器用部/車下〈橇　修羅併入〉

種類/輦車

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〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車〉

p.0807 輦周禮注云、后居二宮中一、縱容所レ乘、謂二之輦一、〈力展反、和名天久流萬(○○○○)、〉爲二輕輪一、人挽所レ行也、

↑

〔箋注倭名類聚抄〕

↑

〈三/車〉

p.0807 天久留万、見二源氏物語桐壺卷、槇柱卷、榮花物語若水卷一、皆人挽之車、非二駕レ牛者一、故謂二手車一也、隋制輦無レ輪、人荷レ人、皇國倣レ之、亦謂二鳳輿一爲二鳳輦一、以レ輦訓二天久留末一、今俗或以レ輿爲二天久留末一者誤、〈○中略〉宗伯之屬巾車注、作二輦車一不レ言レ飾、后居二宮中一、從容所レ乘、但漆レ之而已、爲二輇輪一人挽レ之以行、此亦節文、各本輊誤レ輕、今依二周禮注一改、賈疏引二説文一曰、無レ輻曰レ輇、説文、輦、輓車也、从レ車从レ㚘、在二車前一引レ之、釋名、王念孫曰、輦之言、連也、連者、引也、引レ之以行、故曰レ輦、

↑

〔類聚名義抄〕

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〈九/車〉

p.0807 輦〈テクルマヒクコシ〉

↑

〔和玉篇〕

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〈上/車〉

p.0807 輦(レン)テクルマ

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〔饅頭屋本節用集〕

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〈天/財寶〉

p.0807 輦(テグルマ)

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〔令義解〕

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〈一/職員〉

p.0807 主殿寮
頭一人掌二供御輿輦、〈謂擧行曰レ輿、輓行曰レ輦也、〉蓋笠、〈○中略〉炭燎〈○註略〉等事一、

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〔令集解〕

↑

〈五/職員〉

p.0807 跡云、輦者、己之久留萬(○○○○○)、

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〔年中行事歌合〕

p.0807 五十番左〈持〉輦車爲邦朝臣
雲井にもさはらでかよふてぐるまや君にひかるゝしるしなるらん〈○中略〉輦車と申は輪をかけて輿のやうに作たる車也、是もさりぬべき宿老大臣、又女御更衣などのゆるされて、大内の内を乘て通給ふもの也、

↑

〔輿車圖考〕

↑

〈一〉

p.0808 輦(○)は、てぐるまとよむ、宮城門よりのるものなり、〈○中略〉また腰車(○○)ともいふは、轅を腰のほどにあてゝ、手をもちそへて引く故に、かくもいへるなるべし、〈○中略〉その用度延喜式に見えたり、〈○中略〉また小車(○○)ともいふ、〈○中略〉皇太子の晴の儀は輦車なり、〈○中略〉親王大臣の輦に乘るは、特恩にて許さるゝ事なり、されど男は宮城門より宮門までの間をのる事にて、禁内はのらず、〈○中略〉されどなかのへのてぐるまをゆりたる人も、まれ〳〵ある事なり、〈○中略〉女は人がらによりて、乘るべき所に違あり、その制、式に見えたり、されど猶その時々に宣下ありとぞ、〈○中略〉上にみえたる人がらの外にも、別宣旨にてゆるさるゝことあることなり、〈○中略〉僧綱にもあり、宮城門の外にて輦車にのる事は、すべてなき事なるを、たゞ春日の齋女、社頭にての事と見ゆ、〈○中略〉これは齋王ならば、輿に乘り給ふべき所なるを、おもき事なれば、輦にかたへたるにて別儀なり、又大臣大饗に、尊者の乘られし事みゆるは、いぶかしきことなり、

↑

〔儀式〕

↑

〈一〉

p.0808 春日祭儀
齋女駕輦參レ社

↑

〔續日本後紀〕

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〈八/仁明〉

p.0808 承和六年六月己卯、女御從四位下藤原朝臣澤子卒、故紀伊守總繼之女也、天皇納レ之、誕二三皇子一皇女一也、〈○註略〉寵愛之隆、獨冠二後宮一、俄病而困篤、載二之小車(○○)一出レ自二禁中一、纔到二里亭一便絶矣、天皇聞レ之哀悼、遣二弔使一贈二從三位一也、

↑

〔續日本後紀〕

↑

〈十二/仁明〉

p.0808 承和九年八月甲戌、遣二參議正躬王一、送二廢太子〈○恒貞親王〉於淳和院一、備前守從四位上紀朝臣長江、自レ院逢迎、其儀駕二小車(○○)一出二禁中一、到二神泉苑艮角一、駕二牛車一、

↑

〔文德實録〕

↑

〈一〉

p.0808 嘉祥三年三月己亥、仁明皇帝崩二於淸凉殿一、于レ時皇太子〈○文德〉下レ殿御二宜陽殿東庭倚廬一、〈○中〉〈略〉須臾駕二輦車一、移二御東宮雅院一、陣列之儀、一同二行幸一、但無二警蹕一、

↑

〔扶桑略記〕

↑

〈二十三裏書/醍醐〉

p.0809 寬平九年七月三日丙子、卯二點、皇太子〈○醍醐〉乘二輦車一出レ自二東宮一、參二入内裏一、午二刻、於二淸凉殿一加二元服一、

↑

〔日本紀略〕

↑

〈一/醍醐〉

p.0809 延喜十年正月四日乙未、皇太子〈○保明〉參覲、於二玄暉門一乘レ輦、於二殿北一下レ輦、

↑

〔榮花物語〕

↑

〈二十八/若水〉

p.0809 一ほんのみや、〈○三條皇女禎子内親王〉いみじううつくしげにおはします、〈○中略〉おはしまして、〈○萬壽四年四月、爲二後朱雀妃一、〉おりさせ給ほどのぎしき、こゝろことにおどろ〳〵し、御てぐるまや、なにやとあるほどに、〈○下略〉

↑

〔中右記〕

p.0809 元永三年三月十九日、今夜子刻許、中宮〈○鳥羽后藤原璋子〉俄出二御院御所一、大夫二人外、別當宰相中將信通參仕、御手車懸(○○○○)レ牛(○)出御者、是依二御邪氣發給一也、

↑

〔葉黃記〕

p.0809 寬元四年正月九日己亥、今夜東宮、〈○後深草〉行二啓前右府〈○後深草外祖藤原實氏〉冷泉第一、〈○中略〉自二輦車一移二御唐車一之時、兩大夫〈○公相、顯親、〉掩二几帳一、抑路次之間、諸司二分一切不レ見、御車副二人、其外召使等、付レ轅爲レ奇、〈○下略〉

↑

牛車

↑

〔伊呂波字類抄〕

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〈幾/疊字〉

p.0809 牛輦

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〔運步色葉集〕

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〈古〉

p.0809 牛車

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〔箋注倭名類聚抄〕

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〈三/車〉

p.0809 車駕按古乘車、皆駕二駟馬一、然史記平準書云、漢興接二秦之敝一、自二天子一不レ能レ具二鈞駟一、而將相或乘二牛車一、晉書輿服志云、古之貴者、不レ乘二牛馬一、漢武推レ恩之末、諸侯寡弱、貧者至レ乘二牛車一、其後稍見レ貴レ之、自二靈獻以來、天子至レ士、遂以爲二常乘一、舊唐書輿服志、載二景龍二年劉子玄議一曰、古者自二大夫一已上皆乘レ車、而以レ馬爲二騑服一、魏晉以降、至二于隋代一、朝士皆駕牛、皇國貴人用二牛車一、襲二隋唐一、倣二漢魏以來制一也、

↑

〔年中行事歌合〕

p.0809 四十八番右牛車忠賴朝臣
わきてたれつかふる人のなかのへに牛の車をかけているらん〈○中略〉牛車とは、宿老の大臣など、陣の内へ牛の車をかけて、中のへを出入する也、

↑

〔輿車圖考〕

↑

〈一〉

p.0810 牛車は、日本後紀に、はじめて見ゆ、その起本、未詳かならず、〈○中略〉その製造は、式に見えたり、〈○中略〉ならの朝のほどは、人々これにのることを好まざりしとみえて、令格などにも所見なく、すべていかなる品の人より乘るといふ制度も定まらず、式にも宮城門を出入する制はのせたれども、京内のことは、何ともみえず、〈○中略〉市人の乘車の事、彈正式に見えたれば、制にあらざることをしるべし、〈○中略〉さるほどに、しかるべからざる人も、みだりに乘車して、みだりがはしかりしかば、寬平〈○宇多〉の御時、はじめてその制を立てらる、〈○中略〉その制も、ほどなくゆるべり、〈○中略〉そののちも弛張時々に變じ、沼革も亦おなじからず、〈○中略〉女は上東門より内も乘る事なれど、男はただ京内にかぎりて、宮城門よりうちはのらず、其中によせ重き親王、大臣、勅許ありて宮門の内までのる事あり、

↑

〔新儀式〕

↑

〈五/臨時〉

p.0810 皇后移徒事
當日駕レ輿、出レ自二玄暉朔平門一、〈或出レ自二便門一、或用二牛車(○○)一、貞觀三年皇太后(淸和母后明子)臨二御太政大臣(藤原良房)亭東京染殿一也、又同太后向二大原野祖社一、同御二牛車一、〉

↑

唐庇車

↑

〔撮壤集〕

↑

〈中/車〉

p.0810 唐〓(カラヒサシ)

↑

〔飾抄〕

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〈下〉

p.0810 一車
唐車(○○)
太上天皇、攝政關白、無レ上之人乘レ之、〈○中略〉
八十島典侍
保元二十二十六、八十島典侍、〈侍子組伊局〉勅使唐車、〈殿下(藤原忠通)賜レ之〉
大嘗會御禊
永治元十、御禊、乘二唐車一供奉、若宮御行始
天治二八廿五、若宮、〈○重仁親王〉渡二御二條殿一、御車等、遠江守宗章朝臣、調二獻唐御車一、以二靑色糸一付レ房、簾等皆靑色也、

↑

〔桃華蘂葉〕

p.0811 一車事
唐庇〈晴時召レ之〉
上葺、〈檳榔毛〉廂幷腰總、〈同〉立板外、〈綵色〉同内、〈押レ綾畫二唐繪一、緣錦、〉袖外、〈綵色〉物見、〈落入、外御簾形、内押レ綾繪、緣錦、〉簾、〈蘇芳編糸、紫七緖、緣錦、裏紫綾、〉下張、〈白色紙散薄〉小簾四枚、〈蘇芳編糸、同四緖、〉緣懸レ緖、以下同レ上、上廂結、〈絹〉御榻、〈鷺足入角、有二總黃金物一、〉下簾、〈蘇芳浮線綾、以二色色絲一縫二唐花唐鳥一、筒貫在レ木入二金物一、或普通蘇芳下簾被レ用レ之、〉鞦、〈連著有レ總、或無レ之、〉綱〈打交唐綾在二總志部一、或白如レ常、〉睛時上葺、幷癪總〈件總或用二紫末濃一〉等用二白絲一、其上打二金物一、〈丸文〉袖以二金銅一透レ之、立板外打二金物一付二風流一居レ玉、

↑

〔海人藻芥〕

p.0811 車之事
唐車(○○)、飾車、糸毛車、賀茂祭日、典侍乘レ之、渡二一條大路一也、唐庇車(○○○)、仙院、或親王、或執柄被レ召レ之、

↑

〔三條家裝束抄〕

↑

〈坤〉

p.0811 車
唐車
太上天皇、皇后、東宮等、用ヒラルヽナリ、又攝政關白乘用ス、古ハ太上天皇、攝關ノ外、他人乘用ナキカ、元永二年二月廿二日、中宮、御方違ノ行啓ニ、糸毛車イマダ出來ズ、唐車ヲ用ラルベキ哉ノ由御問ノ時、中御門右大臣、〈○源雅實〉申テ云、唐車ヲ用ラルハ、院幷ニ執柄用ヒラル所也、后宮ニヲイテハ、終ニ例ヲミズト云々、右府ノ舊記ニ見ヘタリ、
上皇乘御
大治五年十二月二十六日、此タビ院、三條西ノ御所修理後、初テ渡御、唐車ニ乘御、
建久九年二月四日、上皇、〈○後鳥羽〉八幡御幸ニ唐車ニ乘御、將軍家
明德三年八月廿八日、相國寺供養ニ、鹿苑院准后、〈○足利義滿〉時ニ左大臣准后ニテ、唐庇ノ車ニ乘用セラル、
應永二年正月七日、同將軍、太政大臣拜賀ノ時、唐車ヲ用ヒラル、牛車ノ宣旨ヲ蒙テ、今日始テ牛車ニ駕、
攝家
天承二年十月十九日、知足院ノ攝政、〈○藤原忠實〉賀茂詣ノ時、唐車ヲ用、
永享四年七月廿五日、後福照院攝政、〈○藤原持基〉任大臣ノ節會ノ日、唐庇ノ車ヲ用ユ、

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0812 唐庇車〈號(○)二唐車(○○)一是也〉
太上天皇乘二御之一、〈一員御幸等日、乘二御此車一也、〉女院乘用有レ例、攝關臣、晴日又乘二用之一、〈所レ謂關白春日詣、幷大嘗會御禊行幸日用レ之、是非二私車一、申二請上皇一所二乘用一也、〉大臣等不レ乗二用之一、若准后乘用有レ例歟、可レ尋レ之、

↑

〔九條家車圖〕

p.0812 唐御車〈普通定〉
上葺〈檳榔〉廂幷腰總〈檳榔〉
立板外〈綵色〉同内〈押レ綾書二唐繪一緣錦〉
袖外〈綵色〉物見〈落入外御簾形内押レ綾〉〈繪〉〈緣錦〉
御簾〈――編糸紫七緖、〉〈緣錦〉〈女檳榔御簾、裏綾、〉〈紫〉
小簾四枚〈蘇芳編糸、同四緖、緣錦同、〉〈裏綾同〉
―――長各二尺
金物〈外金物開戸皆黃金物〉下張〈白色紙散薄〉
御座〈京筵、緣繧繝、裏皆絹、〉上廂結〈絹〉 ――入角黃金物
御下簾〈蘇芳浮線綾、以二色々糸一縫二唐草小鳥一、筒貫牽尻金物、〉
或普通蘇芳下簾用レ之
―鞦〈―――總或無レ之〉
綱〈白如レ常、或打交、唐綾、在二綱志部一、〉
御兩皮〈張筵如レ常〉
―――葺幷廟總等、用二白糸一、其上打二金物一、〈丸文〉袖以二金銅透レ之、立板外打二金物一、付二風流一居レ玉綱打交、〈唐綾〉〈在綱志部〉
承元三年十一月、御春日詣之時注レ之、

↑

〔代始和抄〕

p.0813 御禊行幸事
當日は、大内より川原へ行幸なる、〈○中略〉攝政は、或は騎馬、或は乘車なり、車はかならず唐庇を用ふ、

↑

〔枕草子〕

↑

〈十一〉

p.0813 御經のことに、あすわたらせおはしまさんとて、〈○中略〉先院〈○圓融后東三條院詮子〉の御むかへに、殿〈○藤原道隆〉を始め奉りて、殿上と地下とみなまゐりぬ、〈○中略〉日さしあがりてぞおはします、御車ごめに十五、四つは尼車、一の御車ばからの車(○○○○)なり、

↑

〔榮花物語〕

↑

〈四/見はてぬ夢〉

p.0813 后の宮〈○圓融后藤原詮子〉なやませ給ふ、〈○中略〉おりゐのみかどになぞらへて、女院〈○東三條院〉と聞えさす、〈○中略〉さて其年〈○正曆二年〉のうちに、はせでらに參らせ給ひぬ、〈○中略〉院は、からの御車(○○○○○)にてたてまつれり、

↑

〔榮花物語〕

↑

〈十九/御著裳〉

p.0813 びは殿一品の宮〈○三條皇女禎子〉の御もぎとて、春よりよろづにいそがせ給ふ、〈○中略〉治安三年四月一日ぞ奉りける、〈○中略〉大宮、〈○一條后藤原彰子〉は御こしにておはしますべけれど、一品の宮のことに奉らんかひなければ、唐のみくるま(○○○○○○)にておはします、

↑

〔中右記〕

p.0814 元永二年三月廿二日、參院、召二御前一被レ仰云、中宮、〈○鳥羽后藤原璋子〉近日依二方違一、不レ過二十五日一有二行啓一、〈○中略〉而欲レ用二我唐車一、如何、尋レ例之處、當時后宮行啓之時、用二唐車一事、殊不レ見也、但此皇后、故京極之上、方死一生〈ト〉云時、以二院唐車一俄有二行啓一也、此外殊不二尋得一也、如何、予〈○藤原宗忠〉申曰、於二唐車一者、院幷執柄人所レ被レ用也、時々皇后行啓之時、用二來輿幷糸毛車一事也、於二唐車一者、殊不レ見候、仍不レ被二甘心一候之由奏了、三年三月廿一日辛酉、今夕中宮、從二院正親町御所一、可レ渡二御三條烏丸亭一也、〈○中略〉戌刻寄二御車一、〈院唐御車、車副褐冠、時皇后行啓、多被レ用二與糸毛車一也、而今度被レ用二唐車一、如何、〉

↑

〔本朝世紀〕

p.0814 康治二年十一月廿八日庚辰、今日被レ立二八十島祭使一、御乳母典侍藤家子、〈故家政卿女、淸隆卿室也、〉行裝之儀、世以爲一莊觀一、〈○中略〉藏人左近將監藤隆憲、爲二勅使一發向、典侍用二唐車一云々、子族等皆前駈、布衣也、

↑

〔兵範記〕

p.0814 仁安元年十月十日庚辰、有二立太子事一、〈○中略〉未刻先御幸、〈○中略〉次儲皇〈○高倉〉御車、〈華美唐車也、四面垂二白生糸綱一、左右横緣上葺同白、〉

↑

〔百練抄〕

↑

〈十七/後深草〉

p.0814 正元元年三月四日、上皇、〈○後嵯峨〉大宮院、〈(姞子)唐庇御車、御同車、〉御二幸北山第一、

↑

〔增鏡〕

↑

〈九/草枕〉

p.0814 新院、〈○龜山〉二月〈○文永十一年〉七日、御幸はじめさせ給、大宮院〈○姞子〉のおはします中御門京極實俊の中將の家へなる、御直衣、から庇の御車(○○○○○○)、上達部殿上人(○○○○○○)殘りなく、うへのきぬにてつかうまつらる、

↑

金装車

↑

〔撮壞集〕

↑

〈中/車〉

p.0814 金造(カナツクリ)

↑

〔飾抄〕

↑

〈下〉

p.0814 一車
金作車
永治元十、御禊、女御代、金作檳榔毛、〈左大將殿(源雅定)被レ獻〉
例檳榔用二金物一也、靑簾下簾、〈紫〉連著鞦、自餘如レ常、

↑

〔三中口傳〕

↑

〈一〉

p.0814 一車ナマシ金物車〈長物見、切物見、可レ有二用意一、榻同金物、散物、〉
䙝儀也、車副二人、晴儀四人、前駈後車等同前、
已上可レ懸二下簾一

↑

〔延喜式〕

↑

〈五/齋宮〉

p.0815 初齋院裝束
金裝車一具

↑

〔夕拜備急至要抄〕

↑

〈上/四月〉

p.0815 賀茂祭
幣料〈内藏寮申請奏〉使〈近衞、馬寮、内藏寮、山城女使、典侍、命婦、藏人、〉金作車〈典侍乘レ之、絲毛、〉銀作絲毛〈命婦乘レ之、牛幷牛童、行事藏人進レ之、〉金作檳榔車〈藏人乘レ之、鞦申二殿下一、牛行事出納進レ之、〉

↑

〔空穗物語〕

↑

〈藤原の君〉

p.0815 こがねづくりのくるま(○○○○○○○○○○)一、びらうげの車二、こがねづくりには、下らうのむすめ、おとなわらはをのせ、びらうげには、殿のこたち、のせて出たつ、

↑

〔小右記〕

p.0815 永觀二年十二月十五日庚寅、早朝參殿、亥時姫君入内、〈乘二金作車一〉人給車十兩、朔平門陣邊、源中納言、三位中將來迎也、

↑

〔紫式部日記〕

p.0815 いらせ給ふは、〈○一條后藤原彰子、出産後入レ宮、〉十七日〈○寬弘五年十一月〉なり、〈○中略〉御こしには、宮のせんじのる、いとげの御車に、とのゝうへ、〈○藤原道長妻倫子〉少輔のめのと、わか宮〈○後一條〉いだき奉りてのる、大納言、宰相の君こがねづくりに、つぎのくるまに、こ少將、宮の内侍、

↑

〔小右記〕

p.0815 長和三年四月十八日癸酉、使〈○賀茂祭使〉典侍右衞門乳母、無二前驅一、糸毛車、外無二金造檳榔毛車一、只有二黑造檳榔毛等一而已、

↑

〔大鏡〕

↑

〈八〉

p.0815 大宮〈○上東門院藤原彰子〉の大原野の行啓は、いみじく侍りしことぞや、〈○中略〉びはどのゝ宮、〈○三條皇女禎子〉中宮〈○後一條后藤原威子〉とは、こがねづくりの御車にて、まうち君達のやんごとなきかぎりえらせ給へる御まへ具し申させ給へりき、

↑

〔左經記〕

p.0816 長元四年十月六日庚辰、齋院長官以康朝臣、持來留置、野宮雜物勘文、〈御與一具、糸毛御車一具、金作車二具、〉

↑

〔春記〕

p.0816 長曆二年十一月十五日丁未、今夜中宮〈○後朱雀后嫄子〉出二御高倉殿一、是依レ避二淸凉殿犯レ土事一也、戌時許、御輦車寄二弘徽殿一、於二北陣一移二御金作御車一、供奉諸衞如レ例、

↑

檳榔毛車

↑

〔下學集〕

↑

〈下/器財〉

p.0816 檳榔車(ビンラウシヤ)〈以二檳榔葉一巾(カザル)レ車也〉

↑

〔羽倉考〕

↑

〈二〉

p.0816 車ノ上葺檳榔毛之事
古圖ニ、白ク鳥ノ羽ナドヲ重ネタル如クナル由、然ラバ檳榔ノ葉ナルベシ、飾抄ニ、檳榔毛當家用レ菅トアリ、三條家裝束抄ニモ、檳榔ナキ時ハ、菅ヲ用フル説アリトアリ、菅ノ代ニ用フルナラバ葉ナルベシ、檳榔ノ葉ハ、芭蕉ノ葉ノ如シト、本草綱目ニアリ、又毛ノ字ヲ付ル事ハ、毛髮ノ毛ニハ非ズ、葺事ヲケト云歟、糸ヲ以テ葺ルヲモ糸毛ノ車ト云、延喜式ニハ、糸葺ノ車ト書タリ、然ラバ檳榔毛モ檳榔葺ナル歟、其檳榔ハ、飾抄ニ、檳榔、前關白近衞領、鎭西志摩戸庄土産トアリ、今八丁堀萱場町ニ、菅笠ヲ賈者アリ、其菅笠ノ中ニ、ビラウ〈又ボロトモ云〉トテ、芭蕉ノ葉ノ如キ白キ物ニテ作レルアリ、是薩摩ヨリ出ルト云リ、其名其形同ジキ而已ナラズ、鎭西ノ産ニテ、菅ニ代ルヲ以テ察スレバ、是則檳榔ナルベキ歟、

↑

〔西宮記〕

↑

〈臨時五〉

p.0816 太上皇御行
供奉人裝束隨レ時無レ定
上皇乘御車〈檳榔、前朱雀院、初出二大内一之時、乘二金飾檳榔一、〉

↑

〔西宮記〕

↑

〈臨時八〉

p.0816 檳榔毛太上皇以下、四位已上通用、非參議不レ立レ榻、〈近代無二乘用之人一〉

↑

〔三中口傳〕

↑

〈一〉

p.0816 一出行事
車
毛車(○○)、束帶或直衣時乘レ之、納言以上懸二下簾一、參議不レ懸レ之、

↑

〔飾抄〕

↑

〈下〉

p.0817 一車
毛車
執柄家、家禮之人、用二檳榔毛一、〈檳榔、前關白近衞領、鎭西志摩戸圧土産云々、仍所望用レ之云々、〉當家用レ菅、但檳榔毛、尋得之時用レ之、又無レ難云々、予〈○通方〉兩度尋二取富小路中納言盛兼卿一用レ之、以二二囊一爲二一兩一、但不レ足云々、
簾、蘇芳、〈線緣金綾〉下簾蘇芳、末濃、鞦、〈連著革鞦〉疊、〈繧〓端〉榻〈大臣黃金物、大將散物、納言已下黑漆金物、執柄家納言間散物、大臣之後、黃金物、〉
諒闇普通之儀無二相違一、少々用二無文藍革、靑簾淺木末濃下簾一、
今度兩度諒闇、〈後堀川、藻壁門、〉執柄一門、〈但大納言家長如レ常〉右府兄弟、〈實氏公實有〉左金吾、〈具實〉用二此儀一、貞應、故通具卿、用二此儀一也、
保元二正一、或秘記曰、公卿以下車如レ恒、殿下幷亞相、毛車懸二靑簾一、无文靑革緖也、

↑

〔門室有職抄〕

p.0817 車樣事
檳榔爲二公卿一人皆乘云々

↑

〔物具裝束〕

↑

〈抄〉

p.0817 一車事
檳榔毛車〈關白以下至二參議一、常乘レ之、〉

↑

〔桃華蘂葉〕

p.0817 一車事
檳榔毛〈細々束帶御出之時被レ召レ之〉
亦色簾、〈錦緣、江託云、執柄以後、紫織物、以前芳織物、〉蘇芳末濃下簾、繧〓端帖、或時被レ用二靑簾〈革緣〉靑末濃下簾一、金銅金物榻、

↑

〔海人藻芥〕

p.0817 車之事
檳榔毛車、大臣以下公卿乘レ之、僧中ハ僧正乘レ之、近比、法印大僧都乘レ之例有レ之、凡不二打任一事也、可レ有二斟酌一歟、

↑

〔三條家裝束抄〕

↑

〈坤〉

p.0818 車
毛車
太上天皇以下、四位以上通用、非參議ハ、榻ヲ立ザルヨシ西宮抄ニ見ヘタリ、但太上天皇、四位以上是ヲ用トイヘドモ、庇、半蔀、物見、簾以下ニ付テ、各差別アル事ナリ、
檳榔ナキ時ハ、菅ヲ用ル説アリ、〈○中略〉
文明十八年、將軍家、〈○足利義尚〉新調車、當家ヨリ注進セシムル目録、
榔檳毛ノ車
箱、〈物見ナシ、輦戸アリ、前後高欄アリ、〉棟ノ表袖ノ表左右、檳榔ヲ懸ル、〈腰蓑アリ〉簾、〈濃蘇芳ノ竹、紫ノ編糸、錦緣、裏ノ緣、紫ノ唐綾七緖ナリ、大臣以下差別ナシ、〉下簾、〈蘇芳末濃、納言以上是ヲ懸、參議以下是ヲ用ヒズ、大長サ九尺五寸、裏差ノ糸アリ、一幅三所三針サシ也、〉疊、〈繧繝緣、引懸筵アリ、前後同ジ、〉鞦、〈平〉榻、〈親王大臣黃金物、納言參議黑金物、〉遣繩、〈白布、是ヲ打テ二重ニ取テ、中央ニ付ル、別ノ緖ニテ牛ノ鼻ニ是ヲ付ル、〉
將軍家
建久元年十二月二日、鎌倉ノ右大將、〈賴朝〉直衣始ノ參内ニ、檳榔毛車ヲ用ヒラル、
建武元年十一月廿九日、等持院將軍、〈○足利尊氏〉參議ノ拜賀ニ、檳榔毛車ヲ用ヒラル、
文明十八年七月廿九日、常德院將軍、〈○足利義尚〉大將ノ拜賀ニ、新調ノ檳榔毛ノ車ヲ用ヒラル、
諸家
康治二年九月八日、齋宮啓行ノ日、宇治左府、〈○藤原賴長〉大納言ノ大將ニテ、檳榔毛ノ車ニノル、
曆應四年正月朔日、中院大納言參内ニ、毛車ヲ用ユ、

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0818 檳榔車〈毛車是也〉
親王、執柄、大臣、納言、參議、散二三位、皆用レ之、〈古者、僧綱乗レ之、〉女房又乘レ之、〈賀茂祭女使、幷入内出車等、納言參議皆獻レ之、車副牛童雨皮持等如レ例、〉親王以下、束帶直衣共乘レ之、箱無二物見一有二開戸一、〈前後有二高欄一〉棟表袖表左右、各覆二檳榔一有二腰蓑一、親王以下無レ差、内方棟及左右各有二格子一、下張粉紙、
簾濃蘇芳竹、紫編糸、錦緣七緖、〈裏緣紫唐綾、或白〉親王以下無レ差歟、緣七ニ、中左右ノ端ト中央兩所ト四筋ハ付レ簾、其間ノ三筋ハ不レ付レ簾、崎ニ有二金物一、
下簾蘇芳末濃、納言以上懸レ之、參議已下不レ懸レ之、長九尺五寸、表晴ノ糸アリ、一幅ニ三所三釘サシ也、但裏表同樣ニ可レ指也、是有二表裏一也、差別ハ以レ裏爲レ表懸レ車、依レ有レ憚也、件糸上程少分、蜷ニ結レ之、糸ノ長サ當二車簾中尺程一也、三中、抄モ二幅アルヲ右幅ノ左端一尺餘リ下ヲ取テ、筒貫ノ端ニ夾、左又同レ之、其簾ヲ卷ニ、上七八寸許ヨリ下簾ヲ取加テ卷二上之一、後方不レ挾也、
疊繧〓緣、有二引懸筵一、前後同差二繧〓緣一、
鞦平畝鞦、以上親王、以下無レ差、
榻親王大臣、黃金物、大中納言參議等、黑金物、納言大將等、半蔀、網代車、八葉車等ハ散物、毛車ハ鐵ノナマシ金物也、家例如レ此、牛童持レ之、
綱白布打レ之、三打ニ長ク打テ、二重ニ取テ中央ニ付、別緖其緖ヲ牛鼻ニ付テ、車副二人、左右ニ張レ之、
兩皮表裏平絹淺木、三位以上無レ差、緯ノ左右妻ニ入二結繩一、以レ之付二雨皮一付二金物一、〈今案〉退紅仕丁持レ之、

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〔枕草子〕

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〈二〉

p.0819 こゝろゆくもの
びらうげはのどやかにやりたる、いそぎたるは輕々しく見ゆ、

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〔古事談〕

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〈二/臣節〉

p.0819 貞信公〈○藤原忠平〉ノヒタマユト云檳榔ハ、代々一ノ所ニ傳ヘテ有ケルヲ、知足院〈○藤原忠實〉ノ御時、八條大相國、〈○藤原實行〉與二高松中納言實衡一同時拜二參議一、共ニ申二御車一之間、ヒタマユヲバ、高松宰相ニ給之由、内々有二其吿一、同〈ク〉バヒタマユヲコソタマハラメト思テ、同日拜賀之間、於二陣口一仰二雜色一〈天〉被二奪替一云々、件雜色、於二天下一依レ爲二無雙一、京童部、高松之車副等、不二及二敵對一ト云々、件車相二傳三條内府一、〈○實行子公敎〉而薨逝之時、葬例可レ爲二毛車一之由依二遺言一、取二寄件車一之處、相國禪門聞二此由一、爭〈デ〉可レ用二件車一哉トテ、臨時被レ用二他車一云々、雖レ然其料トテ取寄タリシ車ナレバトテ、子孫被レ棄二置之一、或人云、件車在二西院一云々、
○按ズルニ、高松中納言實衡ハ、大宮中納言通季ノ誤ナルベシ、通季ハ實行ノ弟ニシテ、公卿補任ニ據レバ、永久三年四月二十八日、實行ト共ニ參議ニ任ゼラル、忠實關白ノ時ナリ、而シテ實衡ハ長承三年參議ニ任ゼラル、永久三年ニ後ルヽコトニ十年ナリ、

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〔江談抄〕

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〈二/雜事〉

p.0820 英明乘二檳榔車一事
又被レ命云、英明、〈○源〉昔乘二檳榔車一、被レ参二法性寺御國忌一、公卿多以參會、朝成卿云、公卿之車外、有二檳榔車一、誰人車哉、英明被レ答云、下官車也、若被二咎仰一者、不レ可レ乘二檳榔車一之由有二所見一者欲レ承云々、件法式無二所見一云云、

↑

〔中右記〕

p.0820 天永二年七月十四日、行二向戸部〈○源俊明〉御許一談二万事一、午後歸、民部卿談給云、檳榔毛車、下簾上簾、當レ用二同色一、但靑表簾〈ニハ〉用二蘇芳下簾一、蘇芳表簾〈ニハ〉不レ用二靑下簾一之由、故大宮右大臣殿〈○俊家〉所レ被レ仰者也、

