地部/越前國

p.0223 越前國ハ、ヱチゼンノクニト云ヒ、舊クハ、コシノミチノクチト云フ、北陸道ニ在リ、古ヘノ越(コシ)國の一部ニシテ、其南端ニ在ルヲ以テ南越ノ名アリ、東北ハ加賀、飛騨、東南ハ美濃、南ハ近江、西ハ若狹ニ界シ、西北ハ海ニ臨メリ、東西凡ソ十九里、南北凡ソ十七里、其地勢ハ、加賀、飛騨、美濃、近江ノ境堺、即チ東南部ハ山嶺ヲ以テ國ヲ限リ、獨リ西方ノミハ平地ヲ以テ若狹ニ連ナル、此國ハ、古ヘ國府ヲ丹生郡ニ置キ敦賀(ツルガ)、丹生(ニフ)、今立(イマタチ)、足羽(アスハ)、大野(オホノ)、坂井(サカヰ)ノ六郡ヲ管シ、延喜ノ制、大國ニ列ス、始メ加賀能登兩國ノ地ヲモ管セシガ、元正天皇養老二年、羽昨、能登、鳳至、珠洲ノ四郡ヲ割キテ能登國ヲ置キ、嵯峨天皇弘仁十四年江沼、加賀ノ二郡ヲ割キテ加賀國ヲ置ケリ、又同年丹生郡ヲ割キテ今立郡ヲ置キ六郡トス、後丹生郡ヲ割キテ南條郡ヲ置キ、坂井郡ヲ割キテ吉田郡ヲ立テ、共ニ八郡ト爲シ、更ニ今立郡ヲ今南西、今南東、今北東ノ三郡ニ、足羽郡ヲ足羽南、足羽北、坂井郡ヲ坂南、坂北ノ各二郡ニ分チ、凡テ十二郡ト爲シヽカ、後復タ舊ノ八郡ニ歸ス、明治維新ノ後新ニ福井市ヲ設ケ、福井縣ヲシテ之ヲ治セシム、

名稱

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0223 越前〈古之乃三知乃久知〉

〔饅頭屋本節用集〕

〈江天地〉

p.0223 越前(エチゼン)〈（中略）以上越州〉

〔類聚名物考〕

〈地理一〉

p.0223 越前　越中　越後　こしのくに　古へは古之の國といへり、古今の歌に、みこしぢと讀しは、三越なればいふともいへれど、そのみは真の意にて、み吉野、み熊野、み山の類ひは、皆賞美の詞なり、さらばこれも真越路にても有るべし、

〔諸國名義考〕

〈下〉

p.0223 越前　

p.0224 和名抄に、越前〈古之乃三知乃久知、國府在二丹生郡一、〉立入信友云、京より越前敦賀郡へ行道に、道の口といふ地あり、この國の古名にかなへりといへり、名義は日本紀纂疏に、彼地有レ坂、名曰二角鹿(ツヌガト)一、行人必踰二此坂一入二越絶一故名曰レ越也とあるは非なり、〈◯中略〉されど越前、越中、越後、加賀、能登、出羽等おしなべていにしへの越ノ國にて、陸奧と一つヾきの國なり、類聚三代格に、此國面帶二大海一遠向二異方一云々とあり、日本書紀垂仁天皇紀、額有レ角人、乘二一船一泊二越ノ國笥飯(ケヒ)浦一云々、問之曰、何國人也、對曰、意富加羅(オホカラ)國王之子、名都努我阿羅斯等(ツヌガアラシト)、亦名曰二于斯岐阿利叱智干岐(ウシキアリヒチカンキ)一云々などありかヽれば外國人來り、調貢など運び置しゆゑにやしか號けヽむ、外國をさして諸越(モロコシ)などいへるを思へば、調貢の品々を越の國なるべし、〈◯中略〉又は古事記に、於二高志前(サキ)之角鹿(ツヌガ)一造二假宮一而坐云々、其御祖息長帶日賣命、醸二待酒一以獻爾其御祖御歌、許能美岐波(コノミキハ)、和賀美岐那良受(ワガミキナラズ)、久志能加美(クシノカミ)、登許余邇伊麻須(トコヨニイマス)、伊波多々須(イハタタス)、須久那美加微能加牟菩岐(スクナミカミノカムホギ)云々、日本書紀崇神天皇卷に、天皇以二大田々根子一令レ祭二大神一、是日活日(イクヒ)自擧二神酒一、獻二天皇一、仍歌之曰、許能瀰枳破(コノミキハ)、和餓瀰枳那羅孺(ワガミキナラズ)、椰磨等那殊(ヤマトナス)、於朋望能農之能(ホモノヌシノ)、介瀰之瀰枳(カミシミキ)云々とあれば、久志は酒をいへるなり、また記の應神天皇卷の大御歌に、須々許理賀(ススゴリガ)、迦美斯美岐爾(カミシミキニ)、和禮惠比邇祁理(ワレヱヒニケリ)、許登那具志爾(コトナクシニ)、和禮惠比爾祁理(ワレヱヒニケリ)とあるなどを思へば、久志の國なるべきよし論ひ給へり、猶下の能登國の條にいへるをてらしあはせみよ、

〔日本書紀神代講述抄〕

〈五奥書〉

p.0224 于レ時寛文壬子八月九日、勢州山田の旅宿にして、北越(○○)の山本〈廣足〉謹書、

〔大江俊光記〕

p.0224 貞享五年〈◯元祿元年〉三月朔日、今朝山本勘齋、〈◯廣足〉越前(○○)ゟ伊勢へ被レ參ニ付被レ尋對顏、

越國

〔倭訓栞〕

〈前編九古〉

p.0224 こし　越の國は、つのがの坂を越る以北なれば、しかいふとの古説也、今前後に分てり、或は越後國古志郡よりや出にけん

〔日本書紀〕

〈一神代〉

p.0224 伊弉諾尊、伊弉册尊、〈◯中略〉欲下共爲二夫婦一産中生洲國上、〈◯中略〉廼生二大日本〈日本此云二耶麻騰一、下皆效レ之、〉豐秋津洲一、次生二伊豫二名洲一、次生二筑紫洲一、次雙三生隱岐洲與二佐度洲一、〈◯中略〉次生二越洲(○○)一、次生二大洲一、次生二吉備子洲一、

p.0225 由レ是始起二大八洲國之號一焉、

〔日本書紀纂疏〕

〈上二〉

p.0225 越洲者彼地有レ坂、名曰二角鹿一、行人必踰二此坂一入二越絶一、故名曰レ越也、後分爲二北陸五國一、今三越及加賀能登是也、

〔古事記〕

〈上〉

p.0225 此八千矛神、將レ婚二高志國(○○○)之沼河比賣一幸行之時、到二其沼河比賣之家一、歌曰、夜知富許能(ヤチホコノ)、迦微能美許登波(カミノミコトハ)、夜斯麻久爾(ヤシマクニ)、都麻麻岐迦泥氐(ツママギカネテ)、登富登富斯(トホトホシ)、故志能久邇邇(コシノクニニ/○○○○○○)、佐加志賣遠(サカシメヲ)、阿理登岐加志氐(アリトキカシテ)、〈◯下略〉

〔古事記傳〕

〈十一〉

p.0225 高志國は越國なり、〈出雲國神門郡なる古志には非ず〉後に越前、加賀、能登、越中、越後などヽ分れつれども、歌などにはなほなべて越とよむなり、さて此國名は、越後國に古志郡あれば、〈他の例によるに〉其より出たるにや、名義は知がたし、〈山を越て行ク國なる故の名と云は、ひがごとなり、若然らば、古延とこそ云べけれ、凡て自越るをば、古延とこそいへ、古志は令二物越一を云なれば、我と物との異あり、今ノ世に我ことに、山川を古須と云は誤なり、古さることなし、又書紀神代卷に、八島の一を越洲とあるを、或説に蝦夷地と云といひ、越國は其へ往來ふ道なる故の名と云も、いたく強説なり、〉

〔古事記〕

〈中崇神〉

p.0225 此之御世、大毘古命者、遣二高志道(○○○)一、其子建沼河別命者、遣二東方十二道一而、令レ和二平其麻都漏波奴人等一、

〔釋日本紀〕

〈十述義〉

p.0225 以二七掬脛一爲二膳夫一　越後國風土記曰、美麻紀天皇〈◯崇神〉御世、越國(○○)有レ人名二八掬脛一、〈其脛長八掬多力太強、是出雲之後也、〉其屬類多、

〔日本書紀〕

〈七景行〉

p.0225 四十年十月、日本武尊曰、蝦夷凶首、咸伏二其辜一、唯信濃國越國頗未レ從レ化、〈◯中略〉於レ是分レ道遣二吉備武彦於越國一、令レ鑒二察其地形嶮易、及人民順不一、

〔令義解〕

〈二戸〉

p.0225 凡新附戸皆取二保證一、〈◯註略〉本二問元由一、知レ非二逃亡詐冒一、然後聽レ之、其先有二兩貫一者、從二本國一爲レ定、〈◯註略〉唯大宰部内、及三越(○○)、陸奧、石城、石背等國者、從二見住一爲レ定、〈◯下略〉

位置

〔地勢提要〕

〈乾〉

p.0225 各國經緯度〈附里程〉　

p.0226 越前敦賀、〈西濱町〉極高三十五度三十九分半、經度東二十一分、從二東都一、〈同上◯中山道自二關ケ原一經二木本及足田一〉一百二十九里二十三町十間、　越前福井、〈境町〉極高三十六度四分半、經度東三十一分、從二東都一〈同上至二敦賀一〉一百五十五里一十九町二十七間半、

〔日本經緯度實測〕

p.0226 北極出地　越前　敦賀湊　三五度三九分三〇秒　鮎川浦　三六度〇六分〇〇秒　三國湊　三六度一三分〇〇秒　福井　三六度〇四分三〇秒〈◯中略〉　東西里差　山城　京　〇度〇〇分〇〇秒〈◯中略〉　越前　福井　東〇度三〇分〇〇秒

疆域

〔古今類聚越前國誌〕

〈一疆場〉

p.0226 越前國、郡八、郷五十五、村一千五百四十二、北陸道ノ域ニアリ、福井城下大橋ヨリ東ハ大野石徹白(イシドシロ/イチノシロ)、三國嶺ニ至ルマデ二十二里十四町、〈里數ハ越前秘圖因テ記ス、下略是ニ倣ヘ、三國ハ越前美濃飛騨三國ノ界ナリ、石徹白ヨリ美濃國前ニ出ヅ、〉　東南ハ大野郡荷暮(ノクレ)村蠅帽子嶺ニ至ルマデ十七里十九町、〈荷暮村ヨリ美濃國根屋ニ出ヅ〉南ハ南條郡板取驛栃木(トチノキ)嶺ニ至ルマデ十一里三十四町餘、〈板取驛ヨリ近江國海津ニ出ヅ〉西南ハ敦賀郡山中劒ノ熊坂ニ至ルマデ十八里三十四町、〈劒ノ熊坂ヨリ近江國海津ニ出ヅ〉同郡金山界石ニ至ルマデ十七里三十二町餘、〈界石ヨリ若狹國小濱ニ出ヅ〉西ハ海ニ際リ、丹生郡大味浦ニ至ルマデ七里、西北モ亦海ヲ限リ、坂井郡三國港ニ至ルマデ五里、北ハ坂井郡細呂木ノ關ニ至ルマデ七里五町餘、〈細呂木ヨリ加賀國立花ニ出ヅ〉同郡牛ノ谷ノ關ニ至ルマデ六里餘、〈牛ノ谷ヨリ加賀國大聖寺ニ出ヅ〉東北ハ坂井郡市布村ノ山中ニ至ルマデ六里二十二町餘、〈市布村ヨリ加賀國風谷ニ出ヅ〉大野郡瀬戸村濁清橋ニ至ルマデ十八里七丁、〈瀬戸村ヨリ加賀國佐牛ニ出ヅ〉同郡一ノ瀬白山ノ嶺ニ至ルマデ二十三里半八丁〈一ノ瀬ヨリ加賀國尾添ヘ出ヅ〉京都ヲ去ルコト五十里餘、江戸ヲ去ルコト百三十里、

