分レ之爲 レ井也、明暦三年正月朔、甫菴語二其友一曰、望レ氣有二火災一、起二于西北一、散二于四方一、含生之類殆無二存者一、夫天一生レ水、地六成レ之、地二生レ火、天七成レ之、蓋天生レ水以潤レ地、地生レ火以報レ天也、今地以二人力一通レ水、而增二地之陰一、天將下假二人力一作レ火、而增中天之陽上、亂二陰陽之紀一乖二生成之理一、其祥幾成、不レ出二于此月一、擧レ家歸レ郷、未二二旬一火果起、人馬死十餘萬、 〈小瀨甫菴、名道喜、上野人、初事二堀尾氏于出雲一、堀尾氏嗣絶、去授二易江都一、自號二甫菴子一、著二信長記、太閤記一、爲二加賀侯博士一、〉

覘彗星

〔諸道勘文〕

〈四十五〉

p.0267 勘申坤方長星事〈○中略〉 乙巳占圖云、孛者彗之類、偏指曰レ彗、四指曰レ孛云々、 今按、孛彗之條、其體相異歟、 天官書曰、孟康曰、五星之精散爲二六十四一、變記不レ盡、 天地瑞祥志云、晉志曰、彗星所レ謂掃星也、本類レ星、末類レ彗云々、小者數寸、長或竟レ天云々、彗體无レ光、傳レ日而爲レ光、故夕見則東指、晨見則西指、在二南北一、皆隨二日光一而指也、 薄讃經云、荊州占云、彗星者所レ謂掃星也、五星逆錯變氣之所レ生也、若芒氣四出曰レ孛、皆本類レ星、末類レ彗也、 甘氏曰、廼出レ彗本類レ彗、末類レ彗云々、 今按、件星去四日昏見二坤方一、長十許丈、色白、其本有レ星、芒氣指レ東、又五星之中、辰星已伏、孛見之處、既叶二本條一歟、愚意之所レ及、尤可レ謂二彗星一歟、 右彗星形象、大略勘申如レ件、 長治三年正月 日 大外記中原〈○中略〉 彗星事〈信俊長治三年〉 彗星昏見事 一彗孛之體并字意事 漢書志云、歳星贏而東南〈孟康曰、五星東行、天西轉、歳星晨見二東方一、行疾則不レ見、不レ見則變爲レ祅、星石氏〉見二彗星一、甘氏曰、不レ出二三月一廼生レ彗、本類レ星、末類レ彗、又云、凡五星早出爲レ贏、贏爲レ客、晩出爲レ縮、縮爲二主人一、又云、超レ舍而前爲レ贏、退レ舍爲レ縮云云、又云、大白出レ晩爲二彗星一、將レ發二于亡道之國一、又云、辰星出晩爲二彗星一、天地瑞祥志云、彗星者天地之旗也、〈守曰五星精發爲二妖星一也、〉晉書志、史臣案、彗體無レ光、傳レ日而爲レ光、故夕見則東指、晨見則西指、在二日南北一、皆隨二日光一而指、又曰、偏指曰レ彗、芒氣四出曰レ孛、孛者孛々然、非常惡氣之所レ生也、内不レ有二大亂一、則外有二大兵一、天下合レ謀、闇蔽不明、有レ所二傷害一、晏子曰、君若不レ正、孛星將レ出、彗星何懼、由レ是言レ之災甚二於彗一、公羊傳曰、孛者何、彗星也、何休云、状如レ彗也、又云、彗者邪亂之氣、掃レ故置レ新之象也、又云、孛者邪亂之氣也、後漢書志云、孛星者、惡氣所レ生爲二兵亂一、其所二以孛一レ德、孛レ德者亂之象、不明之表、或謂二之彗星一、又云、韓楊占云、其象若二彗竹彗樹木條一、東宮切韻云、孛者、郭知玄云、祅星氣孛々然、麻果云、星文也、祝尚丘云、星恠氣飛似レ彗、穀梁傳、孛者弟也、劉非云、弟々氣起貌、漢書志又云、彗孛者陰陽之精、其本在二於地一、而上發二於天一者也、董仲舒以爲、孛者惡氣之所レ出也、謂二之孛一者、言二其孛々有一レ所二妨蔽一、闇亂不明之貌也、劉向以爲、君臣亂二於朝一、政令虧二於外一、則上濁二三光之精一、五星贏縮、變レ色逆行、甚則爲レ孛、 今按、彗星者五星之變、非常惡氣之所レ生也、抑彗孛者邪亂之氣、掃レ故置レ新之象、又隕錯失二其次一、又闇亂不明之貌也、 光芒長短見現日數 天地瑞祥志云、甘氏曰、彗短爲二飢亂一、長爲レ兵、見三日爲二一旬一、見一旬爲二一歳一、京房曰、彗長一丈爲二十月一、二丈爲二二年一、五丈爲二五年一也、漢書志云、其出久者爲二其事大一也、後漢書志劉昭注云、長短无レ常、其長大見久災深、短小見不レ久災狹、晉書志云、其芒或長或短、光芒所レ及則爲レ災、又云、孛彗所レ當之國是受二其殃一云々、 今按隨二光芒長短一、依二見現日數一、定二咎徴之輕重一、指二厄會之遠近一歟、〈○中略〉 右管見依レ覃、甄録如レ件、抑竊撿二傍例一、延喜五年四月、彗星見レ乾、光芒指レ巽、長卅餘丈、見及二二旬一、然而彼時聖上運レ文、群下樂レ余、百姓悅二其惠一、來世歌二其治一、易占所レ謂有道之君、雖レ遇二變異一、即免二其災一、得レ乘二運數一、是既叶二其議一者也、然則擬二彼延喜例一者、何謂レ有二其懼一哉、仍勘申、 長治三年正月卅日 主税助兼直講淸原眞人信俊勘申

〔續泰平年表〕

〈十〉

p.0269 天保十四年二月四日五日頃より、申酉の方に白氣現ス、〈同十八日勘文、白氣出現之事、當月上旬以來、昏白氣出二現於申酉之方一、其形如レ布、長數十丈、戌刻後沒、從二十日頃一晴陰不レ定、委難レ測、十三日、十四日之後所レ見白氣次第薄、從二婁宿之度一至二參星之南東一南拍非レ雲、彗星之如二光芒一、夫氣者種々之氣雖レ多、此度所レ現、去秋以來、晴雨寒暖至二于今一不順而所レ爲也、但暦史擧二其旨一、兵革喪凶水火疾病等之徴也氣出現之事、和漢其徴有無者、因二時之治亂一無二定則一者也、此度氣所レ發之分野當二西國一、金氣昌陽、其所大國、若者洪水失火疾病之類歟、雖レ有二其理一、妖不レ勝レ德、元來治世 聖德遍二四方一、何有二變異之恐一乎、白氣漸薄、無レ異而可二消散一、謹勘申如レ件、 權暦博士加茂朝臣保行、陰陽權助兼播磨守加茂朝臣保凉、 陰陽助兼暦博士加茂朝臣保數、 同九日天文方澀川助左衞門より書上、當月七日之初昏、西南之方に當り、其幅一度半一尺五寸、長四十度餘之白氣之如キ物相見申候、尤四日五日頃ゟも雲間に相見候得共、聢と見樣も仕兼候處、翌八日夜は長サ五十度に亘り相見申候、連夜同樣に相見候上は、全く彗星之芒光に可レ有レ之候、併地下何程有レ之哉難レ計奉レ存候得共、先は七十度餘も可レ有レ之と評論仕候、一體彗星之義者、近來西洋ニ者測驗仕候間、別ニ一種行讓有レ之候義に而、其數類も數多候得共、先ヅ豫メ推歩仕來仕候星故、妖星と申譯は無レ之義に御座候、既に去ル明和六年七月相見候彗星は、十度に亘り、芒光も兩光に相見、至て異樣之形状に候得共、別段非應も無レ之義に御座候、但漢土にて周秦以來、殊之外凶兆と申傳へ、又舊きを除き新を敷き、或者五色に取候而者、兵亂水火之質、大臣之患、大臣專權等、種々之事有レ之候、西洋に而者、往古者十三宮之位次により、其占も品々有レ之由、古き暦書に相見申候、已に近來之旋海暦に者、日月之蝕同樣に、彗星を又譯記し候上者、一種之奇星と申迄に而、妖星に者無二御座一候、 山路生勘文、去ル七日西南之方に彗星之光芒に可レ有レ之哉、白氣相見候處、聢與 彗星とも難二見定一、其長サ地平上凡五十度計、猶地下之長サハ難レ量、尤八日初昏相伺候處、矢張七日之所在と粗同樣に付、全彗星にも可レ有レ之與奉レ存候、圖書集成之内、按采徽宗本記、宣和五年春正月戊戌、彗星出二西方一、其長竟レ天、金史哀宗本記、天興五年閏九月己酉、彗星見二東方一、色白長丈餘、彎曲如二象牙一、出二角參一南行、至二十二日一長二丈、十六日月燭不レ見、廿七日更復出二南東一、約長四五丈、至二十月一日一始成、漢土右之類有レ之候、本邦にても醍醐天皇延喜五年四月彗星見、長二十餘丈、光芒指二巽方一、或長竟レ天、至二五月初旬一始不レ見、扶桑略記、 山路金之丞書上、近頃明和六年七月中相見候彗星、長七丈二尺餘と舊記に相見申候、且又蘭書西洋千六百九十五年、本邦元祿亥ニ當ル、十月廿八日、地名佛蘭察國之湊に於て、日出一時前に東方に彗星相見候處、其頭を見候事能はず、光芒而已測量仕候與申義相見候間、旁今度之白氣も、彗星之光芒にも可レ有レ之奉レ存候、尤天歩眞源に掃星之出ル、天下定り有事、或者亂、或者饑、或者旱、或者水抔相見、凶兆之由申傳り候得共、西洋近來之説に而者、別に彗星行道之天有之趣に相見候間、天變地妖等之義ニ而者御座有間敷與奉レ存候、取調候處、右之通御座候、以上、 天保十四年二月五日、初昏、始見二白氣于未申之間一、至二初更後一西沒、人皆以爲二斷雲一、而後毎夜見レ之不レ更二方所一、則以爲レ異矣、至二中旬七八一、其質益分明、念後稍々上迂、色光亦薄、至二月晦一如レ無二所見一、天文 家謂二之彗星一、或曰、彗星在二日下一其光芒所レ射也、 前漢書天文志、 尤旗類二彗星一、而後日象旗長廣如二一匹布一著レ天、此星見則兵起、 孟康曰、熒惑之猜也、晉灼曰、呂氏春秋其色黄上白下也、宋理宗景定元年、白氣亘レ天、如レ張二匹竦一、以上默葊記、〉

候日蝕

〔令義解〕

〈六儀制〉

p.0270 凡太陽虧、有司預奏、〈謂太陽者日也、虧者薄蝕也、有司者陰陽寮也、〉皇帝不レ視レ事、百官各守二本司一不レ理レ務、過レ時乃罷、〈謂不レ視レ事者、不レ聞二政事一、過レ時乃罷者、假令日蝕在レ申者、酉時得レ罷、是爲二過レ時罷一也、〉

〔令集解〕

〈二十八儀制〉

p.0270 跡云、預奏下計二日度數一預知中可二日蝕一之日上也、朱云、太陽虧、謂二日蝕一也、不レ云二月虧一也、有司預奏者、陰陽寮直奏也、不レ可レ經二中務及太政官一者何、穴云、有司預奏、官亦預須レ告二諸司一、或云、師云、不レ申二中務太政官一、而經レ寮奏耳、〈在レ穴〉

〔怪異辯斷〕

〈一天異〉

p.0270 日食ハ、日輪上ニ有テ、下月ノ爲ニ遮ラレテ光映ヲ失フ者也、歴代古今ノ日食不レ可二枚擧一、〈○中略〉今代ハ和漢トモニ食算大成ス、其暦梓ニ鋟メテ遍ク萬民ニ施セリ、此故ニ童蒙女子ト云トモ、毎年日月ノ食アル故ニ、常トシテ災異トセズ、〈○中略〉 左傳昭公二十一年秋七月〈ノ〉日食ニ言ル、冬至夏至春分秋分ニ日食アリト云トモ、災トセザルヨシ見ヘタリ、然レドモ其道理心得ガタシ、道理ヲ以テ云バ、二至ハ日輪南北ノ極道、陽氣進退ノ始ナリ、二分ハ日輪天ノ中道ヲ行ノ時ニテ、日夜等分、陰陽温和ノ節ナリ、如レ此ノ時ニ當テ、日輪蔽蝕スル事アラバ、他月ノ蝕ヨリハ猶災禍トスベキ理ナルニ、二至二分ノ時ニハ却テ災トセザルノ義、其理不審ナリ、往古日蝕寡シト云モノハ、算法未ダ不レ委シテ、動スレバ定朔ノ算數ヲ錯リシ故ナリ、

