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p.0431
〈禿字同、他各反、尻太牟良、〉
片附〉唐韻云、尻〈苦部反、和名之利(○○)、〉臋也、〈徒渾反、俗云井佐良比(○○○○)、〉坐處也、㞘〈音竺、字亦作レ
也、按
、髀也、又作二
一、段玉裁曰、髀者股外也、許云、髀者專言二股後一、按釋名臀殿也、高厚有二殿遻一也、尻廖也、尻所レ在廖牢深也、是臀在二尻外一、尻在二臀内一、呂氏春秋觀表篇、許鄙相レ
、高誘注、
也、以二股脚一對二脽尻一、亦知二臀尻二物一、説文統二言之一耳、〈○中略〉廣韻㞘作レ豚、又載二
一文選東京賦注、引二賈逵注一云、
、音丁角切、義與レ豚相近、按
、音豚、亦作二尻䐵臋宜
、一、〉
尻〈人鏡曰、八髎盡分各處爲レ尻、金鑑曰、尻骨者、腰骨下、十七椎十八椎十九椎二十椎二十一椎五節之骨也、上四節絞之旁、左右各四孔、骨形凹如レ瓦、長四五寸許、上寛下窄、末節更小、如二人參蘆形一、名二尾閭一、一名骶端、一名橛骨、一名窮骨、肚門後、其骨上外兩旁形如二馬蹄一、附二著兩骨上端一、俗骻骨、〉
只今爰へ來リ候へ、手幷ノ程ヲ見スベキゾト訇リケレ共、敵耳ニモ不二聞入一、散々ニ射ル、其時木原、生膚ニテ居ケルガ、尻ヲ高ク撅ゲ、尼子ノ臆病者共、是ヲ喰ヘヤトテ、二ツ三ツ扣キテ見セケレバ、敵是ヲ見テ、憎キ族原ガ振舞哉、アレ射殺セトテ、鳥銃一度ニ兩落ト放チ係ケレ共、曾テ一モ不レ中ケリ、木原汝等ガ鐵炮ハ尻ニサへ不レ中ト荒言吐テ、此ヲシホニシテ率引ントテゾ、打連テ退ケル、
本郷春木町三丁目嘉右衞門店
安五郎
戊四十一歳
右之者戌七月便毒を煩ひ、平愈の後に陰毛中へ大豆程なる腫物出來、膏藥にて早速に愈たり、其後骨痛を發し養生所へ願出、逗留罷在の所、十一月十五日、湯風呂屋の縁側にて、尻餅をつよくつき(○○○○○○○○)けるが、いさヽかのさヽはりもなく入湯いたし、部屋へ歸りふせりけり、其夜小便に起立しに、頭骨がた〳〵から〳〵みし〳〵と、つよき音いたし、痛强く眩量し、それより起臥出來かね、おき あがると、頭がまへにたれ下るにより、頰杖を兩手につき、頭を抱へ起座す、〈○下略〉
大腸門曰二肛門一、自二唇所一レ入、至二尻肛門所一レ出、長六丈四寸四分、大腸小腸共三十二曲行也、形似二車肛一故名、
今案、俗人呼三牛馬犬等糞如二弓矢之矢一、是
棄除也、从レ廾、推レ
棄レ采也、官溥説似レ米而非レ米者矢字、題糞本訓レ除、曲禮凡爲二長者一糞レ之禮、是也、轉謂下所二糞除一之汚穢物上爲レ糞、再轉謂二人大便一亦爲レ糞也、〈○中略〉玉篇、
、經典多通借二弓矢字一、左傳文十八年、埋二之馬矢中一、莊子人間世篇、愛レ馬者以レ筐盛レ矢、史記廉頗傳、頃之三遺矢、説文
省一、
象形、
、所レ謂似レ米而非レ米者、又毛詩唸㕧俗作二殿屎一、遂混無レ別、又按説文訓レ
〈
俗
〈亦〉
送糞〈クソマル〉
天津罪〈止〉畔放、溝埋、樋放、頻蒔、串刺、生剝、逆剝、屎戸(○○)、許々太久〈乃〉罪乎、天津罪〈止〉法別〈氣氐、○下略〉
一休是ヲ見テ、御邊〈○次休〉ハ魚ヲ又本ノ魚ト咸セリ、是劉綱ガ盤中ニ唾シテ、魚トナシヽ手段ヲ用給、吾ハ又此魚ヲ佛トナシヌベシトテ、裳ヲ高ク掲ゲテ、座上ニ糞ヲシ給テ(○○○○○○○○)、万法ハ歸レ一、食ハ盡ク歸レ糞、サレバ三世ノ議佛ハ、屎中ノ蟲ナレバ、這裏ニ秘在セリ、
世の中はくうてはこして寐ておきてさて其後は死ぬるばかりぞ〈一休物語に見へたり、はこするは、屎ひる事也、はこは糞筥也、しのばこと云也、又これをまるとも云ふ、丸く細長きゆへなるべし、〉
、〈匹鼻反、三字通也、楊氏漢語抄云、放屁、和名倍比流(○○○)、〉下部出レ氣也、
作レ
今俗放屁をおならといへり、おもじは、女房詞の敬辭なり、奈良は鳴の通音なり、ヒル音によりていへる詞也、舊本今昔廿八の十語に、武員僧ノ御前ニ蹲に、久ク候ケル間ニ、錯(アヤマリ)テ糸高ク鳴シテケリと見ゆ、
(トワタリ) 〈兩股之間〉會陰〈同〉
篠深み切みつぐきを朝立てなびきわづらふ蟻のとわたり、前陰と肛門との間を會陰とす、是をも俗に名を同うす、其一道のすぢあるをもてなり、
一手の中と、ありのとわたり(○○○○○○○)とかゆくなりたれば、大事ありと知べし、但し右の手の中かゆくば吉也、
簒〈金鑑曰、横骨下兩股之前、相合共結レ之凹也、前後兩陰之間、名二下極穴一、又屏翳穴會陰穴、卽男女陰氣之所也、人鏡經曰、簒内深處爲二下極穴一、〉
雲覆レ日也、从レ雲今聲、又載二侌字一云、古文或省、
〈シナタリクポ○中略〉
〈マラ〉
ヘソヲホソト云ヘドモ、陰ヲモホソト云、陰ニハ三ノヨミアリ、一ニハホド、二ニハホゾ、三ニハクボナリ、ホソツキタルモノトハ、男根ツキタルモノト云フ心ナリ、クボト云フハ女根ノ異名ナルベシ、
破前(ウセテカハラハゼヲ)一喜、
