蜻蛉/名稱

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1153 蛡〈阿支豆(○○○)〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1153 蜻蛉 本草云、蜻蛉〈精靈二音〉一名胡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01631.gif 〈音勅、和名加介呂布(○○○)、〉釋藥牲云、一名螂蛉、〈上音郎〉兼名苑云、虰蛵〈丁馨二音〉一名胡蝶〈蜻蛉也〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1153 千金翼方、證類本草下品有蜻蛉、不一名、證類本草引陶隱居云、一名道乘、俗呼胡䖽、本草和名云、蜻蛉、一名諸乘、一名胡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01631.gif 、仁諝音勑、已上二名、出陶景注、蓋源君從彼引之、説文蛉、蜻蛉也、段云、蜻、蜻蛚也、蜻字訓蜻蛚、非此義、按淮南子説林訓云、水http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01632.gif䗓、高注、䗓、靑蛉也、則知作蜻蛉俗字、蓋以其色靑、故名靑蛉也、或名蜻蜓、古今注作靑亭、云色靑而大者是也、古今注又云、小而黃者曰胡梨、陶氏以胡䖽蜻蛉一名者、統言之耳、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01631.gif r字諸書無見、故類聚名義抄載是名云、未詳、按古今注胡梨、本草和名及本書下條引作胡黎、又方言注、爾雅注並云、蜻蛉謂之狐黎http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01631.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01633.gif 、音注勠、亦當http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01634.gif 、卽黎字正體也、〈○中略〉本草和名云、和名加岐呂布、雄略紀訓加介呂不、與此同、谷川氏曰、其飛閃々如電、故比陽炎、名加愒呂布、古謂之阿岐豆、秋津島之名、依蜻蛉之、見神武紀、又見雄略御歌、又秋津羽見萬葉集湯原王宴席歌、南部今尚呼阿幾豆、或呼阿介豆、今俗呼止无保宇、是名見袖中抄童蒙抄、本草和名引作卽蛉、然此有音注、則源君所見本從虫也、按方言云、蜻蛉謂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif、釋藥性蓋本於此、廣雅亦云、蜻蛉、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01635.gif 蛉、倉螘也、刻版本http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif螂、卽誤郎、〈○中略〉按爾雅云、虰蛵負勞、郭注 云、或曰、卽蜻蛉也、江東呼狐棃、古今注云、蜻蛉、一名靑亭一名胡蝶、靑而大者也、兼名苑蓋本於此、胡蝶當http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01636.gif 之誤、蓋遠年所見古今注、誤作胡蝶、與今本同、源君襲之也、

〔醫心方〕

〈一/虫魚〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1154 蜻蛉〈和名加支呂布(○○○○) 又加介呂宇又加太千(○○○)〉

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1154 蜻蛉〈カケロウ(○○○○)〉 胡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01631.gif 〈カケロフ〉

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1154 蜻蜓(トンバウ/○○)〈字書云、蜻蜓色靑而大曰蜻蛉、日本呼云秋津(アキツ)也〉

〔奧儀抄〕

〈上未/物之異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1154 あきつは、かげろふといふ虫の名也、

〔日本釋名〕

〈中/蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1154 蜻蛉(カゲロウ) かける也、飛かける虫也、蜻蜓(トンバウ)は飛羽(トブハ)也、

〔東雅〕

〈二十/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1154 蜻蛉カゲロウ〈○中略〉 古にはアキツ(○○○)といひ、後にはカゲロウ(○○○○)といふ、卽今俗にトンボウ(○○○○)といひて、東國の方言には、今もエンバ(○○○)といひ、また赤卒をばイナゲンザ(○○○○○)ともいふ也、並義不詳、〈萬葉集抄に、秋津とは蜻蛉なり、アキツといふは、東詞にはエバといふ也、和語の心によらば、アキは黃なり、ツは赤なり、黃赤の色なる蟲と聞えたり、エとは赤なり、赤羽といへる也、(中略)東方の俗に、イナゲンザと云ふも、稻熟する時にあるをいふ也、ゲンザといふは、エンバの轉語也、童部のヤンマなどいふも、エンバの轉ぜし也、工ンバとは、卽エバ也、エバとは、猶ヤへハといふが如し、萬葉集の歌に、ヤとエと相通していふ事見えたり、よのつねの蟲の羽は、多くは二つあるを、此虫の羽四つあれば、かさなれる羽といふ也、總ては是をアキツといへど、分言ふ時は古今の方言により、呼ぶ所も分れたる也、靑而大者は蜻蛉、則アキツといふ、卽今トンボウといふ者なり、其最大者は馬大頭、、卽今俗にヤマトンボウといふ者也、黃而小者は胡黎、古にキエムバと云ひしもの也、赤而小者は赤卒、古にアカエムバといひ、卽今俗にアカトンボウといひ、又イナケンザともいふものなり、大而玄紺者は紺礬、卽今俗にカネツケトンボウといふもの也、一種蜻蛉の如くにして、極めて細く小しきなるが、草叢の間に其羽を重れ植て止るものを、卽今俗にカゲロウといふなり、此物誠にありともなしともさだかに見えぬ者なり、古の時にカゲロウといひしは是也、〉

〔比古婆衣〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1154 玉蜻考
萬葉集の歌に、玉蜻蜓、玉蜻、珠蜻など書るを、前の人々、カギロヒとよみ來れゝど、〈蜻蛉をカギロヒといへること、古書どもに見あたらず、〉おのれはタマカギロとよむべく、おもへるよしあるをいはむとす、其はまづ本草和名に、〈○中略〉和名加岐呂布とみえ、〈○註略〉萬葉に陽炎を蜻蜓火、蜻火など火ノ字を加へて作るをおもへば、そのかみ加岐呂布を加岐呂、また加岐流ともいひ、そが中の一種に、玉加岐呂といふがありて、 其を玉加岐流とも呼べりと知られたり、然るに倭名抄に、〈○中略〉蜻蛉一名胡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01631.gif 〈和名加介呂布○中略〉と注されたるは、加岐呂布といふは、古名にて、當時なべて加介呂布といへるにあはせて、注されたるなるべし、醫心方には加岐呂布、又加太千、又加介呂布と注されたり、壒囊抄にも蜻蛉といふは、大小のとんばうの揔名なりと云へり、さて萬葉に玉蜻蜓、玉蜻など書るは、タマカギロとよみて、今俗にヤンマと呼ぶものなるべし、〈○註略〉玉とは頭の大なる目ごめにあるが、透徹りて玉のごとく目にたちて見ゆる故に、玉カギロと呼たるなるべし、〈○中略〉さて此蟲をカギロフといふ義は、春の日影によりて見ゆるカギロヒにたとへたる名なるべし、さてそのカギロヒといふは、廣野などにて、春の日に影ろひて、中天に起昇る氣の見ゆるをいふ名にて、萬葉集に、かぎろひのもゆる荒野、かぎろひのもゆる春べなど見えて、漢名陽炎、遊絲、野馬などいへる、これに當れり、後世にかげろふといふこれなり、〈○註略〉さて此蟲の多く中天を微に飛ちがふさまを陽炎にたとへて、カギロヒといひ、まだカギロともいひ、其をまだカギルとも轉じいへるにて、カゲロフといふも、カギロヒを轉じていへるなるべし、

〔物類稱呼〕

〈二/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1155 蜻蛉とんばう 奧州仙臺南部にてあけづと云、津輕にてだんぶりと云、常州及上州野州にてげんざと云、西國にてゑんばと云、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1155 蜻蛉 トンボウ トンボ(○○○) アキツムシ(○○○○○)〈古歌〉 アキツハ(○○○○)〈同上〉 アキツ(○○○)〈南部〉 アケヅ(○○○)〈同上〉 カグロフ(○○○○)〈和名鈔〉 エムマ(○○○)〈和名鈔、筑前、〉 エムバ(○○○)〈同上、西國、〉 エンブウ(○○○○)筑前 エンボウ(○○○○) ヤンマ(○○○)〈共同上〉 ヘシボウ(○○○○)〈筑後〉 ヘンボ(○○○)〈同上〉 ボウリ(○○○)〈薩州〉 アカイス(○○○○)琉球 タンボ(○○○)〈能州〉 ダンブリ(○○○○)〈佐渡、津輕、〉 ダアブリ(○○○○)〈松前〉 ダブリ(○○○)〈同上〉 ゲンザ(○○○)〈常州、上州、野州、○中略〉
凡トンボハ春夏ノ交、水蠆(ヤマメ)〈○註略〉水ヲ出デヽ、蒲莞葉(ガママルスゲ)、或ハ水楊(カハヤナギ)枝上ニ緣リ上リ、背上罅裂シテ、羽化シテ飛ビ秋ニ至テ卵ヲ流水中ニ下シ、水蠆ヲ生ジ、翌年ノ春ニ至リ、復水ヲ出テ、蜻蛉トナル、〈○下略〉

〔日本書紀〕

〈三/神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1156 三十有一年四月乙酋朔、皇輿巡幸、因登腋上嗛間(ワキノカムノホヽマノ)丘、而廻望國狀曰、姸哉乎、國之獲矣、〈○註略〉雖内木綿之眞迮國(ウツユフノマサキクニ)、猶如(コトクアルカ)蜻蛉(アキツ/○○)之臋呫(トナメセル)焉、由是始有秋津洲之(アキツシマノ)號也、

〔壒囊抄〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1156 此國ノ名ヲ秋津島ト曰、磤馭盧島ト曰、幷ニ扶桑國ト云ハ如何、〈○中略〉 次秋津島トハ、神武天皇此國ノ形ヲ廻リ望ミ給ヒテ、蜻蜓臋呫ノ如クアルカナト、ノ給シヨリ、此名アリト云云、其ヲ今秋津島共、又秋津洲共曰也、洲ハ國ノ義也、蜻蜓ヲバ俗ニトンボウ(○○○○)ト云虫也、又カゲロウトモ讀ナリ、又蜻蛉共書ク、同虫也、韻會ニ曰、蛉ハ蜻蜓(アキツヲ)也ト、説文ニ曰、蜻ハ蜻蚓也ト、廣韻ニハ蟋蟀ノ類ト尺シ、爾雅ニハ蟲ト尺シテ曰小蟬ト也、韻會ニ曰、蜓蜻蜓虫ノ名、飮露ヲ、六足四翼ニシテ、羽薄シテ如蟬ノ尺セリ、此國ノ形チ、此トンバゥノ姿ニ似タル故ノ名也、其蜻蜓(アキツヲ)今秋津ト書成也、〈○下略〉

〔南留別志〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1156 蜻蜓をとんぼうといふは、吾邦の名を秋津洲といふ、故に東方といふことなるべし、

〔日本書紀〕

〈十四/雄略〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1156 四年八月戊申、行幸吉野宮、庚戌、幸于河上小野、命虞人獸欲躬射而待、虻疾飛來http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01624.gif 天皇臂、於是蜻蛉(カケロフ/○○)忽然飛來、齧蝱將去、天皇嘉厥有一レ心、詔羣臣曰、爲朕讃蜻蛉歌賦之羣臣莫能敢賦者、天皇乃口號曰、野磨等能、鳴武羅能陀該儞(ヲムラノタケニ)、之之符須登(シヽフスト)、拖例柯擧能居登(タレカコノコト)、飫裒磨陛儞麻鳴須(オホマヘニマヲス)、〈一本以飫裒磨陛儞麼鳴須http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01637.gif 裒枳珍儞麻鳴須http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01637.gif 裒枳瀰簸(オホキミハ)、賦據鳴枳舸斯題(フコヲキカシテ)、拖磨磨枳能(タマヽキノ)、阿娯羅儞佗佗伺(アグラニタヽシ)、〈一本以陀陀伺伊麻伺〉施都魔枳能(シヅマキノ)、阿娯羅儞陀陀伺(アグラニタヽシ)、〈一本以陀陀伺伊麻伺〉施都魔枳能(ンヅマキノ)、阿娯羅儞佗佗伺(アグラニタヽシ)、斯斯魔都登(シヽマツト)、倭我伊麻西磨(ワガイマセバ)、佐謂麻都登(サイマツト)、倭我陀陀西磨(ワガタヽセバ)、佗倶符羅爾(タクブラニ)、阿武柯枳都枳都(アムカキツキツ)、曾能阿武鳴(ソノアムヲ)、婀枳豆波野倶譬(アキツハヤクヒ)、波賦武志謀(ハフムシモ)、飫裒枳瀰儞磨都羅符(オホキミマツラフ)、儺我柯陀播於柯武(ナガカタハオカム)、婀岐豆斯麻野麻登(アキツシマヤマト)、〈一本以婆賦武志謀以下舸矩能御等難儞於婆武登蘚羅瀰豆野磨等能矩儞鳴婀岐豆斯麻登以符〉因讃蜻蛉此地蜻蛉野

蜻蛉種類

〔和漢三才圖會〕

〈五十二/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1156 蜻蛉(とんぼう/やんま) 蜻虰 蜻蝏 虰蛵 負勞 䗓 諸乘 紗羊 蜻蜓 和名加介呂 布〈○中略〉
蜻蛉(ヤンマ/○○) 總名也(○○○)、大而靑色者、
紺蠜(クロヤンマ/○○) 一名天雞、大而玄紺色者、
胡黎(キヤンマ/○○) 一名江雞、小而黃者、〈和名木惠牟波〉
馬大頭(ヲニヤンマ/○○○) 最大而身綠色、其雌者腰間有碧色一道、取雄者藥、〈俗云於仁也牟末〉
赤卒(アカトンハウ/○○)、 一名絳縐、又名赤衣使者、又名赤辨丈人、小而赤者也、〈和名阿加惠牟波〉今有深赤淺赤二種、〈○中略〉
一種靑白色瘦者、名志布夜牟末(○○○○○)、一種胡黎(キトンホウ)之類、而甚細瘦、頗似蚊大者、名蚊蜻蛉(カトンホウ/○○○)
相傳、赤卒〈深赤者〉燒末用、能治喉痺及小兒口舌病甚神効、

胡黎

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1157 胡黎 崔豹古今注云、胡黎、一名胡離、〈和名、木惠無波(○○○○)〉蜻蛉之小而黃也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1157 本草和名、胡黎在蜻蛉條、無別有和名、今俗呼岐也无万、或黃登无保字、按也无万、卽惠无波之譌、今筑前俗蜻蛉爲惠无波、<ruby><rb><ruby><rb>或惠无万、或曰惠无保宇、或曰惠无夫宇、或曰也无万、江戸呼也无万者、蜻蛉之大者、蓋蜻蜓也、原書魚蟲條、作蜻蛉小而黃者曰胡梨一曰胡離、本草和名蜻蛉條云、一名胡黎、小而黃、一名胡離、出古今注、源君蓋從彼引之、

〔伊呂波字類抄〕

〈幾/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1157 胡黎〈キエンハ蜻蛉小而黃〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1157 蜻蛉〈○中略〉
胡黎(○○) キエムバ(○○○○)〈和名鈔○中略〉 セウレウエンバ(○○○○○○○)〈筑前〉 セウレイヤンマ(○○○○○○○)〈同上〉 セウレウ(○○○○)〈大和本草〉 キトンボ(○○○○) キヤンマ(○○○○) イナトンボ(○○○○○)〈津輕〉 ムギトンボ(○○○○○)〈雲州○中略〉 此品、形靑卒ヨリ小ニシテ、紅黃色、七月ニ多ク出飛ブ、

赤卒

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1157 赤卒 崔豹古今注云、赤卒一名絳http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m00858.gif 、〈和名阿加惠無波(○○○○○)〉蜻蛉之小而赤也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1158 本草和名赤卒在蜻蛉條、無別有和名、今俗呼阿加登无保宇、原書作蜻蛉小而赤者赤卒一名絳騶、本草和名蜻蛉條云、一名赤卒、小而赤、一名絳http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m00858.gif 、出古今注、源君蓋從彼引之、按説文、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m00858.gif 、赤馬黑毛尾也、故赤卒一名絳http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m00858.gif 、説文、騶、廏御也、作絳騶恐誤、

〔伊呂波字類抄〕

〈安/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1158 赤卒〈アカエムハ蜻蛉赤也〉 蜂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01638.gif 〈同〉

〔物類稱呼〕

〈二/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1158 蜻蛉〈○中略〉 又一種東武にて赤卒(あかとんぼ)と云〈和名〉あかゑむば也、畿内にてしやうれうやんま(○○○○○○○○)と云、西國にて、しやうれうゑんば(○○○○○○○○)と云、常陸上野下野邊にて、いなげんざ(○○○○○)と云、越後にてこしやうとんぼ(○○○○○○)、又ちごとんぼ(○○○○○)と云、奧州にてなんばあけづ(○○○○○○)と云、會津にてはたのかみとんぼ(○○○○○○○)と云、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1158 蜻蛉(○○)〈○中略〉
赤卒 アカエンマ(○○○○○)〈和名鈔○中略〉 ベニトンボ(○○○○○)〈雲州〉 セウ〴〵トンボ(○○○○○○○)〈豫州〉 カウヤヒジリ(○○○○○○)〈勢州、同名多シ、〉ヲコリトンボ(○○○○○○)〈越中〉 イナゲンサ(○○○○○)〈常州〉 コセウトンボ(○○○○○○)〈越後〉 チゴトンボ(○○○○○)〈同上○中略〉 シユボウリ(○○○○○)〈薩州〉 アカチ(○○○)〈土州○中略〉 此品春日出ル者ハ形大ニシテ、秋日出ル者ハ形小ナリ、又甚小ニシテ五分許ナルモノアリ、皆身翅共ニ朱色ナリ、又一種形大ニシテ、身ハ朱色、翅ハ淺褐ナルモノアリ、本經逢原ニ、赤者性猶壯熱助陽藥用之ト云、

蜻蜓

〔物類稱呼〕

〈二/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1158 蜻蛉〈○中略〉 又一種江戸にてしほとんぼと云有、奧州にてしもがらあけづと云、肥前にてしほからゑんばと云、大なる物を馬大頭(やんま/○○○)と云、上總にてをんしやう(○○○○○)といふ、越後にて山とんぼ(○○○○)と云、江戸にて至ッて大なるを、鬼やんま(○○○○)といふ、土佐にてうしやんまと(○○○○○)云、是也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1158 蜻蛉〈○中略〉
蜻蜓 ヤンマ(○○○) ヤマトンボウ(○○○○○○) ヤマトンボ(○○○○○)〈越後〉 ヤマアケズ(○○○○○)〈南部〉 ヲンジヤウ(○○○○○)〈上總〉 ホンボウリ(○○○○○)〈薩州〉 ホノボウリ(○○○○○)〈同上〉 ミヤコアカイス(○○○○○○○)〈琉球〉 ホンヤ(○○○)〈大坂○中略〉 是ハ形最大ニシテ、靑綠色黑ヲ挾ザルモノナリ、雄ヲヲンジヨ〈雲州〉ト云、雌ヲメトト云、雌ニ二品アリ、羽ノ透明ナルヲ キシブヤンマ、或ハキシブメンド〈豫州〉ト云、羽透明ナラザルヲ、 ド、ロドロヤンマ、或ハドロドロメンド、或ハアブラメンド同上ト云、 一種形大ニシテ、腰ニ黃黑斑アリテ尾裂テ、鰕尾ノ形ノ如ク、薄暮ニ出テ、蚊ヲ接シ食フモノナリ、 メクラトンボウ備前ト云、一名カトリトンボ〈城州上加茂〉オニヤンマ〈江戸〉メクラヤンマ、〈同上〉

紺蠜

〔物類稱呼〕

〈二/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1159 蜻蛉〈○中略〉 一種紺蠜(かねつけとんぼ/○○)、畿内にて紺蠜といふ有、東武にてかねとんぼ(○○○○○)と云、肥前にてかうやひじり(○○○○○○)と云、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1159 蜻蛉〈○中略〉
紺蠜 テフトンボ(○○○○○) クルマトンボ(○○○○○○)、〈土州〉テフ〳〵トンボ(○○○○○○)、〈同上〉ベンケイアケズ(○○○○○○○)、仙臺ヲシヤ〳〵ンゴロ(○○○○○○○)、〈勢州〉 カロク(○○○)、〈越前〉、 コロク(○○○)〈同上〉 一名紺繙、〈事物紺珠〉水蝏蝏、〈盛京通志〉此品大サ胡黎ヨリ微小ニシテ、身短ク翅濶ク、倶ニ深黑色、翅ノ端ハ透明ナリ、高ク樹上ニ群飛シテ地ニ下ラズ、ソノ飛ブコト蛺蝶ニ似テ、蜻蛉ノ飛ニ異ナリ、別ニ一種クロトンボ(○○○○○)アリ、一名ダン(○○)、〈筑前〉ウシトンボ(○○○○○)、〈播州〉ウシヤンマ(○○○○○)、〈土州〉此ハ尋常ノ蜻蛉ノ形狀ニシテ、深黑色ニシテ大ナリ、又一種ヤナギジヨロウ(○○○○○○○)アリ、一名カネツケジヨロウ(○○○○○○○○)、カネツケトンボウ(○○○○○○○○)、〈加州〉カハラトンボ(○○○○○○)、〈同上〉カネウチ(○○○○)〈薩州〉カハボウリ(○○○○○)、チゴボウリ(○○○○○)、〈共同上〉カウヤトンボ(○○○○○○)、〈濃州〉メクラトンボ(○○○○○○)、〈雲州〉クロントンボ(○○○○○○)、〈備後〉コントンボ(○○○○○)、〈同上〉ナンベアケズ(○○○○○○)、〈仙臺〉ナベアケズ(○○○○○)、〈同上〉力ネトンボ(○○○○○)、〈若州〉オハグロトンボ(○○○○○○○)、〈土州〉ハグロトンボ(○○○○○○)、〈同上〉ヤネトンボ(○○○○○)、〈防州〉カゲロウ(○○○○)、〈江州〉カネカネトンボ(○○○○○○○)、〈同上〉此品身甚瘠細ク、綠色ニシテ光アリ、翅深黑色、水邊ニ飛翔ス、草木ニ止ル時ハ、四翅一ニ重テ、尋常ノ蜻蜓ノ四翅排列スルニ異ナリ、コレニ一種黃褐翅ナルモノアリ、又一種胡黎ノ大サニシテ、身黑ク白糝(シロキコ)アルモノヲ、シホカラトンボ(○○○○○○○)ト云、一名シホ(○○)、〈備前〉シホカイ(○○○○)、〈加州〉又豫州ニテハ、身ニ灰ト黑トノ横斑アルモノヲ、シホカラトンボ(○○○○○○○)ト云、又一種身ニ黃ト黑トノ横斑アルモノヲ、コムギトンボ(○○○○○○)ト云、一名ムギハラトンボ(○○○○○○○)、〈共豫州〉 又一種身甚瘠小 ク、長一寸許ニシテ綠色夏秋ノ間草菜上ニ飛ブモノアリ、小トンボ(○○○○)ト云、一名カゲロウ(○○○○)、〈東雅、石州豫州、筑前、〉タナバタトンボ(○○○○○○○)〈越前〉トノサマトンボ(○○○○○○○)、〈同上〉カンナ(○○○)、〈津輕〉カトンボ(○○○○)、〈加州、同名アリ、〉メクラトンボ(○○○○○○)、〈江戸〉イトトンボ(○○○○○)、〈江州〉コアカイス(○○○○○)、〈琉球〉チゴクアケズ(○○○○○○)、〈南部〉ヌイゴトンボ(○○○○○○)、是五雜組ニ、兆人指七月間、小蜻蜓爲處暑ト云モノナリ、處暑ハ七月ノ中ナリ、此品ニモ身正黃色ナルモノアリ、 シホタキ(○○○○)、〈筑前〉ト云、一名シホカラトンボウ(○○○○○○○○)、〈備前〉 蜻蜓ノ品類猶多シ、コヽ工具載セズ、

蜻蛉雜載

〔源氏物語〕

〈五十二/蜻蛉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1160 あやしうつらかりけるちぎりどもを、つく〴〵と思つゞけ、ながめ給夕暮、かげろふの物はかなげにとびちがふを、
ありとみて手にはとられずみれば又行衞もしらずきえしかげろふ、あるかなきかのと、例のひとりごち給とかや、

〔夫木和歌抄〕

〈二十七/蜻蛉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1160 六帖題 衣笠内大臣
夕暮の軒のかげろふ見るまゝにあはれさだめもなき世也けり〈○中略〉
光俊朝臣
あはれなり山おろしふく夕暮になき數まさる軒のかげろふ

螽蟴/蚱蜢/螇蚸

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1160 螽蟴 兼名苑云、螽蟴、〈終斯二音〉一名蚣蝑、〈蹤黍二音〉一名蠜螽、〈煩終二音〉舂黍、〈漢語抄云、春黍讀、以禰豆木古萬呂(○○○○○○○)、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1160 本草和名蚱蜢條云、一名螽蟖、終斯二音、一名䰸䗥蠜http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01639.gif 、嵩縱煩三音、一名蚣蝑、音胥、一名舂黍、已上四名出兼名苑、與此所一レ引少異、而本草和名似錯簡、〈○中略〉而螽蟴非蚱蜢之別名、在蚱蜢條下者非是、〈○中略〉按螽蟖、毛詩周南作螽期、七月作斯螽、正義之文雖顚倒其實一也、毛傳並云、蚣蝑也、爾雅云、蜇螽蜙蝑、釋文云、蜇本又作蟴、詩作斯、説文、蜙蝑、舂黍也、又載蚣字云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01640.gif 或省、郭注爾雅云http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01640.gif 䗥也、俗呼http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01641.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01642.gif 、則知螽斯一名蚣䗥一名蚣蝑一名舂黍、是皆兼名苑所本、唯蠜螽之名、未出、爾雅又云、蛗螽蠜、然爾雅蜇螽蛗螽兼擧、則蠜之非螽蚣蝑疑、兼名苑或混學之、又爾 雅謂之蠜、不蠜螽、則不一名蠜螽、但源君引云蠜螽者依輔仁、則螽字非衍文、要本草和名所引兼名苑多錯亂、不是正也、

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1161 蚱蜢 本草云、蚱蜢〈作猛二音、和名以奈古萬呂(○○○○○)、〉貌似螇蚸、而色少蒼、在田野間者也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲多〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1161引文、千金翼方、讃類本草無載、按本草和名云、蚱蜢、貌似螇蚸而色小蒼、在田野間、出崔禹、蓋源君誤引篇本草也、按證類本草載陳藏器云、蚱蜢在草頭能飛、䘀螽之類、又云、䘀螽如蝗蟲、東人呼爲舴艋、又按伊禰都岐古万侶、伊奈古万侶、同訓之少轉者、蓋一物也、漢語抄訓舂黍、本草和名訓蚱蜢、其説各不同也、源君分訓、恐非是、小野氏曰、蚱蜢可今俗呼大伊奈古(○○○○)、呼登乃左末跋多(○○○○○○)、京俗呼於以多知(○○○○)也、

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1161 螇蚸 本草云、螇蚸、〈奚赤二音、和名、波太波太(○○○○)、〉貎似蚱蜢而長細色黃飛時作聲、在荒田野者也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1161 本草和名、螇蚸在蚱蜢條、別無和名、讃岐俗謂之波太太(○○○)、上野謂之婆多(○○)、江戸俗呼跋多(○○)、卽波太波太之譌轉、阿波今猶呼波多波多、所引文、千金翼方、證類本草無載、按本草和名云、螇蚸貌似蜢虫而長細、色黃蒼、飛時作聲、在荒田野也、出崔禹、蓋源君又誤引亦非也、又按爾雅聲螽螇蚸、郭注云、今俗呼蜙䗥而細長、飛翅作聲者螇蚸、崔氏蓋本於此、小野氏曰、此可今俗呼精靈跋太(○○○○)、説文有螇字云、螇鹿、蚣蟟也、非此義

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1161 螽蟴〈イネツキコマロ〉 蚱蜢〈イナゴマロ〉

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1161 螽(イナコ)

〔日本釋名〕

〈中/蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1161 螽(イナコ) いねかむ也、稻をかむ虫 也、かとこと通ず、むを略す、

〔東雅〕

〈二十/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1161 螽蟴イネツキコマロ 蚱蜢イナコマロ 螇蚸バタ〳〵 倭名鈔に見えし所の如きは、〈○中略〉其注せし所の如き、相混じて分ち難し、古にイネツキコマロといひしものは、卽今いふ所のイナゴといふ此レ也、古にイナゴマロといひしものは、卽今いふシヤウヅヤウムシといふ此レ也、 古にハタ〳〵といひしものは、今もまたハタ〳〵といふ也、そのイネッキコマロといふものは、爾雅の阜螽は、蠜とみえしものにして、卽これ蝗也、イナゴマロといひしは、爾雅の土螽は蠰谿、注に似蝗而小靑斑又呼蚱蜢といふもの也、バタ〳〵といひしは、爾雅の蟿螽は螇蚸、注に似蜙䗥而細長、飛翅作聲者此也、

