器用部/屛障具二

幌/名稱

〔倭名類聚抄〕

〈十四/屛障具〉

p.0777 幌 唐韻云、幌〈胡廣反、上聲之重、和名止波利、〉帷幔也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六/屛障具〉

p.0777 古本新撰字鏡同訓、〈○中略〉蓋可レ閉レ戸之處、張レ之以取レ明也、今俗長暖簾之類也、〈○中略〉文選雪賦、月承レ幌而通レ暉、注引二文字集略一云、幌以レ帛明レ牕也、

〔伊呂波字類抄〕

〈止/雜物〉

p.0777 幌〈トハリ帷幔也〉 幃〈〓〉 幬〈已上同亦作二胡襌帳一也〉

〔易林本節用集〕

〈登/食服〉

p.0777 幌(トバリ) 帳(同) 帷(同)

〔和漢三才圖會〕

〈三十二/家飾具〉

p.0777 幌(とはり)〈音黃〉 和名 止波利 俗云暖簾(ノウレン)
唐韻云、幌者帷幔也、以二布棉一爲レ之、其幅無レ定、市〓毎戸懸レ幌、記二屋號及所レ賈之品類一者、卽幌之屬也、

〔倭訓栞〕

〈前編十八/登〉

p.0777 とばり 日本紀に帳をよみ、古事記に幕をよみ、和名抄に幌をよみ、常に幔をよめり、戸張の義也、今いふ暖簾の類也、雲のとばり、霧のとばりなどよむは、見たてたる也、とばりあげは褰帳をいふ、玉葉集に、今上御卽位の時、大納言三位とばりあげつとめて、上階して侍りし時申つかはしける、
高みくら雲のとばりをかゝぐとてのぼるみはしのかひもあるかな

〔日本書紀〕

〈十二/履中〉

p.0777 八十七年正月、大鷦鷯天皇崩、皇太子自二諒闇一出之、未レ卽二尊位之間、以二羽田矢代宿禰之女黑媛一欲レ爲レ妃、納采旣訖、遣二住吉仲皇子一而吿二吉日一、時仲皇子冒二太子名一以姧二黑媛一、是夜仲皇子忘二手鈴 於黑媛之家一而歸焉、明日之夜、太子不レ知二仲皇子自姧一而到之、乃入レ室開レ帳(トバリ/○)居二於玉床一、

〔古事記〕

〈中/應神〉

p.0778 其山之上張二絁垣一、立二帷幕(○○)一、

〔古事記傳〕

〈三十三〉

p.0778 帷幕は阿宜波理(アゲハリ)と訓べし、〈○中略〉又斗婆理(トバリ/○○○)とも訓べし、

〔日本書紀〕

〈十九/欽明〉

p.0778 二十三年八月、天皇遣二大將軍大伴連狹手彦一、領二兵數萬一伐二于高麗一、狹手彦乃用二百濟計一打二破高麗一、其王踰レ墻而逃、狹手彦遂乘レ勝以入レ宮、盡得二珍寶〓賂、七織帳(ナヽヘノオリモノ)、鐵屋(トバリ)一還來、〈舊本云、鐵屋在二高麗西高樓上一、織帳張二於高麗王内寢一、〉以二七織帳一奉レ獻二於天皇一、

〔日本書紀通證〕

〈二十四/欽明〉

p.0778 七織帳〈禮玉藻、士不レ衣レ織、註織染レ絲織レ之、魏略西戎博曰、絳地金織帳、初學記曰、七綵帳、七綵芙蓉之羽帳、〉

〔催馬樂〕

p.0778 我家
わいヘンは、とばりちやう(○○○○○○)をも、たれたるを、おほぎみきませ、むこにせん、みさかなに、なによけむ、あはびさだをか、かぜよけん、あはびさだをか、かぜよけん、

〔梁塵愚按鈔〕

〈下〉

p.0778 とばりは幌也、ちやうは帳也、又帳をも則とばりとよむなり、

〔源氏物語〕

〈二/帚木〉

p.0778 火あかくかゝげなどして、御くだ物ばかりまゐれり、とばり丁(○○○○)もいかに、そはさるかたのこゝろもなくては、めざましきあるじならんとのたまへば、〈○下略〉

幌製作

〔延喜式〕

〈六/齋院〉

p.0778 三年一請雜物
深縹帛四疋三尺五寸、〈(中略)五丈二尺五寸夏幌(○○)五條紐(○)表料、三丈五尺冬幌(○○)同料、○中略〉絹二百卅八疋一丈七尺九寸、〈(中略)九疋二丈幌夏帷(○○○)五條料、五丈二尺五寸紐裏(○○)料、八疋冬帷(○○)料、三丈五尺紐裏料、〉調綿三百廿三屯、〈(中略)三十五屯冬幌五條料〉絲二絇、〈縫二冬斗帳帷、幷幌一料、○中略〉苅安草八十二圍半、〈(中略)廿七圍、染二幌七條表絹五疋四丈一料、○中略〉錢十七貫七百卅文、〈九貫八百十六文、染二斗帳一具、壁代十八條、幌七條表絹卅二疋四丈二尺一藍料、疋別三百文、七貫七百廿文、染二同裏料淺縹絹廿五疋四丈四尺一料、疋別三百文、〉

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

p.0778 年料供物
幌三條〈縫殿寮縫備、毎年供之、〉

〔法隆寺伽藍緣起幷流記資財帳〕

p.0779 合布單帳(○○○)漆拾陸張
佛分單帳貳拾捌長〈十六張細、十二張麁、〉
一長一丈二尺三寸廣四幅 一長九尺七寸廣四幅 一長一丈四寸廣三幅
一長九尺五寸廣四幅 一長一丈二寸廣四幅 一長一丈五寸廣四幅
一長九丈〈○丈恐尺誤〉九寸廣三幅 一長八尺八寸廣四幅 一長九尺廣三幅
一長二丈六寸廣四幅 一長一丈三尺廣二幅 一長一丈九寸廣四幅
一長九尺九寸廣四幅 一長七尺七寸廣三幅 一長九尺九寸廣四幅
一長一丈一寸廣三幅
以上細
三長各八尺廣三寸 一長一丈廣五幅 一長一丈六尺廣四幅一長一丈三寸廣五幅 一長九尺七寸廣二幅 一長一丈二寸廣四幅一長七尺八寸廣三幅 一長八尺二寸廣三幅紺 一長八尺八寸廣三幅一長一丈一尺廣三幅
以上麁

幌種類

〔法隆寺伽藍緣起幷流記資財帳〕

p.0779 合通分繡帳(○○)貳張〈其帶廿二條、鈴三百九十三、〉
右、納賜淨御原宮御宇天皇者、〈○中略〉
合通分雜物參拾伍種
繡八部帳(○○○○)壹張〈長七尺、廣五尺、〉 帳壹張〈表紫(○○)、裏綠(○○)、在レ緖(○○)、〉 呉人錦帳(○○○○)壹張〈長六尺二寸、廣五尺、〉
秘錦(○○)貳張〈一長七尺九寸、廣四尺九寸、一長七尺五寸、廣四尺九寸、〉 毛錦帳(○○○)貳張〈一長九尺一寸、廣四尺四寸、一長九尺、廣四尺四寸、○下略〉

〔江家次第〕

〈七/六月〉

p.0779 中和院神今食御裝束
當日神嘉殿、〈○中略〉北戸外庇内敷二小筵二枚一、爲二御裝物所一、南北東西戸懸二絹幌(○○)一、

〔内宮長曆送官符〕

p.0779 御裝束 伍拾肆種
大神宮御料〈○中略〉 生絁單幌(○○○○)壹條〈長七尺三寸、廣七幅、○中略〉
坐二相殿一神裝束〈○中略〉
寶殿貳宇、生絹幌(○○○)貳條、〈長各六尺三寸、廣四幅、○中略〉
出座料御裝束〈○中略〉
細布袷帳(○○○○)壹條、〈長九尺、廣四幅、依レ式九尺者、而天元二年一丈者、〉生絁袷帳(○○○○)壹條、〈長九尺、廣四幅、〉

〔法隆寺伽藍緣起幷流記資財帳〕

p.0780 合練絁帳(○○○)捌張
佛分肆張〈一長一丈五寸、廣四幅、一長一丈五尺、廣二幅、一長一丈二尺、廣四幅、一長一丈四寸、廣五幅、〉
右、養老六年歲次壬戌十二月四日、納賜平城宮御宇天皇者、
寺掃分肆張〈一長六尺四寸、廣四幅、一長一丈五寸、廣三幅、二長各七尺五寸、廣四幅、〉
右、納賜平城宮皇后宮者、

〔大安寺伽藍緣起幷流記資財帳〕

p.0780 合絁帳(○○)貳拾張〈佛物十張之中、綠二張、帛八張、温室分物赤帛一張、常住僧物一張、通物橡八張、〉

〔延喜式〕

〈七/踐祚大嘗祭〉

p.0780 凡造二大嘗宮一者、〈○中略〉悠紀院所レ造正殿一宇、〈○中略〉戸懸二布幌(○○)一、〈内藏寮所レ設〉

〔儀式〕

〈四〉

p.0780 踐祚大嘗祭儀
頒二下諸司諸國一官符宣旨例
太政官符大藏宮内省
大藏省、〈○中略〉幌料望陀布(○○○)三丈二尺、〈已上縫殿寮所二縫作一、卽縫女等卜食令レ縫、〉

〔大安寺伽藍緣起幷流記資財帳〕

p.0780 合布帳(○○)參拾參張〈佛物五張之中、四細布(○○)、一長布(○○)、温室分十張之中、一細布、九長布、菩薩物二張並細布、四天王物三張、常住僧物一張、長布、通物十二張之中、細布六、長布六、〉

〔法隆寺伽藍緣起幷流記資財帳〕

p.0780 黃帳(○○)壹張〈長九尺六寸廣二幅半〉
綠帳(○○)壹張〈長八尺八寸廣幅○中略〉 右、癸巳年十月廿六日仁王會、納賜飛鳥宮御宇天皇〈○持統〉者、

幌用法

〔儀式〕

〈三〉

p.0781 踐祚大嘗祭儀
先レ祭七日鎭二大嘗宮齋殿地一、〈○中略〉其大嘗殿所レ須〈○中略〉幌二具(○○○)、筥三合、幷人給衾八條、單四條、預令二縫殿寮縫備一、

〔皇大神宮儀式帳〕

p.0781 一新宮遷奉御裝束用物事
太神正殿裝束六物〈○中略〉
御幌帳一條〈長七尺三寸、弘四幅、○中略〉
寶殿二宇御幌二帳〈長各六尺三寸、弘四幅、〉
御門四間生絁御幌四帳
瑞垣御門帳一條、〈長七尺八寸、弘四幅、〉 番垣御門帳一條、〈長八尺八寸、弘五幅、〉玉串御門帳一條、〈長八尺八寸、弘五幅、〉玉垣御門帳一條、〈長七尺四寸、弘三幅、〉

〔内宮長曆送官符〕

p.0781 御裝束 伍拾肆種
大神宮御料、〈○中略〉肆御門幌肆條、
瑞垣御門〈長七尺八寸、廣四幅、〉 蕃垣御門〈長八尺八寸、廣五幅、〉 玉串御門〈長八尺八寸、廣五幅、〉 玉垣御門〈長八尺四寸、廣三幅、〉

〔行厨集〕

〈八/人物稱謂〉

p.0781 門帷〈曰二門㡘一、又牙尺餘倶卽曰二裁尺一、用二幾枝一、〉

〔止由氣宮儀式帳〕

p.0781 一新造宮御裝束用物事
止由氣太神御裝束物〈○中略〉
御幌帳壹條、〈長七尺三寸、四幅、○中略〉寶殿一間御帳二條、〈長各八尺、各四幅、已上生絁、〉

〔延喜式〕

〈十五/内藏〉

p.0781 元正預前、裝二飾大極殿一、〈○中略〉帳二條、〈淺紫綾表、緋綾裏、〉

幌具

〔延喜式〕

〈四/伊勢大神宮〉

p.0781 修二飾神宮一調度 正殿〈○中略〉幌懸鐶(○○○)三枚、〈長各一寸五分、穴徑三分、頭徑六分、〉位金(○○)三枚、〈徑各一寸二分○中略〉北御門〈○中略〉幌懸鐶三枚、〈長各一寸五分、頭徑六分、〉位金三枚、〈徑各一寸二分○中略〉御門四間幌懸鐶十二隻、〈長各一寸五分、頭徑三分、〉位金十二枚、〈徑各一寸半〉

垂布

〔撮壤集〕

〈中/飾具〉

p.0782 垂布(タレヌノ)

〔下學集〕

〈下/絹布〉

p.0782 幃(タレヌノ)

〔易林本節用集〕

〈太/食服〉

p.0782 幃(タレヌノ) 帳(同) 幔(同) 帷(同)

〔倭訓栞〕

〈中編十三/多〉

p.0782 たれのの 類聚雜要、東三條室禮に、垂布見えたり、

〔俚言集覽〕

〈太〉

p.0782 垂布 鷹筑波、美しき花は小家の軒端にて、と云句に、柳のいとの枝やたれぬの、

〔類聚雜要抄〕

〈一〉

p.0782 一母屋大饗
永久四年正月廿三日 内大臣殿〈○藤原忠通〉母屋大饗寢殿指圖 東三條殿
長押母屋際ニ渡テ垂布ヲ懸

〔大饗雜事〕

p.0782 一垂布〈上客料理所〉
〈久安、上客料理所、四北二面、懸二白垂布一、其内副二東西壁一、立二三層棚各一脚一、敷二紫端黃端等疊一、御車宿西東、隨身所二間懸二紺垂布(○○○)一、〉

〔大饗御裝束間事〕

p.0782 所々座事
康和二七十七、爲隆記云、〈東三條○中略〉西中門北廊西戸以北、設二諸大夫座一、〈傍二西壁一鋪二紫端帖三枚一〉同廊馬道北遣戸以北、設二尊者前駈座一、〈母屋三个間、東柱西面、其北間簾臺下懸二渡紺垂布一、○中略〉西渡殿爲二上客料理所一、〈日來於二東御隨身所一調侍、今朝渡之、南北面懸二白垂布(○○○)一、其内三重棚各一脚、又鋪二紫端帖一爲二其所人座一、〉 北政所屋、爲二撿非違使座一、〈半蔀戸等懸二白垂布一、其内對座、鋪二紫端帖六枚一、〉

〔兵範記〕

p.0782 久安五年十月十八日丙寅、昨今日奉二仕小松殿御裝束一、〈○中略〉南妻戸懸二紺垂布一、敷二紫帖一枚一、
十九日丁卯、今日於二宇治縣小松殿一、有二左府若君〈○藤原賴長子師長〉元服事一、〈年十二○中略〉 雜色所、左近邊、今度以二御車宿南妻一爲二御所一、懸二白垂布一、奧方横切敷二紫端帖一枚一、其前立二四尺黑漆食床一脚一爲二長座一、其東二行敷二黃絹緣帖四枚一、中央立二八尺食床一脚一、〈○下略〉

〔山槐記〕

p.0783 〈裏書〉仁平元年十月十六日壬午、行事藏人縫殿權助賴業豫仰二所司一鋪設裝束、其儀二行對座、〈○中略〉西蔀懸二垂布一、〈紺〉

帷

〔倭名類聚抄〕

〈十四/屛障具〉

p.0783 帷 釋名云、帷〈音維、和名加太比良、〉圍也、以二自障一圍也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六/屛障具〉

p.0783 孝德紀同訓、新撰字鏡鋪字亦同訓、按加太、不二複重一之義、比良、謂薄如レ葉也、與二枚訓比良一同、帷所レ謂帳帷、几帳帷卽是、後謂二襌布衣一爲二加太比良一、本書内衣訓二由加太比良一是也、俗以二帷子字一爲二襌布衣一、非レ是、〈○中略〉按、依二釋名所一レ云、則帷後世軍營施レ之自圍、呼レ幕者之類、非二加太比良一也、

〔段注説文解字〕

〈七下/巾〉

p.0783 〓、帷也、〈釋名曰、㡘廉也、自障蔽爲二廉耻一也、戸㡘施二之於戸外一也、按與二竹部簾一異物、㡘以レ布爲レ之、簾以レ竹爲レ之、〉从レ巾〈鄭云、帷以レ布爲レ之、〉兼聲、〈力鹽切、七部、〉 〓、在レ旁曰レ帷(○○○○)、〈周禮注同、釋名曰、帷圍也、所二以自障圍一也、〉从レ巾隹聲、〈洧悲切、十五部、〉〓、古文帷、〈錯曰、从レ匸象二周帀一、〉

〔伊呂波字類抄〕

〈加/雜物〉

p.0783 帷〈カタヒラ〉 幃

〔運步色葉集〕

〈賀〉

p.0783 帷子(カタヒラ)〈左傳九、帷レ堂而哭、同十七、以レ帷傳二其書一、〉

〔新撰字鏡〕

〈金〉

p.0783 鋪〈普胡反、陳也、遍也、布也、舒也、設也、加太比良、又已之、〉

〔後奈良院御撰何曾〕

p.0783 夏衣冬降にけり かたびら(○○○○)

〔和漢三才圖會〕

〈三十二/家飾具〉

p.0783 帷(かたひら)〈音爲〉 幃〈同〉 和名加太比良 今云水引是乎〈○中略〉
按、本朝所レ謂帷(○)〈幕(○)〉幕(○)〈帷(○)〉相誤也(○○○)、所レ圖隨二其誤一耳、且又以二衫衣一爲二帷子(カタヒラ)一、〈事詳二于衣服類之下一〉蓋衫衣單布圍二身體一、似下帷之圍二屋舍一者上、故假稱二加太比良一、竟失レ本乎、

〔東雅〕

〈八/器用〉

p.0783 帷カタビラ 倭名鈔屛障具に、釋名を引て、帷は圍也、以二自障一圍也、讀てカタビラといふと注したり、カタビラといふ義不レ詳、〈倭名鈔澡浴具に、温室經論語注等を引て、内衣明衣並讀てユカタビヲといふと注したり、又俗に大帷子などしるして、帷の字讀てカタビラといふものあり、すべてこれらの名義不レ詳、〉又倭名鈔に見えし幕マクといふは、其字の音也、又帟ヒラバリといふは、周禮注に平帳曰レ帟之義也、幄アゲハリといふは、小爾雅に覆帳謂二之幄一之義也、幔マダラマクといふは、本朝式斑幔之義也、幌をばトバリといふ也、凡帟帳之屬をハリといふは、釋名に帳張 也といふ義によれりとみゆ、さらば小帳曰レ斗之義によりてトバリといひしもしるべからず、和名鈔に、帳は此間に長といふと注せしは、字の音をもてよぶ也、俗亦讀てタレヌノといふ也、

〔倭訓栞〕

〈前編六/加〉

p.0784 かたびら 日本紀、倭名鈔に、帷をよめり、傍平の義、ひらばりなどいふが如し、古今集に、帳のかたびらとも見えたり、源氏巴抄に、夏はすゞし、冬はねり也といへり、新撰字鏡に鋪をもよめり、香壺のはこ、くすりの箱にもかたびらといふ物あり、まさすけに見えたり、

〔玉勝間〕

〈十一〉

p.0784 ゆかたびら かたびら
浴して著る衣を、俗にゆかたといふは、同じ物語〈○榮花物語〉玉のかざりの卷に、御ゆかたびらとあるこれなり、ついでにいはむ、かたびらとは、今の世には布の衣をのみいへど、もとさにはあらず、裏なく一重なる物を、何にまれかたびらとはいふなり、

