地部/和泉國

p.0333 和泉國ハ、イヅミノクニト云フ、五畿内ノ一ニシテ、東ハ河内、紀伊ニ接シ、西ハ海ニ面シ、南ハ紀伊、北ハ攝津ニ堺ス、東西凡ソ四里十餘町、南北凡ソ六里アリ、此國ハ元正天皇ノ靈龜二年ニ、河内國ナル大鳥、和泉、日根ノ三郡ヲ割キテ和泉監ヲ置キ、孝謙天皇ノ天平寶字元年更ニ改テ國ト爲ス、古ヘ國府ヲ和泉郡ニ置キ、大鳥(オホトリ)、和泉(イヅミ)、日根(ヒネ)ノ三郡ヲ管シ、延喜ノ制、下國ニ列ス、後和泉郡ヲ分チテ和泉〈又泉ニ作ル〉泉南ノ二郡トス、明治維新ノ後、大鳥、泉二郡ヲ併セテ泉北郡トシ、又日根郡ヲ泉南郡ニ合セ、新ニ堺市ヲ置テ一市二郡ト爲シ、大坂府ヲシテ之ヲ治セシム、

名稱

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0333 和泉〈以都三〉

〔運歩色葉集〕

〈伊〉

p.0333 和泉(イツミ)

〔日本風土記〕

〈一寄語島名〉

p.0333 和泉〈因字米〉

〔倭訓栞〕

〈前編三伊〉

p.0333 いづみ〈◯中略〉　和泉の國は清泉國府にあり、よて名とすといへり、和泉と書るは、國郡の名に二字を用ゐさせられしよりのことなり、

〔玉勝間〕

〈五〉

p.0333 和泉の和字の事　國名のいづみを和泉とかく和の字は、いかなる故をもて添られたるにか、としごろいぶかしか

p.0334 りつるを、つら〳〵思へば、まづいづみといふは、和泉郡ありて、上泉下泉てふ郷もあれば、そこより出たる國の名なることは論なし、かくてその郷の内、府中村といふに、今も和泉の井とて、いとめでたき清水ありて、そこに泉井上神社、和泉神社なども有て、式にも見ゆ、然るに並河氏がかける和泉志を見れば、此和泉井を擧て、其水清且甘と記せるをもて思へば、此清水、上つ代よりいと清くて、甘かりし故に、にぎいづみと號て和泉(ニギイヅミ)と書たりしを、其里人などは、たヾ泉とのみいひならへるがひろごりて、名高き水なれば、京人なども、泉とのみいひあへりしまヽにて、郡の名にも國の名にもなれるを、すべて國郡などの名、二字にかく事なる故に、文字にはかならず本の名のごとく、和泉とは書なるべし、やまとの國も、語には常には、たヾやまとヽのみいふを、もじには必大ノ字をそへて、大和とかくと同じたぐひなり、されば和泉の和の字は、もとにぎ泉といひけんゆゑとぞ思はるヽ

〔日本靈異記〕

〈中〉

p.0334 觀音木像不レ燒二火難一示二威神力一縁第卅七　聖武天皇世、泉國(○○)泉郡部内珍努上山寺居二于正觀自在菩薩木像一而敬二供之一、

位置

〔地勢提要〕

〈乾〉

p.0334 各國經緯度〈附里程〉　和泉堺〈市之町濱〉極高三十四度三十四分半、經度西一十六分半、從二東都一〈東海道、歴二大坂一、〉一百四十九里三十町五十六間、

〔日本經緯度實測〕

p.0334 北極出地　和泉　岸和田　三四度二七分三〇秒　堺　三四度三四分三〇秒〈◯中略〉　東西里差　山城　京　◯度◯◯分◯◯秒〈◯中略〉　和泉　岸和田　西◯度二二分三五秒

疆域

〔和泉志〕

〈一〉

p.0334 疆域　東至二河州界一、西至二海濱一、南至二紀州界一、北至二攝州界一、南北十二里餘、東西五里許、

〔日本地誌提要〕

〈六和泉〉

p.0335 疆域　東ハ河内紀伊、南ハ紀伊、北ハ攝津、西ハ海ニ至ル、東西凡四里壹拾四町、南北凡六里、

〔三代實録〕

〈二清和〉

p.0335 貞觀元年三月四日庚申、遣二左衞門少尉正六位下紀朝臣今影、右衞門大志從六位上櫻井田部連貞雄麻呂於河内和泉兩國一、辨二決陶山之爭一、　四月廿一日丙午、河内和泉兩國、相二爭燒レ陶伐レ薪之山一、依二朝使左衞門少尉紀今影等勘定一、爲二和泉國之地一、

〔平治物語〕

〈一〉

p.0335 從二六波羅一紀州被レ立二早馬一事　大將〈◯平清盛〉以下皆淨衣ノ上ニ鎧ヲ著、敬二禮熊野權現一、今度ノ合戰無二事故一討勝サセ給ヘト祈精シテ、引懸引懸打程ニ、和泉ト紀伊國トノ境ナル鬼ノ中山ニテ、蘆毛ナル馬ニ乘タル者、早馬ト覺シクテ、揉ニ揉デ出來タリ、スハ惡源太ガ使カト、皆人色ヲ失フニ、源氏ノ使ニハアラズシテ、六波羅ヨリノ早馬也、