〔日本地誌提要〕

〈三十七越前〉

p.0227 疆域　東北ハ加賀、東南ハ美濃、南ハ近江、西ハ若狹、西北ハ海ニ至ル、東西凡壹拾九里、南北凡壹拾七里、

島嶼

〔日本實測録〕

〈九島嶼〉

p.0227 越前國坂井郡　遠測　安島

地勢

〔易林本節用集〕

〈下〉

p.0227 越前、〈越州〉大、管十二郡、南北三日半、山當レ南、帶二北海一、五穀不レ熟、桑麻多、或本、五穀万倍、大上々國也、

〔日本地誌提要〕

〈三十七越前〉

p.0227 形勢　白山ノ脈、東南ニ聳チ、西北漸低シ、三河其中ヲ貫テ、一港ニ會同ス、西南一隅、木芽嶺ヲ以テ屏障トシ、海表ニ彎曲ス、土壤膏腴五穀皆宜ク、其民耕織ヲ勉メ、工商ヲ業トスル者亦多シ、

〔類聚三代格〕

〈五〉

p.0227 太政官符　應下停二史生一員一置中弩師上事　右得二越前國解一偁、此國西帶二大海一、遠向二異方一、戎器之具不レ可二暫緩一、望請被レ給二弩師一、備二之不虞一、謹請二官裁一者、大納言正三位兼行左近衞大將皇太子傅陸奧出羽按察使源朝臣能有宣、奉レ勅依レ請、　寛平七年七月廿日

道路

〔越前國名蹟考〕

〈五足羽郡〉

p.0227 福井庄町〈◯中略〉　大橋　九十九(ツクモ)橋とも米(ヨネ)橋とも云、丑ノ方より未ノ方へかヽる、〈◯中略〉大橋より所々行程、〈繪圖記〉　南條郡板取國境迄　十一里三十町四十四間〈江州中河内へ二里〉　同木ノ目峠迄　十一里三十四町四十四間　同河野浦迄　九里二十一間　敦賀郡津内町迄　十四里三十四町四十四間　同山中國境迄　十八里三十四町四十四間〈江州海津へ三里〉　若狹國境石迄　十七里三十二町四十四間〈若州小濱へ九里〉　坂井郡三國湊迄　四里半十町三十三間〈舟路は六里十二町十三間〉　同細呂木國境迄　七里十五町七間〈加州立花へ三十町餘〉　同丸岡町迄　三里十一町二十五間　同牛ノ谷國境迄

p.0228 　七里七町四十七間〈加州大聖寺へ一里半〉　同市野々峠國境迄　六里二十二町十一間〈同風谷へ半里〉同竹田峠國境迄　五里二十五町二十五間〈同大地へ四町餘〉　大野郡勝山迄　七里十町〈大野へ三里〉　同平泉寺迄　八里十町　同白山本社迄　二十三里十二町　同牛首小原國境迄　十四里三十町〈加州尾小屋へ半里、同小松へ四里〉、　同濁澄橋國境迄　十八里七町〈加州さらへ一里半、金澤へ八里半、〉　同大野町迄　八里　同油坂峠國境迄　二十一里二十三町〈濃州向小俵へ一里〉　同三國峠國境迄　二十二里十四町〈同前谷へ一里〉　同蠅帽子峠國境迄　十七里十九町〈同大河原へ一里〉

〔日本實測録〕

〈二街道〉

p.0228 從二東海道大津一歴二海津及匹田一至二鞠山一〈本敦賀◯中略〉　越前國敦賀郡山中村　一里三十五町四十七間　疋田村　三十町五十八間　道之口村　一里二町五十一間　鞠山〈本敦賀〉西濱町、三十五度三十九分半、〈至二氣比神社一七丁五十二間〉　〈從二大津一至二鞠山一〉街道、通計二十二里六町四十九間半、

〔日本實測録〕

〈三街道〉

p.0228 從二中山道關ケ原一歴二木本及匹田一至二小濱一　越前國敦賀郡刀根杉橋村〈又呼二刀根宿一〉　一里二十三町五十二間　匹田村　一里二十一町九間〈至二道口村一五十八間〉　櫛林村〈至二敦賀一一里四丁二十三間〉　二里二十町一間半〈至二國界一一里一十三間〉　若狹國三方郡坂尻村

〔日本實測録〕

〈一沿海〉

p.0228 從二赤間關一沿レ海至二鞠山一〈本敦賀◯中略〉　越前國敦賀郡手浦　二里二町二十九間　鞠山〈本敦賀〉西濱町　〈從二赤間關一至二鞠山一〉沿海、通計三百二十七里一十一町一十二間、　從二鞠山一〈本敦賀〉沿レ海至二三廐一　越前國敦賀郡鞠山西濱町　二里八町三十二間〈至二鞠山浦一三十町三十六間〉　五幡浦、三十五度四十三分、四里一十八間〈至二大比田浦一一里一十九町一十二間〉　南條郡河野浦、三十五度五十分、二里一十一町三十八間　丹生郡米浦、三十五度五十三分半、一里六町二十九間、厨浦、三十五度五十六分、二十七町四十

p.0229 七間　上海浦、三十五度五十七分半、三里一十二町三十七間　蒲生浦、三十六度二分半、一里二十七町五十間　鮎川浦、三十六度六分、一里一十二町一十三間　坂井郡蓑浦、三十六度七分半、一里一十三町四十八間半　石橋村濱一、〈至二石橋村宿所一一十二町七間〉三十六度九分、二里二町二十二間　泥原新保浦〈沿二福井川一至二足羽郡福井境町一五里一十六町四十三間、北極高三十六度四分半、〉　五町三十五間　三國湊今町、三十六度一十三分、二里二町三間　梶浦、三十六度一十五分半、二里一十三町四十七間　濱坂浦界川口〈至二吉崎浦一一十四町一十七間、北極高三十六度一十七分、從二吉崎一至二加賀國江沼郡大聖寺本町一、一里二十七町二十七間、〉　一里五町二十三間　加賀國江沼郡片野村濱

宿驛

〔延喜式〕

〈二十八兵部〉

p.0229 諸國驛傳馬〈◯中略〉　越前國驛馬、〈松原八疋、鹿蒜、濟羅、丹生、朝津、阿味、足羽、三尾、各五疋、〉傳馬、〈敦賀、丹生、足羽、坂井郡、各五疋、〉

建置沿革

〔日本國郡沿革考〕

〈二〉

p.0229 越前　古高志國〈國造記〉或作二古志一、〈按、古時北陸地方、皆以レ越稱レ之其分析爲二數國一、未レ詳レ在二何時一、而高志前國、既見二神功紀一、然則其所二析置一者亦、尚矣、〉大國、管八郡、千五百三十三村、　足羽〈百六十村〉　吉田〈百三十九村　延喜式等不レ載、置未レ詳レ在二何時一、〉　丹生〈二百二十九村古府治〉　今立〈二百二村　弘仁十四年六月、越前國言、丹生郡管郷、十八、驛三、割二九郷一驛一更建二一郡一、號二今立郡一、〉　南條〈九十二村　延喜式等不レ載、置未レ詳在二何時一、〉　坂井〈三百四十九村　日本紀作二坂中井一〉　大野〈二百七十六村〉　敦賀〈八十六村　古角鹿國、國造記、角鹿國造、難波朝隸二越前國一、靈異記作二都魯鹿一、　古事記云、號二其浦一謂二血浦一、今謂二都奴賀一也、日本紀云、御間城天皇之世有二額角一人、乘レ船來、泊二于越國笥飯浦一、故號二其處一曰二角鹿一、問レ之曰何國也、對曰意富加羅國王之子、名都奴我阿羅斯等、〉

〔日本地誌提要〕

〈三十七越前〉

p.0229 沿革　古へ國府ヲ丹生郡ニ置、〈今ノ南條郡武生、舊府中ト稱ス、〉鎌府ノ時、北條時政守護ノ事ヲ行ヒ、目代ヲ遣テ州事ヲ管ス、足利尊氏ノ反スル、族弟高經ヲシテ本州ヲ侵略セシム、延元中、新田義貞皇太子恒良及親王尊良ヲ奉ジテ、金崎〈敦賀郡〉ニ入リ、高經ト相持ス、州人瓜生重、兄保等ト共ニ義貞ニ應ジ、杣山〈介南條郡〉ニ據ル、因テ重ヲ州守ニ任ズ、旣ニシテ皇太子賊ニ陷リ、義貞及子義顯畑時能等、前後難ニ殉ヒ、重等兵潰ユ、高經遂ニ北陸諸州ヲ定ム、尊氏乃チ高經ヲ本州

p.0230 ニ封ズ、其子義將嗣ギ、斯波氏ト稱シ、京師ニ在テ管領トナリ、世襲シ、家宰朝倉高景ヲ以テ守護代トス、義將六世ノ孫義敏ニ至リ、義弟義廉ト相鬩グ、高景六世ノ孫敏景、義廉ニ黨附ス、義敏敏景ヲ誘スルニ本州ヲ讓ルヲ以ス、敏景遂ニ義敏ニ歸ス、文明三年、甲斐氏亂ヲ作ス、敏景擊テ之ヲ平ラグ、將軍義政因テ守護トナシテ、一乘谷〈足羽郡〉ニ治ス、玄孫義景ニ至リ、勢威益振ヒ、弘治ノ初、眞宗僧徒ヲ擊テ加賀半州ヲ取ル、元龜中、織田信長ト兵ヲ構ヘテ累敗シ、天正元年、義景自盡シ、朝倉氏亡ブ、〈五世百三年〉信長、朝倉ノ降將前波長俊ヲ以テ假守トナス、長俊侈虐、朝倉ノ遺臣蜂起シテ亂ヲ作ス、三年、信長伐テ之ヲ平ラグ、柴田勝家ヲ北莊ニ封ジ、〈五拾萬石〉北陸ヲ控制セシメ、今立郡ヲ佐々成政ニ、〈五部一城ニ居〉南條郡ヲ前田利家ニ〈府中ニ治ス〉、與フ、九年、成政ヲ越中ニ徙シ、其地ヲ勝家ニ加封ス、十一年、豊臣秀吉勝家ヲ滅シ、利家ヲ加賀ニ徙シ、丹羽長秀ヲ全州ニ封ジ、北莊ニ治ス、十三年、秀吉長秀ノ子長重ノ封ヲ削リ、堀秀政ヲ北莊ニ封ジ、〈拾八萬餘石〉大谷吉繼、〈敦賀五萬石〉長谷川秀一、〈東郷拾壹萬石、後丹羽長昌、〉青山忠元、〈丸岡四萬六千石〉織田秀雄〈大野五萬石〉ヲ分封ス、慶長二年、秀政ノ子秀治ヲ越後ニ徙シ、北莊〈八萬石〉ヲ青木一矩ニ與ヘ、五年、府中〈六萬石〉ヲ堀尾吉晴ニ加賜ス、是歳關原ノ役、吉繼以下皆西軍ニ屬ス、徳川氏悉ク其地ヲ收メ、吉晴ヲ出雲ニ徙シ、第二子秀康ヲ全州ニ封ジ、北莊ニ治ス、十八年、本多成重ヲ丸岡ニ封ズ、〈後有馬清純〉寛永元年、秀康ノ子忠直罪アリ謫セラル、第二子忠昌代リ封ゼラレ、北莊ヲ福井ト改メ、世襲ス、忠昌其弟直政ヲ大野ニ、〈後土井利房〉直基ヲ勝山ニ、〈後小笠原貞信〉直良ヲ木本〈直良徙封ノ後城廢ス〉ニ分封ス、其後封ヲ受ル者敦賀、〈酒井忠稠(シゲ)、若狹酒井氏ノ支封、〉鯖江、〈間部詮言(アキトキ)〉凡テ六藩、王政革新改テ縣トシ、別ニ本保縣〈丹生郡〉ヲ置、旣ニシテ皆廢シテ敦賀福井二縣ヲ置、福井ヲ改テ足羽ト稱シ、尋テ之ヲ廢シ、敦賀ニ併セ、本州及若狹ヲ治ス、