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1162 蠜螽 舂黍 和名以禰豆岐古萬呂 俗云禰宜(○○)
按蠜螽似螽斯而小長一寸許、靑色尖首、兩眼間廣、但螽斯兩眼間狹、以之爲異耳、其首似社人著立烏http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m00817.gif 子狀、故俗呼曰禰宜、小兒捕兩足則伸身俯仰首、似稻狀、故和名曰稻舂、〈古萬呂者、螽類和訓總名、〉其翅下有淡紫色
http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01586.gif 螽 負蠜 蚱蜢 和名以奈古萬呂 俗云以奈古(○○○)、但下略也、〈○中略〉
http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01586.gif 螽方首、形似莎雞而小、靑白色、生田稻、夜在株、朝上於梢、呑稻露、故名稻子、取之炙食、味甘美如小蝦
同形而灰色、在田野而跳地者、卽土螽也、其大者灰皇色班而大於莎雞、跳作聲、如吉吉、〈似螽斯聲而不淸也〉陳藏器所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01586.gif 狀如蝗有黑班者、與蚯蚓類同穴爲雌雄、得之可媚藥者是矣、生尋常草者名草螽、凡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01586.gif 螽在田稻露而無害、稻如不茂盛、則螽亦少、然則雖多有厭也、劉歆云、負蠜性不穀、食穀爲災、〈○中略〉
蟿螽 螇蚸 俗云波太波太(○○○○)
按蟿螽卽http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01586.gif 螽之屬、長三、四寸、身甚瘦、方首兩額有眼、目上有二髭、翅灰赤色黑點、腹下白善跳難捕、本草綱目謂螽斯而細長曰聲螽者是也、

〔物類稱呼〕

〈二/動物〉

〉H 蟋蟀〈○中略〉 又古いねつきこまろといひしは、今云いなご(○○○)也、また古いなこまろといひしは、今云はた〳〵(○○○○)也、〈○中略〉 螇蚸はた〳〵 江戸にて、がち(○○)、又ばつた(○○○)、又しやうれうばつた(○○○○○○○○)と云、上野にてばた(○○)といふ、信州にてほつたこ(○○○○)と云、駿河にてがたき(○○○)と云、伊勢にてねぎどの(○○○○)と云、奧州仙臺にて、はつたぎ(○○○○)と云、津輕にてとうぼう(○○○○)と云、出雲にてほとけの馬(○○○○○)と云、長崎にてたなばた(○○○○)と云、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1163 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01586.gif 螽 オホイナゴ(○○○○○) オイタチ(○○○○)〈京〉 トノサマバッタ(○○○○○○○)〈江戸〉
秋時多ク出、形ハ螽斯(ギス)ニ似テ首圓目大ナリ、身長サ一寸餘、翼アリ、ソノ色或ハ綠或ハ褐、ソノ鳴クコト股ヲ以テ相擊タ聲ヲナス、又一種大ナル者アリ、 クルマバッタ(○○○○○○)〈江戸〉ト云〈○中略〉又一種形小ニシテ、長サ七八分許ナル者アリ、イナゴ(○○○)〈京〉卜云フ〈○中略〉イナハッタギ(○○○○○○)〈南部○中略〉等ノ稱アリ、此蟲ニモ綠褐ノニ色アリ、皆稻ニ集リ、葉ヲ食ヒ、害ヲナス、〈○中略〉 蟿螽ハイナゴマロ〈和名鈔〉 イネツキコマロ〈同上〉 セウライムシ〈京〉 オシヨライネギ(○○○○○○○) ムシ(○○)〈共同上○中略〉 セウレウバッタ(○○○○○○○) バッタ(○○○)〈共同上○江戸、中略、〉 ホトケノウマ(○○○○○○)〈霙州○中略〉 此蟲ハ螽斯ヨリ狹瘠首尖リテ、兩角ナラベリ、綠色褐色ノニ品アリ、雄ナル者ハ長サ一寸許、雌ナル者ハ長サ一寸半ヨリ三四寸ニ及ブ者アリ、背後ヨリ尾ニ至ルマデ色赤シ、翼ニ掩レテ見ヘズ、飛ブトキハ、翼、股ニフレテ聲アリ、故ニバタ、バタト名ク、ソノ内羽ノ黃色アラハレテ美ハシ、促織志ニ、螞蚱之種三、倶不鳴靑翼而黃身、躍近而飛遠、飛則見其襲羽、或紅焉或黃焉、曰螞蚱、其靑而長身者曰匾䗺、嬉者股繫而提之、使飛不一レ止、以觀其襲羽ト云フ、〈○下略〉

〔續世繼〕

〈五/濱千鳥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1163 入道おほきおとゞ〈○藤原忠通〉御心のいろめきておはしましゝかば、ときめき給かたかたおほくて、きたのかた〈○藤原宗子〉は、きびしくものし給しかども、はら〳〵になん、きんだちおほくおはしましき、〈○中略〉北のかたの御はらに、をのこ君たちもおはしまさで、女院〈○藤原聖子〉ばかりもちたてまつり給へるにつけても、おほかたもそねましき御心の、ふかくおはしましけるにや、御房〈○奈良ノ惠信三井寺ノ覺忠〉たちのおさなくおはしましゝより、おどなまで、ちかくも、よせ申させたまはず、いなご(○○○)などいふむしの、心をすこしもたせたまはゞ、よく侍らまし、きさきなどは、かのむしのや うに、ねたむ心なければ、御こもむまこも、おほくいでき給ふとこそ申なれ、關白攝政の北の方も、おなじことにこそおはすべかめれ、されど年よりては、おもほしなほしたりけるにや、きみたちほかはらなれど、とのゝうちにもおほくおはしましき、

〔毛詩〕

〈一/周南〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1164 螽斯后妃子孫衆多也、言螽斯、不妬忌、則子孫衆多也、

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1164 蝗〈蝮蜪附〉 爾雅集注云、蝗〈古孟反、一音、皇和名於保禰無之(○○○○○)、〉食苗心螟(○)〈音冥〉食葉曰http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01643.gif (○)〈音貸〉食節曰蠈(○)、〈音賊〉食根曰蝥(○)〈着謀〉蝗揔名(○○○)也、兼名苑云、蝮蜪(○○)〈覆陶二音〉蝗子(○○)未翅也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1164 爾雅、食苗心螟、食http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01644.gif 、食節賊、食根蟊郭注云、分別蟲啖食禾所在之名耳、皆見詩、此所引蓋舊注也、按説文、螟蟲食穀葉者、吏冥々犯法卽生螟、从虫从冥、冥亦聲、春秋隱公五年正義引舍人曰、食苗心者名螟、言冥々然難知也、李巡曰、食禾心螟、言其姦冥々難知也、毛詩大田正義、引陸機疏云、螟似子方而頭不赤、子方、齊民要術虸蚄卽是、羅願曰、漢孔藏蓼蟲賦曰、爰有蠕蟲、厥狀似螟、是螟無足蟲也、郝懿行云、今食苗心小靑蟲、長僅半寸、與禾同色尋之不見、故言冥々難一レ知又云、余族弟卿雲言、又有小白蟲、藏在苗心、幺䯢難辨、俗呼蟲、有此卽禾葉變白色、而不穗矣、説文以螟爲穀葉者、恐傳寫之誤、段氏云、開元占經引作心、按爾雅云蝝、蝮蜪、郭注、蝗子未翅者、兼名苑注蓋本於此、按説文、蝝、復陶也、劉歆説、蝝、蚍蜉子、董仲舒説、蝗子也、郭璞從董説也、春秋宣十五年冬蝝生、公羊傳注、喙卽http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01645.gif 也、始生曰蝝、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01645.gif 卽螽字、漢書五行志云、董仲舒劉向以爲蝗始生也、皆與此同、蝮説文訓虫、非此義、又無蜪字、當蝝字注復陶、按説文、蝗、螽也、螽、蝗也、月令、孟夏行春令、則蝗蟲爲災、漢書文帝紀、後六年夏四月大旱蝗、師古曰、蝗卽螽也、食苗爲災、又五行志、大初元年夏蝗從東方、蜚至敦煌、則蝗是飛蟲害苗者、五行志、又云、於春秋螽、今謂之蝗、然則螽蝗古今語也、則知復陶爲上文所載螽斯之子、源君引在http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01644.gif 賊蝥之條者誤、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1164 蝗〈オホネムシ〉

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1165 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01646.gif (クワウ/○)〈食麥虫也〉

〔東雅〕

〈二十/蟲豸〉

蝗オホネムシ 倭名鈔に、爾雅集注を引て、〈○中略〉オホとは其容の大なるをや云ぬらむ、又其類の衆をや云ひぬらむ、ネムシはイネムシ也、米稻を害するを云ひし也、 倭訓栞中編二伊いなむし 稻虫の義、螟http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01647.gif 蟊賊の類をすべていへり、明律に蝗蝻爲害、旁注に、飛者曰蝗、走者曰喃と見えたり、陀八月比のいなむしといふも、稻蒸の義、溽蒸の秋暑をいへり、

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1165 蝗〈音黃〉 和名於保禰無之
本綱、蝗亦螽類、大而方首、首有王字、珍氣所生、蔽天飛性畏金聲、一生八十一子、其子未翅者名蝮蜪、一名蝮、〈音延〉不牝牡、腹中陶冶而自生、故曰蝮蜪、〈○中略〉
按蝗之屬甚多、而首有王字者甚希也、蓋蝗害苗者未之如爲害則災也、但六七月霖兩不晴、雖霽 冷則生蟲、大如択蠖綿蟲屬而微黑食苗心、所謂螟者是乎、

〔除蝗錄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1165 蝗の種類
貝原翁の大和本草に、螟(○)、螣(○)、䖥(○)、賊の四生を(○○○○○)蝗(イナムシ)といふ(○○○)、イナゴの類なりとあれども、稻に付虫は數生ありと見ゆ、〈○中略〉
螟(メイ/○) http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01648.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01639.gif (シウトウ)の集解を以見れば、イナゴなり、心(シン)を食ふとあれ共、イナゴの稻を害するは、心のみに非ず、葉も莖もくらへども、其害は却てすくなき歟と覺ゆ、
螣(トウ/○) 俗にいふ、實盛虫也、莖葉の氣を吸て、害をなす也、防かたは、松明にてやきと り、又油にて除べし、
䖥(ボウ/○) 売虫(カラムシ)といふ、是孟なるべし、是は能くでき花る稻に生ずる事多し、此虫の付たるは、出穗(デホ)の已前、くされたる苗をぬいて、是を見るに、根の聞に白きはだか虫あり、則是なり、故に度々油を入除べし、然して稻葉の新に出かゝりたる時、ぬいて見るに、白き根生じて、右のはだか虫は見えず、〈○中〉 〈略〉
賊(ゾク/○) 売虫に似て、小なるをいふ歟、稻粟等の節を食ふ、故に出穗に至りて枯穗となる、
飛虫(トビムシ/○○) 名をしらず、初の程は、至て小にして、其色赤く、蚤の飛が如し、蛻(ヌケカハ)りてくり色に變じ、小蜘の尻に似て、兩脇に飛虫あり、實盛虫とともに群集す、羽至て短し、是を防には油にしかず、
苗虫(ナヘムン/○○) 尺蠖(シヤクトリムシ)の類にして、年に依て、苗代に群生し、葉末より食下りて、甚害あり、或は葉を包みて中に入、後蛻りて羽生じ、飛事蠋(クハ)虫の如し、〈○中略〉
ほう(○○) 稻粟其外にも群集して、穗を吸ふ、故に、秕(シヒナ)となる、其害少なからず、〈○中略〉
葉まくり虫(○○○○○) 蠋の種類ならん、菜虫に似て、其色薄靑く、稻粟等の葉に付て食ひ、後ロ口より糸を出し、葉を卷て、其内に蟄す、〈○中略〉大風あれば、巢を吹破りて、自ら除事あり、又は羽化(ヌケカハリ)て、蚊のうばの類の小蝶となる尤害淺し、
こぬか虫(○○○○) 涌が如く生じて、稻葉の根を食ひ、大ひに害をなす、其色靑白なり、長じて羽あり、羅(ウスモノ)の如し、防方油にしくはなし、
小金虫(○○○) 壹分位にして、甲に光りある羽虫にて、晝は稻株に手まりの如く集り、夜は散て、稻の莖をくらひて、害をなす、〈○中略〉
右都て十種あり、〈○中略〉蝗をなべて、ウンカと唱る所多し、

〔古語拾遺〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1166 昔在神代大地主神、營田之日、以牛宍食田人、于時御歲神之子、至於其田、唾饗而還、以狀吿父御歲神發怒以蝗(イナムシ)放其田、苗葉忽枯損似篠竹、於是大地主神、令片巫〈志止止鳥〉肱巫〈今俗竈輪及米占也〉占求其由、御歲神爲祟宜白猪白馬白鷄、以解其怒、依敎奉謝、御歲神答曰、實吾意也、宜以麻柄挊挊之、乃以其葉之、以天押草之、以烏扇之、若如此不出去者宜以牛宍溝口、作男莖形以加之、〈是所以厭其怒也〉以薏子、蜀椒、呉桃葉、及鹽、班置其畔、〈古語以薏曰都須〉仍從其敎、苗葉復茂、年穀豐稔、是今神祇官以白猪白馬 白鷄、祭御歲神之緣也、

〔續日本紀〕

〈二/文武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1167 大寶元年八月辛酉、參河、遠江、相摸、近江、信濃、越前、佐渡、但馬、伯耆、出雲、備前、安藝、周防、長門、紀伊、讃岐、伊豫十七國蝗、

〔三代實錄〕

〈三/淸和〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1167 貞觀元年八月三日丙戌、遣從五位下行備後權介藤原朝臣山蔭、外從五位下行陰陽權助兼阴阳博士滋岳朝臣川人等、於大和國吉野郡高山、令祭禮、董仲舒祭法云、螟螣(ヲホネムシ)賊害五穀之時、於害食之州縣内淸淨處、解之攘之、故用此法、前年命阴阳寮、於城北船岳修此祭、今亦於此修之、蓋擇淸淨之處

〔三代實錄〕

〈二十六/淸和〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1167 貞觀十六年八月丁巳朔、伊勢國上言、有蝗虫稼、其頭赤如丹、背靑黑、腹班駮、大者一寸五分、小者一寸種類繁聚、一日所食四五許町、其所一過遺穗、 十三日己巳、遣從五位下守玄番頭弘道王於伊勢太神宮、奉幣禱去災蝗、從此以後、蝗虫或化蝶飛去、或爲小蜂刺殺、一時消盡矣、

〔類聚符宣抄〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1167 蝗虫事
勅、如聞山城近江丹波等國、蝗蟲競起、蝅食民業、禾黍漸遺空莖、田畝殆爲荒地、若流布於天下者、誰免菜色之愁哉、方今轉禍爲福、莫般若之威神、富國安民不最勝之妙力、然則已萌之處、忽斷蜂起、未臻之境、遙除蠹害、〈○中略〉
寬仁元年八月三日〈○又見日本紀略、百練抄、〉

〔除蝗錄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1167 總論
享保十七壬子年、蝗生ずる事甚しく、諸國の農家、是を患ふといへども、いかんともすべきやうなかりしとなん、玆に筑前三笠郡八尋(ヤヒロ)氏某、我屋敷のうちに安置したる菅廟に詣て、蝗を除かん事を祈る、或夕御燈を捧むとするに、蝗夥しく群て、燈明の油に飛入て死す、是を見て、油の蝗に大敵 たる事を心付、田に油をそゝぎて試るに、須臾にして蝗の死する事夥し、夫より晝夜精力を盡して、油を用ふるに、稻復び蘇り、其田實る事を得たり、實に靈神の冥助なりと、深く禮拜して事の趣を書殘されし書あり、

蟋蟀/促織/蜻蛚

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1168 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01649.gif 〈支利支利受(○○○○○)〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1168 蟋蟀 兼名苑云、蟋蟀、〈悉率二音〉一名蛬、〈渠容反、一音栱、和名木里木里須、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1168 唐風、蟋蟀在堂、爾雅釋蟲、蟋蟀蛬、毛傳、蟋蟀蛬也、兼名苑蓋依之、蟋蟀、説文作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01650.gif 、段曰、説文無蛬字、今人假蛩爲之、〈○中略〉按食貨志、後漢書王褒傳所云、則知蟋蟀卽促織也蟋蟀又與蜻蛚同、見蜻蛚條、源君分擧促織蜻蛚蟋蟀、非是、促織蜻蜊蟋蟀(○○○○○○)、皆可岐利岐利須(○○○○○○○○)、説詳促織條、古保呂伎(○○○○)、亦岐利岐利須之一種耳(○○○○○○○○○○)、説見蜻蛚條、西土古不甚分別也、

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1168 促織 兼名苑云、絡緯、一名促織、〈和名波太於里米(○○○○○)〉鳴聲如急織一レ機故以名之、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1168 本草綱目http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01586.gif 螽、在草上者曰草螽、似草螽而大者曰螽斯、長角修股善跳、有靑黑斑數色、亦能害稼、五月動股作聲、是可以充波太於利米、今俗呼義須江戸俗呼爲岐利伎利須、非古之岐利伎利須、按古今注云、莎雞一名促織、一名絡緯、一名蟋蟀、促織謂鳴聲如急織、絡緯謂其鳴聲如紡績也、兼名苑及注、蓋本於此、又按毛詩正義引陸璣疏云、蟋蟀似蝗而小、正黑有光澤漆、有角翅、幽州人謂之趨織、里語曰、趨織鳴、嬾婦驚、是也爾雅翼、以夏生、秋始鳴、好吟於土石塼甓之下、最好鬪、勝輙矜鳴、其聲如急織、故幽州謂之促織、是古所謂岐利岐利須京謂之伊登度(○○○)、江戸謂古保呂伎(○○○○)、越後謂之都豆利佐世(○○○○○)、大和、伯耆、信濃、南部、武藏府中、猶謂岐利岐利須(○○○○○)、聲不甚淸越、其鳴如伎伎、得寒入人屋牀下者、非波多於利米、下條所載螽蟴、可以充波多於利米也、

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1168 蜻蛚 文字集略云、蜻蛚〈精列二音、和名古保呂木(○○○○)、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1168 按説文、蜻、蜻蛚也、蛚、蜻蛚也、爾雅、蟋蟀、蛬、郭璞注云、今促織也、亦名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01651.gif 、禮記 正義引孫炎注、初學記引劉邵注、並云、蟋蟀靑蛚也、毛詩正義引李巡注云、蛬一名蟋蟀、蟋蟀、靑蛚也、方言云、蜻蛚、楚謂之蟋蟀、注云、卽趨織也、廣雅云、趗織、蜻蛚也、曹憲趗音足、毛詩正義引陸璣曰蟋蟀一名蛬、一名蜻蛚、幽州人謂之趨織、太平御覽引劉芳詩義云、蟋蟀今促織也、一名蜻蛚〈○中略〉漢書食貨志注云、蟋蟀、蛬也、今謂之促織、王褒傳注云、蟋蟀今之促織也、後漢書注云、蟋蟀促織也、然則蜻蛚卽上條所載促織是也、促織之可岐利伎利須、上條詳之、古保呂伎、亦岐利伎利須之一種、小野氏曰、促織一種有原野晝鳴者、其聲淸亮、有抑揚聞、似促織而大、全身深油色、雌雄各三尾、不促織雄二尾雌三尾、京俗今猶謂之古保呂伎、以其鳴聲轉如一レ古呂古呂有是名、江戸謂之衣无万古保呂伎(○○○○○○○)、或加良須古保呂伎(○○○○○○○)、或乃古保呂伎(○○○○○)、然則源君訓蜻蛚古保呂伎誤、但與促織別爲二物者非是、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1169 蟋蟀〈キリ〳〵ス〉 蛬〈キリ〳〵ス〉 蜻蛚〈コホロギ〉

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1169 蟋蟀(キリ〳〵ス/シツソツ)〈蛬也、蛩也、螿也、四同、〉 促織(ハタヲリ) 蛼(コウロギ)

〔東雅〕

〈二十/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1169 促織ハタヲリメ 蜻蛚コホロギ 蟋蟀キリ〳〵ス 倭名抄に見えし所のごとき、今に至ては、古今の語、方俗の言、相混じて、分ち難し、漢人の説の如きも、亦是に同じかりけり、たゞ〈○中略〉我國に云ふ所に就きて(○○○○○○○○○○)、其名を正すべき事なり(○○○○○○○○○○)、古にハタオリメと云ひしものは、今俗にキリキリスといふ是也、古にコホロギと云ひしものは、今俗にイトヾといふ是也、古にキリ〳〵スと云ひしものは、今俗にコホロギと云ふ是也、もし漢字に就きて、其名を正しなむには、毛詩に云ふ蟋蟀は、爾雅、及び方言に見ゆる如く蛬也、促織なり蜻蛚なり、〈○下略〉

〔物類稱呼〕

〈二/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1169 蟋蟀こほろぎ(○○○○) 南都にてきり〴〵す(○○○○○)、又ころ〳〵し(○○○○○)と云、江戸にてこをろぎ(○○○○)と云、武藏府中邊、及信濃奧州南部にてきり〴〵す(○○○○○)と云、越後高田邊にてつゞりさせ(○○○○○)と云、美作にてきりご(○○○)といふ、白石翁○新井君美曰、是古に云きり〳〵す也、又古こほろぎといひしは、今いふいとゞ也、 〈○中略〉又古はたをりめといひしは、今云きり〳〵す也、小兒籠にやしなふもの也、
竃馬いとゞ(○○○) 京にてくろゝ(○○○)、伊勢及四國にてかまご(○○○)、尾張にてかまぎりす(○○○○○)遠江にてかんなご(○○○○)、西國にてくろつゞ(○○○○)、又いひご( イ /○○○)、近江にてくろ(○○)と云、これ古こほろぎといひし物也、今いふこほ(ヲ)ろぎの種類にして、小なる物也、竃のあたりにすむ、
莎鷄はたおりむし(○○○○○○) 伊勢にてやまぎす(○○○○)と云、近江にてうりす(○○○)と云、畿内にて小兒きり〴〵す(○○○○○)と云、東國にてきり〴〵す(○○○○○)、又ぎつす(○○○)と云、又ぎつちよ(○○○○)など云、其こゑのぎいと鳴くは、はたおるまねきの音、ちよんと鳴くは、筬の音に似たりとて、いにしへはたおりめとよびしも、今きり〴〵すと、名の變じたる也、

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1170 竈馬(いとゞ/いとじ) 竃雞 古云伊止止(○○○) 今云伊止之(○○○)〈○中略〉
按竃雞、似促織(コウロギ)而小、色亦淡、身團而足長、秋夜鳴聲似蚯蚓、而細小最寂寥、
莎雞(きり〳〵す) 絡緯 梭雞 紡絲爾雅翼 木利岐里須(○○○○○)〈○中略〉
按莎雞、靑色者多、褐色者少、蓋褐〈黃黑〉色似麻油、故俗名油莎雞(○○○)、〈阿不良〉聲最亮淸、爲珍養之樊中、用甜(マクハ)瓜、李或http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m00076.gif 、沙糖水、冬亦能防寒、則經數年、其聲如木里岐里須、故名之、一二聲而如舌、雌肥大善鳴、
一種、靑色而尻有刺、似帶劒者、俗呼曰多知(○○)、〈大刀訓多知之謂乎〉晝不鳴夜鳴、〈○中略〉
蟋蟀(こほろぎ) 蛬 蛩〈同〉 促織 蜻蛚 趨織 古保呂木(○○○○)〈○中略〉
詩豳、風曰、五月斯螽(/ハタヲリ)動股、六月莎雞(/キリ〳〵ス)振羽、七月在野、八月在宇、九月在戸、十月蟋蟀(/コウロギ)入我牀下
朱子註曰、斯螽、莎雞、蟋蟀、一物隨時變化而異其名、儆玄衍義曰、斯螽蝗也、莎雞促織也、蟋蟀蛩也、自 是三物、安得之隨時變化而異其名、朱註此一處可之、
按儆之説是也、然莎雞以爲促織者非也、〈○中略〉
螽斯(はたおり) 斯螽 蜙蝑 波太於里(○○○○)〈○中略〉 按螽斯長二寸許、靑色尖首長脚有毛、露眼、其間甚狹、而眼側有二硬髭、小兒戯捕兩足曰、汝織機當放去、則屈股俯仰、狀似機、故名之、詩經曰、五月斯螽動股者是也、其老者灰赤色黑點、善跳作聲、如吉吉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1171 竈馬(○○) イヽキリゴ(○○○○○)〈備前○中略〉 ハダカコホロギ(○○○○○○○)〈加州〉 センチコホロギ(○○○○○○○)〈○中略〉 カマドムシ(○○○○○)〈○中略〉 カマギリス(○○○○○)〈尾州○中略〉 オカマコホロギ(○○○○○○○)〈江戸○中略〉
秋夜竈邊、及ビ洗椀ノ處ニ出テ、米麥ノ殘食ヲ拾ヒ啖フ、晝ハ陰僻ニ隱レテ出ズ、體長サ七分許、首ハ小ク、身ハ大ニシテ背隆シ、頭尾低ク櫛背ノ如ク、微ク馬ノ態アリテ茶褐色ナリ、コレヲコメイヒゴ防州ト云フ、雄ナル者ハ背ニ黑翅アリテ、蟋蟀ノ如シ、稀ニ鳴クコトアリ、〈○中略〉雌ナル者ハ翅ナク鳴カズ、倶ニソノ鬚甚ダ長ク、六七寸アリ、冬ハ竈中或ハ井内ニ蟄シテ寒ヲ避ク、〈○中略〉
(○○○○○)附錄、促織、 イトヾ(○○○)〈京〉 コホロギ(○○○○)〈和名鈔、紀州、江戸、水戸、〉 ハタオリメ(○○○○○)〈和名鈔〉 キリギリス(○○○○○)〈同上、和州、伯州、南部、信州、武州 ノ府中、〉 ハヤマル(○○○○)〈古歌〉 チクロ(○○○) サセ(○○) マクラノシタノキリギリス(○○○○○○○○○○○○) チヽロムシ(○○○○○)〈共同上○中略〉 カタサセ(○○○○)〈南部〉 ツヾリサセ(○○○○○)越後○中略 テヅヽヲドシ(○○○○○○)〈詩經名物辨解○中略〉
イトヾハ秋中庭間瓦石ノ下ニ、微シ土ヲ凹ニシテ、其中ニ住ス、長サ六七分、濶サ三四分、兩鬚六足、足ト身トハ油色ナリ、雄ナル者ハ背ニ薄キ翅アリ、長サ身ニ等シ、色黑クシテ紋脈多シ、飛ブコト能ハズ、後ノ長足ヲ以テ跳リ、或ハ鬪フ、ソノ鳴クコト必ズ立秋ヨリス、夜ハコノ翅ヲ立テヽ、鳴ク聲高クシテ、リウ〳〵ト云ガ如シ、晝ハ雌雄同居シテ、鳴ク聲低小ニシテツヾレサセト云ガ如シ、〈○中略〉大倉州志ニ里語云、促織鳴懶婦驚ト云ハ、テヅヽヲドシノ名ニ合ス、漸ク寒ニ向フトキハ、漸ク人家ニ近ヅク、故ニ詩ノ豳風ニ、七月在野、八月在宇、九月在月、十月蟋蟀入我牀下ト云フ、性善ク鬪フ、故ニ唐山ニハ鬪蟋蟀ノ戯ア〈○中略〉リ、一種原野ニ居リ、晝鳴ク者ヲコホロギ京ト云フ、古書ニコホロギト云ヘルハ、皆蟋蟀ニシテ今ノイトヾナリ、故ニ今モイトヾヲコホロギト呼ブ國々モ アリ、〈○中略〉ソノ鳴ク聲淸高ニシテ抑揚アリ、コロコロノ聲六七返モ重ヌル者ヲ上トス、其鳴聲聞ベキコト、蟋蟀ノ聲ノ厭ベキニ異ナリ、〈○中略〉
http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01586.gif 螽〈○中略〉
螽斯ハギス(○○)〈京〉キリギリス(○○○○○)、〈畿内、勢州、大和本草、〉 ハタヲリ(○○○○)〈大和本草、同名多シ、〉 コホロギ(○○○○)〈南部〉 ギリチヤウ(○○○○○)〈江戸〉ギッチヤウ(○○○○○)〈尾州○中略〉 ギッス(○○○)〈東國○中略〉 原野ニ多シ、五月ヨリ鳴ク、ギイスチヨト聞ヘテ、織機ノ聲ノ如シ、兒童、樊(カゴ)ニ入レ、瓜ノ瓤ヲ與へ、自ラ鳴シメテ玩トス、雌ナル者ハ鳴カズ、尾ニ曲レルケンアリ、綠色褐色ノニ品アリ、褐ナル者ハ岡ニオリテ能鳴キ聲高シ、俗ニアブラト呼ブ、アブラギツチヤウ(○○○○○○○○)〈尾州〉 ホンギツチヤウ(○○○○○○○) アブラギリス(○○○○○○) 〈阿州〉綠ナル者ハ竹林ニオリテ聲低シ、ヤブギツチヤウ(○○○○○○○)〈尾州〉ト云、

