方技部/暦道下

〈漏刻附〉

暦本

〔病間長語〕

〈三〉

p.0369 古暦はみな楷字を以て書せしに、いつの比よりこの絲くづの如きものにはなりつらん、徂來子も、古暦を觀れば、古は民間にても、楷字を讀しと見ゆるに、今は眞の倭奴となれりと歎れたり、

〔榮花物語〕

〈二十七衣珠〉

p.0369 しはすにも成ぬれば、こよみの軸(○○○○○)もと、ちかうなりぬるを哀にもおもふほどに、〈○下略〉

〔夫木和歌抄〕

〈十八歳暮〉

p.0369 家集歳暮 源仲正 行としをこよみのぢく(○○○○○○)にまきよせておひはてにける身をなげく哉

〔市中取締類集〕

〈九ノ七十八〉

p.0369 上 出雲寺金吾 一(御用)折暦(納之分/○○) 代八(此度相攺)分 一同並(○○) 代四十八(賣捌直段相攺)文 一(御用)柱暦(納之分/○○) 代壹(此度相攺)分 一同並(○○) 代六(賣捌直段相攺)文 一(大形)綴暦(○○) 代廿四文 一(小形)同(○) 代廿四文 一懷中暦(○○○) 代六文 一柱暦(○○) 代四文 右之通、直段相改賣捌仕度奉レ存候、尤開板仕候品數六色(○○○○)ニ而御座候、此段奉二申上一候、以上、 寅四月 出雲(御書物師)寺金吾印 壹[此分、是迄八十四文卸ニ而、百文ニ賣捌仕候處、此度相改、四十二文卸ニ而、四十八文ニ賣捌仕度候、 貳[此分、是迄六文ニ卸、十二文ニ賣捌候處、此度相改、三文卸ニ而、六文ニ賣捌仕度候、

〔市中取締類集〕

〈九ノ九十〉

p.0370 來巳年〈○弘化二年〉暦直段書 一奉書摺折暦(○○○○○) 壹册ニ付代百四十八文、但卸直段百三拾二文、 一八寸摺折暦(○○○○○) 壹册ニ付代八拾四文、但卸直段七拾貳文、 一大字綴暦(○○○○) 壹册ニ付代四拾文、但卸直段三拾貳文、 一小形綴暦(○○○○) 壹册ニ付代三拾六文、但卸直段貳拾八文、 一懷中暦(○○○) 壹册ニ付代六文、但卸直段四文、 一同奉書摺(○○○○) 壹册ニ付代拾四文、但卸直段九文六分、 一大柱暦(○○○) 壹枚ニ付代八文、但卸直段四文八分、 一同奉書摺(○○○○) 壹枚ニ付代拾壹文 一小形柱暦(○○○○) 壹枚ニ付代四文、但卸直段貳文三分、 一同西之内摺(○○○○○) 壹枚ニ付代六文、但卸直段四文、 右之通賣買仕度旨申出候間、去卯年書上直段見競候處、相替儀無二御座一候、右取調、此段申上候、以上、 書物掛 小網町 辰十月五日 名主伊兵衞

〔撈海一得〕

〈上〉

p.0371 今長崎ヨリ、東都ヘ獻ズル淸暦ヲミレバ、二京、十四省、朝鮮、蒙古、凡正朔ヲ奉ズル國國ノ二十四節、日ノ出入ノ遲速ヲ、其處々ニ割付ケテ、暦日ドモニハ、紙カズ三十張バカリアリテ、官ノ大印ヲ拈テ、翻刻スル者ハ、刑三族ニ及ト記、總裁以下ノ官人ノ連署アリテ、官ヨリ頒行物ニテ、賈人ノ制ル物ニ非ズ、唐山ノ賈人ノ日用ノ暦ハ、小册子ニシテ、東都ヘ獻ルトハ別板ナリト、長崎ノ人ノ話ナリ、官人ト庶人トハ、頒ツニ大小本ノ別暦アリテ、于鱗王百穀ナド、田里ニ歸テ潛居スルトキハ、民間ノ小暦ノミニテ、大册暦ヲ見ザル故、二京官ヲ勤ル友人ヨリ、官暦ヲ贈ルトミヘタリ、

〔碧山日録〕

p.0371 應仁二年正月四日乙丑、是日節分、陰陽家、去歳爲三兵卒奪二其書一、不レ得レ校二勘年月日一、故無二新暦一、祗數二臘月小寒日一、以知二此節一、

〔駒井日記〕

p.0371 文祿二年十二月十五日 一大閤樣〈○豐臣秀吉〉爲二陰陽師有昌一御暦上、民法〈○民部卿法印玄以〉被二申上一、

具注暦

〔續修東大寺正倉院文書〕

〈十四〉

p.0371 具注暦斷簡〈年號不レ詳 蓋紙背有二勝寶二年紀號一、當年以前可二以證一也、〉 十四日丙申火執 歳前小歳對、祭祀、葬吉、 十五日丁酉火破 歳對、療病、厭、解除、葬吉、 十六日戊戌木危〈望〉 歳前小歳後 〈大(書入)宮參向、鹽賜已訖、〉 十七日亥木成 歳前母倉、加冠、結婚、入學、移徙、修宅、起土、作竈吉、 十八日庚子土收 歳前母倉、祭祀、加冠、結婚、起土、修宅、種蒔、斬草吉、 十九日辛丑土開 歳前九坎 廿日壬寅金閉 歳前歸忌、拜官、結婚、修宅、塞穴吉、 〈掌(書入)疏所任已訖〉 廿一日癸卯金建 歳前厭對、往亡、 廿二日甲辰火除 歳前療病吉 廿三日乙巳火除〈春分三日下弦〉 歳前加冠、拜官吉、 廿四日午水平 歳後小歳位、祭祀、加冠、拜官、納婦吉、 廿五日丁未水定 歳後小歳位、血忌、 廿六日戊申土執〈社〉 歳後小歳位、祭祀、解除吉、 艮 廿七日己酉土破 歳後天恩、厭、療病、解除、葬吉、 廿八日庚戌金危 歳後天恩、嫁娶吉、 廿九日辛亥金成 歳後天恩、母倉、加冠、入學、移徙、起土、修宅、治井、竈吉、 卅日壬子木收 歳前天恩、母倉、祭祀、加冠、結婚、移徙、修宅、井竈、種蒔、斬草吉、 三月小〈天氣北行 天道丙壬 月殺在未 土府在酉 月德在壬 人道甲庚 月破在戌 取壬土吉〉時〈乙辛丁癸〉方〈丙壬乙辛丁癸〉 一日癸丑木開 歳前天恩九坎 二日甲寅水閉 歳前歸忌、塞穴、葬吉、 震 三日乙卯水建 陽錯厭 四日丙辰土除 歳前療病、解除吉、 五日丁巳土滿 歳前小歳後、祭祀、加冠、拜官、移徙、修宅、治井、竈吉、 〈官(書入)召十二人〉 六日戊午火平 歳後祭祀、加冠、移徙、納婦吉、 七日己未火定 歳後移徙、血忌、 〈進(書入)二白龜一尾張王授二五位一、又天下六位以下初位以上加二一級一、及種々有レ階、〉 巽 八日庚申木定〈淸明三月上玄〉 陰錯厭 九日辛酉木執 歳後解除、葬吉、 十日壬戌水破 歳後九坎、療病吉、 〈官(書入)召十三人、又宣二散位八位以下、无位以上一、筆 紙備令二朝參一、〉 十一日癸亥水危 絶陰 〈沓(書入)著始 又女沓買得 又冠著始〉 十二日甲子金成 絶陰歸忌 十三日乙丑金收 絶陰 離 十四日丙寅火開 絶陰、厭對、血忌、 十五日丁卯火閉〈望〉 絶陽 〈天(書入)下仁王經大講會、但金鍾寺者、淨御原天皇御時、九丈灌 頂十二丈撞立而大會、〉 十六日戊辰木建 單陰 〈官(書入)召十人 又天下大赦〉 十七日己巳木除 歳位、拜官、治竈、經洛、療病、解除吉、 十八日庚午土滿 歳位、加冠、治碓、斬草、葬吉、 十九日辛未土平 歳位 廿日壬申金定 歳位厭、沐治、解除、葬吉、 廿一日癸酉金執 歳位、祭祀、解除、葬吉、 廿二日甲戌火破〈下弦〉 大小歳對九坎 廿三日乙亥火危〈蟄雨三月中〉 大小歳對、歸忌、祭祀、拜官、治碓磑、葬吉、 廿四日丙子水成〈沒〉 大小歳對、歸忌、祭祀、拜官、治碓、葬吉、 兊 廿五日丁丑水收 大小歳對、嫁娶、結婚吉、 廿六日戊寅土開 大小歳、天赦、血忌、厭對、療病吉、 廿七日己卯土閉 歳對、天恩、祭祀、官拜、結婚、作竈、塞穴吉、 廿八日庚辰金建 廿九日辛巳金除 歳位天恩、母倉、拜官、治竈吉、 ○按ズルニ、右ハ天平十八年ノ具注暦ノ斷簡ナラン、

〔續修東大寺正倉院文書〕

〈十四〉

p.0374 具注暦斷簡 〈天平勝寶八歳〉 天平勝寶八歳暦日 凡三百五十五日 正月大 二月小 三月大 四月大 五月小 六月大 七月小 八月小 九月小 十月大 十一月小 十二月大 大將在二丙申一 大陰在レ午 大將軍在レ午 歳刑在レ寅 歳破在レ寅 歳殺在レ未 黄幡在レ辰 豹尾在レ戌 右件太歳已下、其地不レ可二穿鑿一、動レ土因有二崩壞事一、須レ營者、日與二上吉一 并者、修營無レ妨、 歳德在二南宮丙一 天道在二乙辛一 人道在二丁癸一 右件歳德已下、其方造擧百事往來乘レ之大吉、月下亦同、 歳德 月德 天恩 天赦 右件上吉、庶事皆用レ之吉、其修宮室坏城墎、修堤坊、井竈、門戸、起土、 修宅、及碓磑、廁等、雖レ非二正造之月一、因有二崩壞事一、須レ營者、並用二此日一亦 吉、 歳位 歳前 歳對 歳後 母倉 滿平 定成 收開 右件次吉亦所用之與二凶及凶會一、并不レ可レ用二其歳位一、乘輿用レ之、公侯 已下不レ可レ用、歳前公侯已上用レ之、歳對歳後庶人已上通二用之一吉、 廿四氣 朔望 弦晦 建除 執破 危閉 右件輕凶亦不レ可レ用、與二上吉一并二用之一無レ妨、其晦日唯利用、除服解除 吉、 行佷了戻 陰錯陽錯 陽破陰衝 陰陽交破 陰陽衝擊 陰陽衝破 陰道衝陽 孤陽絶陰 絶陽單陰 三陰々位 歳博逐陳 純陰純陽 陰陽倶錯 孤辰 右件凶會不レ可レ用、事雖下與二上吉一、并上、亦不レ可レ用、 血忌日 其日不レ可二針刺出血一 歸忌日 其日不レ可二遠行、歸家、移徙、呼女、娶婦一、 往亡日 其日不レ可二遠行、拜官、移徙、呼女、娶婦、歸家一、 修宅日 其日蓋レ屋、修二門戸欄櫪一、破屋、壞垣、竪柱、上梁、並與二修宅一同、望前用二小 歳一、望後用二大歳一、 葬日 啓殯、發故、殯埋同用、 斬草日 其葬日亦斬草吉、非二其葬日一得二斬草啓殯一、 九坎日 其日不レ可二葬起土、種蒔、蓋屋一、凶、 厭及厭對 其日祀害家長、將兵遷、娶婦人、官種蒔凶、 日遊 其所在、産婦不レ可レ居之坐、及掃レ舍亦忌、 人神 其所在、不レ可二針刺灸一、 正月大〈天氣南行 天道乙辛 月殺在レ丑 土府在日 月德在レ丙 人道丁癸 月破在レ申 取丙土吉〉時〈甲庚丙壬〉方〈乾巽艮坤乙辛〉人神 震(日遊) 一日乙卯水除 歳前祭祀、拜官、結婚、移徙、修宅、解除吉、 二日丙辰土滿 歳前九坎厭對 三日丁巳土平 歳後小歳前、祭祀、拜官、移徙吉、 四日戊午火定 歳後祭祀、往亡、修宅吉、 五日己未火執 歳後 巽 六日庚申木破 歳後療病、壞垣、葬吉、 七日辛酉木危 歳後葬吉 八日壬戌水成 歳後厭 九日癸亥水收〈上弦〉 大小歳位、母倉、作レ井吉、 十日甲子金開 大小歳位、天恩、母倉、加冠、修宅、起土、療病、治戸井竈吉、 十一日乙丑金閉 〃〃〃〃〃〃歸忌、血忌、塞穴吉、 離 十二日丙寅火建 〃〃〃〃〃〃加冠、拜官、移徙、嫁娶吉、 十三日丁卯火除〈啓 墊正月中〉 〃〃〃〃〃〃結婚、嫁娶、移徙、起土、修宅、療病、解除、斬草吉、 十四日戊辰木滿 歳位小歳前、天恩九坎厭對、 十五日乙巳木平 歳位雜祭祀、加冠、拜官、移徙、納奴婢吉、 十六日庚午土定〈望〉 歳位祭祀、加冠、拜官吉、 坤 十七日辛未土執 歳位 十八日壬申金破 歳位、療病、解除、斬草、葬吉、 十九日癸酉金危 歳位、解除、啓殯、斬草、葬吉、 廿日甲戌火成 大小歳對厭 廿一日乙亥火收 〃〃〃〃母倉 廿二日丙子水開 〃〃〃母倉、加冠、拜官、結婚、嫁娶、移徙、入學、起土、修宅、療病、治井竈 戸、種蒔、斬草、葬吉、 兊 廿三日丁丑水閉〈下弦〉 大小歳對、歸忌、血忌、塞穴吉、 廿四日戊寅土建 〃〃〃〃天赦、加冠、拜官、移徙、修宅吉、 廿五日己卯土除 歳對、天恩、加冠、拜官、結婚、嫁娶、移徙、療病、治竈、解除吉、 廿六日庚辰金滿 歳位、天恩、九坎、厭對、