〔先代舊事本紀〕

〈十國造〉

p.0230 高志國造　志賀高穴穗朝〈◯成務〉御世、阿閉臣祖屋主田心命三世孫市入命定二賜國造一、　

p.0231 三國國造　志賀高穴穗朝〈◯成務〉御世、宗我臣祖彦太忍信命四世孫、若長足尼定二賜國造一、　角鹿國造　志賀高穴穗朝〈◯成務〉御代、吉備臣祖若武彦命孫、建功狹日命定二賜國造一、

〔古事記〕

〈中仲哀〉

p.0231 故建内宿禰命、率二其太子一爲レ將レ禊而、經二歴淡海及若狹國一之時、於二高志前(○○○)之角鹿一造二假宮一而坐、

〔古今類聚越前國誌〕

〈一〉

p.0231 高志　再按スルニ、〈◯中略〉仲哀ノ時、未越前ノ名アルベカラズ、高志前ハ、越ノ入口ト云コトニテ、國名ニハ非ルベシ、

〔日本書紀〕

〈三十持統〉

p.0231 六年九月癸丑、越前國司獻二白蛾一、

〔三州志來因概覽〕

〈一越中國郡郷來因〉

p.0231 持統〈四十一代〉六年壬辰九月、越前國司白蛾ヲ獻ズトアリ、越前ノ二字茲ニ始テ見ユ、文武〈四十二代〉二年戊戌十二月、越後國ヲシテ石船ノ柵修理ノ事ヲ載ス、越後ノ二字茲ニ始テ見ユ、大寶〈文武ノ年號〉二年壬寅三月、越中國四郡ヲ分テ、越後ニ屬スルコトヲ載ス、〈景周此文義ヲ以テ考レバ、越中ノ建ハ越後ニ敢テ後レザル文義也、◯中略〉是越中ノ二字正史ニ見ハル始メ也、〈◯中略〉是等ニ因テ考フレバ、三越ノ割置セルハ、齊明以後天智〈三十九代〉天武〈四十代、年號白鳳〉ノ間ニ在ベシ、

〔續日本紀〕

〈八元正〉

p.0231 養老二年五月乙未、割二越前國之羽昨、能登、鳳至珠洲四郡一、始置二能登國一、

〔類聚三代格〕

〈五〉

p.0231 太政官謹奏　割二越前國江沼加賀二郡一爲二加賀國一事〈准二中國一◯中略〉　右得二彼國守從四位下紀朝臣末成等解一偁、加賀郡遠去二國府一往還不便、雪零風起、難苦殊甚、加以三途路之中有二四大川一、毎レ遇二洪水一、經レ日難レ渉、〈◯中略〉伏請、別建二件國一、名曰二加賀國一者、〈◯中略〉臣等商量所レ申合レ宜、伏

p.0232 聽二天裁一、謹以申聞、謹奏聞、　弘仁十四年二月三日

〔日本書紀〕

〈二十六齊明〉

p.0232 四年、是歳越〈◯越原作レ起〉國守阿〈◯阿原作レ河〉部引田臣比羅夫、討二肅愼一、獻二生羆二羆皮七十枚一、

〔續日本紀〕

〈四元明〉

p.0232 和銅元年三月丙午、從五位下高志連村君爲二越前守一、

國府

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0232 越前國〈國府在二丹生郡一、行程上七日、下四日、〉

〔催馬樂〕

p.0232 律　道口〈一段、拍子十三、與二更衣一同音〉　みちのくち、たけふのこふ(○○)に、われはありと、おやにはまうしたべこヽろあひのかぜやさきんだちや、

〔催馬樂譜入文〕

〈中〉

p.0232 みちのくち、たけふのこふに、こは越前國丹生郡武生國府(コフ)を云ふ也、

〔太平記〕

〈十八〉

p.0232 越前府軍并金崎後攻事　北國ノ道塞テ、後ニ敵アラバ、金崎ヲ責ン事難儀ナルベシ、如何ニシテモ杣山ノ勢ヲ、國中ヘハビコラヌ様ニセデハ叶マジトテ、尾張守高經、北陸道四箇國ノ勢三千餘騎ヲ卒シテ、十一月廿八日ニ蕪木ノ浦ヨリ、越前ノ府ヘ歸給フ、

〔越前名勝志〕

〈上南條郡〉

p.0232 府中　越前ノ府ナリ、古ヘハヱチゼンノ國司代々一任四年ノウチ、コノトコロニ居スト云々、ソノ後ハ城主、前田又左衞門尉利家、丹羽鍋丸、木村常陸助、青木紀伊守、堀尾帶刀、當時本多家代々、〈慶長六、越前中納言秀康ノツケ家老、〉

郡

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0232 越前國〈◯註略〉管六〈◯註略〉敦賀〈都留我〉丹生〈爾不〉今立〈伊萬太千〉足羽〈安須波〉大野〈於保乃〉坂井〈佐加乃井〉

〔延喜式〕

〈二十二民部〉

p.0232 越前國、大、〈管〉　〈敦賀(ツルガ)　丹生(ニフ)　今立(イマダチ)　足羽(アスハ)　大野(オホノ)　坂井(サカヰ)◯中略〉　右爲二遠國一

〔易林本節用集〕

〈下〉

p.0232 越前、〈越州〉大、管十二郡、〈◯中略〉敦賀(ツルガ)、丹生(ニフ)〈府〉今立(イマダチ)、足羽(アシハ)、大野(オホノ)、坂井(サカヰ)、黒田(クロダ)、池上(イケガミ)、榊田(サカキダ)、吉田(ヨシダ)、坂北(サカキタ)、南條(ナンデウ)

〔皇國郡名志〕

p.0233 越前國〈舊六郡　今十郡〉　敦賀(ツルカ)　〈＜敦賀　●山中　●駄口　●疋田　●湯川　●ハン原　△常宮浦　江若界〉　丹生(ニフ)　〈＜府中　＜上鯖江　●宿浦　今宿　西海ニ向郡〉　今立(イマタテ)　●ヌルミ　江美界山郡〉　足羽(アスハ)　〈福井　淺水　舟橋　西海ニ向〉　大野(オホノ)　〈大野　＜勝山　●市原　●野原　加美飛ノ界〉　坂井(サカイ)　〈●松蔭　南條ヨリ流ルヽ　△白鬼女川下　西北海ニ向小郡〉　南條(ナンデウ)　〈＜鯖波　●脇本　●湯尾　●今庄　●二屋　●河野　板島　江界ヨリ海ニ出〉　今北(イマキタ)　〈●アサフ　美界小郡山ハカリ〉　吉田(ヨシダ)　〈●松岡　竹田　●丸山　△永平寺　加界〉　坂北(サカキタ)　〈丸岡　●長崎　＜三國　●金津　●細呂木　●吉崎　加界北海ニ向〉　〈今加二南條、今北、吉田、坂北四郡一　舊有二黒田、池上、榊田三郡一、今省レ之、界不レ考、〉　◯按ズルニ、本書及ビ次下ノ郡名異同一覽ノ符號ハ、山城國篇郡條ニ引ク所ノ、二書ノ凡例ヲ參照スベシ、

〔郡名異同一覽〕

p.0233 越前

〔古今類聚越前國志〕

〈一〉

p.0234 郡界〈并〉舊地　越前古五郡ナリ、弘仁十四年、丹生郡ヲ分テ今立郡ヲ置テ六郡トナレリ、〈◯中略〉後南條吉田二郡ヲ割テ八郡トス、時代未ダ詳カナラズ、又中古十二郡ニ分ツ、所レ謂足羽南郡、足羽北郡、今南東郡、今南

p.0235 西郡、今北東郡、丹生郡、吉田郡、坂南郡、坂北郡、大野郡、南條仲郡、敦賀郡也、寛文四年、越前少將光通ニ賜フ書ニ、八郡ヲ載ラレタルヨリ古ニ復スト云、〈越前名所記一作二延寶中一〉又敦賀、丹生、今立、足羽、大野、坂井、黒田、池上、榊田、吉田、坂北、南條、十二郡トセシコトアリト云、〈和漢三才圖會、越前事跡考、節用集、〉其時代ヲ詳ニセズ、

〔東大寺正倉院文書〕

〈二十八〉

p.0235 越前國天平四年郡稻帳　〈（繼目裏書）〉　越前國郡稻帳天平五年潤三月六日史生大初位下阿刀造佐美麻呂　月廿九日至十二月卅日合玖拾箇日食料、稻貳伯伍拾貳束、〈日別三束八把〉大野郡(○○○)　檢舶使從六位上弟國若麻呂、肆尅傳符壹枚、食料稻陸束肆把、鹽參合貳勺、酒肆升、〈一人別稻四把、鹽二勺、酒一升、三人別稻四把、鹽二勺、〉　敦賀(○○)、丹生(○○)貳箇郡各經貳箇日食料、稻參束貳把、鹽壹合陸勺、酒貳升、　赴二新任所一能登國史生少初位上大市首國勝、壹拾尅漆封傳符壹枚、食料稻漆束貳把鹽參合陸勺、酒陸升、〈一人別稻四把、鹽二勺、酒一升、二人別稻四把、鹽二勺〉　敦賀(○○)、丹生(○○)、足羽(○○)、坂井(○○)、江沼(○○)、加賀(○○)、陸箇郡各經壹箇日食料、稻壹束貳把、鹽陸勺、酒壹升、〈◯下略〉

敦賀郡

〔類聚名物考〕

〈地理一〉

p.0235 角國つぬのくに　越前國敦賀　つるが　角國はつのヽくににて、今の越前の敦賀郡是なり、是を今本にすなはちつるがの國と訓たれども、僻事なり、古へつののくに、後に漢字二字に塡る時、音によりて敦賀と書なせしものなれば、初はそのまヽつの、またつぬとも訓べし、此類いと多し、

〔地名字音轉用例〕

p.0235 ンノ韻ヲラノ行リノ音ニ轉ジ用ヒタル例　つるが　敦賀〈越前郡〉　都留我(ツルガ)　敦(トン)ヲトヲツニ轉ジ、ンヲルニ轉ジテ、ツルニ用ヒタリ、但此名モトハツヌガニテ、古書ニ角鹿(ツヌガ)トアリ、