〔天野政德類語〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1172 政德按、〈○中略〉蟋蟀、蜻蛚、共に同類ながら二種也、初秋よりころ〳〵と、鈴のねの如くなくはこほろぎにて、形狀眞黑色にて光澤有、羽にちゞみたる文多くて、羽の下と尾ノとまりに、劒の如き物二本ヅヽ四本有て、形大にして、頭より尾迄曲尺八分に强し、なく聲もころころと聞えて名義とあへり、是を今俗エンマコホロギ、また鈴なきコホロギとも呼、今一種の方は、形狀同じやうなれど、形小にして頭より尾迄曲尺五分にすぎず、色黑に少し赤を帶、羽にちぢみたる文少なく、羽の下に劔なく、尾のとまりに劒二本有て、なく聲キイ〈引〉キイ〈引〉キイ〈引〉と聞ゆ、是を今俗きい〳〵こほろぎと呼、是則古今以下きり〴〵すと詠る物也、同類二種也、鳥むしなどのなく聲は、此方の心もちにて何ともきゝなさるゝもの也、此キイ〳〵こほろぎのなく聲を、おのれ心をとめて聞けば、つうづれさせ〳〵と聞えて、キイキイとは不聞、それは此方聞人の心によれり、こほろぎ、きり〴〵す共に、古き名なる事は、和名抄にてしらる、おのれは形大なるを、蟋蟀(コホロギ)、形小なるを蜻蛚(キリ〳〵ス)と定む、されど是は親しくかひ置、形狀鳴音共に、ためし見てい ふ也、書によりたる空論にはあらず、又今俗にいふ靑き蝗丸に似たる虫を、きり〴〵すと呼、是はいにしへの機織女也、其鳴聲キイ〈引〉ソと聞えて、機を織音の如し、名義聲とよくあへり、豐香〈○森田〉が説にズイチヨンを機おり虫といへるはうけがたし、又野洲良が説に、つゞりさせよとなく聲きり〴〵すとは不聞、今いふ靑き虫の方はキリキリンと聞ゆれば、是古代のきり〴〵すなるべしといへど此説もうけがたし、そは今俗にいふきり〴〵す、古代のきり〴〵ならんには、霜夜又壁などよむべからず、殊に枕の草子の九月晦日、十月朔日のほどに、只あるかなきかに、聞付たるきり〴〵すといふ文にも不合也、今俗のいふきり〴〵すにはあらざる事無論、又資重〈○篠原〉が説に、今の方正しといふもうけがたし、そは神樂歌にきり〴〵すのねたさうれたさ、御園に參りきて、木の根ほりはむ角をれぬといふを、證に引だれど、今俗にいふきり〴〵すは、草の葉かげなどに住て、木の根などほりはむ物にあらず、こほろぎの方は、土に穴して住ぬれば、木の根など、いとよくほる物也、是をもても、其物を辨別すべし、今俗にいふきり〴〵すは、八月すゑには、多く死す物にて、九月晦日、十月朔日までは、いきん事おぼつかなし、キイ引キイ引となく方は、事によりては十月中迄もいとかすかになくを聞し事有、是ぞいにしへのきりぎりすなる、

〔萬葉集〕

〈八/秋雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1173 湯原王蟋蟀歌一首
暮月夜(ユフヅクヨ)、心毛思努爾(コヽロモシヌニ)、白露乃(シラツユノ)、置此庭爾(オクコノニハニ)、蟋蟀鳴毛(キリ〳〵スナクモ)、

〔萬葉集〕

〈十/秋雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1173蟋蟀
秋風之(アキカゼノ)、寒吹奈倍(サムクフクナベ)、吾屋(ワガヤド)前之(ノ)、淺茅之本(アサチガモトニ)、蟋蟀鳴毛(キリ〳〵スナクモ)、

〔萬葉集略解〕

〈十下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1173 蟋蟀、舊訓きり〳〵すとよみたれど、翁これを、こほろぎと訓り、〈○中略〉蜻蛚と蟋蟀は同物なれば、蜻蛚に古保呂木と有にて、古より蟋蟀にこほろぎの名有事しるく、今の世に も其名を傳へたれば、しかよむべき也、すべて集中蟋蟀と書るを、こほろぎと訓ざれば、飼餘りて調べとゝのはざるを、こほろぎといふ名の、古今集以後の歌に見えぬをもて、疑ふ人あれど、此集によめる草木などの名の、後世にては絶ていはぬ名もあまたあれば、是のみ疑ふべきにあらず、〈○中略〉後世はたおりめの類なる一種の虫を、きり〳〵すといふは、いと後にいひ出し事なるべし、

〔今昔物語〕

〈十四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1174 越中國僧海蓮持法花前世報語第十五
今昔、越中ノ國ニ海蓮ト云フ僧有ケリ、〈○中略〉夢ニ菩薩ノ形ナル人來テ、海蓮ニ吿テ云ク、〈○中略〉汝ヂ前生ニ蟋蟀(○○)ノ身ヲ受テ、僧房ノ壁ニ付タリキ、其ノ房ニ僧有テ、法花經ヲ誦ス、蟋蟀壁ニ付テ經ヲ聞ク、〈○中略〉功德ニ依テ、蟋蟀ノ身ヲ轉ジテ、人ト生レテ僧ト成テ、法花經ヲ讀誦ス、

〔源氏物語〕

〈四/夕顔〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1174 はしぢかきおまし所なりければ、やり戸をひきあけ給て、もろともにみいだし給ふ、程なき庭に、ざれたるくれ竹、前栽の露は、なをかゝる所も、おなじごときらめきたり、虫のこゑごゑみだりがはしく、かべのなかのきり〴〵す(○○○○○)だに、まどをに聞ならひ給へる御みゝに、さしあてたるやうになきみだるゝを、中々さまかへておほさるゝも、御こゝろざしひとつのあさからぬに、よろづのつみゆるさるゝなめりかし、
○按ズルニ、壁中ノ蟋蟀、花鳥餘情ニ毛詩豳風七月篇蟋蟀入我牀下ヲ引ケリ、壁中牀下相近キ ヲ以テ通ハシ用ヒシニヤ、

〔異本枕草子〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1174 あはれなるもの
十月ばかりにきり〳〵すの聲きゝつけたる、いとあはれなり、

〔桐火桶〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1174 袖のつゆ霜は、夜さむの秋になりそめて、物かなしきに、まくらにちかききり〳〵すのこゑよはり行、〈○下略〉

〔古今和歌集〕

〈四/秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1175 人のもとにまかれりける夜、きり〳〵すなきけるをきゝてよめる、
藤原たゞふさ
蛬いたくななきそ秋の夜のながき思ひは我ぞまされる

〔古今和歌集〕

〈十九/誹諧歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1175 寬平御時、きさいの宮の歌合のうた、 在原むねやな
秋風にほころびぬらし藤袴つゞりさせてふきり〳〵す鳴

〔後拾遺和歌集〕

〈四/秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1175 だいしらず そねのよしたゞ
なけやなけよもぎが杣のきり〳〵す過行秋はげにぞかなしき

〔藤原基俊家集〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1175 むしのうらみ、こひによす、
ゆかちかしあなかま夜はのきり〳〵す夢にも人のみえもこそすれ

〔古今著聞集〕

〈五/和歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1175 花園左大臣家に始て參りたりける侍の、名簿のはしがきに、能は歌よみと書たりけり、おとゞ、秋のはじめに、南殿に出て、はたをりのなくを愛して、おはしましけるに、暮ければ、下格子に人まいれと仰られけるに、藏人五位たがひて、人も候はぬと申て、此侍參たるに、たゞさらば汝おろせと仰られければ、參りたるに、汝は歌讀など有ければ、かしこまりて、御格子おろしさして候に、此はたをりをばきくや、一首つかうまつれと仰られければ、あをやぎのと、はじめめ句を申し出したるを、さぶらひける女房達、折にあはずと思ひたりげにて、わらひ出したりければ、物を聞はてずして、わらふやうあると仰られて、とくつかうまつれとありければ、
あをやぎのみどりの糸をくりおきて夏へて秋ははたをり(○○○○)ぞなく、とよみたりければ、おとゞ感じ給て、萩おりたる御ひたゝれ、おし出して給はせけり、

〔拾遺和歌集〕

〈三/秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1175 屛風に つらゆき
秋くればはたおりむし(○○○○○○)のあるなべにからにしきにもみゆる野べ哉

〔古今和歌六帖〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1176 はたおりめ(○○○○○)
雁がねの羽風を寒みはたおりめくだまく聲のきり〳〵となく

〔虫歌合〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1176 こうろぎ(○○○○)
中々にあれてもよしやくさのいほいつこうろぎときみはたのめず

鈴蟲/松蟲

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1176 鈴虫(スヽムン)

〔書言字考節用集〕

〈五/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1176 松蟲(マツムシ)〈俗字〉 金鐘蟲(スヾムシ) 月鈴兒(同)

〔東雅〕

〈二十/虫豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1176 促織〈○中略〉 毛詩にみえし莎雞、羅願が爾雅翼に、有靑褐兩種といふ、其靑なるものは、此にいふ松蟲(○○)也、其褐なるものは、此にいふ鈴蟲(○○)也、〈(中略)爾雅翼にいふ莎雞は丘光庭が兼明書に、其羽晝合不鳴、夜則氣從背出、吹其羽、振々然、其聲有上有下、正似緯車、故今人呼爲絡緯者と見えて、俗に金鐘兒、月鈴兒などいふ類、此にマツムシ、スヾムシなどいふ、皆其類にして、翅鳴者也、〉

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1176 松蟲(○○) 正字未考 末豆無之
按松蟲蟋蟀之類、褐色而長髭腹黃、在野草及松杉籬、夜振羽鳴聲如知呂林古呂林、甚優美也、凡松蟲鈴蟲晝難得、夜照燈則慕光來、捕之畜于蟲籠、以竹筒水投鴨跖草二三葉、毎旦新換水及草、掃糞、其屎如胡麻、大暑以後始鳴、九十月止、〈○中略〉
金鐘蟲 月鈴兒 俗云鈴蟲(○○)
按此亦蟋蟀之類、眞黑似松蟲、而首小尻大背窄、腹黃白色夜鳴聲如鈴、言里里林里里林、其優美不於松蟲

〔年山紀聞〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1176 松虫、鈴むし、
おの〳〵聲によりて名づけたり、色をもていはゞ黑はまつ虫、あめいうなるはすゞむし、賀茂の神官むしえらびして、禁裏院中に奉る事、ふるくよりしかなり、關東にては、とりちがへて、おぼえたり、

〔花月草紙〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1177 いまこゝにては、くろきをすゞむしといひ、かきのさねのごとなるを、松むしといへど、もとはりん〳〵となくはまつにて、ちんちろりとなぐは鈴なるを、あやまりにけりともいふ、むしうるかたへ行きて、松のを得んとおもはゞ、鈴のかたをといふなり、

〔古今要覽稿〕

〈蟲介〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1177 松むし金琵琶 鈴むし〈金鍾兒〉
松むし鈴むしの名、萬葉集にはみえず、延喜の比よりぞ物にもみえたる、さてこの二蟲の名、古今のたがひ有、延喜の比はチンチロリンとなくを松むしといひ、リンリンとなくを鈴むしといひけり、〈思岑ぬしの西河行幸和歌の序によりてしられたり、〉源氏物語の比よりこのかたは、リン〳〵と鳴を松むし、チンチロリンとなくを鈴蟲といふなり、〈諾書にみえたり、しかれども江戸及び諸國にては、今も古名をとなふるなり、京都にても近世はまれに古名な唱ふる人も有、〉

〔傍廂〕

〈前篇〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1177 鈴虫 松虫
色黑くして、首ちひさく、尻大にして、背すぼみ、腹黃白色にして、リヽリンとなくを、鈴虫といへど、これ松虫なり、そは松風の音に似たる故の名なり、〈○中略〉松風の琴の音にかよふと、歌にもよめるなり、たゞドウ〳〵とふく風の音のみならば、松に限るべからず、松風に限りて琴の音にかよふは、リリリインのひゞきあるゆゑなり、

〔夫木和歌抄〕

〈十四/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1177 延喜七年亭子院御門御時、西河行幸せさせ給けるに、忠峯〈○壬生〉新和謌序云、ひるはひぐらし虫をもとめ、夜るはよもすがら、そうのこゑをとゝのへしめ、あるときには、山のはに月まつむし(○○○○)うかゞひて、きむのこゑにあやまたせ、ある時には、野べのすゞむし(○○○○)をきゝて、谷の水の音にあらがわれと云々、

〔伊勢集〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1177 いまは男を心うかりてみやづかへをなんしける、きさいの宮の御こゝろ、かぎりなく なまめき給ふて、世にたとふべぐもあらずなんおはしましける、此人さうしには前栽をう へてなん住ける、秋里にまかでゝあるに、かの宮よりなどかまゐらぬ、まゐれ、花盛も過ぬ、松(○) 虫(○)も鳴やみぬめりと、の給はせたりければ、御返にきこえさせける、
松虫も鳴やみぬなり秋の野に誰よぶとてか花みにもこん

〔今物語〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1178 大納言なりける人、内へまいりて女房あまたものがたりしける所に、やすらひければ、此人のあふぎを、手ごとにとりてみけるに、弁のすがたしたりける人を、かきたりけるをみて、此女房ども、なくねなぞへそ、のべの松むし(○○○)、とくち〴〵にひとりごちあへるを、此人聞て、おかしとおもひたるに、奧のかたより、たゞ今、人の來たるなめりとおぼゆるに、是はいかに、なくねなそへそとおぼゆるはと、したりがほにいふをとのするを、この今きたる人、しばしためらひて、いと人にくゝいうなるけしきにて、源氏のしたがさねのしりは、みじかゝるべきかは、とばかりしのびやかにこたふるを、このおとこあはれにこゝうにくゝおぼえて、ぬしゆかしきものかな、誰ならんとうちつけにうきたちけら、〈○中略〉
大かたの秋の別もかなしきになくねなそへそのべの松虫

〔古今和歌六帖〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1178 まつむし つらゆき
秋の野の露にぬれつゝ誰くとか人まつ虫(○○○)のこゝろ鳴らん
こんといひしほども過にし秋の野にひとまつ虫(○○○)の聲の悲しき

〔夫木和歌抄〕

〈十四/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1178 百首歌虫五十首中 藤原爲顯
ことのねにかよふはみねの秋風をなを松虫(○○)のこゑやそふらん
住吉社百首御歌 慈鎭和尚
すみよしのいがきのもとの虫(○)のねにをのがこゑにも松(○)風ぞある

〔源氏物語〕

〈一/桐壼〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1178 月は入がたの空、きようすみわたれるに、かぜいと凉しく吹て、草村の虫のこゑごゑもよほしがほなるも、いとたちはなれにくき草のもとなり、 すゞ虫(○○○)のこゑのかぎりをつくしてもながき夜あかずふるなみだかな

〔源氏物語〕

〈三十八/鈴虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1179 秋比、にしのわだ殿のまへのなかのへいの、東のきはを、をしなべて野につくらせ給へり、〈○中略〉げにこゑ〴〵聞えたるなかに、すゞむし(○○○○)のふり出たる程、はなやかにおかし、秋の虫のこゑいづれとなき中に、松むし(○○○)のなんすぐれたるとて、中宮のはるけき野べを分て、いとわざとたづねとりつゝはなたせ給へる、しるくなきつゝふるこそすくなかなれ、名にはたがひて、命の程、はかなきむしにぞあるべき、心にまかせて人きかぬおくやま、はるけき野のまつばらに、こゑおしまぬも、いとへだて心あるむしになん有ける、すゞ虫はこゝろやすく、いまめいたるこそ、らうたけれなどのたまへば、宮、
大方の秋をばうしとしりにしをふりすてがたきすゞ虫の聲、と忍びやかにの給ふ、いとなまめいてあてにおほどか也、いかにとかや、いで思の外なる御ことにこそとて、
心もて草のやどりをいとへ共猶すゝ虫の聲ぞふりせぬ、など聞え給て、きんの御こと召て、めづらしくひき給、〈○中略〉これかれ上達部などもまいり給へり、むしのねのさだめをし給て、御ことどもの聲々かきあはせて、おもしろき程に、月みる宵のいつとても、物哀ならぬをりはなき中に、こよひのあらたなる月の色には、げになをわが世のほかまでこそ、ようづ思ながさるれ、〈○中略〉こよひはすゞむしのえんにて、めかしてんと覺しのたまふ、

〔後拾遺和歌集〕

〈四/秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1179 すゞむし(○○○○)のこゑをきゝてよめる 大江公資朝臣
とやかへりわが手ならしゝはし鷹のくるときこゆるすゞ虫の聲pC 鑾蟲

〔易林本節用集〕

〈久/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1179 鑾蟲(クツハムシ)

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1179 鏕蟲(くつわむし)〈音標〉 轡蟲〈俗字〉 正字未
按此蟲莎雞之類、翅靑腹黃色、前脚長疾走跳、毎出入於穴、故多難獲、秋鳴聲似馬鏕音、因以名之、蓋松 蟲鈴蟲鏕蟲等世賞之、而本草不之、唯羅山文集云、一蟲號轡大無幾、誰知鞭策是蒲葦、恰似蒼蠅附驥來、但在口吻尾、

〔栗氏蟲譜〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 紡績娘 クツワムシ、赤靑褐ノ三種アリ、其盛ニ啼トキ、翼ヲ動シ、薄暮コリ夜中索々トシテ聲ヲナスコト、連綿トシテ不止、極テカマビスシ、因テ唐山ノ人聒々兒ト虫、

〔枕草子〕

〈九〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 笛は
ひちりきは、いとむつかしう、秋の虫をいはゞ、ぐつはむしなどににて、うたてけぢかぐきかまほしからず、

〔赤染衞門集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 くつはむしのちかくなきしに
秋の野をわけてばかりはたれかこんくつはの聲(○○○○○)のちかくする哉

〔夫木和歌抄〕

〈十四/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 久安百首 前參議親隆卿
いこま山ふもとの野べもしもかれてすみかもみえぬくつわむしかな

螳蜋

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 蛣〈祛吉反、蜣蜋也、螵、伊比保牟志利(○○○○○○)、蛸之母也、〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 螳踉〈螵蛸附〉 兼名苑云、螳蜋〈堂郎二音〉一蟷蠰、〈當餉二音、和名以保無之利、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 爾雅不遏蟷蠰、郭注、蟷蠰、螗蜋別名、兼名苑蓋本之、蟷蠰螳蜋聲相轉也、按廣韻去聲四十一漾云、蠰、食桑蟲、似天牛、音餉、又平聲十一唐云、蠰、蟷蠰、螗、蜋也、音囊、二音其義不同、此以餉音蠰、恐誤、本草和名作音襄、襄在平聲十陽、又與廣韻異然陽唐常通、古或有是音、〈○中略〉羅願曰、螗蜋蠰首奮臂、頸長而身輕、其行如飛、有馬之象、李時珍曰、大腹二手四足、善緣而捷、以鬚代鼻、喜食人髮、能翳葉捕蟬、新撰字鏡、蛣訓伊比保牟志利、今俗呼加万幾利(○○○○)、相摸謂之以保之利(○○○○)、或曰以保久比(○○○○)、陸奧謂之以保左之(○○○○)、或曰以保牟之(○○○○)、藝文類聚云、王瓚問曰、爾雅莫貉螳蜋同類物也、燕趙之際謂之食肬、此蓋鄭志之文、以保无之利之名、與食肬合、 rrP 1181

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 螳蜋イボムシリ

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 蟷蜋(トウラウ/カマキリ)〈韓子外傳齊莊公曰、呂獵有蟷蜋臂、而當其車、公曰、小虫之勇志亦不侮、回車而退、勇士皆歸之、謂見大敵之、見小敵之義歟、又莊子云、〉

〔日本釋名〕

〈中/蟲〉

蟷螂(イホシリ/○○)人のいほをしりて食ふもの也、順和名にはいほむしりと訓ず、

〔東雅〕

〈二十/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 螳蜋イボムシリ〈○中略〉 卽今俗にカマキリといふ是也、イボムシリとは、爾雅の疏に、一名齕肬といふ、東璧本草に、燕趙之間、謂之蝕肬、肬卽疣子、小肉贅也、今人病肬者往々捕此食之と見えし是也、カマキリといふは、爾雅註に、有臂若斧奮之と見えし是也、斧といひ、鎌といひ、各其似たるに象るなり、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 螳蜋 イボムシリ〈和名鈔〉 カマキリ〈京〉 イボムシ〈奧州○中略〉 カマギツテウ(○○○○○○)江戸 ハイトリムシ(○○○○○○)〈同上○中略〉
カマキリムシハ、夏秋草木上ニ住ム、身ハ瘦テ長ク、蚱蜢(ネギムシ)ノ如シ、頭小クシテ三角ナリ、上ニ二鬚アリ、六足ノ内、上ノ二足ハ長大ニシテ、末折レテ鎌ノ形ノ如シ、鎌ノ内ニ刺多シ、中ノ二足ハ短シ、下ノ二足ハ長大ニシテ、斯螽(ギス)ノ後足ノ如シ、常ニ前ノ二足ヲアゲテ、首ニソフ、背ニ翅アリテ飛ブ、或ハ葉下ニカクレヲリ、葉上ノ蝱蠅ヲ鎌ニカケテ捕へ食フ、綠色褐色ノ兩品アリ、腹肥タル者ハ雌、腹瘠タル者ハ雄ナリ、秋深キ時ハ、雌ナル者樹上ニヲイテ巢ヲ作ル、〈○下略〉

〔新猿樂記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 飽腹(アハラ)鼓之胸骨、蟠蜋(イポジリ)舞之頭筋、

螵蛸

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 螵蛸〈上芳遙反、下市遙反、蜣蜋之子、阿志万支(○○○○)、又阿志加良女(○○○○○)、又於保地不久利(○○○○○○)、〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 螳蜋〈○中略〉 螵蛸〈飃宵二音〉一名螵蟭〈愽焦二音、和名於保知加不久里(○○○○○○○)、〉螳蜋子也(○○○○)、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1180 新撰字鏡、訓於保地不久利、今佐渡俗謂之宇之乃不久利(○○○○○○)、〈○中略〉廣雅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01652.gif 蟭、螵蛸也、兼名苑蓋本之、本草和名引兼名苑http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01652.gif 蟭作博蟭、云音焦、無博字音注、然此云博焦二音、則源君所見本、博蟭二字皆從虫無疑也、按爾雅、不過、蟷蠰、其子蜱蛸、郭注、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01652.gif 蟭、蟷蟷卵也、廣韻、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01652.gif 蟭、螗 蜋卵也、然則本草和名當是傳寫誤脱、當此所一レ引改正、按説文http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01653.gif 、蛸堂蜋子、又載http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01654.gif 云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01654.gif 或从虫、螵蛸http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01652.gif 蟭、皆http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01653.gif 蛸之轉也、本草和名無蟷蜋子也四字、蓋是兼名苑注文、本草云、桑螵蛸一名蝕肬、生桑枝上、螳螂子也陶云、逢樹卽産、蜀本圖經云、此物多在小桑樹上叢http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m00080.gif 棘間、並螳螂卵也、三月四月中、一枝出小螳蜋數百枚、李時珍曰、螳蜋深秋乳子、作房粘著枝上、卽螵蛸也、房長寸許、大如栂指、其内重々有隔房、毎房有子如蛆卵、至芒種節後一齊出、故月令有仲夏螳蜋生也、郝曰、廣雅以螵鮹鳥洟、酉陽雜俎、以爲野狐鼻演、今驗螵蛸初著樹、未凝時有鼻洟、及堅成、如繭包、裘裹、黏著樹枝、不解也、

〔和漢三才圖會〕

〈五十二/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1182 桑螵蛸(おほぢがふぐり) 螵蛸 蜱蛸 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01652.gif 蟭 致神 野狐 鼻涕 和名、於保知加不久里〈○中略〉
按、桑螵蛸、山人取之、灌熱湯、貨之藥肆、收紙袋中、乘温蟷蛸子孚(カへリ)出者亦有、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1182 螳蜋〈○中略〉
桑螵蛸 ヲヽヂガフグリ〈和名鈔〉 ヲヽヂノフグリ(○○○○○○○)〈京、同名アリ、〉 ウシノフグリ(○○○○○○)〈佐州〉 カマキリノス(○○○○○○)〈○中略〉
秋深キ時ハ、雌ナル者、樹枝上ニヲイテ巢ヲ作ル、初ハ唾ヲ吐カケタルガ如シ、日ヲ經テ堅凝シテ、古紙塊ノ如シ、長サ一寸許、淺黑色、或ハ微褐ヲ帶ブ是螵蛸ナリ、藥ニハ〈○中略〉只桑枝上ノ者ヲ採ル、故ニ桑螵蛸ト云、コノ巢ヲ破レバ海螵蛸(○○○)ノ狀ノ如ニシテ、内ニ小卵多シ、本草微要ニ、一生九十九子ト云、夏ニナレバ、皆化シテ、小螳蜘數ナク出ヅ、物類相感志ニ、芒種ノ日〈五月節〉螳娘一齊出ト云、故ニ螵蛸ヲ貯ルニハ蒸シ遏スベシ、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1182 諸國進年料雜藥〈○中略〉攝津國桑螵蛸(オホヂガフグリ)二斤、伊勢國桑螵蛸一斤、尾張國桑螵蛸二兩、〈○以下數箇國略之〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1183 蜏 唐韻云、蜏、〈音誘、漢語抄云比乎無之(○○○○)、〉朝生暮死虫也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1183 按玉篇、蜏朝生暮死蟲也、生水上、狀如蠶蛾、一名孳母、孫子依之、淮南子道應訓作朝秀、高誘注、朝秀、朝生暮死之蟲也、生水上、狀似蠶蛾、一名孳母、海南謂之蟲邪、廣雅、朝蜏孳母也、是顧氏之所本、或名之爲蜉蝣、枹朴子對俗篇云、魚伯知水旱之氣、蜉蝣曉潛泉之地、魚伯謂靑蚨、見廣雅、藝文類聚引廣志曰、蜉蝣在水中、翁然生覆水上、尋死隨流、爾雅翼云、按今水上有蟲、羽甚整、白露節後卽群浮水上、隨水而去、以千百計、宛陵人謂之白露蟲、今俗呼阿左賀保、蓋朝生暮死之名、谷川氏曰、阿左賀保産宇治川、然則比乎牟之當氷魚虫之義、又按説文、又有http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01655.gif 、一曰、蜉蝣、朝生莫死者、爾雅、蜉蝣渠略、郭璞曰、似蛣蜣身狹而長、有角、黃黑色、叢生糞土中、朝生暮死、豬好啖之、渠略卽螶http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01655.gif 之假借字、與此所載者同、夏小正、五月淨游有殷、殷衆也、浮游者渠略也、朝生而莫死、詩傳本小正、正義引孫炎、亦用小正、舍人曰、蜉蝣一名渠略、南陽以東曰蜉蝣、梁宋之間曰渠略、陸機疏云、蜉蝣方土語也、通謂之渠略、以甲蟲角、大如指、長三四寸、甲下有翅能飛、夏月陰雨時地中出、今人燒炙噉之、美如蟬也、樊光謂之糞中蝎蟲、隨陰雨時之、朝生而夕死、今俗呼黑油蟲者蓋是此物、以朝蜏倶朝生暮死同名蜉蝣耳、非此所載者、郝懿行曰、朝秀不晦朔、與蟪蛄不一レ春秋、正以二蟲對、據晦朔而言、非朝夕爲一レ限、淮南子詮言篇云、龜三千歲、蜉蝣不三日、又説林篇云、蜉蝣不食不飮、三日而死、是蜉蝣雖短期、非必限以朝夕、説者甚其詞耳、

〔伊呂波字類抄〕

〈比/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1183 蜏〈ヒヲムシ〉

蟬/名稱

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1183 蟬〈時旃反、蜩也、世比(○○)、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01656.gif 〈虫尾、又世比、〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1183 蟬 爾雅集注云、蜋蜩〈徒貂反〉蝘螗、〈偃唐二音〉蟪蛄、〈惠姑二音〉螗http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01657.gif 、〈唐啼二音〉蚻蜻、〈札請二言〉螇螰〈奚祿二音〉此蟬類也、五采具謂之蜋蜩、小而有文謂之蚻蜻也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1183 按爾雅云、蜩、蜋蜩、郭注夏小正傳曰蜋蜩五采具、爾雅又云、螗蜩、郭注、夏小正 傳曰、螗蜩者蝘、江南謂之螗http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01657.gif 、爾雅又云、蚻蜻、郭注、如蟬而小、方言云、有文者謂之螓、爾雅又云、蜒蚞螇螰、郭注、卽蝭蟧也、一名蟪蛄、齊人呼螇螗、此所引蓋舊注、然蝘蟪蛄螗http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01657.gif 、皆非爾雅正文、則注不之、而言皆蟬類、此蓋有錯誤、〈○中略〉按説文、蟬以旁鳴者、初學記引孫炎曰、蜋五色具、蜩宮中小靑蟬、説文、蜩蟬也、引詩曰、五月鳴蜩、其五月鳴者、似今俗或呼夏蟬、或呼麥藁蟬、或呼松蟲、毛詩蕩篇正義、引陸機疏云、螗一名蝘、其言與夏小正合、此連引、蝘螗二字誤、郝懿行曰、今螗蜩小於馬蜩、背靑綠色、頭有花冠喜鳴、其聲淸圓、若烏友、其物未詳、説文無螗字、蝘字蝘蜓、非此義、夏小正云、唐蜩者匽、則知古借用唐匽字、从虫俗字、蟪蛄螇螰一名、見方言及郭璞爾雅注、説文無蟪字、蛄訓螻蛄、非此義、則蟪蛄非古字、螇螰説文作螇鹿、云蛁蟟也、蛁蟟七月八月鳴者、下自有條、陶弘景曰、莊子云、蟪蛄不春秋、則是今四月五月小紫靑色者、而離騷云、蟪蛄鳴兮啾々、歲暮兮不自聊、此乃寒螿爾、寒螿卽寒蟬、九月十月鳴者、下自有條、然則四五月鳴者、七八月鳴者、九十月鳴者、皆可蟪蛄、蓋混言也、螗http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01657.gif 唐蜩一名、見郭璞爾雅注、〈○中略〉説文無蚻字、蜻訓蜻蛚、非此義、夏小正札寧縣、札卽蚻字、毛詩碩人正義、引某氏曰、鳴蚻々者、引舍人曰、小蟬色靑々、則知蚻以其聲名、蜻々以其色之、古作札靑々也、郝懿行曰、今驗此蟬、棲霞人呼柔蠽蟟、順天人呼咨々、其形短小、方頭廣額、體兼彩文、鳴聲淸婉、若咨咨然、與蚻々之聲轉、其物未詳、〈○中略〉新撰字鏡、蟬http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01656.gif 並訓世比、按關西有蟬、聲如世毘世毘者、俗亦呼蟬爲世毘、蓋以鳴聲名也、或曰、蟬字音之訛、恐不爾、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1184 螗娣〈セミ〉 蟬〈セミ〉 良蜩〈セミ〉