〔觀古雜帖〕

〈一〉

p.0377 天平勝寶八歳具注暦抄寫〈紙背ニ書セルモノ、此年九月十月寫經生等食口ノ事記案也、其翻用ノ迅速ナル、當世ノ風觀ツベシ、〉 廿八日辛巳金除 歳位天恩、母倉、拜官、療病、治竈吉、 〈陰〉 乾 廿九日壬午木滿 歳位天恩、母倉、斬草、葬吉、 〈膝脛〉 卅日癸未木滿 〈立夏四月節〉 歳後天恩、九坎、厭、 〈足跌〉 四月大 天氣西行 天道丁癸、月殺在レ辰、土府在レ寅、 甲庚 乾巽艮 時方 日德在レ庚 人道乙辛、月破在レ亥、取二庚土一吉、 丙壬 坤癸丁 一日甲申水平 歳後宜レ忌二治竈一、解除吉、 二日乙酉水定 歳前小歳對、結婚、治竈、〈○下闕〉 三日丙戌土執 歳前小〈○下闕〉 四日丁亥土破 歳前小歳、療病、拜官、祭祀、解除服吉、〈○下闕〉 坎 五日戊子火危 歳前祭祀、結婚吉、 六日己丑火成 歳前歸忌、厭對、 七日庚寅木收 歳前母倉、往亡、治竈、種蒔吉、〈○中略〉 本暦斷簡、三月四日ヨリ、四月十八日ニ至テ盡タレドモ、五月朔甲寅ナルコトハ、四月大ニテ推知ベキ也、此暦ト、天平十八年ト、廿一年ト、三暦各斷簡、東大寺正倉院文書中ニアリ、按、是官須ノ暦ニ非ズ、寫經所ノ書生校生等、私用傳寫ノモノ歟、製作疎略、白紙ニ竹刀痕(ヘラスヂ)ノ白界也、今假ニ墨界トスルハ、見ヤスキガ爲ノミ、破傷ハ鼠咬也、界上ニ八卦中宮ヲ配シタルヨリ、中下段ノ趣ハ、三暦相同ジ、下界際ニ、身體手足等ノ肉 ヲ配記セルハ、此暦ノミ也、暦語ノ讀解已下、古暦通考一篇ヲ作テ、史學ノ一助ニ供ヘントシテ、稿粗成タレドモ、長文此ニ載スベカラズ、

〔具註暦本殘闕摸寫〕

p.0378 永仁四年暦本 丑 月德在レ庚合在レ乙 月空在レ甲 三鏡〈甲乙丁庚辛癸〉 虚宿水曜 一日乙未金危 五墓 大歳對小歳後殺 壞 〈日遊在レ内〉 危木 二日丙申火成 〈沐浴〉〈侯丑内〉 大歳對小歳後歳德母倉九坎 〈祠祀吉日遊在レ内〉 太禍 〈室金〉 三日丁酉火收(三吉天間歳下食) 〈沐浴神吉〉 大歳對小歳後母倉月德合復 〈移徙吉日遊在レ内〉 辟土 四日戊戌(不視病)木開 大歳對小歳 出行吉 〈日遊在レ内〉 蜜 奎日 五日己亥(不問疾)木開 〈小塞十二月節 沐浴 鴈北嚮〉 〈侯丑外〉 大歳對重復厭(日出辰初二分晝四十一刻/日入卯三刻五分夜五十九刻) 〈日遊在レ内〉 婁月 六日庚子土閉(三吉以上大將軍遊西土公入) 〈沐浴 神吉 除二手足甲一〉 大歳對月德歸忌血忌無翹 〈塞穴吉日遊在レ内〉 胃火 七日年丑土建(三吉忌遠行) 〈除二手甲一 神吉〉 〈五墓〉 大歳對歳德合 〈嫁娶吉〉 〈日遊在レ内〉 昴水 八日壬寅金除(金對峯三吉 〈以上〉/吉) 〈上弦 除二足甲一〉 〈大夫謙〉 大歳對〈○中略〉 室木 卅日甲子金閉(大將軍遊レ東土公遊レ北) 〈滅 水澤腹竪〉 大小歳前忌血忌無翹 永仁三年十一月一日 從五位上行主計權助兼尾張權介賀茂博士在氏 從五位上行權漏刻博士賀茂朝臣在豐 散位正五位下賀茂朝臣在千 位下行權暦博士賀茂朝臣定淸 從四位下權陰陽博士兼但馬權介賀茂朝臣在彦 從四位下行暦博士兼能登權介賀茂朝臣在冬

〔具註暦本殘闕摸寫〕

p.0379 延慶二年暦本 延慶二年具注暦日 己酉歳〈干土支金納音是土〉 凡三百五十五日 大歳在二己酉一〈○此下蠹損〉 大將軍在レ午 大陰在レ未 歳德在二東宮甲一〈合在己甲取レ土及宜二修造一〉 歳刑在レ酉 歳破在レ卯 歳殺在レ辰 黄幡在レ丑 豹尾在レ未 右件大歳己丁、其地不レ可二穿鑿一、動治因有二頽壞事一、須二修營一者、其日與二歳德、月德、歳 位合、月德合、天恩、天赦、母倉一并者、修營无レ妨、 歳次大梁 右件歳次所二其向一有レ福、不レ可二將レ兵抵向一、 正月大 二月小 三月大 四月小 五月小 六月小 七月大 八月大 九月小 十月大 十一月大 十二月大 正月大建 丙 天道南行 天德在レ丁月殺在レ丑用時〈甲丙庚丑〉 寅(土府在レ丑) 月德在レ丙合在(五公在) 月空在レ壬 三鏡〈乙年乾坤巽艮〉 室宿火曜 一日乙酉水危(三寶吉、忌二遠行一、) 〈沐浴 神吉〉 大歳對小歳後 加冠、拜官吉(從二立春一伏龍在二内庭一去レ堂六尺六十日)、 辟水 二日丙戌土成(歳下食) 五墓 大歳對小歳後月德厭〈入學、起土、〉 太禍 〈奎木〉 三日丁亥土收(天間) 〈雨水正月中 沐浴伐 祭レ奥〉 漸 大歳對小歳後母倉无翹重〈結婚、裁衣、〉 狼藉 〈婁金〉 四日戊子火開(大將軍遊内天一于) 〈減〉 〈忌二夜行一不レ視レ病〉 大歳對母倉(日出卯三刻二分 晝四十六刻/日入酉初五分 夜五十四刻 日遊在レ内) 胃土 五日己丑火閉(不レ囘レ疾) 〈除二手甲一〉 大歳對歳德合歸忌血忌月殺〈塞穴吉日遊在レ内〉 昴蜜日 六日庚寅木建(三吉) 〈除二手足甲一〉 大歳對復〈拜官 結婚〉

七曜暦

〔律疏〕

〈職制〉

p.0381 凡玄象器物、天文、圖書、讖書、兵書、七曜暦(○○○)、太一雷公式、私家不レ得レ有、違者徒一年、私習亦同、其緯候及論語讖不レ在二禁限一、〈(中略)七曜暦謂二日月五星之暦一、〉

〔隋書〕

〈三十四經籍〉

p.0381 七曜本起三卷〈後魏甄叔遵撰〉 七曜小甲子元暦一卷 七曜暦術一卷〈梁七曜暦法四卷〉 七曜要術一卷 七曜暦法一卷 推七曜暦法一卷 五星暦術一卷 天圖暦術一卷 陳永定七曜暦四卷 陳天嘉七曜暦七卷 陳天康二年七曜暦一卷 陳光大元年七曜暦二卷 陳光大二年七曜暦一卷 陳太建年七曜暦十三卷 陳至德年七曜暦二卷 陳禎明年七曜暦二卷 開皇七曜年暦一卷 仁壽二年七曜暦一卷 七曜暦經四卷〈張 撰〉

〔三代實録〕

〈四十三陽成〉

p.0381 元慶七年正月戊辰朔、天皇不レ受二朝賀一、雨也、七曜暦(○○○)、藏氷樣腹赤魚等、所司付二内侍一奏、

〔日本紀略〕

〈五冷泉〉

p.0381 安和元年正月一日乙酉、左大臣〈○源高明〉奏二侍從已上祿法等下給、并七曜暦(○○○)、腹赤、氷樣等一、

〔春海先生實記〕

p.0381 今年〈○貞享二年〉冬十一月朔日癸亥、暦博士幸德井氏友親〈宮内少輔〉上二頒暦一、是則爲二恒例一、蓋往古有二七政暦一、〈則七曜暦也〉中世其術廢、只用二草暦一、〈即農暦、俗云假名暦也、〉依先生以下歴年所二算考一之五星與二四餘一之術上、配二日月之宿度一記レ之、別爲二七曜暦一以刊レ之、〈蓋貞享暦七曜推歩之術者、我澀川家之所レ秘、而其術由二本於活天地道一、隨レ時測レ天而定レ之、實萬世不易之術云、〉 翌年春正月朔日、友親書二寫之一、上二禁裏院中一、〈因二延喜式進暦之式一、御暦二卷、其上卷十一月一日、下卷六月一日、七曜御暦正月一日奏進、頒暦者、六月頒二行諸方一、〉有二七曜暦拜之禮式一、亦於レ今爲二恒例一、爾來暦日得二其正一、而晦朔弦望不レ失二日時一、交食節氣不レ錯二刻分一、而人民各受二正朔一、農桑無二時候之差一、後代萬々永蒙二聖朝至治之澤一、嗟夫隆哉大哉、

〔七曜暦〕

p.0382 寶暦十四年歳次甲申〈干木支金納音是水〉 寶暦甲戌元暦 太歳在二甲申一〈名二涒灘之年一爲二一年之君一〉 歳次實沈 奎宿木曜値年 右件歳次所在、其國有レ福、不レ可二將レ兵抵向一、 歳德在二東宮甲一 〈寅卯間〉 歳德合在レ己 右件太歳已下、其地不レ可二穿鑿一、動治因有二頽壞事一、須二修營一者、其日與二天德、歳德、月德、天德合、歳德合、月德合、天恩、天赦、母倉一并者、修營無レ妨、 正月大 建丙寅 合朔巳時九刻 已下總晝夜百二十刻割 日 月 木 火 土 金 水 一日 癸丑 天恩 女六 〈昏〉女十 畢一 氐四 婁四 危十一 虚七 二日 甲寅 七 危三 五 十二 夕退伏 三日 乙卯 天月德合 八 十六 十三 四日 丙辰 立春未八刻 月德 九 室十二 六 十五 六 五日 丁巳 天德 十 壁六 七 十六 六日 戊午 十一 奎九 室一 五 七日 己未 虚一 婁三 八 二 四 八日 庚申 二 胃三 三 九日 辛酉 上弦巳四刻 月德合 三 十五 九 五 三定合退伏 十日 壬戌 天德合 四 畢一 六 二 十一日 癸亥 母倉 五 十四 夕遲初 十 七 一 十二日 甲子 天恩母倉 六 井一 八 初合退伏 十三日 乙丑 天恩 七 十三 十一 夕次速 十 女十 十四日 丙寅 月德天恩 八 廿六 十一 九 十五日 丁卯 天德天恩 九 柳七 十二 五 十二 八 十六日 戊辰 望夜子四刻 天恩 危一 張一 十三 七 十七日 己巳 二 〈晨〉八 十三晨遲初 十五 十八日 庚午 三 翼四 十六 六 十九日 辛未 雨水戌四刻 月德合 四 十八 十四 十七 五 二十日 壬申 天德合 五 軫十二 十八 廿一日 癸酉 六 角八 十五 壁一 四晨見 廿二日 甲戌 七 氐初 二 廿三日 乙亥 下弦戌初刻 母倉 八 十五 十六 三 三晨遲 廿四日 丙子 月德母倉 九 尾一 二 房初 五 四 廿五日 丁丑 天德 十 十五 一 六 六 定見 廿六日 戊寅 天赦 十一 斗三 七 五 廿七日 己卯 天恩 十二 十六 二 八 廿八日 庚辰 天恩 十三 女初 奎初 六 廿九日 辛巳 月德合天恩 十四 虚二 三 一 七 三十日 壬午 天德合 天恩 十五 危五 三 炁〈一日廿日〉胃〈三四〉 孛〈一日九日十七日廿六日〉奎 〈十七〉 婁〈初一二〉 羅〈一日八日廿七日〉 軫〈五四〉 計〈一日十二日三十日〉 壁〈六五四〉

中星暦

〔延喜式〕

〈十六陰陽〉

p.0384 凡中星暦(○○○)者、八十二年一度造進、其用途者、博士臨レ事勘録進レ寮、寮申レ省請充、

〔宋史〕

〈四十八天文〉

p.0384 中星 中星、四時中時、見二於堯典一、蓋聖人南面而治二天下一、即日行而定二四時一、虚鳥火昴之度在二天夷隩析一、因レ之候在レ人、故書首載レ之、以見二授レ時爲レ政之大一也、而後世考驗、冬至之日、堯時躔レ虚、至二於三代一、則躔二于女一、春秋時在レ牛、至二後漢永元一已在レ斗矣、大略六十餘年、輙差二一度一、開禧占測已在二箕宿一、校二之堯時一、幾退二四十餘度一、蓋自二漢太初一至レ今已差二一氣有餘一、而太陰之躔十二次、大約中氣前後乃得二本月宮次一、蓋太陽日行一度、近歳紀元暦定二歳差一約退二一分四十餘秒一、蓋太陽日行一度而微遲緩、一年周天而微差、積二累分秒一而躔度見焉、暦家考レ之、萬五千年之後、所レ差半周天、寒暑將レ易レ位、世未レ有下知二其説一者上焉、

〔虞書暦象俗解〕

〈上〉

p.0384 此圖〈○中星十二宮方位窺觀之圖、并歴世日宿圖略、〉ハ、堯典中星ノ便ナラシム、後來ノ中星ハ、各歳差ノ義ニ由テ、四時ノ日宿改リ移テ、中星皆各不レ同、今此圖ニ傚テ、時ニ隨テ制造シテ可レ察レ之、都テ日宿ヲ窺測スルニハ、必ズ先ヅ中星ヲ驗シテ是ヲ推歩シ、日景ヲ測量シテ、其日躔ノ宿度ヲ得ル者也、中星ニハ、昏、晨、夜半ノ不同アリ、何モ觀窺シテ精密ナルベシ、今堯典ニ見ハス中星ハ、只昏ベノ中星ノミヲ云リ、昏ノ中星ヲ擧テ、晨旦、夜半ノ中星ヲ省略ス、此圖ヲ察シテ、一方ニ傚フトキハ、他ハ推テ可レ識レ之、又堯典ハ、只四時ノ仲氣、二至、二分ノ四節ヲ擧テ、一歳ヲ見メス者也、實ニ造暦ノ時ニ臨ンデハ、十二月二十四氣ノ中星日宿ヲ窮メ驗スヲ以テ、暦者ノ重事トス、

