〔倭名類聚抄〕
〈十四/坐臥具〉
p.0121 倚子(ユス/○○) 本朝式云、紫宸殿設二黑柿倚子一、
〔箋注倭名類聚抄〕
〈六/坐臥具〉
p.0121 延喜掃部式、柿下有二木字一、按、老學庵筆記、高宗在二徽宗服中一、用二白木御椅子一、椅卽倚字、俗從レ木、與二椅桐字一混、下總本夾二注由須二字一、按、後拾遺集源寬信歌小序、源氏物語桐壺卷、謂二之以志一、則由須之名、恐係二後人所一レ加、
〔老學庵筆記〕
〈一〉
p.0121 高宗在二徽宗服中一、用二白木御椅子一、錢大主入覲、見レ之曰、此檀香椅子耶、張婕好掩レ口笑曰、禁中用二胭脂皂莢一多、相公已有レ語、更敢用二檀香一作二椅子一耶、時趙鼎張浚作レ相也、
〔伊呂波字類抄〕
〈伊/雜物〉
p.0121 倚子〈イシ(○○) 胡床足類也〉 〈大倚子高一尺三寸、長二尺、廣一尺五寸、〉 〈小倚子高一尺三寸、長一尺五、廣一尺三寸、〉
〔下學集〕
〈下/器財〉
p.0121 椅子(イス/○○)
〔運步色葉集〕
〈伊〉
p.0121 椅子(イス)〈禪家所レ乘物〉
〔名目抄〕
〈雜物〉
p.0121 御倚子(ゴイシ) 倚子(イシ)〈初任公卿著座之時、撰二吉日一作レ之、令レ立レ廳也、〉
〔書言字考節用集〕
〈七/器財〉
p.0121 椅子(井ス)〈字彙、俗呼二坐〓一爲二椅子一、順和名作二椅子一、〉
〔和漢三才圖會〕
〈三十二/家飾具〉
p.0121 椅子 俗云以須〈○中略〉
按、〈○中略〉蓋椅子總名、而方椅、圓椅、折疊椅、竹椅等之數種、三才圖會甚詳、
〔名物六帖器財〕
〈三〉
p.0121 椅子(イス/キヨクロク)
〔倭訓栞〕
〈前編三十五/由〉
p.0122 ゆす 和名抄に點本に倚子をよめり、本朝式に、紫宸殿設二黑柿倚子一、
〔酣中淸話〕
〈上〉
p.0122 倚子(イシ) 蘇
本朝ニハ李唐ノ禮樂制度、衣服器械、典籍文字、西土ヨリ傳ハレルコト多キナリ、今試ニ云ンニ、倚子(イシ)ハ古ヨリ今ニ至ルマデ用フル坐具ニテ、文字モカハルコトナシ、西土ニテハ今用ヒザルモノニテ、ソノ文字モイツカ椅子トカクコトニナリシトミエテ、淸ノ武億ガ後唐ノ碑〈文ニハ倚子トアリ〉ノ跋ニ云ヘルハ、陔餘叢攷ト王銍ガ默記〈二書ミナ椅子ニ作ル、示兒編モ同ジ、〉ニ椅子ハ宋初ヨリ初マルト云へルヲ、後唐ノ時コノモノアルコトヲ知ラザルトアリ、自負ノ辭ニキコユ、サレドモ本朝式〈唐ノ永徽式ニヨリ玉フ〉ニ倚子アレバ、唐ノ時スデニアル物ナルコト明ナリ、〈○下略〉
〔延喜式〕
〈三十四/木工〉
p.0122 大倚子一脚、〈高一尺三寸、長二尺、廣一尺五寸、〉料切釘十二隻、〈各長一寸五分〉膠一兩、長功七人、中功八人、短功九人、
小倚子一脚、〈高一尺三寸、長一尺五寸、廣一尺三寸、〉料切釘十二隻、〈各長一寸五分〉膠一兩、長功五人、中功六人、短功七人、
〔菟裘小錄〕
p.0122 いすは、ひきくしてうへに坐する事も出來るやうにし、又はつねのごと坐して、しりにしく事も出來るぞよき、から人のまねにこしかくれば、足いとふとくおぼゆる也、かうよりなどもて、ひざの下をつよく括りおけば、其わづらひなし、されどもかくして腰かくるにも及ばじ、
〔西宮記〕
〈臨時四〉
p.0122 官外記廳座
東壁下西面立二大臣倚子一〈有レ欄(○)、敷二蘆蔽一、有二太政大臣一南面、雖レ不二著座一立レ座、〉
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0122 東宮御元服
春宮御倚子欄事〈見二代々立太子記一、以レ此准レ之、猶可レ有歟、〉
重明親王、天慶八年記、無レ欄云々、永保、裝束司通俊朝臣、依二彼記一奏二事由一撤二去之一云々、件裝束司所レ候之倚子、不レ知主上御倚子歟、春宮御倚子歟、後冷泉院御時依二火事一彼寮雜物多以燒亡、案二延喜十六年御
記一、東宮御倚子下有レ銘(○)云々、此倚子無レ銘、仍不レ可レ知二必是東宮御倚子一、若可レ用二無レ欄(○○)倚子一者、可二新作一レ之、專不レ可レ拔二棄彼御倚子欄一歟、孝信宿禰申云、東宮御倚子多年立二件倚子一、但於レ欄者忽被二拔棄一、頗不二穩便一、已數年立レ之、何依二一年記一忽被レ改乎者、不レ知二可否一、時議如レ是、又撤二左右欄(○○○)一、不レ撤二後欄(○○)一事不二一樣一、旁可レ謂二違失一云々、
〔續世繼〕
〈四/白川渡〉
p.0123 御座のおほひかくなるさをはとりはなちに侍けるを、鳥羽院の位の御ときにや、殿上人のいさかひ給て、そのさをゝぬきてうたんとし給けるより、うちつけられたるとなんきこえ侍、もとなき事もかゝるためしにはじまれるなるべし、その御ざと申は、御倚子とて、殿上のおくのざのかみにたてられ侍るなり、したんにてつくられて侍るなるを、むかしうだのみかど、まだ殿上人におはしまして、なりひらの中將とすまゐとらせ給て、かうらんうちおらせ給けるを、代々さてのみをれながらこそ侍なるに、ちかきみよに、つくしのひごの守になれりける、なにがしとかやいふ人の、藏人なりける時、したんのきれ、とのに申て、そのかうらんのをれたるつくろはんなどせられけるこそ、をこのことに侍ける、
〔荒凉記〕
p.0123 正元元年六月五日丁丑、〈○中略〉就二春宮〈○龜山〉御元服一、可レ有二沙汰一歟之由申入了、 十一日癸未、巳始參二嵯峨殿一、於二東面御談義所一、春宮御元服間事、内々有二評定一、〈○中略〉仰云、今度東宮御倚子、欄有無如何永保裝束使辨、就二重明親王天慶八年正月一日記一、舊御倚子、忽撤二左右高欄一、〈匡房卿難レ之、後欄猶殘云々、〉就二此記一有二御不審一也、資季申云、大臣倚子、猶有二高欄一、太子御倚子無レ欄之條、不レ叶二道理一、以二一兩度例一被レ略レ欄之條、不レ可レ然歟者、
〔禁秘御抄〕
〈上〉
p.0123 殿上
倚子覆、出納旦暮奉二仕之一、懸レ棹(○)、
〔禁秘御抄階梯〕
〈上〉
p.0123 按、殿上倚子以二紫檀一造レ之、〈○註略〉覆練蘇芳絹〈公禁腋秘抄〉懸レ覆撤レ之事、上古藏人奉二仕之一、
後代出納役レ之歟、棹、鳥羽院保安元年以後、以レ釘打二付之一、是實衡與二資信一於二殿上一鬪諍、取レ棹欲レ槌レ之故也、〈百錬鈔幷續世繼白川渡〉
〔禁腋秘抄〕
p.0124 淸凉殿
一間ノ奧ニ壁ニソヘテ御倚子ヲタツ、此御倚子ハ昔ノマヽニテ今マデアリ、〈○中略〉小板敷ノ上三間ニ柱ヲ立テ、西ノ間ノ中ニ又チイサキ柱ヲ立、横ザマニ木ヲワタシテ棹ノ臺ト云テ、御倚子ノオホヒトリテ懸ル也、オホヒハ蘇黃ノ絹ヲ練タルサシムシロヲ敷ミチテ、ヲク端ニタヽミヲ敷、奧端各一帖兩面ナリ、
〔百練抄〕
〈五/鳥羽〉
p.0124 保安元年七月廿一日、少將實衡與二兵部大輔資信一於二殿上一鬪諍、實衡以レ扇打二資信一、資信取二御倚子棹一追二實衡一、實衡除籍、資信勅勘、
〔延喜式〕
〈三十八/掃部〉
p.0124 倚子〈○中略〉隨レ損申レ省、令二木工寮修理(○○)一、
〔定家朝臣記〕
p.0124 天喜六年〈八月廿九日爲二康平元年一〉二月一日、參二東三條一、召二孝秀一被レ勘下著座日時、〈來五日酉二點者〉並造二倚子一日時(○○○○○○)上、〈同日卯二點〉 五日、〈○中略〉經章朝臣爲二行事一、與二所司一相共令レ作二倚子一云々、
〔寬治二年記〕
p.0124 寬治二年十二月廿一日癸亥、早旦參殿、今日勸學院衆可二參賀一、仍奉二仕御裝束一、〈○中略〉先レ是權左少辨爲房奉レ仰令下主計頭道言勘中申被レ造二立御倚子一日時上、〈廿五日丁卯時〉次召二大外記師本一下二給之一、次召二右大弁基綱朝臣一、被仰可御倚子料物之由、 廿五日丁卯、卯刻家司掃部頭孝言朝臣、向二木工寮一令レ作二倚子一、酉剋立レ之、〈先官廳、次外記廳、〉
〔殿曆〕
p.0124 康和四年十一月八日己丑、今日依レ吉造二始倚子一、官廳幷外記廳ニ立也、
〔中右記〕
p.0124 嘉承二年二月九日、午刻可レ作二始倚子一者、差二家司神祇權少副兼政一、遣二木工寮一令二作始一、送二祿幷酒肴料一、〈○中略〉
家司兼政給二勘文一、〈倚子作始今日午刻〉兼政行二向木工寮一令レ作二始倚子一、給レ祿、〈工長一人絹三疋、連十餘人各疋絹、漆工一人疋絹、疊差一人疋絹、倚子〉
〈持二人各疋絹、酒肴料米一石、〉晩頭歸來云、〓任二勘文一令レ作了、但今夜納二木工寮一裝束使下部等、相共可二守護一由仰含也、
〔台記〕
p.0125 保延二年十月十一日乙巳、予〈○藤原賴長〉著座也、〈○中略〉予居二對南廊一、頃之持二參日時勘文一、幷造二倚子勘文一、予見了返給、〈倚子日時勘文辰、著座亥刻〉〈著官廳亥二點、著外記廳三點〉倚子勘文給二行事家司時信一、〈束帶〉時信行二向木工寮一、令レ作二倚子著座勘文一、知信朝臣、先持二參關白殿一、〈○藤原忠通〉次持二參大殿一、歸參、持二來返給勘文一了後、卽解二裝束一了之後、知信持二歸勘文一也、
〔台記〕
p.0125 康治元年六月三日甲子、昏黑師能來下、大神宮司、可二加階一注文、卽賜二大内記一、今明仰下可レ作二位記一之由上、卸付二師能一奏云、公卿雖レ有レ催不二著座一、於レ今者、只官隨二公卿數一、作二立倚子一、雖レ不二著座一、公卿可二皆參一之由、可レ被二宣下一乎、將可レ被レ留二列見一乎、兩條可レ承二分明仰一、〈○下略〉
〔新儀式〕
〈五/臨時〉
p.0125 皇太子加二元服一事
其南〈○元服座〉去二尺二寸〈或注三尺〉立二小倚子(○○○)一、〈無二毯代一、爲二加冠理髮者等座一、〉
〔西宮記〕
〈十月〉
p.0125 五日射場始
立二平文倚子(○○○○)一、敷二毯代一、
〔西宮記〕
p.0125 一皇太子元服〈○註略〉
其日平明、所司裝二束紫宸殿一、其儀御帳中、鋪二毯代一、立二平文倚子一、〈延喜十六年十月廿三日殿上記云、掃部、寮請二藏人所平文倚子置物御机、錦毯代等一、敷二御座幷皇太子尋常座一如レ常、○中略〉
春宮坊司、自二母屋東第三間北障子一、南去七尺立二平文倚子一、〈南面鋪二毯代一、皇太子加冠座、延喜殿上記云、東第三間當二于御座一、立二元服座平文倚子一、〉其南二尺餘、〈延喜殿上記云、二尺二寸、小倚子、〉立二平文倚子一、〈北面、無二金銀飾一、〉
〔北山抄〕
〈四/拾遺雜抄〉
p.0125 皇太子加二元服一儀〈加二載記文一〉
其日平明、所司裝二束紫宸殿一、其儀御帳中立二平文倚子一、〈敷二毯岱一〉御帳東南一許丈、立二皇太子座一、〈倚子有二毯代一尋常座、今案〉
〈平文小倚子也、○中略〉自二母屋東第三間北障子一南去七尺、立二平文倚子一、〈南向、鋪二毯代一、太子加冠座、應和記云、金銀平文、〉其南二尺餘、立二平文倚子一、〈北向、无二金銀飾及毯代一、應和記、白〓平文云々、〉
〔江家次第〕
〈九/十月〉
p.0126 射場始
射場殿欄内、幷西門敷二滿筵一、其上寄レ西立二平文御倚子一、〈東面、有二二色毯代或錦毯代一、〉
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0126 東宮御元服