↑

〔續世繼〕

↑

〈六/弓の音〉

p.0820 太政大臣伊通のおとゞ、〈○中略〉つかさをもかへしたてまつりて、いりこもり給ける時、びりやうげの車やぶりて、いへの前の大みやおもての大路にて、とりいだして燒きうしなひ給けるは、節會の日にて侍りけるとかや、

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〔永昌記〕

p.0820 大治四年閏七月廿日丙寅、今日上皇〈○鳥羽〉御幸云々、内相府、〈○源有仁〉曉更駕二籧篨車一、著二直衣一被レ參不レ被レ用二服車之儀一歟、先日被レ蕁之日、一日檳榔車、網代、簾可レ懸二靑下簾一、一日筵車、但毛車可レ宜之由答申了、然而非レ例、新儀万事如レ此、又凡雖二佛事穢中一、於二寺門一難レ被レ行、況上皇御幸如何、〈以二傳説一記レ之、尚可レ訪、〉

↑

〔吾妻鏡〕

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〈二十三〉

p.0821 建保六年六月廿一日辛酉、午刻忠綱朝臣、令レ運二件調度等〈○源實朝大將拜賀料〉於御所一、御車二兩〈檳榔、半蔀、〉九錫彫弓、御裝束、御隨身裝束、移鞍等也、是皆自二仙洞一被二調下一云々、

↑

〔後愚昧記〕

p.0821 應安七年五月廿七日、今夜二位中將、〈實冬公〉先申二拜賀一、可レ供二奉行幸一、〈○中略〉
車〈檳榔毛、不レ懸二下簾一、二位三位例也、片綱也、是又同前、納言以上ハ、懸二下簾一差二諸綱一也、〉
榻〈黑金物、大臣息、可レ爲二黃金物一也、然而借二請前右大將一之間如レ此、〉
前右大將毛車、皆具借レ之、

↑

〔園太曆〕

p.0821 貞和四年十二月廿五日、傳聞、今日賀茂臨時祭也、依二代始一公卿使也、新宰相長顯朝臣勤レ之、今日卽奏レ慶也、毛車爲二祝著一借レ之、仍遣畢、
懸二下簾一遣レ之、是祝著之故、先懸二下簾一立レ之、乘用之期撤レ之云々、榻雖レ可レ遣、黃金物、内府〈○藤原道嗣〉庭座料被二借用一了、仍不二相具一也、

↑

〔花營三代記〕

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〈中〉

p.0821 康曆三年正月七日、白馬節會御出仕記、
御車〈毛車〉
御車副四人、如木牛童一人、〈持レ榻〉雨皮仕丁、笠持舍人、〈○中略〉
次扈從公卿〈毛車〉

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〔言經卿記〕

p.0821 慶長八年二月廿三日庚戌、松田勝右衞門、中國酒、白ネリ、鴨〈一番〉等持參被レ來了、則飡振舞、冷モ相伴了、大樹〈○德川家康〉御參内ニ付而、車之事談合、廿五日壬子、松田勝右衞門ヨリ可レ來由有レ之、然共北向所勞ニ而、ヤガテ可二罷向一由申遣了、後刻罷向、書籍ドモモタセ了、朝飡相伴了、注進了、
檳榔車
一半蔀、幷庇有レ之、
一總絲、但色者書物ニ無レ之、何色にても不レ苦歟、一疊者、大紋歟、但繧〓緣共有レ之、
一簾、蘇芳綠緣金綾、物見簾同之、
一下簾、蘇芳末濃、
一鞦、連著、平鞦、色紅、組鞦總、上古はちいさくみじかし、中古は總甚ながしと有レ之、然ばいとにて可レ有レ之か、
一搨黃金物、
一牛の衣、沓、遣繩、引繩、三尺繩、おもがい、とこまき等、書物ニ不二見申一候、
一車の内、あげまきのいと、
一車の内、はりつけ、繪を書申候、
一かうろ、かうばし、ぼん、かうばこは、車に入可レ申候、
一しびん之事可レ有レ之候
一牛かい、車ぞい、しき物、しぢ持、何れもこの已前、相替事有レ之間敷候、
一牛のくら、かき物不レ見候、
二月廿五日山科
中院ヨリ、松田勝右衞門に注進候如レ此、隱密令レ見了、
檳榔車
一半蔀、幷庇有レ之、
一疊、繧〓緣、
一簾、蘇芳線緣、金綾、物見簾同之、
一下簾、蘇芳末濃、一鞦、連著、平鞦、色紅、
一榻、黃金物、
一遣繩色白、布ヲナイタル物歟、
一鞍無レ之
廿六日癸丑、精好屋藤右衞門尉、五十疋持參了、勸レ酒了、松勝右ヨリ、下簾事マカセ候由也、書狀可レ遣之由にて遣候、如レ此、
精好屋、只今來申間、下簾末濃事談合申、此色可レ然存候、猶懸二御目一可レ申候、恐々謹言、
二月廿六日山科〈判〉
松田勝右殿
三月一日戊午、早朝ニ翆簾屋來了、大樹御車ノ簾、談合ニ來了、

↑

〔日本紀略〕

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〈十一/一條〉

p.0823 寬弘元年五月四日丁亥、以二大威儀師延源一准二僧綱一、聽レ居二筥檳榔毛車榻等一、

↑

檳榔庇車

↑

〔世俗淺深秘抄〕

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〈下〉

p.0823 一檳榔廂車、有二下方總一、此條古人難云々、但古車多如レ此、未レ知二其是非一也、

↑

〔飾抄〕

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〈下〉

p.0823 一車
檳榔廂
保延二三四、大殿〈○藤原忠實〉春日詣、直衣冠、檳榔、〈有二半蔀庇〉〈一〉

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〔桃華蘂葉〕

p.0823 一車事
檳榔庇、〈有レ庇〉太閤之時乘レ之、此車知足院(○○○)、〈○藤原品實〉長承比(○○○)、始而廻(○○○)二意巧(○○)一令(○)レ造(○)給、眉ハ常眉ノ角ノ入タル也、凡家ハ太政大臣之時、或用レ之、眉如二唐棟一、故是ヲモ號(○)二尼眉(○○)一云々、
檳榔廂指〈今案太閤御時召レ之〉
御車内黑漆、〈在二金物一〉垂木塗レ朱、物見外上二連子一、物見緣黑漆、〈在二金物一菱〉物見下檳榔毛、袖横緣上唐草、〈綵色彫二透之一〉袖下、〈同彩色、地押二金薄一〉袖内横緣下黑漆、〈在所地押レ紙〉袖内横緣、〈菱釘各四〉簾、〈蘇芳編糸、紫七緖、緣錦如二檳榔一、裏綾紫、〉小簾、〈四枚、四緖懸緖、八筋、長各二尺、櫨匂、〉下簾、〈同二檳榔一有レ繡〉廂結二細美布一、〈高欄如レ例、在二金物一、〉御榻如レ常、〈在二金物一〉繧〓端帖、〈京筵〉開戸、〈黃金物〉保延、八幡詣、下簾蘇芳、有二緣金物一、依二一日晴一歟、尋常靑糸濃無レ緯、

↑

〔三條家裝束抄〕

↑

〈坤〉

p.0824 車
檳榔庇
太上天皇、攝政、關白、大臣、親王等是ヲ用ユ、
嘉禎三年三月廿六日、近衞前關白、〈○藤原家實〉兵仗ノ拜賀ニ、檳榔庇車ニ乘ル、其體上檳榔庇、同ジク檳榔總アリ、袖ノ上ノ座連子唐花ヲ晝ク、物見半蔀アリ、蘇芳ノ簾、同下簾、
將軍家
永享九年十月廿一日、將軍家ニ行幸ノ日ナリ、仍テ普廣院將軍、〈○足利義敎〉左大臣ニテ、行幸以前先參内ノ時、檳榔毛ノ庇車ヲ用ヒラル、
攝家
天承元年十一月廿九日、知足院攝政、〈○藤原忠實〉兵仗ヲ賜フ後、初テ參内、檳榔ノ庇ヲ用ユ、靑キ簾、同靑キ下簾ノ由見ヘタリ、
文治二年二月朔日、月輪攝政、〈○藤原兼實〉内府〈○後德大寺實定〉ノ相伴ノ院參、攝政庇ノ車、内府半蔀ノ車ニ乘ル、
諸家
納言ノ大將、開白ノ許ヲ受テ、庇ノ車ニ乘ルコト、保延六年十二月九日、久我右大臣、〈○源雅定〉大將ノ直衣始ニ、法性寺關白〈○藤原忠通〉ノ許ニヨリテ、始テ半蔀ノ車ニノルヨシ見ヘタリ、

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0824 檳榔庇車親王、執政、太政大臣用レ之、〈束帶時乘レ之〉直衣始時、靑簾同下簾垂レ之、用二畝鞦一、

↑

〔九條家車圖〕

p.0825 保延五年十月、八幡賀茂詣日有二繪樣一、
檳榔庇御車内黑漆〈在二金物一〉
垂木塗レ朱物見外上二連子一
物見緣黑漆〈在二金物一、中菱釘、〉物見下檳榔毛
袖横緣上唐草〈采色彫二透之一〉
袖下同綵色地押二金薄一
袖内横緣下黑漆〈有子地押紙〉
袖内横緣〈菱釘各四〉
簾塗白綠緣靑地錦〈牡丹文〉
下簾靑下濃文雲鶴〈縫二菊折枝一〉
高欄如レ例〈在二金物一〉
車輿縛緖白生絹〈下結白布〉
棟木革崎富尾軸轄頭木
已上木口各入二透金物一
榻如レ例〈在二金物一〉疊國筵、緣高麗、

↑

〔三長記〕

p.0825 建久九年正月廿一日己未、今日仙院、初御二幸于七條一、〈○中略〉
御車〈庇葺檳榔毛、殿下令二調進一給、〉

↑

毛絲車

↑

〔撮壤集〕

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〈中/車〉

p.0825 絲毛(イトゲ)

↑

〔延喜式〕

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〈四十一/彈正〉

p.0825 凡内親王三位已上、内命婦及更衣已上、幷聽下乘二絲葺有レ庇之車一、幷著中緋牛鞦上、

↑

〔好古日録〕

↑

〈下〉

p.0826 絲葺車
絲葺ノ車ハ、絲ヲ以屋ヲ葺ク、故ニ絲葺ト云、近世職達ノ人ノ庇差絲葺ノ車ノ圖モアリテ、故實ヲ心ガクル人、寫シテ秘藏ス、然ルニ是無稽ノ事也、絲葺トイヘバトテ、絲ニテ葺タル者ニアラズ、思フベシ、絲ヲ以テ屋ヲ覆フ理アラムヤ、

↑

〔西宮記〕

↑

〈臨時八〉

p.0826 糸毛、式部卿、依二一分召一參著、乘二庇指糸毛車一、

↑

〔西宮記〕

↑

〈臨時五〉

p.0826 東宮行啓
天曆四年十月廿一日、皇太子、〈○冷泉〉入二桂芳坊一〈○中略〉云々、太子與レ母〈○藤原安子〉御二乘牛車一、〈廂差糸毛〉

↑

〔故實拾要〕

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〈六〉

p.0826 糸毛車
是后宮女御ノ乘玉フ車也、糸毛ノ車ト云ハ、色々ノ糸ヲ以、車ヲ飾タル物也、

↑

〔飾抄〕

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〈下〉

p.0826 一車
糸毛
仁安三十廿一、御禊、女御代車、〈貞信公(藤原忠平)靑糸毛(○○○)、前攝政、被レ調二獻之一、〉簾、〈靑糸毛卷、有レ繡、〉下簾、〈靑色有レ繡、浮線綾、〉頸總、〈靑色〉組總、〈村濃〉鞦、〈赤革朱漆付二杏葉一〉疊繧〓端、錦茵、雲珠〈寬弘以後不レ居レ之〉雨皮持一人、烏帽子、狩衣、退紅襖衣、白襖袴、〈布下袴〉
永治元十、御禊、御車、〈貞信公御車、相國加二修理一、〉葺二靑糸一押二金窠文一、靑簾〈有二繡伏組一〉浮線綾、綾靑下簾、〈有レ繡〉繧〓半帖、唐錦緣茵、赤鞦、〈付二杏葉一〉棟緂組綱、雲珠、〈寬弘以後不レ居レ之、今度可レ居之由有レ仰、不、レ知二其旨一之處、依二御牛震一令レ取レ之也、〉頸總、〈同以下可レ付レ之、而御牛垂レ頸、依レ被レ引レ地、又令レ取レ之、〉牛、〈自レ院被レ獻也〉
紫糸毛車(○○○○)
永治元十、御禊、女御代二車、用二朱雀院車一、而后宮出車料、自二殿下一被レ召了、仍用二齋院車一、是又先例也、廟差二紫糸毛一、押二金窠文一、紫糸卷簾、〈有レ繡〉同色頸綱、繧〓半疊、東京錦茵、赤革鞦、〈杏葉〉棟緂組總、三車、〈齋院車、按察大納言被レ獻、實本家御沙汰、〉無レ庇紫糸毛、押二金銀窠文一、〈相交〉自餘同二二車一、〈已上、自二一車一至二于二三一、金作車、不レ出レ袖、〉長元九、御禊、女御代御車、靑色糸毛庇指、
二車〈有レ廂、自二此車一以下、皆紫糸、〉四車〈無レ庇〉

↑

〔物具裝束抄〕

p.0827 一車事
靑絲毛(○○○)〈東宮乘レ之〉
赤絲毛(○○○)〈賀茂祭女使乘レ之〉

↑

〔桃華蘂葉〕

p.0827 一車事
貞信公絲毛元永二年三月七日、中宮〈○待賢門院璋子〉御料、自レ院借二召之一、稱二破損之由一不レ被レ獻レ之、爰上皇〈○白河〉仰云、借請之條不二落居一也、累代無二止事一、一家皇后乘來車也、而立二他家一不覺、后其料借請、誠可レ惜也云々、〈師時記〉

↑

〔三條家裝束抄〕

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〈坤〉

p.0827 車
糸毛
此車ニハ、院、后宮、東宮、内親王、女御代、攝政、關白、是ヲ用ユ、又式部卿、召ニヨリテ省ニ向フ時、庇差ノ糸毛ノ車ニ乘ト云々、〈○中略〉土御門大納言ノ云、貞信公〈○藤原忠平〉ノ靑糸毛、執柄家ノ秘藏ノ間、白河院造給カト云々、
貞信公ノ靑糸毛車
輿、〈寸法例ノゴトシ、檳榔、〉轅輪、〈同前、以上金銅ノ金物ナリ、〉前後庇、〈靑キ總アリ〉上葺、〈靑キ糸綱、付レ緖、糸毛ノ上ニ金銅窠文ヲ付ル、其間ニ唐草ノ文ヲ付ル、〉簾、〈面靑シ、薄靑ノ糸ヲ以テ、竹ニ卷テ是ヲ編ム、練糸也、孔雀ノ丸ノ文ヲ繡フ、緣ハ薄靑ノ秘錦、棟緂ノ平組、掘物ノ金物アリ、裏靑平絹、金物アリ、或記、ニ、萌木打ト記セリ、〉下簾、〈靑キ文、濃有文ノ紗繡アリ、孔雀唐草、又所々ニ蝶アリ、長七尺二寸五分、〉疊、〈繧〓端、京筵、引立筵ナシ、〉茵、〈東京錦〉遣繩、〈唐綾綾緂、丸緖總アリ、長一丈五尺、〉鞦、〈平皮是ヲ帖厶、其上朱ヌリ、杏葉十六枚、蝶十八、〉胸懸、〈同前、杏葉五枚、蝶五、革崎、〉面懸、〈同前、杏葉革崎六、〉榻、〈鵲足、金物總角組、四ノ角是掛ル總ナリ、面靑地ノ錦、緣四方ニ伏組アリ、〉

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0827 糸毛車〈糸毛庇靑糸毛紫糸毛〉后宮中宮春宮准后乘二靑糸毛一〈前後有レ庇〉
更衣典侍尚侍乘二紫毛車一

↑

〔輿車圖考〕

↑

〈四〉

p.0828 糸毛車
淺浮抄云、ビロゲ、イト毛、同ジ物ナリ、ビロウヲ細クフリタレバ、糸ノヤウニ白ク、ウツクシク見ユルナリ、名物ノ靑糸毛モ、コノワリタル細キビロウヲ、靑ク藍ニソメタルナリ、
この説はうたがはし

↑

〔空穗物語〕

↑

〈嵯哦の院二〉

p.0828 御車、宮の御方に十、女御の御かたに廿いとげ(○○○)六、びらうげ廿、うないしもつかへ車ふたつづゝひとたまひどもは、これかれいだし給、くるまのくちつきども、さうぞくとものへかたちもえらびて、十人づゝつけたり、

↑

〔紫式部日記〕

p.0828 御こしには、〈○一條后藤原彰子〉宮のせんじ乘る、糸毛の御車(○○○○○)に、とのゝうへ、〈○彰子父道長妻倫子〉少輔のめのと、若宮〈○後一條〉いだき奉りてのる、

↑

〔扶桑略記〕

↑

〈三十/白河〉

p.0828 承保二年正月十三日丙午、中宮〈○藤原賢子〉自二定綱朝臣洞院宅一、遷二御東三條第一、用二鳳輦一、皇子〈○敦文〉絲毛車駕、殿上侍臣、幷朝大夫勤二仕前駈一、

↑

〔爲房卿記〕

p.0828 寬治六年三月四日丁亥、院幷中宮、渡二御鳥羽一、中宮令レ駕二糸毛車一給、〈貞信公御車、自レ殿被レ獻レ之、所司二分十人、副軒侍四人、束帶步行、〉無二糸毛金作一、騎馬女藏人、諸衞供奉如レ例、

↑

〔中右記〕

p.0828 元永元年五月十八日、晩頭參院、糸毛車所レ被レ作也、御車、皇后累代之所二用給一車、殿下〈○藤原忠實〉相傳給車也、以二件車一爲二本樣一被二作摸一也、是中宮御料也、

↑

〔長秋記〕

p.0828 大治四年四月十九日丁卯、齋院三年祭了、入二給于野宮之御禊也、〈○中略〉頭辨云、今朝行事、上卿大納言宗忠卿、稱二先例一、一車料、被レ申二請攝政家鞦一、攝政〈○藤原忠通〉云、糸毛車、苧鞦付二杏藁所レ用也、

↑

〔台記〕

p.0828 康治元年八月十三日癸酉、定二女御代雜事一、〈○中略〉讀二長元九年定文一、依レ爲二吉例一也、諸事如二長元一、但長元、女房六十四人、童女八人、庇絲毛二兩、此事甚奢麗、因尋二天仁元年之例一、庇絲毛一兩、女房二十人、童女四人、今度於二此事一者、依二天仁之例一、

↑

〔台記別記〕

p.0829 久安四年十月一日乙卯、使三範家奏二法皇〈○鳥羽〉及攝政一〈○藤原忠通〉曰、欲レ承、正月十九日、皇后〈○鳥羽后藤原得子〉奉二消息一、申二攝政殿一曰、爲二女子入内時乘用一、賜二貞信公靑絲毛車、同公輦車一將二修理一、報曰、件兩車、在二禪閤一、〈○藤原忠實〉須レ蒙二彼許一、卽申二禪閤一、報曰、擇二吉日一吿レ之、以二其日一與レ之、卽問二於在憲一、對曰、明日可、〈不レ成二勘交一〉禪閤迺者御レ京、二日丙辰、禪閤、使三采女佐政親賜二貞信公兩車一、於二南庭一與二右大將一〈○藤原實能〉倶見レ之、〈○余(藤原賴長)著二烏帽直衣淺黃指貫一〉裝二飾輦一、頃之解レ之、仰下可二修理一之狀於顯憲朝臣、〈輦車〉親隆朝臣上、〈絲毛〉立二此兩車於西隣半作家一、差二分當番雜色三人一護レ之、

↑

〔台記〕

p.0829 久壽二年十月五日己卯、傳聞、東宮〈○後白河〉自二鳥羽南殿一、行二啓同田中殿一、先例召下在二禪閤之貞信公靑糸毛上、今度被レ用二在レ院之靑絲毛一云々、件車、故待賢門院、爲二中宮一常出入之時、白河院被レ造云々、

↑

〔飾抄〕

↑

〈下〉

p.0829 一車
糸毛〈○中略〉
通方按、貞信公靑糸毛、執柄家秘藏之間、白川院始令レ造給歟、且藻壁門院、〈○後堀河中宮藤原竴子〉入レ宮之時、靑糸毛新車又出來、入道相國造レ之云々、件車在二近衞之流一故也、

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〔百練抄〕

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〈十七/後深草〉

p.0829 正元元年三月五日、今日於二西園寺一、爲レ被レ供二養一切經一、早旦中宮〈○東二條院藤原公子〉行啓、先御〈、靑糸毛新調也○中略〉未刻許、春宮、〈(龜山)糸毛御車、傳右大臣實雄公、候二御車後一、〉行二啓御堂一、

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鴨毛車

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〔江家次第〕

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〈五/二月〉

p.0829 春日祭使途中次第〈○中略〉
昔蕃客參入時、重明親王、乘二鴨毛車一、著二黑貂裘八重一見物、此間蕃客纔以二件裘一領一持來爲レ重、見二物人重一大慙云々、

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網代車

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〔下學集〕

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〈下/器財〉

p.0829 網代〈捕魚處、又奧車所レ言、〉

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〔好古日録〕

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〈下〉

p.0830 絲葺車
或聞書ノ中ニ、車ノヒアジロハ、古昔ハ、檜ヲ以クミタル故ニ、ヒアジロト云、今竹ニテ制スルハ非ナリ、是紀圖南老人ノ説トテ記セリ、余〈○藤井貞幹〉按ニ、河海鈔曰、網代屛風、普通ノアジロニテ張タル屛風ナリ、昔ハ山莊ナドノ古メカシキ調度ニハ定事也、漆骨ニ片面ヲ張テ、細組ニテ閉合タル物ナリ、籧(アジロ)屛風ト書也又ヒアジロノ屛風トイフ物アルカ、車ノヒアジロハ、竹ヲ日ニ白クサラシテ、クミタル物也、其體ナルモノカ、シカレバヒアジロハ、檜ニ非ズ竹ナリ、圖南老人ノ説ト云、疑フベシ、

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〔三中口傳〕

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〈一〉

p.0830 一出行事
車〈○中略〉
千加倍(チカへ/○○○)物見車(/○○○)〈網代車號(○○○○)〉
䙝時乘レ之、下簾或懸レ之、或不レ懸、〈○中略〉
〈三條〉一車〈○中略〉
〈號二網代車一是也〉
上白御車(○○○○)
尋常時儀可レ乘、車副晴儀六人、内々四人、前駈以下同前、

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〔飾抄〕

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〈下〉

p.0830 一車
網代〈連子、或號二網代庇一、〉
網代有レ庇、或網代有二連子物見一懸レ簾、攝政、關白、大臣、大將乘レ之、

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〔桃華蘂葉〕

p.0830 一車事
網代褻時召レ之、下簾尋常也、
網代、〈上白、袖如二半蔀一、立板大八葉、〉簾、〈如レ常〉執政之時、稱二網代始(○○○)一、召二具布衣隨身一時用レ之、其以後䙝時、毎度用レ之、不レ引二移馬一、上臈、隨身、烏帽猶乘二移馬一在二車後一、最密々之時、或牛童遣レ之、檳榔八葉等、不レ被レ立二外車宿一、庇半蔀網代等立レ之、建曆元年八月十二日、〈玉蘂○中略〉建保四年二月十三日、〈同御記〉未時許參内、網代車、依二破損一召二中將公雅車一用レ之懸二下簾一、用二殿上人、若八葉車一之時、先例如レ此故實云々、私案云、唐庇〈眉如二唐棟一有レ庇〉執柄春日詣、幷御禊行幸乘レ之、又任太政大臣拜賀用レ之、昔私家有レ之、破損之後、自二中古一申二出院御車一所レ用也、
網代車、〈無レ庇、眉如二常八葉一、物見不レ開レ之、無二輦戸一、〉自二雲客時一、至二大臣幷攝關一時用レ之、各有二差別一、䙝時乘レ之、大將乘用車、號二違(チガヒ)物見車一、攝家大臣以前、不レ打二外金物一、凡家打レ之云々、當時八葉、大略同二網代一者歟、

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〔三條家裝束抄〕

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〈坤〉

p.0831 車
網代
土御門大納言ノ抄ニ云、網代、庇ヲサシ、或ハ連子アリ、或ハ物見ニ簾ヲ懸ルハ、攝政、關白、大臣、大將、是ニ乘ト云々、今案ズルニ、此外上白同前也、又網代ニ庇、或連子等ナキハ、納言以下用ベキナリ、

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〔蛙抄〕

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〈車輿〉

p.0831 網代車〈或號二輦物見車(○○○○)一、或號二袖白車(○○○)一、大臣、及納言、大將乘用時、可レ有二此號一、自餘公卿不レ乗二袖白綱代車一之故也、〉
大臣以下公卿用レ之、〈如二毛車一或抄云、䙝時用レ之、〉多者直衣之時乘二用之一、又䙝時、若ハ遠所之時、著二束帶差綱一乘レ之、但當家著二束帶一時、打任テ不レ乘歟、可レ勘、
箱如二八葉一、無二半蔀一、無二開戸一、三位已上無レ差、
網代大臣、棟ノ表、幷物見ノ上、白網代無文、物見ノ下、例網代、〈靑地黃文〉袖表白網代、以レ漆畫二之我家車文一、
納言、大將、棟ノ表、幷物見、物見ノ上ノ細處ニ有二小八葉一、〈此外無レ異二于大將一〉上下皆例ノ網代、〈靑地黃文、我家車文也、物見上網處無文、〉袖表如二大臣、大中納言、參議之時一、物見板黑漆長物見蟹甲如レ例、大臣、大將、納言、參議無レ差、
同下立板内方黑漆如レ例、大臣已下無レ差、
金物大臣、内外黃金物、納言大將、外金物散物、〈攝關ハ大臣已前、無二外金物一云々、〉内金物、幷簾懸、雨皮付等皆黃金物、大中納言、無二外金物一、内金物蟹甲雨皮簾懸、皆黃金物、
下張無レ薄、大臣以下差無レ之、
簾靑簾、藍革〈見二半蔀所一〉五緖如レ例、大臣、納言、大將無レ差、大中納言、參議等四緖、此外有二上革一、
下簾不レ可レ懸レ之、大臣已下同レ之、家説分、明也、三中抄云、千加倍物見車、〈網代車號〉䙝時乘レ之下簾或懸レ之、或不レ懸レ之、他家記、已兩樣也、
疊大文高麗、大臣大將同、大中納言參議等小文、
鞦同二半蔀一、大臣大將同、大中納言〈○下文闕〉
榻大臣大將、同二半蔀一、大中納言、黑金物、
綱同レ上遣二牛童一之時、可レ差二遣繩一歟、具見レ左、
雨皮同レ上
車副牛童雨皮持等同二毛車一

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〔蛙抄〕

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〈車輿〉

p.0832 殿上人網代車〈俗號二之文車(○○)一〉
四位五位中將少將、及侍從外衞督佐等用レ之、依二年齡之老壯一有レ差、〈老者自繪也、壯者平文也、〉
箱如二八葉一、但壯年、又ハ袖格子三重襷、〈如レ菱〉軒格子常之體ニテ三重襷、〈非レ菱也〉老年人ハ、倂如二八葉格子一、網代壯年人棟表幷物見上下袖表等、例ノ網代、老年人、物見所下有二大八葉一、其外又如二平文一、
物見板壯年人ハ、外方紺靑地、一枚別ニ扇各一本、扇有二四季繪一、扇、枚別ニ有二日形一、爲二見物一也、蟹甲、〈左右前後同レ之〉内方遠山霞飛鶴等畫レ之、老年人ハ黑漆、以二胡粉一畫レ扇、〈疊扇打替也〉以レ是老年之文車ヲ號(○○○○○○○)二白繪車(○○○)一歟、
同簾無レ之歟、無二所見一、
同下立板壯年人ハ、内方畫圖以下、幷如二半蔀一、〈有二四季繪一、有レ錦、〉老年人ハ、黑漆如二八葉一、
金物外方無二金物一、内方少々有レ之、雨皮付不レ打レ轅、各黃金物、老壯共同レ之、
下張壯年人ハ、以二色々紙一〈紅萌木白黃紺〉張レ之散霰、
老年人ハ、以二白色紙花雲白小霰一張レ之、
融文(トホシモン) 袖ノ内ノ格子ノ上付レ文、〈繪扇也、一方ニ二本、是又有二四季繪一、〉左右前後同レ之、壯年人、有二融文一、老年人、一向無二此文一、
棟融是角總事也、壯年人紅糸、老年人白糸、各付二前方棟木ノ下一、
簾靑簾〈如二半蔀綱代車等一〉藍革緣四緖、壯年人有二菖蒲革一、老年人無二菖蒲一、下簾事不レ可レ懸レ之不レ及二沙汰一、
疊小文高麗、有二引懸筵一、
鞦畝
遣繩白布
楊不レ可レ用レ之、凡四位已下法也、

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〔故實拾要〕

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〈六〉

p.0833 網代車
是網代車トハ、以二網代一包タル車也、色繪ナドアルナリ、

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〔九條家車圖〕

p.0833 侍從中少將時召レ之
網代〈上飛散千鳥一立板〉〈石佐々千烏〉袖〈物見通二透亂文一〉同下〈石松千烏〉物見〈紺靑地白千鳥蟹甲金銅千鳥〉
御簾〈五緖編糸〉〈村濃〉〈紫革〉〈小草〉〈蝶小鳥平手見押レ之革前金物入レ之裏白綾〉
上卷組六筋〈長各一丈三尺〉〈鐵尺定之〉〈靑匂若靑紫匂〉
引手組四筋〈長各三尺六寸〉〈鐵尺定〉〈ハジ紫匂〉
立板物見内押レ綾〈和繪山水木立泥繪也〉
同緣錦四尺
棟結茜糸四兩〈四組長三尺九寸鐵尺定〉
下張〈色々色紙〉
袖内龜甲〈押二色々色紙一〉
御座〈小文高麗緣、國筵、〉
金物〈如レ常但雨皮付二金物一入二蒜總一、如二殿上人一、總前ニ打レ之、〉
公卿時召レ之
網代〈白網代、以レ漆書レ蝶、〉
物見〈紺靑地白蝶丸蟹甲〉
立板物見内〈押レ綾繪如二先々一〉
緣錦同
御簾〈五緖編糸村濃藍革〉〈遠文三蝶、無革前金物、〉
引手組四筋〈長如レ先〉
棟通〈如二普通一〉
下張〈白色紙散二白薄一〉御座〈如二先々一〉
御榻〈金物塗籠〉
違物見御車〈同時(公卿)召レ之〉
網代〈押二牡丹蝶一〉上幷立板〈大八葉已上漆網代〉
御簾〈編糸〉〈村濃〉藍革〈如常〉裏〈如常〉
物見立板〈黑漆〉
金物〈如レ常〉外金物、大臣以前不レ打云々、
下張〈白色紙散二白薄一〉
御座〈如レ常〉
御榻金物〈散物也〉
上白御車
網代上白
袖〈白絹代、書二牡丹一、〉
立板〈大八葉〉
御簾〈編糸〉〈薄靑〉
藍革
裏〈白綾〉
下張〈白色紙散二白薄一〉
金物〈外金物〉
御座〈如レ常〉御榻金物〈散物〉

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〔西園寺家車圖〕

p.0836 納言大將、網代車、〈其體見二繪圖一、簾五緖同前、不レ懸二下簾一、〉〈旦依時有曆之例〉
大臣車〈大概不レ違二粡言大將車一、但外金物皆黃金物也、屋形上白網代、〉〈網代ト同色文アリ〉〈物見上、同白網代無文、〉
同網代車〈大概不レ違二柄言大將車一、但物見幷屋形等ノ上、白網代無文、外金物皆黃金物也、〉

↑

〔愚昧記〕

p.0836 承安三年正月九日、今日左相府、〈○藤原經宗〉始可二渡給一、〈○中略〉相府烏帽子直衣、前駈三人布衣、車、〈網代、有二外金物一、〉

↑

〔吾妻鏡〕

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〈十五〉

p.0836 建久六年六月三日丙辰、將軍家〈○源賴朝〉若君〈一万、歲十四、布衣、〉御參内、駕二網代車一給、左馬頭隆保朝臣相具、爲レ加二扶持一也、

↑

〔玉蘂〕

p.0836 承元五年〈○建曆元年〉八月十三日壬辰、抑予〈○藤原道家〉網代車、署所レ用文、只不レ兼二大將一之大中納言之時車文也、〈件車文は、三重だすきの中のぼうたん也、〉依二不審一尋二間或者一〈故入道殿、故殿御時、造工所別當也、〉之處、申云、又治二年、入道殿〈○藤原兼實〉御攝録之初、有二沙汰一、故内大臣殿、令レ用二此文一給了、其後建久二年、故殿〈○藤原良經〉渡二御一條入道殿一之時、〈于時大納言大將也、文治五年十二凡卅日、令レ任二左大將一給也、〉又有二沙汰一、同被レ用二此文一云々、不レ可レ有二不審一事也、予爲レ備二後代一記レ之、繪樣又續入云々、