〔天朝無窮暦〕

〈六〉

p.0385 さて皇朝にて、中星暦といふを造らしめて、八十二年に一度奏進せしめ給へる事は、何なる暦と云こと詳に記せる物は見ざれど、赤縣州の歴代の暦志を見るに、晉の虞喜といふ者、始めて天を以て天と爲し、歳をもて歳と爲し、差を立て、其變を追ひ、五十年に一度を差ふと攷へしを、宋の何承天は、百年にして一度を差ふと定め、〈何承天は、かの元嘉暦の撰者なり、歳差の説は斯の如くなれど、其代の暦志に、何承天曰、漢代以二昏明中星一課二日所在一、日之所在雖レ不レ可レ見、月盈則蝕、必當二其衝一、以レ月推レ日、躔次可レ知、捨レ易而役二心於難一、臣所レ不レ解也、堯典云、日永星火以正二仲夏一、今季夏則火中、又宵中星虚以殷二中秋一、今季秋則虚中、爾來二千七百餘年、以二中星一撿レ之、所レ差二十七八度、則堯時冬至日在二須女十度左右一也と有るを思へば、此人も堯典の中星は信けざりけり、〉然て隋の劉焯、その二家の中數を取りて、七十五年に一度を差ふと定めたりしを、唐の一行が大衍暦に至りて、八十三年に一度を差ふと定めたる由なり、〈猶是らの外に、其暦志どもに、一度を差ふ年數を、或は四十五年と云ひ、或は六十餘年といひ、或は六十六年、或は六十七年、或は六十八年、或は七十八年、或は四十年、或は百八十六年など云ひて、互に相是非しつゝ、紛々聚訟、すべて讀むに堪ざる迂説等なる中に、暦家自二北齊張子信一始知二歳法一、以二古暦一推レ之、凡八十餘年差二一度一、月令 ニ 日在二某宿一、比二堯時一則已差矣云々と云ひ、日右轉、星左轉、約八十年差二一度一云々と云へる説あり、一行が八十三年といふ説は、是を折衷して得たる測量なるべし、〉然れば皇朝の中星暦は、此方の博士の、そを再折衷して、八十二年に一度の差と測量して、歳月の暦とは別に、是暦を奏進せるにぞ有べき、然れども是なほ未その中分を測量し得ざる物なり、太昊古暦傳に出せる、近世の測量を見て知るべし、

假名暦

〔玉勝間〕

〈八〉

p.0385 かなごよみ 同〈○宇治拾遺〉物語に、かな暦といふことあり、むかしは眞名と假字との暦有しにや、さて又暦に、神佛によしといふ日あり、今の暦本に、神よしとしるせるは是なるべし、又かん日、くゑ日など、日のよきあしきをしるせることも見えたり、

〔宇治拾遺物語〕

〈五〉

p.0385 これも今はむかし、ある人のもとになま女房のありけるが、人に紙こひて、そこなりけるわかき僧に、かな暦(○○○)かきてたべといひければ、僧やすき事といひてかきたりけり、はじめつかたはうるはしく、かみほとけによし、かん日、くゑ日などかきたりけるが、やう〳〵すゑざ

〔好古日録〕

〈本〉

p.0386 貞應二年癸未假名暦日 片假名暦日 延寶四年長暦十月小 まに成て、或物くわぬ日などかき、又これぞあれはよくくふ日などかきたり、此女房やうかはるこよみかなとはおもへども、いとかうほどには思ひよらず、さることにこそと思ひて、そのまゝにたがへず、またある日、はこすべからずとかきたれば、いかにとはおもへども、さこそあらめとて念じて過す程に、ながくゑ日のやうにはこすべからず〳〵とつゞけかきたれば、二日三日までは、ねんじゐたるほどに、大かたたゆべきやうもなければ、左右の手にてしりをかゝへていかにせん〳〵とよぢりすぢりするほどに、ものもおぼえずしてありけるとか、

〔好古日録〕

〈本〉

p.0387 古暦本〈國字 活字片假名〉 諸家ニ、古暦ノ傳ル者、皆具注暦也、國字暦(○○○)ハ貞應二年癸未暦日アリ、長暦ヲ以考ルニ、月ノ奇偶異同アリ、其體、中段(○○)ハ今ト同ジ、下段(○○)遠くゆかず、かみほとけよし、ゆめかたらずノ類、今ト同ジカラズ、但げふく〈元服〉はせん〈八專〉ノ類、當時古詞ノ存スルコトヲミルベシ、 貞應二年癸未假名暦日 六月大 あり 一日みずのえさる のぞく 〈かみよしゆあぶるもよし〉 二日みづのとのとり みつ めち日 三日きのえいぬ たいら 〈ほとけよし むこどりわたまし ありきよし げふくよし ざうさくかまぬるもよし〉 四日きのとのゐ さだむ 〈ゆあぶるもよし ゑんたい日 ちこ日〉 五日ひのえね とる かん日 六日ひのとうし やぶる(どように入) 〈かみほとけよし、ゆめかたらず、ものたつよし あしのつめよし〉 七日つちのえとら あやぶむ 〈ほとけよし やまひみず ふく日〉 八日つちのとのう なる 〈かみよし ばち日やまひみず ふく日〉 九日かのえたつ 〈六月中をさん〉 〈ものたつよし さく井よしわたましざうさく、ありきよし、〉 十日かのとのみ ひらく 〈ほとけよし ゑんたい日ものたつよし ちこ日〉 十一日みづのえむま とづ 〈かみほとけよしありき、わたましもよし、きゝ日〉 十二日みづのとのひつじ たつ 〈ほとけよし〉

〔延應三年暦〕

p.0388 延應三年かのえいぬのとしのこよみ すべて三百五十亖日 大將軍みなみにあり としとくかのえにあり〈にしのすみひつじさるによし〉 〈正月小、二月大、三月小、四月大、五月小、六月小、七月小、八月大、九月小、十月大、十一月大、十二月大、〉 正月小 こくうかまにあり 一日かのへたつ〈金みつ〉 〈はるたつ日よりふくりううちの 六十日あり かへる ひんた つか〉 二日かのとみ〈金たいら〉 〈けふくはるまきたからをさめ、あるき、くらびらき、 ひめはじめによし、ひらく、〉 三日みづのへむま〈木さたん〉 〈ちうはじめてうごく〉 神〈中〉佛〈下けふくはるまきかみうき門たて こかひによし〉 四日みづのとひつじ〈木とる〉 〈さう事 きぬたち わたまし 田かへすによし〉 五日きのへさる〈水やぶる〉 神上、あるき、やたて、ゆめみよし、 六日きのととり〈水あやふ〉 〈日出卯三り五分 旦卅五り きぬたち、はみうつによし、 日入酉初三分半 夕五十五リ〉 七日ひのへいぬ〈土なる〉 上〈けん〉五む かくもん木きるよしひへる 八日ひのとみ〈土をさん〉 伐〈うをこほりにのぼる〉 〈たからをさめ、きぬたち、ゆあみてよし むきしかみしゝ〉 右古暦一紙、借二諸官醫多紀氏一而摸二寫之一、〈尤板行也〉南求子誌、

〔貞享二年暦〕

p.0389 貞觀以降用二宣明暦一既及二數百年一、推歩與レ天差、方今停二舊暦一頒二新暦於天下一、因改正而刊行焉、 貞享元年きのえね十二月大三十日せつぶん 何所〈○朱書〉 某〈○朱書〉 貞享二年きのとのうしの暦凡三百五十四箇日 大さいうしの方〈此方にむかひて万よし但木をきらず〉 大しやうぐんとりの方〈ことしまで三年ふさがり〉 大おんいの方〈此方にむかひてさんをせず〉 〈としとくあきの方さるとりの間万よし〉 金(とら/たつ) 神(う/み) さいけういぬの方むかひてたねまかず 土公〈春はかま、夏はかど、秋は井、冬はには、〉 さいはひつじの方〈むかひてわたましせずふねのりはじめす〉 正月小 二月大 三月小 さいせつたつの方此方よりよめとらず 四月大 五月大 六月小 わうはんうしの方むかひて弓はじめよし 七月大 八月小 九月大 へうびひつじの方〈むかひて大小べんせずちくるいをもとめず〉 十月小 十一月大 十二月小 正月小建 戊寅 星宿値月、星日曜値朔日、 一日みづのえいぬ、なる、水 立春 正月せつひつじの三刻に入 二日みづのとのい、おさむ、 吉書始 〈はがため、くらびらき、ひめはじめ弓はじめ、ふねのりはじめ、万よし、〉 三日きのえね、ひらく、 金 すきそめ 〈あきなひはじめ、かへもんはじめ、万よし、〉 四日きのとのうし、とづ、 神よし ちいみ、きこ、ものたちよし、 五日ひのえとら、たつ、 火 〈こしのりはじめ、ありき、井ほりよし、〉 六日ひのとのう、のぞく、 神よし げんぶく、ものたちよし、

伊勢暦

〔俗神道大意〕

〈二〉

p.0390 伊勢暦ノ出處ハ、毎年祭主藤浪家ヨリ、朝廷ヘ御奏達アツテ、土御門家ノ暦ヲ、寫本デ申ウケ、夫ヲ伊勢デ板行ニ致ス事デ、右暦師ハ宇治ニ居テ、佐藤伊織ト申スガ實ハ町人デ、紙屋茂兵衞ト申シテ、コレハ藤浪家ノ御家來分デ、御由緖モアル家柄ダト申ス事デ、外宮ニハ暦屋五軒モアル、尤モ古來ノ暦ハ、口ノ所ヘ鯰ノ圖ナドヲカキ、頭書ニ、傳暦抄ナドヽ書タルモ有テ、實ハ埒モナイモノデアツタ事ヂヤ、

〔賀茂家文書〕

p.0390 杉大夫事、爲二御博士一、他國陰陽師於二御領中一出入之時、無二其屆一面々者、爲二杉大夫計一申懸之旨御存知候、被レ任二先例一之由可レ被二申聞一候也、謹言、 天文十四九月十三日 花押 大宮大どのへ 從二先御代一、當國〈○伊勢〉暦之儀、爲二御恩一、杉大夫出置候段御存知候、然上者、自二他國一暦御停止候、至レ有二商賣仕面々一者、雖レ爲二何之族一、堅可レ被二申付一候、此旨杉大夫ニ可レ被二申聞一候由所レ候也、恐々謹言、 天正元十二月五日 花押 朴木下野守殿

〔師友雜録〕

p.0390 天和四子年、桑山下野守〈○貞政〉殿替岡部覺左衞門殿〈貞享二正任二駿河守一〉達 一改暦之儀未二相極一候故、從二四方一御公儀〈江〉御訴訟申上候、然處頃日何方より近日無名之暦作出し候を買取、旦那廻りの土産に用候師職有レ之樣に風聞候、若必定に於ては、不心得千萬に候、自然及二 御僉議一事にて、暦師儀は不レ及レ申、買候師職代官に至迄可レ爲二越度一候、いつまで成とも御公儀改暦露顯無レ之内者、土産に用候儀無用に候、此趣師職中〈江〉急度可レ被二申渡一候、尤油斷有間敷候、以上、 九月五日 三方

〔師友雜録〕

p.0391 一當地〈○伊勢〉において、新暦板行之儀、今度陰陽師箕曲甚大夫、同與一大夫、保利田大夫、此二人於二京都一改暦相傳致來候故、開板世上へ出し申候、今日申渡候、其外四人之暦師板行之儀は、兼而三方中より御公儀へ御願ひ申上置候條、覺左衞門殿〈○岡部勝重〉御左右次第に追付可二申渡一事、 十月〈○天和四年〉二十二日 三方 ○按ズルニ、神宮秘傳問答ニ據レバ、三方ハ、須原方、坂方、岩淵方ノ三方ヲ云フ、

〔師友雜録〕

p.0391 貞享二丑年達 一當地にて、暦板行之儀、陰陽師之外、誰にても望次第仕來候趣、覺左衞門殿迄は願ひ申上候處、御公儀之被レ爲レ得二御意一、前々之如く開板仕、諸國旦方への土産を賦り候樣にと被レ爲二仰出一候旨、覺左衞門殿より御書を以被二仰出一候、先以當地之願相叶、神領之外聞實儀大慶此事に候、尤忝可レ被レ存事、一急度申入候、當地暦板行之儀、京都暦出來次第、早速駿河守樣〈○岡部勝重〉より寫本御差越可レ被レ下との御事に候間、それより以前者、爰本之暦板行不レ仕樣に可二相觸一候、若違背のもの有レ之候はゞ、暦賦者も可レ爲二越度一旨、駿河守樣別しての入二御念一候、此旨脇之者迄堅可レ被二申渡一候、暦師共へは念合より急度申付候、以上、 卯月廿三日 三方

三島暦

〔譚海〕

〈十四〉

p.0391 三島ごよみは、伊豆相摸の二ケ國に商ふ事免許なり、暦師河合龍節といふ者、毎年歳暮に、江戸へ罷出、公儀と御三家へ、こよみを奉り、目録を拜領して、歸國する事、定りたる事也、

〔爲政録〕

〈例書一〉

p.0391 一三島暦は、先年勢州ゟ出入有レ之、夫ゟ以來三島暦は、伊豆相模計〈ニ〉可レ限事、

〔俗神道大意〕

〈二〉

p.0392 扨マタ、往古ヨリ致シテ、伊豆國ニハ、暦ノ博士ガ居ツテ、三島明神ノ下社家川合龍節ト申ス暦師ガ配リ、公儀ヘモ暦ヲ獻上イタシ來レル事故、伊豆一ケ國ハ、伊勢暦ヲ停止被二仰付一タト申ス事ヂヤ、