〔類聚名物考〕

〈調度五〉

p.0784 帷 かたびら〈和名抄〉幄 帳 幬 帷 幔 帟
幬、徒到反、覆幬、又説文、單帳也、爾雅、幬謂二之帳一、帷者幕也、幔也、在レ上曰レ帟、四旁及上曰レ帷、上下四旁周曰レ幄、此字注に依て按に、幬帳は總名にて、それを張樣の形によりて名のかはるにや、帟はあげばりなり、帷まく也、幄は家の如くに引廻せしをいふ歟、幄のやと云にてしるべし、

〔古今要覽稿〕

〈器財〉

p.0784 あげはり〈帷 幕 幄〉
帷、〈古事記、日本紀孝德紀、周禮、前漢書、〉帷は古文圍と通じて、四方にはりまはしたる義なり、周禮の注に、在レ旁曰レ帷、又三禮圖に、四旁及上曰レ帷とあり、また論語非二帷裳一必殺レ之を、疏に在レ下之裳、其制正幅如レ帷、名曰二帷裳一、則無二殺縫一とときたれば、帷裳などあるも、その幅を竪ざまにぬふを以てなるべし、〈○中略〉かたびら、〈日本紀傍訓、和名抄、〉和訓栞云、傍平の義、布衫のことをさいふは、帷に用ゆる布もて衣にしたるものなり、論語疏には、正幅如レ帷、名曰二帷裳一とあり、二説いづれもいはれあり、

〔令義解〕

〈一/職員〉

p.0784 主殿寮 頭一人掌下供御輿輦、〈○義解略〉蓋笠、繖扇、〈○義解略〉帷帳(○○)、湯沐、洒二掃殿庭一、及燈燭、〈○義解略〉松柴炭燎〈○義解略〉等事上、

〔周禮註疏〕

〈一/天官〉

p.0785 幕人、下士一人、府二人、史二人、徒四十人、〈(中略)釋曰、在レ此者、案二其職一云、掌二帷幕幄帟綬之事一、亦是安二王身一之事、故在レ此也、〉

〔延喜式〕

〈十五/内藏〉

p.0785 藍染綾一百疋、〈○中略〉絞帷(○○)二條、〈科絁二丈四尺、別一丈二尺、○中略〉押帷(○○)二條、〈料調布二丈五尺〉

〔儀式〕

〈四〉

p.0785 踐祚大嘗祭儀
頒二下諸司諸國一官符宣旨例
太政官符大藏宮内省
大藏省、〈○中略〉帷一張料望陀布二丈一尺、

〔内宮長曆送官符〕

p.0785 御裝束 伍拾肆種
大神宮御料〈○中略〉
生絁袷帷(○○○○)壹條〈長一丈三尺、廣四幅、○中略〉
月夜見宮正殿肆宇 御裝束拾參種〈○中略〉
土代生絹帷肆條
三條〈長各一丈、廣三幅、〉 一條〈長八尺八寸、廣三幅、〉

帽額

〔伊呂波字類抄〕

〈毛/地儀〉

p.0785 帽額〈モカウ簾帽額〉

〔倭訓栞〕

〈前編三十三/毛〉

p.0785 もかう 帽額と書り延喜式、江次第に見ゆ、本は首服也、通典に、古之人帽而額〈ス〉と見えたり、帽子と抹額とをいふなるべし、〈○中略〉類聚雜要に、面額とも書たる、今もつかふの紋といふも是なり、水引の事也、

〔新猿樂記〕

p.0785 六郎冠者、繪師長也、墨畫、彩色、淡作繪、丹調、山水、野水、屋形、木額(○○/モカウ)〈○中略〉等上手也、

〔類聚雜要抄〕

〈二/調度〉

p.0785 永久五年七月二日、關白〈○藤原忠實〉右大臣殿〈○右大臣恐内大臣誤、時忠實子忠通爲二内大臣一、〉移二御鴨居殿一、障子帳東西遣戸障子、有二各引物一、南面立二脇障子一、在二引物一、後押障子、四面ニ面額(○○)ヲ引廻、〈斗帳定〉

〔鹽尻〕

〈四十七〉

p.0786 一布のもかう〈徒然草な講ずる人、古書を不レ知して、妄なる説をなして、しかも夫を秘事とす、甚敷笑、へきにや、〉
村上院御記曰、天曆八年正月八日、母后崩ず、二十四日、今朝撤二尋常御簾一、改懸二蘆簾一以二鈍色細布一爲二端帽額一云々、西宮記も又同じさま也、通典に古の帽而額といへる故、帽額は頭の服と計心得るは非也、
もかうは常の簾にも、上の方の端を幅の儘に下を綴つけずして置を云、是はみすもかうなり、殿上昔は翠簾を垂れ、其上に帽額を引き、下に二尺の儿帳を立て、もかうときちやうの間を物見にせしとかや、今俗に云水引は、昔の所レ謂帽額也、帽額の名は、もと首服也、夫をかりて上にある引物をもかうと呼也、扁榜を額といふも、門上に懸るゆへなり、尋常の翠簾には、平絹等の帽額也、されば簾の端、及帽額に畫く紋をもつかうといふは、鞆に畫く紋を鞆繪といふに同じ、但紫宸殿大禮の時、〈御卽位大嘗會〉壁代の上に横に引く、其時の帽額の紋は、獸形也、一ツを執ていふべからず、

〔杜氏通典〕

〈五十七/禮〉

p.0786 帽
周成王問二周公一曰、舜之冠何如焉、曰、古之人、上有レ帽、而勾領〈或云、帽名、猶レ冠也、義取三於加二覆其首一、本纚也、古者冠下有レ纚、以レ繪爲レ之、後世施二幘於冠一、因裁レ纚爲レ帽、〉

〔有職聞書〕

p.0786 一徒然草に布のもかう、放免のつけもの秘事傅授のよし申候、如何樣成ものにて御座候哉、
答〈○野々宮定基〉もかうとは、能、相撲などの舞臺のうへに曳申候ものにて候、今の世俗に水曳と申候、帽額と書てひたひかくし(○○○○○○)と申候、金襽などにて仕たるを金帽額(○○○)と申候、白絹へ獅子などを書たるを獸形帽額(○○○○)と書て、じうぎやうのもかうと申候、此もかうを當世水引と申事も誤り(○○○○○○○○)にて候、上に張申候をもかうと申、下に張申候を水引と申候、
予〈○小宮山昌世〉先年京都にて御卽位の時見申候、紫宸殿の正面にも、獸形の帽額を張候而見え申 候、後に野々宮定基卿に承り候得ば、十二支を書候事本義のよし被レ仰候、

〔延喜式〕

〈十五/内藏〉

p.0787 凡正月七日預前節一日、寮官人率二史生藏部一裝二飾舞臺一、設二冒甲(○○)四條、下敷兩面帳一條、鎭子鐵廿廷一、〈亞雄二布袋一〉

〔江家次第〕

〈二/正月〉

p.0787 七日節會裝束
尋常版位南去三許丈、構二立舞臺一、〈○中略〉其東西北面懸二亘帽額一、〈不レ隱二鞆繪一〉

〔延喜式〕

〈十五/内藏〉

p.0787 元正預前裝二飾大極殿一、鳳形九隻、順鏡廿五面、玉幡八流、玉冒甲(○○○)十六條、

〔延喜式〕

〈三十/大藏〉

p.0787 元正前二日丞錄率二吏生藏部等一懸二繡額(○○)於大極殿一、〈綴著料緋絲一絇○中略〉又豐樂殿張二庇蓋一懸二繡額一、〈綴著料絲同二大極殿一〉

〔江家次第〕

〈三/正月〉

p.0787 賭射裝束
内藏寮入レ自二月華門一、懸二御簾於校書殿東北第一二間、及南殿西庇二間西階戸間等一、〈南殿錦額(○○)〉

〔倭訓栞〕

〈前編三十三/毛〉

p.0787 もかう 獸形帽額(○○○○)は十二支を畫く、御卽位にも紫宸殿に張たり、布の帽額は倚盧に用ゐさせらるゝ具なり、

〔經信卿記〕

p.0787 治曆四年七月廿一日辛酉、今日御卽位也、〈○中略〉廳南簷懸二十二辰帽額(○○○○○)一、〈依長廣廿二帖藏云々〉

〔吉記〕

p.0787 治承四年四月二日甲申、自レ内退出之次、參左府一、〈○中略〉獸形帽額可レ引否事、於二治曆一官廳無レ額、於二南殿一者有レ額、額上令レ引二亘之一如何之由申也、所存尤可レ被レ引也、額上計可レ除歟、 八日庚寅、御卽位御裝束事、可二儀定一、可レ參二會大内一者、午斜參入、先レ是左府被二參上一、〈○中略〉予〈○藤原經房〉參加之後、被レ披二指圖一、〈○註略〉又召二出獸形帽額一有二檢知一、

〔文安御卽位調度圖〕

p.0787 獸形帽額〈長十八丈八尺〉三幅〈面白〉小葵文綾練張裏緋染細布、〈五幅〉中部白張絹、 緣紫染小葵續、緣弘七寸、〈綾中破以二白絲一縫二唐草一〉
大極殿南榮上十一間、懸二亘獸形繡帽額一、〈以二蘇芳色細布一爲レ裏〉件帽額上下打二亘綱一、〈件木綱自レ本有之〉

水引

〔尺素往來〕

p.0788 爲二室内之飾一、〈○中略〉打敷、水引(○○)、胡銅、鍮石、

〔安齋隨筆〕

〈前編五〉

p.0788 一水引 佛前ニ金〓などを、門字ノ形にかけるを水引と云、建武元年八月廿七日東寺塔供養記に、地鋪水引等依レ無レ之、自二他所一被レ渡レ之、〈野水抄引之〉と見へたり、貞丈按、佛前ノ水引ハ、御厨子引(ミヅシヒキ)の略語なるべし、俗に佛龕を厨子といふ、厨子の前に引くゆへ御厨引と云なるべし、或説に、佛前の水引には帽額の二字を用ゆべしと云、按に、非なり、簾ノ帽額も、獸形帽額も、上に一文字に張て、其餘り左右に垂れず、水引と異なり、

〔類聚名物考〕

〈調度五〉

p.0788 みづひき 水引
禪林小歌注、其前多立レ卓、金〓打敷、〈以二金帛一交二糸織一〉金紗水引、今按に、水引とは世に云傳ふるは、天井よりたるゝ故に水引と云とぞ、此名古へ見えず、もとは帽額〈もかう〉と云たるもの是也、御簾のもかうといへるも是也、後に水引と云名は出たり、又古へ水引の糸などいへるは異事にて、一名にして別物なり、

〔貞丈雜記〕

〈十四/家作〉

p.0788 一床飾に水引敷絹と云ふ事、〈○中略〉水引の絹は床の左右の柱より降る絹なり、上を天の〓と云ふ、婚禮又は具足著の時など、床飾に用ふるなり、〈貞丈按ずるに、此の事古儀也、床の上左右の柱までたれ下すは帽額なり、是れ本名なり、〉

〔台記〕

p.0789 仁平二年二月廿七日癸亥、樂船雜具借二用平等院一、〈○中略〉水引、〈左右及艫廻之、紺唐綾、處々畫二水文鰐養魚一、上際畫二于鳥一、〉

〔壒囊抄〕

〈二〉

p.0789 神輿ナンドノ水引(○○)ニ手長足長ト云物アルハ、實ニアル物歟、誠ニサル物アルベキ也、唐皇居ニハ皆奇仙異人畫ケリ、サレバ千字文ニモ宮殿構ヲ云ニ、仙靈ノアヤシキ人ヲ畫彩トエガキイロドルト侍べリ、然レバ吾朝内裏ニモ加樣ノ人形アルナリ、中ニモ手長足長ヲ畫ケルヲバ、荒海障子ト云也、其姿神輿ノ水引ニ書ケルナルベシ、

斗帳/名稱

〔倭名類聚抄〕

〈十四/屛障具〉

p.0789 帳〈几帳附〉 釋名云、帳〈猪高反、此間音長、〉張也、施二帳於床上一也、小帳曰レ斗、〈俗云斗帳、一云屏幔、〉 形如二覆斗一也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六/屛障具〉

p.0789 按、文選注、華嚴經音義、並引二何承天纂要一云、在レ上曰レ帳、與三釋名云張二施於牀上一合、卽帳臺上張施者、又帳臺四面上方、有下横一幅帳垂下如三俗呼二水引一者上、卽斗帳也、其狀如二覆斗一、故有二是名一、其四旁下垂至レ地者、當レ謂二之幄一、然履中紀、帳訓二止八利一、大神宮儀式帳有二生絁御帳二條一、似レ言二垂下者一、源君所レ擧、亦疑非二牀上所レ施者一、

〔段注説文解字〕

〈七下/巾〉

p.0789 〓、襌帳也、〈襌不レ重也、古樂府、紅羅複斗帳、則帳多レ複者、召南抱二衾與一レ裯、傳、襌被也、箋云、裯牀帳也、按鄭謂レ裯鶯二〓之假借一也、不レ言レ襌者統辭也、釋訓曰、幬謂二之帳一、引伸爲二覆幬一、見二左傳及中庸一、中庸注曰、幬或作レ燾、〉从レ巾〓聲、〈直由切、三部〉 〓、帳也〈以二疊韵一勾レ訓、釋名曰、帳、張也、張二施於牀上一也、小張曰二斗帳一、形如二覆斗一也、古亦借二張字一爲レ之、〉从レ巾長聲、〈知諒切、十部、〉

〔爾雅正義〕

〈四/釋訓〉

p.0789 幬謂二之帳一註、今江東亦謂レ帳爲レ幬、〈正義、召南小星云、抱二衾與一レ裯、鄭箋、裯牀帳也、疏引二鄭志一、張逸問、諸妾抱レ帳進二御於君一、何其碎、答曰、今人名レ帳爲レ裯、雖三古無二名レ帳爲一レ裯、諸妾何必人抱二一帳一施者、因レ之如二今漢抱帳一也、案二説文一云、帳、襌帳也、帳、張也、〓與レ裯通、而鄭志迺云、古無二名レ帳爲レ裯者一、蓋於二雅訓一偶有レ不レ檢也、釋名云、帳張也、張二施於牀上一也、〉

〔事物紀原〕

〈八/舟車帷幄〉

p.0789 帳幄
周官幕人、掌二帷幕幄㡩綬之事一、注云、四合象二宮室一曰レ幄、王所レ居帳也、則帳幄當二周制一也、左傳有二子我有幄一、又衞侯爲二虎幄一、皆周事云、又所レ寢之幄、謂二之帳一者、黃帝内傳曰、王母爲レ帝設二九眞十絶玅帳一、此疑帳之起也、漢武帝作二甲乙武張一、蓋因レ此耳、

〔三國志〕

〈魏三十/東夷〉

p.0790 今西域舊圖云、〈○中略〉大秦多二〈○中略〉絳地金織帳五色斗帳一、

〔運步色葉集〕

〈登〉

p.0790 斗帳

〔塵添壒囊抄〕

〈十一〉

p.0790 斗帳事
靈驗所等ニ本尊ヲ奉ルレ籠御帳ヲ斗帳ト云フハ、何ナル心ゾ、和名類聚鈔、小帳ヲ曰レ斗、俗云、斗帳云二屛風帳一、如レ形覆小帳ナラネドモ、スガタ方ナルニ付テノキナドヲバ同ク斗帳ト云歟、

〔眞俗佛事編〕

〈二〉

p.0790 斗帳
陀羅尼集經第三般若軌ニ、廿一種ノ供養物ヲ説中ニ、第七ニハ寶帳ト云ヘル、卽是ナリ、又七倶胝準提陀羅尼經曰、將レ像於二精室一、〈道場ナリ〉秘密供養、以レ帛覆レ像、念誦時去二覆帛一、〈斗帳ナリ〉瞻禮供養、念誦畢却以レ帛覆、愼勿レ令二人見一、〈今世靈像ヲ秘佛トスル本説ナリ〉又虚空藏求聞持法、畫像安置ノ法ヲ説テ、淨物覆レ之ト云へルモ、亦此寶帳ノ出處ナリ、

〔易林本節用集〕

〈登/食服〉

p.0790 斗帳(トチヤウ)〈神前斗作レ戸非〉

〔和漢三才圖會〕

〈三十二/家飾具〉

p.0790 斗帳(とちやう/チヤン)
釋名云、帳張也、施二張於床上一也、小帳曰二斗帳一、〈又云二屏幔一〉形如二覆斗一、物原云、軒轅作二帷帳一、
按、佛龕之帳、凡曰二斗帳一、常用所三以避二不淨一、或時開帳使二人直拜一レ之、

〔倭訓栞〕

〈中編十六/登〉

p.0790 とちやう 斗帳と書り、海錄に斗帳は小帳なりとみゆ、和名抄に出たり、屛幔も同じ、事林廣記に帳曰二斗兒一とも見ゆ、 紙帳は器服箋に見え、緞帳は絹帳也といへり、

〔類聚名物考〕

〈調度一〉

p.0790 斗帳 戸帳
今神佛の前のを、戸帳といふは此斗帳歟、

〔鹽尻〕

〈四十七〉

p.0790 一佛前の月帳は、海祿醉等に斗帳の字あり、小帳也、形如二覆斗一 いへば、斗帳といふべし、

〔空穗物語藏開〕

〈上〉

p.0791 うへのおとゞ、むまれ給へる君を、いときよくのごひて、御ほそのをきりて、このはかまにをしくゝみて、かきいだき給、中納言御帳(○○)のもとによりてついゐて、まづたまへやときこえ給、

〔大鏡〕

〈一/朱雀〉

p.0791 このみかどむまれさせ給ひては、御かうしもまいらず、よるひる火をともして、御帳の内にて、三までおほし奉らせたまひき、北野にをぢ申させ給ひてかくありしぞかし、

〔後撰和歌集〕

〈十/戀〉

p.0791 寬平のみかど、御くしおろさせ給ての比、御帳のめぐりにのみ、人はさぶらはせ給て、ちかうもめしよせられざりければ、かきて御帳にむすびつけゝる、〈○歌略〉

〔金葉和歌集〕

〈十/雜〉

p.0791 後三條院かくれおはしまして後、五月五日、一品宮の御帳にさうぶふかせ侍りけるに、さくらのつくり花のさゝれたりけるをみてよめる、〈○歌略〉

〔枕草子〕

〈六〉

p.0791 御帳のまへに女房いとおほくさぶらふ、〈○中略〉ひつじの時ばかりに、えむだうまいるといふほどもなく、うちそよめきいらせ給へば、宮もこなたによらせ給ぬ、やがて御帳にいらせ給ひぬれば、女房南をもてにそよめき出ぬめり、

〔中務内侍日記〕

p.0791 はつせにまいりつきて、のぼりらうを入るより、たうとくおもしろきことの世にあるべしともおぼえず、〈○中略〉年月のあらましけふこそと、うれしきことかぎりなくて、御帳もあきておがまれさせ給ふ、