〔古事記〕

〈中孝靈〉

p.0235 此天皇〈◯中略〉娶二意富夜麻登玖邇阿禮比賣命一生御子〈◯中略〉日子刺肩別命、〈◯中略〉日子刺

p.0236 肩別命者、〈（中略）角鹿(○○)海直之祖也〉

〔日本書紀〕

〈六垂仁〉

p.0236 二年、是歳、任那人蘇那曷叱智請之、欲レ歸二于國一〈（中略）一云、御間城天皇之世、額有レ角人、乘二一船一泊二于越國笥飯浦一、故號二其處一曰二角鹿(○○)一也、問之曰、何國人也、對曰、意富加羅國王之子、名、都怒我阿羅斯等、◯下略〉

〔古事記〕

〈中仲哀〉

p.0236 故建内宿禰命、率二其太子一爲レ將レ禊而、經二歴淡海及若狹國一之時、於二高志前之角鹿一造二假宮一而坐、〈◯中略〉故其旦、幸二行于濱一之時、毀レ鼻入鹿魚旣依二一浦一、〈◯中略〉其入鹿魚之鼻血臰、故號二其浦一謂二血浦一、今謂二都奴賀一也、

〔古事記傳〕

〈三十一〉

p.0236 都奴賀は、血浦(チウラ)の轉れる名なり、〈又血之臭(チノカ)のうつれるにやとも聞ゆ〉又書紀垂仁卷には、一云、御間城天皇之世、額有レ角人、乘二一船一泊二于越國笥飯浦一、故號二其處一曰二角鹿一也云々とあり、異なる傳なり、此二の傳、何れか正しからむ知がたけれど、應神天皇の大御歌に、旣に都奴賀とよまし給へれば、〈若初は血浦と云たらむには、其名の由縁、即此天皇の御目のあたりの書なれば、即血浦とこそよみ賜ふべけれ、又彼御世のほどは、此名の始より、いまだいくばくも經ざれば、轉りて都奴賀と云には至るまじければなり、〉書紀の方や正しからむ、〈但かの額に角ありし人の名を、都奴賀阿羅斯等と云とあれば、角鹿は此人の名に依て負へる地名の如く聞ゆれども、彼名は皇國言の如くなれば、本よりの名には非ず、此間にてつけたるなるべし、此も額に角ありしに因てぞ然はつけつらむ、本よりの名は、亦名とて記せる方なるべし、◯中略、〉さて此名、又後には都流賀と云、和名抄に、越前國敦賀〈都留我〉郡これなり、書紀武烈卷に、角鹿之鹽の事見えたり、

〔古今類聚越前國志〕

〈一敦賀郡〉

p.0236 州ノ西南ニアリ、西ハ若狹國ニ接シ、東南近江國ニ界シ、東北ハ南條郡ニ界シ、北ハ海ニ際ル、

〔日本書紀〕

〈三十持統〉

p.0236 六年九月癸丑、越前國司、獻二白蛾一、　戊午、詔曰、獲二白蛾於角鹿郡浦上之濱一、故増二封笥飯神一、二十戸通レ前、

丹生郡

〔古今類聚越前國志〕

〈一丹生郡〉

p.0236 南條郡ノ北ニ連リ、西ハ海ヲ限リ、北ハ坂井郡、東ハ今立足羽二郡ニ界ス、

〔續日本紀〕

〈三十六光仁〉

p.0237 寶龜十一年十二月甲午、越前國丹生郡小虫神爲二幣社一焉、

南條郡

〔古今類聚越前國志〕

〈一南條郡〉

p.0237 舊丹生郡ナリ、後割テ一郡トス、敦賀郡ノ東北ニアリ、南ハ近江、美濃ニ接シ、東南ハ今立郡ニ界シ、西ハ海ニ際リ、北ハ丹生郡ニ界ス、

〔越前國名蹟考〕

〈三南條郡〉

p.0237 素良按ずるに、當國もと六郡にして、延喜式、或和名鈔等に、南條郡の名目無レ之、且和名鈔には國府を丹生郡に載たり、後世丹生郡の南を割て、南條郡を置れし時、府はこの郡に屬したれども、今時世上に流布する書に、丹生郡に府を記したるは、和名鈔に本づく故なり、〈◯下略〉

今立郡/今南西郡/今南東郡/今北東郡

〔古今類聚越前國志〕

〈一今立郡〉

p.0237 丹生、南條二郡ノ東ニアリ、東ハ大野ニ界シ、南ハ美濃國冠山ニ接シ、北ハ足羽郡ニ連ル、

〔越前國名蹟考〕

〈四今立郡〉

p.0237 素良按ずるに、何の比か、當國六郡を割て十二郡とせし時、此郡分て三郡とす、所レ謂今南西郡(○○○○)、今南東郡(○○○○)、今北東郡(○○○○)是なり、朝倉時代の文書に、此郡號見えたり、寛文四年甲辰五月、一國八郡と成し節、三郡併せて今立一郡に復す、

〔日本紀略〕

〈淳和〉

p.0237 弘仁十四年六月丁亥、越前國言上、丹生郡管郷十八、驛三、割二九郷一驛一、更建二一郡一、號二今立郡一、〈◯中略〉以二地廣人多一也、

〔三代實録〕

〈十三清和〉

p.0237 貞觀八年八月七日己卯、越前國今立郡大領外正六位上生江臣氏緒、授二借外從五位下一、以下獻二稻十萬束一充中公用上也、

足羽郡

〔古今類聚越前國志〕

〈一足羽郡〉

p.0237 今立郡ノ北ニアリ、東ハ大野郡、西ハ丹生郡、北ハ吉田郡ニ界ス、本國ノ中央ナリ、

〔越前國名蹟考〕

〈五足羽郡〉

p.0237 素良按ずるに、當國中頃十二郡となれる時、此郡も南北二郡となれり、寛文四年甲辰、御領知御判物八郡となりし節より、併て一郡に復す、

〔續日本紀〕

〈二十六稱徳〉

p.0238 天平神護元年三月丁未、越前國足羽郡人從五位下益田繩手賜二姓益田連一、

大野郡

〔古今類聚越前國志〕

〈一大野郡〉

p.0238 今立、足羽、吉田、坂井四郡ノ東ニアリ、東南飛騨、美濃二國ニ接シ東北加賀國ニ界ス、

〔三代實録〕

〈四十陽成〉

p.0238 元慶五年七月十七日癸亥、越前國丹生、大野レ、〈◯野原作神今改〉坂井等郡田地六百一町九段百五十八歩、依二天平勝寶元年四月一日詔旨一、令二興福寺領得一、但天平勝寶元年以前爲二公田之類一、雖レ在二四至之内一、不レ聽レ領之、

坂井郡

〔古今類聚越前國志〕

〈一坂井郡〉

p.0238 吉田郡ノ北ニアリ、東北加賀國ニ接シ、東南大野郡ニ連リ、西南丹生郡ニ界シ、西海ニ至ル、　再按スルニ、倭名抄坂井佐加乃井ト讀ム、日本紀ノ坂中井、舊事紀ノ坂名井皆此ナルベシ、蓋初三國一郷ニシテ後郡名トナリ、反テ三國ヲ管セシナルベシ、〈◯下略〉

〔越前國名蹟考〕

〈十坂井郡〉

p.0238 素良按ずるに、當國中頃十二郡となりし節、當郡を分て坂南郡、坂北郡の二郡とす、寛文四年、八郡に併せられし時より、右の二郡をもとの坂井郡一郡となさる、此郡中三保島に所有の古き寄附状に、池上郡安島浦と書認、又近年江戸にて當國無宿者の申口を以て、越前國榊田郡三國湊と公儀より御書下げ有し事などは、更に論にたらず、〈◯中略〉此郡に昔時池上榊田などの名目ありしとは意得べからず、

〔續日本紀〕

〈三十五光仁〉

p.0238 寶龜九年九月癸亥、送高麗使正六位上高麗朝臣殿嗣等、來著二越前國坂井郡三國湊一、〈◯下略〉

〔續日本後紀〕

〈三仁明〉

p.0238 承和元年十一月丙子、以二越前國坂井郡荒田廿町一賜二基貞親王一、

吉田郡

〔古今類聚越前國志〕

〈一吉田郡〉

p.0238 舊坂井郡、後ニ割テ一郡トス、大野郡ノ西ニアリ、南足羽郡ニ界シ、西北坂井郡ニ至ル、

〔越前國名蹟考〕

〈七吉田郡〉

p.0239 素良按ずるに、〈◯中略〉何れの比にか、當國六郡を分て十二郡とせし時、足羽郡を割て、此郡を置しものなるべし、されば太平記には、今の吉田郡の内をも、押なべて足羽とのみ記したり、扨吉田郡の郡號は何に依て名付しと云事、考へ知がたし、又一説には、坂井郡を割て吉田郡を置ともいへり、去ながら、たしかなる證迹を見ず、

〔日本靈異記〕

〈下〉

p.0239 拍下于憶二持千手呪一者上以現得二惡死報一縁第十四　越前國加賀郡有二浮浪人之長一、探二浮浪人一駈二使雜徭一、徴二乞調庸一、于レ時有二京戸小野朝臣庭麿一、爲二優婆塞一、常誦二持千手之呪一爲レ業、展二轉彼加賀郡部内之山一而修行、神護景雲三年歳次己酉春三月廿七日午時、其長有二其郡部内御馬河里一遇二行者一曰、汝何國人、答我修行者、非二俗人一也、長瞋嘖言、汝浮浪人、何不レ輸レ調、縛打駈徭、猶拒二逆之一、〈◯下略〉

加賀郡

〔本朝文粹〕

〈二意見封事〉

p.0239 意見十二箇條　善相公〈清行〉　一請レ加二給大學生徒食料一事　右臣伏以、治國之道、賢能爲レ源、〈◯中略〉至二于天平之代一、右大臣吉備朝臣、恢弘二道藝一、〈◯中略〉其後代々下レ勅、給二罪人伴家持、越前國加賀郡(○○○)沒官田一百餘町一、〈◯中略〉以充二生徒食料一、號曰二勸學田一、〈◯中略〉　延喜十四年四月廿八日　從四位上行式部大輔臣三善朝臣清行上二封事一　◯按ズルニ、加賀、江沼ノ二郡ハ、弘仁十四年ニ、分立シテ加賀國トナル、

郷

〔倭名類聚抄〕

〈七越前國〉

p.0239 敦賀郡　神戸　與祥　津守〈都毛利〉伊部　從省〈◯省、高山寺本作レ者、〉鹿蒜〈加倍留、◯倍、高山寺本作レ比、〉　丹生郡　賀茂　野田〈乃太〉丹生　岡本〈乎加毛止◯毛止二字原脱、據二高山寺本一補、〉泉〈◯高山寺本無二此郷一〉從省〈之土無◯高山寺本無二此郷一、〉可知　朝津〈阿佐布豆〉三太　今立郡　芹川〈世里加波〉大屋　酒井〈佐加井〉味眞〈阿知末〉勝戸〈高山寺本註二以曾倍一〉勝部〈◯高山寺本註二波止利一〉中山〈◯高山寺本註二奈加豆也末一〉船津〈布奈都〉曾博〈曾波久〉　

p.0240 足羽郡　安味〈安美〉額田〈奴加太〉足羽〈安須波〉草原〈久佐波良〉少名〈乎多〉江上〈衣加美〉井手〈井天〉中野、　岡本〈乎加毛土〉江沼　大野郡　野田〈乃多〉上家、〈加豆以倍〉川合〈加波比〉利刈〈土加利〉毛屋　加美　資母　出水　大山〈於保也末◯高山寺本此郡無二加美郷一、而有二亘理〈和多利〉大沼二郷一、〉　坂井郡　粟田〈安波多〉荒泊　高向〈多加無古〉礒部　長畝〈奈宇禰〉高屋〈多加也〉坪江〈豆保江〉福留〈布久呂〉海部〈安萬無倍〉川口〈加波久知〉堀江〈保里江〉餘戸