山女也、阿介比、卽源君所レ言蔔子、草生二山中一、其子熟罅坼、狀似二女陰一、故謂二之山女一、或謂二之
麻良(マラ)も、破留(ハル)の通音にて、張ふくるヽよしの名にても有べし、
陽物をしヾといふ
隱莖をしヾといふは、もと縮(シヾミ)たるさまよりいへるにて、關東にては小兒童の陽物にかぎれる詞也、新撰狂歌集〈下卷〉雜部に、敎月僧ある、時、女院の御所御庭せばきとて、此人の地をとり、て、御庭のまへをひろげ給へば、
にようゐんの御まへのひろくなる事はけう月ばうがしヾのいるゆゑ、四至(シヾ)の入に陽物(シヾ)の入をよせたり、
莖 垂 屆 脹 腹 痮〈已上同〉
新撰犬筑波春部に、春風にぶらめき渡る松ふぐり、同冬發句部に、霜風にふるひおとすや松ふぐり、同雜部に、山に千年川に千年、ふぐりまでうしほにうつる峰の松、又まつふぐりとや人はいふらん、住吉の岸によりたる蛸を見て、又ふぐりのあたりよくぞあらはん、むかしより玉みがヽざれば光りなし、又手綱もかヽぬ高砂の浦、しほ風にぶらめきわたる松ふぐり、按に松ふぐりは、松實にて、其形陰囊にも似たれば、いふ歟、和名抄莖垂類部に、針灸經云、陰囊、俗云布久利云々、またはかりの錘有、
(同)〈字彚、女人陰戸、〉也(同)〈韻會、女陰、〉
くぼのなをば、なにとかいふ、くぼのなをば、なにとかいふ、つびたり、けふくなう、たもろ、ひのなかの、ひつきめな、けふくなう、たもろ、
室町日記十九〈三丁ウ〉德永法印吐之事條に、西行の歌見ゆ、豆ドロボウなどもいふめり、
之處謂二之眉一、其中央尖高處、呼爲二比奈佐岐一、與二此形狀一相似、而同二其名一也、又按淸劉奎説疫、雜疫鴉子掙條云、男挑二龜頭一、女挑二鷄冠一、出レ血卽愈、自注難冠陰戸之心、是亦陰廷之今名耳、
廷孔〈類經曰、女人溺孔在二前陰中横骨之下一、男子溺孔亦横骨之下中央、爲二宗筋所一レ函不レ見耳、馬註曰、廷孔也、其孔卽溺孔之端、蓋窈漏之中有二溺孔一、其端正在二陰廷一、乃溺孔之端也、〉
婦人汚也、〈謂月事及免身及傷孕是也、○中略〉从レ女半聲、〈博幔切、廣韵又音判、十四部、〉漢律曰、見二姅變一不レ得レ侍レ祠、
今世女子之笄曰二上頭一、而倡家處女初得レ薦二寢於人一亦曰二上頭一、花蕋夫人宮詞、年初十五最風流、新賜二雲鬟一使二上頭一、又天癸曰二月事一、黄帝内經、女子二七而天癸至、月事以レ時下、又曰、女子不レ月、史記濟北王侍者韓女病、月事不レ下、診二其腎脈一、嗇而不レ屬、故曰月不レ下、又程姫有レ所レ避不レ願レ進、注天子諸侯群妾以レ次進御、有二月事一者止不レ御、更不二口説一、故以レ丹注二面目一、的々爲レ識、令二女史見一レ之、王察神女賦、施レ玄的々、卽上所レ云也、然入レ月二字尤新、王建宮詞、密奏君王知レ入レ月、喚レ人相伴洗二裾裾一、
但血氣未レ止者、不レ限二七日一、血氣止經二二个日一之後、三个日之精進終、而免二參宮一也、〈血氣之落付物等掃除事、下卷載レ之、次合宮衣裳、同火日限、燧火等事、左載レ之、〉
月水精進事、譬者一日成二月水一女姓、迄二五日一有二血氣一、六日血氣止之間、八日過之後、十一日免二參宮一也、但十日迄二宿館一參、無二苦見一歟、〈宮中維南維北、可レ有二思慮一也、〉
浴鹽之條無二定法一、宜レ任二于意一哉、洗髮事者勿論也、相構過レ時毎日可レ替レ火、也、齋内親王御月水事、見二本文一矣、
次成二月水一女姓、縡二一兩日一之後、雖二血氣止一、於二七个日一者忌レ之也、
次七个日以後過明、又七个日之内、只一度有二血氣一號二又出一、是者經二中二个日一過明也、是雖レ無二指所見一、近 代如レ此忌來也、血氣及二度々一者非二此限一、又可レ忌二七个日一也、但依二老病一血臨時流出者、不レ可二月水一、但穢惡物者、鬼神所レ惡也、縱雖レ非二月水一、血氣非二淸淨物一、當二神事一者、隨レ時可二斟酌一也、次月水過夜、引レ繩出二別屋一、翌日入二家中一也、若無二便宜別屋一者、八日以後過女性宿二廂間一之條、强非二制法一、是者家主女姓事也、於二從女一者非二此限一、雖レ不レ可レ依レ人、從女者動依レ有二不信事一也、過二于七个日一女、次日計同火忌レ之、地體從女者、過明之後、隔二中一日一也、
時珍曰、女子以レ血爲レ主、其血上應二太陰一、下應二海潮一、月有二盈虧一、潮有二朝夕一、月事一月一行、故謂二月水一、或先或後或塞、其血病也、復有二變レ常者一、只吐血衂血、或眼耳出レ血者、是謂二逆行一、 有二三月一行者一、謂二之居經一、 有二一年一行者一、謂二之避年一、 有二一生不レ行而爲レ胎者一、謂二之暗經一、 有二受胎之後月月行經而産レ子者一、謂二之盛經一、〈又名垢胎〉 有二受胎數月血忽大下、胎不レ隕者一、謂二之漏胎一、〈此等雖下以二氣血有餘不足一言上、而亦異二于常一矣、〉
女子二七天癸至、七七天癸絶、其常也、有二女年十二十三而産レ子、亦五十六十而産一レ子、此又異常之尤者也、