〔安齋隨筆〕

〈後編十一〉

p.0791 一帳 類聚雜要に帳臺の圖有レ之候、然ども帳の全體不分明候、今愚按暗推を圖にして問レ之、〈○圖略〉
如レ帳ハ古今變異有レ之間敷歟、右委細可二示給一候、
雜要圖に玄隔參差なし、布毎に垂紐あり、〈此布の數ハ不覺悟也〉地白綾にて、唐鳥唐花を五色の糸にて繡せり、紐には胡粉にて蝶鳥を畫けり、帽額はなし、長サハ濱床へ垂かゝりて、蚊屋の長ケのごとくな り、上の耳はフクロ縫にして、臺の桁へ打組をもつて結付く、前後に口あり、帳へ入御の時は、後の口より入御あり、還御も又同じ、正中に御倚子を居へ、朱ヌリにて靑瑣あり、帳の裏は紫也、上ハ承麈あり、竪横布の事は不覺悟ニ御座候、白き平緖のやうに覺へ申候へども、是も袋耳にて桁へ打紐にて結付ケたるやう也、

〔家屋雜考〕

p.0792 戸帳 戸帳は、主人の好による事なれども、帳臺の入口へは、翠簾をたれず、必ず戸帳を用ふる事なり、すゞむしの卷に、御帳のかたびらよ、おもてながらあげてなどかけるも、此戸帳のことなり、〈催馬樂に、我家(ワイヘン)ハとばりちやうをもたれたるに、大君きませ、むこにせん、とうたふも、帳臺などのさまなり、〉

斗帳製作

〔延喜式〕

〈十七/内匠〉

p.0792 御斗帳一具、〈高八尺一寸、方一丈二尺二寸、〉土居料六七寸桁二枚、柱料簀子十四枚、天井料檜榑八材、熟銅大八斤、滅金小六兩二分、水銀小三兩一分、鐵二廷、膠小十二兩、漆一斗四升、掃墨四升、洗刷料油四合、木賊四兩、箟十株、洗革方一尺、酢二合、天井裏料白綾一疋五丈三尺、表料帛一疋五丈三尺、縫料絲三兩、絞レ漆料帛三尺、石見綿四斤、調布三尺、下二銅湯一料調布三尺、巾料布三尺、黏料糯米二升、伊豫砥一顆半、靑砥一枚、合レ漆料燒土一斗四升、炭二斛、和炭十一斛七斗五升、長功二百卅二人、〈木工七十一人半、銅卌二人半、鐵八人、畫三人、漆百一人、張二人、夫十四人、〉中功二百八十二人小半、〈工二百六十六人、夫十六人小半、〉短功三百廿三人、〈工三百四人、夫十九人、〉

〔延喜式〕

〈十四/縫殿〉

p.0792 斗帳
斗帳一具、〈高八尺〉帷八條、〈四條七幅、四條六幅、並長一丈、〉料絹十七疋二丈、〈表裏各八疋四丈〉綿八十四屯、〈七幅四條、別十一屯、六幅四條、別十屯、夏不レ須、〉帽甲一條、料絹一疋一丈五尺、〈表裏各三丈七尺五寸〉紐六十四條、料絹二疋、〈條別長七尺五寸、廣四寸五分、〉絲一絇、斗帳一具、〈高七尺〉帷八條、〈四條六幅、四條五幅、並長九尺、〉料絹十三疋一丈二尺、〈表裏各六疋三丈六尺〉綿七十六屯、〈六幅四條、別十屯、五幅四條、別九屯、夏不レ須、〉帽甲一條、料絹一疋一丈五尺、〈表裏各三丈七尺五寸〉紐六十四條、料絹一疋五丈二尺、〈條別長七尺、廣四寸五分、〉絲八兩、

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

p.0792 年料供物
斗帳、料絹七疋二丈四尺、綿卅屯、

〔延喜式〕

〈十七/内匠〉

p.0793 伊勢初齋院裝束
白木斗帳一具、〈高八尺方一丈〉料五六寸桁二枚、簀子十枚、檜榑四材、熟銅大七斤、滅金小五兩、水銀小二兩二分、鐵一廷半、調布五尺五寸、伊豫砥膠小六兩、木賊小三兩、帛一疋五尺、白施一疋五尺、練絲三兩、糯米三升、炭七斗五升、和炭九斛二斗五升、長功一百十三人、〈木工五十三人半、銅卌一人半、鐵七人、畫二人、夫九人、〉中功一百卅二人、〈工一百廿一人小半、夫十人大半、〉短功一百五十一人、〈工百卅八人大半、夫十二人小半、〉

〔延喜式〕

〈六/齋院〉

p.0793 三年一請雜物
赤紫帛三疋五丈二尺、〈二疋斗帳夏帷二具紐表料、一疋五丈二尺冬帷二具同料、○中略〉絹二百卅八疋一丈七尺九寸〈(中略)卅六疋四丈八尺斗帳二具夏帷料、二疋同帽額料、二疋同紐裏料、卅八疋三丈四尺冬帷料、二疋帽額料、一疋五丈二尺紐裏料、○中略〉調綿三百廿三屯、〈百廿八屯斗帳冬帷二具料○中略〉絲二絇、〈縫二冬斗帳帷幷幌一料○中略〉薪卌荷、〈直十七荷、染二斗帳帷幷壁代一黃白橡料、三荷染二斗帳雌一具一辛紅華料、○中略〉灰十四斛二斗、〈直十斛二斗、染二斗帳壁代帷一料、○中略〉紅花大六十九斤、〈六十一斤、染二斗帳壁代幷雜色人衣一料、○中略〉黃蘗大三十斤、〈染二斗帳壁代帷絹一料、請二大藏省一、〉錢十七貫七百卅文、〈九貫八百十文染二斗帳一具、壁代十八條、幌七條、表絹卅二疋四丈二尺一藍料、疋別三百文、七貫七百廿文染二同裏料、淺縹絹廿五疋四丈四尺一料、疋別三百文、一百廿文、雇夫四人功料、別卅文、八十文雇女四人功料別廿文、〉酢六斗一升、〈五斗六升染二斗帳絹一辛紅料○中略〉白米六斛四斗二升八合、〈二斗、斗帳二具帷幷帽額絹粥飼料、○下略〉

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0793 帳疊(○○)凡三帖〈土敷二帖中敷一帖〉表筵(○○)一枚用之
桁(○)八支 組入(○○)九枚 柱(○)十二本
但后宮御料立二濱床蒔者〈用二九尺帳一也、濱床ヲバ常帳臺謂レ之、〉
濱床(○○)高九寸 弘方〈八尺六寸一分九尺六寸一分〉 〈八尺帳料九尺帳料〉
帳料(○○)
懸角(カケツノ/○○)料丸緖二筋〈長各八尺、糸一兩、〉 同料志倍四口〈代四疋、各一疋、〉 鏡(○)二面〈徑一尺二寸、買直千疋、各五百疋、〉 同料緖平組二筋〈代 糸二兩〉 同具入帷二帖〈長各四尺六寸、弘一幅、竪二乃ヲ中折ニシテ、耳ヲ合中ニテ縫目ヲ中ニス、左右端ハ折目也、料唐綾三丈三尺二寸、各一丈六尺六寸、〉
同具羅紐四枚〈凡樣寸法等、鏡臺紐定、繡單功八十疋、各廿疋、喰乃米二石、各五斗、〉 金銅金物皆具〈買直二千七百卅疋〉 脛金十二枚 圓座

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0794 用途料
土居料七八寸木二丈五尺四五寸木四支桁料
檜榑十八寸六寸柱十二本組入木道單功六百疋
飡
眞漆一斗 著布一丈絞絹六丈 綿五兩
〈米イ〉繻粉一斗 〈立イ〉舂土四斗掃墨三升
塗師單功二百疋
飡三石
帳一基 方八尺 桂髙六尺七寸 總髙七尺一寸 土居厚四寸同弘五寸 小面弘六分九面 土居一方長六寸七分 鏡枕二錦 自桂外長六寸七分 土居角肱 金物打唐 草文許 鏡弘一尺二寸 物具之凢鏡臺定 夜床 桂〓金 鏡膽料 桂円座
菱釘穴 四枚桁四辻子 金物金銅 同菱釘 十六隻 同鐵 クサヒ 帳桂形 ホゾ鐵 八角 根末同
同帳土居々樣
南四尺几帳 縁 四尺几帳 中敷 長七尺五寸 弘四尺三寸 縁弘一寸三分 厚三寸許 中敷之上ニ敷表閻莚 長弘中敷定 縁弘方三寸 〓濃打〓 四尺几帳土居
地敷繧〓二帖各長八尺三寸弘四尺一寸四分
面額於中折鳥目下角各内へ一尺三寸ヲ折入天厚二寸五分許緣弘一寸五分金外行之折入事帷一ノ力弘也 十二枚 肱金四枚 組入緣四辻子十文字金物四枚 同辻子固菱釘四隻〈根長組入緣ニ增七分〉 同鐵クサビ四隻 平肱金四枚〈大土居料〉 耳金廿隻 鐵丸釘十二隻〈長 口徑同上、柱首料、代十二疋、〉
帷(○)八帖内〈冬面練平絹、纐纈夊、裏同白、古者張〉〈已上瑩之〉〈夏生平絹、以二白泥一畫二野篠秋草等一、裏冬同前也、〉〈瑩之普遍定〉〈但后宮御料、又美麗時者、大文薄物用レ之、繪裏等同前、〉
四帖各五幅〈四面料長各九尺定〉
料八丈絹四疋四丈内〈面纐纈十八丈〉〈長九尺、物廿乃、八丈、絹定二疋二丈〉〈裏同前也〉〈長九尺、物廿乃、〉
四帖各四幅〈四角料長各九尺定〉
料八丈絹三疋四丈八尺〈面纐纈十四丈四尺〉〈長九尺、物十六乃、八丈絹、定一疋六丈四尺、〉〈裏同前也〉〈長九尺、物十六乃、〉
弘幅則〈一尺一寸一尺三寸〉 〈八尺帳料九尺帳料〉
已上帷八帖料、八丈絹八疋一丈内、〈纐纈四疋、五尺染料、裏白張四疋五尺、〉
紐(○)七十二筋内〈長九尺、弘各三寸已上前津者女(サキノツバメ)、口面裏紐津々貫上縫繼之、〉
面料卅六筋〈蘇芳卅六筋、弘各一寸五分、四幅半、〉〈長各九尺、幅別八破、〉〈濃卅六筋、弘各一寸五分、四幅半、〉〈長各九尺、幅別八破、〉
筋別二色ヲ中折ニシテ、折目ヲ左右端ニ〈天〉中ヲ縫合也、又次樣二色ノ中ヲ縫合〈天〉、左右端ヲ 内へ小折入テ、白張裏付レ之、
裏料(○○)卅六筋、〈凡白、古者張長九尺、〉九幅幅別四破、
各裁弘六寸餘、弘三寸ニ折久計(クケ)〈天〉、件縫目ヲ中ニシテ折テ、有二縫目一方ヲ於レ面付レ之、
已上紐料、八丈絹二疋二丈内、〈蘇芳四丈五尺、濃四丈五尺、裏紐料一疋一丈、〉
面額(○○)〈五丈 八尺帳料 五丈四尺八寸九尺帳料 帷面同具絹用レ之〉
幷用途八丈絹定〈九尺帳料十一疋四尺八寸〉〈面額料四尺八寸增之〉〈八尺帳料十一疋〉
纐纈四疋五丈九尺八寸内、〈四疋五尺帷面料、五丈四尺八寸面額料、〉 蘇芳打物四丈五尺 濃打物四丈五尺 白
古者張五疋一丈五尺内、〈帷裏四疋五尺、裏紐一疋一丈、〉

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0797 后宮御料ニ用二濱床一時者、帳帷〈長一丈、弘幅別一尺三寸五分、〉他事如レ前、〈但立二師子形一時者、帳前南方、帷之末之表ニ、戸之左右之際=相向天立レ之、左師子、〉〈於色黃、開口、〉〈右胡摩犬、〉〈於色白、不開口、在角、〉面額ハ幅ヲ常絹弘一尺一寸許也、中折ニシ〈天〉折目ヲ下ニス、角ハ左右ニ内へ帷一乃ガ弘ヲ折入〈天〉、外角ヲバ合テ引之、母屋室禮无方ニ引留也、
去レ角五寸打レ之、〈左右二隻〉次當二柱之中墨一、〈左右二隻〉又一隻打二中央一、
〈今勘レ之、郁芳門院御立后時、色々裏ヲ女烏羽ニヒネリカサネテ、折目ヲ上ニシテ被レ引之、又待賢門院今宮御産度御調度、刑部大輔朝隆被二沙汰一間、予依二分行一、折目上ニシ天引之、伊與守基隆朝臣云々、折目ヲ上ニスル事无レ謂被レ申云々、是不レ知二子細一歟、〉

〔中宮御産部類記〕

p.0797 元永二年五月廿八日癸酉、自二子刻許一、有二中宮〈○藤原璋子〉御産氣一、仍寅刻宮司等參入、撤二尋常御裝束一、立二白木御帳(○○○○)、御几帳、屛風一、敷二白緣御座等一垂二母屋御簾一、其中立二並白御几帳一、〈○中略〉
從二内裏一被二調獻一御調度事
藏人頭、召二陰陽師於所一、令レ勘二日時一、差二六位一人一爲二行事一、先例或五箇月、或六箇月、隨二日次一被レ始之、
白木帳一具〈塗二胡粉一、有二金物一、無二帳臺一、〉
帷八帖 面白大文薄物 裏白帳小文綾 薄物帽額
白木御几帳十六本〈四尺十二本、三尺四本、〉 帷〈如二御帳一〉 手〈有二金物一、相二副箇木一、〉
御屛風十二帖〈五尺四帖、四尺八帖、〉 面白張綾〈文桐竹鳳〉 緣高麗 裏番金物如レ例

〔江家次第〕

〈十七〉

p.0797 御元服
南殿母屋九間内懸二壁代一、〈殊美麗、行事所新所レ調、〉御帳〈弘一丈二尺也、仍左右餘在二次間一各五寸許也、是内一丈間之故也、大嘗會御帳也、新加二修理一、〉

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0797 康平三年八月十一日丁卯、後冷泉院移御、高陽院御帳三基、内、南殿御帳方一丈、高七尺五寸、〈加二土居一定〉柱高七尺一寸、土居厚四寸、濱床方一丈三寸、〈四脚造レ之〉高一尺、帷八帖、〈五幅四帖、長各一丈二寸、四幅四帖、長各一丈二寸、弘各幅別一尺五寸、〉淸凉殿幷夜大臣(ヨルノオトヽ)御帳方九尺、柱高六尺七寸、土居厚四寸、凡高七尺一寸、濱床弘方九尺三寸、高九寸、帷長一丈一寸、弘輻別一尺三寸、 凡今度御帳三基也、大内裏御帷大略如レ此云々、
今度御帳内、御座三帖被レ敷之、〈地敷二帖外也〉
御帳三基、御座十五帖、〈已上繧〓端、各五帖、〉

帳臺

〔運步色葉集地〕

p.0798 帳臺

〔易林本節用集〕

〈知/乾坤〉

p.0798 帳臺(チヤウタイ)

〔儀式〕

〈三〉

p.0798 踐祚大嘗祭儀
前レ祭一日、〈○中略〉各裝二飾豐樂院御座一、塗漆斗帳(○○○○)一基、〈方一丈四尺五寸〉

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

p.0798 初齋院裝束
白木斗帳(○○○○)一具〈高八尺、方一丈、〉

〔延喜式〕

〈十七/内匠〉

p.0798 野宮裝束
白木斗帳(○○○○)一具

〔延喜式〕

〈十七/内匠〉

p.0798 賀茂初齋院幷野宮裝束斗帳二具〈白木一具、漆一具、〉

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0798 帳疊凡三帖〈○中略〉 桁八支 組入九枚 柱十二本
但后宮御料立二濱床一時者〈用二九尺帳一也、濱床ヲバ常帳臺謂之(○○○○○○○○○)、〉

〔雅亮裝束抄〕

〈一〉

p.0798 もやひさしのてうどたつる事
おなじきまのもやに御帳あり、きききの宮などのには、はまゆか(○○○○)あり、かたさ二尺ばかり、よつにして、ざしあはせてをく、黑ぬりかなものをうちたり、〈○中略〉きさきならぬには、はまゆかなし、

〔殿曆〕

p.0798 嘉承三年〈○天仁元年〉七月廿五日癸酉、行事藏人一人著二吉服一、今日新御帳を被レ立、而陽陰師光平申云、今日被レ立二御帳一不吉也、仍奏、院仰云、延久度、不レ被レ立レ臺、付二彼例一不レ可レ立二帳臺一、以二吉日一可レ被レ立、後日者付二仰旨一令二沙汰一了、件御帳不レ立二帳臺(○○○○○○)一〈天〉(○)、平敷立レ之(○○○○)、著二吉服一、束帶、〈纓卷〉參二御前一、〈劔平緖帶吉也〉頭藏人等皆悉著二吉服一、女 房同レ之、
永久二年十一月十八日己丑、今年主上〈○鳥羽〉始有二帳臺御出一、〈御直衣、蒲萄御指貫、紅出衣、淺御沓、〉其儀如レ常、〈右大將中納言忠通、此外不二參仕一、是上皇仰也、〉

〔愚昧記〕

p.0799 文治六年〈○建久元年〉正月三日戊午、今日主上〈○後鳥羽〉御元服日也、〈○中略〉太政大臣〈○藤原兼實〉入レ自二西第二間一、〈母屋廂同之〉到二西御屛風下一、取二御冠一、出二御帳西間一、東折入レ自二御帳間一、〈欲レ步二過此間一到二東柱程一思出更退歸、〉跪二帳臺下一奏二祝詞一、了昇二帳臺一、〈奉レ加二御冠一退下〉

〔經俊記〕

p.0799 建長三年六月廿七日丙辰、今日遷二幸新造閑院一日也、〈○中略〉今日立二御帳等一、先日被レ勘二日時一了、先レ是、大夫史淳方以下、行事官等參會、任二吉時一、午二點、〈○中略〉先立二濱床(○○)一、其上敷二兩面御座二帖一、〈東西行〉其上立二御帳一懸レ帷、東西北面垂之、南面卷之、

〔春湊浪話〕

〈上〉

p.0799 塗籠
又塗籠といふ名あり、是をば寢殿の廂に作る事なり、〈○中略〉今の俗に納戸物置といふ所に同じ、納戸といふ名も、むかしは帳臺の一名なり、鎌倉殿中の差圖にみへたり、今も其唱殘りて、殿中の帳臺を御納戸構といふなり、

帳帷

〔名目抄雜物〕

御帳帷(ミチヤウノカタビラ)

〔安齋隨筆〕

〈前編二〉

p.0799 一帳帷 帳ノ帷ハ、タレヌノと訓て、家の入口に張る、幕のやうなる物なり、

〔源氏物語〕

〈十三/明石〉

p.0799 四月になりぬ、衣がへの御さうぞく、み帳のかたびらなど、よしあるさまにしいづ、

〔源氏物語〕

〈三十八/鈴虫〉

p.0799 よるの御帳のかたびらを、よおもてながらあげて、うしろの方に法花のまだらかけ奉りて、しろかねのはながめに、たかくこと〴〵しき花の色をとゝのへて奉れり、

〔雅亮裝束抄〕

〈一〉

p.0799 もやひさしのてうどたつる事
おなじきまのもやに、〈○中略〉そのゝちかたびらをかくべし、かたびらのてい、かべしろにおなじ、八 帖がうち、四帖は五の、四帖は四のあるなり、五のあるをすみにかくる人あれども、それはわろし、四のあるをすみ〴〵にかけて、五のあるを四方のくちにかくべし、

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0800 帷卷上事〈東西南面三方上之〉
四尺之几帳高〈ニ〉上〈天〉、南面〈ハ〉紐前(サキ)之津者女口ヲ爲レ面也、束西〈ハ〉同埼〈ヲ〉爲レ北、凡濃色方〈ヲ〉爲レ上、幷面〈シ天〉鉸之、