〔續日本紀〕

〈二十四淳仁〉

p.0240 天平寶字六年四月壬申、勅、越前國江沼郡山背郷(○○○)戸五十烟施二入岡寺一、

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0240 〈表題〉　東大寺越前國庄庄券　〈道守、栗川兩庄、國郡解、〉　天平神護二年　足羽郡司解　申伏辨百姓　合開田參町〈廣尺深二尺巳下一尺五寸巳上〉　右、野田郷(○○○)戸主額田國依申云、以二去天平十六年一堀開如レ件、〈◯中略〉　天神護二年九月十　伏辨額田國依〈◯下略〉

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0240 足羽郡司解　申伏辨人事　道守男食〈部下草原郷(○○○)戸主〉　合田伍段貳伯漆拾貳歩〈西北一條十一上味廾〉　右人申云、件田所レ奏如二寺圖一、伏辨件者、郡依二申状一、收二伏辨手實状一申上、謹解、　伏辨道守男食〈◯下略〉

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0240 東大寺越前國庄庄券〈道守、鴫野、栗川、子見、㳰江、幡生庄等、庄解、郡解、〉　天平神護二三　上家郷(○○○)戸主野於斐多戸口秦前多麿解　申請墾田直事　合八段八十二歩　直稻二百卌四束八把　西北一條十一上味岡里　五味岡田五段百九十六歩　六味岡田二段二百卌六歩　

p.0241 右、件田直稻、依レ員請前如、仍状注、謹以解、　天平神護三年二月廿二日　秦前多麻口〈◯中略〉中野郷(○○○)戸主物部古麻呂解　申請墾田直事　合田肆段貳伯玖拾肆歩之中〈荒一段七十八歩　得三段二百十六歩〉　請直稻玖拾漆束　西北一條十寒江里廿六寒江田分北一段二百八十八歩　廿七寒江田分中二段七十八歩之中〈荒一段七十八歩得一段〉　卅五寒江田分西二百八十八歩　右件田直稻、依レ員所レ請已畢、仍注二事状一申上、謹解、　天平神護三年二月廿二日　田主物部古麿〈◯中略〉　草原郷(○○○)戸主酒部牛養戸口同戸口酒部小國解　申請墾田直事　合墾田參段　直稻漆拾貳束　西北一條十一上味岡里十三味岡田三段　右田直稻依レ員請已畢、仍注二事状一申上、謹解、　天平神護三年二月廿二日　酒部小國〈◯中略〉　岡本郷(○○○)戸主粟田多比女戸口道守息虫女解　申進上墾田事　合肆段參拾捌歩之中〈荒三百歩　得三段九十八歩〉請直稻八十五束　西北一條十一上味岡里廿一味岡田分西三百歩〈已荒〉　廿三川相田分西三段九十八歩　天平神護三年三月二日　田主道守臣息虫女

〔元亨釋書〕

〈十五方應〉

p.0241 釋泰澄、姓三神氏、越之前州麻生津(○○○)人、〈◯下略〉

〔大乘院記録〕

〈建武應永引付〉

p.0241 雜訴決斷所牒　越前國衙、大乘院雜掌申、春日社三十講料所當國坪江郷(○○○)名主等、抑二留供料以下布施物一事、〈副訴状具書〉　

p.0242 牒、爲レ糺二明子細一、度々雖レ被レ下レ牒、更不二叙用一、彌致二濫妨狼藉一云々、然者太濫吹也、相二催近隣地頭等一可レ被レ召二進交名人之輩一、至二下地者一、可レ爲二院家管領一者、仍牒送如レ件、以牒、　建武元年十二月二十日　左衞門尉平判

〔康正二年造内裏段錢并國役引付〕

p.0242 合〈◯中略〉　壹貫文〈◯中略〉　伊勢左京亮殿〈越前國三職郷(○○○)段錢〉　拾貫文〈◯中略〉　長井因幡守殿〈越前國從都郷(○○○)段錢〉

村里/名邑

〔郡名一覽〕

p.0242 一越前國(御料私領)　〈越州　南北三日半〉　八郡　高六拾八萬四千貳百七拾壹石八斗九合六勺　千五百四拾壹ヶ村　●福井　〈東海道百三十里　東山道百三十七里　北陸道百四十五里〉　●松岡　〈百三十八里　福井ノ持〉　●丸岡　〈東海道百三十里　東山道百四十三里〉　●大野　〈百海道百四十一里　東山道百四十九里〉　●勝山　〈東海道百四十四里　東山道百三十四里〉　●西鯖江　〈百三十四里〉　◯敦賀　〈百二十四里鞠山城〉　 ◯府中　〈福井　二万五千石〉本多内藏助　 白崎　〈百卅四里〉金森左京　＜本保　〈百三十四里〉　◯按ズルニ、本書ノ符號ハ、山城國篇村里條ニ引ク所ノ、本書ノ凡例ヲ參照スベシ、

〔郡國提要〕

p.0242 越前　八郡、千五百三十三村、　高六十八万九千三百四石八斗一升九合八勺七才(御料私領)　足羽(アシハ)郡百六十村　吉田郡百三十九村　丹生郡二百二十九村　今立郡二百二村　南條郡九十二村　坂井郡三百四十九村　大野郡二百七十六村　敦賀郡八十六村

〔地勢提要〕

〈坤〉

p.0242 郡邑島嶼奇名　越前　敦賀郡繩間(ノツマ)村、山泉(ミツツ)村、小河(カウ)村、杉浦(スミツ)村、池太郞(イケタノラ)村田樂城(カラヽキ)村、大梓(リノキ)村和布(メラ)浦、茱崎(グミ)浦、大味(ミ)浦、米納津(ヨノツ)村、小尉(コゼウ)村、吉田郡上伏(ウヘフセ)村、

〔日本書紀〕

〈十七繼體〉

p.0242 男大迹天皇、〈◯繼體、中略、〉天皇父聞三振媛顏容姝妙、甚有二㜫色一、自二近江國高島郡三尾之別業一、

p.0243 遣レ使聘二于三國(○○)坂中井一、〈中此云レ那〉納以爲レ妃、遂産二天皇一、天皇幼年父王薨、振媛迺嘆曰、妾今遠離二桑梓一、安能得二膝養一、余歸二寧高向(○○)一、〈高向者越前國邑名〉奉二養天皇一、

〔古事記〕

〈中應神〉

p.0243 此品陀天皇之御子、若野毛二俣王、娶二其母弟百師木伊呂辨亦名弟日賣眞若比賣命一、生子、大郞子、亦名意富富杼王、〈◯中略〉故意富富杼王者、〈三國君（中略）等之祖也〉

〔古事記傅〕

〈三十四〉

p.0243 三國君は、地名に因れり、續紀卅五に、越前國坂井郡三國湊、〈今世にもかくれなき地なり〉神名帳に、同郡三國神社もあり、此地なり、〈◯中略〉三國は繼體天皇の御母の本郷にて、其天皇の成長坐し地なり、

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0243 足羽郡司解　申應二堀開一東大寺溝事　合貳處　一道守村(○○○)田爲レ漑應レ堀溝長一千七百廿一丈〈從二堰口一至二于寒江一者、◯中略〉　右受二生江川水一、從二三重田神社北一、應二堀開一如レ件、　一鴫野村(○○○)田爲レ漑應レ堀溝長三百丈〈◯中略〉　右受二足羽堰水一、應二堀開一如レ件、〈◯中略〉　天平神護二年十月十日

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0243 東大寺越前國庄庄立券本主注文〈丹生足羽坂井三郡〉　天平神護二年　丹生郡　椿原村(○○○)　水成村(○○○)　足羽郡　糞置村(○○○)　栗川村(○○○)　道守村(○○○)　鴫野村(○○○)　坂井郡　子見村(○○○)　串方村(○○○)　田宮村(○○○)　天平神護二年十月廿一日

〔日本靈異記〕

〈下〉

p.0243 女人濫嫁飢二子乳一故得二現報一縁第十六　紀伊國名草郡能應里之人寂林法師、離二之國家一經二之他國一、修レ法求レ道而至二加賀郡畝田村(○○○)一、逕レ年止住、奈

p.0244 良宮御二宇大八島國一白壁天皇〈◯光仁〉世、寶龜元年庚戌冬十二月廿三日之夜、夢見、從二大和國鵈鵤聖徳王宮前之路一指レ東而行、〈◯中略〉林佇看之、於二草中一有二太胅肥女一、裸衣而踞、兩乳脹大、如二竈戸一垂、自レ乳流レ膿、〈◯中略〉林問、汝何女、答、我有二越前國加賀郡大野郷畝田村一之横江臣成人之母也、〈◯下略〉

〔康正二年造内裏段錢并國役引付〕

p.0244 合　九百六十三文　妙法院御門跡領〈越前國開發村(○○○)段錢〉　六百五十文　妙法院御門跡領〈越前國岩永村(○○○)段錢〉　百七十五文　妙法院御門跡領〈越前國栗生野村(○○○○)段錢〉　一貫四百文　妙法院領〈越前國加志津村(○○○○)段錢◯中略〉　八百九拾二文　妙法院御領〈越前國江星村(○○○)段錢◯中略〉　三貫文　妙法院御領〈越前國内郡村(○○○)段錢◯節略〉

〔越前國名蹟考〕

〈一敦賀郡〉

p.0244 氣比庄　【津内町】(ツナイ)〈敦賀〉　小濱領　高千三百石四斗壹升八合、〈◯中略〉家數都合貳千貳百九拾四軒、〈但當時三千軒餘有レ之由〉　外に奉公人屋敷、寺社、　東西十三町、南北六町半ばかり、〈元祿圖繪圖東西十五町三十間、南北六町廿間、〉

〔延喜式〕

〈二十六主税〉

p.0244 諸國運漕雜物功賃〈◯中略〉　越前國〈◯中略〉海路〈自二比樂湊一、漕二敦賀津一船賃、石別稻七把、（中略）自二敦賀津一運二鹽津一駄賃、米一斗六升、〉

〔隆信朝臣集〕

〈上旅〉

p.0244 つぎの日もくれぬれば、つるが(○○○)といふところにとまりしに、うかれめどもあつまりて、歌うたひなどせしに、心ぼそさも、すこしなぐさみて、　わすられぬみやこもけふぞ忘れぬるきみゆゑとてはこしぢならねど

莊保

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0244 東大寺越前國桑原庄券〈雜文書〉　越前國使等解　申桑原庄(○○○)所應下堀二開溝一并度中樋等上事　合參處〈◯中略〉　天平寶字元年十一月十二日　坂井郡散仕阿刀僧

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0244 東大寺越前國高串庄(○○○)券〈國判〉　天平寶字八年　

p.0245 越前國司判　合高串葦原玖町參段伯肆拾肆歩〈東串方江南榎本泉◯中略〉　天平寶字八年二月九日　正七位下行大目王叙忠

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0245 江沼郡幡生庄(○○○)使解　申百姓等障溝事　野川溝二通〈常田開時溝者〉　荒廢田十三町〈東北十五條田既荒者〉　以前溝障不レ漑、依レ兹件田荒廢、仍具状申送、謹解、　天平神護二年十月七日　庄司僧慚敬　僧行珣