〔新考日食三法〕

〈一〉

p.0270 日食三法附言 日食法、支那ニ正法ナシ、其コレアルハ、歐羅巴ノ暦入テヨリシテ始ル、而シテ歐羅巴之法、亦古粗今密ニシテ、漸ヲ以テ精ヲ盡シ、暦象考成後編ニ至テ精巧極ル、其法、條理貫通シテ論ズベキモノナシ、然ドモ人其布算ノ繁難ニ苦シム、是ニ於テ予〈○高橋至時〉考索シテ、日食法數條ヲ設ケ得タリ、今其稿ヲ脱スルモノ白道新法、及ヒﾞ赤道法ノ二條ヲ繕寫シテ、予 ニ求ムル二三子ニ授ク、二法ノ趣キ異ナリト雖モ、理ハ一ナリ、其東西南北ノ二視差ヲ求ムルニ、舊法ハ、黄道高弧交角、及白道高弧交角太陰高弧ヲ求メ、〈是暦象考成上下編之法〉或ハ赤經高弧交角、及白經高弧交角太陽距天頂ヲ求メテ〈是暦象考成後編之法〉以テ二視差ニ求メ至ル、今一切ニ削リ去テ、東西南北ノ原數法數ニ立テ、以テ逕チニ二視差ヲ得ル、舊法ニ比スルニ、工力ヲ省クコト數倍ナリ、簡捷トス、〈○中略〉 支那往古ノ日月食ヲ推スガ爲ニ、消長法ト倶ニ簡法ヲ設ク、前二法ヲ併セテ三法トス、歴史載ル所、多ク食甚ノ分、及時刻而已、且ツ其數亦未ダ必密ナラジ、故ニ易簡ヲ要シテ、初復ノ法ヲ略ス、二視差ヲ求ル法、又舊法ヲ取ル、コレ食甚一條ヲ求ムルニ至テハ、前ノ二法ヲ用ルモ、簡迂甚異ナラザルニヨル、但赤經高弧交角ヲ求ル別法ヲ設テ之ヲ記ス、若夫レ暦史中初復ノ測數備ハルモノハ、宜シク前法ヲ撰ミ用ユベシ、 〇按ズルニ、日食ヲ候スル事ハ、天部日篇日蝕條ニ詳ナリ、宜シク參看スベシ、

候月蝕

〔怪異辯斷〕

〈一天異〉

p.0271 月食ハ、月光地影ニ遮ラレテ失二其明一者也、〈○中略〉蓋按ニ、月體ハ本無レ光、日ノ光ヲ受テ光映ヲナセリ、望ニハ日月正對シ、日光ヲ月體ニ全ク禀ク、故ニ圓光也、朔ニハ大陽ノ氣盛ニ、望ニハ大陰ノ氣盛也、故ニ朔望ニハ萬物ノ氣盛實ニシテ、潮汐ノ往來モ漲大也、然ルニ月食ハ日月黄道ノ一線ニ在テ正對スル時、中間ノ地ノ蔭月體ヲ射テ月光ヲ翳蔽ス、此時ヲ月食トス、毎望ニ日月正對スト云トモ、黄道ノ正線ニ在テ不二正對一トキハ、望ト云トモ無二月食一者也、是其大概也、月食ノ時刻ハ、大陰ノ本體暗晦セル時ナレバ、萬物ノ氣モ昏晦ノ時也、常數有ト云トモ、是ヲ不祥ノ時トシテ人事ヲ愼ムモ亦可ナラン歟、〈○中略〉 往古日食ハ變災トシテ、月食ヲバ變ト爲ザル事ハ、日食ノ算法ハ、近代ノ暦算ノ如クニ細密ニ委シカラザレバ、能合ガタシ、ソレサヘ歳差等ノ子細有ニ依テ、數年ヲ經ル時ハ差フ事アリ、古ノ算 法ハ甚粗カリシ故ニ、日食動スレバ差テ、日食ノ分量有無不レ定シテ知ガタシ、此故ニ變異ト思ヒタリ、月食ノ算法ハ、日食ノ算ヨリハ易クシテ、差ヒ有事稀也、上古ノ粗キ算法ニテモ、大分ノ差ヒハ無リシモノナレバ、月食ハ定リタル事ニテ變災ニテハナシト思ヘル者ナリ、畢竟算術ノ未ダ委シカラザル故ナリト可レ知、

〔本朝世紀〕

p.0272 天慶元年十二月十五日戊子、今夜亥刻月蝕也、先レ是權暦博士外從五位下葛城宿禰茂經、進二勘文一云、今年十二月十五日戊子夜、月可レ蝕二五分之四一〈半強〉虧初亥一分、蝕甚亥一刻三分、復本亥二刻四分、蝕所レ起月在二陽暦一、初起二東北一、甚二於正北一、復二於西北一、但十五分之四者、僅及二三分之一一、其蝕甚少、所レ謂天道雖二玄遠一、而經術之妙、不レ差二毫釐一者也云々、爰時之好事者、依二件勘文一、通夜効二驗之一、毫釐無レ差、悉叶二勘文一、當時以二件茂經宿禰一爲二賢有識之者一、 〇按ズルニ、月蝕ヲ候スル事ハ、天部月篇月蝕條ニ詳ナリ、參看スベシ、

測定 度

〔江府日景〕

p.0272 享保十七〈壬子〉正月十六日ヨリ毎日表影記 於二高輪谷山御下屋敷御路地一、伺二日之出入一、測二北極之所一定二南北一、而造二高四尺之表一、添以二八寸之小表及イスタラヒヤヲ一、記二日日午中之尺寸一如レ左、下段者貞享暦書所レ測也、 有德院大君御測驗 享保十七壬子年 正月 日體等ト日出遠候ヘバ午中晷六分半ノ差アル也 貞享二年 十六日 四尺七寸三分 正月元日立春 十七日 四尺六寸六分半 小表 九寸三分九リン 元年 十二月十六日 五尺六寸七五 十八日 四尺六寸一分半 九寸二分九リン 二年 正月九日 四尺四寸九五 節ヨリ九日後 十九日 四尺五寸六分二リン 九寸一分八リン 同三年 二十日 四尺五寸二分 九寸九リン 正月十二日立春廿一日 雨 同十三日 四尺八寸九分〈○下略〉

〔仙臺實測志〕

〈下〉

p.0273 右仙臺、二十四氣、及測量諸數、自二享保十有六年辛亥一到二于今年丁酉一、取二數十年實測諸數一、以折中攷定而所レ得也、 安永六年丁酉秋八月朔日 多々良保佑測驗〈○下略〉

〔寬政暦書〕

〈三十四諸暦合考〉

p.0273 新測交食校 寬政丁巳〈○九年〉改憲以降、至二于方今一、於二江戸及大坂一、實測日月食諸數纂輯而依二本編交食歩法一、推二算各其本日測時諸數一、以並二列其推測兩數一、便二於比校觀覽一如レ左、〈○下略〉

〔天文瓊統〕

〈三〉

p.0273 紫微宮總論〈○中略〉 沈括曰、天中不レ動、遠二極星一三度有餘、而後測者歴代多皆極星去二天中一猶一度半、元明所レ測去二不レ動處一三度、蠻人亦云三度也、 貞享年中所レ測凡爲二三度一、予〈○保井春海〉自二壯年前一既及二六十一、精思二于玆一三十餘年、於二武江一測二北辰一、冬至昏後樞星出レ地高三十八度半、夜半三十六度、晨三十三度半、是以極星去二不レ動處一二度半也、因レ此觀レ之、於二西地一歴代所レ測未レ詳、程朱説亦疎、

〔太暭古暦傳〕

〈一天象篇〉

p.0273 是北極に對する南極と云ふ所あり、其は天經或問に、南北極者、天體永久不動之兩點、周天倚爲二環轉之樞一者也、故名爲レ極、〈極如二輪之轂一、如二磨之臍一非レ星也、云二極星一者、蓋指二其近レ極之星一而名耳、〉而居中有二不轉之所一、以爲二之心一、故南北有二不轉之極一、以爲二之樞一、太虚空洞、固有二不轉之神化一、以爲二之主一、而後此天得下以循二行万古一而不上レ越也と云るが如し、〈西川正休云、二極は南北極なり、九天之樞軸たる所を云ふ、樞には無星にして、驗すべき者なし、故に樞の側に三度を去りて星あり、此を測極星と號す、此星を以て北極樞の目的として、測器にて是を窺測して、國に隨ひて北極の高低ある事を察し、幾度なる事を知て、其國の寒熱氣候を察す、測極星は赤道を越て南方の地よりは見えず、南方の諸國にては、南極星を測見し、各其他の赤道を云る度を知りて、國の氣候寒熱を考ふ、北極の度に測知すれば、南方の地上と共に推て察するに分明也と知べしと云るも然る事なり、〉さて 今世幕府の士に、朝野北水と云ふ人あり、此人の北極星の旋を考へたる説に、此星の動ある事を知ずては、諸國にて出地を測量すること能はざる者なり、其は譬へば北極出地三十度の國にて測るとき、刻により三十六度にも見え、或は三十三度餘にも見ゆる事あり、三十六度と爲れる時に見たる者は、其國を三十六度の國と定め、三十四度と爲れる時に見たる者は、三十四度として各々見たる所を以て測量し得たりと思ふ故に其説區なり、是北辰と北極星とを一〈ツ〉に思ふが故にて、昔の書にも北辰と北極星の差別なし、〈篤胤云、昔の書に北辰と北極星の別なしと云〈へ〉るは誤なり、其は今の本文に、極星與レ天倶游而天樞不レ移と有る天樞、やがて北辰なるにて知るべし、然るを天宦書天文志より次て、後の天文書に、此議麁略になり來て、よく其差別を説著せる書なき故に、かく云へるなるべし、斯て天經或問に至りて始めて其差別を説出せること上文の如し、〉辰とは都て星なき所を云ふ、北辰は總天の北樞なり、樞は少も動かねど、北極星は其側に在りて小旋する故に、微動といふ、然れども天經或問に、上下に三度づゝ旋ると云へり、上下三度宛は六度なれば、微動と云べからず、余積年研究して其微動の極を得たり、〈篤胤云、以上の説を前文と云て、門に入ざる人に其傳を傳ふる事なし、甚秘すべき事なりとて、筆を止めたるが、次に是より以下の文を出せり、是謂ゆる秘説なり、〉其まづ北極の第一星と第六星と第七星とを能見定めて、第一星の上にても下にても、第六星、第七星斯の如く見ゆるは、北辰と相並びて東西するなれど高下なし、是出地測量の刻限なり、また第一星より東の上にて斯の如く見ゆるは第一星高しと知べし、またかくの如くなり、或はかくの如くに見ゆるとも、右に准じて測るときは、第一星三十六度に見ゆるとも、實は三十五度の國なりと知べしと云り、是は實測に叶へる説なり用ふべし、〈此北水と云ふ人の説は、天象話説と題せる傳書なるを、我が門人稻垣正雄が、早く其門に入りて其傳を受たると、安藤直彦が藏たる本とを合せ見て記せり、〉

〔仙臺實測志〕

〈下〉

p.0274 此二十八宿度數、則數十年來之測驗也、與二古之測數一不レ同、而有二廣狹一、於二其宿一者、假令如レ謂二東海道北陸道一、自二此所之宿一到二于彼所之宿一有二何里何町一也、是以非二二十八宿一、則不レ能レ測二驗七政之行、衆星之度一矣、故二十八宿即天之準繩也、

〔天文瓊統〕

〈五〉

p.0275 北方七宿〈七十六座三百九十二星〉 北方七宿爲二亥子丑三宮一、於二分野一則斗牛爲二飛州、加州、能州、越中州、越後州、佐州一、女虗危爲二若州、越前州、丹州一、室壁爲二波州、但州、因州一、

〔天文瓊統〕

〈三〉

p.0275 十二宮分野 子 丹波 若狹 越前 丑 飛騨 加賀 能登 越中後 佐渡 寅 上野 下野 出羽 陸奧 卯 美濃 信濃 武藏 甲斐 相摸 常陸 上總 下總 安房 辰 尾張 參河 遠江 駿河 伊豆 巳 伊賀 伊勢 志摩 午 和泉 紀伊 未 淡路 四國 申 九州 酉 播磨 備前中後 安藝 周防 長門 壹岐 對馬 戌 美作 伯耆 出雲 隱岐 石見 亥 丹後 但馬 因幡 紫微垣 山城 大和 河内 攝津 近江

〔天文瓊統〕

〈三〉

p.0275 太微垣總論 蠻人云、張翼者日本之分野也、然則張翼北太微宮中象星在二我國之上一、按少異大微垣中全當二日本之分野一、則翼軫也、我國自二開闢一不下爲二異域一侵奪上、此是有レ垣者堅固而不レ能レ垝也、以二方位一考レ之、當二巳宮一、巳者物 成始之時而未レ亘二勞攘一、是以説レ道亦淡淸簡默而傳二神聖之口訣一言少、唯在二受用一而巳矣、

〔寬政暦書〕

〈二日 暦理〉

p.0276 北極高度(〇〇〇〇) 北極天之樞紐、即赤道之北極也、萬古定在二一處一而莫二移動一矣、其出レ地有二高下一者、因三人所レ居之地有二南北不同一也、是故寒暑有二進退一、晝夜有二永短一、各循二其高下一而異也、蓋古來暦法、以三太陽出二入於赤道南北之度一、定二諸節氣一是爲レ常、而北極出レ地之度、即與下赤道距二天頂一之度上相同也、如推測不二精細一、而其高度差一分半、則交宮時刻春秋分必差二四刻許一、而冬夏至レ差二三四日許一、〈尚許二後測春秋分一、以求二歳周篇一、〉日躔既差、則月離二五星一之經緯度皆無レ不レ謬矣、故測二定北極出地之高下一、最宜レ盡二精密一、苟不レ可レ忽也、測二得京師北極出地一、保井春海爲二三十五度半強一、佐々木長秀爲二三十五度六十二分半一、通レ之周天三百六十度、得二三十五度一十一分二十二秒一、吉田秀升等爲二三十五度零一分一、次後伊能忠敬測定亦同矣、其測レ之之法、於二冬至前後一用二象限儀一、測二少衞東增八方中出レ地高度一、昏時此星在二北極上一、候二其漸轉而高一、至レ不二復高一而止、是爲二最高度一、晨時此星在二北極下一、候二其漸轉而低一至レ不二復低一而止、是爲二最低度一、〈少衞東增八、今在二赤道經度二宮二十三度餘、赤道緯度北七十六度半餘、冬至前後半月以二内晨昏一可二以兩見一、故專取二此星一測レ之、〉乃以下其所二測得一之最高及最低度上、算二得淸蒙氣差一、〈求レ之法、詳二後淸蒙氣差篇一、〉減二其高低度餘數一折中取レ之、即北極出地度也、〈○中略〉用二此兩法一參互考驗、則當レ盡二精微一也、取二於各處一、依二是二法一、高橋至時、麻田妥彰伊能忠敬、及間重富等測定者、而掲二于左一以便二考算一、 江戸、三十五度六十九分一十七秒、〈高橋至時測定〉 大坂、三十四度六十六分六十七秒、〈高橋至時測定、麻田妥彰、伊能忠敬、間重富所レ測亦同、〉 長崎、三十二度七十五分、〈伊能忠敬測定、間重富及西土所レ測三十二度七十七分五十六秒、〉 松前、四十一度四十七分五十秒、〈伊能忠敬測定、下同、〉 鹿兒島、三十一度六十分、 對馬府中、三十四度二十分、