〔增訂豆州志稿〕

〈七土産〉

p.0392 三島暦 三島驛、河合氏製ス、目下豆相兩國ニ行ハル、其家傳ニ云、光仁天皇寶龜中、三島宮神領内、暦門(コミカド)埋橋ニ、六百坪ノ宅地ヲ構へ住ス、宣明暦迄暦算ヲ爲シ、之ヲ天朝ニ獻ズ、又奕世將軍家ニ獻ズルコト今ニ至ルト、現今ハ公儀ヨリ寫本下附アリテ、之ヲ板本トナス、宅地内ニ暦宮アリテ、社宮司明神ト云、〈○中略〉增、三島暦、明治革新ノ際廢セラル、

〔空華日工集〕

p.0392 三月四日、〈○本書前文缼失、年號不詳、好古日録引二用本文一作二應安七年一、〉浴二于伊豆熱海一、蓋三島暦(○○○)、以二是日一爲二上巳節一、故作レ詩記、

〔好古日録〕

〈本〉

p.0392 暦日異同〈○中略〉 按、古昔暦法精シカラズシテ、此間ト異邦ト奇偶一日ノ相違ノ類間アリ、日工集載ル所ノ如キハ、京暦ト三島暦トノ異同ナリ、長暦ニ據ニ、應安七年正月二月共ニ大ナリ、當年ノ三島暦同ク正二月トモニ大トミユ、京暦正二兩月ノ間小アリテ、三島暦ノ三日、京暦ノ四日ナリシナラム、

〔類聚名物考〕

〈時令三〉

p.0392 三島暦 今の世にも假名文などの甚だ細かなるを三島暦のやうなるなど云り、昔は伊豆の三島より暦を出せしとかや、今伊勢より多く出すが如し、薩摩陸奧にもあれども、それは人もいはぬ事となれり、近年久しく絶しを興して、また三島にても暦を出すなり、竹齋物語、〈上〉頭巾は三條唐物や甚吉殿のおかたより、赤き綿を百日ばかりのその内に、心を盡し縫立て、播磨杉原七枚つぎ、三島暦(○○○)に大般若、春の日通牛の尾に、三間綱を結付て、長文そへてやられける、

〔實隆公記〕

p.0392 文龜三年六月廿七日壬戌、則大外記來謝レ之、午後在通卿來、〈携二一腰金一〉出頭事珍重由命レ之、予以二 書状一付二勾當内侍一申入了、昨年甲子、暦道勘文等、不レ可二御事闕一、又七月御暦、則可二調進上一之、彼是爲二朝家一珍重事也、如レ此事、少量之意見雖レ不レ可レ然、只存二報國忠一而已、 先年召文案一通寫レ之 三島摺暦(○○○○)事、六條經師良精掠二領之一云々、所詮任二去文明十七年九月八日奉書之旨一、被レ仰二付大經師愛竹并兵部卿良椿一訖、宜レ被二存知一之由被二仰出一也、仍執達如レ件、 元行判 明應九十月十三日 爲親判 勘解由小路三位殿 同廿日、同廿九日、以上三度、召文嚴密也、

〔集古文書〕

〈四十施行状〉

p.0393 天正十一年施行状 大經師三島暦職(○○○○)、并居住地子錢諸公事家役等事、任二綸旨一御下知之旨、彌不レ可レ有二相違一之状如レ件、 天正十一 十二月廿日 常祐法眼 御房

〔胸算用〕

〈一〉

p.0393 伊勢海老は春の紅葉 毎年大夫殿から御拂箱に鰹節一連、はらや一箱、折本の暦(○○○○)、正眞の靑苔五把、彼是こまかに直段附けて、二匁八分が物申請けて、銀三匁御初穗上ぐれば、高で二分餘りて、お伊勢樣も損の行かぬ樣に、〈○下略〉

大宮暦

〔新篇武藏風土記稿〕

〈百五十三足立郡〉

p.0393 高鼻村 氷川神社〈○中略〉 〈昔ハ當社ヨリ頒暦アリテ、ソノ頃推歩ノコトヲ司リシモノハ、北原村ノ名主喜兵衞ガ先祖齋藤氏ナリシトイヘド、其顚末ヲ詳ニセズ、世ニ傳フ、一年豆州三島暦ト、武州大宮暦ト、閏月ノ違ヒアリテ、北條氏政ヨリ、安藤豐前守ニ命ジテ、糺明セラレシガ、三島暦ノ方正キニ極リ、ソレヨリ武藏ノ暦ヲ停止セラルト、コレニ據レバ、天正ノ頃マデハ、猶暦ヲ出シタルコト知ラル、〉

薩摩暦

〔府内備考〕

〈十三淺草〉

p.0394 一薩州に限り賴朝公より、遠國の事故暦役差添被レ下由にて、今に至て、暦役之者、暦法傳授請候上にて、彼地にて、暦面仕立板行す、尤領主及び重役の者計國暦を用ひ、國中一統は、伊勢よりの賦暦を用ゆるよし、 右薩州暦を加へて、都合五十種なり、

盲暦

〔東遊記後編〕

〈一〉

p.0394 蠻語〈○中略〉 南部の邊鄙にては、いろはをだにしらずして、盲暦(○○)といふものありとぞ、余が通行せし街道にはあらねども、聞しまゝをしるす、又般若心經などをも、めくら暦の法にて誦すると云、

〔笈埃隨筆〕

〈四〉

p.0394 伊呂波〈○中略〉 狹布(ケフ)の里は、今南部領なり、其府を離れし山隘の村民、文字をしらぬ故に、年々の暦日、農の爲に、村長より暦を繪に圖して作る事をしらしむ、月朔の十二支には、子は鼠、亥は猪を圖し、八專、入梅、二至、三伏の、其たとへたるは、宛も謎の如し、其内、一二をいはん、八十八夜は、重箱に矢の立たるなり、種蒔は畚を畫き、田刈吉は鎌なり、節句は鬼の泣圖あり、絶倒〈ノ〉限り、たゞ且佛事祈禱には必ず般若心經を讀誦す、是又盲暦に類して、一段おかしく、頤を解にいたる者なり、

暦注

〔運歩色葉集〕

〈地〉

p.0394 中段(○○)〈暦、滿、平、定、執、破、危、成、収、開、閉、建、除、〉

〔唐六典〕

〈十四太常寺〉

p.0394 凡暦注之用六 一曰、大會、二曰小會、三曰雜會、四曰歳會、五曰除建、六曰人神、

〔和漢運氣指南〕

〈後編〉

p.0394 十二直(○○○)之事 十二直ハ、和漢共ニ暦ニ記ス、尤舊シキ例ナリト見エタリ、毎日支干ノ下ニ記スガ故ニ、和俗暦ノ

〔東遊記後編〕

〈一〉

p.0395 盲暦 中段ト號セリ、其名ノ次第左ノ如シ、 建(タツ)、除(ノゾク)、滿(ミツ)、平(タヒラ)、定(サダム)、執(トル)、破(ヤブル)、危(アヤブム)、成(ナル)、納(ヲサム)、開(ヒラク)、閉(トヅ)、 已上十二毎日ニ配レ之、吉凶ヲ定ム、其初メ丙寅ヲ以テ建トシテ、段々十二ヲ配當ス、 建〈ノ〉日譬バ正月節寅ノ日建、二月ハ卯ノ日建、三月ハ辰ノ日建、十二月共ニ此ノ如クニ當レリ、月支破軍ノ建ス故ナリ、但シ十二ケ月ノ初節毎ニハ、前日ノ中段ヲ付テ、同名二ツ重ナル故ニ、六十日ニハ回リ來ルコトナク、ヒタト違ヒテ凡七年目ニ丙寅ノ日ニ建回リ當ル者ナリ、其日ノ支干吉ニシテ、中段モ吉ナル日ヲ上トス、偖此十二直ノ次第、名ノ義理、如何ナル子細トイフコト、イマダ精ク不レ知レ之、其能知レル人ニ尋ヌベシ、 イヅレモ唐土陰陽家ヨリ始レリ、今ノ天學暦學家ノ要務ニハアラズ、

〔假名暦略註〕

p.0397 十二直 北斗の尾さすによりて、其方に表して十二直を制したるもの也、其説文繁く故に略レ之、雜書に 男女を別て吉凶をいふは誤也、 たつ 漢字建 入學、元服、柱立、出門、奴婢抱等に吉、 のぞく 漢字除 神事、祭禮、藥調合、煤拂、針、灸等に吉、 みつ 漢字滿 嫁娶、屋作、移徙、裁衣、竈塗、出門等に吉、 たいら 漢字平 屋作、移徙、嫁娶、裁衣等に吉、 さたん 漢字定 神事、祭禮、屋作、移徙、嫁娶、裁衣、奴婢抱、牛馬を飼等に吉、 とる 漢字執〈作レ取非也〉 諸事不吉、禽獸、魚鼈を狩捕等に吉、 やぶる 漢字破 諸事不吉、邪氣を拂ひ、祟を祈等に吉、 あやふ 漢字危 諸事不吉、殊に高き所へ上るべからず、竹木を伐等に吉、 なる 漢字成 神事、祭禮、屋作、移徙、元服、嫁娶、出門、裁衣、酒醬油造等に吉、 おさん 漢字收〈作レ納非也〉 屋作、移徙、元服、嫁娶、種蒔、竹木を植、禽獸を捕等に吉、 ひらく 漢字開 入學、元服、嫁娶、屋作、移徙、出門、藥調合等に吉、 とづ 漢字閉 諸事不吉、但水防を建、堤を築、穴を塞ぐ等に吉、 右十二直の吉凶、大概かくのごとし、併畢竟は下段の吉凶に因べし、此外十干、十二支、二十八宿、七曜等にも各吉凶あり、配合て暦の下段に吉凶を書ゆへにこゝに略す、

〔類聚名物考〕

〈時令一〉

p.0398 暦中段、建除十二辰、 容齋隨筆、〈二筆〉建除十二辰、史漢暦書皆不レ載、日者列傳、但有二建除家一、惟淮南子天文訓篇云、寅爲レ建、卯爲レ除、辰爲レ滿、巳爲レ平、主レ生、午爲レ定、未爲レ執、主レ陷、申爲レ破、主レ衡、 酉爲レ危、主レ杓、戌爲レ成、主二少德一、亥爲レ收、主二大德一、子爲レ開、主二大歳一、丑爲レ閉、主二大陰一、 今の暦に用る所、中段といふもの是也、今圖を作りて見るに便す、 寅建(タツ) 卯除(ノゾク) 辰滿(ミツ) 巳平(タヒラ) 午定(サダム) 未執(トル) 申破(ヤブル) 酉危(アヤウシ) 戌成(ナル) 亥收(オサム) 子開(ヒラク) 丑閉(トヅ)

〔閑田次筆〕

〈一〉

p.0399 今の暦の上段に、開閉など記せることを、中段といひならはすは、貞享以前の暦には、支干日並の上にありしゆゑ、今の上段が中段になりしなりと、予が若きときに、老人の話なりし、

〔日本後紀〕

〈二十嵯峨〉

p.0399 弘仁元年九月乙丑、公卿奏言、謹案二大同二年九月廿八日詔書一偁、日者虚傳、千妨輻湊、占人妄告、萬忌森羅、又大會小會之言、歳對歳位之説、天恩發二於五辰一、將軍行二於四仲一、斯等並出二堪輿雜志一、非二擧正之典一、宜下據二賢聖格言一、一除中暦注上者、臣等商量、暦注之興、歴代行用、男女嘉會、人倫之大也、農夫稼穡、國家之基也、伏望因二順物情一、依レ舊具注、

〔佛國暦象編〕

〈三暦法〉

p.0399 論三皇國暦首三鏡及八將神等本二梵暦一 皇國暦首、掲二歳德八將神等一者、原本二印度一、故梵天火羅九曜及七曜攘災訣、並羅喉名二黄幡一、計都名二豹尾一、安倍晴明撰二述簠簋内傳一、專述二天竺傳來之興起一、殊標二三鏡於暦首一、以顯二吾顯密之深致一、可レ謂二深信大士一、簠簋五卷、章々該二羅佛乘一、包二括支那陰陽運氣一、雅貫二攝神道一亡レ論、今詳二國暦一、用二梵暦一過レ半、

〔玉襷〕

〈八〉

p.0399 天皇の天の下治め給ふと撰びて、定しめ給へる暦神の、幸災ある事などに於ては、決めて其驗ある事なり、此によき因なれば、少か其由を云むに、謂ゆる八將神の第一に、大さい某方、此方にむかひて萬よし、但木をきらずと出し給ふ大さいは、大歳にて、其年の君位に立る方なり、抑暦法の事は、我が神世より、謂ゆる眞暦の外に、皇國固有の御暦法ある事は、己詳かに考へ定たる説あれど、此處に盡し難ければ、此は暫く措て、〈別に委く記せる物あり、就て見るべし、〉今は唐土の暦書等の説に依りて考ふるに、歳星(○○)またの名は、木星(○○)の精氣の建し宿る方位なるが、〈此方に向ひて、木を伐らずと云ことは、大歳星やがて木星なればなり、〉衆殺の王たる方とて、何事も此方に向ひては行ふべからぬ凶方の第一と立て、其祟いと嚴な る事と聞ゆるを、皇朝の暦説、もと唐土により給ひては有れど、右の如く此方位に向ひて、萬事を行ひて、吉と定められたる事は、いにしへ皇朝にて、彼暦説を用ひ始め給ふ時しも、年中の君位たる方の、然る凶方なるが、宜からぬ事なる故に、誰にまれ其事に預れる人の、天皇に白せるより、皇國には然る凶事をな行ひそと、吉方に祭り替給ふ事と見えたり、然らでは、始より唐土により給へる暦説の、彼に異なるべき由無ればなり、〈近來難波に、松浦東鷄といふ日者ありて、聖武天皇の天平年中に、吉備公の然は祭り替たる由云へり、其は暦博士加茂家などの傳と聞えたり、此を吉備公のわざと云ことは、其謂なきに非ず、其は牛頭天王暦神辨に委く云ふを見べし、○中略〉斯て其現人神の授け給ふ、暦説の謂ゆる天道、天德、歳德、月德、金神、八將神などの暦神はも、其元は唐土より説起せる事にも有れ、また其原由を探ぬれば、我が皇神たちの、最古く彼國の古に傳へ置給へる事なるを、〈此由は、赤縣太古傳に委く考へ記せれば、今更に云はず、〉當時はじめて唐土の暦法を用ひ給ふ時しも、其原の由來をば知食してや有けむ、知看さでや有けむ、其は今知べからねど、幸災の事實に徵して、慥(マサ)しき驗ある事のみを擇びて、彼よりは甚く易簡に、暦神の方位を立られ、其が中に、大凶方なる大歳を、大吉方に定め給へる抔を思ふに、總て凶をば解(ナゴ)め祭りて、彼よりは薄からしめ、今世までに暦に記して、分布し授け賜ふにぞ有ける、〈彼國の暦法よりは、甚く凶方位の數を減じて、吉方位を多く取給へること、今行はるゝ唐土の暦書侌易書の類ひの、各々某々に凶方位の多かるを皆集めて、年月日時に配し見よ、一年にわづかに數日ならでは、用ふべき日は有まじく、其に比べては、皇朝より授け給ふ御歴法の、易簡にして吉方位の多きを思ふべし、其は今の淸國にて授くる時憲暦と、皇朝の暦とを引合せ見ても知なむ物ぞ、因に云ふ、桃園天皇の寶暦五年乙亥、新暦を天下に頒布し給ふ、其暦本の首に、記させ賜へる事三个條あり、其第一に、暦面にいむ日は多しといへども、吉日は天しや、大みやうの二のみにて、世俗の日取足がたかるべし、仍て今天恩、母倉、月德、三の吉日を記して、知しむるものなりとあり、外二條はこゝに用なければ記し出ず、同六年の頒暦に、去年新暦面に記出す所の三ケ條、自今永く用て異る事なし、重て斷り示に及ばずとも宣へり、こはいと近き事なるが、彼これ思ひ合せて、吉暦ともに、天皇の御定めによる事なる由を悟べし、〉然れば其御正朔を奉ずる國民としては、己が私のさかしらを用ふること無く、一向に毎年の暦に載し授け給ふ、吉方、凶方、吉日、凶日の御諭しを受賜はりて、厚く信じ用ひて、後に渡れる漢籍どもに載し傳ふる吉凶の、暦法にわたる説どもは、聞起(タツ)まじき事にこそ、〈然るを今の俗に、家相方位を講ずる徒など、漫にかの新渡する 暦書侌易書どもに依りて、彼繁蕪なる吉凶方位、年月日時の説を和解し弘めて世を惑はすは、元より朝廷に御心ありて、用ひ給はぬ事をしも、私に世に出すにて、賊盜律に、凡造二妖書及妖言一遠流、傳用以惑レ衆者亦如レ之とあるに、當れる罪科なりとは知らずやも、〉