↑

〔百練抄〕

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〈十四/四條〉

p.0836 曆仁元年二月廿三日乙亥、將軍〈○藤原賴經〉初參内、〈直衣〉網代車、〈鶴文〉

↑

〔新抄〕

p.0836 弘安十年十一月十五日壬寅、今日殿下、〈○藤原師忠〉網代始(○○○)也、御二參室町院一、〈○後堀河皇女〓子内親王〉網代始以前、被レ召二八葉車一了、

↑

〔繼塵記〕

p.0836 文保三年〈○元應元年〉二月十三日己亥、今朝法皇、〈○後宇多〉御二幸北山第一、今年初、網代御車乘御也、

↑

〔園太曆〕

p.0836 康永三年三月廿六日丙辰、今日於二仙洞一、〈○光巌〉被レ供二養尊勝陀羅尼一、〈○中略〉未一點著二束帶一、〈如レ常用二靑緂平緖一〉駕二網代車一〈差繩隨身三人、小雜色五六輩召二具之一、〉參二仙洞一、
貞和四年十二月廿日、春宮大夫〈○藤原實夏〉網代始也、日來網代文用二藤菱一、而繼家事申定後、今日乗二始有文車一也、本人冠直衣、〈下袴〉前駈一人、〈衣冠半靴〉車副二人遣レ之

↑

網代庇車

↑

〔桃華蘂葉〕

p.0837 一車事
網代庇〈眉如二唐棟一有レ庇〉號(○)二尼眉(○○)一、執政幷太政大臣、著二冠直衣一之時用レ之、小直衣ニテ乘用、又有レ例、〈見レ上〉

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0837 網代廂車
親王執政大臣各用レ之〈又上皇内々時用レ之歟〉

↑

〔葉黃記〕

p.0837 寬元四年十月廿四日己酉、大嘗會御禊也、上皇〈○後嵯峨〉御幸、御棧敷、〈○中略〉巳刻出御、其儀如レ常、〈網代廂御車、中菊八葉、袖立上之菊也、御下簾無レ繡、〉五年正月三日丁巳、今日爲二年始御行始一、御二幸承明門院一、本儀明日也、而始駕二御新造網代庇御車一、日次不レ宜云々、仍被レ縮レ之、而元三中、可レ被レ用二檳榔庇一之由、有二執申之人一、先例御不審之由、昨今有二御尋一、前々元三、猶被レ用二網代庇一之條勿論也、近則承久二年正月三日、如レ此歟、二條中納言〈資賴〉奉行、猶依二不審一相尋之處、網代庇之由、分明記置云々、仍申二其由一了、途被レ用二網代庇一云々、

↑

〔增鏡〕

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〈九/草枕〉

p.0837 新院〈○龜山〉二月〈○文永十一年〉七日、御幸はじめさせ給ふ、〈○中略〉おなじ十日、やがて菊のあじろ庇の御車たてまつりはじむ、

↑

雨眉車

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0837 雨眉車〈或雨字作レ尼、非也、網代庇車同物云々、又古車圖之内ニ、有二雨眉緡代庇一、有二雨眉檳榔庇一、所詮通二于兩物一之號歟、可レ尋、〉
太政大臣用レ之、執政依レ事用レ之、〈前官猶用レ之〉

↑

〔三條家裝束抄〕

↑

〈坤〉

p.0837 車
庇車
院、皇太子、攝關大臣、親王、是ヲ用ユ、又半庇ナドイフ車アリ、網代ノ庇ノ類ナリ、雨眉網代庇車、或記ニ、執柄幷ニ太政大臣是ニ乘ル、他ノ大臣是ヲ用ヒズト云リ
其樣
屋形ノ上白キ網代、〈同色ノ文アリ、鞆繪、〉庇ノ上同ク白キ網代、〈文ナシ、四ノ角ニ折金物アリ、〉袖白キ網代、〈漆畫ヲ以テ大鞆ヲカク〉物見ノ下、例ノ網代、〈文小鞆〉袖ノ内、立連子アリ、〈朱ノ細キメンアリ〉其下例ノ連子、庇ニ朱ノ垂木ヲ懸ル、〈璫ノ金物ナシ、璫黃土ヲヌル、〉庇ト物見トノ間、内外ニ横連子アリ、〈朱ノ細メンアリ、角ゴトニ折金物アリ、〉物見ノ板、〈外ニハ簾ヲ綵色、内ニハ遠山霞鶴ナドヲ畫ケリ、〉立板、〈小葵ノ綾ヲ張テ四季ノ繪ヲカク、左ノ前春、同後秋、右ノ前夏、同後冬、〉下張、〈白色ノ紙ハリツケ〉簾、〈靑組ノ糸、五緖一ツ文、藍革ノ緣、文小鞆、裏ノ緣靑キ唐綾、上緖革崎ヲ入、〉物見ノ簾、〈組糸幷ニ裏緣前ノゴトシ、靑地錦ノ緣小文、二枚別ニ組懸紐二筋アリ、〉疊、〈大文ノ高麗緣、京筵、〉下簾、〈靑キ下濃〉鞦、〈絹總紅〉榻、〈黃金物〉

↑

〔西園寺家車圖〕

p.0838 雨眉網代庇車〈執柄幷太政大臣乘レ之、他大臣不レ用レ之、〉
屋形上白網代、〈有二同色文一、小鞆繪、〉庇上同白網代、〈無文、四角ニ有二折金物一、〉
袖同網代、〈以レ漆畫二大鞆繪一〉物見下、例網代、〈文小鞆繪〉袖内有二立連子一、〈朱ノ細メンアリ〉其下、例ノ子如レ恒、庇懸二朱垂木一、〈無レ礑、金物礑ニ塗二黃土一、〉庇與二物見一之間、内外ニ有二横連子一、〈朱ノ細メムアリ、毎角有二折金物一、〉物見板、幷立板繪物見小簾等、如二半蔀車一、大文高麗疊、〈京筵〉簾、下簾、如二半蔀車一、下張白色紙〈有レ薄〉黃金物榻、畝諸總鞦、七枚輪、〈或八枚云々〉有二開戸一、如二半蔀車一、

↑

庇車

↑

〔撮壤集〕

↑

〈中/車〉

p.0838 〓(ヒサン)

↑

〔門室有職抄〕

p.0838 車樣事
庇車院、親王、關白、大臣乘レ之、
庇ノ體ハ如二四方輿一、上白、袖ハ唐草、中ハ管文也、

↑

〔世俗淺深秘抄〕

↑

〈上〉

p.0838 一大臣庇車調〈爾〉有二樣々一云々、庇打付蔀、上蔀、有二兩説一、簾革之文、蝶也、尋常簾革用二三蝶文一、然而庇車〈爾〉用二一蝶一也、可レ爲二藍革一、庇之簾之緣、用二靑地唐錦一、不レ用二他色一也、簾之裏、綠色唐綾〈ヲ〉用也、庇小簾之裏同レ之、車中繪、左前春、右前夏、左後冬、右後秋、

↑

〔桃華蘂葉〕

p.0838 一車事
廂〈號(○)二尼眉(○○)一、御直衣之時召レ之、壽永二、宇治入道、小直衣、乗二庇車一、〉
網代、〈上白、袖龜甲、立板小八葉、〉簾、〈薄靑絲、藍革五緖、裏白綾、〉小簾、〈表靑地錦緣、裹白綾、〉物見、〈外御簾形、内繪落入、〉立板、〈内押レ綾、繪如レ常、緣錦、〉金物、〈雨皮付二散物一也〉散物〈メツ〉〈キヲサシタル金物ヲ云也〉榻、靑末濃下簾、〈或有二被レ略之時一、依二其所一、〉

↑

〔三條家裝束抄〕

↑

〈坤〉

p.0839 車
庇車
院、皇太子、攝關大臣、親王、是ヲ用ユ、又半庇ナドイフ車アリ、網代ノ庇ノ類ナリ、〈○中略〉
院
大治四年正月廿九日、兩院〈○白河、鳥羽、〉加茂社ニ御幸、庇車御同車ト云々、仁安元年十月、憲仁親王、立太子ノ日、上皇〈○後白河〉御幸、庇車ニ乘御、
將軍家
康曆二年正月廿日、鹿苑院准后、〈○足利義滿〉大將ノ直衣始ニ、網代庇ノ車ヲ用ヒラル、
嘉慶二年正月二日、同准后、參内ニ、網代ノ車ヲ用ヒラル、
永享二年十一月九日、普廣院將軍、〈○足利義敎〉大將ノ直衣始ニ、網代ノ庇ノ車ヲ用ヒラル、
攝家
文治三年十一月廿七日、高倉院第一ノ皇子、〈○安德〉著袴ニ、月輪攝政、〈○藤原兼實〉腰結トシテ參内ノ時、庇ノ車ヲ用ユ、
嘉禎四年正月廿六日、圓明寺、〈○藤原實經〉任大將ノ召仰ノ時、猪隈太閤〈○藤原家實〉庇ノ車ヲ用ユ、
諸家
治承三年三月三日、宇治ノ一切經會ニ、花山院太政大臣、〈○藤原忠雅〉上白ノ網代ニ駕ス、貞和五年正月、院ノ御幸始ニ、中園相國、〈○藤原公賢〉網代車ヲ用ルナリ、

↑

〔九條家車圖〕

p.0839 庇御車
網代〈上白〉袖〈龜甲〉立板〈小八葉〉御簾〈薄靑糸、藍革五緖、裏、〉〈白綾〉
小簾〈面靑地錦緣、裏、〉〈白綾〉〈懸緖組八筋、〉
物見〈外御簾形、内繪、〉
立板内〈押レ綾繪如レ常〉
同緣錦
金物〈外金物、但開戸金物、幷雨皮付レ鐵、散物也、〉
下張〈白色紙散二白蒲一〉
御座〈如レ常〉
御榻金物〈散物〉

↑

〔源氏物語〕

↑

〈四十九/寄生〉

p.0840 そのよさりなん、宮〈○女二宮〉まかでさせ奉り給ける、ぎしきいと心ことなり、うへの女房、さながら御おくりつかうまつらせ給ける、庇の御車にて、庇なきいと毛三、檳榔毛のこがねづくり六、たゞのびらうげ廿、網代二、女房三十人、わらは下仕へ、八人づゝさぶらふ、

↑

〔仁和寺御傳〕

p.0840 寬助大僧正
保安二〈辛丑〉年十月六日、任二大僧正一、〈六十五〉拜賀日、聽二庇車一、〈濟信大僧正例也〉

↑

〔玉海〕

p.0840 文治五年八月廿二日己酉、此日下二向南都一、〈○中略〉
今日出行儀
余〈○藤原兼實〉冠直衣、庇車、〈依二遠所一不レ懸二下簾一、故實也、〉
建久四年四月廿八日甲子、此日女房、參二詣春日御社一、〈○中略〉庇車之後、出衣、〈藤衣五領、但薄衣也、有二物具一、〉

↑

〔百練抄〕

↑

〈十四/四條〉

p.0840 貞永元年十一月九日丁卯、上皇〈○後堀河〉御幸始也、廂御車、〈御直衣、奴袴、〉右大將〈○藤原家嗣〉以下供奉、攝政〈○藤原敎實〉扈從、嘉禎三年正月十四日丙寅、攝政〈○藤原道家〉姫君、被レ渡二左府〈○藤原兼經〉亭一、庇車、前駈八人、出車三兩、殿上人五人扈從、毎事新儀也、

↑

牛庇車

↑

〔門室有職抄〕

p.0841 車樣事
半庇院、親王駕レ之、
物見之上許有レ庇、自餘事如二庇車一、

↑

〔山槐記〕

p.0841 元曆二年八月十四日甲子、前齋院〈故高倉三位腹、法皇(後自河)御母、〉准后之後、初渡二御院御所一、〈○中略〉頃之寄二御車一、〈院御車也、物見上有レ庇、袖網代也、〉

↑

庇指車

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車〉

p.0841 長簷車顏氏家訓〈○勉學篇〉云、乘二〈○乘、家訓作レ駕、〉長簷車一、〈今案俗云庇刺車、是乎、〉

↑

〔標注職原抄〕

↑

〈上末〉

p.0841 西宮記に、式部卿、依一一分召一參レ省、乘二庇指糸毛車一と見えたれば、この事、舊式とおもはる、庇指は和名抄に、長簷車、俗云二庇刺車一、是乎とあり、世俗淺深秘抄に、打付蔀差上蔀有二兩説一といへる、差上蔀ぞこの庇差なるべき、和名抄に長簷とあるは、半蔀に對たる稱にて、その庇長く差出たるなるべし、

↑

〔西宮記〕

↑

〈二月〉

p.0841 一分召〈卿(式部)參レ省行レ之、丞一人、乘下結二唐尾一馬上奉行、卿乘二廂指糸毛車一、或於二里亭一行レ之、〉

↑

〔職原抄〕

↑

〈上〉

p.0841 式部省
卿一人
凡當職、其寄異レ他、毎年於二本省一行二諸國一分召一也、〈○中略〉近代其禮久絶畢、件日者、式部卿乗二庇差絲毛車一、

↑

〔西宮記〕

↑

〈臨時五〉

p.0841 皇后行啓
輿車依二本宮定一〈乘輿者、女官騎馬、唐尾倭鞍、女騎、〉〈夲宮人出〉〈乗車者、侍者付レ轅、其車用二庇、指一、〉
東宮行啓延喜十四年二月八日、東宮、〈○朱雀〉參二亭子院一、駕二庇指御車一、
天曆四年十月廿一日、皇太子、〈○冷泉〉入二桂芳坊一、〈○中略〉太子與二女御一乘二牛車一、〈庇差糸毛〉

↑

〔權記〕

p.0842 長保六年〈○寬弘元年〉十二月廿七日丙午、入道中將女子尚侍、參二朔平門下一被レ奏レ慶、〈○中略〉庇差車、金造車、各一、檳榔毛車十、

↑

〔範國朝臣記〕

p.0842 高野山御參詣記
永承三年十月十一日丙子、〈○此間有二闕文一〉廟令レ參二紀伊國金剛峯寺一給、〈○藤原賴通、中略、〉曉更出御、〈庇差御車〉

↑

半蔀車

↑

〔輿車圖考〕

↑

〈九〉

p.0842 半蔀
はじとみは家の如く、物見にべちにひさしあるをいふ、半蔀は、家よりつゞきたるなめり、

↑

〔三中口傳〕

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〈一〉

p.0842 一出行事
車〈○中略〉
捧蔀車(サヽゲジトミ/○○○)〈號(○)二半蔀車(○○○)一〉直衣時乘レ之、但頗刷時可レ用也、可レ懸二下簾一、遠行時不レ懸、〈○中略〉
〈三條〉
一車
〈絹代車是也〉
半蔀御車
晴ニ取テ爲レ宗事ニ可レ乘、物見簾可レ上者、前方計可レ宜、仍本座主御輿張フクラミヲサゲテ可レ上也、タカクナレバ鳥トホリヌトオボユト白河院仰有ケリ、法皇御車、四間ナガラ被レ上タレバ、サオボユルガ故如レ此申也、車副六人四人依二時儀一、前駈人數幷後車等又以同前、

↑

〔門室有職抄〕

p.0842 車樣事
半蔀院、親王、關白大臣、若大將乘レ之、
以二物見一爲二半蔀一、文ハ如二車文一、

↑

〔桃華蘂葉〕

p.0842 一車半蔀〈是猶網代之中也、御直衣、非レ晴之時召レ之、〉
網代、〈上白、袖白網代、以レ漆畫二牡丹或杜若一、立板小八葉、〉物見立板内、〈同二廂御車一〉大略同二廂御車一、金物〈外方、大臣以前不レ打、〉不レ懸二御下簾一歟、
半蔀車、〈網代物見開レ之、物見之上有二半蔀一、眉如レ常、八葉有二輦戸一、〉大將之時乘レ之、大臣攝籙時猶用レ之、攝家大臣以前、不レ打二外金一云々、直衣、非レ晴之時猶用レ之、

↑

〔三條家裝束抄〕

↑

〈坤〉

p.0843 車
半蔀車
院、攝關、親王、大臣、大將、是ヲ用ルナリ、但納言ノ大將ハ差別アリ、其體式記ニ、網代〈棟ノ上、物見ノ上下、例ノ網代ナリ、文鞆繪、〉半蔀ノ上白キ網代、〈文ナシ、裏小格子、或記、例ノ網代ト云々、〉袖ハ白キ網代、〈漆ヲ以テ文ヲ畫ク〉物見ノ板、立板、下張、簾、物見簾、疊鞦、榻等、網代ノ庇ノゴトシ、半蔀ノ上ノ金物銅黃、外ノ金物、關戸ノ金物等、黑赤ノ銅ノ散物、内ノ金物、幷ニ雨皮付栗形アリ、簾懸半蔀等ノ金物銅黃、
將軍家
元曆元年十二月九日、鎌倉ノ右大將、〈賴朝〉先日院〈○後白河〉ヨリ賜フ、半蔀ノ車ニ駕シテ院ニ參ル、攝家
安元二年二月五日、月輪關白、〈○藤原兼實〉御賀ノ後日參内ニ、右大臣ニテ半蔀ノ車ヲ用ユ、

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0843 半蔀車〈號(○)二榛蔀(○○)一云々、文ハ皆用二家文一、三中抄云、直衣時乘レ之、但頗刷時不レ用也、可レ懸二下簾一、遠行之時不レ懸、〉
大臣大將等用レ之、上皇又令レ用給歟、〈大臣及大將時、號二半蔀始一有二別儀一、〉
箱如レ常、但左右有二半蔀一、前後有二開戸一云々、無二高欄一、大臣大將無二差異一、
網代大臣時、棟ノ表、幷物見上白網代、〈棟表者、白浮文、物見上無文、物見下例網代、〉〈靑地黃文〉半庇ノ表、白網代無文、袖表白網代、以レ漆畫レ文、同裏幷半蔀ノ裏、例小格子、
納言大將時、棟ノ表、幷物見ノ上下、皆例ノ網代、〈靑地黃文、物見上無文、〉其外半蔀表、袖ノ表裏等、皆同二大臣一、
物見板落入、依レ時引二上之一懸二之金一、内外施二畫圖一、外ハ五緣ノ御簾帽額等晝レ之、内ハ遠山ニ霞、飛鶴等畫レ之、大臣大將無レ差、
或雨下、或女房乘用之時、可レ懸二此板一歟、
同簾靑編糸、〈大臣一枚ニ四所各四筋、大將一枚ニ二所各二筋、〉靑地錦緣、〈大臣一枚ニ、中ニ三筋、左右端、相合五所也、大將一枚ニ、中ニ一筋、左右緣、相合三筋、皆帽額也、異二于板畫圖一、大臣大將共同、〉攝關家、納言、大臣無二差別一、
同下立板内方張小葵綾、畫二四季唐繪一、〈左ノ前ハ春、同後冬、右ノ前ハ夏、同後秋、〉四方ニ赤地錦緣押レ之、當二黃金物一、大臣大將無レ差、
金物大臣、大將皆黃金物也、納言大將、外金物皆散物、〈黑銅白文〉内金物、簾懸、雨皮付、半蔀金物、皆黃金物、
半蔀上金大臣大將、皆黃、一方各二、一説、又一方各四云々、〈建久二四廿八、山槐記云、二枚切放、長懸金四、是三條左大臣(藤原實房)車如レ此云云、〉
下張白色紙有レ薄、遠霰、大臣大將無レ差、靑編糸、藍革遠文五端、〈上革、不レ入二革崎金一、裏綠靑唐綾、或白、〉大臣大將無レ差、〈各五緖〉
簾
下簾靑末濃、〈白ハ黃淺木也、各三四寸也、末ハ紺也、蜷糸等如二毛車一見レ左、〉大臣大將無レ差、
疊大文高麗緣、〈或小文引懸筵〉〈同綠前後如例〉大臣大將無レ差、
鞦畝糸鞦諸總、大臣大將無レ差、
榻大臣黃金物、或散物、大將散物黑銅白文、網代幷八葉車之時、同用二此榻一、毛車時、鐵ノナマシ金物也、家例如レ此、綱白布打レ之、〈具見レ左〉大臣大將無レ差、

↑

〔西園寺家車圖〕

p.0845 納言大將半蔀車
一網代〈棟ノ上、物見ノ止下、例網代也、文如レ恒、半蔀ノ上白綱代無文、裏ハ小格子如レ例、袖ハ白網代、以レ漆畫レ文、或記云、半蔀上、例網代云々、度々記不レ同、〉
一物見板〈外ニハ簾ヲ探色、内ニハ畫二遠山霞鶴一下ヘ落入之樣ニ構レ之、内ニ構二懸金一懸レ之、〉
一立板〈小葵綾ヲ張〉〈天、〉〈畫二四季繪一、〉〈左ノ前春、同後秋、右ノ前夏、同後冬、〉〈赤地錦緣、上下四角、幷其間有二平金銅金物一、〉
一外金物、幷開戸金物等、黑赤銅、散物、内金物、幷雨皮付、〈有二栗形一〉簾懸、半蔀之角等金物、銅黃物、
一下張〈白色紙有レ薄〉
一簾〈靑編糸五緖一ツ文、藍革緣、文小鞆繪、裏ノ緣ハ、靑唐綾、上緖不レ入二革崎一、〉
一物見簾〈編糸幷裏緣等如レ先、靑地錦緣小文、一方ニ二枚ニ、別懸緖二筋組、〉
一疊〈高筵、大文高麗緣、〉
一下簾〈靑末濃如レ例〉
一鞦〈畝諸總〉
一榻〈散金物黑赤銅、網代幷八葉之時、猶用二此榻一、當家如レ此、〉

↑

〔武家儀式〕

p.0845 半蔀車、大將よりこれにのる、執柄も大臣も、ともに是をもちゆる、そこらのあじろはしうし、袖にうるしにて、きりの立枝をかく、〈御家の文なり〉袖の下ばりは、白きあられの紙にてはるべし、こしのだて板の外は、小八葉のあじろなり、内には四季の畫をかく、緣はあか地のにしき、半蔀のみはしろきあじろ、下はかうしつかひ、幷にかきがねみな金銅なり、物見のおとし入、外には、すだれのかたをかく、うちには雲に鶴遠山なり、をとし入は腰板の中へ入べし、大すだれへり、藍かは、小すだれ、へりあを地のにしき、かけをのくみ八筋、ひらきどのかな物は、ちらし物也、しやくどうに白き紋あり、はんでう、うげんのへり、しぢのかな物、ちらし物なり、一御當家には、大臣以前に、外かな物なし、諸家には、大臣已前にも、金物うつ例あり、

↑

〔扶桑略記〕

↑

〈三十/堀河〉

p.0846 寬治二年二月廿二日己亥、太上皇〈○白河〉爲レ拜二高野弘法大師廟堂一、出二於京洛一、赴二御南京一〈○中略〉攝政〈○藤原師實〉乘二半蔀車一祗候、

↑

〔玉海〕

p.0846 承安二年四月廿八日丙寅、依二奈良僧都借請一半蔀車、車副四人、牛飼赤衣仕丁、〈已上皆給二當色一〉牛等、借二送之一、

↑

〔明月記〕

p.0846 寬喜元年十一月廿四日戊子、明日相國、〈○藤原道家〉初著二直衣一參内給、〈○註略〉半蔀車之眉ヲ如二唐棟一被レ造云々、廿五日己丑、被レ出二半蔀車一、鞆繪〈小八葉之程〉五ヲ、袖ニ如二五目一被レ置、切物見車也、棟如二唐棟一、

↑

〔玉蘂〕

p.0846 嘉禎三年七月五日、〈前關白(藤原家實)言談〉半蔀車、左右簾ヲバ皆卷上可二推張一也、而我乘方ノ後許ハ、不レ上之由見二御記一、但猶正禮皆可二卷上一也云々、

↑

〔鹿苑院殿御直衣始記〕

p.0846 康曆二〈壬子〉年正月二十日、今日、征夷大將軍從一位行權大納言兼右近衞大將源朝臣義滿、御直衣始也、〈○中略〉
御車〈半蔀、今日御直衣始之次、被レ用二網代一始之間、被レ用二此御車一、是又准后(藤原良基)御計也、〉

↑

透車

↑

〔榮花物語〕

↑

〈三十一/殿上の花見〉

p.0846 長元四年九月廿五日、女院、〈○一條后上東門院彰子〉住吉石淸水へ詣でさせ給ふ、〈○中略〉讃岐守よりくにの朝臣のつかうまつりたる御車にたてまつりておはします、〈○中略〉いだし車三、東宮の大夫、〈○賴宗〉權大納言、〈○長家〉左衞門のかう、〈○師房〉たてまつり給くり、思ひ〳〵なる半蔀車の透きとほりたるなり(○○○○○○○○○○○○○)、

↑

〔狹衣〕

↑

〈四上〉

p.0846 みそぎの日にも成ぬれば、つとめてより、大殿たちいそがせ給ひて、〈○中略〉すき車(○○○)のすきかげ、心やすく御らんじわたす、

↑

〔台記〕

p.0846 久安六年二月十六日癸亥、禪閤、〈○藤原思實〉乗二透輦(○○)一〈四面懸レ簾、禪閤平生乗用輦也、〉來二余〈○忠實子賴長〉家門外一、余參上、依レ仰乘二御車後一、

↑

〔玉蘂〕

p.0847 承元三年三月五日、修明門院、春日御幸也、〈○中略〉右少將家嗣、車袖透タリ、未レ聞他家人車、袖透タル事、是法性寺殿、〈○藤原忠通〉自二白川院一給タル車也、仍彼御流之外不レ乘也、尤關白〈○藤原家實〉可レ被二沙汰一事也、但近代之世、不レ及二沙汰一歟、爲レ家無二面目一者也、

↑

〔新撰六帖〕

↑

〈二〉

p.0847 くるま
あはれなどかものみあれのすき車かざりてわたる世となりにけん

↑

八葉車

↑

〔撮壌集〕

↑

〈中/車〉

p.0847 八葉(ヨウ)〈大小〉

↑

〔飾抄〕

↑

〈下〉

p.0847 一車
八葉〈附小八葉〉
大八葉、五緖、長物見、極位人大臣乘レ之、而近代多乘用不レ可レ然云々、
賀茂祭日辨已下車、〈○中略〉
仁安三四十五、右少辨重方車、小八葉、外記吏、无物見一、
保元元四十二、頭右中辨雅敎朝臣車、八葉、物見如レ例、赤鞦、黑牛、
嘉保二四十二、有信問、答江納言〈○大江匡房〉車用二八葉籧篨一、而文依レ有レ例頗大、八寸許如何、予曰、八葉文、大小更不レ可レ有二異議一、時範爲二六位撿非違使一之時、繪二籧篨一、是經幸相議所レ爲也、凡无二便宜一、於二八葉大小一者、殊可レ無二其差別一、又車物見不レ可レ開、是先例也、予爲二廷尉一之時、奉二御禊前駈一之日、兼房朝臣見物陳レ之、所感事二、所レ傾事二云々、所感事二者、一者先容貌、是爲二廷尉一、一者車尤可レ如レ此、〈不レ開二物見一〉所レ傾事二者、一者府隨身帶二鷲毛胡籙一、〈切文〉可レ令レ負二鷹羽胡籙一也、一者冠巾子頗高云々、〈是一説、藏人左將監爲季所二傳語一也、〉
嘉保二四十四、御禊、右衞門權佐時範車、〈八葉網代、打立不レ知、不レ開二物見一、黑鞦、伊知比遣繩、〉

↑

〔門室有職抄〕

p.0847 車文事
親王、長物見小八葉常事也、一ノ人ハ、上ハ白シテ袖ハ牡丹、中ハ嫡子ハ大八葉、次々ハ小八葉也、此晴儀也、又大八葉ノ切物見、此䙝儀也云々、

↑

〔物具裝束抄〕

p.0848 一車事
八葉車〈長物見大八葉、大臣乘レ之、切物見大八葉、上下常乘レ之、小八葉、外記官史辨官、醫陰之輩乘レ之、〉

↑

〔海人藻芥〕

p.0848 車之事
大八葉車ハ、俗中大臣以下公卿、僧中ハ僧正以下僧綱用之、小八葉ハ、四位五位雲客、僧中有職非職等用レ之、紋車家々紋網代組付又袖ニモ繪二書之一、顯職殿上人乘二用之一、〈顯職者、藏人頭、内藏頭、五位藏人、左右兵衞佐等也、〉五位等侍ノ車、竪緣不レ打レ之云々、

↑

〔輿車圖考〕

↑

〈八〉

p.0848 有職抄云八葉〈○中略〉
或抄云、院ノ御車ノ文、内ハ大八葉、袖ハ唐草、上ハ白、是晴ノ時ノ御車也、又大八葉ノ長物見、䙝時ノ御車也云々、又賤官外記史等ノ輩モ、小八葉ヲ用フル也、但下輩ハ物見ヲ切ラザルコト也、院
建保四年四月十四日、賀茂祭、院〈○後鳥羽〉密々御物見八葉車ニ乘御、
貞永二年七月十七日、上皇〈○後堀河〉太政入道川東ノ水閣御幸、八葉ニ乘御、
貞和二年十二月廿日、新院、〈○崇光〉初メテ八葉ニ乘御、
攝家
正和三年閏三月九日、光明照院、〈○藤原兼基〉院參ニ、大八葉ノ車ヲ用フ、
同四年二月十四日、東宮、〈○後醍醐〉初メテ蹴鞠ノ時、關白、〈○藤原家平〉八葉ノ車ヲ用ヒシナリ、
永享十年二月日、後福照院、〈○藤原持基〉吉田社ノ參詣ニ、八葉ノ車ヲ用フ、
寶德四年三月四日、將軍家、〈○足利義政〉花頂花遊覽ノ時、大染金剛院、〈○藤原持通〉八葉ノ車ヲ用フ、長祿二年六月十一日、將軍家、〈○足利義尚〉著陣ノ習禮ニ、大染金剛院、八葉ノ車ヲ用フ、
將軍家
建久元年十一月八日、鎌倉右大將賴朝、上洛ノ後、初メテ參内ノ時、網代ノ大八葉ノ車ヲ用ヒラル、
嘉禎四年二月廿三日、七條將軍、〈○藤原賴經〉上洛ノ後、初ノテ參内ニ、八葉ノ車ヲ用ヒラル、
康曆三年〈○永德元年〉正月十三日、鹿苑院准后〈○足利義滿〉ノ時、一位大將ニテ恒例參内始ニ、此車ヲ用ヒラル、
永享三年十二月十一日、普廣院將軍、于レ時一位大將ニテ、新造ノ室町ノ亭ニ移徒ノ時、此車ヲ用ヒラレシ也、
文安六年三月十一日、普廣院將軍、〈○足利義敎〉新造ノ亭移徒ニ、八葉ノ車ヲ用ヒラル、
諸家
貞和二年十一月九日、風雅集竟宴ノ時、中園相國〈○藤原公賢〉前左大臣ニテ、八葉ノ長物見ノ車ヲ用フ、物見ヲ開テ、藍革ノ五緖ノ小簾ヲ掛クル、内方ニ掛クルナリ、
同三年二月晦日、上皇、〈○光嚴〉天龍寺ニ臨幸ノ日、同相國、八葉ノ車ヲ用ヒシナリ、
嘉吉三年四月廿六日、洞院ノ右大將ノ拜賀ニ、八葉ノ車ヲ用フ、
寶德二年七月五日、將軍家、〈○足利義政〉直衣始ノ參内ノ供奉ニ、花山院中納言、八葉ヲ用フ、但網代ニアラズト云々、同時三條中納言、侍從宰相等、八葉ノ車ヲ用フ、

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0849 八葉車
上下男女眞俗、相通䙝時用レ之、
箱如レ例
網代大八葉棟表、幷物見上下袖表、皆例網代、〈靑地黃文、大八葉、又大臣已下、四位五位無レ差、〉物見長物見、〈是本儀也〉切物見、〈是略儀也〉厨外黑漆有二蟹甲一、〈長物見時、前後左右有、〉
大臣等刷日、物見懸レ簾事有レ之、〈正和五年、物見懸レ之、〉
同下立板黑漆如レ例
金物内方黃金物、雨皮付又同レ之、上下皆無レ差、外方上下一向無レ之、
下張粉紙無レ薄上下皆同
簾同二半蔀網代等一、大臣大將五緖、大中納言參議等四緖、此外有二上革一、
下簾靑末濃、是半蔀、堅固内儀之時、簾懸レ之、是相忍之時儀歟、其外不レ懸レ之歟、
疊大臣大將、大文高麗、大中納言參議已下、小文高麗有二引懸筵一、
鞦太畝
榻大臣黃金物、大將散物、〈黑銅白文〉家例也、大中納言參議等、黑金物、同二毛車一、
遣繩白布〈一打也、長サ綱ノ半分也、崎ヲ牛ノ鼻ニ付也、或差綱、〉准二用網代車一時事歟、
雨皮同レ上
殿上人已下令二乘用著、雨皮付不レ打レ轅、又不レ用二榻及雨皮一、只用二張筵許一、實儀可レ尋