〔日本釋名〕

〈中/蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1184 蟬(セミ) せみはせん也、むとみと通ず、音を以訓とす、此類多し、

〔東雅〕

〈二十/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1184 蟬セミ 倭名鈔に爾雅本草等を引て、〈○中略〉セミとは、蟬の字の音を呼ぶなり、ムマセミ(○○○○)とは、其大なるをいふなり、カムセミ(○○○○)とは、これも其字の音を呼ぶなり、其餘不詳、〈或人の説に、ナハセミ(○○○○)とは、名は蟬なれど、不鳴をいふなり、クツクツボウシ(○○○○○○○)とは、今俗にソクツクボウシ(○○○○○○○)といふもの、其鳴聲をかたどりていふなり、ヒグラシ(○○○○)とは日暮也、鳴て日を暮すをいふといふ也、いかにやあるべき、〉

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1185 蟬(せみ)〈音禪〉 蜊 齋女 和名世美〈○中略〉
按凡蟬、方言露目、噤口而似口者、故不能飮食、唯可露、當足下腹裂番、而振羽鳴也、試抑其處則不鳴、緌下垂著腹、今稱蟬者、淺褐色、羽薄如紗、肖蜻蛉之羽、五月始鳴、聲如世美世美、甚喧而有序破急讀經、人家亦有喬木則來、鳴輙飛去、

〔書言字考節用集〕

〈五/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1185 枯蟬(ウツセミ)〈蟬蛻(カラ)也〉遷蟬(同)〈日本紀〉空蟬(同)〈萬葉〉蟬蛻(セミノヌケガラ/○○)〈淮南子、蟬飮而不食、三十日而蛻、〉枯蟬(同) 金牛兒(同)

〔藻鹽草〕

十二/虫

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1185 うつ蟬(○○○)〈からをいふ、へし、但昔よりなくと云り、しかれば、只せみの總名也と云々、〉 ねをなくむしのなれるすがた〈せみのからを云てよめる也〉

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1185 蟬蛻 蟬殻 枯蟬 金牛兒 蟬退 和名世美乃毛奴介(○○○○○○)〈○中略〉
按、腹蜟(ニシトチ)、蠐螬(キリウシ)等、冬蟄夏出、背裂而爲蟬、出去殼也、紀州越州之産爲佳、形大而馬蟬(/ニシトチ)之殻也、藥肆所售者、多常蟬蛻(/キリウシ)也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1185 蚱蟬〈○中略〉
蟬蛻ハ〈○中略〉 セミノヌケガラ〈○中略〉 蠐螬ノ土中ニテ、蛹トナルヲ腹蜟ト云、俗名、ニシヤドチ(○○○○○)〈京〉ニシムケ(○○○○)〈阿州〉 ウバムシ(○○○○)〈藝州○中略〉 ソノ形蠶蛹(ヒイル)ニ異ナラズ、指ニテ摘ムトキハ、、腰以上ヲ左右ニ搖カス、故ニ西ハドチト云ヲ轉ジテ、ニシヤドチト云フ、夏月土中ニテ復蜟ヨリ蛻シ、蟬形トナリ、土ヲ出テ樹木ノ根上一二尺許升ル、此時頭足皆備レリ、未ダ羽アラズ、數日ノ後、皮ヲ蛻シテ三五尺モ上へ升ル、〈○中略〉ソノ後日ヲ經テ、再ビ皮ヲ蛻シ、全形トナリ飛ビ去ル、

〔嬉遊笑覽〕

〈十二/禽蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1185 蟬脱は蠐蝟の土中にありて、蛹と成れるを腹蜟といふ、指にてつまめば、腰より上のかたを左右にふり動かすを興じて、小兒これをとりて、西はどちといふなり、〈○中略〉これが土中にて蟬と化(ナ)り、土より出て、樹木に上り、脱たるhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01658.gif を蟬脱といふ、空蟬是なり、

〔萬葉集〕

〈一/雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1185 麻續王聞之感傷和歌 空蟬之(ウツセミノ)、命乎情美(イノチヲヲシミ)、浪爾所濕(ナミニヌレ)、伊良虞能島之(イラゴノシマノ)、玉藻苅食(タマモカリヲス)、

〔冠辭考〕

〈二/宇〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1186 うつせみの
万葉卷一に、空蟬之(ウツセミノ)、命乎惜美、(イノチヲヲシミ)卷三に虚蟬之(ウツセミノ)、代者無常跡(ヨハツネナシト)云々、こは顯(ウツ)しき身の命、顯(ウツ)の身の世とつゞけたる也、〈○中略〉後人は空蟬の字に泥て、蟬脱(モヌケ)の事とのみおもへり、其本を極むれば、いき死の違になん侍りける、

〔源氏物語〕

〈三/空蟬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1186 しばしうちやすみ給へど、ねられたまはず、御すゞりいそぎめして、さしはへたる御ふみにはあらで、たゞてならひのやうにかきすさみ給ふ、
うつ蟬の身をかへてげるこのもとになを人がらのなつかしき哉、とかき給へるを、ふところにひきいれてもたり、〈○中略〉いとあさはかにもあら蹌御氣色を、有しながらのわが身ならばと、とりかへすものならねど、忍びがたければ、この御たゝうがみのかたつかたに、
うつせみのはにをく露のこがくれてしのびしのびにぬるゝ袖かな

〔後撰和歌集〕

〈十一/戀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1186 物いひける女に、せみのもぬけをつゝみてつかはすとて、
源重光朝臣
是をみよ人もすさめぬ戀すとて音をなく虫のなれるすがたを

〔後撰和歌集〕

〈十二/戀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1186 つらくなりにけるおとこのもとに、いまはとてさうそくなど、返しつかはすとて、 平ながきがむすめ
いまはとてこずゑにかゝる空蟬のからをみんとはおもはざりしを
返し 源巨城
わすらるゝ身をうつせみのから衣かへすはつらき心なりけり

〔前大納言公任卿集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1186 たや寺の君のむすめどものもとに、しろきかみに、せみをつゝみて、はちすの 花に、さしてやり給ふたりければ、蓮の花をつくりて、このうたかきて、せみのなかにさし入 てたてまつりたりける、
いづれをかのどけきかたにたのまゝし蓮の露と空蟬のよと
返し
蓮葉にうかぶ露こそたのまるれ何空せみのよをなげくらん

蟬種類/蚱蟬

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1187 蚱蟬 本草云、蚱蟬、〈作禪二音、和名奈波世美(○○○○)、〉雌蟬不鳴者也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1187 按靈異記訓釋云蟬、奈波美、恐脱世字、今備前俗呼鳴者瘖五郎(○○○)、筑後謂以々之世美(○○○○○)、奈波世美未詳、千金翼方、證類本草中品有蚱蟬、不引文、證類本草引陶隱居云、蚱字卽是瘂蟬、瘂蟬雌蟬也、不鳴、此所引卽是陶注也、按蘇敬曰、蚱者鳴蟬也、今云啞蟬、啞蟬則雌蟬也、極乖體用、諸蟲獸以雄者良也、蜀本圖經云、此鳴蟬也、陶云、是瘂蟬也、二説旣相矛楯、今據玉篇云、蚱蟬聲也、如此則非瘂蟬明矣、月令仲夏之月蟬始鳴、言五月始有此蟬鳴也、而本經亦云、五月採、正與月令所記始鳴者時、如此蘇説得之矣、蟬類甚多、爾雅云、蝒馬蜩、今夏中所鳴者、比衆蟬最大、陶又引詩鳴蜩嘒々云、是形大而黑、昔人所噉者、又禮冠之飾附蟬者、亦黑而大、皆此類也、然則爾雅所謂馬蜩、詩人所謂鳴蜩、月令禮家所謂蟬、本草所謂蚱蟬、其實一種、陶氏亦以蚱蟬馬蜩、然則不鳴者、可之瘂蟬雌蟬、不蚱蟬也、李時珍曰、未秋風則瘖不鳴謂之啞蟬、亦曰瘖蟬者、卽寒蟬、與雌蟬不鳴者同、方言、寒螿瘖蟬也、廣雅、闇蜩http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01659.gif 也、闇與瘖同、後漢書杜密傳云、劉勝知善不薦、聞惡無言、隱情惜己、自同寒蟬、謂寒蟬不秋凉上レ鳴也、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1187 蚱蟬〈ナハセミ七月生〉

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1187 啞蟬 本綱未秋風、則瘖不鳴者、
按此蟬如土用中、則觸物如吃吃、而不鳴、立秋始鳴、然不常蟬、和名抄所謂奈波世美是乎、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1188 蚱蟬 アカゼミ(○○○○) サトゼミ(○○○○)〈○中略〉 アキゼミ(○○○○) ヒグラシ(○○○○)〈古歌阿州〉 オホゼミ(○○○○)〈江州○中略〉
蚱蟬ハ形大ニシテ翅ノ色黃赤ク、スキトヲラズ、八月ニ至リ、未ノ刻以後多ク鳴ク、弘景雌蟬トスルハ非ナリ、雌蟬ハ鳴カズ、故ニ啞蟬ト云、俗名ナハゼミ(○○○○)、〈和名鈔〉 オシゴロウ(○○○○○)〈前○中略〉 時珍、未秋風則瘖不鳴、謂之啞蟬ト云フハ非ナリ、

〔蜻蛉日記〕

〈下ノ中〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1188 六月になしつ、ひんがしおもての、朝日のけ、いとくるしければ、みなひさしにいでたるに、〈○中略〉せみのこゑいとしげうなりにたるを、おぼつかなうて、また見みをやしなはぬ翁ありけり、庭はくとて、箒をもちて、木のしたにたてるほどに、俄にいちはやうなきければ、おどろきて、ふりあふぎていふやう、よいぞ〳〵といふ、なは(○○)〈○なは、解環抄作なく、〉せみ(○○)木にをるはむしだにときせちをしりたるよとひとりごつにあはせて、しか〴〵となきみちたるに、おかしうも、あはれにもありけん、

馬蜩

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1188 馬蜩 爾雅注云、馬蜩、一名蝒、〈音綿、和名無末世美(○○○○)、〉蟬中最大者也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1188 爾雅、蝒馬蜩、郭注云、蜩中最大者爲馬蜩、初學記引孫炎曰、蝒馬蜩、蟬最大者也、此所引或是、鄭樵注云、其聲響震巖谷、郝曰、今此蟬呼爲馬䘁蟟、其形龎大而色異、鳴聲洪壯、都無回曲、好樹顚、尤喜楊柳林中噪、本草、蚱蟬生楊柳上者殆是、此以充无末世美允、然馬蜩以五月鳴、詳見蚱蟬條、无末世美八九月乃出、頗不同、未果當否、説文、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01660.gif 、蚗蟬屬、段曰、玉篇廣韵皆曰、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01660.gif 卽蝒字、然則許之http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01660.gif 蚗、卽爾雅之馬蜩也、説文別有蝒字、系淺人羼入也、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1188 蝒〈ムマセミ〉 馬http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01661.gif 〈ムマセミ〉

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1188 蚱蟬 蝒〈音〉 馬蜩 俗云無末世美(○○○○)〈○中略〉
按和名抄、蚱蟬〈和名奈波世美〉以爲雌蟬不鳴者非也、此據陶氏之本草謬然矣、蓋蚱蟬卽馬蟬(○○○○○)也、形長大於 蟬、身深褐色、羽略厚、美灰白色、聲大而緩、不蟬之連聲也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1189 蚱蟬〈○中略〉
馬蜩ハムマゼミ(○○○○)〈和名鈔〉 クマゼミ(○○○○)〈京〉 ヤマゼミ(○○○○)〈同上〉 ホンセミ(○○○○)〈阿州〉ワシ〳〵ゼミ(○○○○○○)〈筑後○中略〉コロモゼミ(○○○○○)〈勢州〉 カタビラゼミ(○○○○○○)〈肥前○中略〉 形アカゼミヨリ大ニシテ、身黑ク、羽スキトヲリテ綠脈アリ、鳴聲モ大ナリ、アカゼミヨリ微シ後レテ出、鄭樵ガ爾雅註ニ、馬蜩蟬類中最大者、其聲響震巖谷ト云、時珍以テ蚱蟬トスルモノハ非ナリ、〈○下略〉

寒蜩/蛁蟟

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1189 寒蜩(○○) 兼名苑云、寒蜩、一名寒螿、〈音漿〉一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01659.gif 、〈音鷹、俗云加無世美(○○○○)、〉似蟬而小、靑赤、月令曰、寒蟬鳴是也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1189 本草和名、寒螿在蚱蟬條、無和名、按陶弘景曰、寒螿九月十月中鳴、甚悽急、郝曰、今此蟬靑綠、鳴聲幽抑、俗人呼之秋凉者也、是所謂久都久都保宇之(○○○○○○○)也加牟世美之名今不傳、其物未詳、按説文、蜺寒蜩也、爾雅、蜺寒蜩、、郭注云、寒螿也、郭注爾雅又云、似蟬而小靑赤、月令曰、寒蟬鳴、方言云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01659.gif之寒蜩、兼名苑蓋本於此、又與爾雅注合、然淮南子注云、寒蟬靑蟬也、方言注云、寒蜩螿也、似小蟬而色靑、則作靑者亦不據、那波氏作靑亦者、蓋依爾雅注改、非源君之舊也、似蟬以下當是兼名苑注文、〈○中略〉又作月令曰寒蟬鳴是也、疑依爾雅注增益也、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1189http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01661.gif 〈カムセミ〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1189 蚱蟬〈○中略〉
寒蟬ハカムセミ(○○○○)〈和名鈔○中略〉 ツクシシヤウ(○○○○○○)〈筑後〉 ツクツクボウシ(○○○○○○○)〈京〉 ツクシコヒシ(○○○○○○)〈江州○中略〉 形小クシテ色黑シ、八九月晩景ニ鳴ク、ツクシヨシトナクト俗ニ云ト、大和本草ニ云ヘリ、

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1189http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01655.gif (○○) 陶隱居本草注云、蛁蟟〈凋遼二音、字亦作虭蟧、和名久豆久豆保宇之(○○○○○○○)、〉八月鳴者也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1189 方言、蛥蚗齊謂之螇螰、自關而東謂之虭蟧、説文、螇鹿、蛁蟟也、則知虭蟧蛁蟟 異文、段氏曰、許書無蟟字、淺人增虫耳、當尞、按説文、蛁、蟲也、亦非此義、郝氏曰、方言作虭蟧、夏小正作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01662.gif 、廣雅作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01663.gif、説文作蛁蟟、淮南子道應訓注作貂蟟、今東齊人謂之德勞、或謂之都盧、楊州人謂之都蟟、皆語聲相轉者、〈○中略〉本草和名、蛁蟟在蚱蟬條、別無和名、今俗呼郡久郡久保宇之(○○○○○○○○○○)、證類本草中品蚱蟬條引云、七月八月鳴者名蛁蟟、本草和名引云、蛁蟟八月鳴者、恐輔仁所引誤脱七月字、源君襲其誤也、按陶云、七月八月鳴者名蛁蟟、色靑、郝云、今德勞正以七月鳴、其鳴自呼、其色靑碧、形小修長、順天人謂之夫爹夫娘者也、鹽鐵論散不足篇云、諸生獨不季夏之螇乎、音聲入耳、秋風至而無聲、今此蟬八月中卽不鳴矣、則當是江戸俗或呼衣蟬(○○)、秋末盛鳴、其聲如民々(○○)、源君訓久都久都保宇之是、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1190 蛁蟟クツ〳〵ホウシ

〔物類稱呼〕

〈二/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1190 蛁蟟つく〳〵ばうし 上野にてほつてう(○○○○)と云、近江にてつくしこひし(○○○○○○)と云、今按に俊賴朝臣、うつくしよし(○○○○○○)と蟬の鳴らんと詠じ給ひしは、つく〳〵ばうしにやあらん、

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1190 蟪蛄 蛁蟟 蜓㕲 螇螰 蛥蚗 和名久豆久豆保宇之〈○中略〉
按少於蟬而略團、其頭褐色、身及羽淺靑色、鳴聲如久豆久豆法師、故名之、關東則多有而畿内希、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1190 蚱蟬〈○中略〉
蛁蟟ハミンミン(○○○○) ミイミイ(○○○○)〈作州〉 メンメン(○○○○)〈加州○中略〉 ビイドロ(○○○○)〈勢州〉 形大ニシテ馬蜩ノ如ク、勿スキトヲレハ、秋末成皿ニ鳴テ自ラ呼ブ、

〔蜻蛉日記〕

〈下ノ中〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1190 八月ついたちの日雨ふりくらす、ひつじの時ばかりにはれて、つく〳〵ほうし、いとかしがましきまでなく、

〔小野宮右衞門督家歌合〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1190 はきものならべたるいのりの師、はきものをふたつならべて、つとめこじ、くつ〳〵ほうしいづこ成らん、

〔嬉遊笑覽〕

〈十二/禽蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1191 重ねていふ聲は、くつ〳〵も、つよりいへば、つく〳〵となる、つく〳〵ほうしも、ほうしより聞なすときは、ほうしつく〳〵となれり、

〔散木弃謌集〕

〈二/夏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1191 人々まうできて歌よみけるに蟬をよめる
女郎花なまめきたてるすがたをやうつくしよしと蟬の鳴らん

〔夫木和歌抄〕

〈九/蟬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1191 屋のつまにつく〳〵ぼうしのなくをきゝて 俊賴朝臣
我宿のつまはねよくや思ふらんうつくしといふむしのなくなる

茅蜩

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1191 茅蜩 爾雅注云、茅蜩一名蠽、〈子列反、和名比久良之(○○○○)、〉小靑蟬也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1191 比具良之、見万葉集及古今集、拾遺物語曰、是蟲將暮乃鳴、故有是名、今俗或呼加奈加奈、爾雅、蠽茅蜩、郭注云、似蟬而小、靑色、此所引蓋舊注也、説文、蠽、小蟬蜩也、李時珍曰、小而色靑綠、郝氏曰、今此蟬形尤小、好鳴於草梢也、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1191http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01661.gif 〈ヒクラシ〉

〔伊呂波字類抄〕

〈比/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1191 䘁〈ヒクラシ小音蟬也〉 茅蜩同

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1191 䘁(ヒグラシ)

〔八雲御抄〕

〈三/下虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1191 ひくらし〈同物、(蟬)秋近成鳴は、ひくらしなり、〉

〔倭訓栞〕

〈中編二十一/比〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1191 ひぐらし 和名抄に茅蜩をよめり、日暮の義、おもひくらしの音になくなどよめり、上總にくつはぜみ(○○○○○)、又かな〳〵(○○○○)といふ、鳴聲鈴音の如くにして甚高し、色は靑綠なり、本草にもさいへり、顯昭は夕つかた鳴なりといへれど、朝ぼらけ日ぐらしの聲聞ゆなりともよめり、されば昧爽には鳴とも、日出て後は鳴かず、實に暮をもて主とするをもて、名を得たるなり、

〔物類稱呼〕

〈二/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1191 茅蜩ひぐらし 上總にてくつは(ワ)せみと云、又かな〳〵と云、

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1191 茅蜩 茅䘁〈當http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01664.gif〉和名比久良之〈○中略〉 按深山中有之、人家近處希有也至晩景鳴聲寂寥、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1192 蚱蟬〈○中略〉
茅蜩(○○)ハヒグラシ〈和名鈔〉 クツワゼミ〈上總〉 カナカナ〈同上〉 大サ蟪蛄ノ如ク、身色淡褐ト淺黑ト相雜リテ綠條アリ、長サ六分許、羽ハ長ク、身ニ倍シテ、スキトヲレリ、此蟬ハ山中ニ在リ、必申剋ヨリ鳴ク、又早朝ニモ鳴ク、

〔萬葉集〕

〈八/夏雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1192 大伴家持晩蟬歌一首
隱耳(コモリノミ)、居者鬱悒(ヲレハイブセミ)、奈具左武登(ナグサムト)、出立聞者(イデタチキケバ)、來鳴日晩(キナクヒグラシ)、

〔萬葉集〕

〈十/夏雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1192
默然毛將有(モダモアラン)、時母鳴奈武(トキモナカナム)、日晩乃(ヒグラシノ)、物念時爾鳴管本名(モノモフトキニ ナキツヽモトナ)、

〔萬葉集〕

〈十/秋雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1192 詠蟬
暮影(ユフカゲニ)、來鳴日晩之(キナクヒグラシ)、幾許(コヽダクモ)、毎日聞跡(ヒゴトニキケド)、不足音可聞(アカヌコエカモ)、

〔源氏物語〕

〈三十九/夕霧〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1192 日いりがたになりゆくに、そらのけしきもあはれにきりわたりて、山のかげはをぐらき心ちするに、ひぐらしなきしきりて、かきほにおふるなでしこの、うちなびきけるいろもおかしうみゆ、

〔異本枕草子〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1192 七月十よかばかりの日ざからのいみじうあつきに、おきふしいつしか夕すゞみにもなりなんと思ふほどに、やう〳〵くれかたになて、日ぐらしのはなやかになきいでつる聲ききつるこそ、物よりことにあはれにうれしけれ、

〔蜻蛉日記〕

〈中ノ上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1192 やまみちにいたりかゝれば、さかのはてばかりになりにたり、ひぐらしさかりとなきみちたり、きけばかくぞおぼえける、
なきかへるこゑぞきほひて聞ゆなるまちやしつらんせきのひぐらし、とのみいへる、人には いはず、

〔桐火桶〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1193 山かげのけしき、物あはれなるゆふまぐれに、日ぐらしのなきたるなどぞ、おもひ出られ侍る、

䗿母

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1193 蚱蟬〈○中略〉
䗿母(○○)〈ハ〉ハルセミ(○○○○) マツムシ(○○○○)〈備前、筑前、但州、防州、〉 クダマキ(○○○○)〈常州〉 三月ニ山谷ノ樹上ニ集リ、鳴コト甚聒シ、市中ヘハ出ズ、長サ八分許、身羽倶ニ色黑シ、蟬類中最早ク鳴クモノナリ、

蟪蛄

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1193 蚱蟬〈○中略〉
蟪蛄(○○)〈ハ〉ナツゼミ(○○○○) マツムシ(○○○○)〈豫州松山〉 ヒグラシ(○○○○)〈同上、吉田、○中略〉 五月ニ早朝ヨリ、夕方マデ鳴キツヾク聲ニ抑揚アリ、ソノ蟬ハ形小ニシテ淡黑色、羽ハスキトヲレリ弘景四五月鳴而小紫、靑色者蟪蛄也ト云、群芳譜、莊子ニ、謂蟪蛄夏蟬ト云、秘傳花鏡ニ、夏曰蟪蛄ト云、等ノ説ニ從フベシ、時珍以テ、蛁蟟ト爲ルモノハ是ニ非ズ、

蟬雜載

〔異本枕草子〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1193 六月廿日ばかりに、いみじうあつきに、せみの聲のみたえずなきいだして、風のけしきもなきに、いとゞこだかき木どものおほかるが、木くらくあをきなかより、きなる葉のやうやうひるがへりおちたるこそ、すゞろにあはれなれ、

〔四季物語〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1193 五月雨の晴間なき空も、いつしか名殘なくなりて、雲の峯ヘ立ち重なり、いみじき金岡が手にも、かうやうには、たくみ得難う、稍の蟬の聲々かしがましと、枕上うるさけれど、實にや里のかたへの、こほ〳〵と鳴る唐臼の音とは、やう變りたり、

白蠟蟲

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1193 蟲白蠟(○○○) イボタロウ(○○○○○) 會津ロウ(○○○○)
水蠟樹(イボタ)ニ生ズル蟲ノ巢ノ蠟ナリ、水蠟樹ハ俗名イボタ、 コヾメバナ、〈阿州〉ウシタヽキ、〈土州〉ネズミノマクラ、〈雲州〉 山野道旁ニ甚ダ多シ、樹高サ三四尺、稀ニ丈餘ナル者アリ、葉ハ長シテ兩頭圓ナリ、枝葉共ニ對生ス、五月枝端ゴトニ花ヲ開キ穗ヲナス、長サ二三寸、枝アリテ、小花簇リ生ズ、五瓣、女貞ノ花ニ異ナラズ、後綠實ヲ結ブ、形圓長、熟シテ黑色、鼠糞ノ形ノ如シ、亦女貞實ニ似タリ、其山中ニ生ズル者ハ、樹皮ニ白粉厚ク纒ヒ、綿ノ如ク色白シ、遠ク望メバ雪ノ如シ、コレ蟲ノ巢ナリ、コレヲトスベリ、〈播州〉トバシリ、〈阿州〉ヤマオシロヒ〈備後〉ト云、コノ粉ヲ採リ、戸障子ノ走リ難ニ閾ニヌレバ、ヨクウゴク、故ニトスベリ、トバシリノ名アリ、又能疣ヲ治ス、故ニイボタト名ク、コノ粉ヲ採リ集メ、水ニテ煎ジ、布或ハ絹ニテ漉シ、冷水中ニ投ジテ蠟トス、色潔白ニシテ光リアリ、甚堅シ、擘キ破レバ、刷絲紋アリ、コレヲ蟲白蠟ト云、古ハ多ク舶來アレドモ、久シク渡ラズ、天明年中少シク渡ル、元來外家ニ用ユル蠟ハ、皆コノ物ナリ、然ルニ今ハ漆蠟ヲ用ヒテ、膏藥ヲ製スルハ宜シカラズ、唐山ニテハ女貞樹ニ、コノ蟲ヲ養フ、故ニ一名蠟樹ト云、本邦ニテモ國ニヨリ、自然ト女貞樹ニコノ蟲生ズルコトアリ、肥前大村、備前西大寺ニテコレヲモ、トスベリト云、又秦皮(トネリコ)樹ニモ生ズ、播州能州ニアリ、

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01665.gif

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1194 蜚蠊 本草云、蜚蠊、〈菲廉二音〉一名蠦蜰、〈音肥、和名豆乃無之(○○○○)、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1194 千金翼方、證類本草中品有蜚蠊、不一名、證類本草引唐本注云、一名盧蜰、此所引卽是、爾雅、蜚蠦蜰、説文、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01666.gif 臭蟲、負蠜也、又云、蜰、盧蜰也、郭注爾雅、蜰、卽負盤、臭蟲、下總本蠦作盧、伊勢廣本同、與證類本草本草和名合、説文無蠦字、知从虫俗字、然伊呂波字類抄亦作蠦、爾雅廣韻並亦從虫、今不遽改、本草蜚蠊生晉陽川澤及人家屋間、陶云、形亦似虻虫、而輕小能飛、本在草中、八月九月知寒、多入人家屋裏逃爾、有兩三種、以廉薑氣眞、鄰懿行曰、此蟲氣如廉薑、故名飛廉、圓薄如盤、故名負盤、今俗人呼之殠般蟲、其大如錢、輕薄如葉、黃色解飛、其氣殠惡、春秋莊廿九年有蜚、漢書五行志、劉歆以爲負蠜也、性不穀、食穀爲災、介蟲之孽、是説文從劉歆蜚爲負蠜、蠜盤 聲近那疏作蠜、爲草蟲負蠜而誤其聲、是也、又云、此蟲名蜚、舍人李巡皆云、蜚蠦一名蜰、非也、蘇引別錄云、形似蠶蛾腹下赤、蜀本圖經云、多在林間、百千爲聚、李時珍曰、今人家壁間竈下極多、甚者聚至千百、身似蠶蛾、腹背倶赤、兩翅能飛、喜燈火光、其氣甚臭、其屎尤甚、小野氏可、可以充油蟲、然云草中林樹間、云蠶蛾盤如一レ錢、云作廉薑氣、皆不今之油蟲、〈○中略〉本草和名云、阿久多牟之、一名都乃牟之、按阿久多牟之、都乃牟之、二名今不傳、未果當蜚蠊