凡女人入レ月、惡液腥穢、故君子遠レ之、爲二其不潔一、能損レ陽生レ病也、持戒修二錬性命一者、皆避二忌之一、博物志云、扶南國有二奇術一、能令二力斫不一レ入、惟以二月水一塗レ刀便死、此是穢液壞二人神氣一、故合レ藥忌レ觸レ之、此説爲レ有レ據、
令二婦不一レ妒法 取二婦人月水布一、裹二蝦䗫一、于二廁前一尺一入レ地五寸埋レ之、
按、伊勢加茂等大社地女、及大内宮女皆臨二經行時一、蟄二居別室一七日、謂二之待屋(タイノヤ)一、〈俗云太夜〉
和溲一九字上、按
〈二正、溺或
非、〉
〈六俗〉
〈
小兒に小便せさするに、シイヲセヨといひ、シユウトヘヨウグルなど云俗語あり俊賴散木集十の卷、隱題歌に、拾遺抄、
しとねにはしふゐせうとぞおもひつるしたりがほにもつもる花かな、此歌は下根を通はしてしとねといひ、それに尿音(シトネ)をよせ、しふゐせうに、尿(シト)せんといふよしをよせ、したり顏に、尿(シト)をしたりがほとよせたるなり、尿をしふゐといへるは、その尿するおとのシユウといへばなり、然てシイヲスルなどいふもこれ也、シトといふも、尿(イバリ)をしとヽ垂出(タレイダ)す音よりいへる名也、古くはシトといひ、さて轉りては、シフイともきヽ、シイともきくは、その垂出す音によれるなり、花木の下根に立よりて、尿をせんとおもひつるに、はやくもしたり顏に花がちりつもりたるよしの歌なり、
支
〈俗今正、章移反、エタ(○○)、〉
〈エタ〉
下政戸刑部書戸口十三〈○中略〉 忍勝甥物部廣世〈年卅九、一支廢(○○○)、廢疾、〉
戸主出雲臣文田年漆拾貳歳〈○中略〉 妻出雲臣族粳䖝賣年陸拾捌歳 一支廢女(○○○○)
空蟬師(ウツセミシ)、神爾不勝者(カミニタへネバハ)、離居而(ハナレ井テ)、朝嘆君(アサナゲクキミ)、放居而(サカリ井テ)、吾戀君(ワガコフルキミ)、玉有者(タマナラバ)、手爾卷持而(ヲニマキモナテ/○○○○○)、衣有者(キヌナラバ)、脱時毛無(ヌグトキモナケン)、吾戀(ワガコフル)、<ruby><rb>君曾伎賊乃夜</rb></rb>キミゾキソノヨ</ruby>、夢所見鶴(イメニミエツル)、
朝宿髮(アサネガミ)、吾者不梳(ワレハケヅラジウ)、愛(ヅクシキ)、君之手枕(キミガタマクラ/○○)、觸義之鬼尾(フレテシモノヲ)、
東西ヨリ火ニ責ラレ人ニ被レ責テ、皆舟ニノラント、渚ニ向テ落行ケルモ、海ヘノミコソ馳入ケレ、 助船有ケレ共、餘ニ多コミ乘ケレバ、大船三艘ハ目ノ前ニ乘沈メケル、然ルベキ人々ヲバ乘スレドモ、次樣ノ者ヲバ、不レ可レ乘ト訇ケレ共、暫シノ命モ惜ケレバ、若ヤ〳〵トテ舟ニノラント取付ケルヲ、太刀長刀ニテ薙ケレバ、手折落サレ、足切折レテ、皆海ニゾ沈ケル、角ハセラレテ死ケレドモ、敵ニ組テ死スル者ハナシ、多ハ御方打ニゾ亡ニケル、
荒木善大夫、同善兵衞、佐伯庄右衞門、安部仁右衞門、山脇加賀守、同源大夫、星野新左衞門等ニ下知シテ、一人モ不レ殘討果ス、渠等ガ家人一人村重ニ切テ懸リケルヲ、村重時節白井河原ニテ蒙タリシ手疵ノイマダ愈ザリケレバ、矢手(メテ/○○)刀ヲニ刺ケルヲ、弓手(ユンテ/○○)ニテ拔打ニ切殺シケリ、
顯季家集に、霞たつ、くらまの山の、薄櫻手ふりをしつヽなをりぞわづらふ云々、按手ふりをしては、手を振さま也、手をふるといふこと、袖中抄の都の手ぶりの條、まだ袋草子三の卷廿葉などにも見ゆ、
字訓二太々牟支一、醫心方腕訓二多々牟岐一、又訓二宇天一、按多陀牟岐、見二舌事記八千戈神歌一、〈○中略〉按説文作レ掔、云手掔也、玉篇廣韻並云腕、手腕、玉篇又云、腕又作レ腕、又云、掔椀同上、又按儀禮士喪禮注、掔手後節中也、史記索隱、掌後曰レ捥、急就篇注、腕手臂之節也、釋名、腕宛也、言可二宛屈一也、今俗呼二宇天久比(○○○○)一、是也、下條詳レ之、
師の仰にもしたがはず、〈○中略〉うで(○○)をし、くび引、すまうなどぞこのみける、
〈古弘反、
也、肩也、加比奈(○○○)、〉
互ニ鎗長刀ノ切先ヲ汰、火華ヲ散シテ攻戰、南條豐後守ハ、左ノ手ノ無リケレバ、二ノ腕(○○○)ニ三間柄ノ鎗ヲ繩ニテ結付、右ノ手ニテ石衝ヲ執テ衝ケルニ、元來聞ユル大力ナレバ、兩手ニテ突ヨリモ猶輕ゲ也、吉田左京亮眞先ニ進テ南條ト渡シ合、〈○下略〉
〈張柳反、上、
御年皇神等〈能〉前〈爾〉自〈久〉、皇神等〈能〉依〈左志〉奉〈牟〉奥津御年〈乎〉、手肱(タナヒヂ/○○)〈爾〉水沫畫垂、向股〈爾〉泥畫寄〈氐〉、取作〈牟〉奥津御年〈乎〉、八束穗〈能〉伊加志穗〈爾〉、皇神等〈能〉依〈左志〉奉者、〈○下略〉
母急ギ走寄テ、正行ガ小腕(○○)ニ取付テ、泪ヲ流シテ申ケルハ、栴檀ハ二葉ヨリ芳トイヘリ、汝ヲサナク共父ガ子ナラバ、是程ノ理ニ迷フベシヤ、〈○下略〉