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0850 小八葉車
辨少納言外記史廷尉彈正弼等、爲二儀式官一之輩、及地下諸大夫等用レ之、
日野一流、至二大辨一猶用二小八葉一、仍當家居二辨官一之日、依レ用二彼家説一、延慶二年、左大辨參議中將三官令二兼帶一給之時、被レ用二小八葉一、但與二雲客時一、相替事有二兩條一、其一者、袖表文有レ扇、〈各二本如レ例、左右前後、合八本也、常小八葉ハ無二袖文一、具小八葉也、〉其二者、雨皮付二打轅一、〈常小八葉、俵二殿上人一不レ打レ轅、〉以上兩條、或依二公卿一、或依二羽林一、所二相替一也、當家辨少將之時、袖文又同歟、兩皮付不レ打レ轅許也、
箱如二例八葉一網代棟ノ表以下、各例網代、〈靑地黃文、小八葉、〉片棟ニ六、〈左右各十二〉物見細所ニ五、〈左右合十〉同下ニ八、〈左右合十六〉袖表各二、〈左右前後各八〉
長物見黑漆
簾靑簾如レ例、四緖下簾、不レ及二沙汰一、
疊小文有二引懸筵一
鞦黑鞦〈彈正廷尉、不レ能二左右一、其餘辨少納言赤鞦、家説也、公敏喞、爲二少納言兼大納言一時猶赤、又辨官時同レ之、他家之儀可レ尋、〉
遣繩白見二八葉所一

↑

〔安齋隨筆〕

↑

〈後編二〉

p.0851 一八葉車滋野井亞相公麗卿の云、八葉の車と云は、立板に網代にて八曜を作る事を云、大なるを大八葉と云、小なるを小八葉と云、俗に車の輪木八枚あるを八葉と云といへるは僻事也車の輪木八枚あるものは、輻廿四本也、雜車は七枚也、輻廿一本也、〈○中略〉橘嘉樹云、滋野井殿の御説に、輪木八枚とあれども、予、女御入内の御車、幷加茂祭の車を見しに、何れも七枚也二條の御城に、將軍家の御車あり、是も七枚也云々、

↑

〔鹽尻〕

↑

〈十二〉

p.0851 車大八葉、小八葉、龜甲、蟹甲、車の大八葉、小八葉と云は、此紋繪有より起る、慶長六年に、宮内少輔幸綱奧書せし車繪圖一卷、官庫にあり、夫を考れば、八葉とは靑蓮花の八葉を描く、九曜の星は、これを丸くかきなせし物にや、九條關白經敎公の車繪樣一卷あり、これには九曜を書けり、〈○下略〉

↑

〔翁草〕

↑

〈三十九〉

p.0851 一八葉の車は、輪の葉八ツ有、常ゟ大形成を大八葉と云、小きを小八葉と云、七葉は輪の卯七つ有、小八葉は、轅頸木に至迄眞直也、

↑

〔二判問答〕

p.0851 一廷尉乘車事、可レ爲二五緖小八葉一之由存レ之、如何、小八葉、尊卑用レ之、殊廷尉拜賀之時、用二小八葉一勿論歟、

↑

〔永昌記〕

p.0852 嘉承二年四月十四日庚午、今日齋内親王御禊、〈○中略〉酉刻寄二御車一出御列見、昏黑渡御者、
路頭次第
行事左少辨雅兼網代八葉車〈開二物見一○中略〉
大夫史盛仲〈小八葉車、不レ開二物見一、相二具史侍一、〉
外記兼弘〈小八葉車、不レ開二物見一、相二具外記使部一、〉

↑

〔吉記〕

p.0852 安元二年四月廿二日、今日賀茂祭也、〈○中略〉中宮〈○平德子〉使車、〈上網代霞文、中網代、中八葉、物見黑漆畫レ雀、袖外以二綠靑一色々付二彩色一、八葉大袖内寄子、色紙形簾如レ例、〉

↑

〔山槐記〕

p.0852 治承三年正月廿日己卯、今日著二直衣一用二日來車一、〈中八葉、切物見、大理乘車也、〉

↑

〔吾妻鏡〕

↑

〈三〉

p.0852 壽永三年〈○元曆元年〉十月廿四日己卯、因幡守廣元、〈九月十八日任〉申云、去月十八日、源廷尉〈○義經〉叙留、今月十一日聽二院内昇殿一云云、其儀駕二八葉車一、扈従衞府三人、共侍廿人、

↑

〔大夫尉義經畏申記〕

p.0852 淸獬眼抄正月〈○元曆二年〉一日五位尉〈○源義經、中略、〉
車
小八葉簾〈無昌蒲浅黃糸編〉牛童〈白張香〉牛〈不レ用二黃牛一〉

↑

〔源平盛衰記〕

↑

〈四十六〉

p.0852 賴朝義經中違事
鎌倉殿、〈○源賴朝〉仰セケルハ、〈○中略〉九郎冠者、〈○源義經〉先ヲノミカケケレ共、終ニウスデ一ツモ負ハズ、平家ヲ誅罰シテ、天下ヲ鎭メタルハ神妙ナレドモ、〈○中略〉何ゾ弟ノ身トシテ、仙洞〈○後白河〉ノ御氣色ヨケレバトテ、賴朝ニ不レ合レ申、推テ五位尉ニナルコト、奇怪也、又立フチ打タル車(○○○○○○○)ニ乘、禁中花色ノ振舞、以ノ外ニ過分也、

↑

〔平家物語〕

↑

〈十一〉

p.0852 一門大路わたされの事
同じき〈○文治元年三月〉廿六日、平氏の生どり共、鳥羽に著て、やがて其日都へ入て大路をわたさる、小八葉のくるまの、ぜんごのすだれをあげ、さゆうの物見をひらく、大臣殿〈○平宗盛〉は淨衣をき給へり、

↑

〔吾妻鏡〕

↑

〈十五〉

p.0853 建久六年三月九日甲午、今日將軍家、〈○源賴朝〉御二參石淸水幷左女牛若宮等一、依レ爲二臨時祭一也、御乘車、〈網代〉若公、〈○賴家〉被レ用二繪網代車一、御臺所、〈○平政子〉駕二八葉車一〈被レ出二向御衣一〉給、

↑

〔吾妻鏡〕

↑

〈十八〉

p.0853 元久二年十二月十八日庚午、御臺所、〈○源實朝妻〉御二參鶴岳宮一、被レ用二御車一、〈八葉〉女房出車二兩連レ軒、

↑

〔明月記〕

p.0853 建永二年四月十六日、賀茂祭、春宮使亮右中辨範朝朝臣、車小八葉、有二物見一、金銅、八葉付レ之例也、

↑

〔增鏡〕

↑

〈九/草枕〉

p.0853 新院、〈○龜山〉二月〈○文永十一年〉七日、御幸はじめさせ給ふ、〈○中略〉同廿日、布衣の御幸はじめ、北白川殿へいらせ給ふ、八葉の御車、萌木の御狩衣、山吹の二御ぞ、紅の御ひとへ、うす色のをり物の御さしぬきたてまつる、

↑

〔園太曆〕

p.0853 貞和四年十二月廿日、今日新院、〈○光明〉八葉始也、依二兼日仰一、少將公定、可レ候二御共一也、抑今日、左大將〈○藤原公重〉直衣始卽可レ候、新院八葉御車始、御車寄云々、

↑

〔後愚昧記〕

p.0853 應安四年正月十六日、節會散狀、師茂朝臣注二送之一、
新宰相中將、公兼卿今日申二拜賀一、〈○中略〉自二陣家一〈資敎家、一條東洞院、〉參仕、不レ用レ車、退出之後、自二陣家一竊乘二八葉車一、先來二前右大將〈公直卿〉亭一、〈菊亭仙洞合壁〉

↑

〔看聞日記〕

p.0853 應永三十年九月十一日、抑昨夕御幸事、委細聞レ之、申刻出御、八葉御車、〈物見有二連子一〉

↑

〔花營三代記〕

↑

〈中〉

p.0853 同〈○康曆三年正月〉十三日、御參内、年始恒例、
御車〈八葉御直衣〉
雨皮持仕丁、退紅笠持舍人、〈○中略〉
次公卿車〈八葉各直衣〉

↑

〔相國寺塔供養記〕

p.0854 曼珠院僧正御坊、〈○道豪〉岡崎僧正御房、いづれも長物見の小八葉にて、車副四人、上童一人充、侍などめしぐせらる、

↑

靑蓋車

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車〉

p.0854 靑蓋車續漢書輿服志云、皇太子皇子、皆朱輪靑蓋、故曰二靑蓋車一、

↑

〔箋注倭名類聚抄〕

↑

〈三/車〉

p.0854 按淸寧紀云、小楯等奉二億計弘計一到二攝津國一、使二臣連持一レ節、以二王靑蓋車一迎二入宮中一、是吏家潤色、用二後漢安帝紀文一耳、其實皇國、無レ有二王靑蓋車之制一、故紀訓二幾三乃三久流万一、別無二其名一、疑源君據レ記録載、不レ攷二事實一也

↑

〔日本書紀〕

↑

〈十五/淸寧〉

p.0854 三年正月丙辰朔、小楯等奉二億計弘計一到二攝津國一、使下臣連持レ節、以二王靑蓋車(キミノミクルマ)一、迎中入宮中上、

↑

〔古事記傳〕

↑

〈四十三〉

p.0854 以二王靑蓋車一は、例の漢文の潤色なり、皇朝には古も今も、さる制の御車あることなし、

↑

飛車

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車〉

p.0854 飛車兼名苑注云、奇肱國人、〈今案國人無二右臂一、故名レ之、〉能作二飛車一、從レ風飛行、故曰二飛車一、

↑

〔箋注倭名類聚抄〕

↑

〈三/車〉

p.0854 按山海經、海外西經、奇肱之國、其人一臂三目、注、其人善爲二機巧一、以取二百禽一、能作二飛車一、從レ風遠行、兼名苑注、蓋本二于此一、又按飛車見二空物語菊宴卷、竹取物語、及榮花物語御裳著卷一、又按續日本紀養老六年、唐人王元仲、造二飛船一、扶桑略記、載作二飛車一、蓋飛車之各、膾二炙當時人口一、故皇國誤二飛船一爲二飛車一也、

↑

〔竹取物語〕

p.0854 大ぞらより、人、雲にのりておりきて、土より五尺ばかりあがりたる程に立つらねたり、〈○中略〉たてる人どもは、さうぞくのきよらなる事、物にも似ず、飛ぶ車ひとつぐしたり、

↑

指南車

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車〉

p.0854 指南車鬼谷子注云、周成王時、肅愼氏、獻二白雉一、還恐レ惑、周公、作二指南車一以送レ之、

↑

〔日本書紀〕

↑

〈二十六/齊明〉

p.0854 四年、是歲、沙門智踰、造二指南車一、

↑

〔日本書紀〕

↑

〈二十七/天智〉

p.0854 五年、是冬倭漢沙門知由、獻二指南車一、

↑

四望車

↑

〔本朝世紀〕

p.0854 康治元年三月四日、是日平等院一切經會也、巳刻、法皇〈○鳥羽〉幷高陽院、〈○藤原泰子〉自二小松殿一臨二幸平等院一御同車、〈御車非二尋常一、四面施二翠簾一、左右有レ緣、其下構二短輪一、所レ謂四望車是也、故入道相府車也、〉

↑

漆塗車

↑

〔榮花物語〕

↑

〈八/初花〉

p.0855 寬弘二年になりぬ、〈○中略〉春日の使の少將〈○賴通〉は、中將になり給ひて、ことしの祭の使せさせ給ふ、〈○中略〉ことしは、此使のひゞきにて、帥宮、〈○敦道親王〉花山院など、わざと御車したてゝ、物を御覽じ、御さじきの前あまたわたらせ給、〈○中略〉花山院の御車は、きんの漆などいふやうに(○○○○○○○○○○○)、ぬらせ給ヘり(○○○○○○)、網代の御くるまを、すべてえもいはず作らせ給へり、さはかうもすべかりけりと見えたり、

↑

板車

↑

〔西宮記〕

↑

〈臨時四〉

p.0855 板車
上下通用、〈近代無二乘用之人一〉或及二種々車一、任レ意乘レ之、

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0855 板車
古下賤之輩、及武士等用レ之歟、當時無レ之、

↑

筵張車

↑

〔枕草子〕

↑

〈八〉

p.0855 いやしげなる物
むしろ張の車のおうひ

↑

〔枕草子〕

↑

〈六〉

p.0855 わびしげに見ゆる物
雨ふちぬ日、はりむしろしたる車、ふる日、張りむしろせぬも、

↑

〔榮花物語〕

↑

〈五/浦々の別〉

p.0855 帥殿〈○伊周、中略、〉すぢなくていでさせ給ふに、松ぎみいみじうしたひきこえさせ給へば、かしこくかまへて、ゐてかくしたてまつりて、御車に、かうじ橘ごきひとつばかりを、ふくろにいれて、むしろばりのくるまにのり給、

↑

荷車

↑

〔類聚名義抄〕

↑

〈九/車〉

p.0855 輲〈ニクルマツ厶クルマ〉

↑

〔和漢三才圖會〕

↑

〈三十三/車駕〉

p.0855 〓(ニグルマ)〈音菊〉彼車棧車字又作レ〓俗云大八牛車
〓、説文載レ物之車、直轅車也、按〓者、貨物運送之車、人以引レ之、又京師牛車、使二牛引一レ之也、相傳往昔山城鳥羽里、有二天台僧一、常修二護摩一祈二寶祚一、天子勅許レ乘二牛車一、土人窺二暇日一、借二其車一運二米薪一、竟多造二牛車一、便二于日用一、如今上下鳥羽里、有二八十有餘牛車一、其遺風矣、彼僧不レ知二誰人一也、疑鳥羽僧正乎、

↑

〔木工權頭爲忠朝臣家百首〕

↑

〈雪〉

p.0856 車中雪
はづかしやその荷ぐるまのうしよはみ雪つみぬればひきぞわづらふ

↑

〔延喜式〕

↑

〈三十九/内膳〉

p.0856 凡作園所レ須、〈○中略〉車二兩、〈年別請〉

↑

〔日本靈異記〕

↑

〈上〉

p.0856 僧用二涌レ湯之分薪一而與レ他牛役レ之示二奇表一緣第廿
尺惠勝者、延興寺之沙門也、法師平生時、涌レ湯分薪詘二一束一與レ他而死、其寺有二一牸一、而生二犢子一、長大之後駕レ車載レ薪无レ憩所レ駈、控レ車入レ寺時、不レ知僧遇二寺門一曰、惠勝法師者、炎經雖二能讀一、而不レ能レ引レ車、牛聞レ之流レ涙、長息忽而死、

↑

〔西宮記〕

↑

〈臨時十〉

p.0856 與奪事
宗全記云、長久五年五月廿五日、使廳政也、〈○中略〉同日小日記云、今日見物、車馬總以不レ來、是京中疾疫之患、繁昌之故歟、廳公文辛櫃送レ市事、以二囚人一爲二擔夫一恒例也、而依レ無二禁獄之囚一、積二雜役車(○○○)一云々、

↑

〔宇治拾遺物語〕

↑

〈十一〉

p.0856 これもいまはむかし、かつら川に身なげんずる聖とて、まづ祇陀林寺にして、百日懺法おこなひければ、ちかき遠きものども、道もさりあへず、おがみにゆきちがふ、〈○中略〉その日のつとめては堂へ入て、さきにさし入たる僧ども、おほくあゆみつゝきたり、しりに雜役車に、この僧は紙の衣袈裟などきてのりたり、

↑

〔本朝世紀〕

p.0856 久安二年十月廿八日甲子、今日法皇、〈○鳥羽〉被レ供二養新造御堂一、〈○中略〉臨二供養期一、調二車數十輛一、卽載二呉錦越布之類一、〈其車如二世間文車體一、以レ板造レ之、不レ懸レ牛、〉人以爲二僧侶之施物一、實進二上皇一〈○崇德〉之料也、

↑

〔明月記〕

p.0856 天福二年〈○文曆元年〉七月廿九日丙寅、近日三位家信卿牛童、與二陰陽師文平と云物一鬪諍、依二文平有一レ理、大理仰二使廳一令レ致二沙汰一、家信卿令レ集二取其車一〈荷車〉之間、使廳重搦二取牛童一、有二不穩事等一云々、

↑

〔左經記〕

p.0857 寬仁四年二月廿七日己酉、早旦參二中河御堂一、以二午刻一被レ奉レ渡二御佛一、〈丈六阿彌陀佛九體、觀音、勢至各一體、○中略〉次御佛、〈大車(○○)上作二蓮花座一載佛、有二白蓋物十一兩一、〉

↑

〔方丈記〕

p.0857 爰に六十の露きえがたに及びて、更に末葉のやどりを結べることあり、〈○中略〉其家のありさま、よの常ならず、廣は僅に方丈、高さは七尺がうち也、所を思ひ定めざるが故に、地を占めて作らず、土居をくみ、打おほひをふきて、つぎめごとにかけ金をかけたり、もし心にかなはぬことあらば、やすく外に移らんが爲也、其改め造る時、幾ばくの煩かある、積む所、僅に二輛なり、車の力をむくふる外は、更に他の用途いらず、

↑

〔雍州府志〕

↑

〈七/土産〉

p.0857 車稇二載雜品物一者謂二雜車(○○)一、洛下三條橋西南、鳥羽横大路造レ之、

↑

〔見た京物語〕

p.0857 三條の橋、牛車(○○)を通さず、加茂川の中をわたる、

↑

〔京都御役所向大概覺書〕

↑

〈二〉

p.0857 京都牛數車數幷拜借之事
一牛數三拾九疋
一車數五拾輛三條組之分
一牛持人數拾貳人
車稼之義は、洛中洛外、西は嵯峨、東は大津、南は伏見、鳥羽筋、六地藏、北は鷹峯、車坂高野邊、其外近國何方へも參、致二渡世一候、
但右牛持居所、河原町、荒神口下〈ル〉町、今出川六條新屋敷、右三ケ所に居住仕、此分三條組と申候、〈○中略〉
一先年大坂御陣之節、御陣道具品々御用相勤、御歸陣已後、車所々往返之御證文、板倉伊賀守殿ゟ車持共〈江〉被レ下候、右證文左に記、京都、嵯峨、伏見、上鳥羽、下鳥羽、たんの上、せり川、中島、塔森、横大路車共、大津其外何方にて荷物積候共、違亂申間敷候、若難澀申者於レ有レ之は、此方へ召連可レ參候也、
〈寅〉極月〈○慶長十九年〉七日板伊賀〈○勝重〉判
右車遣

↑

〔撰要集〕

p.0858 乍レ恐以二書付一奉二申上一候
一芝車町牛持共先祖之儀、寬永十三〈子〉年中、御普請御用に付、京都より御呼下シニ相成、市ケ谷八幡前ニ而、四丁餘之所、牛小屋場に被二仰付一、御材木御石等運送仕、御用無レ滯相仕舞候ニ付、京都〈江〉罷歸申度段、其節御普請御掛柳生但馬守樣〈江〉、御窺申上候得共、寬永十六〈卯〉年中、御評定所〈江〉被二召出一被二仰渡一候者、御當地ニ牛車御留被レ置候ニ付、居屋敷可レ被レ下旨、乍レ恐大猷院殿〈○德川家光〉御上意有レ之、居屋敷望候樣、被二仰渡一候、依レ之只今住居仕候場所見立、奉二願上一候得者、同年十一月中、寺社御奉行安藤右京亮樣、松平出雲守樣、町御奉行神尾備前守樣、朝倉石見守樣、御役名不レ知庄田小左衞門樣、曾根源左衞門樣、朝比奈源六樣、御立合之上、下高輪ニ而、四丁餘之所被二下置一、夫より芝車町と相唱、是迄代々家業相續仕罷在候儀ニ御座候、〈○中略〉
一諸國牛車有レ之候場所御尋ニ付、取調候所、左之通ニ御座候、
一京都
但伏見幷東海道大津宿ニも有レ之候得共、何れも京都〈江〉罷出、渡世仕候由ニ御座候、右牛車之儀者、古來上方表ニ而、御軍用ニも相成候由、牛持共古キ書留ニ相見申候、
一駿府
一奧州仙臺
但仙臺之儀者、貞享年中、日光御普請之砌、松平陸奧守樣〈江〉御手傳被二仰付一候節、車町牛持共御雇上ニ而、日光表〈江〉罷越、御普請御用無レ滯相仕舞候ニ付、其節牛持勘左衞門と申者、仙臺〈江〉御召連被レ成、今以右勘左衞門跡、牛車渡世罷在候由及レ承申候、
右之外、國々牛車有レ之候場所、及レ承不レ申候、〈○中略〉
右御尋ニ付申上候、以上、
文化十二〈亥〉年十二月〈芝車町〉名主四郎左衞門
御番所樣

↑

〔江戸名所記〕

↑

〈五〉

p.0859 芝泉學寺
門前より打つゞきて、牛町とて四町あり、これ牛車をつかふところ、をよそ牛の數も一千疋に及べり、古しへは淀鳥羽に車借ありて、都ならでは牛車なかりしを、江戸は東の都にて、牛の車をゆるされ、いか成土橋板橋のうへをも、心のまゝにひくとかや、この故に車借のともがら、牛をえらびてもとめやしなふ、〈○中略〉寬永年中より初まれり、

↑

〔江戸名所圖會〕

↑

〈三〉

p.0859 牛小屋牛町にあり、〈延寶江戸圖に、此地を牛の尻と云とあり、〉牛を畜する家多く、牛の數一千疋に餘れり、〈○中略〉古は淀鳥羽にのみありて、都の外には牛車なかりしに、御入國〈○德川家康〉の頃より許宥ありて、江府にも是を用ゆる事となれり、餘は駿河にあるのみにて、唯此三ケ所に限れりとぞ、

↑

〔春波樓筆記〕

p.0859 江戸車町は、芝高輪の手前、牛屋あり、是はいにしへ御入國の時、東照神君、大津牛を呼びよせらる、百三十六疋といふ、御城の石垣の石を牽かせたり、二代將軍秀忠君の時に至りて、牛方共大津へ歸らん事を願ふ故、五十六疋を留めて、殘をおん返しある、飯田町邊に牛原と云ふ所あり、車置場は江戸橋の四日市にあり、牛車追々渡世薄くなり、牛三十六疋になる、其の後牛原の牛、今の車町に來たる、海ぎはの地、車置場になる、漸々減じて今五軒となりぬ、大八車のみ用をなす故なり、千場太郎兵衞と云ふ巨家あり、牛屋に千場氏あり、太郎兵衞、もと此の家の牛牽なり、故に主人の苗字を己の姓とす、牛屋の名を恥ぢて、近來牛屋の千場衰微す、太郎兵衞、其家を買ひ取り、千場の名を止め、別號とす、熊本侯の金用達にして、帶刀の免許あり、

↑

力車

↑

〔萬葉集〕

↑

〈四/相聞〉

p.0860 廣河女王歌
戀草乎(コヒグナヲ)、力車二(チカラグルマニ)、七車(ナヽクルマ)、積而戀良苦(ツミテコフラク)、吾心柄(ワガコヽロカラ)、

↑

〔西宮記〕

↑

〈臨時八〉

p.0860 臨時樂
康保三年十月七日、此日覽二殿上侍臣奏樂一、〈○中略〉大鼓一面、鉦鼓一口、立二同竹〈○河竹〉架東一、〈並加二火焰一、其前立レ桙、載二力車一、〉

↑

〔榮花物語〕

↑

〈十五/疑〉

p.0860 殿のおまへ、〈○藤原道長、中略、〉今は御こゝち例ざまになりはてさせ給ふめれば、御堂のことおぼしいそがせ給ふ、〈○中略〉おほぢの方を見れば、力車に、えもいはぬおほきどもに綱をつけて、さけびのゝしりひきもていき、〈○下略〉

↑

〔榮花物語〕

↑

〈二十二/鳥の舞〉

p.0860 としごろつくりみがゝせ給つる御ほとけ、みなみどのよりわたしたてまつらせ給、〈○中略〉わたらせ給ふ程は、力車といふ物をふたつならべて、一佛おはしまさせ給、けふは其車のうへに、おほきなる蓮花の坐つくらせ給ひて、おはしまさせ給ふ、

↑

〔狹衣〕

↑

〈四下〉

p.0860 御門、〈○中略〉まだ夜はふかゝらんとおぼしつれど、あけにけるなるべし、道のほどに戀草つむべきれうにやと見ゆる、ちから車(○○○○)ども、あまたをしやりつゞけつゝ行ちがふ、

↑

〔長秋記〕

p.0860 長承三年十月十五日庚寅、詣二右府一〈○源有仁〉談云、去比仁和寺法印夢想、上皇、〈○鳥羽〉予大僧正汝鳥羽新造二御堂一、所レ居右雙居間、力車千万如レ飛入來、其聲如レ雷、於二上皇予一全レ命出、

↑

〔新撰六帖〕

↑

〈二〉

p.0860 くるま
行なやみ力車もひゞくなりむそぢあまりのなげきつむとて

↑

大八車

↑

〔倭訓栞〕

↑

〈前編八/久〉

p.0860 くるま大八といふは、車輪に大八葉小八葉といふ事あるより、名となれる也、

↑

〔白石紳書〕

↑

〈八〉

p.0860 同〈○享保四年〉七月廿三日に、雀部重羽のいひしは、〈○中略〉小石川の築地といふも、火後〈○明曆三〉〈年〉に出來たり、此小石川などの築地の土抔は、今の水道の北のかた、地たかき所の土にて築かれしに、大八といふもの、其土を運ぶ車を造出してければ、大八車とて、今も用ゆる事なり、

↑

〔江戸名所記〕

↑

〈五〉

p.0861 芝泉學寺
このごろ〈○寬文頃〉は、地車といふ物をはじめて、牛をかけず、車に荷物をのせて、人八人してこれをひく江戸中、我も〳〵とこしらへて、その車の名を代八と名づけて用ゆ、牛にかはりて八人してひく故也、馬にのせてはこぶ物をもおほくはこの代八にてひかすれば、江戸中の馬借馬子等は、地車をいやがりにくみて、代八をひくものを、人畜生とのゝしるとかや、
牛ならで人ぞひかする地車を代八葉とこれもいふらん

↑

〔本朝世事談綺〕

↑

〈二/器用〉

p.0861 大八車
寬文年中、江戸にてこれを造る、人八人の代をするといふを以、代八と名付、今大八と書、その頃御殿中にて、人をして馬のごとくならしむと、戯の御沙汰ありし也、

↑

〔嬉遊笑覽〕

↑

〈二下/器用〉

p.0861 江戸には、牛に懸るも人の挽も、みな大八車を用〈○中略〉誰身の上、〈三〉一日に錢を一貫文づゝもち出て、百人にあたへ、我とすまひをとるならば、必まけよとやくそくしてとりぬる間、大八町の男をも、かたてにてとりてなげ、六尺二分の法師をも、指一つにてつきたをしける、今按るに、大八町とは、大津の八町をいふなるべし、大津は、古より雜車のある所なれば、大八車の名は、これに起れりと思はる、〈車に大八葉と云あり、古圖をみるに、車の紋に靑蓮花の八葉を畫けり、其名を襲ひて、大八と呼りとするもいかゞ、〉

↑

〔撰要集〕

p.0861 乍レ恐以二書付一奉二申上一候
一大八車之儀者、明曆三〈酉〉年中、江戸大火ニ而、所々普請多ク候ニ付、木挽町邊ニ住居仕候牛車大工之者、始而大八車造リ出シ、夫より追々流行仕、只今ニ而者、京大坂、其外國々御大名方御城下等ニ而も、相用候由ニ御座候、右御尋ニ付、申上候、以上、
文化十二〈亥〉年十二月〈芝車町〉名主四郎右衞門
御番所樣

↑

〔紫の一本〕

↑

〈下〉

p.0862 武藏野
武藏野は行けども家の果もなしいかなるむまに乘てめぐらん
陶々齋が云、此歌能しとも思はれず、乘りてめぐらんといへども、乘る物なし、馬も駕もならずば、責て代八車になりとも乘りたらば、よからんと云、

↑

〔見た京物語〕

p.0862 大八車なし、運送甚あしゝ、

↑

ベカ車

↑

〔草茅危言〕

p.0862 別駕車之事
一上國ニ、平地任載ノ小車アリ、京師ニテ地車ト稱ス、是ハ泛稱ニテ的切ナラズ、大坂ニテハベカ車ト呼ブ、何ノ義タルヲ知ラズ、江都ニテハ、ナキヨシニ聞リ、果シテ然リヤ、其形狀小クシテ、板ニテ造リタル兩輪ヲ用ユ、輪ノワタリ三尺ニ近カルベキカ、輿ハ平ラカニシテ前後ニ長ク、前ノ端ハオノヅカラ兩轅ヲナセドモ、轅モヤハリ輿ノ内ナリ、木石ヲ運ブノ用トシ、ソレヨリ他物ヲモ積テ廣ク用ヒ、一推一輓、二人ニテスム、輕任ハ一人ニテモ辨ズ、甚ダ簡易便利ノ器ト云ベシ、ベカト名付シコト、愚意ヲ以テコレヲ推スニ、コノ車手ヲ放セバ、前後軒輊シテ、平ニナリテ居ズ、可杯ノ類ニテ下ニオカレヌト云ヨリ、ベク車ト呼タルガ、一轉シテベカトナリシカ、又ハ狗ノ子ヲベカト云フ和訓アリ、世ニ形狀ノ似テ然ラザルモノヲ狗トヨブ、狗蓼狗山椒ノ類是レナリ、コノ車ハ任載ノ牛車大八車ナドニ似タルユエ、狗車ト云ベキヲ、ヒネリテベカト呼ブニヤ、愚ハ新タニ意ヲ以テ別駕トスルノミ、通用ノ文ニハアラズ、ソレハトモアレ、愚ハ又創意ヲモテ、コノ車ヲ道中驛次ノ人馬不自由ナル所ニ用ヒ、或ハ宿々ニミナ用意シテ、人馬ツカヘノ時ニ出シ用ヒタキモノトス、二駄分ハ心ヨク一兩ニ積ベシ、諸侯ノ往來ナドニ、家中ノ乘掛ヲニ駄分前後ニ積テ、中ニ兩人並座シ、談話ヲシツヽ行ルベシ、雨天ニハ荷ヲ平カニ幷べ、兩人ワカレテソノ上ニ座シ、乘掛合羽ヲ用ユベシ、川アル所ハ、淺キハソノマヽニ渡ルベシ、チト深キハ荷ヲオロシ、車力ノ者カツギワタリ、人ヲモ負ワタシ、空車ニテ通スベシ、荷ノ積卸モ、馬トチガヒ簡便ニテ、又兩人アレバ、尚サラ手闇ノ入コトナシ、車力モ肩背ノ勞ヲ省キ、駕籠ヲ舁、徒荷ヲカツグヨリモ勝手ナルベシ、賃錢ハ一兩ニテ一駄半ホドノ定メナラバ、旅人モ人足モ、トモニ利アルベク、驛場ヨリ少シヅヽノカヽリモノヲ賃錢ヨリ取テ、車ヲ作リ修ルノ料トスベシ、コレミナ多少ノ便ナラズヤ、

↑

〔〈浪花襍誌〉街迺噂〕

↑

〈一〉

p.0863 方松、〈ソレ〉千長さん車が來る、あぶねい〳〵、千長、アイ〳〵承知だ、〈オヤ〉おつな車だ〈ネ〉成程これは思ひつきだ、江戸の代八車より人部が入らず、そして荷を積ところが長板ときて居るから、薪などは、餘程積や正(しやう)、万松、さやうサ、アノ跡から撞木のやうなもので押のは面白い、慥此車をベカ車といふとか、いひやしたツけ、

↑

こえとり車

↑

〔水蛙眼目〕

p.0863 故宗匠云、民部卿入道、〈○藤原爲家〉爲敎〈○爲家子〉を車の尻に乘て、さがより冷泉宿所へ出られけるに、爲敎卿、兄〈○爲氏〉のあ↓ざなる事ども被レ申けり、禪門、ともかくも返事はなくて、みちにこえとり車(○○○○○)のあるを見て、
やせうしにこえ車(○○○)をぞかけてける
といふ連歌をせられけるを、爲敎、よりすぢりあむじけれ共、つゐにつけざりけり、冷泉にて車よりおりらるゝとて、つゐにえつけぬな、あにのとのならばつけてましと被レ申けり、

