盥/名稱

〔倭名類聚抄〕

〈十四/澡浴具〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0595 盥(○) 説文云、盥〈音管、一音貫、〉澡手也、字從臼水臨一レ皿也、楊氏漢語鈔云、澡盥〈多良比〉俗用手洗二字

〔段注説文解字〕

〈五上/皿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0595 〓、澡手也、〈水部曰、澡酒手也、禮經多言盥、内則毎日進盥、五日請浴、三日具沐、其間面垢請靧、足垢請洗、是則古人毎旦必洒手而洒面、則不必旦旦爲之也、大學有湯之盤、卽特牲内則之盥槃、故其銘曰、日日新、凡洒手曰澡曰盥、洒面曰頮、濯髮曰沐、洒身曰浴、洒足曰洗、〉从臼水臨皿也、〈會意、皿者禮經之所謂洗、内則之所謂槃也、内則注曰、槃承盥水者、禮經注曰、洗承盥洗者棄水器也、古玩切、十四部、〉

〔倭名類聚抄〕

〈十六/漆器〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0595 盥 説文云、盥〈音與管同、俗用手洗二字、○中略〉澡手也、
○按ズルニ、倭名類聚抄ニハ、盥ヲ調度部ノ澡浴具ト、器皿部ノ漆器具トニ重出シタルハ、其用ト製作トニ由リテ別チタルナルベシ、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四/漆器〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0595 盥(○) 按、説文又云、从臼水臨一レ皿、春秋傳曰、奉匜〓盥、是三體會意字、澡手謂水洗一レ手、非以澡一レ手之器爲上レ盥也、其所以澡手承一レ水之器、謂之洗、士冠禮、夙興設洗、注、洗、承盥洗者、棄水器也、〈○中略〉又按、説文槃、承槃也、盥手者以匜沃水、以盤承之、故曰承槃、特牲疏云、尸盥匜水實于槃中、内則注云、槃承盥水者、呉語注云、槃承盥器也、大學有湯之盤銘、刻戒於盥手之承槃也、謂凡承受者槃者、轉注也、然則多良比、當洗及盤上レ之、源君以盥爲手洗是、
○按ズルニ、右ノ文中ニ特牲疏ト云ヘレド疏ニアラズ、儀禮特牲饋食禮ノ文ナリ、

〔類聚名義抄〕

〈五/水〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0596 手洗〈タヲヒ〉

〔同〕

〈九/皿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0596 盥〈管、貫二音、タラヒ、洗手面盥、呉觀、〉 澡盥〈タラヒ水海同〉 〓〈タラヒ〉

〔伊呂波字類抄〕

〈太/雜物〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0596 盥〈タラヒ澡手也〉水海 〓 手洗〈已上同〉

〔運步色葉抄〕

〈多〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0596 盥(タライ)

盥製作

〔延喜式〕

〈十七/内匠〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0596 伊勢初齋院裝束
手洗一口、〈徑一尺七寸、深六寸、〉料漆一升、絹一尺綿八兩、細布三尺、調布四尺、掃墨五合、燒土六合、炭五斗、單功七人、

〔延喜式〕

〈二十四/主計〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0596 其畿内輸雜物者、〈○中略〉手洗盤二口、〈徑二尺〉

〔延喜式〕

〈三十四/木工〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0596 手洗〈徑一尺五寸、深五寸、〉長功三人、中功三人半、短功四人、

〔御産所之記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0596 一たらひ、これもゑを畫くなり、松、竹、鶴、龜、白こをぬり、その上にきらゝにてかくなり、一白だらひ二つ、ゑやうは御たらひに同じ、

〔細純集〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0596 御産所之式
一御産湯盥 三ツ白繪
内一ツ御腰溜盥、一ツ御胞衣洗盥ニ用、其跡御むつき洗〈ニ〉被之、〈○中略〉
湯殿道具
一盤大中小 手桶二ツ
一柄杓二本 湯次二ツ〈○中略〉
右何〈茂〉白繪也

盥種類

〔榮花物語〕

〈三十七/煙後〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0596 大納言〈○師房〉よりはじめたてまつりて、捧物とりつゞきたり、いみじく見所あり、めでたきことになんありける、〈○中略〉春宮〈○後三條〉のは、かねの水瓶たらゐ(○○○○○○○○)やがてすけなかの弁女御殿〈○歡子〉のはきやうだいの鏡、あついゑの少將もたり、〈○中略〉忠俊の前少將、前齋院〈○娟子〉のは、たらゐ に水びん、みなかねなり、少納言さねむねもちてくる、

〔萬一記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0597 正安三年十月廿八日甲午、今日大嘗會御禊也、〈○中略〉次藏人兵部大輔經世持參御手洗、〈可銀器(○○)之由、女官申之、不然之由、予下知畢、寬元旨令違失也、〉

〔嬉遊笑覽〕

〈七/祭祀〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0597 寬政の末、品川海晏寺開帳ありて、山上なる銀杏の大木を心(シン)として、桐油合羽にて、大佛の像を造りて、〈白毫は大なる銅手洗(○○○)、螺髮は蜜柑籠、指の爪は、管笠なり、〉觀せ物とす、

〔長門本平家物語〕

〈十七〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0597 廿九日〈○元曆元年三月〉かのゝすけむねもちがさたにて、あたらしき湯ぶねかまへて、三位中將〈○平重衡〉にゆあみせ奉らんとす、ありがたくぞおもはる、〈○中略〉又とし十三四ばかりなる女童のむらさきの小袖きて、かみは、をひし程なるかなものうちたるたらい(○○○○○○○○○○○)にくし二入て來り、〈○下略〉

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0597新嘗
陶手洗(○○○)各二口

〔儀式〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0597 踐祚大嘗祭儀
下諸司諸國、官符宣旨例、〈○中略〉
太政官符、諸國、〈毎國有符〉
新器〈○中略〉 尾張國〈○中略〉 〓(○)十六口〈○中略〉 參河國〈○中略〉 已豆伎〓各六十口〈○中略〉 備前國〈○中略〉 〓卅口〈○中略〉 已上人給料〈○中略〉
以前得神祇官解偁、爲奉大嘗會、應須雜物、幷潔祓具如上件者、國承知、一事以上、依例行之、事有期會、不闕怠

〔延喜式〕

〈二十四/主計〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0597 凡左右京五畿内國調、一丁輸錢隨時增減、其畿内輸雜物者、〈○中略〉〓十(ツチタラエ)口、〈受五升、○中略〉
畿内 和泉國〈行程上二日、下一日、〉 調〈○中略〉〓八口 東山道 美濃國〈行程上四日、下二日、〉 調〈○中略〉〓十口 山陽道 備前國〈行程上八日、下四日、〉海路九日 調〈○中略〉〓十二口
○按ズルニ、〓ハ支那ノ字書ニ見エズ、恐ラクハ本邦ニテ作レル字ナラン、楾ヲハニザフト云フト同類ナルベシ、

〔儀式〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0598 踐祚大嘗祭儀
下諸司諸國、官符宣旨例、〈○中略〉
太政官符、宮内省、
行雜器事〈○中略〉 土師御手洗(○○○○○)四口〈○中略〉
右得某國解偁、供奉大嘗會神態料、依例所請如件者、省宜承知、依件充之、
○按ズルニ、土師御手洗ハ、土師ガ造ル所ノ手洗ニシテ、謂ユル〓ナラン、

〔江家次第〕

〈七/六月〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0598 解齋事〈謂六月十二月十一日後曉、十一月中卯日後曉、〉
御手水大床子南頭、立白木机一脚、其上居白木手洗(○○○○)、〈無手(○○)〉

〔大嘗會指圖〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0598 白木御手洗
徑一尺一寸八分
高五寸 殿下御手水具
白木御手洗貫簀
竪一尺四寸六分
横一尺五寸餘

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0599 造備雜物
漆塗手洗(○○○○)ニ口

〔延喜式〕

〈十四/縫殿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0599 三年一度雜物
漆槽六隻、漆手洗四口、〈各受二斗○中略〉 右中宮御服所料、依前件女官申内侍卽付辨官行、

〔江家次第〕

〈十七〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0600 天皇元服御裝束
殿東西渡殿、各第一間南砌、立白木案各一脚、〈○註略〉其上置黑漆手洗(○○○○)楾各一口、白巾一條、〈長一丈〉

〔儀式〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0600 踐祚大嘗祭儀
次差宮内省史生、遣五箇國作供神雜器、〈河内和泉兩國一人、尾張參河兩國一人、備前國一人、先是所司預注雜器數官、〉到國先祓、〈○中略〉然後始作、〈河内國藺笥二十合、大御手洗盆(○○○○○)十八口、瓶十八口、小手洗盆(○○○○)九口、短女坏十六口、湯盆十六口、〉

〔儀式〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0600 踐祚大嘗祭儀
下諸司諸國官符宣旨例〈○中略〉
太政官符諸國〈毎國有符〉
新器 河内國〈○中略〉 大御手洗十八口 小御手洗九口〈○中略〉 已上御料〈○中略〉
以前得神祇官解偁、爲奉大嘗會須雜物、幷潔祓具如上件者、國承知、一事以上依例行之、事有期會、不闕怠

〔笈埃隨筆〕

〈十二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0600 奇婦
近き安永年間に、京一條寺の百姓二人連立、柴木を苅ん爲、叡山の北の尾、横川に近き山中にて、思ふ、程柴をして、もはや歸らんとて立上り谷越に向ふを見れば、恐しき異形の者岩上に立居たり、〈○中略〉一さんに逃下り我家に走り入より、アツと呼び氣絶したり、〈○中略〉松宗能々見て、〈○中略〉又庭に大盥(○○)を取寄せ、冷水をなみ〳〵と湛へ、彼の齒の根も合ず震ひ居る病人を赤裸になし、大勢立懸り彼盥の水中へ押入しかば、〈○下略〉

〔書言字考節用集〕

〈七/器財〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0600 角楾(ツノダラヒ/○○)

〔頭書增補訓蒙圖彙〕

〈十一/器用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0600 角盤はつのだらひ

〔女重寶記〕

〈五/女用器財〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0601 角盤(つのだらひ)

〔筆の靈〕

〈前篇三十〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0601 手水の事
娵入之記には、はんざうとは、ひさげの事、たらひはもとより云に及ばず、たらひのつのはそばに成なり、是はてうつの爲なりとあり、其比は、主とひさげを用ひて、名のみをはんざうといへるなり、今半插に具するたらひを、はんざうだらひといひ、略きてはんざうとのみいふは、古のばんざうと異なり、さて右に角盥の角につきて、置樣の法ある事見えたり、是等をあしく見たるにや、角だらひの角を、湯つかふ人の膝の方に向け置きて、つかふ人其角に袖をかけて、自に臂のまくれ出るやうにして湯をつかふ、是其角の用なるよしいへる説あれど、更に取がたし、然樣にせば、盥を向ふ樣にくつがへす事あるべきなり、一方より推す意味になればなり、されば此角は持ありく時に、持つ手のすべらぬ料の具にして持時の用第一にて、湯をつかふ時の古實は、右の如く角は横になりて、左右に在る樣に置事なりしなり、手水の爲なりといへるは、手水の時には、左右の手を同時につかへば、其袖を其左右の角にかけて濡れぬ樣にし、手を中にて合すれば、兩の角ひとしくおさるゝに因て、袖にかゝりても倒ふさるゝ事なきなり、是盥をつかふに便なるから出來し故實なり、

〔御湯殿の上の記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0601 天正十四年十一月七日、御じやうゐあり、 八日、くわんばく殿より、〈○中略〉御はんざうつのだらひ三つ、〈○中略〉色々まゐる、めでたし〳〵、

〔御厨子黑棚道具寸法之事〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0601 水師棚之小道具
角の手洗、耳手洗につの二本耳のごとくに出る、〈○中略〉但角の手洗臺有べし、から草桐菊のもやう紋、三がいびしちらし付、又耳手洗常のごとし、ちらしからくさ同前也、

〔書言字考節用集〕

〈七/器財〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0601 匜盥(ミヽダラヒ/○○)

〔女重寶記〕

〈五/女用器財〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0602 匜盤(みゝたらひ)

〔和漢三才圖會〕

〈二十五/容飾具〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0602 盥〈○中略〉
按有耳盥角盥之二種、俗以耳盥半插者誤也、凡洗面曰靧〈音誨〉頮

〔女用訓蒙圖彙〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0602 一御厨子黑棚の役は、小上臈の役なり、けしやうのまのかざり、一番にみゝだらひ、わたしがね、二にてうづだらひ(○○○○○○)、〈○中略〉
同御厨子黑棚かざりの事
一御厨子棚は、床の左にかざるべし、〈○中略〉
同中の棚、〈○中略〉左はみゝつのだらひ、〈○中略〉下置だらひ(○○○○○)つゆがえしを前にして、中にゑ長のゆたう、〈○下略〉

〔細純集〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0602 御産所之式
御耳盥 一ツ

〔筆の靈〕

〈前篇三十〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0602 手水の事
又今常につかふ耳だらひと云具も、角だらひと同じ意にて、其耳を持つを便としたる物なり、角だらひのやゝ轉りたる物と云べし、黑ぬりの耳盥にて、嗽茶碗に湯水を入たるを内に置て持出、客に手を洗はしむるは、全く古の半插角盥の意に違はず、然るを金にて造りて鐵漿なる具とのみすれど、其具は昔はかねはきと云物を用ひしにて別なり、娵入之記に、かねはきとて、常の御たらひみゝだらひなどのやうの物、つのも耳もなく黑ぬりにこしらへたる物なりとあり、角だらひの耳だらひになれる事は、角の長くて物にかゝりてくつがへる事などの多きを愁ひて、手かくる所のみを設たるが、耳だらひなり、娵迎之事と云書に、御つかひ候はんはんざうだらひ、又はおほせがきの硯箱あしあらひ、耳盥とあり、

〔女用訓蒙圖彙〕

〈一/女器財〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0603 匜盤(みゝだらひ)

〔枕草子〕

〈六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0603 犬ふせぎのかたより、法師よりきていとよく申侍ぬ、いくかばかりこもらせ給ふべきなどとふ、しか〴〵の人こもらせ給へりなどいひきかせていぬる、すなはち火おけくだ物などもてきつゝかす、はんざうに手水などいれて、たらゐの手もなき(○○○○○○○○)などあり、

〔女中道具之沙汰〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0603 金はき(○○○)とて、常のつのだらひ、みゝだらひなどのやうの物、つのもみゝもなく、くろぬりにこしらへたるものなり、
わたしの事、是はかねはきだらひ(○○○○○○○)にわたす物なり、〈○下略〉

〔貞丈雜記〕

〈八/調度〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0603 一わたしぎとはわたしがねの事也、渡器(ワタシキ)と書なるべし、はんぞうへわたす器(キ)と云意にてわたしぎと云也、きといへばとて、木にてこしらへたる物にてはなし、永享行幸記に御わたしき〈白〉とあり、是銀にてこしらへたるわたしがねなり、〈又云、わたしと計も云、婚入條々ニあり、〉

〔女用訓蒙圖彙〕

〈一/湯殿具〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0604 手盥(てだらひ)

〔醒睡笑〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0604 人はそだち
山中に殿あり、國中にてさもとらしき武家より嫁をよぶに、おつぼねの中ゐのおはした、とのなどあり〳〵と供し、祝言事すめり、二日三日たてども、終に行水とも風呂とも沙汰せず、ものまかなへる形部左衞門といふをよび出し、つぼねちとお洗足(○○○)をお出しあれと申されしかば、形部かしこまり候、そのよし申させんとて、座をたち、年寄衆に皆よられよ、つぼねよりおほせられ候とふれたり、何事ぞとあつまりたる座にて、別の事になし、お洗足といふものを出せとなり、此返事いかゞせんと、だんがうさま〴〵なりしあげくに、一のおとないひけるやう、一亂にうせたと申されよ、此儀天下一の思案といつて、つぼねへお洗足を出せと候へども、一亂にうせて御座ないと、局きゝもあへず、あらけうこつやと申されけり、形部けうこつといふも聞しらねば、またむつかしきことやとおもひ、いやけうこつも御洗足と一度にうせておりないと、
山家に入聟が市に出、用をとゝのへ、日のくれてより、しうとの許に立よる、舅まづせんそく(○○○○)をまゐらせよとあれば、せんそくを夕めしの事と合點し、此方にてはやせんそくいたいたと、さらばあんどうをまゐらせよといふ、これもあんどうをしらねば、くひものゝ事やとおもひ、これはかかるお時宜あんどうを給はる程ならば、せんそくをこそたべうずれ、