地勢

〔易林本節用集〕

〈下〉

p.0335 和泉〈泉州〉下、管三郡、南北百餘里、負レ山抱レ海、故五穀帶二冷澀之氣一欠レ味、國廣醤醯魚鼈多、大下國也、

〔和泉志〕

〈一〉

p.0335 形勝　山環二東南一、海接二西北一、國無二巨川一、雄府豪邑、魚鹽利繁、

道路

〔和泉志〕

〈一〉

p.0335 〈路程〉　自レ堺至二京師一、淀道十四里、伏見道十五里十四町、至二江戸一一百三十七里、至二大坂一三里至二和歌山一十三里、　〈官道〉　紀州道　堺驛大小路、〈攝州住吉郡界〉至二岸和田驛一三里二十八町、〈所レ歴曰湊、曰下石津、曰高石、曰助松、曰下條、曰大津、曰宇多大津、曰忠岡、曰春木、曰野村等、〉岸和田驛至二信達驛一三里十一町〈所レ歴曰津田、曰貝塚、曰澤、曰佐野市場、曰蟻通、曰安松、曰樫井、曰大苗代等、〉信達驛至二山中驛界橋一〈紀州名草郡界〉一里二十七町〈歴二牧野中村等一、自二大小路一至二于此一、通計九里四町、外通二瀧畑村一、〉　濱道　岸和田驛至二男里一三里二町、〈所レ歴曰湊、曰佐野、曰賀祥寺、曰上岡田、曰樽井等、〉男里至二深日一三里十八町〈所レ歴曰尾崎、曰新、曰波宇手、曰貝掛、曰箱作、曰淡輪等、〉深日至二小島大岩一〈名草郡界〉一里三十一町〈歴二谷川村一、岸和田至レ此、通計八里十五町、外通二大川村一、〉　中道　堺驛至二府中一二里二十八町、〈所レ歴曰湊、曰上石津、曰大鳥、曰長承寺、曰舞、曰土生(ブ)、曰王子、曰伯太等、〉府中至二紀州官道一〈佐野川〉三里四町、〈所レ歴曰井口、曰額原、曰上松、曰作才、曰橋本、曰王子等、堺驛至レ此、通計五里三十二町、〉　

p.0336 〈間道〉　岩室越〈河州丹南郡界〉至レ堺二里三町〈經二土師金口等一、謂二之高野道一、道左乃河州、〉　釜室越〈河州錦部郡界〉至堺四里〈所レ歴曰深坂、曰小坂、曰深井等、〉　天野峠〈錦部郡界坂磴羊腸〉至二國分一一里二町〈經二南面利(ナメリ)、善正(ゼハタ)等一、〉　卷尾峠〈錦部郡界、坂路崎嶇、〉至二納花一三里二十二町〈經二大畑下宮國分等一、又自峠右折至二善正村一十町、〉　七越峠〈紀州伊都郡界、曲路七盤方達二山頂一、〉至二長承寺一五里〈經二父鬼納花等一、又自レ峠至二卷尾一、山徑嶮隘、謂二之檜原路一、〉牛瀧嶺〈伊都郡界、狹路人不二並行一、〉至二府中一四里有半〈所レ歴曰大澤、曰内畑、曰積川(ツカハ)、曰稻葉、曰中村、曰三田、曰今福等〉、　葛城嶺〈伊都郡界、多陟二坂路一、外通二粉川一、因呼二粉川越一、〉至二岸和田一四里十四町〈所レ歴、曰塔原、曰相川、曰河合、曰八田、曰土生等、〉　大木嶺〈紀州那賀郡界、溪路險隘、馬牛不レ行、〉至二岸和田一三里有半〈所レ歴曰土丸、曰大久保、曰王子、曰神前、曰貝塚等、〉　三畑越〈以二落合川一爲二那賀郡界一、外通二根來一、因呼二根來路一、〉至二信達驛一一里三十町〈經二葛江(クツカハ)畑童子(ワラス)畑、金熊寺等一、〉　井關峠〈又云二故道越一、紀州名草郡界、〉至二黒田一二里六町〈經二桑畑石田一〉　箱作嶺〈名草郡界、隘路巉岩、殆難二擧躋一、〉至二貝掛一一里十町　孝子畑嶺〈名草郡界〉至二深日一一里三十町　東畑越〈名草郡界〉至二谷川一一里二十町〈所レ歴曰横手畑、曰石橋畑、曰犬飼畑、又自二谷川一經二佐瀬川畑池谷畑一、謂二之西畑越、〉　〈航路〉　堺濱　至二淡州由良一十八里、至二須本一十七里、至二岩屋一十二里許、　至一播州赤石一十二里餘　至二攝州兵庫一七里餘、至二西宮一七里、至二尼崎一五里、至二大坂大塢(カハクチ)一二里、至二谷川一十一里、至二岸和田一三里有半、

〔日本實測録〕

〈一沿海〉

p.0336 從二東京一沿海至二大坂一〈◯中略〉　和泉國日根郡谷川浦、三十四度一十九分、　三里二十五町二十七間　尾崎村　四里九町三十八間　南郡岸和田濱町三十四度二十七分半、〈至二岸和田城大手前一五町二十四間〉　四里一十町四十一間　大鳥郡堺燈明堂〈至二市之町濱上町一二十九間、北極高三十四度三十四分半、從二市之町濱一歴二大和橋一至二安立町一、二十二町一十七間、從二安立町一至二天下茶屋一、三十二町五十七間、從二天下茶屋一至二大坂長町一、三十町九間半、從二長町一至二長堀橋一、一十九町二十二間半、〉　二里一十八町四十八間〈至二國界大和川口一二十五町二十一間半、從二大和川一至二津守新田木津川口一、一里二十七町三十一間、〉　攝津國西成郡千島新田木津川湊口

宿驛

〔延喜式〕

〈二十八兵部〉

p.0336 諸國驛傳馬〈◯中略〉　和泉國驛〈日部、呼唹、各七疋〉

〔續日本紀〕

〈二十孝謙〉

p.0336 天平寶字元年五月乙卯、勅曰、頃者上下諸使、總附二驛家一、於レ理不レ穩、亦苦二驛子一、自今以後宜レ爲レ依レ令、其能登安房和泉等國、依レ舊分立、

建置沿革

〔日本國郡沿革考〕

〈二畿内〉

p.0337 和泉　靈龜二年三月、割二河内國和泉日根兩郡一、令レ供二珍努宮一、〈或作二珍努官一誤、古事記血沼、崇神紀茅渟縣、允恭紀茅渟宮、續紀智努離宮、即是、萬葉集陳奴之海、或珍海、亦斥二此地一國造記云、靈龜元年、割置二茅野監一、〉四月割二河内國大鳥和泉日根三郡一、始置二和泉監一、天平十二年八月、併二河内國一、天平寶字元年五月、依レ舊分立、天長二年三月、攝津國江南四郊、隷二和泉國一、閏七月江南四郊、還二附攝津國一、下國管四郡、〈延喜式等三郡〉三百二十村、　大鳥(オホトリ)〈八十八村〉　泉(イヅミ)〈八十九村　古國府、延喜式等作二和泉一、日本紀作二泉水一、〉　南〈六十七村　延喜式不レ載、和名抄云、國分置二泉南郡一、〉　日根〈七十六村〉