〔台記別記〕

p.0401 久安四年九月二十日乙巳、詣二東大寺一、〈放レ輪安二壇上一云々、〉禮二大佛一、奉二燈明一、〈○中略〉戌刻入洛披レ暦、今日無一三吉(○○)注一矣、

〔憲敎類典〕

〈四ノ九書物〉

p.0401 享保十三戊申年 一來酉の年の板行暦の終に、年の節と中とは、暦中第一の要所にて、耕作種蒔、或草木鳥獸にいたるまで、節季を違ふべからず、然るに暦の下段の内〈江、〉入交りて見へわかちがたし、廿四季の名、并時剋を別段に擧しるし、暦を開くに早速見へ安からしむ、また晝夜の數は、右の暦に記せりといへども、中半より斷絶せり、是又民間にしらしめんため、舊例にしたがひ、書入るゝ者也、 申八月 澀川六藏源則休 猪飼又次郞源久一 謹推數考定 來年之新暦之終の紙の書付之文言に、澀川六藏、猪飼又次郞、兩人之書面之通、加入板行可レ致候、若暦之終り詰り、加入難レ仕候はゞ、暦之袖に、兩人とも書記板行仕候樣被二仰付一候、 右加入之文言は、來己酉の暦計、右寺社奉行御連名にて、京都所司代牧野河内守殿〈江〉被二仰遣一候由、

〔誠齋雜記〕

〈丁未雜記五〉

p.0401 頒行暦前文〈○中略〉 寶暦五年乙亥暦 貞享以降、距二數十年一、用二一暦一、其推歩與レ天差矣、今立レ表測レ景、定二氣朔一而治二新暦一、以頒二之天下一、 一暦面にいむ日は多しといへども、吉日は、天しや、大みやうの二ツのみにて、世俗の最足がたか るべし、仍て今天恩、母倉、月德三ツの吉日を記して、知しむるものなり、 一彼岸の中日は、晝夜等分にして、天地の氣均しき時なり、前暦の注する所是に違へり、故に今より其誤を糺し、是を附出す、依て前暦の彼岸と春は進レ之、秋は三日すゝむものなり、 一晝夜を分つこと世俗の時取惑多し、仍て一たび翌の字を附出すといへども、なほ其惑解がたし、故に夜半より前を今夜と記し、夜半より後を今曉と記すものなり、 土御門 從三位陰陽安部泰邦 門人〈澀川圖書〉 天文生源光洪 明和四年丁亥 今まで頒給ふ所の暦、日月食三分以下は記し來らず、此たび命ありて、淺食といへども、ことごとく記さしむ、しかれども新暦しらべいまだをはらず、よりて今までの數にならふのみ、

〔春湊浪話〕

〈上〉

p.0402 雲珠を年號に畫 暦のとしの上に、雲珠を畫くことは、是を尊みてかふむらしむるなり、推古紀に、皇子諸王諸臣悉以二金髻華一著レ頭とありて、釋日本紀に、宇須は玉冠と注して、昔の冠なり、其形、今も賀茂祭の飾馬に殘れり、使の次將是に乘給ふ時は、雲珠を放ちて、手振の放免に雲珠をば持しめらるゝも、冠に擬したる故に、憚給ふ也、

〔鹽尻〕

〈三十五〉

p.0402 一暦家、春秋の彼岸會を書する事久し、昔は春分秋分の日を、中日にあたるやうにせし事、安倍家の暦本に見ゆ、近世は春秋二分より三日目をその初にし、六日目を中日とす、九日目を終りとす、古へは彼岸に入る日、沒日に値れば、一日を延て、次の日を入りとせし故實なり、貞享暦、沒日を用ひず、いつとても二分一日を隔て、彼岸の初とす、

〔草茅危言〕

〈一〉

p.0403 暦日之事 一暦ハ土御門家ノ司職ナレバ、外人ノ與リ知テ妄ニ議スベキニハ非ザレドモ、華域ノ暦ヲ傳ヘ見ルニ、サシテ替リタルコトモナシ、必竟我邦ノ暦ハ、華暦ヲ受テ作リタルモノユエ、今ソノ本ニツイテ議スベシ、總ジテ暦ノ肝要ハ、月ノ大小ヲタテ、干支ヲワリツケ、二十四氣ヲ配分シ、日食月食ヲシルシ、土用ノ入、八十八夜、二百十日ヲシルスナドノ數項ニ過ズ、其外ハ一切無用ニ屬ス、八將軍ナド、イツノ時ヨリ書出セルコトニヤ、暦法ニカツテアヅカルモノナシ、多分道士ノ方ノ名目ニテモアランカ、一向無稽ノ妄誕ナリ、世ニ中段ト稱スル建除ノ名ハ、暦法ニ古ク見エタルコトナレドモ、是又甚ダノ曲説ニテ、其外下段ト稱スル吉日凶日、ミナ言ニ足ラザルコトヾモトス、又方角ノ開塞ヲ云コト大ニ世間ノ害ヲナス、妄誕ナリ、サナキダニ天下愚昧ノ民、惑ヤスクシテ曉シガタキニ、暦書ニシカト書アラハシ示スユエ、マス〳〵惑ノ深クシテ、一向ニ曉サレヌコトニナリユキケリ、嘆ズルニ餘リアルコトナリ、先王ノ四誅ノ一ツニ、鬼神時日ヲ假テ以テ衆ヲ疑ガハスハ殺ストアリ、今ノ暦書ノ八將軍金神ハ、鬼神ヲカリ、中段下段ハ時日ヲカリ、皆以テ衆人ヲ疑惑セシムルノ尤ナレバ、マサシク先王ノ誅ヲ犯シタルモノナリ、實ニ深ク制禁ヲ加ヘ、大ニ暦書ヲ改メタキモノナリ、〈○中略〉 一正朔ハ、先王ノ制ニテ、唐虞ノ際、羲和ノ暦象ヨリコノカタ、王政ノ一重事タリ、周室ニ、暦ヲ諸侯ニ頒チ、國々ニテ告朔ノ禮アルコトナド、民事ヲ重ンズルノ至要タリ、我邦古代ノコトハ、クダクダシク云ニモ及バズ、今日ニ至リ土御門家ヲ以テ、コレヲ統ラレ、關東ニテ司暦ノ御設ケモ、土御門ノ門人トシテ、事ヲ行ハセラルレバ、コレ以テ天下御代官ノ御心ニテ、元ヨリ間然ナカルベキ御事ナルベシ、但シ伊勢暦、三島暦ナド云類、ヤハリ關東司暦ノ命ヲ受テ作ルコトナレドモ、其地ニテ各自ニ造リ出シテ、天下ニ布事ユエ、モシ愚ノ所レ謂淨潔暦ノ行ナハルヽ時節モ至ラバ、他ヨ リ出ル暦ヲ、一切ニ堅ク制シテ、舊ヲ舍テ新ニ就シムベシ、官暦イカ程淨潔ニナリテモ、他暦ニ舊態存スレバ、世間ニテハ、却テ官暦ヲ疎略トシ、他暦ヲ詳密ト思ヒテ、宿惑ツヒニ解ベカラズ、何トゾ蜻蛉洲中ニ、日ノ吉凶、方ノ開塞、此方木ヲキラズ、ヨメ取ラズナドノ妄誕、地ヲ拂ヒテ絶果ルヤウニアリタシ、薩摩ハ昔ヨリ別ニ推歩シテ、一國ニ用ル暦ヲ造ラルヽ由ナリ、是ハ極西南ノ地ニテ、北極出地度、晝夜ノ刻限、日食ノ數ナド、少々ノ差異モアルユエノコトナリ、尤コレモ土御門ノ徒弟トシテ、別ニ門戸ヲ立ルニテモナケレドモ、侯國ニテ造暦アルコトハ、イカヾシキコトナリ、ソノ上サキニ、薩暦ヲ閲セシニ、晝夜刻限ノ外ハ、何モ官暦ト替リタルコトナシ、是マヅ空疎ナルコトナリ、サテ日ノ吉凶ノ名目同ジカラズシテ、ソノ數モ甚多キヤウニ覺エタリ、是ハ又拘滯ノ益甚シキモノニテ、人ノ惑ヲ生ズルモ更ニ多ク、別シテ無用ノ長物ナルベシ、尤モ一國ギリニテ外ヘ傳播ハナキ暦ノコトニテハアレドモ、同ジク土御門ヨリ受タル法ニ、異同アルベキヤウナシ、何トゾ是ヲ以テ禁切ノ方アルベキモノニヤ、

〔憲法類編〕

〈二十一國法〉

p.0404 壬申〈○明治五年〉十一月廿四日第三百六十一號御布告 今般太陽暦御頒行ニ付、來明治六年限、各地方ニ於テ略暦板刻被二差許一候條、出板販賣致度者ハ、草稿ヲ以テ其管轄廳ヘ願出許可ヲ可レ受事、 但略暦ハ御頒行太陽暦ヲ標準ト可レ致、舊暦中歳德金神日ノ善惡ヲ始メ、中下段中掲載候不稽ノ説等增補致候儀、一切不二相成一候、尤世上辨利ノ爲メ、時刻表等加入候儀ハ不レ苦候事、

〔憲法類編〕

〈二十一國法〉

p.0404 暦上年日トモ干支記載ノ事 六年五月廿九日文部省ヘ御達 太陽暦御頒行ノ節、干支ヲ除キ候處、既往ノ年日推歩候ニハ、干支相用候方便利ニ付、自今暦上ニ年日トモ干支記載可レ致事、

造暦

〔朝野群載〕

〈十五陰陽道〉

p.0405 暦道 請乙殊蒙二天裁一因二准先例一以二從五位上行陰陽頭兼陰陽博士賀茂朝臣成平一依下造二進御暦一(○○○○)并頭博士等勞上被甲レ叙二一階一状 一成平朝臣身勞 叙勞三十八年 陰陽頭勞十七年 同助勞九年 陰陽博士勞三十四年 造二進御暦一勞三十一年 陰陽寮造作功勞〈五間三面板葺屋一宇、十一間板屋一宇、〉 一博士外蒙二造暦宣旨一(○○○○○)輩、朔旦冬至預二勸賞一例、 保憲朝臣、天延二年十一月叙二從四位下一、 道平朝臣、延久元年十一月叙二從四位下一、 道言朝臣、寬治二年十一月叙二從四位下一、〈○中略〉 右去寬治二年朔旦冬至、當道儒者、殊被レ賞之中、成平一人已漏二其恩澤一漏二朔旦冬至賞一之者、追蒙二勸賞一者例也、近則權博士大中臣榮親是也、而丹心徒竭、恩渙未レ覃、今浴二加級之恩一、誰謂二非據之例一、〈○中略〉 長治二年二月廿一日 從五位上行陰陽助兼權暦博士丹波權介賀茂朝臣家榮 從五位上行大炊頭兼暦博士丹波介賀茂朝臣光平 從五位上行陰陽頭兼陰陽博士賀茂朝臣 從四位下行主計頭兼備後介賀茂朝臣道言

〔中右記〕

p.0405 長承二年六月六日庚寅、今朝藏人兵部大輔來仰云、應レ令三陰陽頭賀茂朝臣家榮、暦博士相共造二進御暦一者、任二舊例一、仰二下左中辨實親朝臣一了、件家榮先日辭二暦博士一了、然而先例有二此宣旨一也、

〔玉海〕

p.0405 建久二年十一月十九日甲子、晩頭右兵衞督兼光來、〈○中略〉此間式部大夫基業〈顯業子、俊經弟也、儒士也、〉參上、以二宗賴一問二造暦之間事一、今年十二月有レ閏、而件基業可レ置二明年二月一之由所レ申也、仍奏二事之由一、可レ尋二唐暦一之由被レ仰二都督一〈○藤原光隆〉了、其上基業注二進子細一、仍參上可二申上一之由、依二召仰一所二參入一也、基業申云、任二百注 經之説一、明年二月可レ有レ閏之由所レ申也、加之今年三合之災年也、凶年之習以レ有レ閏爲レ重、而幸閏在二明春一、尤可レ被二改置一歟、凡漢家之法、六十年一度有二差分之法一、我朝不レ知レ之、仍有二如レ此之違亂一、造暦有二十二ケ條之説一、〈信西之説也云々〉而我朝博士只知二其十一一、未レ知二第十二之秘説一、所レ謂改作更注之説也、依レ不レ知二此説一有レ過云々〈雖レ多二子細一悉不レ能二記録一〉余仰云、伺二他道一申二此事一尤可レ感、且是可レ謂レ存レ忠歟、但以二此等申状一被レ問二暦道一、可レ有二沙汰一之由仰了、即奏二事之由一、可レ問二暦道一之由仰二宗賴一了、