〔延喜式〕

〈十四/縫殿〉

p.0800 凡洗二御帳帷一料物、申二内侍一給之、其載レ帳車就二馬寮一請用之、

〔西宮記〕

〈四月〉

p.0800 改二御裝束一
同日〈○三日〉自二殿上一請二下納所一、冬御帳帷、御几帳帷十六張、〈四尺十、三尺六、〉壁代十二條、〈十月返上〉

〔北山抄〕

〈五〉

p.0800 大嘗會事
辰日裝束、〈天慶、巳日御插頭臺尚立云々、〉兩國、豐樂殿東西第三間構レ壇、〈繼高座壇、悠紀有二東階一、主基有二西階一、東修理職、西木工寮作レ之、〉其上立二御帳一、卷二三面帷一、〈承平又令レ卷二乾艮二角一云々、而天慶例如レ之、〉

〔江家次第〕

〈二/正月〉

p.0800 七日節會裝束
御帳懸帷〈掃部女孺供奉之、上二東巽南坤西五面帷一、垂二乾北艮三方帷一、藏人催之、〉

〔建武年中行事〕

p.0800 四月ついたち、御衣がへなれば、所々御しやうぞくあらたむ、御殿御帳のかたびら、おもてすゞしにごふんにて繪をかくべし、かべしろみなてつす、よるのおとゞもをなじ、

〔小右記〕

p.0800 天元五年二月十八日辛巳、參内、明日東宮〈○花山〉御元服雜事等、令二催行一之、南殿御帳帷仰二掃部寮一、女官等令レ懸、件等事以二式部允公正一令レ行、

〔榮花物語〕

〈二十二/とりのまひ〉

p.0800 六月〈○萬壽元年〉にもなりぬれば、廿六日、かの藥師堂の供養、れいの事どもえもいはずめでたし、〈○中略〉このほとけの御うしろ、ひんがしのかたに、まごとにとをたてたり、佛の御うしろには、みかうしをみじかやかにしわたして、むらさきのすそごの御帳にて泥してゑがき て、むらごのひもしたり、いみじうなまめかしうみえたり、

〔兵範記〕

p.0801 仁安三年十一月廿三日庚辰、悠紀主基御帳懸二白帷一、東西南三面卷二上之一、〈悠紀小葵文綾二色、紐如レ常、施レ繪、寬治例也、主基白唐綾、以二色々糸一縫二竹桐鳳凰等一、天仁例云々、意趣如二軟障一、〉

〔宇治拾遺物語〕

〈十一〉

p.0801 淸水寺御帳給る女の事
いまはむかし、たよりなかりける女の、淸水にあながちにまいるありけり、〈○中略〉なく〳〵觀音をうらみ申て、いかなる先世のむくひなりとも、たゞすこしのたより給候はんといりもみ申て、御前にうつぶし〳〵たりけるよの夢に、御前よりとて、かくあながちに申せば、いとおしくおぼしめせど、すこしにても、あるべきたよりのなければ、その事をおぼしめしなげくなり、これを給れとて、御帳のかたびらをいとよくたゝみて、前にうちをかるとみて夢さめて、御あかしのひかりにみれば、夢のごとく御帳のかたびらたゝまれてまへにあるをみるに、さはこれよりほかに、たぶべき物のなきにこそあんなれとおもふに、身のほどの思しられて、かなしくて申やう、これさらに給はらじ、すこしのたよりも候はゞ、にしきをも御ちやうにはぬひてまいらせんとこそ思候に、此御帳計を給はりてまかり出べきやうも候はず、返しまいらせさぶらひなんと申て、犬ふせぎの内にさし入てをきぬ、

帳紐

〔後拾遺和歌集〕

〈十/哀傷〉

p.0801 一條院の御時、皇后宮かくれ給て後、御帳のかたびらのひも(○○○○○○○○○○)に、むすび付られたる文を見付たれば、内にも御覽ぜさせよとおぼしがほに、うた三つかきつけられたりける中に、〈○歌略〉

帽額

〔雅亮裝束抄〕

〈一〉

p.0801 もやひさしのてうどたつる事
おなじきまのもやに御帳あり、〈○中略〉つぎにもかう(○○○)をひく、もかうはかたびらのやうにて、おもてばかりあるを、ながさまにうらあはせに、なかおりにしてわなをしもにて、うしとらのすみより はじめて、かみにひきまはすべし、ひだをすみのはしらのもとごとに、むかひざまにとるぎあり、又うへにおほひたる五のゝかたびらのはしにあてゝ、むかひざまにかたひだにとるぎあり、この定にとるには、すみのひだはあるまじ、又すみにとらばこのひだあるまじ、いづれにてもありなん、

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0802 面額(○○)〈五丈 八尺帳料 五丈四尺九尺帳料 帷面同具絹用之〉
○按ズルニ、此ニ面額トアルハ、斗帳ノ帽額ヲ謂フナリ、

斗帳裝置

〔儀式〕

〈三〉

p.0802 踐祚大嘗祭儀
前レ祭一日、〈○中略〉各裝二飾豐樂院御座一、塗漆斗帳一基、〈方一丈四尺五寸、一窠白綾覆、上白地摸摺爲二帷表一、白絹爲レ裏、同色爲二帽額一、深蘇芳板押羅爲レ緖、〉懸二斗帳一、料鏡二面、〈徑一尺一寸〉御床子一脚、〈長八尺、廣五尺、高一尺二寸、以二藍染綾一爲レ覆、長一丈四尺、五幅、浅黃遠山綾爲二垂帷一、〉

〔儀式〕

〈六〉

p.0802 元日御豐樂院儀
前一日、内匠寮官人率二雜工等一、構二立御斗帳於豐樂殿高御座上一、

〔延喜式〕

〈十七/内匠〉

p.0802 凡五月五日節、前一日武德殿構二立斗帳又軟障臺二基一、〈立二御座壇以南西二間一〉其神泉苑立斗帳亦同、但軟障十基、〈御帳東西各五基〉

〔北山抄〕

〈五〉

p.0802 大嘗會事
辰日裝束、〈天慶、巳日御插頭臺尚立云々、〉兩國、豐藥殿東西第三間構レ壇、〈繼高座壇、悠紀有二東階一、主基有二西階一、東修理職、西木工寮作レ之、〉其上立二御帳一、卷二三面帷一、〈承平、又令レ卷二乾艮二角一云々、而天慶例如レ之、〉前後懸二犀角鏡等一、

〔雅亮裝束抄〕

〈一〉

p.0802 もやひさしのてうどたつる事
おなじきまのもやに御帳あり、きさきの宮などのには、はまゆかあり、たかさ二尺ばかり、よつにしてさしあはせてをく、黑ぬり、かなものをうちたり、そのうへにさしみてたるうげん二帖を北南にしく、みなみをまくらとするなり、このたゝみをつちしきといふ、そのうへに四のすみ〴〵 につちゐをすゑて、はしらをたてまはして、かもゐををきてのち、ぬりこのゐかりさうじを、まごとにおほふ、たくみれうをかならずめすべし、御丁あたらしくは、よき日をもちてたつべし、ふるきはくるしからず、はしらはうしとらのすみよりたつるなり、そのゝちかたびらをかくべし、かたびらのてい、かべしろにおなじ、八帖がうち四帖は五の、四帖は四のあるなり、五のあるをすみにかくる人あれども、それはわろし、四のあるをすみ〴〵にかけて、五のあるを四方のくちにかくべし、つぎにもかうをひく、もかうは、かたびらのやうにて、おもてばかりあるを、ながさまにうらあはせに、なかをりにして、わなをしもにて、うしとらのすみよりはじめて、かみにひきまはすべし、ひだをすみのはしらのもとごとに、むかひさまにとるぎあり、又うへにおほひたる五のゝかたびらのはしにあてゝ、むかひざまにかたひだにとるぎあり、この定にとるには、すみのひだはあるまじ、又すみにとらば、このひだあるまじ、いづれにてもありなん、さてのちつねのき丁を三本とりよせて、この御帳のみなみひんがしにしのくちに、はまゆかのうへにたてゝ、そのき丁のいたゞきにたかさをあてゝ、三方のくちの五のゝかたびらをあぐべし、そのあぐるやうは、かべしろあぐるにおなじ、うちとのひもしてむすぶやう、かべしろにおなじ、よつのすみ〴〵のかたびらはたれたり、又うしろのなかの五のゝも、すみのやうにたれたるなり、この三方のき丁をも、ひきおろすべし、この木丁をよせき丁とはいふなり、きさきならぬには、はまゆかなし、そのつちしきのうへにつちゐのうちのりに、なかにうげん一帖なかすみにしく、みなみまくら、そのうへにからあやのおもて、にしきのへりさしまはして、わたいれたるが、うちうらつけたるをしきて、とぢつけたり、これをうはむしろといふなり、そのまくらの左右に八もじに、したんぢのてのこき丁をたつ、まくらき丁といふなり、かたびらふたへおりものなり、それにそへてぢんのまくらふたつをくべし、〈○中略〉 御帳のまくらのなかのはしらの左右に、かみより一尺よをさげて、ひぢがねをうちて、みつのをふたつ、ひとつづゝを左右にかけたり、ぢんいろの木にてつくりて、しろかねのこを、くみまぜたり、ほそきさきのかだに、かなものをうちて、まろををつけてふさあり、あげまきにむすびたるかしらを、ひぢがねにかくべし、御あとのなかのはしらの左右に、又ひぢがねをうちて、おほきなるかゞみを左右にかけたり、其ていきやうだいのかゞみなり、〈○中略〉
五せち所のこと
五せち所はびんぎの所によるべし、うちまかせては四けんもやひさしあるべきなり、そのうちにびんぎのもやひとつぼを、帳のまとしつらひて、四方にみすをかけて、そのうちにかべしろをひきまはしてあぐべし、もやぎはのみすもあげて、二けん三げんありとも、き丁をたてわたせ、この丁の三方には、五尺にても四尺にても、からゑやまとゑなりともたてまはして、そのうちに、うげん三帖をしく、はしまくらにしくべし、そのまへのひさしに、うげん二帖をしきて、そのうへにりうびんをしく、そのうへにしとねをしく、三尺のき丁をたつ、ひだりみぎ、びんぎによるべし、四尺の屛風をたてゝ、ものゝぐをく事つねのごとし、ひさしのてうどのていなり、

〔禁秘御抄〕

〈上〉

p.0804 一淸凉殿
帳〈四面有二几帳一、帷夏生、以二胡粉一畫二花鳥一、〉〈鶴歟、〉〈冬朽木形、疊三帖、繧〓御座敷、〉〈東上〉〈西柱角鏡東面、濱床如レ恒、〉獅子 狛犬〈在二帳前南北一、左獅子、○中略〉
夜御殿
四方有二妻戸一、南大妻戸一間也、帳同二淸凉殿一〈東枕〉疊御座敷也、御枕有二二階一、奉二案御劒神璽一、〈皆有レ覆、蘇芳也、御劒束南、〉帳四角有二燈樓一、又帳南西北敷レ疊爲二女房座一、〈○中略〉
一南殿〈紫宸殿〉
御帳如レ恒〈無二几帳一、有二師子狛犬一、立二倚子一、〉

〔源氏物語湖月抄〕

〈二十八/野分〉

p.0805 〈孟〉鎭帷犀(チンイサイ/○○○)とて、几丁など吹上るをとゞむる物あり、

〔安齋隨筆〕

〈後編二〉

p.0805 一鎭帷犀〈○中略〉 貞丈按、鎭帷犀ノ犀ノ字は豺ノ字歟、あまいぬ、こまいぬ成べし、禁門の扉のあふるをおさへ、簾儿丁の吹あくるをおさへるもの也、神前の扉の前にもあり、

〔禁腋秘抄〕

p.0805 紫宸殿
節會、二孟旬、主上春宮御元服ナドオコナハル、母屋ノ中央ニ御帳ヲタツ、中ニ御倚子ヲタツ、師子コマ犬、御帳ノ外ニアリ、〈○中略〉
淸凉殿
常ニワタラセ給殿ナリ、中殿トモ云、〈○中略〉御帳ノ帳ヲカケタリ、四幅四條、五幅四帖也、三方ノ中ヲアケテ、後幷ニ四ノ角ヲ垂タリ、四尺ノ木帳三本、三方ノアキタル下ニ立、後ハ三尺ノ木帳ナリ、御帳ノ帷ヲ垂タルガ故ニ、木丁御帳ノ艮ノ方ニスヂカヘテ立、内ニ雲〓ノ御座三帖ヲシク、御帳ノ前ノ下ニ左右ニ師子狛犬有、〈○中略〉
夜ノヲトヾハ、御帳日ノ御座ノ如シ、壁代懸タリ、四ノ隅ニ燈爐有、搔灯ノ所ニクハシク見ヘタリ、御帳ノ御枕ノ方ニヅシ二、アトノ方ニ鏡カケタリ、晝ノ御座ニ同ジ、御イカナド此所ニタテラル、板敷ノ下、シツケヲ去ンタメ、三尺バカリ深ク堀タル由、古老傳ニ有由、長曆御記ニ見ヘタリ、

〔空穗物語〕

〈吹上之下〉

p.0805 よにいりて、ついまつまいる、ゐたけ三尺ばかりのしろがねのこまいぬ(○○○○)、くちあふていすへて、ぢむをからのほそくみして、ついまつにながくたひて、よ一夜ともしたり、

〔枕草子〕

〈五〉

p.0805 めでたきもの
みやはじめのさほうしゝこまいぬ(○○○○○○)、大しやうじなどもてまいりて、御ちやうのまへにしつらひすへ、〈○下略〉

〔榮花物語〕

〈六/かゞやく藤壺〉

p.0805 中宮〈○藤原彰子〉は四月〈○長保二年〉つごもりにぞいらせ給、〈○中略〉このたびは藤つ ぼの御しつらひ、大床子たて、御帳のまへのしゝこまいぬ(○○○○○○)なども、つねの事ながらめとゞまりたり、

〔榮花物語〕

〈八/初花〉

p.0806 かゝる程に九月〈○寬弘五年〉にもなりぬ、〈○中略〉十日ほの〴〵とするに、白御帳にうつらせ給ひ、その御しつらひかはる、殿〈○藤原道長〉よりはじめたてまつり、君達四位五位だちさはぎて、御几帳のかたびらかけかへ、御たゝみなどもてさはぎまいる程、いとさはがし、

〔類聚雜要抄〕

〈二/調度〉

p.0806 立二調度一例〈雖レ不レ注二普遁人事一、時人數人向訪記之、藤中納言殿指圖云々、顯賴、〉
保延二年七月十六日壬午、播摩守家成朝臣嫁娶、〈美濃少將忠雅、中宮大夫男、〉庇調度如レ常、但鏡臺〈二〉入二帷二帖一用之、修理大夫重親立之、〈今案、不レ可レ爲レ例、但二帖鏡筥納、一帖ハ如レ常用二鏡臺一、今一帖ハ昔調度を朝夕ニ用時鏡覆料、近來兩三日晴不レ然、其事を不レ弁之歟、〉母屋調度幷疊茵等、帳之東間ニ被レ用之、〈不レ可レ爲レ例、永久六年正月廿六日中宮立后之時有二此室禮一、立后室禮有樣事を其後如レ此移、又嫁娶等ニ立二調度一不二得心一事也、〉但造紙筥〈ヲ〉置蓋〈天〉、藥筥〈ヲ〉下階被レ置之、〈今案、不レ可レ爲レ例、但案、若代代御製在レ心歟、可レ尋之、〉母屋茵前之三尺几帳幷帳、戌亥角之五尺屛風等不レ被レ立之、〈不レ可レ爲レ例〉不レ被レ用二壁代幷屛風等一、九尺被レ用之、〈小レ可レ爲レ例、普通ニハ可レ用二八尺一歟、〉

〔朔旦冬至部類記〕

p.0806 朝隆卿記云、久安元年十一、一日、〈○中略〉南殿御裝束儀、 昨日、裝束使令三掃部女官等懸二御帳帷壁代等一、〈○註略〉御帳帷卷二三面一、其内敷二兩面疊三枚一、〈東西妻筵差緣、掃部寮所レ造、帳臺上敷、件疊之上立二御帳一也、〉

〔兵範記〕

p.0806 仁安三年十一月廿三日庚辰、早旦參二大極殿一、大夫史幷行事官皆參、奉二仕節會御裝束一、〈○中略〉高御座東西第四間立二御帳一〈悠紀在レ東、主基西、○中略〉
悠紀主基御帳懸二白帷一、東西南三面卷上之、〈悠紀小葵女、綾二色、紐如レ常施レ繪、寬治例也、主基白唐綾、以二色々糸一縫二竹桐鳳凰等一、天仁例云々、意趣如二軟障一、〉鏡懸レ角如レ常、件御帳、悠紀主基以二板敷一續、其上塗二石灰一、新造高欄塗二朱漆一、悠紀壇、東北有二登階一、敷二唐纐纈一、壇敷二靑打絹一、〈押二銀鎛丸文一〉帳臺面敷二滿唐錦一、〈悠紀赤地唐錦、弘七尺、長一丈餘、故殿御物也、申二請白川殿一、主基例幅申二請院一云々、後日返上、○下略〉

〔山槐記〕

p.0806 治承四年二月廿一日癸卯、今日有二讓位〈○高倉〉事一、〈○中略〉母屋東第四間〈南階間也〉立二御帳一、〈渡物内、有二濱床一、繧〓端帖三枚、南北妻敷之、南腋柱二本懸レ角、北腋柱二本懸レ鏡、四面懸東南西上之、其三几帳三本、立御帳事勘日時、又無二立レ柱之次第一、内匠寮立、兼日令二藤人一仰レ廳催也、〉其前立二獅子形一、

〔玉蘂〕

p.0807 承久二年四月廿六日、東宮〈○懷成〉行二啓一條第一、〈○中略〉亮資賴朝臣申云、夜御帳依二寸法不一レ叶、不レ立之、爲二數日御所一者、爲レ之如何、仰云、大内御帳者、寸法不レ叶、仍里内多以二新調御帳一立之、可レ准之、夜御帳可レ被二新調一歟、然諾、

〔朔旦冬至部類記〕

p.0807 官方記云、建武二年十一月一日戊申、今日朔旦冬至也、仍被レ行二旬儀一、〈○中略〉御裝束儀、御帳臺四面懸レ帷、東南西、幷御前左右角帷卷上之、御後、幷同兩方角帷垂之、

