地部/伊賀國

p.0397 伊賀國ハ、イガノクニト云フ、東海道ニ在リ、東ハ伊勢、南ハ大和、西ハ山城、大和、北ハ近江ニ堺シ、東西凡ソ七里、南北凡ソ九里アリ、天武天皇ノ朝、伊勢ノ阿拜(アベ)、山田(ヤマダ)、伊賀(イガ)、名張(ナバリ)四郡ヲ割キテ此國ヲ建テ、國府ヲ阿拜郡ニ置ク延喜ノ制、下國ニ列ス、明治維新ノ後、阿山、名賀ノ二郡ト爲シ、三重縣ヲシテ之ヲ治セシム、

名稱

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0397 伊賀〈以加〉

〔易林本節用集〕

〈下〉

p.0397 伊賀〈伊州〉

〔日本風土記〕

〈一寄語島名〉

p.0397 伊賀〈衣(イ)加〉

〔倭訓栞〕

〈前編三伊〉

p.0397 いが　伊賀の國號もあがの轉音にて、猿田彦神の女吾(ア)娥津媛命より出たるよし風土記に見え、倭名鈔伊賀郡阿我と見えたり、

〔日本總國風土記〕

〈五〉

p.0397 伊賀國　猿田彦神女吾娥津媛命、〈◯中略〉又此神之依二知守國一、謂二吾娥之郡一、其後清見原天皇御宇、以二吾娥郡一、分爲二國之名一、後改二伊賀一、吾娥之音轉也、

位置

〔日本經緯度實測〕

p.0397 北極出地　伊賀　簗瀬村〈名張郡〉　三四度三七分三〇秒　左那具市　三四度四八分三〇秒〈◯中略〉　

p.0398 東西里差　山城　京　◯度◯◯分◯◯秒〈◯中略〉　伊賀　簗瀬村　東◯度二〇分三六秒

疆域

〔國分記〕

p.0398 伊賀國竪横之事　一長、北近江堺丸柱村ゟ、南ヘ和州堺安部田迄九里半、　一横、西山城堺よひ坂ゟ、東伊勢堺之別符村迄九里、

〔伊水温故〕

〈春〉

p.0398 伊賀國分來由〈◯中略〉　凡國の境は、艮より巽の方に至て、伊勢國に并たり、午より酉の方に大和國に并ぶ、戌の方は山城、亥子の方は江州に合たり、

〔日本地誌提要〕

〈八伊賀〉

p.0398 疆域　東ハ伊勢、南ハ大和、西ハ大和、山城、北ハ近江ニ至ル、東西凡七里、南北凡九里、

地勢

〔易林本節用集〕

〈下〉

p.0398 伊賀〈◯中略〉四方一日、東南海而北山多、依レ生二暖氣一、草木竹蕩多、小上圀也、

〔伊水温故〕

〈春序〉

p.0398 爾白鳥乃伊賀國は、四境の八重山に嶻㠔として、唯翠屏のごとくに峙ち、山滴苔露、溪谷の端狹間を潜、岷山の觴水少成しに、行末は、山川數十の流を催し、淼汒と落絢て、青山河の河不行(ヨド)は、猶岷江不レ異、浩る處を田附し國は、伊水の名を得たり、〈◯下略〉

道路

〔三國地志〕

〈五十八伊賀〉

p.0398 路程　按、上野ヨリ京師ニ至ル十八里〈或神童寺越十六里〉　江戸ニ至ル百七里廿八町　南都ニ至ル九里　大坂ニ至ル十八里　津ニ至ル十二里　勢州龜山ニ至八里　松坂ニ至ル十四里　江州彦根ニ至十八里　大津ニ至ル〈石部越十七里田上越十三里〉　瀬田ニ至ル〈玉瀧越十五里田上越十一里〉　膳所ニ至ル十里　水口ニ至ル七里　和州初瀬ニ至ル十一里　宇多ニ至ル十一里半　紀州和歌山ニ至ル三十六里　官道　東國路　按、伊賀山〈城州界〉大川原ヨリ島ケ原ニ至ル一里廿町拾間、島ケ原ヨリ上野ニ至ル

p.0399 二里、〈所レ歴曰川南、曰三本松、曰山口、曰市場、曰小田、〉上野ヨリ佐那具ニ至ル一里十五間、〈行レ歴曰服部、曰印代、曰松原、〉佐那具ヨリ柘植ニ至ル二里、〈所レ歴曰御代、曰下柘植、曰中柘植、曰野村、〉柘植ヨリ勢州加太ニ至ル二里八町、〈所レ歴曰小林、曰岡花、〉通計八里廿九町十五間、　神宮道〈俗參宮道ト云、大和攝津ヲ經ル參宮人多ク此ノ道ニ出ヅ、〉按、名張ヨリ阿保ニ至ル二里半、〈所レ歴曰藏持、曰新田、曰七見、曰羽根、〉阿保ヨリ伊勢地ニ至ル一里、〈所レ歴曰岡田、曰下川原、〉伊勢地ヨリ勢州垣内ニ至ル三里、〈所レ歴曰松地、曰伊賀茶屋、〉通計六里半、　京師道　按、一ハ島ケ原ヨリ城州大河原ヲ歴テ笠置ニ至ル、一ハ佐那具ヨリ玉瀧ニ至リ、江州深川ヲ歴テ石部ニ至ル、　江戸道　按、柘植ヨリ加太ヲ歴テ關ニ至ル、東國路是ナリ、　伊勢道　按、上野ヨリ山田ニ至ル二里、〈所レ歴曰車坂、曰西明寺、曰荒木、曰眞泥茶屋、曰川原出、〉山田ヨリ平松ニ至ル二里廿二丁、〈所レ歴曰中村、曰廣瀬觀音寺、曰下阿波、〉平松ヨリ長野ニ至ル二里十四丁、〈所レ歴曰元町、曰汁付、曰峠、〉