〔譚海〕

〈一〉

p.0406 暦は、江戸にて出來る也、天文役所にて出來、封じて官へ奉る、段々執政へ達し、夫より封のまゝにて、土御門家へ遣され、土御門にて開封有、中段下段へ、陰陽家の吉凶を加筆し、板行せられ、其板本を、土御門より官へ奉り、夫より町奉行所へ下り、夫より町年寄年番のものへ給り、夫より暦問屋十一人のものへ給り、淸書開板、官のしらべをへて、さらに商賣免許の旨を得、あきなふ事也、 寫本暦と申は、貞享元年以來、江戸天文方に而推歩し、年々大小節氣日蝕月食、其外暦法にて考し分相認、京都幸德井陰陽助方へ遣し、上中下段吉凶附を加へ、暦面之通に書寫し、江戸へ指下す、天文方に而改之上、又々幸德井方へ遣、相違無レ之間、大經師へ寫本暦彫刻被二申付一候樣申達候、出來之上、幸德井方にて、一應校合、相違も無レ之候得ば、其段申渡、寫本暦摺立、下役包紙面添封し候て、彼地町奉行所へ差出す、則宿次にて、奉行手帖添、御城へ到來す、御目付衆より差越さるゝなり、 但寶暦甲戌元暦御用ひの間は、土御門家著述故、寫本暦彫刻の事も、土御門家のはからひなりしよし、

造暦用途

〔延喜式〕

〈十六陰陽〉

p.0406 凡造レ暦用度者、御暦三卷〈二卷具注、一卷七曜、〉料上紙一百廿張、〈請二圖書寮一、册七張具注暦(○○○)料、廿三張七曜暦(○○○)料、五十張破損料、雖レ有二閏月一、不レ加二其料一、〉麻紙四張、〈褾紙料、請二内藏寮一、〉上墨大半廷、〈請二圖書寮一〉上朱沙三兩、〈請二藏人所一〉菟毛筆十二管、〈請二圖書寮一〉膠一兩、〈請二大藏省一〉花軸三枚、〈請二木工寮一〉白綺三條、〈別長一尺六寸、請二内侍所一、〉中宮東宮各二卷、其料亦准レ此、〈破損料、在二御暦料五十張内一、〉頒暦(○○)一百六十六卷、料紙 二千六百五十六張、〈卷別十六張、有二閏月一年、卷別加二二張一、〉褾紙料紙五十六張、〈以二一枚一充二三卷一〉草案料一百廿九張、〈暦草廿四張、日度草十五張、月度草十五張、交蝕草五張、五星度草五十張、五星行草廿張、〉暦本三卷料九十張、〈卌七張具注本料、廿四張七曜本料、十九張頒暦本料、〉墨十二廷半、〈頒層并草本料以二一廷一充二二百卅張一、〉鹿毛筆九十八管、〈已上紙筆墨、並請二圖書寮一、〉糊料大豆三升三合、〈請二大炊寮一〉檜軸一百六十六枚、〈請二木工寮一〉竹十六枚、〈山城國所レ進〉切二續紙一料机二前、〈長四尺、廣一尺八寸、厚三寸、高七寸、隨レ損受二木工寮一、〉座料長疊四枚、〈請二掃部寮一〉砥一顆、〈請二大藏省一〉裝潢手單卌五人、寫二御暦一手單五十五人、〈並圖書寮人〉食米人別日一升六合、鹽一勺六撮、醬滓二合、雜魚二合、寫二頒暦一手卅一人、〈諸司史生廿三人、内豎四人、大舍人四人、並不レ在二給食之限一、〉 右並具勘録、五月一日申レ省請受、 黑漆函三合〈長各一尺二寸、廣三寸八分、深二寸四分、〉 黑漆机二脚 別足一脚〈長三尺、廣一尺三寸七分、高三尺、〉 搨足一脚〈長三尺、廣一尺三寸、高三尺、〉 已上納二御暦一 納二頒暦一(○○)赤漆韓櫃一合〈長二尺三寸、廣一尺二寸、深一尺三寸、居二黑漆筥形一加レ朸、〉 布綱三條〈一條長一丈二尺、廣二寸四分、二條長各四尺六寸、廣一寸二分、〉 右漆函等收二寮庫一、至二奏日一出用レ之、若有二破損一、申レ省修造、

〔本朝世紀〕

p.0407 天慶四年十一月一日丁巳、中務省率二陰陽寮暦博士等一、依レ例候二御暦頒暦一、而今日天皇〈○朱雀〉不レ御二南殿一、仍上卿仰二外記一、御暦即付二内侍一令レ奏、又頒暦(○○)進二於局一了、件頒暦、皆先例其數只十一卷也、彼寮申云、所司稱レ無レ紙(○○○○○)、未レ行二料紙一、仍且隨レ有所二書進一也、相次又々可二催進一云々、

〔朝野群載〕

〈十五陰陽道〉

p.0407 陰陽寮解 申下請寫二來年料暦一用物上事 合暦百七十九卷 料紙三千三百卅九張 麻紙十枚 御暦縹紙料 御暦十三卷料、紙屋紙三百六十張、御七曜一、院太皇太后宮、皇太后宮、中宮、東宮、各一所上頒暦百六十六卷料調上紙二千九百卅一張〈各一卷卅七枚〉 筆百卌〈○卌、一本作レ卅、〉二管 兎毛筆卅四管〈御暦料〉 鹿毛筆九十八卷〈頒暦料〉 墨十五廷 上三挺〈御暦料〉 中十二挺〈頒暦料〉 軸百八十一枚 花軸十九枚〈御暦料〉 檜軸百六十六枚〈頒暦料〉 上朱砂十一兩 綺一〈○一、一本作レ二、〉丈五尺五寸〈御暦料〉 上絹三丈〈大豆篩料〉 阿膠三兩 礪一面 長疊四枚 〈○ 、一本作レ 、〉十七棟 白米六石七斗七升五合〈五石造案御暦博士、并生徒書手等間食料、一石七斗七升五合、圖書書手裝潢等單九十六人、〉 大豆五升〈紙續料〉 鹽一石二斗四合〈一石造案御暦博士并生徒書手等料、二斗四合圖書書手裝潢等單九十六人料〉 腊魚一斗九升二合 同書手裝潢裝束等料 滓醬一斗九升二合 同書手裝潢等料 寫二頒暦一書手廿九人、大舍人四人、〈各一卷〉内豎二人、〈各十卷〉諸司大士〈○士、一本作レ工、〉廿二人、〈各四卷〉 已上目録 麻紙十枚〈下二中務一〉 紙屋紙三百六十張 調上紙二千九百卅一張 兎毛筆廿四管 鹿毛筆九十八管 上墨三廷 中墨十二廷 花軸十九枚〈左辨官下二木工寮一〉 檜軸百六十六枚 上朱沙十一兩〈官下二中務内藏一〉 綺二丈五尺五寸、上絹三丈〈下二大藏一〉 阿膠三兩 礪一面 長疊四枚〈左辨官下二宮内一〉 山城國 拾漆棟 白米六石七斗七升五合〈下二宮内一〉 大豆五升、鹽一石二斗四合、〈下二宮内一〉 腊魚一斗九升二合 滓醬一斗九升二合、寫二頒暦一書手廿九人、〈官下二宮内一〉 右寫二來万壽三年暦一料、用度雜用料、依レ例陰陽寮所レ請如レ件、 万壽二年七月四日 左少史小野朝臣奉政 左大臣宣旨宛レ之 右少辨藤原朝臣

奏暦

〔公事根源〕

〈十一月〉

p.0408 御暦奏 一日 中務省より明年の暦を奉るを、むかしは主上南殿に出御なりて是を御覽あり、出御なき時は内侍所につく、白虎通に、周の世には十一月を正月とす、是を暦家に天正月といふ、殷の代には十二月を正月とす、地正月といふ、夏の世には今の正月を正月とす、人正月といへり、十一月は一陽はじめて生る月なれば、一年の暦數をかんがへて、今日天子に奉るなるべし、我朝に暦のはじまりし事は、欽明天皇十四年、百濟の博士が奉りけるとかや、

〔天朝無窮暦〕

〈六〉

p.0409 暦朝の御紀に、毎年十一月朔日の下に、進二御暦一よし載されたるは、即是なり、但し此は具注暦なるが、彼七曜暦は、正月元日朝賀の後に進らるゝ例にて、御紀に中務省奏二七曜暦一とある是なり、〈其儀も内裡式に見えて、大抵右の十一月一日の式に同じ、また延喜の中務省式にも出たり、〉さて十一月は、建子の月にて、其中氣、冬至に入る日は、來年の歳首にして、謂ゆる一陽來復の時なる故に、此一日に具注御暦を進奉せしめ、正月一日よりして、新年なれば、其年の七曜の所在を知食さむとて、七曜暦を進らしめ給ふなり、〈政事要略に、私問、以二十一月朔一爲下奏二御暦一期上、若有レ故乎、答、慥無二所見一、但暦家説、白虎通云とて、例の三統の説あれど信ひがたし、然て具注は、既に云へる如く、種々の日者説を具注せる暦なる故に、具注といひ、七曜暦は、日月五暦の行度所在を記せる暦なる故に、かく名けたるが、七曜、具注、共に月行を經とし、節氣を緯として、日次に月次に配する法なる故に、大陰暦(○○○)といふ、其は月を主とせる義なり、然はあれど、中氣なきを以て、閏月に立るは、自然に日行は主の如く、月行は客の如き道理をば免るゝことの能はざるなり、〉

〔令義解〕

〈十雜〉

p.0409 凡陰陽寮、毎レ年預造二來年暦一、十一月一日、申二送中務一、中務奏聞(○○○○)、〈謂不レ經二太政官一中務直奏聞也〉内外諸司各給二一本一、〈謂被管寮司、及郡司者、省國別寫給、〉並令三年前至二所在一、

〔延喜式〕

〈十一太政官〉

p.0409 凡陰陽寮造二新暦一畢、中務省十一月一日奏進、其頒暦者、付二少納言一、令レ給二大臣一、大臣轉付二辨官一、令レ頒二下内外諸司一、

〔延喜式〕

〈十六陰陽〉

p.0409 凡進レ暦者、具注御暦二卷、〈六月以前爲二上卷一、七月以後爲二下卷一、〉納二漆函一安二漆案一、頒暦一百六十六卷、納二漆櫃一著レ臺、十一月一日至二延政門外一、〈中宮東宮御暦供進准レ此〉其七曜御暦、正月一日候二承明門外一、〈並見二儀式一○中略〉 凡暦本進レ寮、具注御暦(○○○○)八月一日、七耀御暦(○○○○)十二月十一日、頒暦六月廿一日、並爲二期限一、

〔内裏式〕

〈上正月〉

p.0410 元正受二群臣朝賀一式〈○中略〉 兩門開訖、闈司二人出レ自二靑綺門一、分二坐逢春門南北一、大舍人詣二門外一叫レ門曰、御暦進〈牟止、〉中務省官姓名等〈謂二輔以上一〉候レ門〈止〉申〈○註略〉闈司、就レ位奏、〈他皆傚レ此〉勅曰、令レ申二闈司一復レ座傳宣云、姓名等〈乎〉令レ申〈與、〉大舍人稱唯、〈他皆傚レ此〉中務省率二陰陽寮一、舁二置レ暦之机一、入レ自二逢春門一〈他皆傚レ此〉立二庭中一退出、輔已上一人留奏進、其詞曰、中務省奏〈久、〉陰陽寮〈乃〉供奉〈禮留、〉其年七曜御暦(○○○○)進〈禮樂久乎、〉恐〈美毛〉申賜〈止〉奏、〈○註略〉奏事者出、闈司共進舁レ机升二殿東階一、安二南榮一、即降立二階下西一、内侍持レ函奉覽訖、返置二机上一、〈暦留二御所一〉闈司升、却レ机安二本所一還就二戸内位一、

〔儀式〕

〈十〉

p.0410 十一月一日進二御暦一儀 當日平旦、中務率二陰陽寮一候二延政門外一、大舍人叫レ門如レ常、闈司就レ版奏云、御暦進〈止、〉中務省輔姓名叫レ門故〈爾〉申、勅曰令レ奏〈與、〉闈司傳宣云、令レ申二姓名一、輔丞各一人、寮頭助各一人、舁二御暦案一、寮允屬各一人、舁二頒暦櫃、〈若允屬不レ足者、大舍人代レ之、〉共進入レ自二日華門一置二於庭中簀上一、〈御暦在レ北、頒暦在レ南、相去一丈許、〉退出、輔便留就レ版奏云、中務省申〈久、〉陰陽寮供奉〈禮留〉其年〈乃〉御暦、又人給暦進〈良久乎〉申給〈波久止〉申、〈無二勅答一〉訖即退出、闈司二人入レ自二左掖門一舁二御暦机一安二簀子敷上一、即内侍持レ函奉覽、闈司便候二南階西下一、奉覽訖、闈司却レ机安二本處一退出、即少納言率二内豎六人一入レ自二日華門一舁レ机退出、大臣即以二頒暦一賜二太政官一、轉二付辨官一令レ頒二下内外諸司一、

〔北山抄〕

〈九羽林要抄〉

p.0410 十一月朔日奏二御暦一、其儀度二下器一後、番奏之前、中務省奏進、同二元日儀一、但闈司退出後、少納言率二内豎六人一參三入自二日花門一、先舁レ案退出、次少納言令レ舁レ櫃退出、二孟之外無下厨家御贄、奏樂、唱二見參一等事上、但撤二御膳及臣下饌一、其儀、三獻了、安二御箸一、采女撤二御膳一之比、出居次將召二内豎一、二聲、内豎稱唯、即仰曰、數多參來、内豎等參上、撤二臣下饌一、〈乍二大盤一撤レ之、事未レ畢還御者无二此儀一、〉訖親王以下退下、天皇還御、出居次將留稱二警蹕一、