障子帳

〔類聚雜要抄〕

〈二/調度〉

p.0807 障子帳雜事
土居四枚、〈長八尺六寸、厚三寸、弘四寸半、面弘五弘、樋分七分、同深六分、〉四角同前、前一枚ハ角柱脇柱間一尺八寸、柱保曾穴間〈定二其間脇障子一〉立料樋アリ、弘七分、深七分、後一支ハ中樋一筋、弘七分、長土居定、押障子料柱六本、高六尺九分、口徑一寸九分、〈面半分〉上津者女口長三分、保曾之餘長一寸九分、口徑二分餘、後二本ハ樋アリ、弘七分、高柱定、前脇柱四本、柱寄ヲ造付、弘六分、厚二分半、高ハ上小障子料二尺一寸、九行ヲ置天樋ヲ惠利タリ、弘七分、其下定、桁四支、長七尺八寸九分、口徑一寸九分、角面五分、前之一支ハ脇障子料、下之土定居、左右端ニ樋惠利タリ、殘三支ハ上小障子料、樋ヲ惠利タリ、弘七分、長ハ桁定、深七分、柱保曾金度保須穴、外左右八分、津者女口等、長各一寸九分、天井緣二支、口徑一寸九分、長七尺七寸三分、局上方、長一寸三分、イヤニ切レ之、下方、長九旬半、ウルハシク切レ之、十文字ノ金物之中ノ切組入、表穴間一尺、鴨居二支、長七尺五寸七分、弘厚一寸三分、下裏樋二筋惠利タリ、弘、長、中心、厚、土居樋之定、上ニ樋一筋、弘七分、深四分、長鴨居定、天井組入四枚、〈弘方三尺七寸一分、厚四分半、于數方ニニ十四間ニクバル、〉
同料障子骨九枚
後大一枚、〈弘七尺六寸五分、長六尺一寸五分(三イ)、〉遣戸四枚、〈高各四尺九寸六分、弘各三尺八寸一分、〉下張料國絹、〈九丈九尺二寸、廿幅兩面定、〉同料紙、〈中六帖廿枚、一帖卅枚、〉面絹、〈九丈九尺二可、廿幅面定、〉戸脇二枚〈高六尺一寸四分、弘一尺八寸一分、〉下張國絹、〈三丈七尺、五幅兩面定、〉同紙、〈上卅二枚、中二帖、〉面絹、〈三丈二尺六寸五分、三幅兩面定、〉組入表張料次絹、〈四丈〉同下張料粉色紙、〈卌(卅イ)枚〉同中張料上紙、〈卌(卅イ)枚〉同緣唐錦、〈二丈七尺五分、六破〉 〈定、但可レ隨二錦幅一也〉
已上、面料絹廿二丈三寸五分、〈八丈絹定、二疋六丈三寸五分、四丈唐綾定、二疋餘、弘幅定、〉下張國絹二疋六丈三寸五分、〈但用二麻布一時者、五段二丈三寸五分、四丈布定、〉上紙五帖中紙十八帖、
同帳一基塗支度
眞漆一斗、舂土二斗五升、〈代米一斗〉糯粉一斗、〈代米一斗〉掃灰七升、著布一丈、絞絹一丈五尺、同綿四兩、糟取布五尺、械布二丈、木屎布一丈、伊與砥一果、靑砥三果、單功百卅(廿イ)疋、〈若百疋〉
同金物支度
脛金六枚、〈代六十疋、枚別十疋、〉圓座六枚、〈代六十疋、枚別十疋、〉片切八枚、〈代四百疋、枚別五十疋、〉辻子金幷菱釘四隻、〈代百廿疋、隻別卅疋、〉鴨居片切六枚、〈代九十疋、枚別十五疋、〉耳金廿隻、〈代廿疋、隻別十疋、〉角懸二隻、〈代四十疋別二十疋、〉上端臂金物四枚、遣戸障子二間之懸金四具、〈代卅二疋、具別八疋、〉肱金十六枚、〈代八十疋、枚別五疋、〉引手金物八枚、〈代四十疋、枚別五疋、〉花釘百六十隻、〈代五十疋、疋別充、〉押障子一間懸金四具、〈代卌(卅イ)疋、具別八疋、〉肱金四枚、〈代廿疋、枚別五疋、〉
已上千卅一
同張工料 六十疋内〈之中廿疋、代能米一石准二絹四十疋一、〉
已上帳之支度等、木道匠官人代信忠、塗師修理屬淸時、銅細工散位正則、胡障子張豐國等所二注進一也、
同引手糸〈面長六寸三分之中、總長二寸、裏和那長四寸三分、但美麗時者兩面ニ付レ總也、〉

〔類聚雜要抄〕

〈二/調度〉

p.0808 障子帳
障子帳指圖
母屋庇鋪設雜事等、凡如レ常也、鏡懸角如レ常也、
但小野宮殿嫁娶度障子帳、南口ニ左鏡、右角、各一被レ用之、他事如レ常也、 疊如レ常
庇疊地鋪茵等如レ常、調度同前也、
母屋疊茵如レ常、調度有無可レ隨二時好一也、
母屋、机足二階厨子一脚、蓋〈ニ〉手筥一双、次階〈ニ〉櫛筥一双、
庇〈ニ〉二階一脚、蓋端〈ニ〉泔坏、奧ニ搔上筥、次階〈ニ〉小火取、下淺硯筥、前脇息、 殿下、少將、〈能實〉左衞門督、大納言也、

〔類聚雜要抄〕

〈二/調度〉

p.0809 永久五年七月二日、關白〈○藤原忠實〉右大臣殿〈○右大臣恐内大臣誤、時忠實子忠通爲二内大臣一、〉移二御鴨居殿一、障子帳、東西遣戸障子、有二各引物一、南面立二脇障子一、在二引物一、後押障子、四面ニ面額ヲ引廻、〈斗帳定〉東西南面有レ渡、鴨柄懸角幷鏡等如レ常被レ用之、御座同前也、庇鋪設御調度等普通定、但不レ被レ用二母屋調度一之、

〔類聚雜要抄〕

〈二/調度〉

p.0809 大治五年、院幷(鳥羽)待賢(璋子)門院移二御仁和寺殿一、〈法金剛院束御所〉庇御調度如レ常、母屋壺厨子一雙被レ立之、〈端蓋櫛筥一雙、奧蓋造紙筥一雙、帳西間被レ立之、〉北庇二階、火取、泔坏、手筥、硯筥等被レ置之、令レ入レ從二西門一御、播磨守基隆朝臣造二御堂幷殿一儲二諸事一、
障子帳〈南面在二脇障子幷戸一、東西遣戸障子、在引物一如レ常、北押障子、東西南三戸在二鴨柄一、〉

〔兵範記〕

p.0809 久壽三年二月廿八日庚子、申刻許向二權辨亭一、於二四條東洞院一新造家、被二經營一也、右衞門佐光宗 令レ嫁二第三女子一也、 寢殿中央母屋立二障子帳一、其中敷二繧〓緣疊三枚一、安二張枕二一、置二白竪文織物直垂衣一、不レ敷二表筵一、不レ置レ劒、頗無レ謂歟、又不レ安レ枕不審也、
帳前敷二同緣帖一枚一、其上敷二東京錦茵一立二三尺几帳一、其座右方〈西〉副二母屋柱一立二二階一、置二居調度等一如レ例、其後立二泥繪四尺屛風一帖一如レ例、

屛風帳

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六/屛障具〉

p.0810 帳〈几帳附〉 釋名云、帳〈○中略〉小帳曰レ斗、〈俗云二斗帳一、一云二屏風帳(○○○)一、へ中略)下總本屏風帳作二屏帳一、廣本作二屏幔一、按(中略)屏幔與二斗帳一不レ同、作二屏風帳一作二屏幔一、並不レ穩、恐必有レ誤、〉

〔類聚雜要抄〕

〈二/調度〉

p.0810 長承二年六月廿九日、前太政大臣女〈○藤原忠實娘泰子〉參院、〈○鳥羽〉女御給二屛風室禮(○○○○)一、庇調度如レ常、不レ被レ用二母屋調度一、但院御所土御門、〈東洞院北東〉從レ院加二修理一被レ儲二諸事一、〈滕中納言敎顯沙汰〉屛風室禮之指圖、依レ有レ尋三枚出來云々、一枚周防前司淸實入道、一枚丹後守爲忠、一枚予、此三枚也、
但人々指圖、於二西中隔几帳一東西北三方屛風ヲ比多無〈志天〉延立〈天〉、從二内外一以レ疊津女立タリ、又不レ敷二母屋茵二枚一、指圖大略同前也、此指圖被レ用了、但北屛風後ニ疊二帖敷レ之、又内之袙几帳許ヲバ不レ被レ用也、他事此定也、
長承二年十二月六日、院幷待賢門院移二御小六條殿一、屛風室禮大略如レ此、但内之不レ被レ用二小几帳一、又東中隔屛風南端一枚、西疊際ニ折〈天〉被レ立之、〈不レ常可レ尋之〉讃岐守經隆鳥羽北殿ヲ壞渡〈天〉造畢、儲二諸事一、庇調度如レ常、不レ被レ用二母屋調度一也、〈○中略〉
屛風室禮 〈屏風室禮圖 修理大夫俊綱伏見第爲二大殿御遊渡御一料定也、但雖レ右二野望ニ御休幕一、於二本所一被レ儲之、(中略)今勘、永久三年十一月日、内大臣殿(忠通)於二土御門高倉内裏一〉〈太政入道殿第也〉〈進二五節一給、件御装束之次、大殿仰云、五節姫居所者屏風室禮也云々、仍勘台ニ同前也、但五節所ニハ用二壁代一也、〉

〔近衞殿御婚儀次第〕

p.0810 文政八年二月六日、近衞内大臣殿〈○忠煕〉薩摩國守息女〈○島津齊興養女〉御婚儀、
當日平旦、家司奉二仕寢殿以下御裝束一、其儀、〈○中略〉母屋中央間立二廻御屛風一、爲二御帳代(○○○)一〈今度不レ立二如法帳(○○○○○○○)一〉

百子帳

〔安齋隨筆〕

〈前編四〉

p.0810 一百子帳 貞丈云、我朝の百子帳も、本は唐の百子帳をまなびて作れるなるべ し、唐の百子帳の製、事文類聚續集卷十一に見へたり、其文義を考るに、柳の木を撓め曲げて、帳の骨を作る、これを用る時には、骨を張り開きこれを用ひざる時は、骨を弛めたゝみて置くやうにしたる物にて、今世の保呂蚊屋の骨の如き、其骨を張ひらきて、上に靑氈の帳を冒ひかける也、靑氈は靑き羅紗なり、〈毛オリナリ〉總體圓くして、頭高く、上尖りたるものと見ゆ、又文選、何平時が景福殿に、百子後宮と云語あり、注に百子又殿名とあり、百子殿といふ宮殿の名、是後宮にて妃妾の居處なるゆへ、百の子孫を産べき事を祝して百子殿と號する也、百子帳とは別の事なり、百子帳と號する意は、帳の骨の子數の多くあるゆへ、百子といひたる也、子とは骨をさして云也、此事かの事文類聚にあり、帳を作るに支度の多きゆへと云は非也、

〔漢書〕

〈九十四/匈奴〉

p.0811 漢使曰、匈奴父子同二穹廬一臥、〈師古曰、穹廬旃帳也、其形穹隆、故曰二穹盧一、〉

〔南史〕

〈七十九/夷貊〉

p.0811 河南、宕昌、鄧至、武興、其本並爲二氏羌之地一、〈○中略〉有二屋宇一、雜以二百子帳一、卽穹廬也、

〔酉陽雜俎續集〕

〈九/支植〉

p.0811 木龍樹、徐之高冢城南有二木龍寺一、寺有二三層磗塔一、高丈餘、塔側生二一大樹一、縈繞至二塔頂一、枝幹交横、上平容二十餘人二座二枝杪一四向、下垂如二百子帳一、

〔月令廣義〕

〈二十三/書夜〉

p.0811 百子帳〈詩話、唐人昏禮多用二百子帳一、制白二戎虜穹盧一之翻耳、捲レ柳爲レ圈、以相連鎖、百帳百闔、故名二百子一、〉

〔事物紀原〕

〈八/舟車帷幄〉

p.0811 拂廬
唐書吐蕃處二於大氈帳一、名二拂廬一、高宗永徽五年獻レ之、高五丈、廣袤各二十七步、其後豪貴稍以二靑絹布一爲レ之、其始以レ拂二於穹廬一爲レ號也、宋朝毎二大宴犒一、亦設二於殿庭一、曰二拂廬亭一、此蓋其始也、

〔代始和抄〕

p.0811 御禊行幸事
當日は大内より川原へ行幸なる、〈○中略〉河原頓宮にいたりては、まづ御膳幄に御輿をよせて下御ならせ給ふ、これより腰輿にめされて、御禊の幄にうつらせ給ふ、主上は百子帳の内の大床子に著御し給ふ、百子帳といふは、檳榔をもて頂をおほひて、四方に帷をかけて、前後をひらきて出入 するやうに飾りたり其中に毯代をしきて、大床子を立たり、この床子につかせ給ふ也、百子の名、其説いまだつまびらかならず、一には百子は多きをいふ、此帳をつくる支度のおほき心をいふべし、

〔延喜式〕

〈三十八/掃部〉

p.0812 凡踐祚大嘗會祓禊儲料、輕幄、百子帳(○○○)、軟障、大床子、屛風、帳、茵等、貯二納寮家一、臨レ事出用、
○按ズルニ、百子帳ノコトハ、神祇部大嘗祭篇御禊儀條ニ散見セリ、參看スベシ、

几帳/名稱

〔倭名類聚抄〕

〈十四/屛障具〉

p.0812 帳〈几帳附○中略〉 今按、帳屬有二几帳之名一、所レ出未レ詳、

〔以呂波字類抄〕

〈幾/雜物〉

p.0812 几帳〈キチヤウ 本朝式几帳一基〉

〔名目抄〕

〈雜物〉

p.0812 几帳(キチヤウ)

〔倭訓栞〕

〈前編七/幾〉

p.0812 きちやう 几帳と書り、几に帳あるをいふなり、新猿樂記には基帳(○○)と書り、枕几帳、よせ几帳なども見えたり、袖に手を入て張出すを、袖几帳といへり、 細工に物の稜を消を、几帳面といへり、

几帳製作

〔延喜式〕

〈十七/内匠〉

p.0812 年料几帳八基、〈四尺四基、三尺四基、〉料檜榑八材、〈土居幷枝柱等料、探二寮杣一、〉熟銅十四兩、滅金一兩一分、水銀二分、漆二升、帛一尺二寸、絹二尺、布一尺二寸、石見綿十兩、掃墨六合、油三合、伊豫砥半顆、靑砥一枚、炭八斗、和炭一斛、單功七十七人、〈木作工卅人、漆塗工卅二人、作二金物一工十五人、〉
伊勢初齋院裝束
几帳六基、〈四尺二基、三尺二基、二尺二基、〉料檜榑三材、〈枝柱等料〉尺九寸桁一枚、〈長三尺〉六七寸桁一枚、〈長五尺、並土居料、〉熟銅大八兩、滅金小一兩、水銀二分、漆一升五合、絹一尺五寸、細布一尺五寸、綿十兩、掃墨五合、油三合、伊豫砥半顆、靑砥一枚、炭六斗、和炭五斗、單功五十三人、〈木作工廿人、漆塗廿人、銅十三人、〉
賀茂初齋院幷野宮裝束
几帳十基〈三尺六基、一尺五寸四基、〉

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0813 四尺几帳八本
木作料十五疋、塗料五疋、
手長八尺、又七尺五寸、口徑八分、又八分半、莖徑手定、高從二土居一四尺、土居長一尺二寸、弘八寸、又七寸三分、厚四寸五分、又四寸三分、
八九寸、木一丈、土居八料檜榑二寸、手八料一寸、莖八料、
帷夏白生平絹ニ以二白泥一野篠秋草等書レ之、又次樣繪胡粉用レ之、凡裏白粉張也、
紐、冬濃打物、又黑打、夏者生平絹、黑染也、冬面纐纈三丈、裏三丈、紐四丈五尺、黑染、
凡五幅、長六尺、幅別ニ如二中紐一付レ之、又臨時美麗ニ調時者、白唐綾ニ纐纈之文ヲ以二紫糸一繡、又以二金精一畫レ文、夏唐之生物、以二金精一畫レ繪、紐赤色、織物練生隨レ時也、

几帳手

〔枕草子〕

〈三〉

p.0813 しきの御さうじの西をもての、〈○中略〉南のやり戸のぞばに、き帳のて(○○○○)のさしいでたるにさはりて、すだれのすこしあきたるより、〈○下略〉

〔雅亮裝束抄〕

〈一〉

p.0813 もやひさしのてうどたつる事
りうびんしきたるたゝみのひんがしみなみすみに、三尺のくろぬりのて(○○○○○○)のき丁のおもて、つね のかうけちなるを、うしとらざまにすぢかへてたつべし、

〔大饗雜事〕

p.0814 一几帳帷 左レ手(○○)〈久安記云、依レ及二深更一略之、母屋西第一間立之、可レ出レ祿故也、〉

几帳足

〔新猿樂記〕

p.0814 三郎主者細工幷木道者也、〈○中略〉基帳足(○○○)、屛風骨、〈○中略〉總風流曲節、無二所レ可レ喩人一、

几帳帷

〔空穗物語〕

〈樓の上之上〉

p.0814 き帳のかたびら(○○○○○○○)ふとひきあけて御らんずれば、内侍のかみのひき給にはあらで、ほかげのあかきに、いぬ宮のいとしろううつくしげにて、ひきゐ給へるなりけり、

〔枕草子〕

〈四〉

p.0814 ありがたきもの
みすのいとあをくおかしげなるに、きちやうのかたびら(○○○○)いとあざやかに、すそのつますこしうちかさなりて見えたるに、〈○下略〉

〔枕草子〕

〈八〉

p.0814 むかしおぼえてふようなる物
きちやうのかたびらのふりぬる

〔今昔物語〕

〈二十四〉

p.0814 碁擲寬蓮値二碁擲女一語第六
今昔、〈○中略〉寬蓮放出ニ上テ見レバ、伊與簾白クテ懸タリ、秋ノ比ノ事ナレバ、夏ノ几帳(○○○○)淸氣ニテ、簾ニ重子テ立タリ、

〔禁秘御抄〕

〈上〉

p.0814 一淸凉殿
帳〈四面有二几帳一、帷夏生、以胡粉一畫二花鳥一、〉〈鶴歟〉〈冬朽木形(○○○)、〉

〔松屋筆記〕

〈八十九〉

p.0814 朽木形几帳
與淸曰、くち木形の名義、伊勢貞丈が死木にはあらで、落葉したる木なめりといへるも、一わたりさもとおもはるれど、なほいかにぞや、こは朽木の枝の形なれば、然いへりと見ゆ、榮花若枝に、此春には、うもれ木となきにやとあるをも思ふべし、冬春の間は、几帳の帷の文樣朽木形なれば、朽木形の几帳といへり、されど朽木形のみに限れるにあらず、夏秋の間は、生に胡粉もて華鳥をゑ がきたる帷を用ふ、几帳の圖、類聚雜要抄、〈四卷〉几帳制度考など考て知べし、

〔紫式部日記〕

p.0815 九日夜は、〈○産後第九日、中略、〉こよひは、おもてくちきがたの木丁例のさまにて、〈○下略〉

〔枕草子一N 五〕

p.0815 なまめかしきもの
あをやかなるみすのしたより、くちきがたのあざやかに、ひもいとつやゝかにてかゝりたる、ひものふきなびかされたるもおかし、

〔源氏物語〕

〈二十/槿〉

p.0815 あなたの御とぶらひきこゆべかりけりとて、やがてすのこよりわたり給、くらうなりたる程なれど、にび色のみすに、くろきみ木帳(○○○○○○)のすきかげ哀に、〈○下略〉

〔源氏物語〕

〈二十三/初音〉

p.0815 空蟬のあま衣にも、さしのぞきたまへり、〈○中略〉あをにびの木帳(○○○○○○○)、心ばへおかしきに、いたくゐかくれて、袖ぐち計ぞいろことなるしもなつかしければ、〈○下略〉

〔左經記〕

p.0815 萬壽五年〈○長元元年〉四月一日丙寅、御几帳帷六帖、〈○中略〉並御帖等〈靑鈍色(○○○)〉令レ調獻レ宮、〈日來朽木形帷也〉

〔長秋記〕

p.0815 長承三年十二月四日己卯、御出家後御几帳帷用二靑鈍(○○)一然而今度依レ爲二吉事一被レ用二朽木形(○○○)一、是下官之所二申行也、自餘所々鋪設裝束如レ例、

