天部/霰

p.0243 霰ハ、アラレト云フ、雨水ノ凍結シタルモノナリ、

名稱

〔八雲御抄〕

〈三上天象〉

p.0244 霰　万十六、これをみぞれとも云へり、　たまぎるは似レ玉也　たばしるは、とばしるといへり、故人説なり、

〔藻鹽草〕

〈一天象〉

p.0244 霰〈万に、あられをみぞれとよめりと云々、〉　霰たばしる〈とばしると云儀也、但とばしるとはよまず、〉　霰みだれて　霰くだくる　霰ふる〈ふりくる共〉　霰のおと　たまきる〈似レ玉也〉　まる雪〈あられの事也と云々〉　玉霰　霰ふりしく　ひふり〈氷降也、あられ也、〉

〔和漢三才圖會〕

〈三天象〉

p.0244 霰(あられ)〈音線〉　雪粒　 〈本字〉　〈阿良禮〉　霰〈美曾禮〉　雹〈阿良禮、和名抄之誤也、可レ攺、〉　大戴禮曾子曰、陽之專氣爲レ霰、蓋盛陰之氣在二雨水一、則凝滯而爲レ雪、陽氣搏而脅レ之不二相入一、則消散而下、因レ水而爲レ霰、五雜組云、霰雪之未レ成レ花者、今俗謂二之米粒雪一、雨水初凍結成者也、

〔倭訓栞〕

〈前編二阿〉

p.0244 あられ　新撰字鏡、和名鈔に雹をよめり、迸散の義をもて名くる也といへり、霰をもよめり、 は和俗の造字也、万葉集には丸雪を義訓せり、今俗これをひやうといふは、氷雨の音なるべし、陸詞が説に雹氷雨也と見えたり、

降霰

〔古事記〕

〈下允恭〉

p.0244 天皇崩之後、定三木梨之輕太子所二知日繼一、未二即位一之間、姧二其伊呂妹輕大郞女一而歌曰、〈◯中略〉佐佐婆爾(ササバニ)、宇都夜阿良禮能(ウツヤアラレノ)、多志陀志爾(タシダシニ)、〈◯下略〉

〔萬葉集〕

〈十冬相聞〉

p.0244 寄レ雪
霰落(アラレフリ)、板敢風吹(イタマカゼフキ)、寒夜也(サムキヨヤ)、旗野爾今夜(ハタヌニコヨヒ)、吾獨寢牟(ワガヒトリ子ム)、

〔萬葉集〕

〈二十〉

p.0244 六年〈◯天平勝寶〉正月四日、氏族人等賀二集于少納言大伴宿禰家持之宅一宴飮歌、
霜上爾(シモノウヘニ)、安良禮多婆之里(アラレタバシリ)、伊夜麻之爾(イヤマシニ)、安禮婆麻爲許牟(アレバマヰコム)、年緒奈我久(トシノヲナガク)、

〔萬葉集〕

〈七雜歌〉

p.0244 羈旅作
霰零(アラレフリ/○○)、鹿島之崎乎(カシマノサキヲ)、浪高(ナミタカミ)、過而夜將行(スギテヤユカム)、戀敷物乎(コヒシキモノヲ)、

〔萬葉集〕

〈二十〉

p.0244 阿良例布理(アラレフリ/○○○○○)、可志麻能可美乎(カシマノカミヲ)、伊能利都々(イノリツヽ)、須米良美久佐爾(スメラミクサニ)、和例波伎爾之乎(ワレハキニシヲ)、

p.0245 　右二首〈◯一首略〉那賀郡〈◯常陸〉上丁大舍人部千文

〔冠辭考〕

〈一〉

p.0245 あられふり〈かしまのさきとほつあふみ〉　〈きしみがたけとほつおほうら〉あられふりて、音のかしましといひかけたり、

〔萬葉集〕

〈十一古今相聞往來歌類〉

p.0245 寄レ物陳レ思
霰零(アラレフリ)、遠津大浦爾(トホツオホウラニ)、縁浪(ヨスルナミ)、縱毛依十方(ヨシモヨストモ)、憎不有君(ニクカラナクニ)、

〔萬葉集〕

〈七雜歌〉

p.0245 旋頭歌
丸雪(アラレ/○○)降(フリ)、遠江(トホツアフミノ)、吾跡川楊(アトカハヤナギ)、雖苅(カレヽドモ)、亦生云(マタモオフチフ)、余跡川楊(アトカハヤナギ)、

〔堀川院御時百首和歌〕

〈冬〉

p.0245 霰　　　右兵衞督師頼
道たえて人もたづねぬ槇の戸に冬の夜すがらあられをとなふ

〔新撰六帖〕

〈一〉

p.0245 あられ　　　行家
かりを田の鴫のうはげにふるあられたまして鳥をうつかとぞみる

〔金槐和歌集〕

〈冬〉

p.0245 霰
ものヽふの矢なみつくろふ小手の上に霰たばしる那須の篠原

〔枕草子〕

〈十〉

p.0245 ふるものは　あられは板屋