↑

車具/鞇

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車具〉

p.0863 鞇釋名云、車中所レ坐者、曰二文鞇一、〈音與レ茵同、車乃之度禰、〉用二虎皮一、有二文綵一、因レ輿而相連著也、

↑

〔箋注倭名類聚抄〕

↑

〈三/車具〉

p.0863 釋車文、原書作下文鞇、車中所レ坐者也、用二虎皮一、有二文采一、因與レ下相連著也上、此作二輿而一、恐誤、按、文鞇、用二虎皮一造レ之、又因與レ下相連著、皇國車中之鞇、用二繪帛一、不レ用二虎皮一、又不二與レ下相連著一、然則以二文鞇一爲二車乃之度禰一、恐不レ允、説文、茵、車重席也、又載二鞇字一云、司馬相如説、茵从レ革、

↑

〔類聚名義抄〕

↑

〈九/革〉

p.0864 鞇〈シトネクルマノシトネ〉

↑

疊

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0864 疊間事
繧〓緣疊ハ、毛車敷レ之、三位以上〈四位參議用レ之〉同レ之、〈有二引懸筵一、前後同繧〓緣也、〉高麗緣疊ハ、半蔀、網代車以下用レ之、大臣、納言、大將ハ大文高麗、大中納言參議已下、小文高麗、〈大臣大將モ、猶有二小文例一、〉引懸筵同レ右、
近代如二八葉車一、轅ノソリ高キ故ニ、乘惡〈ニ〉依テ、半疊ヲ二ニ破爲二二枚一テ、前ノ方ヲ帖ノ奧ノ方ノ帖ノ端ノ下ニ聊引入テ敷ク事アリ、古更ニ不レ可レ有事也、近代ノ僻案、不レ可レ爲レ法事也、如二毛車一、轅ソリ不レ高ハ二ニ不レ破、只一帖ナリ、其家劣レル人、如二拜賀日一、爲レ表二祝言一、借二請攝關及大臣等車一令二乘用一之時、差二改疊ヲ一返上云々、是成レ恐之故也、

↑

〔九條家車圖〕

p.0864 唐御車〈○中略〉
御座〈京筵、緣繧〓、裏皆絹、〉

↑

〔西園寺家車圖〕

p.0864 納言大將半蔀車〈○中略〉
一疊〈京筵大文高麗緣〉

↑

〔江談抄〕

↑

〈三/雜事〉

p.0864 融大臣靈抱二寬平法皇〈○宇多〉御腰一事
資仲卿曰、寬平法皇、與二京極御休所一〈○褒子〉同車、渡二御河原院一、觀二覽山川形勢一、入レ夜月明、令レ取二下御車疊一爲二御座一、〈○下略〉

↑

〔今昔物語〕

↑

〈二十八〉

p.0864 阿蘇史値二盜人一謀レ遁語第十六
今昔、阿蘇ノト云フ史有ケリ、〈○中略〉公事有テ内ニ參テ、夜深更テ家ニ返ケルニ、東ノ中ノ御門ヨリ出デ、車ニ乘テ大宮ノ下ニ暹セテ行ケルニ、著タル裝束ヲ皆解テ、片端ヨリ皆帖テ、車ノ疊ノ下ニ直グ置テ、其上ニ疊ヲ敷テ、史ハ冠ヲシ襪ヲ履テ、裸ニ成テ車ノ内ニ居タリ、

↑

引懸筵

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0865 檳榔車
疊繧〓緣、有二引懸筵一、

↑

〔輿車圖考〕

↑

〈六〉

p.0865 半蔀車
ひきかけむしろ(○○○○○○○)は、まへのかたに一ツ、うしろのかたに一ツあるべし、さなければ乘下の用をなしがたし、ひきかけむしろ、引たてむしろ(○○○○○○)ともいふ、車に乘下するに、車のうちより榻のあたりまで垂るゝやうに引出すなり、前板なんどのちりをよくる料なるべし、彼愚昧記云、應安四年五月七日、〈問答〉主人下車之時、榻役人前駈、可レ入二轅内一否相二尋之一、不レ可レ然、自二轅外一可レ立レ榻之由答了、而今度前駈、入二轅内一開二輦戸一、引二出引立筵一立レ榻了、仍有二加難之輩等一云々、尤可レ然、主人も前駈も無案内之所レ致也、下車之時ハ、主人手自、輦戸ノ指金をはづして、引立筵以レ足踏出也、仍於レ榻者、自二轅外一立レ之者也、これらをみてもしるべし、

↑

車簾

↑

〔新撰字鏡〕

↑

〈巾〉

p.0865 㡙〈幷兮反、平、車簾也、婦人乗也、車乃加久比、〉

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車具〉

p.0865 車簾唐韻云、㡙㡘、〈箆廉一音、俗云車廉、〉車帷也、

↑

〔箋注倭名類聚抄〕

↑

〈三/車具〉

p.0865 廣韻云、㡙車㡙、叉云㡘、㡙㡘、帷也、與レ此少異按、玉篇㡙車㡙也、又車帷也説文、㡘、帷也、孫氏蓋依レ之、又按、㡙㡘、字並从レ巾、則知是帷類、恐非二車簾一、

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0865 車簾間事
蘇芳簾唐車、糸毛輦車、檳榔庇、毛車等用レ之、其簾、竹ヲフシカネニ濃ク染テ、緋ノ絲ヲ以テ編タル也、赤地ノ錦ノ緣ヲ押ス、七緖也、〈表緣皆綾、或白、〉緣七之中、左右之端ト、中央兩所ト付レ簾、其間三ケ所不レ付レ簾、崎有二金物一、
靑簾網代庇、雨眉、半蔀、八葉、網代車等用レ之、其簾、例ノ翠簾ノ如ク靑竹也、常ノ翠簾ハ、緋糸ニテ編タルヲ、此簾ハ依レ車編糸相替、〈八葉ハ繰糸、網代車ハ村濃編緖也、〉藍革何モ遠文ノ緣、〈裹緣白綾〉大臣及大將ハ五緖、大中納言已下ハ四緖、〈此外有二上革一〉前簾ハ、乘用之後、手自卷レ之、〈用二上革一〉上下常法也、仍於二門下途中等一下車之時、無二其役人一、〈自レ前下車之故也〉〓二中門廊等一之時、自二後方一下、仍簾役人、必可レ有レ之、〈乘スル時ハ、中門廊モ門下モ、皆自レ後乘、仍役人可レ入也、〉拜賀已下扈從時、存レ禮之者卷、〈於二第一人一ハ、不レ依二禮之存否一、猶以垂レ之、合二眼于主人一有レ憚之故也、〉不レ存レ禮之人者垂レ之、〈疎遠之故也〉
著陣之時、主人必垂レ之、〈不レ謂二大臣大納言一也、其意略云々、康永二四廿、左大臣殿(藤原公賢)拜賀也、垂レ簾、同日著陣故也云々、〉此時先手自卷レ之下車、仍無二別役人一、
䙝出入之時、女房同車者垂レ之乎、卷レ之時、其役人例、院中大臣納言攝關大臣等、親族公卿、或殿上人、䙝之時無二其人一ハ、前駈第一、〈攝政不レ然乎、納言以下晴日如レ此、〉

↑

〔江談抄〕

↑

〈三/雜事〉

p.0866 野篁爲二閻魔廳第二冥官一事
篁、參二結政一剋限、於二陽明門前一、爲二高藤卿一、被レ切二車簾鞦等一云々、

↑

〔枕草子〕

↑

〈十一〉

p.0866 御經のことに、あすわたらせおはしまさんとて、〈○中略〉まづ女房、車にのせさせ給を御覽ずとて、みすのうちに、宮、〈○皇后藤原定子〉しげいしや、三四の君、殿のうへ、〈○高内侍〉其御おとうとみところ立なみて、おはします、車の左右に、大納言、〈○伊周〉三位中將〈○隆家〉二所して、すだれ(○○○)打あげ、下すだれひきあげて乘せ給ふ、

↑

〔大鏡〕

↑

〈五/太政大臣兼家〉

p.0866 帥の宮〈○敦道親王〉の、まつりのかへさ、和泉式部とあひのらせ給て、御らんぜしさまも、いとけうありきやな、御車の口のすだれ(○○○○○○○○)を、中よりきらせ給ひて、わが御方をばたかうあげさせ、式部のかたをばおろして、きぬながういださせて、紅の袴に、あかきしきしのものいみいとひろきつけて、つちとひとしうさげられたりしかば、いかにぞものみよりは、それをこそ人見るめりしか、

↑

〔吉記〕

p.0866 壽永二年七月四日丙寅、頭辨問、初任間事、
車簾綱緖事答云、爲二繪網代一者、可下被レ用二村濃一給上歟、

↑

〔西宮記〕

↑

〈臨時八〉

p.0867 車
簾緣用二織物一、近代中﨟以下、皆用二色革一、

↑

〔桃華蘂葉〕

p.0867 一車事
檳榔毛
赤色簾〈綿緣、江記云、執柄以後、紫織物、以前蘇芳織物、〉

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0867 八葉車
簾〈同半蔀網代等、大臣大將五緖、大中納言參議等四緖、此外有二上革一、〉

↑

〔園太曆〕

p.0867 貞和四年五月廿八日〈彈正少將公興朝臣車事○中略〉
簾〈四緖、淺黃編糸、淺黃無段菖蒲革無レ之、〉

↑

〔飾抄〕

↑

〈下〉

p.0867 一車
八葉〈附小八葉〉
大八葉、五緖長物見、極位人大臣乘レ之、而近代多乘用、不レ可レ然云々、

↑

〔徒然草〕

↑

〈上〉

p.0867 車の五緖は必人によらず、程につけて、きはむるつかさ位にいたりぬれば、乘るものなりとぞ、ある人おほせられし、

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0867 檳榔車
簾〈濃蘇芳竹、紫編糸、錦緣七緖、〉〈裏綠紫唐綾或白〉〈視王以下無レ差歟、緣七之中、左右ノ端ト、中央兩所ト四筋ハ付レ簾、其間ノ三筋ハ不レ付レ簾、崎ニ有二金物一、〉

↑

〔九條家車圖〕

p.0867 檳榔庇
御簾〈蘇芳編絲紫七緖緣錦如二檳榔一裏綾紫〉

↑

上緖

↑

〔三條家裝束抄〕

↑

〈坤〉

p.0867 車庇車
簾〈裏ノ緣靑キ唐綾、上緖革崎ヲ入レズ、〉

↑

〔輿車圖考〕

↑

〈五〉

p.0868 雨眉車
上緖とは、すだれのへりに、ちいさきかはあり、それに穴あり、すだれまくとき、そのかはの穴に、ひぢがねかけてとるむるなり、革崎いれずとは、そのかはの末に、金物なきをいふ也、
台記云、保延二年十二月九日、予〈○藤原賴長〉乘二長物見車一、〈○中略〉於二二條町程一卷レ簾〈天〉、上緖、ひぢがねにかけんとするも、無二上緖穴一、予乞二下臈隨身重文刀一、穴ヲサシアケ〈天〉、ひぢがねにかくとある是なり、物見にも上緖あり、是もおなじ、

↑

下簾

↑

〔伊呂波字類抄〕

↑

〈志/雜物〉

p.0868 帷裳〈シタスタレ、俗云下簾、〉下簾〈同〉

↑

〔倭訓栞〕

↑

〈中編十/志〉

p.0868 したすだれ車にいふ、眞名伊勢物語に、帷裳をよめり、簾のしたに白き絹二はゞ、或はすそ濃にしてかくるなりとぞ、和名抄に㡙㡘、俗車簾車帷也といふ物なりといへり、

↑

〔西宮記〕

↑

〈臨時八〉

p.0868 車
下簾古時三位已上懸レ之、近代納言已上用レ之、

↑

〔羽倉考〕

↑

〈二〉

p.0868 下簾不レ可レ爲二略語一之事
下簾ハ衣ニテモノセル物ナレドモ、簾ト云ハ、只簾ノ如ク前ニ垂ルガ故ナルベシ、直ニ其物ニ非ザレドモ、或ハ體、或ハ用ノ似タルヲ以テ、名クルコト少カラズ、〈○中略〉諸抄ニ下簾ノ別名見エザレバ、略語ニテハ非ザルベシ、

↑

〔三中口傳〕

↑

〈一〉

p.0868 一乘車儀事
御下簾插樣
二幅アルヲ、右幅ノ左ノ端、一尺餘ガシモヲ取テ、筒貫ノ端ニハサムナリ、左又同レ之、其後簾ヲ卷ニ、上七八寸許ヨリ、下簾ヲ取加テ卷上也、後方不レ插レ之、

↑

〔門室有職抄〕

p.0869 下簾事
大納言懸レ之、法印僧都准レ之、二位宰相、三位不レ懸レ之、法眼、律師、法橋准レ之、

↑

〔世俗淺深秘抄〕

↑

〈上〉

p.0869 一靑下簾懸二檳榔一事、間々有二所見一、卽簾ハ與二下簾一一色物也、大宮右府俊家、常用レ之由云々、網代之車〈爾〉懸二赤色下簾一事、古來未レ聞事也、

↑

〔物具裝束抄〕

p.0869 一下簾事
蘇芳末濃〈毛車時用二之〉
靑末濃〈濃末濃トモ云也網代車八葉車之時用レ之〉
繡下簾〈糸毛幷唐庇、等用レ之、毛車之時用レ之事、有二先規一、〉

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0869 下簾間事〈下簾、九尺五寸之物八也、〉
蘇芳下簾唐車、糸毛、手車、檳榔庇、毛車懸レ之、懸二蘇芳簾一之車懸レ之、〈但檳榔庇以上ハ、薄物有二縫物一、委儀仍而不レ載レ之、〉毛車下簾ハ、長絹ヲ紫末濃ニ染テ、無二縫物一也、末濃トハ、半ヨリ上ハ白ク、半ヨリ下ハ紫濃ク、薄紫ノ匂四五寸アルベシ、長サ九尺五寸、表指ノ糸アリ、一幅ニ三所、三針ザシ也但表裏同樣ニ可レ指也、是有二表裏之差別ハ、以レ裏爲レ表テ懸事、依レ有レ憚也、件糸上程、小分蜷結レ之、糸ノ長サ、當二車簾中央之程一也、夾二下簾一樣、三中抄ニ、二幅アルヲ右幅ノ左端一尺餘ガ下ヲ取テ筒貫ノ端ニ夾、左又同レ之、其簾ヲ卷ニ、上七八寸許ヨリ、下簾ヲ取加テ卷上也、後方不レ插レ之、今案何ノ下簾モ、可レ爲二此定一〈委ハ車副可レ付事也〉靑末濃下簾、網代庇、雨眉、半蔀、八葉等、懸二靑簾一車ニ懸レ之也、小精强ヲ紺末濃ニ染タル也、其樣准二蘇芳一ジテ可レ知也、黃、淺木、二色ノ匂、各四五寸ヅヽアルベシ、末ハ紺ニ染、長サ蘇芳下簾ト可レ同也、表指ノ糸以下、可レ同レ右、
網代車ニハ、雖レ懸二靑簾一不レ懸二此下簾一、〈大臣以下同レ之、家例也、三中抄云、チガヘ物見車、〉〈網代車〉〈或懸二下簾一、不レ懸レ之、〉
八葉車ニハ、出仕ニハ不レ懸レ之、私䙝出行之時懸レ之、〈女房同車必懸レ之〉

↑

〔古今和歌集〕

↑

〈十一/戀〉

p.0870 右近のうまばのひをりの日、むかひにたてたりける、くるまの下すだれより、女のかほのほのかにみえければ、よみてつかはしける、在原なりひらの朝臣〈○歌略〉

↑

〔源氏物語〕

↑

〈九/葵〉

p.0870 よき女房車おほくて、さう〴〵の人なきひまをおもひさだめて、みなさしのけさする中にあじろのすこしなれたる、したすだれのさまなど、よしばめるに、いたうひきいうて、ほのかなる袖ぐち、ものすそ、かざみなど、物の色いときよらにて、ことさらにやつれたるけはひ、しるくみゆる車、ふたつあり、

↑

〔花鳥餘情〕

↑

〈六/葵〉

p.0870 あじゐのすこしなれたる、下すだれのさま、
尼眉には、ゐを末濃の下すだれをかく、あじろの車には、下すだれをかけずといへども、女房の乘用するには、八葉の車にも、下すだれをかくる事に侍れば、いづれにても相違なかるべし、

↑

〔枕草子〕

↑

〈三〉

p.0870 にげなき物
よき家の中門あけて、檳榔毛の車のしろうきよげなる、はし蘇芳の下すだれの、にほひいときよげにて、榻に立たるこそめでたけれ、

↑

〔枕草子〕

↑

〈十一〉

p.0870 御經のことに、あすわたらせおはしまさんとて、〈○中略〉日さしあがりてぞおはします、御車ごめに十五、四つは尼車、一つの御車はからの車なり、それにつゞきて、尼の車、しり口よりすいさうのずゞ、うすゞみのけさきぬなどいみじくて、すだれはあげず、下すだれも薄色のすこしこき、〈○下略〉

↑

〔台記〕

p.0870 保延二年十一月五日己巳、今日參二大原野、吉田社一、〈○中略〉半蔀車、〈本雖レ懸二下簾一、於二東三條河原一令レ取レ之、〉
久壽元年十一月廿二日辛未、今日右大將、〈○藤原兼長〉密々詣二春日一、〈○註略〉奉二金銀幣〈○註略〉神馬一、〈○註略〉衣冠、半蔀車、〈不レ懸二帷裳(○○)一〉

↑

〔毛詩註疏〕

↑

〈三之三/衞風〉

p.0870 桑之落矣、其黃而隕、自二我徂レ爾、三歲食貧、淇水湯湯、漸二車帷裳一、女也不レ爽、士貳二其行一、〈○註略〉士也罔レ極、二二三其德一、〈傳、帷裳、婦人之車、正義曰、傳以二大夫之車立乘一、有レ蓋無二帷裳一、此言二惟裳一者、婦人之車故也、(中略)箋、(中略)正義曰、(中略)帷裳、一名童容、故巾車云重翟厭翟安車、皆有二容蓋一、鄭司農云、容謂二襜車一、山東謂二之裳韋一、或曰二童容一、以幃障二車乞傍一如レ裳、以爲二容飾一、故或謂二之幃裳一、或謂二之童容一、其上有レ蓋、四傍垂而下、謂二之襜一、〉

↑

〔愚管抄〕

↑

〈五〉

p.0871 十二月〈○平治元年〉廿五日、丑の時に、六波羅へ行幸〈○二條〉をなしてけり、その樣は淸盛尹明にこまかにおしへけり、晝より女房の出んずる料の車とおぼしくて、牛飼ばかりにて、下簾の車をまいらせて、〈○下略〉

↑

〔源平盛衰記〕

↑

〈三〉

p.0871 資盛乘會狼籍事
同〈○嘉應〉二年七月三日、法勝寺へ御幸アリケレバ、當時ノ攝籙基房公〈號二松殿一〉參給ケリ、還御ノ後、殿下三條京極ヲ過給ケルニ、三條面ニ女房ノ車アリ、夕陽ノ影ニ、車ノ中透テ曇ナク見エ透、鳥帽子著タル者ノ乘タリケリ、居飼御厩舍人等車ヨリ下ベキ由責ケルニ、聞入ズシテヤリ過サントシケルヲ、狼籍也トテ、前ノ簾幷ニ下スダレヲ切落タリケルニ、葛ノ袴ヲ著タル男アリ、車ヲ馳テ逃ケルヲ、追懸テ散々ニ打ケリ、

↑

〔玉海〕

p.0871 文治五年八月廿二日己酉、此日下二向南都一、余〈○藤原兼實〉冠直衣〈京出入時皆同〉庇車〈依二遠所一不レ懸二下簾一、故實也、〉

↑

〔明月記〕

p.0871 承元二年正月三日、今夕有二女院御幸一、〈○中略〉博陸御車寄進、笏ヲ懷中、下御簾、〈左右〉簾ヲ取具〈天〉褰給入御、

↑

物見簾

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0871 半蔀車
同〈○物見〉簾靑編糸、〈大臣一枚ニ四所各四筋、大粁一枚ニ二所各二筋、〉靑地錦緣、〈大臣一枚ニ中ニ三筋、左右端、相合五筋也、大將一枚ニ中ニ一筋、左右緣相合三筋、皆〉
〈帽額也、異二于板畫圖一、大臣大將共同、〉攝關家、納言大臣無二差別一、

↑

〔西園寺家車圖〕

p.0871 納言大將半蔀車
一物見簾〈編糸幷裏緣等如レ先、靑地錦、緣小文、一方ニ二枚ニ別懸緖二筋組、〉

↑

車屏風

↑

〔河村誓眞聞書〕

p.0871 一車にめす時、車屛風とて、くるまの内にたち候、女房衆の時、如レ此歟、

↑

榻

↑

〔新撰字鏡〕

↑

〈木〉

p.0872 㯓榻〈同耻闔反、志地、〉

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車具〉

p.0872 榻唐韻云、榻、〈吐盍反、和名之知、〉床也、

↑

〔箋注倭名類聚抄〕

↑

〈三/車具〉

p.0872 初學記引二通俗文一云、牀三尺五曰レ榻、是所二以坐一之器、釋名、榻、登也、施二大牀之前小榻之上一、所二以登一レ牀也、所二以登一レ牀之器、故轉注爲下所二以登一レ車之器上、按説文無二榻字一、古蓋用二跼字一、蹋、踐也、謂レ可二踐而登一也、

↑

〔類聚名義抄〕

↑

〈三/木〉

p.0872 榻〈シチ〉榻〈シチ〉

↑

〔下學集〕

↑

〈下/器財〉

p.0872 榻(シヂ)〈人座、或日本俗爲二車具一也、〉

↑

〔倭訓栞〕

↑

〈前編十一/志〉

p.0872 しぢ新撰字鏡、和名抄に榻をよめり、車の床くびきをもたする具なり、されど榻字は車にのみ限るべきにあらず、唐韻に床也と注せり、
しぢのはしがき昔し男の女をおもかひけて、九十九夜までかよひて車の榻に數を書たりしが、百夜に滿る夜、さはる事ありとて、逢ずなりにし故事なり、俊成卿臨レ期變レ約戀の歌に、
おもひきやしゞのはしがき書つめて百夜も同じまろねせんとは

↑

〔延喜式〕

↑

〈十七/内匠〉

p.0872 伊勢初齋院裝束
車榻一脚料槻二枚、〈各長五尺、廣四寸、厚二寸、〉檜榑一材、阿膠五兩、鐵一廷、炭二斗、熟銅二疔十兩、滅金四兩、鑑銀一兩二分、鐵半廷、伊與砥一顆、信濃布二丈、調布二丈、白〓薄三枚、〈方八寸〉阿膠三兩、信濃布五尺、漆一升五合、絹一尺五寸、綿七兩、細布一尺五寸、信濃布二尺、掃墨五合、燒土五合、單功卌人、〈木工八人、漆七人、銅十六人、白〓九人、〉

↑

〔飾抄〕

↑

〈下〉

p.0872 一車
檳榔毛車〈○中略〉
榻〈大臣黃金物、大將散金物、納言以下漆金物、執柄家納言散物、大臣之後黃物、〉

↑

〔門室有職抄〕

p.0872 榻事院、親王、關白、大臣已上、黃金物打レ之、大納言、中納言、大將、赤銅散物ノ金物打レ之、自餘人々、皆鐵金物打レ之、
榻ヲバ、左右轅ノ下ヨリ、隨レ有二便宜一立レ之、貴人ハ前駈ノ役、普通俗家ハ雜色役、僧中ハ大童子役也、

↑

〔物具裝束抄〕

p.0873 一榻事
黃金物、〈大臣用レ之〉散金物、〈大將用レ之〉黑金物、〈納言以下公卿用レ之〉

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車典〉

p.0873 榻間事
黃金物ハ大臣必用レ之、〈何ノ車モ相通、但半蔀車、或散物、〉散金物ハ、納言大將用レ之、〈半蔀網代八葉、皆同レ之、〉

↑

〔海人藻芥〕

p.0873 車之事
榻、俗親王大臣以下、僧中は僧正以下、僧綱皆用レ之、

↑

〔九條家車圖〕

p.0873 公卿時召レ之
網代〈○中略〉御榻〈金物塗籠〉

↑

〔西園寺家車圖〕

p.0873 納言大將半蔀車
一榻〈散物金物黑赤銅、網代幷八葉之時、猶用二此榻一、當家如レ此、〉

↑

〔枕草子〕

↑

〈十一〉

p.0873 西の對に、殿〈○藤原道隆〉すませ給へば、宮〈○道隆女定子〉にもそこにおはしまして、まづ女房ども車にのせさせ給ふを御覽ず、〈○中略〉みなのりはてぬれば、引出て二條のおほぢにしぢ(○○)たてゝ、物見ぐるまのやうにて、たてならべたるいとおかし、

↑

〔後二條關白記〕

p.0873 寬治七年四月廿一日丁卯、著二社頭一、〈○賀茂〉御車立二鳥居南一懸レ榻、予〈○藤原師通〉以下源大納言連二立車一云々、置二榻於轅中一、

↑

〔源平盛衰記〕

↑

〈十〉

p.0873 中宮御産事
御産〈○高倉中宮平德子懷妊〉ナラズ、二位殿〈○德子母〉心苦シク思給テ、一條堀川戻橋ニテ、橋ノ東ノ爪ニ、車ヲ立サセ給テ、橋占ヲゾ問給フ、十四五計ノ禿ナル童部ノ十二人、西ヨリ東へ向テ走ケルガ手ヲ扣同音ニ、摺(シチ)ハ何褶(シチ)、國王摺(シチ)八重鹽路ノ波ノ寄摺(シチ)ト、四五返ウタヒテ、橋ヲ渡、東ヲ差テ飛ガ如シテ失ニケリ、

↑

〔吉部秘訓抄〕

↑

〈四〉

p.0874 一泰通卿車文事〈用二寄子一平人雖二地下一打立樣事〉
文治四三廿五、同記〈○藏人次官經房記〉云、坊門中納言、〈泰通〉謹而我一家於二車文一者、杜若皆用レ之、物見之外須知加倍之子、嫡家用レ之、養父入道拾遺亞相、〈成通〉依二信通養子一用レ之、用二寄子(○○)一之人、雖二地下一打二立搨一、愚身之時、故入道奏二當院事一、舊時隔レ之故、而近來一族之輩、不レ知二此子細一、非二嫡家一雖レ用二寄子一、押以打二立榻一、未曾有事也云々、

↑

〔玉海〕

p.0874 文治六年正月十一日丙寅、此日攝政太政大臣〈兼實〉長女、從三位任子有二入内事一、〈○中略〉先レ是糸毛車、舁二放牛一立レ榻、〈南面、去二朔平門北砌一一丈許、當二中央一、〉

↑

しぎ

↑

〔謙亭筆記〕

p.0874 一車のしぢとは、いかなる物を申候哉、答、車のしぢ、くびきをもたすものを申候、しぎ(○○)は車よりおり申候時のはしごにて候、乘申候時は、堂上より乘る故、しぎ入不レ申候、

↑

〔嬉遊笑覽〕

↑

〈二下/器用〉

p.0874 近ごろの繪をみるに、車の後より、榻の外に、かけはし(○○○○)と云ふものを持行處あり、黑く塗りたる階子なり、賀茂氏〈○眞淵〉の雜問答考に、榻は牛をはなちてより、軛をかくれど、先は是を踏て乗も下もする物にて、それが料によきほどの高さに作りたるなり、然るを此答に、棧のことをいへるは、いかにぞや、車のこと、古今とよろづの書にも、古き繪などにも、しぢは有て、棧のごときものはなし、たゞ近ごろさかしらに、さる物を作り出せしと見えたり、且つそれをしぎと名付しは、古今和歌集に、しぎの羽がき百羽がきと、此鳥の羽搔のしげきをよめる歌のあるを、後の世にとりかへて、榻の端に、きざみ付たりてふ、例の戯れ物語を作りしより、又後人しぎといひ、しぢといふ爭のあるを、又好事の、車にしちの外に、しぎてふ物ありて、それにきざみは、つけたりなどいひげんをもて、この棧の名とせし事、しるきなりと云へり、

↑

雨皮

↑

〔西宮記〕

↑

〈臨時八〉

p.0875 車
兩皮公卿以上車張レ之

↑

〔物具裝束抄〕

p.0875 一雨皮事
面練薄靑染レ之差レ油、裏白生絹、近代面裏、練之薄靑染不レ差レ油、爲二公平一云々、公卿以上僧綱用レ之、

↑

〔海人藻芥〕

p.0875 雨具事
雨皮、〈生絹ヲ淺黃ニ染用レ之、輿車同ジ、但可レ有二大小一也、〉張筵車ニ用レ之者也、

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0875 雨皮間事
三位以上用レ之、雖二何車一通二用之一、表裏平絹、〈幅表〉淺木ニ染ム、緯ノ妻ニ細緖ヲ縫含テ、以二其緖一結二付雨皮一也、先下ニ張二張筵ヲ一、其上ニ張二雨皮一也、連軒俄降雨之時、上﨟不レ覆レ之前ニ不レ覆レ之、進而覆ハ無禮也、殿上人已下不レ用レ之、只用二張筵一、
晴天路次之間、釜殿仕丁、著二退紅一持レ之、〈參議不レ具二退紅仕丁一歟、依二制符之故一云々、此時白張笠持相加、笠持レ之云々、當家ハ、座(座恐誤)日猶具二退紅仕丁一、〉以二白布十反一緘レ之時、或以二雨皮一爲レ上、或以二張筵一爲レ上、〈德大寺如レ此也〉當家説、以二雨皮一爲レ上テ、以二張筵一籠レ中也、
院中儀、挊ニ插テ持レ之、大臣以下只夾レ腋乎、〈他家不レ知レ之、當家如レ此、見レ圖、〉在二右鳶尾外一、

↑

〔輿車圖考〕

↑

〈九〉

p.0875 雨皮付
轅に金物ありて、兩皮のつまの緖をゆひとむるなり、これに栗形正いふあり、

↑

〔九條家車圖〕

p.0875 唐御車
御雨皮〈張筵如レ常〉

↑

〔輿車圖考〕

↑

〈四〉

p.0875 唐車張筵とは、むしろをはりて雨を除るなり、鳳輦のはり筵くはしくしらず、乘車のは詳記を見ずといへども、おほかたはかはることもあらじ、廣橋家へとひしに、彼かたのこたへも詳ならず、

↑

〔葉黃記〕

p.0876 寬元四年三月二日辛卯、爲二御方違一、御二幸宣陽門院一、〈○後白河皇女覲子内親王〉第二度御幸、廂御車也、〈○中略〉御兩皮張筵料挊〈御幸始、所レ被二通用一之由被レ申レ之、〉

↑

鞦

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車具〉

p.0876 鞦四聲字苑云、鞦、〈音秋、字亦作レ鞧、和名之利加岐、〉車鞦、所三以制二牛後一也、

↑

〔箋注倭名類聚抄〕

↑

〈三/車具〉

p.0876 按、之利、臀也、加岐、謂レ勒二絡之一也、謂レ著レ褌、爲二多不左岐加久一、卽是也、與三垣牆訓二加岐一同語、〈○中略〉空穗物語樓上下卷、謂二之利加以一、今俗所レ呼同、〈○中略〉按、玉篇、鞦、車鞦也、方言、車紂自レ關而東、周洛韓鄭汝穎、而謂二之鞦一、釋名、釋車、鞧、〓也、在二後道一迫使レ不レ得二却縮一也、説文、紂、馬〓也、〓、馬紂也、則知鞦作レ〓爲レ正、所レ引鞧〓鞦皆俗字、

↑

〔延喜式〕

↑

〈四十一/彈正〉

p.0876 凡内親王、三位已上内命婦、及更衣已上、並聽下乘二絲葺有レ庇之車一、幷著中緋牛鞦上、

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0876 鞦間事
平畝鞦、檳榔庇、毛車、雨眉、網代、庇等、用二平畝鞦一、但雨眉網代庇、或用二丸畝一、唐車、糸毛、輦車等、平鞦付二杏葉一、唐車或革鞦云々、
平畝ハ、繩ニテ車副遣レ之時用レ之、
太畝鞦、半蔀、網代、八葉、〈或丸畝ト云者是也〉牛童遣レ之時用レ之、點鞦ハ、廷尉彈正等職用レ之、〈於二辨少納言一ハ、他家説可レ有レ之、於レ家者用二赤鞦一、〉解二懸、鞦一事下車之時、鞦ヲ牛ニ解懸タル事
大臣之時作法也、〈但䙝時不レ可二必然一〉納言以下無二此儀一、出レ牛後、纒二付于軛一置レ之、但拜賀之時、爲レ表二祝著一、准二大臣儀一、解二懸牛一也、