〔日本實測録〕

〈二街道〉

p.0399 從二伊勢國津一歴二伊賀國一至二木津一〈◯中略〉　伊賀國山田郡平松宿　二里二十町四十二間　平田宿　二里三町四十六間〈至二上野車坂町一一里三十二丁〉　阿拜郡上野農人町　五町四十七間　同中町〈至二愛宕社一七丁四十八間〉　二里二町四十八間　島ケ原宿　一里三十三町三十三間〈至二國界一二十三丁〉　山城國相樂郡北大河原村〈◯中略〉　從二伊勢國市場庄一歴二大和國一至二西京一〈◯中略〉　伊賀國伊賀郡伊勢地村　二里五町三十五間　阿保宿　三里三町一十八間半　名張郡簗瀬村名張町三十四度三十七分半　二里一十一町三十九間〈至二國界一一里一十八丁三十九間◯中略〉　從二東海道關一歴二加太一至二上野一〈◯中略〉　伊賀國阿拜郡上柘植宿三十四度五十分半　二里一十一町一十八間　佐那具宿三十四度四十八分半　一十三町三十九間　東條村〈至二一宮敢國神社一一十三丁〉　一里四町二十四間　上野農人町〈自レ關至二上野一〉

p.0400 街道、通計七里一十八町五十九間、

〔神風行囊抄〕

〈二〉

p.0400 阿波〈自二長野一（伊勢國）到二于此一二里〉　上野〈自二阿波一三里〉　城主藤堂和泉守　島ケ原〈自二上野一二里〉　大河原〈自二島ケ原一一里卅丁、是ヨリ山州ナリ、◯中略〉　是路ノ事、勢州關ヨリ經二伊州一到二于奈良一、別卷ニ委ク記レ之、是ニハ大概ヲ書ス、

〔日本書紀〕

〈二十八天武〉

p.0400 元年七月辛卯、遣二田中臣足麻呂一令レ守二倉歴道一、

〔日本書紀通證〕

〈三十三天武〉

p.0400 倉歴道〈倭名抄、近江國甲賀郡藏部、久良布、又伊賀阿拜郡柘殖郷有二倉部里一、〉

宿驛

〔三國地志〕

〈七十五伊賀〉

p.0400 伊賀郡　阿保驛(○○○)　按和州ヨリ伊勢神宮ヘノ官道ナリ、名張ヨリ此ニ至ル三里、阿保ヨリ勢州垣内ニ至ルコト四里、

〔三國地志〕

〈八十一伊賀〉

p.0400 名張郡　名張驛(○○○)、〈又曰二簗瀬一、或作二南張一、◯中略〉按和州大野ヨリ、本國上野、又ハ阿保ヘノ驛次ナリ、古驛ハ名張ヨリ西南二十町許、今ノ丈六村ニアリト云、古市アリ、今ニ至テ民居市 ニ類ス、

〔日本書紀〕

〈二十八天武〉

p.0400 元年六月、及夜半一到二隱郡(ナハリノ)一、焚二隱驛(ナハリノ)家一、因唱二〈◯唱原作昌恐誤〉邑中一曰、天皇入二東國一、故人夫諸參赴、

〔日本書紀通證〕

〈三十三天武〉

p.0400 隱驛家〈在二簗瀬郷一、倭名鈔、諸國郷名有二驛家一、即此、〉

〔日本書紀〕

〈二十九天武〉

p.0400 朱鳥元年六月庚寅、名張厨司災之、

〔釋日本紀〕

〈十五述義〉

p.0400 名張厨司　兼方案之、伊賀國之驛家也、

建置沿革

〔日本國郡沿革考〕

〈二東海道〉

p.0400 伊賀　白鳳〈◯天武〉九年七月、割二伊勢國四郡一建二伊賀國一、〈扶桑略記、倭姫世記、國造記云、志賀高穴穗朝定伊賀國造、難波朝隷二伊勢國一、〉下國、管四郡、百八十二村、

p.0401 阿拜〈六十九村　古府治、神宮儀式帳作二阿閉一、倭姫世記、神名秘書作レ敢、〉　山田〈二十五村〉　伊賀〈五十村　延長風土記云、伊賀津姫之領地、仍爲二郡名一、又爲二國名一、〉　名張〈三十八村　古事記那婆理之稻置、即是、天武紀作二隱郡一、釋日本紀作二名墾一、〉

〔日本地誌提要〕

〈八伊賀〉

p.0401 沿革　古ヘ國府ヲ阿拜郡ニ置、〈今ノ西條村是ナリ〉鎌府ノ時、平賀朝雅、大内惟義、子惟信、相繼テ守護タリ、足利尊氏ノ筑紫ヨリ京ニ入、仁木義長ヲシテ、伊勢守護ヲ以テ本州ヲ兼知セシメ、子孫ニ傳フ、應永ノ初、將軍義滿、名張伊賀二郡ヲ北畠顯泰ニ與フ、永正ノ末、仁木氏衰ヘ、柘植服部諸族相鬩ク、北畠氏擊テ之ヲ降ス、天正九年、織田信雄諸族ヲ滅シ、其地ヲ併セ、瀧川雄利ヲ以テ守護ト爲シ、上野城ニ居ラシム、十一年、信雄、豐臣秀吉ト隙アリ、秀吉ノ臣脇坂安治、上野ヲ襲ヒ雄利ヲ逐フ、秀吉、安治ヲシテ長田市場ニ居テ州事ヲ管セシム、明年、筒井定次ヲ封ズ、慶長十三年、徳川氏其封ヲ收メ、之ヲ藤堂高虎ニ賜ヒ、世襲、王政革新、三重縣ヨリ兼治ス、

〔扶桑略記〕

〈五天武〉

p.0401 九年七月、割二伊勢四郡一建二伊賀國一、〈◯又見二倭姫命世記、帝王編年記一、〉

〔先代舊事本紀〕

〈十國造〉

p.0401 伊賀國造　志賀高穴穗朝〈◯成務〉御世皇子意知別命三世孫武伊賀都別命定二賜國造一、難波朝〈◯孝徳〉御世、隷二伊勢國一、飛鳥朝〈◯天武〉代、割置如レ故、

〔續日本紀〕

〈五元明〉

p.0401 和銅五年九月己巳、又詔曰、〈◯中略〉況復伊賀國司阿直敬等所レ獻黒狐、即合二上瑞一、〈◯中略〉其伊賀國司目已上、進二位一階一、

〔吾妻鏡〕

〈三〉

p.0401 壽永三年〈◯元暦元年〉三月廿日己酉、今日大内冠者惟義可レ爲二伊賀國守護一之由被レ仰二付之一云云、

〔日本鹿子〕

〈六〉

p.0401 伊賀國　上野　江戸ヨリ百七里廿八町　天正十一年以後、尾張及當國、織田信雄領ス、　筒井伊賀守定次(八万千石慶長十一年指出高)　慶長十三年ヨリ　藤堂和泉守高虎(當領主勢州共)〈持分〉　同大學頭高次〈持分〉　同和泉守高久(當領主勢州共)〈持分〉