次春宮坊司、〈○註略〉自二母屋東第三間北障子一南去一丈、〈○註略〉南向立二平文小倚子一、〈金銀平文也、有二金銅金物等一、〉鋪二紫綾毯代一、〈東西行鋪レ之、四幅、鎭子准レ上、〉爲二御加冠座一、
〔兵範記〕
p.0126 仁安三年三月廿日壬午、卯時内辨左大臣〈○藤原經宗〉參二著仗座一、下官〈○信範〉奉レ仰出レ軾、仰云、皇太后宮〈○高倉母后平滋子〉册命事、可レ載二宣命一者、〈○中略〉次權大進光雅、親宗、兵衞左盛賴、左衞門佐信基、持二參御物一、
平文御倚子一脚〈在二白織物面褥一〉
〔新儀式〕
〈五/臨時〉
p.0126 皇太子加二元服一事
東第三間御帳東邊〈去レ東一丈二尺〉設二加元服座一、〈立二金銀平文倚孑(○○○○○○)一、敷二紫毯代一也、〉
〔東宮御元服部類記〕
p.0126 元德元年十二月、御入内日、同廿七日御加冠日、〈○光嚴、中略、〉
一所々御裝束事、南殿金銀平文小倚子一脚、〈有二金銀飾白堅文褥、〉〈雲〓端〉〈紫綾毯代、鎭子等一、〉
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0126 東宮御元服
次春宮坊司、〈○中略〉南向立二平文小倚子一、〈○中略〉爲二御加冠座一、其南二尺二寸、立二白〓平文倚子(○○○○○○)一、〈北面、無二金銀飾及毯代一、〉
〔東宮御元服部類記〕
p.0126 應和三年御元服記
二月廿八日辛亥、是日依レ有下太子加二元服一事上、拂曉諸司裝二束紫宸殿一、〈○中略〉御元服雜事、〈○中略〉
一賓及賛者具幷祿物、白〓平文倚子一脚、〈在二敷物一〉
〔東宮御元服部類記〕
p.0126 元德元年十二月、御入内日、同廿七日御加冠日、〈○光嚴、中略、〉
一所々御裝束事、〈○中略〉白〓平文倚子一脚、〈白唐綾褥、高麗端、無二金銀飾及毯代一、〉
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0127 東宮御元服
掃部寮官人、南殿御帳中土敷上鋪二唐錦毯代一、〈四幅○中略〉其上立二平文御倚子一、尋常御倚子螺鈿歟(○○○○○○○○)、而近代無二件物一、常立二平文御倚子一、今便立レ之、理須下撤二尋常御倚子一立中平文上也、
〔源氏物語〕
〈三十四/若菜〉
p.0127 廿三日を御年見の日にて、この院〈○六條〉はかくすきまなくつどひたまへるうちに、我御わたくしの殿とおぼす、二條院にてその御まうけはせさせ給、〈○中略〉しん殿のはなちいでを、例のしつらひて、らてんの倚子(○○○○○○)たてたり、
〔玉海〕
p.0127 壽永二年八月十日壬寅、依二昨日召一、申刻著二直衣一參院、先レ是左大臣〈○藤原經宗〉在二西對代南庇座一、余〈○藤原兼實〉因加二其座一、〈○中略〉此後兼光問二條々事於余一、兩府以前申了事等也、〈○中略〉
一御倚子多在二蘭林坊一、是大嘗會之時御物也、大略螺鈿也、可レ被レ用レ彼歟、可レ被二新造一歟事、
申云、累代之物出來之間、可レ被レ借二用舊物一、專不レ可レ及二新造一、
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0127 立后事
藏人令レ持二御椅子一脚〈紫檀地螺鈿、白織物敷物、加二白地紫文綾毯代鎭子四枚一、(中略)〉御插鞋一足一、
〔江家次第〕
〈一/正月〉
p.0127 元日宴會
北障子北東西行雙二鋪小筵二枚一、其廻立二大宋御屛風二帖一、〈東向開戸〉其内立二赤漆小倚子(○○○○○)一、〈爲二御粧物所一〉
〔季連宿禰記〕
p.0127 貞享四年十一月十四日己丑、參二一條攝政殿一、〈○藤原冬經〉大嘗會同辰日節會間事窺二定之一、其趣記レ左、
一節會高御座内敷二充錦一、〈○中略〉御座朱塗御倚子(○○○○○)南面置レ之、
〔宗建卿記〕
p.0127 享保十八年二月一日、今日皇太子〈○櫻町〉御元服、〈○中略〉立二朱漆御倚子一、〈西面立レ之〉
〔延喜式〕
〈三十八/掃部〉
p.0127 凡御座者、〈○中略〉紫宸殿設二黑柿木倚子(○○○○○)一、
〔和漢三才圖會〕
〈三十二/家飾具〉
p.0128 椅子〈○中略〉
椅子形狀不レ一、而竹椅(○○)最容易也、所レ謂坐登是也、民間納凉用レ之、
〔雍州府志〕
〈七/土産〉
p.0128 竹具 建仁寺町大佛前亦以レ竹造二諸品物一、〈○中略〉竹椅〈○中略〉等物無レ不レ有、
〔和漢三才圖會〕
〈三十二/家飾具〉
p.0128 椅子〈○中略〉 圓椅(○○) 俗云曲彔(○○)〈○中略〉
按圓椅、俗云曲彔、僧家多用レ之、而曲彔二字所レ出未レ詳、
〔相國寺供養記〕
p.0128 明德三年歲次壬申八月廿八日丁丑、今日萬年山相國承天禪寺供養也、〈○中略〉次請僧十口解經紐〈法華經一部十卷〉先曲祿十脚〈各懸レ氈〉立二佛面左一、〈南上西面一列〉有二前机一、〈○下略〉
〔禁腋秘抄〕
p.0128 紫宸殿
節會二孟旬、主上春宮御元服ナドオコナハル、母屋ノ中央ニ御帳ヲタツ、中ニ御倚子ヲタツ、
〔新儀式〕
〈四/臨賻〉
p.0128 天皇加二元服一事
女官依レ例裝束立二御倚子一如レ常、乃後諸衞長列、皇帝出レ自二北廂一著二御倚子一、稱レ警如レ常、
〔西宮記〕
p.0128 一天皇元服〈○中略〉
女官裝束立二御倚子一、〈有二置物御机一〉内藏主水撤二洗器一、上官等著二日華門外南腋床子一行事、近衞陣二階下一、〈服二中儀一立二胡床一〉天皇著二御倚子一、〈近仗警蹕○中略〉
敷設等事 南方料〈○中略〉 御倚子(ゴイシ)一脚〈舊有レ損、可二修理一、〉
〔西宮記〕
〈正月上〉
p.0128 童親王拜覲事
延喜九年二月廿一日、皇太子始朝覲、〈○中略〉藏人供二奉御裝束一、〈尋常帳立二倚子一鋪二毯代一、不レ立二置物机一、〉卽太子進當二御座一拜舞、
〔西宮記〕
〈臨時四〉
p.0128 官西廳座
同年〈○承平三年〉五月三日、貞公御記云、新大納言〈恒佐〉爲レ欲二著座一、外記立二倚子一也、而依二降雨一不レ著二新作倚子一也、
〔拾遺和歌集〕
〈十六/雜春〉
p.0129 おなじ御時、〈○天曆〉梅花のもとに御いしたてさせ給て、花宴せさせ給に、殿上のをのこども、歌つかうまつりけるに、 源寬信朝臣〈○歌略〉
〔源氏物語〕
〈一/桐壺〉
p.0129 おはします殿のひんがしのひさし、ひがしむきにいしたてゝ、くわんざの御座ひきいれのおとゞの御座御前にあり、
〔内裏歌合〕
p.0129 〈御記〉天德四年三月卅日己巳、此日有二女房歌合事一者、〈○中略〉女房又相分候、宿凉殿西庇簾中第五間立二倚子一、〈便用二女房侍倚子一、此間上レ簾、〉
〔左經記〕
p.0129 寬仁元年十二月廿七日辛卯、今日攝政殿〈○藤原道長〉令二上表一給、仍於二此座一不レ被レ下二宣旨一、今日午刻大殿御倚子立二官外記廳一幷南所數二御座一云々、是依二本家仰一所二敷立一也、太政大臣立二倚子一敷レ座之時、已次大臣倚子座皆加レ此例也、
〔定家朝臣記〕
p.0129 康平四年十二月廿二日、依レ召參殿、召二大外記〈師平〉大夫史一、〈孝信〉仰云、太政大臣〈○藤原賴通〉御倚子間事、〈新可レ作歟、可レ用二左大臣時御倚子一歟、〉孝信申云、去年令レ辭二左大臣一給後、有二次第昇晉一、立二右大臣倚子一之時、欲レ令レ申二事由一、而未レ被レ立二其倚子一、仍不レ申二左右一、如レ舊所レ立者、 廿四日、晩頭召二道有平行於御前一、被レ勘下立二御倚子一日時上、〈來廿七日丙午時午若申〉召二大外記師平一下二給之一、〈入道殿御時、(後一條)寬仁元年十二月廿五日、召二文義一給レ之也、〉次召二左中弁資仲朝臣一、〈装束使〉於二御前一被レ仰下可レ造二御倚子一雜物可レ召事上、〈今日成二左大臣宣旨所司一云々〉今朝爲二御使一參二左府一、〈○藤原敎通〉令レ聞云、忠仁、〈○藤原良房〉昭宣、〈○藤原基經〉貞信、〈○藤原忠平〉淸愼公、〈○藤原實賴〉先以上表而後令レ立二倚子一、而故入道殿先立二倚子一、次被二上表一、可レ隨二何例一哉、返報云、上代例、理雖レ可レ然、寬仁例、尚可レ爲二規摸一、況當年首不レ可レ空二御座一者、
〔台記〕
p.0129 保延二年十月十六日庚戌、今日予〈○藤原賴長〉著座之後、始參レ政日也、〈○中略〉次予出二小屋一、左兵衞督〈○宗輔〉大貳〈○實光〉等、廳西庇内列立、〈北面〉次予出二小屋一、南向ニ立テ相揖、入レ從二北西中戸一、著二倚子一、〈從二座下方一著レ之、如レ恒、〉次左兵衞督、大貳等著二倚子一、此間予見二扇次第一、
〔兵範記〕
p.0129 仁安三年二月十九日壬子、今日可レ有二御讓位事一、〈○六條、中略、〉
今日被レ渡御物等、〈○中略〉殿上御倚子、〈○下略〉
〔玉蘂〕
p.0130 承久二年三月十三日癸卯、此日禁中密々有二賭弓習禮事一、〈○中略〉次擬三主上著二御御倚子一、〈以二白木床子一爲レ座〉内侍置二劒璽於南机一、
〔百練抄〕
〈九/安德〉
p.0130 壽永二年七月廿五日、平家黨類前内大臣〈○平宗盛〉已下、率二一族一出二奔西國一、天皇〈○安德〉建禮門院同奉二和具一、〈○中略〉時簡殿上御倚子、玄上鈴鹿皆以相具、
〔明月記〕
p.0130 元久二年十二月六日、射場始事、只隨二殿下〈○藤原良經〉仰一、可レ存二延否一由院〈○後鳥羽〉仰之由、奉行宗行申レ之、〈○中略〉戌時許參内、此間被レ行二下名一云々、臨二深更一聞二御裝束訖由一、〈○中略〉宸儀著二御御倚子一、〈○下略〉
〔空華日工集〕
p.0130 貞治六年十二月十九日、〈○中略〉府君〈○足利義詮〉七日逝去、其日戌時、召二天龍春屋、等持默庵一、對面坐、換レ衣盥嗽、披二法服一坐二椅子上一、遺囑訖、合掌而終、
〔伊呂波字類抄〕
〈志/雜物〉
p.0130 承足〈御倚子前置二承足具一〉
〔名目抄〕
〈雜物〉
p.0130 承足(シヨウソク)〈幼主時立二御倚子前一〉
〔書言字考節用集〕
〈七/器財〉
p.0130 椅踏(井 タウ)〈俗云承足、出レ之、〉 承足(ジヨウソク)〈本名椅踏、出レ伊、〉
〔江次第抄〕
〈一/正月〉
p.0130 承足 長一尺六寸許、高廣五寸許、木押二赤兩面錦一者也、童帝時置レ之、成人時不レ用、節會以下傚レ之、
〔本朝世紀〕
p.0130 久安三年十月廿九日己未、今日有二射場始事一、〈○中略〉御倚子前置二御承足一、〈以二兩面一張レ之(○○○○○)〉
〔江家次第〕
〈一/正月〉
p.0130 小朝拜事
次御裝束、〈○中略〉立二殿上御倚子一、〈幼主時、御倚子前置二承足一、 或説御倚子立二於廂階間一云々、皇太于參上時立二御帳中一、〉
〔江家次第〕
〈六/三月〉
p.0130 石淸水臨時祭試樂
御裝束 下二淸凉殿東庇御簾一、〈反二灯樓綱一〉孫廂南第三間供二御座一、〈東向〉敷二二色綾毯代一、〈○註略〉其上立二殿上御倚子一、〈幼主時置二承足一〉
〔小右記〕