母公〈○毛利元就母〉ハ福原内藏大夫ガ息女ニテ、明應六年丁巳誕生シ給フ、母公或時御身熱シク惱マセ 給テ、晝間ノ程玉臂(○○)ヲ枕トシテ、トバカリ眞眠給ケルニ、夢中ニ日光懐中ニ入ト覺工テヨリ、懐胎シ給フ、
釧著(クシロヅク)、手節乃崎二(タブシノサキニ)、今毛可母(イマモカモ)、大宮人之(オホミヤビトノ)、玉藻苅良武(タマモカルラム)、
おりつればたぶさにけがるたてながらみよの佛に花たてまつる
爰ニ忠文大惡心ヲ起シテ、面目ナク内裏ヲ罷出ケルガ、天モ響キ地モ崩ルヽ計ノ、大音聲ヲ放云 ケルハ、口惜事也、同勅命ヲ蒙テ同朝敵ヲ平グ、一人ハ賞ニ預リ、一人ハ恩ニ漏ル、小野宮殿ノ御計、生々世々不レ可レ忘、サレバ家門衰蔽シ給テ、其末葉タラン人ハ、ナガク九條殿ノ御子孫ノ奴婢ト成給フベシトテ、高ク訇リ手ヲハタト打テ、拳ヲ握リ(○○○○)タリケレバ、左右ノ八ノ爪、手ノ甲(○○○)ニ通リ、血流レ出ケレバ、紅ヲ絞リタルガ如シ、ヤガテ宿所ニ歸リ飮食ヲ斷、思死ニ失ニケリ、
一坐二探湯瓮一而引二諸人一令レ赴曰、得レ實則全、僞者必害、〈盟神探湯、此云二區訶陀智一、或埿納レ釜煮沸、攘レ手、探二湯埿一、或燒二斧火色一、置二于掌(タナウラ/○)〉
山門横川ノ衆徒、款狀ヲ捧テ、禁庭ニ訴ル事アリ、俊基彼奏狀ヲ披テ、讀申サレケルガ、讀誤リタル體ニテ、楞嚴院ヲ慢嚴院トゾ讀タリケル、座中ノ諸卿是ヲ聞テ、目ヲ合テ、相ノ字ヲバ、篇ニ付テモ、作ニ付テモ、モクトコソ讀ベカリケルト、掌ヲ拍テゾ笑ハレケル、俊基大ニ耻タル氣色ニテ、面ヲ赤テ退出ス、
〈花和反、掌内文理也、或作レ贏、手之阿也(○○○○)、〉
〈上通、下正、子欲反、アシ〉
〈正〉
〈古〉
〈俗〉
大塔宮二品親王ハ、〈○護良中略、〉、般若寺ヲ御出在テ、熊野ノ方ヘゾ落サセ給ケル、〈○中略〉數日ノ間、斯ル嶮 難ヲ經サセ給ヘバ、御身モ草臥ハテヽ、流ルヽ汗如レ水、御足ハ缼損シテ、草鞋皆血ニ染レリ、御伴ノ人々モ、皆其身鐵石ニ非レバ、皆飢疲レテ、ハカ〴〵敷モ、歩得ザリケレ共、御腰ヲ推、御手ヲ挽テ、路ノ程十三日ニ、十津河ヘゾ著セ給ヒケル、
葉原ヨリ深雪ヲ分テ重鎧ニ肩ヲヒケル者共、數刻ノ合戰ニ入替ル勢モナク戰疲レケレバ、返サントスルニ力盡キ、引ントスルニ足タユミヌ(○○○○○)、サレハﾞ此彼ニ引延テ、腹ヲ切者數ヲ不レ知、
○按ズルニ、蹐ノ傍訓ハ道春點本ニ據ル、
安元御賀記〈群書類從五百廿九卷、十一丁左、〉に、我もとへ鞠くれば、ぬけあしをふみてにげられき云々、今俗ぬき足といへり、加賀見山といへる淨瑠璃本に、ぬきあしさし足とあり、おとせぬやうに脱足する也、
〈苦故反、
也、人乃毛々(○○○○)、〉
〈公戸反、上聲、〉古文股字也、
〈音古、モヽ、ウチモヽ、〉 腂〈音果、モヽ、〉
脛腹也、古牟良、又牟加波支〈拾遺集物名にも、行縢を隱くして、向脛とよめり、避案抄に、むかばきは、凡人のむかひすねと云ことをよめるにや、〉とも見ゆ、何れも古言なり、
皇神〈能〉御刀代〈乎〉始〈氐〉、親王等、王臣等、天下公民〈能〉取作奥都御歳者、手肱〈爾〉水沫畫垂、向股(○○)〈爾〉泥書寄〈氐〉、取將作奥津御歳〈乎〉、八束穂〈爾〉皇禪〈能〉成幸賜者、〈○下略〉
由良長濱二人、新田越後守ノ前ニ參ジテ申ケルハ、〈○中略〉見苦シカラン物共ヲバ、皆海へ入サセラレ候ヘト申テ、御前ヲ立ケルガ、餘リニ疲レテ足モ快ク立ザリケレバ、二ノ木戸ノ脇ニ、被二射殺一伏タル死人ノ股ノ肉ヲ切テ、二十餘人ノ兵共、一口ヅヽ食テ、是ヲ力ニシテゾ戰ケル、
胯
〈音
モヽ、マタ、音袴、〉
〈俗〉
〈俗歟〉
月ニ十二度、犬合セノ日トテ被レ定シカバ、一族大名御内外樣ノ人々、或ハ堂上ニ坐ヲ列ネ、或庭前ニ膝ヲ屈シテ見物ス、
淵邊畏テ承候トテ、山ノ内ヨリ主從七騎引返シテ、宮〈○大塔宮護良〉ノ坐ケル籠ノ御所へ參タレバ、宮ハイツトナク闇ノ夜ノ如ナル土籠ノ中ニ、朝ニ成ヌルヲモ知セ給ハズ、猶燈ヲ挑テ御經アソバシテ、御坐有ケルガ、淵邊ガ御迎ニ參テ候由ヲ申テ、御輿ヲ庭ユ舁居ヘタリケルヲ御覽ジテ、汝ハ我ヲ失ントノ使ニテゾ有ラシ、心得タリト被レ仰テ、淵邊ガ太刀ヲ奪ハント走リ懸ラセ給ケルヲ、淵邊持タル太刀ヲ取直シ、御膝(○○)ノ邊ヲシタヽカニ奉レ打、宮ハ半年計籠ノ中ニ、居屈ラセ給タリケレバ、御足モ快ク立ザリケルニヤ、御心ハ八十梟(ヤタケ)ニ思召ケレ共、覆ニ被二打倒一、起擧ラントシ給ヒケル處ヲ、淵邊御胷ノ上ニ乘懸リ、腰ノ刀ヲ拔テ、御頸ヲ搔ソトシケレバ、宮御頸ヲ縮テ刀ノサキヲシカトサセ給フ、
彈正是ヲ見テ、如レ斯テハ敵ト打違ル迄モナク、馬ニ蹈倒サレヌベウ覺ルゾ、倡ヤ方便テ當ノ敵ヲ可二打取一トテ、各差違ヘタル樣ニシテ、芝居ニ取組ヲ伏居タリ、敵十四五騎馳來テ、眞ニ死タルト心得、首取ント近付クヲ、皆傍ニ置タル太刀ヲツ取、伏乍拂切ニシタリケレバ、敵五人諸膝(○○)薙サレタリ、是ヲ見テ殘黨惘レテ扣タルヲ、起上リ追散シ、心地好ト高聲ニ訇テ、カラ〳〵ト笑、各首共膝ノ上ニ置、一同ニ自害シテ失ニケリ、