國府

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0402 伊賀國〈國府在二阿拜郡一、行程上二日下一日、〉

〔三國地志〕

〈六十七伊賀〉

p.0402 國府　西條村ニ地名存ス、是則舊府ノ地ニシテ、今府中郷内ナリ、

〔伊水温故〕

〈夏〉

p.0402 國府　三田村　此處には國中の土貢を被レ納所にて、御藏の跡今も侍る、〈◯中略〉　國府湊　〈東條村　西條村〉　戀の森に續く地なれば戀の湊可也、小川府中村の前を流れ三田の郷へ水落る也、府中國府同訓にして、其地を流る川なれば、國府の湊共可レ唱か、其共戀の神、貴布禰垂跡の地なれば、歌には戀の森と知べき也、昔は船の著たりと覺、小川の上に舟戸と云處も有、

郡

〔延喜式〕

〈二十二民部〉

p.0402 伊賀國下〈管〉　〈阿拜　山田　伊賀　名張◯中略〉　右爲二近國一

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0402 伊賀國〈◯註略〉管四〈◯註略〉阿拜、〈安部、國府、〉山田、〈也末太〉伊賀、〈與レ國同〉名張、〈奈波利〉

〔伊水温故〕

〈春〉

p.0402 伊賀國分來由　郡の方角は、阿拜郡は北に當、　山田郡城下、上野の東、　伊賀郡は巽より酉の方にて　名張郡は國の坤方

〔皇國郡名志〕

p.0402 伊賀國〈四郡〉　阿部(アベ)　〈●阿保　●伊セ地　△七見峠　△長田川　和界ヨリ勢界貫〉　山田　〈●山田　＜平田町　●平松　勢界郡〉　伊賀(イカ)　〈上野　＜濃人町　●丸柱　●佐那具　●中柘　●島ケ原　●三本松　城江界〉　名張　＜名張　△名ハリ川　△黒田川　勢和界〉　◯按ズルニ、本書及ビ次下郡名異同一覽ノ符號ハ、山城國篇郡條ニ引ク所ノ、二書ノ凡例ヲ參照スベシ、

〔郡名異同一覽〕

p.0403 伊賀

阿拜郡

〔東大寺小櫃文書〕

〈上〉

p.0403 民部省牒東大寺三綱所　伊賀國　合田壹町漆段陸拾伍歩　阿拜郡一町一百廿五歩〈◯中略〉　天平神護三年二月廿八日〈◯署名略〉

〔日本書紀〕

〈二十八天武〉

p.0403 元年九月丙申、車駕還宿二伊勢桑名一、　丁酉、宿二鈴鹿一、　戊戌、宿二阿閉(○○)一、

〔三代實録〕

〈十一清和〉

p.0403 貞觀七年九月五日癸未、伊賀國阿拜、山田、伊賀三郡田六町九段二百八十八歩施二入

p.0404 貞觀寺、

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0404 散位藤原朝臣實遠先祖相傳所々領掌田畠目録事　伊賀國　在　合〈◯中略〉　阿拜郡　三田郷〈◯中略〉　天喜四年二月廿三日〈◯署名略〉

山田郡

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0404 散位藤原朝臣實遠先祖相傳所々領掌田畠目録事　伊賀國　在　合〈◯中略〉　山田郡　一處　食代村　四至〈東限二高山一　南限レ山　西限二黒山一　北限二谷口一◯中略〉　天喜四年二月廿三日〈◯署名略〉

伊賀郡

〔大神宮諸雜事記〕

〈一〉

p.0404 垂仁天皇即位廿五年丙辰、天照坐皇太神〈◯中略〉倭姫内親王奉レ戴天、先伊賀國伊賀郡一宿御坐、即國造奉二其神戸一、

〔日本書紀〕

〈二十八天武〉

p.0404 元年六月甲申、即急行到二伊賀郡一、焚二伊賀驛家一、

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0404 散位藤原朝臣實遠先祖相傳所々領掌田畠目録事　伊賀國　在　合　伊賀郡　一處　猪田郷　四至〈東限二阿我條格一　南限二防道岡一　西限二治田村一　北限二大内堺一◯中略〉　天喜四年二月廿三日〈◯署名略〉

名張郡

〔續日本紀〕

〈十三聖武〉

p.0404 天平十二年十月癸未、車駕到二伊賀國名張郡一、

〔倭姫命世記〕

p.0404 六十四年〈◯崇神〉丁亥、遷二幸伊賀國【隱】(ナバリ)部〈◯部一本元〉市守宮一、二年奉レ齋、

〔日本書紀〕

〈二十五孝徳〉

p.0405 大化二年正月甲子朔、賀正禮畢、即宣二改新之詔一曰、〈◯中略〉凡畿内、東自二名墾(○○)横河一以來、〈◯中略〉爲二畿内國一、

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0405 散位藤原朝臣實遠先祖相傳所々領掌田畠目録事　伊賀國　在　合〈◯中略〉　名張郡　一處　矢川村　四至〈東限二杣山一　南限二知陁賀明神一　西限二宇陁河一　北限二矢川一◯中略〉　右件所所、先祖相傳領掌、而年老亂之間、或荒廢、或窂籠、依レ玆有二相傳領掌道理一上、爲レ得二教養存生之時一、讓二與即甥養子藤原信良朝臣一既畢、仍勒二目録一讓文如レ件、　天喜四年二月廿三日〈◯署名略〉

郷

〔倭名類聚抄〕

〈六國郡〉

p.0405 伊賀國　阿拜郡　枯〈◯枯恐柘誤〉殖　川合　印代　服部　三田　新居　山田郡　木代　川原　竹原　伊賀郡　阿保　阿我　神戸　猪田　大内　長田　名張郡　周知　名張〈奈波利〉夏身