〔龜山院御凶事記〕

p.0815 嘉元三年九月廿六日庚午、今日改二御所御裝束一、〈○中略〉昭訓門院御聽聞所、幷女房聽聞所等、悉御簾今日不レ出之、出二鈍色几帳帷(○○○○○)一、〈同色紐、抑女院明日(廿七日)可レ有二著服一、仍其以前只不レ懸二几帳一、〉〈至今日ハ出尋常几丁了〉〈自二來月一日一可レ出二冬几丁一也、凡ハ黑幷鈍色几丁不レ可レ更レ衣、今月出二生几丁一者、雖レ及レ冬不レ可レ改也、然而今度自然遲々、十刀一日出之間、可レ用二冬几丁一也、〉

〔兵範記〕

p.0815 仁平三年六月十五日癸酉、〈○中略〉今日出二御堂丈六佛前一、被レ始二行阿彌陀講一、〈○中略〉北又庇御所垂二御簾一、出二香染御几帳(○○○○○)一候、

几帳種類

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0815 四尺几帳(○○○○)
帷長六尺、紐長帷定、〈一幅料一疋〉〈二丈五尺〉 裏紐長三尺

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0815 四尺几帳九本 木造料百卅五疋、〈各十五疋〉塗料四十五疋、〈各五疋〉金物五百卌疋、〈各六十疋〉纐纈染料、
高廣可レ隨レ間
金物直千三百廿疋、〈帖別ニ百廿疋〉襲塗料、
隨二夏冬一白靑紫末濃赤色生練等用之、但於レ色者有二時好一、美麗時者二倍織物用之、

〔枕草子〕

〈十二〉

p.0816 前の木だちたかふ庭ひろき家の、東南のかうしどもあげわたしたれば、凉しげにすきて見ゆるに、もやに四尺の几帳立て、前にわらうだををきて、〈○下略〉

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0816 康平三年八月十一日丁卯、後冷泉院移御、〈○中略〉
四尺几帳九本〈加二妻庇定寸法一、凡諸事母屋定、〉

〔類聚雜要抄〕

〈二/調度〉

p.0816 立二調度一例
永久三年七月廿一日戊子、關白〈○藤原忠實〉右大臣殿〈○右大臣恐内大臣誤、時忠實子忠通爲二内大臣一、〉移二御東三條一、〈○中略〉東西南帷ヲ四尺几帳高〈二〉上〈天〉從レ内同几帳立之、

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0816 三尺几帳(○○○○)一本
弘四幅、一帖料絹七女二尺二寸、〈纐纈二丈一尺四寸、裏粉張二丈一尺四寸、紐黑蘇芳二丈九尺四寸、一幅四破定、〉帷几帳四尺定、但長五尺三寸五分、紐長帷定、弘四幅、一説五幅ニシテ幅ヲ細ク破之、但臨時ニ美麗ニ調時者二倍織物、又浮線綾象眼等隨レ季被レ用之、於レ色者有二時好一、紐村濃、又二倍織物、隨レ帷用之、赤色唐織物、紐平絹定、但如レ此物等隨二夏冬一用之、弘四幅、又細破〈天〉五幅ニスル有レ説、如此之臨時色々帷者、隨二時好一也、長弘如レ前、又袙几帳(○○○)ト謂者、長三尺六寸、紐長帷定、幅之如二中付一、但四幅者常事也、又手長者三尺几帳ヲ用也、

〔空穗物語〕

〈樓の上之下〉

p.0816 入日のいとあかくさし入たるに、いぬみやしろいうすものゝほそながに、ふたあいのこうちきを給とて、たけは三尺のきちやうにたらぬほどなり、

〔枕草子〕

〈十一〉

p.0816 御經のことにあすわたらせおはしまさんとて、こよひまいりたり、〈○中略〉三尺の御き ちやうひとようひをさしちがへて、こなたのへだてにはして、〈○下略〉

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0817 康平三年八月十一日丁卯、後冷泉院移御、〈○中略〉
三尺几帳一本〈茵前料寸法、凡諸事母屋定、〉

〔儀式〕

〈三〉

p.0817 踐祚大嘗祭儀
濱椿二尺几帳(○○○○)二基

〔雅亮裝束抄〕

〈一〉

p.0817 もやひさしのてうどたつる事
おなじきまのもやに御帳あり、〈○中略〉そのまくらの左右に、八もじに、したんぢのてのこき丁をたつ(○○○○○○)、まくらき丁といふなり(○○○○○○○○○○)、かたびらふたへおりものなり、それにそへてぢんのまくらふたつをくべし、

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0817 康平三年八月十一日丁卯、後冷泉院移御、〈○中略〉
枕几帳(○○○)〈手長一尺五寸、〉〈口徑五分〉〈土居長七寸、弘四寸五分、〉〈上角等九面〉〈高二尺内、〉〈土居厚二寸五分〉〈帷長二尺二寸、二乃紐二筋、濃蘇芳二倍織物、紐同前、蒔繪紫檀地間、但普通ハ不レ用、聟娶時、帳内ニ二本用之、但用二一本一説在云々、用二二本一時ハ、枕ニ八文字立之、用二一本一時ハ、枕ニ寄西小スヂカヘテ立之、但母屋室禮之方ニ可レ立之、木造八疋、金物代卅疋、〉
〈今案、大治年中春日内裏渡御、茵方三尺、伊與守基隆佐汰、〉
張工料〈單功卅疋、又廿五疋、飡乃米五斗、又四斗、〉

〔雅亮裝束抄〕

〈一〉

p.0817 もやひさしのてうどたつる事
おなじきまのもやに御帳あり、〈○中略〉さてのち、つねのき丁を三本とりよせて、この御帳のみなみひんがしにしのくちに、はまゆかのうへにたてゝ、〈○中略〉この木丁をよせき丁(○○○○)とはいふなり、

〔普廣院殿大將御拜賀雜事〕

p.0817 一端几帳(○○○)事〈同臺可レ被之由、攝政被レ申、〉

几帳用法

〔西宮記〕

〈正月上〉

p.0817 供二御藥一事
天皇御二東廂一、〈着二御生氣御服一、舊例采女已上着二御生氣衣服一、〉陪膳女藏人等候二御厨子所一、供二御臺二基一、〈○中略〉内膳奉膳付二采女一、采 女取レ之授二女藏人一、女藏人傳取自二御基帳(○○○)上一供之、〈壇間御簾不レ上〉宮内輔侍醫等於二小板敷前一一一嘗之、

〔江家次第〕

〈四/正月〉

p.0818 臨時除目
晝御座如二官奏時一
以二晝御帳南北几帳一立二第二三聞母屋際一、〈裾在レ東故、隆方朝臣曰、四年御屏風東面、仍御几帳裾在レ西云々、然而先例如レ此、事若然者帽額又可レ懸レ西歟、可レ恠之、〉

〔三中口傳〕

〈三〉

p.0818 屛風几帳事
弘間几帳〈ハ〉ニ本ヲ重テ立之〈以レ左爲レ上〉
御座中央立二隔几帳一事
准據無之
二帖ヲ立ル、屛風ニハ二帖ヲ引重テ可レ立、〈以レ左爲レ上〉屛風付二几帳一帷出樣、打任テハ几帳ノ手ヲ立ル事ナレバ、出几帳(○○○)ト書ツレバ、隨二所便宜一閉付タルトモ、立レ手之樣ニテアリ、覆御簾ニハ所レ立レ手ナレバ、内ノ方ニ閉付タリ、覆御簾出几帳ト書ツレバ心得ラレタリ、几帳ハ雖二弘間一毎レ間一帖出之、

〔婚禮法式〕

〈上〉

p.0818 婚迎之部
一御料人の御座のそばに几帳を立る、几帳は婦人の形をかくす爲に立る也、几帳は京都の職人のこしらふる物なり、

〔空穗物語〕

〈樓の上之上〉

p.0818 ちいさきあふぎさしかくし給て、ゐざりいり給を、一院き帳のほころび(○○○○○○○)より御らんじて、いとうつくしとおぼす、

〔源氏物語〕

〈二/帚木〉

p.0818 おとゞもわたり給ひて、うちとけ給へれば、御木丁へだてゝおはしまして、御物語きこえ給を、あつきにとにがみ給へば人々わらふ、

〔源氏物語〕

〈九/葵〉

p.0818 姫君いとうつくしうひきつくろひておはす、ひさしかりつるほどに、いとこよなうこそをとなびたまひにけれとて、ちいさき御水帳ひきあげて、みたてまつりたまへば、うちそば みて、はぢらひたまへる御さま、あかぬ所なし、

〔源氏物語〕

〈四十六/椎本〉

p.0819 こなたにかよふさうじのはしのかたに、かけがねしたる所に、あなのすこしあきたるを、みをきたまへりければ、とにたてたる屛風を引やりてみ給、こゝもとに木丁をそへたてたる、あな口をしと思ひて、ひきかへるおりしも、風のすだれをいたう吹あぐべかめれば、あらはにもこそあれ、その御木丁をし出てこそといふ人あなり、おこがましきものゝうれしうてみ給へば、たかきもみじかきも、木帳をふたまのすにをしよせて、このさうじにむかひて、あきたるさうじよりあなたにとをらんとなりけり、

〔源氏物語〕

〈五十二/蜻蛉〉

p.0819 れいさやうの人のゐたるけはひにはにず、はれ〳〵しくしつらひたれば、中々木丁どものたてちがへたるあはひより、みとをされてあらはなり、

〔枕草子〕

〈一〉

p.0819 御物いみなりける日、古今をかくしてもてわたらせたまひて、例ならず御きちやうをひきたてさせ給ひければ、女御あやしとおぼしけるに、御さうしをひろげさせたまひて、〈○下略〉

〔榮花物語〕

〈十六/本の雫〉

p.0819 かくて枇杷殿〈○妍子〉には、四月に御わたりあり、〈○中略〉このたびはひめ宮の御かた〈○禎子〉しつらはせ給へり、あやにうす物かさねたる、むらさきのすそごの、御几帳ども、御帳のかたびらも同じやうにて、むらごのひもして、こんじやうでいなどして、ゑがきたり、御丁いとさゝやかにおかしげなり、何事もいとうつくし、

几帳雜載

〔枕草子〕

〈四〉

p.0819 頭中將の、そゞろなるそらごとをきゝて、〈○中略〉あさましう何のいはせける事にかとおぼえしか、さてのちに、袖ぎちやう(○○○○○)などとりのけて、おもひなをり給ふめりし、

〔安齋隨筆〕

〈前編十〉

p.0819 一袖几帳 袖几帳と云は、几帳のつくりざまあるにはあらず、人をも見じ我がかほをも人に見られじとて、袖をかほにおほふが、几帳立たるごとくなれば、その事を袖几帳と云也、枕草子に、頭中將齊信卿に、何人か淸少納言の事をあしざまに申きかせけるにより て、齊信卿は淸少納言を見じとて、袖をかほにおほひふたき給ひしが、後に淸少納言あしからぬ事しれて、かほに袖おほふ事やみし事を、かの草子に、さてのちには袖ぎちやうなどとりのけて、おもひなをり給ふめりしと書ける、されば袖几帳と云は、枕几帳、三尺の几帳など云たぐひにはあらず、

〔僅言集覽〕

〈幾〉

p.0820 几帳面(○○○) 倭訓栞、細工に物の稜を削を几帳面といへり、愚按、元祿二年外宮遷宮記、御椯三基、以二銀銅一飾之、臺各有二几帳面一、柱本末押二金薄一、俗には物の辻つまあはせ正しくするやうの事をいへり、

差几帳

〔安齋隨筆〕

〈前編十五〉

p.0820 一差几帳 貞丈云、さし几帳は、女房の行之時、左右に童女を立て、几帳を捧げてもたせて、几帳にて顏を隱して行也、步障の類也、

〔類聚名物考〕

〈調度五〉

p.0820 步障
さし几帳也、道行時に婦人などは、さしかくす物にて、三尺の几帳のほど有り、葬送の時にはわきて用る事、古畫にも見えたり、又は行幸遠所の時にも用らる、

〔空穗物語〕

〈藏開上〉

p.0820 御ゆどのはてぬれば、女御君いだかまほしうおぼせど、ちゝおとゞそひゐ給つれば、うへのをとゞいだき給て、御几帳さゝせて(○○○○○○○)いり給て、みやの御かたにふせ奉り給つ、

〔雅亮裝束抄〕

〈一〉

p.0820 五せち所のこと〈○中略〉
まいりにはひめ君のくるま、〈○中略〉ひめ君ののぼるすみとり〈○几帳〉は、いづれのもくら人五ゐのするなり、そくたい四人なり、たゞ五せち所へむかふ人は、よきほどなるいくわんにてむかふべきなり、〈○中略〉
しもつかひのさうぞくの寸法
五せちのはわらは二人なり、〈○中略〉五せちのまいりをせんには、四人あるべし、ひめ君のぢんより

〔年中行事繪卷〕

〈朝覲行幸〉

をるゝき丁を、よほうにさしたるもたんれうなり、き丁のすみをば、くら人五ゐとりあはせてゐる、近代はしもつかひさゝず、ごぜのさしたるなり、しもつかひもわらはのつぎにたゞゐるなり、

〔江家次第〕

〈十/十一月〉

p.0822 五節帳臺試
時刻五節舞姫參二入於玄輝門一、〈下レ車公卿束帶相從、各入二五節所一、有二筵道一、〉諸大夫四人執二几帳角一、殿上人付二童女傅等(シモツカヒ)一如レ例、〈○中略〉舞姫等次第參入、〈經二馬道一入二舞殿戸一〉先童女一人持二火取一、次童女一人持レ茵、次舞姫、〈下仕等取二几帳三本一相從、理髮相具、〉次火取童入レ戸卽歸、次茵童敷レ茵、〈居二帳臺下一〉次舞姫居二茵上一、〈北面西上〉次几帳一本立二其後一、〈自餘早歸〉

〔江家次第〕

〈十二〉

p.0822 齋王群行
次齋王入レ自二嘉喜門一〈御前幷寮頭助相扶、内侍及乳母二人、侍者二人、童女四人從之、近代女房三人、執二几帳一祗候之、○中略〉
闈司開レ戸、齋王入一自二同戸一著座、〈著二羅地摺袷襠長袖同目染裳一、著二玉鬘一、依レ未二成人一不レ可二上レ髮給一歟、又御乳母可レ奉レ抱、女房三人取二几帳一、隱二王座東南西三方一、前例隱二東南二方一由關白被レ申、而長曆幷延久御記如レ此、○中略〉次以二頭藏人一召二齋王一、召二寮頭一仰之、主殿司等前行、寮官引二御輿一到二殿北面東戸下一、於二階上一駐二御輿一、闈司開レ戸、捧二几帳一之者二人相從、

〔中務内侍日記〕

p.0822 十二月〈○弘安十一年二月〉大原のゝまつりなり、〈○中略〉みやにまいりつきぬれば、辨しやうけいつきてことどもをこなふ、木丁さして御まへにまいりてみれば、〈○下略〉

行障

〔倭名類聚抄〕

〈十四/屛障具〉

p.0822 行障 唐鹵簿令云、行障六具、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六/屛障具〉

p.0822 通典、皇太后皇后鹵簿有二行障六一、卽其事也、雲溪友議、載下唐陸暢詠二行障一詩上云、碧玉爲レ半丁字成(○○○○○○○)、鴛鴦繡帶短長香、强遮二天上花顏色一、不レ隔二雲中笑語聲一、

〔伊呂波字類抄〕

〈加/雜物〉

p.0822 行障〈カウシヤウ葬具〉

〔名目抄〕

〈喪服〉

p.0822 行障(カウシヤウ)〈同上○天子大行之時用レ之〉

〔類聚名物考〕

〈調度五〉

p.0822 行障 今案に、行障一名は步陣とも云ひ、又步帳とも云ふ、行步の間に遮障故の名なり、本邦にては是を指几帳と云ふ、古へは常に用ゐし調度なり、その事物語日記などにも見えたり、道を行にさしあげて持行ば、しかいふなり、〈○下略〉

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

p.0823 初齋院裝束
小行障(○○○)二具

〔延喜式〕

〈十七/内匠〉

p.0823 伊勢初齋院裝束
小行障四具、料檜榑二材、熟銅大三斤、滅金小八兩、鑑銀小四兩、信濃布一尺、白〓薄六枚、〈方八寸〉細布六尺、阿膠六兩、漆一升六合、絹一尺六寸、掃墨四合五勺、炭一斛、和炭四斛、單功六十人、〈木工十人、漆十人、銅廿八人、白〓十二人、〉
賀茂初齋院幷野宮裝束
小行障二枚、〈○中略〉大行障四枚、

〔儀式〕

〈一〉

p.0823 春日祭
比レ到二社西方北門一、前行大夫以下下馬列立、陪從女下車、執二行障一候二輦下一、

〔儀式〕

〈一〉

p.0823 賀茂祭儀
其日、〈○中略〉時刻齋王駕レ車赴向、〈○中略〉齋王駕車從左右各十人、〈○中略〉次執物左右各四人、〈一人大翳、一人大笠、一人捧レ壺、一人行障、並著二退紅染衣一、〉
祭日、〈○中略〉齋王先詣二下社一、〈○中略〉腰輿在二中路一、其前後輿長左右各六人、相列相二夾内外一各三人、女孺一人執二行障一、在二腰輿近前一、

〔類聚雜例〕

p.0823 長元九年五月十九日丙申、及二晩景一、左衞門府生坂上時通令下人夫壞二院東墻一本一爲中御輿路上、〈○中略〉次御輿長等舁二下御輿一、駕輿丁等二十人傳荷之、〈本馼四十人也、相替可二供奉一之、又此間行障等可二持立一、而有レ議不レ入二院内一、於二墻外一可レ備一禮也、○中略〉 次御前僧廿人、〈○註略〉次步障(○○)、〈行障外左右各四條、條別長各六丈、五幅、以二畠絹一縫之、小舍人幷後院藏人、召使等卌人、著二衣冠當色等一、左右相分持之、條別五人、各以二白木竿一爲レ柄、前後引塞、〉次火輿、〈輿内立二小臺一、居二油坏於其上一、明火、駕丁二人、布衣烏帽、著二當色一荷之、步障内立二行障外一、〉次行障(○○)、〈以二帛絹一縫之、長各五尺餘五幅、藏人所雜色以下十六人、著二當色一持之、御輿左右各五人、前後各三人、〉次御輿、〈在二行障内一〉次香輿、〈之中、中央居二轆轤一、引二火舍一、其四角立二同花瓶等一、供花持人如二火輿一、在二行障外步障内一、〉次御膳辛櫃二荷、〈各加二生絹覆綱等一、御厨子所仕丁等布衣烏帽于、著二當色一荷之、預衆等、著二衣冠當色等一副之、在二步障内一、次可レ有二御擧物辛櫃一、而不二行列一、如何、〉次關白相府、内大臣、藤大納言、權大納言、新大納言、左右宰相中將、右大辨、右兵衞督、三位中將、著二各等衣冠〈卷纓〉藁履等一、持二白木杖一、行二列步障内一、〈左相府内府扶持者兩人在二此内一、自餘步障外、〉

〔建久九年内宮假殿遷宮記〕

p.0824 一同〈○七月〉十五日辛亥、御裝束奉二裁縫一行事〈○中略〉
行障柄二支〈○中略〉
御装束次第寸法〈○中略〉
行障二條〈長各五尺、弘各二幅、〉 料絹二丈