p.0131 長和五年三月十二日丙辰、今日臨時祭〈○石淸水〉試樂、〈○中略〉西對南廊庇立二御倚子一、〈敷二毯代一、御倚子前承足、○中略〉主上〈○後一條、時九歲、〉著二給御座一〈著二御直衣一、攝政扶持奉レ令レ著二御座一、〉之後、攝政〈○藤原道長〉先著二御前圓座一、
〔兵範記〕
p.0131 仁安三年十二月十四日辛丑、臨時祭〈○賀茂〉試樂也、〈○中略〉酉刻主上〈○高倉、時八歲、〉出御、〈御直衣、無二總角一、〉頭中將〈○藤原實家〉供二御草鞋一、著二御御倚子一、〈不レ置二承足一、著御之間有レ蕁、臨時不レ叶、行事失也、〉
〔天皇冠禮部類記〕
p.0131 大外記良業記、元久二年正月三日辛酉、今日皇帝〈○土御門〉於二内裏一有二御元服事一、〈春秋十一歲○中略〉主上入御、〈○中略〉女官依レ例奉二仕御裝束一、撤二帳中平敷御座一、鋪二二色綾毯代一、其上立二平文御倚子一、置二承足、火爐一、
〔倭名類聚抄〕
〈十四/坐臥具〉
p.0131 床子 本朝式云、行幸用二赤漆床子一、
〔伊呂波字類抄〕
〈志/雜物〉
p.0131 床子〈シヤウジ 本朝事始云、嵯峨天皇弘仁元年制、朝堂及諸司廳坐者、親王及中納言以上漆床孑、自餘素床子、〉
〔雅亮裝束抄〕
〈一〉
p.0131 だいきやうのこと
ないらんのいゑに、もやのだいきやうを、すきめだい饗となづけてせらるゝ事あり、〈○中略〉えんちかく三げんのあくをうちて、さうじ(○○○)のしりかくるほどなるをたてたり、それはしりをかけて、こいをきりて御さかなにまいらするなり、
〔安齋隨筆〕
〈前編十二〉
p.0131 簀子 簀といふは、竹を並べて編たるを云、其竹の並たるごとく板を並べる故、簀子と云、竹簀のごとく板を並べたる床子を、〈四足あるコシカケなり〉簀子床子といふ、床子一名床机と云、〈内裏儀式に見えたり〉禁庭にて官人の腰かくる物也、
〔延喜式〕
〈三十四/木工〉
p.0131 大床子一脚、〈長四尺五寸、廣二尺四寸、高一尺三寸、〉料切釘三十隻、〈四隻各長二寸、廿六隻各長一寸五分、〉膠一兩長功八人、中功十人、短功十二人、
小床子一脚、〈高一尺三寸、長二尺、廣一尺五寸、〉料切釘八隻、〈各長一寸五分〉膠一兩長功四人、中功四人半、短功五人、
檜床子一脚、〈長四尺、廣一尺四寸、高一尺三寸、〉料切釘廿六隻、〈四隻長各二寸、廿二隻、長各一寸五分、〉膠一兩長功三人、中功三人半、短功
四人、
〔大饗雜事〕
p.0132 一酒部所〈○中略〉
白木床子三脚〈修理職造進之〉 二脚 長各五尺 高一尺三寸 一脚 長七尺 高同〈○中略〉一諸司所進物〈○中略〉木工寮 撿非違使床子二脚、〈長各八尺、高一尺三寸、〉
〔延喜式〕
〈三十/織部〉
p.0132 床子、錦一疋料絲廿七斤十兩、
〔雅亮裝束抄〕
〈一〉
p.0132 もやひさしのてうどたつる事
大さうじは、御帳のにしのまのもやのはしらのきはにたつるなり、そのてい、うへはすのこにて、ながさ三尺ばかり、あしのたかさ二尺ばかりなるを、ふたつさしあはせてすゑて、うへにかうらいをたゞはんでうのやうにうちうらをつけてしきて、そのうへにすがゑんざをしきたり、
〔安齋隨筆〕
〈後編八〉
p.0132 一床子 大床子〈○中略〉
是が大床子と云て、官人のコシをカケテ居るもの也、
以上樋口秘記に見たり
〔延喜式〕
〈三十八/掃部〉
p.0133 床子、隨レ損申レ省、令二木工寮修理一、
〔延喜式〕
〈三十八/掃部〉
p.0133 凡設レ座者、皇太子、〈○中略〉白木床子(○○○○)、〈敷二錦褥一〉
〔延喜式〕
〈四十一/彈正〉
p.0133 凡廳座者、親王及中納言已上倚子、五位以上漆塗床子、自餘素木床子(○○○○)、
〔江家次第〕
〈一/正月〉
p.0133 元日宴會
長樂門南面東掖第一間東柱下、設二外辨親王公卿座一、〈○中略〉其南壇下庭中立二白木床子二脚一、〈少納言辨座〉東立二二脚一〈外記官史生座〉並七尺爲レ間、〈西面北上〉各立二前床子一脚一、〈近例不レ見〉
雨儀從二公卿座一差東去、立二少納言辨床子一、其東差去各立二外記史外記官史生官掌召使床子一、並西面南上、
〔江家次第〕
〈八/八月〉
p.0133 釋奠紫宸殿内論義裝束
南御簾外南中央立二赤漆床子一脚一、〈○註略〉其南簀子敷上、立二白木床子一脚一、〈問者座有レ茵○中略〉當二中納言座後南簀子一、立二亘白木床子八脚一、〈東西行〉爲二得業生並問者生座一、東廂南第一間立二白木床子二脚一、〈西向有レ茵、南次將座、北侍從座、〉
〔小右記〕
p.0133 永觀二年十月十日丙戌、辰時左大臣〈○源雅信〉令レ奏二宣命草一、〈○花山帝卽位、中略、〉先御二小安殿一、〈○中略〉其中央供二大床子御座一云々、〈○中略〉又有二白木小床子一、其上敷二小疊一、〈高麗〉
〔名目抄〕
〈雜物〉
p.0133 簀子敷床子(スノコジキノシヤウシ/○○○○○)〈或號二長床子(○○○)也、四位參木、〉
〔江次第抄〕
〈一/正月〉
p.0133 簀子敷床予 長床子也、四位參議著也、
〔江家次第〕
〈一/正月〉
p.0133 元日宴會
長樂門南面東掖第一間東柱下、設二外辨親王公卿座一、東西行立二兀子獨床子簀子敷床子一、〈南面西上〉
〔内裏式〕
〈上〉
p.0133 八日賜二女王祿一式〈十一月同〉
御座以東設二女御以上座一〈用二囊床子(○○○)一、其色隨二人貴賤一、〉
〔江家次第〕
〈一/正月〉
p.0133 元日宴會
通障子北、鋪二同端〈○綠〉長帖一枚一、其西立二囊床子二脚一、〈囊床子、其躰面圓如二鑽笥(○○○○○)一、長三尺、廣一尺五寸、高一尺許、有二三足(○○)一、〉
〔新儀式〕
〈五/臨時〉
p.0134 皇太子加二元服一事
又御帳西立二通障子二基一、〈自レ例北去一尺七寸許、爲レ御二覽西壁下威儀御膳一也、〉其内立二囊床子草墪一、又御帳北敷レ疊爲二女官座一如レ常、
〔延喜式〕
〈三十八/掃部〉
p.0134 元日供二奉威儀一掃部二人、分列二左右一、〈○中略〉官人率二掃部一昇二豐樂殿一供二御座一、〈○中略〉西二間立二通障子一、〈○中略〉通障子内立二草墪囊床子一、幷敷レ帖爲二内侍以下座一、
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0134 東宮御元服
通障子北鋪二向〈○綠〉端長疊一枚一、其西立二囊床子二脚一、又立二草墪二枚一云云、〈永保不レ立二囊床子一、失歟、〉
〔延喜式〕
〈三十八/掃部〉
p.0134 元日供二奉威儀一掃部二人、分列二左右一、〈○中略〉官人率二掃部一昇二豐樂殿一供二御座一、〈○中略〉淸暑堂東局鋪二滿葉薦席一、立二御屛風十帖一、中央鋪二毯代一、雙二立塵蒔大床子(○○○○○)二、脚一、〈柬西妻〉其上鋪二錦茵二枚一、
〔江家次第〕
〈八/七月〉
p.0134 内取御裝束
東方御簾西邊、立二亘五尺漢書御屛風一、〈○註略〉同廂第四間以西六箇間北邊、立二亘同御屛風一、〈○中略〉額間設二御座一、敷二紫二色綾毯代一、立二塵蒔大床子一雙一、鋪二高麗褥一、〈近例其上供二圓座一枚一〉
〔新儀式〕
〈四/臨時〉
p.0134 召二雅樂寮物師等一、令レ奏二音樂舞等事一、〈付諸寺法會試樂、幷召二試樂所管絃生一事、〉
先撤二晝御座一垂二母屋御簾一、東廂南第四間敷二毯代一、立二平文大床子(○○○○○)御座一、孫廂南一二間敷レ疊爲二親王公卿座一、
〔左經記〕
p.0134 寬仁元年十二月五日己巳、參内、出二御南方一、御二覽陸奧交易御馬廿疋一、其儀先殿南廊東第三間敷長筵、〈二枚其上〉敷二毯代一立二平文大床子二脚一、〈大床子敷物上、敷二菅圓座一枚一、〉
〔殿曆〕
p.0134 天仁二年九月六日丁未、今日上皇〈○白河〉御二幸高陽院亭一御二覽競馬一、馬場御裝束儀、〈○中略〉母屋北第三間張二唐錦承塵一、〈○註略〉敷二唐錦毯代一、〈用二赤地錦一、在二堀物金物緣一、〉其上立二紫檀地螺鈿大床子(○○○○○○○○)一脚一、〈面敷二唐錦一〉其上敷一圓座一枚一、〈以二白糸一縫レ之、以二紫糸一縫レ之、〉爲二御座一、
〔兵範記〕
p.0135 仁安三年三月廿日壬午、卯時丙辨左大臣〈藤原○經宗〉參二著仗座一、下官〈○信範〉奉レ仰出レ軾、仰云、皇太后宮〈○高倉母后平滋子〉册命事、可レ載二宣命一者〈○中略〉次權大暹光雅、親宗、兵衞佐盛賴、左衞門佐信基、持二參御物一、〈○中略〉 螺鈿大床子二脚、在二高麗敷物一菅圓座一枚一、
〔延喜式〕
〈三十八/掃部〉
p.0135 凡御座者、〈○中略〉行幸赤漆床子(○○○○)、〈並敷二錦褥一○中略〉
凡設レ座者、〈○中略〉殿上幷行幸並通用親王幷大臣、〈○中略〉赤漆小床子(○○○○○)、〈敷レ褥〉殿上行幸通用大納言、〈○中略〉赤漆小床子、〈並敷二黃端茵一〉
〔江家次第〕
〈八/八月〉
p.0135 釋奠紫宸殿内論義裝束
南御簾外南廂中央立二赤漆床子一脚一〈答者座有レ茵、其左方置二如意一、掃部寮從二藏人所一請置レ之、〉
〔江家次第〕
〈三/正月〉
p.0135 御齋會竟日
僧侶參上、〈○中略〉凡僧著二長床子(○○○)一、〈在二簀子敷一、南上西面舊記北上、〉
〔江家次第〕
〈八/八月〉
p.0135 里内駒牽儀〈八月十六日信乃御馬〉
東宿廊副二北柱一東西行引レ幔、〈○註略〉第二間砌立二兀子三脚許一、〈第一兀子前立二小床子一脚一〉獨床子二脚、長床子一脚、〈以上公卿料、北面東上、〉西北庭上立二長床子三行一、
〔西宮記〕
〈正月上〉
p.0135 二日二宮大饗
延長三年正月二日、吏部記云、〈○中略〉四位五位用二長床子一、〈四位南長押下、五位西長押下二重、〉
〔經光卿記〕
p.0135 仁治三年三月十八日庚子、今日聖上〈○後嵯峨〉於二太政官廳一有二登壇卽位事一、〈○中略〉侍從宰相經二長床子二脚中央一、〈仰二召使一、令レ引二退圍路一、〉至二北長床子前一揖者、經光正笏經二幄南妻一至二床子前一一揖著、本儀者納言中階、參議南階、可レ爲レ路云々、入二幄小面一可レ經二長床子南端一之處、頗廻レ南立之間無二其路一、仍所レ經二幄南妻一也、
〔江家次第〕
〈三/正月〉
p.0135 賭射裝束
第一間西壁頭鋪レ疊、〈南北行〉第二間隅北頭鋪レ疊、〈東西行〉此間立二大床子(○○○)二脚一、〈無二毯代一〉
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0136 立后事
藏人令レ持二御椅子一脚一、〈○註略〉大床子二脚、〈麈蒔螺鈿蠻繪、高麗褥、加二圓座一枚一、〉師子形二、御插鞋一足、
〔雅亮裝束抄〕
〈一〉
p.0136 もやひさしのてうどたつる事
きさきだちの日は、にしはれなれば、にしのまに大さうじ(○○○○)をたてらるれば、もやのてうどは御帳のひんがしにわたしてたつるなり、
〔禁秘御抄〕
〈上〉
p.0136 淸涼殿
大床子三脚〈敷二高麗一非レ疊、端ヲ疊ノ弘サニシテ有レ裏、圓座一ツ脇息一ツ〉〈或二以一爲善○中略〉
朝餉
几帳一、大床子二脚、〈一者在二御手水間一○中略〉
御手水間