〔女中道具之沙汰〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0604 みづしだな置物之事
あしあらひ(○○○○○)、みゝだらひも一ツ、是ハいづくになりとも、

〔女中道具之沙汰〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0605 御湯だらひ(○○○○○)の寸法、高さ八寸、口の廣さ一尺五寸、二重にまげて、上下にかつら入べし、

〔細純集〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0605 御婚禮御待請御支度覺
一御湯殿〈○中略〉
盥盤(○○)大中小 湯桶二ツ 水桶二ツ 手桶二荷 柄杓大中小〈○下略〉

〔諢話浮世風呂〕

〈前編上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0605 午前の光景
西國の方からはじめて江戸へ出て、錢湯の勝手をしらず、きよろ〳〵とつゝ立てゐたりしが、下だらい(○○○○)にあたらしきもつこうふんどしが、ゆにつけてあるを見て、○下略

〔錢湯來歷〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0605 湯屋萬年曆
慶安の頃迄は、男女共に洗湯へ行に別々に褌を持來りて、是をしめかへて湯に入る、上る時は底淺き下盥にて洗ひ淸し持かへる、是を湯もじといふ、其後手拭にて前を隱し湯に入し事に成しが、下盥は天保の初迄殘り有しが、不淨といひて近頃〈○安政〉は一同になし、

〔仁勢物語〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0605 おかしおとこ、女のもとに一よいきて、又もいかずなりにければ、女の物あらふ所にのきかけをうちやりて、たらひに物の見えけるを、〈○中略〉かのこざりけるおとこのぞきて、
水そこに物やみゆらん馬さへもまめだらひ(○○○○○)をばのぞきてぞなく

盥用法

〔後水尾院當時年中行事〕

〈下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0605 一毎日の次第は、早旦御ひるなり、〈○中略〉内侍ひとへぎぬきて、御手水をもてまゐる、御手洗の中へ楾を入、〈御淸手水のとき毎度かくのごとし、常の御手水は不入なり、〉楾のふたを仰て、深草土器を入ふす、はいぜんの人とり傳へて、御前におく、土器をとらせまし〳〵て、御口を三度すゝがせ給ひて後、かはらけを御手洗の中に投させ給ふ、此間はいぜんの人楾のふたをあらためて、御手水をか、く〈○下略〉

〔延喜式〕

〈一/四時祭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0605神今食(○○○)料 手洗二口〈○中略〉
右供御雜物、各付内膳主水等司、神祇官官人率神部等、夕曉兩般、參入内裏、供奉其事、所供雜物祭訖卽給中臣忌部宮主等、一同大嘗會例

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0606新嘗(○○)料〈卜八男十女
手洗二口〈(中略)已上寮充之○中略〉
右主神司幷膳部所

〔江家次第〕

〈九/九月〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0606幸神祇官伊勢幣(○○○)
次供御手水〈○註略〉
打敷、御手洗楾、手拭、臺、貫簀等如恒、

〔兵範記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0606 仁安三年十月廿一日己酉、未明參河原頓宮(○○○○)、〈○註略〉大夫史以下行事官皆候、奉仕御裝束、〈○中略〉藏人左衞門權佐經房持參御手水、〈貫簀御器等、重捧手洗上、頗無便宜、兩度可役歟、三物一度重可用立、可恠、〉藏人少輔兼光持參楾
十一月八日乙丑、奉幣於諸社、被大嘗會由於三社、〈○中略〉殿下〈○基房〉經廊北幔外照慶門直令小安殿座給、上卿左大將同時入嘉喜門參着、〈○中略〉此間殿下召御手水、主水司儲之、〈御手洗楾手巾帋置柳筥、居土高坏、〉臧人權佐經房兼光等役之、〈先例四位侍從爲陪膳、今日五位役之如何、〉

〔伏見院御記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0606 正應元年十月廿一日辛酉、今日爲禊除河原頓宮、〈○中略〉主殿寮舁御手水案巽角砌、〈○中略〉藏人兵部少輔藤原顯世、持參御手洗〈手洗上置貫簀〉自巽方之、宗實朝臣取之、置大床子上南方、先例於南向御手水之由、關白申之間忽向南方、〈○註略〉次中盤上置銀器四口、皇后宮大進藤原賴藤持參之、次右衞門權佐俊光持參楾、宗實朝臣取之候、手洗上乍貫簀、聊洗手、〈不嗽也〉次本役人等次第參取御手水具退出、宗實朝臣退出、

〔萬一記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0606 正安三年十月廿八日甲午、今日大嘗會御禊也、〈○中略〉酉半許着御河東頓宮、〈○中略〉次主水司供 御手水、〈幄西南方主水女官儲之○中略〉次藏人兵部大輔經世持參御手洗、〈可銀器之由、女官申之不然之由、予下知畢、寬元旨令違失也、經世自屛風北第二間之、〉次予持參御楾、〈其路如頭弁所一レ爲、相從陪膳故也、〉

〔玉海〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0607 元曆元年十一月廿二日丁未、五節事畢、〈○中略〉大將五節(○○)裝束已下饗祿等注文、〈○中略〉
一盥具 手洗二口 楾二口〈○中略〉
一祿〈○中略〉理髮〈○中略〉楾(○)手洗一具

〔江家次第〕

〈九/九月〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0607 同殿〈○小安〉行幸(○○)次第
上卿又着照慶門内座外記、問諸司具不、召辨問幣物具不、此間攝政洗手給、諸司供之、〈○註略〉
打敷一枚〈近代無〉 手洗一口、楾二口、〈或三口〉

〔江家次第〕

〈十七〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0607 御元服(○○)
南殿巽坤角壇上、各立白木案一脚、〈各高一尺五寸、長二尺、弘一尺三寸、〉其上置手洗楾各一具
○按ズルニ、天皇御元服及ビ皇太子御元服等ノ時、手洗ヲ用イルコトハ、匜條ニモ載セタレバ參看スベシ、

〔空穗物語〕

〈菊の宴一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0607 かくてきさいの宮賀正月廿七日にいでくる、おとねになんつかまつり給ける、まうけられたるもの、みづしむようひ、〈○中略〉御てうつのてうど、しろがねのつき、御たらひ、ぢんをまろにけづりたるぬきす、しろがねのはんざう、ぢんのけうそく、しろがねのすきはこ、からあやの御びやうぶ、みきちやうのほね、すはうしたんなり、

〔海人藻芥〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0607 手洗水ヲ置中居邊、楾、水瓶ヲ入手洗中之、提ヲバ不入置之事也、

盥具

〔江家次第〕

〈九/九月〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0607幸神祇官伊勢幣
次供御手水〈○註略〉 打敷(○○)〈○中略〉臺(○)、貫簀(○○)等如恒、

〔兵範記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0607 仁安三年十月廿一日己酉、未明參河原頓宮、〈○中略〉藏人左衞門權佐經房持參御手水、〈貫簣御器等、重〉 〈捧手洗上、頗無便宜、兩度可役歟、三物一度重可用立、可恠、〉十二月十日丁酉、早旦着行事所、大嘗會威儀御物幷副御調度内覽殿下、〈○中略〉
大嘗會悠紀所
注進御物目錄事〈○中略〉
手洗二口、打敷一帖、〈長七尺五幅〉貫簀一枚、楾三口、〈○中略〉
白銅物〈○中略〉 手洗臺二脚〈○中略〉
大嘗會悠紀所
注進 副御調度事〈○中略〉
手洗一口、〈在打敷一帖長七尺、三幅、〉貫簀一枚、楾一口、

〔伏見院御記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0608 正應元年十月廿一日辛酉、今日爲禊除河原頓宮、〈○中略〉主殿寮舁御手水案巽角砌、〈○中略〉手洗上乍貫簀聊洗手、〈不嗽也〉

〔空穗物語〕

〈菊の宴一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0608 かくてきさいの宮賀、正月廿七日にいでくる、おとねになんつかうまつり給ける、まうけられたるもの、〈○中略〉御てうづのてうど、〈○中略〉ぢんをまうにけづりたるぬきす(○○○)、〈○下略〉

〔伊勢物語〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0608 昔男、女のもとに一夜いきて、又もいかず成にければ、女の手あらふ所にぬきす(○○○)をうちやりて、たらひのかげに見えけるを、みづから、
わればかり物おもふ人は又もあらじとおもへば水の下にもありけり

〔秋の夜の長物語〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0608 夜あくれば、又きのふの所に行て、御坊のかたはらにたゞずみたるに、わらはのいときよげなるが、ぬきすのしたの水すてんとて、門の外まで出たり、〈○下略〉

盥雜載

〔新撰六帖〕

〈一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0608 あした
老にける程もはかなし朝ごとのたらひ(○○○)の水にうかぶ面影

〔儀式〕

〈一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0609 賀茂祭儀
祭擬禊、〈○中略〉前一日所司臨川、供張如常、其日辨大夫史各一人、史生二人、官掌一人、率供奉諸司、先就禊所、〈○中略〉其後陣次第也、〈○中略〉韓櫃二荷在其間、〈一荷淸器、一荷盥器(○○)、以今良擔夫、並著紺衣、〉
○按ズルニ、盥器ハ匜盥等ヲ總稱セルナラン、

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0609 凡齋王將于初齋院、臨河頭祓、〈○中略〉至于期日齋王駕車赴向、〈○中略〉盥器韓櫃、裝物韓櫃各一合、衣服韓櫃二合、祿物韓櫃六合、〈擔夫、並用衞士、〉

〔延喜式〕

〈六/齋院〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0609 祓物
于期日齋王駕車赴向、走孺十人、車副十四人、手振十人、取物十人、裝物韓櫃、盥器韓櫃各一合、
凡齋王於初齋院三年齋畢、其年四月始將神社、先擇吉日流祓禊、〈供神料同初度禊〉其儀、〈○中略〉裝物韓櫃、泴器(○○)韓櫃各一合、

〔醍醐雜事記〕

〈八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0609 注進 眞言院用途物事〈○中略〉
叩戸手洗各十口〈○中略〉
右注進如
嘉承三年正月 日

〔醍醐雜事記〕

〈十一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0609 牛原御庄節器支配事〈○中略〉
一南御庄所課〈○中略〉
手洗一口〈大○中略〉
右支配注文三方各分遣了
保元元年十月二日

〔仁勢物語〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0609 おかしおとこ、女のもとに一よいきて、又もいかずなりにければ、女の物あらふ所に ぬきかけをうちやりて、たらひに物の見えけるをみづから、
我ばかり物あらふ人はまたもあらじとおもへば水のしたにも有けり
とよむを、かのこざりけるおとこのぞきて、
水そこに物やみゆらん馬さへもまめだらひをばのぞきてぞなく

〔寶藏〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0610
湯之盤銘曰、苟日新、日日新、又日新といへるは、其身の垢を去るごとく、心の中のけがれをも、日々に革めよとの敎戒とかや、など男傾城とかやいへるものゝやうに、色しうからしめて、衣紋をたしなまんや、さりとてま花身は神明の舍る所なれば、こけ丸大臣のやうに穢にふれ、あかづける事をせんや、其わかちたゞ禮儀によつて身をきよむると、好色にひかれて容づくれるとに侍るのみ、猶我ばかり物おもふ人はまたもあらじとよめる情は、すてがたき物にして、
月の顏あらふたらひか空の海
鷄鳴吿旦出幽房 手洗口湔少彷徨 想像奠星宮女恨 戀風肅颯水洋々

〔嬉遊笑覽〕

〈八/方術〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0610 手洗を夜家の中にふせ置ば、盜賊來らずと云こと、何よりいへるか、帝京景物略、不小兒女衣星月下曰云云、怕賊星照、亦不洗濯餘水、爲夜遊神飮一レ馬也といへることあり、これ不角の點の付合に、月かげも紙帳の丙へよせつけず、手洗も一味すりがまじなひ、
○按ズルニ、帝京景物略卷七春場ノ條ニ、兒見流火則啐之曰、賊星夜不小兒女衣星月下曰、女怕花星照、兒怕賊星照、亦不洗濯餘水、爲夜遊神飮一レ馬也トアリ、本文云フ所ノ意ト異ナレドモ參考ノ爲此ニ附記ス、

〔頭書增補訓蒙圖彙〕

〈十一/器用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0610 洗(○)は古の盥洗のすて水をうくるの器也、俗にこれを飯銅(○○)といふ、 洗(せん)
はんだう

〔商賣往來〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0611 飯銅(はぬどう)
○按ズルニ、飯銅ハ古ノ洗ナレド、後世其用ヲ變ジテ、火鉢ニ用イタルガ如シ、家什具篇火鉢條參看スベシ、

〔和漢三才圖會〕

〈二十五/容飾具〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0611 水盆(すいほん/○○)〈唐音 シユイホツ〉
三才圖會云、水盆、古之洗也、其高三尺、口徑尺五寸、天子黃金飾、今大明制、純用黃金、寬緣平底、列辨、俗謂芙蓉樣者、緣底倶鈒花爲飾、
按古之洗者、卽承盥洗棄水之器也、

〔延喜式〕

〈二十/大學〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0611 陳設
洗東階朿南北向、罍、水在洗東、篚在洗西南肆、

〔儀禮注疏〕

〈一/士冠禮〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0611 夙興設洗〈○中略〉注、夙早也、興起也、洗(○)承盥洗者、棄水器也、士用鐵、〈○中略〉水器尊卑皆用金罍及大小異、〈○註略〉疏〈(中略)釋曰、云洗承盥洗者、棄水器也者、謂盥手洗爵之時、恐水穢地、以洗承盥洗水而棄之、故云棄水器、云士用一レ鐵者、案漢禮器制度洗之所用、士用鐵、大夫用銅、諸侯用白銀、天子用黃金也、(中略)云水器尊卑皆用金罍及大小異者、此亦漢禮器制度、尊卑皆用金罍、及其大小異、此篇與昏禮郷飮酒郷射特牲、皆直言水不罍、大射雖罍水科、少牢云、司空設罍水於洗東科、鄭注云、設水用罍沃盥用枓、禮在此也、欲罍枓倶有、餘文無者不具之意也、○下略〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四/漆器〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0612 盥 予藏漢雙魚洗(○○○)銘云、中平三年造、左右飾以魚、中平、漢靈帝年號也、〈○中略〉予所藏洗用銅造、則知大夫之所一レ用也、

〔延喜式〕

〈五十/雜〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0612 諸國釋奠式
器數〈○中略〉
洗二〈○中略〉
職掌〈○中略〉
洗所〈一執洗、一執篚、一執罍、掌獻官盥具事、○中略〉
洗直東榮北向、南北以堂深罍水在洗東冪、篚在洗西南肆、

〔玉蘂〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0612 承元三年六月三日乙丑、今日小兒有剃髮事、其儀先女房一條局、抱兒出、然上余着布衣始之、ミハサミ自前剃之也、其後女房剃之、其剃末ヲ紙置之也、其外無儀也、 抑依不審勘舊記之處、治承二年十二月二日、〈安德天皇御誕生也〉中山内府記云、早旦以左兵衞尉則季吉方水〈淸水瀧〉小御洗(○○○)入之、加入以石三小松山橘麥門冬芝楾持參女房〈用障之人〉取之置御所

浴斛/名稱

〔倭名類聚抄〕

〈十四/澡浴具〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0612 浴斛 楊氏漢語鈔云、浴斛、〈由布禰、下音胡谷反、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六/澡浴具〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0612 浴斛 見朝野僉載、北齊南陽王入朝條、北夢瑣言及唐濟瀆廟北海壇祭器碑