〔天文瓊統〕

〈一〉

p.0276 北極出地度數 奧州津輕四十二度〈冬至晝三十七刻、夜六十三刻、夏至晝六十三刻、夜三十七刻、〉 南部四十度 野州日光三十七度強 武江三十六度〈夏至晷一尺六寸五分、冬至晷一丈三尺二寸、〉 能州七尾三十九度 三州岡崎三十五度 紀州熊野三十四度弱 皇都三十五度半強〈夏至晷一尺六寸冬至晷一丈三尺〉 土州高知三十三度半 雲州松江三十六度半 藝州廣島三十五度 肥州長崎三十二度半〈冬至晝四十一刻、夜五十九刻、夏至晝五十九刻、夜四十一刻、〉 薩州鹿兒島三十一度 對州三十六度半 朝鮮三十八度少 琉球二十七度 西土北京四十二度強 南京三十四度太 神代口訣、説二天地之形一、忌部正通之發明越二千古一也、

〔寬政暦書〕

〈二日 暦理〉

p.0277 日躔(〇〇)總論 欽若二授時暦法一首務二日躔暦法綱領一、蓋日出而爲レ晝、入而爲レ夜、與レ月會而爲レ朔、行レ天一周而爲レ歳、歳月日皆以レ是紀定、故堯典以二賓餞永短一立成二治暦大經一、萬世能莫二之易一也、然其推歩之法、自レ今不レ能レ考レ之、蓋前 漢諸士、皆以二日行一度一爲レ率、而爲二三百六十五日四分日之一一、而一周天、晉姜岌始以三月食衝二宿度一爲二日宿度一、劉宋何承天始悟、景極長爲二冬至一、景極短爲二夏至一、而定二氣序一必依二測景一、隨劉焯始覺三日行有二盈縮一、更因二四時消息於日行度一、宋姚舜輔於二晨前及昏後一、以認下太白與二太陽一之相距遠近上、而驗二定星度一、仍得二日躔宿度一、元郭守敬採二摭晉劉宋及隋唐以來諸士之最精一造二授時暦一、較二於前代一爲二稍細密一、然未レ説下日天有二高卑之理上也、本朝持統天皇以降、至二貞享所レ行之元嘉儀鳳大衍五紀宣明諸暦一、皆襲二用漢土之法數一、未レ算二里差一、如二本邦撰造之貞享寶暦甲戌元暦等一、倶因二循郭守敬之法一、故亦不レ能レ出二於授時之模範一、淸暦象考成始依二西土之法一、其上下編刪二定明崇禎暦書一者、次後復專採二西土刻白爾、 西尼等之創法一述二後編一、其法稍精密矣、今驗二此於天一莫下不二脗合一者上、仍用二其法一、並釋二其義一云、

〔寬政暦書〕

〈五月離暦理〉

p.0278 月離(〇〇)總論 懸象著明莫レ大二乎日月一、蓋太陽以定二春夏秋冬一成レ歳、太陰以定二晦朔弦望一成レ月、先聖所三以並二稱日月一也、周禮冬夏致レ日、春秋致レ月、以辨二四時之叙一、蓋冬夏致レ日測二黄道一也、春秋致レ月測二白道一也、至二太陰之行一、則古者爲二一日行十三度十九分度之七一、前漢劉向謂、月有二九行一、東漢賈逵始悟三月行有二遲疾一、劉洪造二乾象暦一、列二遲疾差一、宋何承天爲二月道一出二入黄道一、不レ逾六度、北齊張子信悟三月行交道有二表裏一、唐李淳風造二麟德暦一、新立二進朔之法一、爾後諸暦循レ此以避二晦晨月見一、至二僧一行一、考二九道委蛇曲折之數一得二月行疾徐之理一、元郭守敬測二算太陰行度五十一事一、析二月行遲疾之限一爲二三百六十六限一、以爲二其遲疾之度數逐時不同一、明大統暦依レ此、我貞享暦亦同矣、是漢暦月離沿革之大概也、其用二西暦一者、唐有二九執暦一、元有二萬年暦一、此二暦不レ傳、明初有二回々暦一、歩二太陰列第一第二一、加二減差定黄白大距一、爲二五度零二分三十秒一、李之藻亦取二西洋法一論二太陰小輪一、及二明季一西士相繼而來、譯二述崇禎暦書一西説大備、淸暦象考成、亦悉襲二用西法一、今通二考之一、漢以來雖レ多下考二索太陰之理一者上、驗二諸今測一皆不レ堪レ用、而稽二諸西史西法一、亦古粗今密、〈○下略〉

〔暦法新書〕

〈八〉

p.0278 五星(〇〇)〈○中略〉 本朝天武天皇以來、舊文所レ載、近歳所レ驗、星躔疎密共擧レ之焉、又天平八年十月、太白入二月星一有レ光、貞享三年四月庚辰晨、太白入二月魄之中一星有レ光、則月上而星下可レ知、他星入レ月不レ見、則星高二於月一可レ知、是知異方人謂二九重天一者不レ詳矣、

〔暦法新書〕

〈八〉

p.0279 里差(〇〇)〈○中略〉 武江與二南部一南北行程相距一百三十里、北極出地差四度置二相距里數一以二差度一除レ之、約三十許里、而北極出地之差一度也、武江與二津輕一南北行程相距一百八十里、北極出地差六度、此亦約三十里、爲二北極出地差度一用乘三百六十五奇、則知地一周凡一萬一千里、地厚凡三千五百里、用商尺六尺五寸爲レ間、六十間爲レ町、三十六町爲レ里也、異國六尺一歩、三百歩一里、約二百五十里、北極出地高下一度、地一週九萬餘里、地厚三萬里、南北相距毎千里、日食差一分、

〔寬政暦書〕

〈三十諸暦合考〉

p.0279 江戸實測月離校 寬政改憲前後、用二簡天儀、黄赤全儀、子午線儀、象限儀一、實二測太陰諸數一、共纂輯而依下本編推二月離一法上、推二歩各其本日測時諸數一、以並二列其推測兩數一、便二於比校觀覽一如レ左、〈○下略〉

〔寬政暦書〕

〈三十一諸暦合考〉

p.0279 各所實測躔離校 採下用寬文以降至二當今一、實二測日月食一諸數上、依二高橋至時新考法一、〈詳二後條一〉各求二日食食甚用時、及月食食甚時刻一、以加二減食甚距時、及時差總一、〈倶用二推歩一所レ得之數而反加減、乃實測不レ在二京師一者、又更加二減兩地里差時分一、〉得二實朔望實時一、〈名曰二朔望考一〉並天保九年戊戌十月更奉レ測二量之一、 命又重壬寅六月、新營二測量所於九段坂一、纂二輯其太陰實測一、〈名曰二蒴望外考一〉乃用二各其時分一、依下本編推二月躔月離一法上、校二算各其黄赤經緯度一、以併掲二于此一、〈○下略〉

天文密奏

〔令義解〕

〈一職員〉

p.0279 陰陽寮 頭一人 〈掌二〈○中略〉有レ異密封奏聞事一〉

〔延喜式〕

〈十六陰陽〉

p.0279 凡密奏料紙筆墨等、臨時申レ省、

〔新儀式〕

〈四臨時〉

p.0280 天文密奏事 若有二天文變異一、其道博士、并蒙二宣旨一獻二密奏一者、具勘二録其變異一、先觸二第一大臣一、加レ封返二與博士一、博士以レ之參二藏人所一、付二藏人一奏レ之、〈若其奏文有レ可二重愼一、或依二眞言敎一而令レ祈二請佛天一、或仰二陰陽道一而令レ祭二禱星辰一、〉

〔西宮記〕

〈臨時二〉

p.0280 進二天文密奏一人事〈上卿奉レ勅可二仰下一歟〉

〔西宮記〕

〈臨時二〉

p.0280 依二天變一上二密奏一事 非レ蒙二宣旨一而輙視二望天文一事 罪載在二法條一 天文道被二宣旨一之者注二奏事一、密封奉レ覽二第一上卿一、上卿見畢如レ本加レ封返給、即至二藏人所一進奏、〈一大臣必兼二陰陽寮別當一、仍加封之、天文道有二勘事一之時奏事、大臣傳取付二藏人一奏レ之、〉

〔侍中群要〕

〈七〉

p.0280 天文密奏事 博士參二腋陣一、藏人出對、取二奏書一還上、插二殿上文刾一奏レ之、件書早可レ備二御覽一之故、追二御所一奏レ之、雖二御物忌一猶奏レ之、御覽了留二御所一、抑追二御所一之事、可レ有二用心一歟、又博士早旦參著、藏人不レ堪二束帶一、乍二布跨一取二文刾一奏レ之、如二朝候之次一也、 天文密奏、御馬走奏、諸御贄解文等之類、不三必可二束帶一、雖二布袴一可レ奏也、或朝候之次奏レ之、凡早可レ備二叡覽一之故也、御贄等有下可レ供二朝膳一之物上、隨レ仰左右云々、

〔禁秘御抄〕

〈下〉

p.0280 天文密奏 天文正權博士并密奏者、毎レ有二天變一奉二奏書一、司天先參二内覽人許一、執柄覽レ之加レ封返、則司天給レ之、持二參内裏一、於二殿上口一申二事之由一、藏人取レ之付二内侍一、天子覽レ之、執柄加レ封者、深恐二外見一之故也、封上書二執抦片名一、假令家實書二家字一、良經書二良字一也、日月蝕翌日奏又同、殊大事變出現之時不レ能レ進レ奏、倒レ衣馳參、夏始著二冬裝束一、冬始著二夏裝束一有レ例、

〔三代實録〕

〈一淸和〉

p.0280 天安二年八月廿九日丁巳、陰陽寮奏言、夜有レ星入二紫微宮一、赤如二炎火一、長十餘丈、

〔三代實録〕

〈十淸和〉

p.0281 貞觀七年正月四日丙戌、去年陰陽寮奏、明年可レ有二兵疫之災一、近日天文博士奏、應レ警二兵事一、

〔類聚符宣抄〕

〈九〉

p.0281 左大弁藤原朝臣邦基傳宣、左大臣宣、奉レ勅以二助敎從五位下十市部良佐一、宜レ令レ進二天文奏一者、 延長八年七月廿四日 左大史錦部宿禰春蔭〈奉〉

〔親信卿記〕

p.0281 天祿三年十二月六日、天文博士安倍晴明於二右兵衞陣外一令レ奏二天文奏一、〈依二觸穢一也〉奏文云、去月廿日歳星犯二進賢一云々、今月四日月與二太白一同度云々、又令レ奏云、從二去春比一有二疫癘變一、今臨二冬季一其事不レ空、可レ被レ行二四角祭一云々、又天文博士以忠宿禰令レ奏二密奏一、其變只載下月與二太白一同度文上、件二人奏、晴明加二左大臣封一、以忠宿禰加二自封一、尋二問故實一有レ仰可レ加云々、 十一日、以忠宿禰差二美濃掾同以信一令レ奏二密奏一、即令レ申云、所レ煩侍所レ令レ奉也、但先例如レ此之間、差二習學者一、進上已例也、件以信蒙二宣旨一云々、其變去九月、月犯レ畢云々、又晴明同令レ奏云々、 十四日、以信進二以忠朝臣〈○朝臣、依二上文一當レ作二宿禰一、〉密奏一、去十一日月犯二井西反星一、天延元年正月九日、天文博士晴明奏二變異一、其書云、二日白虹匝レ日、五日白氣亘二艮坤一、七日鎭星犯二東井第五星一、 四月十九日、天文博士晴明進二密奏一云、去十八日丑時、月犯二斗建星一云々、 六月廿六日、主税頭以忠朝臣奏二天文密奏一、月犯レ畢云々、

〔朝野群載〕

〈十五陰陽道〉

p.0281 謹奏 今月〈○康平三年十二月〉十四日己巳夜丑時、月蝕鬼宿、〈十五分之五〉 謹撿二天文要録一云、月者大陰之精、女主之象也、京房曰、月蝕、水多兵起、五役多死、帝覽曰、月蝕從レ傍、謂失令相二當之一、又云、月蝕女主愼レ之、又云、月冬蝕、其國有二女喪一、天文録云、月蝕、其國君王有レ病、不レ出二三年一、三摩司馬云、月蝕爲三將相相二當之一、又云、天子惡レ之、天地瑞祥志云、月從レ傍蝕、相國惡レ之、又天下兵起、人民飢亡、乙巳占、月十四日蝕、天下兵、河圖曰、月蝕望日天火燒二萬物一、女君有レ、占云、小寒月無々々乃 光、女宮有レ憂、 右占云、月蝕雖レ蝕、而正現者有レ災、仍謹以申聞、 康平三年十二月十六日 正六位上行權天文博士安倍朝臣親宗 從五位上行陰陽頭兼天文博士同權介安倍朝臣章親

〔玉海〕

p.0282 建久二年十二月五日己卯、入レ夜定賴申二條々事一、天文博士廣元持二來密奏一、召レ前問二五箇變事一、申二不レ知之由一、此次申云、辰星早沒夜初長ト云詩アリテ、辰星ハ角宿〈二星云々〉也、東方第一星也、是秘事也、故泰親朝臣謂、心太星太、嗚呼不レ傳口傳之所レ致也云々、