〔三國地志〕

〈五十九伊賀〉

p.0405 阿拜郡　郷名　柘殖〈◯中略〉　按、天武紀積殖ニ作リ、倭姫世記云、都美惠是ナリ、風土記植柘ニ作リ、盛衰記殖柘ニ作ルモノハ、顚倒或ハ誤字ノミ、天平勝寶、永保、永久等ノ年間東大寺古文書、阿拜郡柘植郷ニ作ル、植恐クハ誤寫ナラン、倭名鈔柘ノ訓豆美、今柘植ニ作リテ黄楊ノ訓トスルモノハ古義ニアラズ、今上柘植、中柘植、下柘植、野村、愛田、新堂、御代、楯岡、小杉、柏野、上村、是ヲ呼テ柘植郷ト云、　河合〈◯中略〉　按、東大寺古文書、阿閉郡河合郷、今河合、馬田、千具、田中、石川、圓徳院、波鋪野馬場、西ノ澤、是ヲ河合郷ト云、　印代〈今廢◯中略〉　按、今村名ニ存ス、　服部〈◯中略〉　按、今服部、羽根、高畠、寺田、荒木、西明寺、是ヲ服部郷ト云、　三田〈◯中略〉　按、東大寺古文書、阿拜郡三田郷云々、今三田、大谷、守羽、北曾、河内、丸柱、是ヲ三

p.0406 田郷ト云、　新居　按、續日本紀新家ト云是也、今西山、西村、東村、風野間、是ヲ新居郷ト云、　已上和名抄ニ出ル所ナリ、　長田〈◯中略〉　按、東大寺古文書、阿拜郡長田郷云々、舊伊賀郡ニ屬ス、今更テ本郡ニ移載ス、長田、朝屋、木興、大野木、法華、大内、〈下庄〉是ヲ長田郷ト云、　小田　按、今小田、上野〈農人町〉久米、淺宇田、四十九、是ヲ小田郷ト云、　府中〈舊作二國府一〉　按、西條村ニ存ス、東條、西條、土橋、山神、印代、坂下、是ヲ府中郷ト云、　一宮　按、今一宮、千歳、佐那具、外山、是ヲ一宮郷ト云、　北五箇〈◯中略〉　按、今玉瀧、内保、西湯舟、友田、〈上中下三村ヲ一郷トス〉是ヲ北五ケ郷ト云、　島ケ原　按、准后伊賀記、島ケ原郷云々、大道興村、中屋、河南、中村、是ヲ島ケ原郷ト云、風土記伊賀郡ニ屬ス、今更テ本郡ニ移載ス、　壬生野〈◯中略〉　按、今川東、川西、山畑、是ヲ壬生野郷ト云、　已上七郷ニ上ノ五郷ヲ合シテ十二郷今存スル所ナリ、　音羽〈今廢〉　准后伊賀記曰、音羽郷、按今村名ニ存ス、

〔倭姫命世記〕

p.0406 活目入彦五十狹茅天皇〈◯垂仁〉即位二年癸巳四月四日、遷二于伊賀國敢(アヘノ)【都美惠】(ツミヱノ)宮一、二年奉レ齋矣、

〔日本書紀〕

〈二十八天武〉

p.0406 元年六月辛酉朔壬午、會明至二蕀萩野一、暫停レ駕而進食、到二積殖(○○)山口一、高市皇子自二鹿深一越以遇之、

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0406 小治田藤麻呂解申立賣買舍宅并墾田等券事　家壹區〈地貳町　在二阿拜郡柘殖郷(○○○)一◯中略〉　右左京三條四坊戸主小治田朝臣藤麻呂家并墾等、頓賣二東大寺一已訖、仍注状以解、　天平廿年十一月十九日〈◯署名略〉

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0406 伊賀國司解申賣買開田地立券文事　合地壹拾町〈開田四段　畠九町六段〉　限〈東界朝宮谷　南界驛道　西南角界藤原夫人地　北界山嶺〉　過價錢玖貫文　右在二阿拜郡柘殖郷一、左京四條二坊正五位上市原王之地如レ件、此今爲二東大寺家通分一買得已訖、仍依

p.0407 レ式立券參通以二一通一爲二國案一、以二一通一爲二郡案一、以二一通一付二寺家案一、　天平寶字二年十一月廿八日〈◯署名略〉

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0407 注進　柘殖川合(○○)兩郷山内土作目録田事　合　柘殖郷山内土作四十八丁五反百歩　川合郷山内土作廿丁五反六十歩　右件兩郷山内土作注進如レ件　永久三年五月廿五日〈◯署名略〉

〔吾妻鏡〕

〈三〉

p.0407 壽永三年〈◯元暦元年〉五月廿四日辛亥、左衞門尉藤朝綱、拜二領伊賀國壬生野郷(○○○○)地頭職一、

〔源平盛衰記〕

〈四十一〉

p.0407 三日平氏附維盛舊室歎二夫別一并平氏歎事　同〈◯元暦元年六月〉六月八日、〈◯中略〉秀義ハ、法勝寺領大原庄ニ入、平家ハ伊賀壬生野、平田ニアリ、行程三里ヲバ不過ケリ、〈◯中略〉源次能盛、貞繼法師三百餘騎ノ兵ヲ引卒シテ、柘植郷(○○○)與野、道芝打分テ、近江國甲賀郡上野村、 窪、篠鼻田、堵野ニ陣ヲ取テ、北ニ向テ磬ヘタリ、

〔源平盛衰記〕

〈三十五〉

p.0407 範頼義經京入事　當國〈◯伊賀〉ノ一宮南宮大菩薩ノ御前ヲバ、心計ニ再拜シテ、暫新居(○○)川原ニ磬タリ、西ニ平岡アリ、九郞義經、里人ヲ招キテ、是ヨリ宇治ヘ向ハンニハ、何地カ道ハ能ト問給ヘバ、西ニ見エ候平岡ヲバ、アヲタ山ト申、其ヨリ前ニ、頸落瀧ト云所ヲ通ルニハ、近ク候ト申、