〔三代實録〕

〈一淸和〉

p.0410 天安二年十一月戊午朔、是日陰陽寮所レ進明年暦付二内侍一奏、

〔三代實録〕

〈三淸和〉

p.0410 貞觀元年十一月壬子朔、陰陽寮奉レ進二明年御暦、並頒暦一、帝不レ御二前殿一、付二内侍一奏、

〔本朝世紀〕

p.0411 天慶元年十一月廿五日戊辰、酉四刻大納言平伊望卿參入、今日御物忌也、仍上卿令三外記仰二諸司一、以二御暦一付二内侍司一、即退去、件御暦須下以二十一月朔日一奏上レ之、而諸司懈怠間奏二事由一云、正權暦博士二人各有二諍論一、仍可レ被二一定一之由言二上於官一、十月十九日可レ用二權暦博士茂經本一之宣旨下二所司一、其後雖レ令二催寫一、不レ遂二早書一畢云々、公家重勘云、十九日以後有二十箇日許一、其程可二寫畢一、若又不レ可二出來一者、注二其由一可レ聽二裁下一、而徒然所レ怠不レ可レ然云々、即乍二一官一令レ進二過状一、奏聞了、仍公家令三大外記三統公忠勘二申御暦可レ奏之日一、勘申云、撿二國史一、去天長十年十二月癸未朔甲申、〈今按、國史或作二甲子一、是誤也、何者已謂二癸未朔一、此月内不レ有二甲子一、可レ謂二甲申一、是二日也〉陰陽寮進二御暦并頒暦一也、恒例在二十一月朔一、而暦博士外從五位下刀伎直淨濱卒後、忽無二相繼之人一、遣レ召下識二暦術一者遠江介正六位上大春日良棟上、乃令レ造レ之、所以于レ今延引者、依二件勘文一相定、以二今日一令レ奏二件御暦一、但陰陽寮怠未レ被二免許一、只令二此間供奉一許也、令三法家勘二申其所當之罪一、隨二其勘状趣一可レ被二定行一云々、

〔吉記〕

p.0411 元暦元年十一月一日、黄昏參内、今日依レ可レ有二御暦奏一也、欲二著陣一之處、召使來云、外記未レ參、重遣レ召了云々、仍暫候二殿上方一、頃之召使來云、外記參入了、次予向二陣座一、外記長衡參二進小庭一申二御暦奏候之由一、仰曰、暫令レ候〈ヨ、〉外記稱唯退入、次召二官人一、〈二音〉官人參二小庭一、可レ召二藏人一之由仰之、官人經下向二殿上方一、次藏人式部丞高階泰能經二軒廊一欲レ來、幼少之間不レ辨レ之歟、予令二追入一、了次經二宣仁門一出來、予奏曰、御暦奏、藏人歸來、仰云無二出御一、付二内侍所一〈ヨ、〉次予以二官人一召二外記一、如レ初參二進小庭一、予仰云、御暦令レ付二内侍所一〈ヨ、〉外記稱唯退入、次予退出、

〔玉海〕

p.0411 壽永二年十一月一日辛卯、此日朔旦冬至也、依レ爲二即位已前一不レ出二御南殿一、只奏二賀表一付二御暦(○○)於内侍所一、

〔康富記〕

p.0411 文安元年十一月一日丙子、御暦奏被レ付二内侍所一、博士頭在盛朝臣一人加署、權博士在成朝臣爲二重服一故也云々、

〔看聞日記〕

p.0411 應永廿四年十二月十九日、新暦二卷八卦等、在弘進レ之、

〔宗建卿記〕

p.0412 享保十五年五月廿八日、予申云、來月一日日蝕也、件日古來宣下之事有レ之哉、殿仰云、朔旦冬至日蝕有レ之、於二平座一被レ行レ之、於二賀表一者後日上レ之、又御暦奏依二日蝕一二日奏レ之(○○○○○○○)、於レ然者、於二當時一も宣下之事不レ可レ然之由也、

頒暦

〔延喜式〕

〈十八式部〉

p.0412 凡陰陽寮寫暦書手者、簡二取諸司史生一充、其頒二諸國一暦者、省令二朝集雜掌寫一レ之、

〔俗神道大意〕

〈二〉

p.0412 マタ御師ヨリ、諸國ヘクバル御祓箱ニ添テ、土産トシテ、ノシアハビナドヽ、新暦ヲ配ル事モ、戰國ノミギリハ、遠國ナドデハ京都ヘ遠イニ依テ、暦ヲ求メル事容易ニハ出來ヌ、ソコデ右ノ代官共ヘ、外ノ品ヲ土産ニ持參致スヨリハ、何卒京都ヨリ暦ヲ求メクレヨト、所々カラ賴マレル、ソコデ求メテ送リ〳〵致シタル所ガ、イツトナク伊勢カラ暦ヲ配ル事ニ成タモノト申ス事ヂヤ、

〔憲法類編〕

〈二十一國法〉

p.0412 弘暦者ノ外暦取扱ヲ禁ズルノ事 庚午四月廿二日御布告 頒暦授時之儀ハ、至重之典章ニ候處、近來種々之類暦、世上ニ流布候趣、無レ謂事ニ候、自今弘暦者之外取扱候儀、一切嚴禁被二仰出一候事、

〔第二憲法類編〕

〈二十一國法〉

p.0412 頒行暦ヲ仕立替、或ハ飜刻等不二相成一ノ事、 明治六年一月十八日、第二十號府縣ヘ御布告、 壬申第三百六十一號、第三百六十二號布告、略暦板刻ノ儀ハ、從來柱暦ト唱ヘ、一枚摺ノ品ニ有レ之候處、頒行暦ヲ其儘小本ニ仕立、又ハ飜刻致シ候類ヲモ略暦ト相心得、地方官ニ於テ出板差許候向モ有レ之、不都合ノ事ニ付、以來右等ノ儀無レ之樣可レ致候、此段爲二心得一相達候事、

刊暦

〔好古小録〕

〈下〉

p.0412 暦日ヲ印行スルコト、何ノ時ニ始ルニヤ、天正中ノ印行暦日稀ニ存ス、又活板國字暦アリ、天正已前ノ者ト云、印板ノ片假名暦アリ、余〈○藤原貞幹〉缺本ヲ藏ス、首尾破裂シテ、年號考フベカ ラズ、

〔好書故事餘録〕

〈二〉

p.0413 摺本 伊豆國加茂郡松崎村ニ、俊乘院ト云フ禪刹アリ、往歳、寺僧古キ屏風ヲ剥テ、建久九年戊午ノ印行古暦ヲ得タリ、〈或人云、此暦、其時年紀歳月ト合ハズト、追考スベシ、〉編次シテ完全ス、守重ガ知友村上某、伊豆ニ往テ摹傳シ、予ニ一册ヲ送レリ、其暦首ニ、いせごよみト題シテ、六十州ノ圖アリ、上頭ニ傳暦抄狂歌アリ、〈守重ガ知ル所内藤某、嘗テ慶長年間、裝治セル古屏風ヲ剥シテ、古暦ヲ得タリ、上段ニ時候ノ歌アリ、古製ナルベシ、〉其上中下段、大概今暦ノ體裁ノ如シ、是現存板暦ノ最古ナルモノナルベシ、

〔享保集成絲綸録〕

〈三十五〉

p.0413 享保三戌年九月 一來亥之暦、板行之儀、板木屋拾壹人〈江〉寫本相渡、暦類板行商賣申付候、依レ之右拾壹人より外、脇々に而暦類板行一切仕間敷候、若相背板行仕候者有レ之候はゞ、急度可二申付一候也、 九月

〔敎令類纂〕

〈二集七十七〉

p.0413 寶暦二壬申年十二月 御勘定奉行〈江〉 諸方暦板師共、例年板行出來之上、爲二校合一摺立之暦本、土御門家、并天文方〈江〉差出來候、然處三島暦師より、校合暦不二差出一候由に候間、校合暦、土御門家〈江〉差出候樣可レ被二申渡一候、

〔市中取締類集〕

〈九ノ七十八〉

p.0413 寅四月十八日南御役所取締方〈江〉差上申候 町年寄 諸問屋組合御差止ニ付、以來暦取計之儀勘辨仕可二申上一旨被二仰渡一候、 此段、暦之儀者、別紙申上候通、年々元本、上ゟ御下ゲ、是迄は暦問屋拾壹人〈江〉相渡、右之者共、板行仕候品々、天文方〈江〉差出し、校合相濟、夫ゟ兩御役所〈江〉御披見暦差上、町觸等も仕候に付、外品と 違、更に勝手次第に罷成候節は、元本渡方、其外取締に拘り候間、以來左之通可レ被二仰付一候哉、 一暦元本、大概年々八月御下ゲ相成候に付、當年ゟ、右前月七月中、書物掛名主〈江〉申渡、來年之暦板行仕度相願候者は、名前書、右名主方〈江〉可二差出一、旨觸達爲レ仕、尤名前差出候而も、一向是迄板木に不レ携もの、又は御寫本も相渡候ニ付、其日稼之類は相除、人數多少は、其年之振合に任、一紙請證文取レ之、御寫本暦相渡、是迄之通、板行出來之刻、天文方〈江〉差出改濟、御披見暦可二差出一旨申渡、其年書上之人數之者〈江〉商賣被二仰付一、其旨町觸可レ被二仰渡一候哉、 右之通、年々商賣人取調、暦板行被二仰付一候はゞ、其時々之人數ニ罷成可レ然候哉、猶御賢慮被二成下一候樣仕度奉レ存候、依レ之此段申上候、以上、 寅四月 館市右衞門 樽藤右衞門

〔府内備考〕

〈十三淺草〉

p.0414 頒暦調所〈又測量所と云○中略〉 右板下寫本暦、大經師彫刻摺立差出、役所に而吟味之上進達し、所々奉行領主〈江〉御渡之上、銘々板行出來次第、九月晦日迄校合暦差出、役所に而讀合校合之上、不レ宜所は爲二相直一候上、早々賦暦賣暦被二申渡一候樣、奉行相達、右暦師共へ、直し之箇所書付、校合濟之押切書付、下役添簡を以申進ス、

暦書

〔續日本紀〕

〈二十孝謙〉

p.0414 天平寶字元年十一月癸未、勅曰、如聞、頃年諸國博士醫師多非二其才一、託請得レ選、非二唯損一レ政、亦无レ益レ民、自今已後、不レ得二更然一、其須レ講〈○中略〉暦算生者、漢晉律暦議(○○○○○)、九章(○○)、六章(○○)、周髀(○○)、定天論(○○○)、並應二任用一、被レ任之後、所レ給公廨一年之分、必應レ令レ送二本受レ業師一、如レ此則有二尊レ師之道終行、敎レ資之業永繼一、國家良政莫レ要二於玆一、宣下告二諸司一早令中施行上、

〔續日本紀考證〕

〈七孝謙〉

p.0414 漢晉律暦〈暦下當下依二永正本、金澤本、堀本、及三代格一增中志字上、按漢書晉書、並有二律暦志一(○○○)是也、〉議〈當下依二永正本、金澤本、堀本、及三代格一作中大衍暦議(○○○○)四字上、唐志僧一行大衍暦一卷、暦議十卷、即此、○中略〉周髀、〈見二天平三年三月攷證一〉定天論〈隋志定天論三卷、現在書目録亦載レ之、按、唐志有二虞喜安天論一卷一、疑亦此、〉

〔享祿本類聚三代格〕

〈十七〉

p.0415 太政官符 應レ加二行暦書廿七卷一事 大衍暦經(○○○○)一卷 暦議(○○)十卷 立成(○○)十二卷 略例奏草(○○○○)一卷 暦例(○○)一卷 暦注(○○)二卷 右得二中務省解一偁、陰陽寮解偁、頭從五位下兼行暦博士家原朝臣郷好牃状云、謹撿二案内一、依二去天平寶字元年十一月九日勅書一、以二大衍暦經一勘二造暦日一既尚矣、而貞觀三年六月十六日格偁、停二大衍舊暦一用二宣明新經一者、據二此新經一造二進御暦一、漸經二年序一、今撿二件宣明經目録一、唯有下勘二經術一之書上、無二相副暦議之書一、望請依二前後格一、相二副大衍宣明兩經一、爲二道業經一、但勘二造暦日一、用二宣明經一者、寮露二牃状一所レ陳有レ道、仍申送者、省依二解状一謹請二官裁一者、大納言正三位兼行左近衞大將陸奧出羽按察使源朝臣多宣、奉レ勅依レ請、 元慶元年七月二十二日

〔日本國見在書目録〕

p.0415 暦數家〈百六十七卷如レ本〉 〈暦術 九章 漏剋海嶋 算〉 章程纂要三 玄鏡宿曜一 漏剋經三〈朱史撰〉 漏剋銘一 暦疏一 長暦四 立成暦一 六甲一 周暦一 廿四氣用箭暦一卷 尚書暦一 正暦術四 三等數暦一 大術暦術一 大術立成十二 元嘉暦一 麟德暦八 儀鳳暦三 九章九卷〈劉徵注〉 九章九卷〈祖中注〉 九章九卷〈徐氏撰〉 九章術義九〈祖中注〉 九章十一義一 九章圖一 九章乘除私記九 九章妙言七 九章私記九 九法算術一 六章六卷〈高氏撰〉 六章圖一 六章私記四 九司五卷 九司算術一 三開三卷 三開圖一 海島二 海島一〈徐氏注〉 海島二〈祖仲注〉 海島圖一 綴術六 夏侯陽算經三 新集算例一 五經算二 張丘建三 元嘉算術一 孫子算經三 五曹算經五〈甄鷰撰〉要用算例一 中星暦三 暦例一 注疏一 暦注二 婆羅門陰陽算暦一 記遺一 五行算二

〔病間長語〕

〈三〉

p.0416 簠簋内傳(○○○○)は、宿曜經などより僞作したるものと見えたり、今の暦家はこれより出ることも多からんと思はる、

〔暦林問答集〕

〈序〉

p.0416 貞觀之初、大春日眞野麻呂、又天德之末、吾祖司暦博士賀茂保憲、博考大成而所レ獻之暦、天數不レ違、所レ傳莫レ不二規模一、然歳々時々、愚師野巫之僻説多起、正理錯亂矣、故今剪二截煩浮之辭一、採二機要之説一、號曰二暦林問答集一(○○○○○)來喆、補二其闕一焉、 應永〈甲午〉孟春日 正儀大夫司暦博士賀茂在方書