同、比佐加美乃阿波太(○○○○○○○○)、〉
珂一、與二源君所一レ見同、興福安礙新撰宿曜經亦作二
珂一、按廣韻、珂馬腦、䯊膝骨、二字音同義異、唐韻蓋與二廣韻一同、故云レ宜レ作レ䯊也、然古無二䯊字一、故經借用二珂字一、非レ誤也、源君云宜レ作レ䯊、經今本作レ胢者、皆不レ通二假借之理一、改以二俗字一也、苦何反、廣韻同按比佐乃加波良、與三髗訓二加之良乃加波良一同、今俗呼二比佐乃佐良、又比佐加之良一、〈○中略〉廣韻髕臏上同、醫心方髕訓二比佐一、又訓二安波太古一、又膝 臏訓二加波良一、神功紀臏肋、訓二安八多古一、新撰字鏡、髕訓二比佐可美乃阿波太一、〈○中略〉今本玉篇骨部云、髕人生朞而膝耑生、與二此所一レ引不レ同、按髕膝骨也、見二荀子正論注一、説文、髕䣛耑也、
臏骨〈説文膝端也、釋骨曰、蓋骨也、膝蓋之骨曰二膝之上端也、説文曰、骸脛骨、圖翼曰、膝下内外側大骨、〉
骹〈已上同〉
三里 在二膝眼下三寸、胻骨外廉、大筋内宛宛中一、坐而堅膝低レ跗取レ之極重、按レ之則跗上動脉止矣、小兒忌レ灸レ之、反生レ疾、三十歳外方可レ灸、治二諸病一、能下レ氣、
俚言に、三里は皿の口とて、兪穴ひろく、灸所すこし違ひてもくるしからずといふこと、據なき誤なり、又膏肓は、血の口といふ人もあり、何れの灸穴にても、廣きといふはなきことなり、すべて經絡兪穴はよく考がへ正して、誠にても灸にてもすべし、若兪穴の差ひあれば、徒に良肉を破るのみにあらず、禁鍼禁灸の穴にあたれば、却て害あり、〈又阿是の穴といふは、秘傳あろ事也、〉されば始めて下す灸點を、委く知れる人に賴むべきなり、禮記の經解篇に易に曰はく、君子は始を愼む、差ふこと若毫なれば、繆るに千里を以てすとは、此之謂也といへり、
〈國音曲脚中也、宇豆阿志(○○○○)、〉
字趾字蹄字古本蹠字皆同、所レ引足部文、
〈俗〉
咋二御腕一、御歌云、多古牟良爾、阿牟加岐都岐、多古牟良、蓋謂二臂肉手腓之義一、〈○中略〉按説文、腓脛腨也、腨腓腸也、卽此義王念孫曰、腓之言肥也、易咸六二咸二異腓一、鄭玄注、腓膊腸也、荀爽作レ肥、齊策、徐子之狗、攫二公孫子之
一而噬レ之、並字異而 義同、廣韻引二字林一云、啓腨腸也、海外北經、無䏿之國、爲レ人無レ
、郭璞曰、
覈〈釋骨曰、跗内下爲二覈骨一、一名核骨、圖翼曰、足大指本節後内側、圓骨、醫學綱目曰、本節後約二寸内踝前約三寸如二棗核一横二于足、内踝赤白肉際者是也、〉
な浮擧て坐をも云べけれど、書紀欽明卷に乘二踞胡床一、敏逹卷に踞二坐胡床一などあるは然は聞えず、是は俗に腰懸ると云ものなり、物語文などには尻懸とあり、そは足を垂て、臀を物に上坐るなれば、尻打擧と云なるべし、字書に、據レ物坐日レ踞とある是なり、據レ物とは、俗にもれれかヽうと云ことには非ず、腰を懸ることなり、漢にては腰懸るをも坐と云、常のことぞ、熱れば書紀に踞二其鋒端一とあるは、劒鋒に腰を懸坐を云るにて、此記とはいさヽか異なり、〉趺字は、佛書にも結跏趺坐など常に云て、阿具美によく當れり、〈さて此阿具美居に二あり、組たる足の末を膝下に敷と、股上へ擧て跖を仰げて組となり、又膝を脇へ 張て、左右の足掌を合せても坐る、此も趺の類ひなり、〉さて今此神の如レ此爲たまふは、皆天神の御使の、絶れて奇く靈き威德あることを示せるなり、
三郎左衞門忠賴、〈○中略〉袖ノ下ヨリ刀ヲ拔テ偸ニ腹ニ突立テ、畏タル體ニテ死ケル、其弟鹽飽四郎是ヲ見テ、續テ腹ヲ切ラントシケルヲ、父ノ入道大ニ諫テ、暫ク吾ヲ先立、順次ノ孝ヲ專ニシ、其後自害セヨト申ケルヲ、鹽飽四郎拔タル刀ヲ收テ、父ノ入道ガ前ニ畏テゾ候ケル、入道是ヲ見テ、快ゲニ打笑、閑々ト中門ニ曲彔ヲカザラセテ、其上ニ結跏趺坐(○○○○)シ、硯取寄テ、自ラ筆ヲ染メ、辭世ノ頌ヲゾ書タリケル、〈○下略〉
字彙曰、踦一足行也、 按、患二鶴膝風一成レ踦者多、假レ杖以爲二一足一、故曰二拐脚一、
瞍
をみな目志比としるせれど、心得ぬ字どもなり、又眊を目暗ともしるせり、今世にも目久良と云り、〉さて首途に、跛盲の行遇ふを不吉とするは、跛は行くことあたはず、盲は前途を見ることあたはざる者なれば、共に旅行に殊に忌嫌ふべければなるべし、〈師は此跛盲二字を、二共に路眚の誤として、ミチマケと訓むべし、字鏡に、眚先定反、去、生二目翳一也、麻介とあり、こヽは道のまどはしに遇はむと云ことなりと云れしは、心得がたし、かの麻介は目翳とこそあれ、道のまどはしをいかでか然云む、又道のまどはしにあふと云も、何事ならむ、たしかならず、且諸本みな跛盲とこそあれ、路眚と作る本はなし、たゞ舊印本に、下なる跛を路と作れども、其も上なるをば、跛と作れば、路は、決く誤字なり、〉