〔三國地志〕

〈六十八伊賀〉

p.0407 山田郡　郷名　中村　按、千戸、眞泥、畑、甲野、鳳凰寺平田、出後、炊、富岡、中村、是ヲ呼テ今中村郷ト云、古千戸眞泥畑、是ヲ河原郷ト云、　阿波〈一作レ淡、准后伊賀記作二粟郷一、◯中略〉　按、上阿波、猿野、富永、下阿波、川北、廣瀬、是ヲ呼テ阿波郷ト云、　馬野〈◯中略〉　按、奧馬野、中馬野、坂下、是ヲ呼テ馬野郷ト云、　喰代　按、喰代、鷹山、蓮池、是ヲ呼テ

p.0408 喰代郷ト云、　友生　按、上友生、界外、中友生、下友生、是ヲ呼テ友生郷ト云、　已上五郷今存在スル所也、　川原〈今廢◯中略〉　按、今畑村ニ川原出ノ字アリ、此地山田川ノホトリニテ水難ノ地ナレバ、此名アルニヤ、　竹原〈今廢◯中略〉　按、今廢シテ鳳凰寺村ニ存ス、　已上三郷和名抄出ル所也、　阿野〈今廢◯中略〉　按、阿野ハ今上野ノ東南字野畠ノ地ナリ、古ハ郡ノ西界ニシテ、今阿拜郡ニ屬ス、　鳥合〈今廢◯中略〉　玉井〈今廢◯中略〉　按、今平田町ニ玉井ノ名アリ、　郡〈今廢◯中略〉　川向〈今廢◯中略〉　按、平田ヨリ出後ヲ呼テ川向ト云、

〔三國地志〕

〈七十二伊賀〉

p.0408 伊賀郡　郷名　依那具〈◯中略〉　按、依那具村ニ存ス、今依那具、市部、沖、才良、猪田、上郡、下郡、上神戸、下神戸、上林、山出、上莊ノ十二邑ヲ呼テ依那具ノ郷ト云、　比土　按、比土村ニ存ス、今比土、高瀬〈比土支郷〉古郡ノ三邑ヲ呼テ比土郷ト云、　比自岐〈◯中略〉　按、比自岐村ニ存ス、今岡波、森、界外、摺見、抍川ノ五邑ヲ呼テ比自岐郷ト云、　北山　按、北山村ニ存ス、今北山、勝地、妙樂寺、瀧下川原、伊勢地、奧鹿野ノ七邑ヲ呼テ北山郷ト云、又上津(カウト)谷トモ云、　阿保〈或云二十津七郷一◯中略〉　按、阿保村ニ存ス、今阿保、岡田、柏尾、寺脇、別府、羽根ノ六邑ヲ呼テ阿保郷ト云、　種生　按、種生村ニ存ス、今種生、諸木、腰山、霧生、高尾、老川、福川、川上ノ八邑ヲ呼テ種生郷ト云、　小波田　按、小波田村ニ存ス、今上波田、下小波田、中村、東田原、新田ノ五邑ヲ呼テ小波田郷ト云、　古山　按、古山村ニ存ス、今假冶屋、東谷、南、安場、藏繩手、湯屋谷、菖蒲池ノ七邑ヲ呼テ古山郷ト云、　予野　按、予野村ニ存ス、今予野、治田、白樫、大瀧、桂ノ五邑ヲ呼テ予野郷ト云、　已上九郷今存スル所也　阿我〈◯中略〉　按、阿我ハ神戸ノ舊名ニシテ、神戸ハ大神宮遷幸以降ノ名ナリ、今我山ノ半腹ニ我山ト云支郷アリ、是舊郷ノ遺稱歟、神戸四村、俗呼テ五箇郷ト云ハ、伊賀記ニ謂ユル五保ノ名ノ存スルモノカ、　神戸〈◯中略〉　猪田〈◯中略〉　大内〈◯中略〉　長田〈今屬二阿拜郡一〉　按、已上五郷和名抄ニ出ル所ナリ、今皆郷廢シテ村里トナル、　霧生　按、已上伊賀記ニ出ヅ、今廢シ

p.0409 テ村トナル、

〔令集解〕

〈四十喪葬〉

p.0409 古記云、遊部者、在二大倭國高市郡一、生目天皇〈◯垂仁〉之苗裔也、所三以負二遊部一者、生目天皇之孽、圓目王、娶二伊賀比自支(○○○)和氣之女一爲レ妻也、凡天皇崩時者、比自支和氣等、到二殯所一而供二奉其事一、

〔神鳳抄〕

p.0409 二所太神宮御領、諸國戸、御厨、御薗、神田、名田等、〈◯中略〉　伊賀國〈◯中略〉雨宮　比志岐御厨〈十一丁六段、三石四斗八升、内宮御神酒代布十七段、白布六反并苧、〉

〔三國地志〕

〈七十八伊賀〉

p.0409 名張郡　郷名　簗瀬〈和名鈔云、名張、和名奈波利、今廢曰二簗瀬一、◯中略〉　按、モト簗瀬村ハ村名ナリ、倭姫世記ニ簗作瀬(ヤナセ)ノ細鱗魚(アユヲ)ヲ奉ルト、是地名ノオコル所ナリ、元徳元年、及養和元年東大寺古文書ニ、簗瀬莊ニ作ルハ、本寺ノ莊園トナレバナリ、今南出、北出、平尾、藏持、夙、コノ六郷ヲ簗瀬郷ト云、　夏見〈又、作二夏箕一今廢、◯中略〉　按、康保年間東大寺古文書、及後鳥羽院御巡禮記、神宮古記録等、皆夏見郷ニ作ル、今村名ニ存ス、　周知　按、今所在詳ナラズ、　已上和名鈔ニ出ル所ナリ　薦生　按、蔫生、八幡、鵣山、家野、葛尾、西田原、下三谷ノ七邑、今呼テ薦生郷ト云、　大屋戸　按、大屋戸、短野、夏秋、松原ノ四邑、今呼テ大屋戸郷ト云、　安部田　按、安部田、黒田、井手、結馬(ケチマ)ノ四邑、今呼テ安部田郷ト云、　矢川　按、矢川、上三谷、瀧口、市之井、瀧長坂ノ五邑、今呼テ矢川郷ト云、　檀　按、檀、柏原、星川ノ三邑、今呼テ檀郷ト云、　中村　按、中村、瀬古口、青蓮寺、夏見ノ四邑、今呼テ中村郷ト云、　丈六　按、丈六長屋ノ二邑今呼テ丈六郷ト云、　比奈知　按、上比奈知、下比奈知、瀧原、長瀬、布生、奈垣、神屋ノ七邑、今呼テ比奈知郷ト云、　已上八郷今存スル所ナリ　黒田〈今廢◯下略〉

〔春日神社記〕

p.0409 第一御殿武雷神者、有レ出二御於常陸國鹿島一、人皇四十八代稱徳天皇、神護景雲元年丁未六月廿一日、移二御于伊賀國名張郡夏身郷(○○○)一、〈◯註略〉供奉者、社司二人、舍人一人也、