〔日本長暦〕

〈序〉

p.0416 持統天皇以來、所レ行之暦、未レ有二攷レ之者一、舊記所レ載之支干亦不レ知二其當否一、往々以レ誤傳レ誤而已、於レ是上古則從二日本紀一立二古暦之法一、中古以下則據二世々所レ行之暦一以推二算之一、名曰二日本長暦一(○○○○)、〈○中略〉 貞享二年歳次乙丑長至日 司天生保井算哲源春海謹序

〔自娯集〕

〈七〉

p.0416 授時暦翼解序 吾同邑人和田三立、夙好二推歩之術一、從二學於星野氏一、于レ此有レ年矣、業レ醫之暇覃レ思研精、幾至レ忘二寢食一、依二據于暦志一、推明發揮作二授時暦翼解十卷一、吾披二閲其書一、精覈詳明如レ指レ掌、可三以爲二暦學之龜鑑一、初吾思、古今人不二相及一、今吾於二斯人一乎改レ是、書既成求二序於予一、予嘉三其術之明二于世一、故書以贈レ之、元祿庚午仲冬幾望、

〔仰高録〕

p.0416 暦術の義、宣明暦(○○○)、授時暦(○○○)此外阿蘭陀暦(○○○○)、李瑪竇の暦法(○○○○○○)などゝ申ごとき、彼是も暦法共被レ遊二御訂御考一、或御尋問等、數度の事也、尤其筋御書籍の事は、一々不レ及レ記、奧御書物之内にても、天經或問(○○○○)、算法統宗、算學啓蒙、綴術算經、竿頭算法、兩儀集説(○○○○)、天文義論(○○○○)、右旋辨論(○○○○)、虞書暦象略解(○○○○○○)などゝいへる御書は、平日御傍にみえたり、尤此中、末の三部は、西川如見著候歟と覺候、此外御文庫よりは、數數御用に出、算學全書、西洋暦經(○○○○)、或割圓八線の表、同八線互求法、同勾股八線の表などゝ申御書、暫奧に留り有レ之而、先覺居候、

〔暦法新書〕

〈敍〉

p.0416 我神州六改レ暦、自二貞享甲子一距算七十年、而今聖明在レ上、五雲開、三秀臻、黄閣列レ下、六符輝、 五才高、邇育二黎庶一、遠察二轉蓋一、於レ是命レ臣改二修暦法一、臣 惼愚陋之質、雖レ未レ足レ果レ事、而復無下宜二固辭一之力上、只因二循于先儒衆説、及梅氏春海等之遺敎一、以訂二考暦數一而已、但如二故從四位下安倍朝臣泰兄、從七位上陰陽大屬源有彜、天文生源光洪、平主住、源周英、多々良保祐、源氏之、源直德等、門人弟子及從者一、交助而致二觀象晷測推歩寫暦之事一、自二寶暦元年辛未十月丁酉小雪日一、至二今月十六日辛酉一、揆二午景一三百九十八日、候二星月一一千三百七十時、推二數率一凡三年、晝不レ節レ食、夜不レ安レ寢、既而定知下前暦後二於天一六刻七十八分有奇上、其術集而大成、爲二其書一也、儀象(○○)二卷、表景(○○)一卷、北極測量(○○○○)一卷、月星測量(○○○○)一卷、暦法正篇(○○○○)三卷、古今交食考(○○○○○)一卷、古今五緯考(○○○○○)一卷、乾坤表(○○○)一卷、陰陽表(○○○)一卷、五星立成(○○○○)一卷、四餘立成(○○○○)及紀法諸暦合考(○○○○○○)一卷、古今暦譜(○○○○)二卷、都一帙十六卷、今日奏二進之一、恐是天道至微、而人爲有レ私、管窺蠡測之弊亦無二以所一レ遁矣、冀俟二後來年々之測量一、相査照以補二其逸一焉、 寶暦四年甲戌冬十月十六日 陰陽頭〈臣〉安倍朝臣泰邦謹序

〔韓川筆話〕

〈三〉

p.0417 古暦通暦 日東通暦(○○○○)之作者は、杉村甚四郞也、大和大福新屋と云所の農なるよし、其邊にては、此暦を用ゆるよし也、古暦便覽(○○○○)は、中根元圭なり、いづれも疎術と見えたり、今にいたりては、食などは殊外違へり、中根が暦書に、荻生揔右衞門跋をして、特に稱美せし、不レ知而作す者堪て笑ふべし、杉村は少しまされる歟、

〔寬政暦書〕

〈敍〉

p.0417 撰述暦理本末〈○中略〉 寬政中有レ旨、令三〈臣〉吉田〈秀升〉山路〈德風〉高橋〈至時〉及〈草莾臣〉間〈重富〉等修二正暦法一、乃寬政丁巳爲レ元、據二暦象考成後編及消長法一、編二暦法新書(○○○○)八卷一、於レ是乎、延享之内旨始得レ完矣、嗣令三〈秀升〉等撰二述暦理一、蓋後編者節二略西人葛西尼之法表一、而演二解數理一者、故間不レ免二於臆度一、所二以不一レ能レ無レ憾也、今躔離交食之理、多據二後編一、就加二刪訂一、取二丁巳以降新測一校二訂之一、爲二暦理(○○)十五卷一、消長法者、唯有二歩法一而不レ詳二其起源一、因探二索其 本原一、爲二消長法原理(○○○○○)三卷一、改憲之日、創造之儀器、及前後所レ發、下二洋製測器一著二之圖象一、爲二儀象圖(○○○)三卷一、記二其製作測法一、爲二儀象誌(○○○)四卷一、校二算古今實測一、爲二諸暦合考(○○○○)十卷一、總三十五卷、名曰二寬政暦書一(○○○○)、又後編不レ載二五星法一、然其奏議中、既言二五星本レ天橢圓一、日躔表擧下大陽距二地心線一對數上、蓋逸二其法一耳、故改憲之日、五星法姑用二暦象考成下編一、天保戊戌〈○九年〉冬、更修二五星法一換レ之、今刪二補其圖説及五星考一、爲二寬政暦書續録(○○○○○○)五卷一、初〈秀升〉等自レ奉二撰述之命一、至レ今四十有餘年、皆漸就レ木、〈秀升〉男〈秀賢、〉孫〈秀茂德風、〉男〈諧老至時、〉男〈景保〉各繼二其業一而掌レ之、文化初又徵二〈重富一〉從レ事、天保乙末〈○六年〉冬、更命二〈臣〉足立〈信頭一〉繼二〈至時景保〉之緖一而掌レ之、己亥夏、新命二〈景佑一〉督二修此事一、嗚呼追レ念遷延四十餘年之久、徒增二惶汗一而已、今玆〈景佑〉屬二驥尾一而竣レ功、竊謂得レ補二有德大君遺志之萬一一、因叙二其本末一云爾、

〔暦象考成上編國字解〕

〈序〉

p.0418 凡欲レ通二考成後編之義一者、須三先考二下編之法一、不レ然則無三由而致二明晰一也、篠原善富弱冠從二先人一而受レ業焉、其爲レ人警敏善二數術一、先人啓二佐局務一、及三予承二父職一、善富故在二予局一、恪二勤職事一、不レ捨二晝夜一、官務之暇、博渉二諸家暦法一、研精覃思、亡慮四十年、爲二後生一譯二暦象考成上編暦理部一、作二國字解(○○○)十六卷一、乞二予校正一、予閲二其書一、於二原書中一省レ迂正レ謬、語雖レ從レ俗、確實詳密、窮郷後進熟二讀此書一、則可下不レ待レ求二師於遠一、而領中其大旨上、然暦之爲レ學廣矣大矣、豈此一書所三能窮二其奧一也哉、夫暦象考成之爲レ書、彼邦多士積年之所レ成、宜レ無二差謬一者、而善富既已較レ算擧レ謬、況斯國字解、以二一人之手官私之暇一而竣レ業、予亦助而雖二レ加二訂正一、恐未レ能レ無二可レ議者一、也、〈○中略〉善富毎夜半爲レ期、對レ燈草レ書、其用心可レ謂レ勤矣、是爲レ序、時文化十三年丙子秋七月、司暦吉田秀賢誌、

〔天保集成絲綸録〕

〈百三〉

p.0418 寬政十一未年三月 町奉行〈江〉 近來寬政增續古暦便覽(○○○○○○○○)、懷寶長暦便覽(○○○○○○)と申書物、於二京都一開暦いたし、世上〈江〉賣り弘候由、右之内、紛敷暦號を記し、又は去ル寅年より十年之新暦をも致二加入一、紛敷事共に候間、絶板申付候、此以後も 右に似寄候新板之書籍は、當地〈江〉伺之上開板承屆候樣、彼地町奉行〈江〉相達候間、於二當地一も、右之通に可レ被二心得一候、此段大坂町奉行〈江〉も、孰もより可レ有二通達一候、

〔町觸〕

〈四〉

p.0419 御向樣御差圖、戌〈○天保九年〉六月廿三日申渡仕候、 申渡 書物問屋行事 一(寶暦)暦法新(甲戌元暦/○○○)書(/○) 一同(〇) 續録(○○) 一(寬政)暦(暦/○)法新書(/○○○) 右兩暦書、近年何方ゟ洩出候哉、偶々書物問屋手〈江〉も相渡り候趣相聞候、御當地書物問屋共、右暦書持居候はゞ、早々懸り町年寄共〈江〉可二差出一候、若秘置、後日相知レ候はゞ、急度可二申付一候、 一自今以後、貞享暦、并右兩暦書之儀は、假令端本たりとも、萬一心得違之者有レ之、賣物に出候はゞ、買取置、是又早々可二差出一候、勿論右買取候代料相下ゲ可レ遣間、自今急度相心得、不念無レ之樣可レ致候、右之通、從二町御奉行所一被二仰渡一候間、急度相心得、書物問屋一統不レ洩樣可二申繼一候、 戌六月

外國暦

〔日本紀略〕

〈二朱雀〉

p.0419 承平七年十月十三日壬辰、同日仰二太宰府一、應レ寫二進大唐(○○)今年來年暦本一、

〔春記〕

p.0419 長暦三年閏十二月廿八日甲寅、關白命云、唐暦(○○)一日持來、新羅國以二唐暦一用レ之云々、仍去夏密々遣二示帥許一、今日所二持來一也、摺本也、而件暦具相二叶道平暦一也、月大小一分無二相違一、希有之又希有也、件事只以二諸道多同一推被二定仰一也、然而難レ知二眞僞一、于レ今鬱々、而件暦已以相叶、是太有レ興事也、古今無二此類一、可二賞歎一可二賞歎一、證昭至二于今一無レ益、可レ嘲可レ嘲者、諸卿響應、又尤可レ然事也、明日可レ被レ奏二此唐暦一云々、後聞以二經成一被レ奏畢云々、

〔扶桑略記〕

〈二十九後冷泉〉

p.0419 永承三年五月二日己亥、自二太宰府一進二新羅暦一(○○○)、與二本朝一无二相違一、但十二月大小不レ同、

〔年中行事秘抄〕

〈十一月〉

p.0419 一日 暦給二諸司一事 永承三年五月二日、太宰府進二新羅暦一、日本無レ違、但十二月大小不レ同、

〔扶桑略記〕

〈二十九後冷泉〉

p.0420 永承三年十一月十六日、自二太宰府一進二大宋暦一(○○○)、與二本朝暦一符合、

〔百練抄〕

〈四後冷泉〉

p.0420 永承五年九月廿八日、諸卿定二申暦博士道平大法師證照、算博士爲長等勘申朔旦論事一、先レ是增命申云、今年閏在二十一月一、道平造暦可レ謂二 謬一、然間大宋暦(○○○)持來、閏在二十一月一、仍仰二道平證照爲長一令レ進二勘文一、道平申云、延暦以後一章不レ誤、至二于承平六年一者暦家之失也、先例雖レ有二和漢暦之相違一、公家更不レ用二異朝説一云々、仍被レ定二朔旦一畢、

〔新蘆面命〕

p.0420 元祿甲申〈○十七年〉三月十三日、唐ノ暦ト日本ノ暦ト、節氣朔望一樣ニ合候事、往古ヨリ無レ之、只宣明暦ノ内、三百年バカリ合候事有レ之也、

雜載

〔壒囊抄〕

〈五〉

p.0420 猫ヲ乙ト云ハ何ノ故ゾ〈○中略〉 サテモ虎ヲバ猛虎トテ、タケキ獸トス、サレバ暦ノ註ニ、十一月ノ節ニ入テ、武始交ト書ケルヲバ、トラハジメテツルムトヨム、武ハ虎、交ハ合ト尺セリ、武ト云字ヲ則トラトヨムニテ、ツルム其心ヲ可二知ル一、是レ暦道ノ口傳(○○○○○)ニテ、頗ル難レ讀事ニ申メリ、

〔壒囊抄〕

〈九〉

p.0420 廿八宿ト云共、暦面廿七宿(○○○○○)也、并其吉凶、 以二牛宿一毎日ノ午時當ル故ニ、日次宿直廿七也、

〔隨意録〕

〈一〉

p.0420 奧州南部之俗、舊來有下稱二私大一(○○)者上、十二月小月、則以二明年元日一爲レ晦、足焉爲二大月一、以卒二一歳計一、而以二二日一爲二元日一、推而至二十九日一、乃初復以爲二二十日一、稱レ之爲二私大一云、其州之士、有下以二正月元日一亡レ妹者上、而私大之歳、以二其所レ謂晦日一爲二忌日一與、以二所レ謂元日一爲二忌日一與、有レ疑二惑于玆一焉、乃因二門人宮文猷一以問二之予一、予答レ之曰、所レ謂私大者、以二其方俗之私一爲二事之便一耳、日月之行非二爲レ此盈縮一也、然則不下以二其私一易中其死日上而可也矣、

〔閑田次筆〕

〈一〉

p.0421 夜間、暦を見ることを、あるひはいむ人あり、中古、物いまひ多かりし代にも、この説はなかりしが、榮花物語に、東三條兼家公、一條天皇の東宮にたゝせ給ふにつきて、圓融帝の内勅にて、祈などせさせ給ふ所に、女御殿にものさゞめき申させ給ひて、おほんとなぶらめしよせて、こよみ御覽じて、所々におほんいのりの使どもたちさわぐとあり、