一間〈兼二朝餉一爲二中障子一、立二置物厨子一一、其北立二大床子一一、上有二圓座一、〉
〔源氏物語〕
〈一/桐壺〉
p.0136 ものなどもきこしめさず、あさがれゐのけしきばかりふれさせ給て、大床子の御ものなどは、いとはるかにおぼしめしたれば、はいぜんにさぶらふかぎりは、心ぐるしき御けしきをみたてまつりなげく、
〔河海抄〕
〈一/桐壼〉
p.0136 大床子のおもの 天子のつかせ給床子也、〈○下略〉
〔榮花物語〕
〈二十九/玉の飾〉
p.0136 もとすませ給し西の御方はさま〴〵方々の御讀經所なれば、このたびは東のひさしに、もやの大床子たてたるをぞかへしつらはせ給へり、
〔權記〕
p.0136 正曆五年八月廿八日、今日有二大臣召事一、南殿御裝束如レ例、南廂自レ額東間以西懸二御簾一、丙立二大床子一敷二毯代一、後立二御屛風一、
長保二年二月廿五日癸酉、此日立后〈○圓融后遵子、中略、〉此間仰二藏人則隆一差二出納一、令レ奉二中宮大床子二脚、師子
形二頭、插鞋一足一、
〔殿曆〕
p.0137 康和四年閏五月二十五日己酉、今日競馬騎射、〈○中略〉渡御後、先御二休息所一、諸卿頗遲參間也、此間左府〈○源俊房〉被レ參、次出二御大床子一、〈其上有二圓座一〉
〔兵範記〕
p.0137 仁安三年二月十九日壬子、今日可レ有二御讓位事一、〈○六條、中略、〉
今日被レ渡御物等、〈○中略〉大床子三脚、〈○下略〉
〔仁孝天皇御卽位記〕
p.0137 大床子今日出御方御下行
同〈○米〉三石〈大床子三、今日御陪膳、○下略〉
〔延喜式〕
〈六/齋院〉
p.0137 三年一請雜物〈○中略〉
中床子(○○○)十四脚
〔延喜式〕
〈三十八/掃部〉
p.0137 御齋會終日、〈○中略〉聽衆座立二中床子於簀子敷一、〈○中略〉
同日〈○正月八日〉賜二女王祿一、〈○中略〉立二孫王尚侍典侍等床子一、〈以下同用二中床子一○中略〉
十五日勘二御薪一之日、設二辨官幷三省輔已下座於宮内省廳上一、又設二式兵二省座於西細殿一、並用二中床子卅脚一、〈○中略〉
凡設レ座者、〈○中略〉殿上行幸通用參議已下侍從已上中床子、〈並敷二黃端茵一〉
〔江家次第〕
〈五/二月〉
p.0137 釋典
講師著二文臺南小床子(○○○)一、〈五位若六位堪能者〉次第講畢、〈先讀レ序、毎レ詩有レ音、〉
〔台記〕
p.0137 仁平二年正月廿六日壬戌、今日於二東三條一再行二大饗一、〈○中略〉散位實重朝臣、〈地下四位、儒、〉大内記長光朝臣、〈地下四位、儒、今年叙二四位一、〉勸二盃外記史座一、〈○註略〉此間、看督長舁二八尺床子(○○○○)貳脚一、〈宛改所造レ之、脚別二人、置二弓床子上一舁也、〉入レ自二西幔門立二酒部所艮方一、〈松樹東北一行立レ之○中略〉 廿七日癸亥、〈○中略〉東渡殿、爲二上客料理所一、〈○註略〉其前敷二紫緣一、〈○中略〉中島〈北第三島〉擔合立二六丈纐纈幄二宇一、〈乾巽妻〉其内四行、立二八尺白木床子一、〈二幄各相對、二行立レ之、別五脚、各敷二紅帖紺一、床子、木工造レ之、掃部立レ之、〉爲二史
生座一、〈乾上〉兩幄座上頭、各立二四尺床子(○○○○)一、〈艮坤妻〉爲二錄事座一、〈勸盃人、便著二此床子一、○中略〉透廊東頭逼二池岸一、立二二丈纐纈幄一、〈東西妻〉爲二酒部所一、其中央立二火爐一、〈○中略〉爐南立二八尺床子一脚一、〈東西妻、已上床子、木工造レ之、○中略〉爼南北立二八尺床子一、〈各一脚、並東西妻、木工造レ之、○中略〉爲二包丁人座一、〈○中略〉梅樹東頭立二八尺床子一脚一、〈南北妻、木工造レ之、除二木工造進一之外、酒部立作兩所雜具、本家儲レ之、〉爲二行事別當〈謂二家司一〉幷役送人座一、
〔名目抄〕
〈雜物〉
p.0138 獨床子(ヒトリシヤウジ/○○○)〈三位ノ參議〉
〔江次第抄〕
〈一/正月〉
p.0138 獨床子 三位參議散三位等、一人著之、故稱二獨床子一、
〔延喜式〕
〈六/齋院〉
p.0138 三年一請雜物〈○中略〉
獨床子六脚
〔西宮記〕
〈臨時四〉
p.0138 官外記廳座
參議座立二獨床子一、隨二著座一設レ座、〈○中略〉
官西廳座
廳母屋西邊、立二比獨床子前机一爲二辨座一、
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0138 東宮御元服
三位參議〈獨床子、黃敷物、〉四位參議〈簀子敷床子、黃端茵、〉以上南座、〈○中略〉散二位〈獨床子、綠敷物、〉散三位〈獨床子、黃端茵、〉以上北座、是裝束司記文之意也、〈○下略〉
〔仁孝天皇御印位記〕
p.0138 御卽位調進物御下行
主殿寮分〈○中略〉同〈○米〉壹石〈同(大藏寮)獨床子〉
〔禁腋秘抄〕
p.0138 淸凉殿
三ノ間ニヲキ物ノ机ヲ立、〈○中略〉ソノマヘノ御帳ノ南ノ間ニ大床子三脚ヲタツ、高麗ノ覆三帖中ニカサネタル圓座一枚ヲシキテ御座トス、南ノ柱ノ横樣ニ大床子ニ御厨子二脚ヲタツ、
〔内裏式〕
〈上〉
p.0139 八日賜二女王祿一式〈十一月同〉
御座以東設二女御以上座一、〈用二囊床子一、其色隨二人貴賤(○○○○○)一、〉立二臺盤一置二銀筋匙一、〈但饌各用二私物一〉御座以東二許丈、南北相對立二孫王尚侍典侍等床子一、〈以下同用二甲床子一〉東廂南北相對立二散事床子一、〈以上同鋪二毯代一、又立二臺盤一、置二白銅筋匙及肴菓子等一、〉東第一間安二酒器一、〈事具二別記一〉祿東頭少北進、北面立二内侍床子一、又西去八許尺立二女史床子一、床子前立二空床子一脚一、又以西一許丈立二掃部女嬬床子二脚一、前又立二班レ祿臺一脚一、〈用二長床子一〉掃部座西南四許尺立二闈司床子一、闈司西北去八許尺立二來著床子六脚一、祿以西五許尺更南折一許丈立二別當以下令史以上床子一、
〔新儀式〕
〈四/臨時〉
p.0139 天皇奉二賀上皇御算一事
先二三日、有二試樂事一構二舞臺於仁壽殿東庭一、立二大床子御座於壇間一、其南設二皇太子座一、〈疊上是省也○中略〉同日、行事人參二朱雀院一勤二行装束事一、當日早旦行二寢殿御裝束一、其儀母屋東第三間立二太上皇大床子三脚一、〈○中略〉東第二間北邊立二大床子二脚一爲二御座一、〈西面〉
〔西宮記〕
p.0139 一天皇元服〈○中略〉
敷設等事〈○中略〉 北廂料〈○中略〉 大床子二脚〈褥二條○中略〉 已上物等、藏人仰二掃部寮一調レ之、料物自二行事所一渡レ之、
〔西宮記〕
〈臨時九〉
p.0139 親王元服
天皇出御〈垂二母屋御簾一、撤二晝御座一、鋪二毯代一立二大床子一、〉
〔權記〕
p.0139 長保元年十二月十五日甲子、依レ可レ有二官奏一相二扶所勞一、先參二左府一、〈○藤原道長、中略、〉左大臣彼レ參、予〈○藤原行成〉於二床子一見二奏文一、〈○下略〉
〔台記〕
p.0139 保延二年十月十六日庚戌、今日予〈○藤原賴長〉著座之後、始參レ政日也、〈○中略〉申文次第、
少納言一人俊〈通辨〉二人、〈公行、俊雅、〉外記一人、史三人、入レ自二西廊西戸一、列二立庭中版位一、〈六位在レ後〉立定之後、予仰云、召〈爪、〉〈非二高聲一、辨少納言令レ聞許也、〉同音稱唯、各著二床子一、〈○下略〉
久安二年八月十一日、定考、〈○中略〉少納言能忠著二北第一床子一、光賴〈○右少辨〉著二第二床子一、少納言讀レ簡、詞似レ知二故實一、
裏書云、〈○中略〉光賴著二二床子一、余責二定考一時、少納言著二一床子一、辨著二三床子一、是最勝之説也、或又少納言著二二床子一、辨著二三床子一、雖レ劣又有二其説一、辨著二二床子一未レ知二此事一、對云、少納言著レ二者、辨著レ三、少納言著レ一者、辨二、是所二習傳一也、光賴數代辨官之家也、定有レ所二習知一、因レ之又不レ行レ罰、
〔吾妻鏡〕
〈四十七〉
p.0140 康元二年〈○正嘉元年〉十月一日壬午、卯刻將軍家〈○宗尊親王〉自二泰經家一還御、今日大慈寺供養也、〈○中略〉供奉五位六位祗二候御聽聞所南庭一、〈用二床子一〉
〔倭名類聚抄〕
〈十四/坐臥具〉
p.0140 草墪 本朝式云、淸涼殿設二錦草墪一、
〔宋史〕
〈三百八十二/勾濤傳〉
p.0140 八月〈○紹興七年〉遷二起居舍人一以二足疾一命二閣門一賜レ墪侍レ班、
〔伊呂波字類抄〕
〈左/雜物〉
p.0140 草墪〈サウトン生也〉
〔名目抄〕
〈雜物〉
p.0140 草墪(サウトン)〈陪膳采女ノ座ニ用フ〉
〔書言字考節用集〕
〈七/器財〉
p.0140 草墪(サウトン)〈蘂葉、陪膳采女坐也、〉
〔倭訓栞〕
〈中編九/佐〉
p.0140 さうとん 本朝式に、淸凉殿設二錦草墪一と、倭名抄に見ゆ、名目抄に、草墪は陪膳采女座と見えたり、後世の圓座は此遺制なるべしともいへり、
〔延喜式〕
〈三十八/掃部〉
p.0140 草墪一枚、〈高一尺三寸、徑一尺六寸、〉料蔣二圍、苧八兩、〈大〉長功一人大半、中功二人、短功二人半、
草墪一枚、〈高八寸、徑一尺三寸、〉料蔣一圍大半、苧七兩、大長功一人少半、中功一人大半、短功二人、縫レ裏功程臨時量定、
〔内裏式〕
〈中〉
p.0140 奏二銓擬郡領一式
當日朝饌後、近衞次將一人率二掃部寮一設レ座、其儀、御座東南階前置二讀奏人座一、〈用二七寸黃兩面草墩(○○○○○)一、〉前立レ机、
〔延喜式〕
〈三十八/掃部〉
p.0140 凡御座者、淸涼後凉等殿設二錦草墪(○○○)一、〈高麗錦表、薫地緣、緋東絁裏○中略〉中宮草墪亦同レ御、
凡設レ座者、皇太子錦草墪〈襪錦表、長副錦緣、縹東絁裏、〉幷白木倚子、〈敷二錦褥一〉殿上幷行幸並通用、親王幷大臣、兩面草墪、〈葡萄滅紫兩面表緣、紺調布裏、〉赤漆小床子〈敷レ褥〉殿上行幸通用、大納言兩面草墪、〈藍染兩面表緣、紺調布裏、〉赤漆小床子、〈並敷二黃端茵一〉殿上行幸通用、參議已下侍從已上中床子、〈並敷二黃〉端茵一殿上行幸通用、妃夫人錦草墪、〈黃地覆瓫錦表、紫地車前子兩面緣、縹東絁裏、〉尚侍女御錦草墪、〈縹地散花錦表、靑褐車前子兩面緣、縹東絁裏、〉囊床子、〈敷二二色綾褥一〉四位命婦及更衣藏人兩面草墪、〈藍染兩面表緣、紺調布裏、〉五位命婦及藏人靑白橡草墪(○○○○○)、〈靑白橡揩剝東絁表緣、紺調布裏、〉殿上其座次第如二常儀一、
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0141 御元服
天皇元服御裝束、〈○中略〉西第三間〈中央間也〉敷二二色綾毯代一、其上立二大床子二脚一、〈○中略〉其前立二兩面錦草墪(○○○○○)一爲二理髮座一、〈承平記文、敷二綠草毯代一、其上立二草墪一云々、可レ有二下敷一歟、或人曰、此草塾太短、奉二仕御髮一之間不レ可レ及、可レ高レ自レ例云々、〉
〔江家次第〕
〈一/正月〉
p.0141 元日宴會
御帳南差西去立二小臺一、〈○中略〉其南置二綠草墪(○○○)一、〈陪膳采女座〉
〔江家次第〕
〈二/正月〉
p.0141 七日節會裝束
御帳南差西去立二小臺一、〈○中略〉其南置二綠草墪一、〈陪膳采女座〉