↑

〔空穗物語〕

↑

〈樓の上下二〉

p.0876 ないしのかみの御車、新しく調ぜさせ給へり、かんの殿のは、こ紫の糸毛に、唐鳥孔雀ぬはせ給へり、宮の御は、ふたあゐに雲だすき、秋ののゝかたをうつし、草、虫、すゝき、むら鳥のかたを、いろ〳〵に縫はせ給へり、いとなまめかしうさま〴〵にをかしう、しりかい(○○○○)にも唐章のかたをぬはせ給へり、下すだれも、かうの地に、薄物重ねて、小鳥、蝶などを縫ひたり、

↑

〔中右記〕

p.0877 天永二年四月十四日丙午、齋院御禊也、〈○中略〉先日攝政殿〈○藤原忠實〉被二敎仰一云、公卿立レ車時、大臣解(○)レ鞦(○)、乍レ懸レ牛引出也、大納言以下ハ引二出牛一、鞦ハ如レ本結二付車一也、此事年來不レ知、仍今日、於二列見辻一立レ車時不レ令レ解レ鞦也、

↑

〔長秋記〕

p.0877 大治四年四月十九日丁卯、齋院三年祭了、入二給于野宮一御禊也、今日行事辨實親車、懸二黑鞦一、若是靭負佐儀歟、可レ尋、

↑

〔台記〕

p.0877 保延二年十二月九日壬寅、參内儀、〈○此日藤原賴長任二内大臣一、中略、〉
鞦は參内之時、未レ任二大臣一之前なれば、不レ解つれば、猶軛に結付られてあるなり、仍駕レ牛之時、不口鞦也、ムナガヒノワナ許ヲカクルナリ、

↑

鞅

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車具〉

p.0877 鞅毛詩注云、靷、〈音引〉所二以引一レ車也、四聲字苑云、鞅〈於兩反、漢語抄云無奈加岐、〉軛下絆レ頸繩也、

↑

〔箋注倭名類聚抄〕

↑

〈三/車具〉

p.0877 按、釋名云、靷所二以引一レ車也、説文、靷引レ軸也、左傳正義云、古之駕二四馬一者、服レ馬夾レ轅、其頸負レ軛、兩驂在レ旁、挽レ靷助レ之、段玉裁曰、轅載二於軸一、兩靷亦係レ軸、哀二年左傳、我兩靷將レ絶、吾能止レ之、駕而乘レ材、兩、靷皆絶、此可レ見二靷之任レ力、幾與レ轅等一、靷在二輿下一、而見二於軌前一、乃設レ環以續レ靷、而係二諸衡一、故詩云、陰靷沃續、又曰、僖廿八年左傳、晉車七百乘、〓靷鞅靽、杜曰、在レ胸曰レ靷、此在レ胸曰レ靳之誤、説文、靳當膺也者、是以三秦風毛傳、靳環或作二靷〓一證レ之、其誤正同矣、愚按、段説是可レ從、杜氏以レ在レ胸釋レ靷、蓋誤也、後漢書郭憲傳注、〓在二馬胸一、其謬與二杜氏一同、源君以レ靷爲二无奈加岐一、亦襲二此誤一也、

↑

㡔䘰

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車具〉

p.0877 㡔䘰唐韻云、㡔䘰、〈㡔延二音、俗云久飛於保比、〉牛領上衣也、

↑

〔類聚名義抄〕

↑

〈六/衣〉

p.0877 㡔䘰〈摸延二音、クヒオホヒ牛頭上衣〉

↑

牛縻

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車具〉

p.0877 牛縻蒼頡篇云、縻、〈音與レ糜同、和名波奈都良、〉牛韁也、字音云、秦、〈音眷、漢語抄云、秦、牛乃波奈岐、〉牛鼻環也

↑

〔類聚名義抄〕

↑

〈三/木〉

p.0877 秦〈音春、牛ノハナキ、〓〓俗〉

↑

〔同〕

↑

〈六/糸〉

p.0877 紖〈ウシノハナツラ〉〓〈牛ノハナツラ〉緣〈牛〉〈ノハナツラ〉紼〈ハナクリナハ〉

↑

〔同〕

↑

〈七/广〉

p.0878 縻〈ハナツラ〉

↑

〔同〕

↑

〈七/口〉

p.0878 圏〈ハナツラヲリハナツラヌク〉

↑

差繩/遣繩

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0878 綱間事〈附角卷事〉
唐車糸毛用レ之、綾打交蘇芳下濃也、白網代庇、雨眉半蔀、毛車、網代等用レ之、綱ト云ハ、白布ニ付レ粉テ三ツ打ニシタル也、長ク打テ二重ニ取テ、中央ニ付別緖ヲ一、牛鼻ニ、付テ兩方へ張テ、車副二人遣レ之、〈大臣時、四人モ六人モアレ、下﨟二人、取二綱ヲ一是ヲ近手(○○)ト云也、其餘ノ上﨟ハ立二副轅一也、然而近代四人六人也、悉付レ綱、大誤儀也、〉
號二片綱(○○)一シテ、車副一人之時、立二右方一遣レ之也、此時角卷(○○)ト云コトアリ、
或抄云、凡角卷ハ、片綱之時事也、仍宰相三位卷レ之、〈律師法橋准レ之〉大中納言モ、車副一人有レ之時、〈令案、毛車等儀不レ可レ然、網代車、八葉車等差繩網時、略儀事也、〉下簾懸テ卷レ之、〈法印僧都又准レ之〉二位猶片綱有二角卷一云々、〈法眼准之歟〉角卷スル時ハ、車副或牛飼共遣レ之云々、〈今案、牛飼事不審、可レ尋、〉
今案雖レ非二片綱一、主人下車之後ハ、則擧二左綱一歟、强非二作法一事也、
抑差綱(○○)ト云事、納言以上者、網代車ニテモ、八葉車ニテモ、ヌ子孫及家禮人ノ車ニテモ、何ノ車ニテモアレ、毛車ノ綱ヲ差テ乘用也、〈車副遣レ之、雖二大臣一、略儀二人之例有レ之、建久、中山内府、建保六四、野宮左府等、是也、又納言モ片綱之例存レ之乎、〉此事直衣時例也、是束帶之時、或遠所、或内々參陣之時如レ此、拜賀之事、晴日、不レ可レ然事也、〈用二毛車之故也一〉又網代車等、或差綱シ、或遣二牛童一、依レ事テ臨レ時テ、兩樣不定ナレバ也、
遣繩(○○)ト云ハ、毛車以上、一切品不レ可レ用レ之、八葉車、殿上人文車等用レ之、網代車、遣二牛飼一之時用レ之歟、白布ニ粉ヲ付テ、二ツヨリニシタル物也、綱ヨリハ細シ、長同レ綱歟、綱ハ牛飼、雖レ在二角本一半分ナルアリ、筋兩方ニ張レ之、一方ニ取故也、但牛飼ノ輪ノ轂ノ下ニ立テヤルナレバ、サノミ不レ可レ短歟、遣繩ハ、網代車已下、遣二牛飼一ノ時、可レ用物也、〈毛車ニハ一切不レ可レ用事也、牛飼ノ遣事ナキ故ナリ、〉〈仍大略繩ト遣綱ト同程歟〉所詮綱ハ車副ニ付クル物也、遣繩ハ牛飼付タルモノ也、綱ハ公卿乘用車ニ用也、遣繩ハ公卿䙝時、四位五位已下殿上䙝時ニ、通ジテ用レ之物也、

↑

〔門室有職抄〕

p.0879 角卷事
凡角卷ハ、片網之時ノ儀也、仍宰相三位卷レ之律師法橋准レ之、大中納言、車副有二一人一之時ハ、下簾ヲ懸テ卷レ之、法印僧都又准レ之、二位猶片綱ニシテ有二角卷一云々、法眼准レ之歟、角卷スル時ハ、車副或牛童共ニ遣レ之云々、

↑

〔山槐記〕

p.0879 治承三年十月十日甲午、今日院宮、〈御年十一、母故仁操僧都女、仁和寺守覺法親王御弟子、〉爲二御受戒一令レ向二東大寺一給、〈○中略〉權大僧都等性、前駈四人、牛童一人遣レ之、〈赤色欺冬衣、有二角卷一、○中略〉公卿權中納言成範、車副一人遣レ之、〈有二角卷一、牛童薄色、〉

↑

〔葉黃記〕

p.0879 寬元五年〈○寶治元年〉正月一日乙卯、牛馬御覽云々、後日牛飼等、群來之次、藥師丸云、第一御牛、前前用二打交繩(○○○)一、而廳無二用意一、仍共用二布遣繩(○○)一、

↑

〔百練抄〕

↑

〈十七/後深草〉

p.0879 正嘉二年十一月一日、左大辨宰相經俊、直衣始也、〈○註略〉駕二網代車一、〈大八業〉榻、〈黑金物〉牛指繩、牛童車副雜色、如二拜賀之時一、

↑

〔新抄〕

p.0879 文永四年八月八日女房〈乘車〉參二一院〈○後深草〉御所一、件牛〈法性寺三位雅平牛也〉引二切遣繩一、步昇二式馬道一云云、

↑

罿

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車具〉

p.0879 罿唐韻云、〈音童、一音衝、車乃阿美、〉車上網也、

↑

〔箋注倭名類聚抄〕

↑

〈三/車具〉

p.0879 按、説文、罿、罬也、罬捕レ鳥覆レ車也、詩兎爰、雉離二于罿一、毛傳、罿、罬、也、釋文引二韓詩一云、施二羅於車上一曰レ罿、爾雅〓謂二之罿一、罿、罬、也罬謂二之罦一、罦覆レ車也、郭注、今之翻車也、有二兩轅中施一レ罥、以捕レ鳥、則知玉篇幡車、卽郭璞所レ云翻車、以捕レ鳥之車網、今俗呼二無雙網一之類也、源君以爲二乘車蓋上網一者誤、
○按ズルニ、罿ノ乘車ノ網ニ非ザル事ハ、箋注倭名類聚抄ニ辨セルガ如シ、而シテ倭名類聚抄車具ノ條ニ載スルヲ以テ、其誤ヲ辨ジテ此ニ載セタリ、

↑

車油

↑

〔延喜式〕

↑

〈三十六/主殿〉

p.0879 左右馬寮車油(○○)三斗八升三合〈寮別一斗九升一合五勺〉

↑

輠

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車具〉

p.0880 輠唐韻云、輠、〈胡果反、上聲之重、又音果、漢語抄云、車乃阿不良都乃、〉車脂角也、

↑

〔箋注倭名類聚抄〕

↑

〈三/車具〉

p.0880 按車脂角不レ詳、玉篇、輠車脂轂、孫氏蓋本レ之、角、疑轂字、音近而誤、説文、無レ輠有レ楇、盛レ膏器、或假二借過字一、或諧聲作レ輠、見二史記荀卿傳集解一、則知楇輠古今字、然輠是盛レ膏器、非下脂二車轂一者上、説文、鉆字云、膏車鐵鉆、段玉裁曰、謂レ脂二其車轂一者、以レ油納レ〓、濡レ膏而染二轂中一也、其器曰レ鉆、鐵爲レ之、然則鉆是脂二車轂一者、可三以訓二阿夫良豆乃一、

↑

〔類聚名義抄〕

↑

〈九/車〉

p.0880 輠〈或棵錁盛レ膏車器、アフラツキ〉車輠〈アフラツノ〉

↑

〔同〕

↑

〈九/戈〉

p.0880 車載〈アフラツノ〉

↑

乘泥

↑

〔倭名類聚抄〕

↑

〈十一/車具〉

p.0880 乘泥漢語抄云、乘泥、〈車乃都知波良非〉

↑

〔後漢書〕

↑

〈十一/劉盆子傳〉

p.0880 劉盆子〈○中略〉依二侠卿一、侠卿爲制二絳單衣、半頭赤幘、直纂履一、乘二鮮車大馬赤屛、泥、〈赤屏泥謂以二提油一屏二泥於軾前一、〉絳襜絡一、

↑

〔類聚名義抄〕

↑

〈五/水〉

p.0880 乘泥〈クルマノツチハラヒ〉

↑

車絞

↑

〔海人藻芥〕

p.0880 車之事
紋車(○○)、家々文、網代組付、又袖陰書レ之、顯職殿上人乘二用之一、〈顯職者、藏人頭、内藏頭、五位藏人、左右兵衞佐等也、〉五位等侍車、竪緣不レ打レ之云云、

↑

〔飾抄〕

↑

〈下〉

p.0880 一車
文車
仁安二二十五、殿記、曰、殿〈久我〉被レ仰曰、車文(○○)如何、侍從同樣如何、故入道殿〈○雅定〉不レ御之時、予中宮權大夫出仕之時、令レ違レ袖、〈予本定絞、ヲモダカ鶴、〉又物見、〈予綠靑、彼金靑、〉然者爭不レ違哉、袖中ニ鶴ヲ作テ令レ起如何、被レ仰曰、不レ可レ然、此一家通文不吉也、物見ニ令レ出レ簾如何、予近衞使之時用レ之尤吉、仍此定ニ定了、
通方案、今子孫皆通文、違二先人御命一如何、三位師季卿、故典藥頭賴基養育、鍾愛无レ他、仍申二請故殿一、令レ乘二大面一、但物見金靑、無レ簾、而近代彼兄弟皆乘レ之、塗二綠靑一令レ張レ簾、簾ニ付レ總、凡種々秘事、或大臣調二此車一、毎二出仕一用二出車一、末代甚无念事也、爲レ是如何、
四月十六日、同御記曰、古人被レ語曰、大面車、故入道殿、近衞司之時、賀茂祭使令二勤仕一給、而件時出來云々、又大固食車、六條右大臣〈○顯房〉御車也、而大相國殿〈○雅定〉令レ傳二給公卿一之後、依二六條右大臣殿仰一、件車傳二給楊梅大納言一、〈○顕雅〉大面車、非二先祖者一歟、故右府御時出來歟、固食車、野行幸之時、初出來云云、是僻説也、自二土御門殿御時一出來歟、
押紙云、嘉禎三年五月廿七日、久我恒例八講、内府〈○定通〉被レ入、束帶被レ乘二上網代車一、〈上白網代、袖出錢金云々、〉後日前丙府、〈○通光〉被レ語曰、吾家兩三代、不レ調二件網代車一、只調二半蔀車一所レ乘也、若花山之家例歟、且又大臣著二束帶一乘二網代一事、定無二先例一歟、可レ乘二網代一者、直衣若衣冠可レ宜歟、吾家可レ用二網代一之時、借二用子息車一、常事也、又掘物榻云々、件榻當家不レ調、只自二納言大將之時一、用二黃金物榻一也、一日又被レ懸二下簾一云云、同不レ得二其意一、如レ此遼遠之時、不レ懸二下簾一也、靑侍語、件車簾端、普通蝶圓ヲ圓蝶二ヲ、以レ墨消レ之云云、以言大臣、用二一蝶一、无二案内一雜掌、如レ此調歟、言二一蝶一者、只圓蝶一ヅヽアルナリ、

↑

〔門室有職抄〕

p.0881 車文事
院御車文、中ハ大八葉、袖ハ唐草、上ハ白、此晴儀之御車也、又大八葉ノ長物見、此䙝時ノ御車也、親王、長物見ノ小八葉、常事也、
一ノ人ハ、上ハ白シテ、袖ハ牡丹、中ハ嫡子ハ大八葉、次々ハ小八葉也、此晴儀也、又大八葉ノ切物見、此䙝儀也云々、
花山院、幷中御門左府、杜若、
中院源氏、〈通親之黨也〉上ハ龜甲、中ハ大顏、袖ハ杜若、中ハ鶴、
實宗卿、鞆畫、〈閑院黨也〉
泰行卿、大酢漿ト杜若トフシマゼタリ、物見ニ文ヲ指セリ、實禎卿、篠圓、兼良卿、菱中ニ牡丹、
公釋卿、御簾ノ裳額、〈德大寺左府實能之時、此文ハ出來云々、〉
信淸卿、龜甲、公房卿、磐篠、〈閑院也〉
宗賴卿、袖菱子、中ハ八葉也、〈寬修寺氏也〉
兼仲卿、大酢漿、〈中院也〉宗輔卿、龍膽、
親雅卿、杏葉、〈寬修寺也〉公時卿、鷰〈閑院也〉
實明卿、菊、〈閑院也〉經家卿、澤瀉、〈諸大夫也〉
季經卿、文同、〈諸大夫也〉季能卿、文同、〈諸大夫也〉
隆房卿、鴛圓、〈諸大夫也〉親能卿、蝶飛散、
高三位、鷄冠圓、滋小葉、〈諸大夫也〉六波羅黨、蝶圓、
俊成卿、水蕗卯杖、
知光卿、二フチニ立涌雲、〈俊成黨也〉
經房卿、此一家ハ三葎ノ圓、〈寬修寺也〉
日野氏、松鶴、
平家、竹ニ雀、或穀葉、又葵ニ雀、〈○原本有二誤脱一、據二一本一補正、〉

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0882 一車紋事
菊〈院御車紋也、或抄云、自二後烏羽院御時一、御車紋改レ之、袖ハ菊枝、中ハ菊八葉、同云、已往者、中ハ大八葉、祉ハ唐草、上ハ白、此晴時御車也云々、又大八葉長物見、是ハ褻時ノ御車也云々、〉
牡丹〈近衞殿庇及網代同也〉龜甲〈九條殿庇車網代時有二牡丹一〉
鞆繪〈通季卿末用レ之、但公經公嫡乘也、自餘子息ハ不レ用レ之、〉折入菱〈實有卿〉
畫扇〈實雄公末用レ之、嫡之外不レ用レ之、〉孔雀〈公基公〉三葉柏〈公定卿〉菊〈實明卿〉
菱〈中有二牡丹一、實藤卿、〉〈公雄卿〉
〈實明卿公守二男〉鶴〈細鶴上龜甲、實房公末用レ之、〉
鷰〈公敬公二男、實國卿末用レ之、但實隆朝臣ハ袖梅木副也、〉帽額〈實能公末用レ之〉
花菖蒲〈家忠公末用レ之、或抄云、杜若云々、〉輪違(ワチガヒ)〈經宗公末用レ之〉
立涌雲〈宗家卿末用也、但藏人侍從宗基、乘二杜若一、或抄云、宗忠公杜若云々、〉
杏葉丸〈持明院基家卿末用レ之〉鸚鵡丸〈賴輔卿末用レ之、敎定末同用レ之、〉
瞿麥〈定家卿末用レ之〉蝶菱〈家政卿末用レ之〉
蝶〈季行卿末用レ之、資季帥流同用レ之、或抄云、洲濱云々、〉〈光賴卿末用レ之〉
唐菱丸〈師尹公末用レ之〉雀丸〈爲隆卿末用レ之、三八葉大辨之時用レ之云々、〉
鴛丸〈家成卿末用レ之〉澤瀉(ヲモダカ)〈顯輔卿末用レ之〉
龜甲〈信隆卿末用レ之〉龍膽(リンドウ)丸〈親信卿末用レ之〉
三葉柏〈南家僧〉〈範兼末用レ之〉松丸中龜〈資業末用レ之、此事不審、〉
大顏(オホカホ)〈通親公末用レ之、但通具卿末用二大菱一、〉梅〈資(伯)淸王末用レ之〉
龍膽(リンドウ)〈資賢卿末用レ之〉花橘〈淸行朝臣末用レ之〉
〈爲長卿末用レ之〉蝶〈賴盛卿末用レ之〉
島千鳥〈匡房卿末用レ之〉四葉柏〈以長朝臣末用レ之〉
竹ニ雀〈信範末用レ之〉

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〔續世繼〕

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〈七/武藏野の草〉

p.0883 大納言〈○顯雅〉の御車のもん(○○○○○)こそ、きらゝかにとほしろく侍りけれ、おほかたばみのふるき繪に、弘高金岡などかきたりけるにや、それを見てせられけるとぞ、

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〔台記別記〕

p.0884 仁平元年二月十六日丁巳、是日今麻呂〈○隆長〉加二元服一、〈○中略〉車常網代、文石千鳥龜、長物見畫二千鳥一、簾革靑、此新造也、

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〔愚昧記〕

p.0884 安元三年三月廿三日癸亥、未刻許參院、〈○中略〉宗盛卿、夏裝束也、不二更衣一也、從二公事一之時雖レ著二諒闇之服一、參二本所一之時、如レ此隨身諒闇也、抑乘二息侍從淸宗車一如何、是平文車也、故殿、保元度、令レ用二盛經車一給也、是八葉也、重服人乘二平文車一、不レ可レ然歟、

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〔尊卑分脈〕

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〈十一/藤原〉

p.0884 通季卿傳〈○中略〉
西園寺家文非二鞆繪一、公宗卿、建武二年被レ誅之時、彼家錯亂以後用二鞆繪文一之由、見二後押小路殿御記一、

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〔葉黃記〕

p.0884 寬元四年三月二日辛卯、爲二御方違一、御二幸宣陽門院一〈○後白河皇女覲子内親王〉第二度御幸、廂御車也、〈○中略〉御車文
任二後鳥羽院御例一、袖菊一本、中央八葉也、兼被レ仰二合禪閤殿下〈○藤原道家〉幷前内府一之處、禪閤は、任二舊例一被レ用二牡丹一之條、何事有哉、後鳥羽院も、最前は若被レ用二此文一歟、但又可レ爲レ菊之條、不レ可レ難也、前内府、偏可レ爲レ菊之由被レ申レ之、
前漢廢之後、光武再興二漢禮一、今被レ用二後鳥羽院御車文一之條、可レ叶二此儀一之由、前内府被レ申、不二相似一事歟、

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〔五代帝王物語〕

p.0884 大殿、〈○藤原道家、中略、〉同〈○嘉禎〉四年四月廿五日に、年四十六にて出家し給、其後も威光は益壯りに御座しけり、出家の人の參内する事は、御堂關白、〈○藤原道長〉平太政入道〈○淸盛〉などの外は、いたく例もなけれども、車の文には蓮花をして行粧ゆゝしくて參内し給、

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〔園太曆〕

p.0884 貞和四年四月十九日
何等御事候哉、抑稱號事、商二量勸修寺前大納言一〈○經顯〉候之處、返狀如レ此、〈○中略〉車事、繪網代、勿論候之由、彼卿申候、仍散レ蒙了、就レ中文事、三雀丸、世間餘遍滿、無二等差一之條、不便候哉、且故内府、近來改用二竹立涌一候キ、被レ追二彼文一之由存候、若又可レ限二彼子孫一候哉、大納言可レ有二所爲一之旨申候、然而猶未二一決一存候、枉可レ被二計下一候哉、藤長於二故内府一、容二父子之禮一候キ、就此好一用二彼文一之條如何、猶亦可二斟酌一者、斯文何樣可レ候哉、委曲被二示下一候者、可二畏入一候、彼狀實覽之後、可レ被二返下一候也、以二此旨一可レ被二洩申給一候、藤長、頓首誠恐謹言、
四月廿日藤長〈上〉
勸修寺前大納言返事
度々恩問恐悦候、〈○中略〉御車文之事、故大納言殿以來、用二來三雀丸文一、被レ追二故大臣殿御例一候哉、宜レ在二御意一候歟、細々繪網代之條、勿論候歟、文樣如二記録一、委不二注置一候、但袖三雀中、如二小八葉一、雀丸之由所見候間、經顯、如レ此致二沙汰一候キ、毎事期二參會一候、恐々謹言、
四月廿日經顯
洞院返事
不審之處、悦承了、〈○中略〉車繪、網代者勿論之由存候也、文事、故内槐御所爲、就二御猶子儀一被レ用之條、何事候哉、且可レ被下請二益羽林一給上候哉之旨存候也、謹言、
四月廿一日判〈○中略〉
中納言入道覺源返事
委細被二仰下一候、畏入候、〈○中略〉車文事、宗房朝臣申二異議一候、然事問答治定之後、條々可二申入一之由申間、中納言今朝出行事候、〈○中略〉
五月廿一日
條々
一車文竹立涌乎
貴命曰、任二故内府例一、用二件文一之條、不レ可レ有レ難、可レ請二益宗房朝臣一之條、會尺之至候歟、彼朝臣可レ承レ説候處不レ詳、頗不レ得二其意一、三雀丸、無二嫡庶之別一之上者、今度故内府、意巧不二分明一者、乘用有二何事一哉、但故内府作文之體、未二甘心一、其聲從レ家、大略始ハ亂文、終ハ用文也、而終成二亂文一之條、證據不審、其上件竹立涌、大宮大納言文也、宗房朝臣我用之時、若彼卿支申者、非レ無二後煩一歟、凡文者爲レ無二等類一也、所詮於レ汝者、可レ用二竹立涌丸一、就レ彼就レ此、旁可レ宜且可レ緣者歟、

↑

〔公淸公記〕

p.0886 貞和六年正月十六日壬申、抑車文事、自二何御時一爲二帽額一乎之由、日來乍二不審一過了、建永元年十月廿六日、新出家宮、於二南京一有二受戒一、其〈野宮殿〉日御記云、
法眼道雲〈後德大寺殿二男〉
片綱無二前駈一、上童一人、童子六人、
車可レ用二家文一之由、此僧度々示送候、令二停止一了、凡家々車文、僧家用レ之事、非レ無二先例一、但其意者、借二用親昵事之儀也、全非レ可二自調用一レ之、因レ茲丞相在二親眤一者、卽借二請其車一、仍懸二下簾一具二車副一、是付レ車之禮也、更非二付レ僧之儀一、此故平等僧正拜賀之時、扈從之人、皆用二檳榔車一、僧家可レ調二持毛車一哉、就レ中末額文者、德大寺殿、爲二出車一所レ被二調出一也、始發于女、僧家尤不レ可レ用之由、先公之遺戒也、且師僧正法眼之比用レ之云々、先公令レ止給、其後被レ任二僧正一之日、任二近例一被レ調二乘上白車一之間、文事、又被レ待二予答先公之御命一、卽用二他文一而纔假、一家各々輩、不レ知二子細一、又不二相觸一、自由小僧等有二乘用之人一云々、然而未二見及一、凡者車文嫡子一人有二傳乘之家一、於二此文一不レ聽二僧家一條、縱僧雖レ可レ用二家文一、更不レ可レ背二常篇一、法眼霍執之甚奇怪也、用二車文一者、執二家之好一歟、執二家之好一者不レ可レ背、父命不レ可レ蔑、如二予詞執之旨一、尤有二若亡一也、今日予已供奉、用二親昵車一之儀、又不レ可レ叶也、如レ此之事雖レ有二會釋一、向後濫吹之源也、仍加二炳誡一了、御記如レ此、散二不審一了、此御記、日來定披見了歟、而不レ思二咎尫弱一也、家々文旨趣凡銘レ魂者也、
○按ズルニ、車ニ紋ヲ施ス事ハ、姓名部家紋篇ニ在リ、參看スベシ、

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乘車法

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〔三中口傳〕

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〈一〉

p.0886 一乘車儀事褰レ簾人
子息役レ之、若無二子息一、前駈上﨟役レ之、
下車儀
立レ榻人〈前駈第二人役レ之、子息取レ沓者、第一人立レ之、〉
取レ沓人〈同第一人有二子息一者必取レ之〉
取レ裾人〈取レ沓人便取レ之〉
乘下間事
院中儀、五位殿上人立二御榻一、〈召次長取二傳之一〉四位院司進二御沓一、〈同長傳レ之〉又四位院司立二御榻一事、粗出來之時、其中上﨟立二御榻一、御簾役人參事、尋常無レ之、大饗尊者、移徙亭主、共必有二此事一、一家公卿、幷供奉上首、勤二此役一之時、立二車右方一褰レ簾云々、付レ轅事、御幸時廳官〓二御車一、主典代相二加之一、又院司上﨟二人〈若一人〉相二副之一、乘車時立二御車右方一、以二右手一可レ持二上御簾一、下車時主人手自卷レ簾、仍無二役人一、
乘車時、御簾役人立レ右、榻役人立レ左、
下御時、御簾役人立レ左、榻役人立レ右、
故入道左府、依二脚氣所勞一、於二榻下一被レ著二沓鼻廣一、御榻役人立レ榻、後自二轅上一〈ヲヨビテ〉可レ開二開戸一、乘御之時、同人先開二開戸一、後立二御榻一、乘御後可レ閉レ之、有職雖レ勤二前駈一、房官上﨟、可レ立二御榻一、置二御尻切於榻上一時、僧綱進レ之者、自二轅上一置レ之、自二同下一可レ置二御尻切一也、俗家法、子息勤レ之、此役時如レ此、前駈ハ不レ然、只自二轅下一置レ之也、仍准二申之一、御尻切役人右、御榻役人左也、此役之時、乍レ持二松明一、進二寄御車邊一、捨二松明一立二御搨一、下御之後、又取二松明一可レ進、加之御榻、大童子取レ之可レ授二房官一、御尻切、侍取レ之可レ獻二僧綱一、前駈御車止、御牛出後、御童子長、取レ榻可レ授二前駈一、前駈立レ之、開二開戸一引二出引懸筵榻一、房官取二御尻切一、可レ授二僧綱一、入御之後、御車副可下下二御簾一押中入引懸筵上、出御之時ハ、前駈立二御榻一後、下簾一方ヘカキトリテ開二開戸一、引二出引懸筵一、下簾ヲ御簾役人ニ授ク、令二乘御一之後、押二入筵一、閉二開戸一、
前駈於二大炊御門辻一可レ降
御引替之時、前駈左可レ降、但近代不レ然、
前駈、中門邊侍二御車宿一可二徘徊一、前駈以二車左一爲二上﨟一、後騎以レ右爲二上﨟一、降立時同レ之、
參二御車一儀
於二門外一乘二御車一、榻下可レ脱レ沓、奉レ懷二主君一、乘二御車一時、可レ撤二御榻一、〈下之時同前〉雖下參二御車一人上、不レ踏二御榻一定例也、奉レ懷二主君一、自二御車一下ニハ、自レ後可レ降也、但可レ隨二彼命一、〈○中略〉
褰二御簾一樣
御簾ヲ持上ル時、下簾ヲ左右共一方へ引出テ、其簾ヲ持上之、榻役人立二車左一、立畢テ榻邊可二蹲居一也、乘下共以如レ此、沓役人、乘車時自レ左、下車時自レ右進レ之、隨二主人之後一押レ沓也、但自二轅下一、又自レ上、兩樣隨二役人一有レ差、笠ヲ擁スル役人下﨟歟、但可レ隨レ事也、

↑

〔門室有職抄〕

p.0888 車乘下事〈通二公私僧俗一也〉
凡車ニ乘ラバ、男子ハ乘レ右、女子ハ乘レ左、乘時車簾人擡レ之、下時ニハ自揚レ之、自レ我已下人ノ許へ行テハ、門ニ向テ下リ乘、自レ我以上ノ人ノ許ニテハ、門ノ傍ニテ下乘云々、下時履足駄之外ハ、皆置二前板一著レ之、置時ニハ轅ノ外ヨリ指及テ令レ置レ之、至二足駄一者、榻ニモ前板ニモ不レ置レ之、置レ土著レ之云々、下以人可レ令下、車簾出二轅中一之時ハ、ナガヘノスエヲ越テ可レ出也、不レ可レ越レ輾(クビキ)、履役ハ、從僧中童子等、隨レ時勤レ之、

↑

〔門室有職抄〕

p.0888 御出之時御車事
御車ハ、前ハ以レ右爲二上﨟一、後ハ以レ左爲二上﨟一、前ノ儀ハ、自レ左進二御榻一、右ヨリ進二御尻切一也、後ハ右ヨり御榻左ヨリ御簾也、御後ニシテ御ハキ物ヲ可レ給也、御車ノ開戸ノ役ハ、御前力榻ノ役人勤二仕之一、後ハ御簾役人勤二仕之一、御簾モチアゲ、又以前可レ開、乘御了ナバ、ヲシタツベシ、院御車御簾役ハ、殿下令二勤仕一給、但開戸役夕近法性寺殿〈○藤原忠通〉マデ被二勤仕一、近來全無二此儀一、開戸役ニハ、殿上人ヲ被レ召也、降雨之時者、御笠役人ト御足太ノ役人ト、一方ニ可レ立也、御足太ノ役人ハ、自ノ笠ヲ不レ用、御笠ヲ儲タランニ入テ、御榻ノ下ニ可レ立也、御榻役人ハ、從者ニ笠ヲ可レ指也、御榻ハ前駈ノ上﨟、御笠ハ下﨟役也、御笠ヲ指テ左右ニ立事ハ心ニ可レ任、