〔新蘆面命〕

p.0282 天文密奏ノ事、去頃公武ヨリ仰付ラレ候ニヨリ、先生被二仰上一候ハ此義ハ近代ト申、中古ト申シ、イロ〳〵天文ノ書出候テハ、際限モナキ細密ナル義ニ候マヽ、不思議ニ中リ候モ有レ之候、又ハアタラヌノミニテ候、安部晴明ナド奏聞申サレ候ハ、史記前漢ノ法ヲ用ラレ候テ、晉書已下ノ天文占ハ不レ被二申上一候、近頃ノ雜占マデヲ用候樣ニト思召レ候テハ、中々愚臣ノ及ブ所ニアラズ候、只晴明古法ノ如ク、史漢バカリニテ大綱ヲ申上候樣ニト被二仰付一候ハヾ、奉レ畏候旨申上ラレ候ヘハﾞ、其旨御詮議有レ之、然ラバ史漢ノ法バカリニテ、密奏申上候樣ニト被二仰付一候、依レ之コマカナル事ハミナ不レ用也、

天文臺

〔日本書紀〕

〈二十九天武〉

p.0282 四年正月庚戌、始興二占星臺一、

〔敎令類纂〕

〈二集七十七〉

p.0282 寶暦七丁丑年九月 西川豐松(天文方) 西原彦右衞門(小普請組太田美濃守組) 前川平右衞門(御手大工) 右之者共、佐久間町測量所御長屋ニ罷在候所、此度測量所取拂相成候付、濱御用屋敷之内御長屋拜借被二仰付一候間、其段向々〈江〉可レ被レ達候、尤濱御用屋敷明御長屋之内相渡候樣可レ被レ致候、 九月 天明二壬寅年五月 御勘定奉行〈江〉 淺草竹町裏通明地、測量御用屋敷ニ相成、役所向御役宅長屋等、吉田靫負ヨリ差出候、御入用積金高千七十四兩二分ニ而、靫負一式引請仕樣通相違無レ之樣、入念可二申付一旨相達候間、得二其意一、靫負可レ被レ談候、 五月

〔寬政暦書〕

〈二十二儀象誌〉

p.0283 測量臺 五經要義曰、天子三臺、靈臺以觀二天文一、月令疏曰、積レ土爲レ之、所二以觀望一也、謹考本朝古未レ有二靈臺之設一、迄二志賀之朝一〈○天智天皇〉始有二新臺占星臺之名一、蓋測驗之術未レ行、而唯充二占候之用一耳、漢土則周有二測景臺一、漢有二靈臺一、劉宋有二候臺一、唐有二仰觀臺一、元有二司天臺一、明有二觀象臺一、淸亦設二觀象臺一、置二新製六儀一、皆爲レ窺二天象一而設也、本朝元祿中、賜二保井春海築臺之地一、測二量諸曜一、寶暦中有二修暦之儀一、又起二露臺一列二儀器一、以測二諸曜一、是皆我築二高臺一以測二驗天象一、蓋是爲レ始也(〇〇〇〇〇)、于レ時西川正休、佐々木長秀等建白、測二驗七政之躔次一、皆築二臺于江戸一、遺趾皆存矣、今之測量臺、則天明二年所二築成一也、臺高三丈、上置二簡天儀、象限儀一、其午酉之二面有二磴道一、各五十級、其左傍設二欄棚一、方各二歩、起二基於臺坡上一、平二衡於臺面一、凡若日月帶食、有レ事二于地際一、則於レ此測焉、

〔明良帶録〕

〈世職〉

p.0283 暦正御糺方 深川木場へ御役地被レ下、俗に新天文屋敷といふ、是は近頃會津の藩臣暦術推歩の精微なるによりて、天文方次席に被二召出一、御目見被二仰付一たり、姓名は山中大和之助と云、聖堂塾中の人也、此場に手附出役多し、陪臣も出る、

〔御府内備考〕

〈十三淺草〉

p.0283 頒暦調所(〇〇〇〇)〈又測量所と云〉 猿屋町の東の方、新堀と三味線堀との間に在り、里俗天文臺と呼べり、元は牛込藁店と云所〈今某跡松野八郞兵衞が屋敷に賜へり〉に置れしが、天明二年六月朔日當所へ移さると云、

天文器

〔令義解〕

〈十雜〉

p.0284 凡秘書、玄象器物(〇〇〇〇)、天文圖書不レ得二輙出一、〈謂秘書者、遁甲太一式之類也、玄象器物者、銅渾儀之類也、天文圖書者、星官薄讃之類也、〉

〔律疏〕

〈職制〉

p.0284 凡玄象器物、天文圖書、讖書、兵書、七曜暦、〈○中略〉私家不レ得レ有、違者徒一年、私習亦同、其緯候及論語讖不レ在二禁限一、〈謂玄象者玄天也、謂象レ天爲二器具一、以二經星之文及日月所レ行之道一轉レ之、以觀二時變一、天文者謂日月五星廿八宿等、圖書者河出レ圖、洛出レ書是、讖書者先代聖賢所レ記未來徴祥之言、兵書謂二大公六韜、黄石公三略之類一、七曜暦謂日月五星之暦(中略)緯候及讖者、五經緯尚書中候論語讖、並不レ在二禁限一、〉

〔晉書〕

〈十一天文〉

p.0284 儀象 虞書曰、在二璇璣玉衡一(〇〇〇〇)以齊二七政一、考靈曜云、分寸之晷、代二天氣一生、以制二方員一、方員以爲、參以二規矩一、昏明主レ時、乃命二中星一、觀二玉儀之游一、鄭玄謂、以レ玉爲二渾儀一也、春秋文曜鉤云、唐堯即レ位、羲和立二渾儀一(〇〇)、此則儀象之設、其來遠矣、綿代相傳、史官禁密、學者不レ覩、故宣蓋沸騰、曁二漢太初一、洛下閎鮮于妄人耿壽昌等、造二員儀一(〇〇〇)以考二歴度一、後至二和帝時一、賈逵繫作、又加二黄道一、至二順帝時一、張衡又制二渾象一(〇〇〇)、具二内外規、南北極、黄赤道一、列二二十四氣二十八宿一、中外星官、及日月五緯、以二漏水一轉二之於殿上室内一、星中出沒、與レ天相應因二其關戻一、又轉二瑞輪一蓂莢於二堦下一、隨二月虚盈一、依レ歴開落、其後陸績亦造二渾象一(〇〇〇)、至二呉時一、中常侍廬江王蕃善二數術一、傳二劉洪乾象歴一、依二其法一而制二渾儀一(〇〇)、立レ論考レ度曰、前儒舊説、天地之體、状如二鳥卵一、天包二地外一、猶二殻之裹一レ黄也、周旋無レ端、其形渾渾然、故曰二渾天一也、

〔舊唐書〕

〈三十五天文〉

p.0284 武德年中、薛頤、庾儉等、相次爲二太史令一、雖三各善二於占候一、而無レ所二發明一、貞觀初、將仕郞直太史李淳風、始上二言靈臺候儀一(〇〇〇〇)、是儀、魏遺範、法制疎略、難レ爲二占歩一、太宗因令三淳風改二造渾儀一(〇〇)、鑄レ銅爲レ之、至二七年一造成、淳風因撰二法象志七卷一、以論二前代渾儀得失之差一、語在二淳風傳一、其所レ造渾儀、太宗令レ置二於凝暉閣一、以用二測候一、既在二宮中一、尋而失二其所一レ在、玄宗開元九年、太史頻奏、日蝕不レ効、詔二沙門一行一、改二造新暦一、一行奏云、今欲二創暦立一レ元、須レ知二黄道進退一、請二太史令一測二候星度一、有司云、承前唯依二赤道一推歩官無二黄道游儀一、無レ由二測候一、時率二府兵曹梁令瓚一待二制於麗正書院一、因起二游儀木樣一、甚爲二精密一、一行乃上言曰、黄 道游儀、古有二其術一、而無二其器一、以三黄道隨二天運動一難下用二常儀一格上レ之、故昔人潛レ思皆不レ能レ得、今梁令瓚創二造此圖一、日道月交莫レ不二自然契合一、既於二推歩一、尤要望、就二書院一更以二銅鐵一爲レ之、庶得下考二驗星度一無上レ有二差升一、從レ之、至二十三年一造成、又上疏曰、按舜典云、在二璿樞玉衡一、以齊二七政一、説者以爲、取二其轉運者一爲レ樞、持正者爲レ衡、皆以レ玉爲レ之、用齊二七政之變一、知二其盈縮、進退、得失、政之所在一、即古太史渾天儀也、自二周室衰微一、疇人喪レ職、其制度遺象、莫レ有二傳者一、漢興丞相張蒼、首創二律暦之學一、至二武帝一、詔二司馬遷等一、更造二漢暦一、乃定二東西一、立二晷儀一下二漏刻一以追二二十八宿一、相距星度與レ古不レ同、故唐都分二天部一、洛下閎運レ算轉レ暦、今赤道暦星度、則其遺法也、〈○中略〉又詔二一行一、與二梁令瓚及諸術士一、更造二渾天儀一、鑄レ銅爲二圓天之象一、上具二列宿赤道及周天度數一、注レ水激輪、令二其自轉一、一日一夜、天轉一周、又別置二二輪一、絡在二天外一、綴以二日月一、令レ得二運行一、毎天西轉一帀、日東行一度、月行十三度十九分度之七、凡二十九轉有餘、而日月會、三百六十五轉而日行帀、仍置二木櫃一、以爲二地平令儀一、半在二地下一、晦明朔望、遲速有レ準、又立二二木人於地平之上一、前置二鍾鼓一、以候二辰刻一、毎一刻自然擊レ鼓、毎辰則自然撞レ鐘、皆於二櫃中一、各施二輪軸一、鈎鍵交錯、關鏁相持、既與二天道一合同、當時共稱二其妙一、鑄成命レ之曰二水運渾天俯視圖一(〇〇〇〇〇〇〇)、置二於武成殿前一、以示二百寮一、

〔續日本紀〕

〈十二聖武〉

p.0285 天平七年四月辛亥、入唐留學生從八位下下道〈○下道原作二上道一、據二一本一改、〉朝臣眞備、獻二唐禮一百三十卷、大衍暦經一卷、大衍暦立成十二卷、測影鐵尺(〇〇〇〇)一枚一、

〔中右記〕

p.0285 大治二年二月十四日甲戌、未時許、當レ西有二燒亡所一、申時火滅了、後陰陽頭家榮示送云、燒亡之興、火起二醬司小屋一、燒二陰陽寮勘解由使廳、宮内省、并園韓神社、神祇官八神殿、郁芳門等一了、陰陽寮鐘樓皆燒損、但於二渾天圖(〇〇〇)漏刻等具一者、今取出也、往代之器物此時滅亡、尤爲二大歎一者、

〔春海先生實記〕

p.0285 同〈○寬文〉十年庚戌先生〈年三十二〉欲下修二渾天儀一(〇〇〇)而驗中天象上、然蔡氏渾儀、環輪繁多、乃難二于制造一、依用二工夫一新制二圖儀一、〈名二新制渾天儀一〉其器只有二經緯四遊之三單環一、而測二天象一孔簡易、日月星度、無三能脱二其機窺一、還優二乎舊圖一者遠焉、凡天運有レ差而星宿度亦與レ古不レ同、故先生以下當時所二自測候而定一之星度上改レ之、旦 一一管下規所三略著二于人目一之小星上、而細識下去二北極一離二宿次一之度上、然自新名レ之以二本朝百寮官名一、及以レ類名者、共六十一座、總計三百單八星、而各以二靑點一記レ之、與二古漢土所レ名列舍衆星一、并圖二畫之於一機球一號曰二天球一、〈又著二本朝天文分野之圓圖并方圖一〉夜々以較二見星宿于天一、不レ差二一點一、其便二乎星學一也甚矣、蓋西土量二度數一定二星名一者、只魏石申〈以二赤點一記者、百三十八座八百十星ナリ、〉商巫咸、〈以二黄點一記者、四十四座百四十四星ナリ、〉齊甘德〈以二黑點一記者、百十八座、五百十一星ナリ、〉而已、其後名二天文一、者、未聞レ有下窺二他微星一而能名者上、雖二元郭守敬一亦所レ未レ能、而先生獨能レ之、豈非レ能二人所一レ難哉、跡部氏良顯嘗稱、吾毎問二星宿列象於世之星學者一、頻指敎而吾未レ得レ的二見其星一、一夜問二先生一、先生所二指示一、倐明知二覺某星一、曷入二乎神一至二乎妙一之如レ斯其甚也、又以二歐邏巴利瑪竇所レ著之坤輿萬國橫圖一、〈乃畫屏六幅〉縮畫二一圓球一、縱橫象二天度及里方一、號曰二地球一、是亦便三于學二地理一、且制二我國之地圖一、合二天度一而定二方位一、別爲二深秘之一圖一、

〔和漢三才圖會〕

〈十五藝器〉

p.0286 璿璣玉衡(せんきぎよくかう) 渾天儀 按、今世所レ用渾天儀、乃據二葛衡之制一矣、其本出二於舜之璿璣玉衡一而甚簡易也、造法以二二篦一〈其箆用二銅或木一作レ之〉相交以爲二南北天之四經一〈赤色〉又用二一篦一橫二眞中一以爲二天之中緯一、謂二之赤道一、〈赤色〉又用二二篦一橫列二於赤道之南北一、〈其一去二北極一六十七度強、其一去二北極一百十五度強也、〉是乃夏至冬至日行之限、挾二赤道一各二十四度、謂二之黄道一、〈黄色〉又用二一篦一爲二靑赤白黑之四色一〈春夏秋冬日行道也〉斜懸レ之、以二赤處一中二於北黄道一、以二黑處一中二於南黄道一、〈書二四時二十四氣之字一、三百六十日毎レ日穿二小孔一、欲レ試時以二日象一插二其日孔一、〉又用二天河篦一斜繫レ之、〈天河之象詳二天文部一〉 毎篾記二三百六十五度象目一、安二二十八宿及諸星之珠一、使下地球居中於中上、以レ機轉レ之也、余造レ之不レ借二巧機手一而成、但五星運行、遲速留滯無二定範一、