病源論云、小兒生自變蒸、至二於能語一、随二日數一血脉骨節備成、其臏骨成則能行、骨是髓之所レ養、若禀生血氣不レ足者、卽髓不レ强、故其骨不二卽成一、而數歳不レ能レ行也、
〈オヨヒ、亦作レ指、〉
手足指(○○○)十以通二十二經一 指間曰レ扐 指文曰レ腡 手足指節鳴曰レ〈音博〉
巨指大指也、足大指曰レ拇、食指人指之指也
將指中指也、俗云長(タケ)高指、 無名指、俗云紅粉付指、 季指小指也、
左傳注云、手中指爲二將指一、足大指亦爲二將指一、言其將二領諸指一也、足之用レ力、大指居多、手之取レ物中指爲レ長故也、
男左、女右手大指、與二中指一曲屈如レ環、而以二中指第一第二横文盡處一爲二一寸一、凡手足之寸、及背部之横寸、皆用レ之、其他宜レ用二其處處骨度一、
〈オホユヒ、オホキナリ、〉 母
同書〈○禰津松鷗軒記〉に、大鷹のをば、たか〳〵ゆびにくらぶべし、又小鷹の緒は、薬ゆびに三分みじかくすべしと云々、按にたか〳〵指は中指也、
今昔、天智天皇近江ノ國志賀郡粟津ノ宮ニ御マシケル時ニ、寺ヲ起テムト云フ願有テ、寺ノ所ヲ示シ給ヘト祈リ願ヒ給ヒケル、〈○中略〉明ル年ノ正月ニ、始テ大ナル寺ヲ被・起レテ、丈六ノ彌勒ノ像ヲ安置シ奉ル、供養ノ日ニ成テ、燈盧殿ヲ起テ、王自ラ右ノ名无シ指ヲ以テ(○○○○○○○)御燈明ヲ挑給テ、其指ヲ本ヨリ切テ、石ノ筥ニ入テ、燈樓ノ土ノ下ニ埋ミ給ヒツ、是手ニ燈ヲ捧テ彌勒ニ奉給志ヲ顯シ給フ也、
秀吉事急ナル仔細アリ、早々互ニ起請文ヲ取替スベシ、安國寺往來モ六箇敷カルベシ、吾先起請 文ヲ可レ認トテ、牛王ノ裏ニ大小ノ神祗ヲ載テ、盟文ヲ書、小指(○○)ノ血ヲ淋テ、安國寺ガ目前ニテ、判形ヲ居、秀吉ガ心底如レ此、斯上猶疑心アラバ無レ力、若無二別條一ハ、和僧元春隆景ノ誓書持來レト宣ヘバ、安國寺馳歸テ、秀吉ノ判形ヲ見セ申、
〈音戰〉 甲〈同〉
爪者手足指上甲也、内經云、爪甲者筋之餘、膽之外候也、爪厚色黄者膽厚、爪薄色紅者膽薄、爪堅色青者膽急、爪耎色赤者膽緩、爪直色白者膽直.爪惡色黑者膽結、
氣味、〈甘鹹〉治二衂血一、〈細刮吹レ之〉淋病及尿血〈燒灰水服〉針折入レ肉及竹木刺者、〈刮レ爪細末用二酸棗一擣爛塗レ之次日定出、〉目生二花瞖一〈爪細末和乳點之〉 字彙載二説文一云、爪覆レ手取レ物曰レ爪、爲二抓爪之爪一非二手足甲一、作二叉字一亦誤也、
按爪卽象形爲二正字一、故从二爪字一甚多也、別有二爪字一、〈音掌乳持〉疑所レ謂覆レ手取レ物、抓之本字是矣、蓋爪爪以二相似一誤註者乎、
甲者草木初生之莩子也、又介甲之甲也、人爪與二介蟲甲一略似、故稱二之爪甲一耳、
叉〈與レ瓜同字〉又者古之手字也、二點象二爪形一、〈會意〉凡治二手足爪一曰一、蚤、曲禮云レ不二蚤鬋一者是也、
一書曰、〈○中略〉卽科二素戔鳴尊千座置戸之解除一、以二手爪一爲二吉爪棄物一、以二足爪一爲二凶爪棄物(○○○○○○○○)一、乃使二天兒屋命一掌二其解除之大諄辭一而宣之焉、世人愼收二己爪一者此其縁也、
承保元年十二月十六日ニ、皇子御誕生有テケリ、帝叡感ノ餘ニ、御禱ノ勸賞宜依レ請ベシト被二宣下一、賴豪年來ノ所望也ケレバ、他ノ官祿一向是ヲ閣テ、園城寺ノ三摩耶戒壇造立ノ勅許ヲゾ申賜ケル、山門又是ヲ聽テ、欺狀ヲ捧テ禁庭ニ訴へ、先例ヲ引テ停廢セラレント奏シケレドモ、綸言再ビ不レ復トテ、勅許無リシカバ、三塔嗷議ヲ以テ谷々ノ講演ヲ打止メ、社々ノ門戸ヲ閉テ、御願ヲ止ケル間、朝議難二默止一シテ、無レ力三摩耶戒壇造立ノ勅裁ヲゾ被二召返一ケル、賴豪是ヲ忿テ、百日ノ間、髮ヲモ不レ剃爪ヲモ不レ切、爐壇ノ烟ニフスボリ、嗔恚ノ炎ニ骨ヲ焦テ、〈○下略〉
是ヲ聞テ十文ノ錢ヲ求メントテ、五十ニテ續松ヲ買テ燃シタルハ、小利大損哉ト笑ケレバ、青砥左衞門、眉ヲ顰テ、サレバコソ、御邊逹ハ愚ニテ、世ノ費ヲモ不レ知、民ヲ惠ム心ナキ人ナレ、錢十文ハ只今不レ求バ、滑河ノ底ニ沈テ永ク失ヌベシ、某ガ續松ヲ買セツル五十ノ錢ハ、商人ノ家ニ止マテ、永不レ可レ失、我損ハ商人ノ利也、彼ト我ト何ノ差別カアル、彼此六十文ノ錢一ヲモ不レ失、豈天下ノ利ニ非ズヤト、爪彈ヲシテ申ケレバ、難ジテ笑ツル傍ノ人々、舌振テゾ感ジケル、
同卷〈○眞俗雜記問答抄卷廿〉に、人剪レ爪必細剪捨事、問如何、答唯識述記第十云、若剔レ毛剪レ爪如二初月一、犯二偸蘭遮一〈文〉推云、爲レ失二初月形一細切云可之歟云々、與淸按に除レ爪日の事、土左日記、九條殿遺誡などに見ゆ、
膲 ミノワタ〉三膲〈ミノワタ〉
病源論云、三膲盛爲レ有レ餘、則脹氣滿二於皮膚一、内輕々然而不レ窂、或小便澀或大便難、是爲二三膲之實一也、則宜レ寫レ之、三膲氣不レ足則寒、氣客之病遺尿、或泄利、或胷滿、或食不レ消、是三膲之氣虛也、宜レ補レ之、
三焦者、決瀆三官水道出焉、與二手厥陰一爲二表裏一、 上焦有二心下一、下レ鬲在二胃上口一、主二内而不一レ出、上焦不レ治則水泛二高原一、
中焦有二胃中脘一、不レ上不レ下、主レ腐二熟水穀一、中焦不レ治、則水留二中脘一、