↑

〔源平盛衰記〕

↑

〈三十三〉

p.0889 光隆卿向二木曾許一附木曾院參頑事
木曾冠者義仲ハ、〈○中略〉院〈○後白河〉御所ニテ、車懸ハヅシテ、ヲリントシケルガ、後ヨリ下ケルヲ、雜色、車ニハ、後ヨリ乘テ、前ヨリオルヽ事ニテ候ト申セバ、イカヾ車ナランカラニ、忌々敷スドヲリオバスベキ、京ノ人ハ物ニオボエズト覺ルトテ、終ニ後ヨリ下ニケリ、〈○中略〉大方振舞トフルマフ事、云ト云言ハ、京中上下ノ物険ナリ、

↑

〔玉蘂〕

p.0889 承元三年三月廿三日、前太政大臣良經長女、有二入宮事一、〈名立子○中略〉先レ是女房童女乘車〈此對東西面妻戸〓レ車、余(藤原道家)出居東面指二入車寄一、北間顯房仲家、出衣扇同出レ之云々、〉殿上人二人、讃岐前司能季、右少將資家等寄レ車、童女車上レ簾、〈自レ本不レ掛二下簾一若懸レ之暗、前下簾ヲバ、簾ニ卷加テ不レ下也、後下簾下入二於車内一、左右さをに指はさむ也、〉各隨乘了、〈○中略〉〓二御車一、〈○中略〉次擡二御車一、仍内府〈○藤原良輔〉余參二進車寄下一、先引二懸打板一、卽引二下敷高麗端帖一枚打板上一、卽立二屛風几帳一、次姫君乘車、〈○中略〉御車入レ自二中門外北屛中門一、東宮南間〓二御車一、余卽步二御車後一、入二中門一後、昇二中門外簀子一、内府相共參二進御車寄所一、豫件間南北供レ燈、〈灯臺打敷〉置二几帳屛風打板帖等一、内府余相共掛レ板、〈其上敷二高麗端帖一枚一〉屛風几帳、先初御前下、次姫君下、〈先レ是御乳母故冷泉殿、儲二候御車寄内一、〉次屛風几帳放打板、挽二出御車一、次姫君居二晝御座一、〈謂二廂座一〉女房於二西面北小門一下車、

↑

〔百練抄〕

↑

〈十一/土御門〉

p.0889 承元三年十一月廿五日、關白〈○藤原家實〉春日詣也、三條中納言長兼卿、乘二車左一扈從、卅日、長兼卿記云、春宮權大夫〈資實卿〉談レ予云、春日詣之時、汝乘二車左方一、人疑レ之云々、予答曰、車右可レ爲レ上之由見二何書一哉、答曰、御前弁別レ右、〈○御前以下恐有二誤脱一〉此事太公望、乘二車之右一之心、右爲レ上レ之歟、予答曰、車以レ左爲レ上之條、迎二侯嬴一之時、吏記注分明也、太公望乘レ右者、以レ令二同車一爲レ上也、以レ右非レ上歟、獨乘レ車爲レ誰可レ空レ左哉、權大夫又不レ答、春日詣翌日、前權中納言、〈親經〉逶二書狀一云、追二侯嬴之跡一乘レ左、珍重之由示レ之、才人猶可レ貴云々、不レ知二奧旨一之人、謬難歟、可レ嘆云々、

↑

〔後愚昧記〕

p.0890 應安四年五月七日
一主人下車之時、榻役人前駈、可レ入二轅内一哉否、
一相二尋之一不レ可レ二、自二轅外一可レ立レ榻之由答了、而今度前駈入二轅内一閉二輦戸一、引二出引立筵一立レ榻了、仍有二加難之輩等一云々、尤可レ然、主人も前駈も、無案内之所レ致也、下計之時は、主人手自、輦戸ノ指金をはづして、引立筵以レ足踏出也、仍於レ榻者、自二轅外一立レ之者也、此儀委不二示遣一之故也、殆可レ謂二後悔一矣、

↑

〔薩戒記〕

p.0890 應永卅三年正月廿六日辛酉、今日花頂僧正、〈定助〉被レ談間事、
一下車時越レ軛事
故二條攝政、良基下車之時、正面被レ越レ軛、此事不レ被レ知二故實一之由、故如住院入道右府被レ難了、越レ軛之時、聊傍向之事爲二故實一云々、
四月廿六日庚寅、今日予〈○中山定親〉同二乘勸修寺納言車一、下車之時、予先自二後方一下、〈用レ榻〉次納言自二前方一下車、於二轅内一則取レ裾、不レ可レ然歟、越レ軛之後可レ取歟、昇二沓脱一之時、先向レ予氣色、於二地上一脱レ沓昇二沓脱一、此儀尤可レ然、已次人在二地上一之時、上﨟昇殿之時、乍レ著レ沓不レ可レ昇二沓脱一之由、見二御記一也、予乍レ著レ沓昇二沓脱一、依レ無二下﨟一也、退出之時、予先下レ地、乘車之時、納言於二地上一、脱レ沓踏レ榻乘車、此儀又可レ然、准二前儀一也、予又於二地上一脱レ沓昇、依下無二下﨟一不上レ可レ脱也、然而此所儀、納言座程近、仍脱レ沓了、如レ此儀、雖レ無二殊進退一、爲レ後記レ之、五月四日丁酉、今日予、中御門宰相、右衞門督等同車、下車之時、兩卿先自二後方一下、〈踏レ榻〉次予自二前方一〈一人自二左方一置レ搨、又一人〉〈自二右方一進レ沓、〉下、兩、卿依レ在レ傍、於二榻上一不レ著、是故實也、於二地上一著レ沓、乍レ垂レ裾越レ軛〈予顧傍向越レ之、是又口傳也、〉之後、顧レ左取レ裾、氣二色權中相公一、相伴參入、昇二沓脱一之時、予氣二色於中相公一、於二地上一脱レ沓昇之、又故實也、退出之時、兩卿先下レ地、仍予於二沓脱上一不レ著レ履、乘車之時、又准レ之、此儀雖レ非二指禮儀一、末代如レ此事、故實大切也、仍注レ之、

↑

〔蛙抄〕

↑

〈車輿〉

p.0891 中引事
女房同車(○○○○)時、古懸二採之一歟、懸二木丁帷一稱二中引一、

↑

〔日本書紀〕

↑

〈十四/雄略〉

p.0891 五年二月、天皇狡二獵于葛城山一、〈○中略〉天皇乃與二皇后一上レ車歸、

↑

〔日本後紀〕

↑

〈二十二/嵯峨〉

p.0891 弘仁三年八月癸巳、流二僧良勝於多褹島一、以二與レ女同車一也、

↑

〔源氏物語〕

↑

〈五十/東屋〉

p.0891 人めして車、妻戸に寄せさせ給ふ、かき抱きて〈○浮舟君〉乘せ給ひつ、〈○中略〉石たかきわたりは、苦しき物をとて、抱き給へり、うす物のほそ長を、車の中に引へだてたれば、〈○下略〉

↑

〔源氏物語湖月抄〕

↑

〈五十/東屋〉

p.0891 〈細〉昔は、男女同車の時、かくする也、浮舟と薰と車也、車の内に鈎あるは、此用なり、〈哢〉一禪云、男女同車の時、或は物見などの時、前の簾を上るによりて、車の中に几帳の帷をかくる也、時としては細長もかくべきにや云々、

↑

〔三中口傅〕

↑

〈一〉

p.0891 一立(○○)レ車事(○○)
如二法勝寺一ニハ、門ノ左右ニ取テ、御幸ノ成ル方ニハ、長吏
以下僧車ヲ立ツ、御幸不レ成方ニハ、攝政以下公卿等車ヲ立ル也、常御所ニハ、四足ヨリ小門方へ、攝政以下俗ノ車ヲ立、假令南面御所ニハ、自二門北一立始テ、北ザマヘ俗車ヲ立テ、自二門南一始テ、南ザマへ法親王以下僧車ヲ立ル也、僧俗必自二其方一雖レ不レ參、引廻テ如レ此立也、
左衞門陣方、若二條西ナラバ、置路ヨリハ北、自レ町ハ西ニ、轅ヲ南ニテ可レ立也、
三條坊門面ナラバ、自二坊門一ハ北、自二置路一ハ東、轅ヲ南ニテ可レ立也、陣頭立レ車事、所々皆可レ存二陽明門儀一也、公卿車ハ、彼門ノ北ニ、轅ヲ東ニテ南上立レ之、宰相ノ車ハ、公卿ノ車ニ相對テ、轅ヲ艮ニテ立レ之、藏人頭車ハ、大路中央ニ相當額間、轅ヲ東ニテ立レ之、殿上人ノ車ハ、自二大宮東傍一近衞大路北、轅ヲ北ニテ西上立レ之、准レ之、
閑院ニテハ、公卿車ハ、東三條北面ニ轅ヲ北ニテ西上立レ之、宰相車ハ、西洞院ヨリ東、置路ヨリハ北ニ、轅ヲ東ニテ西上立レ之也、自一三條坊門面一參時ニハ公卿以下車、自二坊門一ハ北、自二置路一西北上立レ之也、准二此等儀一者、御車ヲバ東三條北面ニ雖レ可レ立レ之、若關白幷大臣等被二參會一之時、下部之中、不慮之狼藉出來トテ、置路北可レ宜之由申也、且可レ隨二時事一歟、
任二本儀一、尊者車向二門前一、

↑

〔大鏡〕

↑

〈二/太政大臣基經〉

p.0892 御いへは、堀川院と閑院とにすませ給ひしを、〈○中略〉堀川院は地形のいといみじき也、大饗のをり、殿ばらの御車のたちやうなどよ、尊者の御車は、川よりひんがしにたて、うしはみはしのひらきばしらにひきつなぎ、ことかんだちめのくるまをば、川より西にたてたるがめでたきを、尊者の御車の、べちにことに見ゆるは、こと所は侍らのものをやと見給ふるに、〈○下略〉

↑

新車乘始

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〔拾芥抄〕

↑

〈下末/諸事吉凶日〉

p.0892
造車幷乘吉日(○○○○○○)
〈寅申己亥子午丙丁壬癸吉也卯酉辰戊庚戌巳〉
〈就破危除閉皆凶、甲日、不レ作レ車甲寅凶、〉

↑

〔飾抄〕

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〈下〉

p.0892 一車
新車乘始故實
久安五十廿五、或秘記曰、午剋、師長乘二新車一也、依レ未二造了一無レ輪云々、先日禪閤〈○藤原忠實〉命曰、乘二新車一之時、不二必有一レ輪之由、故殿御命也、

↑

〔殿曆〕

p.0893 嘉承元年正月九日壬寅、今日依二吉日一新車乘始、〈先乘二庇車一、件車舊車也、雖レ然庇造成之後、始兮日乘也、仍擇二吉日一乗レ之、關白後始乘也、〉次チかへ物見車、乘二件新作車一也、余〈○藤原思實〉著二直衣冠等一、又薄色指貫、戌時予參二御堂一、用二庇車一、
元永元年十一月八日丙辰、今日内府、〈○藤原忠通〉用二檳榔毛新車一云々、依レ吉被レ用云々、

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人給

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〔倭名類聚抄〕

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〈十一/車〉

p.0893 副車(○○) 漢書注曰、副車、〈曾閉久留萬、俗云比度太萬比、〉後乘也、

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〔箋注倭名類聚抄〕

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〈三/車〉

p.0893 按副車、訓二曾閉久流万一爲レ允、蓋今俗呼二乘替(○○)一者之類、比度太万比、謂上令二從人乘一レ之車上、非二副車一也、〈○中略〉張良傳云、誤中二副車一、注謂二後乘一也、此倂二引正文一也、

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〔源氏物語〕

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〈九/葵〉

p.0893 御車ども立てつゞけつれば、ひとだまひ(○○○○○)の奧におしやられて、物も見えず、

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〔花鳥餘情〕

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〈六/葵〉

p.0893 出車をば、公方より點ぜられて、其人に給ふ故に、人だまひとなづくるなり、

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〔枕草子〕

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〈九〉

p.0893 人の家につき〴〵しき物
よろづの事よりも、わびしげなる車に、さうぞくわろくて物見る人、いともどかし、〈○中略〉まして祭などは見でありぬべし、〈○中略〉所もなく立かさなりたるに、よき所の御車、人給ひ(○○○)ひきつゞきて多く來るを、いづくにたゝんと見る程に、御前ども、只おりにおりて、たてる車どもを、たゞのけにのけさせて、人給ひつゞきてたてるこそいとめでたけれ、

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〔小右記〕

p.0893 永觀二年十二月十五日庚寅、早朝參殿、亥時姫君入内、〈乘二金作車一〉人給車十兩、朔平門陣邊、源中納言、三位中將來迎也、

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〔左經記〕

p.0893 長元四年九月廿五日庚午、午剋、上東門院、〈○一條后藤原彰子〉令レ參二石淸水一給、〈○中略〉殿上人、皆布衣、〈隨身、皆布衣狩胡籙、〉御車外、人給三兩、〈一尼、鈍色、二俗、皆紅毛、〉

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出車

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〔有職問答〕

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〈一〉

p.0893 一出車事
女車にて候、攝家淸花より支配に付て被二借進一レ之、其に女房被レ駕候、一番に二人、二番に三人四人の間、次第に加增に而、七八輛も、或十輛も、其用候にしたがひて被レ進レ之、出すによりて出(スイ/○)車(/○)と申由を〈府役トテ、左右衞門近衞中少將、是ヲマイラセ候、其内花族羽林ハ、カヤウノ府役ヲバ〉
被二仰出一候畢、此借シ申さるゝ車の主は、何の公家迄の御事に候哉、猶巨細被二仰出一度候、
〈ツトメ候ハズ候、何樣大方ハ羽林ノ役ニテ候、公方ノ出車ヲモマイラセ候、〉

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〔江家次第〕

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〈六/四月〉

p.0894 御禊〈○賀茂祭〉前驅定〈○中略〉
同出車騎馬等定〈○中略〉
定文體
可レ被レ出二禊祭兩日一檳榔毛車六兩事
源大納言家
右衞門督家
新中納言家
藤中納言家
右大辨家
宰相中將家
車副各六人〈可レ著二冠褐衣袴布帶一、從レ院可レ受、〉
年月日

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〔源氏物語〕

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〈十/榊〉

p.0894 齋宮は、十四にぞ成給ひける、〈○中略〉いで給ふをまちたてまつるとて、八省にたてつゞけたる、いだし車(○○○○)どもの袖口色あひも、目なれぬさまに、心にくきけしきなれば、殿上人どもゝ、私の別れを惜むおほかり、

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〔類聚雜要抄〕

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〈三〉

p.0894 〈五節雜事内大臣(藤原忠通)令二五節進給一定文〉〈〓白忠〉
一出車
金作檳榔毛一兩檳榔毛五兩網代二兩
行事宗國朝臣盛經朝臣〈○中略〉出車祿
檳榔五兩〈車副廿人各二疋牛飼五人各三疋〉
網代二兩牛飼二人〈名二疋〉
行事〈○中略〉
右永久三年、内大臣殿令二五節出一給定文之定也、〈○中略〉
丑日早旦ニ敷砂鋪設裝束等事
申剋ニ催類出車
金作檳榔毛一兩〈姫君料、但普通ニハ用二檳榔一、〉
檳榔毛五兩内〈四兩傅八人料、一兩童女二人料、〉
網代二兩〈下仕四人料〉
南庭ニ西上南面、次第一行ニ立レ之、

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〔續世繼〕

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〈二/白河の花宴〉

p.0895 保安五年にや侍けむ、きさらぎにうるふ月侍し年、白河の花御らんぜさせ給とて、みゆきせさせ給ひしこそ、世にたぐひなきことには侍りしか、〈○中略〉院〈○鳥羽〉の御車ののちに、待賢門院〈○藤原璋子〉ひきつゞきておはします、女房のだしぐるま(○○○○○)のうちいで、しろがねこがねにしかへされたり、女院の御車のしりには、みなくれなゐの十ばかりなるいだされて、くれなゐのうちぎぬ、さくらもえぎのうはぎ、あか色のからぎぬに、しろがねこがねをのべて、くわんのもんおかれて、地ずりのもにも、かねをのべて、すはまつるかめおしたるに、ものこしにもしろがねをのべて、うはざしは玉をつらぬきて、かざられ侍りける、よしだの齋宮の御はゝやのり給へりけんとぞきこえ侍し、又いだし車(○○○○)十兩なれば、四十人の女房、おもひ〳〵によそひども心をつくして、けふばかりは制もやぶれてぞ侍ける、〈○中略〉いづれのとしにか侍りけむ、雪の御幸せさせ給ひしに、〈○中略〉法皇〈○白河〉も、院〈○鳥羽〉も、みやこのうちには、ひとつ御車にたてまつりて、新院〈○崇德〉御直衣に紅の御ぞいださせ給て、御馬にたてまつりけるこそ、いとめづらしくゑにもかゝまほしく侍けれ、二條の大宮の女ばう、出し車(○○○)に、菊もみぢの色々なる衣どもいだしたるに、うへ下に白き衣を重ねて、ぬひ合せたれば、ほころびは多く、縫めはすくなくて、あつきぬの綿などのやうにて、こぼれいでたるが、菊紅葉のうへに雪のふりおけるやうにて、御(いつ)くるま立つゞけ侍りけるこそ、いと所多く侍りけれ、

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〔兵範記〕

p.0896 嘉應元年十月廿日壬寅、入レ夜齋王、自二大炊御門亭一行二啓卜定所一、〈○中略〉出車五兩、〈○中略〉女房廿人、出二白衣袖妻等一、〈蘇芳衣、著二濃袴一、〉

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〔玉海〕

p.0896 承安二年七月廿一日戊子、今日攝政〈○藤原基房〉若君、被レ參二女院一、余〈○藤原兼實〉依二物忌一不二指出一、其儀以二傳説一聞レ之、
唐車、〈出二紅衣一〉車副六人、〈白襖上下、濃打衣、〉出車五兩、〈檳榔毛、出二女郎花衣一、〉
治承四年六月二日癸未、卯刻行二幸於入道相國〈○平淸盛〉福原別業一、〈○中略〉先入道相國駕二屋形輿一、
次女車一兩次女房輿二〈二品及攝政之室家云々〉
次行幸〈鳳輦○中略〉次御幸〈○中略〉次出車二兩次前大將宗盛卿駕二手輿一今夜就二大物一、明曉御二福原一、建久二年四月廿日丁酉、此日賀茂祭也、〈○中略〉未始、宮女房幷家女房等、密々向二棧敷一見物、大將相伴之、余同竊雖レ欲二見物一、昨今春日恠異物忌也、仍不レ向レ之、二位最密々見レ之、棧敷光長卿儲レ之、先宮御方出車三兩、〈左少將定國、同少將定家、右少將高通等車也、車副布衣侍二人相二具之一、〉次内半物車、〈小進兼時、侍一人、〉次此方女房出車二兩、〈前兵部大輔能季、此車二位乘レ之、然而依二表出車之體一、出衣四具、故法性寺北政所、(藤原忠通妻)密々御見物如レ此云々、〉七年三月二日壬午、内大臣〈○藤原良經〉來、〈烏帽直衣、綾薄色奴袴、〉先寄二出車一、〈東對北妻也、能季朝臣資家等寄也、〉三兩皆乘レ之、〈出衣如レ恒、柳櫻五領、紅單衣、紅打衣、花欵冬表著、蒲萄染唐衣、白腰裳、〉一車左中將親能朝臣、二車左少將成家朝臣、三車侍從賴房等也、

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〔吾妻鏡〕

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〈二十二〉

p.0897 建保四年正月十三日丁卯、將軍家、〈○源賴朝〉御二參鶴岳八幡宮一、還御後、御臺所〈○政子〉令レ詣給、〈御車〉女房出車二兩、

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〔薩戒記〕

p.0897 永享五年三月十七日辛未、四條宰相、〈隆夏〉送二使者一云、賀茂祭女使出車可レ獻之由、頭中將、〈隆遠〉所二相催一也、車已下不二所持一、仍雜色一人、可二召進一之由返答了者、予〈○藤原定親〉答云、賀茂祭女使出車、至二牛童車副一者、所二相副一也、至二雜色一者、未レ知一其例一、奉行誤所二相觸一歟者、六年四月十四日辛酉、賀茂祭也、〈○中略〉出車、花山院大納言、〈持忠〉四條宰相〈隆夏〉等從也、雖レ依二諒闇一、出車童女出衣如レ恒、治承五年例也、但不レ付二扇於簾一、童女用二檜扇一、已上予今案也於二北陣一御覽之時不レ立レ榻、是先例也、

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〔東武實録〕

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〈十五〉

p.0897 寬永三年九月六日行幸〈○中略〉
〈姫宮御方〉御車〈○中略〉
此次出車六兩
一車
右車前後左右ノ供奉、牛飼二人、〈二行、左ニ榻ヲ持ツ、〉白丁四人、車副二人、舍人二人、布衣二人、退紅一人、六兩各供奉同前、
判官〈騎馬左衞門尉大石昌弘〉
二車
〈騎馬佐衞門尉大石正弘〉
右二兩ノ御供車、中宮ノ女中十五人、是ニ乘ル、〈○下略〉

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出衣

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〔雅亮裝束抄〕

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〈一〉

p.0897 くるまのきぬをいだすこと
御くるまのしりよりきぬをいだす事つねのごとし、但ししたすだれをかみにおしかふことをせで、つまとそでとのあはひにおくべし、ものこしさげて、ぢずりのつまを、すこしこしのうへにひきいだすべし、きぬのいづることは、くるまのはうだてのかみ二三寸ばかりよりはじめてひきいだして、うちぎぬひとへうはぎ、うるはしくかさねてひきいだして、とみのをのうへ四寸ばかり、つまさきをすかして、きののまへをまへいたによくをきて、くるまのそでにおしかけていだして、そでのぬひめをしたにをきなして、すそにおし付けて、袖口をみせてをくべし、袖の下より、ものこしひきいづべし、ながさ二尺ばかり、おほかたはきぬのせのひのぬひめにいとをながくつけて、竹をけづりて、車のうちにさして、そのたけにいだしてのち、よきほどをかけよ、さがらでよきなり、いづるほどは、きぬのひろさ、まへのかたをいだすに、せぬひのほうたてにかくるゝほどなるがよきなり、いとのすだれよりいでぬほどなるがよきなり、せはまへいでんには、そのいとをすこしおくにいれてつけよ、女房のくるまのきぬいづることもこの定なり、下すだれをすだれのかみにおしはさみて、ひとへとくるまのそでとのあはひにさぐべし、御くるまのしりにかはることは、このしたすだればかりなり、ものこしは、一りやうに四すぢつくなり、まへの左右に二すぢ、うしろの左右にふたすぢなり、ながさ二尺よばかりなどいだすべし、ものこしは、あはひをひろくいだせ、せばきはわろし、うたてあり、二人のりは、くちばかりにいだすべきなり、わらはのさうぞくをいだすこと、まづわらは向ひて二人のりたれば、はしのかたのかたばかまを、あらんかぎりしもざまにひきいだして、そのはかまのうへに、かざみのしりのすそを、わらはのうしろよりひきいだして、おもてをうらになかをりにして、はかまのすそに、二寸ばかりなど、たらさで引さげて、それに又ならべて、かざみのまへひとつをひきいだして、はかまのうへにならぶるなり、うらうへこの定なれば、わなをみなむかひざまにいだすべし、一人をこの定にいだせば、いづれもおなじことなり、たゞし右のくちにのりたるは、あふぎさしたるてをさげず、左のくちのは、ひだりのてをばたゞうちおきて、右の手にてあふぎをさすべし、はかまみじかくば、かざみをながくはりばかまよりはひきいづべし、四人のるともこの定なり、もしかざみのおもてに、ふたへおり物もあり、又ふりうもあることあらば、おもあはせにせで、うらあはせにたゝみていだすべし、まへよりはかまふたつ、かざみのしりまへよつさがりたるに、四人のりはしりもかくあるべし、二人めりは、くちばかりにいづるなり、わらはのくるまには、したすだれをかけぬことなり、されどもしたすだれをかけたる人あらばとるべからず、すだれのうらうへのはしにまきかさねて、わらはのひたひなどみゆる程にあぐべし、したすだれのすそを、いたのうちにあるきよりひきいだしたるがよきなり、はかまのうへかざみのしたには、あこめのつま、すこし見ゆ、四人のりは、しりもこの定にあぐべし、二人のりたるには、しりのすだれはおろしたるなり、わらはの車には、さい相のくるまのなれば、下すだれはかけぬなり、もし中納言の車にて、かけてまゐらせたらんをとるまじ、かけながらあるべし、しもづかへあじろぐるま、したすだれかけず、すだれをあぐる事おなじ、はかまをわらはのやうにひきいだして、其うへにまへいたなどにかゝるほどに、きぬのつまをひきいだしたるなり、たゞひらにうちをきてあるべし、四人あらば、しりまへにのせてあくべし、あふぎをさすことおなじ、もをいだす、

↑

〔雅亮裝束抄〕

↑

〈三〉

p.0899 なつのくるまのきぬには、うるはしくは、はりひとへがさねをも、ひとへがさねをも、ものゝぐかさねていだす、つねのことなり、
きぬのいろをもさだめ、くるま三りやうとも五りやうともさだめられば、あつぎぬなつもふゆもかならずいだすべし、
御車のしりには、あにもいださぬなり、まつり〈○賀茂〉のさい院のいだしぐるま、ないしのすけのいだしぐるま、あつぎぬをいだせども、からぎぬうはぎ、もはすゞしなり、あふぎはまつりの日はふゆのをいだす、かへさにはきぬはおなじことなれども、あふぎばかりはもちかへて、夏のあふぎをいだすなり、
わらはのさうぞくあこめはねりたれども、かざみうへのはかまはすゞしなり、

↑

〔百練抄〕

↑

〈四/後一條〉

p.0900 長元三年四月十五日、賀茂祭、見物女車出二紅衣一、有司彈レ之、

↑

〔續古事談〕

↑

〈二/臣節〉

p.0900 堀河院御時、内ノ女房車、アマタ色々ノキヌ出シコボシテ、花見ニ花山ヘムカハレケリ、

↑

〔長秋記〕

p.0900 大治四年正月九日戊子、攝政大相國〈○藤原忠實〉長女、從三位聖子入内云々、〈○中略〉主人乘二唐車後一云々、出二皆紅衣一、件車、本院〈○白河〉唐車、當日女院入内給乘車也、不レ乘二輦車一、直乘レ之入給者、〈○中略〉
件車後衣、出レ自二車左一、前例車後人乘二右方一歟、後車人、女御母氏云々、
天承元年四月十九日己酉、賀茂祭也、〈○中略〉及二未刻一出御、兩院別事〈○中略〉女房車五輛、下仕車一兩、出二菖蒲衣、紅打衣、欵冬表衣、二藍唐衣裳腰一、件兩物付二金紋一、

↑

〔愚昧記〕

p.0900 仁安二年三月廿三日、午刻御幸、法勝寺新女御殿令二相具一、〈○中略〉女御殿女房車三兩、紫衣染五領、同打衣松、同唐衣欵冬、同裳腰、御車後出二欵冬白衣一、

↑

〔兵範記〕

p.0900 嘉應元年六月五日庚寅、建春門院〈○平滋子〉院號之後、初可レ有二入内一、〈○中略〉女房車、毛車十兩、各二人乘レ之、〈出衣蘇芳單重、紅打衣、女郎花表衣、二藍唐衣、薄色裳、白腰張袴著レ之、〉

↑

〔增鏡〕

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〈九/草枕〉

p.0900 十九日、〈○文永十一年十月〉官廳〈○太政官〉へ行幸あり、女御代花山院よりいださる糸毛の車、寢殿の階の間に、左大臣殿〈○藤原師忠〉大納言〈○藤原長雅〉よせらる、みな紅の十五の衣、おなじひとへ、車のしりよりいださる、

↑

〔太平記〕

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〈二〉

p.0900 天下怪異事
藤房卿、進テ申サレケルハ、〈○中略〉兎角ノ御思案ニ及候ハヾ夜モ深候ナン、早御忍候ヘトテ、御車ヲ差寄、三種ノ神器ヲ乘奉リ、下簾ヨリ出絹(○○)ヲ出シテ、女房車ノ體ニ見セ、主上〈○後醍醐〉ヲ扶乘進ラセテ、陽明門ヨリナシ奉ル、

↑

〔世俗淺深秘抄〕

↑

〈上〉

p.0901 一糸毛車ニハ、尻ニ衣ヲ不レ出、間々出レ之、然而失禮也、

↑

〔台記別記〕

p.0901 久安六年正月廿二日庚子、女御乘車、三位〈謂二夫人一〉候二其後一、〈依(○)レ爲(○)二絲毛(○○)一不(○)レ出(○)レ衣(○)〉廿八日丙午、是日三位蒙二輦車宣旨一退出、〈○中略〉三位乘レ輦、坊門殿乘二其後一、〈右大將女出レ衣、依レ非二糸毛一也、〉

↑

飾車

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〔飾抄〕

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〈下〉

p.0901 一車
飾車(○○)
賀茂祭見物、雲客車、〈○中略〉
御禊前駈車
仁安三四十五、御禊、左兵衞佐通盛車、透二蝶圓文一、雜色車、付二松藤水鳥一、
保元元四十一、御禊、左衞門佐元家車、松藤鶴透、牛黃斑、左兵衞佐家通車、杜若透レ之、〈本文也〉
賀茂祭使事
保元二四十四、〈諒闇〉近衞使右中將信賴朝臣車渡二大路一、袖透文彩色々、物見下、網代上、付レ文、簾切二于于霰地一、紫革緖押レ貝、鞦入二志部一、雖二甚雨一張筵不レ覆、
承安三四十七、近衞使隆房、風流(○○)、右樂器舞裝束付レ之、依二右近一又用レ右歟、車簾付二蝶舞鳥舞一、是古風流也、信家中將風流云々、彼時牛童、著二胡飮酒裝束一、
仁安三四十八、太皇后宮〈○藤原多子〉使大進右衞門權佐經房車、〈不(○)レ施(○)二風流(○○)〉一近衞使右少將修範、〈風流殊美麗、唐牆畫付二唐花一、〉

↑

〔物具裝束抄〕

p.0901 一車事
飾車〈賀茂祭使用レ之〉

↑

〔三條家裝束抄〕

↑

〈坤〉

p.0901 車飾車
飾車トハ、風流ノ車(○○○○)ノ事也、賀茂ノ祭ノ使、或ハ御禊前駈、或ハ見物ノ車等ニ風流ヲイタスナリ、

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〔蛙抄〕

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〈車輿〉

p.0902 飾車
賀茂祭近衞使用一レ之〈依二細々所一レ用、不二具注一レ之、〉

↑

〔長秋記〕

p.0902 天永二年四月十八日、祭歸、〈○賀茂、中略、〉近衞使少將伊通、龓府生敦利兼久〈院〉引一レ馬、府生兼近、〈攝〉番長季利、〈院〉車風流〓飩屋也、

↑

〔百練抄〕

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〈七/近衞〉

p.0902 久壽二年四月廿日、賀茂祭、左中將隆長朝臣、乘二風流車一往二反大路一、

↑

〔台記〕

p.0902 久壽二年四月廿一日丁酉、隆長見物、〈○賀茂祭〉其車上檜網代、〈實檜〉左右縱緣、内張靑薄物、外空立一レ捲、簾用二伊與簾一、霰地切一レ之、上緣際、毎二懸緖處一付二花甘子一、上左右簾、皆付二千鳥一、物見紺靑亂文、不一レ發垂一レ簾、禪閤、〈○藤原忠實〉斑牛、畝鞦、件鞦夾二堅喰文一、小舍人一人朽葉狩衣、上下付二欵冬花一、靑打衣、白下袴、畫二杏葉一、〈垂袴〉隨身四人萌木狩衣、上下付二躑躅花一、蘇芳打衣、〈帶劒垂袴立烏帽〉牛童藤上下、〈薄色靑裏〉付二藤花一、欵冬打衣、〈已上出衣〉雜色十人許、〈或上括藁沓、或垂袴淺沓、皆白装束平禮、〉隆長奉二直衣一、〈尋常〉二倍織物奴袴、〈鳥〓文〉紅曳折〈出レ之〉生單、

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〔山槐記〕

p.0902 治承三年四月廿一日己酉、今日賀茂祭也、〈○中略〉
近衞使車〈車當色、皆用二五節風流一、〉
網代〈張二赤地錦一、上許也、〉
色紙形〈押二色々錦一、上許也、〉
物見〈以二靑玉一石疊形貫二懸之一、但下方一尺之程、卷二上之一、〉
物見下〈地展二銀薄一、其上畫二牡丹唐草文一、以紺靑綠(此間文闕)燕子畫二纐纈文一、以二紺地錦一、〉〈亀甲文〉〈劒(此間文闕)摸二几帳帷一也、〉
前袖〈左方彫二透殿上人立形一、著二直衣一、右方彫二透童女立形一、○此下文闕〉
後袖〈左方彫二透下仕立形一、著(此間文闕)染唐衣、差二透扇一、右方彫二透衞府藏人立形一、著二靑色袍○此下文闕〉立板内〈書二唐繪一、緣蒔レ之、摺貝、〉
前簾〈貫レ玉摸二御簾一、右上方、スヂカヘザマニ切レ之、左下方付二高麗帖一枚一、其緣蒔レ之、其上付二東京茵一、五節所簀子之體也、〉
後簾〈貫レ玉摸二御簾一切、右方有二金銅帽額一、有二打出一、紅匂五、〉
鞦〈村濃〉〈紫興靑〉〈有レ蘂〉
遣繩〈櫨匂打交、有二蘂總一、〉
牛〈志木黃、院御牛、〉