〔北山抄〕
〈三/拾遺雜抄〉
p.0141 内宴事
裏書 藏人式〈○中略〉 座右立レ机置レ硯、主膳監立二臺盤一基一、其座前渡殿鋪二紺布毯代一置二草墪一爲二王卿座一、
〔延喜式〕
〈三十八/掃部〉
p.0141 御齋會終日、〈○中略〉問答者座亦各立二兀子一、其前置二草墪一、
〔西宮記〕
p.0141 一天皇元服〈○中略〉
掃部置二草墪承明門東西腋一、〈○中略〉御座前置二草墪一枚一爲二理髮座一、〈○中略〉草墪一枚、〈理髮座料、入レ綿調レ之、〉
一皇太子元服〈○中略〉
御帳西立二通障子二基一〈延喜記云、自レ例北去一尺七寸、是則爲レ御二覽西壁下威儀御膳一也、其中立二囊床子、草墪一、御帳以北、女官敷レ疊如レ例、〉
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0141 東宮御元服
通障子北鋪二同〈○綠〉端長疊一枚一、其西立二囊床子二脚一、又立二草墪二枚一云々、〈○註略〉件草墪節會時所レ不レ立也、而永保准レ之不レ立、但舊記、太子元服時立レ之云々、
〔法成寺金堂供養記〕
p.0142 治安二年七月十四日壬午、此日入道太相國建立法成寺金堂五大堂新佛開眼供養會也、〈○中略〉迦陵頻八人、菩薩八人、著二舞臺上草墪一、胡蝶八人、菩薩八人、著二鐘樓臺草墪一、
〔尊勝寺供養記〕
p.0142 康和四年七月廿一日甲辰、今日有二尊勝寺供養事一、〈○中略〉東机倚二呪願文杖一、〈○註略〉其南分立二草墪八基一、
〔倭名類聚抄〕
〈十四/坐臥具〉
p.0142 胡床 風俗通云、靈帝好二胡服一、京皆作二胡床一、〈此間名二阿久良(○○○)一〉
〔箋注倭名類聚抄〕
〈六/坐臥具〉
p.0142 通鑑晉紀注胡三省曰、胡床、蓋今交椅之類、孔穎達曰、今之交牀制、本自レ虜來、隋以二讖有一レ胡、改名二交牀一、昌平本有二和名二字一、下總本有二此間云三字一、繼體、敏達、用明、督明、天智紀同訓、阿久良、又見二雄略記御歌一、岡部氏曰、是揚座之義、按、雄略時去レ古未レ遠、決不レ用二交牀一、則疑阿久良是床子墪之類、非二胡床一、但出二源氏物語胡蝶卷、榮花物語第卅六卷、及枕冊子一者、似下謂二胡床一爲中阿久良上、雖二古今其物不一レ同、名則依レ古耳、
〔晉書〕
〈七十三/庾亮傳〉
p.0142 亮在二武昌一、諸佐吏殷浩之徒、乘レ夜往共登二南樓一、俄而不レ覺亮至、諸人將二起避一レ之、亮徐曰、諸君少住、老子於二此處一興復不レ淺、便據二胡床一與二浩等一談詠竟坐、其坦率行レ己、多此類也、
〔伊呂波字類抄〕
〈安/雜物〉
p.0142 胡床〈アクラ〉
〔名目抄〕
〈雜物〉
p.0142 胡床(コシヤウ/○○)
〔書言字考節用集〕
〈七/器財〉
p.0142 胡床(アグラ)〈隋改曰二交床一、唐穆改曰二繩床一、蓋其制出二北湖一、故曰二胡床一、韻府、韻端、〉
〔和漢三才圖會〕
〈三十二/家飾具〉
p.0142 胡床 胡牀 繩床 和名阿久良 摺疊椅 太太美阿久良〈○中略〉
按胡床、本西戎之製乎、比二交椅一甚簡易也坐下設二繩綱一、故名二繩床一、〈又謂二阿久良、者、網鞍之義乎一〉今俗平踞謂二之胡牀圍(アクラカク)一、〈○下略〉
〔名物六帖器財〕
〈三〉
p.0143 胡床(タヽミシヤウギ/アグラ)
〔本朝軍器考〕
〈十一〉
p.0143 床几(○○)トイフ物ハ、古ノ胡床也、胡床ハ倭名抄ニ、此間ニハ阿久良(アグラ)トイフヨシ注セリ、〈○中略〉天若日子、胡床ニ寢タリシ、高胸坂ニアタリテ死ストイフコト、古事記ニアレバ、此物神代ヨリアリケルニヤ、タヾシ風俗通ニ、靈帝胡服ヲ好ミ給ヒシホドニ、京ミナ胡床作レリトアレバ、異朝ニハ、後漢ノ末ニ出來シ物也、又器物叢談トイフ物ニ、胡床ハ胡人偃坐シテ睡レバ、此ノ名ヲ得タリ、隋ノ時ニ讖ニ胡トイフ字アル故ニ、改メテ交床(カウシヤウ)トイヒシヲ、唐代ヨリ繩床(ゼウシヤウ)トナヅクトハシルセリ、風俗通ノ説ニヨレバ、胡國ヨリ出ヅ、叢談ノ説ニヨレバ、胡國ヨリハ出デネド、偃坐シテ睡ルベキ物ナレバ、胡人ノ俗ニ似タリトテカク名ヅケシ也、イヅレニモアレ、後漢ノ比ニヤ出來ヌランヲ、我ガ國ノ地神ノ代ニ此ノ物アルベシト思ハレズ、サレバニヤ舊事紀、日本書紀ニハ、タダ天稚彦ノフシタリトバカリアリテ、胡床ニ寢タリシトハ見エズ、コレハ古事記撰バレシ時ニ、此ノ物スデニアリシカバ、今見ル所ニヨリテ、神代ノ事ニ、此ノ文字ヲ誤リ用ヒタル也、古ノ時戰場ニ用ヒシモノ、今世ニアル制ニハアラズトイフ人アリ、心得ガタシヤ、用明天皇崩ジ給ヒシ時、帝ノ御弟穴穗部皇子ノ三輪君逆ヲ殺サントテ、物部守屋大連ト兵ヲ將テ其家ヲ圍マル、逆ノ君ノガレテ後宮ニカクレシカバ、皇子ハ大連シテソレヲ討シメ、ミヅカラハ胡床ニシリウチカケテ、マチ給ヒシトイフ事アリ、コレ昔戰ノ時、此ノ物用ヒラレシ證也、モシハ又其ノ形今ノ物ニアラズトイハヾ、梁ノ廋肩吾胡床ノ詩ニ、傳レ名乃外域、入レ用信中原、足欹形已正、文斜體自平、トイフ物ハ、今ノ制ニアラザランヤハ、彼梁ノ代ハ、我國ニシテ用明天皇ノ御時ヨリハ、猶少シクサキノ代ニゾアタリ侍リ、
〔倭訓栞〕
〈前編二/阿〉
p.0143 あぐら 胡床をよめり、古事記に呉床とも見ゆ、足座の義也、玉纒の胡床、倭文纒の胡床など、日本紀の歌に見たり、俗に床机といふ是也、
〔安齋隨筆〕
〈後編五〉
p.0144 一胡床床机 胡床と床机とは一物にあらず、別物也、貝原好古が和事始に、胡床俗に云床机と記し、新井氏が軍器考に、床几と云物は古の胡床也と記したるは誤也、胡床は今も猿樂の鼓打等が腰かけるもの也、是を俗に床机と稱するは誤也、〈○中略〉胡床の名、日本紀神代卷に見えたり、されども唯腰かける事を云はんとて、後代の胡床の字を借り用しなるべし、又禁庭に公事行はるゝ時、官人腰かくるに、胡床も床子〈一名床机〉兩品ともに用らる、内裏儀式に床机〈床子と記たる所も有り〉も胡床も見えたり、今も兩品用らるゝ也、
〔倭名類聚抄〕
〈十四/坐臥具〉
p.0144 牙床(○○) 遊仙窟云、六尺象牙床、〈楊氏漢語抄云、牙床、久禮度古(○○○○)、〉
〔箋注倭名類聚抄〕
〈六/坐臥具〉
p.0144 所レ引遊仙窟原書作二八尺一、按牙牀、又見二儀式大嘗會條、内匠寮、主水司式一、又古事記應神天皇條、西大寺資財帳、大神宮儀式帳、内宮長曆送官符、有二呉牀一、蓋此物、
〔伊呂波字類抄〕
〈計/疊掌〉
p.0144 牙床(ゲシヤウ)
〔縣居雜錄〕
〈あ〉
p.0144 呉床(あぐら)〈○中略〉上座(あげくら)の意なるべし
〔倭訓栞〕
〈中編六/久〉
p.0144 くれどこ 倭名抄に牙床をよめり、くれは呉の義也、さらば古事記に呉床と見えたる是也、呉床をあぐらとよめるは、胡床と同じく心得たる也、
〔日本書紀通證〕
〈二十二/繼體〉
p.0144 胡床(アグラ)〈倭名抄胡床、此間名二阿久良一、今按編座之義也、〉
〔和漢三才圖會〕
〈三十二/家飾具〉
p.0144 胡床〈○中略〉 摺疊椅(○○○) 太太美阿久良〈○中略〉
摺疊椅、其制似二胡床一而有レ機、無用時疊レ之、
〔古事記〕
〈上〉
p.0144 於レ是高木神吿レ之、此矢者所レ賜二天若日子一之矢、卽示二諸神等一詔者、或天若日子不レ誤レ命、爲レ射二惡神一之矢之至者、不レ中二天若日子一、或有二邪心一者、天若日子於二此矢一麻賀禮〈此三字以レ音〉云而取二其矢一自二其矢穴一衝返下者、中下天若日子寢二胡床(○○)一之高胸坂上垓死、〈此還矢可レ恐之本也〉
〔古事記傳〕
〈十三〉
p.0144 胡床、和名抄に胡床、風俗通云、靈帝好二胡服一、京師皆作二胡床一、此間阿久良(アグラ)とあり、書紀
にも如レ此訓り、此記には此にのみ胡床とありて、中卷下卷に處々あるをば、みな呉床と書り、同物なり、〈○註略〉下卷朝倉ノ朝ノ段に、立二大御呉床(タテヽオホミアグラヲ)一とあれば、いと高き床と見ゆ、〈凡て何にても、立とは其形狀の高き物ならでは云ぬことなり、〉阿具良てふ名ノ意は、揚座(アゲクラ)ならむと師の云れし、さも有なむ、〈或説に編座(アミクラ)の意とせるは由なし、さて今俗(ヨ)、に平座(タヒラニヲ)ることを、阿具良加久(アグラカク)と云ことのあるは、胡(アグラ)床に坐(ヲル)ときの坐(ヲリ)ざまなるを云にや、〉其は後方に倚かゝる物ありて、後世の倚子などの屬(タグヒ)の狀(ナリ)したる物にやとも思はるれど、上に寢たりとあれば、此なるは、やゝ廣き床と聞えたり、
〔縣居雜錄補抄〕
p.0145 あぐら〈○中略〉こは後のよにいへるあぐらとはちがひ、ことに大きなるものとみゆ、こゝにあぐらにいねませる、み琴彈せたまふ〈○雄略記文〉などあるをおもふべし、
〔古事記〕
〈中/應神〉
p.0145 爾大雀命、聞二其兄備一レ兵、卽遣二使者一、令レ吿二宇遲能和紀郎子一、故聞驚以レ兵伏二河邊一、亦其山之上、張二絁垣一、立二帷幕一詐以二舍人一爲レ王、露坐二呉(クレ)床一、百官恭敬往來之狀、旣如二王子之坐所一、
〔古事記傳〕
〈三十三〉
p.0145 呉床は師の阿具良(アグラ)と訓れたる宜し、下文にも見え、又朝倉ノ宮ノ段に、大御呉床(オホミアグラ)とも御呉床(ミアグラ)ともあり、上卷天若日子ノ段に胡床(アグラ)とあると同ジ物なり、〈胡と呉との字にはかゝはらぬことなり、又和名抄に、牙床久禮度古(ハクレトコ)と云もあれど、其にはあらず、〉
〔古事記〕
〈下/雄略〉
p.0145 幸二行吉野一之時、留二其童女之所一レ遇、於二其處一立二大御呉床(ヲホミクレトコ)一而坐二其御呉床一、彈二御琴一、令レ爲レ儛二其孃子一、爾因二其孃子之好儛二作二御歌一、其歌曰、阿具良韋能(アクライノ)、加微能美氐母知(カミノミテモチ)、比久許登爾(ヒクコトニ)、麻比須流袁美那(マヒスルヲミナ)、登許余爾母加母(トコヨニモカモ)、
〔日本書紀〕
〈十四/雄略〉
p.0145 四年八月戊申、行二幸吉野宮一、 庚戌、幸二于河上小野一、命二虞人一駈レ獸、欲二躬射一而待、虻疾飛來〓二天皇臂一、於レ是蜻蛉忽然飛來齧レ蝱將去、天皇嘉二厥有一レ心、〈○中略〉天皇乃口號曰、野磨等能、嗚武羅能陀該儞、之々符須登、拖例柯擧能居登、飫裒磨陛儞麻嗚須、〈一本以二飫裒磨陛儞麼鳴須一、易二飫裒枳彌儞麻鳴須一、〉飫裒枳瀰簸、賊據鳴枳舸斯題、柁磨々枳能、阿娯羅(アグラ)儞陀々伺、〈一本以二陀々伺一易二伊麻伺一〉施都魔枳能、阿娯羅儞陀々伺斯々魔都登、倭我伊麻西磨、佐謂麻都登、倭我陀々西磨、陀倶符羅爾、阿武柯枳都枳都、曾能阿武鳴、婀枳豆波野倶譬、波賦
武志謀、飫裒枳瀰儞磨都羅符、儺我柯陀播於柯武、婀岐豆斯麻野麻登、〈一本以二波賦武志謀以下一、易二舸矩能御等、難儞於婆武登、蘇羅瀰豆、野磨等能矩儞鳴、婀岐豆斯麻登以符一、〉因讃二蜻蛉一、名二此地一爲二蜻蛉野一、
〔延喜式〕
〈四十五/左右近衞〉
p.0146 凡胡床三百基緖料緋絲、基別八雨、塗料漆、基別一合、隨レ損申レ官請、