〔伊呂波字類抄〕

〈由/雜物〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0612 浴斛〈ユフ子〉

〔書言字考節用集〕

〈七/器財〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0612 杅(ユブ子)

〔字彙〕

〈辰集/木〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0612 杅〈雲倶切、音于、浴器、〉

〔頭書增補訓蒙圖彙〕

〈十一/器用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0612 浴桶(○○)はゆぶね、杅同、

浴斛製作

〔延喜式〕

〈三十四/木工〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0612 神事幷年料供御 沐槽(○○)〈長三尺、廣二尺一寸、深八寸、〉長功六人、中功七人、短功八人、
浴槽(○○)〈長五尺二寸、廣二尺五寸、深三尺七寸、厚二寸、〉長功八人、中功十人、短功十二人、
牀(○)〈長八尺、廣五尺、高一尺三寸、厚二寸四分、〉長功十人、中功十二人、短功十四人、
牀、〈長六尺、廣四尺、高一尺三寸、厚二寸四分、〉長功八人、中功十人、短功十二人、
牀〈方四尺〉長功三人、中功四人、短功五人、
○按ズルニ、牀二脚ハ沐槽ト浴槽トノ牀ナラン、又方四尺ノ牀ハ御湯殿御座ノ料ナラン、其文ハ雜載ニ載セタレバ參看スベシ、

〔大嘗會指圖〕


廻立殿御湯槽二
長三尺八寸五分
手長五寸四分
横二尺四寸五分
惚高一尺九分
厚一寸

浴斛種類

〔類聚名義抄〕

〈三/木〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0613 沐槽〈ユフネ〉
○案ズルニ、沐槽ユブネト訓アレドモ、洗頭槽ナリ、

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0614 造備雜物
沐槽一口、下案一脚、〈漆塗〉洗槽(○○)一口、下案一脚、〈漆塗〉

〔延喜式〕

〈五/齋営〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0614 年料供物
洗頭槽(○○○)一隻〈(中略)已上當國充之○中略〉
右殿部司所

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0614新嘗料〈卜八男十女
湯槽、圓槽(○○)、洗足槽(○○○)各一隻、〈(中略)以上當國充之○中略〉
右殿部所

〔延喜式〕

〈六/齋院〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0614 齋王定畢所請雜物
行具 沐槽一口、浴槽(○○)一口、

〔大安寺伽藍緣起幷流記資財帳〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0614 合船(○)壹拾壹口〈木叉、分五口、温室分(○○○)六口之中一大、○中略〉
以上資財等、天平十八年本記所定、注顯如件、
○按ズルニ、温室分ノ般ト云フハ卽チ浴槽ナラン、

〔源平盛衰記〕

〈二十六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0614 入道得病附平家可亡夢事
四日〈○養和元年閏二月〉入道〈○平淸盛〉彌病ニ責伏ラレ給ヘリ、燃焦テ難堪ト宣ケレバ、百人ノ夫ヲ立テ、追續追續、比叡山ノ千手院ヨリ水ヲ結ビ下シテ石ノ船(○○○)ニ湛テ、入道其中ニ入テ冷シ給ケルニ、水ハ涌返リテ湯ニナレ共、更ニ苦痛ハ止ザリケリ、〈○下略〉

浴斛用法

〔江家次第〕

〈七/六月〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0614 中和院神今食御裝束〈新嘗祭幷十二月神今食同〉
西庇戸内供御湯船(○○)御床子等、御床子敷小疊、御湯船〈東西妻〉床子二脚、並立其北、〈東西妻〉件御湯船無杓、御湯殿西壁設樋傳御槽、樋口壁外居斗、御槽能蓋、〈生絹近代布〉

〔侍中群要〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0615御湯
御艚(○○)、六月十二月替分主殿寮供、當官人已下女官候進河藥、藏人鳴弦、〈若西方〉御浴了、藏人間主殿官人名謁

〔禁秘御抄〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0615 恒例毎日次第
早旦供御湯、主殿官人奉行之、〈近代多經允五位也〉釜殿運湯須麻志女官〈二人〉取傳、藏人爲鳴弦、候戸外、内侍申具之由、御船(○○)一、桶(○)二、内侍候御垢

〔建武年中行事〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0615 六月十一日、御神事一日よりはじまる、行幸あり、〈○中略〉とのもんれう、御湯まいらす、御舟にとる也、めすほどにうめたり、そのゝちひの口より七たびまいらす、〈○中略〉さて御舟に御ゆかたびらめしていらせ給、

〔榮花物語〕

〈十八/玉の臺〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0615 ある所をみれば、湯ぶね(○○○)のゆわかして、僧二三十人あみのゝしる、

〔康平記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0615 康平五年九月十一日乙卯剋、有内大臣殿〈○藤原師實〉御産、〈○中略〉酉剋有御湯殿、安主淸忠向吉方水、先下家司等持參御湯殿、家司職事等傳取、對南庇西第二間、先敷絹、其上立御槽、其東西立床子各一脚、〈御湯殿人幷迎湯料〉床子後敷打板各一枚、其上敷疊、其南立盆臺二脚、〈居盆十六口、脚別八口、四行居之、〉置匏六柄絹篩二柄、御槽北立置物机、〈○中略〉南榮居大桶二口、〈○註略〉侍二人傳舁獻之、〈○下略〉

〔長秋記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0615 元永二年五月廿九日、未刻參院、改本院殿上中宮侍、以其北廊院殿上、〈○中略〉未時、持參御湯殿具、先宮大夫屬宗房持打敷、〈少帖以紙裹其上生絹云々〉次並物机一脚、〈一階〉次瓫臺二荷、〈各居瓫八口、各有生絹覆、〉次床子二脚、打板二枚、御槽二、〈各有臺、但一有覆生絹、小打板二枚、〉居桶案一脚、居桶二口、杓二柄、瓠五口、中桶二口、小桶口、〈御湯渡打云々〉又荷桶四荷、皆仕丁等持之、〈著襅○中略〉西間南廂階隱間幷其西間爲御浴殿、母屋際立御屛風、階隱間中央居御湯槽、〈南北行下有打敷上有覆、件槽中有小板二枚東西行、〉御槽東西立床子、其東西敷廣打板、御槽北立置物案、御槽南立雙瓫臺、〈東西行、件立瓠杓五口、〉瓫臺西邊置中桶二口、其立尋常杓各一口、西間居御襁褓、立案居桶二 口、件桶立杓一柄、此間顯隆朝臣承仰云、廳官主計屬貞仲遣汲水、〈東方水具〉貞仲相具仕丁參湯水、入案上桶、重親汲移少桶、淸隆入簾中桶、實能混合、入十六瓷、多荷持二人、出東中門、頃之持參水四荷、於二荷者、遣御湯殿、於二荷者、本宮侍長源重親下問南階取之、置御簾下、〈階西間○中略〉次夕御湯、其儀如朝、事了後、招權亮實能朝臣簾中儀、先御浴殿三位向湯、二位相向著床子、〈三位東、二位西、○中略〉御浴殿三位、袴綻出、足踏御槽中板浴云々、事了後、洗御襁褓槽取出、自御湯殿參北面、南方於事有其煩故也、〈○下略〉

〔長門本平家物語〕

〈十七〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0616 廿九日〈○元曆元年三月〉かのゝすけむねもちがさたにて、あたらしき湯ぶねかまへて、三位中將〈○平重衡〉にゆあみせ奉らんとす、〈○下略〉

〔玉蘂〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0616 承元三年五月廿五日丁已、今日御湯殿始也、〈○中略〉先造始浴具、奉行家司兼隆以吉時〈○註略〉仰行事侍、召工國永木工等廿人許參入、於文車宿東廊之、賜祿、〈大工白布三段、少工各一段、〉此間奉仕御装束、〈○中略〉奉行家司職事幷役諸大夫等、於堂上衣置御湯殿也、〈以下効之〉其儀先進地鋪、〈絹一帖、白生絹兩面長一丈、弘五幅、〉階間庇敷之、〈南北妻出用、幷反之時、先敷白細布兩面、寸法同上、其上敷絹、下家司一人取之、〉次進御槽一隻、〈長三尺八寸、弘二尺七寸、在臺物、槽内有踏板、地絹三幅、長七尺、〉〈白銅金物〉地鋪上南北妻居之、〈下家司二人舁之〉次進置物机一脚、〈高三尺、長三尺、弘八寸、二階面押龜甲白織物、塗胡粉、有白銅金物、下家司二人、〉立御槽北方、〈東西妻地鋪上、或記云、置物机立南瓫臺北、失歟、自余記、併置物在北、〉次進瓫臺二脚、〈長五尺、弘一尺五寸、高一尺、脚別瓫八口、彫居之、二行相並、〉〈二脚相分十六口也、〉〈白生絹地各一帖、〉〈帖之置其上〉〈長八尺、弘二幅、〉下家司四人舁之、脚別二人、立御槽南方、〈東西妻二行立之、各掩絹、二脚間頗置其所、〉次進床子二脚、〈長二尺三寸、高一尺寸、各敷白綾緣小疉〉〈裏白生絹〉〈下家司二人取之、〉次進打板二枚、〈長三尺、弘二尺七寸、高四寸八分、在各白絹緣、〉〈裏白布〉〈下家司四人舁之、稱列二人、〉東西床子後立之、〈南北妻〉次進絹篩二柄、〈口徑一尺、其體如常杓、尻張生絹下家司一人取之、〉次進匏六口、〈下家司三人持之、人別三口、付袋匏爲先、〉此中一口結付七寶袋、〈白生小袋、匏口通穴結付之、金銀色色珠治丁子麝香等〉又一口結付錢袋、〈(中略)件雜具等遣醫師許調入云々、〉各居東西瓫臺上、〈各以中爲上、付袋匏等在迎陽人方、篩者同近クアリ、〉洗御胞衣槽一隻、〈長二尺六寸、弘、二尺三寸、有臺、〉洗御襁褓槽一隻、〈長二尺六寸、弘二尺三寸、有臺、〉各内々進之、不居御湯殿、次南階前去二許尺御湯案一脚、〈東西妻長三尺五寸、弘三尺、高三尺、〉居桶三口、〈大一、高一尺、口一尺一寸、居中央北端、小二高一尺、在坤巽、〉柄長小杓一、 〈在巽桶〉仕丁等、著襷襅之、〈○中略〉吉時汲吉方流水、〈○註略〉 仕丁一人持杓如何、〈○註略〉一人〈已上當色〉相副行向汲之、卽持參、〈下家司相副〉置多荷於案前、下家司以案上杓水於案上巽桶、今一口多荷水桶遣釜殿御湯、〈○中略〉
次供御湯
仕丁二人、多荷置案前、下家司一人、移入御湯於巽桶、次合入湯水於大桶、試寒温、〈○中略〉次下家司二人、舁湯桶、〈合入桶〉持參南階下之、六位二人舁之、就簾下女房、〈○註略〉女房取之居盆臺下、〈臺與槽間置之、但ウメタルハ置西端也、〉次進御湯桶、〈傳取置之、其儀同前、〉次進水桶、〈同前、凡自西次第東ザマへ置也、○中略〉
次供夕御湯、其儀如朝御湯間、汲吉方水、御湯之間洗胞衣、吉時舁居御槽於便宜所、其傍立床子一脚、女房左衞門佐著件床子、先以淸水之、〈○中略〉翌日遣槽於御乳母許也、〈○中略〉 廿九日、今日過七ケ日了、仍御湯殿改他所、以寢殿西廊二間其所、南北妻居御槽一隻、其立置物机一脚、槽南立盆臺一脚、〈五十日間、可此臺也、〉槽左右立床子、各一脚、大足桶無足桶各二足居之、〈有杓、實晴調進之、〉仕丁以耳樋御湯、〈○中略〉絹地鋪各一帖打板等給釜殿仕丁

浴斛具

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0617 年料供物
湯槽一隻、洗床(○○)一張、大案(○○)二脚、木蓋(○○)五枚、〈(中略)己上當國充之○中略〉
右殿部司所

〔延喜式〕

〈三十四/木工〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0617 牀(○)三脚〈方四尺、高九寸、度別一脚、御湯殿御座料、○中略〉
右十一月新嘗會、六月十二月神今食料、充掃部寮

〔延喜式〕

〈三十六/主殿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0617 新嘗會供奉料〈中宮准此〉
沐槽一隻、〈加案〉覆絁帷(○○○)一條、〈長五尺、廣三幅、〉浴槽二隻、〈加案〉覆暴布(○○○)二條、〈長五尺、廣二幅、〉下敷調布帷(○○○○○)二條、〈各二端○中略〉
右新嘗會料依前件、其二度神今食者、並用件物更不料、事訖之後充神祇官

〔延喜式〕

〈三十六/主殿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0618 供奉年料〈中宮准此〉
沐槽一隻、〈加案〉覆絶帷一條、〈長八尺、廣三幅、〉浴槽二隻、覆暴布二條、〈長五尺、廣二幅、〉下敷調布帷二條、〈條別二端〉洗牀(○○)一脚、覆暴布一條、〈長六尺、廣二幅、○中略〉
右起十一月一日、迄來年十月卅日料、

〔延喜式〕

〈三十六/主殿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0618 三年一請
浴槽下敷曝布帷二條〈各二端〉

〔延喜式〕

〈四十三/主膳〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0618 年料
沐槽一隻、〈加案〉覆絁一條、〈長八尺、弘三幅、〉浴槽一隻、〈加案〉覆暴布一條、〈長五尺、弘二幅、〉洗牀一脚、覆暴布一條、〈長六尺、弘二幅、〉

〔長秋記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0618 元永二年五月廿九日、未時持參御湯殿具、先宮大夫屬宗房持打敷(○○)、〈少帖以紙裹其上生絹云々〉次並物机(○○○)一脚、〈一階〉次瓫臺(○○)二荷、〈各居瓫(○)八口、各有生絹覆、〉次床子(○○)二脚、打板(○○)二枚、御槽二、〈各有臺、但一有覆(○)、生絹、小打板(○○○)二枚、〉居桶案一脚、居桶二口、杓(○)二柄、瓠(○)五口、中桶(○○)二口、小桶(○○)一口、〈御湯渡打云々〉又荷桶(○○)四荷、皆仕丁等持之、

〔百丈淸規〕

〈下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0618 西序頭首
知浴 凡遇開浴、齋前掛開俗牌、〈○中略〉齋罷、浴頭覆維那首座住持畢、鳴鼓三下、浴聖桶内皆著少湯、燒香禮拜、想聖浴
日用䡄範
其所腕衣作一袱覆轉、方換拖鞋、不赤脚入浴、〈○中略〉不湯水人身上、不桶内泡一レ脚、〈○中略〉不脚桶上、不笑語、不槽上揩一レ脚、不水、不身掇桶澆身上、前後有人、須當遮護、脚布不身、有脚不桶者、不多用一レ湯、

〔長秋記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0618 元永二年六月五日、〈○中略〉御湯殿儀無鳴弦、〈○中略〉仕丁荷御湯日來、但無布覆(○○)、今日依雨以板爲覆、〈其形如屋棟

〔兵範記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0619 仁安三年十一月廿二日己卯、大嘗宮北鳥居前、木工寮造立廻立殿五間黑木屋一宇、〈○中略〉東二間爲御湯殿、〈○中略〉其内東間中央東西妻立槽有絹覆(○○)、又有蓋、

〔寶石類書〕

〈五下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0619 波絹(○○)之事
三箇重事云、なみきぬといふは御湯舟におほふきぬ也、