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0245 坂井郡溝江庄(○○○)所使解　申請溝所事　合應レ堀溝六百一十五丈、〈廣六尺深三尺〉應受坂井郡五百、〈◯中略〉　以前、溝所レ請如レ件、仍注二具状一申送、謹解、　天平神護二年十月八日　佃使僧慚敬　僧行珣

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0245 坂井郡子見庄(○○○)使解　申可レ堀二溝地一事〈◯中略〉　右應レ堀溝地、注顯如レ件、仍注二事状一以解、　天平神護二年十月九日　僧集福　僧花凰

〔延喜式〕

〈四十八左右馬〉

p.0245 越前國少名庄(○○○)卅五町八段二百九十六歩〈佃十町◯中略〉　右左馬寮、毎年依レ件營種、自餘皆收二地子一、以充二秣料及雜用一其遠國地子者、交二易輕物一送レ寮、運功便割二

p.0246 其内一、〈◯中略〉　越前國桑岡尾箕兩庄(○○○○○○)、卅五町八段二百九十六歩、〈佃八町◯中略〉　右右馬寮、並准二上條一、

〔東大寺小櫃文書〕

〈下〉

p.0246 東大寺越前國庄庄券〈道守、鎧、糞置等庄、寺條、〉　一通　天暦五年　足羽郡廳牒　東大寺諸庄收納使〈衙〉　來牒、壹〈◯此間蠧損〉載寺家所領道守(○○)、鎧(○)、糞置(○○)等庄田、可二勘録奉一レ送状、〈◯中略〉　今任二來牒状一撿二案内一道守、鎧庄田、雖レ在二條里一、本自或荒野、或原澤、更寄作人糞置庄田、所レ不レ聞也、仍牒送如レ件、乞也、察レ状、今勒レ状以牒、　天暦五年十月廿三日

〔東大寺要録〕

〈六〉

p.0246 一諸國諸庄田地〈長徳四年注文定◯中略〉　越前國　七百卅町八段六十七歩　丹生郡楢原庄(○○○)田五十町　足羽郡道守庄田三百廿六町二段五歩　同郡鉀庄田百町九段二百八十八歩　同郡糞置庄田十五町八段二百六十歩　坂井郡富大庄(○○○)田卅七町七段四十歩　同郡富小庄(○○○)田卅七町一段百八十歩　同郡鯖田庄(○○○)十七町四段二百九十歩　同郡小椿庄(○○○)田四十七町四段四十歩　同郡溝江庄田百町　右件庄々田地、以二荒廢一地子不レ登、〈◯中略〉　別功徳分庄〈◯中略〉　越前國　坂井郡田宮庄(○○○)田五十三町七段三百廿六歩〈五月三日悔過料◯中略〉　右諸國庄家田地目録如レ件

〔吾妻鏡〕

〈六〉

p.0246 文治二年六月十七日癸亥、梶原刑部丞朝景、自二京都一進二使者一、執二申内大臣家訴事一、是家領等、

p.0247 爲二武士一被二押妨一事也、所レ謂越前國北條殿眼代越後介高成、妨二國務一、般若野庄(○○○○)藤内朝宗、瀬高庄(○○○)藤内遠景、大島庄(○○○)土肥次郞實平、三上庄(○○○)佐々木三郞秀能、各或三年、或一兩年、煩二所務一、抑二乃貢一云々、二品殊令レ驚給、速可レ止レ妨之由、面々可レ被二仰含一之由云々、

〔西大寺文書〕

〈一〉

p.0247 注進　西大寺所領諸庄薗現存日記事〈◯中略〉　一顚倒庄々〈◯中略〉　越前國　坂井郡赤江庄(○○○)、百六十八町三段百八十歩、〈◯中略〉　右依二宣旨一注進如レ件　建久二年五月十九日〈◯署名略〉

〔吾妻鏡〕

〈十四〉

p.0247 建久五年十二月十日丙寅、越前國志比庄(○○○)、爲二比企藤内朝宗一、被二押領一之由、有二領家之訴一、

〔東寺百合古文書〕

〈一ノ四〉

p.0247 最勝光院領越前國志比庄寺用綿事、任二本員數千兩一可レ致二其沙汰一之由、致レ仰給、可レ致二存知一之旨天氣所也、仍執達如レ件、　嘉暦元年十月五日　右中辨資治　修理別當法印御房

〔東寺文書〕

〈射一之十二〉

p.0247 雜訴決斷所牒　最勝光院當院所司申、越前國志比莊寺用闕怠事　牒、入道彈正親王〈◯忠房〉家雜掌寺用闕怠事、可二究濟一之由、雖レ被レ下二御牒一、雜掌尚不二叙用一之上者、任二正中二年十二月三十日綸旨一、地頭可レ直二納寺用於院家一之由、被二仰下一者、仍牒如レ件、以牒、　建武元年十一月十一日　左衞門尉平花押〈◯下略〉

〔氣比宮社傅舊記〕

〈上〉

p.0247 氣比太神宮政所　注進御神領作田所當米已下所出物事總目録事〈◯中略〉　別沙汰〈并〉押領對捍所々　一長田小森保(○○○)〈當國（越前）坂井郡内〉　件保御封米二百十石七斗三升、相庸代米七百五石代、被二便補一保也、定米三百五十一石五斗、雖レ然

p.0248 當時彼保所當〈◯此間蠹損〉七百餘石内也、〈◯中略〉　一氣比庄作田四十三町四十歩内　承元三年實撿定　除四丁八段〈◯中略〉　殘三十九町二段四十歩内　大佃二丁所當米三十四石〈除二種子料一定〉　小佃一丁所當米十七石　定田三十六丁二段四十歩〈◯中略〉　建暦二年九月日　勾當兼金宮祝散位角鹿〈◯下略〉

〔東寺百合文書〕

〈イ一之二十四〉

p.0248 七條院在御判　修明門院御處分御所庄々等〈◯中略〉　越前國織田庄(○○○)〈法花堂領大虫社〉　杣山庄(○○○)　毛戸岡庄(○○○○)　菅原鳩原庄(○○○○○)　安貞二年八月五日　七條院　在御判　すめいもん

〔古文書類纂〕

〈上處分状〉

p.0248 後深草天皇建長二年關白藤原道家處分状　總處分　條々事〈◯中略〉　一家地文書庄園事〈◯中略〉　尚侍殿〈◯中略〉　新御領〈◯中略〉　越前國足羽御厨　鯖江庄(○○○)〈◯中略〉　前攝政〈◯中略〉　新御領〈◯中略〉　越前國美賀野部庄(○○○○○)〈◯中略〉　佐々木女房讓進所々〈◯中略〉　越前國河和田新庄(○○○○○)　東郷庄(○○○)〈◯中略〉　建長二年十一月　日　愚老〈在御判〉

〔勘仲記〕

p.0248 弘安四年閏七月八日辛未參二殿下一、次參二近衞殿一〈番〉今夕前殿御方姫君、〈予（藤原兼仲）養君〉密有二御出家之儀一、〈◯中略〉御息所御領越前國坂北庄(○○○)、自二關東一進二本院一、此御領本家長講堂領也、年來被レ進二御年貢呉綿一

p.0249 云々、不慮御事、可レ謂二珍重一、

〔龜山院御凶事記〕

p.0249 嘉元三年九月廿三日丁卯、依可レ分二進故院御書一、早旦著二直衣一〈烏帽〉相具御書、御手簡〈存日予預置也〉參二御所一、〈◯中略〉女院御方自餘御書等〈兼有二御封一、以二檀紙一被二立文一之押二折上下一又有二銘等一、〉悉盛二筥蓋一、〈◯中略〉　一通〈銘曰西殿准后◯註略〉　准后　高倉殿〈號二西殿一〉　讃岐國宅間郷　越前國酒井庄(○○○)　西谷庄(○○○)　これら御分にて候、後には尊治の親王にまいらせられ候べく候、　嘉元三年七月廿六日　御判

〔圓覺寺文書〕

〈一〉

p.0249 當寺領越前國山本莊(○○○)、如レ元知行不レ可レ有二相違一者、天氣如レ此、仍執達如レ件、　建武元年二月二十六日　左衞門權佐〈◯岡崎範國〉　圓覺寺長老禪室

〔大乘院記録〕

〈建武應永引付〉

p.0249 春日御社領亂二入河口(○○)御莊一致二惡行狼藉一交名人事　一上御使　熊谷　片山兵庫助　子息孫次郞〈◯中略〉　右大概注進之状如レ件　建武二年正月二十六日

〔太平記〕

〈三十九〉

p.0249 神木御歸座事　大夫入道道朝都ヲ落テ後、越前國河口庄南都ニ被二返付一シカバ、神訴忽ニ落居シテ、八月〈◯貞治四年〉十二日神木御歸座アリ、

〔雜々聞書〕

p.0249 牛原領家職事　越前國(土岐殿状案)牛原庄(○○○)領家職事、被レ下二御雜掌一候、任二先例一所務無二相違一様、可下令二計申一給上候、更不レ可レ有二等閑一由所レ候

p.0250 也、恐々謹言、　七月〈◯康永元年〉十七日　慶俊判　三村藏人大夫殿

〔康正二年造内裏段錢并國役引付〕

p.0250 合〈◯中略〉　五貫文　南都東北院内領〈越前國木田庄(○○○)段錢◯中略〉　九貫文〈◯中略〉　鴨御社領〈越前國志津庄(○○○)段錢〉

〔越前國名蹟考〕

〈五足羽郡〉

p.0250 福井庄(○○○)〈十村〉　福井、富久居、當社莊北之故、此謂曰二北莊一、〈足羽社記〉素良按ずるに、昔は北(○)ノ庄(○)と稱す、寛永元年甲子七月十九日、宰相忠昌公御入部の砌より福井と改らる、福井は、もと足羽神殿にまします所、五座の神の其一座にして、古訓はサクヰ、祝詞式などには榮井(サクヰ)とも書きたり、然れども俗間にて訓みやすきに從ひフクヰと唱ふ、今御本城天守臺の上に、福井と云名水あり、是則神名に據て名付るなるべし、此井の在所、御本丸となれるより、地名も福井と改められし事ならむ、

〔當宮縁事抄〕

p.0250 左辨官下　石清水八幡宮并宿院極樂寺　應丙永停下止宮寺并極樂寺庄園領家預所下司公文等、或號レ有二先祖讓状一、或稱レ相二傳文書一、致二異論一企中掠領上、兼又有二由緒一雖レ令二傳領一、子孫斷絶處々付乙本所甲事、　宮寺領〈◯中略〉　越前國　道田保(○○○)　近來相傳横越保(○○○)〈◯中略〉　保元三年十二月三日　大史小槻宿禰〈在判◯下略〉