〔伊呂波字類抄〕

〈津/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1195 蜚蠊(/ヒレム)〈ツノムシ〉 天牛 蠦蜰〈已上同〉

〔同〕

〈安/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1195 蜚蠊(アクタムシ)〈アキ厶シ(○○○○)立秋〉

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1195 蜚蠊(あぶらむし) 石薑 虚蜰 茶婆蟲 滑蟲 香娘子 負盤 和名豆乃無之 俗云油蟲〈○中略〉
按蜚蠊、多生古竈間、大五六分、有翅不能飛、但跂行也最逸、亦褐而其氣也色也如油、故俗名油蟲、夜竄晝出、甚者數百爲群、挾卵於尾行、喜咂飯、其所在遺黑屎、以汚物、與蠅同可憎者、或有純白者、共好著油紙、故用古傘於裏取棄也、易死易活、雖躙殺頭輙活、

螻蛄

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1195 蟪蛄〈上圓計反、下古胡反、螻也、介良(○○)、〉 虭〈徒高反、蟪也、介良、〉 螻〈魯候反、介良、〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1195 螻蛄 崔豹古今注云、螻蛄、〈婁姑二音〉一名殼、〈胡木反〉方言云、螻http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01667.gif 〈音室〉一名碩鼠、〈和名介良(○○)、今按、碩宜鼫、〉有五能而不伎術、其一曰、飛不屋、其二曰、緣不木、其三曰、泅〈音由、又音、游浮行也、〉不谷、其四曰、掘不身、其五曰、走不人、〈今按、一説云、能飛不屋、能啼不囀聲、能泅不瀆、能緣不木、能耕不身、喩人之短藝、見蔣魴切韻、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1195 證類本草下品作殻、千金翼方、爾雅夏小正竝作螜、本草和名作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01668.gif 、王燭寶典作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01669.gif 、〈○中略〉但http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01669.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01670.gif 字書無載、皆俗字也、然螜字且説文所無、説文http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01671.gif 螻蛄也、則知螜俗http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01671.gif 字、〈○中略〉新撰字鏡螻同訓、蟪蛄虭亦同訓、按本草云、螻蛄、一名蟪蛄、故訓蟪蛄介良、虭蟧蟪蛄之一名、見方言、然是小蟬之蟪蛄、非螻蛄之蟪蛄、蟪蛄爲介良者蟪蛄之一名、不虭爲介良(イキ)也、爾雅、螜、天螻、郭注、螻蛄也、與本草合、説文、螻螻蛄也、一曰聲天螻、段玉裁曰、依郭璞則此一曰猶一名耳、但恐郭注未穩、方 言蠀螬或謂之蝖http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01672.gif 、或謂之天螻、則非螻蛄也、埤雅引孫炎正義云、螜是雄者、喜鳴善飛、雌者腹大羽小、不飛翔、食風與一レ土也、本草圖經云、穴地糞壤中而生、夜則出求食、李時珍曰、喜就燈、郝懿行曰、螻蛄短翅不遠飛、黃色四足、頭如狗頭、尤喜夜鳴、聲如蚯蚓、〈○中略〉玉篇廣韻皆作螲、然諸本皆作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01667.gif 、伊呂波字類抄亦同、按正字通載http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01667.gif云、螲字之譌、則螲或訛作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01667.gif 也、〈○中略〉又依原書及廣韻、室亦似窒字之誤、然螲旣誤作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01667.gif 、則源君或誤音室亦未知、亦姑依舊、〈○中略〉按説文云、鼫、五枝鼠也、能飛不屋、能緣不木、能游不谷、能穴不身、能走不人、周易晉卦正義引蔡邕勸學篇、鼫鼠五能不一伎術、注與説文同、本草云、螻蛄一名碩鼠、廣雅云炙鼠、螻蛄也、廣韻、石鼠、一名、仙蛄、故古今注以五技螻蛄、蔣魴切韻蓋依之、爾雅釋文云、鼫鼠、或云卽螻蛄也、亦同、周易正義云、鼫鼠有五能而不伎之蟲也、謂鼫鼠蟲、亦似據崔説、然爾雅、鼫鼠載在釋獸鼠屬、孫炎舍人樊光、皆以爲五技鼠、形如大鼠、頭似兎尾有毛靑黃色、好在田中、食粟豆、關西呼爲䶂鼠、見廣雅、音雀、毛詩魏風碩鼠篇正義引義疏云、今河東有大鼠、能人立、交前兩脚於頸上、跳舞善鳴、食人禾苗、人逐則走入樹空中、亦有五技、或謂之雀鼠、其形大、故序云、大鼠也、郭注云、是螻蛄之碩鼠、五技鼠之鼫鼠、其名同而實不同也、崔氏混爲一誤也、

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1196 螻蛄(ケラ)

〔書言字考節用集〕

〈五/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1196 螻蛄(ケラ)〈天蛄、仙姑、梧鼠、並同、〉土狗(同) 石鼠(同) http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01668.gif (同)〈並出本草

〔物類稱呼〕

〈二/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1196 螻蛄けら 京にて、しやうらいむしと云、荀子に、鼫鼠(けら)の五技を註して曰、〈○中略〉是を鼫鼠才(けらざい)と云て、實なき人のたとへ也、俗に石臼藝といふも同じ心か、又諺に、むしけらなどいふは、けらをのみいひし語の事にはあらず、すべて虫類をいふなり、

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1196 螻蛄 大螻 土狗 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01668.gif 仙姑 和名介良 又異名多〈○中略〉
按、螻蛄、能治小鳥病鸎者、如有煩則取螻蛄餌、卽時活、有神効、諺謂、百舌鳥(ツクミ)喜則螻蛄憤春是也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1197 螻蛄 ケラ(○○)〈和名鈔 作州ニテ、ケラト呼モノハ別物ナリ、〉 コマムシ(○○○○)〈闘東〉 ゴキアラヒムシ(○○○○○○○)〈豫州〉 アマニヨカア(○○○○○○)〈琉球〉 ヲケラ(○○○)〈越前○中略〉
夏月土中四五分ノ下ニ穴居ス、長サ一寸半許、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01586.gif 螽(ヲイタチ)ニ似テ、首圓長ナリ、全身黑褐色、雄ナルモノハ翅アリ、夜飛テ燈光ニ就ク、土中ニアル時ヨク鳴ク、雌ナル者ハ鳴カズ、翅甚ダ短ク、飛ブコトアタハズ冬月ハ皆深ク土中三四尺ノ下ニ入リ、泥中ニ蟄ス、

石蠶

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1197 石蠶 イサゴムシ(○○○○○)〈古名〉 ゲナ(○○)〈京〉 セムシ(○○○) タンコロボ(○○○○○)〈和州〉 ガムシ(○○○)〈津輕〉 ケラ(○○)〈紀州〉
流水中石上ノ蟲ナリ、背ニ小沙石ヲ綴リ負テ石ニ附ク、漁人取テ釣餌トス、其蟲ハ形小蠶ノ如ク、淺黃色、長サ五六分、後羽化シテ飛去ル、紀州木ノ本ニテ、已ニ化シテ未ダ羽アラザル者ヲ、ミヅケラ(○○○○)ト云、羽ヲ生ジテ飛ブモノヲ、トビケラ(○○○○)ト云、一種粗砂ヲ負テ石ニ附ク者ハ、蟲ノ長サ一寸許、靑黑色、後羽化シテカネツケトンボウ(○○○○○○○○)トナルト云、
一種細砂ヲ綴リテ小窠ヲ爲シ、上ノ左右ニ粗砂各一塊ヲ綴リテ兩袖ノ如シ、下ノ左右ニモ各一塊ヲ綴リテ、米包ヲ並ブルガ如シ、頭ニ小砂一塊ヲ戴キテ石ニ附ク、其形世ニ祠ルトコロノ大黑天ノ狀ノ姑シ、コレヲ大黑ムシ(○○○○)ト呼ビ、叉イハムシ(○○○○)〈和州奈良〉ト云、長サ四五分、和州南都興福寺中小流ニアルモノ名産ナリ、諸州淸流ニハ、皆アリ、然レドモ巧拙アリテ、其髣髴タル者ハ少ナシ、長サ七八分ナル者モアリ、皆採テ水ヲ離レバ、内ノ蟲窠ヲ出デヽ死ス、 一種羽州方言ゴミカヅキ(○○○○○)ト呼者ハ、蟲ノ長サ一寸許、細砂ヲ以テ細筒ヲ爲シ、内ニ居ル、石ニ附カズ、兩頭一般ノ大サニシテ、一頭ヨリ足ヲ 出シテ行ク、土人中ノ蟲ヲ取テ釣魚ノ餌トス、以上皆石蠶類也、又石部ニ石蠶(ミドリイシ)アリ、同名異物也、
附錄、雲師、雨虎 雲師ハ詳ナラズ、雨虎ハ薩州山中ニアメフラシト呼ブ者アリ、雨中ニ出、形石 決明ニ似テ瘦テ殻ナシ、
增、薩州曾士考云薩摩山中有蟲、方言阿女不良士、狀似海粉母、而其首如蛙、有肉角、全身黃褐色、大可五寸、天將雨則蠕蠕出於巖坎、蓋雨虎也、
按、廣東新語作雨師、雲師又作雨師、如謂事物紺珠作雨虎、如蛹、

衣魚

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1198 蟫〈余針大南二反、平、志彌(○○)、〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1198 衣魚 本草云、衣魚、一名白魚蟫、〈音淫、一音覃、和名之美、〉爾雅注云、一名蛃魚〈上音柄〉衣書中自生虫也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1198 千金翼方、證類木草下品鱏作蟫下總本廣本同伊呂波字類抄亦從虫、按説文云、蟫魚名、又云、鱏白魚也、二字不同、從虫爲是、然本草和名引作鱏與此同、蓋是蟲名衣魚白魚、以其白而在衣中尾似魚尾也、故俗字變虫從魚也、今不徑改、〈○中略〉按訓之美輔仁、新撰字鏡蟫、同訓、之美、叉見源氏物語橋姫卷、或曰、之美、蟫字音之轉、〈○中略〉郭注略同、而有少異、此或引舊注、本草衍義云、衣魚多在故書中、久不動、帛中或有之、不故紙中多也、身有厚粉、手搐之則落、亦囓毳衣、其形稍似魚其尾又分二岐

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1198 蟫〈シミ〉

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1198 紙魚(シミ) 士魚(シミ)

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/牝生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1198 衣魚 シミ〈和名鈔〉 ハクムシ(○○○○)〈佐渡〉 ハクギヨ(○○○○)〈雲州〉 キラヽムシ(○○○○○)〈南部○中略〉 ノヲジ(○○○)〈能州○中略〉
器物ノ中、或ハ書册ノ重リタル間ニ生ズ、大ナル者ハ長サ四五分、全身白ク光アリテ銀ノ如シ、尾ニ兩岐アリテ、魚尾ニ似タリ、種陰濕ノ處或ハ壁間ニ住シ、光リアヲザル者ヲ、ヒラセムシ〈薩州〉ト云フ、

〔今昔物語〕

〈十四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1199 入道覺念持法花前生語第十三
今昔、入道覺念、〈○中略〉法花經ヲ受ケ習テ、訓ニシテ讀誦シケル、而ルニ經ノ中ニ、三行ノ文更ニ不讀、〈○中略〉覺念夢ニ氣高ク貴キ老僧來テ、覺念ニ吿テ云ク、汝宿因ニ依テ、此ノ三行ノ文ヲ不讀誦ル也、汝ヂ前生ニ衣魚(シミ)ノ身ヲ受テ、法花經ノ中ニ被卷籠テ、此ノ三行ノ文ヲ噉ミ失ヒタリキ、經ノ中ニアリシニヨツテ、今人ノ身卜生レテ、出家入道シテ法花經ヲ讀誦ス、經ノ三行ノ文ヲ噉失ナヒタリシニ依テ、其ノ三行ノ文ヲ不讀誦也、

〔今物語〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1199 安貞のころ、河内國に百姓有けるが、子に蓮花王といひけるわらはありけり、七なりける年死けるが、念佛申て西に向て、かたはらなる人に、我死たらば、七月〈○月、一本作〉といはんに、あけて見よと云て死にけり、其後人の夢に、必あけよといふとみて、あけてければ、舍利に成にけり、是を取て、人にをがませんとて、かりそめにちやうをして、入たりけるに、此帳をほどなく、むしのくひたりけるを見ければ、
歸命蓮花王 大聖觀自在 廣度衆生界 父母善知識とくひて、はての文字の所に、虫の死でありける、いとふしぎに、めでたき事也、

〔源氏物語〕

〈四十四/橋姫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1199 しみといふむしのすみかになりて、ふるめきたるかびくさゝながら、跡はきえずたゞいまかきたらんにも、たがはぬことのは共の、こまごまとさだかなるをみ給ふ、

〔拾遺愚草〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1199 しみ
おのづからうちおくふみの月日へてあくればしみのすみかとぞなる、

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01675.gif

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1199 蛜〈於指反、蝛也、於女虫(○○○)、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01673.gif 〈於女虫〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1199 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01674.gif 虫 本草云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01674.gif 虫、〈上音父祖之祖〉一名蛜蝛、〈伊威二音、和名於女無之、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1199 千金翼方、證類本草中品有http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01674.gif、無蛜蝛之名、下品有鼠婦云、一名蛜蝛、二物 不同、按本草和名、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01674.gif 蟲鼠婦、竝訓於女牟之、蓋輔仁不詳定、存疑於二物也、源君以其所訓同合爲一、遂言本草云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01674.gif 蟲一名蛜蝛、其實本草無有是文也、按廣雅云、負蠜http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01676.gif 也、玉篇云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01674.gif 鼠婦、負蠜也、負蠜卽負蟠、鼠婦一名見本草、則又混http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01674.gif 虫鼠婦一物、其誤與源君同、本草和名、引蛜蝛伊威、説文作蛜威、爾雅作蛜威、玉篇廣韻作蛜蝛、〈○中略〉按本草、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01674.gif 蟲、一名地鼈、一名土鼈、生河東川澤、及沙中人家牆壁下、土中濕處、陶云、形扁々如鼈、故名土鼈、而有甲不飛、小者有臭氣、今人家亦有之、蘇云、此物好生鼠壤土中及屋壁下、狀似鼠婦、而大者寸餘、形小似鼈、無甲但有鱗也此者無倭産、有淸商舶來者、説文有蠊訓蟲、與此異物、又爾雅、蟠、鼠負、郭注、瓮器底蟲、説文、幡、鼠婦也、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01677.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01677.gif 威委黍、委黍鼠婦也、本草鼠婦一名負蟠、一名蛜蝛、一名蜲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01642.gif魏郡平谷及人家地上、陶云、一名鼠負言鼠多在坎中、背則負之、今作婦字、如理、又一名鼠姑、蜀本圖經注云、爾雅云、蟠鼠婦、是也、多在甕器底及土坎中、常惹著鼠背、故名之也、俗亦謂之鼠粘、猶葈耳名羊負來也、是可以充於米牟之、京俗今猶呼於米牟之(○○○○)、江戸俗呼和良知牟之(○○○○○)、或曰於也知牟之(○○○○○)、新撰字鏡、蛜、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01673.gif 、並訓於女虫http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01673.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01642.gif 字之訛、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八/化生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1200 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01674.gif 蟲 通名 一名蚌虎〈潛確類書〉 壁蠹〈同上〉
http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01674.gif ノ字省テ䖨ニ作ル、〈正字通〉俗字ナリ、古ハ舶來ノ全蝎ノ中ニ混入セルモノアリ 、今ハナシ、近年少少別ニ來リシ殘物アリ、然レドモ皆碎折シ、全キ者ハ稀ナリ、全形ハ圓ニシテ微長ク、扁クシテ八分許、又小ナル者アリ、栗殻(クリ)色ニシテ、背ニ甲ナク横紋多シ、底ニ六足アリ、首足ノ形甚ダ飛蠊(アブラムシ)ニ似タリ、薩州ニハ四五分ノ長サナルモノアハ、今藥舖ニテ、和ノhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01674.gif 蟲ト呼ビ賣モノハ、飛蠊ノ翅ヲ去リタルモノアリ、又水蟲、ゴキアラヒムシ石州ヲ賣ルモノアリ、皆非ナリ、ゴキアラヒムシ(○○○○○○○)ハ、飛蠊ヨリ微シ短ク、上ハ形狹ク、下ハ廣クシテ硬甲アリ、黑色微靑ニシテ、褐色ノフクリンアリ、池水或ハ流水ノ淵等ニ生ジ、豉蟲(マヒ〳〵ムシ)ト同ク、時々水底ヨリ浮出テ、水面ニメグル、一名ドンガメムシ(○○○○○○)、〈播州〉スツポンムシ(○○○○○○)、〈土州〉ゲンゴロ(○○○○)〈江戸〉ガマシ(○○○)、〈南部〉唐山ニテハ食用シ、淸商モ貯へ來ル、漢名龍蝨〈五雜組〉 ト云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01674.gif 蟲ノ類ニ非ズ、用ベカラズ、又コノ一種ニ、甲黑シテ褐緣ナキモノアリ、コレモ源五郎〈江戸〉ト云、奧州涌谷ニテハ、二物通ジテ、ガムシト云江州ニテモ通ジテ、ヲバト云フ、

ワレカラ

〔栗氏蟲譜〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1201 ワレカラ(○○○○)尾州産、其地ノ方言也、是一種ノ水蟲ニシテ、海菜(ノリ)或ハ雜肴ノ中ニ交リ上モノナリ、一寸或ハ寸半許アリ、二寸ニ至ル者モマヽアリ、色靑シ〈○中略〉ワレカラクワヌ上人モナシト云ルコト、能登國人ノ常諺ナル由、輪池先生○屋代弘賢別ニ、詳説アリ見ベシ、紀伊國ニテ云、ワレカラ藻中ニ栖小貝ナリ、此モ一説ナリ、然レドモ藻ニスム蟲ノ説、穩當ナリト、云ベシ、尾張人、植松忠右衞門有信ナルモノ、屋代氏へ寫贈ノ處ノ者ナリト云フ、〈○中略〉ワレカラ此物海中藻ニスム小蟲ナリ、形水虱ニ似タリ、〈○中略〉佐州採藥錄ニアル圖ヲ以テ、コヽニ載出スルモノ也、〈○中略〉貝原翁ノ説、小貝ニシテ、蟲ニアラズトス、〈○下略〉

〔閑田耕筆〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1201 われからといふもの、小きゑびのごとしと、袖中抄にも見ゆ、越前、若狹、丹後わたりの方言には、ありから(○○○○)と云、尺なぎといふ物に似て、凡一寸計の赤きもの也、わかめの類の藻につけり、わがめ賣ル女どもに、ありから多く付たりと咎むれば、ありからくはぬ上人もなしと申すとこたふ、るよし、村井古巖かたれり、

〔伊勢物語〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1201 昔男人しれぬ物思ひけり、つれなき人のもとに、
戀わびぬあまのかるもにやどるてふわれから身をもくだきつる哉

〔古今和歌集〕

〈十五/戀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1201 題しらず 曲侍藤原直子朝臣
蜑のかるもに住虫の我からとねをこそなかめ世をばうらみじ

〔拾遺和歌集〕

〈十五/戀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1201 小野宮おほいまうち君につかはしける 閑院大君
君を猶うらみつるかなあまのかるもにすむ虫の名を忘つゝ

〔拾遺抄注〕

〈戀下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1201 古今云、〈○中略〉此歌ヲ爲本如此讀也、藻ニスム虫ヲバ、ワレカラト云也、ソレカラト イフ名ヲフスレテ、猶人ノソラキヲウラムトヨム也、ソノワレカラハチイサキ鰕(○○○○○)也、然者カヒツ物ニテコソアルベケレド、モニスムムシトヨミタレバ、連歌ニハ虫ニ用也、〈○下略〉

蜈蚣

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1202 蜈蚣 兼名苑云、蜈蚣〈英公一二音〉名螏蟍、〈疾利二音〉一名百足、〈和名無加天(○○○)〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1202 按説文無蜈蚣字、古作呉公、是蟲生大呉川谷、見名醫別錄、故名呉公、廣雅及宋元板爾雅疏亦作呉公、不虫、千金翼方、證類本草作蜈蚣、然本草和名作呉公、則從虫者恐非唐本草之舊也、古事記亦作呉公、其從虫與蚣蝑字混無別、又按、爾雅云、蒺藜http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif 蛆、廣雅云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif 蛆呉公也、兼名苑本於此、釋文云、本亦作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01678.gif、玉篇廣韻作螏蟍、从虫皆俗字、兼名宛作犁者同音假借也、郭注爾雅云、似蝗大腹長角、能食虵腦、郝曰、是必非蜈蚣矣、高誘淮南子注、以http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif蟋蟀、但蟋蟀似蝗而小、亦非大腹、唐本草山東人呼蜘蛛、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif 蛆、亦能制虵、但蜘蛛雖大腹而無長角、又不蝗、此二物亦未能食一レ虵也、初學記引蔡邕短人賦云、蟄地蝗兮、蘆http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif 蛆、以http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif 蛆與一レ蝗爲類、又以譬況短人、決非蜈蚣之比、今有一種虴蜢蟲、大腹長角、色紫綠而形麄短俚人呼之山草驢、亦名蛆、蛆與http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif聲近、蔡賦郭注疑倶指此物、而食虵之説、又所聞、淮南子説林篇注http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif 、蛆蟋蟀爾雅謂之蜻蛚、大腹也、上虵、蚰不敢動、故曰http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif、然則http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif 蛆似蜻蛚而大腹、高誘注所説與郭義正合、但未是今何物耳、愚按、據爾雅蒺蔾http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif 蛆、蝗類非蜈蚣、廣雅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif 蛆卽蜈蚣、蓋同名異物也、玉篇以其名同誤、混http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01679.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif 蛆、蜈蚣一物、兼名苑襲之也、其實螏http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01679.gif 、或謂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif、不蜈蚣、蜈蚣或謂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif、不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01679.gif 也、又按、蜈蚣一名百足、病源候論、蜈蚣螫候云、此則百足蟲也、蜈蚣亦可百足、但未兼名苑所一レ據也、事物異名亦以百足蜈蚣一名、埤雅云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif 蛆今俗謂之百足、蜀本圖經云、生山南谷土石間、人家屋壁中亦有、形似馬陸、扁身黑、頭足赤者良、衍義云、蜈蚣背光黑綠色、足赤腹下黃、李時珍曰、節々有足、雙鬚岐尾、〈○中略〉无加天見枕册子

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1202 蜈蚣〈ムカデ〉

〔伊呂波字類抄〕

〈無/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1203 蜈蚣(/コセウ)〈ムカテ〉螏蟍 百足〈已上同〉

〔和漢三才圓會〕

〈五十四/濕生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1203 蜈蚣(むかで) http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01678.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01679.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01563.gif 蛆 天寵 和名無加天〈○中略〉
按本朝亦南方有大蜈蛤、一尺有餘者多矣、俗相傳曰、蜈蚣者毘沙門天之使也、不其所一レ由、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八下/濕生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1203 蜈蚣 ハガチ(○○○)〈日本紀上総〉 ムカデ(○○○)〈和名鈔〉 ムカゼ(○○○)〈濃州○中略〉
事物異名ニハ馬足ヲ載セズ、故ニ百足百脚ノ名ヲ此ノ條ニ混入ス、誤レリ、蜈蚣ハ舊屋ニ多シ、春ヨリ出、冬ハ蟄シタ出ズ、背ハ色黑クシテ光アリ、節々赤足アリテ相對ス、大和本草ニ、手兩ニ向ヘリ、故ニムカデト名クト云事物紺珠ニ、四十足ト云フ、今試ニ然リ、俗ニ百足ノ字ヲ用ルハ非ナリ、〈○下略〉

〔古事記〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1203 爾其大神〈○素盞鳴尊〉出見而、吿此者謂之葦原色許男卽喚入而、〈○中略〉亦來日夜者、入呉公(/○○)與蜂室、且授呉公蜂之比禮、敎先故平出之、

〔出雲風土記〕

〈島根郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1203 蜈蚣島(ムカテシマ)、古老傳云、有蜛蝫島(タコジマ)蜛蝫來蜈蚣居此島、故云蜈蚣島

〔異本枕草子〕

エtやのいとふるくて、かはらぶきなればにやあらん、あつさのよにしらねば、みすのとによるも、ふしたるも、ふるき所なれば、むかでといふ物ひとちおちかゝり、〈○中略〉いとおそろしき、

〔羅山文集〕

〈三十七/傳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1203 二荒山神傳
一書緣起曰、昔在宇中將好田獵一旦忤上旨左遷、獨騎靑馬鷹狗潛往奧州富家朝日氏之女、六年生子曰馬王、馬王幸妾生兒、貌陋醜似獼猴、故名曰猿麻呂、〈○中略〉皆死爲二荒神、山中有湖、近湖有沼、二荒神與上野國赤城神湖曰、此下野國也、赤城神曰、此上野國也、相戰不決、赤城乘勝、二荒神憂之、於之鹿島神誨之曰、猿麻呂孫也、善射http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01680.gif 召而勠一レ力、或時猿麻呂狩熱借(アツカシ)山、二荒神忽化鹿入熱借山、猿麻呂逐之、鹿走歸二荒山而不見、猿麻呂尋之、俄見一婦、呼猿麻呂曰、汝不知乎、妾是此山主也、汝是妾之孫也、誘汝至此者、欲使汝伐我寇、我寇赤城神、現蜈蚣貌、妾爲蛇蟒姿、以是爲證、汝獲克、則與此 山于汝、以爲遊獵之地、猿麻呂諾去、明日日中往視湖西、有沼栢藤諸樹灌茂、有蜈蚣西來、群蛇出鬪、相螫相咬、蜿蜒曼衍、蜈蚣動繞纒蛇頸、屈蟠匍匐、彌山塡谷、不其幾百千也、猿麻呂未赤城神爲一レ何也、於是一互蜈蚣左右生角、與大蛇急接、猿麻呂以爲赤城神是也、而發矢中左目蜈蚣被疵奔、蛇欲北、猿麻呂諫而止焉、猿麻呂獨逐而行、踰湯下小山頂、到上毛國利根川而還、其戰場血流水赤、故曰赤沼、其山草木皆染血、故曰赤木山、今云赤城山