〔安齋隨筆〕
〈後編八〉
p.0146 一胡床
樋口秘記に 樋口宗氏と云、公家の故實知たる者の筆記也、
是を胡床(アグラ)と云
今鼓ウチのコシカケノ類也
〔仁孝天皇御卽位記〕
p.0146 大藏省木工寮左近府調進
同〈○米〉十六石九斗、黑漆胡床(○○○)廿三脚、
〔延喜式〕
〈十二/中務〉
p.0146 凡大儀日、〈○中略〉輔丞各二人相分率二内舍人一、大極殿前庭近衞陣以南隊之、〈○中略〉各居二胡床一、〈其輔胡床、以二虎皮(○○)一敷レ之、〉
凡供二奉威儀一官人、〈○中略〉敷二胡床一虎皮、奏二請内藏寮一、事了返上、
〔延喜式〕
〈四十五/左右近衞〉
p.0146 大儀〈○中略〉
將監率二將曹以下一隊二於大極殿以北後殿南一、並居二胡床一、〈少將以下胡床各敷二虎皮一、預奏請二内藏寮一、永收二本府一餘府准レ此、〉
凡節會御二紫宸殿一、中將已下率二近衞等一入レ自二日華門一、將曹一人前行、〈右入レ自二月華門一、〉居二胡床一、〈少將已上胡床、各敷二虎皮一、〉
〔延喜式〕
〈四十/主水〉
p.0147 供御年料〈○中略〉
行事儲料緋杷兩面覆(○○○○○)二條〈一條御膳櫃料、一條牙床料、○中略〉油絁覆(○○○)二條、〈一條御膳櫃料、一條牙床料、〉
〔江家次第〕
〈二/正月〉
p.0147 七日節會裝束
當二紫宸殿東第三間一、南去三許丈以南立二左近衞次將胡床一、〈以二黃布豹文(○○○○)一覆レ之、北上西面、〉其後立二將監以下胡床一、其後立二府生胡床一、其後立二番長胡床一、〈右亦准レ此〉
〔江家次第〕
〈十/十一月〉
p.0147 新嘗會裝束
南殿南庭當二殿東第三間一、去レ砌二許丈、以南立二左近次將胡床一、其上覆二黃布豹文毯代一、〈北上西面〉
〔仁孝天皇御卽位記〕
p.0147 出納右近府廳預調進
同〈○米〉拾六石壹斗、胡床覆虎代廿三帖、
〔延喜式〕
〈四十八/左右馬〉
p.0147 凡行幸御馬鞍帊、深紫綾一條、〈○中略〉胡床岱、鞭岱、筥岱各一口、〈並各加二油絹帊一〉
〔内裏式〕
〈上〉
p.0147 元正受二群臣朝賀一式
諸衞服二大儀一各勒二所部一、立二大儀仗於殿庭左右及諸門一、門部四人居二於章德興禮兩門東西一也、〈各用二胡床一〉
〔延喜式〕
〈四十三/春宮〉
p.0147 朝賀儀〈○中略〉
亮率二帶刀舍人等一就二幄北胡床一、
〔延喜式〕
〈十五/内藏〉
p.0147 同節〈○元正〉威儀屛繖二具、〈○中略〉前レ節二日、胡牀二張付二掃部寮一、
〔内裏式〕
〈中〉
p.0147 五月五日觀二馬射一式
諸衞服二中儀一、警蹕侍衞如レ常、訖諸衞共著二胡床一、
〔西宮記〕
〈七月〉
p.0147 相撲召仰
早旦幸二武德殿一、〈有二鈴奏一〉諸衞就二胡床一、王卿以下就二外辨幄一、〈○下略〉
〔西宮記〕
〈臨時十〉
p.0148 節會日事附節會行幸儀式等
引レ陣之時、執二仗槍一〈將曹執レ桙、在二將前一、〉入レ自二日華門、月華門一、各著二胡床一、卽其槍立二胡床前一、
〔儀式〕
〈五〉
p.0148 天皇卽位儀
當日諸衞服二大儀一、〈○中略〉門部四人居二於章德興禮兩門東西一也、〈各用二胡床一○中略〉伴佐伯兩氏各一人、〈○註略〉各著二五位禮服一、率二門部三人一〈不レ帶二弓箭一〉入レ自二章德興禮兩門一、居二會昌門内左右廂胡床一、
〔西宮記〕
p.0148 一天皇元服〈○中略〉
女官裝束立二御倚子一、〈○中略〉近衞陣二階下一、〈服二中餞一立二胡床一〉
〔延喜式〕
〈二十八/兵部〉
p.0148 凡諸門立二儀仗一日、衞府人等見二皇太子及親王太政大臣出入一者、皆坐二胡床一而揖、
〔侍中群要〕
〈十〉
p.0148 御二覽鵜一事
兵衞陣前立二胡床一、藏人出納御厨子所預等著レ之、
〔日本書紀〕
〈十七/繼體〉
p.0148 元年正月辛酉朔、大伴大連金村大連更籌議曰、男大迹王〈○繼體〉性慈仁孝順可レ承二天緖一、〈○中略〉 丙寅、遣二臣連等一、持レ節以備二法駕一、奉レ迎二三國一、夾二衞兵仗一、肅二整容儀一、驚蹕前駈、奄然而至、於レ是男大迹天皇晏然自若、踞二坐胡床一、齊二列陪臣一、旣如二帝坐一、
〔日本書紀〕
〈二十/敏達〉
p.0148 十四年三月丙戌、物部弓削守屋大連自詣二於寺一、踞二坐胡床一、斫二倒其塔一、縱レ火燔レ之、
〔日本書紀〕
〈二十一/用明〉
p.0148 元年五月、〈○中略〉穴穗部皇子卽遣二守屋大連一、〈○註略〉曰、汝應三往討二逆君幷其二子一、大連遂率レ兵去、蘇我馬子宿禰外聞二斯計一、〈○中略〉到二於磐余一、〈行二至於池邊一也〉而切二諫之一、皇子乃從レ諫止、仍於二此處一、踞二坐胡床一、待二大連一焉、
〔日本靈異記〕
〈上〉
p.0148 凶人不レ孝二養嬭房母一以現得二惡死報一緣第廿三
大和國添上郡有二一凶人一也、其名未レ詳、字曰二瞻保一、是難破宮御宇天皇之代、預二學生一之人也、徒學二書傳一不レ養二其母一、母貸二子稻一无二物可一レ償、瞻保忽怒、逼而徵レ之、時母居レ地、子坐二胡床一、賞明視レ之不レ得二寧居一、〈○下略〉
〔皇大神宮儀式帳〕
p.0149 一荒祭宮正殿裝束 合廿種
神財八種〈○中略〉呉床(○○)一具〈漆塗長二尺三寸〉
〔延喜式〕
〈五/齋宮〉
p.0149 造備雜物〈○中略〉
胡床二脚
〔源氏物語〕
〈二十四/胡蝶〉
p.0149 わざとひらばりなどもうつさんず、おまへにわたれるらうをがくやのさまにして、かりにあぐらどもをめしたり、
〔源氏物語湖月抄〕
〈二十四/胡蝶〉
p.0149 あぐら〈細〉花説可なり、〈花〉胡床を日本紀にあぐらとよめり、樂人の座也、〈弄〉胡床などにこしをかけたるなるべし、
〔西宮記〕
〈五月〉
p.0149 觀射事〈附競馬〉
康保二年六月七日、於二弘徽殿一有二競馬事一、〈○中略〉左右算刺、著二飛香舍東北中門内座胡床一、〈以二殿上小舍人胡床一爲レ座〉
〔内宮長曆送官符〕
p.0149 太政官符
伊勢大神宮司〈○中略〉
神財漆種、〈○中略〉呉床(○○)壹具、 塗黑漆平文、長二尺三寸、在二金銅桶尻緋緖一、〈○中略〉
伊佐奈岐伊佐奈彌宮二所〈○中略〉
神財、〈○中略〉呉床(○○)一具、〈塗黑漆平文、以二緋綱一著二總金銅桶一、〉
〔榮花物語〕
〈三十六/根合〉
p.0149 四月〈○寬德二年〉八日には御卽位あり、〈○後冷泉〉のこる人なく見る、もんいる程、たまのかうぶりして、あぐらどものうへにゐなみたる、からゑのこゝちして、女房などは吉につきてさぶらふ、
〔江家次第〕
〈十九〉
p.0149 石淸水御幸儀〈寬治四年〉
次入二御於神宮南廊門以西御所一、公卿著二同廊門以東座一、諸衞著二門外胡床一、
〔中右記〕
p.0150 康和四年閏五月十五日、巳時許、諸卿參入、依レ可レ有二競馬御覽一也、〈○中略〉左右近衞立明胡床、次將以下著二胡床一、
〔長秋記〕
p.0150 保延元年八月十四日乙卯、依二放生會上卿一詣二八幡一、 十五日丙辰、〈○中略〉次禰宜三人相雙、取二白削一稱二警蹕一、經二舞臺一迎參、其後同禰宜六人、荷二胡床三基一相從、立二坂本一經二幄中一、神輿已下著、
〔台記〕
p.0150 保延二年十一月十六日庚辰、早旦大殿〈○藤原忠實〉被レ仰云、今日内辨極大事也、〈○中略〉參二大殿御前一、練樣幷舍人刀禰召セ、シキイン等ヲ奉レ習、〈○中略〉爽傍レ砌、至二軒廊第二間一、次刷二裝束一、令三隨身繙二下重一、令二隨身取一〈テ〉、至二樹二間一時、隨身下二下重尻一、出二樹二間一時、予〈○忠實子賴長〉漸練〈テ〉、右仗胡床南一丈許〈ニ〉立、自二胡床一東ニ進出〈コト〉七八寸許〈ニテ〉、又少退歸樣〈ニ爪〉、然者胡床すでに立定、向レ東テ揖テ起直テ向二丑寅一、左足〈ヲ〉未申さまに引也、〈○中略〉予仰二隨身右近一、胡床取〈セヨ〉、隨身仰二本陣了、次撒二左右近胡床一、〈於二左近一者不レ可レ撤、是本陣者不レ知二案内一歟、〉
康治元年正月十六日庚戌、〈○中略〉亥時參内、〈○中略〉頭中將〈○藤原忠雅〉仰二内辨一之次示曰、左次將不參、召二渡右將一如何、余諾、又余曰、汝左將也、雖レ頭著二胡床一恒例也、
〔天皇冠禮部類記〕
p.0150 大外記良業記、元久二年正月三日辛酉、今日皇帝〈○土御門〉於二内裏一有二御元服事一、〈○中略〉主上入御、〈○中略〉艮角敷二菅圓座一爲二攝政座一、依二雨儀一不レ敷二階下座一、近衞立二胡床於春興殿西庇安福殿東庇一、諸衞陣列、
〔伊呂波字類抄〕
〈志/雜物〉
p.0150 繩床(ジヨウシヤウ)〈僧器如二禮盤一居也〉
〔下學集〕
〈下/器財〉
p.0150 繩床(ジヤウシヤウ)
〔書言字考節用集〕
〈七/器財〉
p.0150 繩床(ジヤウシヤウ)〈本名胡床、出レ安、〉
〔續日本紀〕
〈一/文武〉
p.0150 四年三月己未、道照和尚物化、〈○中略〉和尚周遊凡十有餘載、有レ勅請還、還住二禪院一、坐禪如レ故、或三日一起、或七日一起、儵忽香氣從レ房出、諸弟子驚怪就而謁、和尚端二坐繩床一无レ有二氣息一、時七十有
二、
〔徒然草〕
〈下〉
p.0151 心さらにおごらずとも、佛前にありてすゞをとり經をとらば、怠るうちにも善業おのづから修せられ、散亂の心ながらも、繩床に座せば、覺えずして禪定なるべし、
〔徒然草諸抄大成〕
〈十三〉
p.0151 繩床は床になはを張て其上に居る也、又木綿をもはるなり座禪工夫の床也、〈諸〉床字、台家には淸てよみ、律宗には濁りてよむなり、今爰にては淸てよむべし、兼好台家の學者なればなり、〈參〉
〔名物六帖〕
〈器財三〉
p.0151 竹床(タケノシヤウギ)
〔菅家後集〕
p.0151 題二竹床子一〈通事李彦環所レ送〉
彦環送與竹繩床、甚好施來在二草堂一、應是商人留別去、自今遷客著相將、空心舊爲二遙踰一レ海、落涙新如二昔殖一レ湘、不レ費二一錢一得二唐物一、寄レ身偏愛惜二風霜一、
〔雍州府志〕
〈七/土産〉
p.0151 竹具 建仁寺町大佛前、亦以レ竹造二諸品物一、〈○中略〉竹床〈○中略〉等物無レ不レ有、
〔運步色葉集〕
〈志〉
p.0151 床机〈懸レ腰之物〉 將机
〔增補下學集〕
〈下/器財〉
p.0151 牀机(シヤウギ)
〔書言字考節用集〕
〈七/器財〉
p.0151 床机(シヤウギ)〈同レ上○胡床〉
〔和漢三才圖會〕
〈三十二/家飾具〉
p.0151 將几(しやうぎ) 牀几〈俗〉
按、此器中古之制、軍中所レ用、大將腰掛以休息、俗呼爲二將几一、或用二牀几二字一不レ當二於理一、大抵長一尺五寸、横八寸、高亦一尺五寸、其中間以レ釘爲レ機、可レ折二疊之一、臀當處張レ革、
今猿樂謠舞、打二大鼓小鼓一之輩用レ之、
尋常凳(クラカケ)之小者亦名二小几(○○)一、只稱二腰掛一可矣、
〔倭訓栞〕
〈中編九/佐〉
p.0151 さうぎ 閑居の友に、山のふもとにいほりかたのやうかまへて、さうぎといふも
のを日に三つくりて、此むすめもてうりに出しけると見えたり、床机の義成べし、
〔甲陽軍鑑〕