村里/名邑

〔郡名一覽〕

p.0410 一伊賀國(皆私領)　〈伊州　四方一日　東南海北山〉　四郡　高拾萬五百四拾石貳合　百八拾貳ケ村　●上野　〈百十三里津ノ持〉　 ◯名張　〈津藩一萬五千石〉　藤堂宮内　◯按ズルニ、本書ノ符號ハ、山城國篇村里條ニ引ク所ノ、本書ノ凡例ヲ參照スベシ、

〔郡國提要〕

p.0410 伊賀　四郡百八十二村　高十一万九十六石五斗三升六合(皆私領)　阿拜郡六十九村　山田郡二十五村　伊賀郡五十村　名張郡三十八村

〔地勢提要〕

〈坤〉

p.0410 郡邑島嶼奇名　伊賀　阿拜郡、愛田(エタ)村、御代(ミヨ)村、印代(イシロ)村、山神(ヤマミ)村、名張郡、結馬(ケチハ)村、山田郡、眞泥(ミナカ)村、猿野(マシノ)村、

〔續日本紀〕

〈十三聖武〉

p.0410 天平十二年十一月甲申朔到二伊賀郡安保頓宮一宿、大雨、途泥人馬疲煩、

〔新撰姓氏録〕

〈右京皇別〉

p.0410 阿保朝臣　垂仁天皇皇子、息速別命之後也、息速別命之後也、息速別命幼弱之時、天皇、爲二皇子一築二宮室於伊賀國阿保村(○○○)一、以爲二封邑一、子孫因家レ之焉、允恭天皇御代、以二居地名一、賜二阿保君姓一、廢帝天平寶字八年、改レ公賜二朝臣姓一、續日本紀合、

〔續日本紀〕

〈三十八桓武〉

p.0410 延暦三年十一月戊午、武藏介從五位上建部朝臣人上等言、臣等始祖息速別皇子、就二伊賀國阿保村一居焉、逮二於遠明日香朝廷一、〈◯允恭〉詔二皇子四世孫須珍都斗王一、由レ地錫二阿保君之姓一、〈◯下略〉

〔日本書紀〕

〈三十持統〉

p.0410 三年八月丙申、禁二斷漁獵於〈◯中略〉伊賀國伊賀郡身野(○○)二万頃一、置二守護人一、准二河内國大鳥郡高脚海一、

〔日本靈異記〕

〈中〉

p.0410 奉レ寫二法華經一因二供養一顯二母作レ牛之因一縁第十五　高橋連東人者、伊賀國山田郡噉代里(○○○)人也、大富二饒財一、奉三爲レ母寫二法華經一、〈◯下略〉

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0410 玉瀧御杣(○○○○)、湯船(○○)、鞆田(○○)等四村工等謹解申二請本寺政所恩裁一事　

p.0411 請レ被下殊任二道理一、奏二聞事由於公家一、令上三杣工等安二土各村々一愁状、〈◯中略〉　天喜四年三月十日〈◯署名略〉

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0411 應レ令二東大寺進上一證文、寺領伊賀國玉瀧杣内字鞆田村分田陸拾餘町并杣工肆拾餘人混二合六條院御庄一事、　右得二彼寺去二月廿四日解状一稱、謹撿二案内一、玉瀧杣者、自二天平年中一以降、爲二寺家領一歴二數百年一、雖レ無二指免田一、以二杣工作田一爲二雜役免所一勤來也、所レ謂玉瀧村廿町、湯船村十五町、鞆田村六十餘町、杣工玉瀧湯船等村十五人、鞆田村卌人也、代代之間、敢無二窂籠一、爰去承徳二年、依二備前守平正盛寄文一、以二鞆田村内田廿町一、被レ立二券六條院御庄一已畢、其後天仁二年、同村田十三町、都介村田卌餘町、暗被二押籠一之後、卌人杣工稱二其作人一、併駈仕之間、全不レ隨二寺家之所勘一、但於二國司一者、毎年撿注之後、依レ例勘除、至二于所當官物一者、以二寺家封戸百卌一石一所二率補一也、〈◯中略〉　永久三年四月卅日　左大史小槻宿禰〈花押〉奉

〔東大寺小櫃文書〕

〈上〉

p.0411 謹辭　請伊賀國領所等直事　合准米貳仠斛　右伊賀國名張郡矢川中村(○○○○)田畠直、如レ員所レ請如レ件、　延久六年七月六日〈◯署名略〉

〔東大寺小櫃文書〕

〈上〉

p.0411 僧源祐謹奉渡　所領壹所事　合　在伊賀國名張郡字矢河中村者〈四至載二公驗面一◯中略〉　長承二年正月十七日〈◯署名略〉

〔三國地志〕

〈九十九伊賀〉

p.0411 舊案　太政官符伊賀國司　雜事伍箇條内一　

p.0412 一應下遣二官使一同停中廢東大寺、興福寺兩寺押二領字簗瀬(○○)、眞木山(○○○)、丸柱(○○)、并予野村(○○○)等内公田參佰餘町一不上レ令レ辨二濟調庸雜物一事　東大寺領　字黒田庄〈加納字簗瀬村、公田三百餘町、〉眞木山村　丸柱村　興福寺西金堂領　字予野村、公田三十餘町、　島原保　得二彼國守從五位上藤原朝臣信經去月十日奏状一偁、信經去正月廿四日任二彼國守一、先召二在京雜掌等一、尋二問立風一之處、公東大寺領黒田庄者、本田廿五町八段百八也、而近代以降、募二寺家威一、押二領字簗瀬、眞木山、丸柱三箇村内、公田三百餘町、公民一百餘家一、不レ輸二租税一、不レ勤二課徭一、其中簗瀬村者、前司小槻祐宿禰任、寛治年中、始一別保之後、偏號二寺領一之間、藤原孝清任云、長治三年下二宣旨一、被二停廢一畢眞木山村者、爲重朝臣任、同下二宣旨一被二停廢一焉、丸柱者、源憲明任、始所レ稱二彼庄領一也、因レ玆代々之間、毎經二奏聞一、或附二使廳一、令レ追二却膚掠之徒一、或遣二官使一被レ停二止加納之地一、雖レ然猶不レ懲二嚴制一、猥以所二押取一也、寄二名廿餘町之免田一、假二奪三箇村之國領一、貪猾之甚、爭無二禁遏一乎、又猪田郷内予野村、公田卅餘町、忽號二興福寺西金堂領一、同不レ輸二租調一、國之蠹害、無レ過二於斯一矣者、聖二請天恩一、任二代々宣下状一、重遣二官使一、被レ停下止彼兩寺所二押領一之公田三百餘町者上、將レ伏二彫弊之憂一者、正二位行大納言藤原朝臣宗輔宣、奉レ勅依レ請者、　以前條事如レ件、國宜二承知依レ宣行一之、符到奉行、　從四位上行權右中辨藤原朝臣〈在判〉　左大史正六位上惟宗朝臣〈在判〉　天養元年三月廿九日〈◯中略〉　按、已上東大寺寶庫ニ藏ム、