步障

〔倭名類聚抄〕

〈十四/屛障具〉

p.0824 步障 喪禮圖云、白布帷以障二婦人一、〈今按、俗用二步障一是、〉

〔名目抄〕

〈喪服〉

p.0824 步障(ホシヤウ)〈天子大行之時用レ之〉

〔節用集〕

〈門〉

p.0824 步障(ツイタチシヤウジ)

〔晉書〕

〈三十三/石苞〉

p.0824 崇字季倫、〈○中略〉與二貴戚王愷羊琇之徒一以二奢靡一相尚、愷以二〓澳釜一、崇以レ蠟代レ薪、愷作二紫絲布步障(○○○)四十里一、崇作二錦步障(○○○)五十里一以敵レ之、

〔七修類藁〕

〈四十五/事物〉

p.0824 倭國物
古〈○中略〉有二硬屛風一、而無二軟屛風一、有二剔紅一、而無二縹霞彩漆一、皆起レ自二本朝一、因二東夷或貢或傳一而有也、〈○中略〉軟屛、〈今圍屏也〉弘治間入貢來使送二淅鎭守一、杭人遂能、〈卽古步障(○○)〉

〔空穗物語〕

〈樓の上之上〉

p.0824 七月七日、いぬ宮御くしすまさせ奉り給とて、ろうの南なる山井のしりひきたるに、はまゆか水のうへにたてゝ、内侍かみもろともにおはす、それもすましためり、人もみ えぬかたなれど、ほうせふ(○○○○)ひかせ給へり、

〔參考太平記〕

〈二〉

p.0825 南都北嶺行幸講堂供養事
比叡山ニ行幸成テ大講堂供養アリ、供奉ノ百寮悉君主ニ從ヒ奉ル、先一番ニハ、隼人、步障數百人、先先列ヲ引タリケル、

軟障/名稱

〔倭名類聚抄〕

〈十四/屛障具〉

p.0825 軟障 本朝式云、軟障一條、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六/屛障具〉

p.0825 延喜内匠寮掃部寮等式、並有二軟障一、而無二一條字一、此所レ引或是弘仁貞觀等式文、軟障又見二續日本後紀、三代實錄、西宮記、新儀式、源氏物語須磨卷、蜻蛉日記一、按唐杜荀鶴松窻雜記、唐進士趙顏於二畫工處一得二一軟障一、圖二一婦人一、

〔廣韻〕

〈三/上聲〉

p.0825 輭〈柔也、或从レ需、餘同、而兗切、〉 軟〈俗〉

〔伊呂波字類抄〕

〈世/雜物〉

p.0825 軟障〈センシヤウ 本朝式云、軟障一條、〉

〔槐記〕

p.0825 享保十年六月十五日、古ヨリ輭障曲屛トテ、今日本ノ屛風ノコトニ用タルコト、歷々ノ書ニ見ヘタリ、尤ラシキ字ナリト思フカラ、イカヤウニモ漢ノ書ニアルベシト、近年思召テ、ヒタモノサガサルレドモ見ヘズ、宿儒老僧ナドニモ問ヘドモ不レ知ト答フ、源氏物語ナドニモ、輭障トイデテ、古ヘヨリセンセウト讀來レリ、季吟ナドノ湖月抄ニモ、センゼウト假名付シテ、出處モナケレバ、音義モ沙汰ナシ、何ト工夫シテモ、文字ハ漢字ナルベシト思召テ、久シキ御不審ナリシガ、コノ度フト通雅ニテ御覽當リナサレシガ、輭障曲屛ハ、其制出二于日東一ト書タリ、サレバコソ制モ文字モ、日本ヨリ出タルトハ、シラルレト仰ラル、總ジテ此公ノ御考、凡テ如レ此、一旦ニ大方ニ出處ニナルベキコト出テモ落著セヌヲ、ムリ濟シニセズ、數十年ヲヘテモ御失念ナキユへ、御若年ヨリスマヌコトノ、近年濟タルコト多シ、

〔倭訓栞〕

〈前編十三/世〉

p.0825 ぜじやう 蜻蛉日記にみゆ、源氏にはせんじやうとも、まさすけにぜんざうと もみゆ、軟障と書り、軟音善也、まさすけに東三條にありしは、さが野にかりせし少將をぞかゝれたりしと書るは、昆明池の障子の裏形也、野を書てかた方に屋形ありといへり、三代實錄に、紫宸殿の軟障と見えたり、細流に、ついたち障子などのやうなる物也といへり、七修類藁に、古有二硬屛一無二軟屛一、軟者圍屛也、圍屛與二泥金綵漆一皆出二于日本一と見えたり、これは今いふたゝみ屛風なるべし、住吉物語にかみびやうぶと見ゆ、西土の書にも紙屛あり、

〔源氏物語〕

〈十二/須磨〉

p.0826 海づらもゆかしくて出たまふ、いとおろそかにぜんじやう(○○○○○)ばかりを引めぐらして、このくにゝかよひける陰陽師めして、はらへせさせ給、

〔源氏物語湖月抄〕

〈十二/須磨〉

p.0826 軟障(ゼジヤウ) 〈細〉ついたち障子などのやうなる物也、假名にはぜんじやうと書る本あり、只ぜじやうと可レ讀、〈明〉阿云、軟障有二畫圖一、松也、謂二高松軟障一、堂上立二軟障一、堂下引レ幔、又堂下ニモ有レ立レ之、内宴妓樂之時ト云々、〈哢〉一注、幕のごとくなる物に、高き松など繪に書て、壁に添て引也

〔源氏物語〕

〈二十二/玉鬘〉

p.0826 この御てらになんたび〳〵まうでける、れいならひにければ、かやすくかまへたりけれど、かちよりあゆみたへがたくてよりふしたるに、豐後のすけ、となりのぜじやう(○○○○)のもとによりきて、〈○下略〉

〔新猿樂記〕

p.0826 六郎冠者繪師長也、〈○中略〉軟障(セジヤウ)、扇繪等上手也、

軟障初見

〔續日本後紀〕

〈九/仁明〉

p.0826 承和七年九月乙未、伊豆國言、賀茂郡有二造作島一、本名二上津島一、〈○中略〉巖壁伐レ波、山川飛レ雲、其形微妙難レ名、其前懸二夾纈軟障一、卽有二美麗濱一、以二五色沙一成、

軟障製作

〔雅亮裝束抄〕

〈一〉

p.0826 もやひさしのてうどたつる事
たかまつ(○○○○)のぜんざうをかく、東三條にありしは、さが野にかりせし少將(○○○○○○○○○○)をぞかゝれたりし、これをたつることまれの事なり、〈○中略〉 だいきやうのこと
つくゑをたてゝきやうをばすふるなり、〈○中略〉もや三方にみすをかけて、おろしたるうへに、ぜんじやうとて、まんのやうにて、きぬにたかきまつをほんたいにて、しきのきどもをかきたり、のゝ一あるがひろきへりの、むらさきいろなるさしまはしたるを、みすのうへにひくなり、これらしきのゑをかきたれば、春をひんがしにはじめてひくべし、もやのみすのもかうのしものきはにおしあてゝひくべし、もとひもをまんのやうにつけて、つなをぐしたれどもつなしてはひくべからず、つなのをはみすとぜんじやうとのなかにをしかへして、へりのなかにこはしのいたをいれて、もかうのしものきはにをしあてゝ、はしらにとぢつけたるがよきなり、たけみじかくて、しものすかむなかへりみすふたつかいきあるをば、はなつきに人のするなり、そのぎわろし、ひとへりをひきかさねてひくべし、たゞしまはひろくて、ぜんじやうはせばくば、ちがへることかなはじ、はなつきにもすべし、

〔大饗雜事〕

p.0827 軟障事
面ハ生絹ニ唐繪ヲカク、縱樣ハ三尺七寸、〈鐵定〉横へハ六幅ナリ、上下左右ニ續ヲ紫ニ染テ緣ニ付ク、其廣ハ六寸八分、〈金定〉白練ノ絹ヲ裏ニ付ク、緣ノ裏ハ紫ノ練絹也、紫ノ綾〈緣ト同ジ〉ヲ一寸バカリニタヽミテ乳ニ付ク、其數十也、綱ヲトボスベキ料ナリ、紫ノ練ノ平絹ノヒロサ一寸餘ナルニ、布ヲ縫タヽミタル綱ニテ張也、綱ノ長ハ一丈二尺、〈金ノ定〉上官ノ座ニ依テ、此軟障ヲ五帖或四帖、副二御簾一テ引レ之也、今注付タルハ一帖分也、

〔仙源沙〕

〈勢〉

p.0827 せんざう セジヤウ共、軟障也、障子代ニ用レ之、唐綾ニテ張、結纈ニテメグリヲス、又云、殿上ノ引物也、白絹ニ松ヲ繪ニ書、高松ト號也、須磨巳日祓ノ所、藤ウラバ玉カヅラ泊瀨詣所ニ有、姿ハ幔ニニタリ、赤モ靑モアリ、

〔安齋隨筆〕

〈後編十一〉

p.0828 一軟障は、四方紫の緣あり、はゞ八九寸程、中の布五幅と覺申候、畫は彩色畫高松也、上下に耳あり、尤兩面也、紐は綾をたゝみて用る也、
色紫
但古へは小鷹狩の軟障ありし由、今は其圖たへたりといふ、

〔台記〕

p.0828 仁夲二年正月廿六日壬戌、今日於二東三條一再行二大饗一、 廿七日癸亥、同〈○寢殿〉母屋北面東第二三四間垂二御簾一、〈○中略〉副二東北二面簾一引二唐繪絹軟障(○○○○○)四帖一、〈高松(○○)、紫緣、〉相對敷二靑緣出雲筵帖〈白布裏〉六枚一、〈南三枚北三枚〉爲二外記史座一、〈東上、外記北、史南、帖東端去二軟障一五許尺、〉〈爲敷錄事座也〉〈座末幷奧有二往反路一、〉

〔兵範記〕

p.0828 仁安三年十一月廿三日庚辰、早旦參二大極殿一、大夫史幷行事官皆參、奉二仕節會御裝束一、〈○中略〉同〈○御帳〉左右壇下立二高松軟障一、〈新調也、至二于東西壁下一立之、悠紀方以二唐纐纈一爲レ端、各八幅、寬治色法也、主基以二赤地錦一爲レ端、天仁例云々、此條無レ謂、諸事用二寬治一之由、御定先畢、行事自由也、以二件軟障一立二隔母屋與一レ廂、〉 十二月十日丁酉、早旦著二行事所一、大嘗會威儀御物幷判御調度、〈○中略〉 軟障六帖〈各八幅、長九尺、面唐綾、裏練張白絹、在二緋綱一、〉

軟障用法

〔類聚名物考〕

〈調度五〉

p.0828 軟障 ぜざう
今陽明家に有高松軟障といふ物の圖、世に有繪は一樣ならず、はり樣、かな裝束抄に有、殿上にはる事也(○○○○○○○)、されども源氏須磨卷に、海邊にての祓に、地に設けたる事も有れども、是はもし左遷の時故、調度もとゝのはざる故に、不具の事をわざと書なしたるにやあらん、

〔新儀式〕

〈四/臨時〉

p.0828 行二幸神泉苑一覽二競馬一事
其儀母屋西面五間懸二軟障一

〔西宮記〕

〈正月上〉

p.0828 二日二宮大饗
延長三年正月二日、吏部記云、中宮饗設二玄輝門西一、〈○中略〉參議用二兀子一、南北面、〈設二長押上王公座後一、屏風上張二軟障一、〉

〔北山抄〕

〈三/拾遺雜抄〉

p.0828 射禮儀 前一日、供二張御裝束一、〈○註略〉門北簷懸二御簾一、南庇敷二借板敷一、其上立二蓋張一、東西立二御屛風各一帖一、〈○註略〉其後横施二軟障一、〈○中略〉
内宴事
〈裏書〉藏人式、前一日、藏人、〈○中略〉仁壽殿承香殿之間、東邊南北妻、懸二軟障一條一、〈用二所唐圖軟障一〉

〔北山抄〕

〈五〉

p.0829 大嘗會事
辰日裝束、〈○中略〉御座左右壇下、以二軟障一引下隔母屋與二北庇一之間上、〈承平記云、東壁、及北壁東第一間施レ之、天祿悠紀記云、自二壇北階東、開柱東、東階北開柱北一立廻、一方各二條、四幅云々、〉

〔江家次第〕

〈十三〉

p.0829 於二大極殿一被レ行二臨時仁王會一儀
殿北登廊假敷二板敷一、爲二休幕一、引二高松軟障一、立二大宋屛風一、

〔三代實錄〕

〈三十三/陽成〉

p.0829 元慶二年二月廿七日癸巳、是夜偸見剝二取紫宸殿軟障一、爲二警夜近衞舍人一所二捕獲一、

〔大饗御裝束間事〕

p.0829 一鋪設裝束事
康平八五廿八、記云、〈○中略〉六月三日大饗也、〈○中略〉母屋東面二間南横切、幷北鴨柯懸レ簾、〈不二卷上一〉其上引二軟障五帖一、〈○中略〉
同〈○永保〉三年正月廿二日、六條右府記云、〈○中略〉廿六日任右大臣大饗也、於二三條殿一設レ之、〈○中略〉對代母屋、幷北横切鴨枝懸レ簾〈不二卷上一〉其上曳二軟障五帖一、〈○中略〉
上官座事
治安元七廿五、小記云、大府饗、〈閑院〉東對西庇設二外記史座一、〈小野宮儀〉外記座、西封南庇東上對座、〈東北相對〉鋪二綠緣疊一、座後引二軟障一、又到二東面母屋簾一、同引二軟障一、西對南東等庇不レ懸レ簾、〈以二波殿一爲レ限〉
永承二八一、土記云、西對東廂、〈三條北高倉東亭〉南上對座、設二上官座一、座後施二軟障一、不レ敷二親王座一、預居レ饗、
康平三七十七、記云、西北渡殿、〈東三條〉母屋三間設二外記史座一、〈緣端疊、東上對座、外記著レ北、預垂二母屋北簾、幷第四間簾一、副レ簾引二軟障一、○中略〉 康和二七十七、爲隆記云、〈東三條〉西渡殿從レ西第一二三間、設二外記吏座一、〈當二第三間東柱一渡二簾臺一懸レ簾、同第一二三間北柱南面、同懸二亘御簾一、其上引二渡木客唐綾軟障四帖一、其内鋪二滿弘筵一、東上對座、敷二靑端疊六枚一、〉

〔大饗雜事〕

p.0830 一軟障〈四帖或五帖〉 在レ綱
〈永保三正廿二時範記云、副二御簾一引二唐繪軟障一、永久五帖云云、寬治外記史座上去二軟障一三許尺、爲レ鋪二祿事座一也云々、〉

〔匡房卿大嘗會記〕

p.0830 天仁元年十一月廿一日
一攝政不レ可レ著二人下一、諸卿參上之間、可レ讓二内弁於民部卿一、但自二何方一可レ退哉、
民部卿申云、直可レ被レ參レ自二高松軟障東妻一、不レ待二卿著座一可二令レ參給一歟云々、

〔兵範記〕

p.0830 仁安元年十二月十六日丙辰、今夜節會、〈○中略〉左右壇下立二高松軟障一、〈迄二于東庇壁下一引之、爲二毋屋與レ庇隔一也、〉 三年十一月廿二日己卯、未明出立參二齋場所一、〈○中略〉悠紀主基御帳、懸二白帷東西南三面一卷上之、〈悠紀小葵、文綾二色、紐如レ常、施レ繪、寬治例也、主基白唐綾、以二色々糸一縫二竹桐鳳凰等一、天仁例云々、意趣如二軟障一、〉 廿五日壬午、裝束司令二所司一奉二仕大極殿御裝束一、〈○中略〉南廂第四間立二小忌卿相座一、其前立二臺盤一居レ饌、御帳以東母屋際引二軟障一、〈至二于東壁下一〉御帳以西一二間、母屋際立二廻障子二枚一、其西引二軟障一、至二于西廂殘一間一、更折レ南又引二軟障一、〈至二于南母屋際一〉

軟障具

〔儀式〕

〈六〉

p.0830 元日御二豐樂院一儀
前一日、内匠寮官人率二雜工等一構二立御斗帳於豐樂殿高御座上一、立二軟障臺(○)九基於高御座東西一、〈五基、高御座東西四間、一基営二西 一戸一立、三基立二殿西二間一、〉

〔延喜式〕

〈十七/内匠〉

p.0830 凡諸節、前一日、官人率二雜工等一、豐樂殿立二軟障臺六基一、〈三基立二高御座東三間一、一基立二西一間一、二基立二母屋西二間一、○中略〉
凡五月五日節、前一日、武德殿構二立斗帳又軟障臺二基一、〈立二御座壇以南西二間一〉其神泉苑立斗帳亦同、但軟障十基、〈御帳東西各五基〉

〔西宮記〕

〈正月下〉

p.0830 内宴〈綾綺殿母屋立二軟障(ゼシヤウ)臺一事、仰二掃部寮一、○中略〉
主上出御、〈○中略〉坊家別當進二舞妓奏一、〈○註略〉發二音聲一、妓女著座、〈入レ自二綾綺殿東北戸一、經二軟障南妻一著、〉

〔北山抄〕

〈三/拾遺雜抄〉

p.0831 内宴事
内匠寮參入、立二軟障臺於所々一事、

〔大饗雜具目錄〕

p.0831 大饗雜具〈永享四年七月廿五日○中略〉
一軟障五帖 一同綱(○)〈三筋歟〉

壁代/名稱

〔伊呂波字類抄〕

〈加/雜物〉

p.0831 防壁〈カヘシロ壁代〉

〔名目抄〕

〈雜物〉

p.0831 壁代(カベシロ)

〔仙源抄〕

〈賀〉

p.0831 かべしろ 壁代也

〔倭訓栞〕

〈中編四/加〉

p.0831 かべしろ 延喜式に壁代と書り、帷をいふ也、又防壁をも訓ぜり、延曆儀式に、壁代生絁(スヾシノ)帷と見ゆ、

〔古今要覽稿〕

〈器財〉

p.0831 かべしろのちやう かべしろ
かべしろのちやうは、延曆廿一年伊勢太神宮儀式帳に見えたれば、それより古くありしものなるべし、けだし上古の家作は壁を用ゆる處すくなければ、時にのぞみ帳をはりて座を設くるなり、この帳壁に代用ゆるが故に、かべしろの帳とよびしが、のちにはたゞかべしうとのみよぶことになりたり、その製作は、雅亮裝束抄および類聚雜要抄に見えたり、〈○中略〉
壁代、生絁御帳、〈太神宮儀式帳〉按に壁の代に用ゆる帳なれば、壁代の帳とよべるなり、猶垣の代に用ゆるを垣代といひ、舟の代に用ゆるを舟代といふと同じ、壁代帷、〈江次弟〉壁代、〈西宮記〉かべしろ、〈源氏物語〉

〔空穗物語〕

〈國讓下〉

p.0831 おとゞつとめて殿のうちをみ給へば、〈○中略〉かべしろはしろくてあたらし、

〔空穗物語〕

〈藏開中〉

p.0831 三條殿のかくて源中納言殿のうぶやの七日のよになりぬれば、きのかみにおほみあるじのことゞもを、おとこ女方おまし所もつらふことつかうまつる、〈○中略〉かべしろには、しろきあやをうちやうしたり、