〔吾妻鏡〕

〈十〉

p.0250 文治六年四月十九日壬寅、造大神宮役夫工米、地頭未濟事、頻有二職事奉書一、神宮使又參訴之間、可レ致二不日沙汰一之旨、下知給、於下有二子細一所々上者、今日令レ注二進京都一給、因州并盛時、俊兼等奉二行之一、其状云、　内宮役夫大工作料未濟成敗所々事〈◯中略〉

p.0251 越前國〈◯中略〉藤島保(○○○)　以二牒状一觸二平泉寺一〈◯中略〉　文治六年四月十九日

〔吾妻鏡〕

〈二十〉

p.0251 建暦二年正月十一日庚申、御弓始也、〈◯中略〉先召二小國源兵衞三郞頼繼一、是無雙精兵也、而不レ帶レ弓由申之間、被レ下二鎮西以下諸國進納之荒木弓等一賜レ之一五度射レ之處、毎度其弦絶訖、射藝又頗可レ謂二養由一、將軍家御感之餘、於二當座一賜二越前國稻津保(○○○)地頭職於頼繼一、件御下文云、爲二弦麻一、可レ令二知行一者、此頼繼者、丹後守源頼行孫、桃園兵衞大夫宗頼子也、

藩封

〔慶應元年武鑑〕

p.0251 松平越前守茂昭(大廊下　正四位上少將)　三拾二万石　在城越前足羽郡福井　〈江戸ヨリ東海道百卅里、東山道百卅七里、北陸道百四十五里餘、〉　〈慶長六、越前中納言秀康卿、以後代々領レ之、〉　有馬遠江守道純(帝鑑間　四品)　五万石　居城越前坂井郡丸岡　〈江戸ヨリ東海道百三十四里、東山道百四十三里餘、〉　〈慶長五、本多飛騨守成重、同淡路守重能、同飛騨守重照、同飛騨守重充、元祿八、有馬左衞門佐永純、以後領レ之、〉　土井能登守利(雁間　從五位上)　四万石　居城越前大野郡大野　〈江戸ヨリ東海道百四十一里、中山道百四十九里、北陸道百五十一里、〉　〈織田家大野宰相居、元和九、松平出羽守直政、寛永十、松平大和守直基、正保元、松平但馬守直富、同若狹守直明、天和二、土井能登守利房、以後代々領レ之、〉　間部下總守詮道(雁間　朝散大夫)　四万石　居城越前今立郡鯖江　〈江戸ヨリ百三十四里〉　〈享保五ヨリ間部氏領レ之◯節略〉

〔慶應元年武鑑〕

p.0251 小笠原左衞門佐長守(帝鑑間　朝散大夫)　二万二千七百七十七石　居城越前大野郡勝山　〈江戸ヨリ東海道百四十四里、北陸道百四十九リ卅丁、木曾路百卅四リ十三丁、　當國者慶長六ヨリ越前中納言秀康卿、同宰相忠昌卿、同少將光長持、元祿四小笠原土佐守貞信、以後領レ之、〉酒井飛騨守忠毘(雁間　從五位下)　一万石　居城越前敦賀郡敦賀格　〈江戸ヨリ百廿四里◯節略〉

田數/石高

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0251 越前國〈◯註略〉管六〈田萬二千六十六町〉

〔蒼梧隨筆〕

〈二〉

p.0252 國郡大小之差異　越中、越後、上國にして、田數大國の越前に倍れるものは、三代格を考るに、嵯峨天皇弘仁十四年二月三日、越前の國江沼加賀二郡を割て爲二加賀一とあれば、本とより加賀は越前の中なれば、此二國を合せ計れば、越前の田數凡二萬五千六十六町となりて、越中、越後にすぐれるものなり、

〔伊呂波字類抄〕

〈惠國郡〉

p.0252 越前國　本田二万三千五百七十六町〈◯拾芥抄同レ之〉

〔海東諸國記〕

p.0252 越前州　郡六、水田一萬七千八百三十九町五段、

〔越前國名蹟考〕

〈首上總括〉

p.0252 上世租税并國司給分　和名抄に載る所の田數萬二千六十六町を、上中下、下々の品を論ぜず、殘らず中田として積りみれば、二十四万千三百二十石なり、〈◯中略〉當國は總高四拾九萬石なりしを、秀吉公の時改て今六十八万石餘なりと云事、四王天周信國主記の初めに記せり、何の據ある事を知らざれ共、四王天氏は此國の故家なれば、浮華の言にはあるべからず、因て思ふに、當國兩度の繩入にて、今の高となれる由、俗間に云傳ふ由、慶長繩入の法を押返して見る時は、そのかみ二十七万石餘にてもあらんか、又近代の書記に、當國の田數二万三千五百七十六町と載たるを、諸國の例にて推す時は、二十三万五千七百六十石となり、五町百石に積る時は、四十七万千五百二十石なり、尤少々町段の増減もあるべきなれども、大概の數は遠からずといふべし、さらば昔は二十万石餘にして、中頃繩入ありて四十万石餘となり、豐臣氏の時再び繩入有て、今の高六十八万石餘となれるなるべし、石二十万石餘を四十万石餘とせしは、柴田氏治國の比にもあらむ歟、

〔越前國名蹟考〕

〈首下總括〉

p.0252 近世郡村高寄　正保圖帳　今南東郡　高壹萬三千三百拾五石七斗四升六合　六拾二村　今南西郡　高三萬三千七百七拾四石壹斗壹合　四拾貳村　

p.0253 今北東郡　高三萬五千七百八拾四石五斗四升七合　六拾壹村　丹生北郡　高八萬七千五百三石壹斗六升二合　貳百拾三村　足羽南郡　高五萬千四百壹石八斗三升六合　九拾村　足羽北郡　高四萬貳百九拾五石貳斗九升九合　六拾四村　吉田郡　高八萬九百五拾貳石八斗八升六合　百拾九村　坂南郡　高四萬六千六百拾壹石七斗六升　百拾五村　坂北郡　高九萬四千九百三拾貳石貳升九合　貳百貳拾六村　大野郡　高九萬三千五百四拾八石壹斗九升　貳百五拾七村　南條仲郡　高三萬八千百四拾三石六斗九升三合　八拾九村　敦賀郡　高貳萬千三百六拾八石四斗三升壹合　八拾貳村　右拾貳郡　總高六拾八萬三百四拾九石九斗貳升三合　千三百九拾三村　以上正保四年丁亥、右公儀より被二仰出一有レ之に付圖帳被二指出一、　享保圖帳　敦賀郡　高貳萬千五百貳拾八石五斗七合　八拾六村　南條郡　高三萬四千九百九石八斗九升六合貳勺　九拾三村　今立郡　高八萬五千七百九拾八石貳斗六升四合　貳百貳村　丹生郡　高八萬七千六百五拾壹石三斗六合四勺　貳百貳拾九村　足羽郡　高九萬千九百六拾三石六斗貳升八合　百六拾村　吉田郡　高七萬九千貳百貳拾四石　百三拾九村　大野郡　高九萬五千五百拾七石九斗六升六合　貳百八拾三村　

p.0254 坂井郡　高拾八萬五千百九石貳斗八升三合　三百五拾村　右八郡總高六拾八萬千七百六拾八石五斗八升九合　千五百四拾貳村〈内〉浦數六拾五　以上享保十年乙巳五月、右者公儀へ被二差出一圖帳に而は無レ之、御國目付へ被二指出一歟、

〔日本鹿子〕

〈十〉

p.0254 越前國、十二郡、大、上々國、南北三日半、知行高六十八万二千六百五十石、

〔官中秘策〕

〈四〉

p.0254 越前國　拾貳郡〈◯中略〉　一石高六拾八万四千貳百七拾壹石餘

〔吹塵録〕

〈五人口及國高〉

p.0254 天保度御國高調〈◯中略〉　越前國〈御料私領〉　一高六拾八万九千三百四石八斗壹升九合八勺七才

出擧稻

〔延喜式〕

〈二十六主税〉

p.0254 諸國出擧正税公廨雜稻〈◯中略〉　越前國、正税公廨各卌万束、國分寺料三万束、京法華寺料二万束、文殊會料二千束、藥分料六千束、修理池溝料四万束、救急料十二万束、俘囚料一万束、

〔倭名類聚抄〕

〈五國郡〉

p.0254 越前國〈◯註略〉管六〈（中略）正公各四十萬束、本稻百二萬八千束、雜稻二十萬八千束、〉　◯按ズルニ、延喜式ニ據レバ、雜稻二十二萬八千束ナリ、此ニ本稻百二萬八千束トアルニ合フ、雜稻二十萬八千束、應ニ二十二萬八千束ニ作ルベシ、

〔東大寺正倉院文書〕

〈二十七〉

p.0254 越前國正税帳　越前國大税帳天平三年二月廿六日史生大初位下阿刀造佐美麻呂(（繼目裏書）)　殘玖仟漆伯捌斛玖斗肆升　合定大税穀貳拾貳萬漆仟壹伯參拾玖斛漆斗陸升漆合漆勺〈振入斛別一斗、不動穀八万九千七百一十三斛一斗、〉　穎稻漆拾壹萬陸仟壹伯玖拾參束伍把　糒玖仟漆伯捌斛玖斗肆升〈爲裹一万九千四百一十七、裹別五斗、餘四斗四升、◯中略〉　

p.0255 敦賀郡　天平元年定大税穀伍仟捌伯伍拾壹斛玖斗參升貳合陸勺〈◯中略〉　丹生郡　天平元年定大税穀伍萬伍仟壹伯陸斛肆斗伍升壹合玖勺〈◯中略〉　足羽郡　天平元年定大税穀肆萬貳仟捌伯肆拾玖斛參斗肆升貳合貳勺　穎稻參萬壹仟捌伯捌拾參束伍把　出擧壹萬參仟伍伯參拾肆束　身死人負稻壹仟肆伯貳拾貳束　殘壹萬貳仟壹伯壹拾貳束　利陸仟伍拾陸束　并壹萬捌仟壹伯陸拾捌束　古稻壹萬捌仟參伯肆拾玖束伍把　輸田租穀貳仟壹伯壹拾陸斛漆斗漆升〈欠去年三百五十二斛二斗三升〉　食封租伍伯陸拾漆斛壹斗伍升〈三百七十四斛五斗二升、全給二所、一百九十二斛六斗三升、二分之一給四所、〉

〔續々修東大寺正倉院文書〕

〈第十九帙第八卷背〉

p.0255 坂井郡　天平元年定大税穀貳萬玖仟貳伯伍拾壹斛參斗壹合捌勺　穎稻捌萬漆仟壹伯捌拾束玖把　雜用壹仟壹伯貳拾束　

p.0256 舂米料稻壹仟束　粟陸斛料稻壹伯貳拾束　殘捌萬陸仟陸拾束玖把　出擧壹萬參仟貳伯捌拾束　身死人負稻貳仟伍伯陸拾束　殘壹萬漆伯貳拾束

〔東大寺正倉院文書〕

〈二十七〉

p.0256 江沼郡　天平元年定大税穀貳萬玖仟陸伯玖拾肆斛肆斗伍升參合〈◯中略〉　加賀郡　天平元年定大税穀參萬捌仟捌拾斛貳斗伍升肆合貳勺　穎稻貳拾肆萬捌仟陸拾玖束貳把　出擧陸萬參仟參伯漆拾束　身死人負稻壹仟漆伯漆拾肆束　殘陸萬壹仟伍伯玖拾陸束〈◯中略〉　以前天平二年收納正税穀并穎稻雜用如レ件、仍付二史生大初位下阿刀造佐美麻呂一申上以解、　天平三年二月廿六日　從八位上行少目林連〈班田〉　從四位下行按察使兼守大伴宿禰邑治麿　正七位上行掾勳九等坂合部宿禰〈監關〉　正六位上行介勳十二等大藏伊美吉石村　從七位上行大目勳十二等上師宿禰〈朝集使〉　◯按ズルニ、本書ニ載スル所ノ丹生江沼二郡正税ノ詳ナル事ハ、政治部上編正税篇ニ載セタレバ參看スベシ、