〔守貞漫稿〕

〈二十五/沐浴〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0619 小桶ハ京坂ト同制、高亘トモニ概六寸、銅或鐵輪ヲカケ、桶ハ槇材ノ正目制也、〈○中略〉
留桶大サ大概高六寸、亘リ八寸ニ一尺許ノ楕圓也、俗ニ云小判形ナリ、輪同前、是亦槇ノ正目或ハサワラ材也、 右五節ノ内七夕ヲ除テ中元ニ與フモアリ、又十月二十日前ニ留桶新制ニスルノ條ヲ紙ニ書テ、水槽ノ上ニ粘ス、此時常ニ留桶ヲ用フ、彼留桶ノ客等、各自錢ヲ與フニ有差、或ハ金二朱一分、又ハ錢三五百文二百文ヲ極下トス、其錢數ト名ヲ紙ニ書テ羽目板ニ粘ス、二十日至リ留桶小桶トモニ新制ヲ用フ、蓋輪ハ作リ改ムルニ非ズ、 天保前ハ外見ヲ好ムノ徒錢ヲ多ク與ヘテ、留桶ニ定紋ヲ漆書サセ、或ハ記號ノ烙印ヲスルモアリ、天保以來此コト廢ス、今用之ハ却テ數年ヲ用フノミ、留桶ノ客、何ノ浴戸ニモ男子ニハ十人ノ中一人、百人ニ十人バカリ、婦女ハ用之者十人ニ九人、不之者百人ニ十人也、〈○中略〉右留湯留桶トモニ京坂ニハ更ニ無之行ヒ也、

〔諢話浮世風呂〕

〈三編上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0619 人がらのよきかみさま、水舟のわきにて、小桶(○○)に水をくみゐる、これはそらおがみにて、詞づかひもあそばせづくしなり、

〔諢話浮世風呂〕

〈初編下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0619 一人の盲人はおけに湯をくんで、ながし板の上を兩手でおしながらゆくとふろから出てくる盲人とあたまをかつちり、〈○下略〉

〔錢湯來歷〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0619 湯語敎
喘涸聲呻淨瑠理 拌返而成炎腹立終〓(つひにほをりて)小桶湯爲(をゆをし)仕舞(まはせ) 或風呂中放灰墨

〔百丈淸規〕

〈下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0620 龜鏡文
桶杓作聲、用水無節、非以報浴主水頭也、

〔諢話浮世風呂〕

〈三編下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0620 おやしきから、去年あたりおいとまをいたゞいた歟、但しは不順でりやうぢにでも下つてゐる歟、二十四五のぼつとりもの、〈○中略〉おはしたのおはつはいはねどしるき部屋がた風俗、おとなりのお娘御をさそひ合せて三人づれ、留桶(○○)をひかへて、べん〳〵との長湯、〈○下略〉

〔錢湯來歷〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0620 湯屋萬年曆
享和の初頃迄は、客人により、銘々の印をつけし大きなる桶を、湯屋へ預け有しが、其頃、兩國邊にて、湯屋の若もの桶を拵へ置、背中を流す人に遣はせる、是を廻しをけ(○○○○)と名づけて、後にをけ無盡はじまる、預り桶(○○○)は、所により、殘り有しが、今〈○安政年間〉は大體なし、

浴斛雜載

〔宇治拾遺物語〕

〈十五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0620 今はむかし、天智天皇の御子に大友皇子といふ人ありけり、〈○中略〉淸見はらの天皇〈○天武〉そのときは春宮にておはしましけるが、〈○中略〉春宮これを御らんじて、さらでだにおそれおぼしけることなれば、さればこそとていそぎ下種の狩衣袴を著給て、藁沓をはきて宮の人にもしられず、たゞ一人山を越てきたざまにおはしけるほどに、〈○中略〉美濃國へおはしぬ、この國のすのまたのわたりに舟もなくて立給ひたりけるに、女の大なるふねに布入てあらひけるに、〈○中略〉女申けるは見奉るやうたゞにはいませぬ人にこそ、さらばかくし奉らんといひて、湯舟をうつぶしになして、その下にふせたてまつりて、上に布をおほくをきて、水くみかけてあ、らひゐたり、〈○下略〉

〔宇治拾遺物語〕

〈三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0620 これも今はむかし、法輪院大僧正覺猷といふ人おはしけり、その甥に陸奧前司國俊、僧正のもとへ行てまいりてこそ候へといはせければ、たゞいま見參すべし、そなたにしば しおはせとありければ、まちゐたるに、二ときばかりまで出あはねば、なまはらだゝしうおぼえて、〈○中略〉いかにせんと思まはすに、僧正はさだまりたることにて、湯ぶねに藁をこま〴〵ときりて、一はた入て、それがうへに筵をしきて、ありきまはりては、さうなくゆどのへ行て、はだかになりて、えさいかさいとりぶすまといひて、ゆぶねにさくと、のけざまにふすことをぞし給ける、陸奧前司よりて、むしろをひきあけて見れば、まことにわらをこま〴〵ときり入たり、それをゆどののたれぬのをときおろして、このわらをみなとり入て、よくつゝみて、そのゆぶねにゆ桶をしたにとり入て、それがうへに圍碁盤をうら返して、をきてむしろをひきおほひて、さりげなくて、たれぬのにつゝみたるわらをば、大門のわきにかくしをきてまちゐたるほどに、二時あまりありて僧正小門より歸をとしければ、〈○中略〉僧正はれいのことなれば、衣ぬぐほどもなく、れいのゆどのへいりて、えさいかさいとりぶすまといひてゆぶねへをどり入てのけざまにゆくりもなくふしたるに、ごばんのあしのいかりさしあがりたるに、尻ぼねをあらふつきて、としたかうなりたる人のしに入てさしそりてふしたりけるが、〈○中略〉目をかみにみつけてしにいりてねたり、

風呂桶

〔物類稱呼〕

〈四/器用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0621 桶をけ 上下總刕及武藏にて、こがといふ、〈(中略)すえふろをけ(○○○○○○)ひ、すえふろこが(○○○○○○)などいふ、〉

〔倭訓栞〕

〈前編二十六/不〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0621 ふろ 浴室をふろと稱するも風爐より出たる語なるべし、湯(ユ)ふろ居(スエ)ふろ虚(カラ)ふろ等あり、
○按ズルニ、風呂桶ノ事ハ、居處部浴室篇ニ詳ナリ、

内衣/名稱

〔倭名類聚抄〕

〈十四/澡浴具〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0621 内衣 温室經云、澡浴之法、七物、其七日内衣、〈和名、由加太比良、〉論語注云、明衣以布、爲沐浴衣也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六/屛障具〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0621 帷 釋名云、帷、〈音維、加太比良、(中略)按加太不複重之義、比良謂薄如一レ葉也、與枚訓比良同、帷所謂帳帷、几帳帷卽是、後謂襌布衣加太比良、本書内衣訓由加太比良(○○○○○)是也、俗或以帷子字襌布衣是、〉

〔類聚名義抄〕

〈六/衣〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0622 内衣〈ユカタヒラ〉

〔伊呂波字類抄〕

〈由/雜物〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0622 内衣〈ユカタヒラ〉 明衣〈同〉

〔運步色葉抄〕

〈遊〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0622 湯帷

〔易林本節用集〕

〈由/食服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0622 明衣(ユカタビラ) 浴衣(同)

〔和漢三才圖會〕

〈二十八/衣服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0622 浴衣(ゆかた) 内衣(○○)〈出于温室經〉 明衣(○○)〈出于論語〉 和名、由加太比良、 俗曰由加太、浴帷子訓下略、

〔女重寶記〕

〈五/女衣服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0622 明衣(ゆかた)

〔倭訓栞〕

〈中編二十七/由〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0622 ゆかたびら 和名抄に明衣をよめり、浴衣なり、今ゆかたといふは、梵書にいふ内衣も同じ、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0622 又今ゆかたといふは、湯帷子なり、〈○中略〉貞順故實集に、身拭と申よりは、御湯かたびら(○○○○○○)と申は上り候とは、詞の上下をいふ、湯かたびらを身拭ともいひし也、〈手拭といひて湯に用ると同義なり〉後世略して湯かたと云、猿樂狂言記、などに見えたり、

〔傍廂〕

〈前篇〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0622 單物 帷子
當世は絹木綿など裏なきを單物といひ、生絹麻などの類を帷子といひて、着る時節も差別あり、さるべきことにあらず、すべて裏なき衣は皆單物なり、ひとへなるが故に片といひ、風にひらめく故にひらといへるにて、同じも、のなり、浴衣をゆかたといへるも、湯帷子の義なり、頂上の領巾(ひれ)も、甲胃の母衣も、軍器の旗も、魚の鰭も鬣(ひれ)も、ビラの轉語にて、同義の名なり、ヒラメクハタメクなど同言なり、

内衣製作

〔和漢三才圖會〕

〈二十八/衣服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0622 浴衣(ゆかた)〈○中略〉
按、浴衣夏用布(○)、冬用木綿(○○)、常州眞岡曝、河州小曝、攝州北野明衣綅(シマ)、皆爲浴衣、木綿也、

〔守貞漫稿〕

〈十四/男服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0623 浴衣ハ白地ヲ專トシ、又晒シ木綿及眞岡木綿ヲ用フ、近年浴後ノミニ非ズ、卑賤ノ者ハ單衣及ビ帷子ニ代へ用フ、浴衣ノミ用フル者ハ袂ヲ縫ズ、廣袖也、單衣ニ代ル者ハ常ノ如ク袂ニス、〈蓋圓袂ニハ製セズ、方形也、〉京坂ノ浴衣及ビ單衣ニ代ル者モ、男女トモ專ラ白地ニ藍小紋ノ極テ細密ナル者ヲ用ユ、〈婦女ハ特ニ秋草等ノ形也〉是當今專ラトスル所也、或ハ大形紋ヲ用フモアリ、或ハ白地ニ藍縞或ハ鳴海絞リ、柳絞リヲ用フ、〈絞ヲ用フルハ卑賤ノ小民ニ多シ〉

〔禁秘御抄〕

〈中〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0623 一御裝束事
御宿衣紅、〈文立別雲〉又白無文、子リヌキシヾラ常ノ事也、不生宿衣、湯帷(○○)如常、内藏寮所進、近代無下輕微也、

〔延喜式〕

〈十四/縫殿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0623 正月齋會衆僧法服
講師讀師〈○中略〉曝布湯帷(○○○○)二條、〈別一丈六尺(○○○○○)○中略〉聽衆僧卅口、〈○中略〉曝布湯帷卅條、〈○中略〉
右法服依前件〈○下略〉

〔延喜式〕

〈二十一/玄蕃〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0623 凡天皇卽位、則講説仁王般若經、〈○中略〉 講師法服〈○中略〉 浴衣(○○)一領、〈二丈二幅(○○○○)〉裳一腰、〈三丈四尺、○中略〉
右講讀二師三衣什物依件儲供、若倉卒不縫作者、卽以絁綿等相換供之、〈講師絁三疋、庸綿廿斤、讀師絁二疋、庸綿十斤、〉

〔南海寄歸内法傳〕

〈三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0623 二十洗浴隨
若著三尺浴衣(○○)褊小形露、或元不著、赤體而浴者、深乖敎理也、應四幅洗裙、遮身可愛、非直奉遵聖敎、亦乃不人神、餘之可不、智者當悉、夜浴尚不容、對人寧無掩蔽耳、

〔御前義經記〕

〈一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0623 瀧詣のあひぼれ
瀧詣あまたある中に、今年三五の振袖、白き練絹浴衣(○○○○○○)、妼(こしもと)らしき小女郎側を離れず、

〔女禮秘傳集〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0623 かみ樣の御ゆかた(○○○○)の事、布の裁目を何も兩方へ折伏て縫也、裾をば千鳥掛にすべし、 領をあけずしてぬふべし、領あけても不苦、

内衣用法

〔西宮記〕

〈臨時四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0624 明衣 古人沐浴之外不之、近年不老少之、殿上侍臣藏人所人不服、〈論語云、齋必有明衣布也、袗絺綌、必表而出之、〉

〔侍中群要〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0624 御湯殿事
御帷(○○)間、隨女官吿問云、誰々〈加〉侍〈留、○中略〉
御湯殿
御帷有召時、布可御匣殿由、仰内藏寮進之後、從御匣殿縫進、御頭洗時、又如此、但滓料布綿召藏司、御髮拭練絹召藏司、〈上古用綾云々〉

〔禁秘御抄〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0624 一恒例毎日次第
早旦供御湯、〈○中略〉典侍〈或上臈女房〉進御湯帷(○○○)、〈○下略〉

〔日中行事〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0624 辰の時にとのもりのつかさ御ゆをくうず、〈○中略〉御湯殿へおりさせ給て御ゆめしぬれば、典侍もしは上臈の女房御ゆかたびら(○○○○○○)をたてまつる、

〔榮花物語〕

〈二十九/玉の飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0624 かゝるほどに九月〈○萬壽四年〉十餘日になりぬ、〈○中略〉その夜御前〈○妍子〉に人々さぶらふを、ともすればおこたらせ給て、ものなどおほせられなどせさせ給と思ふに、十四日のつとめていかでゆすこしあみんとおほせらるれば、〈○中略〉いそぎたちて參らせたれば、ゐざりおりさせ給て、日比の御まし御ぞ皆とりやらせ給て、あさやかなる御ぞをましなどにふさせ給て、殿〈○藤原道長〉おはせとあれば、かくと人まいりて申せば、ゆにまかりをりたり、たゞいままいると申させ給へるに、かぎりとみたるにぞいそぎのぼらせ給て、御ゆかたびら(○○○○○○)ながらおはしましたるに、〈○下略〉

〔相模集〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0624 ぶくにおはする人のゆかたびらの袖を巤のそこなひたれば、ときかへて、ふるきはとまるをみるも、あいなうあはれにて、 ぬぎかふる袖をつたへてふぢごろもみるも涙のたより也けり

〔平治物語〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0625 義朝野間下向事附忠宗心替事
義朝〈○中略〉軈テ湯殿へ入給ヘバ、三人ノ者〈○橘七五郎、彌七兵衞、濱田三郎、〉隙ヲ伺ニ、金王丸御劒ヲ持テ御垢ニ參ケレバ、都テ可討樣ゾナキ、程經テ御帷子進セヨト云へ共人モナキ間、金王丸腹ヲ立、走出ケル其隙ニ、〈○下略〉

〔明月記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0625 建仁三年十二月十日、宇治之間事、問有長朝臣少々散不審、〈○中略〉
御寢所間、〈○中略〉其傍一間懸御直垂二具、〈唐物御直垂、小袴白綾紺唐綾等二、小袖御大口等有之、小湯巾、御湯帷(○○○)加之、○中略〉
風爐傍爲御湯殿、居般、御湯殿南爲公卿湯殿、居船置湯帷少々

〔吾妻鏡〕

〈四十九〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0625 正元二年三月廿八日乙未、和泉前司行方、持參御息所御服月充注文於御所、將軍家〈○宗尊〉覽之、
正月分〈○中略〉
御明衣(○○○)〈二〉 今木(○○)二具

〔君臣言行錄〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0625 志津ガ嶽ノ軍ハ秀吉一代ノ勝事、蠏江ノ軍ハ、東照宮御一世ノ勝事ト也、〈○中略〉東照宮ハ敵瀧川等蠏江ノ城へ取籠ルヨシノ注進ヲ聞召、沐浴シテ在マシヽガ、湯衣(○○)ヲキナガラ御馬ヲ出シ給フ、跡ニ從ヒ行者井伊兵部計ナリ、〈○下略〉

〔武道傳來記〕

〈六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0625 毒酒を請太刀の身
角之丞は水風呂に入りながら此體を見て、言葉をあはせ、母親に刀給はれといへるに、〈○中略〉母親浴衣をうちきせ、いさぎよくすべしといさめて、簾の内に見物して、〈○下略〉

〔北里十二時〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0625 巳時
かたみにゆぶねの口にかゞまりゐて、あかかきながしつゝいへることよ、〈○中略〉まろがもとなる は、鼻ひらめにひたひはれて、わきくそさへ花やかなる老人なりき、されど老らかにもてなし、あへしらひてかへしゝは、人がらのにぎはしくたのもしげなればぞかしといひて、たかやかにわらひて、ゆかたびら(○○○○○)ないがしろにうちかけて、つゝむべき所もおほひだにせず、立ちはしりつゝいぬる、いとばうぞくなり、

〔好色一代男〕

〈一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0626 煩惱の垢かき
いか樣是を只は置れじと、うす約束するより、はやあがり湯のくれやう、ちらしをのませ、浴衣(○○)の取さばき、〈○中略〉何國も替ることなし、