〔仙臺實測志〕

〈上〉

p.0286 享保十六年辛亥十一月十五日夜、月食五分、 太概驗レ之、從二五時前一至二四時過一也、食甚、 宿次在二畢末觜初一、此時尚未レ在二渾天儀一、故目力所レ及如レ此而已、

〔仙臺實測志〕

〈上〉

p.0287 同年〈○享保十七年〉十月十四日夜、七半時初虧、至二十五日晨一而食、既而在二乾方山上一、圓象黑赤色、日出而月入、自レ是以後、仙臺始置二渾天儀一(〇〇〇〇〇〇〇)、

〔仙臺實測志〕

〈下〉

p.0287 定二地平方角一 此圖、即地平之形、向二于北極一見レ之、則同赤道之形也、蓋仙臺渾儀制作之法、則周天三百六十五度二十五分七十五秒分之爲二三百八十四分一、又定二方位一以二十二支八干四維一分レ之、故支干之間爲二各一十六分一、而測二驗北極及斗建等方角一者、盡用二此分數一者也、

〔仙臺實測志〕

〈上〉

p.0287 延享二年乙丑三月朔日、日食五分、〈○中略〉 凡記二食之方角一者、以二玉衡一(〇〇)測レ之、惟以二人目所一レ見不二妄書一レ之、 此食自二貞享暦法一遲九刻計、學者所二當用一レ力也、

〔仙臺實測志〕

〈上〉

p.0287 寶暦五年乙亥八月十五日、月食、〈○中略〉京都渾天儀之制、〈雖レ多二測器一、製作疑未二精微一也、〉 京渾天儀之制、貞享年中、春海先生之所レ製、至二于今一用レ之、以二此儀一所レ測午西午東之度、必有二一度半之加減一也、乃爲二東順西逆順減逆加一、而得二測數一也、又測二去レ極之度一者、常加二一度三分一爲二測數一也、〈其理未レ明〉

〔寬政暦書〕

〈二十五儀象誌〉

p.0287 璿璣玉衡〈并〉渾天儀 璣衡、渾天、共其儀制之傳既尚矣、明和中置二測量所一也、二儀亦備而陳レ之、蓋皆國初之物、故制粗形小、雖不レ中レ用焉、亦足四以見三古聖之遺典、與二測天之原始一也、

〔寬政暦書〕

〈二十二儀象誌〉

p.0287 諸儀總論〈○中略〉 雖レ然、上古樸質、蓋未レ有二儀象之製一、迄二天智天皇十六年一、置二漏刻於新臺一、寶龜五年、始置二漏刻于東西兩府一、爾後往々奇巧之製出焉、他若二測景鐵尺晷度一、其名雖レ存、其詳不レ可二得而知一也、貞享治暦之初、保井春海窺二天運於渾儀一(〇〇)、測二日行於表景一(〇〇)、造二天球一以紀二懸象一、元文中、使三西川正休造二儀器儀象一(〇〇〇〇)、當二寶暦甲戌改憲之時一、所レ用之儀器、無慮若干種、載在二時暦一、測驗之術於レ斯漸盛、寬政中、有二修暦之儀一、因大修二造儀器一、或廣求二 儀象於西洋書一、于レ時麻田妥彰專攻二此術一、故當時之儀器多資レ焉、於レ是乎黄赤之經緯、交食之淺深至二水陸行測之諸儀一、莫レ有レ所レ闕者、然後往聖欽若齊政之典、遠西窮理致密之術、大備二於我一、今日謹按二儀象一者、闡二衆曜旋轉之微一、而數理之所二申立一也、然測度之密、非レ得二合法之儀一則不レ能也、〈○下略〉

〔寬政暦書〕

〈二十二儀象誌〉

p.0288 簡天儀(〇〇〇) 元文中、西川正休請所二創造一也、制僅二重、只結二六合四遊之二環一、所三以有二簡易之稱一也、寬政中、有二修暦之議一、復修二補之一、置二之於測量臺一、謹考二其制之所一レ由、蓋出二於漢土之渾儀一、而渾儀則原二璿璣玉衡一云、是必古有二其法一、遭二秦火一而滅矣、至二漢洛下閎一、始有二渾天儀之制一、唐李淳風亦新鑄レ銅造レ之、其法原二璣衡一云、是時始有二六合三辰四游之環一、趙宋渾儀之式頗傚二其制一、按二書蔡沈注一曰、宋錢樂之鑄レ銅作二渾天儀一、衡長八尺、孔徑一寸、璣徑八尺、圓周二丈五尺強、轉而望レ之、以知二日月星辰之所一レ在、即璿璣玉衡之遺法也、歴代以來、其法漸密、本朝因レ之爲レ儀三重、其在レ外者曰二六合儀一、〈○中略〉次其内曰二三辰儀一、〈○中略〉其最在レ内者曰二四遊儀一、〈○下略〉

〔有德院殿御實紀附録〕

〈十五〉

p.0288 公、御位のはじめには、御納戸に窺天の器あまたありしかど、みな巧をつくせし玩物のみにて、實用にそなふべきはなかりしかば、御みづから御考索ありて、器物多くつくらせたまひしが、小姓土岐左兵衞佐朝直、浦上彌五左衞門直方等奉りて、紀州の良工加藤金右衞門をめし、さて成島道筑信遍に、書經璿璣玉衡の章を講説し、または假名に譯して授しめらる、かくて金右衞門、暦象の大意をほゞ明らめし上に、御みづから御敎諭ありて、渾天儀(〇〇〇)を造らしめらる、その製、高さ八尺にして、革を漆にてかためしかば、晝夜ともに露臺の上におき、雨露にあたりてもやぶるゝ事なし、此渾天儀の中に入て、天を仰ぎのぞむ時は、日月星の分度さだかに見るべしといへり、ある時、河合久圓成盈〈同朋格奥詰〉に、暮の極星と曉の星と相むかひ、角のかたにあるべし、みて參るべしと仰られければ、久圓かの器の中にはひ入て、仰ぎみしに、はたして仰のごと くなりしとぞ、かくありし後、いよ〳〵改暦の事を思召立せ玉ひ、ふたゝび器用あまた製し玉ひけるが、中にも彼渾天儀の製を變じ、日月星を一つらに測量せん爲に、繁碎をはぶき、簡易にせらるべしと、年頃御考ありしが、延享元年にいたり、思召のまゝに其器をつくられしかば、簡天儀(〇〇〇)と名づけ玉ひけり、今にいたり、司天臺用ゆる所のもの則これなり、のち律暦淵源といへる書を、長崎より進らせしに、その中に、乾隆九年淸王の英略もて、新に造られし撫辰儀といふものをしるしたるが、まさしくこの簡天儀の製に少しもたがはず、しかも我延享元年甲子は、かれの乾隆九年にあたれり、年といひ、事といひ、かく暗合せること、ひとへに英明の主は、和漢ともにひとしき御事なりと、今さらに感仰し奉る所なり、

〔淇園文集〕

〈六題首〉

p.0289 平天儀(〇〇〇)説題辭 平天儀者、本予昔年所レ創、然甚粗略不レ備、巖生素善造二窺天鏡一、遂留二意於天學一、乃因二予舊摸一增二加數物一、天地日月星辰四時潮汐盈虚無レ不二具備一、而其説又古人未發之奇者甚多矣、出藍之靑其斯之謂乎、

〔淇園文集〕

〈六〉

p.0289 平天儀圖標題 此儀圖設二圈輪一、大小凡五重、内地毬、外天輪、而地具二萬國之形勢、海潮之消長一、天備二月之盈虚、日之出沒、四時之氣候、二十八宿之度數、旦夕中星斗輪運轉十二支方維、晝夜分刻一、覽者按レ暦定二時日一、運輪合躔度璇璣秘蘊殫見二目睫一、且以レ紙制レ之、故可二卷而懷一、測儀多レ制、此爲二尤便一、

〔本朝天文〕

〈一〉

p.0289 三天儀(〇〇〇)之圖 古來、渾天儀アリト雖ドモ、日ノ運行ノミニシテ、日月相交リ、朔望年歳盈缺兩食ヲ見セシムル圖古今無レ之、予〈○源慶安〉工二夫之一思二惟之一シテ、數ノ鐵輪ヲ以テ三光ノ度數ヲ刻、鉛ノ重ヲ以テ運レ之、日珠ニハ燈火ヲ入、算法ニ不レ違日食月食シ、月ノ盈缺、并ニ一歳事々不レ殘見セシメ、三天儀ト號ス、此圖寶永年間ニ成就ス、今再ビ紙ニ畫シ、次ニ其暦算ヲ記シテ、全部九卷トナシ、異國ト間相違ノ儀アル ヲ以テ、本朝天文ト名ヅク、〈○圖略〉

〔寬政暦書〕

〈二十二儀象誌〉

p.0290 圭表儀(〇〇〇) 夫修レ暦 、必履二端于冬至一、其確二定冬至一、莫レ密二於圭表一、亦莫レ簡二於圭表一、圭表之制致二精微一、而眞冬至可レ得、而後應レ用諸數可二以定一矣、昔者周公旦立二表於陽城一以測二日晷一、是乃治暦之根柢、而推歩之所二由生一也、故西漢造レ暦、必先定二東西一而立二晷儀一、唐詔二太史一、測二天下之晷一凡十三處、趙宋測二景于俊儀之岳臺一、元人置二測景臺二十七所一、測景之法、舊用二八尺表一、而夏至之景乃尺有五寸、千里而差二一寸一、唐一行已嘗駮二議之一、蓋八尺之表、表卑而景促、古今相承、未二或革一焉、元郭守敬造二五倍大表一、圭面長一百二十八尺、表高四十尺、然表太高而日景漸淡、難レ得二確實一、於レ是別製二景符一以促二縮其景一、始得二實景一矣、制作之大、巧思之精、可レ謂レ卓二越于古今一也、本朝之古未レ聞レ有二圭表之制一、貞享中保井春海用二八寸表一、以測二二至一、識三冬至之後二于天一矣、建白新造二八尺之表一、遂定二改暦之儀一、夫八尺之制非レ不レ善、而自レ今觀レ之、猶有レ所レ未レ備焉、如二郭守敬之制一、盛則盛矣、亦未レ無二遺憾一也、今測量所所レ置之圭表、雖レ依二元式一、多出二于高橋至時等意匠一、其神二契於實理一、可レ謂レ無二復可一レ尚焉耳、蓋柱之直立、露二曝風日一、不レ論二良材金石一、不レ得レ不レ生二微歪一、故設二垂線一毎測二査其偏欹一、又施二量水一、豫算二圭面之高低一、今目レ之曰二圭加一、曰二表加一、曰二水準一、圭加以救二表柱之不正一、表加以補二正表高一、水準以救二圭面之不平一、於レ此乎測數歸二于正一而無二遺憾一矣、可レ謂二不易之良法一也、〈○中略〉 小表儀(〇〇〇) 圭表之制、古者八尺尚患二景之淡一、元郭守敬有二景符之作一、其表高四十尺、亦能得二其眞影一、本邦今又加レ柱以二垂線一、設二圭加表加之數一、制作測量之密、實無レ可レ加焉、然則如二小表一不レ作而可乎、蓋測量之爲レ術、不レ在二器之大一而在二製之精一、製精技熟、正得二確數一、存二乎其人一、貞享暦議曰、寬文中、立二數丈之表一、以測二日景一、然表長景淡、難レ得二實景一、其後於二小舍一立二八寸表一、累歳測量、是保井春海之確二定冬至一、所三以立二改憲之基本一也、今測量所現存二一尺表一、表原有二二器一、享保年間、令以二其一一測二諸州日晷一云、近加以二景促一、景益鮮明、宜レ充二大儀及測 午表之參考一也、

〔暦法新書〕

〈一〉

p.0291 土圭(〇〇) 土圭之制舊矣、植二八尺表一以測二日景一、蓋周公之遺法也、至二元時一、太史郭守敬始制二四大表一、而論曰、表短則促、尺寸之下、所レ謂分秒、太半少之數、未レ易二分別一、表長則分寸稍長、所レ不レ便者景虚而淡、難レ得二實景一、春海亦曰、寬文已來立二數丈之表於武江一、復立二八寸表於小舍一以測二日景一、表長則景淡、難レ得二實景一、表短則晷促、亦未レ易二分別一、粤貞享甲子、植二八尺之表於皇都一、及二乙丑丙寅一、三載之間、實二測午景一矣、於レ此定二更元氣應レ歳實等之數一者也、臣謂、古今制二儀象一者、或大或小、或圓或方、任レ意巧造、皆無レ不レ有レ理、然聖人之法、實萬世不レ可レ易レ之也、假令信二八寸小表一、者、當レ笑二四丈表之迂一、信二四丈高表一者、當レ譏二八寸表之簡一、嗚呼八尺之無二大過不及一、孰間二然之一乎、故今令三八尺表爲二宗衆器一而已、其制以レ木爲レ圭、長一丈八尺、廣三寸九分、厚如レ廣旁設二水準一、其南北兩端爲レ池、圓徑二寸三分五釐、深一寸、中爲二水渠一、兩池水共流二于水渠一、相灌通以取レ平也、圭之南端植レ表、以レ石爲レ座、廣徑二尺四寸、厚九寸、入レ地四寸五分、出レ地四寸五分、四邊設二水渠一亦以取レ平、又以二 鐵一爲レ表、長十尺、入二座下一二尺、出二座上一八尺、以二眞鍮一爲二一橫梁一、圓徑四寸、長尺有五寸、高二尺、擧二之於表頭一、自二梁中心下一至二圭面一、共十尺、表上設二輪環規一、圓徑二寸、中空而表貫レ之、其環之外邊、別副二屬一輪環一、能回旋、又其兩邊有二小珥一、懸レ繩施レ錘以取レ正矣、蓋土圭之術、太陽中二于天一、則表影亦中二於圭一、爲二之午正一、以二景符一攻レ之、而取二表端一及二橫梁上一、下邊之晷、其釐毫因二人目所一レ見以定レ之耳、 小表 小表之用專簡易、而即土圭十分之一也、凡測二日月星辰儀象一、人以二其大一爲レ足、故四丈大表大簡儀等之制興矣、〈臣〉試論レ之、雖二天地至大不一レ可レ測、而資以合二于密一、則方寸器亦當レ足レ爲レ徴焉、假令建二千丈圭表一、置二百尺渾儀一、而六合之無窮、豈能可レ盡乎、〈○下略〉