〔太平記〕

〈十五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1204 三井寺合戰幷當寺撞鐘事附俵藤太事
此鐘ト申ハ、昔龍宮城ヨリ傳リタル鐘也、其故ハ承平ノ比、俵藤太秀郷ト云者有ケリ、或時此秀郷只一人、勢多ノ橋ヲ渡ケルニ、長二十丈許ナル大蛇、橋ノ上ニ横テ伏タリ、兩ノ眼ハ耀テ、天ニニノ日ヲ卦タルガ如、雙ベル角尖ニシテ、冬枯ノ森ノ稍ニ不異、鐵ノ牙上下ニ生チガフテ、紅ノ舌炎ヲ吐カト怪マル、若シ尋常ノ人是ヲ見バ、目モクレ魂消テ、則地ニモ倒ツベシ、サレドモ秀郷天下第一ノ大剛ノ者也ケレバ、更ニ一念モ不動ゼシテ、彼大蛇ノ背ノ上ヲ荒カニ蹈テ、閑ニ上ヲゾ越タリケル、然レ共大蛇モ敢テ不驚、秀郷モ後ロヲ不顧シテ、遙ニ行隔タリケル處ニ、怪ゲナル小男一人忽然トシテ、秀郷ガ前ニ來テ云ケルハ、我此橋ノ下ニ住事已ニ二千餘年也、貴賤往來ン人ヲ量リ見ルニ、今御邊程ニ剛ナル人未見、我ニ年來地ヲ爭フ敵有テ、動バ彼ガ爲ニ被惱、可然ハ御邊我ガ敵ヲ討テタビ候ヘト、懇ニコソ語ヒケレ、秀郷一義モ不謂子細有マジト領狀シテ、則此男ヲ前ニ立テヽ、又勢多ノ方ヘブ歸ケル、二人共ニ湖水ノ波ヲ分テ、水中ニ入事五十餘町有テ、一ノ樓門アリ、開テ内へ入ルニ瑠璃ノ沙厚ク、玉ノ甃暖ニシテ、落花自繽紛タリ、朱樓紫殿玉欄干、金ヲ鐺ニシ銀ヲ柱トセリ、其壯觀奇麗未曾テ目ニモ不見、耳ニモ聞ザリシ所也、此怪シゲナリツル男、先内へ入テ、須臾ノ間ニ衣冠ヲ正シクシテ、秀郷ヲ客位ニ請ズ、左右侍衞官前後花ノ粧、善盡シ美盡セリ、酒宴數刻ニ及テ、夜旣ニ深ケレバ、敵ノ可寄程ニ成ヌト、周章騷グ、秀郷ハ一生涯ガ間、身ヲ放タ デ持タリケル、五人張ニセキ弦懸テ嚙ヒ濕シ、三年竹ノ節近ナルヲ、十五束三伏ニ拵ヘテ、鏃ノ中子ヲ筈本迄、打ドホシニシタル矢、只三筋ヲ手挾ミテ、今ヤ〳〵トゾ待タリケル、夜半過ル程ニ、雨風一通リ過テ、電火ノ激スル事隙ナシ、暫有テ比良ノ高峯ノ方ヨリ、燒松二三千ガホド二行ニ燃テ、中ニ島ノ如ナル物、此龍宮城ヲ指テゾ近付ケル、事ノ體ヲ能々見ニ、二行ニトホセル燒松ハ、皆己ガ左右ノ手ニトモシタリト見エタリ、アハレ是ハ百足蚿ノ化タルヨト心得テ、矢頃近ク成ケレバ、件ノ五人張ニ十五束三伏、忘ルヽ計引シボリテ、眉間ノ眞中ヲゾ射タハケル、其手答鐵ヲ射ル樣ニ聞ヘテ、筈ヲ返シテゾ不立ケル、秀郷一ノ矢ヲ射損テ、不安思ヒケレバ、二ノ矢ヲ番テ、一分モ不違態ト前ノ矢所ヲゾ射タリケル、此矢モ又前ノ如クニ躍リ返テ、是モ身ニ不立ケリ、秀郷二ツノ矢ヲバ皆射損ジツ、憑所ハ矢一筋也、如何セント思ヒケルガ、屹ト案ジ出シタル事有テ、此度射ントシケル矢サキニ、唾ヲ吐懸テ、又同矢所ヲゾ射タリケル、此矢ニ毒ヲ塗タル故ニヤ依ケン、又同矢所ヲ三度迄射タル故ニヤ依ケン、此矢眉間ノタヾ中ヲ徹リテ、喉ノ下迄羽ブクラ責テゾ立タリケル、二三千見ヘツル燒松モ光忽ニ消テ、島ノ如ニ有ツル物、倒ルヽ音大地ヲ響カセリ、立寄テ是ヲ見ルニ果シテ百足ノ蚿也、龍神ハ是ヲ悦テ、秀郷ヲ樣々ニモテナシケルニ、太刀一、振、卷絹一、鎧一領、頸結タル俵一、赤銅ノ撞鐘一ツヲ與テ、御邊ノ門葉ニ、必將軍ニナル人多カルベシトゾ示シケル、秀郷都ニ歸テ後此絹ヲ切テツカフニ更ニ盡事ナシ、俵ハ中ナル納物ヲ、取レドモ〳〵盡ザリケル間、財寶倉ニ滿テ、衣裳身ニ餘レリ、故ニ其名ヲ俵藤太トハ云ケル也、是ハ産業ノ財ラナレバトテ、是ヲ倉廩ニ收ム、鐘ハ梵砌ノ事ナレバトテ、三井寺へ是ヲタテマツル、
○按ズルニ、今昔物語ニモ蜈蚣ト蛇ト爭鬪ノ事アリ、蛇條ヲ參看スベシ、

〔均光卿記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1205 天明六年六月廿四日、北野社松樹大木自根銅色蜈蚣出、凡八尺計也、

〔沙石集〕

〈五上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1205 學生之蟻蜹之問答事 百足ト山神ト蛇ト知音ニテ、山中ニスミケルガ、百足、山神ニイハク、ワレハ百足アレドモアマリトモ覺エズ、ナムヂ足一ニテハ、イカデカタヤスクアルカン、九十九ノアシヲツクベシトイフ、一足ガイハク、フレハアシ一ニテヲドリアリクニ不足ナシ、ナムヂガ九十九ノ足キリテステヨトイフ、蛇ノイハク、ワレハ一モナク、百モナケレドモ、腹ヲモツテ、アリクニ事カケズ、百モ一モステヨトイフ、コノ事、ヲ思ニゲニモシカルヲヤ、

馬陸

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1206 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01681.gif 〈阿万比古(○○○○)〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1206 馬陸 本草云、馬陸、一名百足、〈和名阿未比古〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1206 千金翼方、證類本草下品同、説文、蠲、馬蠲也、引明堂月令曰、腐艸爲蠲、呂覽季夏紀作腐草化爲一レ蚈高誘注、蚈馬蚿也、蚈讀如蹊徑之蹊、淮南子時則篇注云、蚈馬http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01682.gif 也、爾雅、蜋馬䗃、郭注、馬蠲、蚐蚿、蚈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01682.gif 、蛝蚐、皆俗蠲字、後世借蠲爲除潔字、故製是等字也、太平御覽引呉普本草云、一名馬軸、方言馬蚿、其大者謂之馬蚰、郭注爾雅云、俗呼http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01683.gif 、蚰http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01683.gif 亦俗軸字、馬軸馬陸一聲之轉也、段玉裁曰、高誘注淮南子、蚈、一曰熒火、乃備異説、鄭注月令腐艸爲一レ熒曰、熒飛蟲熒火也、蓋非古文古説、〈○中略〉阿末比古依輔仁、新撰字鏡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01681.gif 同訓、蓋此虫、以雨後出、故名、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01681.gif 又見堤中納言物語、此名舍不傳、按陶云、今有一細黃虫、狀如蜈蚣而甚長、俗名土虫、雞食之、醉悶亦至死、此虫足甚多、寸々斷、便寸行、蘇云、此虫大如細拳管、長三四寸、斑色、一如蚰蜒、襄陽人名爲馬蚿、亦呼馬軸、亦名刀環虫、以其死側臥狀如刀環也、本草衍義云、馬陸卽今百節蟲也、身如槎節、節有細蹙紋起、紫黑色光潤、百足、長二三寸、尤者禽如小指、李時珍曰、形大如蚯蚓、紫黑色、其足比々至百、而皮極硬、節々有横文、如金線、首尾一般大、觸之帥側臥局縮如環、不必死也、今京俗呼圓座蟲(○○○)、關東俗呼也須傳(○○○)也、

〔和漢三才圖會〕

〈五十四/濕生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1206 百足(おさむし) 千足 白節 馬陸 馬蚿 馬http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01682.gif 馬蠲 馬䗃 馬軸 飛蚿刀環蟲〈○中略〉 按百足〈和名阿末比古〉形似織梭、故俗呼曰梭蟲、〈乎左無之(○○○○)〉黃色、大一二寸者多矣、俗以百足蜈蚣者非也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八下/濕生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1207 馬陸 アマヒコ〈和名鈔〉 エソザムシ〈京〉ミヅムシ(○○○○)〈勢州山田〉 クサムシ(○○○○)〈大和本草〉 ヲサムシ〈勢州龜山、南部、防州、雲州、〉 ヤスジ(○○○)〈水戸〉 ヤスデ(○○○)〈同上關東〉 ゼニムシ(○○○○)〈豫州〉 タイコムシ(○○○○○) カヤムシ(○○○○)〈讃州〉 ダイロウ(○○○○)〈豐前肥前〉 ワムシ(○○○)〈備前〉 一名蜋〈爾雅〉 馬http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01683.gif 〈爾雅註〉 馬蠲虳〈同上〉 馬蚰〈爾雅疏〉 商距〈通雅〉 秦渠 馮功〈共同上〉 錢龍〈畿輔通志〉
夏月水濕ノ處ニ多シ、盥盆ノ邊殊ニ多シ、長サ八九分、徑一分許、背ハ紫黑色、節多クシテ蜈蚣ノ形ニ似タリ、足ハ蜈蛤ヨリ數多クシテ淺褐色、腹モ同色ナリ、江戸ノ産ハ形稍長大ニシテ、節ゴトニ赤黑相間レリ、皆甚ダ臭氣アリ、若ソノ身ニ觸ルヽ時ハ、首ヲ内ニシテ卷曲シテ錢ノ如シ、

ゲヂ〳〵

〔和漢三才圖會〕

〈五十四/濕生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1207 蚰蜒 入耳 蚨虷 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01684.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01685.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01686.gif 蚭 蛉蛩 介和介和
按蚰蜒有毒、如舐頭髮則毛脱、昔以梶原景時蚰蜒、言動則入讒於耳害也、

〔嬉遊笑覽〕

〈一下/容儀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1207 今俗に身のうちをけじ〳〵に這はれたる處の毛ははげておひずといふ、或云、此俗説は下食時(ケジキシ)を誤りたる也、下食時とけじ〳〵と聲近きをもて云、是しかるべからず、けじ〳〵は本草山蛩蟲の附錄なる蚰蜒なり、此蟲人の耳に入る事あれば、一名入耳ともいへり、但し、その這たる跡、毛のはぐるよしは見えざれども、こゝには昔よりいひ傳へたり、實に此蟲の這たる處、腫て瘡となることあり、鷹筑波集けぢ〳〵にどこねぶられてよめがはげ、又紅梅千句に、守宮のしるしはげたるぞうき〈季吟〉、けぢ〳〵が留主する部やに這廻り〈長頭丸〉とあるにてもしるべし、これら皆けぢの假名を用ひたり、これも下食より云名ならばけしのかななり

蜘蛛/名稱

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1207 蝳〈豆http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01687.gif 反、久母(○○)、〉 蜘蛛〈久毛〉 蟰蛸〈二字足高久毛(○○○○)〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1207 蜘蛛 本草云、蜘蛛〈知誅二音〉一名䖦http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01688.gif 、〈拙牟二音、和名久毛、〉兼名苑云、鼅鼄〈今案卽蜘蛛二字也〉一名蝳聚、〈毒余二音〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1208 千金翼方、證類本草下品有蜘蛛、不一名、證類本草引陶隱居云、今此用網狀如魚罾、亦名䖦蟱、則知此所引陶注文、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01688.gif 字諸書無載、集韻䖦蟱蟲名、卽是字、從無似是、然本草和名亦作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01688.gif 、或是俗字、今不徑改、説文蠿蟊、作罔蛛蟊也、爾雅次http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01689.gif 、䵹鼄、郭注云、今江東呼蝃http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01541.gif 、按次http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01690.gif 、蠿蟊假借字、蝃http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01541.gif 、䖦蟱、皆蠿蟊俗字、又按http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01541.gif艸根http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01691.gif 字、或文以爲蟊字者、蓋誤、拙牟二音與仁諝音合、〈○中略〉訓久毛輔仁、新撰字鏡、蜘蛛鼅鼄http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01692.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01693.gif 、同訓、蝳http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01694.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01695.gif 亦皆同訓按區茂見允恭紀衣通媛歌、〈○中略〉按説䵹文鼄蟊也方言云、䵹鼄北燕朝鮮洌水之間、謂之蝳蜍、兼名苑蓋本於此、郝懿行曰、䖦蟱蠾蝓蝳蜍聲相近、本草和名余作途、按音余、與廣韻合、方言注亦云、音毒餘、作途非是、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1208 蜘蛛〈クモ〉

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1208 蜘蛛(クモ/チチウ)〈日本俗、云之篠蟹(サヾカニ/○○)也、〉

〔和漢三才圖會〕

〈五十二/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1208 蜘蛛(くも)〈知詠〉 鼅鼄 次http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01696.gif 蠾蝓 蚰蟱 蟠蜍 知名久毛〈○中略〉
按蜘蛛二手六脚、尻圓大而出絲、其絲能黏著人物、而夏秋布網於空處、經緯區區、實如規矩、毎居正中、或竄檐間、有諸蟲罣之者、則走出捕之、若可于己者、則遠以絲繞其周匝、使蟲不一レ動搖、竟推丸之、捕入檐間、恣食之、蜘誅之名義相合焉、如塵芥罣之、則以手悉振拔之、天將風則預知之、呑絲收網、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1208 蜘蛛 クモ〈和名鈔〉 サヽガニ〈古歌〉 クボ(○○)〈越中〉 コブ(○○)〈薩州〉 イシコブ(○○○○)〈同上〉 マルグモ(○○○○) オホハラグモ(○○○○○○) ダンゴグモ(○○○○○)〈江州〉 オニグモ(○○○○)〈石州〉
クモノ類ハ甚ダ多シ、ソノ藥用ノ蜘蛛ハ夏ノ初ヨリ秋ノ末マデ、日々薄暮ヨリ出テ、簷下ニ圓形ノ巢ヲ掛テ、夜中蚊ヲ取リ食ヒ、朝ニ至レバ巢ヲ收メ食ヒテ、屋下板隙ニ隱ル、ソノ形腹大ニシテ圓ク、黑色ニシテ微褐ヲ帶ブ、年ヲ經ルモノハ漸ク形大ナリ、正字通ニ布網如罾絲右繞處其中、飛蟲觸網者、纒縛食之、春得暖風遊絲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01697.gif長數丈者ト云フ、 クモノス(○○○○)ヲ絲〈集解〉又網〈附方〉膜〈同上〉トモ云、和方ニクモノイ(○○○○)ト云フ、〈讃州、阿州、防州、備後、筑後、南部ニモ此名ヲ呼ブ、〉クモノイギ(○○○○○)〈雲州若州〉クモノエ(○○○○)〈備前〉クモノエ(○○○○) バリ(○○)〈勢州、尾州、豫州、〉

蜘蛛種類/蠨蛸

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1209 蟰蛸(○○) 爾雅注云、蟰蛸〈蕭梢二音〉一名蟢子、〈上音喜、和名阿之太加乃久毛(○○○○○○○)、〉小踟蛛之長脚者也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/名蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1209 本草和名蟰蛸在蜘蛛條、別無和名、新撰字鏡、蟰蛸足高久毛按阿之太加久毛見源重之集歌小序、〈○中略〉爾雅蟰蛸長踦、郭注云、小鼅鼄長脚者、俗呼爲喜子、所引與郭略同、而字句有異、蓋舊注也蟢蓋喜俗字、説文蟰蛸長股者、陸機疏云、亦如蜘蛛、爲羅網之、郝曰氏、此蟲作網、但有縱理而無横文、如絡絲之狀、陶注本草、蜘蛛赤斑者、名絡新婦、疑此是也、但所見皆黃色、無赤斑者、其腹餘甚瘦小、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1209 蟰蛸〈アシタカノクモ〉 蟢子〈同上〉

〔和漢三才圓會〕

〈五十二/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1209 蟰蛸(あしたかくも) 喜子 蟢 長畸 和名阿之太加久毛〈○中略〉
按蠨蛸、其大不四五分、瘦細脚長靑色、而多在http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01698.gif 苣(チサ)葉毒、相傳云、無故蟢子舞降、以爲喜瑞也、西京雜記曰、乾鵲噪而行人至、蜘蛛集而百事喜者是乎、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1209 蜘蛛〈○中略〉
蟰蛸(○○)、長踦ハアシタカノクモ(○○○○○○○)、〈和名鈔○中略〉 アシナガグモ(○○○○○○)、一名長蚑〈正字通〉人家地板(ユカ)ノ下、或ハ箱筥中ニ住ム、形小ニシテ長ク、足至テ細ク、絲ノ如ニシテ長シ、全身淡白色、又一種山中ニ、身ハ小豆ノ大サシテ脚甚ダ長ク、四寸許、全身淡黃黑色ニシテ、脚ノ節白キアリ、此蛛一目ニシテ絲ナシ、地上ヲ行クコト、瞽者ノ杖ニテサグリ行ク狀ニ似タリ、故ニ俗ニザトウグモ(○○○○○)ト呼ブ、〈○中略〉又一種サガリグモ(○○○○○)ハ、地板下、或ハ僻隅棚下ニ於テ巢ヲ爲ス、卑キモノハ、上ハ板下ニ粘シ、下ハ土沙ニ粘シテ絲ヲ營コト密ナリ、〈○中略〉ソノ蛛ハ腹大ニシテ形圓ク、脚ハ蜘蛛ヨリ長ク、長踦ヨリ短シ、黑褐色ニシテ小白斑アリ、冬ハ隅隙ニ蟄ス、春暖ニナレバ出テ長ク絲ヲ引テ下垂ス、故ニサグリグモト呼ブ、是事物紺珠ニ、喜母小於長踦集而百事喜、著人衣、當親客至、又名親客ト云モノ是ナリ、一名喜蛛〈福州〉 〈府志〉喜子〈三オ圖會〉大身有刺毛生者ハ事物紺珠ニ、刺毛蜘蛛小云、一名壁蟢〈因樹屋書影〉俗名オホグモ(○○○○)、 八方グモ(○○○○)〈大坂〉ヤツデコブ(○○○○○)〈薩州〉形壁錢(ヒラタグモ)ニ似テ扁ナラズシテ甚大ナリ、脚長サ二寸許、粗ニシテ白斑及刺毛アリ、晝ハ陰闇ノ處ニ伏シ、夜ハ出テ行ク、聲アリテ蟹ノ行ガ如シ、〈○中略〉又一種ミヤマグモ(○○○○○)〈琉球〉ト呼アリ、一名四方グモ(○○○○)、 ヤマコブ(○○○○)、〈薩州〉ヒトモシ(○○○○)、〈江州〉ツリガネグモ(○○○○○○)、〈同上〉山中樹枝ノ間ニ圓ナル網ヲ張ルコト、尋常ノ蜘蛛網ノ形ニ異ナラズ、

〔江家次第〕

〈八/七月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1210 七日乞巧奠事
西北机〈○中略〉置楸葉一枚金針七銀針七、件針別有七孔、以五色絲縒合貫之、裏書曰、七孔針http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m00080.gif 楚歲時記曰、〈○中略〉設瓜菓於庭中以乞巧、有蟢(○)子於瓜菓上、則以爲巧、

〔四季物語〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1210 七夕の御祭は、させる事なからねども、〈○中略〉姫蜘蛛(○○○)とて、さゝやかなりし物、その机物、あるは願の糸に、いをひきぬるを圖として、私の願かなへりとすることなるべし、

蠅虎

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1210 蠅虎 兼名苑注云、蠅虎〈和名波倍度里(○○○○)〉此虫似蜘蛛恒捕蠅爲粮者也、崔豹古今注云、蠅虎蛌也、一名蠅蝗、一名蝿豹子、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1210 按古今注云、蠅虎形似蜘蛛而色灰白、善捕蠅、兼名苑注蓋本於此、〈○中略〉原書魚蟲條、蠅蛌作蠅狐、按狐蓋俗狐字、崔豹以下二十字、舊及伊勢本、下總本皆無、獨廣本有之、今附存、

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1210 蠅虎(ハイトリクモ/ヨウコ)

〔和漢三才圖會〕

〈五十二/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1210 蠅虎(はへとりくも) 蠅豹子 蠅蝗 和名波倍度里〈○中略〉
按蠅虎、其大三四分、常在壁上、而不網、構窠於壁隅、開一門出入捕蠅也、甚逸而色灰班、故得虎豹之名、蠅如逢之、則不其害、如禾苗之蝗故名蠅蝗矣、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1210 蠅〈○中略〉
集解、蠅虎、 ハイトリグモ トラ(○○)〈若州○中略〉大小數品アリ、ソノ色ハ住トコロニ從ヒテ一ナラズ、壁 ニ在ルモノハ白色、或ハ灰色ニシテ、黑色ノ間道アリ、梁柱戸扉等ニ在ルモノハ褐色ニシテ徵黑、草上ニ在ルモノハ綠色、倶ニ能跳テ蠅ヲ捕食フ、

〔閑窻自語〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1211 土御門故從二位泰邦卿かたられけるは、享保のはじめ、世に蠅とりぐもとかやいふ虫をもてあそぶ事あり、風流なるちいさき筒に入れて、蠅のいる所へとばせてとらしむ、一尺二尺など遠くとぶをもて最上とす、よくとぶ蜘は、あまだのこがねにかへて、あらそひもとめ、蜘合をして博奕に及ぶのあいだ、武家より制してやめしむとぞ、世にめづらしきもてあそびもありけるなり、

〔嬉遊笑覽〕

〈十二/禽蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1211 一代男、〈四〉東國浪人のことをいふ處に、今江戸にはやるとて、蠅とり蛛を仕入とあり、これは先年にはやりし事ありき、はい取蛛は、本草に蠅虎と云り、大小數品ありて、其居る處に從て、色もさま〴〵なり、草に住ものは綠色なり、いづれも跳りて蠅を取食ふ、

絡新婦

〔和漢三才圖會〕

〈五十二/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1211 絡新婦(ちよろうくも) 斑蜘蛛 俗云女郎蜘蛛(○○○○)〈○中略〉
按絡新婦、俗稱女郎蜘蛛者是也、黃黑綠赤班美而却醜、其毒最甚故也、形長於蜘蛛、細腰尖尻、手足長而黑、其絲黏也如黐、而帶黃色、布網于樹枝及家擔、人捕打之、則性脆潰而出血死、其他蜘蛛乃無血、其尻尖兩處、隨動搖光閃閃、然不螢火毎夜鮮明也、老者能生火、闇夜或微雨中遇見之、大可小碗、圓而帶徹靑色、其行也徐不遠、其高也亦不於家擔、蓋鵊鶺之火、乃遲速高卑不定焉、鳥與蟲之異以然矣、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1211 蜘蛛〈○中略〉
集解、絡新婦(○○○)ハ、ジヨロウグモ、〈京○中略〉 テラグモ(○○○○)〈和州〉 ハタヲリグモ(○○○○○○)〈豫州〉 コガネグモ(○○○○○)〈琉球〉 此蛛ハ身瘠長ク一寸許、責色ニシテ黑靑赤斑アリテ美ハシ、足ニモ黑黃斑アリ、庭樹ノ間ニ巢ヲ張ヲ、晝夜蟲ヲ取ク食フ、其絲黃色ニシテ甚ツヨシ、

草蜘蛛

〔和漢三才圖會〕

〈五十二/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1212 草蜘蛛
本綱、草蜘蛛、在孔穴中及草木稠密處、作網如蠶絲帶、就中開一門出入、形微似蜘蛛而斑小也、最毒、能纒斷牛尾、有人遺尿、絲纒其陰斷爛也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1212 草蜘蛛 ササグモ(○○○○) クサグモ(○○○○) ハシリグモ(○○○○○)〈江戸〉
草木枝葉ノ間ニ、棚ノ如キ平網ヲ張ル、日ヲ累テ漸ク厚ク大ニス、横目(シバ)上殊ニ多シ、一隅ニ穴アリテ、ソノ中ニ隱レ、蟲ノ來リテ網ニ觸ルヽヲ待ツ、ソノ蛛腹微長ク、二ノ短尾アリ、一種人家僻隅(カタスミ)及庭除ノ土石間ニ、同形ノ網ヲ張ルモノアリ、タナグモ(○○○○)〈越前〉ト云、是土蜘蛛ナリ、

螲蟷

〔和漢三才圖會〕

〈五十三/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1212 螲蟷(つちくも) 蛈蜴 蛈母 土蜘蛛 顚當蟲 豆知久毛(○○○○)
本綱、螲蟷形似蜘蛛、土中布網、其窠深如蚓穴、網絲其中、土蓋與地平、大如楡莢、常仰捍其蓋、伺蠅蠖過輙翻蓋捕之、纔入復閉、與地一色無隙、可尋而蜂復食一レ之、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1212 蜘蛛〈○中略〉
螲蟷 ヂグモ(○○○)〈尾州〉 エグモ(○○○)〈同上〉 ツチグモ(○○○○)〈備後讃州〉 ゲンジグモ(○○○○○)〈勢州〉 サムラヒグモ(○○○○○○)〈同上〉 ハラキリグモ(○○○○○○)〈南部○中略〉
此蛛ハ墻陰或ハ樹木ノ根ニ細長ク管ノ如クナル巢ヲ成シ、下ニ底アリテ袋ノ如シ、ソノ半ハ地中ニ入ルコト三五寸、袋ノ内ニ一ノ蛛アリ、〈○中略〉袋ノ土上ニ出タル處ヨリ、微シク紐メ、徐ニ引出セバ、全袋ヲ得ベシ、蛛袋底ニ住スル故、急ニ直ニ引トキハ、袋破レ斷テ、蛛土内ニ殘ルソノ蛛ハ蜘蛛ニ比スレバ、頭大ニ體瘠テ赤黑色、足ニ爪アリ、竹木ヲ以テ仰ケテ按セバ、足ヲ動カシ、誤テソノ身ヲ傷ル、故ニハラキリグモノ名アリ、

壁錢

〔和漢三才圖會〕

〈五十二/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1212 壁錢 壁鏡 比良太久毛(○○○○○)
本綱、似蜘蛛形扁、班色八足長、作白幕錢、貼墻壁間、亦時蛻殼、其膜色光白如繭、咬人有毒至死、惟以 桑柴灰煎取汁、調白礬末之妙、
此窠止金瘡諸瘡出血不止、及瘡口不歛者、頻貼之、
按此窠、幕圓白、而恰似灸蓋紙、輙貼灸瘡不愈者良、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1213 蜘蛛〈○中略〉
壁錢 ヒラタグモ(○○○○○)〈京〉 ヒラグモ(○○○○)〈筑前〉 ヤツアシグモ(○○○○○○)〈土州○中略〉
全身篇薄ニシテ、左右ニ八足平排ス、大サ一寸許、淡黑褐色、晝ハ柱ノ裂タル中、或ハ物ノ重リタル間ニ隱レ居リ、夜ハ壁上ニ出テ蟲ヲ取ル、雌ナル者ハ、錢ノ大サナル巢ヲツクリ、ソノ上ニ居ル、巢ハ色白ク紙ノ如シ、二重ニシテ、中ニ卵ヲ挾ム、此巢ヲ採テ藥用トス、

蜘蛛事蹟

〔日本書紀〕

〈十三/允恭〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1213 八年二月、幸于藤原、察衣通姫之消息、是夕衣通郎姫戀天皇而獨居、其不天皇之臨而歌曰、和餓勢故餓(ワガセコガ)、句倍枳豫臂奈利(クベキヨヒナリ)、佐瑳餓泥能(サヽガニノ/○○○○○)、區茂(クモ/○○)能於虚奈比(ノオコナヒ)、虚豫比辭流辭毛(コヨヒシルシモ)、天皇聆是歌則有感情、而歌之曰佐瑳羅餓多(サヽラガタ)、邇之枳能臂毛弘(ニシキノヒモヲ)、等枳舍氣帝(トキサケテ)、阿麻哆絆泥受迹(アマタハネズト)、多儾比等用能未(タタヒトヨノミ)、

〔江談抄〕

〈三/雜事〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1213 吉備入唐門事
吉備大臣入唐習道之間〈○中略〉於帝王間、令其文〈○按其文試眞備之オ之文也〉吉備目暗而見此書、字不見向本朝方、暫祈申本朝佛神、〈神者住吉大明神、佛者長谷寺觀音也、〉目頗明而、文字許見爾、無讀、連樣蛛一俄落來于文字上天イヲヒキツヾクルヲミテ讀了、仍帝王幷作者彌大驚、

〔今昔物語〕

〈二十九〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1213 蜂擬蜘蛛怨語第卅七
今昔、法成寺ノ阿彌陀堂ノ檐ニ、蜘蛛ノ網ヲ造タリケフ、其ノ長ク引テ、東ノ池ニ有ル蓮ノ葉ニ通ジタリケリ、〈○中略〉大キナル蜂一ツ飛來テ、其ノ網ノ邊リヲ渡リケルニ、其網ニ懸リニケリ、其ノ時ニ何コヨリカ出奈ケム、蜘蛛○恐檐字歟ニ傳ヒテ、急ギ出來テ、此蜂ヲ只卷ニ卷ケレバ蜂被卷テ、可逃キ樣モ无クテ有ケル、其御堂ノ預也ケル法師、〈○中略〉木ヲ以テ蜂ヲ抑ヘテ、ヲ搔去タリ ケル時ニ、蜂飛テ去ニケリ、其後一兩日ヲ經テ大キナル蜂一ツ飛來テ、御堂ノ檐ニフメキ行ク、其レニ次ギテ、何コヨリ來ルトモ不見エデ、同程ナル蜂二三百計飛摩ヌ、其蜘蛛ノ網造タル邊ニ皆飛付テ、檐垂木ノ迫ナドヲ求ケルニ、其ノ時ニ蜘蛛不見ザリケリ、蜂暫ク有テ、其ノ引タル糸ヲ尋テ、東ノ池二行テ、其ノヲ引タル蓮ノ葉ノ上ニ付テ、フメキ喤ケルニ、蜘蛛其レニモ不見エザリケレバ、半時計有テ、蜂皆飛去テ失ニケリ、〈○中略〉蜂共飛去テ後ニ、法師其ノ網ノ邊ニ行テ檐ヲ見ルニ、蜘蛛更ニ不見エザリケレバ、池ニ行テ、其ノ引タル蓮ノ葉ヲ見ケレバ、其蓮ノ葉ヲコソ、針ヲ以テ差タル樣ニ、隟モ无ク差タリケレバ、然テ蜘蛛ハ其ノ蓮ノ葉ノ下ニ、蓮ノ葉ノ裏ニモ不付テ、ニ付テ不螫マジキ程ニ、水際ニ下テコソ有ケレ、蓮ノ葉裏返テ垂數キ、異草共ナド池ニ滋タレバ、蜘蛛其ノ中ニ隱レテ蜂ハ否不見付ザリケルニコソ、〈○中略〉蜘蛛ノ、蜂我レヲ罰ニ來ラムズラ厶ト心得テ、然テ許コソ命ハ助ラメト思得テ、破无クシテ、此ヲ隱レテ命ヲ存スル事ハ難有シ、然レバ蜂ニハ蜘蛛、遙ニ增タリ、預ノ法師ノ正シク語リ傳ヘタルトヤ、