〔諸艶大鑑〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0626 心玉が出て身の燒印
川原町四條の角屋に湯屋あり、菊屋の小八、二階座敷に東山の風待ども汗のやむ事なし、彼湯に入にまかりて、役者まじりの人込、ざつと揚場に散しなど呑、明衣たゝむ間見合けるに、三十四五にて小作りなる男、そこねぬ鬢をなでける、〈○下略〉

〔萬の文反古〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0626 廣き江戸に才覺男
我等一萬兩の身體なれども、今に風呂屋へ供つれず、ゆかたを、自(みづから)、首にまきて入にゆき申候、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0626 望一千句、けいせいのくどく風呂よりあがりきて湯かたの袖も匂ふかよひ路、

内衣雜載

〔多武峯少將物語〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0626 ゆかたびらたゞのといかにせさせ給へらむと、あはれ〳〵とみたまふるに、〈○下略〉

〔備前老人物語〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0626 同人〈○渡邊水庵〉風爐屋の竿に湯かたびらわり下帶數多かけ置、風爐をたく時は、男貳人板の間におきて、垢かき二三人おきて用事とゝのへさせ、〈○下略〉

〔出陣荷物貫定〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0626 役武者荷積
一湯帷子〈百六十目〉 一ツ 士大將荷物貫目
一湯帷子四百八十目 一ツ

天羽衣

〔倭訓栞〕

〈中編一/阿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0627 あまのはころも 天羽衣也、〈○中略〉神今食などにいふは、御湯かたびら也といへり、

〔北山抄〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0627 大嘗會(○○○)事
主殿寮供御浴、〈自朿方之〉卽着祭服、〈夲著帛御衣、仁和記云、御東万小床、著天羽衣(○○○)御湯畢、〉

〔江家次第〕

〈十五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0627 大嘗會
卯日、〈○中略〉主殿寮供御湯、〈用東戸○中略〉仁和記云、御東方小床天羽衣(○○○)御湯了、〈○中略〉治曆長元御記、乍天羽衣入、令御槽給、又以一領拭云々、

〔兵範記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0627 仁安三年十一児廿二日己卯、〈○中略〉晩頭參大嘗宮、〈装束如晝〉先巡檢廻立殿御裝束、〈○中略〉 次大嘗宮儀、〈○中略〉次神服氏人持參天羽衣置案二脚、有覆、一脚、參河國和世天羽衣(○○○○○)也、〈絹(○)云云〉宮主卜部兼衡神服氏雅景舁之、一脚阿波國荒世天羽衣(○○○○○)也、〈布云云〉卜部兼貞、〈已上三人、小忌装束、〉忌部明友等舁之、立神座北端、〈○中略〉次有御湯殿事、〈○中略〉先是内藏寮供天衣二領、〈一領著御令御湯船、一領令上給之時著御、脱御浴之時、又供二領、凡四領儲之、〉

〔匡房卿大嘗會記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0627 天仁元年十一月廿一日時刻、主殿寮供御湯、先取下水、〈以斗爲桶〉次入御湯七度、次御湯殿人、〈○註略〉顯隆以右手御湯神殿方遣御湯七度、次張蓋、〈二幅布也〉次奏御湯取之由、主上渡御、次撤蓋、主上乍御帷(○○)御槽給、〈件槽東西妻也、其北立白木床子二脚、帷幷御河藥、〉故源右府、御説、專不御槽、立床子可沃懸之、而後三條院仰云、乍御帷御槽給之由、見朱雀院御記云々、次奉御背、〈三度〉次脱捨御帷於槽中上給、著他御帷拭御、〈○下略〉

〔康富記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0627 永享二年十一月十八日乙卯、是日大嘗會也、〈○中略〉戌刻天皇出御、〈○中略〉次有御湯殿事、頭左大弁、藏人左少弁源重仲等役之、〈天羽衣織手事、兼日參何守護與星野相論、所詮勅使下向參河國、令星野被官人織進之云々、將亦御齋服兼不縫儲之、臨期雖采女可縫獻、縫樣未覺悟之間、當座難叶之旨申之、遂以内侍縫獻之、仍神服出御及遲々云々、女工所内侍令齋籠縫給事云々、〉

〔北山抄〕

〈二/六月〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0628 同日〈○十一日〉神今食(○○○)事
主殿寮儲御浴於寢側、縫司獻天羽衣

〔建武年中行事〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0628 六月十一日御神事、一日よりはじまる、行幸あり、〈○中略〉とのもんれう御ゆまいらす、〈○中略〉うへのきぬぬぎてうへに明衣(○○)をきたり、下がさねおなじく著せず、〈○中略〉さて御舟は御ゆかたびらめしていらせ給、三杓めして天の羽衣、〈御ゆかたびらをいふなり〉舟のうちにぬぎすてゝ、更に又くられうの御ゆかたびらをめしてあがらせ給、

今木

〔伊呂波字類抄〕

〈伊/雜物〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0628 今木〈イマキ御湯殿時著衣名也〉

〔後奈良院御撰何曾〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0628 雪のうちに參りたり ゆまき(○○○)

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0628 ゆぐといふは、〈○中略〉或はいまきなどいふは非がことなり、いまきは湯卷にて、湯殿に用る具にはあれど、異もの也、

〔西宮記〕

〈臨時四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0628 天皇禮服
平生奉仕帝王御鬢者、著今木衣

〔侍中群要〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0628 定詞
今支〈奉仕御湯殿之人所蓍衣也、生白絹也、〉

〔禁秘御抄〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0628 一恒例毎日次第
凡禁中著湯卷(○○)、上臈一人、典侍一人也、是候御湯殿故也、近代上臈中准此役多著之、不例、但少々聽之、

〔日中行事〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0628 辰の時にとのもりのつかさ御ゆをくうず、すましといふ女官これをとゝのふ、内侍御湯のあつさぬるさをさぐりて、ことのよしを申す、御湯殿つかうまつる内侍いまきをきる事もあり、

〔紫式部日記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0629 御ゆどのはとりの時とか、〈○中略〉御ゆどのは宰相の君、御むかへゆ大納言君、〈源遍子〉ゆまきすがたどものれいならず、さまことにおかしげなり、

〔吾妻鏡〕

〈四十二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0629 建長四年四月一日甲寅、寅一點、親王〈○宗尊〉目關本御出、未一剋出御固瀨宿、御迎人々參會此所、小時立、〈○中略〉其後有垸飯之儀、奧州〈○北條重時〉沙汰給、〈○中略〉次被御厨子中物、〈○中略〉御明衣一、今木一〈○中略〉等也、各被休所、云云、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0629 東鑑建長四年壬子四月一日の條に、御明衣一今木一とみえたり、今木は詞に付て訓を借たるなり、婦人湯あぶる時は、この服を著けるなるべし、

〔吾妻鏡〕

〈四十六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0629 建長八年八月廿三日辛巳、將軍家、〈○宗尊親王〉入御于新奧州〈○北條政村〉常葉第、〈○中略〉女房贈物衣今木(○○)小袖帷等也、

湯具

〔女重寶記〕

〈一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0629 大和詞
一ゆぐ(○○)は ゆもじ(○○○)

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0629 ゆぐといふは、男女ともに前陰を顯はして湯に入ることはもとなき事にて、必下帶をかきかへて湯に入るゆゑ湯具といふ、女詞にはゆもじとも云べし、或はいまきなどいふは非がことなり、いまきは湯卷にて、湯殿に用る具にはあれど異もの也、

〔尺素往來〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0629晩、可例式之小風爐候、御浴具(○○○)各可隨身也、

〔南海寄歸内法傳〕

〈三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0629 二十洗浴隨
那爛陀寺有十餘所大池、毎晨時、寺鳴揵椎、令僧徒洗浴、人皆自持浴裙(○○)、或千或百、倶出寺外、散向諸池、各爲澡浴、其浴裙法、以㲲布長五肘闊肘半身使匝、抽出舊裙、廻兩頭前、取左邊上角、以右手向腰下、令使近一レ身、倂蹙右邊、擪入腰内、此謂浴裙、〈○中略〉若不池、寺中洗者、著裙同此、

〔百丈淸規〕

〈下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0629 日用軌範 開浴、浴具擕右手、入下間門内問訊、歸空處左右人畢、先以五條手巾笐竿上、展浴袱出浴具、放一邊上衣、未直綴先脱下面裙裳、以腳布身、方可浴裙裩袴捲摺安袱内、次第脱直綴五條一處、將手巾之、〈古云、三通鼓響入堂時、觸淨須上下衣、〉其所脱衣作一袱覆轉、方換拖鞋、不赤脚入浴、須下間空處待次而浴、不頭首老宿坐處、〈謂上間也〉

〔后宮名目抄〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0630 御したも(○○○○) 下裳とかく
是は御ゆぐの事にて、末々にてはおゆもじなど申侍るは無下の事也、爲家よみ侍る歌にも、對の宮をいはひ奉りて、御産湯ひかせおはしまし侍る時に、
波よする松のしたもによろづ代となれきて鳴や友鶴の聲、とつかうまつりけるも、このこゝろばへなり、

〔女禮秘傳集〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0630 御ゆぐの事、布を二町にして、風呂などの時も用也、又湯ほしとて布を六尺計にして、髮を包ませ給ふ也、髮を包て後にて引違へて、一方の端を長く餘して髮の上に疊て置也、湯風呂の時は女房兒などはかたびらを著べし、

〔世間母親容氣三〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0630 舞子の老たるは運を開くさし扇
蚊帳は綠に、湯具(ゆぐ)は紅、鐵砲あれば、据風呂もあり、

〔錢湯來歷〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0630 湯屋萬年曆
慶安の頃泡は、男女共に洗湯へ行に、別々に褌を持來りて、是をしめかへて湯に入る、上る時は底淺き下盥にて洗ひ淸し持かへる、是をゆもじ(○○○)といふ、其後手拭にて前を隱し湯に入し事に成しが、下盥は天保の初迄殘り有しが、不淨といひて、近頃〈○安政年間〉は一同になし、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0630 宗因千句、ほの〴〵と赤ゆぐ(○○○)ほせる春の日に、湯をあがりゆくふりをしぞ思ふ、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0630 ゆぐ〈○中略〉湯に入とき用るを風爐ふど(○○○○)しと云、犬子集〈寬永十年撰〉わかれを惜みひくは だの帶、いつかまた逢んとかたる風呂の口、佐夜中山集、〈片句〉さぞ出替を待し六尺、風呂のうらせばきを何としたの帶、一代男草子七遊所のことをいひて、ふんどしのかきかへもなき人ゆく所にあらずとあるも湯具の事と見ゆ、〈○中略〉さきつ年上州草津の温泉に浴しに、まづ旅舍につく時、やどり居る間用ふべき調度借もし買もする其内に、定りて人毎にひさく一柄、下帶(○○)一筋は必買て浴するに用ふ、今は世人丸裸にて湯に入るならひ故、その所の者も客人も、是は温泉なればかくする故あるべしとて、男女ともに湯具して入れ共、これ温泉に限りたる事にはあらず、

膝覆

〔玉蘂〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0631 承元三年五月廿五日丁巳、今日、御湯殿始也、〈○中略〉次小兒下湯、〈○中略〉次御浴殿人、〈坊門殿、余乳母也、中納言實綱卿女、〉著東床子膝覆(○○)〈生絹二重三幅、長五尺、如袴指腰指、〉結付腰於自袴前野〈兼綻之内方付袖〉出二足右左袴於床子南北膝覆掩之含槽内小板、〈○下略〉

風呂敷

〔書言字考節用集〕

〈六/服食〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0631 風呂敷(フロシキ)

〔倭訓栞〕

〈中編二十二/不〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0631 ふろしき 俗に包袱の類をいふは、浴後に敷て、坐とする物の名より轉ぜるなるべし、若狹にてはひろしきといへば、ふろしきは廣敷の轉ぜるにや、

〔禮容筆粹〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0631 産屋道具之事
一湯あげ(○○○)、是もさらし布の宜敷を用べし、尤幾つも有べし、則是風呂敷也、小兒の身をぬぐふべし、

〔本朝世事談綺〕

〈二/器用〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0631 風呂敷
元は風呂の揚所に敷て、ゆかたにひとしきもの也、今物を包ふろ敷は、此名をかりたる物也、

〔貞丈雜記〕

〈八/調度〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0631 ふろしきとは、風呂に入る時、湯殿に敷きて湯よりあがりたる時、足をのごふ物也、物を包むに布を縫ひつゞけたる形、かの風呂の敷物に似たる故、風呂敷といひならはしたる也、近世の詞なり、

〔棠大門屋敷〕

〈一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0631 寶の山萬里の下り坂 あくる二日も元日にかはらぬことぶき、燒初とて風呂をとめさす、此代壹步づゝに極れ共、客の器量次第、風呂屋の馳走によつて、高下品々あり、風呂へは下帶ながら入、ふろあがる時、銘々の下帶濡ながら板の間に捨、幾筋にても極て湯汲が物となりぬ、太夫よりそろへのゆかた、四尺五寸の大風呂敷、いづれも是を敷、引ふね大臣の後へ廻て、ゆかたごしに御背を撫て、髮をときすき立て後、香をとめ、ひつしこきにて、茶せん髮、やり手が役として、羽二重の大はゞを下帶だけに引さき、端縫なしに人數程出す、風呂屋より吸物にて酒をすゝむ、此仕拂金三ばいにおよぶ、

手拭/名稱

〔新撰字鏡〕

〈戈〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0632 〓〈古内反、巾也、太乃己比、〉

〔同〕

〈戸〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0632 乕〈侯古反、巾也、太乃己比、〉

〔倭名類聚抄〕

〈十四/澡浴具〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0632 手巾 修復山陵故事云、白紵手巾廿枚、〈和名太乃古比〉

〔日本靈異記〕

〈下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0632 二目盲男敬稱千手觀音日摩尼手、以現得明眼緣第十二
奈良京藥師寺東邊里、有盲人、〈○中略〉往來之人、見哀之者、錢米穀物施置巾上、〈○中略〉
巾〈太乃己比(○○○○)〉

〔濫觴抄〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0632 巾(○)、同帝〈○炎帝神農氏〉作之、

〔事物紀原〕

〈八/舟車帷幄〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0632 手巾(○○)
禮浴用二巾、上絺下綌、雖上下異一レ用、而無異名、此三代之制也、漢王莽之斥逐王閎也、閎伏泣、元后親以手巾之、於是始見手巾之目、其事雖於三代、而制名當漢世也、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0632 唐山の手巾(○○○○○)は、大かた竹布なり、長サ四尺巾一尺ばかり、兩端六七寸、種々に組て織たり、木綿よりは强し、故に長崎に來る商客は、皆此方の手巾を用となり、銷夏錄曰、簞竹葉疏而大、節相去六七尺、出九眞、彼人取嫩者磓漫、綃績爲布、謂之竹疏布と是なり、

〔類聚名義杪〕

〈六/巾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0632 手巾〈タノコヒ〉

〔伊呂波字類抄〕

〈太/雜物〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0632 手巾〈タナコヒ〉

〔下學集〕

〈下/絹布〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0633 手巾(テノゴヒ)

〔運步色葉集〕

〈多〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0633 手拭(タナコヒ)

〔易林本節用集〕

〈天/食服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0633 手拭(テノゴヒ)

〔庭訓往來〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0633 御札之旨、大齋之體、心事難申盡候、〈○中略〉御布施物事、被物祿物等、可之歟、〈○中略〉此外〈○中略〉手巾(○○)、〈○下略〉

〔尺素往來〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0633 布施物者、〈○中略〉手巾、

手拭原料

〔延喜式〕

〈七/踐祚大嘗祭〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0633 凡料理所須〈○中略〉木綿十八斤、手巾料調布(○○)三端二丈四尺、並以官物付兩國

〔延喜式〕

〈二十/大學〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0633 曝布(○○)三條〈各長四尺、拭爵幷手巾料、○中略〉
右申省所