〔文會雜記〕

〈三下〉

p.0291 一方卿云、寫天儀(〇〇〇)ト名ヲ付シ器、京師遊學中ニ工夫シ、一ツハ土佐侯ヘ獻ジ、今一ツ ハ柳原大納言殿好マセ玉ヒシカバ獻ゼシト也、又寫天儀記四卷ヲ著ス、寫天儀大サハ、高七尺、見附橫四尺、幅二尺二寸アリ、コレハ圖ヲ著シテ大儀ヲ見セシムベシトナリ、圖ナケレバ詳ニ知レガタシトナリ、方卿工夫セシ日晷(〇〇)二品アリ、一品ハ磁石ヲ用ヒズシテ、其日晷ニヨリ、南北モ時刻モ知ル也、其製ハ、何ノ事モナク、天ヲ逆ニシタルモノニテ、其中ニ北極モ黄道赤道モ天ノマヽニ備レリ、其時刻ヲ見ルニハ、一ケ所日影ノ通ジケル所アリテ、黄道赤道ナドノ筋ニアタリケルヲ、二十四氣ニヨツテ東西南北時刻等分リケルト也、 一方卿ノ師ナリシ片岡氏工夫ノ日晷四品アリ、其中一ツ、晝夜共用ル日晷アリ、夜ハ星ヲ以テ時刻ヲ知ル也、其星ニ別ノ習モナシ、二三星ヲ知リテ後、其星ヲ目當ニ測リケル故、天文ヲ知ラザル人モ用ラルヽト也、

〔寬政暦書〕

〈二十二儀象誌〉

p.0292 測午表儀(〇〇〇〇) 享保中、以二儀象之制未一レ備、有下令レ創二造新儀一之盛意上、因令レ求二其人一、于レ時長崎玉工森某者、承二内旨一、創二意本儀一、先造二小樣一進呈以稱レ旨、遂造成焉、其爲二用法一、測二諸曜南中經緯度一、又於二橫圭上一取二正切線一、兼具二圭表儀之用一、當時未レ有二子午線儀、象限儀等之作一、又無下以二遠鏡一加二儀器一之制上、此擧也、蓋本朝製二儀器一附二遠鏡一、是爲二嚆矢一也、然自レ今而論レ之、則測二經度一之確、不レ若二子午線儀一、測二緯度一之便而密、不レ及二象限儀一、取二正切線一之巧、却遜二圭表儀一、然克兼二衆技一稱レ爲二簡便一、唯其便故不レ精、爲レ可レ惜矣、

〔寬政暦書〕

〈二十三儀象誌〉

p.0292 子午線儀(〇〇〇〇) 子午線儀者、測二諸曜經度一之用、測量家之所三由以爲二軌則一也、蓋測候之要、在レ定二南北眞線一、南北一定、而七政之錯綜可二得而齊一、諸曜之經緯可二得而定一矣、是古渾儀之所三以有二子午環一也、然銅環之側立也、一低一昻不レ能レ無二微差一、而此儀則引二細線一以當二至直之規一、取二準於恒星一、以定二南北眞線一、於レ是始可下能免二人爲一而對中天之正南北上也、天明中、麻田妥彰創二製此儀一、尋造二垂搖球儀一、是皆測量儀器中之冠冕也、〈○中略〉 星鏡子午線儀(〇〇〇〇〇〇) 星鏡子午線儀者、足立信順所二創製一也、初麻田妥彰製二子午線儀一、其測二太陽一用二避眩鏡一、月星則目鏡而已、門人高橋至時、間重富等、憾下目窺之不レ及二小星一、或用中小遠鏡上、頻有レ意三於製二新儀一、信順乃繼二其意一而大成焉、其本末考驗之由、載在二儀説略一、曰子午線儀之制、固雖二精確一也、其測レ之也用二目窺一、故難レ及二微細之星象一、昴宿三十六纔視二七星一、是目力有レ涯、非レ可レ尤也、嘗閲二西洋刊星表一、悉載二微星一而無レ遺、而表レ數盡レ密矣、豈宇内人目之鋭鈍如レ此異乎哉、蓋精巧之所レ致、必資二遠鏡之力一乎、從而 二渉西書一、委心考究、蓋有レ年矣、僅得二定線之法一、而未レ得二儀象之製一、夫定二南北一線一既難矣、今欲下代以二遠鏡一而定中其寫心上、亦一難事也、因思、縱レ定二得南北之低昻一之不レ免レ無二倚差一也、于レ玆文政戊寅之秋、擕二地平經儀一測二量恒星一、此器附二小鏡一、忽然謂用二之子午線儀一如何、乃架二之子午一、三稜線下使三小鏡準二正於三線一、燭二照上線一、從二闇中一窺レ之、則上下黑白之線、互相映、細纖之黑線、隱然現二白線中一、於レ是積年之惑頓解、測得準正、雖レ然測量之爲レ業也、定二明徴一而貽二永遠一、豈臆斷而可乎哉、因講二究其所以一、然果有二然者一、明年春使二工假製一焉、於レ是晨昏測二量勾陳最高低一、其他木星之衞星、及觜昴全座之類、皆微芒不レ遺、七年甲申四月十五日晨、初見二新緯星由刺奴斯一、繼而毎歳連測、唯測二太陽一未也、舊法依二線影一求二中心一既盡レ善矣、然適在二雲間一、亦未レ免下避二眩鏡一窺上レ之、因又精思有レ年、天保年間、初發二一工夫一、先鏡中設二十字線一、別造下如二便面一者上、墨抹レ之、名二試線版一、臨レ測少時、掩二線上一以擬二夜天一、而令下鏡中線與二上線一參直而後試中測之上、其密不レ異二星測一、因漸加レ巧云、九年戊戌儀成進呈、乃請置二之測量所一、又請併用二子午線一、名以二星鏡子午線儀一、皆如レ所レ請於レ是子午線儀之測法大踰二前轍一、〈○下略〉

〔寬政暦書〕

〈二十三儀象誌〉

p.0293 地平經緯儀(〇〇〇〇〇)〈○中略〉 本朝寶暦改憲之日、嘗造二地平經緯儀一、然其制簡小、不レ得二密數一、後得二和蘭所レ貢之地平經緯儀一、置二諸測量所一、其制大超二前式一、時類二西暦書刺蘭迭中所レ載苦罰達蘭度者一、而巧緻蓋又過レ之、遊表之背有レ銘曰、亞謨斯得爾覃尹缺列蔓、又定分儀表盤有レ銘曰、亞謨斯得爾覃掘飛由數鐸缺烏簾、蓋成二于和蘭府匠二人 之手一者歟、後文化甲子歳、吉田秀賢建白、補二添俯仰螺條一、而其運益靈也、又寬政丁巳歳、吉田秀升、山路德風、高橋至時等、在二京師一造三象限立運儀二座、與二地平經緯儀一、倶供二改暦之試測一焉、後山路諧考亦請造二象限立運儀一、雖三制式有二大小一、皆用二立運一者、蓋以便二于測候一也、

〔寬政暦書〕

〈二十三儀象誌〉

p.0294 象限儀(〇〇〇) 寬政改憲之初、於二京師一造二本儀及子午線儀、垂搖球儀一、以備二試測之用一、事畢移二之江戸測量所一、本儀之制、多倣二立運儀一焉、象限盤面訂取二重心一、貼綴立レ軸、軸之上下有二鋼樞一、梁腹礎背共以二鋼窠一受二軸樞一、盤之規心綴二定鏡版一、版面附二著遠鏡一、版端釘二銅環一、環結二麻索一、引及二儀肩一、儀肩設二滑車一、索乃繞レ車而下垂、其端有レ錘、以平二衡鏡之斤量一、如二其用法一同二蠻製地平經緯儀一、故不二復述一焉、

〔寬政暦書〕

〈二十五儀象誌〉

p.0294 蠻製八分儀(〇〇〇) 八分儀者蠻名、以二全圓一八二分之一之義、即半象限之謂、故名二半象限儀一亦可也、 此儀、近來西洋航海家之所二創製一、而專便二舶中之測量一、先レ是舟中之測器星尺之類、蓋數種、臨レ用皆爲二風波一所二動搖一、遂未レ能レ避二其妨一云、當二我寬延中一、西士骨爾業斯者、始廣二此器之用一、取二其平一也、以二海面之水一、其測レ物也、以二鏡中之影一、且因二移鏡返照之理一、以二四十五度之弧一、可レ兼二九十度之數一、其用甚便、其數甚密、不レ患二風波動搖一、於レ是舟中之測、始爲レ無レ所レ憾、故近來航海家多用レ之、顧其爲レ器、不二啻洋中之用一、至二陸地之測一、裨益不レ少、然儀體狹小、不レ可レ得二微數一、故今唯充二之行測一云、

〔寬政暦書〕

〈二十四儀象誌〉

p.0294 蠻製觀星鏡(〇〇〇)〈○中略〉 本邦、古所レ傳唯隆窪二鏡之製而已、寶暦改憲之試測用レ之、其後用二四枚或五六枚者一、往々舶來、而我玉工亦漸擬二製之一、先レ是享保中、長崎有二玉工森某者一、長二此技一、其所レ製稍亞二蠻製一、後寬政中、岩橋某、麻田直等、皆精二此技一、其所レ造今列二于測量所一、是爲二本邦製遠鏡中之巨擘一、惜乎其人不レ壽、且無レ著二論其法一、不レ傳二于世一矣、

〔續史愚抄〕

〈桃園〉

p.0295 寶暦十年四月二十二日丙申、日吉祭禮、陰陽頭〈泰邦〉暫自二關東一借二請天眼鏡一(〇〇〇)、〈一名號二萬里鏡一(〇〇〇)、此器贈太政大臣 〈吉宗〉 所レ尋二求于異國一也、窺二天文一如二載掌一云々、〉

〔嚴有院殿御實紀附録〕

〈上〉

p.0295 御承統のはじめ、天守に上り玉ひしに、御側のものら、遠眼鏡(〇〇〇)を持來り、御覽あるべしと、三度まで申上しに、聞せたまはぬ御さまにて、はてに仰られしは、われ幼しといへども、當職の身なり、もし世人等、今の將軍こそ、日毎に天守に登り、遠鏡もて四方を見下すなどいひはやしなば、ゆゝしき大事なり、承統の前は、ともかくもあれ、今はさる輕々しきわざはなすまじとのたまひしとぞ、そのかみ、紀伊大納言賴宣卿、いとけなくおはしける頃、城の天守にのぼり、千里鏡(〇〇〇)をもて四方を遠見し、大によろこび玉ひ、近習等も興ある事にもてはやしければ、卿いよいよおもしろき事と思し玉ひ、日々天守にて千里鏡をもてあそばされける、或時、安藤帶刀直次が、其所へ推參し、某にも御見せたまはるべしといひながら、その鏡をとりて、直に天守より投おとし、散々に打くだきて後、國主、日々櫓にのぼり、遠鏡をもて、往來の人を見玉ふとありては、下々ことの外艱困するもの多し、よりて某打くだきて候、御秘藏の千里鏡を打くだきし事、思召にかなはざらんには、某を御成敗あるべしと直諫しければ、卿大に恥おもひ玉ひ、この後は、かゝる事絶てなし玉ざはりしといふことを傳へしが、公には、此事聞召し置れたるにはあらざるべけれど、みづから天品の卓越し玉ひしゆゑ、かゝる仰もありしなるべし、〈閑窻愼話〉

〔閑田次筆〕

〈一〉

p.0295 紀實 寬政年間、和泉國貝塚の人、岩橋善兵衞、新に望遠鏡を製す、その形八稜筒、周圍大抵八九寸、長はこれに十倍す、政府の司天臺に蠻製のものを藏めらるゝといへども、其他にきくことなく、善兵衞が製する所はじめなりとぞ、五年丑秋七月廿日、橘南谿の宅に人々つどひて、これをもて諸曜を窺ふに、能肉眼の視ことあたはざる所をわきまふ、もとより蠻人のいふ所に符へり、〈○中略〉又此後 同じき七卯のとし十月、善兵衞再びきたり、前の製せしよりも更に大にして、星をみるも亦明なるものを携へて觀せしむ、歳星をみるに、星面に三帶ありて、三〈ツ〉引の紋のごとし、鎭星を見るに、一〈ツ〉の輪ありて、本星を斜に纒へり、其輪左のかたは本星の上にかゝり、右のかたは本星の下に入る、其輪本星の上下に出るゆゑに、長く米粒ごとく見えしなり、後又明年辰の春同じくこれを見ず、時に太白星をみるに、すこし虧て十二日の月を見るがごとし、銀河の中の最白きを見れば、細小の星數十百千聚て、紗囊に螢を盛ごとし、鬼宿中の白尸氣をみるに、小星廿八聚りたるなり、以上は橘南谿漢文に記されしを和してこゝに擧ぐ、〈予〉は天學のこと露ばかりも窺はざれば、一言をいるゝに由なし、彼岩橋善兵衞が奇工、實に希代のことゝすべし、京師にも又七なるものゝ自鳴鐘に奇工を盡し、蠻製の器物などたがはず摸せるたぐひ、すべて人の才は他より計るべからざるものなり、