〔牛馬問〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1214 東武深川に、本誓寺といふ寺有、〈○中略〉池上の樹間に、大なる蜘蛛の、いとはかなくもかけ渡る有樣に、浮世を觀じながめたるに、一ツの蜂飛過る、あやまつて蜘蛛の家にかゝる、蜂は羽うつて逃んとし、くもは糸をちらして繫んとす、暫く挑鬪ひしが、竟に蜂はにげ去ぬ、蜘蛛は破たる家を捨て、直に池中に下り、荷葉に落て、其荷葉を廻る事、幾度といふ事をしらず、見るうちかの荷葉次等々々にしぼみよりて、其かたち括囊のごとし、くもは其うちに入て、見る事なし、其間に數万の蜂むれ來る事、霧の降るに似たり、〈○中略〉蜂池上にみちて、色目を不分、暫く有ていづちともなく散失ぬ和尚又庭中に出て見るに、右括囊の如くなる荷葉、蜂螫てそのあと、生絹の如し、斯あるうへは、此郭に籠るとも、此くもの命たすかるべきにあらずとおもひ、彼囊のごとくなる荷葉を穿て見れば、蜘蛛は糸を下し、其身空中に懸り居たれば、何の恙もなくてあ りし、恐しの蜘のふるまひかなと、和尚の物語しといへり、

〔太平記〕

〈劒巻〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1215 夏ノコロ、賴光〈○源〉瘧病ヲ仕出シ、如何ニ落セドモ不落、後ニハ毎日ニ發(ヲコリ)ケリ、發リヌレバ頭べ痛ク、身ホトヲリ、天ニモ著ズ、地ニモツカズ、中ニウカレテ被惱ケリ、加樣ニ逼迫スル事、三十餘日ニゾ及ケル、或時又大事ニ發リテ、少シ減ニ付テ、醒方ニ成ケレバ、四天王ノ者共看病シケルモ、皆閑所ニ入テ休ケリ、賴光少シ夜深方ノ事ナレバ、幽ナル燭ノ影ヨリ、長七尺計ナル法師スルスルト歩依テ、繩ヲサバキテ、賴光ニ付ントス、賴光是ニ驚テ、カバト起キ、何者ナレバ、賴光ニ繩ヲバ付ントスルゾ、惡キ奴哉トテ、枕ニ立テ置レタル膝丸ヲツ取テ、ハタト切、四天王共聞付テ、我モ我毛ト走リ依リ、何事ニテ候ト申ケレバ、シカ〴〵トゾ宣ヒケル、燈臺ノ下ヲ見ケレバ、血コボレタリ、手ニ火ヲ炬(トボイ)テ見レバ、妻戸ヨリ簀子へ血コボレケリ、此ヲ追行ク程ニ、北野ノ後ロニ大ナル塚アリ、彼塚へ入タリケレバ、卽塚ヲ堀崩シテ見ル程ニ、四尺計ナル山蜘蛛(○○○○○○○○)ニテゾ有ケル、搦テ參リタリケレバ、賴光安カラザル事カナ、是ホドノ奴ニ誑カサレ、三十餘日惱マサルヽコソ不思議ナレ、大路ニhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m00262.gif スベシトテ、鐵ノ串ニ指シ、河原ニ立テゾ置ケル、是ヨリ膝丸ヲバ、蜘蛛切(クモキリ)トゾ號シケル、

〔古今著聞集〕

〈六/管絃歌舞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1215 前筑前守兼俊、殿上に笙吹なきによりて、昇殿を免さるべきよし沙汰有けり、先試有ける日、きさき笙を給ひて、ふかせられけるに、用心なくして、吹出しける程に、管中に、平蛛(○○)の有けるが、喉にのみ入られにけり、むせてはつきまどひける程に、主上群臣も笑ひ給て、腸を斷けり、

〔長門本平家物語〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1215 康賴入道〈○平〉是を御覽候へ、此島にはなぎは候はぬに、此葉の出來候はとて、少將〈○藤原成經〉に奉る、少將取て見て、あら不思議や、今は權現の御利生に預て、都へ歸らん事は一定なりとて、彌祈念せられけるに、康賴入道申けるは、入道が家には蜘蛛だにもさがりぬれば、昔より必悦を仕候、今朝の道に小蜘蛛の落かゝり候つるに、權現の御利生にて、少將殿召返されさせ給 はん、次に入道も都へ歸候はんずるにやと思ひて候つるなり、

〔太平記〕

〈二十三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1216 大森彦七事
上下百餘人有ケル警固ノ者ドモ、同時ニアツト云ケルガ、皆酒ニ醉ル者ノ如ク成テ、頭ヲ低テ睡り居タリ、其座中二禪僧一人眠ラデ有ケルガ、燈ノ影ヨリ見レバ、大ナル(/○○○)寺(ヤマ/○)蜘蛛(/○○)一ツ天上ヨリ下リテ寢入タル人ノ上ヲ匍(ハヒ)廻テ、又天井ヘゾ騰リケル、其後盛長○大森彦七俄ニ驚テ、心得タリト云儘ニ、人ト引組タル體ニ見ヘテ、上ガ下ニゾ返シケル、叶ハヌ詮ニヤ成ケン、ヨレヤ者冖ドモト呼リケレバ、傍冖ニ臥タル者ドモ、起擧ラントスルニ、或ハ柱ニ髻ヲ結著ラレ、或ハ人ノ手ヲ我足ニ結合セラレテ、只網ニ懸レル魚ノ如ク也、此禪僧餘リノ不思議サニ、走立テ見レバ、サシモ强力ノ者ドモ、僅ナル蜘ノ井(○○○)ニ、手足ヲ繫ラレテ、更ニハタラキ得ザリケリ、〈○下略〉

〔基量卿記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1216 元祿十一年七月三月丙申、傳聞、本國寺山門有大蜘蛛(○○○)、大サ一間餘、此間有修理之間、人歩等令掃除之處、人歩一人爲蜘蛛取、其後數人寄合以斧殺之云々、件人歩遂死云々、又此間知恩院三門有蜘二疋、大サ六尺計云々、門上之鳩毎日數疋食之、食首吸血自上落、毎日五六羽宛云々、不實説

蜘蛛雜載

〔枕草子〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1216 はしたなきもの
九月ばかり、夜一よふりあかしたる雨のけさはやみて、あさ日の花やかにさしたるに、〈○中略〉すいがいらもんすゝきなどのうへに、かひたるくものすの、こぼれのこりて、所々に糸もたえざまに、雨のかゝりたるが、しろき玉をつらぬきだるやうなるこそいみじうあはれに、おかしけれ、

〔榮花物語〕

〈三十五/蛛のふるまひ〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1216 その〈○源憲定〉おはしましける御帳のうちに、くものすをかきたりければ、
わかれにし人はくべくもあらなくにいかにふるまふさゝがにそこは、御返し宰相のきみ、
きみくべきふるまひならねさゝがにはかきのみたゆるこゝちこそすれ

〔蜻蛉日記〕

〈下ノ中〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1217 れいのところにふみやる、さき〴〵のかへりごとゞも、みづからのとは、見へざりければ、うらみなどして、
ゆふざれのねやのつま〴〵ながむればてづからのみぞくもゝかきぬる、とあるを、いかゞおもひけん、しろひかみに、ものゝさきにして、かきたり、
くものかくいとぞあやしき風吹ばそらにみだるゝものとしる〳〵、たちかへり、
つゆにてもいのちかけたるくものいにあらきかぜをばたれかふかせん、といらべしかど、かへりごとなし、

〔古今和歌六帖〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1217 くも ふんのあさやす
つねならぬ身はさゝがにの糸なれや天つ空なるたのみかくらん

〔重之集〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1217 又此君〈○藤原實近〉のもとにてくものてひとつおちたるが、二三日までうごくを、
さゝがにのくものなたてのうごく哉かぜを命におもふなるべし、

〔實方朝臣集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1217 七月七日ひきたりける糸に、くものすがきける(○○○○○○○○)をみて、
さゝがにのもろてにいそぐ七夕のくもの衣はかぜやふくらん

〔赤染衞門集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1217 秋くものゐを、いみじくかきたるをみて、
我宿のあるじも今はなげくまじくものやへがきひくもなくみゆ

〔山家集〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1217 蜘のいかきたるをみて
さゝがにのくもでにかけて引くいとやけふ七夕にかさゝぎのはし

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1217 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01699.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01700.gif 〈上補奚反、齧牛虫也、今禽獸有虱也、下所乙反、志良彌(○○○)、〉 蟣〈几豈反、上志良彌、又支加佐(○○○)、〉 白〈志良彌〉 螅〈志良彌〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1217 蟣虱(カサシラミ) 説文云、蟣〈音幾、和音木佐々(○○○)、〉虱子也、虱〈所乙反、和名之良美、〉齧人虫也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1217 新撰字鏡、靈異記、訓釋同訓、新撰字鏡、又http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01701.gif 螅並同訓、按之良美者、之良牟之 之急呼、著聞集作白蟲證、字鏡作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01701.gif 、亦此義、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1218 蝨〈シラミ〉 蟣〈キサヽ〉

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1218 虱(シラミ)〈食人虫、異名半風、句云窓前揑半風、〉

〔塵袋〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1218 一シラミノ子(○○○○○)ヲバ、キサヽト云フ歟、キサジ(○○○)ト云フ歟、
文選ニハ、浮蟣(フキ)サカキサヽトヨメリ、酒ノ上ニモノヽ白クウキタルガ、シラミノコノ如クナル心ナルベシ、コレニハキサヽトヨメレバ、本説タシカナルウへ、順ガ和名ニモ蟣岐佐(キサ)々、虱子(シラミノ)也ト云へリ、但シ大隅國ニハ夏ヨリ秋ニ至ルマデシラミノ子オホクシテ、クラヒコロサルヽモノアリ、コレヲ風土記ニ云ヘルニハ、沙虱(サシツ)二字ノ訓耆小神(キサシン)ト注セリ、サテハキサシン(○○○○)トモ云ベキニヤトオボユ、

〔和漢三才圖會〕

〈五十二/卵生轟〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1218 蝨(しらみ)〈音瑟〉 蝨 虱〈俗〉 和名之良美 蟣 和名木左佐〈○中略〉
按蝨字、俗作虱、故稱半風、初生於人身垢卵、故毎日沐浴梳髮人ネ虱生也、避頭虱、以大風子油髮、則虱蟣死、所謂治脚指雞眼、俗云惠岐禮、〈指裏横文裂如http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01702.gif 者〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1218 人蝨 シラミ〈和名鈔○中略〉
淮南子鴻烈解ニ、大厦成而燕雀相賀、湯沐具而蟣蝨相弔ト云、蟣ハキサヽ〈和名鈔〉蝨ノ子ナリ、頭蝨ノ卵ハ數多ク連珠ス、頭蝨ハ色黑ク、身蝨ハ色白ケレドモ、處ヲ易レバ皆變ズルコト、抱朴子ノ言ノ如シ、三才圖會ニ、叉一種黑而圓者、名曰臭蝨、惟酒肆歇家之處極多ト云フ、 陰蝨(○○)ハツビジラミ(○○○○○) トビシラミ(○○○○○)、陰毛中ニ生ジ、或ハ蕃殖シテ、腋下兩眉等油氣ナキ處ニ生ズ、杏仁汁ヲ傅クベシ、 一名八脚蟲、〈外科正宗〉此蝨六足二角、足ゴトニ鉗(ハサミ)アリ、實ハ八脚ニ非ズ、

〔古事記〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1218 其父大神〈○素盞鳴尊〉者、思已死訖出立其野、爾持其矢〈○葦原色許男神〉以奉之時、率入家而喚入八田間大室而、令其頭之虱

〔扶桑略記〕

〈二十三/醍醐〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1219 昌泰四年八月、天台山沙門陽勝〈○中略〉慈悲殊深、憐愍群迷、蛾虱蚊虻、委身令餌、

〔續古事談〕

〈五/諸道〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1219 昔ハ諸道ノ博士ナドハ、裝束執スル事ナカリケルニヤ、光榮ト云ケル陰陽師、上東門院ノ御産ノ時、アサマシゲナルウヘノキヌ、指貫ニヒラグツハキ、テ、ビムモカヽデ中門ヨリイリテ、ハシガクシノ間ヨリノボリテ、フトコロヨリ、白虫(○○)ヲトリイダシテ、カウランノヒラゲタニアテヽ、大ユビシテコロシケリ、ウヘノキヌノシタニハ、ヌノ、アヲトイフ物ヲゾキタリケル、

〔古今著聞集〕

〈二十/魚虫禽獸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1219 或田舍人、京上して侍けるが、宿にて天道(ひなた)ぼこりして居たりけるに、くびのかゆかりけるを、さぐりたれば、大なる白虫のくいつきたりける也、それを何となくて、腰刀をぬきて、はしらを少けづりかけて、其中にへしこめて、はたらかぬやうに、をしおほひてげり、さて此ぬし、ゐなかへくだりぬ、次の年のぼりて、又此宿にとゞまりぬ、ありし折の柱を見て、扨もこの中にへし入ししらみ、いかゞ成ぬらんと、おぼつかなくて、けづりかけたる所を引あけて見れば、白虫のみもなくて、やせがれていまだ有、死にたるかとみれば、猶はたらきけり、ふしぎに覺へて、己がかひなにをきて見れば、はたらきてかひな、にくひ付ぬ、いとかゆく覺へけれ共、いまだ生たるむざんさに、事のやう見んとて、猶くはせをりけるほどに、次第にくいて身あかみけるおり、はらひすてゝげり、そのはひたる跡、あさましくかゆくて、かきゐたりけるほどに、やがてはれて、いく程もなくおびたゞしき瘡に成にけり、とかく療治すれ共、かなはず、つゐにそれをわづらひて死にけり、白虫は下﨟などは、なべてみな持たれ共、いつかは其くいたる跡、かゝる事ある、是は去年よりへしつめられて、過したる思ひとほりて、かく侍りけるにや、

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1219 蜹 野王按、蜹〈如税反、與芮同、和名太仁(○○)、〉今有小虫、善囓人謂之含毒、卻是、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1219 慧琳音義一引、作蜹喜齧人謂之含毒是也、一引作今有蟲蜹善囓人、俗謂之含毒、此卽蟲也、一引作蜹小飛蟲子、好入酒中、又有小蟲蜹甚齧人、名爲蟆子、三引皆與此少異、按 荀子勸學篇、醯酸而蜹聚焉、説文、秦晉謂之蜹、楚謂之蚊、漢書枚乘傳注、蜹、蚊屬也、後漢書崔駰傳注、蚋小蟲、蚊之類、列子湯問篇注、蜹謂蚊蜹、小飛蟲也、華巖音義引字林云、蜹、小蚊也、玄應音義引通俗文亦云、小蚊曰蜹、依以上諸書、蜹非太仁(○○○○)、新撰字鋭蜹訓奴可我、是也、又本草綱目云、壁蝨卽臭虫也、如酸棗仁、唖人血食、是可太仁也、或曰説文、峻、齧牛蟲也、通俗文云、狗蝨曰http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01699.gif 、俗或作蜱、蜱一名牛蝨、李時珍曰、牛蝨生牛身上、狀如蜱麻子、有黑白二色、囓血滿腹、時自墜落也、是可太仁也、

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1220 蚋〈如鋭而税二反、奴可我(○○○)、〉

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1220 蜹(ダニ)

〔大和本草〕

〈十/蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1220 壁蝨(ダニ)、小ナルハ胡麻子ノ如ク、大ナルハ酸棗仁ノ如ク、大豆ノ如シ、

〔和漢三才圖會〕

〈五十二/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1220 壁蝨(だに) http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01699.gif 〈音卑〉 和名太仁 和名抄用蜹字者非也、蜹者蚊之屬、〈○中略〉
按俗云太仁是也、在山林圃中、著人牛犬猫雉鳶等血、初生似陰蝨、而團匾黃赤色、利喙八足、噉著則半入皮、將棄之、身半切亦不去、血滿腹則肥脹、如萆麻子、而色亦稍黑潤時、自隨落、蓋與http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01703.gif 同爲牀榻之害者不然也、若山民邊地之居其然乎、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1220 狗蠅〈○中略〉
附錄、壁蝨、 タニコ(○○○)〈京〉 タニ(○○)〈肥前〉 ダニ〈勢州○中略〉 タニコ(○○○)ハ形圓扁ニシテ、一頭ニ多ク足ツケリ、大ナル者ハ一二分、小ナル者ハ罌粟(ケシ)ノ如シ、赤色ナル者アリ、白色ナル者アリ、白黑斑駁ナル者アリ、人肉ニクヒ入タルハ大風子油ヲ敷ベシ、〈○中略〉 ダニノ袋ハ、木枝ニ附テ、雞卵ノ如シ、袋甚ダ薄シ、少ク觸レバ、便破レテ多ク出ト云、

〔沙石集〕

〈五上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1220 學生之蟻蜹問答事
南都ノ春日野ノ邊ニ、學生ノ房近キ所ニ、蟻ト蠎ト有ケリ、自然ニガクモンスルホトリニ住テ、共ニガクセウナリケルガ、タガヒニ聞及テヨリアヒテ、論議セント思ヒケルホドニ、アル時ミチニ 行アヒテ、タガヒニヨロコビテ、ヤガテ蟻蜹ニ問テイハク、何故ゾ、蟻ヲ蟻ト名ヅクルヤ、ナニユへニアリヲ、アリトナヅクル、ソノコヽロイカント問ナリ、答前後有故、名蟻、中バクビレテ前後ノカタチアルユヘニ、アリトイフトコタフ、難ジテイハク、前後有ヲ〈○ヲ恐衍〉名蟻者、於輪子等不蟻、ゼンゴアルモノヲ、アリトイフベクハ、リウゴ等ヲモアリトイフベシト也、答不爾前得輪子名、故執轉提等准例亦爾、サキニスデニ、リウゴノ名ヲエタルユヘニ、アリトイハズシテ、テイモ例セバ、亦シカナリトコタフ、蟻蜹ニ問テイハク、何ユヘ蠎名蜹耶、答曰、背ノ〈○ノ恐衍〉上谷故名蜹、セナカノ上ニクボミテ、谷ニニタルユヘニトコタフ、難云、背上谷名蜹者於團子等不蜹、背クボキユヘニ、タニトイハヾ、ダンゴヲモ、タニトイフベシト問ナリ、前得團子名、故突柏子等准例亦爾、シカラズサキニダンゴノ名ヲウルユへニ、ヒヤウシトクモコレニナズラフベシトコタフル也、南都ニテ、アル人カタリシカバ、才學ノタメニ書侍ルナリ、前生ノガクセウニテ有ケルニヤ、

牛虱

〔和漢三才圖會〕

〈五十二/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1221 牛蝨(うしのしらみ)
按牛虱與http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01699.gif 略似而不同也、形狀似陰虱而大也、遺卵遍身無至、故毛悉兀脱不療、急用草烏頭汁或烟草汁頻注之可愈、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1221 牛蝨
ダニ(○○)〈大和本草〉 ホジ(○○)〈石州雲州〉 スダリ(○○○)〈水戸〉 フツツブ(○○○○)〈肥前〉 一名牛萆蟲〈外臺秘要〉 牛翁〈物理小識〉 增、一名牛蠓〈畿輔通志〉
狗及牛馬ニ附クダニナリ、大サ蓖麻子ノ如ク、白黑斑駁ナリ、飢タル者ハ形扁ク、飽タル者ハ大豆ノ如ク、半ハ獸皮中ニクヒ入ル、

蝸牛

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1221 蝓〈羊朱反、䗂蝓蠃、加太豆不利(○○○○○)、又奈女久地、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01704.gif 〈加太豆夫利〉 蚹〈上同、又加支、〉

〔本草和名〕

〈十六/蟲魚〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1221 蝸牛一名依牛、一名寄居、〈崔禹云、貎似蛞蝓、但背負殼耳、〉一名水中生蠡、〈出范汪方〉 和名、加多都布利、

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1222 蝸牛 山海經注云、䗱螺〈上音僕〉蝸牛也、本草云、蝸牛〈上古華反、和名加太豆不利、〉貌似蟯蝓背負殻耳、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1222 原書中山經云、靑要之山、南望墠渚、是多僕纍、郭注、僕累蝸牛也、按廣韻作䗱蠃、蓋以山海經僕纍䗱螺假借字、螺俗蠃字、故改作䗱顕也、源君引作䗱螺、其意全同、王念孫曰、淮南淑眞訓高誘注、蠃蠡薄蠃也、薄蠃卽附蠃之轉聲、又轉爲僕累也、作䗱螺、蓋源君從今字也、伊勢廣本䗱作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01705.gif 、按干祿字書云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01705.gif 僕、上俗下正、〈○中略〉加太豆不利依輔仁、新撰字鏡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01704.gif 、加太豆夫利、蝓、加太豆不利、又奈女久地、蜒奈女久地、按加太豆不利、又見空物語藏開上卷、及堤中納言物語、〈○中略〉千金翼方、證類本草中品有蝸牛、不引文、證類本草引陶隱居云、形如蛞蝓、但背負㱿爾、此所引卽是、其作螔蝓者亦誤、本草和名引崔禹亦云、貌似蛞蝓、但負㱿耳、蜀本圖經云、蛞蝓卽蝸牛也、形似小螺白色、生池澤草樹間、頭有四角、行則出、驚之則縮首尾、倶能藏入㱿中莊子則陽篇有謂蝸者、釋文引季頤注云、蝸蟲有兩角、俗謂之蝸牛、又引三蒼云、小牛螺也、一去俗名黃犢、魏志胡照傳引魏略云、蝸牛、螺蟲之有角者也、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1222 蝸〈音過カタツフリ〉 蝸牛〈カタツフリ〉

〔康賴本草〕

〈下/蟲魚部中品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1222 蝸牛 和、加太川不利、

〔物類稱呼〕

〈二/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1222 蝸牛かたつぶり 五畿内にて、でんでんむし、播州邊九州四國にて、でのむし、周防にて、まい〳〵、駿河沼津邊にて、かさぱちまい〳〵、相模にて、でんぼうらく、江戸にてまい〳〵つぶり、同隅田川邊にてやまだにし、常陸にて、まいぼろ、下野にてをゝぼろ、奧仙臺にて、へびのてまくらといふ、

〔和漢三才圖會〕

〈五十四/濕生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1222 蝸牛(かたつむり) 蠡牛 蚹羸 螔蝓 山蝸 蝸羸 蜒蚰羸 土牛兒 和名加太豆不利〈○中略〉 按蝸牛〈俗云出(デン)出蟲〉有四角、而二者短、其短者非角、露眼之甚者也、物觸則縮角、出入最速、
莊子所謂、有于蝸牛左角者、曰蠻民、國于右角者、曰觸氏、爭地而戰、伏尸數萬者是也、蓋蟭螟蟲窠蚊睫之類、共是寓言耳、〈○中略〉
緣桑蠃(くはのきのかたつむり) 本綱、此螺全似蝸牛黃色、而小雨後好緣桑上者、取用藥、正如桑螵蛸之意、主治、大腸脱肛及驚風、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八下/濕生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1223 蝸牛 カタツブリ(○○○○○)〈古名〉 マイマイツブリ(○○○○○○○)〈江戸○中略〉 デヾムシ(○○○○)〈京○中略〉ヘビノテマクラ(○○○○○○○)〈仙臺〉 ヘビノタマクラ(○○○○○○○) ツノダシムシ(○○○○○○)〈共ニ同上○中略〉
冬月ハ石間或ハ土中ニ蟄シ、寒ヲ避ク、春雨ヲ得レバ、ハヒ出テ、草樹ニ上ル、天晴ルヽ時ハ葉下ニ隱レ懸リ、雨フル時ハ出、緣リテ新葉ヲ食フ、殊ニ香草ヲ嗜ミ、嫩芽ヲ害ス、梅雨中卵化シテ、一二分ノ大サナル蝸牛多ク出、最嫩苗ヲ害ス、ソノ形篇螺(シタヾミ)ノ如クニシテ、殼薄ク碎ケ易ク、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01706.gif ナシ、行ク時ハ形蛞蝓ノ如クシテ、殼ヲ背上ニ負ヒ、頭ニ兩角ヲ出ス、故ニ蝸牛ト名ク、〈○下略〉

〔夫木和歌抄〕

〈二十七/蝸牛〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1223 十題百首 寂蓮法師
牛の子にふまるな庭のかたつぶり角のあればとて身をなたのみそ
永仁二年爲相卿家會雜歌中 藤原爲顯
家は捨ずなにかなにはのかたつぶりつのくにありと身をたのむらん

〔嬉遊笑覽〕

〈一下/容儀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1223 類柑子に、其角〈○寶井〉が茅場町の栖の隣なる閑地にて、車をしかけ、元結をこく事をいひて、文七と云者、元結こく處に成ぬるなり、〈○中略〉文七にふまるな庭のかたつぶり、〈○下略〉

蚰蜒

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1223 蝓〈羊朱反、䗂蝓蠃、加太豆不利、又奈女久地(○○○○)、〉

〔本草和名〕

〈十六/蟲魚〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1223 蛞蝓〈仁諝、移膄二音、〉一名陵http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01707.gif 、〈揚玄操、音禮、〉一名土蝸、一名附蝸、一名山蝸、〈出陶景注〉一名蚹羸、〈附http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01708.gif 二音〉一名斑http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01607.gif 、一名土虹〈已上出兼名苑〉 和名、奈女久知、

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1224 蚰蜒 兼名苑云、蚰蜒〈由延二音〉一名蚹蠃〈上音附〉本草云、螔蝓〈移臾二音、和名奈女久知、〉方言云、北燕謂之䖡蚭、〈上女陸反、下音尼、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1224 按爾雅、螾http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01709.gif 入耳、注云、蚰蜒、疏云、此蟲象呉公、黃色而細長、呼爲吐舌、爾雅翼云、方家説、蚰蜒大者如釵股、色正黃、其足無數、如蜈蚣狀、先輩以爲今俗呼下自下自、爾雅又云、蚹蠃螔蝓、注云、卽蝸牛也、卽下條訓加太豆不利者、是蚰蜒蚹蠃、二物逈別不得蚹蠃蚰蜒一名也、本草云、蛞蝓一名附蝸、附蝸蚹蠃同、兼名苑蓋依之、則本草和名引兼名苑蚹蠃蛞蝓一名得、源君引爲蚰蜒一名者、恐非兼名苑之舊文、又按證類本草蝸牛條、引日華子云、此卽負㱿蜒蚰也、謂蝸牛負㱿蜒蚰、則蝸牛之無㱿者、可之蜒蚰、爾雅翼云、今蝸牛之無㱿者俗呼蜒蚰、又呼蝸牛蜒蚰蠃、又本草綱目蝸牛其行延引、故曰蜒蚰、然則蝸牛可蜒蚰、其名與蚰蜒相近、故源君誤以蚰蜒蛞蝓也、説文云、蠃一曰虒蝓也、又云蝸蠃也、周禮儀禮有蠃醢、内則作蝸醢、醢人鄭注云、蠃螔蝓是螔蝓名蠃、又名蝸、故後有蝸牛之名、又按説文無蚹字、本草作附蠃、从虫俗字、蚰蜒字亦古所無、當作螾衍、考工紀鄭注却行螾衍屬、是也、〈○中略〉千金翼方、證類本草、及陶蘇注中、皆不螔蝓、或是誤引、爾雅、蚹蠃螔蝓也、説文、蝓虒蝓也、無螔字、知古只作虒、後連下字虫旁也、按蚹蠃螔蝓竝是有㱿、蛞蝓卽下條所載蝸牛是也、爾雅及郭注可證、蓋本草蛞蝓有㱿無㱿二説、但本經云、蛞蝓一名陵蠡、一名土蝸一名附蝸、依其云蠡云一レ蝸、有㱿可知、兼名苑以蚹蠃蛞蝓一名、亦從本經蛞蝓一名附蝸之説也、陶隱居云、蛞蝓無㱿、不蝸名、其附蝸者、復名蝸牛、蘇敬曰、蛞蝓乃無㱿蝸蠡也、是陶蘇並以蛞蝓㱿者、別錄亦擧蝸牛一條、蓋本經統言之、別錄陶蘇析言之、輔仁蝸牛訓加太都布利、蛞蝓訓奈女久知、從析言之説、而又引兼名苑一名蚹蠃者、不兼名苑所云是有㱿蛞蝓、與陶説上レ同也、源君承其謬、以兼名宛蚹蠃無㱿蛞蝓、故遂引爾雅蚹蠃螔蝓亦爲無㱿蛞蝓、與郭注蝸牛之説乖皆以蠃字義、致是誤也、然古亦有螔蝓無㱿蛞蝓、古今註云、蝸牛形如螔蝓、㱿如小螺、倂考 之、蚹蠃陵蠡土蝸謂㱿者、宜加太都不利、蜒蚰螔蝓蛞蝓有㱿無㱿之總稱、可加太都不利、又可奈女久治、〈○中略〉原書第十一云、蚰http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01710.gif關而東謂之螾http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01711.gif 、或謂之入耳、或謂之帳http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01712.gif 、趙魏之間、或謂之蚨虰、北燕謂之䖡蚭、按方言蚰http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01710.gif 、卽爾雅螾http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01709.gif 郭注蚰蜒是也、源君誤以蚰蜒蜒蚰、故引及之、其實䖡蚭是蚰蜒別名、非螔蝓方言也、按䖡蚭蓋蟲形狀忸怩然、䖡蚭忸怩字、説文皆無、蜀本圖經以蛞蝓蝸牛、云據今下濕處有一種蟲於蝸牛、無㱿而有上レ角、云是蝸牛之老者、圖經云、若然本一物、而久蛻㱿者爲異耳、衍義云、蛞蝓蝸牛二物矣蛞蝓其身肉止一段、蝸牛背上別有肉、以負㱿行、顯然異矣、又謂蛞蝓是蝸牛之老者甚無謂、蛞蝓有二角、蝸牛四角、兼背有㱿肉、豈得一物乎、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1225 蚰蜒〈由延二音ナメクヂ〉