〔延喜式〕

〈二十一/玄蕃〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0633 凡天皇卽位、則講説仁王般若經、〈一代一講○中略〉
講師法服、〈○中略〉湯巾料望陀布一條、〈二丈一尺○中略〉手巾(○○)一條、〈以上各長三尺、並細布(○○)、○中略〉讀師法服、〈○中略〉湯巾料望陀布(○○○)一條、〈(中略)已上丈尺並同上條

〔甲陽軍鑑〕

〈九下/品第二十六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0633 其夜〈○天文十五年六月六日〉亥刻に勝時を執行あり、其儀式は、〈○中略〉さいはいは、屋形樣〈○武田晴信〉持給ふ、なんてんの御手水は、金丸筑前、大布の御手巾(たふ/○○○○○○)飯富源四郎、如此ありて、其夜はかる井澤に野陣なり、

〔梵舜日記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0633 寬永七年正月二日、早旦行水、〈○中略〉次元碩へ〈唐木綿手巾(○○○○○)一、〉次祇園竹坊ニ扇〈二〉、入箱持參也、

〔守貞漫稿〕

〈十五/男服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0633 夏ハ汗手拭ト號ケテ、從來晒麻布(○○○)ヲ用フ、長ケニ尺五寸或ハ一尺餘ノ物ヲモ用フ、蓋夏月モ木綿手巾(○○○○)ヲ專用スレドモ、男女トモニ禮晴服ニテ、他ニ往ク等ニハ、麻布巾ヲ用ヒ、又略䙝ニモ、人品ニヨリテ麻布ヲ用フ、雜人ハ夏モ麻布ヲ用ヒズ、 右ノ如ク從來ハ晒麻布ノミ用ヒシガ、江戸ニテハ、天保以來、生太布ヲ長一尺餘ニ裁テ、一隅ニ藍絞リヲ染テ用之、京坂モ弘化末ヨリ專ラ用フ、蓋三都トモニ晒布全ク廢セズ、今モ稀ニハ用之、晒布ハ全白ニテ絞リ染無之也、

〔山槐記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0634 治承四年二月十五日丁酉、藏人頭左中弁經房朝臣送書云、〈去十三日書、今日到來、〉
來四月可御卽位事、任治曆例太政官廳其議歟、〈○中略〉
四月三日乙酉〈○中略〉次攝政被神祇官、於郁芳門外下車、被正廳仗座、裝束儀、〈○中略〉主水司供御手水、行事官掌相副之打敷、陪膳藏人頭重衡朝臣持參手洗、光長家俊各持參楾、盛定持參御手巾、〈白(○)帋插木(○○)〉

〔後水尾院當時年中行事〕

〈上/正月〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0634 朔日、四方拜とらの一刻なれば、とうより御ひるなる、常にならします方にて先御手水まゐる、〈○中略〉是より先に、はいぜんの人、楾を御手洗の中よりとり出し、うちかへしたるふたをしあらためて、御手水をかけ參らす、御手拭(○○○)には、大たかだんし(○○○○○○)を用ふ、〈件の次第、御淸手水の時毎度如此、〉

〔後水尾院當時年中行事〕

〈下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0634 一毎日の次第は、早旦御ひるなり、〈○中略〉はいぜんの人、例のひとへぎぬをいだきて、御前にすゝみ、かけ帶ばかりをおく、内侍ひとへぎぬきて、御手水をもてまゐる、〈○中略〉大たかだんし〈紙の角に水を付て、西の御座御簾のかきにつねに付おく、〉にて、御手をのごはれて御拜になる、

手拭寸法

〔延喜式〕

〈四十/主水〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0634 供御年料〈中宮亦同〉
御手巾紵(○)四條〈各九尺(○○)〉

〔延喜式〕

〈四十三/主膳〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0634 年料
御手巾紵四條〈別長九尺○中略〉
右坊依主膳監解官請受、餘監署所請物准此、

〔延喜式〕

〈二十一/玄蕃〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0635 凡藥師寺大般若經會、毎年起七月廿三日廿九日、一七箇日、請僧沙彌各卅口、讀經幷悔過、〈沙彌讀金剛般若經〉施物三寶絲卅絇、衆僧別絁一疋、綿一屯、調布二端、湯巾一條〈長八尺(○○○)、二(○)幅、○中略〉沙彌別調布二端、湯巾〈○中略〉准僧、〈○中略〉施物用本寺物
司家年料〈中宮亦同〉
水部曝布潔褠五領、〈別四尺〉襅五條、手巾一條、〈六尺(○○)〉采女女孺手巾四條、〈列六尺〉

〔延喜式〕

〈三十三/大膳〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0635 年料
手巾四條〈別五尺(○○)〉

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0635 地黃煎料〈○中略〉
手巾一條〈長五尺○中略〉
右件雜物、九月一日申省請受、但地黃有多少、所須料隨亦增減、

〔延喜式〕

〈十三/中宮〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0635 三月潔齋〈九月准此〉
調布四端四丈〈(中略)四尺巾料〉

〔延喜式〕

〈五十/雜〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0635 諸國釋奠式
器數〈○中略〉 巾二條〈各長四尺(○○)〉
○按ズルニ、本文ノ巾一條ハ、手ヲ拭フ料ニシテ、卽チ手巾ナラン、其證ハ、諸國釋奠式ニ、篚在洗西南肆、實爵三巾二幂、〈爵三、倶先聖三獻爵也、巾二者一拭爵料、一獻者拭手(○○)料、〉ト見エタレバナリ、

〔延喜式〕

〈十四/縫殿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0635 正月齋會衆僧法服
講師讀師、〈○中略〉手巾四條、〈別三尺(○○)○中略〉聽衆僧卅口、〈○中略〉手巾六十條、

〔延喜式〕

〈二十一/玄蕃〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0635 凡藥師寺大般若經會、毎年起七月廿三日廿九日一七筒日、請僧沙彌各卅口、讀經幷悔過、〈○註略〉施物〈○中略〉衆僧別〈○中略〉手巾一條、〈長三尺○中略〉沙彌別〈○中略〉手巾襪等准僧、〈○中略〉施物用本寺物

〔延喜式〕

〈十三/圖書〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0636 正月最勝王經齋會堂裝〈○中略〉
右佛像雜具、並收寮庫、臨事出用、官人二人、史生四人、供火爐火堂童子十二人、〈用寮雜色人〉各給潔衣一領、袴一腰、袜一兩、手巾一條料調布三丈一尺、〈袍二丈、袴七尺、袜三尺、巾一尺(○○○)、〉

手拭種類/以色爲名

〔江家次第〕

〈十七〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0636 天皇元服御裝束
殿東西渡殿各第一間、南砌、立白木案各一脚、〈高一尺五寸、長二尺、弘一尺三寸、〉其上置黑漆手洗楾各一口、白巾(○○)一條、〈長一丈〉以白木之倚於東柱、〈西准之〉

〔台記別記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0636 久安六年正月四日壬午、是日天子〈○近衞〉加冠、〈○中略〉 裝束〈○中略〉 内藏官人持候白巾一條、〈細布、長一丈、懸白削木、○下略〉

〔甲陽軍鑑〕

〈十一上/品第三十五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0636 扨又山の上より信玄公御覽ずれば、北條陸奧守備より、白き羽織きたる武者一人先にすゝみ、勝賴備にむかつてかせぐ樣子、一段見事なり、〈○中略〉二人してわきうしろよりくみ生捕て參れとありて、貳十人衆頭伊藤玄蕃、あひ川甚五兵衞二人、御中間頭原大隅、石坂勘兵衞以上四人、如御意に仕り、軍始まると同時に、彼武者を生捕、白手巾のながきをもつてしばり、信玄公御前にひきすゆる、其名を尋被成候へば、北條陸奧守内大石遠江とて大剛の武士也、

〔好色一代男〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0636 晝のつり狐
しるしの立くらみといふは、出合茶屋の暖簾に赤手拭(○○○)を結び置ぬ、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0636 昔々物語に、〈○中略〉柿の三尺手拭にて鉢卷して往還するもあり、今は此體にてありく人なし、落穗集にも酉年回祿に、澀手拭(○○○)の鉢卷したる侍の事をいへり、〈柿手拭は澀ぞめ也(○○○○○○○○)〉

〔好色一代男〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0636 髮きりても捨られぬ世
小耳にもおもしろき時は十五才にして、其三月六日より角をも入て、ぬれのきく折にふれて螢みるなど催して、石山に詣でけるに、然も其日は四月十七日、湖水も一際凉しく、水色のきぬ帷子 に、とも色にさいはい菱をかすかに縫せ、あつち織の中幅前にむすび、今はやるふぎ懸手拭(○○○○○)塗笠のうち、只人とも見えず、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0637 一代男一に、ふきかけ手拭とあるは、今もある帽子ぞめ(○○○○)なるべし、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0637 紅梅千句に、をどりに出さぬうら盆の宿、花ぞめ(○○○)の五尺の布や惜むらん、これ又手巾にて踊りに用るなり、

〔男色大鑑〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0637 涙の種は紙見世
大歌舞妓御法度の後、村山又兵衞が物まね狂言づくしに仕掛、太夫子あまた集めしに、其頃迄は都にも舞臺子のあそびは稀に、花代も一步づゝになべて極め、今の世の飛子同前に客を勤めぬ、〈○中略〉其時の子供は、まことの子どもにて、戀を重ねてあへども、御無心云事もなく、もてあそびとて、飛人形、又は染分の手拭(○○○○○)、琢砂やう〳〵四五分が物をとらすに、嬉しがりしに、〈○下略〉

〔守貞漫稿〕

〈十五/男服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0637 手拭 テヌグヒト訓ズ、手巾也、晒木綿一幅ヲ長ク鯨尺二尺五寸に裁チ用フ、 木綿ハ播州木綿ヲ專トス
手拭に種々ノ染形ヲ用フ、縞ヲ用ヒズ、〈○圖略〉
芥子玉絞(○○○○)リト云、手拭ニ多キ形也、地白ニ藍絞リ也、京坂ニテハ、シラミシボリヲ專名トス、木綿買ハケシタマト云也、江戸ハ木綿買ニ非ル人モ專ラ芥子玉ト云、シラミハ虱也、絞リ紋小ニシテ虱ノ大サ故ニ名ク、板ジメ染也、又形芥子玉ニ似テ絞リ文ノ大ナルヲ豆絞(○○)リト云、絞文豆ノ大サ故ニ名ク、
半染手拭(○○○○)ト云、右圖〈○圖略〉ノ如ク半斜ニ片白片藍ノ無地、或ハ片白片水淺葱、或ハ片白片淺葱ニ小紋アル物等小紋ハ白也、
右ノ二品等ヲ專トス、其他種々ノ紋ヲ染メ、或ハ絞リ用フ、 又手巾ニ、江戸ニテカメノゾキ(○○○○○)ト云 アリ、極テ淡キ水藍染ノ無地也、手巾全クヲ水淺木ニ染ル也、藍瓶ヲ睨クノミト云意ニテ名付ク、種々ノ摸樣ヲ染メ、或ハ絞ル物、地白文藍、或ハ地藍紋白モアリ京坂祭祀等ニ出ル衆人ハ、紅染(○○)ヲ諸人一樣ニスル等アリ、其黨ノ有因目紋ヲ描ク也、江戸ニテハ更ニ紅染ヲ用ヒズ、祭祀等一樣ノ者モ藍染ニ坊名ヲ書ケリ、鄙ニハ常ニ紅文交ヘタル手巾ヲ用フ者アリ、
城州小原女ノ黑木賣ノ用フル所ハ、地瑠璃紺ニシテ、右圖〈○圖略〉ノ如ク、兩邊ニ和歌ヲ書ケリ、字白也、是一種ノ手巾、稀ニ他人モ用之テ好數トス、
大坂堂島ノ米賈所用ノ手巾、地白ニ摸樣大形ニ紺染也、專ラ筆意摸セリ、摸樣種々大略圖〈○圖略〉ノ如ヲ專トシ、他准之也、普通手巾價百十六錢或ハ百二十四錢也、此堂島手拭ハ木綿厚ク紺色美ニシテ、價銀四五匁ヨリ金二朱許リニ至ル、是ヲ竪四ツ折ニシテ肩ニ掛ク、彼徒ノ標目トシ、或ハ實用ノ手巾ハ別ニ携フモノ多シ、
追書、天保中、手巾價六七十錢ヨリ百錢ニ過ズ、今慶應中、三百錢ヨリ三百四五十錢ヲ普通ノ物價トス、堂島手巾准之バ幾文ナル歟、後日聞得テ誌之、

以寸法爲名

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0638 不角が江戸總鹿子序に、すこぶる汗道具五尺手拭(○○○○)をしぼりぬ云々、手巾はむかしは短きはなし、〈○中略〉松の落葉小歌〈五尺手拭〉五尺手拭中そめて、おれにくりよより宿におけといへるは、古き三尺手拭(○○○○)の小歌をざれて作り替たる也、

〔懷子伽〕

〈十上/夏〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0638 重貞
あがるべき道夏山の高岸に
憂放を四尺手拭(○○○○)手に持て 休甫
汙をいるゝや茶屋の腰掛
あせもあつさも打忘てよ

〔書言字考節用集〕

〈六/服食〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0639 三尺手拭(サンジヤクテノゴヒ/○○○○)〈支那上古以皂羅三尺頭爲軍戌之服、然則本朝所制亦有據乎、〉

〔女用訓蒙圖彙〕

〈一/衣服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0639 三尺手拭(てぬくひ)

〔出陣荷物貫定〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0639 足輕一人ニ付
一三尺手拭〈十三匁〉 一筋 一手拭〈九匁〉 一ツ
旗指一人荷積
一三尺手拭〈十三匁五分〉 一筋 一手拭〈九匁〉 一筋
役武者荷積
一三尺手拭〈十三匁五分〉 一筋
士大將荷物貫目
一三尺手拭〈四十一匁〉 三筋 一手拭〈七十目〉 五筋

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0639 大幣端歌の内に、くれなゐの三尺手拭、かたみにせよとておいてゆく、

〔雅筵醉狂集〕

〈一/春〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0639 藤花
咲藤のはなのしなひをさし見ればしかも鯨の三尺あまり
伊勢物詰に、あやしき藤有けり、花のしなひ三尺六寸ばかりなん有ける、〈○中略〉
紫帨藤(テノゴイ/○○ )三尺
字彙、帨拭手者とあり、狂句前の物語を用ゆ、俗に三尺手拭(○○○○)といふあり、

以用法爲名

〔下學集〕

〈下/絹布〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0639 汗拭(アセノゴヒ/○○)〈又云腕巾(○○)〉

〔饅頭屋本節用集〕

〈安/財寶〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0639 汗拭(アセノゴヒ)

〔易林本節用集〕

〈阿/食服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0639 汗拭(アセノゴヒ)

〔書言字考節用集〕

〈六/服食〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0639 汗巾(アセノゴヒ)〈又作腕巾

〔和漢三才圖會〕

〈二十八/衣服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0640 帨(てのごひ)〈○中略〉
按〈○中略〉又有汗帨、夏月懷之、以拭汗者用布、
○案ズルニ、本文ノ汗帨ハ、夏月懷中シテ汗ヲ拭フニ用イルトアレバ、小サキ手巾ノ如キモノニシテ、古代ノ如ク長キモノニハアラザルベシ、

〔西宮記〕

〈臨時八〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0640 蹴鞠
應和二四廿八、御仁壽殿、侍臣蹴鞠、昌子内親王賜汗巾

〔雅亮装束抄〕

〈一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0640 その二かいのみなみに、むしろのうへに、からくしげたつ、四かくなるものゝふたのうへに、ちゐさきかゞみのはこのやうなる物あり、あし四ある臺にすゑたり、それにならべて、みなみにかゞみのはこ、やつはながたなるがおほきなるををく、〈かゞみ まもり ひれ あせたなご(○○○○○○)ひいれたり○中略〉そのみなみに鏡臺をはりてたつ、〈○中略〉まづひれをかく、〈○中略〉そのうへに、あせたなごひ(○○○○○○)をかく、そのてい、からあやの三尺ばかりにてあるなるがなかに、ぬひめあり、そのぬひめを、ながさまになかおりにして、なからのほどをとりほそめて、ひれのうへにまへざまに又ひきかくべし、