國産/貢獻

〔延喜式〕

〈二十三民部〉

p.0257 年料舂米〈◯中略〉　越前國〈内藏五十石、大炊六百五十四石、糯廿石、◯中略〉　年料租舂米〈◯中略〉　越前國〈一千三百石◯中略〉　年料別貢雜物〈◯中略〉　越前國〈筆五十管、紙麻一百斤、零羊角十具、甘葛汁一斗、◯中略〉　諸國貢レ蘇番次〈◯中略〉　越前國十五壺〈六口各大一升、九口各小一升、◯中略〉　右八箇國爲二第三番一〈卯酉年◯中略〉　交易雜物〈◯中略〉　越前國〈絹二百六十二疋、履料牛皮六張、漆一石五斗、曝黒葛卅斤、〉

〔延喜式〕

〈二十四主計〉

p.0257 越前〈◯中略〉　右廿五國中絲〈◯中略〉　越前〈◯中略〉　右廿九國輸レ絹〈◯中略〉　越前國〈行程、上七日、下四日、〉海路六日　調、兩面十疋、九點羅二疋、一窠綾三疋、二窠綾五疋、白絹十疋、帛一百九十疋、緋帛廿疋、橡帛廿五疋、緑帛黄帛各廿疋、絲一百絇、〈夏調〉自餘輸レ絹、　庸、韓櫃廿一合、〈塗レ漆著レ鏁五合、白木十六合、〉自餘輸二綿、米一、　中男作物、紙、熟麻、麻、紅花、茜、黄檗皮、黒葛(ツヽラ)、漆、胡麻油、荏油、呉桃子、并油、薑、海藻、雜魚腊、

〔延喜式〕

〈三十一宮内〉

p.0257 諸國例貢御贄〈◯中略〉　越前國〈甘葛煎、椎子、穉海藻、山薑、鮭子、氷頭背腸、〉

〔延喜式〕

〈三十三大膳〉

p.0257 諸國貢進菓子〈◯中略〉　越前國〈甘葛煎一斗、署預二擔、署預子二捧、椎子、〉

〔延喜式〕

〈三十四木工〉

p.0257 諸國所レ進雜物〈◯中略〉　越前國三百斛　庸米千斛〈◯註略〉

〔延喜式〕

〈三十七典藥〉

p.0257 諸國進年料雜藥〈◯中略〉　越前國十八種　黄連五十七斤、獨活四斤、牛膝十七斤、桔梗六斤、白朮五斤三兩、昌 廿六斤、人參十四斤、僕奈四斤、細辛五斤、大黄廿六斤、升麻六斤、夜干廿斤、黄精十二兩、榧子一斗六斤、署預二斗、桃人七升五合、 絲子四斤、蜀椒二斗七升、

〔延喜式〕

〈三十九内膳〉

p.0257 年料〈◯中略〉　越前國〈穉海藻二擔十籠、籠別一斗、又二擔別一斗、生鮭三擔十二隻三度、山薑一斗五升三度、鮭兒氷頭脊腸、〉

〔新猿樂記〕

p.0258 四郞君、受領郞等刺史執鞭之圖也、〈◯中略〉宅常擔二集諸國土産一、貯甚豐也、所レ謂〈◯中略〉越前綿、

〔毛吹草〕

〈三〉

p.0258 越前　黄連　鉛　奉書　鳥子雲紙　薄様厚紙　連尺(レンジヤク)　牛頸布　割織布　島布　苧屑頭巾　蒲脚巾(カマハヾキ)蓑　絹　肱綿　北庄切石　常慶寺砥　中曾禰轡　金澤鑷　戸口網代籠履　塗笠　敦賀小荷駄　疋田鮨　三久邇鱒　鮭　鱈　【G魚・荒】(アラ)　蒸魪(ムシガレイ)　老海鼠(ホヤ)　大蛸　丸岡素麪　大野酒　ダマノ油木〈當國ニ多作レ之〉

〔日本書紀〕

〈八仲哀〉

p.0258 元年閏十一月戊午、越國貢二白鳥四隻一、於レ是送鳥使人宿二莵道河邊一時、蘆髮蒲見別王、視二其白鳥一而問之曰、何處將レ去白鳥也、越人答曰、天皇戀二父王一而將二養狎一、故貢之、〈◯下略〉

〔日本書紀〕

〈三十持統〉

p.0258 六年九月癸丑、越前國司獻二白蛾一、

〔續日本紀〕

〈三文武〉

p.0258 慶雲二年九月癸卯、越前國獻二赤烏一、

〔續日本紀〕

〈九元正〉

p.0258 養老六年九月庚寅、令三〈◯中略〉越前〈◯中略〉等國始輸二錢調一、

〔續日本紀〕

〈十一聖武〉

p.0258 天平五年正月庚子朔、越前國獻二白鳥一、

人口

〔官中秘策〕

〈四〉

p.0258 越前國　拾貳郡〈◯中略〉　一人數三拾四万八千五拾貳人　内〈拾七万八千三百拾六人　男　拾六万九千七百三拾六人　女〉

〔吹塵録〕

〈五人口及國高〉

p.0258 諸國人數調(文化元甲子年)〈◯中略〉　一人數三拾五万四千三拾八人(御料私領)　越前國(高六拾八万四千貳百七拾壹石餘)　内〈拾八万三千百七拾壹人　男　拾七万八百六拾七人　女〉　諸國人數調(弘化三丙午年)〈◯中略〉　一人數三拾五万三千六百七拾四人(御料私領)　越前國(高六拾八万九千三百四石餘)　内〈拾七万九千九百九拾四人　男　拾七万三千六百八拾人　女〉

風俗

〔人國記〕

p.0259 越前國　越前之國ノ風俗、日本ニ無レ雙智惠國ト覺タリ、是上臈ヨリ下臈ニ至マデ、他ノ國ニ分ツ而見ル時、如レ此之辨舌、尾州ニモ劣ルマジキ國ナリ、サルニ仍テ、高慢ニシテ底意地惡敷、輕薄ニ有レ之、一旦頼母敷ヤウニテ語ル處ツレナク、譬バ人ヲ過メ走リ入テ頼ム時ハ、心安ク請合テ、詮議頻リ成時ハツレナク突放シ、或ハ旅人之渡リニ舟ヲ求レバ、アタイノ甲乙ニテ舟ヲ不レ渡、亦ハ執行暮テ宿ヲ求ルニモ、餘國ニ違テ萬事ツレナク、如レ此成作法百人ニ四五十如レ此ナリ、智有テ智ヲ發ツ而、諸事ニ闇キ事ナク辨ズルヲ本智トス、是國ノ人ハ智有テ邪智ヲヽクシテ義スクナシ、

名所

〔日本鹿子〕

〈十〉

p.0259 同〈◯越前〉國名所之部　有乳山(アラチヤマ)　海津の宿より一里北のかたなり、京より丑寅にあたる也、　雲かヽる有乳の山をかりがねの霧にまどひていかヾまつらん　矢田野(ヤタノ)　廣野(ヒロノ)　大野(オホノ)　有乳山の北に道の口といふ宿有、それより北へ一里ばかり行ば矢田野なり、敦賀の津へ出れば、いづれも西のかた也、新古今冬の歌に、人丸、　矢田の野にあさぢ色付あらち山みねのあは雪寒くぞあるらし　阿岐師(アキシ)の里　あらち山の西一里計行て此里有、河内の國にも同名あり、　あらち山雪げの空に成ぬれば阿岐師の里に霰ふりつヽ　角鹿(ツルカ)山　浦濱有レ之、あらち山の北也、道の口より寅のかたへ行は越前の府へ行也、つるがは北へ行也、世俗に、つるがの津と云也、當津氣比の明神の社あり、社西むき也、山は東にあり、　梓弓つるがの山を春越てかへりし雁は今ぞなくなる　笥飯海(ケイノウミ)　角鹿の浦濱をいふ也、つるがに氣比明神の社あり、仲哀天皇此所に幸の時、行宮をたてて笥飯の宮といふといへり、しかしより此所の浦濱を、氣比の海と總名をよびけるといへり、け

p.0260 いの海よそにはあらじあしのはのみだれてみゆるあまのつりふね　越(コシ)の中山　有乳山よりうしとらにあたりて、木の目峠とて大山を越て、越前の府へ出るなり、是を中山といふ也、東へ行は珻路山(カヘルヤマ)といふあり、　かりがねは歸山にや迷ふらん越の中山霞へだてヽ　珻路山(カヘルヤマ)　此山は西東へ遠し、海道は南の梺也、　かへる山ありとは聞どはる霞立別なばこひしかるべし　五幡(イツハタ)山　歸る山の近邊也、新古今別の歌に、伊勢、　忘れなん世にも越路の歸る山いつはた人は逢んとすらん　關原(セキハラ)　歸山の梺也、美濃國にも同名有、　鶯の鳴つるこゑにしきヽれて行もやられぬ關の原かな　淺水橋(アサムツノハシ)　黒戸の橋　世俗にあさう津といふ所也、此所より福井へ二里あり、　あさむつの橋は忍びて渡れどもとヾろとヾろと鳴ぞわびしき　たれぞこのね覺て聞ばあさむつの黒戸の橋をふみとヾろかす　玉江(タマエ)　あさう津といふ所に江川あり、是を玉江といふといへり、津の國に同名有、玉江こぐあしかり小舟さし分てたれを誰とかわれはさだめん

雜載

〔延喜式〕

〈二十八兵部〉

p.0260 諸國健兒〈◯中略〉　越前國一百人〈◯中略〉　諸國器仗〈◯中略〉　越前國〈甲四領、横刀十口、弓廿張、征箭卅具、胡簶卅具、〉

〔續日本紀〕

〈五元明〉

p.0260 和銅五年七月壬午、令二〈◯中略〉越前〈◯中略〉等二十一國一、始織二綾錦一、

〔續日本紀〕

〈八元正〉

p.0260 養老三年七月庚子、始置二按察使一、令三〈◯中略〉越前國守正五位下多治比眞人廣成、管二能登越中、越後三國一、

〔續日本紀〕

〈二十六孝謙〉

p.0261 天平神護元年三月丙申、勅、〈◯中略〉伊勢、美濃、越前者、是守關之國也宜其關國百姓、及餘國有力之人、不レ可三以充二王臣資人一、如有二違犯一、國司資人同科二違勅之罪一、

〔令義解〕

〈五軍防〉

p.0261 凡置レ關應二守固一者、〈◯註略〉並置二配兵士一、分番上下、其三關者、〈謂伊勢鈴鹿、美濃不破、越前愛發等是也、〉設二鼓吹軍器一、國司分當守固、〈◯下略〉

〔延喜式〕

〈五十雜〉

p.0261 凡越前國松原客館、令二氣比神宮司撿校一、

〔太平記〕

〈三十九〉

p.0261 神木入洛事附洛中變異事　尾張修理大夫入道道朝ハ、〈◯中略〉去程ニ、越前國ハ多年ノ守護ニテ、一國ノ寺社本所領ヲ半濟シテ、家人共ニゾ分行ケル、

〔梧窗漫筆拾遺〕

p.0261 越前は不吉なる國なり、義貞北國に入りて、遂に滅び給へり、元龜に朝倉、信長公と雄を爭ひて滅びたり、天正に柴田秀吉公と雄を爭ひて滅びたり、不勝之國〈左傳〉と云ふべし、