〔和泉志〕

〈一〉

p.0337 建置沿革　尚古名曰二茅渟一、〈或作二血沼一、又珍努、〉隷二河内一、神武天皇東征之日、欲下踰二膽駒山一入中中洲上長髓彦禦レ之、皇師不レ利、更循レ海舟行、南至二山城水門一、皇弟彦五瀬命矢瘡痛甚、就レ水洗レ血、血沼之名、由レ此起也、神功皇后三韓凱旋、居二小竹宮一、謂二之舊府一、靈龜二年三月、割二河内國和泉日根二郡一、令レ供二珍努宮一、四月、割二河内國大鳥、和泉、日根三郡一、始置二和泉監一、府有二靈水一、地多二清泉一、故曰二和泉國一、天平十二年八月、併二河内國一、天平寶字元年五月、依レ舊分レ國置レ司、天長二年三月、割二攝津國東生西成百濟、住吉四郡一、隷二于本國一、閏七月、停下隷二本國一江南四郡上、還二附攝津國一以二百姓騷動一、無レ顧二私業一也、建久年間、以二佐原義連一補二守護職一、義連卒、悉二其公税一、供下上皇幸二熊野一之費用上、降及二延元一、直隷二南朝一、和田氏據二守府中一、南朝衰弊、山名時氏取レ之、明徳中山名氏清築二城于堺一、以名二泉府一、氏清敗亡、周防國大内義弘兼二守護職一、應永六年、義弘戰死、細川滿元兼レ守享祿中、家臣三好長慶、使二其族十河存保守一レ之、以爲二南海四國要衝一、永祿初、根來寺僧徒劫二略國中一、天正五年、織田侯建二營南莊一、〈今農人町〉使三松井友閑司二國務一、稱二之布政所一、十三年、豐臣太閤討二根來寺一、燬二其巣穴一掃二攘國害一、徒二營北莊一、〈爲二攝州一〉攝津守行長司二府事一、

〔日本地誌提要〕

〈六和泉〉

p.0337 沿革　靈龜中、河内ヲ割テ和泉監ヲ置、天平寶字ノ初、改メテ國トナシ、府ヲ和泉郡ニ置、〈府址今府中ニアリ〉鎌府、佐原義連ヲ以テ守護トス、建武中興、楠氏守護トナリ、和田正遠ヲシテ岸和田ニ鎭セシム、南北講和、將軍義滿、山名氏清ヲ以テ守護トシ堺津ニ城キ、泉府ト稱ス、明徳ノ初、氏清誅セラレ、大内義弘之ニ代ル、應永中、義弘亦誅ニ伏シ、細川滿元之ニ代リ、四傳シテ

p.0338 政元ニ至ル、其義子高國、澄元、嫡ヲ爭ヒ、大永中、澄元ノ子晴元、堺ニ據テ遂ニ本州ヲ取リ、家臣三好長基ヲ守護トス、天文ノ末、長基ガ子長慶、晴元ニ畔キ、本州ヲ攘奪シ、姪十河存保(ソガフマサヤス)ヲシテ堺ニ居ラシム、永祿ノ初、織田信長、三好氏ヲ降シ、國廳ヲ堺南ノ莊ニ置キ、松井友閑ヲシテ州務ヲ裁セシム、〈當時之ヲ政所ト云〉天正中豐臣氏廳ヲ北ノ莊ニ移シ、小西行長ヲシテ之ヲ掌ラシメ、州ヲ以テ豐臣秀長ニ賜フ、秀長嗣絶エ直ニ大坂ニ隷ス、徳川氏ノ時、堺ニ奉行ヲ置、封ヲ受ル者、岸和田、〈岡部勝宣〉伯太(ハカタ)〈渡邊吉綱〉凡テ二藩、王政革新、近江三上ノ遠藤氏來リテ吉見ニ徒リ、三藩トナル、尋テ悉ク之ヲ廢シ、堺縣ヲ置、

〔續日本紀〕

〈七元正〉

p.0338 靈龜二年三月癸卯、割二河内國和泉日根兩郡一令レ供二珍努官一、　四月甲子、割二大鳥和泉日根三郡一、始置二和泉監一焉、

〔續日本紀〕

〈十三聖武〉

p.0338 天平十二年八月甲戌、和泉監并二河内國一焉、

〔日本紀略〕

〈淳和〉

p.0338 天長二年三月癸酉、攝津江南四郊隷二和泉國一、　閏七月壬辰、停下隷二和泉一江南四箇郊上、還二附攝津國一、百姓騷動、無レ顧二私業一也、

國府

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0338 和泉國〈國府在二和泉郡一、行程上二日下一日、〉

〔伊呂波字類抄〕

〈伊國郡〉

p.0338 和泉國〈管三◯中略〉　和泉〈府〉

郡

〔延喜式〕

〈二十二民部〉

p.0338 和泉國下〈管〉　〈大鳥　和泉　日根◯中略〉　右爲二近國一

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0338 和泉國〈◯註略〉管三〈◯註略〉大鳥〈於保止利〉和泉〈國分置二泉南郡一〉日根〈比禰〉

〔易林本節用集〕

〈下〉

p.0338 和泉〈泉州〉下管三郡〈◯中略〉大鳥(オホトリ)　和泉(イヅミ)〈府〉　日根(ヒ子)

〔皇國郡名志〕

p.0338 和泉國〈舊三郡今四郡〉　大鳥(ヲフトリ)　〈＜堺　●大鳥　●石津上下　●湊　●モヅ　△泉式部　△行基出生地　攝河界〉　和泉(イヅミ)　〈●横山　●大津　△信田森　△牛タキ山　河紀界ヨリ海貫〉　

p.0339 日根(ヒ子)〈●山口　●山中　●信達　●市場　●貝掛　△青池　△蟻通社　紀界西海向郡〉　泉南(イヅミノミナミ)　〈岸和田　＜貝塚　●麻湯　△牛瀧川　紀界ヨリ海貫〉　〈今増二泉南郡一〉　◯按ズルニ、本書及ビ次下郡名異同一覽ノ符號ハ、山城國篇郡條ニ引ク所ノ、二書ノ凡例ヲ參照スベシ、