〔後照念院殿裝束抄〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0640 汗拭布事
龍君命云、普賢寺殿〈○基通〉御時ハ長五尺許也、

〔筆の靈〕

〈前篇四十五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0640 汗拭布
是は手拭とは別にて、背に引とほして、背の汗を拭ふべくして、然長くは爲せるなるべし、

〔書言字考節用集〕

〈六/服食〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0640 浴巾(ユテ)

〔和漢通用集〕

〈た/衣服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0640 浴巾(たなこひ) ○案ズルニ、ユテハ、湯手巾ノ略語ナラン、

〔類聚名物考〕

〈調度十〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0640 かほのごひ(○○○○○) 顏拭 手巾のこと也、いかさま手のみならず、必顏ものごふ物なれば、かくぞいふべきをや、

〔南海寄歸内法傳〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0641 十衣食所須
凡是衣服之儀、斯乃出家綱要、理須具題其製、豈得輕而略一レ諸、〈○中略〉十三資具、〈○中略〉十拭面巾、

〔乳母の草子〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0641 九條殿〈○伊通〉のきたのまん所の御かほに、はたけといふものいできて、見にくきほどにありし時、てんやくのかみ申けるは、たふをくれなゐにそめて御のごひ候はゞ、御かほのはたけよくなり申よし申ければ、夫よりしてこゝかしこより御顏のごひ參らせらるゝ也、

〔運步色葉集〕

〈天〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0641 剃巾(テイキン/○○)

〔延喜式〕

〈二十一/玄蕃〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0641 凡天皇卽位、則講説仁王般若經、〈一代一講〉一日朝哺二座講畢、宮中諸殿省寮等廳隨便莊嚴、設百高座、〈○中略〉其一座設高座一具、請七僧、〈○中略〉
講師法服〈○中略〉
剃髮巾(○○○)一條、受剃髮巾(○○○○)一條、〈(中略)以上各長三尺、並細布、〉

〔延喜式〕

〈三十八/掃部〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0641 踐祚大嘗會〈○中略〉酉刻官人已下掃部已上卜食人十人、持御座等物大嘗宮北門入、鋪白端御帖十枚、布端御坂枕一枚於悠紀正殿中央、又設打拂布(○○○)一條、〈納楊筥

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0641 打掃布は手巾なり

〔延喜式〕

〈三十八/掃部〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0641 年料鋪設
打拂布二條〈各長一丈三尺〉
諸司年料
打掃布四條〈各長一丈二尺○中略〉 打拂布三條〈各長一丈三尺○中略〉
右六月十二月神今食、新嘗祭供御料、

〔兵範記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0641 仁安三年十一月廿二日己卯、未明出立參齋場、〈○中略〉次供神座、下官幷掃部寮相共奉仕之、先 六尺疊四枚、南北行並敷之、〈有裏○中略〉其上置打掃布、〈件布置柳筥、官人申云、六尺五寸、〉南北行引展置之、

〔延喜式〕

〈四十三/主殿〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0642 年料
打掃巾一條〈六尺〉
○案ズルニ、打掃巾ハ打掃布ナラン、

〔延喜式〕

〈五/齋宮〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0642神嘗料〈卜八男十女
拂細布(○○○)一丈二尺〈(中略)已上寮充之〉
右掃部所
年料供物
拂細布一丈二尺〈已上寮充之○中略〉
右掃部司所
○案ズルニ、拂細布ハ、細布ヲ以テ作レル打掃布ナラン、

西洋手拭

〔締盟各國條約彙纂〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0642 改税約書〈慶應二年五月十三日、(西曆千八百六十六年六月廿五日、)英佛米蘭四公使ト於江戸各國文ヲ以、五通ニ認メ、各通ニ連名調印、(各國皆同ヲ以テ、他ハ略シテ之ヲ載セズ)〉
第一條 各政府の名代として、此度約書を議定せし全權は、此約書に添たる運上目錄を採用し、各政府の臣民、皆堅く之を遵奉すべき事とせり、〈○中略〉
運上目錄 輸入品 第一種 手拭

手拭用法

〔侍中群要〕

〈三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0642御盥
主水司供御手水、女官取之參入、三人以上也、四位一人、五位一人、六位一人也、〈○中略〉四位供御巾

〔江家次第〕

〈十五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0642 大嘗會
御手水供了、三沃爲限、候戸外之姫伺御盥畢參入、〈○中略〉留姫取巾獻天皇、天皇拭手(○○)訖、

〔兵範記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0643 仁安三年十一月廿二日己卯、未明出立參齋場所、〈○中略〉亥刻大忌公卿著大忌幄、豫宮厨家居膳、左中弁俊經朝臣、少納言等勸盃、有御湯殿事、〈○中略〉次召御手水、〈○中略〉藏人少輔大進等持楾御手巾等

〔萬一記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0643 正安三年十月廿八日甲午、今日大嘗會御禊也、仍巳刻參入宮司、〈○中略〉次宸儀出御、〈○中略〉次主水司供御手水、〈幄西南方、主水女官儲之、〉藏人藤淸隆取打敷頭左中弁、左中弁取之、自御帳南面簀子廻之供之、〈○中略〉次藏人右京權大夫仲高持參御手巾

〔北山抄〕

〈四/拾遺雜抄〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0643 御元服儀
當日早朝、所司設御冠座於紫宸殿御帳内之南面、〈○中略〉又設洗器於殿東西壇上、〈盛匜盥於案上各加手巾、主水官人分立案下、内藏官人候手巾、主水官人候洗手、○下略〉

〔江家次第〕

〈十七〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0643 御元服
南殿巽坤角壇上、各立白木案一脚、〈各高一尺五寸、長二尺、弘一尺三寸、〉其上置手洗、楾各一具、内藏官人一人相分候手巾、〈件巾一丈懸白木持候之〉

〔長秋記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0643 大治四年正月一日庚辰、皇帝、〈○崇德〉加元服、〈○中略〉左近府生遠兼來談云、〈○中略〉攝政、〈○藤原忠通〉昇西壇洗器所、南向主水資盛取楾立壇下、〈北向〉藏人内藏助元正取巾伏立其南、〈北同〉右兵衞督〈○藤原伊通〉昇西壇洗器西其南、〈東向〉受楾向攝政、攝政洗手、〈當簣上手洗也〉事了以楾返給資盛、内藏助進巾、右兵衞督乍持、同助引寄於布、攝政拭手、

〔台記別記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0643 久安六年正月四日壬午、是日天子〈○近衞〉加冠、〈○中略〉主水佐藤原知盛取迎、内藏允中原基範奉巾、余〈○藤原賴長〉拭手、〈允取水、余引寄巾拭之、○中略〉
裝束〈○中略〉内藏官人持候白巾一條、〈細布長一丈、懸白削木、○中略〉
御元服式〈○中略〉 當日早朝、所司設御冠座於南殿御帳内南面、〈○中略〉又設洗器於殿東東面壇上、〈盛匜盥於案上各加手巾、主水司官人分立案下、内藏寮官人候手巾、〉

〔管見記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0644 永享五年正月三日戊午、今日天皇〈御年十五○御花園〉有御元服事、〈○中略〉南殿東西立洗器机、〈各軒廊前立之、其上置黑漆楾一具手巾、〉〈白布一丈掛白削木〉

〔東寺要集〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0644 入道无品親王性信、治安三年三月七日庚午、〈鬼―、日―〉於仁和寺觀音院兩部傳法灌頂〈○中略〉
一大阿闍梨御房〈○中略〉
手巾一條有筥臺

〔諢話浮世風呂〕

〈四編中〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0644 水汲て來ても盥はなし、杓から片掌へ水を請て、ごし〳〵とお顏の摘洗ぢや、掛竿が一つぢやによつて、手巾と雜巾と取違て、顏拭ふ(○○○)事がなんぼもあるぢや、

〔榮花物語〕

〈二十四/若枝〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0644 けふも〈○萬壼二年正月二十三日〉四條大納言、〈○藤原公任〉うちのおとゞ、〈○藤原敎通〉まいらせ給はず、故うへ〈○公任女〉の御忌月なりければ、うちのおとゞはむげにまいらざらんはおぼつかなくゆかしとて、御なをしにてうちに參らせ給て、女房の中にまじらせ給ひて、きぬのそでぐちつくろはせ給、かみかきなでなどせさせ給を、女房中々いとわびしう、身よりあせあゆなどは、これをやいふらんとわびしうおぼえて、おもてあかむ心ちすれども、身はひえたり、おほかたのありさまは、御まへの御覽ずるを、はづかしういかに〳〵と、人のかたちふるまひよりはじめ、きぬのありさまにほひなどを、御らんずとわびしくをの〳〵おもひつゝ、このなみゐてみ給ふらんめどもは、さはれたれともしられ奉らねば、御靈會のほそおとこのてのこひして(○○○○○○)、かほかくしたる(○○○○○○○)こゝちするに、このうちのおとゞほゝゑみまぎれさせ給ぞ、いみじうわびしき事なりける、

〔嬉遊笑覽〕

〈七/祭祀〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0644 按るに、榮花物語〈○中略〉云々、細男が覆面したるをいふなり、春日若宮御祭禮圖に、 細男(セイナウ)六人、神樂舞奏之、〈立烏帽子白張、ソキムシロ敷、〉二人座して笛を吹、二人覆面を垂れ、腰に鼓を付、片手にて打ながら、立出て跡さまに退き座す、又二人覆面をたれ、右の袖を掩ひて立替り立出跡さまに退く、二三編如此とあり、

〔守貞漫稿〕

〈十五/男服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0645 手拭頰冠(○○)
頰冠リ、多クハ手巾ノ兩端ヲ、左ニテ捻テ挾ム也、〈○圖略〉 同 或ハ鼻上ニ掛テ左頰ニ捻リ挾ム、卑賤中ノ卑賤風也、〈○中略〉
手巾全幅ノ儘カムリ、或ハ背ノ方三四分ニテ髷尻ヲ僅ニ出ス也、 又芝居ニテ男女情死等ニ往クヲ道行ト云也、其男ニ扮ス者ハ必ラズ手拭頰カムリヲナス者多シ、是ニハ專ラ全白ノ手巾ヲ用フ、
手拭大臣冠リ(○○○○○○)〈○圖略〉 江戸ニテ吉原カムリト云 三都士民トモニ野步等ニ爲之、或ハ薄暑ヲ避ケ、或ハ塵埃ヲ禦グ、 大臣ト云ハ芝居大盡ニ扮ス、大名等ノ扮ニハ、紫巾ヲ以テ月代ヲオヽフ、似之ガ故ノ名ナルベシ、 手巾二ツ折、背ノ兩隅ヲ髷後ニ一ツ結ビ止ム、
江戸天保中暫ク流行ル、手拭是モ二ツ折ニテ前ノ兩隅ヲ鼻ニ掛テ結ビ止メ、笠ナキ人薄暑ヲ防グ、盛暑ニモ無笠ハ爲之、〈○圖略〉
手拭米屋冠リ(○○○○○○) 手拭ノ或ハ左、或ハ右ノ端ヨリ卷キ、上ノ方ヲ寄セテ卷終リノ端前隅ヲ挾ム也、京坂ハ初メ眼ヲ覆フ許リニ卷キ被リ、終リニ隅ヲ額ニ出シ、眼ヲ覆ヒタルヲ上ニ引返シ挾ム也、乃チ上圖〈○圖略〉ノ如シ、
江戸ハ初ヨリ目上ニ卷キ被リ、終リニ前隅ヲ上圖〈○圖略〉ノ如ク額ニ挾ム、
手拭喧嘩冠リ(○○○○○○)〈○中略〉 喧嘩冠リモ、右或ハ左ヨリ卷被、卷初ノ端ト卷終ノ端、背ノ兩隅ヲ髷尻ニ掛テ結ビ止ム、 喧嘩冠リト號スハ、江戸防火夫等、黨ヲナシテ爭イドムコトアリ、其時半紙二三十 枚ヲ水ニヒタシ頭ニ當テ、其上ヲ圖〈○圖略〉ノ如クニ手巾ヲ冠スレバ、鳶口ト云具ヲ以テ討ルトモ、深疵ヲ負ズト云リ、是等ノ事ヨリ名トスルナルベシ、

〔仁勢物語〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0646 おかしおとこほうかぶり(○○○○○)して、ならの京、かすがのさとへ酒のみにいきけり、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0646 五元集、名月や居酒のまんと頰かぶり、明曆二年丙申二月廿四日町觸、跡々より如申觸候ほゝかぶり、頰覆面彌法度候間、あみ笠の下、又は編笠なしにも、堅仕間敷候、むかしよりこの法度は有しなり、

〔速水見聞私記〕

〈十五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0646手巾頭(○○)事
玉篇曰、巾、几銀切、佩巾也、本以拭物、後人著之於頭
房〈○房常〉按、本邦田舍之者、以手拭頭、異邦自古有之事也、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0646 古へ女は外に出るに、衣かつぎ深き笠を著、下ざまなるは、桂包みなどして覆面はせざりき、永正大永已後手巾やうのものを頭にかぶり、上に笠きたり、これ覆面の類なり、〈○中略〉俳諧懷子〈付合〉立かへりみる塗笠の内、ふくめんを誰ともしれぬ姿にて、〈寬文のころ迄も、ぬり笠の下に手巾をかぶれり、〉

〔甲陽軍鑑〕

〈十下/品第三十二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0646 景虎〈○上杉〉三月中旬〈○永祿三年〉に、相摸の小田原へ押込、旣に蓮池まで亂入に、心もしらぬ關東侍大將衆に少も機遣なく、甲を脱、白布の手巾をもつて桂包と云物に頭をつゝみ、朱さいはいをとりて、諸手へ乘わり、下知し人をいきたる虫程共思はざる景虎のふりを見て、關東の諸侍大小共に、舌をふるひ、此大將を賴候はゞ、ゆく〳〵大事也と、面々身の上を思ふ人多き也、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0646 桂包といへるは、鬘づゝみなり、桂女に限れるにあらず、音の同じきによりて桂とかけり、手巾長からねば桂包ならず、

〔醒睡笑〕

〈六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0646 兒の噂 一比叡山北谷持法坊に兒あまたあり、冬の夜豆腐一二丁を求め、田樂にする、老僧いひ出されけるは、をの〳〵しうくをいふてくふべしと、大兒やがてわれは佛のつふりと申さん、三くしとりてのく、又ひとりは八日の佛とてやくしとりたり、後に小兒屛風のあけより出るを見れば、髮をばつとみだし、たすきをかけ、左右の手にて目口をひろげ、我は鬼なりみなくはうとありたけ取たれば、せんかたなさに、坊主はふるき手ぬぐひをあたまにかぶり、手をさし出し乞食に參りた、壹つ宛おもらかしあれと、老僧のはたらき三國一、

〔諸艶大鑑〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0647 男かと思へばしれぬ人樣
土手の下道にかゝり、觀音堂の表門を壹町計北のかたへ行て、簾掛籠たる水茶屋あり、此内に入せけるに、數多はしたの女房こしもと御小袖をめしかへさせ、御手拭とり奉れば、又あるまじき若後家なり、

〔後はむかし物語〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0647 京都の人はうはべ和らかにて、心ひすかしなど、さみする人多し、江戸ものゝ心持には、さ思ふべき道理もあれども、又江戸ものゝ及ばぬことも多し、おもふに物の流行、江戸は足早く、京都は足遲し、十年跡〈○寬政六年頃〉に京に登りて見たるに、帶の幅せまき、筓の長き等、江戸にてむかし流行せし事、其まゝにて有やうに思へり、主人と下女の髮は是非おなじうせず、頭に物かむらぬは、道のものに紛るとて、只うどは帽子をかむり、町家の外は被をきる也、尼も是非帽子かぶりて頭を顯さず、山下惚右衞門といふ男、京よりはじめて江戸に來り、其尼の物かむらず羽織著たるを見て驚きたり、况手拭をかむりたる女などは、曾て無き事なり、是守りの正敷所なり、