下焦在二膀胱上口一、主二出而不レ内、以傳道也、下焦不レ治則水亂二二便一、
三焦共氣治、則脉絡通、而水道利焉、然於二十二臟之中一惟三焦獨大、諸臟無二與匹者一、故名曰二是孤之府一也、密理厚皮者、三焦膀胱厚、 麤理薄皮者、三焦膀胱薄、
勇士者、目深以固、長衡直揚、三焦理横也、
怯士者、目大而不レ減、陰陽相失、其理縱也、
肺者、相傳之官治節出焉、乃氣之本、魄之居也、蓋肺與レ心皆居二膈上一、位高近レ君、肺主レ氣、氣調則營衞藏府無レ所レ不レ治、故曰二治節出一焉、
肺形四垂附二著於脊之第三椎一、六葉兩耳凡八葉、其葉白瑩以覆二諸藏一、虛如二蜂窠一、下無二透竅一、吸レ之則滿、呼レ之則虛、一呼一吸、消息自然、司二淸濁之運化一、爲二人身之槖籥一也、中有二二十四空一、行列以分二布諸藏府淸濁之氣一、而爲二之華蓋一、陽中之太陰而開二竅於鼻一、其病在二背及皮毛一、
肺附史記武安君僅、蛤以二二肺附一爲二京師相一、中山王靖傳得レ蒙二肺附一、劉向封事臣幸得レ託二肺附一、注並曰、如二肺 肝相附著一、此説甚乖二乎人身一、夫肺肝其間有二隔膜一爲レ限、固不二相附近一、註家蓋錯二視大學如一レ見二其肺肝一以作レ説、殊不レ知大學只是欲レ言二人身底裏一、故特擧二其内藏大者一而統二小者一、本非レ關レ以二其附近一也、且若以二肺肝一爲二相附著者一、則莊子何不レ曰二肺肝胡越一而曰二肝膽胡越一邪、曰然則肺附云何解レ之、曰レ肺者統二内藏一言レ之、肺附猶レ曰二内屬一也、又按、正字通曰、肺腑、或作二肺附肺胕一、則肺腑似二是本字一、其爲二肺腑一、當二是藏腑之意一、乃看如二心腹股肬爪牙之例一亦通、
心者、君主之官神明出レ焉、心居二肺管之下、膈膜之上一、附二著脊之第五椎一、心主レ藏レ神、乃生之本、神之變也、心象尖圓、形如二未レ敷蓮花一、其中有レ竅、多寡不レ同、以導二引天眞之氣一下無二透竅一、上通二乎舌一、共有二四系一、以通二四藏一、〈肝、腎、肺、脾、〉
心外有二赤黄裏脂一爲二之心包絡一、心下有二膈膜一、與二脊脇一周廻、相看遮二蔽濁氣一、使レ不レ得レ上二薰心肺一、所レ謂膻中也、
〈正〉
〈俗〉
〈俗〉
〈俗通クソフクロ〉
胃者倉廩之官、水穀之海、六腑之大源也、胃之上口名二賁門一、飮食之精氣從レ此上、輸二於脾肺一、宣二播於諸脉一胃之下口、卽小腸之上口、名二幽門一、正中爲二中脘一、胃形大一尺五寸、紆曲屈伸、長一尺六寸、徑五寸、横屈受二水穀一三斗五升、其中之穀常留二斗、水一斗五升而滿、
レ骨焚レ屍、不レ謂二其酷一、謂二藏府一爲レ肝、蓋古訓二藏府一爲二岐毛一、故以下後世訓二岐毛一之肝字上塡レ之也、推古紀汝肝稚之、以レ肝爲レ心、又古歌以二肝向群肝一爲二心之枕詞一、今俗謂二焦心一爲二歧毛以留一、謂二大膽一云二歧毛不登之一、謂レ喪二膽力一云二歧毛都夫須一、皆可レ證二本居氏之説一也、〈○中略〉所レ引情性篇文、下同、説文、肝木藏也、釋名肝榦也、於二五行一屬レ木、故其體狀有二枝榦一也、凡物以レ木爲レ榦也、按今尚書歐陽説、肝木心火脾土肺金腎水、古尚書説、脾木肺火心土肝金腎水、白虎通用二今尚書説一、鄭玄注二月令一亦同、楊雄大玄經、從二古尚書説一、高誘注呂氏春秋及説文、兼用二今古説一、
肝者將軍之官、謀慮出レ焉、屬レ風木性、動而急也、故爲二將軍之官一、木主二發生一、故爲二謀慮所一レ出矣、肝者罷極之 本、魂之所レ居也、
肝者木之精也、人怒則無レ不二色青目䀼張一者其效也、又云肝主レ仁、仁者不レ忍、
肝形、左三葉、右四葉、凡七葉在二右脇右腎之前一、並レ胃著二脊之第九椎一、其系上絡二心肺一、下亦無レ竅、通二春氣一、爲二陽中之少陽一、
馬ニ乘モノラザルモ、弓ヲ取モ取ラザルモ、出家遁世ノ古入道ニ至迄馳參ケレバ、洛中邊土ノ騷斜ナラズ、保元平治ノ逆亂ニ物懲シテ、貴賤上下肝ヲケス(○○○○)、
人ノ思歎ヲ休、物ノ所望ヲ叶サセ給ナバ、皇子御誕生有テ、家門ノ榮花モイヨ〳〵開ヌト相存ズ、誠ニ人ノ親トシテ子ノウレへ歎ヲ見聞シ程ニ、身ニシミ肝ヲ焦ス事、何カハ是ニマサルベキ、
爲明卿ノ事ニ於テハ、先京都ニテ尋沙汰有テ、白狀有ラバ關東へ註進スベシトテ、撿斷ニ仰テ、已ニ嗷問ノ沙汰ニ及ントス、〈○中略〉爲明卿是ヲ見給テ、硯ヤ有ト尋ラレケレバ、白狀ノ爲カトテ、硯ニ料紙ヲ取添テ奉リケレバ、白狀ニハアラデ一首ノ歌ヲゾ書レケル、
思ヒキヤ我敷島ノ道ナラデ浮世ノ事ヲ問ルベシトハ、常葉駿河守此歌ヲ見テ、戚歎肝ニ銘ジ(○○○○)ケレバ、泪ヲ流シテ理ニ伏ス、東使兩人モ是ヲ讀テ諸共ニ袖ヲ浸シケレバ、爲明ハ水火ノ責ヲ遁レテ、咎ナキ人ニ成ニケリ、
淵邊シタヽカナル者ナリケレバ、〈○中略〉宮〈○大塔宮護良〉少シ弱ラセ給フ體ニ見ヘケル處ヲ、御髮ヲテ引擧テ、則御頸ヲ搔落ス、〈○中略〉去程ニ御カイシヤクノ爲、御前ニ候ハレケル南ノ御方、此有樣ヲ見 奉テ、餘ノ恐シサト悲シサニ、御身モスクミ、手足モタヽデ坐シケルガ、暫肝ヲ靜メ(○○○○)テ、人心付ケレバ、〈○下略〉