〔郡名異同一覽〕

p.0339 和泉

〔續日本紀〕

〈二十六稱徳〉

p.0339 天平神護元年閏十月辛卯、詔、河内和泉今年之調、皆從二原免一、〈◯中略〉和泉國三郡田租

p.0340 亦免

大鳥郡

〔和泉志〕

〈二〉

p.0340 大鳥郡〈東至二河州八上丹南二郡界一、西至二海濱一、南至二和泉郡界一、北至二攝州住吉郡界一、〉

〔日本書紀〕

〈三十持統〉

p.0340 三年八月丙申、禁二斷漁獵於攝津國武庫海一千歩内、紀伊國阿提郡那耆野二萬頃伊賀國伊賀郡身野二萬頃一、置二守護人一、准二河内國大鳥郡高脚海一、

〔續日本紀〕

〈十五聖武〉

p.0340 天平十六年十月辛丑、賜二郡司十四人爵一級、高年一人六級、三人九級、行所レ經大鳥和泉日根三郡百姓、年八十以上男女穀一、人有レ差、

〔日本後紀〕

〈十二桓武〉

p.0340 延暦廿三年十月丙午、至二和泉國一、遊二獵于大鳥郡惠美原一、

和泉郡

〔和泉志〕

〈三〉

p.0340 和泉郡〈東至二河州錦部郡及紀州伊都郡界一、西至二海濱一、南至二泉南郡界一、北至二大鳥郡界一、〉

〔續日本紀〕

〈三十六光仁〉

p.0340 天應元年六月戊子朔、和泉郡人坂本臣糸麻呂等六十四人、賜二姓朝臣一、

〔和泉井縁起〕

p.0340 神功皇后征二新羅一之年、此清水一夜涌出、故此地名二和泉郡一、三韓悉平、皇后歸レ自二新羅一詣二紀伊國一、下二御舟一覽二此水一、賞レ之矣、清水有二八幡社一、號二井八幡一、或曰二水内社一、相傳神功皇后行宮也、

〔日本後紀〕

〈十二桓武〉

p.0340 延暦廿三年十月辛亥、遣二使於和泉日根二郡諸寺一、施レ綿、

〔日本靈異記〕

〈中〉

p.0340 生二愛欲一戀二吉祥天女像一感應示二奇表一縁第十三　和泉國泉郡(○○)血渟山寺、有二吉祥天女 像一、〈◯下略〉

日根郡

〔和泉志〕

〈五〉

p.0340 日根郡〈東南至二紀州那賀名草二郡界一、西至二滄海一、北至二泉南郡界一、〉

〔東大寺正倉院文書〕

〈十四〉

p.0340 和泉監正税帳　日根郡天平八年税帳遣定稻穀伍仠漆伯貳拾捌斛陸升捌勺陸撮〈◯中略〉　天平十年四月五日

〔續日本紀〕

〈二十六稱徳〉

p.0340 天平神護元年九月庚戌、遣レ使造二行宮於大和河内和泉等國一、以レ欲レ幸二紀伊國一也、　十月甲申、到二和泉國日根郡深日行宮一、

〔三代實録〕

〈五清和〉

p.0341 貞觀三年六月二日乙巳、和泉國日根郡田、并山岡二十三町七段百九十九歩、永充二淳和院一、

〔大和物語〕

〈上〉

p.0341 みかど〈◯宇多〉おりゐ給ひて、又のとしの秋、御ぐしおろしたまひて、ところ〴〵山ぶみしたまひて、をこなひ給けり、〈◯中略〉いづみの國にいたり給て、ひねといふところにおはします夜あり、いとこヽろぼそうかすかにて、おはしますことを思ひて、いとかなしがりけり、さてひねといふことを、歌によめと仰ごとありければ、このよし、大とく、〈◯寛蓮〉　故郷の旅ねの夢にみえつるは恨やすらん又ととはねば、とありけるに、みな人なきてえよまずなりにけり、

泉南郡

〔和漢三才圖會〕

〈七十六和泉〉

p.0341 泉南郡　當國元三郡也、中世私割二和泉郡之南邊一爲二泉南郡一、而似二四郡一、

〔和泉志〕

〈四〉

p.0341 泉南郡〈東至二紀州那賀郡界一、西至二濱海一、南至二日根郡界一、北至二和泉郡界一、〉

〔半陶藁〕

〈三〉

p.0341 明甫字説　余昔避亂、寓二岐窳齋一、利渉老師在焉、〈◯中略〉爾來師移二法斾泉南一、余往而省焉、〈◯中略〉 履之後六七年、余再遊二泉南一、意在レ禮二率覩一也、有二諱 者一、師之寧聲也、字明甫、蔗蓭季弘師臥二海倉先廬一之日所レ命也、明甫一日、出二二大字一請レ説、蔗蓭親蹟也、蔗蓭余所レ敬也、嘗携二所業一謁レ之、一言之褒、莫二華衣如一焉、往事鍾レ懷、夢耶不レ夢耶、先レ是、人指二泉南一爲二佛國一、以二二師一故也、〈◯中略〉延徳二載秋閏八月初吉書、

郷

〔倭名類聚抄〕

〈六和泉國〉

p.0341 大鳥郡　大鳥〈於保止利〉日部〈（高山寺本作二日下部一）久佐倍〉和田〈爾木（高山寺本作二邇岐一）多〉上神、〈加無（高山寺本脱二無字一）都美和〉大村、〈於保無良〉土師〈波爾（爾、高山寺本作レ邇）之〉蜂田〈波知多〉石津〈以之都〉鹽穴〈之保乃阿奈〉常淩〈今爲二深井一、不加井、〉　和泉郡　信太〈臣多〉上泉〈加美都以都美、◯高山寺本、作二加无都以豆美一、〉下泉　輕部〈加留倍〉坂本〈佐加毛止〉池田〈以介多〉山直〈也末多倍〉八木　掃守、〈加爾毛利〉木島〈木乃之末〉　日根郡　近義　賀美　呼唹〈（唹高山寺本作レ於）乎〉鳥取〈止々利〉

〔和泉志〕

〈二大鳥郡〉

p.0342 郷名　大鳥、日部、〈日今作レ草〉和田〈今曰二美木多一〉上神、〈今曰二爾和一〉大村、〈今曰二陶器上村一、〉土師、〈今曰二毛須(モズノ)莊一、毛須、一作二毛受一、又萬代(モズ)、〉蜂田、〈今曰二半陀一〉石津、鹽穴(シハナ)、〈方廢、村存、〉常淩〈今爲二深井一〉

〔田代文書〕

p.0342 攝政家政所　和泉國在廳官人并大番舍人等　可下早任二先例一停二止尊惠正方等妨一、以二友貞重富一如レ元爲中大鳥日下部兩郷(○○○○○○○)村々刀禰職上事〈◯中略〉　建仁二年四月十五日　案主中原〈◯下略〉