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1225 蚰蜒(ナメクジリ)

〔物類稱呼〕

〈二/動物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1225 蛞蝓なめくじり(○○○○○) 常陸にてはだかまいぼろ(○○○○○○○)、越後にて山なまこ(○○○○)と云、山中には大サ五六寸許のもの有と也、貝原翁〈○篤信〉曰、なめくじり、夏月屋上にはひのぼりて、螻蛄に變ずる有、然どもこと〴〵く不然、

〔本朝食鑑〕

〈十二/蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1225 蛞蝓〈訓奈米久知利
釋名〈源順曰、蚰蜒一名蚹蠃、螔蝓、䖡蚭、倶和名訓奈女久知、必大按、此間有異同、〉
集解、此未殻曰蝸牛、旣脱殻曰蛞蝓、其色灰白、洗淨則純白、小尖頭有兩小角、眼纖背有小斑文、無足、腹之兩端有小肉片、相連蚑行、蝸蠃多涎粘牆壁、乾則白如銀絲、蛞蝓少涎、但柔滑毎居濕地、上濕屋、大者二三寸許、自春末秋後、人家及林叢毎有、民間取之、炙爲小兒之藥食、謂能殺疳蟲、以林下草間之物上、或治水腫便閉而有奇驗焉、一種有全似蛞蝓而無斑文、色亦淡灰色、身軟於蛞蝓、梅雨秋霖時、生於人家卑濕地、相聚如蛆、其涎尤多、此亦蛞蝓之類而不之、俗稱陀伊良宇(○○○○)也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八下/濕生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1225 蛞蝓 ナメグヂ(○○○○)〈和名鈔○中略〉 ナメクジリ(○○○○○)〈京〉 ナメクジラ(○○○○○)〈同上○中略〉 水濕ノ處ニ多ク生ズ、冬ハ瓦石及ビ器物ノ下ニ蟄ス、春雨後ヨリ、夜出テ晝ハ伏ス、形蝸牛ノ身ニ似テ長ク、頭ニ兩角アリ、驚ケバ角ヲ縮入ス、體ニ粘涎多シ、梅雨ノ時子ヲ生ズ、二三分ノ長サナル者多ク出テ、甚ダ草苗ヲ害ス、三才圖會ニ、一種無殻而有角者、其形稍大、生於卑濕處、積雨之後出畫屋壁、悉成銀迹、ト云フ、山中ニハ長大ニシテ三四寸ナルアリ、甚クシテハ尺餘ニ及ブモノアリ、

〔枕草子〕

〈十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1226 いみじくきたなき物 なめくぢ

蚯蚓

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1226 蚯蚓〈上丘音下引音、亦名蜜壇、亦名寒蚓、䘆也、鱔也、曲蟺波知乃右蚓耳受、〉

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1226 蚯蚓 唐韻云、蜿蟮〈苑善二音〉蚯蚓也、本草云、蚯蚓〈丘引二音、和名美々須(○○○)、〉兼名苑云、蜸蚕〈犬典二音〉一名螼蚓〈蚯螾也、螼音謹、今案、螾卽蚓字也、見漢善注、〉崔豹古今注云、江東謂爲歌女、或謂鳴砌

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1226 按説文、蟺夗蟺也、夗轉臥也、是蟲好展轉、故名夗蟺、非蚓之專名也、蜿蟮夗蟺正俗字、史記司馬相如傳蜿灗、索隱引司馬彪曰、蜿灗展轉也、文選瑟賦、䖤蟺相糾、注、䖤蟺展轉也、説文、螼、螾也、螾側行者、又載螾或从一レ蚓、説文無蚯字、螼蚓蚯蚓正俗字、〈○中略〉千金翼方、證類本草、本草和名、竝有白頸蚯蚓、別無蚯蚓、而下條引本草、載白頸蚯蚓、此又引本草蛭蚓者誤、〈○中略〉新撰字鏡同訓、蝖蛓、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01713.gif 、亦皆同訓、蛌、訓靑彌々(○○○○)須、蜸蚕、訓久禮々彌々受(○○○○○○○)、〈○中略〉本草和名引同、爾雅云、螼蚓蜸蚕、兼名苑本於此、按蜸蚕二字、説文皆無、蓋夗蛭之轉也、蚯螾也三字、蓋兼名苑原注也、螻與蚓同、見漢書賈誼傳注、按説文螾字下載蚓字云、蟺或从引、顏氏注本之、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1226 蚯蚓〈丘引二音ミヽス〉

〔下學集〕

〈上/氣形〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1226 蚯蚓(ミヽス/キウイン)

〔本朝食鑑〕

〈十二/蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1226 蚯蚓〈訓美美須
釋名、蜿蟮、〈宛善二音〉蜸蚕、〈大典二音〉螼蚓〈螼音謹〉土龍〈以上源順、、順曰、土龍者、白頸蚯蚓也、和名可有良美美須、又曰、崔豹古今注、江東謂爲歌女、或謂鳴砌、必大按、李時珍綱目詳論釋名、〉 集解、蚯蚓人家處處墻壁下陰濕地、及平澤膏壤倶有之、以白頸者全黑者老蚓、赤者爲少、孟夏蚓始出、欲雨則先出、欲晴則夜鳴、炎天枯死於熱地上、仲冬蟄於地中數百聚結、郭璞所謂、土精無心之蟲者、恐不相當、知其陰晴、或出或鳴、知其寒温、或蠢或蟄、則不言無心矣、小兒尿于蚯蚓、則陰腫、是蚓吹毒氣而然、似人、亦不無心矣、惟郭氏大抵言其頭足眼口之形而鱔曲蛇行之無爲者哉、近代預防痘疹之家、專用之合鷄卵煮食、或溪川田澤之漁兒、常釣鯉鮒及鰻、以蚓爲餌、魚呑蚓、人亦食其魚、而不毒也、

〔和漢三才圖會〕

〈五十四/濕生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1227 蚯蚓(みゝず) 螼螾 胊䏰 曲蟺 寒䘆 䖤蟺 䖤蚕 歌女 地龍子 和名美美須〈○中略〉
按蚯蚓、其老大者白頸、〈和名可布良美々須〉一種有靑白色縱黑文者、人觸急動走、今人用蚯蚓〈去泥〉、生以酒呑之、以須聲看藥、最有効、然本草不聲音藥、且性寒有小毒、不熱症人漫勿用、蓋據長吟歌女之名義者乎、
蚯蚓及蟻吹、小兒陰腫者、以火吹筒婦人吹一レ之、或用蟬蛻水洗、仍服五苓散卽腫消痛止、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十八下/濕生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1227 蚯蚓 ミヽズ(○○○)〈和名鈔〉 メヽズ(○○○) メミズ(○○○)〈加州○中略〉
數品アリ、皆卵生ナリ、土中ニ住、夜ハ上ニ出テ土ヲ食ヒ、曉ニ至テ、土中ニ入ル時、糞ヲ多ク穴傍ニ遺ス、コレヲ六一泥卜云、〈○中略〉藥ニ入ルヽニハ、白頸蚯蚓ヲ用ユ、和名鈔ニカブラミヽズ(○○○○○○)ト訓ズ、今鰻鱺ヲ釣ル人、白頸ナル者ヲ撰用ユ、ソノ味殊ニ甘ヲ以テナリト云フ、白頸ナル者ハ大小共ニアリ、弘景是其老者ト言ヘルハ隱ナラズ、〈○中略〉又蚯蚓田畔ニ在ルモノヲ アナミヽズ(○○○○○)〈土州〉ト云ヒ、田中ニ在ルモノヲ田ミヽズ(○○○○)〈同上〉ト云、又至テ大ナルモノハ長サ一尺許、大サ指ノ如キモノアリ、ヤマミヽズ(○○○○○)〈州〉ト云フ、コレヲ大蚓〈附方〉威汚蠖〈事物紺珠〉ト云フ、〈○下略〉

〔本草和名〕

〈十六/蟲魚〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1227 白頭蚯矧(○○○○)、一名土龍、矢名蚯螻、〈本條〉一名寒http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01714.gif 、一名歌女、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01715.gif 蟺、一名鳴砌、一名堅蚕、一 名螼䖶、〈已上六名出兼名苑〉一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01715.gif 蟺、一名曲蟺、〈出古今注〉 和名美々須(○○○)

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1228 白頭蚯蚓 本草云、白頸蚯蚓、一名土龍、〈和名可布良美々須(○○○○○○)〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1228 千金翼方、證類本草下品同、刻版本標目頸作頭、與本草和名、伊呂波字類抄合、然伊勢廣本那波本皆作頸、與諸古本及千金翼方證類本草同、作頭誤、類聚名義抄作蛵、亦頸俗字、〈○中略〉本草和名云、美々須、源君蚯蚓訓美々須、故白頸蚯蚓訓加不良美々須、不輔仁也、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1228 白蛵蚯蚓〈一名土龍 カブラミヽズ〉

〔日本紀略〕

〈六/圓融〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1228 貞元二年二月廿五日丙辰、山階寺下階庭、蚯蚓出、廣八尺長廿二丈、

〔燕石雜志〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1228 猴蟹合戰
蟹と蚯蚓と戰ふ事あり、頭陀物語に、團友齋凉兎、筑紫のかたに行脚せし頃、一日遊山して日暮て宿にかへらんとするに、後方に物あり、怪しと思ひて見かへれば、地をはなるゝこと三尺ばかり、長さは丈あまりと見ゆるものゝ、赤き色、炎の如くなるが、風をおこし、さかさまに立て動くとも飛ともなく、宙にはなれて近づき來る程に、凉兎魂消て、肌膚粟のごとく、襟寒うなりて、呼んとするに聲發ず、わが足に手をかけて、一歩づゝ前にすゝまんとするに、忽地後方に音して、水さはさはと鳴り、木草颯と戰ぐに、物の響ひし〳〵と聞ゆふりかへり見るに、その物を見ず、〈○中略〉人の家に走り入り、〈○中略〉しか〴〵の變化にあへるよしを吿、主人これを聞てうちほう笑み、そは世にいふばけ物にあらず、この山の蚯蚓也蚯蚓山の土を食ひて、年を經れば、土氣を起し空に飛行す、必けふの如く雨霽し夕つかたは、いくつともなノ出あるき、澤蟹と戰ひて、これを打つぶして腦を吸へり、このこと西國に多かり、この蚯蚓は恐るべかちず、澤蟹は恐るべし、〈○中略〉蚯蚓の事、その虚實はいまだ知らず、蟹には殊に互大なるものありと、ぞ、〈○下略〉

〔嬉遊笑覽〕

〈十二/禽蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1228 こゝにて小兒の陰はるゝ時は、みゝずを取て洗てはなつ呪あり、鎭江府志、今小兒 陰腫、多以爲此物所一レ吹、以鹽湯浸洗則愈、こゝの呪は、何のみゝずにても、取て洗ふに功驗あるも奇ならずや、

〔催馬樂〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1229 無力蝦
ちからなきかへる、力なきかへる、ほねなきみゝず(○○○○○○○)、ほねなきみゝず、

〔梁塵愚案抄〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1229 かへるはカなく、みゝずは骨なきといへり、みゝずをば、かへるがとりて喰物也、故に對していへるにや、

蛭/名稱

〔新撰字鏡〕

〈虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1229 蛭〈之逸反、比留、〉

〔本草和名〕

〈十六/蟲魚〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1229 水蛭〈仁諝音士逸反〉一名蚑、〈仁諝音其〉一名至掌、一名馬蜞山蚑、〈小者、已上二名出陶景注、〉草蛭〈在草上〉水蛭〈在水中〉馬蛭〈大者〉一名馬蟥、〈仁諝音黃〉 和名、比留(○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1229 水蛭 本草云、水蛭、〈音質、和名比流、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1229 千金翼方、證類本草下品載之、爾雅釋魚、蛭蟣、注、今江東呼水中蛭蟲入人肉蟣、説文、蛭蟣也、又云、蟣蝨子也、一曰齊謂蛭爲蟣、按本草水蛙一名蚑、圖經一名蜞、陶注有馬蜞山蚑、蚑蜞皆俗蟣字、後人蟣字專用爲蟣蝨字、故蛭蟣作是等字以避之也、釋文亦名馬耆、借耆爲蟣也、訓比留輔仁、神代紀蛭、新撰字鏡蛭、同訓、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1229 蛭〈音質ヒル〉 水蛭〈ヒル〉

〔東雅〕

〈二十/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1229 水蛭ヒル 陰陽二神、國土を生み成し給ひし初に、蛭子を生み給ひしといふ事見えし、〈舊事、古事、日本紀等に〉さしいふ所こそ有べけれ、太古の初に、蟲の名の聞えし始にして、其義はすでに隱れて知るべからず、

〔日本書紀〕

〈一/神代〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1229 次生蛭兒、雖已三歲脚猶不立、故載之於天磐櫲樟船而、順風放棄、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1229 水蛭 ヒル〈和名鈔〉 ビル(○○)〈讃州〉 ヒイル(○○○)〈石州、備前、備後、作州、〉 アマカク(○○○○)〈琉球〉 一 名蛆〈音質、典籍便覽、〉 紅蛭〈附方〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01716.gif 〈正字通〉 巨未伊〈郷藥本草〉 巨末里〈村家方〉
水蛭ハ流水中ニ生ズ、溝渠中尤多シ、長サ一寸許、色黃褐ニシテ、黑色ノ間道(シマスヂ)アリ、儒門事親ニ、金絲水蛭ノ名アリ、本經逢原ニ、水蛭是小長色黃、挑之易斷者、勿誤用、泥蛭頭圓身濶者、服之令人眼中如烟、漸至枯損、 凡用須預先熬黑、以少許水中、七日内一活者、方可之ト云、蛭ハ活シヤスキモノナリ、大和本草ニ、蛭ノ黑燒雨ニウルホヘバ、百千ノ蛭ニ變ズト云フ、

蛭種類

〔和漢三才圖會〕

〈五十二/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1230 蛭〈音質〉 蚑〈蜞虮並同〉 至掌〈和名比流〉 馬蛭 馬鼈〈長大者〉 馬蟥〈腹黃者○中略〉
水蛭(○○) 生河池、〈鹹苦平有毒〉入藥取水中小者之、治折傷疼痛、〈焙爲細末、酒服二錢、〉食頃作痛、可更一服痛止、
赤白丹腫癰初起者、以竹筒蛭、合之令病處、血滿自脱、
草蛭(○○) 在深山草中、人行卽著脛股、不覺入於肉中、産育爲害、南方有水蛭、似鼻涕、聞人氣、閃閃而動、就 人體瘡、惟以麝香硃砂之卽愈、此卽草蛭也、
別有石蛭(○○)、生石上、泥蛭(○○)生泥中、其二蛭、頭尖腰粗色赤、誤食之、令人眼中如一レ烟、漸致枯損
昔有人、途行飮水、及食水菜、誤呑蛭、入腹生子、爲害噉臓血、腸痛黃瘦者、惟以路泥、或擂黃土水飮數 升、則必盡下出也、蓋蛭在人腹、忽得土氣而下爾、按蛭水中濕生也、又海帶昆布如久漫雨水、則共能化成蛭、性忌石灰食鹽、試鹽點蛭、則盤縮死、

草蛭

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1230 草蛭(○○) 本草云、草蛭〈和名加佐比流〉蛭之在草上也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1230 本草和名草蛭在水蛭條、別無和名、今俗呼谷蛭(○○)或山蛭(○○)、〈○中略〉所引文、千金翼方、證類本草、竝無載、證類本草水蛭條、引唐本注元、草蛭在深山草上、行卽傳著脛股、不覺、遂於肉中産育、亦大爲害、則知此所引卽是蘇敬注文、郝氏曰、喜生濁泥水中、有大如拇指、其小者齧人尤猛也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1230 水蛭〈○中略〉 草蛭ハカサビル(○○○○)、和名鈔 タニビル ヤマビル、弘景ノ説ノ山蚑、保昇ノ説ノ石蛭、皆同物ナリ、長サ一寸飴、山谷土石間ニ住シ、人ノ足聲ヲ聞クトキハ、出デ、人ニ著ク、雨フルトキハ、草木枝葉上ニ升リ、人觸レバ便チ著ク、豆州ノ天城山ハ、六七分ノ小蛭地ニ滿ツ、暫ク留レバ、足ニ上ルコト多シ、

馬蛭

〔倭名類聚抄〕

〈十九/蟲豸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1231 馬蛭(○○) 本草云、馬蛭一名馬蟥、〈音黃、和名無末比流(○○○○)、〉蛭之大也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈八/蟲名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1231 本草和名、馬蛭在水蛭條、別無和名、今俗呼熊蛭(○○)、〈○中略〉所引文、千金翼方、證類本草無載、證類本草水蛭條引陶隱居、有馬蜞山蚑二種、又引唐本注云、是物有草蛭水蛭、大者長一尺名馬蛭、一名馬蜞、二家、竝有馬蜞、無馬蟥、按本草和名水蛭條云、馬蜞山蚑、巳上二名出陶景法、又云、草蛭在草上、水蛭在水中、馬蛭大者、一名馬蟥、而證類本草云、蘇注一名馬蜞、輔仁云、蘇注一名馬蟥、不同、據仁諝音黃、則宜一名馬蟥上レ是、然則此所引隱括蘇敬注文也、證類今本陶蘇二注皆作馬蜞誤、當輔仁及此、陶作馬蜞、蘇作馬蟥、説文、蟥訓http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01717.gif、非此義、按本草衍義云、水蛭大者、京師又謂之馬鼈、腹黃者謂之馬黃、則知蟥俗黃字、

〔類聚名義抄〕

〈十/虫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1231 馬蛭〈ムマヒル〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十七/卵生蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1231 水蛭〈○中略〉
馬蜞ハ ウマビル〈和名鈔南部〉 クマビル(○○○○)〈京〉 ダンゴビル(○○○○○)〈備前〉 コノ蛭ハ、梅雨中ニ多ク出、形大ニシテ長サ三四寸アリ、〈○下略〉

天蛇

〔和漢三才圖會〕

〈四十五/龍蛇〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1231 天蛇
本綱、天蛇生幽陰之地、遇雨後則出、其大如筋而匾長三四尺、色黃赤、澆之以醋則消、或以石灰之亦死、
錢塘一田夫忽病癩扁身漬爛、號呼欲絶、西溪寺僧視之曰、此天蛇毒非癩也、以秦皮煑汁一斗、令其恣飮、初日減半、三日頓愈、 按天蛇、非蛇種類、而蛭之屬也、深山溪陰、四時不日光之地、如夏月霖雨中、濕熱感生蛭、多有枝梢而墮行人之上、俗謂之曰蛭降(ヒルカフル)、然其大者不尺、紀州熊野熊取越、土州野根山越等亦間有之、

蛭雜載

〔倭姫命世記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1232 二十七年〈○垂仁〉九月、水道田〈仁波〉田蛭穢〈故禮波〉我田〈爾波〉不住〈志止〉宣〈支〉、

〔皇大神宮儀式帳〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1232 天照坐皇大神宮儀式幷神宮院行事〈○中略〉
天照坐皇大神〈乃〉伊勢國度會郡宇治里、佐古久志留伊須々〈乃〉川上〈爾〉御幸行坐時儀式、〈○中略〉次百船〈乎〉度會國、佐古久志呂宇治家田田上宮坐〈支、○中略〉大御意鎭坐國〈止〉悦給〈氐〉大宮定奉〈支〉、爾時伊鈴〈乃〉御川〈乃〉漑水道田〈波〉、苗草不敷〈氐〉作食〈止〉大御事垂給〈支〉、亦我朝御膳夕御膳、稻〈乃〉御田作、家田〈乃〉堰水道田〈爾波〉、田蛭〈波〉穢故〈爾〉我田〈爾波〉不住〈止〉宣〈支〉、依此御事今世〈爾毛〉苗草不敷、亦田蛭不住、〈○下略〉

〔朝野群載〕

〈二十一/雜文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1232 勘申 御 蛭喰吉日
今月廿六日己卯 人神在胸中
來月十二日甲午 人神在左乳
右御 蛭喰吉日、勘申如件、 康平四年四月廿四日 權醫博士和氣相秀

〔台記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1232 久壽二年四月十四日庚寅、女房重蛭http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01718.gif (○○)、腫物已減、仍女房褂五領〈重生單〉給基康、〈○下略〉

〔中右記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1232 大治二年五月三日、今朝此堅根飼(○○)蛭卌許兩度、 七日施藥院使來令堅根、申云、明後日今一度可http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/km0000m01718.gif 蛭者、但有減氣者、 九日、今日依醫師敎又飼蛭卅餘、已及三ケ度也、雖減氣、誠身力屈了、

〔明月記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1232 建仁三年五月二日、依力平臥、蛭飼(○○)、 六月一日夕、行九條、足腫苦痛、飼蛭之後彌發動、
嘉祿二年四月八日、未斜又蛭飼、十六日、未時許、蛭向飼齒訖、八月十二日、未時許、飼蛭齒、幷耳後熱氣多所也、
寬喜元年六月十二日戊申、午時許、齒幷手左蛭飼、今年始、十六日壬子、午後又蛭飼齒少々、左手卅 許、 九月十八日壬午、朝、移點晝念誦之後、口熱欲蛭、蛭不付、今日不之、 十九日癸未、未時蛭飼、 廿日甲申、未時又蛭飼、〈昨日上齒、今日下齒、依蛭少昨日不功、〉 十月十二日丙午、未時又齒飼蛭、 二年四月廿七日戊子、未時蛭飼齒頤、手振示合、心寂房猶可飼之由稱之、 五月十四日乙巳、未時許又蛭飼、日來齒右障過之、 七月卅日己未、朝間、校正止觀、未時口熱、飼蛭之後、又校之、第八卷上卷校了、 八月二日辛酉、未時蛭飼、 四日癸亥、宗淸法印來談、歸之後蛭飼、 十月八日、午終心寂房來、事外付減之由如詞、但惡靈充滿、非蛭飼時治云々、
天福元年四月八日壬午、未時許蛭飼頤下、年々頻好之、去々年以後二年付金蓮説之、而熱興盛難堪、示合貞幸朝臣、相待程、出來之間、今日日次宜云云、但依彼説、三十飼之、 八月三日乙亥、未時許、蛭向飼卅許、嚴僧阿闍梨依蛭飼逢、 二年〈○文曆元年〉七月廿七日甲子、未後頤下飼蛭、血頗留之間、四條中納言忽抂駕驚出相謁、八月一日丁卯、蛭向飼、未時終之、申時許櫻井宮御使參川來、蛭狼藉之間、隔物申披存旨、未了、 三日、未時猶飼蛭、
○按ズルニ、飼蛭ノ事ハ、尚ホ方技部醫術篇ニ在リ、宜シク參照スベシ、

〔拾遺和歌集〕

〈九/雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1233 雨ふる日、おほはら用をまかりわたりけるに、ひるのつきたりければ、
惠慶法師
世中にあやしき物は雨ふれど大原川のひるにぞありける

蟲雜載

〔古事記〕

〈下/仁德〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1233 大后大恨怒、〈○中略〉暫入坐筒木韓人、名奴理能美之家也、〈○中略〉於是口手臣、亦其妹口比賣、及奴理能美三人、議而令天皇云、大后幸行所以者、奴理能美之所養蟲、一度爲匐蟲、一度爲殻、一度爲飛鳥、有三色之奇虫看行此虫而入坐耳、更無異心、如此奏時、天皇詔、然者吾思奇異、故欲見行大宮上幸行、入坐奴理能美之家時、其奴理能美、己所養之三種虫、獻於大后、〈○下略〉

〔日本書紀〕

〈二十四/皇極〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1233 三年七月、東國不盡河邊人大生部多勸虫於村里之人曰、此者常世神(○○○)也、祭此神 者、致富與一レ壽、巫覡等遂詐託於神語曰、祭常世神者、貪人致富、老人還少、由是加勸捨民家財寶陳酒陳菜六畜於路側、而使呼曰、新富入來、都鄙之人、取常世虫、置於淸座、歌儛求福棄捨珍財、都無益、損費極甚、於是葛野秦造河勝惡民所一レ惑、打大生部多、其巫覡等恐休其勸祭、時人便作歌、曰禹都麻佐波(ウツマサハ)、柯微騰母河微騰(カミトモカミト)、枳擧曳倶屢(キコエクル)、騰擧預能柯微乎(トコヨノカミヲ)、宇智岐多麻須母(ウチキタマスモ)、此虫者常生橘樹、或生於蔓椒、〈蔓椒此云裒曾紀〉其長四寸餘、其大如頭指計、其色綠而有黑點、其貌全似養蠶

〔日本書紀〕

〈二十四/皇極〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1234 二年七月、是月茨田池水大臭、小虫覆水(○○○○)、其虫口黑、而身白、 八月壬戌、茨田池水變如藍汁、死虫覆水、溝瀆之流亦復凝結、厚三四寸、大小魚臭如夏爛死、由是不喫焉、 九月、是月茨田池水漸變爲白色、亦無臭氣

〔三代實錄〕

〈四/淸和〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1234 貞觀二年四月十一日辛卯、廻飃起外記候廳前、旋轉西行、小蟲無萬數、飛散其中

〔百練抄〕

〈八/高倉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1234 治承三年四月廿三日、近日童謠云、自五月一日惡蟲(○○)可降、不日、食者可夭命、三百年一度有此事云々、無差本文

〔看聞日記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1234 嘉吉三年八月廿三日、境内畠毒蟲(○○)付、〈其形如アツキ蟲(○○○○○)、有目四云々、〉畠万草所食悉枯、仍苅捨、河へ流之處、件蟲魚食て死云々、野草此蟲食する草苅て牛にかふ忽死、〈淨喜牛、此草食斃云々、〉況於人倫哉、他郷も如此云云、天災不思儀事也、

〔壒囊抄〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1234 アナカシコト云ハ、何ナル事ゾ、〈○中略〉
上古ハ、和漢共ニ、未ダ舍屋ニ居スル事ヲ知ザリシ時ハ、人々土ノ窠ニ居セシカバ、恙虫(ツヽガムシ/○○)ト云物有テ、螫人故ニ、土ノ穴賢ク閉塞ギテ、恙虫ヲ可防ト云詞也、〈○中略〉土窠ノ穴賢ク閉テ、窠ノ、中ニ恙虫无シテ、不螫(ハサヽ)安穩也ト云心也、仍テ安穩無爲ナル事ヲ、无恙ト云ヘリ、

〔大和本草〕

〈十四/蟲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1234 恙(ツヽガ) 風俗通云、恙毒蟲也、喜傷人、古人草居露宿、相勞問曰、無恙、爾雅翼云、蛇字古但作它、上古草居患它、故相問無它乎、篤信〈○貝原〉曰、此二物相類ス、上古、今世ト時異トイヘドモ、草野岩 穴所在之蟲ハ、今日所在ト同物ナルベシ、今モ草居露宿セバ、蛇ノ類害〈スレ〉人ベシ、上古ハ未室屋、野ニ居リ、穴ニスム、蛇ノ類人ヲ害セシナルベシ、然ラバ、恙トハ蛇ノ類ナルベシ、〈○下略〉

〔萬葉集〕

〈六/雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1235 石上乙麻呂卿配土左國之時歌三首幷短歌〈○中略〉
草管見(クサヅヽミ)、身疾不有(ヤマヒアラセズ)、急(スム)、令變賜根(ヤケクカヘシタマハネ)、本之國部爾(モトツクニベニ)、

〔冠辭考〕

〈三/久〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.1235 草づゝみ 〈やもひ○中略〉
こは流しやらるゝ處にて、わづらひあらせずして、はやく歸し給へてふ語に、旅の草むしろにありてふ蟲の名を冠らしめたり、〈○中略〉草管見(ヅヽミ)は、説文に恙蟲名、入腹食人心、古人草居被此害、故相問無恙乎てふより出て、卷五に〈よく行てよくかへれてふ歌〉都々美無久(ツヽミナク)、佐伎久伊麻志氐(サキクイマシテ)、速歸坐勢(ハヤカヘリマセ)とも、又集中に、つゝがなくとよめる所に、無恙と書たれば、卽是なり、〈○註略〉
○按ズルニ、恙ノ事ハ、方技部疾病篇名稱條下ニ詳ナリ、宜シク參看スベシ、


Last-modified: 2019-11-13 (水) 10:46:45 (143d)