膽者、淸淨之府、中正之官、決斷出焉、主レ藏而不レ瀉、凡他十一臟、皆取二決於膽一也、肝膽二者司レ有レ勇、
膽形如二懸瓠一、居二肝之短葉間一、水色金精無二出入竅一、不レ同二六腑、傳化一而爲二淸淨之府一、受二水之氣一與レ坎同レ位、〈屬二甲木一爲二東方之震一、〉
今人悲則涙出者、水得レ火而煎、陰必從レ陽也、老人膽汁慳哭則無レ涙、笑則有レ涙、火盛水虧也、故膽熱亦流レ涙、膽氣虛亦溢爲レ涙、凡膽熱則多レ眠虛則不レ眠、
〈ヨコシ〉
脾者倉廩之官五味出焉、又謂二諫議之官知周出一レ焉、 脾主二運化一、胃司二受納一通主二水穀一、故皆爲二倉廩之官一、 五味入レ胃由レ脾布散、脾、胃、大腸、小腸、三焦、膀胱者、倉廩之本營之居也、化二糟粕一轉レ味而入出者也、主三裹レ血温二五臟一、主レ藏二意與一レ智掩二乎大倉一、附二著于脊之第十一椎一聞レ聲則動、動則磨レ胃、而主二運化一、脾形如二刀鐮一、與レ胃同レ膜而附二其上之左一、廣レ扁三寸長五寸、
腎者作强之官、伎巧出レ焉、屬二北方之水一藏レ精、精爲二有形之本一、精盛形成則作用强、故爲二作强之官一、水能化二生萬物一、精妙莫レ測、故曰二伎巧出一レ焉、而藏之本精之處也、父母構レ精未レ有二形象一、先結二河車一中間透起、一莖如二蓮蕋初生一、乃臍帶也、蕋中一點、實生身立命之原、卽命門也、此兩腎者乃生命之蒂至陰之位也、雖レ爲二水藏一而相火寓焉、象二水中龍火一、因レ動而發、左右開闢、正如一一門中棖闑之像一、靜而闔涵二養乎一陰之眞水一、動而開鼓二舞乎龍雷之相火一、水爲レ常、而火爲レ變、
腎有二兩枚一形如二豇豆一、相並而曲附二於脊之兩傍一、相一去各一寸五分、外有二黄脂一包裹、各有二帶二條一、上條繫二 於心一下條趨二脊下大骨一、在下脊骨之端如二半手一許上、中有二兩穴一、是腎帶經過處、上行二脊髓一至二腦中一、連二於髓海一、
木村源三一人付順ブ有ケルガ馬ヨリ飛ブヲリ、判官ガ首ヲ取テ、鎧直垂ニ裹ミ、遙ノ深田ノ泥中ニ埋テ後、腹カキ切腸繰出シ(○○○○)、判官ノ首ノ切口ヲ陰シ、上ニ打重テ懐付テゾ死タリケル、
廻腸 當レ臍左廻十六曲、大四寸、經一寸、寸之少半、長二丈一尺、受レ穀一斗、水七升半、以二廻疊一名レ之、
廣腸 傳レ脊以受二廻腸一、乃出二滓穢一之路、大八寸、徑二寸、寸之大半二尺八寸、受レ穀九升三合八分合之一、
直腸 廣腸之末節也、下連二肛門一、是爲二穀道後陰一、
肛門 一名魄門、〈前見二于伏人臟之圖一〉
小腸者、受盛之官、化レ物出焉、其體大二寸半、徑八分分之少半、長二丈二尺、受穀二斗四升、水六升三合、合之大半、小腸後附二於脊一、前於二臍上一、左廻疊積十六曲、其上口接二胃之下口一、近レ脊水穀由レ此而入、復下一寸、外附二於臍上一寸一、卽水分穴、是小腸下口也、則大腸之上口、至レ是泌二別淸濁一、其水液淸者滲二入膀胱一、渣滓濁者流二入大腸一、處名二闌門一、
也、
膀胱者脬也、州都之官、津液藏焉、氣化則能出矣、其體縱廣九寸、口廣二寸半、當二十九椎一、居二腎之下大腸之前一、有二下口一無二上口一、當二臍上一寸水分穴一處爲二小腸一、下口乃膀胱上際也、水液由レ此別二廻腸一隨レ氣瀝入、其出其入皆由二氣化一、其入氣不レ化則水歸二大腸一而泄瀉、其出氣不レ化則閉二塞下竅一、而癃腫、是經在レ干壬在レ支亥、〈或謂下有二上口一無中下口上、或謂上下倶有レ口者皆非也、〉
關元〈次門下紀〉 在二石門下一寸一、〈任脉足三陰同、陽明之會、〉小腸募也、此穴臍下三寸、當二人身上下四旁中一、〈又名二大中極一〉男子藏レ精女子畜レ血之處、如婦人針レ之則無レ子、〈但赤白帶下者、多灸レ之有レ效、〉
石門 〈丹田(○○) 命門 精露 利機〉 在二氣海下五分一、〈臍下二寸〉三焦募也、婦人禁二針灸一、犯レ之終レ身絶レ孕、
氣海〈脖肤下盲〉 在二陰交下五分一、〈臍下一寸五分〉男子生氣之海也、
藏氣憊一切眞氣不足、疝氣結成レ塊等皆多灸レ之佳、〈三十壯至二百壯一〉止孕婦禁レ灸、
關原〈神農皇帝針灸圖經〉丹田〈資生經集注〉下紀〈本事方〉次門〈甲乙經〉大中極〈資生經〉三結交〈寒熱病論〉
六十六難集註曰、丹田者人之根本也、精神之所藏、五氣之根源、太子之府也、男子以二藏精一、女子主二月水一、以生二養子息一、合二和陰陽之門戸一也、在二臍下三寸一方圓四寸、附二著脊脉兩腎之根一、名曰二大海一、一名溺水、一名大中極、一名大涃、一名崑崙、一名持樞、一名五域、
類經曰、道家以二先天眞一之炁一藏二乎此一、爲二九還七返之基一、故名レ之曰二丹田一、醫家以二衝任之脉一盛二於此一、則 月事以レ時下、故名レ之曰二血室一、又曰、凡人之生唯氣爲レ先、故又名爲二氣海一、然而名雖レ不レ同、而實則一、子宮耳、子宮之下有二一門一、其在レ女者可二以レ手探而得一、俗人名爲二産門一、