〔寬政暦書〕

〈二十四儀象誌〉

p.0296 蠻製寒暖儀(〇〇〇)并蠻製驗氣儀(〇〇〇)〈○中略〉 寒暖儀之制、本邦既精良矣、然驗氣儀、理及其制未レ盡レ善、故二儀共就二蠻製一述二其式一、〈○下略〉

〔蘭學事始〕

〈上〉

p.0296 故の相良侯、當路執政の頃にて、世の中甚だ華美繁花の最中なりしにより、彼舶より、ウエールガラス、〈天氣撿器〉テルモメートル、〈寒暖撿器〉ドンドルガラス、〈震雷撿器〉ホクトメートル、〈水液輕重淸濁撿器〉ドンクルカームル、〈暗室寫眞鏡〉トーフルランターレン、〈現妖鏡〉ゾンガラス、〈觀日玉〉ルーブル、〈呼遠筒〉といへる類ひ、種々の器物を、年々持越シ、其餘諸種の時計、千里鏡、ならびに硝子細工物の類、あげて數へがたかりし、〈○下略〉

〔天文義論〕

〈上〉

p.0296 問、近代ニ至テ、戎蠻ノ天學、唐土ニ入テヨリ、中華ノ天學廢レテ、戎蠻ノ天學隆ンニ行ハルト云人アリ、然ラバ戎蠻ノ天學ハ、璿璣渾天ノ説ニモ勝レル者乎、如何、 曰、大明萬暦ノ比、戎蠻ノ天文説、中華ニ入テ、測量圖器ヲ傳ヘタリト云リ、其比、日本筑紫ニモ、蠻 舶往來セシ事有テ、天文ノ圖器ヲ傳フ、日尺、星尺、羅經地圖、土圭類、今世ニ翫ベリ、近來ハ、日本ノ名工モ、是ヲ摸シテ製造ス、天文、地理、行舟ノ學徒、是ヲ求メ貯フ、其餘ノ圖器、渾天儀ノ類ニ至テハ、唐土往古ノ製造ニ同クシテ、不レ爲レ珍、今ノ天學者、中華素ヨリ是等ノ精造アルコトヲ不レ知、近世戎蠻ヨリ渡レル類ヲ見テ、大ニ珍シトシ、唐土未ダ不レ知レ之ト思ヘルハ、博ク唐土ノ書籍ヲ不レ見人ナレバ也、戎蠻ノ天學、豈璣衡渾天ノ説ニ異ナル事有ン哉、唐土ノ圖器、璣衡以下、歴代家々製作ノ圖儀甚多シ、其中、後漢ノ張衡が渾天儀、極テ精密ニシテ、其周旋、天行ト符節ヲ合スト云リ、此外、元朝ニ至テ、測量ノ器尤多シ簡平儀、仰儀、瓏玲儀、經緯儀、立運儀、證理儀、日月食儀、懸正儀、景符仰規ノ類、是皆天文測量ノ圖器ニシテ、唐土自レ古既ニ有レ之トイヘドモ、其圖儀、皆禁裏官家ノ藏ムル所ニシテ、民家ニ無キ物ナルヲ以テ、唐俗ノ輩、終ニ見ル事ナシ、是ヲ以、唐土ノ人モ、遍ク知コト無ウシテ、偶、近世、蠻夷商舶ヨリ持渡ル處ノ圖器ヲ見テ、大ニ驚嘆シテ、中華古ヨリ無レ之類也トス、是ニ因テ、今來、唐土製法ノ渾儀ヲ見ル事アリト云ドモ、是皆蠻國ヨリ傳ヘ習ヒタル者ナリトス、寔ニ可レ笑而已、

〔明史〕

〈二十五天文〉

p.0297 分野〈○中略〉 七年〈○嘉靖〉始立二四丈木表一、以測二晷影一、定二氣朔一、由レ是欽天監之立運儀正方案二懸晷偏晷、盤晷諸式一、具二備於觀象臺一、一以二元法一爲レ斷、萬暦中、西洋人利瑪竇、制二渾儀天球地球等器一、仁和李之藻撰二渾天儀説一、發二明製造施用之法一、文多不レ載、其製不レ外二於六合三辰四游之法一、

天文書

〔續日本紀〕

〈二十孝謙〉

p.0297 天平寶字元年十一月癸未、勅曰、如レ聞、頃年諸國博士醫師多非二其才一、託請得レ選、非二唯損一レ政、亦无レ益レ民、自今已後、不レ得二更然一、其須レ講〈○中略〉天文生者、天官書、漢晉天文志、三色薄讃、韓楊要集、〈○中略〉並應二任用一、被レ任之後、所レ給公廨一年之分、必應レ令レ送二本受業師一、如レ此則有二尊レ師之道終行、敎レ資之業永繼一、國家良政莫レ要二於玆一、宜下告二所司一早令中施行上、

〔續日本紀考證〕

〈七孝謙〉

p.0298 天官書〈史記有二天官書一〉漢晉天文志、〈漢書晉書、並有二天文志一、按三代格作二漢書天文志一、下同、恐非レ是、〉三色薄讃、〈薄即簿字、三代格作二三家簿讃一、類聚符宣抄天祿元年十一月八日官符同、唐志天文家類、有二石氏星經簿讃一卷一、按現在書目録、簿讃三卷、上卷魏石甲、卷甘文卿、下卷晉石咸、所レ謂三色簿讃蓋是也、〉韓楊要集、〈唐志韓楊天文要集四十卷、按藤原通憲藏書目録有二天文要録一、疑亦此、〉

〔續日本紀〕

〈二十八稱德〉

p.0298 神護景雲元年九月癸亥、日向員外介從四位上大津連大浦解任、其隨身天文陰陽等書沒爲二官書一、

〔日本國見在書目録〕

p.0298 天文家〈四百六十一卷私略之〉 天文録石氏中宮占三卷〈上中下〉 天文要録十〈陳卓撰〉 天文録一部卅〈祖恒撰〉 天文録圖一 天文要會六〈律林注〉 天文略集决一 天文要集一 天文要卌三卷 天文災異雜占一 天文要集一 天文要會一〈高氏撰〉 天文要會二 日月暈食占妻一 日月雜災異圖廿七 日月要録五十 日月要録私記一 日月分野法一〈索興撰〉 日月占書四 日月要决一 日月記一 日月書一 天文要記一 天文私記一〈陳晉抄〉 天文私要一 天文要録月災圖一 天文要録日々占一 天文雜占一卷 天地瑞祥志廿 要决濟類廿 鴻範本論十 乙巳占(ヲツシセム)十 天官星占六〈陳卓撰〉 荊洲占廿二卷 荊洲要略占一 占候要略經一 犯昴星書一 薄讃二〈陳卓撰〉 薄讃三〈上卷魏石、中卷耳文卿、下卷晉石咸、〉 薄讃三〈晉史石申造〉三星賛一 石氏星經薄讃二 屬七星一卷 屬星符一 北斗人屬星占一 星躔一 怪星圖一 流星占一 彗星占二 日月五星占圖一 日月客星瑞相圖一 五星廿八宿占一 五星告度一 日月虹珥(シ)圖一 乹家論二〈上下〉 彗孛(ハイ)占一 蓋天玄象經一 撰集流星客氣占一 神光占二 天地人圖象經十 廿八宿五星占三 鍾律星卦分野圖五卷 十二律分野圖一 客星占一卷 雜星占一 日暈(ウン)占一 日暈占圖一 月暈占圖一 鷰家占一 鷰家占圖一 廿八宿圖三 彗星圖一 日月災 異圖 春秋經中災異一 雲氣讖(セン)圖一 陳占圖列讃一 帝王秘録十〈又在二兵家一〉 日月讖圖一 周髀三〈趙 注〉 定天論三 星經流占二〈石氏撰〉 唐七曜符天暦一 七曜巡行一 七曜星 別行法一卷

〔乾坤辨説〕

〈序〉

p.0299 此篇者、南蠻不留都我留國之人忠菴所二編述一也、忠菴者、南蠻浮屠耶蘇之僧、其學精二天文一、〈○中略〉寬永廿年癸未、筑之前州大島之海上、卒然怪船漂蕩、大島戌長、忽視執レ之、以レ状聞焉、其人十有餘人、皆蠻僧破天禮鬼利支端之徒也、筑前之太守源忠之公令二士擒捉一、寄二之長崎奉行所一、以達二江武井上筑後守某字公一、某字公下二之於獄一、不二數歳一皆自悔レ非謝レ罪、改二鬼利支端一而爲二我民俗一、破天禮長老有下精二天文一者上、乃以二天文書一進二上井上筑後守某字公一、二三年之後、某字公令二忠菴譯一レ之(〇〇〇〇〇)、譯功漸成、進二上其書一、即此篇也、蓋南蠻學家天文地理之説、悉載二此書一、其草稿猶在二忠菴家一、終篇譯以二倭語一、書以二蠻字一、吾人雖二博學之士一、不レ能レ讀レ之、唯通辭西吉兵衞能讀二蠻字一、長崎奉行所置二此書於西吉兵衞家一、不三敢許二人之見一、其命嚴矣、明暦丙申之冬、長崎奉行甲斐庄喜右衞尉楠正述公、命二僕及西氏一、倭二書之一、吉兵衞乃讀レ字、僕以二倭字一寫レ之、重命レ僕考二辨此書一、夫蠻學之爲レ術、未三曾知二理氣陰陽一惑二五行之説一、是故、其敎不道、窮理盡性之問學、徒就二形器之上一以論レ之而已、是以、天地之形體、日月之大小、運行之度數、晝夜之際限雖二稍詳一、而形而上之義則晦盲不レ明、否塞不レ通、遂執二形器之説一、以爲レ至矣、所三以其爲二異端邪説一者、職此之由也、孰云三蠻學能解二天文地理一耶、今悉考辯以附二各條文後一、或其不レ誤者存而稱レ之、非下敢爲二臆説一以詰上レ之、皆有レ所レ由也、凡所二加考辨闢一、蠻學之非而已、至二於乾坤正説一、原自一家、不三敢附二於此一云、吾人專學之士、更加二討論條飾一、以敎下後人無中蠻學之惑上、不二亦善一矣、顧忠菴蠻稿雖二既脱一レ機、未レ題而斃、今號曰二乾坤辨説一(〇〇〇〇)、 時明暦己亥九月望日 肥陽長崎向井玄松序

雜載

〔鎔造化育論〕

〈中〉

p.0299 此圖者〈○圖略〉刻白爾鳩思(コツペルキユス)、祖二述古人龐廸我刺私(ピタゴラス)之地動説一、且加二自己之工夫一而所レ製也、乃日輪者在二大圓之正中一、而大地、及五星、皆各牽二其小星一、以旋二回其外圍一也、又彗星其行環極楕圓偏長、 一方起三于日輪與二水星行環之間一、或起三于水星與二金星之間一者亦有レ之、而其一方遙出下于衆星所二羅列一之外上、而不レ可レ見焉、此圖甚得二天地之正理一矣、然而刻白爾者、唯能推二究天地萬星、右旋運動之數理一、而未レ知三其運動之所二以由起一也、况於下日輪自轉以起二元運一、大地自旋以起二私運一之神理上乎、若使三斯人生二皇國一、則其所二發明一、豈其盡二乎斯一哉、可レ惜矣、故從二事于窮理學一者、不レ可レ不レ熟二讀皇國之古典一也、

〔俗簡焚餘〕

〈二〉

p.0300 己丑〈○文政二年〉正月岩村異學之禁 去年中、家相見、天文者等、御領内ヘ入込、妄説申唱候處、御家中士分之内にも、相談致し候輩有レ之由相聞へ候、一體星暦之學ハ、其職業之外ハ、心掛候に及ばず儀、况て身元不慥之者、右樣之事ニ寄せ、人を迷はし候儀不レ少事ニ候、去々年以來、文武稽古事、厚く御世話も有レ之候へば、御家中之面々、御趣意を守り、相勵ミ、其他ニ及び候暇有レ之間敷筈ニ候、就レ中老分之輩、稽古世話被二仰付置一候ものゝ内にも、相談いたし候者有レ之哉ニ候、左候而ハ、年若之者ども、心得違も出來候間、向後不束之儀無レ之樣、一統心掛可レ申候、右之趣、御家中面々へ、不レ洩樣可レ被二申達一候、以上、 月日 連名 大御目付中 去年〈○文政十一年〉中怪敷家相觀、天文者等、御領分〈江〉入込申候ニ付、向後左之通、 賣卜者、觀相者、祈禱者、怪敷天文者之類、此後御領内ヘ參リ候ハヾ、猥に爲レ致二止宿一間敷候、尤伊勢熱田兩御師、其外古く參り來候神職僧侶等ハ格別ニ而候、若又身元慥なるもの歟、又は内縁等有レ之、止宿爲レ致度存候ものは、其筋へ相斷、可レ任レ指圖一候、 右之通、御領分中、不レ洩樣可レ被二相觸一候、以上、 月日 連名 御勝手御用人中 郡 奉 行 中

宿曜道

〔源氏物語〕

〈十四澪標〉

p.0301 すくえう(〇〇〇〇)に、みこ三人、みかど〈○冷泉〉きさき〈○明石中宮〉かならずならびて生れ給べし、中のをとり〈○夕霧〉は、太政大臣にて、くらゐをきはむべしとかんがへ申たりし、