〔源平盛衰記〕

〈三十五〉

p.0412 範頼義經京入事　九郞義經、里人ヲ招キテ、是ヨリ宇治ヘ向ハンニハ、何地カ道ハ能ト問給ヘバ、〈◯中略〉是ヨリ長田里(○○○)、花苑ト云所ヲ廻テ、射手大明神ノ御前ヲ、笠置ニ懸ツテモ、道能候ト申、

〔西大寺文書〕

〈一〉

p.0413 注進　西大寺所領諸庄薗現存日記事　合〈◯中略〉　一顚倒庄々〈◯中略〉　伊賀國　名張郡須智村(○○○)、田一町、　同郡畠川村(○○○)、栗林十二町四段二百四十六歩、〈◯中略〉　已上二十七處、依二流記公驗一明白注進之、　右依二宣旨一注進如レ件　建久二年五月十九日〈◯署名略〉

〔藤川記〕

p.0413 廿五日、〈◯中略〉かねては、氷口より、伊賀のはとり(○○○)につくべき支度なれど、洪水に、道とをる事安からず、

〔十樂庵記〕

p.0413 一宮の祭あすといふこよひ、度會の行量にさそはれて、まうでゆき侍るに、宮のほどちかき里を千座村(○○○)といふ、こヽは、神供などとヽのふる所になむ、みてくらそこら數見へて、神かぜの國めきたり、

〔伊水温故〕

〈夏〉

p.0413 千座　千歳村　昔は千座村、中古謬り、今は千歳村といふ、千座とは神供所を云、

莊

〔東大寺要録〕

〈六〉

p.0413 一諸國諸庄田地〈長徳四年注文定〉　伊賀國(新發田并治開田◯中略)　阿拜郡柏野庄(○○○)田廿町八段十九歩〈◯中略〉　笠間庄(○○○)卌二町二百歩　薦生庄(○○○)合四町二百八十歩庄甲庄

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0413 税所　注進東大寺庄出作公田官物未進事〈◯中略〉　

p.0414 黒田庄(○○○)出作　名張郡公田内　三斗米四百九十四石三斗四升八合　准米三百七十二石九斗五升二合　頴五千四百廿五束鞆田玉瀧(○○○○)兩庄出作　柘殖川合郷公田内　三斗米五十八石五斗八合　准米百九石一升三合　頴八百廿一束二把　右件未進便補東大寺御封米三百六十餘石之殘所注進如レ件、　保安三年二月廿八日〈◯署名略〉

〔東大寺要録〕

〈二〉

p.0414 被二院宣一偁、伊賀國鞆田庄者、雖レ爲二天平施入之地一、非レ無二地利開墾之主一、因レ玆、正盛朝臣、承徳二年、以二相傳證文一、寄二進郁芳門院一、御領庄號先了、〈◯中略〉　貞應元年七月廿二日　參議源雅清　謹上東大寺別當僧正御房

〔東大寺要録〕

〈二〉

p.0414 伊賀國阿波(○○)、廣瀬(○○)、山田(○○)、有丸庄(○○○)者、爲二平家沒官之地一、前右大將家知行、而依二後白河院勅命一、被レ賜二當寺總大工宋人陳和卿一之日、右大將家同以レ次令レ去二進地頭一給了、仍和卿發二善願一、永以寄二付淨土堂領一矣、〈其旨具見二于大和尚讓文一〉　東大寺衆徒訴申、伊賀國阿波、廣瀬兩庄地頭職事能状、〈副二證文案一〉如レ此任二道理一可レ令二成敗一之由、可下令レ仰二遣關東一給上者、依二御氣色一、執啓如レ件、　二月十日　宗行奉　右大將殿(院宣案)　下二伊賀國山田郡内有丸、并廣瀬、阿波杣山一、可三早停二止地頭職一事、(鎌倉殿御下文案右大將頼朝)　右件所、依レ爲二沒官地一、雖レ補二地頭一、依二院宣一所レ停二止彼職一也、早可下爲二宋人一進上上之状、付レ使以下、　建久元年十二月十二日

〔東大寺要録〕

〈二〉

p.0415 左弁官下二東大寺一　應下令二國司一且停二止武士狼籍一且言中上子細上、當寺諸國寺領貳拾參箇處事、〈◯中略〉　伊賀國　黒田庄　同新庄　同出作　簗瀬庄(○○○)　薦生庄(○○○)　玉瀧庄　鞆田庄　阿波庄　廣瀬庄　山田有丸庄〈◯中略〉　右近日都鄙罷二騷擾一、丁壯苦二軍旅一、俗之凋弊、職而斯由、就レ中五畿七道諸國、神社佛寺已下庄領、或武士寄二事左右一、煩二費州縣一、或民庶不レ營二租税一、亡二命山澤一、權大納言源朝臣通具宣、奉レ勅宜レ令下下二知彼宰吏等一、停中止狼籍上、但若有二子細一者、言上聽レ裁者、同下二知諸國一、既畢寺宜二承知依レ宣行一レ之、縡在二機急一、暫莫二延怠一、　承久三年七月廿七日　大史小槻宿禰　中弁藤原朝臣

〔吾妻鏡〕

〈三〉

p.0415 壽永三年〈◯元暦元年〉四月六日甲戌、　池大納言沙汰　走井庄〈河内〉　長田庄(○○○)〈伊賀◯中略〉　右庄園拾七箇所、載二沒官注文一、自二於院一所二給預一也、然而如レ元爲二彼家沙汰一、爲レ有二知行一、勤状如レ件、　壽永三年四月五日

〔吾妻鏡〕

〈二十二〉

p.0415 建保四年十二月八日丙辰、伊賀國壬生野庄(○○○○)者、爲二春日社領一、而宇都宮彌三郞朝綱入道、稱二地頭一押領之由、興福寺住侶僧信賢所二參訴一也、今日有二其沙汰一、不レ能二關東御成敗一、於二記録所一、被レ遂二對決一、可レ宜之由被二仰下一云云、