〔泉州志〕

〈二〉

p.0342 鉢峯〈山上有二神社一〉　山林方五町官税免除　縁起云、人王十一代垂仁天皇八年、天照太神化二鳳凰一降二此襲于峯一、〈或云小倉峯、或云上野峯、〉垂仁皇子登臨而禮二祭其化跡一、故曰二【神郷】(ミワノサト)一焉、〈◯中略〉　余〈◯石橋新右衞門〉按〈◯中略〉上神訓二上三輪(カムツミワ)一者、對二大和國三輪一云レ爾歟、　◯按ズルニ、和名抄ニ上神郷有リテ、下神郷無キヨリ、泉州志ノ按文ニ、上神訓二上三輪一者、對二大和國三輪一云レ爾歟トアレドモ、同書引ク所ノ大鳥神社流記ニ、正三位鍫鞍社坐二下神里五六坪原里十二三坪云々ト見エタレバ、大和ニ對スルニアラザルコト明暸ナリ、

〔土佐日記〕

p.0342 いしづ(○○○)といふところの松原、おもしろくて、はまべとほし、

〔和泉志〕

〈三和泉郡〉

p.0342 郷名〈倭名類聚抄曰、郷十、其四爲二泉南郡一、今郷六、〉信太　上泉〈今曰二上條　郷一〉下泉〈今曰二下條郷一〉輕部　坂本　池田

〔和泉志〕

〈四泉南那〉

p.0342 郷名　山直　八木　掃守　木島

〔久米田寺文書〕

p.0342 和泉國久米多寺別當僧祐圓、與二同國山直郷四箇里地頭代沙彌西生一相論、當寺免田肆町參段餘事、　右對決之處、如二祐圓申一者、當寺免田貳拾陸町餘、散二在六箇郷一、代々國司無レ妨、承久以後、爲二守護人逸見入道奉行一、被レ尋二在廳一之時、承久以前、往古本免之由、進二勘状一之間、六箇郷地頭去退畢、其後輕部郷新地頭波多野彌藤二左衞門尉、令レ破之日、經二種々沙汰一、令二落居一畢、爰山直四箇里地頭代、不レ叙二用度々御下

p.0343 知一、去年召二上下司一、遂二問注一之處、退レ之畢、〈◯中略〉壽永二年、三箇郷百姓等申状具也、而聖鑒法師、以二謀書一付二強縁一、以二神社佛寺權門勢家百姓等私領一、俄號二寺領一、擬二庄號一之間、八木(○○)、山直(○○)、加守(○○)、三箇郷百姓等、訴申之處、不レ可レ有二庄號一之由、同守成外題畢、〈◯中略〉如二同所進文暦二年田所注文一者、久米多寺免田在郷田數事、貳拾町陸段肆拾歩、〈但本數貳拾陸町肆段小〉内輕部郷壹町伍段小、坂本郷(○○○)陸段、山直郷拾壹町漆段小、〈加新庄分定〉八木郷伍町佰歩、内〈壹町者承久以後〉加守漆段、木島郷(○○○)内埴生村壹町陸拾歩、任二承久三年以前引付一注進云々、〈◯中略〉如二此等状一者、久米多寺本免散在郷々、當時相論山直郷四箇里、免田肆町參段餘、可レ停二止地頭役一之由、雖レ不レ被レ載レ之、文治元暦免田、輙難レ被二顚倒一之上、六波羅下知状、已爲二炳焉一歟、然者於二彼免田一者、可レ停二止地頭役一、但承久以後、新免與二自今以後浮免一者、可レ令レ停二止自由之募一者、依二鎌倉殿仰一、下知如レ件、　寶治二年十二月五日　左近將監平朝臣〈花押〉　相模守平朝臣〈花押〉

〔吾妻鏡〕

〈三十一〉

p.0343 嘉禎三年六月一日庚辰、矢部禪尼、〈法名禪阿〉賜二和泉國吉井郷(○○○)御下文一者、前遠江守盛連、依レ令二讓附一也、彼御下文、五郞時頼、被レ持二向三浦矢部別庄一云云

〔和泉志〕

〈五日根郡〉

p.0343 郷名　近義(コギ)　賀美〈今作レ上〉　呼唹(ヲ)〈今信達及中通莊〉鳥取

〔吾妻鏡〕

〈六〉

p.0343 文治二年五月廿五日壬寅、能保朝臣平六傔仗時定、及常陸房昌明等飛脚參著、持二參前備前守行家之首一、〈◯中略〉各申云、備州、日來横二行和泉河内邊一之由、風聞之間捜求之處、去十二日、在二于和泉國一在廳日向權守清實許一之由、得二其告一行向、圍二清實小木郷(○○○)宅一、〈◯下略〉

村里/名邑

〔郡名一覽〕

p.0343 一和泉國(御料私領)　〈泉州　南北一日半餘〉　四郡　高拾六萬千六百九拾貳石壹斗貳升六合四勺　三百拾七ケ村　●岸和田〈百四十一里　京　十九里〉　◯伯太　百卅九里　堺　〈百三十七里　京　十五里　大坂　三里〉　◯按ズルニ、本書ノ符號ハ、山城國篇村里條ニ引ク所ノ、本書ノ凡例ヲ參照スベシ、

〔郡國提要〕

p.0344 和泉　四郡三百二十村　高十七万二千八百四十七石九斗八升六合(御料私領)　大鳥郡八十八村　泉郡八十九村　南郡六十七村　日根郡七十六村

〔地勢提要〕

〈坤〉

p.0344 郡邑島嶼奇名　和泉　日根郡波有手(ハズガエ)村

〔今昔物語〕

〈二十〉

p.0344 和泉國人燒二食鳥卵一得現報語第卅　今昔、和泉ノ國ノ和泉ノ郡、下ノ痛脚村(○○○○○)ニ一人ノ男有ケリ、

〔和田家譜〕

p.0344 楠左衞門尉成康之二男太郞新遠、曾從二河州一移二住泉州和田村(○○○)一、故號二和田一、是和田氏之祖也、其子四郞高遠、其子孫三郞正遠也、楠正成之妹嫁二高遠一生二正遠一、故正遠者正成之甥也、者子孫高家正武等住二同國岸城一、曰二之岸和田一、後歸二于河州一、與二楠之末葉一、同住二大饗邑一、又有下號二上和田一者上、住二于吉野一、是亦其先出二泉州和田村一、

〔和漢三才圖會〕

〈七十六和泉〉

p.0344 岸和田(○○○)〈泉南郡也、本名二岸村一、楠正成之氏族和田新兵衞尉高家、始構二城廓住二于此一、稱二之岸和田一、後竟爲二邑名一也、丑方至二京師一十九里、寅方至二江戸一百四十一里、北至二攝州大坂一七里、南至二紀州若山一九里餘〉