〔諢話浮世風呂〕

〈四編上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0647 秋の時候
眞田の腰帶は男がしめて羽織をはさむ、晒の手巾は女中衆がかぶつて、野遊に出る、

〔當世風俗通〕

〈前編〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0647 手巾 晒し木綿の白と、淺黃に染分たるを用ふ、これを頭にまとひて、頭巾の代(○○○○)とす、かむりやうに種々あれども、右に一種を圖す、〈○圖略〉わろくかぶるときは、石踏直しにまがふ間、能々工夫すべし、猶口傳あり、

〔都風俗化粧傳〕

〈下/容儀〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0648 女の頭にもの著たるは、ふるき禮なるが、田舍にては手拭をかしらに戴く、これを角かくし(つの/○○○○)といふて、禮の一つとす、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0648 塵塚咄に、〈○中略〉又一向宗門徒の婦人角かくしとかいひて寺參りにかぶるもの綿ぼうしの遺風なるべし、〈長崎歲時記、一向宗御正忌とて、男子は肩衣を著し、女子はさらし木綿、或は布西洋布の類を以て頭にかつぎ、是をおよぼしといひ、俗にすみ手拭また角かくしと異名す、新婦兒女といへども皆是を用と云り、是は寬政丁巳の刻梓なり、〉

〔秋齋隨筆〕

〈下〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0648 置手ぬぐひの事
今田舍者などが、頭に手ぬぐひを置は故實なり、あれはいにしへの山かづらといふものなり、日本紀四十一代文武天皇までは髮を不結、ひら〳〵髮で居たなり、その時節にはかづらといふて、木綿でも布でも髮はくゝりたるぞ、古今の歌に、
まきもくのあなしの山の山人と人も見るがにやまかづらせよ、と有しぞ、いにしへのかづらの餘風なり、

〔好色一代男〕

〈三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0648 木綿布子もかりの世
住家四五丁は帷子の上張、置手拭(○○○)して、跡つけの男を待合せ〈○下略〉
○案ズルニ、置手拭ハ、手巾ヲ頭上ニ置キテ、裝飾ノ具トセルナリ、

〔好色一代男〕

〈五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0648 後は樣づけで呼
吉野は淺黃の布子に赤前だれ、置手拭をして、へぎに切熨斗の取肴を持て、中でもお年を取られた方へ手をつかへて、私はみすぢ町にすみし吉野と申遊女、〈○下略〉

〔昔々物語〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0649 一むかしは往來する侍衆、上下著或は袴計にても、大方股立取、步行馬上の人も股立にて乘、かきの三尺手拭はち卷(○○○)して往還する有し、今はなし、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0649 鉢卷は男女ともにふるきふり也、田舍の女は木綿の單なる物を帶したる上に著、鉢卷するを禮服とす、今も武州近在また下總邊にて婚姻など賀祝の事ある時は、其家また親族の婦はつせといふ歌をうたふに、その體なり、〈(中略)むかし、女は膏澤を用ること少なければ髮亂れ易き故、包みもし鉢卷もせしなり、道三の養生物語に夜いぬるには頭巾は毒なり、鉢卷よしとあり、昔人は髮に油け少きゆゑ髮亂れば、いぬるもかやうのことあり、〉 今駕籠かく者に、手綱染のやうなる布をたゝみて插むは鉢卷せむ料の手巾なり、乙州がそれ〳〵草に、六尺は鉢卷に懷をあづけ、鎗持は髭を是とすといへり、〈鉢卷とて頭に桶の箍かけたるやうに、手巾をしごきて結ぶのみにはあらず、頭を包むはみな鉢卷なり、古畫には六尺の鉢卷種々の形あり、〉又神佛に詣る行人の頭つゝむも手巾なり、

〔落穗集〕

〈九〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0649 酉の年〈○明曆三年〉大火の事
掃部守殿〈○井伊〉には澀手拭の鉢卷(○○○○○○)にて、〈○中略〉因幡守殿〈○淺野〉へ御向被成、只今は不輕大火に其元は、何方へ御越候哉と有之に付、〈○中略〉御機嫌相伺申度奉存罷出候と返答被申ければ、〈○下略〉

〔我衣〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0649 三尺帽子トテ、木綿ニテ、頰カムリニシ、又滯ニモ用ユ(○○○○○)、古ヘヨリ有リ、後ニ麻ニテ色々ノモヤウ染タルヲ、三尺手拭ト云、元祿ヨリ五尺手拭ニナル、今ノ腰帶コレナリ、

〔嬉遊笑覽〕

〈二上/服飾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0649 今は三尺手拭といふもの旅客の腰帶とし、また賎者のひとへ帶となるのみなり、昔も武家の小者など布のしごきたるを帶とするさま、古畫に見えたり、是も手巾なるべし、

〔秋齋間語〕

〈三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0649 帶刀人常服にて主用に出る時前ニ長手ぬぐひをはさむ(○○○○○○○○○○○)事は、平服の時の相印也、夫故元來は其家々の染色を極め置、其家中は一統すべき事也、あるひは何の守組家中は何色々々と可極也、甲胄にては勿論火事羽織にても、家々の相印ありて知れよし、平服の時途中などにて不時に事起りし時、人數見分る爲なり、それを今は取ちがへて、いろ〳〵の銘々の物好、出來合の 染摸樣の手拭を用ひ、何の用と云事を不知樣に成たり、

巾箱

〔類聚名義抄〕

〈六/巾〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0650 巾箱〈タノコヒノハコ〉

〔伊呂波字類抄〕

〈太/雜物〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0650 巾箱(○○)〈タナコヒノハコ〉

〔儀式〕

〈一〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0650 六月十一日神今食儀〈十二月准此〉
亥一刻薦御膳、其行立次第、〈○中略〉次典水二人、〈一人執巾筥、一人執刀子筥、〉

〔延喜式〕

〈七/踐祚大嘗祭〉

采女十人〈一人執刷筥、一人執巾筥、〉

〔延喜式〕

〈十七/内匠〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0650 年料革筥廿合、〈○中略〉巾筥二合、〈各方一尺二分、深八分、〉

〔延喜式〕

〈三十一/宮内〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0650奉神事諸司行列
采女八人〈一人執刷筥、一人執巾筥、〉

〔延喜式〕

〈四十三/主膳〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0650 年料
筥四合〈御巾料〉

〔江家次第〕

〈十五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0650 大嘗會
皇上召御手水〈女藏人傳供、近例頭藏人奉之、○中略〉 典水二人〈一人執巾筥、一人執刀子筥、○中略〉 次取巾筥授之〈如先開其蓋置○下略〉

〔侍中群要〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0650 男房人供御盥
御手水番依例裝候御手水、〈○中略〉次人進取御手巾筥、〈在御厨子、不高坏、〉退當大床子西候、〈東面○中略〉御手水了供御手巾、事了立御、如本置雜具等則退去、

〔禁秘御抄〕

〈上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0650 朝餉
二間、南平敷二枚、〈北上〉東北立屛風、〈絹屛風○中略〉御屛風内外案御調度、二階一、〈押錦〉唐匣筥一、〈○中略〉手拭筥、〈○下略〉

〔日中行事〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0650 大床子につかせおはします、圓座の前〈大床子のまへ〉に御けふそくめり、御手をこして袖をか かげずして、御手水をめす、〈○中略〉御たなごひの箱にあるたのこひをとりて、御手を拭ふなり、

〔類聚雜要抄〕

〈三/五節雜事〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0651 一盥其〈○中略〉 手巾筥一合〈加手巾
行事説雅朝臣

〔兵範記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0651 久壽三年正月三日乙巳、早旦著束帶先參殿下、〈○忠通〉御手水番人人七八許輩參會、〈皆衣冠○中略〉次殿下出御、有御手水事、其儀、〈○中略〉次高佐持參御手巾筥、〈御手巾布二切、帖入之、○中略〉
仁安三年十一月廿二日己卯、〈○中略〉御手水、神膳參列次第、〈○中略〉次采女十人、 二人御手水役〈謂之典水、一人取楊枝筥、一人取手巾筥、〉 十二月十日丁酉、早旦著行事所、大嘗會威儀御物幷制御調度内覽、〈○中略〉
大嘗會悠紀所 注進 制御調度事 合〈○中略〉 手巾筥一合〈白〓置口、白地唐錦折立、〉

〔續後拾遺和歌集〕

〈八/離別〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0651 遠き國にまかりける人に、たなごひの箱つかはすとて、
左近大將朝光
別路のかたみにそふる玉くしげあけくれ我を人忘れめや

手拭臺

〔江家次第〕

〈九/九月〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0651幸神祇官伊勢幣
次供御手水〈主水司自北面前第二間之、頭藏人役之、〉
打敷、御手洗、楾、手拭臺貫簀等如恒、

〔兵範記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0651 仁安三年十月廿一日己酉、未明參河原頓宮、〈装束如常、巡方帶付魚袋、〉大夫史以下行事官皆候、奉仕御裝束、〈○中略〉次主水官人舁御手水具幄西南角、〈○中略〉藏人少輔兼光持參楾、伺大進光雅持御手巾臺

挾巾杖

〔長秋記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0651 大治四年正月一日庚辰、皇帝〈○崇德〉加元服、〈○中略〉右府〈○藤原家忠〉洗手時、主水内藏官人自宜陽殿方進出、經軒廊壇上、各立案南其役、挾巾杖如奏杖也、巾布長六尺許歟、

〔心記〕

〈禮儀類/典所引〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0651 文治六年正月三日戊午、今日皇帝〈○後鳥羽〉御元服也、〈○中略〉其儀、〈○中略〉手水案、豫立坤壇上、〈東西妻○中略〉手巾插杖寄立案西妻、殿下〈○藤原基通、註略、〉取手巾、〈不杖、杖授内藏助、捧持之、〉

手拭掛

〔和漢三才圖會〕

〈三十二/家飾具〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0652 衣桁〈○中略〉帨架(○○)〈手拭掛(○○○)○中略〉
帨架、乃手巾(テノコヒ)掛也、毎居盥〓之傍閨房

〔增補訓蒙圖彙〕

〈六/衣服〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0652 手のごひかけを、帨架といふ、

〔調度口傳〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0652 手拭掛之事
高サ一尺六寸、巾二尺、衣桁ノ如クシタル也、手拭、足拭、手拭、コレハ一尺二寸、足拭ハ一尺四寸、

〔女用訓蒙圖彙〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0652 同御厨子黑棚かざりの事
手拭掛は黑棚の左の方に置べし

〔諸艶大鑑〕

〈三〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0652 樂助が靫猿
さる人、庭櫻咲きて見にまかりしに、きのふも客のありし跡と見えて、紅梅染の手拭掛(○○○○○○○)は信長時代物、檜垣の蒔繪、このもしかりしに、〈○下略〉

〔諸艶大鑑〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0652 情懸しは春日野の釜
是なる栬より鏁をおろし、釜掛てそこに袋棚、爰に懸物は大坂よりことづかりて、宵にわたせし男の文を其まゝ一夜に表具して、手拭かけの竹こそ枯つれ、蒔石は人もくづさず、

〔數奇道具定直段附〕

〈後篇〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0652 塗師宗哲
手拭掛〈金物共〉 百五拾目

手拭ノ裃

〔筆の靈〕

〈後篇四十五〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0652 かせ杖
又手のごひのかせと云名あり、其は井蛙抄六に、短册を泉の水の中に吹入られ、手のごひのかせにかけて、とりあげなどして、見ぐるしかりけりとある是なり、其は今の常の手拭かけとは異狀にて、 かくざまなる上の方に、かくる所ありて、軒などにつりさげ、下のかせの所に、手拭をまとひかけしなるべし〈○下略〉

手拭商

〔諸艶大鑑〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0653 髮は嶋田の車僧
けふ計はと忍び駕籠、松原通をいそがせ、因幡堂の前にてかならず肩替る間もいらちて行に、新町通の邊にむかしから染手拭屋あり、〈○下略〉

手拭雜載

〔薩戒記〕

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0653 應永三十二年九月十日丙午、今日上皇〈○後小松〉御幸東山泉涌寺、〈○中略〉
次下北面六人〈著布衣、二行、〉
一人持御杓(康秋)、在御右方、〈杓黑漆蒔繪、菊八葉、有金物、付御手巾、卷付柄、懸肩持也、〉

〔貞丈雜記〕

〈八/調度〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0653 柄長杓には手巾を柄に結付る事也、前九年合戰の繪にも、柄長杓に手巾を付し體を畫きたり圖左の如し、 一京極宮諸大夫尾崎大和守説云、昔遠所行幸ノ時杓ヲ持サレ候事有之、年中行事繪卷物ニモ、杓ニ手巾付シ(○○○○○○)體見エタリ、是ハ畢竟御手水ニ用ラレシ物也、

〔女用訓蒙圖彙〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0654 手水かけまいらする事
御手拭(○○)をばあふぎにすへて、持參る也、〈○中略〉又水繼に水にても湯にても入まいらするときは、たらいの中にをきて、其上に御手拭をたゝみて置べし、手拭はかたにかけて、手水をかくべし、かけはてゝ肩をよせ候へば、手拭をとり給ふ也、

〔諢話浮世風呂〕

〈前編上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0654 御免なさい、田舍者はめりやす好の江戸子にて、ざつと一風呂、手巾を濡らすのみ也、

〔諢話浮世風呂〕

〈三編上〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0654 〈エヘン〉浮世風呂の風呂の中にて、女の數が五人六人七人ちかく居はべりて、〈○中略〉〈エヘン〉しやべり侍りて、又後にはたがひに湯をあびみあびずみ、かけみかけずみ、〈○中略〉くるひはべりしが、その湯が〈エヘン〉其湯がはね侍りければ、そこでかみさんはら立はべり、がつ點せぬとて四の五の侍りけるを、やう〳〵になだめ侍りて、百万年の御いはひといはひ侍る〈ツ、ばんとう〉よしか〈子〉、そこで歌に、錢金は涌出る湯屋の手ぬぐひ(○○○○)で年のかしらをふくは來にけり

〔諸艶大鑑〕

〈四〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0654 忍び川は手洗が越
内儀も手拭、あられに大豆などいりまぜし菓子袋のはなむけ、心ざし有、下女どもゝ思ひ〳〵に御あかしをことづてける、

〔世間姑氣質〕

〈二〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0654 姑が寺參りを待て居る嫁が樂みは、生藥の樻の中、召遣ひの丁稚まで舌うちする二日目のよい加減、
夫の留守なれば、常よりも見世戸立のしまりに念を入れ、四つ時より家内夜さとうふしけるが、〈○中略〉黑裝束に、大小きめし大男が五人ながらのきみひつさげ、丁稚は前後もしらず寢入居る故、 嫁と姑をひきづり起し、後手にひつくゝり、胸元べぬきみをつき付、小體なれど金はありさうな内、有所をぬかせばよし、さもなくば今二人ともさし殺すと、いやおうならぬ命のつばぎはに、〈○中略〉嫁があまり是はどうよくなといふ口を手拭にて縛り、〈○下略〉

〔世事見聞錄〕

〈六〉

https://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0655 遊里賣女之事
偖昔の如き優に艶しき志ある遊女は一人もなく、〈○中略〉己が身心惱亂したる儘に、我人を語らひ、或は出奔せんと欲して意を破り、屋根を傅ひ、或は土臺を潜り、塀を越、堀を渉り抔する迚、見顯はされて折檻に逢ひ、又は逃課せて隱れ居るを搜し出され、是等公邊へ訴出れば、〈○下略〉欠落のみ不埓に成て叱り咎られ、譯もなく引戻され、扨此時の仕置は別て强勢なる事にて、或は竹箟にて絶入迄に打擲き、又は丸裸に成し、口には輿のごとく手拭を喰せ、支體を四つ手に縛り上げ梁へ釣揚げ打事也、〈○下略〉


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Last-modified: 2022-06-29 (水) 20:06:20