〈十下/品第三十二〉
p.0152 扨五月〈○永祿元年〉十五日に、兩大將御對面の時筑摩川を隔て、兩方の川のはたに床机を置、兩大將ながら馬〈二〉めし、床机の際にて馬よりおり、互に御供は五人づゝ、あたりに人を拂てと定、其ごとくなされ、旣に川端まで乘よせ、兩方馬よりおり給ふ時、景虎公手がるき大將なれば、信玄公に手遲みられじと思召候故、早馬よりおりて、床机に腰を懸給ふ、信玄公そこにて馬氈を直すふりをなされ、馬の上におひて、くるしからぬ、景虎馬にのられ候へと被レ仰候間、景虎おほきに腹を立、〈○下略〉
〔常山紀談〕
〈五〉
p.0152 勝賴〈○武田〉天目山に落行時、瀧川一益攻入て、落人ども討とり、勝賴の首をとりたれども、誰といふ事をしらず、小溝の中に棄けるに、〈○中略〉東照宮御將机におはしませしが、勝賴の首と聞し召、將机をおりさせ給ひ、偏にわかきゆゑ、思慮なくかくならせ候と、禮義正しく仰あり、
〔國府臺戰記〕
p.0152 國府臺御沒落之事
去間ニ北條殿ハ、夜半ニマギレテ淺草川ヲウチ越、オホツノ宿ハマダ夜深キニトホリスギ、敵ヲマツドノ堤ニテ、評議ノヤウコソオモシロケレ、氏綱ハ床机ニ腰ヲカケ、御休ニテマシマス、氏康ヲ始トシテ、諸侍ヲマネキヨセ、下知セラレケルヤウハ、〈○下略〉
〔伊呂波字類抄〕
〈古/雜物〉
p.0152 兀子〈コツシ公卿座也〉
〔書言字考節用集〕
〈七/器財〉
p.0152 杌子(ゴシ/コシカケ)〈卓子之屬〉
〔恒言錄〕
〈五/俗儀〉
p.0152 杌子
通鑑長編、丁謂罷レ相、入對二於承明殿一賜レ坐、左右欲レ設レ墪、謂顧曰、有レ旨、復、平章事、乃更以二杌子一進、〈常生案、錢世昭錢氏私誌、賢穆有二荊雍大長公主金撮角紅藤下馬杌子一、聞國初貴主乘レ馬、故有レ之、〉
〔名目抄〕
〈雜物〉
p.0152 兀子(ゴツシ)
〔參議要抄〕
〈下〉
p.0153 一初任事
著座事、〈○中略〉仰二裝束司史一、令レ造二兀子一、〈有レ所レ申二請御物等一、遣二本家々司一令二撿注一、〉
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0153 東宮御元服
一兀子色事
舊記注二紫色黃色一者、謂二敷物色一乎、〈見二致方辨天元記一〉而今乍二兀子一或塗二紫檀地一、或塗二黃土一可レ恠レ之、案二記文一、大臣敷物紫色、納言敷物黃色也、仍大臣爲二加冠一立二紫兀子一、中納言爲二理髮一黃色也、猶如二尋常兀子一、其尋常兀子未レ聞二上下一、皆塗二紫黃色一、
〔西宮記〕
p.0153 一皇太子元服
御帳東南一許丈、立二皇太子座一、〈○註略〉南廂東第三柱北邊、立二加冠人座兀子一、〈延喜殿上記云、紫兀子(○○○)、〉〈掃部寮云々〉其東五尺、〈同記云四尺〉立二理髮人座兀子一、〈同記云黃兀子(○○○)〉
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0153 東宮御元服
南殿南庇東第三柱下、立二加冠人座兀子一、〈紫色(○○)敷物有レ之〉其東五尺、立二理髮人座兀子一、〈黃色(○○)敷物有レ之○中略〉大臣〈兀子紫敷物〉大中納言〈兀子黃敷物○中略〉以上南座、親王〈兀子紫敷物○中略〉以上北座、是裝束司記文之意也、而近代混合、已無二是非一、納言用二綠(○)敷物一、大臣料用二錦(○)敷物一、可レ恠レ之、
〔貞享四年東宮御元服次第〕
p.0153 東宮〈○東山〉御元服次第
當日平明、所司奉二仕南殿御裝束一、〈○中略〉設二紫兀子於南廂西第三柱一爲二加冠人座一、其西相去四尺、設二黃兀子一爲二理髮人座一、
〔季連宿禰記〕
p.0153 貞享四年十一月十四日己丑、參二一條攝政殿一〈○藤原冬經〉大嘗會同辰日節會間事窺二定之一、〈○中略〉 十七日壬辰、〈○中略〉今日被レ行二豐明節會一、立二高御座於南殿一、堂上堂下御裝束、裝束司沙汰也、〈○中略〉高御座坤設二大忌公卿座一、〈如二例節會時一〉其儀設二四尺大盤一脚一、北黑塗兀子(○○○○)一脚、南朱塗兀子(○○○○)一脚、〈黑塗朱塗之兀子者、親王〉
〈關白兀子也云々、近代例節會之時設來、自二何比一置レ之哉不レ知二其謂一、〉其西兩面兀子(○○○○)一脚、〈南内辨大臣料〉四尺大盤西置二長大盤二脚綠兀子(○○○)四脚一、南北相對置レ之、〈大忌大中納言料○中略〉大盤南置二綠兀子二脚一、〈小忌大中納言料〉
〔新儀式〕
〈五/臨時〉
p.0154 册二命皇后一事〈○中略〉
候之所司裝二束南殿一、〈延喜廿三年懸二御簾一、立二御屏風一、供二大床子南廂第三間一、迫レ南立二几子一基一、卽在二東面御簾前一、〉時剋出御、左右近仗卽陣二階下一、〈内裏儀式、近仗服二中儀服一〉内侍臨二東檻一喚二大臣一、大臣參上、著二兀子一、〈○中略〉
册二命皇太子一事〈○中略〉
大臣喚二宣命大夫一、〈中納言〉大夫從二本列一東度、昇レ自二東階一就二大臣兀子後一、授二宣命文一、〈○中略〉
皇太子加二元服一事〈○中略〉
南廂東第三柱、北掃部寮立二兀子一、〈是又加冠者座也、事未レ始間、暫著二此座一、〉其東相去四尺立二兀子一、〈是理髮者座也〉
〔延喜式〕
〈三十八/掃部〉
p.0154 御齋會終日設二論義僧座於内裏御前一、僧綱座立二兀子一、問答者座亦各立二兀子一、
〔西宮記〕
〈正月上〉
p.0154 節會
天皇出御、〈○註略〉内辨著二兀子一、〈○中略〉
一御齋會
南殿儀〈御物忌時儀也〉
母屋東三間東面〈木工立二簾臺一〉幷同南懸二御簾一、南面東四間簾前立二香水机一、上置二香水散杖一、南去置二問答兀子草墪一、〈答者座前、草墪上置二如意一、〉東二間母屋立二僧綱兀子一、〈西面南上〉一間立二凡僧床子一、〈北上西面〉
〔北山抄〕
〈五〉
p.0154 大嘗會事
辰日裝束、〈○中略〉延英堂北第三四間立二兀子一、〈親王以下納言以上座〉
〔江家次第〕
〈二十〉
p.0154 任大臣裝束
東第三間東柱西北角各去二許尺、立二兀子一脚一爲二内弁座一、
〔西宮記〕
〈正月上〉
p.0155 二日二宮大饗
延長三年正月二日吏部記云、中宮饗設二玄輝門西一、東宮設二職御曹司一、親王南面、公卿北面、設二倚子一、唯參議用二兀子一、南北面、
〔小右記〕
p.0155 天元五年三月十一日癸卯、參殿、次參内、今日以二女御從四位下藤原遵子一立二皇后一、其儀南殿御装束、略如二相撲召合儀一、〈垂二御簾一〉南廂東第三間立二内弁兀子一、又不レ立二宜陽殿兀子一、
〔參議要抄〕
〈下〉
p.0155 一初任事
著座事、〈○中略〉隆國卿著座之時、兀子上有二死兒子手一、驚問二小野宮大臣一、〈○藤原實資〉返事云、取二弃件手一、可レ改二敷物一、不レ可レ語レ人、此又吉相也云々、
〔台記〕
p.0155 保延二年十一月十六日庚辰、早旦、大殿〈○藤原賴長父忠實〉被レ仰云、今日内辨極大事也、〈○中略〉參二大殿御前一、練樣幷舍人刀禰召セ、シキイン等ヲ奉レ習、〈○中略〉暫立留刷二裝束一、幷見二次第一テ昇レ階、〈○中略〉次經二柱外一、著二第三兀子一也、緣の兀子ニ下リテハ第一也、經下第三兀子與二第四兀子一間上、著二三兀子一也、立二兀子前一テ揖テ著也、〈○下略〉
〔宇槐雜抄〕
p.0155 保延三年九月廿三日壬午、今日仁和寺競馬行幸也、今曉天皇〈○崇德〉幸二仁和寺御所一給云々、午剋著二束帶一、〈螺鈿劒、有文帶、紺地平緖、松重半比下重白浮文表袴等也、〉參二仁和寺一、行二幸馬場殿一之後也、仍行幸之間儀不レ注、先著二幄屋一、〈件座兀子也、參議床子、大臣兩面、納言綠緣、〉公卿自レ本被居、左大臣〈○藤原家忠〉被レ居二奧第一兀子一、件兀子前立二白木机一、式筥可レ置之故歟、可レ知當時式筥、不レ被レ置二大臣兀子一、皆在レ奧、仍著二納言一兀子一、頃之左大臣召二掃部寮者一、取二在レ奧大臣兀子一脚一令レ移レ端、予移著レ之、
〔台記〕
p.0155 久安二年十一月十四日、〈○中略〉裏書、〈豐明節會〉範家來云、與二人々一相議、可レ被レ行者、先無二俘囚見參之例一、欲レ問二大外記一、而節會時奉二内辨一之後渡レ南、是例也、〈○中略〉奉二仕節會内辨一如レ常、〈有二俘囚見參一、但余(藤原賴長)兀子俄折、余驚而立不レ倒、先年禪閤(賴長父忠實)仰曰、故二條殿兀子折、不二令レ倒給一、故中宮大夫師忠兀子折被レ倒者、卽余命二參議一令二掃部丞兀子著一レ之、〉
仁平四年正月七日庚申、未刻伴二兼長隆長一參内著レ陣、〈○中略〉諸卿在二陣座一之間、參議多座狹、師長依二余〈○藤原賴長〉命一、著二納言座一、又殿上座、奧端各立二床子一脚一可レ候レ之、參議五人、師長不レ得レ著二床子一、著二兀子一、重通卿曰、是可レ昇二納言一象也、
〔萬一記〕
p.0156 正安三年八月廿四日、參内、依二立太子節會一也、早旦、諸司奉二仕南殿御裝束一、〈○中略〉次内弁昇二東階一著二兀子一、此間上官著二階下座一、
〔天和三年立太子次第〕
p.0156 當日早旦、諸司奉二仕南殿御装束一、〈○中略〉
次内辨昇二西階一著二兀子一
〔仁孝天皇御卽位記〕
p.0156 行事官調進
同〈○米〉五斗、兀子、
〔倭名類聚抄〕
〈十四/坐臥具〉
p.0156 几〈脇息(○○)附〉 西京雜記云、漢制、天子玉几、公侯皆以二竹木一爲レ几、〈居履反、和名於之萬都岐、今按、几屬有二脇息之名一、所レ出未レ詳、〉
〔西京雜記〕
p.0156 漢制、天子玉几、冬則加二綈錦其上一、謂二之綈几一、〈○中略〉公侯皆以二竹木一爲レ几、冬則以二細罽一爲レ橐以憑レ之、不レ得レ加二綈錦一、
〔下學集〕
〈下/器財〉
p.0156 脇息(ケウソク)〈靠レ身机也〉
〔運步色葉集〕
〈景〉
p.0156 脇息
〔倭訓栞〕
〈中編七/計〉
p.0156 けふそく 後撰集によめり、倭名抄に脇息と書て、几屬所レ出未レ詳といへり、戰國策の注に、墨子を引ていふ、楚靈王好二士細腰一、故其臣皆三飯爲レ節脇息而後帶、淵〓而後起と、脇息の字此義によれるもの成べし、東鑑、新猿樂記には、脇足と書り、憑几是也、
〔墨子〕
〈二/兼愛中〉
p.0156 昔者楚靈王好二士細腰一、故靈王之臣皆以二一飯一爲レ節、肱息然後帶、扶レ墻然後起、
〔古事記〕
〈下/雄略〉
p.0156 爾袁杼比賣獻レ歌、其歌曰、夜須美斯志(ヤスミシシ)、和賀淤富岐美能(ワガオホキミノ)、阿佐斗爾波(アサトニハ)、伊余理陀多志(イヨリタタシ)、由布(ユフ)
斗爾波(トニハ)、伊余理陀多須(イヨリタタス)、和豆岐紀賀斯多能(ワキヅキガシタノ)、伊多爾母賀(イタニモガ)、阿世袁、此者志都歌也、
〔古事記傳〕
〈四十二〉