〔細川兩家記〕

p.0344 一同〈◯永祿四年〉七月廿日、〈◯中略〉南方泉州表へは根來寺衆、畠山高政安見方一味して、岸和田邊へ陣取也、

〔中村一氏記〕

p.0344 成合平左衞門一番ヤリ此人ハ泉州岸和田ヲモテ一番ヤリヲツカマツリ、覺ヲトリ申候故、又一番ヤリヲツカマツリ、此度ハ討死仕候、

莊

〔和泉志〕

〈二大鳥郡〉

p.0344 村里　堺南莊(○○○)〈大街一條、自レ東達レ西、謂二之大正路一、乃攝州分界、因有二堺名一、又官道一條自レ北達レ南、謂二之大通一、大通坊名十、曰市町、曰甲斐町、曰大町、曰宿院町、曰中町、曰寺地町、曰少林寺町、曰新在家町、曰旅籠町、曰南半町、其東西町名、多隨二大通一呼、濱芝原等在レ西、鹽穴、片原、農人町等在レ東、東南有二津守町一、乃舊高渚町、正東有二舳松村一、其北有二中筋村一、獨跨二北莊一、凡町區七十六、〉

〔和漢三才圖會〕

〈七十六和泉〉

p.0345 大鳥郡　堺津　攝河泉之堺也、大小路東有二三國境目一、〈東河州、北攝州、南泉州、〉自古渡唐商人居住、西國海舶大湊也、總二二庄五村一、向井領村中筋村原村〈謂二之北庄一、屬二攝州一、〉開口村木戸村、〈謂二之南庄一、屬二泉州一、〉山名氏清大内義弘等、從レ築二城於此津一、專爲二繁花之地一也後三好修理大夫長慶、使三三好存保司二泉河兩國政道一、世稱二廳殿一、今亦當地町奉行司二和泉一國事一稱二政所一、

〔應永記〕

p.0345 去レ共城ニハ、矢櫓ノ上ニテ戰テ、火中ニ落入テ燒死者モアリ、戰合程ニ曉ニ至マデ、四方ノ矢櫓勢樓ヨリ火移テ、堺一万間一宇モ不レ殘同時ニ燒ケレバ、上蒼ヲ焦シ血ハ大海ヲ流ス、咸陽宮ノ燒テ、火ノ三月迄不レ絶ケルモ、角ト覺テ淺猿カリシコトヾモ也、

〔二水記〕

p.0345 享祿五年十二月廿二日、和泉堺北庄(○○○)、〈十五六日事歟、可レ尋〉大涯燒亡、南庄三分一燒云々、財寶可レ惜レ之、燒死者數百人云々、

〔應仁後記〕

〈中〉

p.0345 雪敲事附畠山義豐自害事　畠山尾張守尚順ハ、和州奧ノ郡ニ隱レ居テ、年月ヲ送ラレケルガ、彼家人ニ木澤ト云侍有リ、〈◯中略〉主人ノ敵ヲ伐亡シ、尚順ヲ本領ニ還シ入レバヤト、忠義骨髓ニ徹シ思ケルガ、木澤其頃、浪人ニテ落魄ノ身ナル故、軍用ノ儲無レバ不二力及一、泉州ノ堺ノ庄エ落行キ、商人ニ成テゾ歎き居ケル、

〔續應仁後記〕

〈二〉

p.0345 三好元長蒙二晴元勘氣一事　元長ハ堺ノ南ノ庄エ引籠ミ、某晴元異心無キ申シ分ケノ爲ニトテ、本取切リ僧衣ヲ著テ、法名ヲ海雲ト名乘リ、讃岐守之持ヲ頼テ色々陳謝ス、〈◯中略〉晴元終ニ承引ナケレバ、讃岐守之持モ侘言仕兼テ晴元エ述懷シ、鬱憤ノ餘リニ、予此津ニ居テ詮無トテ、堺ノ庄ヲ引拂ヒ、同キ三月三日、阿波國エ下ラレケリ、是ヨリ堺ノ町中、何共無ク騷立テ、様様ノ雜説起シ程ニ町中大小ノ小路ヲ指堅メ、何レモ通ヒハ無リケリ、

〔續應仁後記〕

〈八〉

p.0346 阿波御所義榮被レ任二左馬頭一事附三好松永取合事　松永急度思案ヲ廻ラシ、日來茶ノ湯ノ友ナリケル、堺ノ庄官大福者能登屋臙脂屋其外ヲ相頼ム、抑此堺ノ庄ハ大富有ノ所ニテ、三十六人ノ會合衆ト名付ケ、福者有テ此庄ヲ支配ス、中ニモ能登屋臙脂屋ハ又三十六人ノ内ノ長吏也、因レ玆三十六人ノ庄官相談シテ、三好家エ噯ヲ納ケル、　左馬頭殿被レ任二征夷大將軍一事附義次心替事　義次今玆十六歳、未ダ若冠也ト云ヘ共、器量有人ナレバ、能此諫ヲ聞受テ、態ト其色ヲ人ニ不レ見、今ノ陣所ハ地狹シト云ナシテ、同〈◯永祿十年〉二月廿六日、堺ノ北ノ庄村木町ノ木家ガ家エ宿替ヲシ給ヒ、緩々トシタル體ヲ見セテ、〈◯中略〉同月廿六日ノ夜、ヒソカニ木屋ヲ忍出テ、松永ガ宿所エ移ラレケリ、

〔當宮縁事抄〕

p.0346 左辨官下　石清水八幡宮并宿院極樂寺　應丙永停下止宮寺并極樂寺庄園領家預所下司公文等、或號レ有二先祖讓状一、或稱相二傳文書一、致二異論一企中掠領上、兼又有二由緒一雖レ令二傳領一、子孫斷絶處々付乙本所甲事、　宮寺領〈◯中略〉　和泉國　萬代別宮　蜂田庄(○○○)　頼助燈油〈◯中略〉　保元三年十二月三日　大史小槻宿禰〈在判◯下略〉