〔源氏物語〕

〈三十四/若菜〉

p.0832 みなみのおとゞの西のはなちいでにおましよそふ、屛風かべしろよりはじめ、あたらしうはらひしつらはれたり、

〔源氏物語湖月抄〕

〈三十四/若菜〉

p.0832 かべしろ 〈和〉白き衣を、かたびらのやうにしてかくるもの也、

〔狹衣〕

〈三〉

p.0832 しやうじよりとをりて、あまたたてかさねられたる御几帳どもにつたひつゝ、かべしろの中に入たちて見たまへば、こなたは宮達の御かたなるべし、丁のまへにふたところふし給へり、

壁代製作

〔西宮記〕

〈十二月〉

p.0832 御佛名
頭於二御前一定二御導師次第僧一、〈○註略〉行事藏人催事、〈内藏幷御厨子所、請奏下二上卿一、○中略〉縫殿、〈調二壁代一〉

〔延喜式〕

〈六/齋院〉

p.0832 三年一請雜物
深縹帛四疋三尺五寸、〈四丈四尺、夏壁代紐表料、一疋五丈二尺、冬壁代同料、○中略〉絹二百卅八疋一丈七尺九寸、〈(中略)十九疋一丈二尺、壁代夏帷料、四丈四尺、紐裏料、五十一疋一丈二尺、冬帷料、一疋五丈二尺、紐裏料、○中略〉調綿三百廿三屯、〈(中略)百六十屯、冬壁代十八條料、○中略〉薪卌荷、〈直、十七荷、染二斗帳帷、並壁代黃白橡一料、○中略〉灰十四斛二斗、〈直、十斛二斗、染二斗帳壁代帷一料、○中略〉苅安草八十二圍半、〈卅一圍半、染二壁代十八條表絹廿疋四丈一料、○中略〉紅花大六十九斤、〈六十一斤染二斗帳、壁代、幷雜色人衣一料、○中略〉黃〓大卅斤、〈染二斗帳、壁代帷絹一料、請二大藏省一、〉錢十七貫七百卅文、〈九貫八百十六文、染二斗帳一具、壁代十八條、幌七條表料絹卅二疋二丈二尺一藍料、疋別三百文、七貫廿文、染二同裏料浅縹絹廿五疋四丈四尺一料、疋別三百女、〉

〔雅亮裝束抄〕

〈一〉

p.0832 もやのひさしのてうどたつる事
次にもやのみすをかく、もやはしんでんによりて四けん、もしは五けんにてもあるなり、七けん四めんのしんでんならば、もや五けんにみすをかけて、うちにかべしろを引まはすべし、〈○中略〉かべしろはそのみすのたかさにつきて、四方をあげまはすべし、かべしろのおもてはみすのかたにあてゝかくべし、こはしのいたをいれて、まづ南より一方づゝあげて、よつのみすをばとぢあはせて、みすのやうにまきあげて、うちとのひもをもてあげたるしたに、一むすびしてのち、とり あはせて、すそよりかみざまに七八寸ばかりにおりかさねて、その一むすびのしたに、すそをしたうちにしてさしはさむべし、ひもごとにこの定なり、
かべしろのおもては、れいのき丁のやうにて、うらはしろくやうして、ひもはおもてはすはうなから、こきうちなからをあはせてあり、うらのひもはみなしろきなり、ひろさ三寸ばかりにかさねて、おもてのひもかべしろにおなじ、

〔類聚雜要抄〕

〈二/調度〉

p.0833 小野宮差圖
母屋四面、壁代卷上、高四尺、几帳上三寸許上レ之、簾同前、〈○中略〉
已上、殿下少將能實渡給時如レ此也、

〔類聚雜要抄〕

〈四〉

p.0833 帳帷形〈壁代此定ニテ七幅、長九尺八寸也、〉
壁代十三帖許〈凡夏冬絹井縫樣帳帷定、紐同前也、〉
纐續染料〈脱文歟〉
高各九尺八寸、弘各七幅、常絹弘定、
帖別七乃兩面定、十四乃料、
八丈絹」疋七尺二寸
已上兩面定、百八十二幅料、八丈絹十四疋一丈三尺七寸、
紐幅別如幅中付之、凡夏冬色帳帷紐定也、縫樣同前也、幅別十四筋、内面料七筋弘三寸五分、裏七筋、長各九尺八寸、
凡雜事如二帳帷一也
十四筋料絹六丈八尺六寸〈絹一乃二破定〉
已上、百八十二筋、内面裏各九十一筋料、八丈絹十一疋一丈一尺八寸、 壁代上事
凡四方〈ヲ〉五尺屛風之上レ高〈ニ〉
南面〈紐前之津者女口ヲ爲レ西、内之喬ニ鉸レ之、爲二上濃色一、〉東西〈同前ヲ爲二北鉸一事 〉北面〈南定〉東西北面、是三方立二廻五尺屛風一、南面之御簾〈ヲ〉四尺几帳之高〈ニ〉上天、其下〈ニ〉同几帳〈ヲ〉立渡、

〔安齋隨筆〕

〈後編十一〉

p.0834 一壁代は、白綾の立幅也、兩面也、上下に袋乳ありて、檜卷木とて、鎗の柄のごとくなる檜の卷木を入る也、紐あり、紫の平グケ紐也、御帳の紐と同じ、蝶鳥をゴフンにて畫く、又は白糸にて縫にもする也、
此卷やう、翠簾へ添へて卷き、又別に卷く等習ひあり、鉤にもカクルなり、上は長押へ 如レ此、ヒルカギにて懸くるなり、大凡長ケは九尺程、廣サは間に從ふなり、

〔古今要覽稿〕

〈器財〉

p.0834 かべしろのちやう かべしろ
或説云、壁代は總體白き平絹を用ゆ、但あはせ縫なり、おなじく裏は紫羽二重にて縫、紐は表うらともに同じ所に縫付るなり、胡粉にて蝶鳥の形を畫きて、綴糸は練ぬきのより糸を以てぬふ、長さ七尺三寸、幅一尺一寸、仕立あげのつもりなり、但一流の分なり、おの〳〵鯨尺を用ゆ、
按に、此説信じがたし、長七尺三寸といふは鯨尺也といへば、曲尺にて九尺一寸二分五厘にあたる、類聚雜要抄に九尺八寸といふとあはず、また主殿寮雜話に一丈といふともあはず、また幅一尺一寸といふもいかゞ、古書には六幅または七幅といひて、廣さを尺にてははからず、疑らくは後人推量していへるならん、

壁代用法

〔儀式〕

〈二〉

p.0834 踐祚大嘗祭儀
黑酒殿者、構以二黑木一葺蔀用レ萱、薦爲二壁代一、白酒殿者、構以二白木一、自餘同二黑木殿一、

〔延喜式〕

〈四/伊勢大神宮〉

p.0834 太神宮裝束〈○中略〉 壁代絹帳二條〈一條長六丈、廣六幅、一條長九尺、廣二幅、〉 度會宮裝束〈○中略〉 壁代絹帷二條、〈一條長六丈、廣六幅、一條長一丈八尺、廣如レ上、○中略〉戸上壁代帷一條、〈長八尺五寸、廣二幅、〉

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

p.0835 年料供物〈○中略〉 壁代帳十一條〈(中略)縫殿寮縫備、毎年供之、〉
造備雜物〈○中略〉 壁代紗帳一具〈(中略)以上請二内藏寮一〉
年料供物 寢殿壁代帳料絹十三疋一尺七寸、綿卅七屯、〈○中略〉 右女部司縫備

〔皇大神宮儀式帳〕

p.0835 一新宮遷奉御裝束用物事
太神正殿裝束六物
壁代生絹御帳二條〈長各二丈二尺、弘各廿六幅、〉

〔止由氣宮儀式帳〕

p.0835 一新造宮御裝束用物事
止由氣太神御裝束物 壁代生絁帷二帳〈高各一丈一尺、各廿一幅、〉

〔内宮御神寶記〕

p.0835 御裝束
太神宮御料 正殿御裝
生絹壁代單帳參條 壹條、長六丈、弘六幅、 壹條、長四丈五尺、弘六幅、 壹條、長九尺、弘貳幅、

〔外宮御神寶記〕

p.0835 外宮正殿御神寶之事
御裝束之事
一壁代すゞしかたびら 壹條〈長二丈三尺、弘六幅、〉 一かべ代すゞしかたびら 壹條〈長九尺、弘二ふく、〉V 江家次第

〈一/正月〉

p.0835 元日宴會
身屋〈○南殿〉九間内四面壁代帷褰レ之

〔江家次第〕

〈二/正月〉

p.0835 七日節會裝束
身屋〈○南殿〉九間内四面壁代帷褰レ之

〔江家次第〕

〈六/四月〉

p.0835 二孟旬儀 御裝束 其日平旦、掃部寮女官上二紫宸殿御格子一、懸二御帳、帷、壁代一、〈冬旬用レ之〉

〔江家次第〕

〈十七〉

p.0836 御元服
南殿母屋九間懸二壁代一

〔禁腋秘抄〕

p.0836 夜ノヲトヾハ、御帳、日ノ御座ノ如シ、壁代懸タリ、

〔大鏡〕

〈七/太政大臣道長〉

p.0836 西宮殿も、十五の宮もかくれさせ給ひにし後に、故女院の后におはしましゝおり、この姫君をむかへとりたてまつらせ給ひて、東三條殿の東對に帳をたてゝ、かべしろをひき、わが御しつらひにいさゝかおとさせ給はず、〈○下略〉

〔河海抄〕

〈一/桐壺〉

p.0836 とむじきろくのからひつ 屯食事、延長七年二月十六日、當代源氏二人元服、垂二母屋壁代一撤二晝御座一、其所立二倚子一爲二御座一、孫庇第二間有二引入左右大臣座一、〈○下略〉

〔大饗御裝束間事〕

p.0836 康平八五廿八記云、〈○中略〉六月三日、大饗也、〈土御門高倉亭〉寢殿南廂西五間、西庇二間、幷上下鴨柯間垂レ簾、内懸二四尺几帳帷一、〈或説、母屋懸二夏壁代一云々、雖レ號二壁代一實是帳帷(○○○○○○○○)云々、〉
同〈○永保〉三年正月廿二日、六條右府記云、〈○中略〉廿六旧、任右大臣大饗也、於二三條殿一設之、其儀、寢殿母屋南面東五間東面三間、〈度々例用二二間一、而今度依二座狹一用二三間一、〉幷南北西鴨枝東庇北鴨枝障子上懸レ簾、〈内懸二壁(○○○○)代一、但上下鴨枝内懸二几帳帷一、〉

〔永昌記〕

p.0836 長治二年正月十四日癸未、臨レ晩藏人文章生廣房奉二仕御裝束一、依レ有二内論義一也、其儀上二御殿南格子等一、撤二日記御厨子一、南壁代不レ撤也、〈卷上、在二格子上一、〉

〔長秋記〕

p.0836 大治四年正月一日庚辰、新中納言云、攝政供二御祝一、退下時、帳臺退行、右廻起座給、左肩當二壁代一程也、

〔三長記〕

p.0836 建永元年十一月十五日、召二修理大夫一給二宣命一、次召レ予、〈○藤原長兼〉予立ザマニ微唯一揖、左廻參進、立二母屋際一〈壁代内程〉向レ北一揖、

〔正中御飾記〕

p.0836 次壁代、生絹帳貳條、先以二陸丈壁代絹一、自二東乃南脇一始〈天〉奉仕也、自レ上迄レ下一通〈爾〉、肱金五 隻充也、〈自レ下〉〈志天〉〈上佐萬〉〈江〉〈奉仕也、先一人者下〉〈仁〉〈肱金一隻〉〈於〉〈打天、一人者足代〉〈仁〉〈登〉〈天〉〈上〉〈江〉〈引上〉〈天、〉〈肱金一隻〉〈於〉〈打之後、次第〉〈仁〉〈引廻〉〈天、〉〈間久波〉〈天、〉〈一間別三所、五並奉仕之、如二先規一〉〈者〉〈御柱〉〈乃〉〈中〉〈仁〉〈奉レ打之、然間壁代絹與二柱〉〈乃〉〈際一寄合〉〈須志天、〉〈爲二神寶一被二破損一之間、去文永遷宮之時、肱金百三十二隻〉〈仁、〉〈今十八隻〉〈於〉〈申副〉〈天、〉〈御柱〉〈乃〉〈兩方之壁際〉〈仁〉〈押纒〉〈天〉〈奉仕之、已上百五十隻、官下也、〉

壁代具

〔大饗雜事〕

p.0837 一壁代 在レ綱〈永久三夏壁代〉

〔大饗雜具目錄〕

p.0837 大饗雜具〈永享四年七月廿五日○中略〉
一壁代〈夏〉 一同綱

立薦

〔倭名類聚抄〕

〈十四/屛障具〉

p.0837 縛壁 釋名云、縛壁以レ席縛著二於壁一也、漢語鈔云、防壁、〈多都古毛〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六/屛障具〉

p.0837 下總本傅作レ縛、刻版本同、原書作レ搏、按楚辭九歌云、薛茘柏兮蕙綢、王逸注云、柏榑壁也、洪興祖曰、榑一作レ搏、未レ知二傅縛榑搏孰是一、

〔伊呂波字類抄〕

〈太/雜物〉

p.0837 縛壁〈タツコモ〉

〔倭訓栞〕

〈中編十三/多〉

p.0837 たつごも 和名抄に防壁をよめり、立薦の義也、儀式帳に蒲立薦あり、

〔古事記〕

〈下/履中〉

p.0837 本坐二難波宮一之時、〈○中略〉爾阿知直白、墨江中王火二著大殿一、故率逃二於倭一、爾天皇歌曰、多遲比怒邇(タヂヒヌニ)、泥牟登斯理勢婆(子厶トシリセバ)、多都碁母母(タツゴモヽ/○○○○)、母知氐許麻志母能(モチテコマシモノ)、泥牟登斯理勢婆(子ムトシリセバ)、

〔古事記傳〕

〈三十八〉

p.0837 多都碁母々は、防壁もなり、〈下の母は辭〉和名抄に、釋名云、縛壁以レ席縛二著於壁一也、漢語鈔云、防壁、多都古毛とあり、大神宮儀式帳に蒲立薦三張、〈外宮儀式帳にも如レ此見えて、三張は三枚とあり、〉主計式に、防壁一枚〈長四丈、廣七尺、〉と見ゆ、此レらと、こゝの御歌とを合せて思ふに、席を續合せて、屛風の如く立る物と見えたり、名は儀式帳に書る如く、立薦の意なるべし、〈和名抄の縛壁は少し當りがたし、縛二著於壁一と云は違へり、〉

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

p.0837 齋宮鋪設
蒲防壁(カマノカベシロ/ タツコモ)十枚
右以二京庫物一充之、隨レ壞替之、

〔皇大神宮儀式帳〕

p.0837 鋪設〈○中略〉蒲立薦(○○○)三張 以上、宛二太神宮司一、以二祭日一敷用、

〔延喜式〕

〈二十四/主計〉

p.0838 凡中男一人輸作物、〈○中略〉防壁(タツコモ)一枚、〈長四丈、廣七尺、〉

張筵

〔松の落葉〕

〈三〉

p.0838 むしろ
むしろはくさ〴〵あり、〈○中略〉又張筵といふあり、これはとにはりて塵のたち來るをふせぐものなり、西宮記四の卷相撲のくだりに、三府佐著二牀子一給二張筵一云々、有二飛塵一者主殿灑レ水、掃除撤二張筵一とあり、

〔延喜式〕

〈三十八/掃部〉

p.0838 雜給料
張席一具、〈長二丈、廣七尺二寸、〉料長席二枚、曝布一端、生絲六兩一分二銖、麻一斤九兩、〈縫續料十三兩、繩料十二兩、〉縫官人單六人、

〔江家弐第〕

〈八/七月〉

p.0838 相撲召合裝束
從二南廂東第一間半一至二于西端一立二張筵一〈有二緖四處一、欄東西端階東西妻下也、〉

懸筵

〔貞丈雜記〕

〈十四/家作〉

p.0838 一かけむしろと云ふ事、舊記にあり、〈三好亭へ御成記、又東山殿年中行事に有り、○中略〉是れ疊の表にへりを付けて、暖簾の如く下ぐるなり、

〔類聚名物考〕

〈調度五〉

p.0838 かけむしろ 懸筵
今も禁裏仙洞ともに用らるゝ也、紅端の疊の表を二帖をよせ合せて、長き御廊などにかけらるるもの也、京都將軍の時代に用られしは、常の一枚を又中半よりきりたると見ゆ、今はさにはあらず、

〔家屋雜考〕

p.0838 掛筵(カケムシロ) こは疊表へ緣をつけて、帳の如く垂れたるなり、長祿二年以來申次記に、室町御所の事を注して、掛筵と申すは、上の御末と、中の御末との間に、高敷居有レ之、其上より掛けられ候なり、筵は二枚にて候へども、一枚を中を分けて、緣を常のごとくさし候へば、小數四枚になり候なり、一間の所にかけ申すなりなどみえたる是なり、

〔東山殿年中行事〕

p.0839 上ノ御末、中ノ御末ハ三間、梁ニ九間ニテ、間ハ遣戸高閾也、眞中ニ柱有、其際ノ戸兩方へ一本宛開ク、此口ニ掛筵アリ、〈但二枚ノ筵ニキリ、緣ヲトリ縫合云々、〉朝夕御膳獻ズルニモ此際ニテ中臈ノ御陪衆ニ渡ス、此時褰二掛筵一、

籧篨

〔倭名類聚抄〕

〈十四/屛障具〉

p.0839 籧篨 説文云、籚〓、〈蘆癈二音〉麁竹席也、方言曰、江東謂二之籧篨一、〈渠除二音、和名阿無師路、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六/屛障具〉

p.0839 所レ引文原書無レ載、按、原書〈○説文〉籚訓二積竹矛戟矜一非二此義一、廣韻云、〓蘆、〓蘆字從レ艸、然原書蘆訓二蘆箙一、一曰二薺根一、亦非二此義一、廣韻又云、籧篨蘆䕠也、然〓䕠二字原書不レ載、唯有二籧篨一、云粗竹席也、與レ此不レ同、此恐誤二出典一也、〈○中略〉原書〈○方言〉卷五云、簟、宋魏之間謂二之笙一、或謂二之籧䒼一、自レ關而西謂二之簟一、或謂二之䓆一、其麁者謂二之籧篨一、自レ關而東或謂二之〓掞一、郭注云、江東呼二籧篨一爲レ䉬、此所レ引蓋郭注、然籧篨、簟麤者之總稱、非二江東方言一、故説文云、籧篨粗竹席也、其呼爲レ䉬者、江東方言也、玉篇云、籧篨竹席也、江東人呼レ䉬卽是、源君所レ見方言、注脱二爲レ䉬二字一、遂誤以二籧篨一爲二江東所レ呼之名一也、新撰字鏡、篨字簟字並同訓、按阿无師路、當是阿美无志路之急呼、卽編席也、後又省呼二阿志路一作二網代一、借假耳、又按、籧篨竹席之麁者、簟之類、宜レ在二坐臥具一、而在二于此一可レ疑、

〔伊呂波字類抄〕

〈安/雜物〉

p.0839 籧篨〈ア厶シロ〉 網代〈同俗用〉 籧䉬〈アムシロ同紀用二蘆〓一〉

〔鋸屑譚〕

p.0839 藍輿之屬にあんだといふものあり、編版の訓なり、又阿之路は編筵の訓にて、和名抄に見えたり、