〔百練抄〕

〈十四四條〉

p.0415 嘉禎元年閏六月廿一日壬子、伊賀國大内庄(○○○)〈所當三百餘石〉爲レ散二神人怨一、被レ寄二進八幡宮一畢、

田數/石高

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0415 伊賀國〈◯註略〉管四〈田四千五十一町一段四十一歩〉

〔海東諸國記〕

p.0415 伊賀州　郡四、水田一千五百町、

〔日本鹿子〕

〈六〉

p.0416 伊賀國、四郡、小上國、　四方一日　知行高九万五千五百九十石

〔國花萬葉記〕

〈九伊賀〉

p.0416 知行高九万九千五百五拾四石

〔官中秘策〕

〈二〉

p.0416 伊賀國　四郡〈◯中略〉　一石高拾万五百四拾石餘

〔吹塵録〕

〈五人口及國高〉

p.0416 天保度御國高調〈◯中略〉　伊賀國〈皆私領〉　一高拾壹万九拾六石五斗三升六合

出擧稻

〔延喜式〕

〈二十六主税〉

p.0416 諸國出擧正税公廨雜稻　伊賀國正税公廨各十三万五千束、國分寺料五千束、文殊會料一千束、修理池溝料一万束、堰河防料一千束、救急料三万束、

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0416 伊賀國〈◯註略〉管四〈（中略）正公各十三萬五千束、本稻三十二萬七千束、雜稻四萬七千束、〉

國産/貢獻

〔延喜式〕

〈十五内藏〉

p.0416 諸國年料供進　色絲三百絇〈伊賀國所レ進◯中略〉　樽〈伊賀、伊勢、（中略）各二合、〉

〔延喜式〕

〈二十三民部〉

p.0416 年料別納租穀　伊賀國〈二千石◯中略〉　年料別貢雜物　伊賀國〈紙麻五十斤◯中略〉　諸國貢蘇番次〈◯中略〉　伊賀國七壺〈並小一升◯中略〉　右六箇國爲二第二番一〈寅申年◯中略〉　交易雜物〈◯中略〉　伊賀國〈白絹十二疋、鹿皮、廿張、樽、二合、加二赤漆朸一、以下皆同、〉

〔延喜式〕

〈二十四主計〉

p.0416 伊賀〈◯中略〉　右廿五國中絲〈◯中略〉　伊賀〈◯中略〉　右廿九國輸レ絹〈◯中略〉　伊賀國〈行程、上二、日、下一日、〉　調一窠綾三疋、二窠綾一疋、絹二百疋、〈數内輸二白絹十疋、餘輸レ絹國皆准レ此、〉橡絲廿絇、練絲一百絇、〈國以二徭夫一練染、夫練染餘皆准レ此、〉絲〈◯絲上據二内藏式一當レ有二色字一〉三百絇〈夏調〉自餘輸二絲布一、　庸、白木韓櫃九合、自餘輸レ米、　中男作物、紅花七斤八兩、紙、茜、胡

p.0417 麻油、蜀椒、

〔延喜式〕

〈三十七典藥〉

p.0417 諸國進年料雜藥〈◯中略〉　伊賀國廿三種　前胡八斤、王不留行、玄參、升麻各八斤、獨活、苦參各廿斤、連翹、瞿麥各六斤、桔梗卅斤、昌 木斛、夜干各十斤、大青廿七斤、茯苓七斤、栝樓五斤、當歸十一斤、虵脱皮一兩、署預、桃人各五升、麥門冬四升、車前子七升、半夏二斗、蜀椒子一升、

〔毛吹草〕

〈三〉

p.0417 伊賀　燒物　紅花　多葉古　松茸　目藥〈家里　眞島右二ケ所〉

人口

〔官中秘策〕

〈二〉

p.0417 伊賀國　四郡〈◯中略〉　一人數九万千三百九拾貳人　内〈四万七千百四拾九人　男　四万四千二百四拾三人　女〉

〔吹塵録〕

〈五人口及國高〉

p.0417 諸國人數調〈◯中略〉(文化元甲子年)　一人數八万百九拾六人(皆私領)　伊賀國(高拾万五百四拾石餘)　内〈四万六百九拾七人　男　三万九千四百九拾九人　女◯中略〉　諸國人數調〈◯中略〉(弘化三丙午年)　一人數九万千七百七拾四人(皆私領)　伊賀國(高拾壹万九拾六石餘)　内〈四万六千七百貳拾八人　男　四万五千四拾六人　女〉

風俗

〔人國記〕

p.0417 伊賀國　伊賀之國ノ風俗、一圓實ヲ失ヒ欲心深シ、サルニ因テ、地頭ハ百姓ヲタブラカシ、犯シ掠メントスル事日々夜々也、百姓ハ地頭ヲ掠メン事ヲ日夜思ヒ、夢ニダニ義理ト云事ヲ不レ知ガ故ニ、武士之風俗、猶以不レ被レ用也、

名所

〔伊賀名所記〕

p.0417 伊賀郡　いがの國西の方の名所來歴　

p.0418 伊賀山　少納言入道信西の國分には、山城の國のよし申侍れども、因幡の山もその國にあるをいふ事に侍れば、伊賀の國のかたといはんは、とがあるべからず、〈◯中略〉　名張郡　南の方の名所　夏身山　山田郡のさかいにある山となり〈◯中略〉　阿拜郡　伊賀の國北よりの名所來歴なり　敢國大明神　直指抄云、少彦名神者、伊賀國阿拜郡敢國明神也、〈◯中略〉　山田郡　いがの國東よりの名　烏坂明神　烏坂のさとにまします、直指抄に下照姫なり、　◯按ズルニ、本書ニハ伊賀國中ニ於ケル山川、寺社、古蹟ヲ擧グルコト甚ダ多ケレドモ、今其煩ヲ避ケテ一部分ヲ示ス、

雜載

〔延喜式〕

〈二十八兵部〉

p.0418 諸國健兒〈◯中略〉　伊賀國卅人〈◯中略〉　諸國器仗　伊賀國〈甲一領、横刀四口、弓廿張、征箭卌具、胡籙卌具、〉

〔延喜式〕

〈三十四木工〉

p.0418 鍛冶戸〈◯中略〉　伊賀國三烟