〔殿暦〕

p.0346 嘉承二年五月三日戊子、今日依二日次宜一、〈◯中略〉和泉國信達莊(○○○)預二兵部大輔師俊母一、

〔賀茂注進雜記〕

〈下神領〉

p.0346 同〈◯壽永〉三年〈◯元暦元年〉四月廿四日壬辰、賀茂社領四十二ケ所、任二院廳御下文一、可レ止二武家狼藉一之由、有二其沙汰一云々、　下二諸國一　可下早任二院廳御下文一、停二止方々狼藉一、備中進神事用途上、賀茂別雷社御領庄園事、〈◯中略〉　和泉國　深日　筥作庄(○○○)〈◯中略〉　

p.0347 右肆拾貳箇所神領、任二院廳御下文一、停二止方々狼藉武士等濫吹一、如レ元可レ備二進神事用途一、若不レ恐二神威一、不レ用二院宣一、慥可レ處二重科一之状如レ件、以下、　壽永三年四月廿四日　正四位下源朝臣御判

〔古文書類纂〕

〈上處分状〉

p.0347 後深草天皇建長二年關白藤原道家處分状　總處分條々事〈◯中略〉　一家地文書庄園事　九條禪尼〈◯中略〉　家領〈◯中略〉　和泉國大泉庄(○○○)〈◯中略〉　前攝政〈◯中略〉　家領　女院方〈◯中略〉　和泉國春木庄(○○○)〈春日四季御八講被レ宛レ之◯中略〉　右大臣〈◯中略〉　新御領　和泉國日根庄(○○○)　善興寺〈◯中略〉　建長二年十一月日　愚老〈在御判〉

〔金剛寺文書〕

p.0347 楠木正儀書状　和泉國和田莊(○○○)領家職〈朝用分〉事、止二料所之儀一、金剛寺一圓知行、不レ可レ有二相違一之由事、去正平九年十一月十八日綸旨如レ此、早任下被二仰下一之旨上、可レ被レ沙下汰居二寺家一雜掌於下地上候、恐々謹言、　四月十日　正儀〈花押〉　新判官殿

〔應仁後記〕

〈下〉

p.0347 四國勢攻上攝州合戰事附前公方家御逝去事　同〈◯永正八年〉秋七月細川右馬頭政賢ヲ指南トシ、澄元ト兩大將ニテ、多勢ヲ催シ、渡海シテ和泉國マデ攻上リ、深井ノ庄(○○○○)ニ陣取タリ、

〔信長公記〕

〈十〉

p.0347 天正五年二月十五日、信長公八幡より若江迄御著陣、十六日和泉の内香庄(○○)御陣取、國

p.0348 中の一揆貝塚と云所、海手を拘へ舟を引付楯籠、翌日先陣の衆貝塚取懸、可被二攻干一の所、夜に入、舟に取乘罷退候、少々退後の者討捕頸を香庄へ持來懸二御目一、

藩封

〔慶應元年武鑑〕

p.0348 岡部筑前守長寛(帝鑑間　朝散大夫)　五万三千石　居城泉州南郡岸和田　〈江戸ヨリ百四十一里　城主小出播磨守秀政、同大和守吉政、右京大夫吉英、元和五、松平周防守康重、同周防守康映、寛永十七、岡部美濃守宣勝以後代々領レ之、〉　渡邊丹後守章綱(菊之間　朝散大夫)　一万三千五百廿石餘　在所泉州泉郡伯太　〈江戸ヨリ百三十九里　寛文年中ヨリ渡邊氏領レ之〉

田數/石高

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0348 和泉國〈◯中略〉管三〈田四千五百六十九町六段三百五十七歩〉

〔伊呂波字類抄〕

〈伊國郡〉

p.0348 和泉國〈管三◯中略〉　本田千五百六十九町六段〈上二日下一日〉

〔拾芥抄〕

〈中末本朝國郡〉

p.0348 和泉〈（中略）田四千百二十六町〉

〔新撰類聚往來〕

〈下〉

p.0348 和泉〈泉州〉三郡〈（中略）田數一万（万恐千誤）五百六十九町〉

〔日本鹿子〕

〈二〉

p.0348 和泉國　三郡、大下國、〈◯中略〉　知行高十三万八千七百九十石

〔和漢三才圖會〕

〈七十六和泉〉

p.0348 三郡　高十三万八千七百五十石

〔官中秘策〕

〈一〉

p.0348 和泉國　一石高拾六万千六百九拾貳石餘

〔吹塵録〕

〈五人口及國高〉

p.0348 天保度御國高調〈◯中略〉　和泉國〈御料私領〉　一高拾七万貳千八百四拾七石九斗八升六合〈七石、一本ニ五石ニ作ル、〉

出擧稻

〔延喜式〕

〈二十六主税〉

p.0348 諸國出擧正税公廨雜稻〈◯中略〉　和泉國正税公廨各八万束、國分寺料五千束、文殊會料一千束、卷尾寺觀音堂料五百束、勅旨庄御税一千束、修理官舍料一万束、池溝料二万束、救急料三万束、

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0348 和泉國〈◯註略〉管三、〈（中略）本稻廿二萬七千五百束〉

國産/貢獻

〔延喜式〕

〈十五内藏〉

p.0349 諸國年料供進〈◯中略〉　藺笠卌六枚〈和泉國調〉　畿内國營田舂米六百五十四斛七斗三升二合〈（中略）和泉國十五斛八斗六升七合〉

〔延喜式〕

〈二十三民部〉

p.0349 交易雜器〈◯中略〉　和泉國酒槽七隻、〈長各九尺、廣二尺七寸、手長一尺三寸、〉圓槽二隻、槽二口、臼三腰、杵六枚、輿籠十一口、匏一百五柄、置簀廿枚、〈◯中略〉　交易雜物〈◯中略〉　和泉國〈小麥廿五石〉

〔延喜式〕

〈二十四主計〉

p.0349 和泉國〈行程、上二日、下一日、〉　調、藺笠卌六枚、藺笥十合〈大五合、小五合、〉陶池由加三口、瓺二口、瓼百十口、缶百卅二合、由加十六口、脚短坏八十六口、酒壺八口、筥坏廿六口、多志羅加十二口、大山 八口、叩瓫七十七口、水瓫九十二口、大 十二口、洗盤廿口、中 九十口、平瓶百十口、酒壺十四口、等呂須伎九十二口、缶蓋五十七口、高盤百四口、小 九十八口、山 二口、臼九十六口、水瓶九十九口、酒垂百六口、祭壺四百廿九口、短女坏九十二口、小坏百卌五口、 八口、片盤百六口、燈盞十二口、自餘輸レ錢、