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〔古今著聞集〕

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〈八/和歌〉

p.0903 少將隆房、賀茂祭使つとめけるに、車の風流よく見へければ、又の朝大納言實國、父の大納言隆季のもとへ申おくり侍、
いろふかき君が心のはなちりて身にしむかぜのながれとぞみし

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〔明月記〕

p.0903 建永二年四月十六日、賀茂祭、
傳聞近衞使右少將實嗣朝臣、車以下、催馬樂風流之車、〈伊勢海、金銅相交すはうかひ付、〉

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〔平戸記〕

p.0903 延應二年四月十五日己酉、今日賀茂祭也、巳刻許、向二棧敷一見物、〈油小路以東之邊也〉及二申刻一、看督長渡二大路一、撿非違使七人、内志二人、六位尉二人、五位尉三人、馬寮助行範渡、飾車有二童二人一、雜色當色赤色狩襖袴、以レ薄摸二車文一、押レ之、件車文浮線綾丸也、任二馬助一之時、大殿定二給此文一云々、或人云、件文禁色文也、仍往古不レ用二于車文一也、而有二此御計一如何云々、此事不レ知二是非一、然而就二人口一記レ之、被下二制符一之卽時、破二其制符一之條如何、但紙薄非二制限一、至二銅薄一爲二制物之内一、見物輩云、非一紙薄一也、是銅薄也云々、難レ辨二一定一、遂可レ尋レ之、又車之齊在二人口一、眉已下輪已上、皆以レ薄摸一伏輪一、是又在二制内一歟、凡近來事、只如レ此歟、可レ悲可レ悲、〈○中略〉油小路以東、已以及レ暗、仍不レ遂二見物一、人々多歸去云々、又雜人等奪二取風流花一云々、飾車已下僮僕等風流、用二車文、或紅梅或白梅一云々、是後日聞〈シ〉、此時依レ及レ暗不二見分一也、

↑

車副

↑

〔西宮記〕

↑

〈臨時五〉

p.0903 東宮行啓天曆四年十月廿一日、皇太子〈○冷泉〉入二桂花坊一、〈○中略〉太子與二女御一〈○藤原安子〉乘二牛車一、〈庇差糸毛〉車副朝服著二深履一、如二中宮例一、

↑

〔三中口傳〕

↑

〈一〉

p.0904 一出行事
車
車副太政大臣六人、左右内四人、儀同三司之時、可レ其二四人一歟、二人歟、雖レ有レ議猶被レ具二四人一了

↑

〔永昌記〕

p.0904 保安五年四月十四日辛酉、參院、〈源中納言同車〉賀茂祭御見物御幸也、本院〈○白河〉新院〈○鳥羽〉有二別車儀一、〈○中略〉臨レ期御同車、〈○中略〉本院車後、御隨身公種祗候、〈○註略〉、御車副八人、〈二藍上下、紅打衣縫物、牛綱糸村濃有二金物一、○下略〉

↑

牛飼

↑

〔運步色葉集〕

↑

〈宇〉

p.0904 牛飼(ウシカヒ)

↑

〔大鏡〕

↑

〈三/太政大臣實賴〉

p.0904 これたゞひらのおとゞの一男におはします、小野宮のおとゞと申き、〈○中略〉おとゞの御わらはなをばうしかいと申き、さればその御ぞうは、うしかひをばうしつきとのたまふ也、

↑

〔安齋隨筆〕

↑

〈前編七〉

p.0904 牛飼重乘車ノ牛を使ふ者を牛飼童と云、垂髮にて狩衣を著て鞭を持つ也、歲十七八九などは勿論也、三十四十ニ至りても童と稱て、童の體にてある也、牛の使ひやふに巧拙あり、

↑

〔嬉遊笑覽〕

↑

〈二下/器用〉

p.0904 車を御する者を牛かひ童といふ、木曾義仲が牛こでいと云へりし事、平家物語にあり、こでいは健丁(コンデイ)なり、古畫を見るに、大鬚なるもあれど、頭はわらはなり、後世水主などは、立髮半髮(ハンカウ)なると同じ儀なり、〈○中略〉其かみも下ざまの者は、頭髮を童の如く束ねたるも多かるべし、

↑

〔䮿驢嘶餘〕

p.0904 一御車ノ時、牛飼也、〈菊童以下也、八瀨童子トハ別ナリ、〉

↑

〔三中口傳〕

↑

〈一〉

p.0904 一出行事
行列〈○中略〉次車〈牛飼持レ搨立二車左鴟尾邊一〉

↑

〔平治物語〕

↑

〈一〉

p.0905 主上六波羅行幸事
中宮モ主上〈○二條〉ト一車ニゾ召レケル、〈○中略〉淸盛郎等伊藤武者景綱、黑糸威腹卷ノ上ニ小張著テ雜色ニナル、館大郎貞康、黑革腹卷ノ上ニ牛飼ノ裝束シテ御車ヲ仕ル、

↑

〔長秋記〕

p.0905 大治四年四月十九日丁卯、齋院三年祭了、入二給于野宮一之御禊也、〈○中略〉所レ借牛、〈申二仁和寺僧都童一、治部卿童子丸也、〉日來雖レ被レ借、假内稱二有レ障之由一不レ借、然而及レ前事闕云々、仍所二借送一也、

↑

〔沙石集〕

↑

〈九〉

p.0905 證月房上人之遁世事
南都ノ故一乘院〈エ〉、古光明寺院ノ僧正參ラレタリケル時ノ物語ニ、〈○中略〉古金剛王院ノ僧正、公請勤メラレタル時、僧正ノ牛飼、御室ノ御車ト車立論シテ、御室ノ御車ヲ散々ニシタリケルヲ、房官侍、牛飼ヲ制シカネテ、僧正ニ爾々ト申ケレベ、〈○下略〉

↑

〔源平盛衰記〕

↑

〈三十三〉

p.0905 光隆卿向二木曾許一附木曾院參頑事
木曾冠者義仲ハ、〈○中略〉我官ヲ成タリ、サノミ非レ可レ有二引籠一、出仕セントテ、直垂ヲ脱置テ、狩衣ニ立烏帽子著テ、初テ車ニ乘、院〈○後白河〉御所へ參ル、〈○中略〉牛飼ハ平家内大臣〈○宗盛〉ノ童ヲ取テ仕ケレバ、高名ノ遣手也、主ノ敵ゾカシト目ザマシク心憂思ヒケル、〈○中略〉牛童、車ヲ門外ニ遣出テ、後テ一楉(スワヘ)アテタレバ、飼立タル强牛ノ逸物也、何ノ滯カ有ベキナレバ、如レ飛走ル、木曾車ノ内ニ却樣ニマロブ、牛ヲ留ン爲ニヤ、ヲレ童々ト叫ケレバ、留ヨト云トハ心得タリケレ共、イトゞ鞭ヲ當ツ、牛ハヤリアカテ躍ル、起アガラン〳〵トスレ共、ナジカハ起ラルベキ、〈○中略〉郎等共ガ馳付テ、如何ニ暫シ留ヨト仰ノ有ルニ、角ハ仕ルゾト云ケレバ、牛童、陳ジ申ケルハ、ヤレ小デイ〳〵ト候ヘバ、初テ御車ニ召テ、面白ト思召テ、車ヲ遣々ト仰アルト心得テ仕テ侍リ、其上此牛ハ、鼻ツヨク候ト申テ、車ヲ留テ後、木曾起居タリケレ共、六七町ハアガヽセヌ、キナラハヌ狩衣ノ頸ニテ喉ヲバツヨク詰タリ、遍身ニ汗タリ、赤面シテヌケ〳〵トアリ、

↑

〔平家物語〕

↑

〈十一〉

p.0906 一門大路わたされの事
大臣殿〈○平宗盛〉の牛かひは、木曾〈○義仲〉が院參の時、車やりそんじてきられたりし、次郎丸がおとゝ、三郎丸にてぞ有ける、西國にてばかりをのこに成たりけるが、鳥羽にて判官〈○源義經〉に申けるは、とねり牛かひなど申者は、いやしき下らうのはてにて、心有べきでは候はねども、年比めしつかはれまいらせ候し、御ゆるされをかうむつて、大臣殿の御さいごの御くるまを、今一度つかまつり候はゞやと申ければ、判官情ある人にて、もつともさるべし、とう〳〵とてゆるされけり、三郎丸なのめならずによろこび、じんじやうにしやう束き、ふところより、やりなは取出てつけかへ、涙にくれて、行さきはみえね共、牛の行にまかせつゝ、なく〳〵やりてぞまかりける、

↑

〔徒然草〕

↑

〈上〉

p.0906 今出川のおほい殿、〈○兼季〉嵯峨へおはしけるに、有栖河のわたりに、水のながれたる所にて、さい王丸、御牛を追たりければ、あがきの水、前板までさゝとかゝりけるを、爲則、御車のしりに候けるが、希有の童かな、かゝる所にて御牛をば追ものかといひたりければ、おほい殿、御氣色あしくなちて、おのれ車やらん事、さい王丸にまさりてえしらじ、希有の男なりとて、御車に頭をうちあてちれにけり、この高名のさい王丸は、太秦どのゝ男、料の御牛飼ぞかし、

↑

〔看聞日記〕

p.0906 永享六年正月六日、公方〈○足利義敎〉御牛飼十五人參、構見參、令レ注二交名一、松童丸、孫童丸、稻童丸彌藤丸、孫王丸、若童丸、孫、有丸、童菊丸、孫鶴丸、彦松丸、彌童丸、若鶴丸、松菊丸、千壽丸、彌有丸、賜レ捶退出、

↑

〔永享九年十月二十一日行幸記〕

p.0906 御車〈檳榔〉御車副四人、〈辻ごとに警蹕〉
御牛飼〈如木一人、御しぢを持て、御車の後右方に有、そへ御牛飼四人、水干、〉

↑

〔後光嚴院御幸始記〕

p.0906 應安四年閏三月廿一日甲戌、新院御二幸北山第一、〈○中略〉
御車、〈唐庇〉御車副四人、〈水干、御牛飼三人付レ綱、〉御車副四人〈水干、御牛飼三人付レ綱、〉
御牛飼、〈若鶴丸〉褐衣袴、〈著二下袴一持二御榻一〉

↑

車引

↑

〔江戸職人盡歌合〕

↑

〈上〉

p.0907 七番右車引
暮て引材木車露しげみ月のかつらや上荷なるらん

↑

〔大成令〕

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〈八十六〉

p.0907 寶永四亥年八月
覺
一町中牛車大八車、荷物抔積候は不レ及レ申、たとへ明〈キ〉車にても、宰領(○○)も附不レ申、猥に車牽候由相聞、切切怪我等も有之不屆に候、向後前々觸候通相守、宰領附、車牽せ可レ申事、
一此以後、宰領附不レ申車、牽通候はゞ、何方に而も辻番留置、月番之番所〈江〉可レ訴事、
一町中牛車貳疋牽つゞけ、往還之障に成候間、牛貳疋迄牽つゞけ不レ申候樣に、是又前方申渡候處、猥に成不屆に候、向後車數牽候共、間を明〈ケ〉、牽つゞけ申間敷候、大石大木等、牛數に而引候節は、只今迄之通り番所〈江〉訴レ之、外は牛二疋にて、夫より外に牽續候事、可レ致二無用一候但祭禮等は、可レ爲二格別一事、
右之通、堅可二相守一、於二相背一は、車雇候者も、被レ雇候者も、可レ爲二越度一候、此旨町中可二相觸一もの也、
八月

↑

〔寶曆集成絲綸録〕

↑

〈三十一〉

p.0907 延享二〈丑〉年五月
一車引之者、がさつに無レ之筈之處、近來猥ニ往來にて、乘馬之側へ車引かけ、馬之驚候を慰抔に致候由、向後左樣之事も候はゞ、急度可レ咎候、牛町之大八車には、宰領は無レ之筈に候得ども、總體不埓にも候はゞ、宰領附候樣にも可二申付一候間、是亦猥に無レ之樣可レ致候、且亦小荷駄口附之者も、右同前、猥に無レ之樣可レ仕候、延享二丑年十一月
御用にて無レ之荷物等、牛車大八車に積、御用之札を建、紛敷車を引候由相聞へ、不屆に候、車引候者共、銘々其所之家主名主共より、嚴敷可二申付一候、若相背、御用にて無レ之車に御用札を立、紛敷義も於レ有レ之者、相改車引者不レ及レ申、家主五人組名主迄、急度可二申付一候、
右之通、町中可二觸知一者也、
十一月

↑

雜載

↑

〔枕草子〕

↑

〈三〉

p.0908 にげなきもの
月夜にむな車(○○○)ありきたる、

↑

〔十訓抄〕

↑

〈二〉

p.0908 小松の内府、〈○平重盛〉賀茂祭見むとて、車四五輛ばかりにて、一條の大路に出給へり、物見車は、みな立てならべてすきまもなし、いかなる車か、のけられずらんと、ひと〴〵目をすましたるに、或便宜の所なる車どもをひきいでけるを見れば、人ものらぬ車なり、兼て見所をとりて、人を煩はさじのために、むな車を五輛、立置れたりけるなり、

↑

〔從三位賴政卿集〕

↑

〈戀〉

p.0908 返二迎車一戀
載せてやるわが心さへとゞろきてねたくもかへすむな車かな〈○又見二續千載集一〉

↑

〔日本書紀〕

↑

〈十二/履中〉

p.0908 五年十月甲子、葬二皇妃一、旣而天皇、悔下之不レ治二神祟一、而亡中皇妃上、更求二其咎一、或者曰、車持君行二於筑紫國一、而悉校二車持部一、兼取二充神者一、必是罪矣、

↑

〔三代實録〕

↑

〈五十/光孝〉

p.0908 仁和三年八月七日戊申、散位從四位上文室朝臣卷雄卒、〈○中略〉卷雄身體輕捷、甚有二意氣一、嘗戯騰躍、脚踏二駕レ車牛額一、超越立二於車後一、

↑

〔大鏡〕

↑

〈五/太政大臣伊尹〉

p.0908 花山院は、風流者にこそおはしましけれ、〈○中略〉あて御ゑあそばしたりしさまにけうあり、さははしりくるまのわには、うすゞみにぬらせ給て、おほきさのほどやなどしるしにはすみをにほはせ給へりし、げにかくこそかくべかりけれ、あまりにはしる車は、いつかはくろさのほどやは見え侍る、

↑

〔宇治拾遺物語〕

↑

〈十三〉

p.0909 今はむかし、歌よみの元輔、くらのすけに成て、かも祭の使しけるに、一條大路わたりけるほどに、殿上人の車おほくならべたてゝ物見ける前わたるほどに、おいらかにてはわたらで、人み給にとおもひて、馬をいたくめをりければ、馬くるひておちぬ、年老たるものゝ、頭をさかさまにておちぬ、〈○中略〉日のさしたるに、頭きら〳〵として、いみじう見ぐるし、〈○中略〉車さじきのものども、わらひのゝしるに、〈○下略〉

↑

〔榮花物語〕

↑

〈十/日蔭のかづら〉

p.0909 たゝむ月〈○長和元年十一月〉の大嘗會御禊など、いみじうよにいそぎたちにけり、〈○中略〉女御代には、おほとの〈○藤原道長〉の内侍のかんのとの、〈○道長女威子〉いでさせ給、女御代の御車廿りやうぞあるを、〈○中略〉其日になりて、女御代の御くるまのしさまよりはじめ、あさましき迄せさせ給へり、その車の有樣、いへばおろかなり、あるはやかたを造りてひはだぶき、あるはもろこしのふねの形をつくりて、のり人のそでよりはじめて、それにやがてあはせたり、袖にはをきぐちにてまきゑをしたり、やまをたゝみ海をたゝへ、すぢをやりすゑて、大かたひきわたしていく程、めもかがやきて、えも見わかずなりにしが、車ひとつが、きぬのかず、すべて十五ぞきたる、あるは唐錦などをぞきせさせ給へる、この世かいのことゝも見えず、てりみちてわたる程のあり樣、おしはかるべし、

↑

〔榮花物語〕

↑

〈三十一/殿上の花見〉

p.0909 長元四年九月廿五日、女院、〈○一條后上東門院彰子〉住吉石淸水へ詣でさせ給ふ、〈○中略〉讃岐守よりくにの朝臣のつかうまつりたる御車に、たてまつりておはします、左右のそばに鏡の月を出してゑがき、いみじきことを盡したり、

↑

〔古今著聞集〕

↑

〈十六/興言利口〉

p.0909 進士志定茂といふさむらひ學生ありける、〈○中略〉此定茂、あたらしく車をしたてたりけるを、いかにも人にかす事などもなくて、秘藏して持たりけるにのりて、通方の大納言の、いまだ殿上人にておはしける時、かの亭へ參りたりける程に、にはかに雨ふりければ、いそぎたちて、此くるまを門の中へ引入て、くるまやどりなる、亭主のくるまをば引出して、雨にぬらして、おのれがくるまを、くるまやどりに立てける、所司見つけて、いかにかゝる事をばするぞと、とがめければ、殿はいくたびも、調じかへ給はん事やすかるべし、定茂が一車をぬらしては、又調じがたければ、かくしたるぞといひければ、所司力およばずやみにけり、

↑

〔輿車圖考〕

↑

〈敍〉

p.0910 予尚古の志ありて、汲古の學をなし、ことに本朝の故實にうとしごの頃平家物語の畫圖を企つ、車の制においては、古畫もまた、まち〳〵にして辨じがたし、故に志をたてゝ、去年の夏の半比より、車のことかいたる文などみたれども、もとより分明ならざることのみおほければ、東都の隱士稻村行敎をまねきて、車の故實などとふ、この人汲古の學にくはしく、よく考索を盡してうまざる人なれば、さま〴〵古書を抄出し、考證をそなへて、より〳〵もち來る、よてこのくるまの畫圖をかうがへはじめしなり、畫は渡邊廣輝に、予みづからさし敎へてかゝしむ、考證は行敎の説をおほくあぐるのみ、もとより縉紳家へもたづね、または橋本經亮などへもとひものしたるが、こゝにて分明ならざることは、かしこもまたおなじ、只行敎の丁寧を盡して、考索の精をまされりとす、稿終りぬれば、校合を行敎にこひ、また屋代弘賢にもしめす、故にその説をも少しくこゝに加ふ、予はたゞ論説のちからもなく、取捨の識もなければ、心を盡して編集して、他日の遺忘にそなへんとす、もとより此後古書古畫など、よりどころとなるべきもの見出したらば、おひ〳〵にかきくはへ、全備すべきものなり、世の人新著述のものをみては、其益ある事をばいはで、いさゝかのあやまりなんどを、たゞにあげ侍る輩少なからず、もとよりこれは論にもたらず、たゞこの車輿の事は、中比さへも、すでにわかりがたき事侍るめるに、今の世にて、かくたゞさんは、いとかたき事なれば、猶このうへ發明の説、證據の晝圖などあるものは、かならず來りて、しめすべし、髮を手にし堂を下りても、其辱を謝すべきなり、文化元年七月、樂翁みづからしるす、

↑

〔守國公御傳記〕

↑

〈三〉

p.0911 軍物語ノ内ニハ、平家物語ヲヨシトスト、古人モ言シトテ、其繪ヲ竹澤惟房ニ命ゼラル、其時代ニ合フヤ否ノ、慥ナラザル事多ケレバ、古實博覽ノ人ニ間セラレ、猶明證ヲ得難キ事ハ、京師ノ有職家、又ハ好古ノ廣橋儀同伊光公ナドニモ問セ玉フ、〈○松平定信〉就レ中詳カナリ難キ物ハ、輿車ノ二ツニテ、官位ノ高下ニモヨリテ、種々ノ差別アレバ、先ヅ此權輿ヲ正シ玉ハントテ、塙撿挍ノ塾生稻山平藏行敎、國學ニ長ジテ博覽ナレバ、ソレニモ托シ玉ヒテ、古代ノ檳榔ヲ始、大八葉、小八葉等、種々ノ製作ヲ諸書ヨリ編集セシメ、撰擇取捨シ、阿州藩渡部廣輝〈住吉廣行門弟〉ニ、一々指揮シテ寫サシメ、又當時京師住吉南都ニ殘レル輿車ノ全圖ヲモ摹セシメ、材ノ寸尺、金物ノ大小マデ悉ク備リ、工匠一見スレバ、其儘造出スベキ樣ニ、詳細ヲ盡サシメラル、詞書ハ古書ヲ引、緬密ニ、自書シテ十五卷トナシ、輿車圖考ト名付玉フ、廣橋卿懇望ニテ書寫アリ、叡覽ニ備ラル、朝廷ノ御用ニモ相立、縉紳家ニテハ又ナキ有用ノ物ナリトテ、殊ニ感賞セラレシ旨、廣橋卿ヨリ度々吿來サレシトナリ、稻山平藏ニ委ク垂問シ、全備シタル時ヨマセ玉フ歌、小車のせばき物身の我身には人の言葉をたゞかりもすれ○

↑

橇

↑

〔書言宇考節用集〕

↑

〈七/器財〉

p.0911 橇(ソリ)〈禹泥行所レ乘者、形如レ箕、擿行二泥土一、見二史記一、〉秧馬(同)〈事詳二東坡集一〉雪車(同)〈和俗所レ用〉

↑

〔倭訓栞〕

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〈前編十三/曾〉

p.0911 そり歌に越旅人そりにのるまでなどよめるは、會津風土記に、雪車、雪舟など書り、反りたる形ゆゑに名とす、輴を訓ずべし、史記に橇に作り、漢書に毳に作る、これなりといへり、注に以レ板爲レ之、其狀摘二行泥土一と見ゆ、禹泥行所レ乘ともいへば、古事記にうきじまりそりたゝしてといへるも此にや、

↑

〔秇苑日渉〕

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〈三〉

p.0912 凌牀
秋田人當レ冬作二小坐牀一拽二氷上一、滑溜如レ箭、俗謂二之速履(ソリ)一、所レ謂凌牀耳、按日下舊聞引二倚晴閣雜抄一曰、江隣幾雜志、雄覇浩邊泊、冬月載二蒲葦一、悉用二凌牀一、沈存中筆談、信安滄景之間、挽レ車者衣二韋袴一、冬月作二小坐牀一氷上拽レ之、謂二之凌牀一、今京師在處有レ之、一人挽行、滑如二帆駛一、聞明時、積水潭嘗有二好事者一、聯二十餘牀一、攜二都籃酒具一、鋪二氈〓其上一、轟二飮氷凌中一、亦足レ樂也、香祖筆記曰、隣幾雜志、雄覇間、塘泊冬月載二蒲葦一、皆用二凌牀一、雖二官員一亦乘レ之、今京師之俗猶然、謂二之氷車一、

↑

〔永久四年百首〕

↑

〈冬〉

p.0912 初雪兼昌
はつみゆき降にけらしなあらち山こしの旅人そりにのる迄

↑

〔久安六年御百首〕

p.0912 冬尾張守親隆朝臣
跡たえてあらちの山の雪ごえにそりのつなでを引ぞ煩ふ

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〔山家集〕

↑

〈上/冬〉

p.0912 雪のうたよみけるに
たゆみつゝそりのはやをもつけなくにつもりにけりな越の白雪

↑

〔北越雪譜〕

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〈二編一〉

p.0912 輴
輴〈字彚〉禹王水を治し時、載たる物四ツあり、水には舟、陸には車、泥には輴、山には欙(かんじき)、〈書經註〉しかれば此輴といふもの、唐土の上古よりありしぞかし、彼は泥行の用なれば、雪中に用ふるとは、製作異なるべし、輴の字、毳、蕝、橇、秧馬、諸書に散見す、或は雪車、雪舟の字を用ふるは俗用なり、
そも〳〵此輴といふ物、雪國第一の用具、人力を助事、船と車に同く、且に作る事、最易きは、圖を見て知るべし、〈○中略〉前にもしば〳〵いへるごとく、我國〈○越後〉の雪、冬は凍ざるゆゑ、冬に輴をつかへば、雪におちいりて擿(く)ことならじ、輴は春の雪、鐵石のごとく凍たる、正二三月の間に用ふべきもの也其時にいたるを、里俗輴道(そりみち)になりしといふ、俳諧の季寄に、雪車を冬とするは誤れり、さればとて雪中の物なれば、春の季には似氣なし、古歌にも多くは冬によめり、實にはたがふとも、冬として可なり、
輴は作り易物ゆえ、おほかたは農商家毎に是を貯ふ、されば載るものによりて、大小品々あれども、作りやうは皆同じやうなり、名も又おなじ、只大なるを里俗に修羅といふ、大石大木をのするなり、
山々の喬木も、春二月のころは、雪に埋りたるが、稍の雪は稍消て、遠目にも見ゆる也、此時薪を伐に易ければ、農人等おの〳〵輻を拖(ひき)て山に入る、或はそりをば麓に置もあり、常には見上る高枝も、埋りたる雪を天然の足場として、心の儘に伐とり、大かたは六把を一人まへとするなり、さて下に三把を並べ、中には二把、上には一把、これを繩にて强く縛し、麓に臨で蹉跌(すべらかす)に、凍たる雪の上なれば、幾百丈の高も、一瞬の間にふもとにいたるを、輴にのせて引かへる、或はまた山に九曲あるには、件のごとくに縛したる薪の輴に乘り、片足をあそばせて、是にて楫をとり、船を走(はしら)すがごとくして、難所を除て數百丈の麓にくだる、一ツも過ことなし、其術學ずして自然に得る處、奇々妙々なり、
輴を引て薪を伐こと、いひあはせて行ときは、二三人の食を草にて編たる袋にいれて、輴にくゝしおくことあり、山烏よくこれをしりてむらがりきたり、袋をやぶりて食を喰盡す、樵夫はこれをしらず、今日の生業をこれにてたれり、いざや燒飯にせんとて打より見れば、一粒ものこさず、烏どもは樹上にありて啼、人はむなしく鳥を睨て詈り、空肚をかゝへて輴歌もいでず、輴をひきてかへりし事もありしと、その人のかたりき、
そりをひくには、かならずうたうたふ、是を輴歌とて、すなはち樵歌なり、唱歌の節も古雅なるものなり、親あるひは夫、山に入り、輴を引てかへるに、遠く輴歌をきゝて、親夫のかへるをしり、輴に遇處までむかへにいで、親夫をば輴に積たる薪に跨せて、妻や娘がこれをひきつゝ、これらも又輴歌をうたうてかへるなど、質朴の古風、今目前に存せり、是繁花をしらざる、幽僻の地なるゆゑなり、
春もやゝ景色とゝのふといひし梅も柳も、雪にうづもれて、花も綠もあるかなきかにくれゆく、されど二月の空はさすがにあをみわたりて、朗々なる窻のもとに、書讀をりしも、遙に輴歌の聞るは、いかにも春めきてうれし、是は我のみにあらず、雪國の人の人情ぞかし、

↑

〔閑田次筆〕

↑

〈一〉

p.0914 江戸の人去あへぬことによりて、出羽へ雪深きころに、赴たりし道の記、卽雪の古道と號し、〈○中略〉天明八年の霜月、雪を凌ぎてからうじてかしこにいたり、同九年の二月までのことどもをかけり、〈○中略〉滑津のうまやにいたる、こゝよりならきまでは、雪ことに深うして、馬もかよはず、乘物もかなひ侍らずといへば、そりをもとめ出てのる、はたごをばときわけて、かち人に負せつ、風にむかひては雪吹に堪たまはんやうなしとて、そりにうしろざまにのりつゝ、はたごの馬に負せつる雨具、頭に引かづき引れゆく、〈○中略〉すこし高き所に引のぼるほどは、斜にくつがへるべうおぼゆるを、綱引直しつゝこゆ、そりには蒲團を敷て、我身をも綱にて結ひつけたれば、はしるやうにあれど、さすがにたふれず、〈○中略〉峠田の驛にいたる、〈○中略〉下部くるしうおはさんとて、こゝにてかごそりといふものをもとめてのせつ、これは橇ながら、乘物のうちにありてひかるるまゝ、こしかたにくらぶればいとめやすし、

↑

修羅

↑

〔饅頭屋本節用集〕

↑

〈之/財寶〉

p.0914 修羅(シユラ)〈引レ木物〉

↑

〔易林本節用集〕

↑

〈之/器財〉

p.0914 修羅(シユラ)〈引二大木材木一也〉

↑

〔壒囊抄〕

↑

〈一〉

p.0914 石引物ヲ、シユラト云ハ、何事ゾ、帝尺大石ヲ動カス事、修羅ニアラズハアルベカラズ、仍テ名ヅクト云々、加樣ノ戯事ハ、聲ナドノ違ハ苦敷カラヌニヤ、建仁寺大道ニ、表卷ト云酒アリ、門前一ト云心也、

↑

〔齊東俗談〕

↑

〈一/典故〉

p.0915 修羅佛經、阿修羅天、帝釋ト權ヲ爭テ、修羅負トキハ、手ニ日月ヲ捉テ、藕絲孔中ニカクレ、帝釋負トキハ、天宮十三重ノ網中ニカクルヽ等ノ説アリ、天台文句疏記幷名義集ニミヘタリ、俗石引車ヲ修羅ト云、大石、帝釋、音相似タリ、阿修羅、帝釋ヲ動ス義ヲトレリ、

↑

〔安齋隨筆〕

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〈前編十四〉

p.0915 一修羅車節用集に、修羅〈註云〉引二大木材木一也、軍器考に、大友が家の事を記せる所に、〈○中略〉楢村長高が、室町殿日記卷二十、小天狗篇中、大佛殿造營の事を云へる章に云、石垣の大石を鹿が谷より引れたるに、蒲生飛驛守〈○氏郷〉承りて、六疊敷の大石を引に、三千五百人にて引けりと聞ゆ、楠木松の虹梁をもつて、修羅車(○○○)を造り、是に引のせ、道筋には丸太を敷て、其上にアラメをまかせて、ヌメリをもつてやりにける云々、今世地車と云物の大なる歟、

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〔梅園日記〕

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〈四〉

p.0915 修羅
愼言、先年靈巖島の伊豆屋といへる石肆にて、修羅と穃する器を見たり、其圖左の如し、又北越雪譜に、雪車(ソリ)の制作種々あり、大なるを修羅といふとあり、〈又江戸に修羅船といふ船あり、積たる物を船底までいれじとて、小ベりといふ所の高さとひとしく、板を敷ならべたる造りかたなり、〉
修羅の圖石肆所貯
後
二
尺
五
寸
許
長一丈二尺許
粟二寸五分角前
三
尺
許

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〔嬉遊笑覽〕

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〈二下/器用〉

p.0916 まき車と云は、今のシヤチ也、〈○中略〉思ふに車軸の略なるべし、そのかみ修羅と云しも、此の工にや、節用集に、修羅は、引二大石材木一也と注せり、又地車などもしか云しにや、石屋宗山が明曆火災記、戌年に御天主臺をほぐし、金銀の塊をシユラにのせ、五六百人にて引出すと見えたり、

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〔本朝軍器考〕

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〈六/火器〉

p.0916 大友ガ家ノ事シルセル記ニ、天正四年ノ夏、宗麟入道ガ領セル肥後國ニ、南蕃ヨリ大ノ石火矢來レルヲ、入道ヤガテ彼ノ國ヨリ修羅ヲモテ、豐後ノ國臼杵ノ庄丹生ノ島迄引キヨセテ、悦ブコトカギリナク、其名ヲバ國崩トナン名ケル、

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〔明良洪範〕

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〈二〉

p.0916 黑田長政ハ、關ケ原ノ賞トシテ、大國ヲ賜ハリシカバ、其神恩ニ報ゼントテ、日光山へ石ノ大華表ヲ建立スベシトテ、筑前ヨリ大石數多運送スル、此事今マデ例ナキ事故、石工等モウケガハズ、マシテ町人ノ請合ト云事モナキ時節ユへ、家臣等モ、イカヾアラント衆議決セズ、長政聞テ、オロカ成ル事ヲ申物哉、江戸ヨリハ石一本ヲ船一艘ニ乘セ、左右ニ大綱ヲ付、虚船コギナラベ、陸地ニハ、修羅ヲ以テ、牛數多カケテ、勞レザル樣ニヒカスベシ、