p.0157 和岐豆紀賀(ワキヅキガ)は、師云脇机(ワキヅキ)にて、脇息のことなり、和名抄坐臥具に、几、西京雜記云、漢制、天子玉几、公侯皆以二竹木一爲レ几、和名於之萬都岐(オシマヅキ)、今按几屬、又有二脇息之名一、所レ出未レ詳、とありと云れたるが如し、〈於志麻豆伎(オシマヅキ)は、押座几(オシイマシヅクエ)、と云名にて、卽脇息なり、脇息と云名も、漢籍にも戰國策の注などに見えたり、後撰集の歌に、脇息をおさへて坐(マサ)へ云々、小右記には腋息ともあり、こは腋と脇と同じことゝ心得て、書れたるなるべし、〉書紀齊明卷(ノ)に、夾膝(オシマヅキ)自斷(ラヲレヌ)＼また案机(オシマヅキ)之脚(アシ)无レ故自斷(ラヲレヌ)、天武卷(ノ)に、高市皇子以下小錦以上大夫等賜二云々及机杖(オシマヅキヲ)一、唯小錦三階不レ賜レ机などあり、和伎豆紀(ワキヅキ)と云ぞ上代よりの名なりしを、稍後には、おしまづきと云(ヒ)、又後には脇息と云なり、〈契冲が、此句を和ノ字舊印本に誤て知と作るに依て、千木槻(チギツキ)とせるは論にたらず、〉さて脇机(ワキヅキ)は、座(イ)てこそ倚かゝる物なるに、余理陀多須(ヨリダヽス)とあるは、如何なる如く聞ゆめれど、座賜ふ御狀(ミカタチ)をも、立(タヽ)すと云べし、〈○中略〉伊多爾母賀(イタニモガ)は、板にもがなにて、其板にもならまほしと願ふ詞なり、〈○中略〉師云、下の板と云る、卽脇机の板なりと云れたるが如し、脇机は押へて腕の下に在物なるが故に、下とは云るなり、〈又思ふには、古の脇机には、脚の下にも又板ありて、其奄云るにや、若然らば、上の板をおきて、下なるをしも云るに、身を卑下(ヘリクダ)りたる意あるにや、然れども、なほ師の説ぞ古の意にはかなふべき、〉
〔日本書紀〕
〈二十六/齊明〉
p.0157 四年十一月甲申、有間皇子向二赤兄家一登レ樓而謀、夾膝自(オシマツキテ)斷、〈(中略)或本云、(中略)有間皇子、與一判事謀反之時、皇子案机(オシマツキ)之脚、无レ故自斷、○下略〉
〔日本書紀通證〕
〈三十一/齊明〉
p.0157 夾膝(オシマツキテ)〈倭名鈔、几、和名於之万都岐、又曰几屬有二脇息一所レ出未レ詳、今按脇息取二漢書所レ謂豪彊脇息之義一歟、戰國策註引二墨子一曰、楚靈王好二士細腰一、故其臣皆三飯爲レ節、脇息而後帶、淵墻而後起、皮日休竹夾膝詩圓二放玉樹一滑二於龍一、註竹夾滕卽竹夫人也、据レ此則今所レ謂椅子兀子之屬也、〉
〔日本書紀〕
〈二十九/天武〉
p.0157 五年正月癸卯、高市皇子以下、小錦以上大夫等、賜二衣袴褶腰帶脚帶、及机杖(オシマツキ)一、唯小錦三階不レ賜レ机、
〔新猿樂記〕
p.0157 三郎主者、細工幷木道者也、〈○中略〉脇足、〈已上所レ造〉
〔類聚雜要抄〕
〈四〉
p.0157 一庇具目錄
彫脇息一基
几長三尺五寸五分
四寸三分
厚九分小足高七寸五分
足上下太サ
五イ
一寸二分
〈大床長九寸、弘一寸五分、保(タモチ)長五寸六分、弘一寸二(三イ)分、〉〈料木三寸板三尺五寸木道單功飡紫檀〉
〈筋料銀廿兩延定六丈八尺内〉〈大九尺次五丈九尺〉
〈但白錫蒔十兩内〉〈一兩昆二兩首〉〈一兩面中入筋大吴关〉〈一兩一兩開〉
〈脇息用事如レ名〉
〈中彫間一寸三分〉
〈從レ首入定立事四寸七分〉
〔正倉院御寶物之圖〕
p.0158 御寶物目錄〈記二寸尺一者、以二金尺一新量レ之、〉
御脇息 二箇〈横五尺三寸、足高七寸、〉
〔空穗物語〕
〈菊の宴〉
p.0158 きさいの宮賀、正月廿七日にいでくるおとこになむ、つかまつり給ける、まうけられたるもの、〈○中略〉ぢむのけうそく(〇〇〇〇〇〇〇)、〈○中略〉左大將おしき六十、おなじこがねのけうそく(〇〇〇〇〇〇〇〇)、よろづのものかずをつくしてまいる、
〔雅亮裝束抄〕
〈一〉
p.0158 もやひさしのてうどたつる事
そのひんがしにまきゑのけうそく(〇〇〇〇〇〇〇〇)を、たゝみのへりにそへて、にしひんがしざまにをくべし、
〔江家次第〕
〈十七〉
p.0159 御元服
天皇元服御裝束、〈○中略〉東面厨子中有二三層一、上層置二紫檀地御脇息(〇〇〇〇〇〇)一、〈横伏レ之、依二寸法不一レ叶也、或人曰、脇息不レ可レ入二於上層一、何在二御唐匣之上一哉、唐匣者是首服也、可レ在レ上云云、〉
〔東宮御元服部類記〕
p.0159 應和三年御元服記
二月廿八日辛亥、是日依レ有下太子〈○冷泉〉加二元服一事上、拂曉諸司裝二束紫宸殿一、〈○中略〉御元服雜事、
一調度、〈○中略〉紫檀御脇息一脚、
〔兵範記〕
p.0159 仁安三年十二月十日丁酉、早旦著二行事所一、大嘗會威儀御物、幷副御調度内二覽殿下一、〈○藤原基房〉可レ進二納内裏一、件御物等調二合會日一、〈○中略〉令レ注二目錄二通一、〈○中略〉
大嘗會悠紀所 注進御物目錄事
合〈○中略〉紫檀地螺鈿御脇息(〇〇〇〇〇〇〇〇)一脚〈在二銀筋一〉
〔吾妻鏡〕
〈九〉
p.0159 文治五年十一月十八日甲戌、還二御鎌倉一、重國進二御引出物一、〈○中略〉柔脇息(〇〇〇)一脚等也、
〔新儀式〕
〈四/臨時〉
p.0159 天皇奉二賀上皇御算一事
當日早旦行二寢殿御裝束一、其儀、母屋東第三間立三太上皇大床子三脚一、〈○註略〉其上立二御脇息一、
〔北山抄〕
〈五〉
p.0159 大嘗會事
辰日裝束、〈○中略〉立二置物机一、置二師子形一如レ常、〈有二御脇足、銀鏤唾壼、蒔繪火桶炭取等一云々、置所可レ尋、〉
〔今昔物語〕
〈二十〉
p.0159 淸瀧河奧聖人成二慢悔一語第卅九
今昔、淸瀧河ノ奧ニ庵ヲ造テ年來ヲ行フ僧有ケリ、〈○中略〉僧水瓶ノ行ク方ヲ指テ見次ニ行クニ、〈○中略〉年七十許ナル僧ノ、極テ貴氣ナル獨鈷ヲ捲テ脇足ニ押シ懸リテ眠リ入タリ、
〔空穗物語〕
〈國讓上二〉
p.0159 大將このおり宮たちみたてまつらでは、いかでかと思ひて、一宮いとよく御とのごもりたるに、けうそこをふみたてゝ、御びやうぶのかみよりのぞけるは、明ぬとおぼえて、
男宮たちは、御とのごもりたり、〈○下略〉
〔空穗物語〕
〈藏開上〉
p.0160 女御きみなかのおとゞにわたり給てみ奉り給て、いたくぞおもやせ給にける、うへのさばかりうしろめたがりきこえ給ものをとて、み奉り給に、〈○中略〉御ぞはあからかなるあやのうちぎの御ぞ、ひとかさね奉りて、御けうそくにをしかゝりておはす、
〔西宮記〕
p.0160 一天皇元服〈○中略〉
御調度事〈(中略)御脇息一脚〉
〔西宮記〕
〈臨時九〉
p.0160 親王元服
延喜十七年、克明親王加冠、〈○中略〉其儀、卷二西廂簾一、其北障子南面設二冠親王座一、〈用二土敷二枚、幷表席褥一加二脇息一、○中略〉
天慶二年八月十四日、吏部記云、章明親王加二元服一、〈○中略〉酉二刻置二巾櫛具一、〈二階、唐匣、櫛筥、泔盃、冠筥及脇息等、〉
〔源氏物語〕
〈五/若紫〉
p.0160 これみつばかり御ともにて、のぞきたまへば、〈○源氏〉たゞこのにしおもてにしも、ぢぶつすへたてまつりて、をこなふあま成けり、すだれすこしあげて、はなたてまつるめり、中のはしらによりゐて、けうそくのうへに經ををきて、いとなやましげによみゐたるあま君、たゞ人とみえず、四十あまりばかりにて、いとしろくあてにやせたれど、つらつきふくらかに、まみのほどかみのうつくしげにそがれたるすゑも、中々ながきよりもこよなういまめかしきものかなと、哀にみ給ふ、
〔源氏物語〕
〈六/末摘花〉
p.0160 御なをしなど奉るをみいだして、すこしさしいでゝ、かたはらふしたまへる、かしらつき、こぼれいでたる程、いとめでたし、おひなをりをみいでたらんときとおぼされて、かうしひきあけ給へり、いとおかしかりしものごりに、あげもはてたまはで、けふそくををしよせて、うちかけて、御びんぐきのしどけなきをつくろひ給、
〔榮花物語〕
〈十八/玉臺〉
p.0160 火舍にくろぼうをたかせ給へり、花水のぐやなどあり、これは供養法の御座なる
べし、それによりきたにたゝみしき、うへに御わらうだかさねて、けしきある御脇足ををかせ給へり、これたゞの御座なるべし、
〔蜻蛉日記〕
〈中ノ上〉
p.0161 あはれかくてはてなば、いとくちおしかるべし、あるほどにだにあらず、おもひあらむにたがひても、かたらひつべきをとおもひてげふそくにをしかゝりてかきけることは、いのちなかるべしとのみのたまへ、〈○下略〉
〔十訓抄〕
〈三〉
p.0161 書寫性空上人、生身の普賢を見奉るべき由、寤寐に祈請し給けるに、或夜轉經に疲て、經をにぎりながら、脇息によりかゝりて、しばしまどろみたる夢に、生身の普賢を見奉らんと思はば、神崎遊女の長者を見るべき由して夢さめぬ、
〔吾妻鏡〕
〈五〉
p.0161 文治元年十月六日乙卯、梶原源太左衞門尉景季、自二京都一歸參、於二御前一申云、參二向伊豫守〈○源義經〉亭一、申二御使由一之處、稱二違例一無二對面一、仍レ此密事以レ使不レ能レ傳、歸二於旅宿一〈六條油小路〉相二隔一兩日一、又令レ參之時、乍レ懸二脇足一、被二相逢一、〈○下略〉
〔園太曆〕
p.0161 貞和四年十一月廿四日、今日女院〈○宣光門院實子〉有二御落飾事一、〈○中略〉
次御著座 此間所役女房、〈○註略〉持二參次第具一、 御帷〈但懸二御脇足一〉 御脇息〈○中略〉 次女院向二御脇足一御座、〈○下略〉
〔大安寺伽藍緣起幷流記資財帳〕
p.0161
合脇息貳足〈佛物〉
〔沙石集〕
〈二〉
p.0161 佛舍利感得人之事
少納言入道信西申ケルハ、〈○中略〉木ヲカセノヤウニシタルヲモ助老(○○)ト申シテ、老僧ノ坐禪ノ時、苦ケレバ脇ヲカケヤスミ候、大體脇息ノ風情ナリト申ケル、才覺コソメデタケレ、
〔後撰和歌集〕
〈二十/賀〉
p.0161 左大臣の家に、けうそく心ざしをくるとてくはへける、 僧都仁敎
けうそくををさへてまさへ萬よに花のさかりを心しづかに
〔調度歌合〕
p.0162 四番 右 けうそく
老人のちからとなれるかひもなし身さへくるしき戀の道には
右のうた、老人のちからとなれる計にては、けうそくの心いさゝか不足にや聞え侍らん、
〔正倉院御寶物之圖〕
p.0162 御寶物目錄〈記二寸尺一者、以二金尺一新量レ之、〉
御倚懸 〈圍三尺七寸、長二尺六寸、幅九寸、高六寸、絹二ツ、〉
〔後奈良院御撰何曾〕
p.0162 三里半 よりかゝり(○○○○○)
〔御産所日記〕
p.0162 御産所之御具足色々給二注文一
二御寄掛 一
〔嫁入記〕
p.0162 一よりかゝり寸法は、みちのものこしらへていだすなり、をきあげにゑなどかき、ふたにこうもるとりのはなど入て、上はあやにてはるなり、
〔後奈良院宸記〕
p.0162 天文四年乙未正月廿二日甲申、今日晩景、自二靑蓮院一豐樂門院御遺物トテ、ヨリ懸(○○○)貝桶給レ之、今更樣悲歎彌添二哀慟一也、
〔宗長息女婚禮記錄〕
p.0162 息女〈○小笠原宗長女嫁二武田晴信一〉出給ふ時、〈○中略〉道具の順は、二の門にて定候也、〈○中略〉
道具輿以下次第之事〈○中略〉
十七、長持、〈よりかゝり○下略〉
〔毛吹草〕
〈三〉
p.0162 山城 倚懸(ヨリカヽリ)
![[PukiWiki]](image/pukiwiki.png "[PukiWiki]")
