帝王部/嬪

p.1229 嬪ハ夫人ニ次ゲルモノナリ、古訓又ミメト云フ、日本書紀履中天皇ノ紀ニ、初テ見エタレド、亦追書ニ係レルナリ、大寶ノ制、嬪四員ヲ置キ、四位五位ト定ム、此嬪ノ名ハ、天智天皇文武天皇ノ兩朝ニ見エタルノミニテ、以後曾テ所見ナシ、

名稱

〔名目抄〕

〈人體〉

p.1229 嬪(ヒム)

〔令義解〕

〈一後宮職員〉

p.1229 嬪四員　右五位以上

〔令集解〕

〈六職員〉

p.1229 古記云、尚書曰、嬪二於虞氏一、注云、嬪、婦也、
◯按ズルニ、唐六典ニハ淑儀等ノ六儀アリテ、之ヲ妃即チ夫人ノ下ニ居キ、是ヲ周官ノ九嬪ニ擬ス、而ルニ我大寶令ニハ、嬪ヲ置キテ、之ヲ夫人ノ下ニ位セシメタリ、

待遇

〔延喜式〕

〈四十一彈正〉

p.1229 凡車馬從者、〈◯中略〉嬪十八人、

〔延喜式〕

〈五十雜〉

p.1229 凡乘二輦車一出二入内裏一者、妃限二曹司一、夫人及内親王限二温明後凉殿後一、〈◯中略〉但嬪女御及孫王大臣嫡妻乘輦限二兵衞陣一、

家司

〔令義解〕

〈四考課〉

p.1229 凡家令、〈◯中略〉毎レ年本主、准二諸司考法一立レ考、〈以上、及内親王家事、隷二宮内省一、〉〈謂家事者、考事、即宮内省承二主旨一、定二其考第一也、〉考訖申レ省案記、〈准レ考應レ解者、同二諸司法一、〉
◯按ズルニ、嬪以上ノ言ニ據レバ、妃夫人ニモ各家令アレドモ、今一々分載セズ、

供給

〔令義解〕

〈四祿〉

p.1229 凡嬪以上、並依二品位一給二封祿一、〈謂欲レ顯レ不二减半一、故云レ依二品位一、其封祿是重、優令レ准レ男、資人位田、灼然不レ减、〉其春夏給二號祿一者、〈◯中略〉嬪、絁十二疋、糸廿四絇、布卅六端、〈若帶レ官者、累給、秋冬亦如レ之、以レ綿代レ絲、〉

〔令義解〕

〈十雜〉

p.1229 凡給二後宮及親王炭一、〈謂以上、其皇后者、自入二供進之例一、〉起二十月一日一盡二二月卅日一、其薪、知二用多少一量給、供進炭者、不レ在二此例一、

〔延喜式〕

〈十二中務〉

p.1230 後宮時服
嬪、絹四十疋、細布廿端、曝布卅端、〈冬加二綿二百屯一◯中略〉前件時服、夏四月五日、冬十月五日、内侍具録二人數及物色一移、省造二解文一申レ官、

〔延喜式〕

〈十八式部上〉

p.1230 凡嬪以上位分資人、不レ在二减限一、
◯按ズルニ、當時供給ノ制、女人ハ凡テ半减ナリ、然レドモ嬪以上ニ至リテハ其限ニアラズ、故ニ不レ在二减限一ト云フ、

〔小野宮年中行事〕

p.1230 四月五日中務省申二妃夫人嬪女御夏衣服文一事

〔小野宮年中行事〕

p.1230 十月四日中務省申二妃夫人嬪女御冬衣服文一事

字初見

〔日本書紀〕

〈十二履中〉

p.1230 六年二月癸丑朔、喚二鯽魚磯別王之女大姫郞姫、高鶴郞姫一、納二於後宮一並爲レ嬪(ミメ)、

補任

〔日本書紀〕

〈二十一用明〉

p.1230 元年正月壬子朔、立二蘇我大臣稻目宿禰女石寸名一、爲レ嬪(ミメ)、是生二田目皇子一、〈更名、豐浦皇子、〉

〔日本書紀〕

〈二十七天智〉

p.1230 七年二月戊寅、納二四嬪(ミメ)一、有二蘇我山田石川麻呂大臣女一、曰二遠智娘一、〈◯中略〉次有二遠智娘弟一、曰二姪(メヒ)娘一、〈◯中略〉次有二阿倍倉梯麻呂大臣女一、曰二橘娘一、〈◯中略〉次有二蘇我赤兄大臣女一、曰二常陸娘一、〈◯下略〉

〔續日本紀〕

〈一文武〉

p.1230 高天原廣野姫天皇十一年〈◯文武元年〉八月癸未、紀朝臣竈門娘、石川朝臣刀子娘爲レ嬪、〈◯刊本作レ妃、今據二下文一攺、〉

貶黜

〔續日本紀〕

〈六元明〉

p.1230 和銅六年十一月乙丑、貶二石川紀二嬪〈◯文武〉號一、不レ得レ稱レ嬪、