〔延喜式〕

〈三十三大膳〉

p.0349 諸國貢進菓子〈◯中略〉　和泉國〈楊梅子一擔〉

〔延喜式〕

〈三十九内膳〉

p.0349 造雜味鹽魚廿石六斗、〈和泉國綱曳廚所レ進〉料商布十六段、信濃麻百斤、鹽二石、〈◯中略〉　年料〈◯中略〉　和泉〈鯛、鰺、〉

〔庭訓往來〕

p.0349 備後酒、和泉酢、

〔毛吹草〕

〈三〉

p.0349 和泉　南庄堺織紗綾　撰糸　髮モジ　町雛〈麁相物也〉　茶柄杓　風爐立土器　茶酌　出齒庖丁　酒　醤油溜　返魂丹　付硫磺　目藥貝　貝香　海蠃(バイ)　鳥貝　前魚〈其品多不レ及レ注レ之、就レ中鯛ノナリ、餘國ニカハル、〉　湊壺鹽　同土物〈鹽壺蛸壺等、當所ニテヤク也　腰張紙　芥子　防風　舳松瓜　海會寺鬼煎餅　コキ櫛　中濱塗木〉

p.0350 履　常器椀　數奇屋天井菰　馬尾篩　土田燒物〈底取、灰ホウロク等、〉　光瀧(クハウノタキ)白炭　上村 　鳥取通　茶磨〈麁相物也〉　貝塚麥粉　大鳥草履　鍛冶炭　天川鳥子〈粉ヲフキタル紙也〉　岡田干魪　石津神馬藻　瓦　ヤスマサ飴　花落米

〔和漢三才圖會〕

〈七十六和泉〉

p.0350 和泉國土産　金紗　撰絲絹　鐵炮　朱座〈柳町〉　白粉〈小西〉　尻切履〈櫻町〉　酢　傘　庖刀　瓜〈舳松〉　鯛　金魚〈以上堺津多出レ之〉　湊紙　壺燒鹽　花鹽〈津田〉　編笠〈松村〉　鷄卵紙〈阿間川〉　白炭〈横山〉　壺〈蜂田〉　櫛〈近木(コキ)〉　笊〈富木(トノキ)〉　箕〈上村〉　鰈〈岡田〉　煙草〈新田〉

人口

〔官中秘策〕

〈一〉

p.0350 和泉國〈◯中略〉　一人數貳拾万七千九百五拾貳人　内〈拾万四千七百貳拾三人　男　拾万三千貳百貳拾九人　女〉

〔吹塵録〕

〈五人口及國高〉

p.0350 諸國人數調(文化元甲子年)〈◯中略〉　一人數貳拾万貳千貳百八拾三人(御料私領)　和泉國(高拾六万千六百九十貳石餘)　内〈拾万三千百九拾三人　男　九万九千九拾人　女〉　諸國人數調(弘化三丙午年)〈◯中略〉　一人數拾九万七千六百五拾六人(御料私領)　和泉國(高拾七万貳千八百四十七石餘)　内〈九万九千貳百七拾九人　男　九万八千三百七拾七人　女〉

風俗

〔人國記〕

p.0350 和泉國　和泉國之人ハ、風俗且而實儀ナク、最千人ニ一二人ハ實儀之人モアルベケレドモ、都而物之上手成モノ無レ之、増而名人ト云ホドノ者鮮シ、末世モサ有ベシ、本此國ハ河内ト紀伊國ヨリ割リ出シタル國ト聞ク先其風俗ヲ見ルニ、人ヲタブラカシ、出家沙門他國之商賣之人等、金銀等ヲタクハフルト見ル則ハ、關東之人之人ヲ殺害スルノ類ハ無フ而懷ケテ後ニ品ヲ以テカドワカス等之

p.0351 風儀ナリ、根本ニ實儀スクナキガ故ニ、譬バカミソリノハガ子惡キヲ如二見ガ一也、人前行跡ハ如レ形見ユルトイヘドモ、彼ノカミソリノハガ子少ナキガ如キ故ニ、後ニハ可レ用様ナキニ等シ、タマタマ實儀ノ人有トイヘドモ、國風ノ垢ヲ削ル人無キ故ニ、身持墜弱ニ而、踏シムル心モ後ハ大形失フ也、石津神馬藻(ナノリソ)鹽船乘リハ餘國ニ勝レタリ、是國ヲ傾ケン事ハ五日之内也、威ヲ高ク振、卒法ヲ以テ是ヲ動バ不レ可レ經二數日一也、次ニ癩瘡人多シ、篠田明神ニ野狐多シ、此狐人ヲ能クタブラカス事ヲ得タリ、サレバ此國ハ唯野狐ニ衣服ヲシタルニ似タリ、不レ頼也、別而和泉ノ府日根惡シ、

〔和泉志〕

〈一〉

p.0351 風俗　民心柔和、好二尚華麗一、〈舊時堺府、賈胡輻輳、蜀錦齋紈、家藏人玩奢靡爲レ習、義氣日衰、〉海濱漁獵豪富相雜、〈佐野賀祥寺、多造二巨舶一、行二商四方一、其細民千里游漁、妻獨守レ室、雖レ有二汚行一、亦不二甚怪一、〉山民淳厚、敬二祀祖考一、〈日根郡莵才田村民、以二農隙一出二大坂及堺一、爲レ人舂レ米、凡雇傭者、雖レ出二他邑一、總呼曰二莵才田一、其歌謠、亦謂二之莵才田曲一、又樫井村民、善伐レ木、謂二之杣人一、毎春二月、負レ斧入二山林一、季冬歸家、又熊取莊朝代村民、就二山中閑地一、建レ祠祭レ祖、除夜洒掃、元旦納レ拜、而後賀二里甲一、又日根莊總山有二小祠一、是祭二田村氏者田村之岸和田小吏、愛レ民如レ傷、以二濟レ患興一レ利爲レ心卒後土人追想建レ祠、其淳風可二以觀一云、〉

名所

〔日本鹿子〕

〈二〉

p.0351 和泉國中名所之部　信太森　此森ハ楠也、歌にも千枝の秋かぜなどヽよめり、〈◯中略〉　吹居浦　紀伊丹後、同名有、

〔萬葉集〕

〈六〉

p.0351 春三月幸二于難波宮一之時歌　從【千沼】回(チヌワヨリ)、雨曾零來(アメゾフリクル)、【四八津】之泉郞(シハツノアマ)、網手綱乾(アミテナハホセリ)、有沾將堪香聞(ヌタレテヘムカモ)、

雜載

〔延喜式〕

〈二十八兵部〉

p.0351 諸國健兒〈◯中略〉　和泉國廿人