〔鶴岡放生會職人歌合〕

p.0301 左 宿曜師(〇〇〇) くもりなく星のやどりは見しかども月の命も捨がたきかな うき人のむまれの月日問きけんけふあひがたき事やみゆると

〔簠簋内傳〕

〈五〉

p.0301 文殊曜宿經事 夫以、曜者過去七佛全體也、故所レ謂七曜者、不レ欲二上界樂一、不レ染二下界塵一、不垢不淨而天眞獨朗之相也、不レ掛二生死一、不レ住二涅槃一、色心已究竟、厥相更罔レ滅、周遍法界、三世明了、〈○中略〉問曰、七曜已行二度二十八宿一何謂乎、答曰、過去七佛、法華二十八品、開題番々修行道理也、爰知、一切衆生、咸是過去七佛所レ成也、然二十八宿配二當一年三百六十日一、以二生日宿一可レ顯二一期吉凶一者(〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇)也、爰有二命業胎三宿一、此經肝文也、逢二明師一傳レ之問曰、以二何宿一爲二命業胎一耶、答曰、以二生日宿一爲二命宿一、自二命宿一當レ十爲二業宿一、自二業宿一當レ十爲二胎宿一、然二十八宿内、除二牛宿一勘レ之、若人前生宿因拙、惡宿生合、則依二愛染明王法一退二七曜凌逼難一者也、日光顯現諸星陰沒之道理也、

〔宿曜經〕

p.0301 宿曜經序三九秘宿品第三 一九之法 命榮衰安危成壞友親 二九之法 業榮衰安危成壞友親 三九之法 胎榮衰安危成懷友親 此法、皆以二所生日直宿一爲レ命、即以二命宿一爲二第一一、以レ次榮宿、又次衰宿、及安危成壞友親、如レ是九宿爲二一 九之法一、其次以レ業爲レ首、以下准レ前、爲二二九之法一、其次又以二胎宿一爲レ首、以下亦淮レ前、三九之法、二十七宿最爲二秘要一、 假令、如下有レ人以二二月五日一生上、屬二畢宿一、即以レ畢爲二命宿一、則以二次觜一爲二榮宿一、參爲二衰宿一、井爲二安宿一、鬼爲二危宿一、柳爲二成宿一、星爲二壞宿一、張爲二友宿一、翼爲二親宿一、軫爲二業宿一、至レ女爲二胎宿一、是爲二三九之法一、淮レ此推レ之可レ知也、〈○中略〉 凡欲レ知二日月五星所在宿分一者、據二天竺暦術一、推レ之可レ知也、今有二迦葉氏、瞿曇氏、僧倶摩羅等三本梵暦一、並掌在二司天一、然則今之行用二瞿曇氏暦本一、 宿曜經秘密雜要品第五〈○中略〉 凡七曜犯二著人六害宿一者、有二災厄一、〈此須四推レ暦看三當時七曜行レ天在二何宿處一〉六害者、一者命宿、二者事宿、三者意宿、四者聚宿、五者同宿、六者克宿、〈從二本命宿數一、第十爲二事宿一、第四爲二意宿一、第十六爲二娶宿一、第二十爲二同宿一、第十三爲二克宿一、〉假如有レ人、屬二婁宿一、婁爲二命宿一、第四得レ畢、爲二意宿一、第十得二星宿一、則星爲二事宿一、他准レ此推尋可レ知也、〈○中略〉 凡人有レ厄之時、可下以修レ福持二眞言一以禳上之、吉、 若人不レ記二得本命宿一者、〈但不レ得二生日一、則此人不レ知二命宿一、當レ用二此法一也、〉看下其人初來問レ我時、手所二觸著一處上斷レ之、先觸レ頭昴宿、額畢宿、眉觜宿、眼參宿、兩頰及耳井宿、牙又骨鬼宿、齒柳宿、頂星宿、右肩張宿、左肩翼宿、手軫宿、 頤角宿、缺盆骨及項下胸上亢宿、胸臆氐宿、右臂房宿、左臂心宿、脾骨尾宿、左脇箕宿、右脇斗宿、臍牛宿、腹肚女宿、腹下虚々宿、胯腿及後分危宿、右邊腿脾室宿、左邊腿脾壁宿、膝珂奎宿、脚脛婁宿、脚胃宿、 右察下其所二觸著一處上、則是其宿也、依二此宿一斷レ之、

〔宿曜經〕

p.0302 新刊古本宿曜經叙 宿曜經者、大聖文殊師利菩薩所レ説也、唐時、三藏大廣智阿闍梨傳二之東夏一、飜爲二漢本一、譯場筆受、瑞景二公、更加二注釋一、從レ爾而來、累世傳密諸師、指誨温習、以爲二秘要一、〈○中略〉其傳二本朝一有二四家一、予所レ秘凡五本、 文字異同、不レ能二均一一、又校二之大明高麗藏本一、增有二出沒一、蓋本國相傳者、不レ過二展轉書寫之謬一、至二大明高麗兩本一、則恐是臆斷添二竄經誥一、易二置圖位一、大乖二聖旨一、不二亦然一乎、如二月宿傍通暦一、推歩之 法、占候之急務、而一宿失レ位、則諸宿皆差、其正月朔、本二是室一、今以レ虚配レ朔、毎月三十日、遇二小盡一之時、次第而直、若大盡、則一宿宿二直兩日一、今皆一齊以レ次配屬、其差不レ止二一二宿一、是以、推占之人、臨レ卷罔然、既不レ通二於推占一、則不レ得レ不三棄レ之就二他暦一、遂使三此書爲二不用之具一、豈不レ可レ惜哉、夫味二其事一讀二其書一、書非レ不レ是、而讀者自迷レ此、與三趙括讀二父書一何異、况讀二其書一不レ知二其非一、致レ迷益甚、予歎レ之尚矣、去秋撿二閲南山無量壽院經藏秘籍一、搜二得此一本一、册樣字樣、殊不レ類二當時流行之本一、以二甲子一推レ之、殆五百年而上物也、比二之諸本一、爲二最古一矣、竊疑、斯是嘗傳二寫吾大師請來之本一者也、慶幸何過レ之哉、遂乃梓行、傳二之永世一、庶古眞本之流不二湮滅一云レ爾、時享保二十一年仲春日、沙門覺勝、寓二於和州柴水山吉祥寺一書、

〔暦法新書〕

〈八〉

p.0303 宿曜 宿曜之説其來久矣、〈臣〉案、本邦長保寬弘以降、專有二此術一、又異邦大統暦載二其術一、暦算全書亦有二其説一、以爲二演禽之用占家之一種一也、如レ此舊傳、論レ之蓋雖レ無レ關二暦法大義一、而未レ可レ得レ廢也、今以二甲戌一爲二元之天正一、冬至前丙辰日正値二虚宿一、故逕以二通積一取レ之、即得レ値二宿曜一、凡其用數宿積二十八萬、宿周二十八、紀法二十八年、宿應二十二、日宿應二十六萬六千三十八分、置二所レ求距算一加二年宿應一、滿二宿周一去レ之、不盡命二虚宿一算外即所レ求年宿、置二所レ求距算一、以二十二一乘レ之、滿二宿周一去レ之、不盡命二虚宿一算外即天正十一月宿、又術置二年宿策一、〈憑二紀法一、求二其策數一、〉以二十二一乘レ之加二十六一、滿二宿周一去レ之、不盡命如二本術一、置二其年之中積一加二日宿應一減二閏餘一滿二宿積一去レ之、不盡爲二天正經朔宿一、餘以二加減之差一加二減之一、如二日周一而一爲二日策一、不盡命二虚宿一算外即所レ求天正十一月定二朔日宿一、〈求レ次者、其月大、則加レ二、小則加レ一、爲二日策命一如レ前、〉

〔禁秘御抄〕

〈中〉

p.0303 凡僧 公請不レ張二子細一、又御修法伴僧之外、宿裝束總不レ入二禁中一、如二宿曜師一(〇〇〇)、對二面女房一時、參二局邊一、妻戸縁候ナド スルハ別事也、御所不レ參事也、

〔禁秘御抄〕

〈下〉

p.0304 御祈 御持僧外、御祈奉仕人過レ法多、中々無レ詮、宿曜師等無レ何房々引二軒注連一、還見苦事歟、

〔二中歴〕

〈十三一能〉

p.0304 宿曜師 法藏〈僧都〉利源〈闍梨〉仁宗〈五師〉仁祚〈法藏弟子〉仁統〈五師〉扶宣〈祿命〉忠元〈仁祚弟子〉良堪〈扶宣子、祿命、〉增命〈仁統姪子〉證昭〈仁統弟子〉彦祚〈仁統弟子〉能算〈仁統弟子〉淸昭〈法橋成忠子〉恒舜〈僧都〉圓空〈同〉尊源〈法眼、增命弟子、〉賢暹〈法印〉慶增〈大僧都〉良祐〈闍梨、賢暹弟子、〉明算〈能算子〉除算〈能算弟子〉日覺〈良祐弟子〉

〔三代實録〕

〈二十五淸和〉

p.0304 貞觀十六年五月廿七日甲寅、從五位上行陰陽頭兼陰陽博士安藝權介滋岳朝臣川人卒云々、川人作二世要動靜經三卷、指掌宿曜經一卷一(〇〇〇〇〇〇〇)、

〔古事談〕

〈三僧行〉

p.0304 大御室者、御壽命以二十八一可レ爲レ限之由有二宿曜勘文一(〇〇〇〇)云々、依レ之十八歳春修二尊勝法一、令二祈請一給之間、或人夢想、炎魔王宮ニ火付テ、已令レ燒之間、王宮騷動甚、便御壽命限二十八一之由、札文已明白也、然而依二炎上難治一、鉤二八字一了云々、果八十御歳九月二十七日御入滅、

〔續古事談〕

〈五諸道〉

p.0304 登昭トイフ宿曜師、大殿〈○藤原師實〉ヲサナクオハシマシケル時、宿曜ノ勘文ニ、十九ニテ大臣ニナリ給ベシト勘タリケルニ、ハタシテソノマヽ十九ニテ大臣ニナリ給ニケリ、宇治殿〈○藤原賴通〉感ジ給ケリ、

〔宿曜運命勘録〕

p.0304 大永三年壬辰十二月廿五日戊申、時丑誕生男、 大寒初 算勘 自二上元庚申歳一、距二今日一、所レ積日數十六萬五千四百二十八日、 紀法八〈當二己酉一〉 政法四〈水曜直○中略〉 人倫受レ生、尊卑貧富、寔雖二業因之所一レ酬、禍福榮衰、猶是宿曜之所レ掌(〇〇〇〇〇)也、生日行年、誰無二好惡一、生二好宮好曜一者、自有二福祐一、屬二惡宮惡曜一者、自招二禍殃一、然而凡人無レ識、識爲二憂喜一、有レ幸者偏謂二自然之榮一、不運者唯致二薄命之嘆一、仍爲レ顯二其理一、任二算勘之旨一、依二先德之筆一、今本命屬二天永三年十二月廿五日丑時一誕生男、尾宿人馬宮旁立徧勘二諸運一、奚所レ謂、天性強柔、榮祿尊卑、福祐厚薄、壽命長短、諸運吉凶、行年奇伏而已、

〔百練抄〕

〈五鳥羽〉

p.0305 永久三年二〈○二、一本作レ正、〉月十四日、寅刻月蝕正現、宿曜與二暦道一所レ申相違、上皇〈○白河〉又有二勅難一、

〔百練抄〕

〈七二條〉

p.0305 長寬二年五月十五日、〈寅刻〉月蝕、暦道、宿曜道相論、〈暦道云、明曉寅刻殘、宿曜道云、十六日望月蝕、十七日曉云々、〉

〔玉海〕

p.0305 承安四年十月二十五日己卯、宿曜師珍賀法橋、淸水寺邊、建二立一堂一、〈名二北斗降臨院一(〇〇〇〇〇)云々〉額字、先日切々依二申請一、今日寫遣之、〈○中略〉明日供養云々、

〔吾妻鏡脱漏〕

p.0305 元仁二年〈○嘉祿元年〉二月一日壬辰、今日可レ有二日蝕一之由、宿曜道助法眼珍譽雖二勘申一之、日輪無レ虧云云、 八月一日己丑、酉刻可レ有二日蝕一之由、宿曜師與二暦道一日來相論、雖レ然依二雨降一而現否難レ決云云、

〔葉黄記〕

p.0305 寬元五年〈○寶治元年〉正月廿六日庚辰、未刻參院、今日評定式日也、〈○中略〉 一賢算律師、算明法橋申二宿曜道一事、 宿曜秘法、慶算法印相二承之一、慶算傳二二人之弟子一、〈良算算明〉良算傳二聖算一、算之於二旅館一頓滅、今賢算、〈良算弟子〉算明等致二此相論一、又良算實子幼童〈陀羅尼丸〉帶二父讓一、聖算實子幼童〈有王丸〉憑二賢算之扶持一、又望二申之一也、算明已傳二受秘法一了、〈慶算注二置其子細一也、〉然者爲二器量之仁一、可レ奉二御祈一歟、後可レ傳二陀羅尼丸一歟之由、予發語、人々被レ同レ之、又可レ被レ召二覽文書正文一云々、條々大概如レ此、不レ見二本文書一者、後見難二心得一歟、然而篇目許也、早破也、 五月十三日乙丑、參院、月蝕事有二相論一、先暦道之中猶不同、在尚、在直申二十六日之由一、在淸、在盛申二十五日之由一、爲二成俊奉行一召二此輩一、予〈○藤原定嗣〉可二尋決一之由有レ仰、出二北面一問之、在淸十六日寅刻之由、以二術道之 意一申之、在尚十七日寅刻之由、且就二先例一申之、在尚申状頗無レ所レ據歟、算道申二十六日之由一、宿曜道又不同云々、 十六日戊辰、參院、此曉雖二天陰一、寅刻自二雲間一月蝕顯云々、司天維範朝臣忠俊申二此由一、自餘申二不レ見之由一、然而須臾顯現歟、頻申二勸賞一、

〔吾妻鏡〕

〈五十一〉

p.0306 弘長三年十一月十六日癸巳、午刻御息所御著帶、御驗者大納言僧正、〈○註略〉醫師玄蕃頭丹波長世朝臣、〈布衣〉御〈○御下、恐有二誤脱一、〉陰陽權助政茂朝臣、〈束帶〉宿曜師大夫法眼晴尊等也、